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2020年5月27日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第165回議事録

○日時

令和2年5月27日(水)10:00~10:44
 

 

○場所

オンライン開催

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀委員 小塩隆士委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 眞田享委員
松本吉郎委員 今村聡委員 林正純委員 有澤賢二委員
村井泰介専門委員 平野秀之専門委員 上出厚志専門委員 
<事務局>
濵谷保険局長 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 部会長の選任について
○令和2年度医薬品価格調査(薬価調査)について

○議事

 


 ○田宮薬剤管理官
皆さん、おはようございます。薬剤管理官の田宮です。
先日、4月8日の総会において御就任された小塩会長より薬価専門部会に属する委員が指名されたところでございますが、部会の部会長につきましてはそれぞれの部会において選挙することとされていますので、新しい部会長が選任されるまでの間、私のほうで司会進行をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
(首肯する委員あり)
○田宮薬剤管理官
ありがとうございます。
それでは、新しい部会長の選任までの議事進行については私のほうで務めさせていただきます。
ただいまより、第165回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
なお、本日はコロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。
また、会議の公開については試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
薬価専門部会に属する委員に異動がございましたので、御報告いたします。
田辺国昭委員におかれましては4月7日付で御退任され、新たに小塩隆士委員が着任されております。また、宮近清文委員におかれましては4月7日付で辞任され、後任として4月8日付で眞田亨委員が発令されております。
続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は全員が御出席です。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は、まず部会長の選挙を行います。
社会保険医療協議会令第1条第6項の規定によりまして、部会に部会長を置き、当該部会に属する公益を代表する委員のうちから、当該部会に属する委員が選挙することとされております。
部会長につきましては、総会の例によれば1号側及び2号側の御意見を伺った上で、御賛同があれば決めていくことになっております。
薬価専門部会の部会長につきましても、このような方法で行いたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○田宮薬剤管理官
ありがとうございます。そのように進めさせていただきます。
では、まず1号側の委員から御推薦を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
○幸野委員
1号側としては、中村委員を御推薦申し上げます。
○田宮薬剤管理官
ありがとうございます。
続きまして、2号側の委員、いかがでしょうか。
○松本委員
おはようございます。松本です。
診療側といたしましても、引き続き中村委員に部会長をお願いしたいと思います。
○田宮薬剤管理官
ありがとうございます。
1号側、2号側とも中村委員を御推薦いただきましたけれども、中村委員に部会長をお願いするということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○田宮薬剤管理官
どうもありがとうございました。
それでは、引き続き中村委員に薬価専門部会長をお願いいたします。
中村部会長より一言御挨拶をお願いいたします。
○中村部会長
カメラの関係で、座ったままで失礼します。
引き続いての重責になりますけれども、今後ともよろしくお願いいたします。
○田宮薬剤管理官
どうもありがとうございました。
