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2019年7月24日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第154回議事録

○日時

令和元年7月24日(水)9:00~10:56
 

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀委員 田辺国昭委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 宮近清文委員
松本吉郎委員 今村聡委員 林正純委員 有澤賢二委員
村井泰介専門委員 平野秀之専門委員 上出厚志専門委員 
<事務局>
濵谷保険局長 横幕審議官 八神審議官 森光医療課長 岡田医療技術評価推進室長
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 関係業界からの意見聴取について

○議事

 


 ○中村部会長
ただいまより、第154回「中央社会保険医療協議会薬価専門部会」を開催いたします。
まずは本日の委員の出欠状況について報告します。本日は全員が御出席になります。
引き続き、厚生労働省におきまして異動がございましたので、事務局より紹介をお願いいたします。
では、医療課長の森光さん、お願いします。
○森光医療課長
事務局より、異動の御紹介をさせていただきます。
医政局、林経済課長でございます。
○林経済課長
林でございます。よろしくお願いいたします。
○中村部会長
ありがとうございました。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○中村部会長
それでは、議事に入らせていただきます。
今回は、関係業界からの意見聴取を行いたいと思います。
関係団体として、日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会、日本医薬品卸売業連合会、再生医療イノベーションフォーラム、日本バイオテク協議会より意見を聴取したいと考えております。
それでは早速、意見陳述に移りたいと思います。
まずは関係団体の皆様よりプレゼンテーションしていただき、その後に質疑とフリーディスカッションを行いたいと思います。
それではまず、日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会及び欧州製薬団体連合会の順に、自己紹介を行った上でプレゼンテーションをお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○日本製薬団体連合会(多田)
おはようございます。私は、日本製薬団体連合会の多田と申します。意見陳述のお時間をいただき、まことにありがとうございます。本日は、手代木会長の代理といたしまして、業界意見を述べさせていただきます。
初めに、私から、製薬企業を取り巻く環境や、次期薬価制度改革に向けての意見の概要について述べた後に、新薬につきましては、日本製薬工業協会の中山会長、後発品につきましては、日本ジェネリック製薬協会の澤井会長より陳述をさせていただきます。
次をお願いいたします。
日薬連は、業態別団体と地域別団体で構成される連合会でございまして、このスライドは、業態別団体の位置づけを模式的に示しております。
次をお願いいたします。
こちらは社会保障関係費の抑制が薬価改定に依存していることを示した図でございます。薬価関連抑制額は予算上の国費ベースにおいて4年間累計でマイナス4204億円であり、抑制額の約75%を占めております。国民皆保険制度の堅持は最重要課題と認識はしておりますけれども、薬価制度の見直しのみで財源を捻出することはもはや限界により、広い視点から検討すべきだということでございます。もう限界であるというふうに感じておるわけでございます。
スライド4でございますが、こちらは近年の国内医療用医薬品の市場の対前年度比の推移でございます。2015年度は画期的なC型肝炎治療薬等の上市によりまして、国内市場は大きく伸びましたが、その後は特例拡大再算定の導入や薬価制度の抜本改革、後発医薬品の使用促進等により、国内市場はマイナス成長となりました。
5ページをお願いいたします。
国内製薬企業8社の2018年度の、左グラフは国内売上高及び、右グラフは連結売上高の前年比を示しております。製薬各社の国内売上高は厳しい状況にあり、海外の売り上げによって連結売上高をカバーしている状況にございます。
6ページをお願いいたします。
こちらは製薬会社8社における国内従業員数の状況でございます。製薬会社単体における国内従業員数は3年連続で減少しており、各社では事業効率化のための再編に伴う分社化、工場の譲渡及び閉鎖、早期希望退職者の募集などが行われている状況にございます。
スライド7をお願いいたします。
2018年度以降の薬価制度をめぐる動向について、改めて振り返りますと、薬価制度の抜本的改革では、イノベーションの推進については重要視されておらず、結果として薬価を引き下げる方向に偏ったものになったと言わざるを得ません。また、消費税率引き上げに伴う薬価改定では、半年間前倒しで実勢価に基づく引き下げが行われるために、製薬企業の経営等に対する影響は極めて大きいと考えます。
さらに、費用対効果評価の制度化では、有用性系加算が最大90%の引き下げになるなど、薬価制度を補完する仕組みというには余りにも厳しい内容を含むものとなりました。
こうした製薬企業を取り巻く環境が厳しくなる中、次期薬価制度改革によってイノベーションが推進され、医療の質の向上に資する制度へと改善されるよう、私どもの意見を述べさせていただきます。
スライド8をお願いいたします。
まず、新薬につきましては、新薬創出等加算の品目要件の拡充や企業要件の見直し、薬価算定における類似薬の対象を拡大する仕組み、薬価収載時及び収載後の評価等についての検討が必要と考えております。
詳細につきましては、後ほど中山会長より御説明させていただきます。
次に、長期収載品と後発品及び基礎的医薬品等についてでございます。長期収載品に係るG1/G2ルールは平成30年度改定で導入されたところであり、新薬の研究開発から承認、上市に至るまでには長期の期間が必要であること、また、長期収載品から後発品への置きかえや安定供給等に与える影響が現時点では不透明であることを踏まえまして、長期収載品の段階的引き下げまでの期間について、拙速に見直すべきではないと考えます。
G1/G2ルールによる薬価の引き下げは、個別品目や企業に対し大きな影響を与えるため、安定供給という観点から、引き下げ率の下げどめや、影響の大きい企業への円滑実施措置について継続すべきと考えます。
後発品につきましては、後ほど澤井会長より御説明をさせていただきます。
最後に、基礎的医薬品等でございます。医療上必要な医薬品の継続的な安定供給を確保する観点から、基礎的医薬品については、対象範囲のさらなる拡充や要件の見直しが必要と考えます。あわせて、不採算品再算定及び最低薬価の充実に向けた検討も行う必要があると考えます。
私からは以上でございます。
それでは、中山会長、新薬に関する陳述をお願いいたします。
○日本製薬工業協会(中山)
続きまして、日本製薬工業協会の会長を務めております中山でございます。
スライド10をごらんください。
これまで製薬産業は、さまざまな最先端の科学技術を取り込むことで、革新的な医薬品を世に送り出し、人々の健康や医療の質の向上に貢献してまいりました。モダリティーも低分子からバイオ医薬に変化し、個別化医療や再生医療など、新しいものが次々と生み出されております。創薬イノベーションは着実に進歩してきたと考えております。
また、これからはビッグデータ、AI、ロボットなど、近年急速に進展しているイノベーションをあらゆる産業や社会生活に取り入れ、さまざまな社会課題を解決するSociety5.0の時代を迎えます。このデジタル革新は、遺伝子情報の活用による創薬の加速や治療効果の予測などを可能とし、ヘルスケア分野のイノベーションを大きく進めていくものだと考えております。
スライド11をお願いします。
革新的新薬の恩恵を広く日本にもたらし、健康寿命のさらなる延伸を実現するためには、一方でイノベーションの創出の支援と同時に、イノベーションの適切な評価の両方を強力に推進することがあって初めて進むものだと考えております。
スライド12をごらんください。
イノベーションの適切な評価を行う上で、薬価制度は極めて重要な役割を果たしており、中でも新薬創出等加算は革新的新薬を継続的に創出していくために必要不可欠な仕組みであると考えております。しかしながら、薬価制度の抜本改革によって対象品目が絞り込まれるとともに、多くの企業の対象品目の薬価が維持されない仕組みとなりました。次期薬価制度改革においては、真に革新的新薬の創出を促進する仕組みへと改善すべく、新薬創出等加算の品目要件を拡充するとともに、企業要件の見直しを行うべきと考えております。
スライド13をごらんください。
品目要件につきましては、1点目として、承認審査において優先的に審査される品目、すなわち先駆け審査指定制度や条件付き早期承認制度、さらに薬機法の改正案における特定用途医薬品等を対象とすべきと考えております。
2点目として、当初の効能のみならず、追加効能について「革新性及び有用性に係る基準」を満たす場合は対象とすべきと考えております。
3点目、現行ルールでは、1番手が「革新性及び有用性に係る基準」を満たさない場合には、2番手以降の品目について当該基準への該当性の判断自体がなされないことになるため、2番手以降の品目であっても、同一の薬理作用を有する医薬品の中で当該基準を初めて満たす場合には対象とすべきと考えております。
これらの見直しにより、医療上開発が強く求められている医薬品や有用な効能追加、既存の治療薬にはない特性を備えた医薬品等のさらなる開発の促進につながるものと考えております。
スライド14でございます。
薬価制度の抜本改革により新設された企業指標については、企業規模などの影響を大きく受けるために公平性に欠けること、また、各区分が相対評価で決まることから予見性に乏しいことなどの課題があると認識しております。したがいまして、現行の企業指標は撤廃した上で、日本国内で新薬創出に取り組んでいる企業の品目の薬価が維持される仕組みに見直すべきと考えます。
