ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第158回議事録(2019年10月23日)
2019年10月23日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第158回議事録
○日時
令和元年10月23日(水)9:28~10:43
○場所
厚生労働省講堂(低層棟2階)
○出席者
中村洋部会長 秋山美紀委員 田辺国昭委員 関ふ佐子委員 |
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 宮近清文委員 |
松本吉郎委員 今村聡委員 林正純委員 有澤賢二委員 |
村井泰介専門委員 平野秀之専門委員 上出厚志専門委員 |
<事務局> |
濵谷保険局長 横幕審議官 八神審議官 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長 |
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他 |
○議題
○ 次期薬価制度改革について(その4)
○議事
○中村部会長
ただいまより、第158回「中央社会保険医療協議会薬価専門部会」を開催いたします。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告します。本日は全員が御出席です。
なお、冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
よろしくお願いします。
(カメラ退室)
○中村部会長
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は、「次期薬価制度改革について(その4)」として、薬価算定の妥当性・正確性の向上、イノベーションの評価、後発バイオ医薬品の取り扱いについて検討していきたいと思います。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
資料の薬-1をお開きください。
本日につきましては、今、部会長からございましたとおり、薬価算定の妥当性・正確性の向上、イノベーションの評価、後発バイオ医薬品の取り扱いに関して資料を用意させていただいております。
まず、4コマ目をごらんいただければと思います。「薬価算定の妥当性・正確性の向上」のうち原価計算方式についてでございます。平成30年度改定以降の算定の状況でございますけれども、下にグラフがございますが、18成分(全体の約20%)が原価計算方式で算定されている状況でございます。
そして、5コマ目でございますけれども、原価計算方式で算定されるというのは、類似薬がない新薬ですので、希少疾病用医薬品や既存治療無効例に対する薬剤などが多いわけでございますけれども、30年度改定以降の19品目、これは1成分について錠剤と静注剤の2品目が出ているものがありますので19品目になりますが、こちらを一覧としてまとめております。希少疾病用医薬品に該当するものについてはその旨、補正加算の対象となったものについてはその旨、その際の加算係数がどういう状況であったかということもまとめてお示ししております。
6コマ目でございますが、原価計算方式で薬価収載された品目のうち、薬価算定で参照する外国価格、リスト価格が収載時に存在したものについて、日本の価格を黄色で網かけしておりますけれども、各国の価格順を記載したものと、外国価格の単純平均、実際の算定薬価と外国価格の単純平均の比をお示ししております。表の一番右側をごらんいただくと、そのほとんどが外国価格の単純平均よりも低い価格で算定されているという状況がおわかりいただけるかと思います。
続いて、7コマ目でございます。原価計算方式の考え方でございますが、2つ目のポツのところにございますとおり、一般管理販売費や利益率等につきましては、企業全体の期間原価の一部であるなど製品ごとの正確な算出が技術的に難しいということ、それから申請者が実際にかかると考えられる費用をそのまま認めると非効率の助長につながるといったことを考慮いたしまして、医薬品産業における経費率の平均値を原価計算における経費率の目安として用いているということでございます。
具体例で言いますと○5の一般管理販売費のところ、ここは研究開発費などを計上する部分でございますけれども、2つ目のポツで○4+○5+○6、つまり製品製造原価、一般管理販売費と営業利益を分母とした場合の○5一般管理販売費の割合が、平均的な一般管理販売費率48.6%となるような形で算定するというのが基本でございます。ただし、オーファンドラッグなど患者数が極めて少ない等の妥当な理由があれば、上限超えを認めるということでございます。
例えば8コマ目の右側の枠囲みでございますが、平成30年度改定におきまして、オーファンドラッグの場合のほか、開示度が80%以上の化学合成品については、一般管理販売費率の上限を70%まで認めるといったルールも導入したところでございます。
9コマ目には、新薬算定に用いている平均的な係数について、その出典とともに数値をお示ししております。
10コマ目からは、開示度についてでございます。原価計算方式の妥当性につきましては、これまでも中医協で何度も議論されてきているところでございますけれども、例えば移転価格に関する輸入先国における輸出価格の状況等の資料の提出を求めるといったことを平成18年から導入しているということがございます。
また、2つ目のポツでございますけれども、30年度改定におきましては、開示度に応じて補正加算の加算率に差を設けるといったことも行っております。また、31年4月より開始した費用対効果評価の本格実施におきましては、薬価制度を補完するといった観点を踏まえて、右下の枠囲みでございますけれども、対象品目の選定のところに、開示度50%未満のものについても対象とするという形で導入しているものでございます。価格調整範囲としても、原価計算方式の開示度が50%未満の場合ですと、営業利益の部分と有用性系加算部分の両方について調整を行うといった形のルールを導入しております。
11コマ目でございます。今申し上げた原価計算方式のこれまでの議論について経緯をまとめております。
12コマ目におきましては、費用対効果評価の対象品目の選定基準ということで、先ほど御説明した部分を赤枠で囲んでおります。
13コマ目についても価格調整範囲ということで、下の図でございますけれども、○1の開示度が低く加算のある品目については、加算部分と営業利益を対象、○2の開示度が低く加算のない品目については、営業利益の部分を価格調整の対象とするということでございます。
14コマ目ですが、営業利益の価格調整については、右側にありますとおり、最大50%減という形の調整を行うということでございます。
15コマ目でございます。関係業界からは開示度に関しまして、企業の取引や製造・輸入形態から詳細な原価を開示することが難しい場合もあるといった意見があったところでございます。この点について、経済課で少し詳しく聞き取り調査などを行ったところでございますので、その結果をまとめております。
製薬企業側からすると、原価の根拠資料等につきましては企業秘密であるため一般には公開できるものではないけれども、現状でも薬価算定組織等に対してはその根拠資料を提出しているということ。ただし、多くの場合、輸入先や委託先企業から詳細な原価情報を得ることが契約上困難であるといったことで、輸入元や委託元のメーカーがその詳細を知り得ないケースがあるといったことでございます。
