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2019年11月22日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第160回議事録

○日時

令和元年11月22日(金)8:58~10:31
 

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀委員 田辺国昭委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 佐保昌一委員 宮近清文委員
松本吉郎委員 今村聡委員 林正純委員 有澤賢二委員
村井泰介専門委員 平野秀之専門委員 上出厚志専門委員 
<事務局>
濵谷保険局長 横幕審議官 八神審議官 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 次期薬価制度改革に向けた論点整理(案)について

○議事

 


 ○中村部会長
 では、ただいまより、第160回「中央社会保険医療協議会薬価専門部会」を開催いたします。
 まず、本日の委員の出欠状況について御報告します。本日は全員が御出席になります。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。
(カメラ退室)
○中村部会長
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日は、「次期薬価制度改革に向けた論点整理(案)について」を議題とします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
 では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
 資料薬-1をごらんください。
 今、部会長からございましたとおり、本日は、次期薬価制度改革に向けた論点整理(案)ということで、資料を用意させていただいております。
 2コマ目にございますとおり、9月以降、おおむね月2回程度のペースで議論を行ってまいりましたので、一連の議論を踏まえまして、本日は論点整理の案をお示しさせていただくものでございます。
 まず、4ページ目から、新薬創出等加算制度の見直しの関係でございます。
 5コマ目をごらんください。
 まず、企業要件・企業指標についてでございます。中医協での御指摘を、上の四角囲みにまとめております。
 例えば2つ目のポツでは、小規模企業であっても革新的医薬品の開発に取り組んでいる場合は、正当に評価できるような仕組みとすることを検討してはどうかという御意見、
また一番下のポツですけれども、薬剤耐性菌の治療薬の開発などの未充足のニーズは、企業指標に組み入れることで強いインセンティブが働くのではないかという御意見があったところでございます。
 また、業界からの意見を踏まえて、事務局で整理すべきという御意見をいただいたところでございまして、今般、業界から提示された案を踏まえつつ、事務局で考え方を整理させていただいたものを用意しているところでございます。
 下の「対応の方向性」をごらんいただきたいと思います。後ほど詳しく御説明いたしますけれども、企業指標のA-2、新薬収載実績について、通常の新薬のほか革新的新薬の収載実績を加味して評価してはどうかというのが1点目です。
 それから、もう一つは、企業指標において薬剤耐性菌の治療薬の開発実績を評価してはどうかということでございます。
 6コマ目に具体的な案のイメージがございますけれども、企業指標の表中のA-2に※1と記載しております。表の下に※1の説明がございますけれども、新薬創出等加算対象品目または新規作用機序医薬品を、この新薬収載実績のカウントの際に1成分相当とカウントする一方で、それ以外の新薬を3分の2成分相当として計算するという傾斜配分といいますか、重みづけをして計算してはどうかというのが1つ目でございます。
 それから、A-3、革新的新薬の過去5年以内の収載実績がある場合に「実績あり」ということで2ポイントを計上できる形にしてはどうかということです。
 それから、C-2にございますとおり、薬剤耐性菌の治療薬の収載実績、これも過去5年でございますけれども、これについては1品目について2ポイントを計上できるようにしてはどうかということでございます。
 表の下の※3にございますとおり、薬剤耐性菌の治療薬につきましては、薬事承認審査において薬剤耐性菌に対する治療効果が明確になったものに限ることにしたいと考えております。
 参考までに7コマ目、薬剤耐性(AMR)対策アクションプランの概要をお示ししておりますけれども、薬剤耐性菌に対する対応といたしましては、国際的にもWHO総会で国際行動計画が採択されているほか、我が国でも「国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議」のもとにAMR対策アクションプランがまとめられているということでございます。
 下に、アクションプランの概要がございますけれども、5番の「研究開発・創薬」の部分をごらんいただきますと、「薬剤耐性微生物に対する予防・診断・治療手段を確保するための研究開発を推進」ということも示されておりますので、これを踏まえて今般、提案させていただくものでございます。
 続きまして、8コマ目、品目要件についてでございます。中医協での御意見でございますけれども、1つ目のポツ、「先駆け審査指定制度の対象品目」は該当すると思われるが、それ以外は具体的な事例が示されない限り判断が難しいという御意見です。
 また2つ目のポツにありますとおり、現行の「新規作用機序医薬品の革新性・有用性の基準」の考え方から、「市販後に革新性・有用性の高い効能を追加した医薬品」や「有用性が新薬創出等加算品と同程度と考えられる新規作用機序医薬品」を対象とすることの検討は妥当という御意見があったところでございます。
 そこで、「対応の方向性」でございますけれども、まず、以下の品目を品目要件に追加してはどうかということで、先駆け審査指定制度の対象品目、それから、薬剤耐性菌の治療薬というものを挙げさせていただきました。
 また、2つ目のポツですけれども、効能追加を行ったもののうち、革新性・有用性を有するものを評価することにつきましては、後ほど、効能追加等による革新性・有用性の評価に関する項でも御説明いたしますけれども、新規収載時と全く同じ基準とすべきではないという御意見があったこと、また、新薬創出等加算対象品目を比較薬とする場合の薬価算定の方法とあわせて考えるべきという意見があったことを踏まえて、検討することとしてはどうかと考えております。
 また、3つ目のポツですけれども、これらの追加される要件につきましては、令和2年度改定以降に保険収載または効能追加されたものに適用することとしてはどうかという提案でございます。
 9コマ目及び10コマ目につきましては、現行の品目要件について、参考でお示ししております。
 11コマ目でございます。先般の薬価専門部会におきまして、新薬創出等加算の品目要件と企業要件の棲み分けを整理すべきではないかという御意見がございましたので、考え方を整理したものでございます。
 具体的には下にございますけれども、1つ目の矢羽根にございますとおり、品目要件につきましては、真に有効な医薬品を適切に見きわめてイノベーションを評価し、研究開発投資の促進を図るために、真に革新性・有用性のある医薬品に限定する趣旨と理解しております。
 すなわち、革新性・有用性の高い品目を、複数の切り口で判断しているものと整理しているところでございます。
 一方、企業要件につきましては、企業がさらなる革新的新薬開発やドラッグ・ラグの解消に取り組むインセンティブとするため、それらの実績あるいは取組みを評価するものと整理しております。
 このように、品目要件と企業要件につきましては、考え方が明確に異なっておりますけれども、結果として、両方の要件に関わる品目も出てくるということと理解しているところでございます。
 続きまして、長期収載品の段階的引下げまでの期間の在り方及び長期収載品の薬価等の見直しについてでございます。
 13コマ目をごらんください。中医協におきましては、後発品への置き換えが進んでいる品目では、段階的引下げまでの時間を短縮することを検討すべきではないかといった御意見です。
 また、後発品への置き換えが進んでいない品目では、価格差が縮まることによって置き換えが進まなくなる点や企業動向・影響などを踏まえて慎重に検討すべきではないかという御意見です。
 それから、一番下のポツですけれども、Z2での置き換え率の基準値については、直近の後発品の使用割合を踏まえて設定する必要があるのではないかという御意見があったところでございます。
 それを踏まえまして、「対応の方向性」でございます。
 まず、後発品上市後10年を経過する前であっても、後発品への置き換え率が80%以上となった場合は、その2年後の薬価改定時に再度置き換え率が80%以上となっていることを確認した上でG1の対象としてはどうかと考えております。
 それから、2つ目のポツです。直近の後発品への置き換え率を踏まえて、Z2及びCにおける置き換え率の基準である「40%未満」「40%以上60%未満」「60%以上80%未満」の区分につきましては、それぞれ「50%未満」「50%以上70%未満」「70%以上80%未満」に引き上げてはどうかと考えております。
