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2020年12月2日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第171回議事録

○日時

令和2年12月2日(水)10:00~11:13
 

 

○場所

TKPイベントホールシルク新宿

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀委員 小塩隆士委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 眞田享委員
松本吉郎委員 今村聡委員 林正純委員 有澤賢二委員
村井泰介専門委員 赤名正臣専門委員 上出厚志専門委員 
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 岡田医療技術評価推進室長
山田保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 2021年度薬価改定について(2020年薬価調査結果について)
○ 前回のご指摘事項について

○議事

 


 ○中村部会長
では、ただいまより、第171回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
なお、今回も会議の公開については、前回に引き続き、試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告します。
本日は、全員が御出席になります。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日の議題は「2021年度薬価改定について(2020年薬価調査結果について)」及び「前回のご指摘事項について」の2つですが、関連する議題でございますので、まとめて議論したいと思います。
事務局より資料が提出されておりますので、説明のほうをお願いいたします。
では、林経済課長、よろしくお願いします。
○林経済課長
おはようございます。経済課長でございます。
まず、資料薬-1-1をお開きいただきまして「令和2年医薬品価格調査(薬価調査)の速報値について」御報告いたします。本年9月の取引分について、この中医協での御審議を踏まえまして行いました薬価調査結果の速報でございます。
販売サイドから、11月4日までに報告があったものについての平均乖離率、約8.0%でございます。平均乖離率の定義は注2)に書いてあるとおりでございます。
併せまして、例年、後発医薬品の数量シェアもこの薬価調査によって把握してございます。後発医薬品の数量シェアはいわゆる新指標と言われているものでして、定義は下の注)に書いてあるとおり、分母が[後発医薬品のある先発医薬品の数量]と[後発医薬品の数量]、分子が[後発医薬品の数量]で計算される数字でございます。約78.3%という状況になってございます。
簡単ですが、概要については以上です。
では、2枚目を御覧ください。乖離率の速報値の内訳でございます。
投与形態別に、内用、注射、外用、歯科用剤、それぞれ御覧のような乖離率になってございます。
ちなみに、薬価ベースの構成比、占有率をその右側に示してございます。
また、主要薬効群別のものでございますが、主に量の多いものから順に、内用、注射、外用、歯科用剤、それぞれ乖離率を示してございます。ここに示したような数字でございます。
資料薬-1-2で経年の変化も含めて改めて資料を掲載しておりますので、詳しくは薬剤管理官から説明をしていただきます。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
続きまして、資料薬-1-2を御覧ください。「2021年度薬価改定について」ということで、2020年薬価調査の結果、先ほど御報告いたしましたものにつきまして、これまでの結果との比較について資料としてお示ししております。
おめくりいただきまして、右下1コマ目を御覧ください。
「薬価調査の速報値」についてですけれども、今回の結果、一番右に2020年の数字としてお示ししております。
平均乖離率につきましては約8.0%ということで、昨年と同程度で、同じ中間年ということでいきますと、その前の2018年の7.2%に比べると少し数字が大きくなっているという結果でございます。
調査の回収率につきましては86.8%ということで、これまでの調査と同程度の回収率となっております。なお、括弧の中に調査の客体数を記載しておりますけれども、今回の調査につきましては3分の2抽出ということで行っておりますので、このような数字となっております。
その下、妥結率についてでございます。この妥結率は別途価格妥結状況調査というものによる結果でございます。これまでの結果と比べますと、この後の別の資料でも説明ありますけれども、最初の9月の段階というのはその1年後よりも少し小さ目の数字になるのですけれども、前回の中間年、2018年と比較しますと同じくらいか、それ以上の数値となっております。
おめくりいただきまして、2コマ目を御覧ください。
こちらは先ほどございました内用、注射、外用、歯科用の投与形態別の数値につきまして、これまでの結果との比較となっております。これまでの傾向と同程度の数値となっております。
次の3コマ目を御覧ください。
こちらも主要薬効群別の数値として、これまでの数値と比較しております。全体としてみるとこれまでと同程度となりますけれども、先ほど御紹介しましたように、全体が2018中間年と比べると若干大き目の数字というのはそれぞれ分けても同様の傾向があるということかと思います。
その次、4コマ目から8コマ目までなのですけれども、こちらのほうは委員限りとして本日お配りしております。ユーチューブで御覧いただいている方に少し御説明させていただきます。
ホームページにアップしました資料につきましては、この4コマ目から8コマ目につきまして削除した資料を本来掲載する予定でしたけれども、ここが入った資料が当初アップされておりましたので、もしそちらの資料をお手元にお持ちの方は、取扱いにくれぐれも御注意いただいた上で、ここが削除された資料をアップいたしますので、そちらに差し替えをよろしくお願いいたします。
それでは、4コマ目についてでございます。
こちらは、薬価制度の抜本改革の基本方針におきまして、価格乖離の大きな品目について薬価改定を行うとされておりましたので、参考までに乖離率ごとの品目数分布をお示ししております。4コマ目が本年の薬価調査の結果についてでございます。
以降、5コマ目から8コマ目につきまして、これまでの薬価調査の結果に同様の分布をお示ししております。
最後、9コマ目を御覧ください。
こちらの「2021年度薬価改定に係る論点について」でございます。
○の1つ目につきましては、これまでも御説明しておりましたけれども、これまでの経緯、基本方針2020におきまして「骨太方針2018等の内容に新型コロナウイルス感染症による影響も勘案して、十分に検討し、決定する」とされております。
