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2023年11月8日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会・費用対効果評価専門部会 合同部会 第3回議事録

○日時

令和5年11月8日(水)総会議題1終了後~

 

○場所

日比谷国際ビル コンファレンススクエア8F

○出席者

安川文朗部会長 小塩隆士委員 飯塚敏晃委員 笠木映里委員 本田文子委員
鳥潟美夏子委員 松本真人委員 佐保昌一委員 高町晃司委員 眞田亨委員 鈴木順三委員
長島公之委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 太田圭洋委員 林正純委員 森昌平委員
石牟禮武志専門委員 藤原尚也専門委員 守田恭彦専門委員 前田桂専門委員 荒川隆治専門委員
<参考人>
福田敬参考人 池田俊也参考人
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他

○議題

○関係業界からの意見聴取について

○議事

 

○安川部会長
 それでは、ただいまより、第3回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会・費用対効果評価専門部会 合同部会」を開催いたします。
 総会と同様、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
 本日は末松委員が御欠席です。
 今回は参考人として、福田参考人、池田参考人に御参加いただいております。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日は、関係業界からの意見聴取を行います。関係団体として、日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会より意見を聴取するため、意見陳述者一覧に記載のあります皆様に御出席をいただいております。
 まず、関係団体の皆様よりプレゼンテーションをしていただきまして、その後に、質疑を行いたいと思います。
 関係団体の皆様は、最初に自己紹介をしていただきました上で、時間厳守でプレゼンテーションをお願いいたします。
 持ち時間が終わりました時点で、大変恐縮ながらベルを鳴らさせていただきますので、円滑な議事進行に御協力をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いいたします。
○日本製薬団体連合会(上野副会長)
 おはようございます。私は、日本製薬団体連合会の副会長及び日本製薬工業協会の会長でございます、上野と申します。本日は、このような機会をいただき、誠にありがとうございます。
 本日は、私のほうから日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会を代表いたしまして、高額医薬品に対する対応に係る意見を述べさせていただきます。
 それでは、始めさせていただきます。
 スライドの2をお願いいたします。
 まず、ここでは、高額薬剤に対する基本的な業界のスタンスをお示ししております。高額医薬品への対応は、国民皆保険の持続可能性の観点から、現行の仕組みでの対応が困難な品目について、極めて限定的に行われるものと認識しております。
 また、1500億円を超えると見込まれる品目への該当性は、あくまでも見込みであることから、当局とその品目を開発した企業間で十分協議の上、判断されるものと認識しております。
 イノベーションの創出には、数百億円から1000億円を超える莫大な費用と、10年を超える長い時間を要します。
 また、左下の図にお示ししたとおり、昨今の新しいモダリティの登場により、創薬スタイルも多様化しており、また、右下の図のように、創薬イノベーションの貢献の事例が示されております。
 このように、新たなイノベーションはアンメット・メディカル・ニーズを充足し、国民の皆様の健康維持、改善をすることで、ひいては日本の経済成長にも貢献すると考えております。
 ぜひともこのような特性を御考慮いただき、イノベーションの適切な評価、患者さんの早期アクセスの確保、そして企業の予見性の確保を大前提とした丁寧な検討が進められることを強く要望いたします。
 それでは、スライド3を御覧ください。
 こちらは、認知症に関する国内外の政策動向をお示ししております。
 御覧のように、認知症はG7でも取り扱われるなど、グローバルヘルスにおける重要なアジェンダであり、認知症治療薬の開発が歓迎され、その普及が推奨されております。
 また、日本におきましても、今年の6月に認知症基本法が成立し、来年1月1日に施行が予定されるなど、認知症の取組みが強化されております。
 続いて、スライド4を御覧ください。