次に、スライド15です。
新薬の薬価算定における類似薬の選定基準についてでございます。現行の薬価制度においては、類似薬効比較方式を基本とし、適切な類似薬が存在しない場合に原価計算方式を用いて新薬の薬価が算定されています。このうち特に原価計算方式については、製品総原価の開示度について指摘がなされており、薬価算定の透明性、納得性を高めるという観点から、類似薬の対象を拡大する仕組みの検討が必要であると考えております。
例えば、特定の遺伝子変異の共通性があれば、がん種を問わず投与可能な薬剤が既に登場してきており、このような新薬については、同じがん種内で類似薬を選定するというルールに縛られることなく、がん種を超えてより適切な類似薬を総合的に選定できるルールが必要と考えます。
こうした課題を解決するためには、既存の選定基準にとらわれず、対象疾患の特性、臨床的位置づけなどの医療実態の類似性についても総合的に勘案できる仕組みを検討する必要があると考えております。
スライド16をごらんください。
新薬の薬価収載時の有用性系加算の見直しについてでございます。具体的には、現行の有用性加算に医療従事者における負担軽減、リスク軽減の観点が含まれるキット加算を統合し、製剤工夫等の有無にかかわらず、患者・医療従事者双方における治療上の負担軽減、治療の質向上に資する医療的価値を評価できるよう、要件の見直しについて検討を行う必要があると考えております。
例えば、投与の簡便性が向上したり、投与の煩雑な管理が不要になるなど、患者さんの負担軽減を通じてアドヒアランスを高めた医薬品や、モニタリングが不要であったり感染の危険を軽減するなど、医療従事者の煩雑な業務を減らすことによって治療におけるリスクを軽減し、患者さんに安全な治療を提供することを可能とする医薬品などがそれに該当すると考えております。
これらは現行ルールにおきましても評価され得るものでございますけれども、有用性加算において一つの指標として整理・統合することによって、こうした新薬の開発のさらなる促進につながるものと考えております。
続いて、スライド17をごらんください。
薬価収載後の革新性・有用性評価の拡充についてでございます。医薬品の中には、薬価収載後に追加した効能によって新たな革新性や有用性が示される場合がありますが、現行の薬価制度では、それを適切に評価する仕組みとはなっておりません。
一方、既に薬事承認を受けている効能効果について、市販後に集積された調査成績によりトゥルーエンドポイントが検証された場合の評価として、薬価改定時の真の臨床的有用性の検証にかかわる加算がありますが、その適用は極めて限定的でございます。
患者の治療選択肢をふやし、医療の質の向上に貢献し得る効能追加にかかわる開発がより促進されるよう、効能追加等によって薬価収載時の有用性系加算の要件を満たす場合には、薬価改定時にその評価を行うべきと考えております。
また、薬価収載時に十分なエビデンスが得られていなかった品目でも、市販後のエビデンス集積によって新規収載時の有用性系加算の要件を満たすような場合については、薬価改定時に評価を行うべきではないかと考えております。
私からは以上でございます。
澤井会長、よろしくお願いします。
○日本ジェネリック製薬協会(澤井)
日本ジェネリック製薬協会の澤井でございます。
スライド18をごらんください。
後発品企業は、薬価制度の抜本改革の基本方針に示された国民負担の軽減と医療の質の向上に貢献するため、数量シェア80%目標の早期達成に向けて、これまでさまざまな努力を行ってまいりました。安定供給体制の強化として業界を挙げて相当の設備投資を行い、原薬のダブルソース化などの取り組みを行っております。
品質に対する信頼性の確保と適切な情報発信として、海外原薬製造工場への査察の強化や、原薬製造国の公開、また、インタビューフォームに共同開発に関する情報の記載等を行っております。ジェネリック医薬品のイノベーションの推進として、患者のQOL向上などに貢献する製剤工夫や包装仕様の改善などを行ってまいりました。
当協会の調べによる2018年度の後発品の数量シェアは74.0%です。現在、次世代産業ビジョンを策定中ですが、その中においては、揺るぎない安定供給体制と高度な品質管理体制を土台に、品質・安全性情報の提供を行っていくことで、国民医療を守る社会保障制度の持続性に貢献することを目指しております。
2020年度の薬価制度改革は、後発品への置きかえの動きを停滞させるものではなく、ポスト80%時代にも特許切れ医薬品供給の社会インフラとして安定供給を堅持し続けることが可能な制度であるべきと考えております。
スライド19は、後発品の薬価のあり方についてです。初収載の薬価についてですが、後発品の開発は当該製品の医療ニーズを踏まえ、長期的な安定供給対応を含めた設備投資費用も考慮し、決定しております。抜本改革の影響が不透明な中で、初収載の薬価がさらに引き下げられることとなれば、後発品が収載される機会が失われると考えます。後発品企業は、多くの低薬価の医薬品を供給していく使命を担っております。そのコストを確保する上では、新規収載の薬価が極めて重要です。数量シェア80%となる後発品の安定供給の必要性を踏まえると、初収載薬価は見直すべきではないと考えております。
次に、既収載品の価格帯についてです。現在の3価格帯及びさらなる価格帯の集約は、市場実勢価格の安いものの薬価が引き上げられたり、逆に高いものの薬価がその影響で著しく引き下げられたりするなど、市場実勢価格と改定薬価に乖離が生じております。抜本改革により導入された収載から12年経過した後発品の1価格帯への集約化では、多くの品目においてこのような状況が起こると予測されます。現在の後発品の薬価は、長期的な安定供給を考えず、低価格で販売されているような品目も一まとめにされます。特許切れ医薬品供給の社会インフラとして安定供給を堅持し続け、医療安全のための工夫や患者のQOLの改善などに貢献している医薬品を長期的に供給するためにも、同一価格帯の中で改定後の薬価が改定前の薬価を超える品目は別の価格とするなど、市場での評価が適切に反映される制度とすべきと考えます。
以上でございます。
○日本製薬団体連合会(多田)
私どもの意見陳述は以上となりますが、薬価算定ルール見直し等に関する意見の詳細と製剤の特性を踏まえた個別要望事項につきましては、別添の意見書に取りまとめておりますので、今後の議論において御勘案いただければ幸いでございます。
どうも御清聴ありがとうございました。
○米国研究製薬工業協会(原田)
おはようございます。PhRMA在日執行委員会で副委員長を務めております原田です。
本日は、次期改定について意見を述べる機会をいただき、まことにありがとうございます。
早速ですが、スライド2をごらんください。
初めに、薬価制度抜本改革前後の業界の現状について説明させてください。
まず、市場の状況ですが、日本の医薬品市場の過去5年間の年平均成長率は1%でありまして、世界の他の地域と比べると、その伸びは低く抑えられております。日本は非常に低い成長率で推移してきたわけですが、PhRMA会員企業はこの間も日本への投資を拡大し、ドラッグラグ問題の解消に積極的に取り組んでまいりました。
これを可能にした一つの要因は、新薬創出等加算であります。新薬創出等加算によって特許期間中の薬価が維持され、予見性が高まり、次の新薬開発への再投資にも早期に着手できるという好循環が生まれたためであります。
スライド3をごらんください。
このような状況の中、2018年度の薬価制度改革におきまして、新薬創出等加算の抜本的な見直しが行われました。また、年4回の再算定や費用対効果評価による価格調整の導入など、特許期間中の新薬の薬価引き下げを加速させる方向の見直しも同時に行われました。このような新薬を含む薬価引き下げに偏った改革は、研究開発型PhRMA会員企業におきましては、予見性が著しく損なわれ、これまでの好循環をとめることにつながると強く危惧しております。実際、抜本改革が企業に与える影響を尋ねた調査によりますと、87%の企業が影響があると回答しており、日本の開発優先順位が低下することを危惧する回答が多く寄せられているところであります。
国民皆保険の持続性とイノベーションの推進を本当の意味で両立させ、日本の患者さんに革新的な新薬を今後も迅速に届けることが可能となるよう、次期改定にて薬価制度の改善に向けた検討をお願いしたいと思います。
スライド4をごらんください。
こちらは次期改定に向けて検討いただきたい事項のまとめでございます。次のスライド以降で1つずつ説明させてください。
スライド5をごらんください。
まず、新薬創出等加算の品目要件についてですが、品目要件の拡充が必要と考えます。具体的には、拡充を検討いただきたい要件は4点あります。1点目は、優先審査品目であります。日本におきましては、幸い、関係機関の努力により、承認審査においては革新的医薬品を世界におくれることなく早期に承認する体制が整っています。審査の中で革新性の高い医薬品とされたものは、薬事承認後もその革新性を評価した新薬創出等加算の対象としていただきたい。具体的には、先駆け審査指定制度や条件付き早期承認制度、薬機法改正案における特定用途医薬品の対象品目など、医療上の必要性が高く、優先的に審査された品目は対象にすべきと考えます。
2点目は、革新性・有用性の高い効能を追加した品目についてですが、現行の品目要件は収載時の評価に偏っており、効能追加などの収載後の有用性についても評価すべきと考えます。
3点目は、新薬創出等加算品目を比較薬として算定された新規作用機序医薬品です。現行の品目要件では、比較薬に対して有用性加算などの補正加算が適用されることが要件の一つになっているわけでありますが、その有用性の程度が新薬創出等加算品目と同程度と判断され、新薬創出等加算品目が比較薬となった新規作用機序医薬品については、補正加算がなくとも新薬創出等加算の対象にすべきと考えます。
4点目ですが、現行の3番手、3年以内ルールのうち、3年以内要件の見直しを検討いただきたいと考えております。同じ薬理作用であっても治療の選択肢が複数存在することは、患者の状態に応じた薬剤選択を可能とする点で、医師、患者さん、双方にとって重要であると考えます。