それでは、今後の議事進行を中村部会長にお願い申し上げたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○中村部会長
まず、部会長代理につきまして、社会保険医療協議会令第1条第9項の規定によりまして、部会長があらかじめ指名する者が部会長代理をすることとされております。
引き続き、秋山委員に部会長代理をお願いすることとしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(首肯する委員あり)
○中村部会長
ありがとうございます。
それでは、部会長代理は引き続き秋山委員にお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
○秋山委員
よろしくお願いします。
○中村部会長
では、次に「令和2年度医薬品価格調査(薬価調査)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林経済課長
おはようございます。医政局経済課長の林でございます。資料薬-1に基づきまして、御説明をさせていただきたいと思います。
資料をお開きいただければと思います。令和2年度医薬品の薬価調査についてということでございます。
まず、議論をしていただく背景、経緯でございます。1枚目を御覧ください。
今年度実施する医薬品の価格調査、いわゆる薬価調査につきましては、平成30年度の薬価制度抜本改革の際に、全ての医薬品の卸から大手事業者を含めて調査対象を抽出するということが中医協で了承されているところでございますが、具体的な実施方法については、まだ中医協で議論されていない状況でございます。
当時の薬価制度改革の骨子については、右下に抜粋しておりますけれども、5枚目に添付をしてございます。赤字で書いているところが今、申し上げた部分でございます。
また、具体的にどのような方法でやるかという対象品目の範囲等については、また今後の議論ということになろうかと思いますが、そちらのほうには医薬品流通の確保ということで、この薬価制度抜本改革に基づきまして、単品単価契約とか、早期妥結、一時売差マイナス等の是正を積極的に取り組むようなこともこの改定の際に記載されているというところでございまして、これに基づいて流通改善に取り組んできたという状況になってございます。
今回議論していただくのはこの薬価調査の方法ということになりますけれども、1ページを見ていただきますと、この薬価調査の実施や計画準備については一定の時間を要するということでございまして、実施方法について今回の薬価専門部会から議論を開始させていただければと考えてございます。
ちなみに、昨年度行いました薬価調査については2枚目、3枚目に概要をつけてございます。昨年度実施しましたのは抽出ではなくて全数調査でございますが、いわゆる販売サイド調査につきましては全事業所を対象に、購入サイドについてはそれぞれここに書かれているような抽出率で実施をしておりまして、いわゆる販売サイド調査を補う形で実施をさせていただいております。
スケジュールにつきましては3枚目に書いてございますが、例年これぐらいの時期に中医協での議論を開始させていただきまして、昨年度については9月を対象月にして調査を行ったということでございまして、6月ぐらいには実施の基本的な方向性について中医協で御了解を頂いているというスケジュールで進めてきております。
今回の議論を実施するに当たりまして、論点を整理させていただいております。6枚目、7枚目を御覧いただければと思います。
論点については5点、提示をさせていただいております。
まず、1点目でございますけれども、医薬品流通の現状についてどう考えるかということでございます。
今回、新型コロナウイルス感染症が発生し、それへの対応に医療界、医薬品業界ともに追われているという状況でございます。販売サイド、購入サイドとも多大な影響を受けておると承知しております。例年と同様の価格交渉や医薬品流通ができていない状況ともお伺いしております。
こういった現在の価格交渉の状況、あるいは今後、夏、秋に向けた見通し、新型コロナウイルス感染症について今後も対応が必要になってまいりますが、こういったものの影響についていろいろな状況はお伺いしていますけれども、改めてこの中医協の場でも関係団体から意見聴取をしつつ、この薬価調査の実施について議論を重ねてはどうかという提案と論点でございます。
2点目は、薬価調査の実施の進め方、スケジュールでございます。
調査のスケジュールにつきましては、通常改定と同様のスケジュールを踏襲することとしてはどうかということでございます。
