ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第166回議事録(2020年6月10日)

 
 

2020年6月10日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第166回議事録

○日時

令和2年6月10日(水)10:00~11:17
 

 

○場所

オンライン開催

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀委員 小塩隆士委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 眞田享委員
松本吉郎委員 今村聡委員 林正純委員 有澤賢二委員
村井泰介専門委員 平野秀之専門委員 上出厚志専門委員 
<事務局>
濵谷保険局長 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○関係業界からの意見聴取について

○議事

 


 ○中村部会長
では、ただいまより第166回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
なお、本日もコロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。
また、今回も会議の公開については前回に引き続き試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について報告します。
本日は、全員が御出席になります。
それでは、議事に入らせていただきます。
今回は、前回の議論を踏まえて関係業界からの意見聴取を行いたいと思います。
関係団体として、日本医薬品卸売業連合会、日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会より意見を聴取したいと考えております。
それでは、早速、意見陳述に移りたいと思います。
まずは、関係団体の皆様よりプレゼンテーションをしていただき、その後に質疑等フリーディスカッションを行いたいと思います。関係団体の皆様は、最初に自己紹介を行った上でプレゼンテーションをお願いいたします。
まず、日本医薬品卸売業連合会よりお願いいたします。
○日本医薬品卸売業連合会(渡辺)
おはようございます。
日本医薬品卸売業連合会会長の渡辺でございます。
初めに、公正取引委員会の強制捜査の関係について、一言申し上げることをお許しください。
昨年11月、公正取引委員会による強制調査が当連合会の会員構成員に対して行われました。このことは、関係者の皆様の不信を招き、また国民の皆様に疑念を生じさせることとなり、誠に申し訳なく思っております。
現在、本件の詳細について調査が継続しており、事実関係は判明しておりませんが、当連合会では会員卸組合と連携しつつ、会員構成員各社がコンプライアンスをさらに徹底するよう取組を強めるとともに、新型コロナウイルス感染症に関する行政からの緊急要請にも対応するなど、医薬品を安全かつ安定的に供給することにより、社会的信頼の回復に努めております。
本日は、中間年の薬価調査に関する意見を述べる機会を賜り、中医協及び厚生労働省の皆様に感謝いたします。
それでは、資料についてポイントを絞って説明させていただきます。
最初に、率直に申し上げさせていただきますと、日本医薬品卸売業連合会といたしましては、中間年の薬価調査を実施できる状況ではないと考えております。
順次、御説明申し上げます。
2ページを御覧ください。
今回の新型コロナウイルス感染症では、100年に一度の感染症対応が迫られており、医療も医薬品流通も通常時とは大きく異なった状況にあります。
医療については、外来の大幅な減少、入院による手術の延期など、新型コロナウイルス感染症の影響により、平常時とは全く状況が異なっております。
医薬品卸は通常の営業活動を自粛し、様々な工夫をしながら医薬品の供給に支障が生じないよう、努力を傾注しているところでありますが、価格交渉についてはほとんどできておりません。
3ページを御覧ください。
緊急事態宣言が解除された現在でも、医療機関等からの自粛要請は継続しており、少しずつ営業活動が再開されたとしても、極めてタイトな期間での交渉になるため、適切な価格交渉を行うことは困難であると思っております。
以上、申し上げた状況を踏まえれば、当連合会といたしましては中間年の薬価調査を実施できる状況ではないと考えております。
その上で、中間年の薬価調査を実施した場合の問題点を3点、挙げさせていただきます。
4ページを御覧ください。
医療、医薬品流通の現状は、中間年の薬価調査を実施するとされた前提とは大きく異なっております。医薬品の流通改善一つ取っても、単品単価契約や早期妥結などを推進できる状況ではございません。
5ページを御覧ください。