 こちらは、認知症による社会的な影響を示した資料となります。左の表は、日本における認知症の将来推計と家族の介護、看護を理由とする離職、転職者数の推移を示しております。
 認知症は当事者だけでなく、介護者やその御家族の離職、転職などに重大な影響を及ぼしております。
 また、右のグラフは、アルツハイマー病に対する重症度別の18か月間の社会的費用を示しております。
 患者様御自身の医療費以上に、家族や近親者が無償で行うコスト、いわゆるインフォーマルケアコストも大きいことが最大の特徴です。さらに、アルツハイマー病の進行に伴い、インフォーマルコストケアは増大していきます。
 続いて、スライド5を御覧ください。
 こちらは、これまでに御説明いたしました認知症施策の必要性のまとめとなります。
 まず初めに、認知症はグローバルヘルスにおける重要なアジェンダであり、日本においても認知症基本法が成立するなど、国家レベルで、その対策が進められております。私ども、製薬業界も強く賛同し、協力してまいります。
 次に、認知症による影響は当事者のみならず、介護者や家族にも及びます。また、病気の進行に伴い、介護費用も増大するなど、早期から進行を抑制することの社会的インパクトは極めて大きいと考えております。
 最後に、認知症は身近な疾患であるとともに、社会的影響が大きいことを踏まえますと、治療薬の負担については、国の認知症施策の中で幅広く検討することも必要ではないかと考えております。
 次、スライド6を御覧ください。
 ここから2枚の資料を用いまして、アルツハイマー病のアンメット・メディカル・ニーズ、治療薬の開発難易度について御説明いたします。
 まず、こちらの資料では、アルツハイマー病のアンメット・メディカル・ニーズの高さを示しております。
 横軸には各疾患に対する治療満足度、縦軸には薬剤貢献度を示しております。
 そして、各疾患における2019年から2022年の新薬承認数を括弧書きで示しております。
 アルツハイマー病は治療満足度、薬剤貢献度ともに低く、アンメット・メディカル・ニーズが極めて高い疾患であり、新たな治療薬の上市が最も望まれる疾患の1つであると言えると思います。
 そのような領域における新薬のイノベーションを適切に評価することは、アンメット・メディカル・ニーズに位置づけられる薬剤の研究開発を加速させ、新たなイノベーションの創出につながると考えます。
 スライド7を御覧ください。
 こちらは、アルツハイマー病治療薬の開発難易度を示しております。
 左上の表は、アルツハイマー病治療薬の開発成功率、開発期間、費用となります。
 全ての疾患領域の平均と比較いたしましても、開発成功率は低く、長い期間を要し、その費用も高い傾向となっております。
 右上には、アルツハイマー病治療薬の開発が困難な理由を挙げております。例えば、病態が完全に解明されていないこと、病気やターゲット病理を踏まえた的確な被験者選択が困難であること、軽度認知障害では、進行が比較的緩徐であり、プラセボとの差が検出しづらいことなど、様々な要因が挙げられます。
 そのような背景から、アルツハイマー病の治療に対しては、数多くの化合物が開発中止を余儀なくされた歴史があり、その治療薬の開発難易度は極めて高いと言えます。
 続いて、スライド8を御覧ください。
 こちらは、中医協の場で示されました、薬価上の対応の方向性に関わる業界意見を示しております。
 まず、薬価算定についてです。アルツハイマー病の高額医薬品への対応は、そのアンメット・メディカル・ニーズの高さや、治療薬の開発難易度を考慮いただき、当該企業の意見を十分に踏まえた上で、薬価算定をいただければと思います。
 続いて、薬価収載後の価格調整についてです。もし今後、本剤についての別の取扱いを検討するのであれば、現行の薬価、価格調整ルールとの関係も踏まえながら、その必要性を含めて慎重に検討すべきと考えます。
 続いて、スライド9を御覧ください。
 こちらは、費用対効果評価における対応の方向性に関わる意見を示しております。
 まず、介護費用の取扱いについてです。先ほど申しましたように、アルツハイマー病は、当事者だけでなく、介護者への影響が大きいといった特性があります。また、このような領域の薬剤の開発を促進する観点からも、家族や介護者に関わる介護費用などを含む分析結果を用いた評価の実施を積極的に御検討をお願いいたします。
 次に、疾患特性を踏まえた基準値についてです。費用対効果の分析結果、アルツハイマー病の特性や社会的影響、海外における閾値の調整などを踏まえて、総合的評価において配慮されるよう、引き続き御検討をお願いいたします。
 最後に、価格調整範囲の在り方についてです。価格調整範囲を加算部分より拡大することは、薬価本体に割り込むことになり、薬価制度と矛盾するため、受け入れられるものではございません。
 続いて、スライド10を御覧ください。