具体的には、役所の側で統計調査ということになりますので、必要な統計調査としての準備、あるいは事業者の契約の手続等も例年必要になってまいります。そういったことから、また調査を行うべき時期、そして予算編成に間に合わせるということを考えますと、例年どおり6月中旬頃には実施の準備を事務的には開始する必要があるという状況でございます。
3点目の論点、次の7枚目のスライドです。
実施に当たりましては、先ほど御紹介しました平成30年の抜本改革、あるいはその前の平成28年の四大臣合意でも、対象品目については価格乖離の大きな品目について薬価改定を行うとなっておりますし、薬価調査の実施につきましてはいわゆる抽出調査を行うということが決められてございます。
この抽出率をどのように設定するかということでございますが、一般的には当然、抽出率を下げることによって調査対象である卸業者の負担は軽減するということでございますが、仮に全数でやった場合との結果を比較しますと乖離が大きくなる可能性があるということでございます。
ちなみに、9ページ目を御覧いただければと思いますが、昨年いわゆる全数調査で実施しました販売側調査を基にシミュレーションをやってみた結果でございます。全数で出た結果と抽出率、対象となる卸事業者を抽出するわけですけれども、それぞれ30%、40%、50%、67%とした場合にどの程度、全数調査であれば出た結果と乖離があるかということをシミュレーションしてみた結果でございます。
全体的な結果につきましては、上に書いてありますように、平均乖離率は8.0%だったのですが、30%の場合は8.2%、40%や50%の場合は8.1%、67%の場合には8.0%ということで、抽出率が低いと全数調査の結果とはやはり乖離が生じているということが確認できました。
また、それぞれの内訳でございますが、全数調査をやった場合の市場実勢価の結果と、抽出にした場合の結果で、それぞれの品目ごとにどのぐらい乖離があるかを確認したところ、5%以上の結果に差が生じたものについては、30%の抽出率の場合は1,035品目あり、全体の1万7832に対して5.8%という結果になってございます。同じく、5%以上乖離があったものに着目しますと、当然、抽出率を上げればこの乖離する品目数というのは減っていくという状況でございます。
ちなみに、10ページ以下は少し詳細な内訳を書いてございますけれども、この乖離がある品目、赤字で書いているところでございますが、今、御紹介した30%であれば5%以上乖離があるものは1,035品目でございますが、どういった品目の乖離が大きかったかということを見てみますと、やはり後発品の品目が一番大きい。1,035のうち829が後発品ということで、これに対する構成割合は8割ということで、後発品が多くを占めているということでございます。
この品目の構成比の傾向は、抽出率を変えた場合でもほぼ変わらない。やはり後発品目が、全数調査をした場合と抽出調査した場合の乖離が大きいということが確認できてございます。
7ページに戻っていただきますと、こういう結果があるわけでございますけれども、シミュレーション結果を踏まえまして、どのように対応を考えるかということ。乖離がある場合についても、※の「例えば」にありますように、過去の薬価調査結果等を参照するなど、様々な角度から調査結果を確認して必要に応じてデータを除外するなどの対応が考えられるのではないかということでございます。
4点目の論点でございますが、購入側調査についてどうするかということでございます。
先ほど御説明しましたように、例年、基本的には販売側の調査で薬価調査結果を出してございますが、正しい調査結果を得る、いわゆる牽制的な観点もございますし、販売側の調査結果について、これが正しいのか確認を要するような場合にそのデータの参照をして確認を取っているということで使ってございます。正確性を担保する観点から行っているものでございます。
これについて、現在の感染状況を踏まえますと、現場の調査の負担を軽減するという観点で、購入サイド調査の実施をどのようにしていくかを決めていく必要があると考えてございます。
最後、5点目でございます。これは昨年の薬価調査の実施の際も大変御迷惑、御心配をおかけした点でございますが、医薬品の主要な卸とJCHOとの間で談合の疑いが持たれている。
この事案につきましては、現在、公正取引委員会で調査中であり、結果は出てございません。ただ、このようなことで医薬品の公正な取引に疑念を生じるような事態が生じたというのは、この場でも申し上げましたが、事実であれば大変遺憾なことだと考えてございます。