現在でも医薬品卸は、医薬品の供給にいっぱいいっぱいの状況であり、新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波が発生した場合、医薬品の安定供給を最優先に対応せざるを得ないこともあり、中間年の薬価調査に対応することは難しいと考えております。
6ページを御覧ください。
従来どおりの価格交渉を行うのが困難なことが明らかな状況で、無理に中間年の薬価調査を行えば、実施してもその結果については大きな疑問が残るだけではないでしょうか。
加えて、これまで流通改善に積極的に取り組んできた関係者の意欲を大幅にそぎ、今後の流通改善にも重大な悪影響を及ぼすと懸念しております。
7ページに、これまで申し上げた意見をまとめさせていただいております。
医薬品卸各社とも、今回ばかりは中間年の薬価調査を実施できる状況にないと考えております。
当連合会の意見として、強く申し上げさせていただきますので、何とぞ御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
御清聴ありがとうございました。
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは次に、日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、及び欧州製薬団体連合会より、お願いいたします。
では、手代木会長、よろしくお願いいたします。
○日本製薬団体連合会(手代木)
おはようございます。ありがとうございます。
日本製薬団体連合会の会長を務めております手代木でございます。
本日は、中間年改定のための薬価調査に関する意見陳述のお時間を頂きましたこと、御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
米国研究製薬工業協会のPhRMA、欧州製薬団体連合会のEFPIAとも意見が一致をしておりますので、まず私から3団体連盟の資料に沿って意見を述べさせていただきました後で、PhRMAのフウリガン委員長、EFPIAの綱場副会長から追加のコメントを述べさせていただくことにさせていただきます。よろしくお願いいたします。
2ページ目をお開きくださいませ。
まず、本題に入ります前に、今般、国内外で新型コロナウイルス感染症に罹患をされ亡くなられた方々に対し、衷心よりお悔やみ申し上げますとともに、感染症に立ち向かうため最前線の現場で、日々懸命に努力をされておられます全ての医療従事者の皆様に、心よりの尊敬と感謝の意を、業界を代表いたしまして述べさせていただきたいと思います。
3ページ目をよろしくお願いいたします。
COVID-19に係る国内状況についての私どもの認識を述べさせていただきます。
COVID-19の対応によりまして、医療現場は甚大な影響を受けております中で、医療提供体制の確保に本当に尽力されておられまして、また医療機関、薬局、医薬品卸様をはじめ、関係の皆様方が医薬品の安定供給確保のため、様々な取り組みを行っておられることを承知しております。
一方、私ども製薬業界といたしましては、COVID-19に対する治療薬、ワクチン等を早く医療現場へお届けできますように、各社日々プライオリティーを見直して研究開発を進めますと同時に、医療現場へ全ての医薬品をしっかりとお届けできるように、グローバルにサプライチェーンの状況を監視しながら、医薬品の安定供給確保のために取り組んでいるところでございます。
国内のCOVID-19の第1波は御承知のとおり、緊急事態宣言下での外出自粛等の感染防止拡大。この行動や医療現場における懸命な対応によりまして、5月下旬には全国で緊急事態宣言が解除され、一旦落ち着きを見せているように思われますが、依然、先行きを見通すのは非常に難しい状況と我々は考えておりまして、少なくとも今年度中は第2波への警戒を怠るべきではないという認識でございます。
4ページ目をよろしくお願いいたします。
COVID-19に対する治療薬、ワクチンの開発状況について少し述べさせていただきます。
現在までにCOVID-19に対して承認された医薬品はレムデシビル1剤のみでございますが、製薬各社は他の企業や関係機関様とも連携を図りつつ、既存薬の転用、新規治療薬の創出、ワクチンの開発などCOVID-19に対する有効で安全な治療薬、並びにワクチンの研究開発、臨床試験を鋭意進めさせていただいております。
開発品目の品質、有効性、安全性の検証を科学的に進め、早急に医療現場にお届けできますように、あらゆるリソースを最大限活用して取り組んでおりますし、今後もそのようにさせていただきたいと思います。
それでは、5ページ目をお願い申し上げます。
ここでは、薬価調査に直接的には関係ないかもしれませんが、私どものポジションということで、医薬品の安定供給対応について述べさせていただきます。