これは参考ですが、2000年以降に米国で承認された新規作用機序医薬品のうち、3年以内に2番手が承認された品目の割合は2割以下にとどまっておりまして、2番手以降の開発が停滞しているという趣旨の分析を最近、FDAが公表しております。2番手以降の開発を停滞させない観点からも、3年以内要件の見直しについて検討をお願いしたいと考えます。
スライド6をごらんください。
新薬創出等加算の企業要件についてですが、現行の企業要件は撤廃すべきと考えます。現行の企業指標による相対評価は、企業規模の影響を強く受けるため、小規模企業にとって不利であり、公平性の観点から妥当性を欠くと考えます。
スライド7をごらんください。
新薬創出等加算対象品目を比較薬とする場合の薬価算定についてです。新規収載品が新薬創出等加算の対象外であっても、類似薬効比較方式(1)で算定される場合には、比較薬の累積加算部分を控除せずに算定されるべきと考えます。その理由ですが、比較薬と同等の価値を有する新薬の収載時薬価は原則として同じであるべきであり、比較薬と新薬の間で大きな薬価の差が生じると、市場競争や薬剤選択に対して影響を及ぼすおそれがあると考えます。
スライド8をごらんください。
改定時の加算についてです。薬価収載後の革新性を評価するという観点から、改定時加算の拡充を検討いただきたいという要望であります。まず1点目は、革新性の高い効能追加を評価する改定時加算についてです。現在、効能追加の評価は、小児効能または希少疾病効能の追加があった場合に限られていますが、これら以外の効能追加についても、収載時の加算要件に該当するような高い有用性が認められる場合には、改定時加算で評価することを検討いただきたいという要望であります。
2点目は、真の臨床的有用性加算の対象範囲拡大であります。当該加算は現在、有用性の検証が収載後に真のエンドポイントで行われた場合などに非常に限定的に適用されていますが、収載時には明らかでなかった有用性が収載後にランダム化比較試験やリアルワールドデータなどで示された場合なども加算対象とすることを検討いただきたいという要望であります。
スライド9をごらんください。
最後に、再算定についてです。財政影響の大きい革新的新薬への対応として、再算定ルールの強化が過去数年の間に行われてきました。さらなる再算定ルールの強化には反対いたします。また、現行ルールのもとでは、効能追加が再算定を引き起こす要因となり得ることから、複数の効能に応用可能な革新的新薬では特に再算定が効能追加への投資判断に影響を及ぼすことになる可能性があります。本来、効能追加は、患者に新たな治療選択肢を提供し、医療の質の向上に資するものであることから、その開発は促進されるべきものと考えます。再算定が要因となって、効能追加、特に患者数の少ない効能追加への投資判断が影響されることのないよう、開発インセンティブを確保するための措置が必要と考えます。
前のスライドで述べました効能追加を評価する改定時加算は、再算定の影響緩和策としてインセンティブになり得るものですので、新設を前向きに検討いただきますよう、よろしくお願いいたします。
PhRMAからは以上です。ありがとうございました。
○欧州製薬団体連合会(ハイケ・プリンツ)
おはようございます。欧州製薬団体連合会副会長のハイケ・プリンツと申します。
意見陳述の機会をいただき、ありがとうございます。
スライド2をごらんください。
革新性と市場の予見性が適切に評価されることは、我々製薬業界が継続してイノベーションを研究開発を通じお届けするために必要なことです。新薬創出等加算は、これが特許保護期間中において新薬の価格の予見性を改善するという意味で2010年に導入された後、製薬業界にとって重要なファクターの一つとなりました。
2010年以降、ドラッグラグの重要な原因の一つと考えられていた申請のラグ、おくれについても、著しく改善をしました。そして、国際共同試験を含めて、日本で行われる臨床試験の数は著しくふえています。
また、ほかにも改善された点があります。機構による審査期間の短縮、あるいは先駆け等の新しい審査の仕組みの導入、これらによって画期的な新薬が患者さんにより早く届けられるようになった事実があります。しかしながら、2018年に行われた薬価制度の抜本的な改革によって、この環境は全くマイナスの方向に転換してしまいました。
このスライド2のグラフは、私たちが会員企業に対して行った調査に基づくものです。抜本改革により新薬創出等加算が除外された品目を持つ企業は、そのために研究開発の日本における計画を既に変更したり、あるいは近い将来に変更することを計画しています。薬価制度が劇的に変わることによって、私どもの海外本社が大きくそれに注目し、また、将来の市場の展望に大きな懸念を抱いたこと、そして、日本の適切なイノベーションの評価の現状についても懸念を持っています。
私たちEFPIAは、もちろん国民皆保険の維持、そしてイノベーションの促進という、この2つの適正なバランスを持ち続けることが必要であることはよく認識しておりますが、また一方で、2018年に行われた薬価制度の改革がバランスを欠いたものであり、イノベーションの促進という点でマイナスの影響を与えていると考えます。この後のスライドで、私たちが今後も継続して画期的な医薬品を日本の患者さんに届け続けるためには、薬価制度においてどのような改善が必要であると考えるか、御説明いたします。
スライド3をごらんください。
日本のためにイノベーション、画期的な新薬を届け続けるためには何が必要と考えるか、こちらにまとめました。
次のスライドをお願いします。
まず1点目は、新薬等創出加算の品目要件についてであります。これは現在、新規収載時の一定の価値、そして、薬理作用1番手の品目の評価に偏っていると考えられます。私たちがこれに関してお願いすることは、これまでの業界団体が先に説明したとおりであります。この加算の品目要件につきましても、最初の上市後に追加的な価値が示された品目、そして、それが作用機序の中で1番手でなかったとしても、2番手以降であったとしても、革新性・有用性をある程度示したものには適用されるべきと考えます。
次のスライドをお願いします。
たとえ作用機序が既存の品目と同じであったとしても、製薬会社は新薬の開発・提供を続けます。それは、患者さんのまだ満たされていない医学上のニーズあるいは追加的な有用性に応えるためです。
例えばインスリンのようなホルモン製剤の場合、作用機序は全て同じで、新しい作用機序の品目は存在しません。超速効型インスリン製剤の例があります。患者さんは食事の前に投与されたインスリンの用量に従って、食事で食べる量を調節しなければなりませんでした。しかしながら、この製剤の効果発現までの時間、効果持続時間が短くなることによって、食後の注射ができるようになり、実際に食事で摂取した量に合わせて投与することが今、可能になっています。これは、これまで満たされていなかった医学上のニーズであり、食事で摂取する量を予測することが難しいような小児の患者さん、高齢の患者さん、状態の悪い患者さんに特にニーズが高いものです。
この新しい超速効型インスリン製剤のベネフィットによって、このような脆弱な患者さんに実際の食事摂取量に合わせたインスリンの量を投与することができますので、不必要な安全性の懸念を減らすことができます。こうした品目が適切に評価されるように、現在の有用性加算についてはぜひ見直しをしていただきたい。キット加算との整理・統合も含めて見直しをお願いいたします。
スライド6をごらんください。
2点目ですけれども、同じ作用機序であっても、ほかの品目の特性、例えば有害事象などの安全性プロファイル、薬物動態のプロファイル、これには半減期ですとか消失速度、代謝経路などが含まれますが、これらは各薬剤で異なっています。医師が各患者さんの状態に合わせて適正な薬剤を選択することができるためには、一定の数の異なる薬剤のオプションが存在することが必要だと考えます。そのオプションの中から選択をする際に、もしその薬価に大きな違いがあるとすれば、そのときに実際の薬剤の特性ではなく、薬価に基づいて、薬価の違いがその選択に影響を与えてしまう可能性があります。
それに加えて、類似の薬理作用を持つ新薬の場合、そして、新薬創出等加算累積相当額を控除するという提案がありますが、そうなりますと、状況によっては薬剤の価格が有用性加算を獲得した場合には類似薬よりも高くなる。あるいは類似薬よりも低い価格になる場合もあるということで、同額の価格になり得ない状況をつくってしまいます。このような仕組みは、米国、あるいはその他主要な欧州国では存在しておりません。また、米国、欧州、中国などと比べましても、このような変更がされますと、状況としては日本の薬価の予見性が低くなる。したがって、その結果、グローバルでの開発の優先度が日本において影響を受けてしまうという可能性もあります。
したがいまして、類似薬効比較方式(1)を用いて薬価が決定される新薬につきましては、新薬創出等加算累積相当額の控除は行わず、比較薬と同額での保険償還を可能とすべきと考えます。
スライド7をごらんください。
最後に3点目であります。企業要件に関する我々の基本的な理解は、さきの団体から説明がありました理解と同じであります。私たちから提案したいことは、この企業要件を見直していただきたい。そして、現在、日本の患者さんへの早期のアクセスができるように画期的な新薬の開発に投資を行っている企業の新薬創出等加算対象品目については、それが維持されるようにしていただきたいとお願いいたします。
御清聴ありがとうございました。
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは次に、日本医薬品卸売業連合会よりお願いいたします。
では、渡辺会長、お願いいたします。
○日本医薬品卸売業連合会(渡辺)
日本医薬品卸売業連合会会長の渡辺でございます。
当連合会を代表して、薬価制度改革に関する意見を述べる機会を賜り、中医協及び厚生労働省の皆様に感謝いたします。
本日は、1、医療保険制度における医薬品卸の役割、2、安定的な流通の確保、3、消費税引き上げに伴う薬価改定から生じる課題、4、流通改善ガイドラインの遵守状況と今後の課題の4点について意見を述べさせていただきます。
