ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第152回議事録(2019年5月29日)

 
 

2019年5月29日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第152回議事録

○日時

令和元年5月29日(水)9:30~10:02

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

中村洋部会長 野口晴子委員 田辺国昭委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 宮近清文委員
松本吉郎委員 今村聡委員 遠藤秀樹委員 有澤賢二委員
村井泰介専門委員 平野秀之専門委員 上出厚志専門委員
<事務局>
樽見保険局長 渡辺審議官 山本審議官 森光医療課長 古元医療課企画官
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 次期改定に向けた主な課題と今後の議論の進め方

○議事

 

○中村部会長
ただいまより、第152回「中央社会保険医療協議会薬価専門部会」を開催いたします。
まずは、本日の委員の出欠状況について御報告します。本日は全員が御出席になります。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○中村部会長
それでは、議事に入らせていただきます。
今回は「次期改定に向けた主な課題と今後の議論の進め方」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
資料の薬-1をお開きいただければと思いますが、次期改定に向けた主な課題と今後の議論の進め方ということで資料を用意いたしました。
1コマ目をごらんいただければと思いますけれども、次期薬価制度改革に向けた主な課題ということで、平成30年度薬価制度抜本改革の際に、引き続き検討することとされた事項などについて記載させていただいております。
まず、「(1)平成30年度改定における附帯意見等」ということでございますけれども、後ほど詳しく御説明いたしますが、薬価制度抜本改革の骨子において検討することとされている事項が何点かございます。そのほか、平成30年度改定に係る答申書附帯意見におきまして、基礎的医薬品への対応のあり方、後発医薬品の薬価のあり方について、引き続き検討することとされているところでございます。
続きまして、(2)にこれまでに中医協総会等におきまして問題提起された事項等を記載させていただいております。
まず、2020年度改定における実勢価の反映のあり方について、御指摘をいただいているところでございます。それから、3月27日の薬価専門部会においても議論いただきましたけれども、有効成分、製法等が先発品と同一のバイオ医薬品、いわゆる後発バイオ医薬品の取扱いについてしっかりと検討することとされているところでございます。
また、高額な再生医療等製品の価格算定のあり方につきましても、指摘を受けているところでございます。
それから、「(3)その他」と書かせていただいておりますけれども、後ほど説明いたしますが、薬価算定組織からの意見を聴取した上で議論を進めたいと考えておりますので、薬価算定組織から提起された事項が入ってくると思っております。同様に、関係業界からも意見聴取を行いたいと考えておりますので、関係業界から提起された事項のうち、検討が必要と考えられるものなどについて検討課題として挙がってくるものと考えているところでございます。
2コマ目以降でございますけれども、平成30年度改定の答申書附帯意見等に具体的にどのような項目が挙げられ、また、どのように記載されているのか。さらに、それらに関連する現行のルールについて、参考までにお示ししております。
まず、答申書附帯意見の中でございますけれども、薬価制度の抜本改革につきましては、薬価制度の抜本改革による関係者への影響を検証した上で、必要な対応について引き続き検討することとされているところでございます。あわせて、基礎的医薬品への対応のあり方について、引き続き検討するとされているところでございます。
また、後発医薬品の使用促進の中でも薬価のあり方について引き続き検討することとされております。
続いて、薬価制度の抜本改革の骨子の別紙におきまして、指摘されている事項でございます。まず、新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度における企業要件・企業指標につきまして、製薬企業の革新的新薬開発やドラッグ・ラグ解消の取組・実績を評価するものとして適切かどうかについて、新薬開発等に係る実態も踏まえつつ、検証を行い、次回以降の改定への見直し・反映を検討するとされているところでございます。
3コマ目に「その他の事項」とありますが、薬価算定方式の正確性ということで、平成30年4月から新薬創出等加算の対象外であって、類似薬効比較方式IIで算定される医薬品につきましては、比較薬の新薬創出等加算の累積加算額を控除して薬価算定を行うこととしているわけですけれども、新薬創出等加算の対象外であって、類似薬効比較方式I等で算定された医薬品については、現行、そのようなルールにはなっていないというところでございます。
この点につきまして、収載時は新薬創出等加算の対象外であったが、収載後に新薬創出等加算対象品目となった場合の対応を含めて、新薬創出等加算対象品目を比較薬とする場合の薬価算定の見直しを検討するとされているところでございます。
