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2019年6月26日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第153回議事録

○日時

令和元年6月26日(水)9:48~10:30
 

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

中村洋部会長 秋山美紀委員 田辺国昭委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 宮近清文委員
松本吉郎委員 今村聡委員 林正純委員 有澤賢二委員
村井泰介専門委員 平野秀之専門委員 上出厚志専門委員 薬価算定組織坪井委員長
<事務局>
樽見保険局長 渡辺審議官 山本審議官 森光医療課長 古元医療課企画官
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 部会長代理の指名について
○ 薬価算定の基準に関する意見について
○ 令和元年度に実施する医薬品価格調査について(案)
 

○議事

 

○中村部会長
ただいまより、第153回中央社会保険医療協議会薬価専門部会を開催いたします。
本日の委員の出欠状況について御報告します。本日は全員が御出席です
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。
(カメラ退室)
○中村部会長
それでは、議事に入らせていただきます。
まず初めに、部会長代理の指名を行いたいと思います。
部会長代理については、社会保険医療協議令第1条第9項の規定によりまして、部会長があらかじめ指名する者が部会長代理をすることとされております。
部会長代理は秋山委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○中村部会長
ありがとうございます。では、秋山委員に部会長代理をお願いいたします。
次に、「薬価算定の基準に関する意見について」を議題といたします。
今回は、次期薬価制度改革に向けて、新薬の薬価算定で御尽力いただいている薬価算定組織の坪井正博委員長より、薬価算定組織からの意見をいただくこととしたいと思います。
では、坪井委員長、説明をよろしくお願いいたします。
○坪井委員長
おはようございます。薬価算定組織委員長の坪井です。
次期薬価算定改革に向けて、薬価算定組織からの意見について御説明いたします。資料、中医協薬-2をごらんください。
まず1の「(1)薬価算定の妥当性・正確性の向上について」ですが、新医療用配合剤では明らかな臨床上のメリットがある注射用配合剤などを除いては、単剤の組み合わせの合計額に0.8を乗じた額を収載薬価とする特例があります。最近では3剤の配合剤などが開発されていますが、既存の2剤の配合剤にさらなる成分が足されるケースもあります。このような場合、2剤の配合剤と、もう一つの成分の単剤の価格を合わせて0.8掛けができるようにする、すなわち配合剤の特例の対象となることを明確化してはどうかとの提案です。
続きまして、「イノベーションの評価」に関する御提案です。1点目、2.の「(1)収載後の効能追加等による革新性・有用性の評価」です。新規収載時には、画期性や臨床上の有用性を踏まえて補正加算が行われますが、収載後に効能追加などがあった場合の補正加算は、現状では小児効能にかかわる加算と希少疾病にかかわる効能の加算に限られています。一方で、収載後も開発が進められていて、なかなか有効な治療法がないような疾患領域に新たな治療手段を提供することもあります。このため、収載時に新薬創出等加算の対象外であった品目について、収載後に追加された効能が新規作用機序であって、比較試験により既存治療に対して優越性を示したもの等に該当する場合は、薬価改定時に当該品目を新薬創出等加算の対象とすることによって、その画期性や有用性を評価してはどうかとの提案です。
次のページですが、2の「(2)市販後に真の臨床的有用性が検証された既収載品の評価の拡充」です。市販後に集積された調査成績により、真の臨床的有用性が直接的に検証されたものは、薬価改定時に加算の対象になります。ただし、先ほど述べた小児効能に関する加算と、希少疾病にかかわる効能の加算との併算定はできないこととされており、つまり、これらの3つの加算に当てはまるものでも、このうち1つの加算しか適用されておりません。実際の国内の医療環境における有用性が直接的に検証された品目を評価する観点から、主として国内で集積された調査成績により、真の臨床的有用性が直接的に検証されたものについては、併算定を可能としてはどうかという提案です。
続きまして、3点目、2の「(3)新薬創出等加算の品目要件」です。平成30年度の改定で新薬創出等加算の対象品目が加算適用品や新規作用機序医薬品のうち一定の要件を満たすもののみに改定されました。一方で、新規作用機序医薬品の中でも、加算適用品と同程度の有用性を有すると考えられるもの、算定上、加算適用品を比較薬にして薬価をつけたために、加算分が表に見える形で示されない場合もあります。こういった品目は現行ルール上、新薬創出等加算の対象外ですが、新規作用機序医薬品であり、かつ加算品である比較薬と同様の有効性・革新性を有すると考えられるため、評価してはどうかとの提案です。