 また、G1・G2・Cにより大きな影響を受ける一定の品目・企業に対しては、前回改定同様に円滑実施措置を行ってはどうかということを考えているところでございます。
 14コマ目は、現行のG1・G2・Cのルールです。
 15コマ目は、前回の円滑実施係数と円滑実施措置の内容を参考までに記載してございます。
 続いて、16コマ目から、イノベーションの評価についてでございます。
 17コマ目をごらんください。効能追加等による革新性・有用性の評価等ということでございますけれども、いくつかの御意見がございました。
 まず、効能追加等による革新性・有用性の評価につきまして、1つ目のポツですけれども、市販後の効能追加によって市場拡大することを考慮すれば、効能追加の評価は、新規収載時と全く同じ基準ではなく、新規作用機序による既存治療に対する有用性が客観的に示されている場合などに限定して行うべきという意見がございました。
 また、収載後の3加算の併算定につきましては、小児や希少疾病に係る効能追加に関する評価と真の臨床的有用性の評価は、その趣旨が異なることから、併算定を認めてはどうかという御意見です。
 また、製剤工夫以外による有用性の評価等につきましては、2つ目のポツですけれども、製剤工夫以外による治療負担軽減や治療の質の向上に資するものを評価することは理解できるという意見があった一方で、その次のポツですが、キット加算と有用性加算を統合して、有用性加算の対象を拡大すると、総じて薬価が引き上げられることになることから、2つの加算を統合するべきではないという御意見があったところでございます。
 これらを踏まえまして、18コマ目に「対応の方向性」をまとめております。
 まず、効能追加のうち、新規作用機序により高い革新性・有用性が示されたものにつきましては、薬価の引上げではなく、新薬創出等加算の品目要件として評価することとしてはどうかということでございます。
 それから、市販後に真の臨床的有用性が検証されたことによる加算と小児または希少疾病に係る効能等を追加したことによる加算は併算定を可能とすることを検討してはどうかということです。
 それから、製剤工夫以外の方法による治療の質向上、リスク低減等のうち、有用性加算(II)の「ハ.治療方法の改善」の要件に相当する事例、例えば、既存治療で必要とされる、血中濃度のモニタリングのような検査等が不要になることによる著しく高い利便性などにつきましては、同加算で評価され得ることを明確化してはどうかということを御提案させていただきます。
 今御説明した点につきましては、19コマ目に補足の説明がございます。有用性加算(II)の要件をごらんいただきますと、イ、ロ、ハ、ニとございます。このうち、ハの要件とニの要件を、ポイント制に細分化した要件項目も含めて記載させていただいております。
 このうち、ハのcの項目をごらんいただきますと、「既存の治療方法に比べて効果の発現が著しく速い若しくは効果の持続が著しく長い、又は使用に際しての利便性が著しく高い(製剤工夫によるものを除く)」といった要件項目がございます。
 すなわち、現行におきましても、既存薬と異なり薬物治療モニタリングが不要になるような場合につきましては、このハの要件を満たすと考えられるところでございますけれども、そうした患者、あるいは医療従事者の負担軽減に資するものについては、加算の要件に該当するということを、例えばQ&Aなどで明確化してはどうかという趣旨でございます。
 続きまして、20コマ目から、薬価算定方式の妥当性・正確性の向上でございます。
 21コマ目、新薬創出等加算対象品目を比較薬とする場合の薬価算定についてでございます。
 1つ目のポツにございますとおり、比較薬と1日薬価を合わせて算定することは市場での公正な競争を確保する意味で、薬価制度の基本となる考え方という意見があったところではございます。
 「対応の方向性」のところに書かせていただいておりますけれども、その他の意見といたしましては、(1)で書いてございますとおり、当該品目の上市時点における比較薬の累積加算額を算定時に控除することとしてはどうかという御意見。
 それから、(2)にありますとおり、収載後、一定期間が経過するまでの間に、新薬創出等加算の対象となる効能追加等がなければ、当該品目の上市時点における比較薬の累積加算額を控除することとしてはどうかといった、2つの意見があったところでございます。
 したがいまして、改めてこれらを踏まえて、御意見をいただければと考えているところでございます。
 22コマ目は、いわゆる新薬創出等加算対象品目を比較薬とする場合の薬価算定に係る現行ルール、類似薬効比較方式(II)あるいは類似薬効比較方式(I)の価格推移のイメージ図を示しております。
 また、23コマ目には、9月11日にお示しした資料でございますけれども、例えば、類似薬効比較方式で算定された新薬につきまして、2018年4月~2019年5月の間に、類似薬効比較方式(I)で算定された52品目のうち、新薬創出等加算の対象外であり、かつ比較薬が新薬創出等加算対象だったものは11品目であったということです。
 それから、これら品目の比較薬については、平均して3回、新薬創出等加算を受けており、比較薬との間で平均で9~11%、最大で17%の価格差が生じることとなるというデータをお示ししております。
 また、24コマ目におきましては、上の枠囲みの2つ目のポツにありますとおり、過去5回の薬価改定時に、希少疾病に係る効能追加等、小児のものは除いておりますけれども、これにより収載後の加算の対象となった38品目のうち、収載時、類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定されたものは13品目であるということです。
 これについては、一番左下の表に記載してございます。
 この13品目について、収載後に加算を受けるまでの年数を右側に書いてございますけれども、4年以内に約4割、6年以内に5割強が加算を受けているというデータを示させていただいたところでございます。
 続いて、25コマ目でございます。今度は原価計算方式についてでございます。
 まず、開示度につきましては、中医協では、原価の開示が難しいという理由で前回改定で改正した基準を変更するのは適当ではないといった御意見。
 それから、開示度を高めていくことが前提であるが、一定の限界があるのも事実であり、開示できないことの妥当性を確認してはどうかといった御意見があったところでございます。
 また、バイオ医薬品における一般管理販売費率の上限につきましては、市場規模予測や当該企業の収益性などを加味しつつ、研究開発費だけで一般管理販売費の上限を上回る場合などに限定して、一般管理販売費の上限を超えることを認めてはどうかという御意見があったところでございます。
 これを踏まえまして、「対応の方向性」でございますが、開示度に応じて加算率に差を設けることについては、現行の取扱いを継続することとし、引き続き開示度の向上の方策について検討してはどうかと考えております。
 また、バイオ医薬品につきまして、研究開発費だけで一般管理販売費の上限を超えており、かつ開示度が80%以上で、その妥当性が確認できる場合には、希少疾病用医薬品や一部の化学合成品と同様に、一般管理販売費の上限を引き上げてはどうかと考えているところでございます。ただし、推定市場規模が一定以下の場合に限ることもあわせて考えてお。おります
 続いて、27コマ目、配合剤の特例及び比較薬の選定につきましては、中医協での御指摘の内容を踏まえまして、「対応の方向性」を整理しているところでございます。
 「対応の方向性」ですが、まず、3成分以上が含まれる新医療用配合剤について、単剤がない成分があるが当該成分を含む配合剤がある場合にも、新医療用配合剤の特例の対象とすることとしてはどうかということでございます。
 それから、比較薬の選定に関しましては、臨床的位置づけ等の医療実態が類似している事例を集積した上で、比較薬の判断基準として妥当か今後検討してどうかということでございます。
 続いて、28コマ目、再生医療等製品の価格算定でございます。
 まず、貯蔵・流通経費及び独自の算定体系については、中医協での御指摘を踏まえて、「対応の方向性」のところにまとめさせていただいております。
 具体的には、再生医療等製品については、流通経費を精査した上で、係数を用いた額よりも低い場合はその額を用いて算定することを検討してはどうかということが1点目です。
 それから、独自の算定体系につきましては、再生医療等製品の算定事例を集積した上で、独自の算定体系をつくるかどうかを含め引き続き検討することとしてはどうかということを記載させていただいております。
 続きまして、29コマ目、再生医療等製品の収載時の補正加算及び条件・期限付承認後に改めて承認を受けた再生医療等製品の評価についてでございます。こちらにつきましても、中医協での御指摘の内容を踏まえ、「対応の方向性」を整理させていただいております。
 まず、1つ目のポツでございますが、補正加算前の価格が1000万円を超える著しく高い再生医療等製品であって、推定市場規模が一定額を超える場合は、既収載品の薬価改定時の加算における傾斜配分等のルールを参考に、補正加算の加算率をその価格に応じて傾斜配分することとしてはどうかということでございます。
 それから、2つ目のポツです。条件・期限付承認を受けた再生医療等製品が改めて承認を受ける際に、初回承認時には明らかでなかった医療上の有用性が客観的に示された場合には、改めて補正加算の該当性について評価することとしてはどうか。また、この際、現行の収載後加算と同様に、傾斜配分を行うこととしてはどうかということでございます。