1ページをごらんください。
初めに、医療保険制度における医薬品卸の役割についてでございます。医薬品卸は、医療保険制度のもと、自然災害・パンデミック時を含め、医薬品を安全かつ安定的に供給し、国民医療の向上のため、一定の役割を果たしております。医薬品卸は、薬事制度や医療保険制度のもとで医薬品の安全確保に努めております。また、国内24万件の医療機関・保険薬局との間で約1万6000品目の医薬品を安定的に供給するとともに、全ての医療機関、保険薬局との間で早期妥結・単品単価契約を念頭に置いた価格交渉を行っております。さらに、薬価調査について任意に医療機関等への納入価格を全て提供し、協力しております。このような医薬品の安全かつ安定的な流通を通じて、医薬品卸は国民の命や、健やかな暮らしを支える医療に貢献することが使命であると考えております。
2ページ目をごらんください。
次に、安定的な医薬品流通の確保についてでございます。近年の薬価制度改革等によって、医薬品流通を取り巻く環境が大きく変化しており、安定的な医薬品流通の確保に関して、次のような懸念があります。
本年10月には消費税引き上げに伴う薬価改定、来年度は2年に一度の薬価の通常改定が予定されており、そして、2021年度には中間年の薬価改定が予定されております。医薬品卸は、医療保険制度の根幹にかかわる薬価調査の信頼性確保にも資するよう、人的資源を最大限に投入して早期妥結を念頭に置いた価格交渉を精力的に行っており、そのために多大な労力を費やしております。
また、医薬品卸には、流通改善ガイドラインに則して流通改善を進めつつ、今後も平時はもとより、自然災害やパンデミック時においても医薬品の安定供給を確保することが求められております。しかしながら、薬価調査や薬価改定にかかわる医薬品卸への急激な負担の増大は、これらの卸の役割を大きく損ない、ひいては医薬品の安定供給に支障を生じかねません。
新薬創出加算品目適用範囲の縮小や後発品の使用促進策に伴う長期収載品の厳しいルールの適用などにより、医療用医薬品の市場構造は大きく変化しており、市場の成長が過度に抑制されれば、医薬品の配送体制の強化や災害時への備えなどに影響を生じかねません。なお、一部の後発品や基礎的医薬品については、これ以上薬価が下がることとなれば、医薬品の安定供給に支障を生じかねないのではないかと懸念しております。
薬価制度改革に当たっては、過度に財政を優先することなく、医薬品の安定供給等の卸の取り組みや役割に配慮していただき、安定的な医薬品流通に支障が生ずることのないよう、慎重に検討をお願いいたします。
3ページ目をごらんください。
消費税引き上げに伴う薬価改定から生ずる課題についてでございます。本年10月には、消費税引き上げに伴い、近年例のない年度途中の薬価改定が予定されております。今回の薬価改定では、薬価が上がる品目や下がる品目が混在し、それぞれの品目について、需給状況の変動や取引先との価格交渉が困難になるなど、医薬品流通の混乱が見込まれます。具体的には、薬価が上がる新薬創出加算品や基礎的医薬品については、駆け込み需要の発生が考えられます。特に新薬創出加算品については、代替製品もなく、増産も見込めないため、需給バランスが大きく崩れることとなれば、医薬品の安定供給が困難になるおそれがあります。
また、消費税引き上げ分を転嫁しても薬価が下がる長期収載品や後発品については、早期妥結の後退や過大な値引きを助長しかねず、このことに伴って一次売差マイナスの拡大を招く可能性があり、国が指導する流通改善ガイドラインに逆行しかねないと危惧をしております。
このような課題に対応するため、消費税引き上げに伴う薬価改定においては、流通改善ガイドラインの遵守について医薬品流通関係者の取り組みを徹底するなど、医薬品流通に混乱が生じないようにしていただきたいと考えております。
4ページをごらんください。
最後に、流通改善ガイドラインの遵守状況と今後の課題についてでございます。2018年度の薬価制度の抜本改革の骨子では、2021年度を初年度とする中間年の薬価改定に向けて、安定的な医薬品流通を確保されるよう、単品単価契約、早期妥結等を積極的に推進するとされております。流通関係者は、流通改善ガイドラインに則した取り組みを行い、流通改善に一定の進展が見られましたが、今後改善すべき点があります。
早期妥結については、未妥結減算制度と相まって、9月までの妥結率が大幅に向上し、遡及値引きがなくなるなど進展が見られました。しかしながら、部分妥結や9月までの妥結価格が10月以降の再交渉で変動する取引など、一部に未妥結減算や流通改善ガイドラインの趣旨に反する取引が行われており、改善が必要であると考えております。
単品単価契約については、流通改善ガイドラインに則した流通関係者の取り組みなどにより、単品単価契約率の大幅な上昇が見られました。引き続き、価格交渉の段階から医薬品の価値を踏まえた交渉を推進していくため、薬価の本体価格の値引き率による交渉の徹底に向けて、さらに取り組んでいく必要があると考えております。
今後、未妥結減算制度や流通改善ガイドラインの趣旨が徹底されるようにお願いいたします。
以上、日本医薬品卸売業連合会としての意見を述べさせていただきました。何とぞよろしくお願い申し上げます。
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは次に、再生医療イノベーションフォーラム及び日本バイオテク協議会よりお願いいたします。
まず、畠会長からお願いします。
○再生医療イノベーションフォーラム(畠)
再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)の会長をしておりますジャパン・ティッシュ・エンジニアリングの畠でございます。
本日はこのような発言の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
FIRMは、再生医療を対象とした唯一の業界団体でございますので、再生医療等製品の価格算定に関しまして、意見を述べさせていただければと思っております。
2014年11月に旧薬事法が改正されまして、医薬品医療機器等法が成立いたしました。医薬品医療機器とは別に、再生医療等製品として分類していただきましたことを関係各位に深く感謝申し上げます。施行されて約5年が経過いたしますが、別に分類されましたことで、その特性を踏まえた相談制度や審査制度の充実が図られているものと実感をしております。
2ページ目をごらんください。
まず初めに、再生医療等製品の特徴について御説明させていただきます。再生医療等製品は、今まで治療不可能であった疾患を治療可能にするなど、今までとは違った治療概念を持つ、そういった治療概念を大きく変える可能性があるものだと認識をしております。また、単回投与あるいは1回の移植でその効果が長期にわたり持続する可能性があるものでございます。患者様にもたらす利益は非常に大きいものと期待されております。
しかしながら、ヒト細胞を利用したものといっても極めて多種多様でございます。製品ごとにその製造工程や品質管理は異なってまいります。また、その対象患者様も限定されるのが現状でございます。
さらに、製品自体のシェルフライフが極端に短い場合、移植までに時間制限がありましたり、それから製品によりましては事前に先生方にトレーニングを受けていただく必要があったり、また、施設が限定されることもございます。さらに、サプライチェーンが非常に複雑でございまして、その中には多くの知財が含まれることもありまして、一企業で賄うことが難しい側面もございます。
3ページをごらんください。
さて、再生医療等製品のコストについてでございます。再生医療等製品は、ロットを構成しないことが多かったり、1ロットが少ないケースが多く、技術的にスケールメリットを出しにくいのが現状でございます。また、施設・設備の転用が極めて難しゅうございます。その設備コストや多種多様な検査コスト、特殊な保管・輸送コストが必要になってまいります。さらに、遺伝子組み換え製品でございますが、ウイルスの拡散防止対策も必要となっております。また、製造工程でございますが、高度な細胞培養技術を持つ人材の育成・確保が必要になっております。さらに、細胞培養などには大変多くの知財が存在しており、そのライセンス料が必要となる場合もございます。
4ページをごらんください。
この表は、先ほどお話ししました内容を含めまして、コストの特徴を低分子医薬品と比較して一覧にしたものでございます。それぞれの項目につきまして、再生医療等製品と対比いたしました。それぞれについて、原材料、製造、品質検査、物流といったものに関するコストの特徴を記しております。御参考になればと思います。
それでは、5ページをごらんください。
ここまでお話しさせていただきましたように、再生医療等製品は厳重な製造工程管理・品質管理が必要でございます。生産の効率化が現状のところ非常に厳しく、医薬品や医療機器とはコスト構造が大きく異なってまいります。したがいまして、現行の算定方法では再生医療等製品の特殊性を適切に反映していただけないのではと考えております。
新たな治療方法によりまして、患者様への貢献が期待される再生医療等製品でございますが、薬機法と同様に、医薬品医療機器とは別のカテゴリーとして分けていただき、その革新性・画期性が十分に反映できる価格算定方法を検討していただければというふうに切に願う次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
最後でございます。6ページ目でございます。
先日の薬価専門部会で提示されました、著しく単価の高い再生医療等製品は、補正加算率を傾斜配分してはどうかという御意見を賜っております。詳細は時間の関係上御説明できませんが、当業界団体としましては、ここに記載させていただきました理由から、受け入れることは困難であろうと考えておりますので、御配慮いただければと思っております。
以上、御説明させていただきました。
御清聴ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○中村部会長
では、山田会長、お願いします。
