ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第157回議事録(2019年10月9日)

 
 

2019年10月9日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第157回議事録

○日時

令和元年10月9日(水)8:59~10:05
 

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀委員 田辺国昭委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 宮近清文委員
松本吉郎委員 今村聡委員 林正純委員 有澤賢二委員
村井泰介専門委員 平野秀之専門委員 上出厚志専門委員 
<事務局>
濵谷保険局長 横幕審議官 八神審議官 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 次期薬価制度改革について(その3)

○議事

 


 ○中村部会長
ただいまより、第157回「中央社会保険医療協議会薬価専門部会」を開催いたします。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告します。本日は全員が御出席です。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
よろしくお願いします。
(カメラ退室)
○中村部会長
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は、「次期薬価制度改革について(その3)」として、新薬創出・適応外薬解消等促進加算、後発医薬品の薬価のあり方について検討していきたいと思います。
事務局より資料が提出されておりますので、説明のほうをお願いいたします。
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
資料薬-1をごらんください。
本日は「1.新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度」と「2.後発医薬品の薬価の在り方」について御議論いただきたいと思っております。
2コマ目に、これまで議論した議題も含めて検討スケジュールを載せてございます。
まず、新薬創出等加算制度でございますけれども、4コマ目をごらんください。
「これまでの経緯」ということで少しまとめております。
平成20年度の薬価制度改革において、引き続き検討することとされた制度でございまして、平成22年度に試行的に導入されたものでございます。考え方としては「特許期間中の革新的新薬の適切な評価に重点を置き、特許の切れた新薬については、後発医薬品への置き換えが着実に進むような薬価制度としていく」といった基本的考え方に基づいて策定されたというものでございます。
その後、平成28年12月の「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」で、ゼロベースで抜本的に見直すこと等とされたことを踏まえまして、平成30年度の薬価制度抜本改革において、対象品目を革新性・有用性に着目して絞り込むとともに、革新的新薬の開発等に関する企業指標の達成度に応じた加算という形で整理されたところでございます。
5コマ目に平成30年度の抜本改革以前の要件とその見直し後の要件についてまとめたもの、6コマ目に、品目要件とともに企業指標による区分I~IIIを通用したときのイメージをお示ししており、例えば区分II、IIIの品目ですと、加算は受けるけれども、改定前までは戻らないというようなイメージを示しているところでございます。
7コマ目でございます。平成30年度の改定時点における新薬創出等加算が適用された成分数・品目数をまとめております。合計560品目でございますけれども、ごらんいただくとわかるとおり、「○1希少疾病用医薬品」あるいは有用性加算などを受けた「○3加算適用品」の数が多くなっているという状況でございます。
8コマ目につきまして、試行的実施のときからの新薬創出等加算が適用された品目数、企業数、加算額、また、加算制度の試行的導入から時間も経過しており、新薬創出等加算の対象から外れて、その後これまでの累積加算額を控除した品目も出ておりますので、その控除額もあわせてお示ししているところでございます。
9コマ目、10コマ目につきましては、現在の新薬創出等加算の品目要件についてお示ししたものでございます。
11コマ目でございます。関係業界からヒアリングを行ったところでございますけれども、「関係業界からは革新性・有用性のある品目として先駆け審査指定制度の対象品目、承認審査において優先審査の対象となった品目、新規作用機序医薬品から2番手以降で革新性・有用性に係る基準に適合する品目などを品目要件に含めることについて意見があった」という状況でございます。
また、下に書いてございますけれども、薬価算定組織からも要件の見直しについて意見が出ているというところでございます。
12コマ目は、薬機法の改正について審議した厚生科学審議会の医薬品医療機器制度部会で提示された資料でございますけれども、この中で「医療上の必要性の高い医薬品等の分類の考え方とイメージ(案)」が示されております。
左側の表にある、こういったものが優先審査対象品目となるわけでございますけれども、現状におきましても、例えば「条件付き早期承認制度」の対象となるものがございます。
それから、「希少疾病用医薬品等」は薬機法に基づいて優先審査が明記されているものでございます。
それ以外に、下に「革新的医薬品等」とございます。要件などをごらんいただくと、先駆け審査指定制度の対象品目をイメージしているものですけれども、こういったものや、「未充足ニーズを満たす医薬品等」ということで、具体的に書いてございますが、小児の用法・用量あるいはAMR対策の開発等をしたものなどについて、新たなカテゴリーとして優先審査対象としてはどうかといった形で議論されたときの資料でございます。
13コマ目でございます。現行の先駆け審査指定制度の概要をお示ししているところでございます。
14コマ目、15コマ目、先駆け審査指定制度の対象となった品目の指定の状況、承認、薬価収載の状況をお示ししております。