 それから、3つ目でございますが、流通の混乱等を生じさせないことを前提に、条件・期限付承認を受けた再生医療等製品の薬価を「条件・期限付承認時価格」と呼称することとしてはどうかという御提案でございます。
 続きまして、後発医薬品の薬価の在り方についてでございます。31コマ目をごらんください。
 まず、新規後発品の薬価につきましては、1つ目のポツにありますとおり、安定供給という側面を考慮すると、全ての新規後発品の薬価を0.5掛けから、例えば0.4掛けにするのは慎重な検討が必要という御意見があったところでございます。
 また、価格帯につきましては、加重平均は行っているわけですけれども、価格帯集約により薬価が大幅に引き上げることは問題である。価格帯を少し増やす方向での検討があってもよいのではないかといった御意見です。
 また、関係業界の提案を事務局で整理して、議論すべきといった御意見があったところでございます。
 これを踏まえまして、「対応の方向性」でございますが、新規後発品については、先発品の薬価に0.5を乗じた額とすることを継続してはどうかということを提案させていただきます。
 また、価格帯の集約により薬価が大幅に引き上げることを抑制するため、価格帯の増加を含め、必要な方策を導入してはどうかということでございます。これは、G1・G2品目に係る後発品の価格帯の集約についても同様と考えております。ただし、価格帯が増加する場合については、今後の集約について引き続き検討することとしてはどうかということも、あわせて記載させていただいております。
 具体的な案のイメージを32コマ目にお示ししております。価格帯集約により、改定後薬価が改定前薬価より高くなるケースとしては、主として2つございます。
 1つ目は、当該品目が上の価格帯に移行した場合です。
 それから、2つ目としては、上の価格帯から降りてきた品目によって、当該価格帯の加重平均値が引き上がる場合がございます。
 そこで、以下の対応○1、○2を適用して、価格帯の集約によって薬価が引き上がることを抑制してはどうかということでございます。
 まず、対応○1でございますけれども、上の価格帯に上がることで、薬価が引き上がることを抑制するということで、下に模式図をお示ししておりますけれども、先発品の実勢価が下がって、もともと先発品の価格を基準に30%と50%でグルーピングの境界値をつくっているわけですけれども、その境界値が下がり、実勢価改定後薬価が上の価格帯に相当することとなった場合でも、価格が引き上げる場合は、元の価格帯に含めるということでございます。
 下の改定前薬価のところに、オレンジの矢印で書いてございますけれども、50%の境界値が下に下がってきて、改定前薬価Bだったものの製品の一部が、実勢価改定を踏まえると上の価格帯に入ってしまうような場合には、その上の価格帯に含めずに元の価格帯に含めて計算するということでございます。
 今、模式図としては、改定前薬価Bについて記載しておりますけれども、改定前薬価Cについても同様ということでございます。
 それから、右側の対応○2でございますけれども、価格が引き上がるものは別途加重平均を行い、価格帯を分けるということでございます。
 具体的には、上の区分から降りてきた品目により、加重平均値が引き上がるケースについては、改定前薬価が加重平均値よりも低い品目のみで別途加重平均を行うということでございます。下にイメージ図がございますが、改定前薬価Aの一部の製品の実勢価が非常に低く、改定前薬価Bの真ん中の価格帯のグループに落ちてきたということになると、この改定前薬価Bのグループの加重平均値が引き上がる可能性があるということでございます。
 そこで、その右側にオレンジで書いてございますとおり、改定前薬価が加重平均値B-1よりも低い品目については、その品目のみで加重平均をして、新たに加重平均値B-2をつくってはどうかということでございます。
 この場合には、記載しておりますとおり、価格帯は4つに分かれることになるわけでございます。
 上の2つ目のポツに戻りまして、なお、今申し上げた○2により価格帯が増加するということ、それから、中間年の改定を考えますと、中間年の改定を受けるものと受けないもので、さらに価格帯が分離され得ることを踏まえまして、中間年改定の次の通常改定における価格帯の集約については引き続き検討してはどうかと考えているところでございます。
 それから、33コマ目は、後発バイオ医薬品の取扱いでございます。バイオAGの収載時薬価、それから、バイオAGが収載された先発バイオ医薬品の取扱いにつきまして、御指摘の内容を踏まえて、「対応の方向性」を整理しております。
 まず、バイオAGの収載時薬価につきましては、これまでどおり、バイオシミラーと同様に先発品の薬価の0.7倍とすることとしてはどうか。
 それから、バイオAGが収載された場合は、先発バイオ医薬品をG1/G2の対象とすることとしてはどうかということでございます。
 続いて、再算定についてでございます。35コマ目をごらんください。
 まず、過去に再算定を受けた品目への対応につきましては、中医協での御指摘を踏まえまして、「対応の方向性」を整理しております。
 まず、1つ目でございますが、前回の再算定の際に下止めの対象となった品目につきまして、再び市場規模が拡大し、改めて市場拡大再算定の対象になった場合には、前回の市場規模拡大が下止めの水準を超過した程度を踏まえて、今回の再算定の計算時における市場規模拡大率の値を拡大した上で再算定を行うこととしてはどうかという提案でございます。
 それから、2つ目でございますが、市場拡大再算定と同様に、過去に用法用量変化再算定、市場規模が変化するものに限るわけでございますけれども、この再算定を受けた品目についても、それ以降に市場拡大再算定の適用の是非を判断する際は、前回の再算定時点における年間販売額を基準にすることを明確化してはどうかという御提案でございます。
 続きまして、36コマ目、主たる効能の変更への対応ということでございます。この点につきましては中医協におきまして、類似薬より著しく1日薬価が高く、治療効果や臨床的位置づけが大きく変わらない品目については、何らかの対応が必要であること、また、薬価上の対応のほか、最適使用推進ガイドラインや留意事項通知も含めて検討すべきという御意見がございました。
 また、公平性、妥当性、現行ルールとの整合性を踏まえて検討すべきといった御意見、そして、四半期ごとの対応につきましては、医療機関、流通等に大きな負担がかかるので、一定の品目に限定すべきという御意見があったところでございます。
 これを踏まえまして、「対応の方向性」でございますが、効能追加により主たる効能効果が変更される場合であって、変更後の主たる効能効果に係る既存薬と比較して著しく1日薬価が高く、市場規模が著しく大きくなると考えられる場合は、効能追加に係る開発を阻害しないよう十分配慮しつつ、薬理作用類似薬がない場合であっても現行の効能変化再算定と同様の再算定を行う特例を設けてはどうかと考えております。
 37コマ目に、具体的な案のイメージを示させていただいております。
 下に「対応の方向性(案)」と記載しておりますけれども、変更後の主たる効能効果と同一または類似する効能効果を有する既存薬のうち、治療上の位置づけ等が類似するものを参照薬と定義いたしまして、その参照薬の1日薬価と比較して1日薬価が著しく高く、かつ当該参照薬の市場規模が一定以上の場合に、参照薬の1日薬価に近づくよう薬価を再算定する特例を設けてはどうかということでございます。
 また、財政影響が大きくなる場合は新薬収載の機会も活用して再算定を行うこととしてはどうかということでございます。
 対象となる医薬品の範囲の考え方でございますけれども、案としてお示ししております。
 まず、1つ目の考え方としては、1日薬価が参照薬の1日薬価と比べて著しく高いということです。例えば10倍以上ということが考えられるかと思います。
 また、参照薬の市場規模が一定額以上であることです。例えば150億円以上といったことが考えられます。
 それから、3つ目としては、主たる効能効果の変更に伴い対象患者数が現に使用されている患者数から著しく拡大することです。例えば10倍以上が考えられると思います。さらに、一定数を上回る患者に使用され得るということで、例えばオーファンドラッグの患者数の目安であります5万人以上ということを考えているところでございます。
 「ただし」として、革新的な効能追加等への配慮という意味では、変更後の主たる効能効果が根治的治療法に該当するもの、あるいは生命に重大な影響のある重篤疾患に対するもの、あるいは指定難病、血友病または抗HIVの効能を追加するものは除いてはどうかという御提案でございます。
 再算定の方法でございますけれども、参照薬の1日薬価に近づくよう薬価を再算定するということでございまして、変更後の効能効果の市場規模が変更前と比べて大きいほど、変化の程度を増加させるということでございます。
 具体的な式としては、右下にグラフがございますけれども、例えば変更前1日薬価が4,000円だったものに対して、参照薬の1日薬価が200円だと仮定いたしますと、まず、4,000円と200円のところでこの青の斜めの直線を引きます。その上で、横軸に変更後の市場規模割合をとっておりますけれども、変更後の市場規模割合は効能追加した先の市場規模の割合が70%ということであれば、この70%のところのこの直線にぶつかったところを薬価とするということです。この場合ですと、例えば1,340円になります。こういった考え方ということでございます。