※の1つ目ですけれども、その中で「骨太の方針2020」のほうで医薬品卸、医療機関、薬局等の経営の影響等を把握した上で、これを総合的に勘案して具体的な範囲を設定するとされております。
また、※の2つ目ですけれども、薬価改定の検討にあたっては、その対象範囲に加え薬価改定時のルールの適用の在り方等についても議論を行っておく必要があるというものでございます。
この薬価調査につきましては、結果としては本日お示ししたような結果となっておりますけれども、その前提となる取引状況につきましては、前回のこちらの部会で業界からの意見聴取でもいろいろな御意見があったところでございます。
本日お示しいたしましたこの薬価調査の結果について、どのように捉えるか、そして、2021年度の薬価改定についてどのように考えるかという点につきまして、御意見を伺えればと思います。
では、続きまして、その次、薬-2の資料につきまして、経済課長から御説明いたします。
○林経済課長
続きまして、資料薬-2になります。前回の御指摘事項についての回答を御説明申し上げます。
お開きいただきますと、前段は日本医薬品卸売業連合会のほうから前回の薬価専門部会で流通改善懇談会の資料として今回の薬価交渉、価格交渉等の状況について資料が示されました。
参考までに該当箇所は薬-2参考でつけてございますが、これらについて前回、御質問いただいたことにつきまして、卸売業連合会において回答をまとめておりますので、まず冒頭、私から御紹介しまして、村井専門委員から補足をしていただきます。
また、前回御指摘いただきました仕切価等の状況、また私が口頭で申し上げました妥結率、単品単価契約率。これらについても資料をおつけしておりますので、まず私から全体の御説明を申し上げます。
まず、1コマ目以降が卸連でまとめました前回提出資料に対する質問への回答ということでございます。4つございます。
1つ目が医療機関への配慮ということでございまして、前回の回答でも80%以上の卸が医療機関等の経営状況などに配慮したという回答を示しておりますが、具体的にどのような配慮を行ったのか、価格交渉にどのような影響を与えたのか、また、流通の問題で何があったのか、例年と違う状況となっているのか。こういった御質問についての回答でございます。
具体的には2段落目ですけれども、駐車場での受け渡し、検品作業の省略など、医療機関等と医薬卸の双方で人との接触を極力減らすような取組を行っているということ。
また、価格交渉への影響については、結果として価格交渉において医療機関等が置かれている状況などを総合的に勘案し、一定の配慮をすることが多かったということ。
具体的にどのような影響を与えたかについては、ケース・バイ・ケースであるということ。そのために、一概に申し上げることが困難であるということ。例年より交渉の期間が短く、回数も少なかったために、十分に時間をかけて価格交渉を行うことができなかったケースが多かったと考えていることが回答として示されてございます。
次に3コマ目、2点目の御質問です。経営状況の悪化につきまして、前回、参考として資料が示されております。株式上場大手卸の経営状況について示しておりますが、これらについて何が変わったからこのような経営状況の悪化につながっているのか、その原因について御質問がございました。
回答としてはここにございますような5つほどの要因を代表例と書いておりまして、これらの要因が複雑に絡み合ったことによるものと考えているということでございます。
具体的には、受診抑制、手術件数の減少などによる医薬品市場の縮小、累次の薬価改定による薬価の引下げ、価格交渉など接触回数の大幅な減少、販売構成の変化による最終原価率の上昇、そして、業務・物流体制の変更などということでございます。後ほど、村井専門委員からも補足があるかと思います。
3点目、経営状況の悪化によって具体的にどのような厳しい状況なのか、どのような影響が生じているのか、御質問をいただいております。
これらについては、経営悪化により人件費の削減や、取引先への配送回数の減少、新たな施設・設備、特に具体例としては特殊な管理が必要な医薬品のための設備、あるいは医薬品適正流通、GDPが求める施設・設備。こういったものへの投資が制限されるなどの状況が生じているということでございます。
最後、4点目の御質問です。5枚目でございます。流通改善ガイドラインについて、遵守できなかったという回答が多かったわけでございますが、何が遵守できていない、具体的に何が遵守できなかったのかということ。また、薬価調査にどのような影響が生じているのかという御質問でございました。
回答ですけれども、流通ガイドラインでは、個々の医薬品の価値を踏まえた交渉を進めること。また、契約については覚書の利用等により進めることと示させているところでございますが、例年であれば医薬品卸はこのガイドラインに示されている事項の遵守に注力できているところですが、本年度上期においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、価格交渉の期間や回数が例年よりも減少したことにより、個々の医薬品の価値を踏まえた価格交渉や覚書の締結ができていないという認識を持っている。
また、薬価調査については平時とは異なり、流通改善ガイドラインの遵守に積極的に取り組める状況ではない中で行われたものであると考えているという回答でございました。
続きまして、経済課からの回答でございますが、前回御指摘事項についての数字状況についての御説明です。
7コマ目をお開きください。仕切価率、納入価率、割戻し率の推移ということでございます。
こちらの数字は流通改善の状況等を確認するために、大手5社の卸売事業者にそれぞれ取扱い全品目について、加重平均により仕切価、納入価、割戻しの率を加重平均で算出していただいております。それらの5つの数字については、我々の経済課のほうで単純平均をして出した値を例年整理しているものでございます。
直近の2020年の上期の状況は、御覧いただいているとおり、仕切価率は95.1%、納入価率が92.0%、割戻し率が5.9%ということでございます。
続きまして、8コマ目です。こちらは前回、口頭で私から申し上げたもののグラフでございます。
直近の今回の妥結率ということでございますが、図にプロットしてございますように、95.0%となってございます。これらにつきましては、2年前の薬価改定時、さらにその2年前の平成28年の薬価改定時、改定以降6月、9月、12月、そして翌年に入りましての妥結率の状況というものを参考までに青とオレンジで示しているところでございます。
また、9コマ目ですが、単品単価契約率についてでございます。これも前回、口頭で御説明しておりましたけれども、グラフでお示ししてございます。
真ん中から左側の、背景が青塗りになっているところが200床以上の病院についてでございます。2015年度からの推移を示しておりますが、棒グラフの中の青塗りの部分が単品単価契約率と言われているものです。直近、2020年度上期において83.3%という数字になってございます。