右側の備考欄をごらんいただければと思いますけれども、例えば14コマ目でいいますと、ラパリムスゲル、ゾフルーザ錠、ゾスパタ錠につきましては既に承認、薬価収載されておりまして、いずれも有用性加算が適用されておりますので、新薬創出等加算の対象となっている状況でございます。
15コマ目でございます。ビンダケルカプセルについては、効能追加の部分が先駆け審査の対象であったというものでございますけれども、この品目自体は希少疾病用医薬品ですので、新薬創出等加算の対象となっているというものでございます。
ロズリートレクカプセルにつきましても、有用性加算が適用されておりますので、新薬創出等加算の対象になっているという現状でございます。
16コマ目の「参考」でございます。薬機法の改正法案の中で、真ん中に「改正後」という形で枠がございますけれども、先ほど申し上げた「希少疾病用医薬品等」に加えて「先駆的医薬品等」「特定用途医薬品等」というカテゴリーについて優先審査等の対象となる旨を法律上明確化するということが盛り込まれているものでございます。
17コマ目も同様に、現行通知によって運用されているものでございますけれども、「医薬品の条件付き早期承認制度」の内容につきましても優先審査の対象にするという形で盛り込まれている状況でございます。
18コマ目は、業界からのヒアリングで、日薬連から提出された資料でございます。
ごらんいただくと、現行の対象品目の「希少疾病用医薬品」のところに右矢印を書いてございますけれども、ここの部分について「先駆け審査指定制度や特定用途医薬品の対象品目なども対象とすべき」、新規作用機序医薬品のところに関しまして「追加効能や2番手以降の品目についても革新性・有用性に係る基準の該当性を判断すべき」といった意見が出されたところでございます。
19コマ目、20コマ目につきましては、PhRMA、EFPIAからの意見の資料でございますが、おおむね同様の主張がされているというところでございます。
21コマ目は、厚生労働科学特別研究事業で行われた製薬企業に対するアンケート調査の結果をまとめたものでございます。
新薬創出等加算の対象品目を有している企業83社を対象として、68社から回答があったということでございますけれども、そのうち59社(86.8%)が平成30年度抜本改革が影響を与えるといったような回答をしているということ。2つ目の○でございますけれども、「新薬研究開発」への影響が大きいと考えられる薬価算定ルールの変更事項について聞いたところ、1位の回答、総回答ともに「新薬創出等加算の見直し」とした件数が多かったなどの結果が出ているところでございます。
22コマ目につきまして、現在の品目要件と今まで紹介してきた関係業界から提案のあったもののうち、主な医薬品のカテゴリーについてまとめたものでございます。
ごらんいただくとわかるとおり、「新規作用機序医薬品の収載から2番手以降で、革新性・有用性の基準を満たす品目」あるいは「先駆け審査指定制度の対象医薬品」「未充足のニーズを満たす医薬品」等について業界等から要望、主張がされているという状況でございます。
右側に「企業指標で考慮」とありますとおり、例えば厚労省が開発を公募した医薬品、先駆け審査指定制度の対象医薬品につきましては、企業指標の中でポイントとして考慮しているということもあわせてお示しさせていただいております。
以上を踏まえまして、23コマ目でございますけれども、この革新的新薬の創出を加速することを目的とする本制度の趣旨を踏まえて、新薬創出等加算の対象となる革新性・有用性のある品目の範囲についてどう考えるかという「論点」を挙げさせていただきました。
続きまして、24コマ目からは企業要件・企業指標についてでございます。
新薬創出等加算の企業要件・企業指標につきましては、(A)革新的新薬の創出、(B)ドラッグ・ラグ対策、(C)世界に先駆けた新薬開発に関する指標を設定し、その達成度・充足度に応じて加算にメリハリをつけるとされているところでございます。
また、ベンチャー企業等への配慮といたしましては、中小企業であること等の要件を満たす場合には、区分IIIに分類された場合であっても区分IIとみなすというルールを設定しているところでございます。ただ、これまで適用された事例はないというところでございます。
下に表がございますけれども、区分I、II、IIIそれぞれ23社、54社、6社となっており、平成30年度改定時点においてはこのような状況であったということでございます。
25コマ目に、具体的な企業指標、分類方法について現行のルールを記載させていただいております。
26コマ目は、平成30年度抜本改革のときに今後検討する事項として、この企業指標について引き続き検討するとされているということでございます。
27コマ目でございます。企業指標の区分I、II、IIIのそれぞれの区分ごとに、各企業指標の平均ポイントを調べたものでございます。
ごらんいただきますと、区分Iの企業におきましては、A-1、A-2といった「国内試験実施数」「新薬収載実績」で高いポイントが出ているということがうかがえるかと思います。
28コマ目をごらんいただければと思います。今度は企業指標とは別の観点でございますけれども、平成30年度改定以降に区分I、II、IIIの企業がどれだけ新薬の新規収載をしたかというものを示したものでございます。
ごらんいただくと、区分Iは23社で50品目、区分IIは55社で24品目という収載がございましたけれども、そういう意味では区分Iの企業のほうが1社当たりの収載数は多いということになります。
ただ、その下に書いてございますけれども、「新薬創出等加算対象品の新規収載」や「新規収載時に有用性系加算を受けた品目」につきましては、区分IIの企業においてもそれなりに加算等の適用を受けているということがおわかりいただけると思います。
また、「開発公募品の承認数」につきましては、合計5品目で少ないのですけれども、区分IIの企業でも2品目でございますので、それなりに開発公募の取り組みなども区分IIの企業でもされているといったことがうかがえるかと思います。
29コマ目でございます。これは日薬連からの提出資料でございますけれども「いずれの指標も『数』が評価されるので、企業規模の影響を強く受ける点で公平性に欠けるのではないか」「相対評価なので予見性に乏しい」といったような御指摘、意見があったところでございます。
30コマ目をごらんいただければと思います。例えば、「開発公募品への対応」を見てみますと、ごらんいただくとわかるとおり、大企業も多数ございますけれども、そうでない、必ずしも大きくない企業もそれなりに開発公募品の開発に着手しているということがうかがえるかと思っております。