 38コマ目には、現行の効能変化再算定のルールを参考としてお示ししております。
 それから、39コマ目からは、その他でございます。
 まず40コマ目、基礎的医薬品への対応への在り方でございます。
 1つ目のポツにございますとおり、基礎的医薬品は不採算品再算定や最低薬価に至る前の薬価を下支えする趣旨で要件が明確化されており、この要件の緩和については慎重な対応が必要という御意見がありました。
 そのほか、流通の実態について、いろいろと御意見があったところでございます。
 これを踏まえまして、基礎的医薬品の薬価算定上のルールについての「対応の方向性」としては、今後の不採算品再算定や流通の状況等を踏まえて、引き続き検討することとしてはどうかと考えているところでございます。
 それから、最後の41コマ目、2020年度改定における実勢価の反映でございます。中医協では、10月改定後の薬価調査では正確な実勢価が把握できず、また予算編成にも間に合わないので、改定前の薬価調査を踏まえて改定を行うのは理解できるといった御意見があったところでございます。
 これを踏まえまして、「対応の方向性」としては、2020年度薬価改定は、本年度の薬価調査で得られた市場実勢価格を踏まえて、これまでと同様に行うこととしてはどうかと整理させていただきました。
 説明は以上でございます。
○中村部会長
 どうもありがとうございました。
 ただいまの説明を踏まえ、御質問等がありましたらお願いいたします。
 では、松本委員、お願いします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 まず、5ページ目でございますけれども、6ページ目のところでA-2とA-3ということで出ていますけれども、今回、企業指標として申請することが提案されたA-3について、既存のA-2とは別に独立して評価することに対しての改めての説明と、A-3は収載実績の品目数ではなくて、ここだけは実績としてポイントが提案されている点の理由をまず教えていただきたいと思います。
○中村部会長
 では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
 まず、A-2につきましては、関係業界からも革新的な品目の開発をしているといった実績
がこの企業指標の中で反映されておらず、新薬収載実績の数だけが企業指標となっているということで、企業規模によって不公平感があるのではないかという意見があったところでございますので、A-2の要件で、革新的な新薬とそれ以外の新薬について重みづけをした上で、傾斜配分をした上でカウントするようにしたというのが1点目です。
 さらには、これだけですと規模が小さいながらも革新的医薬品をそれなりに創出している企業のポイントが上のほうにはなかなか上がってこないということも想定されましたので、A-3ということで、直近過去5年間の革新的医薬品の収載実績があれば、それについても改めてポイントを与えることとしたということでございます。
 A-2のほうは、あくまでも相対評価になってございますので、それだけでなくてA-3のところで実績としてもポイントとして計上することを、今回提案させていただいたということでございます。
○中村部会長
 では、松本委員、お願いします。
○松本委員
 大きな企業のみに有利にならないような緩和策ということで理解していることでよろしいでしょうか。
○田宮薬剤管理官
 そういう趣旨でございます。
○中村部会長
 松本委員、どうぞ。
○松本委員
 続いて、C-2のところです。1点目は、また質問ですけれども、今回、薬剤耐性菌の治療薬の収載実績を企業要件に加えた場合に、これが前例となって、今後、評価対象が次々に拡大していく可能性はないのでしょうか。例えば、以前は開発要請を受けた企業等であれば企業要件を満たしていたわけですけれども、前回の薬価制度抜本改革では、我が国の製薬産業をより高い創薬力を持つ産業構造に転換するために、革新的新薬の開発の達成度等に応じた評価に変更したものですので、評価対象を次々に拡大して改定前の企業要件に逆戻りするようなことにはならないようにお願いしたいと思っています。
 2点目は薬剤剤耐性菌という特定の薬効のみを評価することで、企業に偏りが生じて不公平が生じることはないのでしょうか。
 その2点について説明をお願いいたします。
○中村部会長
 薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
 今般、薬剤耐性菌の治療薬を企業要件としたという点につきましては、7コマ目で御説明いたしましたとおり、国際的あるいは政府としても、特にAMR対策について、積極的に政府一丸となって取り組んでいるといった事情がございましたので、特にそういった開発が求められているといったことを踏まえて、提案させていただいたものでございます。従来の企業要件のような開発、要請したものを全て対象に入れていくということではなくて、こういった特別な事情があるといいますか、要請やニーズがあるというものを踏まえて、今回、提案させていただいたというものでございます。
 それから、この薬剤耐性菌という特定の薬効のみを評価することで、企業の偏りが生じ不公平が生じることはないのかといった御質問でございますけれども、ここがまさに今回、企業指標として入れさせていただいたこととも関係するところでございまして、薬剤耐性菌に対する治療薬というのは、どちらかというと、現在、開発に取り組む企業がほとんどない、開発が進んでいないというところが問題になっていると思っております。
 そういった意味では、この指標に入れることで企業に偏りが生じるということよりも、この開発に取り組んだことを評価するということを位置づけることで、開発のインセンティブをかけるといった位置づけがあると考えております。また実際、なかなか開発が進まないという背景としては、AMR対策の治療薬というのは、医療現場で患者さんを非常に慎重に限定して、それに対する耐性菌が出ないように慎重に使うということで、恐らく市場規模は非常に小さいことが想定されるところでございますので、こういったことから、品目要件だけでなく企業指標にも追加して、インセンティブをかける必要があるのではないかと考えた次第でございます。
○中村部会長
 どうぞ。
○松本委員
 次々に新たな薬効群を追加するという意図ではないということで、明確でしてよろしいでしょうか。
○田宮薬剤管理官
 今般の考え方は、そういうことを背景に導入したものではないということでございます。
○松本委員
 続いて、8ページ目になりますけれども、1つ目の提案に従って品目要件を拡大した場合に、その影響について定期的に検証し、影響が大きい場合には適宜見直しを行うなどの対応もあわせて行うことを提案したいと思います。
 それから、13ページ目ですが、1つ目の提案につきましては、後発品への置き換え率が80%を超えた時点ですぐにそのG1の対象とすることも考えられますが、その2年後に再度80%以上となっていることを確認する理由はどういうことなのでしょうか。そこをもう一度お願いいたします。
○中村部会長
 薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
 現状は、G1・G2のルールにおきましては、G1・G2の対象となる時期というのは、後発品上市後10年を経過した時期と明確化されておりますので、その長期収載品の企業からすると事前にわかるわけですけれども、今回、その期間を早めるという案につきましては、置き換え率がどれぐらいいくかというのがなかなか見通せるわけではないので、そういった意味では長期収載品の企業からすると、予見性が非常にわかりづらいという側面があると考えております。
 G1の対象となる先発品企業に関しましては、現行のG1・G2ルールにおきましても置き換え率が80%を超えた場合に後発品企業に市場を譲る、いわゆる市場からの撤退も認めており、撤退すべきかどうかの判断を前もって行うということがG1・G2ルールでは可能なわけですけれども、そういったことが突然、後発品の置き換え率が80%を超えた時点ですぐG1が適用されてしまうことになりますと、長期収載品を有する先発品企業での、撤退すべきかどうかという判断を行う期間が非常に限定されたり、あるいは撤退する場合には事業譲渡の検討や、後発品企業での増産対応の計画といったことも必要になることも考えられますので、80%の置き換え率を超えて即時にG1の対象とするというのは、非常に難しいのではないかと考えているところでございます。
 その結果、この点を踏まえまして、2年間猶予してみてはどうかということでございます。
○松本委員
 わかりました。後の2つのところについては了承いたします。
 18ページ目ですけれども、1つ目の提案は薬価を上げるのではなくて維持するために新薬創出等加算の対象とする案ですけれども、効能効果の範囲を限定すること、例えば同じ領域ではない場合に限るなど、新薬創出等加算の期間の考え方など、提案された内容を見て判断したいと思います。
 また、3点目の、例えば既存治療で必要とされる検査等が不要になることによる利便性の向上等は、これは10月23日の部会でも述べたとおり、加算として評価しなくても、市場シェアを獲得するという形で十分評価されるのではないかと考えますけれども、この提案は加算の範囲の拡大を意味しているのでしょうか。
○中村部会長
 薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
