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2018年12月5日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第148回議事録

○日時

平成30年12月5日(水)8:59~9:41

 

○場所

グランドアーク半蔵門 富士の間(4階)

○出席者

中村洋部会長 野口晴子部会長代理 田辺国昭委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 宮近清文委員
松本吉郎委員 今村聡委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
村井泰介専門委員 平野秀之専門委員 上出厚志専門委員
<事務局>
樽見保険局長 渡辺審議官 山本審議官 森光医療課長 古元医療課企画官
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○関係業界からの意見聴取について

○議事

 

○中村部会長
 そろそろおそろいのようですので、ただいまより第148回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
 まず、本日の委員の出欠状況について御報告します。
 本日は、関委員が御欠席です。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○中村部会長
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日は、これまでの議論を踏まえて、消費税率引上げに伴う薬価改定について、関係業界からの意見聴取を行いたいと思います。
 関係団体として、日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会、及び日本医薬品卸売業連合会より、意見を聴取したいと考えております。
 早速、意見陳述に移りたいと思います。まず、関係団体の皆様よりプレゼンテーションをしていただき、その後に質疑とフリーディスカッションを行いたいと思います。
 最初に、日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、及び欧州製薬団体連合会より自己紹介を行った上で、プレゼンテーションをお願いいたします。
○日本製薬団体連合会(手代木)
 まず、日本製薬団体連合会、日薬連の会長を務めております手代木でございます。本日はよろしくお願い申し上げます。このような意見陳述の機会を頂戴いたしまして、本当にありがとうございます。
 本件に関しましては、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会と意見が一致いたしているところでございますので、私がまず代表して、消費税率引上げに伴う薬価改定、並びに関連事項につきまして、製薬業界からの意見を述べさせていただきました上で、各団体より補足という形にさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 次のページでございますが、消費税率引上げに伴う薬価改定につきましては、10月17日の中医協の総会におきまして意見陳述の機会をいただきまして、その後、薬価専門部会で議論が行われまして、11月14日の当部会におきまして論点整理がなされたということでございます。
 改めて、消費税率引上げに伴う薬価改定に対する私どもの認識、あるいは考え方について述べさせていただきます。
 まず、改定の趣旨と時期でございますが、消費税率引上げに伴う薬価改定は医療機関等の実質的な負担が増すことがないよう、消費税率引上げ分を適切に薬価へ転嫁することを目的として臨時に実施するというものでございまして、改定時期は2019年10月に実施されるべきと考えております。
 また、改定の際のルールの適用につきましては、通常改定で薬価が維持される品目の薬価が引き下がるのは、これは臨時の改定であるという点からも妥当ではないと考えております。その点から、新薬創出等加算の加算、基礎的医薬品並びに最低薬価等については実施すべきではない、普通に行うべきだと思っております。また、2年に1回の通常改定とは位置づけが異なりますので、長期収載品に係る追加的な引下げや再算定、新薬創出等加算の累積額の控除等も実施すべきではないと思っております。
 以上が業界の要望でございますが、11月14日の当部会に提案された論点整理案の内容につきましては、私どもの要望に沿った形で検討が行われていると認識をいたしております。