4点目、2の「(4)高齢者で高い有用性を示した薬剤に対する評価」です。一般的な治験では、75歳以上の高齢者や要介護状態の高齢者に関するデータが乏しいことが多いのですが、実臨床上、こういった高齢者に新薬を使うこともあります。既に有用性加算の要件として、類似薬、また既存治療薬に比して高い有用性、または安全性を有することが客観的に示されていることが挙げられていますが、特に75歳以上の高齢者などを対象に治験を行って、高い有用性を示した場合にもこの要件に該当し得ることを明確化してはどうかとの提案です。
続きまして、「再生医療等製品への対応」に関する提案です。1点目、3の「(1)著しく単価の高い再生医療等製品に係る補正加算」です。最近、非常に高額な再生医療等製品が補正収載されていますが、補正加算率をそのまま適用すると、加算額だけで非常に大きくなります。これまで算定を行ってきた品目とは大分様相が違うため、一律に現在の補正加算率を適用していいのかという議論がありました。1つの考え方として、単価に応じた補正加算率を傾斜配分することについて検討してはどうかと考えました。過去の薬価算定では、一日薬価の額の大きさに応じて有用性加算の額を0.5倍から1.5倍までの範囲で傾斜配分していました。ただし、1日薬価に応じた傾斜配分は適切かどうかという議論があり、平成20年度の改定で新薬算定時の加算の傾斜配分が廃止され、収載後の加算の場合のみ、年間販売額に応じた傾斜配分を行っております。著しく高い再生医療等製品については、平成20年当時に想定して状況とは大分薬価の桁が違うため、今回提案を行いました。
2点目、3の「(2)条件・期限付承認後に改めて承認を受けた再生医療等製品の評価」です。再生医療等製品には、薬機法上、条件・期限付承認というものがありますが、この場合、承認時には臨床データは極めて限られていますので、有用性加算などの対象にはならない場合が多いと考えられます。しかし、条件・期限付承認の場合は、承認後にデータを集積して、改めて承認を受けることになりますので、もし改めて承認を受けた際のデータによって医療上の有用性が明らかになるのであれば、改めて評価を行ってはどうかとの提案です。
また、条件・期限付承認はあくまで期限付の薬事承認ということであり、その薬価も、今、申し上げたように、収載時は極めて限られたデータに基づいて算定されています。このため、改めて承認を受けるまでの間は、これまでの品目の薬価を「暫定薬価」などと呼称することとしてはどうかと提案いたします。
続きまして、「再算定」に関する提案です。薬価算定組織では、再算定の該当性についての検討も行っており、その観点からの意見になります。1点目、2点目は、市場が何倍に拡大したかをはかる際のベースとなる基準年間販売額に関する提案です。通常は収載時の予想年間販売額が基準年間販売額になりますが、もし市場拡大再算定を受けた場合は、再算定時点の年間販売額が基準年間販売額になります。
なお、再算定では、薬価引き下げの下限値が決まっており、計算上、下限値を下回る価格となるものの、実際の薬価の引き下げが下限値までにとめられることがあります。このような場合は、下限値での下げ止めがなかったと仮定した額で年間販売額を算出することが適当ではないかとの提案です。
もう一点は、市場拡大再算定を受けた場合は、年間基準販売額が再算定時点の年間販売額にかわることが明確にされていますが、主たる効能効果の変更に伴う用法用量再算定の場合にも同様に再計算が必要なので、これを明確化してはどうかという並びをとるための提案です。
3点目は4の「(3)効能追加に伴う用法用量変化再算定の要件」に関する提案です。主たる効能効果の変更に伴う用法用量変化再算定は、主たる効能効果の変更があり、これに伴って用法用量が変わる場合であって、市場規模が100億円を超え、かつ市場規模が10倍以上に拡大した場合に行われますが、限定的な要件となっています。これは用法用量変化再算定により、変更前の効能効果に関する一日薬価も変更となることを踏まえて設定された要件ですが、現在の要件のほかに、適切に設定した基準以上に市場規模を拡大した場合にも再算定の対象とする等の取り扱いを検討してはどうかとの提案です。
以上、再算定に関して意見を述べましたが、再算定の無制限の拡大は、イノベーションの評価という観点からは問題があります。再算定にかかわるそれぞれの論点は、皆保険の持続性とイノベーションの推進の両立の観点から議論されるべきと考えていますので、薬価算定組織としては、今回、再算定についての論点を提示し、多様な有識者で構成される中医協において議論を深めていただくことがふさわしいと考えております。
次は「その他」ですが、新薬算定とは別に長期収載品の関係での意見を記載しています。これも薬価算定組織として論点を提示するものです。現行の薬価制度は、長期収載品への依存から、高い創薬力を持つ産業構造へ転換する。特許が切れた後には後発品の使用を促進するという考え方のもとに成り立っていると考えています。 昨年導入された長期収載品の段階的引き下げは、企業にビジネスモデルの転換を求める内容なので、十分な時間と予見性が必要であったと考えています。一方で、品目によっては、いわゆるオーソライズド・ジェネリックなどの後発品への置きかえが速やかに進むと思われるものもあることから、後発品への置きかえ期間については、品目に応じて考える必要があるのではないかと考えております。