 では、お答えいたします。
 先ほども御説明させていただきましたけれども、今般の御提案は、加算の要件を拡大するということではなくて、実際に治療法、例えば事例で申し上げましたけれども、既存治療で必要とされる検査等が不要になるような場合ですと、現行の有用性加算(II)のハの要件にも該当し得るということでございますので、そういったことを例えばQ&Aなどで明確化するという趣旨でございまして、対象を拡大するという趣旨ではございません。
○松本委員
 わかりました。
 それでは、21ページ目ですが、9月11日の薬価部会でも発言させていただいておりますが、類似薬効方式によって、比較薬と1日薬価をあわせて算定することは、市場での公正な競争を確保するという意味でも、これまで積み上げてきた薬価算定ルールの基本となる考え方だと思います。また、比較薬とされた新薬創出等加算の対象品目は、いずれ累積加算額が控除されることになります。
 こうしたことを考えると、(2)の提案にすべきと考えます。
 続きまして、25ページ目ですが、開示度に応じて差をつけても割引されることを前提として企業が価格を提示することなども考えられ、加算係数を変えても効果は薄いことが想定されます。導入したばかりであり、もう少し様子を見ることでよいのではないかと思います。
 ただし、世界に先駆けて承認されたファースト・イン・クラスの薬では、オプジーボのように海外の価格を参照することもできませんので、開示できないことの妥当性を特に慎重に判断してもらいたいと思います。
 また、粘り強く開示を求める国の姿勢も必要だと思いますので、そうした対応を要望いたします。
 2つ目の提案につきましては、ただし書きがついておりますので、これでよろしいかと思います。
 それから、27ページ目ですけれども、2つ目の提案に対してですが、臨床的位置づけについて検討することで、比較薬の選定をより幅広にするといったことは理解いたしますけれども、次回改定で対応するのではなくて、今後の課題として事例が集積するのを待つべきと考えます。
 加えて今後の検討として、薬価算定組織が用いる判断基準として、比較薬はもう少し具体的でわかりやすい群としてどうかと思います。
 1つ目の提案については了承いたします。
 28ページ目のところは、いずれも了承いたします。
 それから、29ページ目のところですが、2つ目の提案につきましては、初収載時と同じく薬価算定組織と事務局による評価結果を報告の上、中医協で審議するように求めます。
 31ページ目ですが、0.5掛けの継続については、次期改定以降さらなる引き下げの検討をすることを前提に了承いたします。
 ここで、経済課長にお尋ねしますけれども、前回改定以降、ジェネリックメーカーの統合・再編は進んでいるのでしょうかということを、2017年4月に、当時の中川委員からお伺いしたときには、それほど進んでいないと思うとの回答をいただきましたけれども、現時点での状況をまず教えてください。
○中村部会長
 では、経済課長、お願いします。
○林医政局経済課長
 経済課長でございます。
 直近の29年度末の状況でございますが、後発医薬品の承認を有する企業は大体200社ございます。
 状況ですけれども、9品目以下しか承認を得ていないような、少ない品目の企業が84社、19品目以下が116社で6割を超えておる一方で、200品目以上の品目を承認している企業が15社で1割弱と、一部の企業に集中している状況でございます。
 正直申し上げて、この企業数自体は過渡期ということで、大きな再編は進んでいないという状況でございます。
 これまでも品目数、銘柄数が多過ぎるということは、中医協の場でも、るる御指摘いただいたことは認識しております。安定供給という観点に立ちますと、製造品目数が少なく、経営の安定性という意味でも必ずしも高くないと思われる企業は多数存在する現状というのは、必ずしも望ましい状況ではないという認識は持ってございます。
 特に同一の製造所で製造された同一製剤を複数の企業が別銘柄で販売することにつきましては、この中医協の場でも御指摘をいただきましたので、こういったことにつきまして、安定供給上も必ずしも望ましいことではないと認識しておりますし、医療現場と流通現場でも混乱を招きかねない問題でもあると思っておりますので、今後、経済課として、業界としてこういった問題についてどんな対応が可能なのか、働きかけなども含めて考えていきたいと思っております。
○松本委員
 まだ過渡期にあるというお話でしたけれども、具体的な方法については言及していなかったように思いますが、そもそも仕方なく価格帯をつくっていますけども、後発品の数を減らす方策や、後発品企業がさらに再編・統合を進める方策について、もう少し突っ込んだお答えを聞かせていただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
○中村部会長
 では、経済課長、お願いします。
○林医政局経済課長
 若干お答えが繰り返しになるところもありますが、特に同一の製造所で同一製剤を複数企業が別銘柄で販売する。共同開発等々、特に言われているものにつきまして、こういったものについてまずは対処が必要だと考えておりますので、そういったことについて、安定供給を確保するという観点からそういったことを改善ができないか、業界に対して働きかけを行っていきたいと考えております。
○松本委員
 後発品への信頼感をさらに高めていくことに対しては、やはり後発品メーカーの統合・再編で、しっかりとしたメーカー数社が中核になって、後発品の製造、流通を支えていくことはぜひ必要なことだと思いますので、その辺の努力を今後、厚労省にさらに求めたいと思います。
 それから、価格帯のことですけれども、価格帯ごとに加重平均をするということがそもそもの問題点かと思いますので、この辺は価格が引き上げられる品目もあるということから、価格帯をある程度維持しながら加重平均をやめて、それぞれの価格帯の最低薬価に合わせることが必要かと思いますけれども、それに対してはいかがでしょうか。
○中村部会長
 薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
 御指摘ありがとうございます。
 まず、今御指摘がありました加重平均をすることについてですが、基本的に薬価というのは、個々の製品についてはそれぞれ市場実勢価格に基づいて改定するわけですけれども、加重平均をするということ自体は、いわば財政中立で価格帯を集約するということであり結果的に価格の上がるもの又は下がるものが出てきてまいりますけれども、その市場実勢価格を踏まえた薬価算定という意味では、そうした基本的な考え方との整合性が取れていると思っているところでございます。
 一方、今御提案のありました、価格帯の中で一番下のものに合わせるということになりますと、例えばそれよりも上の価格、すなわち実勢価が高かった品目に関して言いますと、自分の実勢価ではない値に薬価を合わせられることになってしまいますので、これまでの考え方からすると、そこは考え方とは外れているところもございますので、その点につきましては、もちろんルールとしてどうするかということではございますけれども、慎重な検討が必要かと考えております。
○松本委員
 そもそも自分の価格ではないところに合わせるという意味では、加重平均をとっても結局みんなそうなるのではないでしょうか。
 また、Bのところを2つに分けるのはそれでいいとして、問題になるのはCのところだと思います。財政中立ということもお話しいただきましたけれども、価格帯を今回は4つにしていますけれども、これも過渡期と言うと失礼になりますけれども、価格帯を分けて最低薬価に合わせれば、それなりの緩和策になっているのではなかと思いますけれども、これについてはいかがでしょうか。
○中村部会長
 薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
 実際のところ、価格帯Cのところにつきましては、もう30%以下のところの価格になってございますので、ここの価格がもし引き上がるとすると、改定前薬価Bから落ちてきた品目がある場合ということになりますけれども、改定前薬価Cの品目も多数ある中で上から落ちてきたということなので、そこで仮に上がるようなことがあったとしても、その程度というのは、これまで御指摘いただいているように大幅に引き上がるという状況ではないのではないかと思っているところでございます。
 また、この改定前薬価Cに関して言うと、すでにいろいろな品目がある中で、価格帯だけでなくて薬価基準上も統一名収載ということで、一つの価格、一つの品目として薬価基準に収載しているところでございますので、そういった観点からも、そこの部分が極端に上がるといったような状況ではないのではないかと考えております。
○松本委員
 後発品の製造、流通を進めていくという意味では、 この辺のところをしっかりとしないと進まないと思いますので、ぜひ検討すべきだと再度提案いたします。
○中村部会長
 ほかはいかがでしょうか。
 では、吉森委員、お願いします。
○吉森委員
 ありがとうございます。
 5ページの「対応の方向性」については、今までの議論の中で出たものをまとめていただいたということで理解はできます。ただ、企業要件・企業指標のコンセプトが前回改定で出されたと思うのですが、そのことについて確認させていただきたいと思います。
