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2020年6月17日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第167回議事録

○日時

令和2年6月17日(水)10:23~11:04
 

 

○場所

オンライン開催

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀委員 小塩隆士委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 眞田享委員
松本吉郎委員 今村聡委員 林正純委員 有澤賢二委員
村井泰介専門委員 平野秀之専門委員 上出厚志専門委員 
<事務局>
濵谷保険局長 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 令和2年度医薬品価格調査(薬価調査)について

○議事

 


 ○中村部会長
では、ただいまより第167回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
なお、本日もコロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。
また、今回も会議の公開については、前回に引き続き試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告します。
本日は、全員が御出席です。
それでは、議事に入らせていただきます。
初めに、「令和2年度医薬品価格調査(薬価調査)について」を議題といたします。
事務局より、資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
経済課長、お願いします。
○林経済課長
おはようございます。経済課長でございます。
資料の薬-1に基づきまして、令和2年度の薬価調査について、御説明いたします。
まず、資料の1コマ目を御覧ください。薬価調査の実施についてということでございます。
先日来、論点を提示いたしまして、また先週は関係業界からのヒアリングをさせていただきました。関係の業界の方々の意見を聞いた上で、今回の資料の整理をしました。
これまでのヒアリングの場での御意見を含めて、中医協での指摘の上にまとめさせていただいております。
まず、専門家たる中医協の意見と業界の意見を聞いた上で今後の方針を議論するのが中医協の趣旨であって、現場の意見をしっかり聞いた上で薬価調査の実施をどうするべきか検討するべきではないかという意見。
あるいは、専門家としての意見を取りまとめて、実施の可否を決める骨太の方針に反映するようにするべきではないか。
また、新型コロナウイルスの感染症により、通常と異なる状況にあることはいろいろな業界からの意見陳述でもございました。
今回限りの特例的な薬価調査という形で検討していくべきではないかということ。
一方で、通常の医薬品流通と異なる状況にあるということ等を踏まえまして、現在の状況では販売側・購入側とも薬価調査が実施できるような環境にはないというような実情との意見がございました。
緊急事態宣言の解除の後、医薬品卸の状況も落ち着いているので、これから価格交渉を本格化していくことで第2派が来なければ調査時点では結果が得られるのではないかという御意見。
新型コロナウイルスの感染症のために卸というか流通の現場では見積書の提出も現状できていないところがほとんどだということで、時間を要する単品単価交渉を行う期間が短いため総価取引や部分妥結が大幅に増えて、毎年改定の前提である医薬品の価値を踏まえた取引価格が得られない懸念があるのではないかという意見。
今年度の調査や改定の実施可否は、今後、政府で判断されるとしても薬価調査を行う準備を進めるべきではないかという御意見。
新型コロナウイルス感染症の拡大、その防止に注力するため通常と異なる勤務体系、業務負担が生じている状況でありますので、これ以上、薬価調査に伴う事務負担を現場に強いるべきではないという御意見。
主な御意見として、こういった御意見を頂きました。
これらを踏まえて、本日提示している方向性でございますが、まず、薬価調査を実施するかどうかということ。薬価調査実施の可否につきましては、今後の新型コロナウイルス感染症の状況等を踏まえ、それを踏まえた医薬品流通の実情等を注意深く見つつ、調査を実施するかどうかということについては引き続き検討をすることとしてはどうかということでございます。
そういったことを前提に、一方で調査実施に向けて事務的に準備に必要な期間がございます。この前、御説明したような統計調査の承認でありますとか、あるいは調達の準備、事業者の準備等に要する期間を考慮し、調査内容については後で御説明しますが、実施計画の案を前提に事務的な準備を進めることとしてはどうか。
また、今回、令和2年度ですけれども、令和4年度、次回の中間年における薬価調査の実施については、今回は要は特例的な状況でございますので、今回にとらわれず改めて検討することとしてはどうかという基本的な考え方のたたき台を提示させていただきたいと思います。
具体的な案については次のコマからでございますが、1つ目のポイントは購入側調査をどうするかということでございます。