32コマ目、33コマ目に、先ほどの先駆け審査指定制度の対象品目を再掲してございます。こちらについても、規模の大きい企業ももちろんございますが、それ以外の企業も指定を受けている状況はうかがえるかと思っております。
34コマ目は、先ほどの再掲でございますけれども、企業指標の議論のために、一覧として出させていただいているものでございます。
35コマ目をごらんください。「加算係数と薬価の状況」についてまとめたものでございます。
企業指標に基づく区分I、II、IIIは、それぞれ加算係数が1.0、0.9、0.8となっているわけでございますけれども、このうち改定前薬価が維持されたものについて調べました。区分Iにつきましては、82%の品目が薬価が維持されていました。一方、区分IIについては27%、区分IIIについては薬価が維持されているものがないということでございます。
ただ、その下に青字で書いてございますけれども、乖離率が2%以下のものを内数で示しております。これはどういうことかというと、要は新薬創出等加算を受けなくとも、通常の実勢価改定で改定前薬価まで戻っているものがどれくらいあるかということでございます。区分Iですと15%、区分IIですと47品目中46品目、ほぼ全てが実際には加算で戻っているのではなくて、実勢価改定の結果として改定前薬価まで戻っているという状況がうかがい知れるかと思います。
この理由でございますけれども、下に「参考」ということで、新薬創出等加算の加算額の算出方法を記載してございます。こちらの中括弧の中でございますけれども、改定前薬価から市場実勢価改定後の価格を引いたもの、あるいは下の計算式で算出される額のいずれか低いとなっております。
この改定前薬価と市場実勢価改定後の価格の差というのは、まさに市場実勢価から改定前薬価に戻る分の加算が上限になっているということでございますので、下の計算式だけですと、乖離率が低い場合には改定前薬価を超えるような額の加算というのも計算上は出てくるのですけれども、この中括弧にございますとおり、改定前薬価までしか戻さないという処理を一旦計算した上で、そこに区分係数0.9や0.8を掛けておりますので、基本的には区分IIや区分IIIは改定前薬価には戻らないという算式になっているということでございます。
そういう意味では、区分I、II、IIIの間の差といいますか、メリハリのついた形はなっていると言えるのではないかと考えているところでございます。
以上を踏まえまして、36コマ目に「論点」として記載してございますけれども、企業指標、企業区分I及びIIIの範囲、区分ごとの加算係数について革新的新薬開発やドラッグ・ラグ解消の取り組み・実績を評価する観点、製薬企業がさらなる革新的新薬開発等に取り組むインセンティブとする観点からどう考えるかというのが1つ目の論点でございます。
2つ目の論点といたしまして、これは企業指標についてということになりますけれども、革新的新薬等の開発実績、あるいは開発品目数の少ない小規模企業による革新的新薬の創出というものについては、現行の企業指標で十分考慮されていると言えるかどうか、こうした状況について現行の企業指標とのバランスも踏まえつつどう考えるかということを2つ目の論点として挙げさせていただきました。
続きまして、「2.後発医薬品の薬価の在り方」についてでございます。
38コマ目に「現状」を記載してございますけれども、現行のルールは新規後発品については、先発品の薬価に0.5掛けの額、内用薬で銘柄数が10を超える場合は0.4掛けとされているところでございます。
また、下の右側にございますけれども、実際の薬価改定時には、この3つの価格帯に集約して改定を行うとされているところでございます。
平成30年度の抜本改革におきまして、この後発品の薬価算定ルールにつきましては、使用割合の80%達成時期目標の設定、あるいは毎年薬価調整・毎年薬価改定の導入、長期収載品の薬価の見直しなど、環境が大きく変化するといったことを踏まえて現状維持とされまして、次回以降の改定で検討を行うとされたところでございます。
39コマ目はそういったことを平成30年度改定時に説明したときの資料でございまして、40コマ目でございますが、前回改定の答申書附帯意見でも、引き続き検討するとされているところでございます。
41コマ目には後発品の使用割合の推移を掲載してございます。昨年、消費税改定のために薬価調査を行いましたので、直近では72.6%でございます。
42コマ目は、後発品の欧米諸国との価格水準を比較したものでございます。平成29年に一度お出ししているものでございますが、ごらんいただくと、特にアメリカが後発品の価格も突出しているということがおわかりいただけるかと思います。
そこで、欧州の国ともっとわかりやすく比較するために新たに作成して、平成29年8月に提出したのが43コマ目の資料でございます。これをごらんいただくと、日本の後発品の価格水準はフランスと同程度で、イギリスが日本よりも低い、ドイツは若干日本よりも高いといったような傾向にあるのではないかと考えているところでございます。
44コマ目でございます。新規後発品の収載後の乖離率を示したものでございます。表にございますけれども、平成28年6月から平成29年6月に収載された新規後発品につきまして、例えば真ん中の0.5掛けで算定された内用薬につきましては、括弧書きにあるとおり19成分あるわけでございますけれども、これの平均乖離率は19.5%だったということでございます。
これがどのような水準かと申しますと、下に「参考」として記載がございますけれども、先発品の価格が100円であったとすると、後発品の収載時の薬価は0.5掛けの50円ということになります。その後、収載後の最初の薬価調査時において乖離率が19.5%だったとしますと、これは薬価改定時に41.3円に改定されるという水準、すなわち、改定前の先発品の価格の0.41倍という水準になるということでございます。
ただ、これをもって0.4掛けとしていいのかという議論につきましては、なかなか議論はあるところかと思っております。あくまで平均の価格水準でございますので、下の表をごらんいただきますと、同時に収載された品目数によって乖離率が分かれております。例えば、表の1番上でございますが、収載品目数が1~5品目の場合ですと、乖離率20%以下の成分数が全24成分のうち半分の12成分を占めるといったような状況がうかがえるということでございます。