 前回、製薬企業がさらなる革新的新薬開発、ドラッグ・ラグ解消等々に取り組むためのインセンティブとしてそれらの実績、取組を評価し、指標を作りました。Aは革新的新薬創出の実績・取組、Bはドラッグ・ラグの解消の実績・取組、Cは世界に先駆けた新薬の開発に関するものという区分にしたと理解しておりますが、その指標の達成度に応じて加算にめり張りをつけたということでよろしいですよね。
○中村部会長
 薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
 そういう考え方でございます。
○吉森委員
 そうならば、今回の2つ目に、薬剤耐性菌の治療薬の開発実績を評価するという御提案があり、評価自体は反対するものではないですが、これをC-2に入れている意味は何かと疑問に思います。コンセプトから言うと、指標区分は世界に先駆けた新薬開発で、要件も先駆け審査指定制度の指定数としていたと思うのですが、その点の理解はどう考えればいいのですか。
○中村部会長
 薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
 御指摘ありがとうございます。
 確かに前回改定時のときに、AとBとCというところのコンセプトについて、吉森委員の御指摘のとおり説明しておりますので、今回の資料ではC-2に薬剤耐性菌の治療薬を入れておりますけれども、そういう意味では、Aの革新的新薬創出の区分のほうに入れるほうが整合性がとれるのかと思います。
○中村部会長
 吉森委員、お願いします。
○吉森委員
 それも一案なのだと思いますが、今回そもそも耐性菌、AMRを入れたのは、医療政策上求められる治療薬開発の未充足ニーズへの対応にインセンティブをつけるというコンセプトなのだと思うのです。そうであれば、整理して御提案のような区分があってもいいのかなと思います。
 そうすると、薬剤耐性菌の治療薬だけではなく、医療政策上の未充足ニーズへのインセンティブといえば指定難病、小児、希少疾病もあり、考え方としてはそういうものも入れた箱をつくって、そこにインセンティブとして企業の取組を要件にするという考え方もあると思います。
 今回、先ほど説明のあったAMRを入れた意図はわかりましたが、指定難病、小児に対しても同様にそういう考え方はなかったのかどうかについてお聞かせ願えますか。
○中村部会長
 薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
 そういう意味では、業界からの提案なども踏まえつつ、我々のほうで考え方を整理させていただいたということでございますけれども、小児などとの関係に関しましては、別途、小児加算やそういった既存の加算制度などもございますし、また、指定難病のような場合ですと、通常は希少疾病用医薬品という形で対象になるということでございます。
 そうすると、今回の新薬創出等加算対象品目という形で、通常はこの区分に入ってくるのだろうということもございましたので、今回の検討で明示的に新たな要件という形では整理しなかったというところでございます。
○中村部会長
 吉森委員、お願いします。
○吉森委員
 カバー率とか実績から言えば理解できるところですが、そもそも制度というのはコンセプトを整理しルールを明確に運用していくというあり方が正しいと考えていますので、その辺の整理をしっかりお願いしたいと思います。
 次に13ページです。後発品の1つ目の80%以上を確認して対処するのに通常改定の期間である2年間で見るということです。即時で対応するには10年経過しておらず、企業の対応や予見性の問題があることでは理解できますが、通常改定の2年ではなくて中間改定の1年という考え方はないのでしょうか。1年では間に合わないということなのか。その辺は論点にしてもいいのかなと考えます。いかがでしょう。
○中村部会長
 薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
 14コマ目をごらんいただきたいと思います。現行のG1・G2・Cのルールが、2年ごとに価格を引き下げていくような、状況を見ながら考えていくという制度設計になっておりますので、まずは、今回導入するに当たっては、この2年間という形で、状況を見きわめた上で判断するという形が適切ではないかと考えた次第です。
 ただ、もちろん、中間年改定の際にどういうルールを当てはめるのかについては、また中間年改定での議論の際に、いろいろ御意見はあろうかと思っておりますけれども、まだ現時点におきましてはそういう形で整理させていただいたということでございます。
○吉森委員
 わかりました。
 もう一つ、前回の部会で、オーソライズド・ジェネリックが薬価収載された先発品については、Z2やG1・G2の適用までの期間は短縮できるものもあるのではないか、検討してほしいという意見を申し上げたと思うのですが、これについて事務局としては、もう検討に値しないということでここに入れてないのか、それとも検討上で今回は時期尚早という判断だったのか、その辺はいかがなのでしょうか。
○中村部会長
 薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
 説明が不足しており申しわけございませんでした。13コマ目に、専門委員からの御指摘も紹介しておりますが、オーソライズド・ジェネリックというものについては、薬機法上の定義がなく、また、非常にいろいろなバリエーションがあって、薬価制度上もどういうものを定義すればいいのか厳格に定義するのが難しい、あるいは、実際に承認された品目について、明確に網羅的にピックアップするということが難しいという技術的な状況もある、というのが1点ございます。
 一方、以前の中医協でお示しさせていただいたとおり、オーソライズド・ジェネリックが出ているものについては、結果として、後発品への置き換えがどんどん進んでいるという状況がありますので、10年を待たずに80%を超えたというものでルールを新たにつくることによって、こういったいわゆるAG、オーソライズド・ジェリックが販売されたものについても当然G1・G2の中に入ってくるだろうという考え方のもとに、今回、80%以上のものということで整理させていただいた次第でございます。
○吉森委員
 検討いただいたということはよくわかりましたが、オーソライズド・ジェネリックに対してのあり方や定義を含めて、整理を早急にしていただかないと、他にも影響が出てくる気がしますので、ぜひお願いしたいと思います。
 続いて、21ページです。新薬創出等加算の対象外の1と2の話について、新薬創出等加算の今のルールから言えば、上市時点で比較薬の累積加算を控除して薬価算定するというのは自然な流れかと思います。その対象外であって、その後、効能追加された期間がどれぐらいなのかというのは、データとしてはここにお示しいただいておりますが、その(2)には「一定期間」という形でのお示しをいただいておりますが、この「一定期間」について形はどのように考えればいいのでしょうか。資料によると、4年で何%、6年では50%を超すということがあるのですが、この辺のお考えはいかがなのですか。
○中村部会長
 薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
 ここは御議論があるところだと思いますけれども、例えば収載されてから通常の改定の
3回目の改定までの期間で、それまでの間に効能追加等がなければという考え方はあるのではないかと考えているところでございます。
○吉森委員
 その点は明確にすべきと思います。自然の流れとしては(1)だと思うのですが、回数ではなくて、効能追加は年数として大体どの辺に中央値があるのかについてもある程度納得性のある形にしないといけないと思います。
 そういう意味では、自然な流れをまず進めて、その後追加されるものが開発の過程でどんどん増えているという実態を踏まえるならば、そのようなあり方もあってもいいと考えます。
 次に、25ページです。この開示度は現状維持で対応したいということは理解しますが、開示度の妥当性の確認や開示度向上の方策については、製薬企業さんとも十分な議論が必要だと思いますし、引き続き検討と書かれてはいますが、検討はどこでやるのでしょうか。薬価算定組織でやるのでしょうか。また、引き続きの検討のスケジュール、工程について現時点でどうお考えなのかをお聞かせいただけますか。
○中村部会長
 薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
 今回の改定の中では、そういった方策について具体的な提案というものはお示しできませんでしたので、引き続き関係業界とも意見交換してまいりますし、また、次期改定に向けて、例えば薬価制度改革の引き続きの検討事項と定めた上で、次期改定までにどういうことができるかを検討するということもあろうかと思っております。
○吉森委員
 それは事務局ですか、それとも薬価算定組織にそのようなチームをつくるのでしょうか。それとも、チームはつくらないで、開示度について原価計算したときにその場ごとに議論していくというイメージですか。
○中村部会長
 薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
 具体的なことは、まだ現時点でまとまっているわけではございませんけれども、当然その薬価制度改革の今後の引き続きの検討事項ということにするのであれば、この薬価専門部会の中で議題として議論していくということはあろうかと思っております。
○吉森委員
 データ集積も必要ですし、企業との打ち合わせは、ヒアリングも含めてあり方を相当検討していく必要があると思うので、ぜひ具体的なプランをお願いしたいと思います。