最後に、医薬品の有用性の評価に関して意見がありましたので、参考までにその内容を記載しております。現状、臨床試験の結果などを踏まえて医薬品の有用性を評価していますが、もし試験を行った際の医療環境等が余り良好でなかった場合は、医薬品の効果が大きく見積もられないか、試験の環境と実際の医療現場との間で違いがないか等を常に考えながら算定を行っております。当然のことになりますが、実際に医療環境、リアルワールドにおける有用性が検証できることが重要との意見がありました。
以上になります。
○中村部会長
坪井委員長、どうもありがとうございました。
事務局から何か補足があれば、お願いいたします。
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
特にございません。
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関して、何か御質問、御意見等ありましたら、お願いいたします。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
まず、薬価算定組織での御検討に感謝申し上げます。今後の議論になるとは認識しておりますけれども、この時点で幾つか、御意見に対する考えを少し述べさせていただきたいと思います。
まず、1ページ目の「2.イノベーションの評価」のところでございますけれども、新規作用機序により、既存治療に対して比較試験により優越性を示したもののところの、※の一番下の説明のところがございます。この中に臨床試験と書いてありまして、優越性を検証することを目的としたということで括弧書きになっていますが、優越性を検証するので非劣性試験は含まれないという理解でよろしいのでしょうかということがまず1つと、次に、臨床試験については、他の薬と比較する一種の営業目的の臨床試験ではなく、効能効果追加承認の可否判断に用いられる治験でよいでしょうか。ここで言う目的や主要評価項目につきましては、医薬品の直接的な患者への臨床的有効性について評価されるものと理解していますが、これもそれでよろしいということでしょうか。まず、それをお聞きしたいと思います。
○坪井委員長
薬価の収載時の加算の判断に当たっては、基本的には優越性試験を前提として、非劣性試験は対象とされていません。むしろ市販後に臨床家の立場として、実臨床においてどちらが有用性かというところで非劣性のデザインは組まれることが多いかと思います。加算については非劣性の判断は加わらない気がしています。
○中村部会長
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
薬価制度の枠組みにおいて評価が必要な比較試験があるのであれば、承認時、あるいは承認後であっても、国が企業に指示して市販後臨床試験を行うべきではないかと思います。効能効果全体をイノベーションと呼ぶかどうかはさて置いて、効能効果の追加は、高額な抗体医薬品である抗がん剤でも行われており、また、同じ領域の疾患名を追加することもまま起こっております。ここで評価すべき効能効果の追加はあくまでも他の疾患領域への適用、いわゆるリポジショニングと呼ばれるものに限るようにお願いしたいと思っています。
それから、「(3)新薬創出等加算の品目要件」のところですけれども、比較薬はリストとして示されていますが、中医協で議論するのではなく、組織に委ねているところかと思います。算定組織での比較薬の決め方を精緻に行うように要望いたしますし、また、加算適用品を比較薬とした場合であって、同等の有効性・安全性が認められて算定されたものについては、有用性と革新性の程度が加算適用品と同程度であるということかと思います。つまり、プラセボには勝てても、加算適用品を対象薬とした治験で負けたら、対象外でいいのではないかと思います。
それから、最後ですけれども、「(4)高齢者での高い有用性を示した薬剤に対する評価」のところですが、対象患者として高齢者が想定されていたにもかかわらず、治験に組み入れられていない試験デザインで承認を得た医薬品について、具体的にどの薬が該当するかはあえて聞きませんけれども、今後、適切に治験を実施していただいた上で、高い臨床的有用性が示された場合に加算を検討することは理解いたします。日本医師会では、超高齢社会におけるかかりつけ医による適正処方を推進しております。製薬機能は効能効果や有用性の宣伝だけではなくて、高齢者のデータがないことや、高齢者では危険な場合も含めて、高齢者への適正処方に資する情報を提供するようにお願いしますし、また、データがないことについて、添付文書に書いて、それで終わりということではないようにしていただきたいとも要望いたします。
以上でございます。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。では、有澤委員、お願いします。