この調査についてどうするかでございます。この問題を踏まえまして、14ページを御覧いただければと思いますが、JCHOでは一定の入札に当たって改善ということで、57病院の全国一括から各病院ごとの入札ということで、いわゆる小規模な地場の卸も参入できるような改善が図られているという状況ではございますが、やはりこれについては念のため調査対象から除外することとしてはどうかと提案させていただいてございます。
以上5点が主な点でございます。
8ページ目は説明を飛ばしましたけれども、1番目の論点に関しまして、医薬品流通の現状についてどういった影響が考えられるかということを箇条書きに書いたものでございますので、議論の御参照にしていただければと考えています。特に、価格形成が通常の年と同様な状況でできるのかどうかといったようなところが一つの議論のポイントになるかと考えているところでございます。
説明は以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして、何か御質問等ありましたらお願いいたします。
松本委員、お願いします。
○松本委員
ありがとうございます。松本です。
薬-1の令和2年度の薬価調査についてでございますけれども、まず6ページ目の論点1と2以降のたてつけについて大変な違和感があります。
毎年、薬価調査について閣議決定がある以上、厚生労働省としましてはそれを無視できないというのは理解できますけれども、1の【医薬品流通の現状について】で、例年と同様の価格交渉や流通ができていないので、まずは関係団体から意見聴取する提案をしている一方で、2の【薬価調査の実施について】以降は、調査のスケジュールや実施方法についての論点となっており、1の意見聴取の結果とは関係なく薬価調査を実施しようとしているように見えるのは大変問題であります。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、医療提供体制全体が崩壊の瀬戸際まで追い込まれ、経営的にも大打撃を受けて、その回復のめどがいつになるのかも分からないような状況の中で、来年の薬価改定に向けてどのような調査を行うのが適当かという論点については現時点では全くイメージできません。
まずは1の関係団体から意見聴取を実施し、その上で今後の対応について現状を踏まえた上での議論をすべきであり、本日の時点で2以降の論点について議論するのは時期尚早であり、反対いたします。
以上です。
○中村部会長
では、経済課長、お願いします。
○林経済課長
経済課長でございます。御意見ありがとうございます。
御指摘のように、薬価調査を今年度実施するかどうかということも、1の論点等も踏まえて検討すべき大きな課題だというのは御指摘のとおりだと考えております。
ただ一方で、薬価調査をやらないかというのは現状では決まっていない。むしろ政府としては、過去の累次の決定を踏まえてやるとなった場合に、実施できるような対応を考えておく必要があるという状況でございます。
繰り返しで恐縮ですけれども、その場合のことを踏まえますと、総務省等による統計調査の承認、あるいは調達に政府として一定の手続に時間が必要だということがございますので、6月中旬頃までには具体的な大まかな調査の、今日御提示しているような抽出率でございますとか、あるいは購入側調査をやるのか、通常よりもサンプル率を下げるのかどうかといったことなどについて、中医協として、ある程度留保つきかもしれませんが、了解を取っていただく必要があると考えてございます。
そういう意味で、ヒアリングを行いつつ、6月の中旬頃までには調査の内容について、やるのであればこういった方向という形で了解を得られるように進めていきたいというのが事務局としての考えでございます。
○中村部会長
松本委員、お願いします。
○松本委員
分かりました。1の現状についてをしっかりとまず進めた上でという御意見と伺いましたので、まず1を速やかに行った後に、その意見を聞いた上で行っていくということで理解いたしました。
○中村部会長
では、吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。吉森でございます。
今のお話を踏まえて、個別の1から5までの論点に入る前に、繰り返しになりますが、議論の前提として、2021年に中間年改定を実施する方向性で、全体的な考え方として、現況の新型コロナ感染症の影響下で実施可能な方法を模索、検討して、準備を粛々と進めていくための議論をする。そういうことが重要だと考えております。
その上で今回、この通常改定と同様のスケジュールを踏襲するとすれば、調査実施のデータ確認・精査等の時点を勘案すると、9月には調査実施開始が必須であるということになり、そのための準備として必要な機関決定及び諸手配の最終判断は今、お示しがあるように、通常どおり6月の中旬がタイムリミットであるというのは理解できるところであります。