また、真ん中右側が20店舗以上の調剤薬局チェーンの数字でございまして、こちらについては直近2020年度上期においては95.2%という状況になってございます。
以上、私から資料の説明でございますが、村井専門委員から補足説明をお願いします。
○村井専門委員
ありがとうございます。私のほうから専門委員の立場として、特に3コマ目「2.経営状況の悪化の要因について」補足説明をさせていただきたいと思います。
この第2クオーターの上場卸各社の決算短信を見てみますと、ほぼ同様のことが記載されておりますので、それをまとめてみますと、1つは売上げについては各社とも減少している。5%以上の減となっております。
その原因は、ここに書かれております新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う受診抑制による外来数の大幅な減少、あるいは手術件数の減少などによる医薬品市場の縮小が大きく響いていると思いますが、もう一つ見逃せないのは、やはり2019年10月の消費増税に伴う薬価改定の僅か半年後に、また4月に薬価改定が行われたという、このような短期間で累次の薬価の引下げが行われたということも大きく影響しております。
続いて、売上総利益についてでございますが、売上総利益の減少の原因はこのような売上げの減少に伴う割戻金の減少と、いわゆる従来と比べて売れ筋商品がここ数年で大きく変わってきておりまして、私どもはカテゴリーチェンジなどと呼んでいるのですけれども、従来非常に売れていた、販売上位にあった生活習慣病薬等のいわゆるブロックバスターが特許が切れまして、かなりほとんどのところが後発品に入れ替わる一方、抗がん剤等大変高価ないわゆるスペシャリティードラッグと言われている商品群の売上げが急激に伸びておりまして、それらの販売の内容、構成が変わっていることによって、特に原価率の高いスペシャリティードラッグの売上げが伸びていることによって我々の最終原価率が上がっております。
一方、先ほど経済課長の御説明にもありましたように、価格交渉の現場ではできるだけ接触を避ける観点から交渉回数も大幅に減っておりまして、いわゆる価格の水準を検討することは行われても、それを細かく落としていくときにこのような個々の商品の仕入れ原価のほう、変化に対応する細かい調整が十分時間が取れなかったことによって減少したと考えております。
一方、経費でございますが、経費も減少しております。これについては残念ながら1桁台の減少で、大きなものは交通費や会議費等の減少等がありますが、一方で配送体制の堅持、輪番制、シフトの変更等を対応するために人件費などはほとんど影響を受けておりません。このように大幅に売上総利益が減少し、経費の減少がそれに追いつかなかったために大幅な営業利益の減益となっております。
営業利益率が僅か1%という世界ですので、この売上総利益の増減と経費の増減とがうまくシンクロしないと営業利益率が大きくぶれることは避けられない宿命のようなものであると考えております。
私のほうからの御説明は以上でございます。
○中村部会長
説明ありがとうございました。
では、ただいまの説明につきまして、何か御質問等ありましたら、お願いします。
では、吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
今回のこの資料薬-1-2、薬価調査結果の実施を拝見しますと、今年度の価格交渉及び薬価調査の実施においては、コロナ感染症拡大防止の観点で例年度とは当然ながら異なる環境下での御対応になっていることについては、業界関係者の皆さんの御努力、御苦労というのはよく理解しておりますが、この調査結果そのものを拝見しますと、外形的には平均乖離率や薬効群別の乖離率、また、回収率、妥結率、納入価格率などの各数値においては例年並みの水準ということで、特段、コロナということでの注目すべき数値の変化というのは外形上見当たらないと思います。そういう意味からいけば、今年度の薬価調査というのは2021年度の薬価改定には資するものであり、今回の調査結果のデータ上、これは従来と同様に薬価改定は可能であると考えられるものだと思っております。
資料薬-2で、前回の業界団体ヒアリングにおける質問について、私からいろいろ質問させていただいた回答を御提出していただきまして、ありがとうございます。また、村井専門委員からも御回答いただきました。ありがとうございます。
この中で、2ページで医療機関への配慮が価格交渉に与えた影響についてはケース・バイ・ケースという経済課長からの御説明もありましたが、そのケース・バイ・ケースによって価格交渉が下落するような傾向にあったのかなど、いわゆる価格交渉上での具体的な影響というのがどうだったのかというのがいま一つ示されておらず、分かりにくいかなと思います。今回の新型コロナウイルス感染症が経営上の悪化要因の一つというのは間違いなく、一定の理解ができることではありますが、今回の薬価価格形成上において、どういう要因があったのか、大きな要因となったのかという辺りはこれまでに御提示いただいております資料からは読み取ることができません。
そういう意味では、こういう状況を踏まえますと、今回の調査結果は特別に配慮するべき事情があるとまでは言えないのかなというのが率直な感想でございます。
そこで1つ、村井専門委員にお伺いしたいのですが、価格交渉の過程で、交渉回数、期間等によって、例年と比べかなり交渉上のハンディキャップがあったということについて、その交渉上のハンディキャップが薬価形成にどう影響したのか、下げ方向だったのか。詳しく交渉できなかったというのは理解できますが、どう影響を与えたのか、もしお分かりであればお考えを含めてお教え願えればと思います。
○村井専門委員
ありがとうございます。
先ほども少しお話しさせていただいたつもりだったのですけれども、価格交渉のプロセスで、まず最初に全体的な価格の値頃感というのですか。それを交渉して、できれば今、こういう状況で、先ほど申し上げましたように、いわゆるカテゴリー、商品のタイプによって状況が全く違いますので、カテゴリーごとの値頃感を交渉した上で、それをそれぞれ単品に落としていくのが一般的に行われているプロセスと聞いております。
今回の場合、その価格交渉の最初の値頃感の交渉はあったわけですけれども、それを個々の商品にまで落としていくときに、先ほど説明したように、僅か6か月の間に累次の薬価改定がございますから、当然、薬価が変わった商品については仕切価が変わっているものもあるわけです。中には仕切価が、薬価が下がったにもかかわらず例えば上がっているものもあるのです。本来であれば、その単品に落とすところでそういったことを細かく交渉しながら調整していくべきところ、今回はコロナ感染症の問題もありましてそういう十分な時間が取れなかったと私は理解しております。
先ほど経済課長からも御説明がありました追加の資料の7コマ目をちょっと御覧いただきたいのですが、まさにそれが全体で仕切価率が94.9%から95.1%に上がっているという形が出ておりますけれども、これは先ほど、我々の立場からすると、我々の販売原価率が上がったということで、この上がっている原因はやはり個別の商品の仕切価がどうこうというよりも、先ほど申し上げたカテゴリーの販売構成が変わってきていることによって上がっている部分が実際は多かったのではないかと思います。