中医協の中でも、こういったコロナウイルス感染症の状況下では実施自体が難しいという御意見と、抽出率等の工夫が必要ではないかという御意見がございました。これらを踏まえまして、現場の負担に配慮する観点から、例年の薬価調査でやっている半分の規模で実施してはどうかという提案でございます。
また、次の論点として販売側調査の抽出率の考え方についてでございます。
抽出調査をするということにつきましては、中間年改定に当たっては、全ての医薬品卸から大手事業者を含めて調査対象を抽出して、全品目の薬価調査を実施するということで、いわゆる対象事業者は抽出により実施するということがこれまでの政府の方針、あるいは中医協の抜本改革の中でも方針として決められてございます。
こういった状況で、販売側の負担軽減を図りつつ、一方で一定の調査精度を確保できるように抽出率の設定が必要だと考えてございます。
前々回、5月27日の回でもお示ししました。今日の資料でも後ろのページに載せておりますけれども、抽出率のシミュレーションをした場合に、抽出率50%以下とした場合については、全数調査を仮に行った場合と比較して、出てくる市場実勢価格で2%以上誤差が生じる品目が全体の1割を超える状況になってございます。
また、把握できない品目数も当然抽出率を下げるに当たって増えるという状況になってございますので、これらを踏まえまして抽出率については3分の2の割合で設定してはどうかということでございます。
その場合でも全数調査との誤差が一定程度生じるのは避けられないわけですが、この場合、過去の薬価調査結果などを参照するなど、様々な角度から調査結果を確認して必要に応じて個別精査をしてはどうかということでございます。
最後の内容について、「その他の論点」ということで、JCHOと特定の卸について現在公取で調査中の事案がございます。昨年度の薬価調査の集計の際にもこれについては除外するということを行っております。
今年度のJCHOの入札では一定の改善は図られているものの、念のため昨年度と同様、対象となっている卸とJCHOとの取引分については対象から外すこととしてはどうかという提案でございます。
以上のポイントを踏まえまして、5ページ目の薬価調査計画案ということでまとめました。
この方向で事務的な準備を進めさせていただくことではどうかという提案でございます。赤字で書いてありますのが、例年の薬価調査との変更箇所でございます。
まずは、販売サイドの調査について、通常は全数調査ですけれども抽出調査を行うということが変更点です。また、抽出率につきましては層化無作為抽出法によって3分の2の抽出率で営業所を抽出して、そこの営業所の全品目を調査するという調査内容としてはどうかということです。
購入サイド調査につきましては抽出率がそれぞれ書いてございますが、これは例年の半分の抽出率ということになってございます。
調査事項は例年どおりでございますが、各品目ごとに価格と数量を調査するということでございまして、価格につきましては調査を行う9月の時点で妥結しているものについて御報告を頂くということでございます。
なお、購入サイドにつきましては、どこから購入したかという医薬品の卸売販売事業者の情報についても併せて御報告いただくという内容としてございます。
以下、参考資料でございます。
以上、簡潔でございますが事務局からの資料の説明でございます。
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして、何か御質問等がありましたらお願いいたします。
松本委員、お願いします。
○松本委員
ありがとうございます。
令和2年度薬価調査についてですが、前々回の5月27日の薬科部会では、事務局から薬価調査を実施する場合のスケジュールや抽出率などの実施方法などについても提案がありましたが、まずは関係団体から意見聴取をし、その上で今後の対応について現状を踏まえた上で議論するべきとなりました。
そして、前回行われた卸売連や製薬団体からのヒアリングで、新型コロナウイルス感染症のため通常の医薬品流通とは全く違う、異なる状況であり、現状では販売側・購入側ともに薬価調査を実施できるような環境にあるとは言えず、仮に調査を実施しても薬価改定に必要な、適切な市場実勢価格を把握することは、極めて困難であるということが明白となりました。
また、私からも不確かで、かつ検証不能な数値に基づいて薬価改定を実施するのは、エビデンスに基づかない改定となるので、不適切である旨を指摘したところであります。
その上で本日の薬-1の1ページ目、下の括弧内のところでありますけれども、一番上の論点で、薬価調査の実施の可否については引き継続き中医協で検討することとしてはどうか。その上で、調査実施に向けた準備に必要な期間を考慮し、調査内容について事務的な準備は進めるという提案がなされました。
毎年薬価調査につきましては、平成28年12月の4大臣合意による基本方針。その後の骨太の方針に明記はされておりますので、実施の有無、可否については国が決めるものと理解はしておりますけれども、これはどう考えればよろしいのか、まず事務局からの答弁をお願いいたします。
○中村部会長
経済課長、よろしくお願いします。
○林経済課長
実施の有無や可否につきましては、現時点ではここに書いてございますように、今後の感染症の状況、感染状況とか、あるいは医薬品流通の状況を踏まえた上で、様々な医療機関、あるいは卸、流通の影響といったものを注意深く見極めた上で判断する必要があると考えているところでございます。現時点では、実施する、しないということについては、今後、引き続き検討すると考えてございます。