 続いて、28ページについて、再生医療等製品の算定事例の集積、算定体系の策定対応を検討していくという方向性は理解しますが、これも今と同じで、どの組織で誰が音頭をとってどのようなスケジュール、工程でやっていくのか。この辺を具体的に煮詰めて議論が深まるようにしていただきたいと思います。再生医療等製品は、今後ますます出てくると予想しますと、早急に実効性のある対応方針を決めていく必要があると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後は、31ページの後発医薬品の対応方向です。現状を考えれば、0.5掛けについては色々な意見があります。私としては特に異論はないのですが、2つ目の価格帯について意見があります。現行の価格帯集約ルールは、先ほど松本委員からありましたように、後発医薬品の数が非常に多いため、加重平均方法をとらざるを得ないのはよく理解しますし、3価格帯にしたことも理解します。この方法で運営してきた中で、32ページにある対応1、対応2の案でそれぞれ見直したときに、価格が引き上がるようなケースが出てきてしまったことへの対応方法としてこのプランの方向性は理解します。価格帯が増えることはいかがなものかと思いながらも、実勢価格が適切に反映されることを踏まえて、引き上がる価格帯、つまり元々その上の価格帯にあり、上がった場合に従来より価格が引き上がるのを防ぐ方策としては、この1、2のあり方はよろしいかと判断します。ただ、C価格帯も同じように適用するのであれば、C価格帯でも価格が上がってしまうものについては、制度としてはBで適用しているのと同様に対応すべきだと思いますし、1と2のどちらについても、加重平均と全体のところと、上がってしまうような低いところは当然ながら低いところで適用するという方法が、ルールとしては整合性があり妥当ではないかと考えます。
 以上です。
○中村部会長
 ほかの意見はよろしいでしょうか。
 では、有澤委員、お願いします。
○有澤委員
 ありがとうございます。
 まず、21のところの、新薬創出等加算品目の比較薬とする場合の薬価算定であります。
新薬創出等加算対象品目を比較薬として新薬の算定薬価ですが、類似薬効比較方式のこれまでの考え方からすれば、比較薬と1日薬価とをあわせるのが自然と考えます。
 もし収載時に比較薬の累積加算額を控除して薬価算定を行うとすると、23ページの資料にあるように、現時点で比較薬と最大で17%の価格差が生じていて、今後さらに拡大していくという可能性もあります。
 類似薬効比較方式(I)で算定されるということは、薬理作用、類似薬が2品目以下という、比較的新規性の高いものであり、比較薬と収載時薬価をあわせた上で、医療現場における薬物療法の選択肢というものが示され、市場における公正な競争を促す必要があると考えますが、収載時薬価が比較薬と大きく異なると、そのような市場メカニズムが働かなくなるのではないかと考えられます。
 それから、資料の24を見ますと、新薬収載後に希少疾病等に係る効能追加で加算を受けたもののうち、半分以上が6年以内に行っているということがわかりますので、そういった観点からすれば、収載後の一定期間、これを3回の通常改定が行われるまでの間に、新薬創出等加算の品目要件に該当する効能追加がなければ、比較薬の累積加算相当額を控除するといったルールにしたほうが、企業に対する革新的な効能追加のインセンティブにもなり適当ではないかと判断します。
 それから、31の後発品の薬価のあり方で、先ほど吉森委員からも指摘があったように、改定前の薬価Cについて価格帯を分けてもよいかという意見ではありますが、後発品についてはこれまでの中医協の各委員の先生からも、品目数が多過ぎるという議論があり、その中で3価格帯に集約するという方向になったと理解しています。
 確かに価格帯集約により改定前薬価よりも引き上がるという場合がありますので、それを抑制するルールが望ましいとは思いますが、余りにも価格帯がふえるというのはいかがなものかと考えます。
 それから、36から37の再算定であります。考え方としてはおおむねこれでよいと考えますが、革新的な医薬品効能追加でイノベーションに支障が出ないよう、十分に検討した上で要件を設定していただきたいと思います。
 以上です。
○中村部会長
 ほかはよろしいですか。
 では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
 まず、5ページの企業区分ついてですが、現行の区分Iに該当する企業と区分IIに該当する企業が93%を占めているということに、まず問題があると考えています。この分け方が、区分Iは25パーセンタイル、それから区分IIが、IとIII以外のところがこれに値するということで、要は相対評価になっていることから、最下位タイのグループがIIIになって、それ以外はもう全部IとIIになることからこういう結果をもたらしているのではないかと思っています。結果として、9割以上がI、IIに該当することになっていることに問題があると思います。
 今回、企業指標に革新的新薬の収載を追加する等の対応が出されたのですが、これについては特に異論はないのですが、要はこの見直しによって、区分I、II、IIIの該当する企業がどれぐらいの割合になるかを見てから判断したいと思っています。これでまた、I、IIに9割が張りつくようであると、これは企業にとってもインセンティブにならないので、それがどういう配分になるかを見せていただきたいと思います。
 今回の見直しによって、区分I、II、IIIの該当割合が今と同様であれば、これはやはり企業間競争を促すという観点からは、現行の相対評価という指標は妥当ではなくて、絶対評価にするということも一つの検討要素だと思います。
 業界団体からも、この相対評価は予見性を損ねるという意見を聞いておりますので、そうであれば業界団体の意見を反映して絶対評価にすれば、自分はどこの位置に配置されるかがわかるので予見性も出てくるということで、絶対評価にするということも一つの検討要素ではないかと思います。
 全て絶対評価にするということをしないのであれば、例えば区分Iが25パーセンタイルであれば、区分IIは50パーセンタイル以上にするとか、そういったことも検討の余地があるのではないかと思います。
 続いて8ページ目なのですが、前回改定で、新規作用機序医薬品の収載から当初出された案は、1年以内に3番手ということでしたが、業界からの反発によってこれが3年以内に3番手という見直しが行われた経緯がありました。当初案では厚労省、事務局としては、革新性というのはやはり1年以内と判断されたということであれば、その案は通すべきではないかと思いますので、今回、3年以内に3番手というのを1年以内に3番手と見直すべきではないかと思います。
 それから13ページ目の長期収載品の引き下げまでの期間のあり方について、11ページの1つ目のマルの方向性は賛成しますが、先ほど他の委員からも意見が出ている、80%以上であることを2回も確認する必要があるのかということについては異論を申し上げます。これは即対応すべきだと思います。
 以前、資料で出されたのですけれども、G1、G2導入後に置き換え率が下がった品目は、G1対象品目で85品目中5品目、G2対象品目では293品目中16品目と、置き換え率が下がったのはわずか5%なのですよね。その5%のためにこの2年を遅らせることは妥当ではなくて、1回の確認で80%を超えていれば、これにG1・G2を適用してもいいのではないかと思います。
 それから、AGについては先ほど薬剤管理官からおっしゃったように、8割を超えていればG1・G2に適用するということでよかろうかと思います。
 さらに、100%子会社にAGをつくらせた場合については、これはもう一物二価になるので早期に撤退すべきと思うのですが、供給の安定ということを考えると、やはり100%子会社にAGをつくらせた場合は、もっと早くG1・G2を適用すべきだと思います。
 それから、21ページの新薬創出加算については、両論併記ということですが、やはりこれは理屈に合わない制度となっているので、新薬創出加算分は除外すべきと思います。
 それで、一定期間、6年ぐらいに50%が逆に対象になっているのであれば、そういったインセンティブを働かせるためにも、収載時には新薬創出加算分は除外すべきということだと思います。これは以前、2号側の先生方も(1)の案を推しておられたと思うのですが、その方向で考えていただければと思います。
 それから、25ページの原価計算方式ですが、これはやはりブラックボックスに加算をするというのは間違いだと思います。加算が全体に係るという見直しも同時に行われたので影響度が少ないため、平成30年度以降、開示度50%未満が6割を占めているのが非常に問題だと考えていまして、これは見直すべきだと思います。例えば50%未満の場合には、加算率も0.1に引き下げるといったことを考えていくべきだと思います。
 それから、27、28、29の方向性については、特に異論はございません。
 最後に、後発医薬品の薬価のあり方ですが、5掛けにするかどうかというのは、例年12月初旬に公表される2019年9月の薬価調査の乖離率を見て判断すべきではないかと思います。
 それから、価格帯の問題については、委員からいろいろな御意見が出ているとおり、価格帯については早期に集約すべきという考え方には変わりはないのですが、やはりその過渡期において薬価が引き上がるということは避けるべきではないかと思います。財政中立だからいいという問題ではなくて、やはり安売りをしているところの会社の薬価が引き上がるのはよくないことで、過渡的には価格帯が増えてもやむを得ないのではないかと思います。