○有澤委員
ありがとうございます。「イノベーションの評価」ということで全体的なコメントを出させていただきたいと思います。特に「(1)収載後の効能追加等による革新性・有用性の評価」「(2)市販後に真の臨床的有用性が検証された既収載品の評価の拡充」、あるいは「(3)新薬創出等加算の品目要件」、これらについての、当然、要件の精査は十分に検討もされなければいけないとは思いますが、基本的にイノベーションの評価を与えることには賛同させていただきたいと思います。
○中村部会長
では、今村委員、お願いします。
○今村委員
ありがとうございます。非常にプリミティブな質問で恐縮なのですけれども、「真の臨床的な有用性」という言葉があるのですけれども、基本的には有用性があって薬として認められている。真のと言っているのはどういう意味合いなのでしょうか。
○中村部会長
では、坪井委員長、お願いします。
○坪井委員長
ケース・バイ・ケースかと思うのですけれども、実際には日本の患者ばかりを対象にしているものではないものもありますので、安全性の面を含めて、日本の患者でどうだったかというところで、前向きに検証されたような結果が出れば、それは日本における真の有用性と思いますし、また、私がかかわっているがんの領域においては、多くの場合は無再発生存とか、全生存とは違うところで評価されているので、生存率が本当に延長しているかどうかについては、患者にとっても、医療にとっても大きなことだと思いますので、そういった評価が出たときに、改めて真の有用性という形で今、議論していると思います。今後もそのつもりでおります。
○今村委員
ありがとうございます。ケース・バイ・ケースというお話ありましたけれども、なかなか難しいとは思うのですけれども、真のものに対してはという言葉を使われているので、ある程度の定義というか、そういうものを、専門的には先生方がちゃんと検討していただければありがたいなと。
もう一点、3の(1)の傾斜配分のお話があります。これについては私も賛成なのですけれども、前回、ここでも申し上げた、非常に有用な再生医療等製品であっても、薬が1つの剤形しかないために、物すごく残薬が発生する、廃棄しなければいけない量のお薬が出てくる可能性があって、メーカーはそういうことも考えてお薬をつくっていただきたいなということがあるので、そういった傾斜配分の検討もしていただければありがたいかなと思っております。
以上です。
○中村部会長
では、吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。根本的な質問で申しわけないのですけれども、事務局に。今回の算定組織からの基準に関する御意見の今後の取り扱い方なのですけれども、1の薬価算定の妥当性・正確性云々から5の「その他」まで、意見をここで提案していただいていますけれども、これについては、きょうの御意見を踏まえて、個別に議論をしていくというスケジュール感でよろしいのですか。
○中村部会長
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
今、吉森委員から御指摘ございましたとおり、今般、薬価算定組織から提案されました御意見を含めまして、改めて論点という形で整理させていただいて、そして秋以降、個別に議論を進めていくことを考えております。
○中村部会長
では、吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。そうであるならば、今回御提案いただいている意見表明、1から5については、これまでいろいろ、分科会、総会でも議論の中で課題として挙がっておりまして、基準の不明確さ、不透明さ、こういうのがいろいろ指摘されていた項目だと理解しておりますし、対象薬剤の価格算定における算定基準の明確化や透明性を担保する観点での整理としては、この論点は評価できるものであると思います。現在、再生医療を初めとする医薬品のイノベーションを標榜した開発環境、これの急激な進展、そういうものを勘案しますと、従来から問題になっていますけれども、原価計算方式のあり方など、今後、薬価の抜本的な制度改革についての検討が必須であるとは考えておりますけれども、まずは今回の現行の医薬品の価格算定基準方法について、意見表明にございますような基準の明確化、透明性、これを担保することは重要な論点であり、医薬品の有効性、安全性のみならず、経済性の観点からも、医薬品の開発コストなどの実態がより的確に反映できるような基準指標の改革、改善、これを今、できるところから議論、検証していくということでは、この意見提言は重要な視点であると考えます。
○中村部会長
松本委員、お願いします。
○松本委員
最後の5ページ目の「その他」のところで、長期収載品のことが出ておりますけれども、1点質問なのですが、G1に該当した医薬品が出ていますけれども、該当した医薬品はどのぐらいあったのでしょうか。また、今後の見通しについても教えていただきたいと思います。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