○中村部会長
松本委員、お願いします。
○松本委員
それでは、薬価調査の実施の有無については国の判断になるとして、本日、事務局から提案された方法で仮に調査を実施したとしても、出てきた数字に意味があるのでしょうか。
検証不能な数字に基づいて薬価改定を行う意味について、答弁をしてください。
お願いいたします。
○中村部会長
経済課長、お願いします。
○林経済課長
調査を実施するかどうか、またその調査については、先ほど申し上げたような状況を踏まえて、政府としては判断をするという必要があると考えてございます。
その上で仮定の話ではありますので、なかなかお答えが難しいところでございますけれども、出てきた調査の結果をどのように分析、判断するかということについては、出た結果というものもよく精査をする必要があると考えてございますが、現時点において一概に調査の結果がきちんとしたものが得られないかどうかということについては、同様にいろいろな状況を踏まえて判断する必要があるものと考えているところでございます。
○中村部会長
松本委員、お願いします。
○松本委員
本来であれば、国の主導により医薬品の流通環境を改善させた上で、中間年の薬価調査の実施方法について基本的なルールを定める予定だったということであったと思います。
しかし、今回はそうした基本的なルールも何もないまま、いきなり例外的なルールを検討するということであり、示された数値について果たしてどの程度正しく抽出できたかどうかを判断する基準もない状況かと考えます。
そういった意味でも、やはり現時点では薬価調査を実施するのは不適当であると考え、先日、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の三師会で薬価調査実施の見送りを6月10日付で国に対して要望させていただきました。
調査の内容について議論するのは、薬価調査の実施が決まってから議論するのが筋であると思いますので、今の時点で具体的な実施方法について議論するのは理解できないということを改めて申し述べたいと思います。
○中村部会長
ありがとうございます。
ほかは御意見いかがでしょうか。
有澤委員、お願いします。
○有澤委員
ありがとうございます。
今、松本委員からも指摘があったように、実際にもし調査をした場合の結果を考えた場合に、明らかに精緻な数字が出てこないという懸念がされます。
そういった観点からも、今、状況を見ながら調査を検討するというよりは、今年度に限っては調査を実施するべきではないと考えています。
私どもは最終的に未妥結という場合であると、未妥結減算というペナルティーが入ってきます。そういうことの制度も踏まえて先のことを考えますと、何しろ価格交渉の時間というのが大変限られた中で持っていくわけですので、その点において適正な価格が形成できないとも考えておりますし、何よりも実勢価格を反映するための調査と認識しておりますので、そこも含めれば、今、この調査を行うという議論を進めるべきではないと考えます。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
今村委員、お願いします。
○今村委員
ありがとうございます。
基本的な考え方は、先ほど松本委員がおっしゃったとおりです。
それを前提とした上で、事務局にぜひお答えいただきたいことがあります。
薬価調査というのは、基本的に強制的な調査ではない。協力をして、回答するという趣旨のものだと思います。2年ごとの薬価改定の際に、販売側に全数の調査をお願いしていても、回答率は80%台であるということです。
今回、3分の2の抽出という提案をされておられますけれども、そもそも前回のヒアリングで現場としては現在、なかなかこの調査を行うことは困難だと言っていることを考えると、これは単純計算で2年ごとの改定どおりの回答率であっても50%ぐらいになってしまう。
では、今回のような状況の中で一体どのような数字が返ってくるのかという想定をされて、これを提案されているのでしょうか。
○中村部会長
経済課長、お願いします。
○林経済課長
ありがとうございます。
御指摘のとおりの現場からの声が来ているというのは重々承知してございます。
現時点において、一方で9月末に向けて今後の感染状況、取引状況等も見極める必要もございますし、そこまでにどの程度価格形成がされているか、またこういった調査を仮にやった場合に、どの程度の御協力を頂くことができるかということ。そこを明示的に数字的にどのくらいの割合かということを、今、我々としてお答えできるような数字は持ち合わせておりませんが、事務局の立場としては、仮に実施するとなった場合には、できる限り御協力いただくように努力することと考えてございます。
○中村部会長
今村委員、お願いします。
○今村委員
今、事務局も大変苦労していろいろお考えになっておられるのだと思いますけれども、結局、今後の推移を見ながら調査ができればやりましょうというような前提に立っている回答だと思います。
今回、以前から問題になっているように2波、3波の問題もございますし、現場が非常に疲弊している中での調査ということになりますので、その点を本当にぜひ皆さんには考えていただきたいと思います。
○中村部会長
有澤委員、いかがでしょうか。
○有澤委員
ありがとうございます。
今、言ったように、感染防止の対策が、まず一番先に取り組まなければならないことであります。