○日本バイオテク協議会(山田)
一般社団法人日本バイオテク協議会会長の山田でございます。
本日は、意見陳述の機会をいただき、まことにありがとうございます。
現在、会員企業は45社となっており、イノベーティブな難病用薬や希少疾病用薬の開発を通じて、国民医療水準の向上に貢献しております。
それでは、理事の塩村より、私たちの主張・提案を説明させていただきます。
○日本バイオテク協議会(塩村)
理事の塩村でございます。
2ページをごらんください。
バイオテク協議会の会員企業の開発する医薬品は、革新性が高い難病・希少疾病用薬が多く、現行新薬算定ルールで想定外の事例が散見されております。3つ挙げます。
1番、医薬品条件付き早期承認制度などの積極的活用は、新薬アクセスにとって非常に重要であります。しかし、検証的臨床試験結果のない新薬について、その有用性が薬価算定において評価されず、このすばらしい制度の活用をためらうケースが出ております。
2番、既存薬を全く異なる用途で開発する。例えば昔、アスピリンというのは消炎鎮痛剤として知られておりましたが、現在では血栓抑制の薬剤というポジショニングになっておりますけれども、こういうものをドラッグリポジショニングといいまして、これはアカデミア、創薬ベンチャーでよく使われる新薬を生む方法であります。後ほど述べますけれども、現行特例算定ルールでは極端な低薬価となり、必要な開発経費、市販後安全対策、安定供給等に係る最低限の経費を確保できないため開発着手されなくなっております。
3番、世界初の革新的医薬品を日本から上市すると、何かと不利な点がございます。創薬ベンチャーの多くが海外展開を視野に入れておりまして、本邦の薬価が低薬価になりますと、海外も引きずられるということになります。日本を後回しにして海外先行開発というおかしな事態を招きかねないと心配しております。
3ページをごらんください。
難病・希少疾病用薬の薬価算定に対することとして、創薬ベンチャーはこういうものの開発が多いのですけれども、患者数が限定的であり、高薬価でないと採算がとれません。患者1人当たりの薬価が高額で、保険財政に大きな影響があるように誤解されますが、実際には市場規模が小さく、医療費に与える影響は大きくありません。先ほど申しましたように、日本での薬価が諸外国より低ければ、日本発医薬品でも海外先行開発を誘引する。とりわけウルトラオーファン薬につきましては、高額算定が予見されないと開発意欲をそぐということになります。
4ページをごらんください。
医薬品の条件付き早期承認制度などについて、条件付き加算及び収載後評価を見直して、場合によっては引き下げる、あるいは引き上げるということもやっていただければと考えております。
ドラッグリポジショニング新薬の特例算定について改定をお願いしたいと。これは後ほど6ページ、7ページで述べさせていただきます。
ウルトラオーファン加算の新設をお願いいたしたいと。これは13ページに詳しく書いておりますので、後ほどごらんください。
5ページをごらんください。
ドラッグリポジショニング新薬の特例算定の実情がこのページに書いてあります。簡単に言いますと、原価計算方式または類似薬効比較方式のうちの価格の低いほうに決めるという算定ルールでございますけれども、参考の11ページにありますように、古い薬でございますので、原価も低くなっていて、非常に低い薬価になってしまうということで、もう現在、なかなかこの手法を使って開発することはためらう状態になっております。
6ページをごらんください。
これについて改定をお願いしたいというのを6ページの一番下に書いてございます。同一成分の既収載品が極端な低薬価である場合や難病等患者数が非常に少ない場合には、特例算定を適用せずに、通常の算定ルールでお願いしたい。
以上でございます。御清聴ありがとうございました。
○中村部会長
ありがとうございました。
一通りの御説明をいただきましたので、これより質疑及びフリーディスカッションに移りたいと思います。なお、質問のほうは日本語でお願いいたしたいと思います。
では、よろしくお願いいたします。
松本委員、お願いします。
○松本委員
まずは新薬創出等加算について発言いたします。
PhRMAやEFPIAからは、薬価制度の抜本改革、特に新薬創出等加算の対象品目の絞り込みにより、会員企業で新薬開発の影響やR&D戦略の見直しなどの影響が出ているとのプレゼンテーションがございました。平成30年度改定以前の品目要件では、革新性の低い新薬も新薬創出等加算の対象になり得ることが問題となって、前回改定の際には、真に革新性・有用性のある医薬品に限定して新薬創出等加算を適用するルールに是正したものと理解しております。
言いかえますれば、今までの新薬創出等加算の品目要件が単に甘かっただけであり、これを適切なものにしただけであるのに、患者さんが必要としている新薬の日本における開発の優先順位が下がるというのは、これは創薬を通じて健康寿命の延伸に貢献しようとする製薬企業のあり方としていかがなものでしょうか。これが正しい姿勢と言えるのでしょうか。
これに関連して、日本製薬団体連合会の14ページ目でございますけれども、右の赤い四角の中です。新薬創出等加算の企業指標について、いずれの指標も数が評価されるため、企業規模の影響を強く受ける点で公平性に欠けるとのことでございますけれども、革新的な新薬開発のインセンティブという観点からすれば、数を評価するのは極めて自然なことではないでしょうか。もし不公平であるとおっしゃるのであれば、詳細な理由を挙げるとともに、具体的に廃止ではなく、どのように要件設定すれば公平性が担保されると考えておられるのか、まず説明をいただきたいと思います。
○中村部会長
では、こちらのほうは。
○松本委員
1つはPhRMA、EFPIAと。
○中村部会長
では、お願いしたいと思いますけれども、米国、PhRMA。
○米国研究製薬工業協会(原田)
2018年の抜本改革によって革新的医薬品だけに絞るという改定をなされたということですけれども、実際にはそれ以外のもので新薬創出加算から外れたものもあるということであります。そういうことで、日本のそれまでの薬価制度と比較しまして、開発案件に関しまして、今後それがリードコンパウンドから実際の承認まで12年ぐらいかかるわけですけれども、それが本当に予見性が保たれて開発できるのかどうか。そういう議論は本当に多く上がっております。
したがって、全く影響がなかったということではありません。実際に開発の優先順位が下げられた事例もございますし、今まではグローバル開発を全て日本も入ってやっているものもありますけれども、グローバル開発には入れないという案件も出てきていることは確かであります。
○中村部会長
では、日薬連、製薬協のほう、お願いします。
○日本製薬工業協会(中山)
ありがとうございます。中山から回答させていただきます。
御指摘の点、数で比較して悪いのかという話なのですけれども、例えばたくさんの開発を進めている会社が必ずしもいい新薬を次に生み出せるかという相関は常には成り立たないと思っています。有望な、あるいはすばらしい新薬がベンチャー企業から出てくることというのは多々ございます。そういった意味では、やはりここは企業要件として、そういう会社が不利にならないように、どんな革新的な新薬を出したとしても、基本的にベンチャーの場合は薬価が維持されないというのは不公平だろうと思います。
そして、そもそも品目要件で厳しく規制されているのに加えて、その企業によってまた加算率を変えるという必要性は乏しいのではないかと考えておりますので、現在の企業要件は撤廃して、新たな開発のために、今お金を使って努力している企業については、その資格があると評価していただきたいのが趣旨でございます。
○中村部会長
EFPIAの方、何かありますか。
○欧州製薬団体連合会(ハイケ・プリンツ)
私からも、新薬創出等加算の企業要件について一言申し上げます。
先ほどのお話で、2018年の抜本改革以前には、余りにも多くの品目がこの加算を受けていたというお話であったかと思います。しかしながら、2018年の改定以降は、実際の例として、幾つかの日本の医学学会のガイドラインで第1選択として推奨されているにもかかわらず、実際に加算から除外されてしまった品目が存在しております。
御存じのように、このようなガイドラインは実際の臨床的なエビデンスに基づいてつくられているものです。ですから、改めまして、新薬創出等加算が適正に行われることはもちろんですけれども、真の意味でのイノベーションが正しく評価されること、適正なバランスをもって評価されることを改めて求めたいと思います。
○中村部会長
松本委員、お願いします。
○松本委員
2つの質問にもはっきりとお答えになっていないように思います。1つは、先ほど申し上げましたとおり、日本における開発の優先順位が下がるというのは、果たして企業の姿勢としてどう考えているのかと質問しましたけれども、何も答えられておりません。
それから、企業指標撤廃というのではなくて、どうすれば公平性が担保されると考えているのかにつきまして、全くお答えになっておられないと思います。
○中村部会長
では、吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
今の14ページなのですけれども、新薬創出等加算の企業要件については、やはり新薬開発において安全性・継続性等の観点で一定の要件を満たしている企業に対して特許期間中の薬価を維持することで、新薬の開発モチベーションを高め、革新的新薬の創出などを後押しする。こういう目的で加算項目が設定されているということを承知しているわけでございますので、やはり企業要件の考え方、これは松本委員と全く同等でございます。撤廃すべきではないと考えております。
そこで、今、質問にもありましたけれども、企業要件のあり方、つまり企業指標のあり方については、おっしゃっているように企業間の相対評価は企業規模の観点では公平性に欠けるという主張は理解できないことはないと思います。そこで、今の質問も具体的にどうなのかということがありましたけれども、要件撤廃ではなくて、指標内容のあり方について具体的に、製薬工業協会、PhRMAさん、EFPIAさんでどのようなプランがいいのか、このようにしたら皆さんが御主張なさっているところがクリアできるのかという案をお持ちなのかどうか。持っていなければこれから考えていただかないといけないと思いますけれども、もしお持ちであれば、ここでお聞かせ願えればと思います。