 ここで、消費税率の引上げと2020年度の薬価改定についてということで少し述べさせていただきますが、これは11月14日の論点整理の資料中に、2020年度の通常の改定に影響が出ないように留意しつつ、今回の改定の趣旨に沿った改定の内容にすべきではないかという文言がございます。中医協の議論の中でも、2020年度と今回の消費税率の話は一定のリンケージがあるという御認識だということでございますので、私どもとしてこの2020年度について、少し概略ではございますが、考え方を述べさせていただきたいと思っているところでございます。
 前回の意見陳述の際にも述べさせていただいておりますが、2018年度に薬価制度の抜本改革は薬価を引き下げる方向に非常に偏っていると、私どもは認識をいたしておりまして、非常に厳しい見直しが行われたと考えております。
 こうした中、通常であれば2020年度改定までは薬価が変わらないところ、この2019年10月に消費税率引上げの対応といえ、前倒しで実勢価に基づく引下げが行われることになり、私ども製薬企業の経営に対するインパクトは非常に大きいと思っております。
 以上の点を踏誠まえまして、引き続き、薬価制度の抜本改革による影響につきまして、十分な検証が行われますとともに、消費税率引上げに伴う臨時の薬価改定の影響も踏まえつつ、薬価制度の改善に向けた丁寧な検討をお願い申し上げたいと考えているところでございます。
 この薬価制度に関する課題につきましては、日本製薬工業協会、製薬協の中山会長より御説明をさせていただきたいと思います。
○日本製薬工業協会(中山)
 日本製薬工業協会の会長を務めております中山でございます。本日は、意見陳述のお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。
 2020年度の薬価制度改革に向けた課題につきましては、お手元の資料の4ページ、5ページにお示ししたとおりでございまして、新薬創出等加算の見直しとイノベーションの適切な評価の2点が重要であると認識をしております。
 新薬創出等加算につきましては、イノベーションが推進され、医療の質の向上に資するものとなるよう、品目要件を拡充するとともに、企業要件を見直すべきであると考えております。
 また、イノベーションの適切な評価につきましては、すぐれた医薬品が持つ多面的な価値を適切に評価して、その価値を薬価に反映する仕組みが必要であると考えております。
 次期薬価制度改革に向け、ぜひ御検討を賜ればと思っております。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○日本製薬団体連合会(手代木)
 ありがとうございました。
 私どものほうからは、以上でございます。PhRMA様、EFPIA様、何か追加がございましたらよろしくお願いします。
○米国研究製薬工業協会(パトリック・ジョンソン)
 PhRMA委員長のパトリック・ジョンソンでございます。一言追加でコメントさせていただきます。
 本件に関するPhRMAの意見は、日薬連、EFPIAと全く同じです。すなわち、消費税率引上げに伴う薬価改定は、実施しなければならないのであれば、2019年10月に実施すべきであります。これは改定のルールの適用などについて、また申し上げたいと思います。
 PhRMAといたしましては、改定ルールの適用については、新薬創出等加算の加算、基礎的薬品及び最低薬価については実施する一方、長期収載品の追加的引下げや再算定、新薬創出等加算の累積額の控除などは実施すべきではないと考えています。
 最後に申し上げたいのは、PhRMAの会員企業は深く憂慮しております。なぜならば、2018年度の薬価制度抜本改革はイノベーションを十分に支援しておらず、さらなるマイナスの影響が出ないように見直されるべきであると考えているからです。
 日本の患者様にとって最良の結果をもたらし、日本における研究開発を推進するため、2019年の薬価改定の最終案と薬価制度の改革の計画に関するその他の側面について、全てのステークホルダーが参加した上で、引き続き慎重に検討をいただきますようお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
○欧州製薬団体連合会(オーレ・ムルスコウ・ベック)
 私はEFPIA Japanを代表しておりますオーレ・ムルスコウ・ベックでございます。本日はこのような機会をありがとうございました。
 私のほうからも、2019年10月に予定されております消費増税に関連しました薬価改定につきましては、私どもEFPIAとして、製薬協、日薬連、PhRMA、それぞれの団体と完全に意見が合致しているということを申し上げたいと思います。
 2019年の改定につきましては、あくまでも消費増税に伴う改定ということで、これは通常と異なる改定という認識が必要であります。したがいまして、消費増税が行われます2019年10月において薬価改定がなされるべきでありまして、それ以外の時期に行う理由は一切見当たりません。
 また、2018年度4月に行われました新薬創出等加算の要件というものが大幅に狭められた、こうした薬価算定施策の変更によりまして、既に医薬品のバリューチェーンに大きなインパクトが起こっております。