その結果として開示度が低くならざるを得ない事例が存在しているということで、もう少し具体的には、※印のところにありますとおり、輸入品のサプライチェーンが非常に複雑で、複数国にまたがって多くの委託先を経て製品化されている場合や、あるいは輸入品以外でも製造の効率化の観点から、製造の一部の工程を外部委託する場合が多くあり、そういった場合に開示度が低くならざるを得ないケースがあるといった説明を受けているところでございます。
16コマ目でございますけれども、開示度に応じた加算係数について、現状をまとめております。30年度改定におきまして、革新的医薬品のイノベーションの適正な評価を確保するといった観点から、原価計算方式においても類似薬効比較方式と同様に、価格全体に加算を行うという制度に改めたところでございます。
それで、制度改正前は営業利益率の加算だったわけですけれども、そこから価格全体の加算に変更したことによる影響の試算ということで表にまとめております。ルールが少し変わっておりますので要件も多少変わっているのですが、機械的に同じ加算率で、営業利益率加算から価格全体の加算に変わったと仮定して試算したものでございますけれども、ごらんいただくとわかるとおり、開示度が80%以上の場合ですと、制度改正以前に比べると11.6%多く加算を受けています。50~80%の開示度の場合ですと、5.2%増となっておりますけれども、50%未満、加算係数0.2の場合ですと、0.4%増ということで、ほとんど変わらない形になっているということでございます。
17コマ目が30年度改定のときの考え方でございます。
18コマ目、今度は一般管理販売費について着目した資料でございます。2つ目のポツで、製品製造原価が安く、研究開発費が高額である場合、一般管理販売費について一定の比率で用いた上限で査定した場合には、研究開発費がほとんど認められないことになるケースがあるので、希少疾病用医薬品等については当該上限を超えて計算することを認めているほか、先ほど申したとおり、30年度改定では化学合成品であり、開示度80%以上で、その妥当性が確認できる場合は上限を70%としたところでございます。
下に一般管理販売費率の3カ年の平均のもととなっている元データ、右側に化学合成品とバイオ医薬品等におけるそれぞれの加算品あるいは開示度の状況をお示ししております。
ちなみに、研究開発費の積み上げ方法につきましては、下に書いてございますとおり、償却期間、これは再審査期間を目安とし、概ね10年程度でございますけれども、その間の予想販売数量を分母とし、研究開発費総額を分子としたもので計算するという形で1規格当たりの研究開発費を算出しているところでございます。
19コマ目は、研究開発費につきまして、原価計算算定においてどのような形になっているかということをまとめたものでございます。
平成28年4月以降に原価計算方式で算定した品目が、化学合成品とバイオ医薬品・再生医療等製品、それぞれございますけれども、そのうち申請の段階で一般管理販売費が上限に達したものが化学合成品とバイオ医薬品・再生医療等製品でそれぞれ7成分、3成分あったということ。さらに、そのうち研究開発費のみで一般管理販売費率の上限を上回るものが化学合成品では4成分、一方、バイオ医薬品・再生医療等製品では3成分あったということでございます。
20コマ目は、以前、中医協にお出しした資料のアップデートになりますが、医薬品産業は売上高に対する研究開発比率が他の産業に比べて高くなっているといったことがうかがえるかと思います。
これらを踏まえまして、21コマ目の「論点」でございます。開示度の低い品目につきましては、既に現行ルールにおきまして補正加算とか費用対効果評価での対応などを行っているところではございますけれども、補正加算額の実績あるいは製品原価の開示ができない理由等を踏まえた上で、その取り扱いをどう考えるかというのが1点目でございます。
2点目といたしましては、原価が安く、研究開発費が高額な品目への対応として、オーファンあるいは化学合成品で開示度が高い場合等の例外規定がございますけれども、バイオ医薬品であって研究開発費の割合が高いケースについてどのように考えるかということでございます。
続きまして、22コマ目、今度は類似薬効比較方式に関してでございます。「現状」の2つ目のポツにありますとおり、(イ)(ロ)(ハ)(ニ)とありますけれども、効能・効果等から見て類似性が最も高いものを比較薬として算定を行っているということでございまして、下に比較薬選定の例をお示ししております。薬理作用は違うのですけれども、効能・効果が同様ということで、類似薬効比較方式で算定を行った事例でございます。
一方、23コマ目でございますけれども、関係業界からは、既存の判断基準に加えて、対象疾患の特性、臨床的位置づけ等の医療実態の類似性を含めて総合的に勘案するということにすれば、結果として原価計算方式の品目が減少するのではないかという意見があったところでございます。
実際にどのように算定しているかでございますけれども、これまでも、下にお示ししておりますとおり、例えば抗がん剤において、効能・効果は違うのですけれども、作用機序等に共通性があれば、がん種を超えて類似薬を選定するといったことも行っております。
また、24コマ目でございますけれども、化学合成品と抗体医薬品は化学構造という点では大きく異なるわけでございますけれども、それぞれお互いに比較薬として選定して、類似薬効比較方式により算定を行った例があるということでございます。
25コマ目と26コマ目については、現在のルールについてお示ししたものでございます。
27コマ目は日薬連が提出した資料でございますけれども、従来のイ、ロ、ハ、ニという4要素に加えて、ホとして臨床的位置づけ等の医療実態を総合的に勘案するような算定ができないかという提案があったということでございます。
そこで、28コマ目でございますけれども、もう少し具体的な事例などがないかということで、経済課のほうで業界から聞き取りなどを行ってまとめた資料でございます。2つ目の矢羽根のところ、臨床的位置づけ等の医療実態から見た類似性を判断する要素としては、希少疾病用医薬品や指定難病治療薬への該当性、あるいは対象疾患の重篤度や特性、例えば先天性疾患等、それから治療薬の予測投与患者数などが考えられるのではないかということでございまして、下に書いてある新薬Aというのは実際は原価計算方式で算定されたものでございますけれども、これと臨床的位置づけ等の医療実態が類似しているものとして、例えば右側に書いてあるような品目があるのではないかということでございます。
実際には、効能・効果は悪性腫瘍に対する効果という点では類似性があるということですが、薬理作用は異なるもの。また、内用、注射で異なるということでございますが、下のほうにありますとおり、希少疾病用医薬品に指定されている、あるいは死に直結する疾患であるとか、ピーク時の予測投与患者数が120人と300人ということで、そのオーダーが同じである。あるいは、有効な既存治療が乏しい。こういったものなどについては、類似薬として選定し得るのではないかといった提案があったところでございます。
これらを踏まえまして、29コマ目でございますけれども、実際の類似薬効比較方式の現在の考え方に加えて、比較薬の判断基準を拡大することについてはどのように考えるかということを挙げさせていただいております。
続きまして、「イノベーションの評価」についての資料でございます。
31コマ目でございますけれども、有用性加算の要件を1つ目のポツのところに、イ、ロ、ハ、ニという形で書かせていただいておりますが、これらいずれかに該当すると有用性加算(Ⅱ)の対象となるというのが現行の有用性加算(Ⅱ)の考え方でございます。