先刻申し上げましたとおり、製薬企業各社におきましてはグローバルのサプライチェーンを常に監視し、工場における二重、三重の感染防止対策を徹底して生産活動をずっと継続しているところでございます。
また、業界といたしましてはアペンディックスのスライド9にお示し申し上げましたが、緊急時におけます医薬品の供給調整等を行うための手順を示しまして、安定供給に支障をきたす事態を早期に把握し、企業が相互に協力できるスキームの策定、代替薬のリスト化等の取組を鋭意行っているところでございます。
また、原薬や中間体等を海外から調達している品目におきましては、現地工場の閉鎖、輸送ルートの寸断、日本に輸出する際の航空便の運航停止、調達コストの上昇など、様々な事象が発生しております。
このような状況下、安定供給の確保の一例として、こちらもアペンディックスのスライド8番で、ロックダウンを行ったインドからの原薬・中間体の輸出制限の例を御紹介させていただいております。
行政当局、在インド日本大使館、航空会社をはじめ関係者の協力を頂きながら、最大限の努力、対応を行い医薬品の安定供給に支障を生じさせないよう取り組んでおります。
申し上げましたが、本来薬価調査とは関係ないように思われるかもしれませんが、各社とも製造原価による上昇圧力がかかっている中で、薬価の改定について現在考えるということは非常に厳しい状況であるということを医薬品メーカーの見地から、少し述べさせていただきました。
それでは、6ページ目に移らせていただきます。最後のスライドでございます。
これまで申し述べさせていただきましたとおり、COVID-19により医療現場が甚大な影響を受けておりまして、平時とは全く異なる厳しい状況の中、医療供給体制の確保、医薬品流通における安定のために、関係者が全力を傾注しております。
また、医療現場では特に第2波への警戒を怠ることなく、医療供給体制の確保のため様々な取り組みを継続して行っていただかなければいけない状況と認識をしております。
私ども製薬業界といたしましては、COVID-19に対する有効で安全な治療薬、ワクチンの研究開発につきまして述べましたとおり、迅速、優先的に進めなければいけないと考えておりまして、グローバルであらゆるリソースを最大限に活用し、一刻も早く医療現場にお届けできるよう取組を行ってまいります。
一方、COVID-19の世界的な拡大によりまして、海外からの原薬等の調達に混乱が生じ、先ほど申しましたようにコストの上昇も懸念されております。さらに先行きを見通すのが難しい中、医薬品の安定供給確保に全力で取り組むとともに、危機発生に柔軟に対応できるサプライチェーンの強化を早急に進める必要があるということで、業界を挙げて努力しております。
この対応下におきまして、様々な取り組みを進めていく必要があることや、先ほど渡辺会長から陳述もございましたが、医療現場、医薬品流通における平時とは著しく異なる非常に厳しい状況を踏まえますと、今年度の薬価調査、薬価改定を実施する状況にはないと我々は認識しております。
以上、業界を代表いたしまして、私どもの意見を述べさせていただきました。ぜひ、御検討をよろしくお願い申し上げます。
それでは、続きまして、PhRMA、EFPIAより追加のコメントをお願い申し上げます。
○中村部会長
では、PhRMAのフウリガン委員長、お願いします。
○米国研究製薬工業協会(クリストファー・フウリガン)
こんにちは。私、PhRMAの在日執行委員会、委員長をいたしておりますクリストファー・フウリガンでございます。
追加で、一言コメントをさせていただければと存じます。
中間年改定のための薬価調査に関する私どもの意見ですが、日薬連と一致をしているところでございます。
医療の提供や、医薬品流通に関わる関係者の皆様が新型コロナウイルス禍におきまして、厳しい状況に置かれていることを踏まえますと、今までにも増して薬価調査、薬価改定を行う適切な時期であるとは思っていないわけでございます。
私ども、製薬業界といたしましては、新型コロナウイルスに対する治療薬とワクチンを一日も早くお届けすること。また、製品の安定供給をしっかりと守っていくことに、日夜取り組んでまいりたいと存じます。
御清聴ありがとうございました。
○中村部会長
では、EFPIAの綱場副会長、お願いします。
○欧州製薬団体連合会(綱場)
おはようございます。EFPIAの綱場一成でございます。
私どもといたしましても、手代木日薬連会長及び、フウリガンPhRMA在日執行委員長の陳述内容に賛同をいたします。
現在のCOVID-19の状況、及び第2波の可能性を含む今後の見通しの困難さを考えたときには、また医療現場や医薬品流通が平常と異なることを鑑みますと、今年の薬価調査及びそれに基づく薬価改定の実施は非常に難しいと考えております。
ありがとうございます。
○中村部会長
ありがとうございました。
