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2020年12月18日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第175回議事録

○日時

令和2年12月18日(金)9:29~9:50
 

 

○場所

TKPイベントホールシルク新宿

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀委員 小塩隆士委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 眞田享委員
松本吉郎委員 今村聡委員 林正純委員 有澤賢二委員
村井泰介専門委員 赤名正臣専門委員 上出厚志専門委員 
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 岡田医療技術評価推進室長
山田保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 2021年度薬価改定の骨子(案)について

○議事

 


 ○中村部会長
では、ただいまより、第175回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
なお、今回も会議の公開については、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠情報について御報告します。
本日は、全員が御出席です。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は「2021年度薬価改定の骨子(案)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明のほうをお願いいたします。
では、紀平薬剤管理官、お願いします。
○紀平薬剤管理官
それでは、資料薬-1に従いまして御説明させていただきます。
資料薬-1、2021年度薬価改定の骨子(案)でございます。
こちら、これまで議論をいただきました内容、それから昨日、3大臣によって合意された内容に基づきまして骨子案をまとめましたので、御説明させていただきます。
内容を読み上げさせていただきます。
まず1ページ目「第1 基本的考え方」でございます。
「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」において、市場実勢価格を適時に薬価に反映して、国民負担を抑制するため薬価改定を行う。そのため、価格乖離の大きな品目について薬価改定を行うとされ、また「経済財政運営と改革の基本方針2020」においては、2021年度の薬価改定については「骨太方針2018」等の内容に新型コロナウイルス感染症による影響も勘案して、十分に検討し決定することとされている。
これを踏まえて、今般決定された「毎年薬価改定の実現について」に基づき、以下のとおり2021年度薬価改定を行うこととするとしております。
こちらに書きました、昨日合意されました毎年薬価改定の実現についての内容につきましては、その下の括弧に過去の基本方針、「骨太の方針」に合わせまして一番下の○になります。
1ページ目の一番下の○、毎年薬価改定の実現についてということで、昨日、内閣官房長官、財務大臣、厚生労働大臣によりまして合意されたものでございます。具体的な内容は、2ページ目の頭にありますけれども、同様の内容につきまして次の「第2 具体的内容」のところで、記載しております。
続きまして「第2 具体的内容」。
「1.対象品目及び改定方式」についてでございます。改定の対象範囲については、国民負担軽減の観点からできる限り広くすることが適当である状況の下、平均乖離率8.0%の0.5倍から0.75倍の中間である0.625倍、乖離率5.0%を超える価格乖離の大きな品目を対象とする。
また「経済財政等改革の基本方針2020」に基づき、新型コロナウイルス感染症による影響を勘案し、令和2年薬価調査の平均乖離率が同じく改定半年後に実施した平成30年薬価調査の平均乖離率を0.8%上回ったことを考慮し、これを新型コロナウイルス感染症による影響とみなした上で、新型コロナウイルス感染症特例として薬価の削減幅を0.8%分緩和する。※で、薬剤流通への影響を緩和するもの。具体的には、市場実勢価格加重平均値調整幅方式により、以下の算出式で算定した値を改定後薬価とするとしております。
こちらの算出式は、新薬価から調整幅までが通常の改定で用いている算出式で、今回、一番右端にプラス一定幅というものを加えております。こちら、下の※の2つ目にありますとおり、一定幅は改定前薬価の100分の0.8に相当する額としております。
「2.適用する算定ルール」でございます。
2021年度薬価改定において適用する算定ルールについては、以下のとおりとするとしておりまして「(1)基礎的医薬品」。次のページにお移りいただきまして「(2)最低薬価」「(3)新薬創出・適応外薬解消等促進加算(加算のみ)」「(4)後発品等の価格帯」の集約でございます。
続きまして「3.その他の取扱い」でございます。
上記のほか、改定に係る運用上の取扱いについて、以下のとおり行うこととするとしております。
「(1)規格間の価格逆転防止」ということで、組成、剤形区分及び製造販売業者が同一の品目の規格間で価格逆転が生じる際には、可能な限りで価格の逆転が生じないよう、財政中立の範囲内で改定の対象とならない規格を含め価格を調整する。
「(2)今年度薬価調査において、取引が確認されなかった品目」。類似する品目の乖離率等に基づき、改定の対象か否かを判定する。ただし、本年10月以降に薬価収載された品目は改定対象としない。