一方、6品目以上収載された場合には、いずれの成分も乖離率20%超になっているという状況がうかがえるといったところでございます。
あわせて、後発品の最初の価格につきましては、安定供給あるいは原薬の製造コストといった観点も含めて検討する必要があると思っておりまして、45コマ目に最近の製造コストの上昇や、製造に係るトラブル発生の事例ということで、5つほど紹介させていただいております。
また、46コマ目でございますけれども、特に抗菌薬の原薬の価格の上昇が続いているということでございまして、特に後発品に関していうと不採算となっているものが多く、安定生産、治療現場に対する安定供給は喫緊の課題となっているといったような資料も提出されているところでございます。
例えば、このペニシリンの原薬の場合ですと、出発原料の6APAが中国に依存をしているほか、その原薬の製造に当たっての工場での賃金の上昇や排水問題等環境対応など、さまざまな問題でコストが上昇しているというような状況があると聞いているところでございます。
また、参考までに47コマ目には「最近の主な供給不安事案について」もまとめております。
48コマ目につきましては、前回提出させていただいた新規後発品の収載、あるいは供給停止品目数の推移の状況です。49コマ目も前回出させていただきました安定供給のための厚労省の取り組みでして、3番にありますように、原薬のダブルソース化といったようなところも進めているところでございます。
50コマ目でございます。「後発医薬品の価格帯」についてでございます。最大3価格帯ということになってございますけれども、調べてみますと「成分規格数」で1価格帯になっているものが1,440と一番多いということでございまして、2価格帯、あるいは3価格帯になっている後発品もあるということでございます。
51コマ目に、現行の後発医薬品の価格帯集約のルールを記載してございます。真ん中の表の左側が、市場実勢価格に基づいて算出される薬価と御理解いただければと思います。こういった品目ごとに市場実勢価格に基づく薬価が算出される場合に、そのうち最高価格の50%、あるいは30%のところに線を引いて、その間に入るものについて3つのカテゴリーで加重平均をするというのが現行のルールでございます。
あわせて下にポツが書いてございますけれども、G1、G2品目を平成30年度改定で導入いたしましたが、このG1、G2品目に係る後発品については1価格帯に集約するということが前回の抜本改革で決まっております。
ただ、実施するのは次回改定からいうことで、このG1、G2に係る後発品を1価格帯に集約するというルールは現時点ではまだ適用されておらず、次回から適用することになっているということでございます。
52コマ目は、中間年改定が行われた場合のイメージということで、価格乖離の大きな品目を改定対象とするということになるので、後発品の中でも改定対象外と改定対象のものが分かれる可能性があります。
そういった場合には、この中間年改定におきましては、この点線で囲んでありますように、改定対象外と改定対象のものが分かれて加重平均するので一旦5価格帯になりまして、それを診療報酬改定年度に3価格帯に集約するというようなイメージまで、平成30年度抜本改革においてはお示ししているところでございます。
53コマ目は、日薬連から提出された資料でございますけれども、初収載の薬価につきましては「数量シェア80%となる後発品の安定供給の必要性を踏まえると、初収載薬価は見直すべきではない」、価格帯につきましては「市場での評価が適切に反映される制度とすべきである」といったような意見が出されているところでございます。
これを踏まえまして、54コマ目の「論点」でございますが、後発品の乖離率や安定供給の状況等を踏まえて、新規後発品の薬価のあり方、価格帯の集約についてどう考えるかということを挙げさせていただきました。
説明は以上です。
○中村部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明を踏まえ、これから3つのパートに分けて協議を行いたいと思います。
まずは、4ページから23ページまでの新薬創出等加算の品目要件に関して、御質問、御意見等ありましたらよろしくお願いいたします。
松本委員、お願いします。
○松本委員
23ページ目の「論点」に沿って発言させていただきます。
新薬創出等加算につきましては、前回改定以前は、革新性の低い新薬も対象になり得ることが問題となり、前回改定で真に革新性・有用性のある医薬品に限定して適用するルールに是正いたしました。
22コマ目に革新的新薬、ドラッグ・ラグ解消に係る品目と新薬創出等加算の関係が示された表がありますが、品目要件で○がついていない項目を真に革新性・有用性のある医薬品という観点で見ると、下から4番目の先駆け審査指定制度の対象医薬品であれば該当するのかと思われますけれども、それ以外の項目については、もう少し具体的な事例が示されない限りは判断が難しいと考えます。
以上です。
○中村部会長
ほかはよろしいでしょうか。
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
23ページに関して、まず、薬価算定組織からの提言もありましたが、市販後に革新性・有効性の高い効能を追加した医薬品、また有用性が新薬創出等加算品目と同程度と考えられる新規作用機序医薬品を新薬創出等加算の対象にするということについては、現行制度の新規作用機序医薬品の革新性及び有用性にかかわる基準という考え方からしても、一定合理性があるかと思いますので、品目要件への追加検討することは妥当性があるのではないかと考えます。
一方で、業界団体が2番手以降の開発を停滞させない観点で、3年以内、3番手以内という要件の見直しをしてほしいという意見がございますが、この要件はまさに革新的新薬の創出を効率的、効果的に促進するために設定されたものであると理解しておりますし、革新性・有用性の観点で絞り込むというような一定の合理的な理由に基づいて設定されているのだと理解いたしました。
一方で、PhRMAの意見の中に、米国での3年以内の2番手承認品目は2割以下であるというような意見がございます。
ここで再度改めて事務局にお願いですけれども、3年以内という期間設定のお考え方の趣旨等をもう一度確認したいのですが、教えていただけますでしょうか。
○中村部会長
これは、薬剤管理官お願いします。
○田宮薬剤管理官