特に、卸さんも含めてかなり医療機関、あるいは薬局への訪問を制限をかけているのも事実であります。
2波、3波を避けるために最大限の努力をしていくというのが、今の課題でありますので、そういう観点からも価格形成、価格合意がなかなか進まない中で、調査を検討するのは時期尚早と考えます。
○中村部会長
ありがとうございます。
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
今、いろいろなやり取りをされていますが、まず中医協のミッションをはっきりさせておかなければなりません。6月末までに、今の現況下でどのような形であれば薬価調査が実施できるのかという結論を、現段階で出すのが中医協の役割だと思います。
今まで、薬価専門部会で議論し、そして先週、業界ヒアリングをしました。それら全てを踏まえて、今回、事務局案が5ページに提示されたわけです。
今までの議論を踏まえ、事務局が案を提示されたということは、この調査方法であれば薬価調査は現況下でも実施できるという判断の下でこれを出されたということです。実勢価格の正確性も一定程度は担保されるという結論を出されたので、中医協としては、6月末までに、この5ページの案の是非を議論することがミッションであると思います。
6月は残りあと1回しか専門部会ができない中、調査結果に正確な数値が出るか出ないかは誰も見通せません。この現況下において、どのような調査を実施するのかを中医協として、薬価専門部会として決めるということが必要なのではないかと思います。
○中村部会長
御意見ありがとうございます。
村井専門委員、お願いします。
○村井専門委員
ありがとうございます。
先月の医療用医薬品の販売状況を見ますと、全国的に2桁の大きな落ち込みということで、これは稼働日数の違いもありますが、外来の大幅な減少、あるいは手術の延期等が顕著に表れているせいだと思います。
このような状況の中では、価格交渉の基本となる予定数量等の算出も極めて難しい状況です。
加えて、前回もお話ししたような一部商品の品薄、あるいは欠品等による同効品の品薄状況。これも続いているどころか、さらに追加の品目まで出ている状況で、まさに現場は、販売側としては前回の業界意見でも申し上げましたとおり、薬価調査を実施できるような環境にはないと考えております。
もし今月、6月末までに薬価調査実施の可否を判断するとなれば、今回は実施できないと思います。
ありがとうございました。
○中村部会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
今、診療サイドの先生方、また流通の皆様の御意見も伺いましたが、薬価調査の実施の可否については、先日の業界団体ヒアリングの結果も踏まえ、また今の御意見を踏まえれば、新型コロナ感染拡大の影響などの実情をもう少し見据えて、時間をかけて検討したいという事務局の意見については理解できます。
一方で、9月に調査を実施する前提で、今後の調査スケジュールを勘案して現時点で薬価調査についての妥当性、正確性、有効性を最低限担保した調査方法を決定しておくことが、中医協としては必須事項と考えておりますし、事務局に準備を進めていただいておくことに賛成します。
また、具体的な調査の実施方法について、今申し上げたように最低限の調査の妥当性、正確性、有効性を前提として、5ページの計画案がもし組まれているのであれば、これには異論なく、粛々と準備は進めておいて、調査実施の可否については、今後の影響等も勘案してもう少し検討を重ねるということでよろしいのではないかと思います。
○中村部会長
松本委員、お願いします。
○松本委員
繰り返しになりますけれども、現在の状況では御存じのとおり、販売側・購入側ともに薬価調査を実施できるような環境にはありません。
仮に調査を実施したとしましても、薬価改定に必要な、適切な市場実勢価格を把握することは極めて困難であります。
また、新型コロナウイルス感染症への対応、並びに感染拡大防止に医療現場全体で現在最大限に取り組んでおります。
この時期に医薬品卸や医療機関それから調剤薬局に対して、調査を伴う事務作業負担を強いることはすべきではないと思いますので、今回の来年度の薬価改定のための薬価調査につきましては、その実施を見送っていただきたいと思います。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
今村委員、お願いします。
○今村委員
ありがとうございます。
今、松本委員も申し上げたとおりですけれども、一つ考えていただきたいのは、確かにコロナの患者さんの数自体は、一時の非常に多数患者さんが出られて、病院や医療機関に大きな負荷がかかっている状況では、今現在、改善はされてきているというのはそのとおりだと思います。
したがって、9月のときに今の状態とはまた違って調査ができるようなことが想定されるのではないか。だから、そのために今のうちから準備をしておいたほうがいいのではないかというのが、1号側の御意見だと思います。
けれども、今、コロナの患者さんが出ているか出ていないかではなくて、いわゆる受診行動だとか、様々なものが今までの状態とは全く変わっていることを御理解いただきたいと思います。
そういう状況の中で、先ほど卸連の方からもお話がございましたけれども、いわゆる外来の受診行動であるとか、あるいは手術の件数であるとか様々な状況が、まだまだ影響が続いている。それが通常の状態に戻るかどうかすら分からない中で、非常に厳しい医療機関の経営を行っている、あるいは薬局の経営を行っているというのが実態だと思います。