それから「今後の検討事項」ということで幾つかございまして、イノベーションの評価に関して、効能追加等による革新性・有用性の評価の是非について検討を行う。
また、長期収載品の価格引下げ後の後発医薬品の置換率の状況、後発医薬品の上市状況、安定供給への対応状況等を踏まえ、長期収載品の段階的引下げまでの期間のあり方について検討を行うとされているところでございます。
その他、今般の薬価制度の抜本改革による医薬品の開発・製造・流通等への影響を検証した上で、必要と認められる場合には、次期改定において所要の措置を検討するとされております。
以下のスライドは、関連した現行ルールについて説明をしております。
まず、4コマ目、新薬創出等加算の企業指標についてでございますが、左下に指標がございますとおり、企業指標につきましては、A-1からCまでの5つの指標につきまして、ポイントを計算いたします。その合計のポイントに基づきまして、右に分類方法とありますとおり、上位25%であれば加算係数を1.0、最低点数の場合には0.8、それ以外は0.9という形で設定をしたものでございます。
また、医療系ベンチャーの取扱いということで、ベンチャー企業への配慮という観点から、枠囲みに記載のある要件を満たす企業については区分2とするという取扱いもしているところでございます。
続いて5コマ目は、新薬創出等加算の対象品目を比較薬とする場合の薬価算定ということでございます。
現行はどのようなルールになっているかと申しますと、まず、比較薬と書いてある赤の実線の部分が新薬創出等加算対象品目であるとお考えいただければと思います。こちらにつきましては、基本的に後発品上市までは薬価が維持されて、その後、累積加算額を控除するという形で薬価の推移が階段状に書いてあるというものでございます。
これを比較薬として算定する場合なのですけれども、緑色の部分で、類似薬効比較方式IIで算定されるものにつきましては、最初の値づけの段階で累積加算額を控除した上で、算定するとされております。そういう意味で緑色の線が赤線よりも下のところからスタートして、薬価改定を受けていくというイメージ図になってございます。
一方、青の実線の部分は、類似薬効比較方式Iで算定され、かつ新薬創出等加算の対象外となる品目についてですけれども、こちらにつきましては、事後に新薬創出等加算の対象となる場合もあるといったことも踏まえまして、最初の値づけの段階では、赤の比較薬と一日薬価を合わせた形で算定して、その後、実勢価改定を受ける。
ただ、途中で星印が書いてあるとおり、事後に新薬創出等加算の対象となる品目要件を満たす場合には、そこから薬価が維持されるというイメージ図で書かせていただいているところでございます。
青字の類似薬効比較方式Iで新薬創出等加算対象外の品目につきましては、このイメージ図で書いてあるように、途中で新薬創出等加算の対象となる場合と、あるいはそうならない場合もあるわけでございまして、こういったことも踏まえつつ、どのような算定ルールとすべきかということが議論になると思っているところでございます。
続きまして、6コマ目「効能追加等による革新性・有用性の評価について」ということですけれども、現行でも関連するルールというものが3つほどありまして、薬価改定時の加算ということで、まず1つ目は小児に係る効能・効果等が追加されたもの。
それから、(2)に書いてございますとおり、希少疾病ですとか、あるいは先駆け審査指定制度の対象となるような効能・効果が追加された既収載品。
3つ目としまして、市販後に真の臨床的有用性が検証された既収載品については、薬価改定時の加算を行うというルールが現在、あるところでございます。こうしたルールがある中で、これら以外にどのようなことが考えられるかということが議論になると思っているところでございます。
続きまして、7コマ目「長期収載品の段階的引下げまでの期間の在り方について」ということでございます。
長期収載品につきましては、長期収載品依存からより高い創薬力を持つ産業構造に転換を進めるという観点から、後発品上市後10年間までの期間を後発品置換え時期、後発品上市後10年を経過した期間を長期収載品の後発品価格への引下げ時期と位置づけてルールを設定しているところでございます。
下のほうをご覧いただければと思いますけれども、長期収載品につきまして、後発品が上市されますと、まず、最初の5年間は後発品への置換えをどんどん進めていく時期と位置づけております。その後の5年間でございますが、青で塗られているところに「Z2」と記載がございますとおり、後発品の置換え率に応じて、その上に点線で枠囲みがございますけれども、例えば、後発品の置換え率が40%未満であれば実勢価に加えて追加で2%引き下げる。60%以上80%未満であれば追加で1.5%引き下げるといったルールを適用しているところでございます。
これに加えて、新たに平成30年度の抜本改革で導入されましたものが、G1、G2、Cというルールでございます。こちらにつきまして、まず、G1という品目は、後発品への置換えが進んでいるもの、置換率が80%以上のものが該当しますけれども、これらにつきましては後発品上市後10年を経過した段階で、先発品の価格を後発品の価格の加重平均値の2.5倍という形で一旦引き下げた上で、さらに6年間かけて後発品の価格まで引き下げていくというルールでございます。