しかしながら、その前に議論がありましたように、薬価調査の実施判断を議論の前にやらないといけない。それと中間年改定の判断。これを切り離して議論を進めるのか、中間年改定の実施判断の決定というのはどの場でどのタイミングで決定するのか。まず、そこのところを明確にしておきたいと思いますが、いかがでしょう。
○中村部会長
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
御指摘ありがとうございます。
今年度の薬価調査の実施につきましては、今後の新型コロナ感染症の発生状況ですとか、それによる医療機関、薬局、卸への影響、あるいは取引の状況などを注意深く見極めるとともに、また現在、閣議決定された昨年度の「骨太の方針」などがございますけれども、その後の今年の「骨太の方針」など、そういった政府の方向性なども踏まえつつ決定していくことになるのではないかと考えているところでございます。
○中村部会長
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
どのタイミングかというのは、なかなか確たるものが出ないということで、まずは薬価調査の実施について判断していきたいという理解でよろしいわけですね。
○田宮薬剤管理官
事務局としては、実施するという場合の準備は進めさせていただきたいということで今回お諮りしているということでございます。
○吉森委員
分かりました。
それを前提に、個別の論点について、まず論点1と2。この方向性について異論はありません。この通常改定と同様のスケジュールであれば6月中旬が実施準備のタイムリミットというのは明らかでありまして、この調査実施の判断のタイミングまでに検討するのであれば、早急にこの1の関係団体からの意見ヒアリングの場をセットしていただかないといけない。
この関係団体の意見聴取の場というのは、この薬価専門部会でよろしいわけですか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
はい。薬価専門部会におきまして、関係団体からの意見聴取を行いたいと考えております。
○吉森委員
分かりました。
その場は今回のようにオンライン会議ということを通じて実施するということで、その際に、実際の流通現場の影響を勘案すれば、やはりなかなか難しい、やめるべきだというような意見が出てくるおそれもありますが、事務局にお願いしたいのは、意見聴取の際には今回の薬価調査の対応の可否がしっかりと判断できるような流通現場での影響による実態をできる限り数字などを用いた客観的な根拠をお示しいただくような、判断基準がはっきり分かるような方向性の意見陳述をしていただきたいと思います。
もう一つは、こういうような環境下で実施するならば、どういう方法が最低限実施可能なのか。できる限り前向きで具体的な御提案、意見も頂けるような方向性でヒアリングが進むように、事前準備を事務局にお願いしたいと思いますし、業界団体の皆さんにもぜひその点を勘案して意見を頂ければ、ありがたいと思っています。
3つ目、4つ目の論点です。購入調査の実施について、この影響下では医療機関では当然、重症、中等症の患者を受け入れていらっしゃる病院等については甚だ難しい話でもありますでしょうし、第2波がこれからどう来るかなど、今、落ち着いたにせよ、医療機関等を中心になかなか調査実施が難しいということも考えられます。そもそも販売側だけでなく購入側調査を実施する意味は、調査の正確性の担保するためと理解しておりますし、従来、各調査で販売側と購入側での乖離がどれぐらいあったのか等を踏まえて、調査の正確性を担保することを中心に購入側実施は極力しないという判断にするならば、抽出率を例えば50%以上に上げるとか、正確性を期するための過去調査の結果、判断も踏まえて始終工夫が要ると思いますので、その手法についての具体的な議論も開示いただければと思います。
なかなか我々では抽出率、乖離率が判断し難いと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○中村部会長
では、次に有澤委員、お願いします。
○有澤委員
ありがとうございます。
1番目の論点でありますけれども、現状、流通の現場にいますと様々な感じを受けます。