参考までに、31コマ目の下のほうに、「有用性加算・画期性加算の適用状況」ということでまとめております。実際には、公開した基準によるポイント制によって定量的に算出した加算率を参考にしているということでございます。
33コマ目でございます。関係業界からは、有用性加算の現在の要件のうち左側の二、製剤工夫による高い医療上の有用性について、あるいは別の加算要件でキット加算という、キットの機能に新規性が認められる場合に限って行う加算がございますけれども、そういった中に負担軽減とかリスク低減の観点があるということで、患者・医療従事者双方における治療上の負担軽減、治療の質向上を評価するといったことについて、加算要件の見直しとして提案があったということでございます。
34コマ目には、参考までに有用性加算(Ⅱ)のニの要件を満たした品目、それからキット加算が適用された品目の例をお示ししております。
35コマ目が、日薬連から提出された資料でございますけれども、現行のキット加算の要件(イ)(ロ)(ハ)(ニ)、それから現行の有用性加算の要件のニの部分、これらの部分を統合した上で、さらに製剤工夫の有無にかかわらず患者・医療従事者双方における治療負担軽減や治療の質向上に資するような医療的価値を評価し得る要件の見直しについて検討が必要であるといった意見が出されたところでございます。
参考として36コマ目に記載がございますけれども、具体例としては、製剤工夫の有無にかかわらずといった点も含めて申しますと、2の「モニタリングが不要」という該当事例があるかと思います。これは、既存治療では骨髄毒性などの副作用の懸念から、頻回な血液検査によるモニタリングが必要であったという場合について、新薬においては副作用リスクが改善されて、頻回な副作用のモニタリングが不要になったという事例があるので、こういった場合に適用するような要件としてはどうかという主張でございます。
37コマ目、続いて高齢者での有用性ということで、具体的には薬価算定組織から出された意見になりますけれども、高齢者、特に75歳以上の高齢者などを対象とした治験を行って、臨床上高い有用性を示した品目について、有用性加算の加算率を検討する上での要件の一つとなることを明確化してはどうかという意見があったところでございます。
参考まで、38コマ目に加算率の算出に係るポイントの考え方をお示ししております。
39コマ目に論点としてまとめておりますけれども、以上を踏まえまして、現行の有用性加算の製剤工夫による高い医療上の有用性、及びキット加算において、患者・医療従事者における治療上の負担軽減等について評価していることを踏まえ、これらを統合することや製剤工夫の有無にかかわらず治療上の負担軽減等について評価することについてどう考えるかというのが1つ目でございます。
2つ目としましては、高齢者を対象とした治験を行い、臨床上高い有用性を示した品目について、有用性の加算率を検討する上での要件の一つとなることを明確化することに関してどう考えるかということでございます。
続いて3つ目の議題、「後発バイオ医薬品の取扱い」についてでございます。
41コマ目でございますけれども、先発品と有効成分、原薬、添加物、製法等が同一のバイオ医薬品、以下、区別のために「バイオAG」と呼びますけれども、これにつきましては3月27日の薬価専門部会におきまして、バイオ後続品、いわゆるバイオシミラーとの適切な競争環境を維持すべきこと等を踏まえて検討を行いまして、バイオAGについては暫定的に、バイオシミラーと同様に先発品の薬価に0.7を乗じた額で算定するとされたところでございます。
42コマ目でございますけれども、具体的にこのときに議題となったのが、先行バイオ医薬品の販売名でいうとネスプ注射液プラシリンジでございますが、これのバイオAGというのが出てきたということでございます。その際は、バイオシミラーが承認申請中でございましたけれども、バイオシミラーについても、右側の表にございますとおり、3社が承認を取得しておりまして、現在、薬価収載を待っているといった状況になっているということでございます。
43コマ目に、代表的なバイオ医薬品とバイオ後続品、バイオシミラーの開発状況をまとめております。これまでのところ、バイオAGの開発自体につきましては、ダルベポエチン以外ではそういった情報について当方では承知していないという状況でございます。
44コマ目で、3月27日の薬価専門部会での意見を御紹介しております。例えば1号側委員の意見で言いますと3つ目のポツですけれども、バイオAGと100%子会社への承継の場合を整理して、バイオAGの定義を検討すべきではないかといった御意見がございました。また、2号側委員からは、例えば一番下のポツですけれども、バイオAGを発売した場合、実質的に同一の先発医薬品の薬価を含めて考えていく必要があるのではないかといった意見が出されていたところでございます。
こうした指摘を踏まえまして、45コマ目におきましては、化学合成品の場合を例示していますけれども、長期収載品を承継した場合と、オーソライズド・ジェネリック、AGの場合でどう違うのかという考え方を整理しております。
まず、長期収載品の承継の場合ですと、もともとの承認取得者からその地位を承継した別企業により引き続き販売されるということでございますので、薬機法上は先発品そのものとして扱っているということでございます。そのため、薬価制度上の扱いも、薬価は承継前のままでございますし、また、長期収載の引き下げルール、例えばZ2とかG1・G2も対象となるということでございます。
その特徴としては、薬機法上の先発品でございますので、開発段階から蓄積されたデータ、副作用などのデータ、あるいは債務等の権利関係も全て引き継いでいるということでございまして、市場でも通常の長期収載品と同様に医療機関等からの照会等に中心となって対応しているということでございます。
一方、後発品の中のオーソライズド・ジェネリック、AGについてですけれども、実態上、いろいろなケースがあり得るわけでございますけれども、薬価制度上の扱いとしては、別会社が先発品とは別品目として承認を取得するということでございますので、AGについても先発メーカーの許諾はありますけれども、先発品とは別品目ということでございます。
具体的には、先発品の臨床試験や副作用のデータ、あるいは権利関係を引き継いでいるわけではないということでございまして、収載時は先発品の0.5倍または0.4倍で算定しているということでございます。
46コマ目に、以前にもお出ししましたけれども、AGについて、真ん中に表がございますけれども、例1、例2ということで、先発品企業と契約関係でAGを承認取得する場合もあれば、先発品企業の完全子会社として承認を取得するような場合もあるということをまとめております。
また、47コマ目も、これも以前お出しした資料でございますけれども、長期収載品とその承継の考え方について、先ほどの45コマ目の資料と一部重複しますけれども、そういった資料を以前お出ししているということでございます。
48コマ目でございますけれども、これも3月27日に御議論いただいた際に、バイオAGについてどのような算定ルールが考え得るかということで、3つほど例を示しております。1つは新規後発品として先発品の薬価に0.5を乗じるという考え方、それからバイオシミラーと同様に0.7を乗じるという考え方、3つ目として承継品目と同様に扱って同一の薬価とするという考え方をお示ししているところでございます。
49コマ目は、関連の薬価算定のルールについてお示ししております。