そのほかに、先ほど申し上げましたような個別の変更を含めて、本来であれば単価で細かく交渉しなければいけないことが、その下、納入価率のところを見ていただきますと、前年並みで終わったということだと思います。
お答えになっているかどうか分かりませんが、実態はそういうことではなないかと考えております。
○吉森委員
ありがとうございます。
交渉のやりにくさというか、そういう意味では仕切価に反映させて価格交渉ができなかったという理解をすればよろしいわけですね。今回、乖離率が8%と、去年と比べて変わっていないということですが、その辺について、仕切価が高止まったとか、価格に影響を与えたことについては、全体的にはあまり変わらなかったという理解でいいのでしょうか。
○中村部会長
では、村井専門委員、お願いします。
○村井専門委員
そのように考えております。
○吉森委員
ありがとうございます。
通常の薬価改定の流れで考えますと、次回以降、薬価調査結果を踏まえた業界団体ヒアリングもあるかと思いますので、今回の調査結果等を踏まえてもなお、いわゆるコロナに特別に配慮する必要があるのか等については、定性的な御説明は今までいただいておりますが、具体的なエビデンス等の提示によって御説明いただければより議論が深まると考えております。
いずれにしましても、平時における改定ルールに基づく中間年改定の議論。これは早急に開始し、エビデンスに基づく合理的な納得感のあるようなコロナ感染症下での特例対応の必要性、在り方について検討し、中間改定を早急にどの方向で実施するのかを議論すべきだと考えております。
また、先日の業界団体ヒアリングで日本製薬団体連合会等から乖離率に着目した改定を実施すべきという提言がございましたが、私どもとしましては、これまでも申し上げているとおり、乖離額にも注目すべきではないかと考えております。
その際、乖離額の基準を定めるにあたっては、財政審の建議や経済財政諮問会議等においても議論がございましたように、真に国民負担の軽減が図られるためにより多くの品目が対象になるような線引きを検討すべきではないかと意見が出されております。具体的には薬価の水準が高いために乖離率が相対的に小さくなりがちな先発医薬品、また反対的に大きくなりがちな後発医薬品など、カテゴリー別に分けて別々の基準を定める検討などをし、医薬品ごとの特性に関するデータを踏まえた、特性に応じたルールの設定等についても併せて検討すべきだと考えております。
以上、意見です。
○中村部会長
ありがとうございました。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
これまでも何度も申し上げてまいりましたけれども、新型コロナウイルス感染症への対応で医療現場は、今はそれのみに徹しているということで、今回行われているような、なかなか議論に踏み込めないような、それどころではない状況にあります。
さらに、新規感染者数も増加傾向が加速しており、まさに医療崩壊一歩手前まで来ている、あるいは地区によってはそういう状況に入っているような状況であります。各地でも過去最多の水準になる中で、医療機関における新型コロナウイルス感染症の受入可能病床数だけでなく、これは通常の救急医療の受入体制も限界に近づいてきております。足元の状況はますます悪化してきております。
国民負担の軽減も大切な観点だとは思いますけれども、現在、最も優先されるべきは医療提供体制を崩壊させないことであると思います。今回の薬価改定を議論する際にも、そうした状況を十分に留意して慎重に検討すべきであると思います。
今回、事務局から提出があった資料を拝見しますと、今年度の取引状況や薬価調査の回収率等は確かに例年並みでありますが、調査結果につきましては今回が中間年であることに留意が必要であります。
中間年の前例である2018年と比較いたしますと、平均乖離率が大きくなってきております。前回、11月25日の関係業界からのヒアリングでの御発言等を踏まえましても、本日いろいろ質問に対する御回答もございましたけれども、新型コロナウイルス感染症の影響は今回いろいろ出てきた資料の外形的な数値のみでは捉え切れない影響が確実にあると考えられますことから「骨太の方針2020」の趣旨を踏まえて、新型コロナウイルス感染症による影響を十分に勘案すべきであると考えます。
また、今後の検討を深めるためには、薬価改定を行った場合の影響、特に医療機関等への経営への影響を把握しておく必要があります。ある一定範囲で薬価改定を行った場合、薬剤費の削減総額がこれに当たると考えます。今回の調査結果を踏まえて、仮に薬価改定を実施した場合にどの程度の影響が生じるのか、幾つかの場合分けを行って示していただくことを御検討いただきたいと思います。これは後で御回答いただきたいと思います。
さて、先週財務省の審議会や経済財政諮問会議で来年の薬価改定について、全品改定や乖離率、額への着目、調整幅の在り方の見直し、長期収載品の引下げルールのさらなる見直し等について提言があったと聞き及んでおります。また、この薬価専門部会におきましても、新薬創出等加算の累積分控除といった提案もございました。
しかしながら、コロナ禍において医療機関の状況は極めて厳しい状況にあることに加え、これらの提案はそもそも4大臣合意や抜本改革骨子を超えるものであり、毎年薬価改定の前提を超えるものであることを考えれば、到底考えられるものではありません。冒頭に申し上げたとおり、十二分に留意して慎重な御検討を改めてお願いします。
また、先ほど吉森委員から乖離率か乖離額かという議論がありましたけれども、中間年改定の目的は個々の医薬品の価値に注目した上で市場実勢価格との乖離を是正することにあると考えます。そうした意味では、乖離率が大きい品目は現行薬価が医薬品の価値に合致していない品目と言えますけれども、それは額とは無関係に判断されるものであります。したがいまして、薬価改定の対象を判断する際には乖離額ではなく乖離率に着目して判断すべきと考えます。
取りあえず、以上です。
○中村部会長
では、先ほど御質問がありました薬価の改定の影響について、事務局のほうで何かございますでしょうか。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
ただいまいただきました医療機関等への影響についてのデータにつきましては、準備をして、次回以降お示しできるように検討したいと思います。
○中村部会長
それでよろしいでしょうか。
では、村井専門委員からも手が挙がっていますので、村井専門委員、お願いします。
○村井専門委員 すみません。先ほど1つ言い忘れましたので、付け加えさせていただきたいと思います。
確かに今回御提示いただいた資料は相対で見ますと大きな矛盾があるとは思えませんが、言い忘れていました部分というのは、この新型コロナ感染対策の問題がありまして、交渉のプロセス。これは従来と全く違っていた。それだけ付言させていただきたいと思います。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、有澤委員、お願いします。