 ということで、EFPIA Japanとしましては、特に日本の政府に申し上げたい点といたしましては、2019年度にもし全面的な改定などをなされようものならば、それがこの医薬品産業の日本に向けての投資ということに大きなインパクトをもたらすということを慎重に御検討いただきたいと思います。
 もちろん、私どもが既に申し上げておりますように、現在、日本の国家が直面している非常に厳しいジレンマというものがそこにある、すなわち早期の革新的な新薬に対するアクセスを日本の患者さんに維持しながら、その一方において医療制度の長期的な財政的持続可能性というものをいかに担保していくかということが難しいということは十分に認識いたしております。
 しかしながら、私どもの考えとしましては、このように日本における高齢化社会の大きな負担となってくるさまざまな慢性疾患のためのより新しい、よりよい治療薬というものを開発することによって、患者さんにとっての健康上のベネフィットだけではなくて、やはり長期的に見て、全体的な医療費の面でそれをコントロールしていく上でも大きな貢献になると考えております。
 日本の患者さんにとって、非常に早期に革新的な新しい治療法というものが届けられるように、やはり革新的な、このイノベーションというものに対しての強力な支援というものが必要であります。
 2020年の改定につきましては、まずはイノベーションというものの適切なる定義が必要であり、そしてそれが薬価算定施策に対して適切に評価されていかなければなりません。それによって初めて医薬品産業というのは、今後日本における研究開発への投資を継続することができ、そのことがとりもなおさず、早期の日本の患者さんにとっての革新的な新薬へのお届けということにつながっていくものであります。
 しかしながら、新薬創出加算の新たに設けられた要件におきましては、新薬の革新性というものが十分に認識されていないものと考えております。したがって、こうした要件というものを再検討し、そして患者さんにとっての追加的なベネフィットの評価、例えばさらなる有効性、安全性の向上、それだけではなくて、さらに医薬品の投与の便宜性といったことを含めてのベネフィットの評価というものを考えていただきたいと思います。
 今後も、こうした建設的な対話に私どもも参加させていただいて、さまざまな問題の解決においてEFPIAといたしましても貢献したいと考えております。そして、さらに今後、新薬のアクセスを早期にもたらすということ、そしてまたイノベーションをサポートしていき、そしてまた医療費の増大をいかにコントロールするかという、こうしたジレンマに関して対話をし、そして提案をさせていただき、我々の見解を述べさせていただく、そうした機会を今後いただけることを願っております。
 御清聴、ありがとうございました。
○日本製薬団体連合会(手代木)
 部会長、長くなりまして申しわけございません。当方からは以上でございます。
○中村部会長
 ありがとうございました。
 それでは、次に日本医薬品卸売業連合会よりお願いいたします。
○日本医薬品卸売業連合会(鈴木)
 日本医薬品卸売業連合会の鈴木でございます。
 本日は、卸連合会を代表して意見を述べる機会を賜り、中医協及び厚生労働省の皆様に感謝いたします。
 それでは、資料に沿って説明させていただきます。1ページをごらんください。本日は、消費税率引上げに伴う薬価改定の医薬品流通への混乱回避について、意見、要望を申し述べさせていただきます。
 最初に、消費税率引上げに伴う薬価改定の医薬品流通への影響について申し述べます。2019年9月は、年度前半の価格交渉が妥結に向けてピークを迎え、未妥結減算ルールへの対応として、医療機関や保険薬局が提出する妥結率等の報告書作成のための提供データの作成や、薬価調査への対応、薬価改定に伴うシステム改修などが集中いたします。
 こうした状況のもとで、仮に2019年10月に消費税率引上げに伴う薬価改定を行うこととした場合、近年、例のない年度中の改定であり、価格交渉の難航や、薬価改定前の返品や、買い控えが見込まれ、このことに伴う欠品を避けるために急配が増加すると考えております。また、一部の品目について駆け込み需要が発生することや、妥結が困難な品目を未妥結のまま年度後半の価格交渉に回す、部分妥結の増加などが見込まれます。
 消費税率引上げに伴う薬価改定につきましては、医薬品流通に支障を生ずることのないよう、国としても御支援をいただきますようお願い申し上げます。
 2ページをごらんください。次に、流通改善ガイドライン推進への影響について申し述べさせていただきます。全ての流通当事者は、現在、国が主導する「流通改善ガイドライン」により、一次売差マイナスや医薬品の価値を無視した過大な値引き交渉の是正、早期妥結の促進、単品単価契約の推進などの流通改善に積極的に取り組んでいるところでございます。