ただ、そうしますと、6年後には先発品と後発品の薬価が等しくなるということになりますので、その間、長期収載品が後発品に市場を譲ってしまうことの判断もあり得るということで、後発品の増産可能な時期を踏まえた上で、市場からの撤退も可能としているというものでございます。
一方、G2と呼ばれるものは、この時点で後発品への置換えがなかなか進まないもの、後発品の置換率が80%未満のものということでございまして、こちらについては何らかの理由でなかなか置換えが進まないということが想定されますので、一定の価格差を許容するということでございます。具体的には、最初、後発品の加重平均値の2.5倍という価格に設定した上で、10年かけて1.5倍まで段階的に引き下げていくというルールでございます。
そのほか、既に先発品の価格が後発品の2.5倍以内になっているものなどにつきましては、Cということで、引き続きZ2のルールを適用していくというルールが導入されたところでございます。この下のところで、「置換え時期」と赤で囲んである10年間について、どのように考えていくのかということが検討課題とされているところでございます。
8コマ目は「基礎的医薬品への対応の在り方について」ということでございますけれども、現行制度の概要のみ記載しております。ここに要件が記載してございますけれども、収載25年以上、かつ成分・銘柄ごとのいずれの乖離率も平均乖離率以下であること。
一般的なガイドラインに記載され、広く医療機関で使用されていること。
過去の不採算品再算定品目並びに古くから医療の基盤となっている病原生物に対する医薬品及び医療用麻薬、生薬、軟膏基剤及び歯科用局所麻酔剤につきまして、現在、基礎的医薬品ということでルールを適用しているということでございます。
続いて9コマ目「後発医薬品の薬価の在り方」ということで、例えば新規後発品の薬価算定のルールがどうなっているかと申しますと、基本的には先発品の薬価に0.5を乗じた額。ただし、内用薬で銘柄数が10を超える場合は、0.4を乗じた額に設定するということが基本ルールでございます。また、バイオ後続品、バイオシミラーにつきましては、先発品の薬価に0.7を乗じた額が基本的なルールとなっております。
続いて10コマ目は、3月27日の薬価部会で議論いただいた際の資料をそのままつけておりますけれども、有効成分、製法等が先発品と同一のバイオ医薬品、いわゆる後発バイオ医薬品の取扱いということでございます。
先般、暫定的にバイオシミラーと同様に先発品の薬価に0.7を乗じた額で算定してはどうかということを提案させていただきましたけれども、その際にも申し上げたとおり、また、委員の先生方からも御指摘いただいたとおり、バイオシミラーの開発状況等を鑑みた後発バイオ医薬品の収載価格の算定のあり方、バイオ医薬品の適切な競争環境を維持するための薬価算定上の措置について、次期改定に向けた議論の中でしっかり必要な検討を行っていくべきという御指摘をいただいておりますので、これについても議論をしていきたいということでございます。
以上を踏まえまして、11コマ目に今後の進め方として書かせていただいております。
薬価専門部会におきまして、7月ごろまでに薬価算定組織から意見の聴取、関係業界からの意見の聴取を含む議論・意見交換を行ってはどうかという御提案でございます。また、検討項目につきましては、これらを踏まえて再度整理した上で、8月以降に次期薬価制度改革に向けて議論を深めていくこととしてはどうかということでございます。
また、必要に応じてということになりますけれども、国内外の医薬品事情等に詳しい学識経験者、あるいは学会関係者などの外部有識者に薬価専門部会に御参加いただき、御説明を受けた上で、議論を行うようなことも行ってはどうかという御提案でございます。
以上、よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○中村部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関して、御質問、御意見等がありましたら、お願いいたしします。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
今回、前倒しで検討が開始されたことにつきましては、評価をしております。前回改定では国民皆保険の持続性とイノベーションの推進を両立して、国民が恩恵を受ける国民負担の軽減と、医療の質の向上を実現する観点から薬価制度については、抜本改革が少しずつ行われてきました。
しかしながら、今回の検討事項にあるように、新薬創出等加算の見直しや長期収載品の薬価の見直しなど、まだまだ抜本改革による現場での影響をしっかりと検証した上で、足らざる部分をさらに改革を進める、改革を断行していくことが必要かと思います。
一つ一つの検討は今後ということになりますけれども、改めて厚労省の抜本改革に対する決意のほどをもう一度聞きたいと思います。
○中村部会長
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
御指摘ありがとうございます。
まさに30年度抜本改革の中で、本日御紹介いたしましたとおり、引き続き検討することとされているところも多数ございますので、これらの点についてどのような薬価制度上のあり方が適切なのか。また、答申書附帯意見等におきましても、関係者への影響も検証した上でということが書かれておりますので、そういった関係業界からも説明資料などを提示していただきながらしっかりと進めていきたいと思っております。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
