ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第146回議事録(2018年10月31日)

 
 

2018年10月31日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第146回議事録

○日時

平成30年10月31日(水)8:29~9:15

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

中村洋部会長 野口晴子部会長代理 田辺国昭委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 宮近清文委員
松本吉郎委員 今村聡委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
村井泰介専門委員 平野秀之専門委員 上出厚志専門委員
<事務局>
樽見保険局長 渡辺審議官 山本審議官 森光医療課長 古元医療課企画官
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 消費税引上げに伴う薬価改定に向けた主な課題について
○ 薬価改定の経緯と薬剤費及び推定乖離率の年次推移について

○議事

 

○中村部会長
時間が若干早いですけれども、皆さん、そろわれましたので、ただいまより第146回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告します。本日は、全員が御出席になります。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○中村部会長
それでは、議事に入らせていただきます。
今回は、「消費税引上げに伴う薬価改定に向けた主な課題について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、薬-1について説明をお願いします。
○田宮薬剤管理官
薬剤管理官でございます。お手元のタッチパネルで、中医協 薬-1の資料をお開きください。
1ページ目でございます。消費税引上げに伴う薬価改定につきましては、9月26日の中医協総会で改定の趣旨、時期等について、総会、各部会等で議論することについて了承いただいたところでございます。そこで、本日の薬価部会におきましては、2019年10月の消費税引上げに伴う薬価改定を行う際の具体的な方法について御検討いただきたく、資料を用意したものでございます。
2ページ目は、9月26日の総会に提示させていただいた資料でございますけれども、この際に、改定の趣旨、改定の時期、その他といった論点を示させていただいたところでございます。
3ページ、論点1として「改定の趣旨」でございます。10月17日の中医協総会におきましては、関係業界から、来年度に実施する薬価改定は消費税率引上げ分を適切に薬価へ転嫁することを目的として実施するものである、あるいは、臨時異例の改定であり、通常改定とは位置づけが異なるものである、といった意見が述べられたところでございます。
事務局といたしましても、来年度に実施する薬価改定につきましては、消費税率の引上げに伴い必要となるものであり、適正な消費税の転嫁を行う観点から、実勢価を踏まえ薬価改定を行うものであること、また、実勢価に対して消費税率分を上乗せする必要があること、また、通常の薬価改定とは異なる臨時的な改定であることを基本として実施すべきと考えているところでございまして、この点について御意見をいただきたいということでございます。
4ページ目、論点2の「改定の時期」でございます。先般の中医協総会におきましては、消費税率引上げに伴う薬価改定は、その目的に照らし、来年10月に実施されるべきものであるとの意見が関係業界から述べられているところでございます。
そこで、論点としては、仮に実勢価改定を来年10月とした場合、改定後の実勢価の調査等に一定の期間を要することから、改定後の実勢価を2020年度の改定に反映できないという課題がございますので、その点についてどう考えるかということでございます。
5枚目のスライド、論点3として「改定の算定式」でございます。直近の消費税引上げがありました平成26年度でございますけれども、このときには通常の改定年度でありまして、薬価調査を実施した上で実勢価改定を行い、消費税引上げ分を上乗せしたということでございます。具体的には、下の枠囲みにございます算定式によりまして改定を行っているという状況でございます。
6ページをごらんください。そこで、論点としては、実勢価改定と消費税の引上げ相当分の転嫁を同時に行う場合、平成26年の取り扱いに準じて対応することついてどう考えるかということが1つ目の論点です。一方で、実勢価改定と消費税の引上げ相当分の転嫁を同時に行わない場合については、上記の取り扱いをベースに必要な修正を加えることについて、どのように考えるかというのが2つ目の論点になると考えております。
7枚目のスライド、論点4として「改定の際のルールの適用」でございます。先日の中医協総会におきましては、関係業界から、消費税引上げに伴う薬価改定は通常改定とは位置づけが異なるものであり、新薬創出等加算、基礎的医薬品等の薬価を維持する措置は実施し、一方で、長期収載品に係る追加的な引下げ、再算定等は実施すべきではないとの意見が述べられたところでございます。
