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2023年10月18日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会・費用対効果評価専門部会 合同部会 第1回議事録
○日時
令和5年10月18日(水)総会終了後~
○場所
TKP新橋カンファレンスセンター 12F
○出席者
安川文朗部会長 小塩隆士委員 飯塚敏晃委員 笠木映里委員 本田文子委員 |
鳥潟美夏子委員 松本真人委員 佐保昌一委員 高町晃司委員 眞田亨委員 鈴木順三委員 |
長島公之委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員 森昌平委員 |
石牟禮武志専門委員 村井泰介専門委員 守田恭彦専門委員 前田桂専門委員 |
<参考人> |
福田敬参考人 池田俊也参考人 |
<事務局> |
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長 |
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他 |
○議題
○高額医薬品(認知症薬)に対する対応について
○議事
○安川部会長
ただいまより、第1回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会・費用対効果評価専門部会 合同部会」を開催いたします。
今回は「高額医薬品(認知症薬)に対する対応について」を議題といたしますが、本議題につきましては、前回の薬価専門部会及び費用対効果評価部専門部会において、両部会で相互に検討状況を共有しながら議論するため、次回は合同部会として開催することとされたことを受け、合同部会として開催するものでございます。
本合同部会の議事の進行については、薬価専門部会の部会長であります、私、安川が務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本合同部会は、総会と同様、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について報告します。
本日は末松委員が御欠席です。
また、今回は参考人として、福田参考人と池田参考人に参加いただいております。
本日の議題では個別の医薬品を取り扱うことになりますが、赤名専門委員につきましては、当該医薬品の製造販売業者に所属しておられますので、利益相反の観点から本日の部会には出席を控えていただくことといたします。
それでは、議事に入らせていただきます。
先ほど申し上げましたとおり、今回は「高額医薬品(認知症薬)に対する対応について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
薬剤管理官でございます。資料薬費-1を御覧ください。2ページ目に今回の内容を示しております。
薬価専門部会と費用対効果評価専門部会で、それぞれ本剤の取扱いについて議論が進んでいますので、それぞれの議論の続きの内容になっております。
資料薬費-1は、薬価専門部会における主な意見、対応の方向性の資料、薬費-2は、費用対効果評価専門部会における主な意見、対応の方向性の資料となっています。
これらの資料を一通り御説明いたします。
3ページでございます。
まず「1.薬価算定(①薬価算定方法)」でございます。
論点は、部会でお示ししたもの、その際にいただいた主な意見を、真ん中のところにまとめております。
これらを踏まえた対応の方向性を、一番下にお示ししております。
本剤の薬価算定方法は、通常どおりの算定方法、類似薬効比較方式または原価計算方式を薬価算定組織で判断することとしてはどうかとまとめております。
参考の箇所の記載は、前回もお示しした具体的な算定方法の考え方でございます。
4ページ「②算定に用いるデータ」です。
前回の部会でお示した論点と主な意見をまとめています。
これらを踏まえた対応の方向性、一番下でございますが、本剤の薬価算定に当たり用いるデータについては、以下のとおり対応することとしてはどうか。
1つ目のポツで、製造販売業者から提出された薬価基準収載希望書のうち、介護費用に基づく内容の評価については、費用対効果評価の枠組みにおける検討事項とされていることから、費用対効果評価専門部会において検討することとする。
2つ目のポツ、算定における補正加算については、製造販売業者から提出された資料に基づき、既存のルールに従って有用性等の評価を行う、とまとめております。
次に5ページを御覧ください。
次に「2.薬価収載後の価格調整」として「市場拡大再算定」でございます。
前回の部会で示した論点と主な意見をまとめております。
本剤の特性を踏まえて、収載後の価格調整ルールを設けることに関して、指摘を様々いただいておりますので、本剤の市場拡大再算定についての考え方をまとめました。
その考え方をまとめたものが6ページになります。