 このような状況の中で、仮に2019年10月に薬価改定を行うこととした場合には、こうした流通改善の取り組みに多大な影響を及ぼすことが見込まれます。消費税引上げに伴う薬価改定を行う場合においても、国が主導し、流通改善ガイドラインに逆行することのないよう対応していただくようにお願いいたします。
 以上、消費税引上げに伴う薬価改定について、医薬品流通への混乱回避を中心に、当連合会の意見、要望を申し上げました。何とぞよろしくお願いいたします。
○中村部会長
 ありがとうございました。
 一通りの説明をいただきましたので、これより質疑及びフリーディスカッションに移りたいと思います。
 なお、質問のほうは日本語でお願いいたします。いかがでしょうか。
 では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
 プレゼンテーション、どうもありがとうございました。支払い側として幾つかコメントや聞いてみたいことがありますので、述べさせていただきます。
 まず、我々の基本的な考え方は、消費税を上乗せするときは、やはりその薬、材料が持っている真の価値に上乗せするというのが基本的な考え方ですので、上乗せしたものに消費税をつけるということはあってはならないので、いろいろ意見を述べさせていただいているのです。とはいえ、本来実施すべきではない時期に改定を行うわけですから、それは限定的なものにするべきというご意見は理解できます。
 製薬団体連合会等3団体の資料の2ページのところですが、一つ気になりますのは、新薬創出等加算の加算は継続する一方、これが外れたものに対して累積的な控除は行わないということについてはちょっとどうかなという感じを持っております。
 やはり新薬創出等加算の対象から外れているものがわかったのであれば、その真の価値に対して消費税を上乗せすべきということで、累積額の控除も行って、その財源を使って新薬創出等加算の加算をつけるというのが筋ではないかという意見を述べさせていただきました。結果的にこれは実施しないということになりましたが、これはどちらかというと製薬業界に優しい考え方であったと私は理解しております。
 それから、3ページ目の1つ目の矢印に、2018年度の改定が薬価を引き下げる方向に偏っているというご意見をされているのですが、わたしはそうは思っていなくて、例えば原価計算方式で薬価を算定する場合に、類似薬効比較方式と同様に価格全体に加算をつけるというところについては、これはどちらかというと薬価を引き上げる方向の改定で、製薬団体にとってはいい改定であったと思います。それにもかかわらず、原価計算方式について、30年4月以降収載されたものについては、私の記憶の限りでは2品目だけ50%以上開示されているのですけれども、それ以外については全て開示度が50%未満ということで、加算係数が0.2なっていて、せっかく引き上げる方向に改定がなされたにもかかわらず、開示度が低いというところは、どういった状況によるものなのかという点については後でコメントをいただきたいと思います。
 それから、一番こだわられているのは、新薬創出等加算のところだと思います。これについては、我々としては新薬創出等加算というのは10年以上にわたって薬価が収載時の価格を維持するというものですから、そういうものについては厳格な判断が必要であると思っておりますので、もっと厳しい算定要件をつけてもいいのではないかと思っています。
 あと、新薬創出等加算は、いつも業界が主張されていますように、特許期間中に投資を回収して、特許が切れたものについては速やかに撤退する、あるいは後発品に道を譲るというコンセプトがあるのですが、我々からすると、特許が切れても、長期収載品になっても、まだこれが多く残っているということで、前回見直された中では、G1、G2というふうに強制的に引き下げられるという措置もとられたのですが、G1、G2が適用されるまでに特許が切れて10年もかかっているというところは、我々としてもスピード感に欠けるのではないかと思っています。新薬創出等加算の制度を見直すのであれば、そういった特許が切れたものを速やかに撤退するという方向と同時に、セットで議論していくべきではないかと思っております。
 もう一つ我々が主張しましたのは、類似薬効比較方式(I)で比較するときに、新薬創出等加算分という違った性格の金額までも比較するというのはちょっと違うのではないかということも申し上げたのですが、新薬創出等加算の次回見直しを要望されるのであれば、こういったことも含めて全て見直していくべきだと思います。
 それから、最後の5ページ目のところですが、多面的な価値があり、これらの価値が薬価に反映される制度設計が必要と書かれているのですが、今、イノベーションのある医薬品に対しては、画期性加算や市場性加算、有用性加算等々がついているのですが、多面的な価値を評価するということは具体的にどういう方法を考えられているのかをお聞きしたいと思います。
 以上、私の意見に対してコメント等があればお願いしたいと思います。
○中村部会長