50コマ目でございますけれども、3月27日の際に、実際にAGというのがどれくらいあるのかといったような御質問がありましたので、経済課が日薬連を通じて調査を行った結果をまとめております。
209社より回答がありまして、AG品目を有している会社は21社、そのうち、先発品メーカーの100%子会社に該当するのは9社であったということでございます。承認品目数でいうと、先発メーカーの100%子会社に該当しない12社の品目数が105品目で多いといった状況になっているということでございます。
51コマ目でございますけれども、「長期収載品の薬価等の見直し(全体像)」ということで、G1、G2についてのルールをお示ししております。ここで御説明したいのは、右上に注として書いてございますけれども、バイオ医薬品につきましては、30年度改定でG1・G2ルールを導入した際に、G1・G2ルールそのものが長期収載品の薬価を後発品の価格をベースとして2.5倍まで一気に引き下げるというルールでございますので、それとの関係で、バイオ医薬品については化学合成品とは製造にかかるコスト構造や研究開発コスト等が異なることから、G1・G2の対象からは除いているという形で導入しているところでございます。ただ、価格差が後発品の2.5倍以内におさまっているものについては、Cの対象としてZ2のルールは適用していくということは30年度改定でお決めいただいているところでございます。
また、AGに関してどのようなルールがあるかということでございます。これも参考になりますが、52コマ目において30年度改定で新たに導入したルールを記載しております。説明が煩雑になりますけれども、改定前という左側の枠囲みですが、先発品が200円だったと仮定しますと、AGが100円で薬価収載される。その後、GE1からGE10まで10品目が遅れて収載されるということになりますと、合計10品目を超えていますので、0.4掛けの80円で薬価収載されたと御理解いただければと思います。これが、AGのみ薬価調査で販売実績があって、GE1からGE10については薬価調査後に薬価収載されたので、販売数量がゼロだったという場合ですと、AGが仮に100円から90円に薬価が下がるとしますと、販売数量がないGE1からGE10は同じ割合で72円に引き下げるというのがこれまでのルールでございました。こうしますと、結局、AGとGE1からGE10の間に価格差を引き継いだまま薬価改定されるといったこともございまして、AGのものを価格帯集約ということで72円まで引き下げるといったルールも30年度改定では導入しているところでございます。
これらを踏まえまして、53コマ目に論点を記載しております。1つ目は、バイオAGである後発バイオ医薬品の収載時薬価について、バイオシミラーとの適切な競争環境を維持すべきこと等を踏まえて設定した現在の取り扱いをどう考えるかということ。2つ目としては、バイオAGが化学合成品のように後発品として今般薬事申請されたということを踏まえまして、関連する先発品(長期収載品)について、そのコスト構造や他のバイオ医薬品との差異等についてどのように考えるかということでございます。
あわせまして、御説明いたしませんけれども、本日、参考資料として10月に行われました消費税引き上げに伴う薬価改定に関するさまざまな資料、品目数などについてまとめたものも今回資料としてお出ししておりますので、御参照していただければと思います。
説明は以上となります。
○中村部会長
長い間、説明をありがとうございました。
ただいまの説明を踏まえて、3つのパートに分けて協議を行いたいと思います。まずは4ページ目から29ページ目までの「薬価算定方式の妥当性・正確性の向上」に係る論点に関して、御質問あるいは御意見等がありましたらお願いいたします。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
ありがとうございます。21ページ目の論点に沿って考えを述べたいと思います。
21ページ目の1つ目の論点についてですが、前回の薬価制度抜本改革では、原価計算方式の透明性を確保するために、開示度に応じた評価を導入したわけですけれども、そのときの問題意識は、国内企業が外国の親会社から製剤を輸入する場合などは、輸入価格に研究開発費や営業利益率が含まれていることが想定されるけれども、その詳細は通常明らかにされない。国内企業は、親会社からであっても明らかにされないと主張することが多いということでした。
15ページにもあるように、契約上の理由などにより原価の開示をしたくてもできない事情が説明されていますけれども、そういったことを理解した上で、何とか透明化に向けて対処しようとしたのが前回改定の趣旨であって、やはりそれが難しかったということによって本来の趣旨を変更するのは適当ではないと考えます。
2つ目の論点につきましては、原価が安く、研究開発費が高額な品目への対応として、希少疾病用医薬品や化学合成品については前回改定で上限の緩和を認めたわけですけれども、バイオ医薬品の場合は化学合成品と比較して原価が高くなることが考えられます。つまり、原価計算方式における研究開発費の評価が十分になされなかったとしても、原価などを含めたトータルの薬価として研究開発費を回収できる可能性もあると考えますので、単純に同列として扱うことはできないのではないかと考えます。
ただし、中には研究開発費が非常に高額であっても原価が非常に安いものもあると伺っております。そこで、研究開発費だけで一般管理販売費の上限を上回る場合や、その製品の市場規模予測、さらにはその企業の収益性なども加味しながら、あくまで限定的な方向で何らか検討すべきと考えます。
1点質問させていただきます。21ページ目の2つ目の論点にある研究開発費は、治験にかかった費用を言っておられるのか、さらに市販後にかかるであろうと見込まれる調査や情報収集にかかる費用も含んでいるのかを教えていただきたいと思います。
○中村部会長
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
今、御質問があった点でございますけれども、研究開発費を原価計算方式で計上する際には、治験などの費用のほか、PMSに関連する費用も計上を認めることとしております。
具体的には、PMSにおいて市販直後調査とか使用成績調査、安全性定期報告に関する費用ということで計上を認めております。一方、通常の情報提供に関する資材やインタビューフォームの作成費用、印刷費用など、そういったものは研究開発費ではなくて一般管理費の方で計上するという形で運用しております。
○松本委員
どこまで入るかによってその割合はかなり違ってくると思いますので、その辺は明らかにしながらまたやっていかれたらいいかなと思います。
もう一つ、29ページ目の論点ですけれども、原価計算方式にはどうしても不透明な部分がありますので、可能なものは類似薬効比較方式で算定するという方向性は理解しますけれども、今回、提案のあったホの「臨床的位置づけ等の医療実態」という要件に該当する品目としては、具体的にどのようなものがあるのか、事例を積み重ねた上で検討する必要があるかと思います。したがって、現時点でこれを判断するのは時期尚早であると考えます。
したがって、今後、事例が集成された際には、原価計算方式による場合と臨床的位置づけ等の医療実態による類似薬効比較方式とをさらに比較して、どちらが適切な算定方法かを検討することは考えられると思います。
以上です。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