確かに平成28年の4大臣合意、あるいは骨太の方針で国民の皆さんの負担を軽減するために毎年改定をするという趣旨自体については、私も非常によく理解できますけれども、一方、この薬価というものは非常に厳しい診療報酬の中で、医療機関、特に病院経営には大変大きな影響がある。病院経営自体も非常に厳しい状況に陥っているということで、この改定を無理にやって、そのことが医療機関にどういう影響を与えるかを、厚生労働省の事務局がきちんと検討されて御提案されているのかどうかということを教えてください。
○中村部会長
経済課長、お願いします。
○林経済課長
繰り返しになりますけれども、今日の事務局側の提案は、薬価調査の実施の可否自体は引き続き検討する。また、当然それに伴ういわゆる中間年改定をやるかやらないか。やるとしてどうするかというのも今後の議論ということを前提に、現時点で事務的な準備を進めるための提案をさせていただいているということでございますので、そこまでの分析ができた上で提案しているわけではございません。
○中村部会長
今村委員、よろしいでしょうか。
○今村委員
なかなかお答えしづらいのだろうと思うので分かりますけれども、今、申し上げたように、一体どういう影響がこの調査を行うことで現場に起こってくるかということを想定されているかどうかということを申し上げました。
今のその質問に対しては御回答いただけていないので、それはそれで結構です。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
今までの議論で、正確な実勢価格が出ないのではないかという意見が出ましたが、実施しないという結論を出すのは簡単だと思います。
「大変な状況なので薬価調査が実施できない」という結論を中医協が出してしまったら、その時点で議論が終わってしまいます。仮に中医協が実施できないと言えば、国が実施すると言うわけはなく、その時点で議論が終わってしまうので、やはりフェーズフェーズで判断していく必要があると思います。
これから新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波がいつ来るか分からないという状況の中で、今すぐに議論をやめてしまうという結論を出すのではなく、最大限できることを考えていく必要があります。ただでさえ厳しい皆保険制度にコロナ禍が直撃し、どの業態もリーマンショックを超える影響を受けているわけです。
この公的保険財政の先が見通せない中で、国民皆保険を支えるそれぞれのプレーヤー、製薬や卸、医療機関、保険者等が、最大限の努力をするための手法を議論するべきです。今のフェーズにおいて実施しないという結論を出すのではなく、まずは、薬価調査を必要最低限で実施するということを決めて、実施した上で、もし調査結果を反映できないということになれば、そのフェーズにおいて薬価改定を行わないという判断もできます。この時点で薬価調査自体をやめてしまうという結論を出すのは、中医協の判断として妥当ではないと思います。
○中村部会長
ありがとうございます。
ほかは御意見いかがでしょうか。
松本委員、お願いします。
○松本委員
幸野委員、大分状況を御理解いただいたような発言だったというように私は思っておりますけれども、本当に今は、医薬品卸、医療機関、薬局全てがこの新型コロナウイルス対策に対して最大限に努力をしている時期であります。そういった時期に、こういった調査を行うということは、非常に負担をかけることになるので、まずはこの新型コロナウイルス感染症対策をしっかり行う。収束を図るということを、まず我々にさせていただけないでしょうか。
よろしくお願いしたいと思います。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
御意見、あるいは御質問等ございますか。
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
事務局にお伺いします。このような状態ですが、6月中に中医協として何らかの結論を得ないといけません。6月中ということであれば、来週のあと1回のみになります。ここで薬価専門部会において、何らかの結論を出さなくてはいけないと思いますが、その辺について事務局はどのようにお考えでしょうか。
○中村部会長
経済課長、お願いします。
○林経済課長
薬価調査を9月に実施することを前提に、通常年のスケジュールを踏まえていきますと、これから総務省の統計局との統計の実施についての調整と、それを踏まえて実施計画を政府として確定して、事業者の契約、調達といった作業を通常で考えますと、やはり6月中には事務的には方針を決めていただきたいということでございますが、今日の議論の状況も踏まえまして、いま一度ぎりぎり、もう少し最終的な結論を遅らせても対応できるかということはしていきたいと考えてございます。
○中村部会長
幸野委員、よろしいですか。
○幸野委員
最悪なのは、意見が割れたまま結論が出せないということです。それは避けなければいけません。来週は最後になりますので、最低限、今日5ページに出していただいた提案を総会に出していただいて、薬価調査をするのであれば、調査可能な手法を中医協として結論づける必要があると思います。このような方向性でよろしいでしょうか。
 