○有澤委員
ありがとうございます。
そもそも薬価の中間年改定というのは、薬価制度の抜本改革の基本方針によれば、市場実勢価格を適時反映して、国民負担の軽減を図ることが目的である。こういった視点であることは大変重要だと思っております。
現在も医療機関、薬局等では、先ほど松本委員からも説明があったように、新型コロナの感染症対策を最優先に行い医療提供に努めております。この対応下という特殊な状況で薬価調査が実施されたこと。前回のヒアリングにおいて、日本医薬品卸売業連合会の資料にもあるように、価格交渉の期間、回数が十分に確保されていない中の交渉であり、従前とは全く異なる状況であったということであります。このような背景を基に調査が実施されたことを考慮し、今回の調査結果が中間年改定に正しく活用できるものなのか、詳細な分析は必要であり、それらを踏まえた慎重な対応が必要と考えます。
今回の薬価調査の速報値によれば、調査客体が通常の3分の2であります。回収率が、例えば比較する前々回、2018年の中間年改定と比較しても、おおよそ回収率がほぼ同じだと考えても前回に対して70%程度の客体で調査を行っているということでありまして、全品目調査であって、さらに従前より少ない調査客体で全品目調査を行うことは品目ごとの数値のばらつきも大きいと考えております。いわゆる偏差です。
ここでお尋ねしたいのですが、従前に比して品目ごとの乖離率のばらつきというものは同等だったのでしょうか。どのような結果だったのかということを事務局のほうへ1点お尋ねしたいです。
それから、この数値からしても明らかにコロナ禍の影響があったということは思っておりますけれども、この点について日本製薬団体連合の専門委員の立場としてどのように結果を捉えるのかということもお聞かせいただきたいと思います。
○中村部会長
では、経済課長、よろしくお願いします。
○林経済課長
ありがとうございます。
薬価調査の結果のばらつきということでございますが、品目ごとのばらつきについてはまだ速報値を出した段階ですので、現時点でお答えできるような状況、数字等は持ち合わせてございません。
○中村部会長
では、赤名専門委員、お願いします。
○赤名専門委員
有澤委員からもございましたけれども、妥結率、それから単品単価の状況については、前年度との比較では同様の水準であったという結果でございますが、一方でCOVID-19の影響によりまして、例年どおりの価格交渉の期間、回数を確保できなかった、加えて覚書の締結まで至らなかった、こういった観点からプロセスが違うということもあり、コロナ禍という極めて特殊な状況で今回の調査が実施されたと考えます。それから、医療機関及び薬局への影響などを勘案しますと、次年度の薬価改定については慎重にやはり議論が必要ではないかと考えてございます。
加えて、これも先ほど有澤委員からもございましたけれども、今回の調査は3分の2の抽出率ということでございますので、以前の中医協資料にもございましたとおり、全数調査との市場実勢価における誤差が必然的に生じることにも留意すべきではないかと考えております。
以上でございます。
○中村部会長
では、有澤委員、よろしくお願いします。
○有澤委員
速報値ということですので、品目ごとの数値のばらつきというものがまだ分からないということであります。ただ、表向きの乖離率、あるいは妥結率。こういったものを見た中では同等に見えますが、これをさらに詳しく解析して慎重な対応をすることが必要でありますし、調査結果がコロナ禍の影響であるということが明らかになっていると考えております。
今年度は経営実態調査が行われておらず、1号側委員の各先生方の団体では独自に経営実態の調査等を行っていると思います。今回でも行っております。こういった中で厳しい経営状況であるということが示されておりますので、これらから判断しても「骨太の方針2020」において「骨太の方針2018」等の内容に新型コロナ感染症による影響も勘案して十分に検討して決定するとされている。これをまさにしっかり勘案する部分をこの中で議論する必要があると思いますし、薬価改定の実施の可否については明確にこの影響の勘案をしていただいたことを示していただきたいということを求めていきたいと思います。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、幸野委員、よろしくお願いします。
○幸野委員
今日の薬価調査の速報値について、いろいろコメント等を申し上げたいと思います。
まず、この薬価専門部会の中で今日、委員が全員共有しなければいけないのは、速報値ではありますが、今日出されてきた調査の結果、回収率、妥結率、仕切価、納入価、単品単価率、どの数値を取ってみても例年と遜色ない数値であったということは事実として共有すべきだと思います。今回の薬価調査は正常に実施できたということは共有すべきで、それを前提に次回以降、ルールをどうするか検討していくべきだと思います。
それと、この調査結果に基づいて、これからどういうルールを検討していくかについてなのですが、すみません。薬-1-2の4ページから7ページは委員限りということなのですが、これについて言及してよろしいのでしょうか。
○紀平薬剤管理官
はい。差し支えないです。
○幸野委員
私は資料を出されたときからずっと見てみて、この4ページから7ページまでどのような山になっているかをずっと見比べていたのですが、この2020年については今までの調査と山の傾き具合が違うなという印象を受けていまして、5ページ以降の2019年、2018年は本当に山の形になっているのですが、2020年を見てみると、山というよりも台形のような形で、平均乖離率よりちょっと下のところに団子のような形で乖離している山になっているというのが例年と違った傾向なのかなと思っています。できれば、これについてどう分析されているかというのをお聞きしたいので、もし、コメント等をお持ちでしたら、お答えいただきたいと思います。
それから、村井専門委員にお聞きしたいのですが、説明がありました。今回、どうして経営が悪化したかはよく分かったのですが、今回、仕切価とか納入価とか割戻し率は例年と大きく変わらなかった中で、卸が経営悪化した理由として、やはり受診抑制により、売上げ全体が下がったということ、それから、毎年薬価改定が連続して起こったということが影響しているという他に、カテゴリーチェンジによる原価率の上昇についても若干触れられたのですが、これはやはり売れ筋のものが、上位が変わってきたから原価の高いものが売れるようになったと理解しているのですが、その理解で良いかをお教えいただきたいです。
それと、これはやはり薬価のルールというよりも今回のコロナ禍で受診抑制が起きたということに起因するのではないか、また、薬価のルールを検討することとは違うところで起きた現象ではないかと思うのですが、それについてどうお考えかということをお聞きしたいと思います。
○中村部会長