では、吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
まず、21ページ、1つ目の論点の開示度の低い品目についての考え方について、今、松本委員もおっしゃったように、前回改定で補正加算について開示度に応じて加算係数について差を設けた、営業利益への補正から価格全体の加算見直しという形になりましたが、16ページに試算されていますように、開示度が低い場合には大きな影響はない、高い場合には約12%影響があるということで、導入目的のイノベーションの評価の確保については一定されているということは考えられるのかもしれません。一方、18ページを見ますと、30年度改定以降に原価計算で算定された品目について、化成品は50未満が10品目中5品目と、半数も開示がされておらず、これは企業側の根拠資料の提出により開示度を引き上げることを拒んでいるわけではないと答申されていますが、委託製造元や輸入先からの開示が契約上困難とされている、特に50%以下の品目については、その製造輸入などの企業の取引形態が契約書上で妥当性が判断できるのか。根拠資料によってその妥当性を判断できれば、開示度に応じて加算点数を段階的にさらに引き下げるということもあってもいいのではないか。逆に、妥当性があれば、開示度に応じてもう少し引き上げというのもあると考えてもいい。
言いたいことは、根拠資料において契約上開示が困難だと判断できる妥当性が確認できるかどうかというところが一つポイントであると考えております。
特に、18ページではバイオ医薬品及び再生医療等も、開示度50%以下の品目が6品目中5品目もあるわけで、これは根拠資料というよりも、企業秘密の部分が現状ではかなり多いのだろう、開示はできないのだろうというのが類推できますが、もししそうだとすれば、バイオ医薬品、再生医療等製品は、現行の原価計算方式の基準に準拠して算出するのは限界があるということはもう明らかであります。したがって、これは算定組織並び関係業界、外部有識者の皆さんの意見も聴取しながら、どうあるべきなのか、適切な原価計算方式のあり方や、新たな算定方式が別途あるならば、前回も申し上げましたが、そういう検討を早急に進めていくということを並行してやらないといけないのではないかと思っています。
これは2つ目の論点にもかかわりますが、バイオ医薬品については今のとおりで、新たに検証するような術を考えるべきだと思います。しかしながら、現状、当面の実効性から言えば、化成品の原価計算方式を準用せざるを得ない。その中で、特に研究開発費の割合が高いケースについては、御提案等は理解できるものの、まず、研究開発費が正当に開示されることが前提である。その上で、一定のルールのもとで管販費の比率の上限を超えることがある場合にはどうするか。現行の化成品の原価計算方式のルール則るのなら、それとの整合性の観点も当然必要であり、もし仮にその方式でやるならば、化成品と同じく開示度は80%以上ということを条件にすべきだと思っております。
次に29ページの類似薬効の考え方について、できる限り効能・効果等で類似薬がある場合には類似薬効比較方式により算定するという方向性は理解できますが、業界団体の提案は効能・効果、薬理作用、投与形態の異なる医薬品で、臨床的位置づけ等のみをもって類似を判断したいという、類似薬の市場における公正な競争確保という現行制度の考え方、概念から言うと、個人的には直感的に違和感があると思っております。
とはいえ、類似薬効比較方式の考え方をより広げたいというのであれば、松本委員もおっしゃっていましたけれども、平成30年度改定以降に原価計算方式で算定された品目に当てはめた場合に、どの程度の品目が該当して、価格がどのようになるのか、具体的にシミュレーション等を示していただいた上で議論すべきだと考えております。また、臨床的位置づけなどの医療実態が類似しているということであったとしても、医薬品の剤型区分、用法の違いによる製法、製造コスト、原価差異をどのように考えていくのか。それが臨床的位置づけだけで同じ値段でいいのかというところも、考え方を整理しておく必要があると思います。
以上です。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
では、有澤委員、お願いします。
○有澤委員
ありがとうございます。
21ページの論点の2番目のところになると思いますけれども、バイオ医薬品の中でも抗体医薬品などについては製造原価が高いということが多い。その上で、一般管理販売費における配慮は必要ではないかと思いますが、最近では核酸医薬あるいはプラスミドを原料とする遺伝子治療医薬品、さらには高タンパクではないペプチド医薬品等、さまざまなバイオ医薬品の開発が進んでいて、こうした革新的技術を用いる一方で、比較的低コストで、標準的な係数では必要とされる一般管理販売費を十分にカバーできないケースというのは、実際に19コマに出ているかと思います。
こうした革新的バイオ医薬品の開発にブレーキがかからないようにするためには、例えば製造原価が低く、治験など研究開発費だけで係数による一般管理販売費の査定額を超える場合など一定の要件を満たすバイオ医薬品については、一般管理販売費に関する特例を認めることを考えてもよいと思います。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
では、今村委員、お願いします。
○今村委員
ありがとうございます。
論点でない話で恐縮なのですけれども、改めて先ほど消費税のお話の資料ということで、17ページですが、平成30年度の改定でこういうふうにということで、当時、議論に参加していたので、そのときも申し上げたのかどうか記憶が定かでないのですけれども、改めて確認です。
これは見直し後のところで、消費税を組み込んで補正加算の額を決めるという形になっていますけれども、今回8%から10%になっていると、2%分を組み込んで補正加算がふえるということになるのでしょうか。
そもそも税の性質上、価値に対して消費税をかけているわけで、消費税を組み込んで補正加算を入れるというのは、今言うのも何なのですけれども、ちょっと変な感じだなと思っていて、本来、価格全体は消費税を除いたところに補正加算をかけて、それに消費税がかかるという整理ではないかと思うのですけれども、その辺、いかがでしょうか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
原価計算方式における消費税と加算の関係については、結果としてはこういう形になっておりますけれども、通常の類似薬効比較方式の場合の加算の考え方も、比較薬の薬価というのはもう既に消費税を含んだ形で薬価というのがついているわけですけれども、その薬価を1日薬価を合わせた上で、それに対して全体で加算を適用するという形でルールを運用してきておりますので、原価計算方式の場合にもそれと同様に合わせたということでございます。
○今村委員
わかりました。それはそれで今までと整合性を持っているということなので、一定のやり方だと思うのですけれども、そもそもわかりにくい。つまり、税金に対して加算がかかるというのは、国民の皆さんとして納得できるのだろうかという感じがしていて、最終的なものに対して消費税が何%という整理ができないかなと考えて、すぐにどうこうということではありませんけれども、ぜひ御検討いただければありがたいなと思います。
○中村部会長
ほかは。
では、宮近委員、お願いします。
○宮近委員