世界各国で新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、製薬メーカーにおける原薬の調達に影響している。そして、特に東南アジアの調達の比率が高いということがありまして、生産が滞る発表が散見されています。これらの問題が、医薬品の安定供給という側面から、あるいは流通コストの上昇ということから、医薬品の流通価格に与える影響というものが少なからずあるのではないかと懸念しています。
こういった観点から、当然、関係団体からのヒアリングはもちろん、購入側の価格交渉の現状やJCHOの公正取引委員会の調査中の談合事案の結果など、様々な要因について総合的に検討して、薬価調査の可否を踏まえた上でスケジュールの議論をするべきではないかと考えております。
通常時と同様のスケジュールに前提とした議論の進め方については、問題があると言わざるを得ないと考えています。
以上です。
○中村部会長
では、村井専門委員、お願いします。
○村井専門委員
発言させていただきます。
新型コロナウイルス感染症の発生以来、我々医薬品卸は医療機関、保険薬局への配送業務に特化した活動にシフトしております。具体的には、輪番制などスタッフの勤務体制の変更、配送回数の変更、営業活動の自粛などです。それに加え現在、800アイテムを超える医薬品が品薄の状況にあり、製薬メーカーから何らかの出荷規制がかかっております。毎日、その商品手配、在庫配分の調整等に多くの労力を費やしている状況です。
このような状況では薬価調査は御勘弁願いたいというのが本音ではありますが、仮に新型コロナ感染が収束し、現在の品薄状態が解消されたとしても、通常改定と同様に9月に薬価調査を行うとすると、現在ほとんど価格交渉が行われておらず、見積書も多くの場合、提出できていない状況ですので、極めてタイトな時間枠での交渉となることが予想されます。
購入側におかれましても、外来の大幅な減少、入院による手術の延期など、通常とは全く異なった状況になっており、果たして適切な価格交渉を行うことができるのか、憂慮しているところでございます。
また、購入側も卸側も、このような状況下で未妥結減算という事態だけはできるだけ避けたいと考えておりますので、短期間の交渉の中で未妥結減算をクリアするために、結果として単品総価や部分妥結が大幅に増えることになるのではないかと危惧しております。
そもそも、中間年の薬価調査については、平成29年12月20日の薬価制度改革の抜本改革についての骨子において、単品単価契約、早期妥結、売差マイナスの解消などを積極的に推進し、調査が適切に実施される環境整備が図られていることを前提としたものだと認識しております。
しかしながら、今回の新型コロナウイルス感染症の影響で価格交渉の状況が通常とは大きく異なっていることから、薬価調査のための環境整備どころではありません。我々医薬品卸といたしましては、本年の薬価調査の実施は極めて難しい状況だと考えておりますので、何とぞ御理解を賜りますようお願い申し上げます。
以上です。
○中村部会長
では次、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
まず、冒頭にやり取りのあった薬価調査に、中医協としてどう臨むのかについてですが、既に中間年の薬価改定は閣議決定されたものであって、その方針はいまだ変更されていないことを考えると、中医協の役割としては6月を目指して薬価調査の在り方について粛々と検討していくべきだと考えます。政府の方針が変わらない限り、中医協で薬価調査をしないという結論を出すことは適切ではないと思いますので、粛々にやっていくべきだと思います。
そして、政府の方針については、おそらく「骨太の方針」で出てくるのではないかと思います。この間の話によれば、これも7月にずれ込むのではないかと聞いております。そうであれば、中医協としては中間改定を実施するか否かは別として、実施する場合に備えて粛々と制度設計を行うべきだと思います。
ただし、今回の薬価調査は通常の状態では皆さんがおっしゃっているようにできないことは明白であります。通常のルールとして決めるのではなくて、今回は販売側と購入側の実態も踏まえて、特例的・暫定的な薬価調査を検討するべきではないでしょうか。通常の状態、令和5年以降の状態で考えるのではなくて、今年限りの薬価調査はどうするべきかを念頭に議論していくべきではないかと思います。
以上、総論なのですが、論点についてそれぞれコメントさせていただきたいと思います。