次の8枚目をごらんください。既収載品に係る薬価改定算定ルールといたしましては、下に枠囲みで(1)~(8)に記載しておりますように、さまざまなルールがございます。各ルールにつきましては以下のページで概要を御説明いたしますけれども、これらのルールにつきましては、幾つかの類型に分けることができるのではないかと考えております。
すなわち、1つ目は、実勢価改定と連動して当然行う必要が出てくるというもの、つまり、実勢価改定の影響を補正するものでございまして、具体的には基礎的医薬品、最低薬価、あるいは新薬創出等加算の加算というところが該当するかと思っております。
2つ目の類型としては、実勢価改定の結果を受けて適用されるもの。具体的には、(4)にありますように、後発品の価格帯につきましては、実勢価を踏まえて3価格帯に集約するとか、そういったことをやっておりますので、そのようなルールがございます。
3つ目としましては、2年ごとに適用されるもの、あるいは適用されてきたものということで、G1/G2あるいはZ2などのルールがございます。
4つ目としましては、改定の時期によらず定期的に実施されるもの。具体的には、四半期再算定などがあると考えているところでございます。
9枚目以降につきまして、各ルールについて示しておりますけれども、簡単に概要を先に説明させていただければと思います。9枚目につきましては、「市場実勢価格に基づく薬価改定」ということで、通常の実勢価改定のルール、算式を書いているものでございます。
10枚目は「低薬価品等の特例」ということで、3つのルールがございます。1つが基礎的医薬品、2つ目が不採算品再算定、3つ目が最低薬価ということで、どういったルールを適用しているかという記載が10ページ目でございます。
これらにつきましては、次の11枚目のスライドで、各項目の考え方ということで少しお示ししております。1番目の基礎的医薬品につきましては、制度の位置づけとしては、現行の不採算品再算定、あるいは最低薬価になる前の薬価を下支えするものということで、保険医療上の必要性が高いもの等の品目の要件などを満たしたものに対して適用しているというものでございます。
2つ目の不採算品再算定は、保険医療上の必要性が高く、かつ不採算のものについて、個別に原価計算により再算定を行っているもの。
それから、最低薬価につきましては、剤形ごとにかかる最低限の供給コストを確保するために、成分に関係なく剤形ごとに設定しているものでございます。
次の12枚目のスライド、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」でございます。制度の位置づけとしては、革新的新薬の創出を効率的・効果的に促進するため、後発品のない新薬の市場実勢価格に基づく薬価の引下げを猶予するというものでございまして、品目要件として革新性・有用性に着目して定めた上で、下にありますとおり、企業指標というものを定め、区分に応じて加算率を設定しているというルールでございます。
13枚目に、「企業指標と企業区分」ということで書かせていただいております。こちらの企業指標につきましては、例えば国内試験の実施数などのポイントを計算して、平成30年度の薬価改定におきましては、対象企業のポイントにつきまして相対評価を行いまして、その上で区分1~3に分けて、それぞれ加算係数を適用しているというものでございます。また、医療系ベンチャーについては別途取り扱っているという状況でございます。
14枚目、「後発医薬品等の価格帯」ということで、組成、剤形区分、規格が同一である全ての類似品について、ここに記載しております(1)~(3)の区分ごとに、加重平均により価格帯を集約するというルールでございます。あわせて、G1、G2品目にかかる後発品については1価格帯に集約するといったルールなどもございます。
15枚目、「後発品への置換えが進まない先発品の薬価引下げ」、いわゆる「特例引下げ(Z2)」と呼ばれるルールでございます。最初の後発品が薬価収載されて5年を経過し、10年を経過しない薬価改定ごとに、後発品への置換え率が80%未満となる先発品について、市場実勢価格による改定後の薬価から、置換え率に応じて特例的な引下げを行うというルールでございます。
16枚目は、「長期収載品の薬価の見直し(G1・G2・C)」というルールでございますけれども、これは平成30年度の薬価制度改革で導入されたものでございまして、後発品上市後10年を経過した長期収載品の薬価につきまして、後発品の薬価を基準に段階的に引き下げるというものでございます。図に記載しておりますとおり、2年ごとの改定を念頭に、G1については6年間、G2については10年間かけて対応していくという形でルールが導入されたものでございます。
17枚目は、「薬価改定時の加算」でございます。小児・希少疾病・先駆け審査指定制度に係る効能及び効果等が追加された医薬品、あるいは市販後に真の臨床的有用性が検証された医薬品について、市場実勢価による改定後の薬価に加算をするという制度がございます。
18枚目をごらんください。ここに記載しております○1~○4の全ての要件に該当する医薬品につきまして、薬価改定の際においても、1回に限り外国平均価格調整を行うといったルールもございます。