では、まず分布の形状について、薬剤管理官からよろしくお願いします。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
まず、毎回の薬価調査の内訳というか、取引状況ですけれども、その時点での例えばその間に出た新薬の数ですとか、特許権が切れてジェネリックが出たもの、それから、ジェネリックが出た数などによって変わるものですので、その傾向自体が毎回同じに必ずしもなるものではないとは考えております。その中で、例えば全体の乖離率、それから、投与形態別、主要薬効群別の乖離率を見たときには、あくまで平均値として見るものになりますので、参考までに薬価調査全体の概要について御覧いただくために委員限りとして参考までにお示ししたものでございます。
こちら、どのように分析しているかという細かいものにつきましては、こちらの分布そのものが卸の今後の取引などに影響を与える可能性が十分にあるということで委員限りとしてお示ししておりますので、内訳とか分析について詳細にお話しできる段階でもないのですけれども、こちらは御覧いただくと、これまで、前回の業界からの意見聴取、それから、本日出ているような御意見の中で、今年度の取引の交渉においていろいろな経緯があったということが一部影響している可能はあるとは考えております。
以上でございます。
○中村部会長
分布の形状についての先程の回答で、幸野委員、大丈夫でしょうか。
○幸野委員
なぜこういうことを聞いたかと申しますと、平成29年12月の薬価制度抜本改革の骨子において書かれていることが9コマ目の中段にあるのですが、対象品目の範囲については、国民負担の軽減の観点から、できる限り広くすることが適当であるということが合意されていますので、今回の薬価改定で、対象とする品目をどこに置くかということについては、この4ページのグラフの分布なども見ながら考えていく必要があると思いますので質問させていただきました。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、次に村井専門委員への質問が2点ありましたので、回答をお願いいたします。
○村井専門委員 カテゴリーチェンジのところなのですけれども、この薬-1-2の3コマ目、主要薬効群別の資料をちょっと御覧いただきたいと思うのですが、これは先ほど御説明がありましたように、販売額順ということになっております。
これで御覧いただけますように、内服薬、注射薬でも一番上に来ております、例えば腫瘍用薬、抗がん剤といったもの。あるいは注射薬のその他の生物学的製剤。こういったものが先ほど私が申し上げましたいわゆるスペシャリティードラッグと呼ばれているカテゴリーのものであると思います。こういったもののウエートが非常に高くなってきている。こういったものの、ここでは乖離率も小さいですけれども、当然、仕切価も高い。そういったものの販売が増えてきていることによる変更があったと思っております。
それから、それがコロナによるものかということで、それは違うのではないか。そのような傾向はここ数年始まってきておりますので、カテゴリーチェンジは今回のコロナによって特に増幅されたとか進んだということではないと考えております。
○中村部会長
では、幸野委員、よろしいでしょうか。
○幸野委員
分かりました。
それから、ここからは意見です。先ほど抜本改革の基本方針を述べましたが、次回以降どこを対象にしていくのかなど、ルールを決めていくことになるので、もう少し精査した資料というか、分析が必要だと思いますので、新たな追加のデータを要求したいと思います。
一つは、この4ページにありますこの分布に、どのような医薬品がどこに該当しているのかを知る必要があるので、出していただきたいデータとしては新薬、長期収載品、後発品、それぞれに、どのような分布になっているかということが分かるような分布のデータをお示しいただきたいです。
それから、価格帯による乖離率も見てみたいなと思いまして、薬価の価格帯別に見た場合の乖離率及び乖離額の分布図を出していただきたいと思います。
もう一つは、前回から新薬創出等加算の累積控除を要望しているのですが、これを仮に実施した場合にどれだけの品目が該当するのか、また、どのぐらいの控除額が出るのか、その推計値についてもお示しいただきたいと思います。
以上、追加的なデータをぜひ次回にお示しいただいて、これを基に対象品目を議論していく必要があると思いますので、よろしくお願いします。
○中村部会長
では、これは御意見ということでよろしいですね。
○幸野委員
要望です。
○中村部会長
では、すみません。松本委員から先にお願いします。
○松本委員
先ほど幸野委員から、今回のこの薬価調査の結果が全く例年と変わらなかったことは全ての委員が共有すべきだというお話がありましたけれども、もともと共有できるような話ではありません。それは明確に診療側として否定したいと思いますし、製薬業界も医薬品卸売業界もそれは否定しております。明らかに、この新型コロナウイルスの感染の影響があった。取引状況や薬価調査のプロセスにおいて明らかにあったということは間違いないことでございますので、先ほどの幸野委員の御意見というのは私のほうで訂正させていただきたいと思います。
また、このような状況下でこういったことを行わなければいけないことは、先ほど国民負担の軽減の観点からということはお話しいただきましたけれども、その前に9ページの論点については、明らかに新型コロナウイルス感染症による影響も勘案して十分に検討し決定すると、さらに太い字で書いてございます。このことはやはりきちんと検証して行わなければならないということでございますので、国民負担の軽減の観点も確かに重要な点だとは思いますけれども、現在、それだけの話ではないということはお含み置きいただきたいと思います。
また、乖離率と額の話も出てまいりましたけれども、あくまで我々診療側としては乖離率に着目して判断すべきだと考えております。また、先ほども発言しましたけれども、新薬創出等加算の累積分控除ということは、この中間年改定では行うべきではないということは改めて申し述べたいと思います。幸野委員の意見には反対いたします。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、お待たせいたしました。佐保委員、よろしくお願いします。
○佐保委員
ありがとうございます。
前回の指摘事項でたしか私のほうから質問させていただいたと思うのですが、4コマ目の経営状況の悪化による影響についてというところなのですが、御回答ありまして、ありがとうございますということが一点なのですが。
○中村部会長
すみません。4コマ目というのは資料薬-2のほうですね。
○佐保委員
そうです。
ただ、正直なところ、もう少し具体的な状況が御回答いただけるかなと思っておりました。新型コロナウイルス感染症の影響をどういうふうに見るか、どう影響が出ているかといったところ、確かにいろいろ御発言をいただいた部分もあるかと思うのですが、もう少し具体的な事例を出していただけるともっと分かりやすいかなと思っておりますので、よろしくお願いします。
以上、意見です。
○中村部会長
これは今、村井専門委員にお聞きしてもよろしいのですか。