 こちらが最後の資料となります。これまで創薬イノベーションにより生み出された革新的新薬は、患者様のアンメット・メディカル・ニーズの改善、解消に貢献してまいりました。
 これらのイノベーションは、一朝一夕に生まれるものではなく、何度も何度も失敗を重ね、ようやく生み出されるものです。そうやって生み出されたイノベーションを適切に評価することは、次のイノベーション創出を加速し、アンメット・メディカル・ニーズの充足、ひいては健康寿命の延伸につながるものと考えております。
 今回、日本から生まれたイノベーションにより、認知症患者さんやその御家族に希望の光をもたらそうとしております。ぜひともこの光を消すことなく、将来のイノベーションを加速させるためにも、薬剤費抑制に偏ることのないよう、イノベーションの適切な評価の御検討をお願いいたします。
 私の発表は以上でございます。御清聴どうもありがとうございました。
○安川部会長
 御説明ありがとうございました。
 では、これより、ただいまの御説明に対して質疑に移りたいと思います。御質問等ございましたら、よろしくお願いします。
 では、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 関係業界から御意見をありがとうございました。
 私から幾つかコメントと質問をさせていただきます。
 医薬品の価値の適切な評価に関しては、どのような立場で価値を見いだすかによって、評価の仕方が変わります。
 この中医協においては、健康保険法に基づく、医療保険の視点で評価するという立場が大前提であることを、まず申し上げます。
 資料薬費-1の5ページの3つ目のポイントに書かれているように、治療薬の評価について、国の認知症施策の中で、幅広く検討することも考えられることに同意します。
 その場合、開発途中で断念した薬剤も含めて、治療薬開発に取り組む企業へ国からどのような配慮があるべきなのか、適切な国の検討の場において検討いただければと思います。
 その際は、日本が誇る国民皆保険が破綻することのないような配慮が必要となります。
 9ページの3つの意見のうち、まず、介護保険の取扱いについてです。
 これまでの検討において、介護費用等を含めた費用対効果分析には、多くの課題があることが示されております。
 そこで質問です。業界としては、介護費用等を含めた分析は、どのようなデータを用いて実施することを想定しているのか、どの程度分析が可能と考えられているのか、教えてください。
 次に、疾患特性を踏まえた基準値です。品目指定時の配慮については、希少疾病を対象とした医薬品に関するこれまでの評価において、明らかな問題はないと考えますので、臨床薬は配慮の対象にはならないと思っています。
 そして、価格調整範囲の在り方に関して、価格調整範囲を加算部分より拡大することは、薬価制度と矛盾すると表現されております。
 しかし、現行の薬価制度においても、外国価格調整がなされた場合、外国価格調整の前の価格に、薬価収載時における有用性加算等合わせた額に対する割合となっており、本来の加算額にとどまっていない現状があります。
 そこで質問です。このように、現行の薬価制度においても、価格調整範囲は既に加算部分に限定されておりませんので、今回価格調整範囲を拡大したとしても、薬価制度と矛盾することはないと考えますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
 こうしたことを踏まえますと、価格調整範囲については、費用対効果評価のあるべき姿をどのようにしていくかという視点で、中医協において議論を重ねていくことが重要と考えています。
 最後に、個別薬剤の特徴に応じた適切な対象患者層を、投与をやめるべき状況も含め、見極めるためのエビデンス収集を継続的に行っていくべきであると考えます。
 レカネマブについて言えば、プラセボ群と比較して、認知機能の低下を27%抑制したとの報道がよく見られますが、スコア変化量の絶対値も含めて、臨床的意義を冷静に科学的に評価する必要があると思います。
 私からは以上です。
○安川部会長
 今、御質問がありましたが、今しばらく御意見を拝聴した上で、少しまとめて御返事をいただけたらと思っております。
 では、江澤委員、よろしくお願いいたします。
○江澤委員
 ありがとうございます。1点だけ質問でございます。
 10ページに、アンメット・メディカル・ニーズに対する医薬品の貢献の歴史のスライドがございます。レカネマブは、薬理作用は、これまでにない画期的なものだと思っておりますが、一方で、臨床効果について、10ページのいろいろな疾患に使われている、これまでの薬の臨床効果と比較して、果たして、他の薬と遜色ない臨床効果があるのかどうかというのが、これまでのデータを見ていると、若干疑問を持っているところなので、その点について、また、何か知見がありましたら、よろしくお願いしたいと思います。
○安川部会長
 ほかにいかがでしょうか。