平成30年度改定におきましては、G1対象品目は38成分、85品目、それから、後発品との価格差の関係でG1になったり、G2になったり、Cになったりするのですけれども、G2の対象品目は137品目、293品目でございました。今後の見通しでございますけれども、今、申し上げたとおり、長期収載品と後発品との関係の中で、G1、G2、どちらの区分になるかとか、いろいろございますし、また、現時点ではどれくらいの成分があるかは、手元では数字は持ち合わせておりませんので、実際の薬価改定の際には、どういう形になったかということはお示しさせていただければと思っております。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
先生の御意見は、多分、秋から始まる薬価の改革に参考になると思いますので、御意見をお聞きしたいところが何点かあるのですが、まず、今、話題になりました長期収載品の段階的引き下げまでの期間というところで、撤退の意向を踏まえているとか、ジェネリックへの移行が進んでいるものについては、もっと期間を短縮したらということなのですですが、我々、こういったことを主張しておりまして、そもそも10年というのはスピード感がなさ過ぎるのではないかというのが我々の主張なのですが、できれば全品目短縮することも検討していただきたいと思っているのですが、先生の御主張の短縮というのは、どれぐらいの期間を想定されて、どこを短縮されようとしているのか。5年たって、5年からZ2が始まるのですが、例えば、5年は要らないとか、その辺のお考えをお聞きしたいのですが、いかがですか。
○坪井委員長
恐らく品目によっていろいろな幅があるのではないかと思っておりまして、その辺についてはさらに議論を深めていいただきたいというのが私の現在のスタンスです。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
わかりました。それから、もう一つは、3ページの「条件・期限付承認後に改めて承認を受けた再生医療等製品の評価」で、収載時にデータが乏しくて、後から有用性ができたら加算をつけていいのではないかというところがあるのですが、これは逆はあり得るのでしょうかという質問なのです。例えば、先般収載された高額再生医療のキムリア等は、有用性加算35%がついているのですが、ガイドラインを見てみますと、共同治験で実施されていて、8割が寛解率を獲得しているということなのですが、実は日本人はそのうち2人しかいなくて、寛解率も5割だったというところなのですが、これから保険収載されて市場に出て、たくさん使われるようになって、このデータが集積されるによって、評価がもし異なることがあった場合は、この評価自体、有用性加算自体を見直すこともあり得るのか。そういうことについてはお考えがあるのか、お聞かせいただきたいと思いますが、いかがですか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
すみません、事実関係だけ御報告させていただきますと、ここで薬価算定組織の議論がございましたのは、あくまでも条件・期限付承認のもの。つまり、5年後とか7年後に改めてデータを出して有用性を確認して、本承認とするか、それとも承認を取り消すのかというものについての御意見でございました。先般のキムリアにつきましては、条件・期限付承認ではなく、通常の承認という品目でございますので、薬価算定組織の中ではそういった議論はなかったというところでございます。
○中村部会長
幸野委員、よろしいですか。
○幸野委員
いや、そうなのですけれども、キムリアにかかわらず、加算がついていたのですけれども、収載された後の実績を見てみると、思ったよりも効果がなかったとかいうことがあった場合には、その加算を見直すことがあってもいいのではないかというところからそういう意見を言わせていただいたのです。
○中村部会長
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
収載後の実績というのが、比較試験のような形で市販後に行われるということであれば明確にデータとして出るかもしれませんけれども、そういう形でない中、実臨床の中でどれだけのはっきりしたエビデンスが出るかというのは、なかなか難しいところはあろうかと思います。ただ、薬事承認の関係で言いますと、通常、新薬については、再生医療等製品も含めて、8年間などの再審査期間がありまして、その中で仮に有効性とか安全性の観点で承認拒否事由に当たることがあれば、そこは承認の取り消しもあり得ますので、そういった中での対応となろうかなとは、現時点では考えているところでございます。
○中村部会長
では、次に、平川委員、お願いします。
○平川委員
2ページの(4)の「高齢者での高い有用性を示した薬剤に対する評価」のところですけれども、高齢者に多くの新薬が使用されているにもかかわらず、治験においては高齢者を除外して試験が行われることも多いという記載がございますけれども、ちょっとよくわからないのは、これは一般的なこととして行われているのかどうかをまずお聞きしたいと思います。
○坪井委員長