○佐保委員
今でも構わないのですけれども、もし次回以降ということであれば、それでも構いません。
○中村部会長
では、村井専門委員、お願いします。
○村井専門委員
新型コロナ感染対策についての体制でというのは本当に今も継続して行っておりますし、先ほど申し上げましたように、我々の経営の要諦としては売上総利益が下がったら経費も下げる。これが要諦なのですが、今回は経費が下がっていないのです。下げるどころではない。そういう体制を取るために下げるどころではないということだと思っております。
特に今、一番注力しておりますのは、万が一、自分たちの例えば営業所内で感染者が出たときに、そのエリアの配送をどう担保するか、どう補完するかという体制、二重、三重のフェールセーフの体制をしこうとしておりますので、まさに経費削減どころではないというのが今の状況でございます。
○中村部会長
では、佐保委員、よろしいでしょうか。
○佐保委員
ありがとうございます。
今の村井専門委員の話もそうなのですけれども、できればもうちょっと具体的な状況等が分かるものがあればいただきたいと思っております。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
では、また次回よろしくお願いいたします。
では、今村委員、お願いします。
○今村委員
ありがとうございます。
今、佐保委員のその具体的な例ということにお答えするような話ではないかもしれませんけれども、私どもも実際に医療機関を経営しておりまして、医療機関は機能によって、私などは診療所ですし、規模も違う、機能も違う、病院のお話も当然あると思いますけれども、現場がこういう状況にあったという具体的な例として、一例としてお話をさせていただければ、まさしく例年であれば卸の方と価格交渉をするということをやっている時期に、アルコールもない、マスクもない、PPもないという中で発熱の患者さんを診療する、院内に感染を起こさせないということが本当に最大の医療機関の目的の中で、卸の方たちもなかなか医療機関には来ていただけない中で結局、どういう状況、妥結をするか、交渉をするかというと、もうそんなことを話をしている状況ではないので、取りあえず前年と同じでいいですみたいな、我々は扱っている量も少ないですから、結局そういうような交渉になっている。つまり、交渉らしい交渉なんか何もしないで実際には価格が決定している状況にあったと思います。
したがって、吉森委員もおっしゃったように、外形的には数字はこれでそろうわけです。なぜかというと、昨年と同じという数字になれば結果的にそろってしまうのです。なので、やはりこの数字だけ出てきて、その数字だけを見て、通常の例年どおりの交渉が本当に行われたのだと結論づけるのは非常に誤った、ミスリードしたことになるのではないかなと私は思っております。これは本当に、全ての医療機関がそういうことになっていると言うつもりはありませんけれども、やはり通常の価格交渉が行えなかったというのは様々なヒアリングでも皆さんそういうお話もありますし、今申し上げたように、具体的な例としてもとてもそういう状況ではなかったのでということだけは御理解をいただければと思います。
○中村部会長
ほかはよろしいですか。
では、有澤委員、お願いします。
○有澤委員
ありがとうございます。
私も先ほど品目ごとの乖離率のばらつきというのを気にしておりまして、これは実際に出ていない。少なくとも次回以降に、参考になる程度でいいですから、速報みたいな形で出していただきたいなと思っています。
というのは、卸売連さんの前回の資料の中にもありましたけれども、やはり価格交渉、妥結の時期が遅かった早かったという中で20店舗以上のチェーン店とその他の薬局でかなりの差があったということで、当然、妥結額にもそれ相応の差もあって、ばらつきもあると考えております。そういった観点から、形上は前回と同じ乖離率、形上全て妥結率もそういうふうに見えるかもしれませんが、そういったところで精査が必要だということであります。
そういったことから、今回の結果をもって薬価改定を実施するということは改めて議論が必要だと思いますし、今回は例年と異なる状況だということで、時間的制約があるということから実施しても、今回に限ったものにするべきだということであります。
対象品目、対象範囲については、極めて限定的に、改定幅についても基本方針に従って、価格乖離の大きな品目について行うものと考えます。
基本認識として、先ほどから額とか率の話が出ていますが、薬価と実勢価格の乖離率が著しく大きい品目を対象として、既収載品目の算定ルールは令和元年度の消費税改定の際に用いた算定ルールに従って実勢価格に連動しない算定ルールを適用すべきではないかと思いますが、これは次回以降、議論をする必要もあると考えています。
特に一番心配するのは、乖離額、実勢価に連動しない、こういったルールにするとすれば、かなり多くの新薬であったりオーファンが対象品目となり、こういったものに対しては逆に言うとイノベーションの推進の阻害となる要因から、医療の質の向上の実現をうたった薬価制度の抜本改革に向けた基本方針とのそごを生じると考えます。
○中村部会長
では、先に村井専門委員、お願いします。
○村井専門委員
先ほど幸野委員のほうから資料薬-1-2の4コマ目のような乖離率ごとの品目数分布のような分布図を、さらにカテゴリー別、あるいは品目別、詳しいものを見たいというお話がございましたが、私ども独禁法に詳しい弁護士さんからかねてより、このような乖離率ごとの分布図というものを、いわゆる薬価差の分布図ですので、ある種の価格状況の分布図になりますが、このような分布図を公表することは、何らかの価格交渉の目安となり得るものになるということで、十分注意するようにという御指導を受けているところでございます。
したがいまして、ぜひ、このような資料に関しましては、公表を含め取扱いに特段の御配慮をお願いしたいと思いますし、場合によりましては任意調査である薬価調査に協力している我々卸売業者の経営に多大な影響を与えるということを十分御理解いただきたいと思います。
○中村部会長
では、林委員お願いします。
○林委員
ありがとうございます。
今回の中間年薬価改定の議論に関しましては、診療側委員の意見と全く同じでございます。
そういった議論とは別でございますが、本調査の乖離率の速報値でございますが、資料薬-1-1の2ページ目でございます。
歯科薬剤に関しましては乖離率が平成27年よりマイナスとなっておりまして、特に歯科用局所麻酔剤の乖離が大きく、これまでも対応をお願いしてまいりました。
今回、価格交渉等、市場原理の影響があるのではないかと想像はいたしますけれども、不採算品の再算定の申請等、複数の企業からも提出していただいておりまして、その結果、前年マイナス4.6%から今回マイナス0.3%に改善しているものと御礼を申し上げます。
ただ、このマイナストレンドというものは引き続き続いておりまして、これに関しましては解消に向けてしっかりと取り組んでいただきますよう、よろしくお願いしたいと考えております。
以上でございます。
○中村部会長
では、有澤委員、お願いします。