○中村部会長
では、見直しとか撤廃ということを言われていないのは、恐らく日薬連とEFPIAだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○日本製薬工業協会(中山)
撤廃という表現は使っていますけれども、別に新しい基準として、これからつくっていただくことは可能だと思っています。それは趣旨としては、今、開発に努力している、あるいはお金を使っている会社のことは、この開発状況を調べればわかりますけれども、それが多いか少ないかによって生み出されたものの革新性の評価を変えるというのは余りにも不合理だと思っております。
○中村部会長
では、吉森委員の質問に対して、PhRMAあるいはEFPIAの方、いかがですか。
○米国研究製薬工業協会(原田)
PhRMAとしても、以前も検討したこともありますけれども、実際の売り上げに対するR&Dの割合をどうするかとか、そういうことも検討しましたが、本当に生み出されるものというのは、今では非常に小さな企業も非常に大きなイノベーションをもたらす可能性は十分あると思います。特に日本では、そういうイノベーションをもたらすような小さい企業であっても育てていく必要があるのではないかと考えています。
○欧州製薬団体連合会(ハイケ・プリンツ)
それともう一点、この企業要件について、現在問題であると考える点を追加いたしますと、これが相対評価に基づいたものであるということです。したがいまして、企業としましては、これが予見性を十分に持ち得ないわけです。開発を開始した段階で、その先を見据えたときに、自分たちが果たして1に相当するのか、2に相当するのか、3に相当するのか、それが相対評価の比較に基づくものであるために予見ができないという点が問題であると考えます。
○中村部会長
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
先ほど製薬工業協会も、今のPhRMAさんもおっしゃっていますけれども、ベンチャーなどの小規模の革新性をどう評価するか。これは評価すべきであろうと思いますけれども、やはり一定の設定条件の中できちんとそれなりに公平性を持って評価していかないといけないということでございますので、相対評価というのもおっしゃったとおり、予見性がなかなか持てないということであるならば、どのようにすべきなのか、具体的に代替プランはお持ちなのかどうかということをお聞きしたのですが、それについての今のプランはないということでしょうか。
○中村部会長
こちらはいかがでしょうか。お願いします。
○日本製薬工業協会(中山)
実際にその会社がどれぐらい開発の資源を投入しているかということは、パイプラインとかで分析すればわかりますので、やっているということはわかると思いますが、スケールの問題はそれぞれの企業が全く同じ形で続くという前提になっていますけれども、会社は分割したり、買収されたり、さまざまな変化がありますので、その都度その薬の評価が変わっていくのかという話になってしまいます。したがって、非常にこの不合理性というのがいずれあらわになると思いますし、米国の例では、新薬の半分はベンチャーからできていますので、その機会が日本では失われるということになっていく。日本でどれだけいい薬が開発されるかということにも、ぜひ注意を向けていただきたいというお願いでございます。
○中村部会長
松本委員、お願いします。
○松本委員
企業要件、指標ですけれども、そうすると小さな企業とかベンチャーに非常に不利であるということであれば、大企業であればもう少し厳しい要件に耐えられるということでしょうか。
○中村部会長
では、お願いします。
○日本製薬工業協会(中山)
そもそも企業の開発数の大きさとかで比較するのが、そのイノベーションの本質とは結びついていない。つまり、評価とは結びつかないのではないかという説明をしています。
○中村部会長
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
新薬創出等加算は、日薬連さん、PhRMAさん、EFPIAさんとも共通の要望で、かなりこだわりの強いところだと思いますので、ちょっと掘り下げて質問や意見を申し上げたいと思います。
品目要件の拡充と企業要件の撤廃と新薬創出等加算の対象品目を比較薬とする場合の薬価算定をどう取り扱うかという3つが大きなポイントだと思いますが、まず、企業要件の撤廃については、なぜこの企業要件を相対評価にしたかに関しまして、我々は、企業要件というのは真に革新的な新薬を創出する企業の努力を評価する、いわゆる企業間の競争の原理を働かせようとしたものだと理解しております。これを撤廃するとなると、企業の新薬創出の意欲の後退につながるのではないかという懸念を持っておりますので、そのことについてお伺いしたいと思います。
それから、実態を見ると企業要件区分Ⅰが23社、区分Ⅱが54社で、9割が0.9以上の薬価を維持されており、これが予見性に乏しいというのは少し言い過ぎではないかと思います。
また、ベンチャーは自動的に企業区分Ⅱに置かれていますので、ベンチャーが不利になっているということは言えないのではないかと思います。
もう一つは、新薬創出等加算の対象品目を比較薬として、類似薬効比較方式(Ⅰ)において算定する場合には、比較薬の累積加算部分を控除せずに算定されるべきとの要望が共通となっているのですが、我々の考えとしては、新薬創出等加算の対象品目ということは、企業要件と品目要件を両方満たしているので、企業の評価が薬価に上乗せされていますので、比較薬となる企業の評価までも、算定される薬価の上乗せされるというのは理屈上おかしいのではないかと思っていますので、そのことについてのお考えがあればお聞きしたいと思います。
いかがでしょうか
○中村部会長
質問をいただきましたけれども、これはいかがでしょうか。
では、これは上出委員、お願いします。
○上出委員
今の最後の比較薬の薬価に企業の評価が含まれているという御指摘でございますけれども、これはそういったことも含めて比較薬と同等の臨床的な価値があるということで薬価が設定されるわけでございますので、比較薬の加算部分を控除して新薬の薬価を算定するということになりますと、これは算定時に最初から大きな薬価の差がついてしまいます。そうしますと、同じような臨床的な価値があるものが最初の段階から異なる薬価になってしまう。そういったことが市場の公正な競争とか、そういったことに影響するのではないかというのが私どもの懸念でございます。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
すみません。そこは考え方が異なり、企業として評価されたものが薬価に乗せられているというのは、算定される薬価の真の実力以上のものが評価されていると考えていますので、そこは我々として納得いかないところです。
それと、昨年の薬価制度の抜本改革での議論を振り返りますが、最初の提案は、新薬創出等加算の対象品目が比較薬となった場合は、それを控除して薬価を算定するとなっていたのですが、その後業界団体等の反発等もあって、類似薬効比較方式(Ⅰ)についてはこれを継続しようということになり、(Ⅱ)のみ控除するという、方針転換が行われました。このことは、我々は抜本改革の激変緩和の意味もあるのではないかと捉えているのですが、どのような経緯でこのような方向性となったのかについて、今後の議論に重要な要素になると思いますので、改めて事務局に御説明いただけたらと思います。よろしくお願いします。
○中村部会長
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
幸野委員御指摘の点でございますけれども、一度、薬価制度抜本改革の案をお示しした後に業界からのヒアリング等を踏まえまして、御指摘のとおり類似薬効比較方式(1)等で算定された医薬品については、企業に与える影響を考慮し、平成30年度薬価改定までの間は従来の取り扱いを継続すること。それから、次回の平成30年度薬価改定時までに、収載時は新薬創出等加算対象外であったが、収載後に新薬創出等加算対象品目となった場合の対応を含め、新薬創出等加算品目を比較薬とする場合の薬価算定の見直しを検討するというふうになったのは、おっしゃるとおりでございます。
その際は、今申し上げたとおり、収載時は新薬創出等加算は対象外であったけれども、その後、新薬創出等加算の対象となるような効能の追加などがあるといったようなことも踏まえて、そういったケースがあり得ることも鑑みて、効能追加に伴う新薬創出等加算の対象のあり方も含めて総合的に議論することになったというふうに理解しております。
○中村部会長
幸野委員、よろしいでしょうか。
幸野委員、最初に質問の相対評価の研究開発インセンティブ、あれは質問ですか。
○幸野委員
企業要件の撤廃は、企業の新薬創出の意欲の後退につながらないか、また、9割が0.9以上の薬価を維持している中で、そんなに予見性に影響するものなのかということについて、もしコメントがあればお願いします。
○中村部会長
では、もしコメントがあればということで、相対評価が研究開発インセンティブにどのような影響を与えるか。あるいは予見性も、かなり予見性があるのではないかという御意見ですけれども、いかがでしょうか。
○日本製薬工業協会(中山)
団体としてはいろいろな規模の会社を含んでおりますので、それぞれ企業の形をこれからさらに変えていく企業もありますので、そういった意味では企業経営上は、例えば5年、10年先のことというのは、これが多くないと言われればそれまでなのですけれども、自分たちの新薬で10%、20%違ってくるというのは非常にインパクトが大きいと思いますので、そこはもう少し御配慮いただきたいというか、今、企業要件も、全く無視するのではなくて、将来も含めて日本での新薬開発をやろうとしている具体的事実のある会社という限定にしていただきたいというのが希望でございます。
○中村部会長
では、今村委員、お願いします。
○今村委員
ありがとうございます。