19ページ目は、「市場拡大再算定」ということで、年間販売額が予想販売額の一定倍数を超えた場合等に適用するもの、あるいは年間販売額が極めて大きい品目の取扱いに係る市場拡大再算定の特例がございます。それから、下に書いてございますとおり、薬価改定時以外の再算定ということで、新薬収載の機会を活用して行う、いわゆる四半期再算定というものもルールとして導入されております。
20枚目をごらんください。「効能変化再算定」につきましては、主たる効能・効果の変更がなされた医薬品につきまして、変更後の効能・効果の類似薬の価格に近づくよう、薬価を再算定するというルールがございます。
また、21枚目をごらんいただければと思いますけれども、「用法用量変化再算定」ということで、主たる効能・効果に係る用法・用量に変更があった医薬品に対して、変更前後で1日薬価が同額となるように再算定を行うというルールもございます。
以上が、現在、既収載品の薬価改定等に適用されているルールでございますけれども、22ページ目に論点を記載させていただいております。
まず1つ目として、来年度実施する薬価改定につきましては、10月からの消費税率引上げに伴い必要となるものでありまして、そのような改定の趣旨や企業の予見性を考えたときに、各種算定ルールの適用及びその方法についてどのように考えるかということでございます。
2つ目としましては、新薬創出等加算につきましては、後発品が薬価収載されるまでの間、薬価の引下げを猶予する規定ということでございますけれども、仮にこの加算ルールを適用する場合の取扱いになります。平成30年4月の薬価改定以降に後発品医薬品が収載された品目等については、加算の品目要件を満たさなくなってしまうというところがございますので、その取扱いをどう考えるかということでございます。
3つ目でございますけれども、こちらも新薬創出等加算の関係でございますが、30年4月の薬価改定前に新薬創出等加算の対象品目の承認を有していなかった企業につきまして、今年4月の改定以降、新薬創出等加算の対象品目が新薬として薬価収載されたような場合、そういった企業につきましては現時点で企業指標というものが定まっていないということになりますので、その点についてどう考えるべきかということでございます。
23枚目に論点5と記載させていただいております「その他」でございますけれども、まず1つ目、消費税の引上げがあった平成26年度の改定におきましては、最低薬価の額を引き上げております。したがいまして、今回も同様に最低薬価の額の引上げを行うべきではないかと考えております。この点について御意見をいただきたいと思います。
また、2つ目でございますけれども、下に再算定のルールが記載してございます。こういった再算定の対象品の選定につきまして、ここに記載したとおり、第4節1(1)のロのところをごらんいただければと思いますけれども、薬価収載の日から10年を経過した後の最初の薬価改定を受けていない既収載品を対象とする、そういった規定がございます。こういった薬価改定を区切りとして品目を選定する規定があるわけでございますけれども、来年度に実施する消費税率引上げに伴う薬価改定を臨時的な改定と位置づけるのであれば、これらルールで言う薬価改定には含めないという考え方もあり得ると思いますので、この点についてどのように考えるかということでございます。
24枚目は今後の進め方ということで、また次回以降、論点を整理した上で、12月に関係業界からの意見聴取を行って、具体的な骨子案をまとめていきたいと考えているところでございます。
25枚目に、骨太の関連の記載を掲載してございます。
説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
○中村部会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明を踏まえ、論点ごとに協議を行いたいと思います。まずは、3ページ目の「改定の趣旨」について御質問、御意見等がありましたら、よろしくお願いいたします。
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
論点1でございますけれども、今回の薬価改定はあくまで消費税率の引上げに伴い必要なものであると認識しております。その際に、適正な消費税の転嫁を行う観点から、そのときの市場実勢価に対しての消費税率分を上乗せすることには賛成いたします。
また、次回、2020年4月に診療報酬改定が控えていることを踏まえれば、今回は通常の薬価改定とは異なる臨時的な改定であることを基本とすることについても賛成いたしたいと思います。
以上です。
○中村部会長
ほかにいかがでしょうか。
ありがとうございました。
では、次に4ページ目の「改定の時期」及び5ページ目から6ページ目にあります「改定の算定式」について、御質問あるいは御意見等がありましたら、よろしくお願いいたします。
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
いろいろ論点をご提示いただきましたが、私はこの中の論点で一番重要なのは改定の時期であると思っています。いろいろな論点を論ずる前に、やはり改定の時期を最初に決めた上で、算定のルールをどう適用していくかということを決めていく必要があると思います。