○有澤委員
すみません。先ほどから私が申し上げております品目ごとの数値のばらつきといったものを何らかの形で資料として提出していただくことが可能かどうか、お尋ねしたいのです。
○中村部会長
では、こちらは経済課長、お願いします。
○林経済課長
直ちにそれぞれの項目についてできるかどうかはまた検討させていただきたいのですが、薬価調査自体のそのもの、先ほど村井専門委員からもお話がございましたように、今回も4コマ目以降の資料については非公表とさせていただいております。これは医薬品の取引の交渉にかなり影響を与えかねないということで、今回のような調査の信頼性等を確認するために委員限りで提出したものでございます。
これらをさらに詳細に示すこと、特に公表することについてはこういったことを十分考慮する必要があると考えてございます。委員限りにするかどうか、その取扱い等も含めて、今日の議論を踏まえて事務局でよく検討させていただきたいと思います。
○中村部会長
有澤委員、よろしいでしょうか。
○有澤委員
ありがとうございます。
○中村部会長
では、幸野委員、よろしくお願いします。
○幸野委員
先ほど村井専門委員が、私が求めたデータは独禁法上好ましくないとおっしゃっていましたが、委員会限りでも難しいのでしょうか。
○中村部会長
では、これは薬剤管理官、お願いします。
○紀平薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
先ほど村井専門委員のほうからお話があったところですけれども、幸野委員のほうからは新薬、長期収載品、後発品、それぞれについて検討すべきだという御意見を以前から伺っておりますので、今後の議論に向けて、どのような形で御議論いただけるような材料をお示しできるかというのは検討させていただきたいと思います。
○中村部会長
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
ぜひ、よろしくお願いします。
それから、先ほどの私の発言に対して、松本委員が明確に否定されたことについてコメントをする必要があると思います。
確かに、正常に薬価調査が実施できたというのはちょっと言い過ぎだったかと思います。御苦労な中で、コロナ禍の中で大変厳しい中での調査をしていただいた結果だと思っていますが、この結果は薬価のルールを検討するに値する数値が出たということについては少なくともこの場で共有していくべきだと思います。
それからもう一つは、コロナ禍の状況を十分に勘案して検討すべきということに言及されたことについて、前回の専門部会でも申し上げましたが、今般のコロナ禍で影響を受けているのは、医療界や製薬卸業界だけではなくて、日本全体の企業がリーマンショック以上の打撃を受けているわけです。こういうときこそ、国民負担の軽減ということを本当に真剣に国民皆保険のプレーヤー全員が考えていかなければいけないのではないかということを改めて意見として申し上げたいと思います。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございました。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
今、幸野委員からお話がありましたけれども、まさにこの医療現場の実態は、先ほど今村委員からもお話がありましたとおりであります。本当に医療現場は医療崩壊寸前の状況にあるということだけはしっかりと国民の皆様にも、いろいろな報道があるとおりでございますので、これはしっかりと共有しておくべきことだと思います。本当に大変な状況にあって、国民の命を守れるか守れないかの瀬戸際にあるということは改めて申し上げたいと思います。
○中村部会長
ありがとうございます。
ほかは御意見、御質問等ございますでしょうか。
ほかに御質問等ございませんようですので、医療課長お願いします。
○井内医療課長
2021年度の薬価改定につきましては「骨太の方針2020」におきまして、本年の薬価調査を踏まえて行う2021年度の薬価改定については「骨太の方針2018」等の内容に新型コロナウイルス感染症による影響も勘案して、十分に検討し、決定することとされており、この中で引用されております「骨太の方針2018」におきましては、毎年薬価改定について、医薬品卸、医療機関、薬局等の経営への影響等を把握した上で、これらを総合的に勘案して決定するものとされております。
今年度の薬価調査結果につきましては、妥結率は表に表された数字を見る限りは同じ中間年である2018年度と遜色のない水準であり、妥結状況は例年並みであったというもの。また、単品単価取引の状況も前年度と同様の水準であったことが先日の流改懇で報告されております。
調査の回収率につきましても例年ベースの数字でございました。平均乖離率につきましては、同じ中間年である平成30年度の調査結果7.2%との比較では若干高い水準でございました。投与形態別、薬効群別の乖離率については、基本的に過去数年間の数値の範囲に収まっていたものでございます。
また、地域医療推進機構の入札で談合の疑いがかけられている医薬品卸業者と同機構の間の取引データについては、念のため、今回の調査について全て調査対象外としておるところでございます。
併せて、中医協におけます業界ヒアリングの場におきまして、業界団体からはコロナ対応下という極めて特殊な状況において薬価調査が実施されたことを勘案し、2021年度の薬価改定については慎重に検討すべき。また、コロナ対応について、医療機関や薬局の経営も悪化しており、2021年度薬価改定について検討する際には、コロナ影響について十分に検討し決定すべき。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、前年度同様の価格交渉の期間や回数を確保できていないことや、医療機関等の経営状況などに配慮して値決め交渉を行わざるを得なかったことなどから、例年とは全く異なる価格交渉の状況であったという御意見をいただいております。
2021年度薬価改定につきましては、薬価交渉プロセスに関するものも含めた関係者の御意見や今回の調査結果も踏まえつつ、この中医協の場におきまして十分検討を進めていただき、財政当局とも協議しながら、新型コロナウイルス感染症による影響も勘案して、予算編成過程において十分に検討し、決定していくこととさせていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○中村部会長
よろしいでしょうか。
それでは、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたします。
それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。
どうもありがとうございました。


 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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