3年以内の考え方につきましては、実際に業界の意見などもございましたけれども、1番手と同時期に収載される2番手、3番手というのは、ある意味1番手と開発競争をしている状況でございます。例えば、こちらからお示ししましたのは、ある品目について公開された特許情報、治験の成績などがわかってから別の企業が開発を着手しても、通常3年以内に上市、承認取得までこぎつけるというのはまず困難であるということからすると、非常に開発にしのぎを削っている中で、3年以内のものであれば、ほぼ同様の研究開発リスクの中で各企業が開発をしているといったようなことから、同様の革新性・有用性があるとみなせるのではないかといったような考え方だったと理解しております。
○中村部会長
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
現実問題として、米国では、米国に限ってかどうかは別として、2割以下であるというデータがあるのだろうとは思うのですが、今のお考えについて、我が国の薬価制度としてきちんと一定の革新性・有用性の観点で絞り込むには合理的で、妥当性があるということであるならば、やはり2番手以降で革新性・有用性に関わる基準を満たす品目の期間制限を撤廃すべきという意見については、賛成しかねると思います。
3年なのか、それとも5年がいいのかという期間の長さについては検討の余地はあると思いますが、今のこの期間を要件としている仕組みは維持してもいいと思っております。
いずれにしましても、医療保険の財源というのは限られているわけでございますから、それを念頭に加算拡充による開発の促進効果、医薬品価格の上昇に見合うものであるかということも踏まえて検討するということが大事な要点であると思います。
そういう意味では、22ページの品目要件のマトリクス表がありますが、このバーがついている、特に関係業界からの提案のあったもののうち主なものについては、先ほど松本委員からもございましたが、どの程度の品目があって、どの程度の医療品に影響を与えるのかというようなデータをお示しいただくことが議論する上で大事なことなのだろうと思っております。
○中村部会長
有澤委員、お願いします。
○有澤委員
ありがとうございます。
新薬創出等加算の品目要件の検討対象として幾つかカテゴリーが示されています。
13コマ目にありますように、品目の革新性という観点からいえば、先駆け審査の指定制度に、特に「1.治療薬の画期性」ということで、原則として既承認薬と異なる作用機序であることというふうに示されておりまして、このようなことから革新性について一定の要件を満たしているということも考えられますので、新薬創出加算の対象品目としてよいのではないかと思います。
もう1点、多分12コマ目くらいに書いてありますけれども、新薬創出加算の品目要件の対象となる未充足ニーズの医薬品等というところで、薬剤耐性菌等による感染の治療薬が挙げられています。このような医薬品の開発は大変重要であると考えますが、一方で、医療現場でそう頻回に用いるものでもないということから、結果として市場規模が小さい。そのようなことから企業がなかなか着手しないということも考えられますので、次の論点になるのかもしれませんが、開発を促進する上では個別品目の評価よりもむしろ企業指標のほうに組み入れることで強いインセンティブが働くのではないかと考えます。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
22ページが対象になっていますので、それぞれについてどう考えるかということで述べさせていただきます。
まず「先駆け審査指定制度の対象医薬品」は、松本先生もおっしゃいましたが、新薬創出加算の趣旨を踏まえれば、世界に先駆けた新薬ということで革新性も持っているということで、これは対象にしてもいい、検討の余地があるのではないかと思います。
その下の未充足のニーズは、薬機法の改正によって優先審査の対象となるものということなのですが、12ページを見ると、医療上の必要性は高いのだけれども、画期性・革新性が求められていないというところからすると、これは品目要件というよりも、どちらかというと企業要件として設定すべきではないかと思います。
それから、先ほど話題になりました、今収載になっている3年以内、3番手の品目なのですが、平成30年度の薬価制度抜本改革を振り返ると、当初案では新規作用機序医薬品の収載から1年以内かつ3番手というのが示されたと記憶しています。
その後、業界のヒアリング等々を経て、1年が3年に修正されたと記憶していますが、これがスライド7によりますと、加算要件を満たした成分数、品目数を見ると、新規作用機序の収載から3年以内かつ3番手のうち1番手が加算適用品の基準該当品は38品目と7%を占めている。果たしてこれが革新性・有用性のある品目の範囲として妥当であるのかというところを検証して、本当に3年というのが妥当なのかいうことについては今回改めて見直す必要があるのではないかと思います。
品目要件と企業要件をどのようにすみ分けをするかということについても、今回はっきりさせたほうがいいのではないかと思います。
例えば、今回先駆け審査指定制度が品目要件に追加されれば、企業要件でも評価されているし、品目要件でも評価されていると。同じように開発公募品も品目要件と企業要件両方で評価されているのですが、片や希少疾病用医薬品は、品目要件では評価されているけれども企業要件では評価されていないということになっていて、何を品目要件で評価するのか、何を企業要件で評価するのかというすみ分けを今回きっちりと整理する必要があるのではないかと思います。
以上です。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
ありがとうございました。
次に、24ページから36ページまでの新薬創出等加算の「企業要件・企業指標」についての御質問、御意見等ありましたらよろしくお願いいたします。
松本委員、お願いします。
○松本委員
36ページ目の「論点」でございますけれども、7月の業界ヒアリングの際に「企業指標は公平性に欠ける」との主張がありました。それに対して私は、革新的な新薬開発へのインセンティブという観点からすれば、数で評価することは極めて自然ではないかと述べ、業界に対して公平性を担保できる具体案を求めましたが、ゼロ回答でございました。
したがって、企業指標については、不公平感を改善し得る具体的な提案がされない限り、原則このまま維持されてよいのではないかと思います。