21ページの論点についてですけれども、開示度を高めていくべきであるということは大前提ですし、吉森委員が御指摘した内容のとおりだろうと思うのですけれども、これは見方の問題でしょうが、15ページに示されている、製品原価が開示できない理由について、移転価格については当初からそういった指摘のあるところではありますけれども、どうしても一定の限界があることも否定できない事実であろうと思いますので、こういったことについては一定の理解ができると思います。
16ページにあるように、80%以上の開示度が3成分、50%から80%のものが3成分あったということについては、見方にもよりますけれども、一定の評価ができるとも考えられます。また、50%未満につきましては、実質的に加算がなくなっているという実態もあります。こうした事情も勘案して、こういった開示度の内容について精査しながら対応していくということも必要ではないかと考えます。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
前回、見直した開示度に応じた加算の補正については、やはり問題があると考えています。
1つ目の問題としては、5ページにあるように、見直し後、これによって開示度が高い企業がたくさん出てきた、開示度が低いところが例外的になっているというのであればわかるのですが、開示度が50%未満のところがまだ半数以上、平成30年度以降も出ているということは、やはり企業にとってこれが開示度を高めるインセンティブになっていないということが一つ大きな問題です。それはなぜかというと、16ページに掲げているとおり、補正加算が価格全体に加算されることになったため、50%未満で加算係数が0.2になっても大した影響はないというところが一番大きな理由ではないかと思います。
これが大きな影響を受けるのであれば、企業は何とかして開示度を高めようという努力をすると思うのですが、見直し以降、0.2が半分以上を占めていることは、企業も開示に対する努力が足りないという理由になっているというところで、これが大きな問題で、補正加算に対する加算の係数をつけるというやり方はもう見直すべきだと思います。
もう一つ、開示度に対する係数の置き方に対する問題点は、5ページを見ていただければわかると思うのですけれども、補正加算がついてないところも原価計算方式でやっている場合が数例あると思うのですが、この場合は開示度がどれだけあるかというのも示されず、補正もつけられずにそのまま薬価が算定されている。これも大きな問題だと思います。加算がついている医薬品のみ開示度に応じて補正を設けるというのもおかしくて、加算がなければそのまま薬価を算定するというやり方は、加算がつく品目と加算がつかない品目に対して違うやり方で算定しているということで大きな問題があると思いますので、これは何らかの見直しが必要ではないかと思います。
確かに原材料輸入とか委託している場合は難しいというのはわかるのですが、それでもその中にはやはり輸入している場合とか委託している場合には、輸入元とか委託元に対する一定の利益も必ず含まれていると思いますので、移転価格をそのまま受け入れるのではなくて、移転価格自体に何らかの補正をするという考え方も取り入れるべきではないかと思いますので、補正加算に対する係数を補正するというやり方は見直していくべきではないかと思います。
それから、もう一つの論点であります研究開発費が高くなっているバイオ医薬品ですが、このケースについては開示度が高い場合に限って一般管理販売費の上限を見直すということは検討の余地はあろうかと思います。一方で、一般管理販売比率については、研究開発費以外の宣伝費や営業費用等の比率が諸外国や日本の他産業に比べて極めて高いというところも問題視する必要があると思います。
もう一つは、これは論点になっていないのですが、営業利益率についても他産業に比較して医薬品の製造メーカーは極めて高い。これを薬価に適用するということも問題があるのではないかと思います。これは政投銀のデータハンドブックで3年間の平均ということですけれども、この対象になっているのは東証一部上場企業の30数社の平均ということで、これは他産業と比べてもかなり高い営業利益率になっている。これが医薬品の営業利益にそのまま適用されるのはいかがなものかということで、もし適用するのであれば、医薬品メーカー全体の営業利益率とか、あるいは他産業も見た中で営業利益率を設定していくという検討も必要なのではないかと思います。
21ページの論点については以上です。
あと、スライド29の論点につきましては、効能・効果や薬理作用が異なっていて、臨床上の位置づけと医療実態が類似しているというところ。原価計算方式を少なくしていこうという企業側の意図は理解できるのですけれども、余りにも乱暴ではないかと思われますので、これについては慎重な検討が必要なのではないかと思います。
以上、意見です。
○中村部会長
まずは、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
幸野委員から幾つか御指摘いただきましたので、少し御説明させていただきます。
1つ目は、5コマ目のところで補正加算が適用されているものについては開示度等が明らかになっているけれども、そうでない、補正加算がつかないものについては明らかになっていないということで、算定ルールが違うのではないかといった御指摘がございました。
基本的には、補正加算というのは、全体の算定をした後に最後に補正加算をするときに、加算が適用されるものについては開示度に応じてメリハリをつけるということでございますので、算定ルール自体はその延長線の中で整合性はとれていると事務局としては考えているところでございます。
あと、移転価格の確認のところについて、例えば移転価格を査定するとか、そういったような御発言もあったところでございます。何度か御説明させていただいておりますけれども、移転価格の妥当性というところに関して申しますと、日本以外のほかの国に対する移転価格などはしっかりと確認させていただいた上で、日本が不当に高い価格で移転価格を押しつけられているような状況ではないといったこと、あるいは、全体の外国平均価格と比べてどのような形になっているかということも含めて、薬価算定組織の中で確認をさせていただいている状況でございますので、補足させていただきます。
○中村部会長
では、平野委員、お願いします。
○平野専門委員
ありがとうございます。
先ほど吉森委員からコメントがありました件につきまして、専門委員から少しコメントをさせていただきたいと思います。
29コマ目の論点でございます。28コマ目にございますように、今回こういう形で資料が提出されておりますが、今まで類似薬効比較方式につきましては、イ、ロ、ハ、ニ、すなわち効能・効果、薬理作用、組成及び化学構造式、投与形態、剤型区分、剤型及び用法を総合的に判断し、最類似薬の選定が行われているものと理解しています。
これらの要件だけでは類似薬を選定できない場合に、このスライド28コマ目にあるような臨床的位置づけ等の医療実態の例に記載されているような要素を新たに加えて、総合的に判断することによって適切な類似薬が選定可能になるのではないかと考えている次第でございます。
あくまでも、臨床的位置づけ等の医療実態が個別の要件として単独でということではございませんで、イ、ロ、ハ、ニに加えて総合的な判断をいただけるということの提案でございます。結果的に、このことによって原価計算方式での算定を避けられる場合があるのではないかと考えている次第でございます。