一通りの御説明を頂きましたので、これより質疑及びフリーディスカッションに移りたいと思います。なお、質問は日本語でお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。診療側委員の松本でございます。
卸売連合会や製薬団体から、率直な意見を頂きまして、大変ありがとうございました。
新型コロナウイルス感染症のため、通常の医薬品流通とは全く異なる状況であるということがよく分かりました。
平成28年12月に4大臣合意により、薬価制度の抜本改革に向けた基本方針が取りまとめられ、市場実勢価格を薬価に反映して国民負担を抑制するために毎年薬価調査を行うこととなっております。
しかし、ここで業界の皆様に改めてお聞きいたしますけれども、現在の状況では販売側、購入側ともに薬価調査を実施できるような環境にあるとは言えず、仮に調査を実施しても薬価改定に必要な適切な市場実勢価格を把握することは極めて困難という理解でよろしいでしょうか。
○中村部会長
では、渡辺会長、お願いします。
○日本医薬品卸売業連合会(渡辺)
まさしく、松本先生のおっしゃるとおりでございます。
○中村部会長
では、日本製薬団体連合会の手代木会長はいかがでしょう。
○日本製薬団体連合会(手代木)
ありがとうございます。
私ども、松本先生におまとめいただきましたとおりであると思っております。
○中村部会長
PhRMAの方、あるいはEFPIAの方、は追加はありますか。
○米国研究製薬工業協会(クリストファー・フウリガン)
意見は一致しております。
○中村部会長
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
ありがとうございます。
十分、理解いたしましたし、尊重すべき御意見かと拝聴いたしました。ありがとうございます。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
皆さん意見が一致しているということですが、ヒアリングの質疑に入る前に、業界団体の方もいらっしゃるところで確認したいことがあります。
まず、中間年の薬価改定は平成28年の4大臣合意で決定されたという大前提があり、その方針は今もこの状態においても変わっていない中で、中医協の役割というのは、この平成28年に決まった4大臣合意の方針に基づいて、調査の進め方を検討することだと思います。田宮管理官、あるいは経済課長、その認識で間違いないかということをまずお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○中村部会長
では、経済課長、よろしくお願いします。
○林経済課長
経済課長です。
前回も御説明いたしましたとおり、そのような認識でございます。
我々としては、現状では今年度薬価改定を行うための薬価調査を行うという方針が政府としては定まってございますので、それに基づきましてどのような調査を実施すればいいかというようなことを、調査を実施するか改定を実施するかということについて、今、いろいろ御意見を頂いておりますけれども、それはさておき、6月中旬頃までにこの調査の内容については準備を内々始める必要がございます。
これは、総務省による統計調査の承認手続、あるいは調達に一定の時間を要するということも踏まえますとそういったスケジュールになるわけですけれども、それまでに内容については一定の了解を頂きたいということで、事務局としては進めているということでございます。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
分かりました。
そのようなことであれば、中間年の薬価改定を行うか否かという次の政府の判断は、本来は6月ですが7月にずれ込むであろう骨太の方針で示されるという理解でよろしいのでしょうか。
○中村部会長
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
薬価調査の実施に関しましてですけれども、先ほど経済課長からも申し上げましたとおり、昨年の骨太の方針などの閣議決定において、現時点においては来年度に薬価改定を実施するとされているところでございます。
ですので、前提となる薬価調査を実施するかどうかについては、そういう意味では今年の骨太の方針が一つのタイミングとは考えられますけれども、いずれにせよ政府としての方向性なども踏まえつつ決定することになるのではないかと考えているところでございます。
○中村部会長
幸野委員、よろしいでしょうか。
○幸野委員
そのようなことであれば、今年の骨太の方針というのは通常6月ですが7月にずれ込みそうだということと、薬価調査の実施方法は予算編成のスケジュールを考慮すると、6月末までには決めておかなければいけないということがあります。
これらを踏まえると、7月には実施しないという判断が出る可能性もありますが、それまでの間は、適切な調査方法を粛々と議論していくことが中医協の役割だと思うのですが、違いますでしょうか。
 