2ページ目の枠囲みの2ポツのところですけれども、10月に実勢価に伴って改定をした場合、その後の実勢価を2020年度の通常改定に反映できないという課題があるのですが、これについては今までのルールでは適用できないということでよろしいですよね。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
今の御指摘の点でございますけれども、確かに来年10月に実勢価に伴う引下げ、プラス消費税転嫁の薬価改定を行った場合に、その薬価に対する薬価調査を2020年度の改定に直接反映できないというのは御指摘のとおりかと思います。一方、通常の薬価改定におきましても、例えば9月に薬価調査を行った場合ですと、10月以降の薬価の動向について、そこの実勢価の動向というのはやはり時期的には間に合わないところはございますので、そういった点におきましては、10月以降の動向を直接反映することができないという点では同じというところはあるかと思っております。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
通常の薬価改定と違って、2%の消費税が乗るという大きな変動があるわけですから、これは今までのルールの中では絶対に適用できないと理解しています。何らかの新たな措置をとらないと、2020年の通常の薬価改定が根拠のないままつくられてしまうということになりますが、そうなると国民がその部分を負担しなければいけないということになります。ここが一番重要なところで、それに対してどういうルールをつくっていくかを決めなければいけないと思います。
そのときに、一つの選択肢として、2018年9月に実施した薬価調査と2019年に実施する薬価調査を組み合わせるというルールもあるでしょうし、2018年9月に実施した消費税のための薬価調査で乖離率がわかるわけですから、その乖離率がわかった段階で、一旦、実勢価に合わせた引下げを行い、再度薬価調査をやるという選択肢もあろうかと思います。ここは特別なルールをつくらなければいけないので、より精緻なものに消費税をつけるということであれば、今回の薬価調査で把握した実勢価に対して、4月か、5月か、時期はわからないのですが、薬価改定をやって、再度2020年の薬価改定に向けて薬価調査をやるというほうが精緻なやり方になるのではないかということで、それもぜひ検討していただきたいと思います。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
今、幸野委員から、例えば今回の薬価調査の結果を用いて、4月か5月か、そういった10月以前の時期に改定を一旦行うという御提案がございました。そういった4月、5月に改定を行う場合には、10月には消費税上乗せに係る改定が別途必要になろうかなと思っているところでございます。
この点につきましては、頻繁な改定によりデータの入れ替えとか薬価交渉の事務的な負担が増すことなどついて、これまで中医協の議論でも診療側、あるいは卸などからも懸念が示されているといったところもございますので、こういった観点も踏まえて中医協で時期について御議論いただければと思っております。
○中村部会長
では、幸野委員、お願いします。
○幸野委員
事務的な負担が増すということはわかりますが、30年度の薬価制度の抜本改革で2021年度からは毎年改定を実施するということになっておりますし、いい試金石にもなろうかと思いますので、検討していくべきだと思います。
○中村部会長
松本委員、お願いします。
○松本委員
先ほど幸野委員がおっしゃられましたけれども、事務局からも答えがあったとおり、事務的な負担が非常に大きいということは現実でございますので、実勢価格を踏まえた改定の時期については、消費税率に対するさまざまな検討を進める中であくまで総合的に決定すべきと考えております。実務の実行可能性をよく見きわめた上で、2020年度の改定方法を含め、検討をする必要があるのはそのとおりだと思います。
したがって、現実的に2019年度の4月か5月にやって、また10月に消費税率に伴う改定を行うことについては明確に反対したいと思います。あくまで2019年度は、10月の消費税率引き上げに伴う改定のみにとどめるべきだと思っております。
○中村部会長
ほかに意見は。吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
支払い側としては、先ほど幸野委員が提案を含めて意見を述べましたけれども、まだ統一できていないという状況で、ちょっと意見として言わせていただきたいと思います。
私どもとして考えているのは、関係業界のヒアリング等でも意見が述べられていますように、通常の薬価改定と異なる、今回の消費税改定は臨時的な改定だという位置づけを明確にするということであるならば、現状の薬価改定ルールにのっとった対応をすべきだという考え方は正論であろうと考えております。
そういう意味では、消費税率引上げの来年の10月に改定をするのも妥当であると思っておりますが、一方で、2020年度の通常改定においてもできる限り実勢価を反映した改定にすべきだ、配慮すべきだということも必要であるとも考えておりますので、支払い側はそういう意味では意見の一致をまだ見ていないのですけれども、20年4月の通常改定に実勢価格を反映させるということは、今、様々な意見がありましたけれども、19年の10月では難しいということでございます。10月に消費税を上げるための改定をした後の6カ月間なりの実勢価の反映の方法論といいますか、調整策といいますか、具体的に対応策は何か検討できないのかというところは事務局はどうお考えなのでしょうか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