 では、森委員、よろしくお願いします。
○森委員
 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。
 御意見については、どれも重要な御指摘であると受け止めております。
 その上で、介護費用に関しては、長島委員からもご質問がありましたので、2点ほど確認をさせていただければと思っております。
 まず、薬価上の対応の方向性に係る意見の薬価収載後の価格調整についてですが、現行の薬価・価格調整ルールとの関係も踏まえて、その必要性を含め、慎重に検討すべきとありますが、別の扱いとして特に懸念していることがあれば、具体的に教えていただければと思います。
 2点目です。費用対効果評価における対応の方向性に係る意見の疾患特性を踏まえた基準値についてですが、現在は、がんが対象となっているかと思いますが、総合的評価において配慮されるよう、引き続き検討をいただきたいとありますけれども、具体的にどのようなことを想定しているのか、どのようなルールとすることを望んでいるのか、また、認知症治療薬特有の配慮と考えているのか、今後それ以外に関しても、何か広げていくことを考えているのか、この辺りについて教えていただければと思います。
 私からは以上です。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 では、一旦ここで、5つほど御質問が出たかと存じますので、関係団体様のほうから、もし御回答をいただけましたら、よろしくお願いいたします。
○日本製薬団体連合会(上野副会長)
 それでは、御質問並びにコメントをどうもありがとうございました。
 それでは、まず、確認でございますけれども、最初の長島委員からの御質問という点につきましては、当該資料のスライド9ページにある、この3点についての御質問と考えてよろしいでしょうか。
○長島委員
 もう一度、では、質問を申し上げます。
 業界としては、介護費用等を含めた分析は、どのようなデータを用いて実施することを想定しているのか、どの程度分析が可能と考えておられるのか教えてください。これが1つ目です。
○日本製薬団体連合会(上野副会長)
 では、その御質問に対してお答えをさせていただきます。
 今、御指摘いただいたように、特にアルツハイマー病のような認知症の介護に関わる評価というのは、非常に難しいということは承知しております。
 ただ、これまでは、こういう治療薬がなかった中での議論だったと認識しておりまして、今回、レカネマブという治療薬が出てきたという、このタイミングを捉えて、やはり、当該企業による分析結果を尊重いただいて、その中でどのように組み入れることができるかどうかについて検討をいただきたいと思っております。
 これについては、業界団体として具体的なものは、特に、現在は持ち合わせておりませんが、例えば、これまで10月27日の当該部会にて、加藤先生が指摘されたような介護レセプトデータに含まれる日常生活自立度を健康状態の代替指標とすることで、費用対効果評価の1つになるのではないかという御意見も出されまして、こういうことも1つの可能性として考えていただければと思っております。
 以上でございます。
 続きまして、基準値についてのお話でよろしいでしょうか。
 それでは、基準値についての考え方でございますけれども、まずは、これまでアルツハイマー病というものに治療方法がなかった中で、今回、こういうレカネマブが出てきたという点で考えますと、アルツハイマー病は、抗がん剤と同様に、ICERの基準値を配慮していただきたいと思います。
 さらに、アルツハイマー病は疾患の進行が遅いために、QOLの変化が表れづらいことや、当事者だけでなく、介護者や家族に関わるコストが大きいことから、その価値が適切に反映できるような基準値が必要であると考えております。
 それで、3点目の価格調整範囲についての回答でございます。
 まずは、基本的には、薬価の本体部分については、これまで厳格に管理された臨床試験で有効性と安全性が評価された結果等、効能・効果などを基に認められた基本的な価値であると認識しております。
 一方、費用対効果評価はQOLの改善を指標としたICERによる評価と認識しております。このように全く異なる指標をもって薬価の本体部分を一緒にして調整することは、医薬品の本来の価値を否定するものではないかと感じておりまして、それについて、私どもは合理的でないと感じております。
 これは、今後の費用対効果評価の議論の中でも、ぜひ議論をさせていただければと思っております。
 続いて、2人目の御意見でございますけれども、臨床効果については、今後、この薬剤が実際に臨床の現場で使われることによって、どのような効果につながっていくかというのは、これから示されていくと考えております。
 ただ、これは一般論としての回答でございまして、レカネマブそのものが、これまでどのようなデータを持っているか、あるいは今後どのような試験を検討しているかについては、私どものほうから述べる立場ではございませんので、当該企業のほうと御議論いただければと思っております。