○中村部会長
どうでしょうか。
経済課長、お願いします。
○林経済課長
今日の議論の状況を踏まえて、よく部会長とも相談したいと考えてございます。
スケジュールについては、先ほど申し上げましたように、こういった状況を踏まえて、政府部内での手続等でございますので、最終的な判断というのを6月中ではなくて7月煮出すということも併せて、部会長と相談したいと思います。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
前回、前々回も申し上げましたが、最終的には骨太の方針でこれが判断されるということです。骨太の方針は7月に出されるということですが、このような状態において、骨太の方針が先に結論づけることがないのかということを心配しています。まずは中医協の結論を得て、それから骨太の方針を出されるべきだと思いますが、その辺についての御見解は、経済課としていかがでしょうか。
○中村部会長
経済課長、お願いします。
○林経済課長
ありがとうございます。
骨太の方針は政府部内で、今日これまでもこの場でもいろいろ頂いています御意見等、あるいはほかの場でも関係団体等から出されている意見等、その他全体の状況を踏まえて政府としてどういった形にするかということを決めていくことになろうかと思います。
それはそれとして、具体的な実施のやり方、調査のやり方等についてはこの場でしっかりと最終的には決めていただくことは大前提でございますが、そちらの前後関係につきましては、またいろいろな状況も踏まえて中医協に諮るタイミングということについては検討していきたいと考えております。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
一番懸念しているのは、このように意見が割れており、製薬団体や三師会の要望が述べられ、政治家に対しての働きかけが行われている中で、中医協の結論が出ないままに政治判断が行われるということです。よくある話ですが、このようなことだけはぜひ避けていただきたいということを申し上げておきます。
○中村部会長
ありがとうございます。
ほかは、御意見はございますでしょうか。
有澤委員、お願いします。
○有澤委員
ありがとうございます。
実際、今、議論している場というのが薬価専門部会であります。
実際に現場で大変御苦労されている、診療所、あるいは病院、特に病院の団体の先生方はこちらのほうに入っていませんので、今後、もし議論を行うとすると、次回以降はぜひ総会のほうでも出していただきたいと思います。
以上です。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
もう時間にもなりましたので、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
では、ただいまの御意見を踏まえ、本件については引き続き検討することとしたいと思います。
事務局、よろしいですか。
では、本件についてはここまでとさせていただきたいと思います。
本日、予定されていた議題は以上になります。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。
どうもありがとうございました。



 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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