改定の時期等が決まってからそういった詳細のところは詰める必要があると思いますけれども、先ほど申し上げたとおり、実務的には2020年度改定に、仮に来年の10月に実勢価に伴う引下げ、プラス消費税の転嫁の薬価改定を行った場合に、その価格の実勢価を2020年度の改定に反映できるかというと、調査期間等も鑑みますと物理的に非常に難しいのではないかと思っているところでございます。
一方、2020年度の4月の改定という場合に、それをどうするかということですけれども、通常の改定とはまた別の考え方になるかもしれませんが、通常どおり、来年度の薬価調査で得られた実勢価をベースとして、それをもとに2020年の4月の改定を行うという考え方は一つの考え方としてあり得るのではないかと思っているところです。
○中村部会長
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
これは技術論というか、方法論ですけれども、今おっしゃったように、2019年9月に薬価調査をして、その部分に基づいて、当然ながらそのときの実勢価がわかるわけだし、2%を上乗せするというところでの調整額の算定をロジカルに検討すれば、方法論は全くないということではないと思いますので、その辺は今からどういうことができるのかというのもぜひ研究しておいていただきたいと思います。
これは、いずれも19年の4月、5月に改定しようが、10月に改定しようが、消費税上乗せ後の実態については同じ状況でございますので、その辺をきっちりできるような方策なりなんなりを事前に研究しておく必要はあると思っております。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
松本委員、お願いします。
○松本委員
今、吉森委員がおっしゃったとおりだと思います。4月、5月に改定することと、9月の例えば調査を2020年に生かすという意味では、これはもう関係のないことであって、あくまでできる範囲内でやるとすると、やはり2019年の9月の調査を20年度に生かすということしか選択としてはあり得ないのではないかと思います。
○中村部会長
ほかに。宮近委員、お願いします。
○宮近委員
私も吉森委員、松本委員の意見と同じでありまして、今回の薬価の改定はあくまで消費税の対応の位置づけということですから、やはり原理原則に立って2019年10月に実施するというのが自然であろうかと思います。
以上です。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
遠藤委員、お願いします。
○遠藤委員
御意見のように、今回の改定はあくまでも消費税を的確に反映させるということが目的なので、余り複雑にせずに、わかりやすい改定が望ましいと思いますし、実際、次の定例の改定に対する調査についても、何らかの推計で行うという形が望ましいのではないかと思います。
○中村部会長
平川委員、お願いします。
○平川委員
私も、今回はあくまでも消費税改定に伴う臨時的な措置だということでありますので、臨時的な措置であるという原則にのっとって対応すべきだと思います。
1つ質問ですけれども、前回の消費税増税に伴って3%引き上げられておりますけれども、その3%の消費税増税の転嫁が適正に行われていたのかどうかというデータがあるかどうかをお聞きしたいと思います。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
薬価につきましては、5枚目のスライドに書かせていただいておりますとおり、基本的に実勢価の改定のルールの中で、消費税率の部分のところをしっかりと新しい消費税率で置き換えてやっておりますので、そこは適切に転嫁されていると理解しております。
○中村部会長
平川委員、お願いします。
○平川委員
これは計算式であって、実態として本当に適正に転嫁されていたのかという検証がされたのかということをお聞きしたかったのです。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
実勢価の中でどういうふうに取り扱われているかとか、取引の中のところは、そこは実際なかなかわからないところがございますので、私どもとしては薬価を計算する際に消費税分をしっかりと転嫁した上で新しい薬価を決めているということでございます。
○中村部会長
よろしいですか。ほかに御意見等はございますでしょうか。
上出専門委員、お願いします。
○上出専門委員
専門委員として一言コメントさせていただきます。
消費税引上げに伴う改定時期並びに改定後の薬価と、2020年4月の改定といったことつきまして、いろいろ御議論がございました。私どもは、薬価改定はあくまでも診療報酬改定と同時に2年に1回行われるものと理解をしております。ただ、今回2019年10月に消費税が引き上げられることから、6カ月前もって消費税を適切に転嫁するために暫定的に一旦薬価を改定する。そして、2020年4月には2019年9月の調査結果をもって改めて薬価を改定し直すという考え方ができるのではないかと考えております。