以上です。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
今の松本委員の意見にもかぶるところがありますが、7月24日の業界団体ヒアリングにおいて「数が評価される、企業規模の影響を強く受ける大企業に有利で公平性に欠ける」という主張がございました。
この主張には一定の合理性があるとは思っております。小規模企業であっても革新的な医薬品の開発に取り組んでいらっしゃる企業については、当然、正当に評価できるような仕組みとすることは検討に値すると考えます。
では、数にかわる具体的な指標はどのようなものがあるのか、これは今の松本委員と同等の意見でございまして、業界からの具体的な案の提示をいただいて事務局で整理して、それを踏まえて議論してはどうかと考えております。
また、35ページの企業区分II、IIIの品目は、乖離率2%以下でない限りは加算を受けても改定前価格が維持されない仕組みということになっておりますので、この企業区分や加算係数のあり方については、今の企業要件の見直しの議論と一体的に検討して、それを整理、検討した内容を踏まえて議論するという工程がよろしいのかなとも思いますし、品目要件、企業要件、先ほどの幸野委員の意見と同等でございます。その辺をきちんと区分をして議論を進めるようにしていただきたいと思います。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
企業要件については、制度設計をもう一度見直すべきだと思います。
まず、企業要件は創薬に係る企業間競争を促すためにつくられたと認識しておりますが、それは必要なことで、開発の実績によって差をつけることは継続していくべきだと思います。
業界からの意見で相対評価が予見性を損ねるというふうなこともありますが、この相対評価は予見性に乏しいということであれば、相対評価をやめて絶対評価にするということも検討の余地があるのではないかと思います。
現行の企業区分は相対評価となっているため、最下位は何もしていない会社なので、最下位タイ以外、6社しかないのですけれども、1つでも開発すれば区分II以上になるということで、区分I、IIの割合が93%を占めている。こういうのは指標としてはちょっと違うのではないかと思いますので、この相対評価のあり方自体は見直すべきではないかと思います。
28ページを見ても、区分Iは確かに新規収載の数は多いのですけれども、新規収載に占める新薬創出加算の対象品、要は革新的なものをつくっている割合というのは、実は区分Iより区分IIのほうが多くて、有用性加算の対象品も区分IIのほうが多いという結果が出ているのを見ると、真に革新的なもの、有用性なものを出している企業は区分Iなのか、この数値を見ると疑いたくなるというところで、この制度設計については見直したほうがいいのではないかと思います。
それから、「論点」にある加算係数1.0、0.9、0.8が妥当なのかいうところで、35ページでどれだけのものが改定薬価が維持されたのかという資料が出ているのですが、確かに区分Iについては8割が維持されているのですけれども、区分IIについては3割弱しか改定前の薬価が維持されていないというデータが示されています。
区分IIIについては100%維持されていないということなのですが、ここで1.0、0.9、0.8の妥当性を見きわめる中で、1.0、0.8というのは余り差がないように見えるのですけれども、かなり改定が維持されていないというデータを見ると、この0.2以上の差がついているということは理解できる。
もしデータとして提出していただけるのであれば、この改定前薬価が維持されていなかったものが区分I、II、IIIでどれぐらいの水準で薬価が落ちているのかというところを見て、1.0、0.9、0.8というのが妥当なのかどうかということも議論していく必要があるのではないかと思いますので、可能であればそういうデータをもとに1.0、0.9、0.8の妥当性を議論していきたいと思います。
以上です。
○中村部会長
どうもありがとうございます。
ほかは御意見いかがでしょうか。
まず薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
幸野委員から最後に御指摘あった点について見てみたいと思うのですけれども、恐らくどれくらいの水準で薬価が落ちているのかということについては、各品目の乖離率がどれくらいかということにもよるところがございます。
例えば、区分Iですと、係数1.0なので、計算式で出た加算額がそのまま適用されることになるのですけれども、例えば平均乖離率よりも大きいようなものですと、35コマ目の計算式がございますけれども、加算の計算式がもともと0.5掛けになったりなどもしますので、その品目の乖離率がどれくらいになるかによって、大分ばらつきが出る可能性があります。
調べさせていただきたいと思いますけれども、もしかすると区分I、II、IIIでそういった傾向などが出ない可能性もあるという気はしているところでございます。いずれにしてもちょっと確認させていただきたいと思います。
○中村部会長
では、上出委員、お願いします。
○上出専門委員
ありがとうございます。
専門委員としてコメントをさせていただきたいと思います。
この企業要件につきまして今いろいろ御議論がございましたけれども、本日の「論点」の2点目でございます、革新的新薬等の開発実績、開発品目数の少ない小規模企業による革新的新薬の創出の評価という観点で現行の企業指標を見てみますと、スライド27にございますとおり、どうしてもA-1、A-2といったところがこのポイントの大きな部分を占めております。
このA-1、A-2、国内試験の数、新薬収載実績の数ということで、どうしてもこの数を評価してまいりますと、企業の規模に引っ張られるところが出てまいります。
そういった意味で、規模の小さな企業の新薬開発のインセンティブということを考えますと、例えば、A-1のところにつきましては数ではなくて、こういった開発をしているか、していないかという観点で企業を一旦区分する。やっている企業については、本日の資料の34コマ目にございます、こういった個別の指標、希少疾病医薬品、開発公募品、加算適用品、新規作用機序薬品、また、先ほど御議論もございましたけれども、先駆け審査指定制度の対象品、こういったものをやっているか、いないかということで評価していけば、規模の小さな企業のイノベーションの促進も達成できるのではないかと考えております。