また、29コマ目の論点にございましたように、市場での公正な競争の確保という視点で申し上げれば、効能・効果や薬理作用が同じではなく、市場で競合していない場合でも、疾患の重篤度や特性、患者数等の臨床的位置づけも総合的に勘案して類似していると考えられる場合は、公的な保険で賄う費用は同様の水準であることが望ましいと考えられ、そのことがひいては薬価算定の納得性が高まると考えている次第でございます。
以上でございます。
○中村部会長
ほかはよろしいでしょうか。
ありがとうございました。
次に、31ページから39ページまでの「イノベーションの評価」に関して、御質問、御意見等がありましたらよろしくお願いいたします。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
39ページ目の論点ですが、まず1つ目の論点は、前に行われた業界ヒアリングの際に今村委員が指摘したことと繰り返しになりますけれども、患者さんと医療従事者双方のメリットとなるよう、改良、改善することの重要性は理解いたしますが、そうした品目は加算として評価しなくても、市場シェアを獲得するという形で十分評価されるのではないかと考えます。
2つ目の論点につきましては、これまで治験データがなかった高齢者に対して現場の医師がきちんと判断できるようなデータを拡大していくという意義はあるとは思いますけれども、同様の課題は高齢者だけではなく小児にもありますし、またそうしたデータが必要かどうかは品目によって異なると思いますので、高齢者だけを取り上げることに関してはかなりの違和感があります。
なお、イノベーションの評価に関連して、33ページ目でも紹介されていますけれども、ポイント制による加算率の評価方法が導入されています。このポイントによる評価方法については、これまでの実施状況等も踏まえて、さらに検証する必要があるのではないかと考えております。
以上です。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
まずはキット加算と有用性加算を統合してはという、これは業界の要望なのですが、まず1つは、今の算定方式で何か問題があるのかということについて、薬剤管理官、いかがお考えでしょうか。
○中村部会長
では、田宮薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
現在の算定ルールで何か支障があるのかという御質問でございますけれども、製薬業界側の主張を私の理解するところでは、例えば35コマ目をごらんいただければと思うのですけれども、業界側の主張としては、「現行の有用性系加算の要件」というカラムのニのところですが、ここが「製剤における工夫により」という限定がかかっているということについて一つ問題提起があるのではないかと思っております。
すなわち、製剤における工夫ということなので、同じ成分で徐放剤にしたとか、そういう場合のみがニの対象になり得るのではないかということを言っておりまして、もし別成分で、成分を新たにすることでいろいろな治療上の負担軽減などのメリットがあるということである場合、現行のルールで言うと「治療方法の改善が客観的に示されている」というハの要件に該当するということであれば、個別には有用性加算の適用を認めてきていると事務局としても思っているところでございますけれども、こういったところをもう少しわかりやすくして欲しいという主張だと理解しています。ニの要件が製剤工夫に限定されているといったようなことと、それからキット加算の要件の中で、医療従事者あるいは患者双方の負担の軽減のような要素もあるので、この機会に見直してはどうかという提案だったのではないかと理解しているところでございます。
○中村部会長
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
もう一つ質問ですけれども、キット加算がついて有用性加算がついていない医薬品というのは存在しますか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
通常、キット加算が適用される場合は、有用性加算の評価ではなくて、キット加算の中で評価しているということが通例かと思います。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
なぜこういう質問をしたかといいますと、キット加算と有用性加算を統合すると、今までキット加算で評価されていた医薬品も有用性加算で評価されることになるわけで、その評価は全体につくことになりますので、今までの算定方式よりより高く評価されたり、今までは有用性加算の対象になっていないキット加算の要件だったものが、有用性加算の対象範囲に入ってくるということは、薬価が総じて引き上げられる方向になるのではないかということす。今のキット加算もキット加算として評価されているわけですから、それをわざわざ統合して有用性加算として評価する必要性があるのかと。これは業界からの要望ですが、対象範囲を拡大するということと薬価をさらに引き上げる方向に加算の対象になるということで、これは現状維持でいいのではないかと思いますので、意見として言わせていただきます。
○中村部会長
どうもありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
では、上出委員、お願いします。
○上出専門委員
ありがとうございます。
先ほどの幸野委員の1点目の御質問に関連しまして、専門委員として少しコメントさせていただきたいと思います。
本日の資料の36コマ目に、患者さんの治療負担軽減を通してアドヒアランスが高まるような医薬品、もしくは下段のほうには、医療従事者の煩雑な業務を減らすことを通して治療におけるリスクを低減、安全な治療を患者さんに提供できるような医薬品といった事例が示されております。
先ほど、薬剤管理官からモニタリングが不要といったものについて御説明がございましたけれども、例えば4つ目の「感染の危険を軽減」は、恐らく血小板減少症の治療薬の事例だろうと思います。血小板減少症の治療は、従来は血小板輸血によって治療されていたものでございますけれども、当然、輸注時の感染リスク、これは医療従事者に対しても患者さんに対してもそういったリスクがあったわけでございますが、この薬剤は経口投与によって血小板の産生を促すということで血小板を増加させる薬剤でございます。
しかしながら、現行のキット加算、有用性加算におけます製剤工夫による高い医療上の有用性という要件でございますと、こういったものは評価されないという現状があると認識をしております。
医薬品は安全かつ確実に投与されてその効果が発揮されるものでございますので、治療における患者さんの負担軽減、また、医療現場のリスク低減というのは、医薬品が有する効果を発揮させるための重要な要素だろうと考えております。
先ほど、そういった薬剤は市場が評価するのだから加算の必要はないのではないかという御意見もございました。もちろんそのとおりでございまして、そういったものは市場が評価することかと思いますけれども、一方で、やはりこういったものについて現行の有用性加算とキット加算の要件を再編することによって薬価上評価いただくことによって、こういった医薬品の開発が促進されるという側面もございますので、ぜひそういったこともあわせて御検討いただけたらと考えております。
以上でございます。
○中村部会長
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
今の専門委員の意見も踏まえて、私個人的にはこの有用性系加算(2)の要件のニの項目、製剤工夫による医療上の有用性を有するという点については、今ここで資料が示されていますように、製剤工夫以外によっても治療負担軽減、治療の質の向上に資するような評価、この辺が医療上の有用性を高めることは可能だというのは理解できるものだと思っております。