以上でございます。
○中村部会長
ほかはよろしいでしょうか。
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
皆さんの意見と私は異なっておりますが、一言言わせていただきたいのは、やはり消費税というのは真の価値につけるべきもので、精緻化しなければいけないという課題がある中で、乖離率が2018年9月の調査でわかって、それを2020年4月まで改定しなかった場合と、乖離率がわかった段階で一旦薬価改定を行って、さらに来年度の薬価調査を実施する場合では、後者のほうが精緻に薬価の価値を把握することができると思うのですが、それについてはどうお考えですか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
御指摘の点は、先に4月か5月に改定してということで、その価格を適切に来年の9月で把握できるのではないかという御指摘かと思いますので、そういった点は確かにあろうかと思いますが、一方、先ほども申し上げたとおり、実際に頻繁な改定によるデータの入れ替えとか薬価交渉の事務的な負担といったことも含めて、総合的にこの場でどの時期がいいかということの御意見をいただければと思います。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
事務的な負担と国民の負担のどっちをとるかという議論に、大きく言えばなろうかと思いますが、やはり国民は正しい薬価、正しい消費税を払わなければいけないので、そこで事務的な負担がかかるからということは余り理由にはならないのではないかと思います。
○中村部会長
では、お願いします。
○樽見局長
消費税引上げがかかるところが薬価改定後のということについては、まさに薬価調査をやって薬価引下げをして消費税上乗せをするという関係になるので、そこが例えば10月に一緒にやるとしても、下がったものに上げるという関係は同じだと思います。
ただ、少しでも早く実勢価を反映させるということ、それからもう一つ、2020年の改定のときに、仮に10月に改定した場合には、さらに10月に改定後の価格に基づく調査をして、その実勢価を反映させるということがなかなか難しいという問題が残るという関係でございますので、その上で、まさに今の事務的な負担も含めて、どういう考え方でやったらどうなのか、今日いただいたいろいろな御意見も踏まえて、その関係を整理してみたいと思いますので、それを事務局で検討させていただきます。
○中村部会長
いいですか。
○幸野委員
はい。
○中村部会長
ほかはよろしいでしょうか。
ありがとうございました。
では、次の論点としまして、7ページ目から22ページ目にありました「改定の際のルールの適用」、及び23ページの「その他」の項目について、御質問あるいは御意見等がありましたら、いかがでしょうか。
松本委員、お願いします。
○松本委員
論点3のところでございますけれども、実勢価の改定と消費税引上げ分の上乗せを同時に行う場合、平成26年度の取り扱いに準じることには賛成いたしたいと思います。
○中村部会長
これは論点3ですね。わかりました。
ほかはいかがでしょうか。今、論点4と論点5ですけれども、その前でもいいですけれども。
安部委員、お願いします。
○安部委員
論点4、5ですが、今回の消費税引上げに伴う特例的な薬価改定については、消費税の増税分を補填するわけでありますが、今までの実績からすると、実質的に薬価が下がるという可能性が非常に高いということでありますので、論点4にありますような、医療現場で必須な薬剤、有効性・安全性が確保されていて比較的薬価が安いというようなものが安定供給されなくなるようなことがあっては困りますので、今回の特例的な薬価改定につきましては、しっかりと安定供給に資する配慮がされるということが必要だと思います。それを要望として申し上げたいと思います。
○中村部会長
松本委員、お願いします。
○松本委員
論点4ですけれども、これまでの議論の流れと同じでございますけれども、市場実勢価を踏まえて、当然適用されるべきルールや実勢価改定とあくまで連動して、その影響の補正のみに適用すべきだと考えます。したがって、それ以外のルールはあくまで通常の改定時に適用することが妥当と考えます。
また、各ルールの適用に当たっては、平成30度の改定時の状況を継続することが基本であって、対象品目の入れかえなどはあくまで通常の改定の際に行うべきと考えます。
ただし、明らかに少しルール外、少し要件を外れたような特別な品目の取り扱いについては、少し考えてもよいと思います。
○中村部会長
ほかはよろしいですか。
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
ルールの適用については、先ほど申しましたように、薬価の改定の時期、実勢価の改定の時期をどうするかによって異なってくると思いますので、それを決まった後にまた再度論じる必要があると思います。
一つ腑に落ちないところがありますのは、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の15年たった、または後発品が出たものについては、今回の改定時に乖離率分だけ引き下げるのでしょうか。それとも、加算額の累積分もでしょうか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