では、吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
今後の議論の進め方については、特段、異論もございませんけれども、平成30年度改定における附帯意見などの積み残しなどは、しっかり議論して結論を出すべく進めることは基本であるということは理解をいたします。
一方で、バイオ医薬品や後発バイオ医薬品の取扱い、再生医療等製品の価格算定。この辺は現行の薬価制度の仕組みでは、医療の高度化の進展をカバーし切れていないのではないかという問題意識は持っておりまして、次期の改定のタイミングで確実にフォローアップし、対応する必要があると考えております。
そういう意味では、昨今の医療の高度化の進展に伴って、薬価制度を抜本的に見直すとか、原価計算方式も含めた薬価算定基準においてどのような課題があるのか、問題点は何なのかというものを含めて、事務局の案にもありますけれども、薬価算定組織の先生、関係業界、外部有識者に意見聴取というものを通じて改めて整理していただいて、早急に具体的な議論を進めていければと思っています。
そこで2点ほど確認と質問なのですけれども、1ページの(2)にこれまで問題提起された事項の1つ目に2020年度改定における実勢価の反映というものがございますけれども、これは今年10月に予定どおり消費税の増税が行われた場合、その影響を踏まえた実勢価の動向が反映される時期は2020年ではない。その次の改定ということで、1年ずれることになりますけれども、この辺について中医協としては考え方を明確にしておくということは以前から申し上げておりますが、この辺について事務局はどのようにお考えでしょうか。
○中村部会長
では、薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
この点については、また、改めて資料等を提示させていただいた上で御説明したいと思いますけれども、少なくとも前回の消費税引上げの改定の際の議論としては、実際に消費税引上げは10月に行われて、それに基づく改定が行われたとした場合、年末の予算編成過程までに実勢価を調査して、そこを反映するというのは現実的な問題としてはなかなか難しいのではないかという話をさせていただいた上で、ただ、そうはいっても引き続き検討することとされている事項の中に、毎年薬価調査、毎年薬価改定ということで、通常、今まで2年に1回だったところが、そこの期間は一定程度短縮されるということにもなりますので、そういった中でどういうふうに考えるかということを申し上げてきたところでございます。
○中村部会長
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
今、お話に出ました毎年薬価調査、毎年薬価改定における薬価調査の対象範囲の設定というものが3月27日のこの部会で参考資料として提示されておりました。そこでは、2018年度から20年度までの3年間連続薬価改定が行われる間の市場実勢価格の推移及び薬価加算の状況、関連業界の経営影響などを把握した上で、2020年中に具体的な範囲の設定について結論を得るということになっていたと理解しております。
この件については、今回の次期改定とは直接関係ないと思いますけれども、今回、ここに検討事項として入れていないというのは何か別のお考えがあるのか。それとも、今、申し上げたように、次期と関係ということなのか。その辺のお考えをお聞かせ願えればと思います。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
次期の薬価制度改革と直接的に関係があるということではないということで書いてはございませんけれども、当然、2020年度中に対象範囲をいろいろな影響も精査した上で決めるということになっておりますので、それまでにどういうことを検討していかなければいけないかということについては、適宜、薬価専門部会等において資料も提示させていただきながら議論は並行して進めていきたいと思っております。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
1ページのスライドのこれまで問題提起された事項の中で入れていただきたいことがあるのですが、何回も問題提起したのですけれども、原価計算方式のあり方についてぜひ検討事項に入れていただきたいと思います。
この原価計算方式については、昨年の抜本改革のときにかなり透明性を図るという観点から開示度に応じた加算が新たに設定されましたが、それ以降、保険収載されたものを見てみると、15品目が原価計算方式で収載されていますが、開示度が50%未満のものが9品目、開示度が50%以上80%未満のものが3品目、開示度が80%以上のものがわずか3品目という状況で、この開示度に応じた加算が製薬企業にとってインセンティブになっていないのではないかということがうかがわれます。
前回、収載されたキムリアも開示度はかなり低かったにもかかわらず、高額な薬価がついたということもあって、開示度に応じた薬価をどうしていくかについては、もう一度検証してみる必要があるのではないかと思います。前回改定で、営業利益率のみに加算を上乗せする計算方法から、薬価の価格全体に加算が上乗せされる計算方法になったので、開示度が低くても影響が限定的になっているのではないかと我々は懸念しており、そこはもう一度議論をする必要があるのではないかと思います。