一方で、キット加算の要件とその有用性をどのように判断、評価するかということなので、同じような形で2つあるのか、これは2つ分けておく必要性があるのか。それとも、やはり有用性加算(2)の中にこういう要素も入れて整理、統合して、わかりやすくするということも大事ではないかと思いますので、その辺は検討の余地があるかなと思っております。
一方で、キット加算5%となって、有用性加算(2)のところが5~30というポイント制になっていますが、このポイントの設定の仕方で、合算するから35%というような安直な考え方ではなくて、5~30のパーセンテージは当然維持しながら、整理、統合をして、より医療上の有用性を高める方向へ持っていけるのかということを考えるべきだと思っております。
2つ目の高齢者対象というのは、薬価算定組織からの御提案にもありますが、これについて高齢者のみなのかどうかという御意見もありましたが、方向性としては臨床上高い有用性と安全性が客観的に示された医薬品は高齢者にとってどうかということを要件化していけばいいのかなと思っております。
以上です。
○中村部会長
ほかは。
では、今村委員、お願いします。
○今村委員
ありがとうございます。
松本委員からもおっしゃっていただいたし、今、専門委員からもお話があったように、市場が判断するというお話を前回申し上げた記憶があるのですけれども、今、事例に挙げていただいた、例えば血小板を従来輸血していたものを、そうではなくて錠剤にして血小板をふやすということを取り組むという話と、キットというか、製剤のあり方を今までと変えるという話と質が違っているのではないかという気がしていて、これを一緒にすることは無理があるのかなという感じがしています。
そもそも製剤の工夫をどう評価するか、根本的な問題なのですけれども、それこそまさに医療者や患者さんにとって、既存の治療に比べてこういう剤型にすることによって利点が発生すると。だから、既存の治療のものが臨床的な判断、あるいは患者さんの同意に基づいて置きかわるということで、開発した企業にとってみるとメリットが当然発生していて、そこを市場も拡大しながら、なおかつ薬価を高くするという評価につながるというのは何か違うのではないかなという気がしています。
今、できるだけフォーミュラリーであるとか、あるいは学会に価格を意識したガイドラインをつくっていただこうと。できるだけ患者さんの負担を減らすとか、医療者にとってもよい薬をできるだけ安く使えるような仕組みを考えていこうという中で、企業としては少しでも価格を高くしたいという思いがあるのは理解できます。先ほどの血小板のようなお薬を評価するという話は理解できますけれども、キットの剤型を変えたからということで、それを高く評価するというような、そもそもの考え方を少し改めていただきたいと思います。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
ありがとうございました。
では、最後に41ページから53ページまでの「後発バイオ医薬品の取扱い」に関して、御質問、御意見等がありましたらよろしくお願いいたします。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
53ページの論点でございますが、まず1つ目の論点です。そもそも先発品メーカーがバイオシミラーの開発、発売を牽制するために、バイオAGの販売をほのめかすというような対応をすることは、ルール違反とは言えないかもしれませんが、適切な競争環境を維持するという観点からはかなり問題があると思います。
その上で、実際にバイオAGが収載されるときの薬価の取り扱いとしては、現在の取り扱いをするのが適当と思います。また、今後の事例を踏まえて適宜修正していくべきだと考えます。
2つ目ですが、バイオAGが薬価収載された場合は、先発企業としても先発品のシェアを減少させ、後発品に置きかわることを許容しているので、後発品の扱いと同様、先発バイオ医薬品をG1・G2の対象とした上で、その薬価を段階的に引き下げていって差し支えないと考えます。
以上です。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
バイオAGとかバイオシミラーをどうするかというのは、一番重要な点はバイオシミラーの開発意欲を促すような価格設定と、適切な競争の環境をつくることが一番重要だと思います。
そういった観点で薬価を設定していくことが必要で、ちょっと悩ましいのですが、頭の中で整理できているわけではないのですけれども、例えば、研究開発で製造コストが後発医薬品よりも高いことから、先発医薬品の薬価の7割としている観点や、治験を行っているバイオシミラーの開発意欲や適切な競争環境を維持する観点からすると、治験を行っていないバイオAGの薬価については、バイオシミラーと同一の0.7でなくて、もう少し高い薬価にするということも一つの選択肢ではないかと思います。
それから、バイオAGが薬事申請された場合、先発品をどうするかというところですけれども、関連する先発品についてはできればその時点でバイオAGと同一の薬価に設定すべきと思うのですが、販売競争力というものを考慮すれば、一定の価格差をつけることはやむを得ないと思います。しかしながら、段階的に薬価を先発品と後発品を近づけていくことは必要であるので、今、G1・G2の対象外になっているのですけれども、G1・G2を適用していくことも検討していくことが必要なのではないかと思います。
それから、後発品への置きかえの度合い、置きかえ率を見ながら、10年間を待つことなく薬価差を縮めていくようなことも、置きかえ率によって検討していくべきではないかと思います。
それから、問題といいますか、100%子会社に権利を譲渡してバイオAGをつくる場合をどうするかというところですけれども、これは権利を移譲したわけですから、できればその時点で薬価を統一することが望ましいと思うのですが、そうしましたら、バイオAGが独占してしまうことになるので、供給等の状況を見ながら、いずれかは撤退するということを条件に承認すべきではないかと思います。
それから、バイオAGの価格帯をどうするかというところについては、化学合成品のAGと同様に、おくれて収載された後発品の実勢価格に合わせていくということは平仄を合わせて考えていくべきだと思います。
以上です。
○中村部会長
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
繰り返しになりますけれども、バイオシミラーの開発・発売を推進していくためにも、バイオセイムの取り扱いは非常に難しい面があると思いますけれども、これをバイオシミラーよりも高い薬価にしてもいろいろな問題が起きますし、低くしても問題が起きるということで、とりあえず現状では同じにするというのは苦渋の決断かなと思います。
以上です。
○中村部会長
ほかはよろしいでしょうか。
ありがとうございました。ほかに御質問等がないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりにしたいと思います。
本日予定されていた議題は以上になります。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございます。
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