市場拡大再算定の取扱いを考えるに当たり、仮に市場規模が予測よりも大きくなった場合を想定して、年間販売額が1000億円を超える場合の特例がどのように適用されるか整理しました。
まず、前提となるのは、高額医薬品として以前御議論いただいた感染症治療薬の場合は、急な感染拡大により短期間で急激に投与対象患者数が増大することにより、現行ルールでは引下げになった場合に、引下げ率の上限値にすぐに達してしまうこと。
また、市場規模を把握する手段であるNDBでは急激に患者が増大してからデータの把握、再算定の適用までに時間を要することが課題であり、その課題解決のために特例的な対応を検討したものでございます。
今回の場合は認知症薬でございまして、投与対象患者数が予測よりも増大する可能性はありますが、短期間での急激な増大は考えにくいため、参考で示している、点線のところですけれども、市場拡大再算定の特例の計算方法においても、引下げ上限値まで達してしまうような状況にはならないのではないかと考えております。
また増大したとしても、通常のNDBによる把握で迅速な対応が可能と考えられます。
ただし3つ目のポツで示しておりますが、推定有病者数を踏まえると、使用可能な医療機関の体制や使用実態の変化のほか、投与前の患者選択のための検査としては、現時点でPETや脳脊髄液検査が用いられることになると考えておりますが、より簡便な検査方法が使用可能となる等の状況の変化により、患者数が予測よりも増加する可能性もあります。
また、患者当たりの投薬期間によって、使用される薬剤の量も変わってきますので、今後の状況を踏まえて考える必要があり、今の段階で本剤に適したルールを結論づけるのは難しいのでないかと考えております。
以上が考え方で、最後のところに対応の方向性をまとめております。
1つ目のポツ、投与対象患者数について、現時点における投与患者予測は限定的になる見込みであるものの、今後の増加の可能性を踏まえ、収載後の価格調整ルールについて、本剤に関して別の取扱いを検討したほうがよいか。
2つ目のポツ、また、本剤の使用状況がどのように変化するのか把握する必要があることや、患者当たりの投薬期間による影響もあることから、これらを踏まえどのように考えるか、ということで、薬価専門部会の検討事項に関しては、これらの3つの論点に関してまとめておりますので、御意見をお願いしたいと考えております。
薬費-1の資料の説明は以上でございます。
○木下医療技術評価推進室長
事務局、医療技術評価推進室長でございます。
続きまして、今回は薬価専門部会の合同部会の資料としまして、費用対効果評価専門部会での議論の中からレケンビに関する論点につきまして、資料薬費-2を用いて御説明させていただきます。
また、私からの説明の後に、医薬品・医療機器等の費用対効果評価における分析ガイドラインの改定に資する研究、研究代表者の福田参考人より、公的介護費用の取扱いについて、現状と課題を踏まえ、御発表をいただく予定としております。
それでは、まず、2ページを御覧ください。
10月4日の費用対効果評価専門部会で提示をさせていただきました論点の項目となっております。
資料の上段に記載のある現状と課題を踏まえ、論点としましては、レケンビの取扱いについての前提の議論の中で、費用対効果評価における価格調整範囲の見直しや、介護費用の軽減に係るデータの取扱いついて検討することとしてはどうか。
効率的に議論を進めるため、薬価専門部会との合同部会を開催して議論を進めてはどうかとさせていただきました。
3ページにお進みください。
今後の議論の進め方をお示ししております。本日、介護費用の取扱いについて、研究班からの御説明をいただき、御議論をいただきたいと考えております。
次回以降、引き続き論点であります、価格調整範囲の在り方についてと、介護費用のデータの取扱いについて御議論をお願いしたいと考えております。
今回は「費用対効果評価における介護費用の取扱いについて」ということで、5ページを御覧ください。
レケンビに関しまして、製造販売業者から提出された薬価基準収載希望書において、承認審査に用いられた有効性・安全性に係る試験成績に関する資料に加えまして、介護費用等に基づく評価に関する内容が含まれております。
6ページへお進みください。
こちらも再掲の資料となりますが、現在の費用対効果評価制度のガイドラインにおきましては、基本分析に加えて、公的介護費を含める追加的分析を実施することができる。なお、公的介護費は国内の知見に基づき推計されたものを用いるとなっております。
一方で、下段の通知におきましては、当該分析結果を費用対効果評価案の策定には用いないという記載になっております。
また、現時点までに介護費用を含む分析が、製造販売業者から提出されたことはございません。
7ページにお進みください。
これまでの専門部会の議論をまとめております。研究の状況を見て判断すべきではないかといった御意見をいただいているところでございます。
続いて、8ページでございます。