 続きまして、森委員からの御質問に対してのお答えでございます。
 まず、先ほどの長島委員からの御質問にもありました、基準値の考え方でございますけれども、別の取扱いとして、特にどのような懸念があるかという点についてのお話でございますが、既に現行の市場拡大再算定や、四半期ごとの再算定がある中、さらなる見直しを行うことは、日本市場の魅力度を低下させ、企業の開発力を大きく損なってしまうことを懸念しております。
 そのため、今後もし新たなルールが議論される際には、その必要性も含めて慎重に検討をいただきたいと考えております。
 基準値についての考えについては、先ほど長島委員の質問に対してお答えさせていただいたものと同じと考えております。
 以上でございます。
○安川部会長
 御回答ありがとうございました。
 御質問をいただいた委員の方、よろしいでしょうか。
 江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
 1点だけ、すみません、お願いいたします。
 認知症日常生活自立度は、認知機能を評価するものではなくて、BPSDとか日常生活に支障を来すような状態を示すもので、どちらかというと、臨床の現場の立場で申し上げますと、薬よりは介護とか、あるいは人の関わり方、あるいは環境的な要因で結構改善するものが多いということで、新たな生活機能にも着目した認知症の評価尺度というのも、今、検討されておりますので、今後いろいろな視点から、データをお示しいただければ大変ありがたいので、期待しております。ありがとうございます。
○日本製薬団体連合会(上野副会長)
 ありがとうございます。
○安川部会長
 それでは、ほかに御質問等ございますでしょうか。
 では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 まず、上野副会長、御説明どうもありがとうございました。
 私のほうからは、質問とコメントを幾つか差し上げたいと思います。
 まず、資料の5ページでございますけれども、5ページ目のまとめの3つ目のところでございますが、治療薬の負担については、国の認知症施策の中で幅広く検討という表現が使われておりますけれども、これが保険給付費を含めてのお話なのか、患者の自己負担について特に言及されているのか、具体的にどういうところを指していらっしゃるのか教えていただきたいと、これは質問でございます。
 続きまして、資料の8ページに行っていただきまして、薬価収載後の価格調整について言及されておりますけれども、本剤に関して別の取扱いを検討することについては、一定の理解はいただいたものと受け止めております。
 我々としては、保険財政に極めて重大な影響を及ぼす懸念もあることから、医療保険制度の持続可能性の観点から、厳しい判断とならざるを得ないということも、御理解を賜りたいと思います。
 続きまして、9ページに行きたいと思います。
 最初にございます、介護費用の取扱いについては、先ほど各委員からいろいろございましたので、それで理解をしたいと思いますが、今後、こうした認知症の関連の医薬品の保険収載が多分出てくると思うのですけれども、その際にも同様に、こういったことをやるのだということが、製薬業界なり、協会として、ある程度合意が取れているものなのか、今回の1つの薬剤についての御意見なのか、そこを確認したいと思います。
 続きまして、3つ目の価格調整範囲の話ですが、これについては、今回の議論だけで解決する話ではないと思いますけれども、我々としては、医療保険財政の影響を大前提に考えることからも、これについてもやはり厳しい判断を取るということについては、御理解を賜りたいと思っております。
 それと、これは、専門部会からは離れますけれども、以前、費用対効果評価専門部会における意見陳述において、業界のほうから価格引上げに必要な条件の撤廃と緩和という御要望がございました。
 価格引上げの条件は、該当品目が有する医療経済上の有用性と価格引上げ等に関する影響とのバランスを考慮して設けられたものですので、医療保険者の立場からいたしますと、価格を引き上げることに関しては、簡単に同意できるものではないということでございますけれども、その上で業界の皆様が加算の範囲を超えての引上げを要望している一方で、加算の範囲を超えての引下げについては、薬価制度と矛盾をしているという表現になっておりますけれども、これについて、若干一貫性がないように感じますけれども、これについてどうお考えなのかを教えていただきたいと思います。