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
幸野委員から御指摘がありましたけれども、私どもとしては先ほど経済課長からも申し上げたとおり、昨年の閣議決定されている骨太の方針の内容等を踏まえつつ薬価調査を行う場合の準備について進めさせていただきたいという立場で、中医協にお諮りしているということでございます。
○中村部会長
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございます。
前回の中医協でも申し上げたところではございますけれども、確かに平成28年の4大臣合意、昨年の骨太の方針の決定というのは、まさしく平時の時期の決定であります。
今回のCOVID-19の流行に伴って、医療の話だけではなくて日本のありとあらゆる制度がみんな変わっているわけです。納税の問題もそうですし、運転免許の更新もそうですし、公益法人のいわゆる提出等についても様々にみんな制度が変わっている。法律があっても、国民全てがCOVID-19に対応するということで、いろいろな制度の見直しをしているというのが現状だと思います。
したがって、中医協というのは専門家の集まりでありますから、今日のヒアリングのようにまさしく一番現状をよく分かっている方たちが、正しい改定にはならないので延期すべきだということを、次の骨太の方針にしっかりと中医協として意見を言っていくというのが中医協の役割だと私は思います。
○中村部会長
幸野委員、よろしくお願いします。
○幸野委員
専門家の集団であるからこそ、中医協がここで実施しないと決めるのは妥当なやり方ではありません。このような状況下であっても実施できる方法と、その結果、どのような影響が出るのかを取りまとめるのが中医協の役割です。この段階で、このような状況だから薬価調査はできないという結論を出すのは、中医協としての役割ではないと思いますが、いかがですか。
○中村部会長
今村委員、お願いします。
○今村委員
卸売業連合会の方もそうですし、製薬工業会の方も今日おっしゃいましたけれども、前回はそれぞれの医療現場を担っている医師会、あるいは薬剤師会の先生、歯科医師会の先生方、全てが今の医療の現状の中で正しい改定ができないと言っているわけです。
ですので、その中医協の中で幸野さんがおっしゃるように改定ができるという前提で進めるという、私はおっしゃっている意味がよく分からないのです。みんながこれは無理だと言っているわけです。ですから、そこはよくお考えいただきたいと思います。
○中村部会長
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
それでは、薬価調査を実施できるか否かについてではなく、内容の質疑に入らせていただいてよろしいでしょうか。
○中村部会長
お願いします。
○幸野委員
卸売業連合会の方にお聞きしたいのですが、現下の状況というのは非常に厳しいというのはよく分かりました。
4ページにいろいろと記載してありますが、この緊急アンケートを取られているのは5月18日から19日ですので、緊急事態宣言が全面解除されていない厳しい状況でアンケートを取られているということです。3ページの下の(注)のところを見ますと、全社が5月の段階で見積書すら出せていないという状況であれば分かるのですが、これは見方を変えれば、この状況の中で47社中20社、約4割の企業が見積もりを出しているということです。
それから6ページの中ほどの(注)にあるのですが、部分妥結や総価取引の増加について、半分以上が「難しい、増加するだろう」と回答されていますが、半数程度が「増加を見込んでいない」という回答もあります。
厳しい状況下においてのアンケートでこのような回答ですが、6月以降、緊急事態宣言は全面解除されて、卸の営業も再開してきている中で、少しずつではありますが平常時を取り戻してきているのではないでしょうか。医療機関も、新規感染者数の減少によって緊急事態宣言下の状況からは、少し落ち着きを取り戻している状況です。