中医協という本来専門的な議論をする場所で感想めいた話で大変恐縮なのですけれども、本当に企業の予見性であるとか経営的な問題ということでいろいろ個別の具体的な御提案をいただいていて、ほとんどが価格を上げてくださいというようなお話に結局はなっているのかなと思います。
私は日常に臨床で診療をしていて、患者さんにお薬を投薬している立場の医師としての感想というふうに聞いていただければいいのですけれども、先ほどEFPIAからインスリンのいわゆる改善みたいなお話があって、あれは非常にわかりやすいお話だったのです。本当に生命に直結するお薬だとか、あるいはこの薬しかないのだというものを評価するという話はよくわかるのですけれども、例えばインスリンの改善みたいなお話は、現場感覚からすると、要するに今まで出していた患者さんに対して同じ価格でこれだけいろいろなことが改善している、全部それに入れかわるわけですね。結局、対象となる患者さんの数は決まっているわけですから、患者さんの数掛ける価格で売り上げというのは決まってくるわけで、企業が競争するということは、そういうところで工夫することで入れかわる。そのことが新しく工夫をした会社のメリットになるというふうに、私は、普通の市場の原理だったらそうなるのだと思っています。
日本の場合には、御存じのとおり、小児だったら一部負担が免除されているとか、あるいは高額療養費制度があるとか、高齢者だったら原則1割負担ということで、患者さんのそういう薬に対する負担感は今まで非常に弱かった。ただし、昨今、私どもも薬を投与する際には、やはり患者さんの負担ということをすごく意識して、薬の持っている新たな価値と患者の負担ということのバランスを見ながら現状投与しているということです。
いわゆる価格をどんどん上げることが企業にとってメリットになるのかどうかというのは、本当に慎重に考えていったほうがいいのではないかと思っているところです。
先ほど1番目の会社か2番目の会社か3番目の会社かみたいなお話も出ておりましたけれども、やはり本当に初めてその薬が出て画期的なお薬であったら、それを我々は当然患者さんのために使うわけですけれども、そうでなければ、あとはもう比較の問題になってくるわけで、その後の会社のお薬まで全部評価するというようなことを、患者さんに負担していただくかどうかということは考えなければいけないのかなと思っています。
大変感想めいた話で恐縮ですけれども、以上です。
○中村部会長
ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
日薬連のプレゼンの9ページ目、長期収載品と後発品、基礎的医薬品等についてですが、ことしに入ってからだけでも、抗菌剤に絞っても、ペニペネム・ベタミプロン配合、セファゾリンの後発品、タゾバクタム・ピペラシリンの後発品が原薬を理由とした供給不安に陥っております。中堅企業だけではなく、大手企業ですらこのような状況であり、大変危惧しております。
医療は、金融や治安と並ぶ国民のセーフティーネットの一つであります。現在、さまざまな医薬品やその原薬が海外から輸入されておりますが、そうした状況を踏まえた製造側における安定供給をぜひとも進めていただきたいと考えておりますし、一方で国内につきましては、日本医薬品卸売業連合会からの提案にありますように、流通改善懇談会での流通改善の取り組みに期待したいと思います。
10ページ目、11ページ目のイノベーションについて御質問いたします。
健康寿命の延伸がここでは強調されておりますけれども、イノベーションだけが健康寿命の延伸に寄与していると言ってもいいのでしょうか。イノベーションへの評価に対する御要望は必要な医薬品の品質、有効性、安全性を確保した上で安定供給するということをしっかりと対応した上でお願いしたいと考えております。
中医協においてこれまで申し上げているとおり、イノベーションの支援は薬価以外でもしっかりと国が進めるべきと考えておりますが、これに対して業界としてそうした行動はとられているのでしょうか。質問したいと思います。
○中村部会長
これは日薬連の方、それともジェネリック製薬協会、どちらに。
○日本製薬工業協会(中山)
では、後のイノベーションの点ですけれども、私どもはもちろん適正な評価とイノベーションの支援という2本立てにしていまして、特に今後、ビッグデータによりまして薬のプロファイルがより鮮明になれば、今まで例えば1割の患者さんにしか効かないと言われていたものが、9割ははっきり峻別できるということになれば、その90%のコストが減るということとか、短期間で開発ができる、希少疾病の患者さんを救うことができるという意味で、全ゲノム情報、あるいはそういった新たな取り組みを、特にAMEDを中心に支援していただくように行政当局ともお話し合いを進めさせていただいております。それとの2本立てにおいて、イノベーションを振興しようと考えております。
○中村部会長
松本委員、お願いします。
○松本委員
薬価以外でもイノベーションの支援はすべきだと思っておりますので、それについてはしっかりと進めていただきたいと思います。
また、17ページ目、薬価収載後の革新性・有用性評価の拡充についてですが、薬事との関係をどのように考えているのかを教えていただきたいと思います。つまり、再審査期間中に企業が実施する市販後調査は、薬機法の範囲で国の指導下にありますが、保険の評価として使用実績を踏まえた評価で用いるデータは、誰がどのようにしてつくって掲示されるべきとお考えなのでしょうか。研究者の独自研究や海外研究などまでを対象として広げるように考えていらっしゃるのでしょうか。これについて御質問いたします。
○中村部会長
こちらはいかがでしょうか。
○日本製薬工業協会(中山)
今、具体的にどういうスキームかというのは、具体的なものはございませんが、現実に我々は上市してからリアルワールドデータ、その製品についてのメディカルアフェアーズというか、市販後調査というのも進めておりますし、新たな適応症なりの情報が得られれば、それについての新たな診療試験を組むということもやってまいりました。一部製品では、不整脈から心不全のデータをとり、優位性というか統計的な優越性を示した医薬品も過去にございます。今後ともそういうことをすることによって、より難しい疾病の解決にも当然可能性はあるのだと考えておりますので、こういうふうに支援、評価をしていただくことが、上市済みの製品の新たな適応症についての開発のモチベーションにつながると考えております。
○中村部会長
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
時間がありませんのでもう一点だけ、18ページから19ページの後発品について、ぜひお聞きしたいことがございます。後発品を製造する企業の数は相変わらず多いと思います。ある程度集約することで製造や流通コストが改善されると考えておりますが、現在、同じ工場で製造された医薬品がパッケージを変えただけで他社で売られている現状もありますけれども、これについて業界としてお考えと今後の見通しについて教えてください。質問でございます。
○中村部会長
では、これは澤井会長、お願いします。
○日本ジェネリック製薬協会(澤井)
御質問に対してお答え申し上げます。
その前に、先ほど、安定供給に支障を来しております事例が発生しておりまして、医療関係者の皆様に大変御迷惑をおかけしておりますこと、まことに申しわけなく思っております。これに関しましては、日薬連様と協力をしまして、今後、そういう事例の発生を事前に把握するように、チェックリストをつけて対応するように努力をしておるところでございます。
共同開発につきましてでございます。医薬品強化総合戦略の後発医薬品の製造販売のあり方の検討の中で、共同開発品目を抑制するよう関係団体の組織、取り組みを推進するという記載がございました。これにつきまして、業界としていろいろ検討しましたが、参入企業数を制限することにつきましては、独禁法的にも適切ではないとの結論に至りました。品目数が多い要因の一つとされる共同開発につきましては、医療現場の薬剤選択に資するように、各企業が自主的にインタビューフォームへ共同開発に関する情報を記載することといたしました。
以上でございます。
○中村部会長
松本委員、お願いします。
○松本委員
先ほどお話ししましたように、同じ工場で製造された医薬品がパッケージを変えるだけで他社で売られているという現状があるのは、私としては非常に疑問に思っております。これについては、しっかりと厚労省を含めて考えていかなければいけない問題だと思っております。
もう一つですけれども、16ページ、治療における負担軽減・リスク低減に対する評価の見直しのところで、EFPIAから御説明があったような注射の回数が減ったり、食後投与が可能になるなど、投与という治療行為そのものの負担軽減については検討してもよいかと思っております。一方で、治療の結果、介護が楽になったというような患者本人以外の介護者・介助者における有用性は、これを医療保険の中の薬価で評価することは不適当だと考えております。これについてのお考えをもう一度お聞きしたいと思います。
○中村部会長
お願いします。
○日本製薬工業協会(中山)
資料のアペンディクスに一部具体例をつけておりますけれども、特に治療上のリスクの軽減になるというのは、医師の方々もそうですし、患者さんにとっても大きな福音になるはずですし、それは医療自身の質の向上にもなろうかと思っています。例えば、出血の副作用がある薬剤で今まで注射剤しかなかったところに、経口投与できる薬剤が出れば、患者さんにとっても大きなリスク軽減になります。こういったことも含めて、便利になるという瑣末なところから、非常に大きなリスクファクターの軽減というのも幅広くありますので、そこはこれから選別する必要があると思いますけれども、現にそれは現実のものとして存在していますし、それが解決されることが非常に大きく、先生方にも患者さんにもベネフィットがあるという意味では、そういう薬剤をふやしていく上で評価をしていただきたいというお願いでございます。
○中村部会長
松本委員、お願いします。
○松本委員
患者さん本人に対しての有用性ということでは確かにこれまでも評価してまいりましたけれども、先ほど申し上げましたとおり、介護者・介助者における有用性につきましては、薬価における評価は非常に困難と考えておりますし、すべきではないと思っております。