 最後でございますが、介護費用の、こうした軽減を医療保険の財源を使って評価をすることについては、従来から制度あるいは哲学との問題があるということは指摘しておりますけれども、最終的には薬価に転嫁するということになるとすれば、医療保険者の立場がいたしますと、全体を考えた場合には、薬剤費の適正化をさらに検討せざるを得ない一要因になると思いますけれども、そのことについては、業界全体としてどのようにお考えなのかということをお尋ねしたいと思います。
 私からは以上でございます。
○安川部会長
 ありがとうございました。
 他に御意見、御質問ございますか。
 それでは、今、松本委員から4点ほど質問がございましたが、業界団体様のほうで御回答をいただけましましたら、よろしくお願いいたします。
○日本製薬団体連合会(上野副会長)
 まず、御質問どうもありがとうございました。
 それで、スライド5の3点目に対する御質問についてのお答えでございますけれども、これも例えばという話になりますが、認知症対策が社会保障とは別の国家施策として位置づけられるのであれば、これまでと同様に保険の中だけではなくて、これは例えばですけれども、例えば基金を設けて、そこに国家予算から保険とは別に手当するなど、そういった方策もあるのではないかということで、こういった点も含めて幅広く御検討をいただければと思っている次第でございます。
 それと、これは御質問というよりは、コメントとお伺いしました、スライド8の2点目に書いてあります、さらなる引下げのルールについてのお話でございますが、これも私のプレゼンの中でもお話ししたかと思いますけれども、もう既に四半期再算定や売上拡大に応じて、迅速かつ大幅に薬価を引き下げるというルールもございますので、まずは、この範囲で御検討いただければというのが、私どもの要望でございます。
 すみません、質問を十分キャッチできていないかもしれませんけれども、まず、費用対効果の中での御発言でございますが、まずは特定の疾患の分析では、費用対効果評価については、基本的には加算部分についての議論だと私どもは認識しております。
 一方、薬価本体は、先ほど申し上げましたように、臨床試験等の厳格なデータ分析において医薬品の価値、あるいは安全性というものに基づいた価格だと、私どもは考えております。
 その一方で、加算部分については、それが本当に妥当なのかどうかを、その効果を検討して、ICERなどの結果からその妥当性を検討する、そういう中にあって、下げるものは下げる、そして上げるものを上げるという前提の中で、上げることも原則的にはあってもいいのではないかと。ただ、繰り返しになりますけれども、基本的には費用対効果評価は、加算部分についてのみで、薬価本体まで別の尺度でそれを評価するということについては、私どもは反対だと考えております。
 それと、最後の御質問でございますけれども、これから、これを契機に認知症の治療薬が世の中に登場すること、これは私どもとしても非常に期待をしております。
 ただ、それが今回のレカネマブと同様かどうかというのは、それは基本的には、その薬剤の一つ一つの特性によって個別に評価されるものだということで、それについて業界全体として、今、統一の意見を持っているということではございません。
 以上、お答えさせていただきました。
○安川部会長
 ありがとうございます。
 松本委員、よろしいでしょうか。
○松本委員
 ありがとうございました。
 介護費用の取扱いにつきましては、今後、研究班とか、いろいろな場で研究を進めるべきかどうかという意味合いもありましたので、お尋ねした次第でございます。ありがとうございました。
○安川部会長
 ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。大体御質問、御意見等も出尽くしたようですので、関係業界からの意見陳述につきましては、ここまでとさせていただきます。業界の皆様、ありがとうございました。
 今後、事務局におきまして、本日いただいた御意見も踏まえて、御対応をいただくようにお願いいたします。
 次回の議論につきましては、本日の議論を継続して進めていくため、今回と同様に、合同部会の形式で議論を深めていきたいと存じますが、それでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○安川部会長
 ありがとうございます。
 それでは、次回も合同部会として開催することとしたいと思います。
 本日いただきました御意見等に基づき、事務局で必要な資料の準備等をよろしくお願いいたします。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡をいたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の合同部会は、これにて閉会といたします。皆様、どうもありがとうございました。

 
<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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