前回10月4日の費用対効果評価専門部会での議論をまとめております。こちらにおきましても、技術的課題等を踏まえ議論すべきではないかという御意見。
また、介護データベースも使いつつ、個別品目に対して少し時間がかかるかもしれないが、費用対効果を評価することは、介護費用を含めた評価が可能かどうかを研究するに当たり、非常に重要ではないかといった御意見をいただいているところでございます。
以上、これまでの議論を踏まえ、前回部会において、介護費用の技術的な整理について、研究班より説明を検討するよう御指示をいただいておりました。
本日は研究班の福田参考人により、技術的課題について御説明をお願いしたいと考えております。
私からの説明は、ひとまず以上でございます。
○安川部会長
ありがとうございました。
それでは、研究班の福田先生より、御説明をよろしくお願いいたします。
○福田参考人
国立保健医療科学院の福田でございます。
薬費-3の資料に沿って、公的介護費用の取扱いについて、お話をさせていただきます。
資料の2枚目を御覧ください。
まず「公的介護費用の取り扱いに関する基本的な考え方について」ということでございます。
今、実施している費用対効果評価制度におきましては、製造販売業者による分析が提出された後、公的分析として、6か月以内に分析のレビューと再分析を実施していると、こういう制度でございます。
現行のこの制度の分析ガイドラインの上では、公的介護費用を含めた分析については、医療費のみの分析と併せて、製造販売業者が希望する場合には提出が可能であるというようになっております。
さらに、この公的介護費用については、本制度開始時点におきましては、総合的評価で配慮を行う要素として、事例を収集した上で今後の仕組みの参考としていくものとされてきています。
このような介護への影響については、医療技術の価値の評価にとって重要な要素であると我々も認識しておりまして、医療費と併せて検討することが必要な場面があるという認識を持っているところです。
3枚目のスライドを御覧ください。
したがって、仮にですけれども、製造販売業者から公的介護費用を含む分析が提出された場合、これまでなかったというのは、先ほどお話があったとおりなのですけれども、今後提出された場合、医療費のみの分析と同様のプロセスにより、公的分析を実施することになるものと認識しております。
すなわち、提出された分析内容の検討を行って、必要に応じて再分析を行うというプロセスを経るものと承知しております。
しかしながら、公的介護費用を含めることについては、結果への活用ができるかどうか以下の2点から課題があると考えています。
一つは、公的介護費用の推計に関する技術的な課題。
もう一つは、公的介護費用を費用対効果評価制度に含めることの学術的な課題でございます。この後、御説明をさせていただきます。
ただ、この公的分析の実施に当たっては、前回もお話がありましたが、介護データベースでありますとか、ほかの既存のデータ等を用いて、学術的に妥当な推計となるよう、可能な限り検討を行いたいと考えています。
また、研究班としては、個別の品目の評価を担当するというのは適当ではないと思っておりますけれども、そもそもこういうデータベースを活用するためのノウハウでありますとか、分析法については研究班のほうで検討しているものでございます。
これらの課題を踏まえた上で、公的介護費を含めた分析をどのようにして価格調整に反映するのか、このような制度的な御検討をいただく必要があるのではないかと考えております。
この後、課題についてお話をさせていただきます。
まず、公的介護費用の推計に関する技術的な課題でございます。
5ページ目にお進みいただいて、先ほどもありましたが、公的分析においては、まだ、公的介護費用を取り扱った経験が乏しいという状況でございます。関連通知によれば、このデータが企業から提出されれば検討するという形になっておりますが、現在のところ製造販売業者が公的介護費について提出したという例がないために、科学的知見を深め、今後の分析の質を高める検討というのが、その事例に基づくというところは進んでいない状況でございます。
そのため、これを活用できるかどうかについては、提出されたもの以外に、具体的な例を基に、さらなる研究を進める必要があるのではないかと考えているところです。
6ページにお進みください。
この具体的な検討を進める上でも、この介護DBというものの利用については、非常に期待を持って取り組んでいるところでございます。
これについては、さらなる研究が必要であると御指摘をいただいているとおりでございまして、介護DBに関しましては、2018年度から第三者提供が開始されて、2020年度には、NDBとも連結ができるとなっています。
このようなデータが、我が国において整備されているということは、以前よりも、こういうデータの活用はしやすくなっていると認識しているところです。
ただし、これを使うに当たっての課題の1つとして、費用対効果評価におきましては、患者さんの各健康状態に対応する介護費用などの情報が必要になってまいります。