また、先ほど品目要件と企業要件をどう整理していくのかといった問題提起もあったかと思います。新薬創出等加算につきましては、真に有効な医薬品を適切に見きわめてイノベーションを評価し、研究開発投資の促進を図るというコンセプトというふうに記載されております。そういった観点で、抜本改革で品目要件が新たに設定されたわけですけれども、まずは対象とすべき品目が過不足なく選定されるような品目要件を整備した上で、企業要件が必要であれば、そこはそういった取り組みをしているか、していないかというシンプルな指標で評価していくという方法もあるのではないかと考えます。
以上でございます。
○中村部会長
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
最後になりますけれども、38ページから54ページまでの「2.後発医薬品の薬価の在り方」に関して、御質問、御意見等ありましたらよろしくお願いいたします。
松本委員、お願いします。
○松本委員
54コマ目の「論点」のところでございますけれども、日本医師会は従来から「後発品メーカーの統合、再編が不可欠」と主張しております。
1つの先発品に対して、後発品を発売するメーカーが20社を超えるということも珍しくない中で、品目数が多いことによるわかりにくさが医療現場での使用促進の妨げになっているとも言えます。厚生労働省が公表した「医薬品産業強化総合戦略」においても、「使用割合が80%になるということはその後の国内における市場拡大の余地はこれまでよりも小さくなるということでもあり、今の段階から将来を見越して各メーカーは集約化、大型化も含めてそのあり方について検討することが必要ではないか」と指摘しています。
日本ジェネリック製薬協会も、「ジェネリック医薬品産業ビジョン」において「ジェネリック医薬品を扱う全てのメーカーが、各社の『役割を明確化』することにより、産業としての透明性を高め、全ての人々に『信頼』される産業を目指す。結果として、ジェネリック医薬品メーカーの集約化や大型化に繁がる可能性がありうる」と言及されておられます。
その上で新規後発品の薬価のあり方についてですが、45~47ページには安定供給が懸念される資料が提出されております。先ほどのとおり、今後は後発品メーカーの再編、統合を進めることが望まれます。
その一方で、2020年度までに後発品の使用割合を80%以上とする国を挙げての目標に進んでいる現在、全ての新規後発品の価格を現行の0.5掛けから、例えば0.4掛けにするべきか否かにつきましては、安定供給という側面からも考慮すると、慎重な検討が必要ではないかと考えます。
また、51ページにありますが、価格帯集約ルールでは、安売りをしている後発品の薬価が引き上げられるという問題が生じております。この点につきましては、7月の業界ヒアリングの際に澤井会長から、「価格帯集約により、改定後の薬価が改定前の薬価を大幅に超える品目は別の価格帯にするなど、市場での評価が適切に反映される制度に改めるべき」と発言がありましたけれども、やはり価格帯を少しふやすような方向での検討もあってもいいのではないかと思います。
以上です。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
44ページを見ますと、0.5掛けの内用薬乖離率が19.5%、その隣の0.4掛けだと37.7%と、これだけ見ると、やはり乖離率がこんなにあるのなら下げるべきなのだろうと思ってしまいます。しかし、ここに注釈もありますが、仮に先発品と同じ引き下げの値幅といいますか、絶対額であれば、間違いなく後発品の乖離率が高く出てしまうことに留意する必要があると思います。この表だけを見て一概にどうであるという議論については、非常に慎重にやらなければいけないと思いますし、当然、品目数が多くなれば、値下げ競争、値引き競争も大きくなって、乖離率は当然のことながら高くなります。そのような価格競争の原理が働くこともございますので、ここは慎重に見ていくべきと考えます。
あわせて45~47ページで、近年、医薬品原薬の製造コスト並びに中国を中心とした環境問題対応から原薬の価格の上昇が続いているというのは、ここにあるとおりだと思います。このような背景を踏まえますと、当然ながら80%になってきた後発医薬品の安定供給、安定生産、この辺をきちんと見ながら、さらにはこの値段が下がって不採算のものがあるという発表どおりなので、本当にそうなのかという検証も必要なのかもわかりません。ただ、不採算であるのが間違いないことであるならば、やはり新規後発医薬品の薬価についての考え方は慎重に検討していくべきだろうと思っております。
一方で、53ページの価格帯集約の件でございますけれども、業界資料提出にございますように、市場実勢価格と改定薬価の乖離が生じている中で、市場実勢の安いものの薬価がこの集約により引き上げられると、先ほど松本委員もおっしゃっていました。
ここはきちんと見ていく必要があると思いますので、当然ながらこの集約の価格帯にしていく、今の3価格帯でやるということであるならば、この問題をどのように解決するのか、もし業界の皆さんの研究がおありになるならば、きちんと御提案をいただいて事務局で整理をして、薬価専門部会で議論していく必要があると思っております。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
今村委員、お願いします。
○今村委員
今の松本委員、それから吉森委員の御発言にも共通のお話だと思いますけれども、後発医薬品の使用割合は目標値80%にかなり近づいてきている。財政的な視点が非常に大きいと思うのですけれども、我々が実際に患者さんに薬を処方する医師として見ると、やはり安定供給ももちろんありますし、安全性ということも非常に重要視されていると思います。
これまで以上に医師が安心して後発医薬品を患者さんに投薬できるという大前提として、45~46ページにもありますように、いろいろな問題が、原薬を海外に依存し過ぎていること、あとはトレーサビリティーの問題で患者さんが飲んでおられるお薬、信頼できる日本の企業の薬を飲んでいると思ったら、中に入っている原薬は全て海外から入っているものなのだと。
これは価格の話と直接は違うのかもしれませんけれども、そういった安全性について実際にこのようないろいろな問題が起こっているということを見ますと、こういったトレーサビリティーやあるいは原薬をどうしていくのかということをやはり国としてもう少し考えていただきたいという問題がある。