もう一点、原価計算方式で常々言っていますが、自動的につけられる営業利益率と一般管理費がとてもほかの企業の常識からは考えられないような高い率がついているということです。
これは、政投銀の産業別データハンドブックの3年平均を自動的にとっているということですが、その対象になっているのは株式一部上場の製薬会社三十数社の平均ということで、いわゆる製薬会社の優良企業の営業利益率をそのまま全て当てはめている。果たしてこれが妥当なのか。ほかの業種などを見ると、営業利益率は15%も行けば相当な優良企業になるわけで、これを薬価の算定方式に当てはめているということが、薬価を上げる要因になっているのではないかと思います。ここはもう一度しっかりと議論すべきだと思うので、ぜひ追加していただきたいと思います。
それから、もう一つ要望ですが、新薬創出等加算がまた論点になろうかと思いますので、ここのデータをしっかり出していただきたいということです。我々として知りたいデータは、企業区分です。3区分ありますが、この企業区分がどのように分布しているのか。これは相対評価になっているので、最下位の点数以外は企業区分Ⅱ以上になっているということなので、最下位に同位タイで張りついているものが多いのかどうかはわからないのですが、こういったデータもぜひ示していただきたいと思います。
当然のことかと思いますけれども、抜本改革後の新薬創出等加算の適用品目がどう推移しているのか、それに対する財政影響、新薬創出等加算をつけるための財源と、新薬創出等加算が外れた後に引きはがした財源の比較なども、我々は財政中立でやるべきと主張しているのですが、こういった財源がどのように動いているかというところもデータとして出せると思います。ぜひ提示していただき、議論していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
いかがでしょうか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
御指摘ありがとうございます。
原価計算方式のあり方について、もちろん検討項目として追加させていただきたいと思います。
また、今の開示度の話、係数の話も含めてですし、また、新薬創出等加算の企業区分がどのように分布されているかといったことについても、もちろんデータをお出しした上でいろいろ議論していただければと思います。
最後の、新薬創出等加算の加算部分の財政影響につきましては、財政影響は実際の販売数量とかも絡んでくるところもございますので、なかなか実績値という形で出すのは難しいのかなとは思いますけれども、御趣旨はわかりましたので、そこのところについては、また、いろいろ御説明させていただければと思っております。
○中村部会長
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
今まで財政影響を示していただいていたかと思うのですけれども、同様のもので構わないのですが。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
私が誤解したのかもしれませんけれども、今回新しく新薬として収載されたものについてということで限定して受けとめたところでしたが、もちろん過去からの新薬創出等加算全体の財政影響がどういう形になるのかというデータはお示しさせていただくことにはなろうかと思っております。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
では、上出専門委員、お願いします。
○上出専門委員
ありがとうございます。
今後、先般の薬価制度の抜本改革、特に新薬創出等加算の見直しにつきまして、その後の影響等も踏まえて御議論いただくということでございますけれども、この薬価制度が企業の医薬品の研究開発ですとか安定供給の継続といったことにも大きな影響を及ぼすことは言うまでもないところでございます。そういったことも踏まえて、ぜひ、御検討いただければと考えております。
また、先ほど幸野委員から新薬の薬価算定につきまして、特に原価計算方式の透明性という観点で御意見がございました。原価計算方式には課題があるということは、我々も承知しているところでございます。ぜひ、新薬の価値をより適正に評価するためにはどのような方法があるかという広い視点で、こういった新薬の薬価算定方式のあり方につきましても御検討いただければと考えております。
以上でございます。
○中村部会長
ほかはよろしいでしょうか。
ありがとうございました。
ほかに御質問等がないようでしたら、本日、追加の論点であるとかさらなるデータの公表といった御指摘をいただきましたので、こういった御指摘を踏まえ、事務局より進め方のほうで、これから議論を行っていくということでよろしいでしょうか。
では、こちらの進め方に沿って、引き続き次期改定に向けた議論を進めていきたいと思います。
本日、予定されていた議題は以上になります。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。
どうもありがとうございました。
○医療課企画官
ありがとうございます。
それでは、準備が整いましたら、中医協総会を開始させていただきます。よろしくお願いいたします。
 
 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第152回議事録(2019年5月29日)

ページの先頭へ戻る