試験のデザインによって違うと思うのですけれども、もともと日本は高齢者が多くて、75歳以上はもともと試験対象になることは少ないというのは、併存疾患の方が多くて、あるいは代謝も若い人と違っているので、基本的には、多くの場合は75歳以上を含まない試験が多いように思います。ただ、グローバルでは年齢の上限を設けていないのですけれども、今、御紹介したような、併存疾患の兼ね合いとかで試験に入れない方々がたくさんいらっしゃる。どちらかというとヘルシーな高齢者の方がその試験にわずかに入っている。ここに書いてある高齢者の有用性というのは、さっき医師会からも御意見があったのですけれども、日本の実臨床に合わせたところで、そういった評価がちゃんとできているものについては、もっと評価を高めてもいいのではないかというのが我々の委員会からの意見として出ました。むしろ日本の中の医療を考えた上で、高齢者の医療を考えてはどうかという発想です。
○中村部会長
では、平川委員、お願いします。
○平川委員
それであれば、治験のあり方自身をどう変えていくという議論にはならなかったのかどうか。
○坪井委員長
お薬の効能効果によって試験デザインは多分、変わってくると思うし、対象も変わってくると思いますので、全ての人が、高齢者も入れる試験かどうかは、お薬によって、多分、変わってくるのではないかと思います。毒性とかを含めて変わってくると思います。
○中村部会長
平川委員、お願いします。
○平川委員
まず順番として治験のあり方の問題のような気がいたしましたので、それは感想として言わせていただきます。
最後、5ページの「その他」の意見のところで、医療環境がよくない場合には効果が相対的に大きく出るという御意見がありましたけれども、今までもそういう薬があったということなのでしょうか。それであれば、有用性に関しての評価ということ自身が問題として出される可能性があるかと思いますけれども、この辺、どういう議論があったのかをお聞きしたいと思います。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
薬価算定組織の中では、具体的に個別にこういう事例があったということで議論があったわけでなくて、どちらかというと強調されたのが、臨床試験成績をもとに有用性を評価しているわけですけれども、実臨床の中でしっかりと有用性、有効性とかが検証されるものが重要であるといった点から、そういった意見がありましたので、今回、算定組織の意見の中でも御紹介、御提案があったというものでございます。
○中村部会長
平川委員、お願いします。
○平川委員
要するに、具体的に個別の薬に関して、こういう問題があったということではないということですね。
○坪井委員長
そのように御理解いただいて結構かと思います。
○中村部会長
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
今、治験の話が出ましたので、5ページ目の一番下のところにかかわるところかと思いますけれども、確かに新薬承認のためには、治験は限られた環境や患者で、できるだけ有効性を高く出すために、通常、さまざまな状況をいろいろ設定して行われることになりますので、この算定組織の意見の御懸念は当然かとは思いますけれども、しかし、効果が確認された治験並みの厳しい患者選択条件をつけて承認するのかと言えばそうではなくて、患者の生活環境、併存する疾患や併用薬など、治療に影響を与える要因は多々あります。ただ、こうした要因も全て加味して治験をするかというと、それも違っていて、あくまで患者一人一人が異なるので、罹患した患者全体として検証すべきような医薬品があるならば、承認条件として国が指示をすべきだと思います。結果に基づいた効能効果の制限を設けるなど、薬価制度とはまた別の話にもなるのかなという感じもしますけれども、この辺は厚生労働省としてはどんなふうにお考えでしょうか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
御指摘のとおり、承認時にさらなる有効性を検証するために、承認条件ということで個別の試験を指示するようなこともございますので、そこは承認審査の段階で実際の個々の製品の承認時までのデータを踏まえて、必要な対応は行ってきているところだとは理解しております。
○中村部会長
ほかはよろしいでしょうか。では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
細かいところで申しわけないのですが、2ページの「(3)新薬創出等加算の品目要件」のところなのですが、加算適用品を比較薬として算定されたものについても、新規作用機序医薬品であれば新薬創出等加算の対象としてはどうかというところなのですが、加算適用品が新薬創出等加算の場合には、我々の主張としては、新薬創出等加算分は除外して比較すべきだということを前回も主張したわけなのですが、比較薬が加算適用品であれば、それだけ薬価は高くついているわけでして、それを高くつけて、またそれに対して新薬創出等加算を適用するというのは、二重に評価しているのではないかと思うのですけれども、その辺についてのお考えはいかがですか。
○中村部会長
これも薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