 27ページにありますように、加重平均のC区分、いわゆる30%未満のところについてもB区分と同様に価格の引き上がる品目については、加重平均をして引き上がらないような措置を講じるのが普通の考え方ではないかと思います。
 最終的には価格帯は集約されていくので、過渡期の状態においてはこういった措置をやっていくのも必要だと思います。
 先ほどの経済課長からの、製薬会社の集約が進んでないというところも、こういった措置を講じることによってそういった会社が生き残っていくのではないかということもあるので、価格帯が引き上がるということは避けるべきではないかと思います。
 これは次回以降にあります、関係団体のヒアリング等も聞いていきたいと思います。
 それから、最後は基礎的医薬品ですが、これは前回も申し上げたのですけれども、先発品と後発品がともに基礎的医薬品に収載される必要があるのかということについては、供給の安定性ということも考える必要があるのですが、やはりこれはどちらか一方にすべきではないかと思います。
 以上です。
○中村部会長
 ほかはいかがでしょうか。
 では、上出専門委員、お願いします。
○上出専門委員
 ありがとうございます。
 専門委員の立場で何点かコメントさせていただきたいと思います。
 まず、6コマ目の企業指標・企業要件でございます。新薬創出等加算の本来の趣旨からすれば、革新的新薬創出等に取り組んでいる企業については、その規模にかかわらず対象品目の薬価が維持されるべきということを基本的な考え方として持っております。
 前回の議論では、企業規模の影響を緩和するという観点から、先ずA-1の指標の国内試験については実施数ではなくて実施しているかどうかで判断して、次に国内で試験を実施している企業については開発公募品ですとか、先駆け審査指定品目、もしくは新規作用機序医薬品等の開発を実施しているか否かといったところで判断してはいかがかということを申し上げたところでございます。
 6コマ目に示されておりますイメージは、あくまでも現行の企業指標をベースにしたものと理解しておりますけれども、今回、A-2の一部見直し、もしくはA-3に革新的新薬の収載実績、そして、C-2の薬剤耐性菌の治療薬の収載実績といったものを加えるということで、現行の企業指標と比較いたしますと、この企業規模の影響というものは一定程度緩和されるものと受けとめております。
 また、8ページ目の品目要件でございます。10月9日の本部会の資料には、業界から提案があったものとして、新規作用機序医薬品の収載から2番手以降で、革新性・有用性の基準を満たす品目というものが記載されておりました。現行のルールでは、2番手以降の品目が例えば1番手では示されていない既存治療で効果不十分な疾患に有効性を示していても、革新性・有用性に係る基準の検討の対象にならず、評価する機会すらないという状況でございます。こういったことについてはぜひ検討していただきたいと思っております。
 また、薬価算定組織からは、有用性系加算適用品を比較薬として薬価が算定された新規作用機序医薬品といったものについても、検討課題として挙げられていたかと思いますので、これについても検討の俎上にのせていただければと考えております。
 また、これはイノベーションの評価ともまたがる課題でございますけれども、効能追加の評価でございます。効能追加するということは治療の選択肢を増やすという観点から、医療の質の向上に資するものであると考えておりますし、薬価収載後のイノベーション評価の充実を図るということは非常に重要かと思っております。効能追加を行ったもののうち、追加された効能において新規作用機序と認められるものであって、高い革新性・有用性が示されているものについては、新薬創出等加算の品目要件にぜひしていただきたいと考えております。
 また、こうした評価に加えまして、革新性・有用性の高い効能追加を促進する観点から、薬価収載時の有用性加算の要件を満たす場合については、新規作用機序か否かにかかわらず、現行の改定時の加算、現在は小児または希少疾病の効能追加に係る加算といったものがございますので、これらと同様の形で評価を行うことを検討してはいかがかと考えております。
 最後にもう1点、再算定でございます。再算定につきましては前回も申し上げたところでございますが、2018年の抜本改革におきまして、急激な市場拡大に対しても速やかな対応ができる仕組みとして四半期再算定が導入されたと理解しております。これ以上の再算定のルールの変更や新たな再算定の仕組みの導入は、薬価の予見性を低下させてしまうことが懸念されるところでございます。
 今回の資料の37コマ目にイメージとして、効能変化再算定の対象品目、従来の仕組みでは対応できないものについて考え方が示されておりますが、この37コマ目の中段辺りの<対象となる医薬品の範囲の考え方(案)>の3つ目のポツでございますけれども、主たる効能効果の変更に伴い対象患者数が現に使用されている患者数から著しく拡大し、一定数を上回る患者に使用されうると記載されております。これは何らかの形で使用患者数を予測して、その予測に基づいて対象品目を算定するという考え方と理解いたしました。
 今回対象となるような、既存薬に比べて1日薬価が10倍以上となるような品目が、実際にその領域でどの程度使用されるかという予測は非常に難しいと考えております。誰がどのような方法で予測するのかというところを明確にすることは、当該企業の予見性や納得性の観点からも非常に重要ではないかと考えます。
 また、これまでの議論におきまして、こういった品目については、最適使用推進ガイドラインですとか、留意事項通知といったものも対応が必要ではないかという御意見もございました。
 こういった対応がなされますと、恐らく処方患者数はまた制限されることになると思いますので、そういったことも含めて、ぜひこの対応は慎重な検討をしていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○中村部会長
 ほかはいかがでしょうか。
 では、平野委員、お願いします。
○平野専門委員 ありがとうございます。
 私からは2項目、専門委員の立場からコメントを申し上げます。
 まず、資料の21コマ目、新薬創出等加算対象品目を比較薬とする場合の薬価算定についてです。薬理作用が同一であっても、薬剤によって副作用のプロファイルや代謝、排泄経路及び併用可能な薬剤等が異なる場合があることから、医療現場においては、それらを統合的に判断した上で、患者さんの状態に合わせた薬物治療が行われているものと認識しております。
 先ほど有澤先生からも御発言がございましたが、今回の部会資料に、仮に3番手以内の類似薬効比較方式(I)の品目の当初の算定時から累積加算額を控除して新薬の算定を行う場合、比較薬の間では、平均9から10、最大で17%の価格差が生じることが示されております。
 収載時からこのような薬価差が生じることになると、薬価の予見性が低下して新薬の開発意欲をそぐことになり、結果、患者さんの状態に合わせた適切な薬剤選択を行うことにも支障が生じることが懸念されます。
 実際に資料の24コマ目にもございますように、市販後の効能追加においても、類似薬効比較方式(I)の品目の中には、効能追加等により、収載後に新薬創出加算の対象になり得る事例が示されております。
 したがいまして、類似薬効比較方式(I)の品目については、薬価収載時において類似薬効比較方式(II)で行われているような累積加算部分の控除を行うべきではないと考えております。
 2点目でございます。資料28、29の再生医療等製品の価格算定について、コメント申し上げます。
 まず、収載時の補正加算の傾斜配分についてです。再生医療等製品は、1回の投与で治療が完結する場合もあることなどを踏まえれば、単価が高いことに注目して補正加算率に傾斜を設けるべきではないと考えております。
 また、流通経費につきましては、再生医療等製品の場合、医薬品と異なる貯蔵、流通の形態となっており、費用は個々の製品によって異なるため、医薬品と同様の流通経費率を適用することは困難であることを御理解いただきたいと思います。
 したがいまして、再生医療等製品の場合は、医薬品の流通経費率と比較することなく、個別品目ごとを精査した経費を用いることが妥当であり、場合によっては、医薬品の係数を超える場合も許容することを御検討いただきたいと思っています。
○中村部会長
 ほかはよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 ほかに御質問等ないようでしたら、本件の議論はここまでとさせていただきます。
 本日の議論を踏まえて、事務局より改革の骨子案を作成いただくことといたします。
 また、骨子案の作成に先立ち、業界団体から薬価制度改革に関する意見聴取を行いたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○中村部会長
 ありがとうございます。
 それでは、本日の議論を踏まえて、業界団体の意見聴取の場を設けたいと思います。
 本日予定された議題は以上になります。
 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

 

(了)
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