○日本製薬団体連合会(多田)
今のお話で、介護者等の負担が減るという趣旨での、あるいは価値が出てくる薬剤についての評価に関しましては、いわゆるHTA評価の議論のときの総合アプレーザルみたいな中で、社会的価値をどのように評価するかという議論があったかと思います。その流れの中で、今の薬価に依存したような形で財政基盤をより安定したものにしようという形から、もっと広く社会保障全体の中でこういう制度設計をもう一度検討したらどうかということが、次回の来年、20年ではなくて22年度の薬価改定までに検討しようということになっていると私は理解いたしております。そういう意味で、今、松本先生の言われた趣旨のことを直接薬価に乗せるべきかどうかについても含めて、そういう中で議論していただければと、我々は願っております。
○中村部会長
有澤委員、お願いします。
○有澤委員
ありがとうございます。
スライド9の長期収載品と後発品というところで3つ目の部分になります。既収載品の価格帯について、市場での評価が適切に反映された制度とすべきというふうに書かれておりますけれども、これについて差し支えない範囲で構いませんので、どのような算定ルールがあるべきかということのお考えを、具体的なイメージをお持ちでしたら教えていただきたいと思います。
○中村部会長
こちらは澤井会長のほうからお願いします。
○日本ジェネリック製薬協会(澤井)
この価格帯についてお答え申し上げます。
現状のジェネリック収載、12年経過した製品につきましては、2022年度から1価格帯になるということが決まっております。これに関しまして、2つの観点で改善が必要と考えております。
1つは、加重平均値を用いますので、市場実勢価格の安いものの薬価が引き上げられたり、逆に高く売っているものの薬価が必要以上に引き下げられたりすることで、市場実勢価格と改定薬価に大きな乖離が生じております。つまり、薬価改正の趣旨が正しく反映されていないところがございます。
前回の2018年度改定では124品目の薬価が平均13%、中には50%近く引き上がった品目もございます。2020年度におきましては、約370品目がこのような状況になるのではないかと考えております。こういった品目は、薬価と市場実勢価格との差を薬価改正で還元するということが基本ですけれども、逆に患者さんの負担がふえることにもなります。したがいまして、こういうことを是正する意味で御提言を申し上げております。
もう一つは、価格がばらつく要因、これは2017年度の中医協資料でジェネリック企業は196社ありますけれども、300品以上販売している企業が6社、一方、50品目以下の企業が全体の80%、このように企業の規模、販売品目数によって有している製造設備、それぞれが担う責任の大きさが異なります。当然それらにかかるコストも異なることから、実勢価格にばらつきが生じることになります。
安定供給に重きを置き、適正価格販売に努めている企業の薬価が、長期的な安定供給を考えずに低価格で販売されるような品目により過剰に引き下げられては、安定供給に支障を来しかねません。
そこで、改定後の薬価が改定前の薬価を上回る部分については、これは別に分けて、これらの品目だけで加重平均値をとるということを一つ考えておるところです。
議論はこれからたくさんあろうかと思いますけれども、企業の再編とかが正しい方向に向かっていくためにも、こういうところは必要不可欠だと考えておるところでございます。
以上でございます。
○中村部会長
では、有澤委員、お願いします。
○有澤委員
1価格帯に集約されることによって実勢価格よりも逆に薬価が上がってしまう。これは大変問題だと私も認識しておりますので、ぜひこれは今後の中医協の中の議論でも検討するべき項目だと考えます。
○中村部会長
では、今村委員、お願いします。
○今村委員
ありがとうございます。
時間のないところ、繰り返しになって恐縮なのですけれども、先ほど松本委員、それから多田さんのやりとりの中で介護のことが出てまいりましたが、HTAの議論のときにも、現在、一体介護の中でどの程度の介護費に影響するとか、そういう客観的なデータが全くない中でこんな議論できないと。エビデンスがきちんと集積されればそれは議論してもいいのでしょうけれども、現時点では、例えば介護予防がどの程度介護の重症度、進展に影響しているかとか、全く何も価格的な介護ということ自体が今、議論になっている中で、この議論を薬価の中でするというのは、ちょっとこれは時期尚早ではないかということを改めて申し上げておきます。
○中村部会長
何かありますか。多田会長ですか。
○日本製薬団体連合会(多田)
事業尚早かどうかも含めまして、要はそういうことも含めた形で、医薬品の価値そのものを評価していっていただければというのが趣旨でございますので、何も今すぐそれを上乗せしてほしいとかいうことを申し上げているわけではございませんので、ぜひ誤解されませんように、よろしくお願いします。
○日本製薬工業協会(中山)
もう一点追加で、資料を準備しておりましたので言及させていただきたいと思うのですけれども、資料の22ページに医薬品が提供するさまざまな医療的価値という記載をしております。その中で、例えばモニタリングが不要になる例というのがございまして、骨髄毒性や腎毒性の懸念があって、血液検査をしなくてはいけない。それが軽減されれば検査の回数が減るという、具体的にカウントできるようなものもございますので、さまざまな事例を含めて、ぜひ御検討いただければと思っています。
○中村部会長
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
今おっしゃっていることはすごくよく理解はできるのですけれども、考え方の順番としては、やはりそれは費用対効果制度をここに入れて、医薬品の価値をどう考えて、社会的な価値も含めてというところの順番に入ってくるのだと思うので、薬価算定の中で云々というのは順番が違うのではないかと思っています。
○中村部会長
時間を超過していますが、ほかはいかがでしょうか。
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
すみません。時間もない中で恐縮ですが、後発医薬品について意見とお願いを申し上げます。
まず、新規収載時の価格決定については議論になるところだと思いますが、これについては新規収載品の実勢価格のエビデンスをもって議論すべきだと思いますので、それをもって判断したいと思います。
それから、後発医薬品の価格帯、先ほどから出ておりますが、我々としては、将来的には1価格帯に収れんしていくことを目指すべきだと思うのですが、その過渡的な時期において、例えば加重平均をするので安いものが高くなったり、不当に引き下げられたりということは容認できませんので、ぜひこれを議論するに当たってはエビデンスを出していただいたい。先ほど、2020年度においては370品目が引き下げられるとおっしゃっていましたが、引き上げ、あるいは引き下げられる品目がどれぐらいあるのか、また、すごく安価な価格で出している企業はどのような企業なのか、そのことについても可能であればお教えいただければ、今後の議論の役に立つのではないかと思います。次回ヒアリングのときに、そのような詳細なデータを出していただければと要望させていただきます。
それから、再生医療等製品のイノベーションに関する意見について、我々もおっしゃっていることはよく理解できますし、今までもこれを従来の原価計算方式に無理やり当てはめるのは少し無理があるのではないかという主張をしてまいりました。秋以降の議論でこれも検討議題となりましたので、議論されていくと思いますが、団体として、どのような算定方法が妥当なのか、何か御意見をお持ちでしたらお教えいただきたいと思います。
○中村部会長
では、畠会長、お願いします。
○再生医療イノベーションフォーラム(畠)
御質問ありがとうございます。
まさにおっしゃるとおりでございまして、今、再生医療等製品、保険収載していただいた品目は6品目ございます。まだまだ経験は不足しております。当会におきましても、まさに議論が始まっていたところで、今回6品目ある中でも、それぞれ性格が違うものでございます。先ほどもちょっと御指摘がありましたように、エビデンスがしっかり整ってはいないわけでございまして、この段階では製造の特性、それから輸送、それから一品物であるがゆえの課題、そういったものを取りまとめまして、またしかるべき機会に御説明申し上げられればと思ってございます。今この段階では、まだそういうお答えに限定させていただければと思いますが、よろしくお願いいたします。
○中村部会長
それでは、吉森委員、お願いします。
○吉森委員
今のFIRMさんの発言に関連してですけれども、やはり再生医療等製品の製造工程のあり方、流通のあり方、この辺のコスト構造の分析のためにも、エビデンスの集積は必要だと思っています。これは事務局にはお願いですけれども、この御主張のとおりで新たな価格算定方式の検討に資するような考え方を早急に整理しないといけないということでありますが、何もなければ整理できないので、製造工程のコスト構造、流通面のコスト構造等々のエビデンスをしっかりと集積し、そのあり方について、できれば薬価算定組織、薬価専門部会、中医協、それぞれにおいて早急に議論を開始するような提議をしていただきたいと思います。これは事務局への要望です。
○中村部会長
よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、関係業界からの意見陳述については、ここまでとさせていただきます。
本日予定された議題は以上になります。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。
どうもありがとうございました。
○岡田医療技術評価推進室長
ただいまよりレイアウト変更いたしますので、11時より再開とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
 
 

(了)
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