「(3)「薬価改定」を区切りとして品目を選定する規定の取扱い」。再算定の対象品の選定など、薬価改定を区切りとして品目を選定する規定において、2021年度薬価改定は当該規定で言う薬価改定には含めないとしております。
そして、最後「第3 その他」でございます。
今後の薬価改定に向け、国民皆保険の持続可能性とイノベーションの推進を両立し、国民が恩恵を受ける国民負担の軽減と医療の質の向上を実現する観点から、既収載品目に係る算定ルールの適用の可否等も含め検討を行うとしております。
そのほか、資料としまして、薬-1参考として3大臣合意、それから、今回の薬価調査結果などの資料をおつけしております。
以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関して、御意見、御質問等がありましたら、よろしくお願いいたします。
では、松本委員、よろしくお願いします。
○松本委員
ありがとうございます。
新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、医療提供体制はまさに崩壊の危機にあると繰り返し申し述べてまいりました。
政府が勝負の3週間と位置づけ、感染拡大防止の集中的な対策が呼びかけられてきたものの、重症患者への対応はもはや崩壊が始まっていると言わざるを得ない状況になってきております。医療機関は収支が悪化している中にあっても、国民の命を守るために、そして地域医療を確保するために、医療現場全体で使命感を持ってコロナに立ち向かって奮闘を続けております。
今回の薬価改定につきましては、国民負担の軽減、一方でコロナを踏まえた医療機関等の経営影響の観点から、医療現場全体への影響が最小限になるようにこれまでも配慮を求めてまいりましたけれども、内閣官房長官、財務大臣、厚生労働大臣の合意を踏まえた今の薬-1のように、大規模な改定とされたことは医療提供者側としては誠に遺憾であり、医療現場のさらなるダメージが大変懸念されるところであります。
国民負担の軽減という視点はまさに理解できるものではありますけれども、これまでも繰り返し述べてまいりましたが、今、最優先すべきは、新型コロナウイルス感染症に直接対峙している医療機関や、それを面で支える地域の医療提供体制全体への支援であります。
本日はこの後の総会において厚生労働省から提案があるようなので、その御説明を聞いた上でこの薬価改定の骨子案についても併せて考えたいと思いますので、この場は保留させていただきます。
○中村部会長
ほかは、御意見、御質問等はいかがでしょうか。
では、有澤委員、お願いします。
○有澤委員
ありがとうございます。
松本委員と同様の内容になるかもしれませんが、我々は医薬品購入、取引に携わる関係者の事務的負担や経済的影響を考えれば、現在は薬価改定を実施する環境になく、コロナ禍における例年とは全く異なる状況下で薬価調査に基づく改定を行うのであれば、薬局、医療機関等の経営影響を最小限にとどめるため、対象範囲は乖離率が大きい品目に限定すべき旨、強く主張してまいりました。
2021年度の薬価改定骨子(案)では、12月17日の3大臣の折衝に基づくものとなっておりますが、平成28年12月の4大臣合意あるいは「骨太の方針」としての決定について、大幅に超えるものであると認識しておりまして、極めて残念な結果であると言わざるを得ません。
特に薬局は、調剤医療費に占める薬剤費の割合が7~8割と非常に高く、4年連続する薬価の引下げによる経営面の影響は極めて大きなものであります。また、改定前に購入した備蓄医薬品の資産価値が薬価改定を境に減少するといった、経営に非常に大きく影響するものであることを言わざるを得ません。
そういった意味では、総会でこの後の議論という松本委員の意見と全く同様であります。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございました。
ほかは御意見等よろしいでしょうか。
では、吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
今回の薬価改定骨子案についての意見としまして、エビデンスに基づく十分な議論が尽くせなかったことは非常に残念に思っております。
一方で、令和2年度の薬価調査に基づいて3大臣合意がなされ、国民負担軽減の観点からできるかぎり対象品目範囲を広げ、全品の7割弱、1万2180品目を対象にしていることについては一定の評価ができるものだと考えております。
一方で、1号側の委員から再三にわたって調整幅の在り方などについて論点にして議論したいと主張してきましたが、この薬価専門部会の議論では全く議論の場が持てなかった。それにもかかわらず現行の調整幅2%から2.8%に緩和する決定をなされたことについては遺憾に思っているところです。
そこで、念のために確認をさせていただきたい。2%の調整幅に加えて緩和した0.8%分については、2ページの冒頭に3大臣の今回の毎年改定について、新型コロナウイルス感染症特例として0.8%を緩和するという書きぶりになっています。
一方で、2ページの真ん中辺りの算定式で調整幅プラス一定幅とあります。この一定幅の考え方について、今回限りの特例の考え方であり、次回以降の改定についての基本的な考え方にはならないと理解をしていますが、その認識に間違いないかどうか、事務局に確認をさせていただきたいと思います。
○中村部会長
では、薬剤管理官、お願いします。
○紀平薬剤管理官
ただいま、この一定幅の取扱いについて御質問いただいたものと思います。
まず、今回の大臣合意での決定につきましては、こちらに記載されておりますとおり、今般の状況を鑑みて特例として0.8%分緩和するとされているものと思います。