 では、手代木会長、お願いします。
○日本製薬団体連合会(手代木)
 ありがとうございます。
 本日、消費税改定に伴うということで、私どもの意見につきまして幸野先生からお話をいただきました。詳細に後々議論すべきことがたくさんあるということは承りましたので、幾つか私どもの背景の中でお答えできることをお話しさせていただきます。
 最初のポイント、いわゆる新薬創出等加算等を今回の10月の改定が行われる場合には除いていただきたいということにつきましては、従来より申し上げておりますとおり、2年に一遍の通常改定ではそれは一切例外なく行われるということには私どもは合意をいたしておりますが、これを10月、つまり消費税の上げに伴う、どちらかというと通常と位置づけが異なるときに行っていくのはいかがなものかということで申し上げたという背景でございます。
 それから、幸野先生がおっしゃったところで、薬剤費に偏ったということの意味でございますが、これは私どもの28年から30年度の社会保障関係費の中の政府の概算要求との差に占める薬剤費からの拠出分ということでお話を申し上げました。あらかたで申しますと、3年間、平成28年、29年、30年度で削減額4400億円のうち、薬剤費によって3711億円、およそ84.3%がここから出ているということで、社会保障費の予算上の削減の中で薬剤費の占める割合が非常に大きい、85%ということから、やはりトータルの医療費という中では薬剤費に相当偏っているのではないかと私どもは考えているということでございます。
 それから、幸野先生の原価算定方式における開示率の問題につきましては、これはストレートに申しますと、業界団体としてもなかなか難しいところでございます。原価をどの程度開示をされるかという点につきましては、どうしても個社の御事情というのが出てまいりますので、先生のおっしゃられる、そういった意味でより透明性を高めていくべきではないかというお話については団体としては承るわけでございますが、これをどの程度各個社の申請の段階で考慮していくのかというのは、どうしても個社様の事情に頼らざるを得ないというのが正直なところでございます。
 最後のポイントについて、中山会長からあれば。
○日本製薬工業協会(中山)
 私のほうから、多面的価値ということで申し上げたいと思います。
 考え方次第ですけれども、医薬品の医療的価値については、ほとんど価値が評価されていると思っておりますが、それ以外に、例えばコンパニオン診断薬、こういうものが出てきますと、特定の医薬品の有効な患者さんの確率が低いという医薬品の場合でも、例えば10%、20%しか今は効かないということで使われているものが、この患者さんには例えば90%で効くというのを分析できれば、この医薬品の確率はものすごく上がって、社会全体のコストも下がりますし、患者さんの経済的あるいは肉体的な負担も全然変わってくる。さらに副作用が少なくなるような可能性かある。こういったものを直接的にはっきりと価値として定義して評価していくことが、国全体にとっても有効ではないかという見方が一つございますので、そういったことを御提案したいと思っておりました。
 あと、保健基盤的価値という表現に今はして思いまして、わかりにくいところもあるのですけれども、オーファンドラッグ、希少疾病の薬とか小児のための医薬品については、現在でも加算は設けられていますが、余りそういう意味で永続的な基盤というか、形になっていないので、これを具体的な価値評価の尺度として入れていただいて、オーファンですとか、先生方が必要と考えられて開発をするように求められた開発公募品など、そういった新薬創出加算の対象になるようなものは、全部国として、あるいは行政としての方向性、政策的な重要性を持っているという意味で、評価対象に入れるというふうにしていただければ、そういったものに対して企業もより積極的に応じやすくなるという軸を持つことで、一概に包括的に医療的価値ということよりも、より明確に概念として特定できるようなものを持つことによって、我々も何が期待されているのかをもっと明確に持てますし、それが継続的な考え方として長期間の投資を要する医薬品の開発にとっては、透明性と安全性を高めるという趣旨で御提案申し上げております。
 もう少し具体的な点については、また追加的に機会を設けて御説明したいと思います。
○中村部会長
 ほかはよろしいでしょうか。
 では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
 卸連合会の資料について、全体的に中医協に何を求めているというのがわかりにくいのですけれども、一つ実態としてお聞きしたいのは、2コマ目にあります流通改善ガイドライン推進への影響ということで、医薬品の価値を無視した過大な値引き交渉と書かれているのですが、この実態を我々は知らないのでお教えいただきたいと思います。どういうところが過大な値引きの交渉を行っているのか、差し支えない範囲でお教えいただけないでしょうか。