確かに5月の出だしは非常に遅れましたが、価格交渉というのは例年通り5月から7月の見積書の提示から本格化します。それを考慮し、今回の調査は特別なルールをつくり、抽出方法等を工夫すれば、少し出遅れた印象はありますが、プロの方もいらっしゃるので、薬価調査の実施方法を模索できるのではないかと思います。それもできないというお考えなのかというのを卸売業界の方にお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○中村部会長
では、折本理事、お願いします。
○日本医薬品卸売業連合会(折本)
卸連合会の折本でございます。
会長に代わりまして、意見を述べさせていただきたいと思います。
今の、幸野委員の御質問でありますけれども、おっしゃるとおり宣言解除の後に徐々に戻りつつありますが、残念ながら医療機関、保険薬局、訪問自粛がかなりの数は継続しているのは事実でございます。
その中で、9月妥結に向けて当会も会員企業も交渉を始めているところももちろんあるわけではありますが、先ほどの御指摘のとおり見積書を5月7月に出されたところも、これから数十回にわたる価格交渉及びジェネリックの入替え、あるいは期間中の使用量に伴う包装の変更等々、かなりの交渉が多岐にわたった中で最終的に9月を迎える。
この点が、第2波、第3波の影響がどうなるのかとか、現状で物流主体で卸のMSもほぼ活動している中で、非常に平時とは違うというのが、先ほどの5月の調査は確かに御指摘のとおり一番最悪の時期の調査結果ではありましたけれども、平時の価格交渉ができないというのは現状でも我々は今、感じているところであります。
ただ、5月の速報も今、出まして、売上げ上の申し上げ方ですと2桁の売上げの落ち込みであった。6月についても、多分同様の感覚で今、医療機関様が御苦労されている中で、外来抑制、手術の抑制がなされているということを鑑みますと、薬価調査は本当に先ほどの御指摘のとおり適正な価格が出るのかというのが疑問でございます。
お答えになったどうか分かりませんが、そういう形で私感を述べさせていただきました。
以上です。
○中村部会長
折本理事、ありがとうございました。
ほか、御意見、御質問などいかがでしょうか。
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
日本医薬品卸売業連合会の皆様に質問がございます。最初に、各団体の皆様の医薬品の流通改善に関するこれまでの取組と、今般のCOVID-19の対応における安定供給などに関する御説明を頂きまして、最前線で国民医療に貢献していただいているものについて、まず感謝を申し上げたいと思います。
その上で質問ですが、私は前回、本会で極力エビデンスに基づいて、状況は状況として方法はないのか、最低限どうすればいいのかについて、前向きな御意見をお願いしました。アンケートの結果等をお示しいただいたので、ある程度、現状の対応状況については先ほど、診療側の先生からも意見がありましたように、理解をしているところではあります。
いずれにしましても、どういう状況下であれ、価格交渉をして妥結するのは、今年度、本来ならば現時点で行われているのでしょうが、行わなければならない。そのような前提で、7月の骨太の方針がどうなるかはさておき、調査を実施する可能性があることを踏まえ、我々が検討を重ねるため、2点団体の方に質問がございます。
1点は、このアンケートを見られて、今、幸野委員からも状況が少々変わってきているというがありましたが、問題は卸の回答はどうであるか。ポジティブな回答をしているのか、皆さんネガティブなのか。最も企業体力のある4大卸については当然ある程度の対応力はあると考えておりますので、例えば、今般に限って大手卸を中心に絞るというような方法について、検討の余地があるのかないのか。その点についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。これが1点です。
その際には、大が扱っていない品目も当然ながら論点になるかと思いますので、例えば、品目について一定以上の市場規模を有する医薬品や、前回改定において乖離率が一定以上の医薬品に限定する。今回に限り、そのような対応で、中間年改定を実施する仮定の下で薬価調査を行う方法論について御意見があれば、この2点についてお聞かせ願えればと思っております。