ですので、現時点ではこういう取扱いを今回行うというものであって、今後につきましては、またそのときの状況等を勘案して検討するものと考えております。
また、下の算出式につきましても、今回の改定においての算出式という取扱いと考えております。
以上でございます。
○中村部会長
では、吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
ということは、この0.8%分というのは、ここにも書いていますが、卸、流通へのコロナ影響を勘案したという理解でいいということでございますね。
○中村部会長
では、薬剤管理官、お願いします。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
今回の決定につきましては、そのようなものと考えております。
○吉森委員
ありがとうございます。
前回からずっと申し上げておりますとおり、今申し上げた調整幅においても同様ですが、次回以降、薬価本改定並びに中間改定の在り方、改定適用算定ルール等を含めて、薬価改定の在り方についての議論はゼロベースでしっかりと次回に向けて検討する時間を取っていただいて議論を尽くすことをぜひ強く要望したいと思います。
○中村部会長
ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
今回の改定は国民負担の軽減というものが最大の目的でしたので、この平均乖離率の0.625倍を取ったということについては、我々が重視していた新薬、それから、長期収載品、後発品、それぞれ一定の割合が含まれた、バランスの取れた改定となったので、妥当であったと理解します。
ただ、今回はあくまで令和3年度の薬価改定という特例的な対応ということで、また次回改定に向けてはいろいろしっかりと議論をしていく必要があると思います。
それから、調整幅は0.8%分をコロナの影響で緩和することについては、今回の改定についてはやむを得ないと思います。しかし、そもそも論ではありますが、この2%が妥当か。これは20年間続いているのですが、環境の変化があるにもかかわらず2%が妥当かということについては、次回、中間改定でしっかりと議論していく必要があると思われます。
それから、我々が主張していた政策改定です。基本方針にありますように、実勢価格を適宜反映するということで、例えば新薬創出加算の累積額控除の取扱いもこの基本方針にのっとれば本来やるべきことだと思ったのですが、そういうことが実施されていないのは少し残念だと思います。
ただし、資料の「第3 その他」の中で、次回以降しっかりと議論をしていく検討課題として位置づけられたと理解していますが、次回以降の改定については、この政策ルールについてもどうするか議論していくということでよいかということをこの場で事務局に確認したいと思います。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、薬剤管理官、お願いいたします。
○紀平薬剤管理官
これまでも同様の御意見をいただいていたと思いますけれども、今後の検討におきましては議論の内容の一つになってくるものと考えております。
○中村部会長
よろしいですか。
では、佐保委員、お願いします。
○佐保委員
ありがとうございます。
これまで、この専門部会の中で医薬品卸の経営状況が厳しいという話を聞いてきたので、今回の改定は特別なものになると思っておりました。
しかし、蓋を開けてみると想定以上の改定案が示されており、今までの議論は何だったのだろうと思っております。
医薬品の配送等に、今後、問題は生じないのかどうか、事務局にお聞きしたいと思います。
○中村部会長
こちらは、経済課長、よろしくお願いします。
○林経済課長
ありがとうございます。
今回の改定によって、医薬品卸等を含めてこの薬局関係の経営にどのような影響を与えるか、またその流通等にどのような影響を与えるか。直ちにこれで差し障りがあることはないと思っていますけれども、その辺の状況についてはしっかり注視をしたいと考えております。
○中村部会長
では、佐保委員、よろしくお願いします。
○佐保委員
医薬品の配送等に問題が生じてしまえば、結局は被保険者に影響が及ぶことになりますので、これはしっかりと見ていただきたいと思っております。
○中村部会長
ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。
では、1号側の委員の先生方からは、エビデンスに基づいた議論がまだまだ不足している、調整幅等まだまだ議論は尽くされていないので今後議論を尽くすべき、また、医薬品卸との安定供給というところにも今後注視すべきという御意見をいただきました。
また、2号側の委員の先生方からは、部会における承認を保留し、総会の議題として議論すべきという提案をいただきました。
では、そういった御意見を基に、これからの総会で御議論いただくことにしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは、そのようにしたいと思います。
ほかに御意見等ないようでしたら、本件につきましてはここまでとさせていただきたいと思います。
本日の議題は以上になります。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡をいたします。
それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。
どうもありがとうございました。


 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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