まず、1点目の論点。ヒアリングから始めることについては、これは現状をしっかりと聞くということで賛成いたします。先ほど吉森委員がおっしゃったように、おそらく、答えとして返ってくるのは「非常に困難だ、できればやめていただきたい」という答えが返ってくるのだと思います。しかし、今、中医協は実施するか否かではなく、実施する場合のやり方を検討しています。そのため、どのような形であれば実施できるのか、そのようなことをヒアリングしていただきたいと思います。厚労省から事前に、このような形であればできるとか、抽出率はこれぐらいであれば可能だとかを提案していただきたいと思います。そのようなヒアリングを我々としては聞きたいです。現状の苦しさとか、これではできないということを聞いても議論は前に進まないので、こうすればできるというヒアリングにしていただきたいと思います。
2点目については、既にこのスケジュール以外は考えられないと思いますので、これでよかろうかと思います。
7ページの3点目の論点ですが、抽出率については、9ページ以降様々な抽出率とデータを示しておられます、しかし、正直申し上げて、我々に抽出率はどれが妥当かということを問われても、支払側としては判断しかねると思います。通常の状態であれば抽出率が高ければ高いほど精度も高くなり、より精緻になるため、さらに高くしてくださいと言えるのですが、今回このような異常な状態において抽出率を高めれば本当に精度が高まるかというと、やはりそのようなことは言えないと思うのです。ここはある程度、専門家や販売側の状態を踏まえて、専門的な見地から販売側と、購入側の負担や、抽出率はどの程度が妥当なのかについて案を示していただかないと意見は出しにくい論点だと思いますので、その辺は御考慮いただきたいと思います。
※にあるような、品目によっては補正をかけるという調整も必要だと思います。
それから、論点4の購入側についてですが、これは突合確認をするという意味で必要だと思います。ただ、今までの薬価調査の中で、基本的に購入側と販売側の違いがどの程度あったのかというところも見てみたいので、そのようなデータがあれば今後の議論の参考にお示しいただきたいと思います。あまりその差がないのであれば、今回は購入側については見合わせるというのも選択肢の一つだと思いますし、相当乖離があるのであれば、幾ら販売側の抽出率を高めても、精度としては正確でないと思います。そのため、どれぐらい購入側と販売側に違いが今まで生じていたのかというデータを示していただいて、そのデータによっては購入側も一定程度は行うという結論になると思いますので、そのようなデータもお示しいただきたいなと思います。
以上です。
○中村部会長
では、有澤委員、お願いします。
○有澤委員
ありがとうございます。
先ほど、卸のほうからも実際に業務の縮小といいますか、転換を図って、流通に傾注しているというお話がありました。現場の目線から見ても、実際に医療機関あるいは薬局に出入りを必要以上に制限をするケースもありまして、本当に医薬品卸の担当者と薬局では何ら価格交渉もできない、あるいは通常の対応もできていないという状態で、このままでいけば間違いなく薬価調査の対象時期までに単品単価契約などできる状況ではないと考えております。
また、調査対象の規模を縮小するということで考えれば、やはりデータの信頼性について適切に判断することができないと考えますので、ここは十分に理解していただきたいと思います。
以上です。
○中村部会長
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
ありがとうございます。
先ほど幸野委員からもいろいろ意見を述べられましたけれども、まさにこの中医協という場は、閣議決定がありますけれども、この新型コロナウイルスの感染者の拡大が誰も予想もできないような未曽有の影響を受けていることを鑑みた上で、まさにこの専門家たる中医協のこの薬価専門部会あるいは総会だけでなく、さらに関係業者の方々、全ての意見を聞いた上で今後の方針を決定しようというのが中医協の趣旨だと考えておりますので、まさにそのとおりにしっかりと進めるべきだと思っております。
以上でございます。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
では、上出専門委員、お願いします。
○上出専門委員
ありがとうございます。
今後、業界のヒアリングが設定されるということでございますけれども、本日、私の把握できている範囲で、製薬業界の新型コロナウイルス感染症への対応といったことにつきまして、少しコメントをさせていただきたいと思います。
製薬企業各社は、他の企業との連携、もしくは関係機関との連携ということを図りつつ、目下、新型コロナウイルス感染症に対しますワクチンや治療薬の開発に鋭意取り組んでいるところでございます。
また、先ほど有澤委員からもコメントがございましたけれども、医薬品の原薬調達や製造等のサプライチェーンの状況を注視し、安定供給に取り組んでいるところでございます。