実際、2波、3波が来た場合には、当然そのときの状況によっては実効性の可否も含めて、広く修正をする必要は当然あると考えておりますけれども、あくまで現時点においての実行可能性について、御意見を頂ければと思います。
○中村部会長
音声が聞き取りにくかったのですが、おそらく、4大卸中心で可能かどうか、また品目を絞り込んでの調査が可能かどうかという御質問だったと思うのですが、こちらは卸売業連合会の方、いかがでしょうか。
○日本医薬品卸売業連合会(折本)
折本でございます。
ちょっと途中、聞き取れないところがございましたが、4大卸に絞り込んでいくということについては、それぞれのお得意様との個々との取引がございますし、私どもとしては意見が申し上げにくいところでございます。
また、中間年の改定に関しては、たしか4大臣合意の前提では、適正な薬価調査、いわゆる適正な価格ということが主眼で、まだ本決めではございませんが一定の価格幅といった意見も当時あったかと思います。その中で、まだ正式な形ではございませんが、先ほどから申し上げるように、適正な薬価調査ができるのかという意味合いで懸念を申し上げている次第であります。
以上です。
○中村部会長
すみません。
品目を絞り込んでの調査という第2点目のほうについてはいかがでしょうか。
○日本医薬品卸売業連合会(折本)
それについても多分、今、市場が正常な状態でない中で、ボリューム感に伴う価格交渉でありますとか、適正な価格とは言い切れないのではないかと、品目を絞ったところでも全体であってもそうではないかなと感じております。
○中村部会長
よろしいでしょうか。
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
現場の状況、お考えはよく分かりました。
○中村部会長
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
ありがとうございます。
もともと本日は業界から、流通や価格交渉の状況、それから価格形成の見通しなどを聞き取る目的でヒアリングをしており、前回、事務局から示された調査方法などの論点の議論は次回以降に行うべきと考えております。
いろいろ変更した調査をすべきという提案もありましたけれども、その結果が正しいかどうかを検証する必要があります。今回は、個々の品目の価値に応じた薬価の交渉が時間的にも不可能となっており、何が正しい実勢価格なのかが分かりませんので、検証不能となると考えております。
改めて、業界の方々にそういった理解でよろしいかどうかをお聞きしたいと思います。
○中村部会長
では、こちらは卸売業連合会、それから製薬業界の方、いかがでしょうか。
渡辺会長、お願いします。
○日本医薬品卸売業連合会(渡辺)
松本先生おっしゃったとおりでございます。
○中村部会長
製薬業界の方、いかがでしょうか。
○日本製薬団体連合会(手代木)
私ども、メーカー側といたしましても、松本先生のお考えのとおり、我々と全く一致しているところでございます。
○中村部会長
PhRMAとEFPIAの方も、もしコメントがありましたらいかがでしょうか。
○米国研究製薬工業協会(クリストファー・フウリガン)
一致をしております。
○欧州製薬団体連合会(綱場)
私どもEFPIAも、松本先生の御意見に賛同しております。
ありがとうございます。
○中村部会長
松本先生、よろしいですか。
どうぞ。
○松本委員
そういった調査を行いましても、不確かでかつ検証不能な数値に基づいて薬価の改定を実施するということになりますので、エビデンスに基づかない改定となると思います。
以上です。
○中村部会長
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
すみません。
先ほど吉森委員が言及されたかなりのシェアを占めている大手の卸の状況を知りたいのですが、大手の卸でさえ見積書も提示できていないような状況にあるのでしょうか。
そのような状況を、もう少し詳しく教えていただきたいです。
 