薬価算定組織のときの議論を御紹介いたしますと、今回、ここで俎上に上がっておりますのは、あくまで新規作用機序の医薬品ということで、ある程度の革新性があるものでございます。ただ、たまたま比較薬が加算適用品だったということもあって、それなりに評価されているものだったということもあって、薬価算定時には、その加算適用品を比較薬として一日薬価合わせで薬価算定されたと。つまり加算はつかないということで算定が行われた場合なのですけれども、現行の新薬創出等加算の要件ですと、新規作用機序で一定の要件を満たすものとか、あるいは加算がついたものは新薬創出等加算の対象になるのですが、新規作用機序を有していながらも、比較薬が加算適用品で比較的革新性があるものであったがゆえに、算定時は加算がつかなかった。その結果、新薬創出等加算の対象にならないというケースがあるので、ほかの、例えば、加算適用品とか、新規作用機序で新薬創出等加算対象になるものについては、3年3番手以内であれば、1番手と同様と考えられるとして新薬創出等加算の対象としていることとの関係で言うと、ちょっとアンバランスなのではないかと、そういった議論があって、今回の提案になっていると考えていただければと思います。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
わかりました。これはきょうの議論ではあれだと思いますので、新薬創出等加算を類似薬とした場合の加算分をどう取り扱うかについては、そのときにまた議論させていただきたいと思います。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。ほかに御質問等ないようでしたら、本件にかかわる質疑はこのあたりにしたいと思います。
ただいま御説明いただいた薬価算定組織から期意見につきましては、また今後、こういった中医協の場で検討していきたいと思います。
坪井委員長、どうもありがとうございました。
それでは、次の議事に入らせていただきます。次は「令和元年度に実施する医薬品価格調査について(案)」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
では、これは三浦経済課長、お願いします。
○三浦医政局経済課長
ありがとうございます。経済課長でございます。
中医協薬-3の資料に基づきまして御説明申し上げたいと思います。「令和元年度に実施する医薬品価格調査について(案)」でございます。
2ページ目をごらんください。「趣旨」でございますけれども、薬価改定の基礎資料を得ることを目的といたしまして、薬価収載されております全ての医薬品について、保険医療機関及び保険薬局に対する医薬品の販売業者の販売価格並びに一定率で抽出されました購入側であります医療機関等での購入価格を調査させていただくものでございます。
「調査期間」は本年度中の1カ月間、単月の取引分を対象として行いたいと思います。
3番目でありますが、「調査の対象及び客体数」でございます。(1)にありますとおり、販売サイドに関しましては、保険医療機関及び薬局に医薬品を販売する営業所等、具体的には卸の全数を対象として行いたいと思います。客体数は6,400でございます。(2)購入サイドでございますけれども、病院、診療所、保険薬局の区分に応じまして、それぞれ、こちらにございます抽出率で抽出された客体数を確保したいと思います。
「4.調査事項」でありますが、販売サイド調査に関しましては、品目ごとの販売価格及び販売の数量、購入サイドに関しましては、加えて購入いたしました卸売業者の業者名、本店営業所の名前を頂戴して突合に資することを考えております。
「調査手法」につきましては、5.にありますとおり、私ども厚生労働省より直接客体に調査書を配布し、回収することといたしております。
3ページ目は平成30年度に行いました医薬品価格調査の実績でございますので、御参照いただければと思います。
以上です。
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関して、御質問等ありましたら、お願いいたします。
よろしいでしょうか。ありがとうございました。ほかに御意見等ないようでしたら、本件につきましては、本日の総会に報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○中村部会長
ありがとうございました。では、そのようにしたいと思います。
本日、予定された議題は以上になります。
なお、次回の薬価専門部会におきましては、関係業界からの意見聴取を行う予定としております。次回の日程につきましては、また追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
○古元医療課企画官
ありがとうございました。
それでは、少し休憩をとっていただきまして、またおそろいいただきましたら、総会を開催させていただきます。よろしくお願いいたします。
 
 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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