○中村部会長
 中原さん、お願いします。
○日本医薬品卸売業連合会(中原)
 卸連の中原でございます。御質問、ありがとうございます。
 大変難しい問題でございますけれども、今、例えば平均乖離率というものを基準とした場合に、そこから大幅にずれた要求をされる医療機関、薬局様があるならば、そういうところが過大なものを要求しているという形で理解していただけると幸いでございます。
○中村部会長
 幸野委員、お願いします。
○幸野委員
 ですから、それが病院や診療所なのか、あるいは薬局なのか、それをお聞きしたいのです。
○日本医薬品卸売業連合会(中原)
 部分的ですけれども、病院様でもありますし、それから薬局さんでもないとも言えないという形でございます。
 開業医の先生方のところはさほど問題はないのかなというような、私の個人的な認識でございます。
○中村部会長
 よろしいでしょうか。
 幸野委員、お願いします。
○幸野委員
 それを踏まえて、このようなことはあってはならないと思いますが、経済課としてはこのようなことがあった場合、どういうふうにお考えなのでしょうか。
○中村部会長
 経済課長、お願いします。
○三浦医政局経済課長
 どうもありがとうございます。
 ガイドラインをことしの1月23日に、保険局長、医政局長の両局長の連名通知という形でお出しをしております。
 ここに書いてありますような過大な値引き要求も含めまして、一次売差マイナスとか、あるいは早期妥結の推進といったものをガイドラインの中に盛り込んでおりまして、そこにつきましては、昨年の薬価制度改革の中でも、国が主導して流通改善に取り組むと決められていたかと思います。
 これを受けまして、現場のほうでどうしても交渉が非常に難航してしまうようなケースがあれば、私どものほうに御相談をいただきたいと、相談窓口を設けて対応させていただいているというところがございます。
 また、過大な値引き要求に関しましては、例えば配送の条件は恐らく都会と田舎ではコストが全く違ってくるということは想像に難くないわけでありますけれども、例えば全国一律に機械的な値引きを求めたりといったような、幾つかのパターンをQ&Aという形でお示しをしながら是正に努めているところでございます。
○幸野委員
 ということは、こういうものに対して相談があった場合は、その医療機関等に行政的な対応がされるということですか。
○三浦医政局経済課長
 その予定でおります。
○中村部会長
 ほかはよろしいでしょうか。
 お願いします。
○欧州製薬団体連合会(オーレ・ムルスコウ・ベック)
 済みません、一言。2019年度の改定につきまして、中医協でぜひ御検討いただきたい点をあと数点追加させていただければと思います。
 2019年度の改定でありますけれども、そもそも2018年度の抜本改革の際に、非常に数多くの製品におきまして新薬創出等加算からの除外ということになって、それによりまして今後の改定にさらされるという状況になっているわけであります。
 これはマスコミでも報告されているところですので周知のことだと思いますけれども、製薬産業におきまして非常に数多くの雇用の減少が起こっているということでありまして、これは営業とかそうしたところだけではなくて、研究開発の部門までそうした減少が起きているということがあります。すなわち、製薬産業における開発力が落ちている、開発件数というものが減ってきているわけです。
 そういうことで、この2019年度におきましてもしフルの満額での薬価改定が行われることになりますと、これは19年度にとどまらず、その後における積み残しのさらなる影響というものが出てくるということになるかと思います。すなわち、ベースが低くなってしまうというところから発する問題があるわけで、それによりまして業界といたしましても、今後さらに日本の市場への新薬をもたらす、そうした開発を行うことが難しくなってしまうという状況が起きてしまうということを非常に懸念しております。
 以上でございます。
○中村部会長
 よろしいでしょうか。
 では、関係業界からの意見陳述についてはこれまでとさせていただきます。
 本日、予定された議題は以上になります。本日の業界意見陳述の内容を踏まえて、次回、事務局より消費税率引上げに伴う薬価改定の骨子案を作成していただきたいと思います。
 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますのでよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の薬価専門部会をこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
 

 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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