○中村部会長
これは、卸売業連合会の方、いかがでしょうか。
○日本卸売業連合会(折本)
お答えをいたします。
大手という言い方と地方卸、今、現在大手に集約できますと、約8割が大手で流通しているということでありますけれども、地域卸においても見積もり作業については大小関係ございません。
したがいまして、見積もり作業を大きいから早く出せるとか、そういう意味合いではないと思いますが、御質問の意図はそれでよろしいでしょうか。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
先ほどおっしゃったように、大手の卸がシェアの8割を維持しており、その大手の卸がある程度、薬価調査を実施できるのであれば、大手の卸を対象に実施するのも一つの手ではないかと思い、質問させていただきました。
もう一つ気になる点は、5ページ目の第2波、第3波を心配されているということですが、これは読み方を変えれば、第2波、第3波が9月までに来なければ対応可能という理解でよろしいのですか。
○中村部会長
これは、卸売業連合会、渡辺会長お願いします。
○日本医薬品卸売業連合会(渡辺)
ただいまの件は、幸野委員のおっしゃるとおりで、大手が80%ということは、今の状況の中の安定供給をしていかなければいけないのが80%ということです。今、医療が正常ではございません。それを担っているというのも、一つ御理解いただきたいという点でございます。
2点目は、私たちは2波や3波というのがいつ来るかどうか分からないのです。分からないものを想定しろということはなかなか難しいということを伝えているだけでございます。
以上です。
○幸野委員
私がお聞きしたいのは、第2波、第3波が9月前に来なければ、対応できるのか否かということです。
○日本卸売業連合会(渡辺)
幸野委員のおっしゃるように、現在でも入札病院で一つずつ決まっていっているところはあると思います。
その病院さんと、現実にそうではない医療機関さんもあるわけです。私どもが一方的に決めるわけではございませんので、お得意様ともお話をしながら購入価格を決めているということが事実でございますので、お得意様の状況と私どもで併せて考えてみると、非常に今は難しいということをお伝えしている状況でございます。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
事務局の方も大体今の状況をお分かりいただけたと思います。6月までに調査方法を決めないと間に合わないのであれば、来週17日と24日の残り2回で決めるということです。このような議論が行われている中で、もし実施するのであれば、そろそろ案を出していただかなければいけない時期だと思います。今後の進め方についてお伺いしますが、いかがですか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
幸野委員御指摘の点でございますけれども、確かに薬価調査の実施についてはどうするかというのは本日の意見も踏まえつつ、また今後の新型コロナ感染状況の発生状況とかそれによる医療機関、薬局、卸への影響とか取引の状況など、様々なそういった状況を注意深く見極めつつ判断する必要があるのだろうとは思いますけれども、一方、御指摘のとおり調査を実施する場合の調査の内容については、ある程度、6月の中医協の中で内容について御了解を頂いて、事務的には準備を進めるという必要もあろうかと思っておりますので、その辺のところを踏まえつつ、今後の薬価専門部会でどのような形で資料等を提示させていただくか、事務局でも考えていきたいと思います。
○中村部会長
ほかに、御質問、御意見等ございますでしょうか。
有澤委員、お願いします。
○有澤委員
ありがとうございます。
卸売業連合会さんにお尋ねしたいのですが、実際に私も現場を持っている中で、通常年とは全く異なっていていまだに一個人のところに対しても、どこからも見積書の提示というものがありません。見積書が提示できて価格が妥結するかというと違っていまして、当然、それぞれの卸に対して1つの製品が、どこが一番安く買えるかとかそういう価格交渉が始まって、時間をかけて丁寧に進んでいくという流れで考えております。
そういった中で、既に6月初旬過ぎ、半ばに入る場においても、実際に見積書の提示等も周りでは見られていない。全国的にもそういうような認識でよろしいかどうかということをお尋ねしたいと思います。
○中村部会長
こちらは、渡辺会長、お願いします。
○日本医薬品卸売業連合会(渡辺)
今、有澤委員のおっしゃったように、全国的にも今、私どもは緊急事態の状態を物流も維持しております。まずは、当社の社員も感染しないように、そして私どもから医療機関さんのほうにうつさないような形で指導しておりますので、なかなか相対での話はできておりません。
以上です。
○中村部会長
有澤委員、よろしいでしょうか。
○有澤委員
ありがとうございます。
あとは、調剤報酬の中で薬剤費が占めるウエートというのは75%あります。改定に進むのであれば、当然、実勢価に基づく正確な数値でやっていただかないと、私どもはただでさえ損益差額というのが少ない。特に小規模の薬局に対しては、なかなか厳しい現況にありますので、もしそういう考えがあれば、より正確な数値が出せるような調査方法というものも考えていただかなければいけないと思いますし、現状を鑑みたら、やはり正常な調査ができるとは思っておりませんので、そこのところも十分に事務局においては検討課題としていただきたいと思います。
○中村部会長
ほかはよろしいでしょうか。
では、ありがとうございました。
大体、御意見、御質問が出尽くしましたので、関係業界からの意見陳述につきましてはここまでとさせていただきます。
本日、予定された議題は以上になります。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。
どうもありがとうございました。



 

(了)
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