そこは、まさにこの薬価部会の中での議論と思っておりますけれども、そこをどういうふうに考えるかということで、今般、論点を提示させていただいたということでございます。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
では、意見として言わせていただきますが、やはり乖離率によって今回改定するわけですから、新薬の対象外となった分については加算額の累積分も含めて薬価を引き下げるべきだと、意見として言わせていただきます。
○中村部会長
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
改定の際のルール適用についての論点、並びにその他も含めてですけれども、やはり幸野委員がおっしゃったように、10月に同時にやるのか、それとも4月、5月にやるのかによって若干考え方は違ってくると思いますけれども、基本的には今回の消費税改定については臨時的対応だということを前提に考えるならば、まず実勢価を改定する連動ルールについては当然適用していくのだろうと考えておりますし、2年ごとに適用されるものの、実勢価改定とは連動しない、いわゆる政策的なものについては、その意図を損なわないように配慮することを前提にして、各論議論の際に十分にそこを配慮しながら議論をしていくべきだと考えております。
○中村部会長
ほかはいかがでしょうか。
上出専門委員、お願いします。
○上出専門委員
ありがとうございます。
総論といたしましては、各委員がおっしゃいましたように、今回は臨時的な改定ということで、通常の改定で行うような政策的な改定を行うのは今回の趣旨からは逸脱するのではないかと考えています。
その中で、先ほど幸野委員から具体的なものといたしまして、新薬創出等加算の加算分の控除といったものについては、今回適用すべきではないかという御意見がございました。これにつきましても、やはり政策的な改定でございますし、また、個別の企業に及ぼす影響が非常に大きな仕組みでございます。そういったものをこの臨時の改定の中で実施するということは趣旨から逸脱するのではないかと思いますし、また、制度の予見性といった観点でも少し問題があるのではないかと。そのようなことも含めて御議論いただきたいと考えております。
以上でございます。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
ということは、乖離率分の控除をしないということですか。
○中村部会長
上出専門委員、お願いします。
○上出専門委員
新薬創出等加算につきましては本日の資料の12枚目に示されておりますけれども、このルールは革新的新薬の創出を効率的・効果的に促進するため、後発品のない新薬の市場実勢価格に基づく薬価の引下げを猶予するというルールでございます。したがいまして、本来2年に1度の改定でも引下げを猶予されるものでございますので、こういったものは2020年4月の段階で適用するということが必要ではないかと考えます。
○中村部会長
ほかに御意見、あるいは御質問等はございますでしょうか。
ありがとうございました。
では、本日いただきました御指摘を踏まえて、本件につきましては引き続き議論を行いたいと思います。よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○中村部会長
ありがとうございました。では、そのようにしたいと存じます。
次に、「薬価改定の経緯と薬剤及び推定乖離率の年次推移について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○田宮薬剤管理官
資料の薬-2をごらんいただければと思います。こちらにつきましては、毎年度報告させていただいているものでございます。
1ページ目に「薬価改定の経緯」ということで、新たに30年度の改定がございましたので、その際の薬剤費ベース、医療費ベースの改定率につきましてお示しさせていただいております。
また、2ページ目をごらんいただきたいと思います。こちらにつきましては、「薬剤費及び推定乖離率の年次推移」ということで、最新の統計調査の結果を踏まえ、毎年報告させていただいているものでございます。
具体的には平成27年度の欄が新たな御報告になりまして、国民医療費42兆3640億円に対しまして、各種統計調査から薬剤費を9.56兆円と推計し、薬剤費率が22.6%というデータか出ましたので、こちらについて本日御報告させていただくものでございます。
以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございました。
ただいまの御説明に関して何か御質問等がございましたら、お願いいたします。
ありがとうございました。
それでは、この議題についてはここまでとさせていただきます。
本日予定された議題は以上になります。次回の日程につきましては追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会いたしたいと思います。どうもありがとうございました。
 

 

(了)
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