同時に、結局、経済原理として、もし安い海外の原薬を使っている企業が安い価格で売っているということがあるとすれば、先ほどの3価格帯の話でもそうですけれども、その価格を引き上げると、松本委員がおっしゃるように、本来であれば企業をこれからある程度集約していかなければいけない中で、ある意味企業を応援するような価格設定になってしまうというのは私は非常に問題であると思っているので、ぜひその辺も御検討を踏まえ、改めていただければと思います。
以上です。
○中村部会長
有澤委員、お願いします。
○有澤委員
私も先ほどから松本委員、吉森委員、今村委員からお話があったように、現行の3価格帯でやっていることについて、どうしても逆に値上がりをしてしまう、あるいは極端に値段が下げられてしまうということは、53コマ目にあるように問題であると思っています。
それと同時に、セファゾリンに代表されるように、安定供給が崩されてしまう、こういった問題はもうここ1年に数回必ず起きている。私も現場に立っていますけれども、こういった安定供給がされないというケースがかなりありますので、まずそういった点からもしっかりと国が安定供給の確保、あるいは原料の何カ所かからの仕入れをしていくということも必要ですし、3価格帯あるいは最終的には1価格帯に統一するという中で、矛盾が生じている部分については、価格帯は3にこだわらず、ある程度ふやしても構わないのではないかと思いますが、いたずらに価格帯がたくさんふえるということについても問題があると思いますので、この辺はどのようにしたらいいのかというのをまた別途議論も必要だと考えています。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
今までの委員の方と重複した意見になりますが、述べさせていただきます。
まず、新規収載の価格は平成28年度以降、4年間据え置かれているということで、今回これをまたさらに据え置くのか、見直すのかということになろうかと思いますが、支払い側から見ると、44ページにある乖離率を見れば、これで据え置いていいとは言いがたいかなと思います。
赤字垂れ流しでジェネリックメーカーが販売しているかというと、そうではないので、ある程度この中で利益を出しているのであれば、実勢価格に見合った改定を行うべきと思うのです。資料にいろいろ出ています、安定供給リスクが最近発生しているというところについてどう考えるかというところなのですけれども、スライド48の後発品の供給停止品目数を見てみると、平成30年度の吸収合併を除いた239品目は0.6掛けに改定した平成26年度の281品目、0.5掛けに落とした平成28年度の195品目と余り変わっていないという事実もあるということも押さえておく必要があると思います。
あと、スライド49の安定供給で厚労省の方がいろいろ努力されて、原薬の調達経路を一本化するのではなくて、複数化していくというのも進んでおり、平成25年度の28.6%から平成29年度は42.7%に上昇しているところを見ると、安定供給リスクに対する対応もやりながら価格を設定しているということで、これが直ちに安定供給リスクがあるから価格を据え置くべきであるという議論にはつながらないのではないかと思っています。
もう一つの要素としては、平成30年度の改定で長期収載品のG1、G2ルールができたということで、長期収載品の価格は強制的に後発品に近づけるというルールもできてきた中で、後発品の薬価は維持するのか、価格にはある程度差をつけていかなければいけないというところもあるので、そのようなところも考慮していかなければいけないと思います。
44ページの乖離率はそれぞれ出ているのですが、もう一つの要素として、平成30年4月に「流通改善ガイドライン」が策定されて、価格交渉につまずいた場合は、厚労省の中に窓口も設置されたということも聞いております。
そういったこともあって、平成30年度以降流通に関する変化も起こっているということであれば、ことしの9月の薬価調査でどれくらいの乖離率になっているのかというところも見て、その上で議論する必要があるのではないかということで、時期的にはぎりぎりのところになるかと思うのですけれども、平成30年度の流通改善ガイドラインが出た後にどのような流通になったかというのも加味して新規収載品の価格をどうするかということを議論する必要があるのではないかと思うので、ちょっと結論を先送りしてはと思います。
それから、価格帯の話なのですが、各委員の方がおっしゃっているとおりだと思います。将来的には1価格帯に収れんさせていくことが大前提になると思いますが、その過渡期に薬価が低いものが大きく引き上がるというのは妥当ではないと思われますので、これは日薬連も提案されているとおり、薬価が引き上がるものについてはさらに加重平均をして、改定価格よりも引き上がるような状態は生じないというふうなことを過渡的な措置としてつくっていくということもやっていくべきではないかと思います。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございました。
村井委員、お願いします。
○村井専門委員
ありがとうございます。
安定供給のことで一つ申し上げたいことがあるのですけれども、先ほどのセファゾリンナトリウム等の経験で我々が感じましたのは、当該品目だけではなく、その直後から同効品の需要が一斉に上がるものですから、その同効品も含めて出荷調整がかかる。これは、後発品メーカーが需要の急激な変動があったときの対応の柔軟性が乏しいという現実があるということで、多分、原価構造が後発品でもそれぞれ全然違うと思うのですけれども、特に注射用の抗生物質など原価の高い品目については、そのようなことも御配慮いただかないと、思わぬ供給不安が発生しがちであるということも御理解いただきたいと思います。
○中村部会長
ほかに専門委員の方は何かありますか。
よろしいですか。
ありがとうございました。ほかに御質問等ないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりにしたいと思います。
本日予定された議題は以上になります。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
 

 

 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第157回議事録(2019年10月9日)

ページの先頭へ戻る