生産工場におきましては、マスクですとかアルコール消毒等の衛生環境の整備、検温、従業員同士の適切な距離・感覚の確保の徹底など、感染拡大防止に努めながら操業を継続しております。
また、業界団体といたしましても、医薬品の安定供給に支障を来す事態を早期に把握し、会員企業が相互に協力できるスキームを策定し、代替薬リストをつくるなどの取組をしているところでございます。
特に原薬に関しましては、海外から調達するケースも多く、各国のいわゆるロックダウン等の対応に伴いまして、現地工場の閉鎖ですとか輸送ルートの寸断、また、日本に輸出するための航空便の運航停止など、様々な事象が発生しており、これらに対し、例えばチャーター便を確保するなど各社が、もしくは業界として原薬の確保、安定供給に努めているところでございます。また、このような状況から原薬の調達コストが上昇するというリスクも生じております。
このように、新型コロナウイルス感染症の影響によって、原薬調達から製造、供給に至る医薬品のサプライチェーンが平時とは大きく異なる厳しい状況の中、医薬品の安定供給等への対応を今後も継続して図っていく必要がございます。
今、医療現場におかれましては大変厳しい状況の中、医療の提供に努めていただいているところと理解をしておりますし、先ほど村井専門委員から御説明がありましたように、流通も非常に厳しい環境の中、安定供給を確保いただいていると理解をしております。
これらの状況を踏まえますと、先ほど吉森委員からは業界に前向きな提案をというような御意見がございましたが、今回の薬価調査、薬価改定につきましては実施するような状況ではないのではないかと考える次第でございます。
以上でございます。
○中村部会長
では、今村委員、お願いします。
○今村委員
ありがとうございます。
1号側からも、政府の方針として「骨太の方針」の中で実施が前提になっているので、粛々とどういうやり方でこの状況の中で実施できるかということを検討していくべきだというお話を頂きました。
2号側あるいは専門委員からもございましたように、今、非常に特別な状況にある中で政府の方針そのものが、いわゆる7月に「骨太の方針」がずれ込むことになっているということですけれども、先ほど松本委員からもお話があったように、我々中医協の委員というのは専門家としてここに参加していて、きちんとした方針を決めるということですので、ある意味、鶏が先か卵が先かですけれども、しっかりとした中医協として意見を取りまとめて政府の方針に反映させる必要があるのではないかなと思っています。
それを前提とすると、やはり現場の意見をしっかりと、今日もいろいろ御意見はありましたけれども、それを改めて伺った上で実施をどうするかということを検討すべきではないかなと思っています。
厚労省には、これはずるずると時間をかけていると結局何も決まらないまま、ただ実施という方向性で「骨太の方針」の中に書かれるというようなことになると、本当に現場は大きな混乱が生じると危惧をしています。
エビデンスは非常に重要なので、中医協というのは専門家ですからエビデンスに基づいた議論をするというのは当たり前のことだと思いますけれども、こういう緊急事態のときの状態というのは、例えば抽出率を幾らにしたら回答率がどうなるかということも分からないし、いわゆる価格もまだ未決定の中でいろいろなデータを集めても、結局そのことが医療現場にも、在庫なら在庫を持っていて、患者さんなどは今、本当に長期に薬を出してくださいと言いますから、我々医療機関も非常に大量の在庫を用意しようということになっているわけですけれども、そういったところの経済的な影響というものが物すごく出てくるわけです。
ですから、そういうことも考えた上でしっかりと議論をしていく必要があると思っておりますので、厚労省には早めにヒアリングの場を設定していただくように改めてお願い申し上げたいと思います。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
では、ありがとうございました。ほかに御意見等ないようでしたら、本件につきましてはここまでとさせていただきたいと思います。
本日予定された議題は以上になります。
次回の薬価専門部会においては、関係業界からの意見聴取を行うこととしたいと思います。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。
どうもありがとうございました。



 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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