これは、この後にお話しするNDBを使った医療レセプトでも実は同様なのですが、疾患名とか診療行為等の情報のみでは、健康状態の定義が難しい場面というのがございます。例えば、今、議論していただいている認知症の例で言いますと、一般的にこの程度表す国際的な認知症の検査の方法として、MMSEというものがあるかと思いますが、こういったもののデータは、医療、介護レセプトどちらにも含まれていないという状況ですので、別の方法を考えなければいけないということになると認識しています。
公的分析においても現時点では、介護DBの使用経験がまだないという状況でございますので、今後の研究に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
次のスライドの7ページのところが、NDBでもこういう課題があるという一例でございます。これは、もう既に評価が終わったもので、COPDの治療薬について評価を行ったときのものですが、重症度別のデータが必要だったということでございます。一般にCOPDの重症度は、呼気の一秒率という指標を用いますが、この検査結果は、やはりレセプト上にはありませんので、これと関連するものとして治療内容でありますとか、こういうものを基に重症度の分類を行って、それぞれの費用を推計したという事例でございます。
介護の費用を推計するに当たっても、このようなレセプト上にあるデータで推計をしていくということの研究が必要だということでございます。
8ページ以降で、公的介護費用を費用対効果評価制度に含めることの学術的な課題について述べさせていただきます。
9枚目にお進みください。
一般論といたしまして、費用対効果評価という考え方の中では、費用をどこまで含めるかという考え方ございまして、これは立場、パースペクティブというので決まるということでございます。
現在の日本での取組、ガイドライン上では、公的医療保険制度の範囲を含むという公的医療の立場というのを基本としているということでございます。
これは、関連の通知の中でも、公的介護費を含んだ、あるいは生産性を含んだものについて分析した場合でも、評価案の策定には用いないという形で、現行はなっておりますので、そのような位置づけになっています。
10ページにお進みください。
一方で、先ほど申し上げたとおり、こういうものを考える必要がある場面というのもあると考えられますので、医療費よりより広い範囲を勘案する立場を取るということもございます。
これは、諸外国でもこのような取組を行っているところがありまして、我が国における公的介護の給付範囲を超えた医療と隣接する、例えば障害でありますとか、母子保健などの分野も含めたようなものを取り上げている場合も多くございます。
例えば、イギリスであれば、パーソナル・ソーシャルサービスという比較的広めな、公的ファンドでやっているものでありますけれども、対人社会サービスを含めていたり、オランダやカナダでは、インフォーマルケアの費用まで含めるという考え方を示しているところもございます。
このように広く捉えた場合には、我が国における公的介護保険といいますのは、高齢者が給付の中心でありまして、例えば、諸外国で取り上げられているような小児疾患の介護費用等については考慮されないということになります。
さらに言いますと、これらの費用に関しては、我が国では公的介護費用よりも推計が困難ではないかと、介護DBのようなものは整備されていないということでは難しいのではないかと思っています。
そこで、もし、公的医療よりも幅広い費用を含める場合には、その範囲をどこまでにすべきか、あるいはどのように推計するか、これは1番目の課題の推計方法とも関連しますけれども、こういった点のさらなる研究が必要と考えております。
次にお進みいただいて、12枚目になります。
そこで、参考情報として諸外国のカナダの例を御紹介したいと思いますが、12ページのものは、最近、カナダに直接行って、ヒアリング調査をしてきたものでございます。
カナダはCADTHというのが、費用対効果評価を担当しているところですけれども、そこではpublicly funded health care payerと、公的医療支払者という立場を原則としています。
ただし、より幅広い費用を考慮したsocietal、社会的な立場も提出が可能ということになっているのですが、現時点で、意思決定にも用いていないということでございました。
ただ、2024年度以降については、一部の疾患について、医療費に限定した立場と、社会的な立場の両方について分析するということで検討を進めているというお話がございました。日本と似たような状況なのかなと思っています。
基本的にカナダでは、CADTHというところで費用対効果の分析を行って、いわゆる増分費用効果の値が許容範囲となるような価格について、pCPAと呼ばれる、これも公的な機関ですが、企業と価格交渉を行うような仕組みになっているということでございます。
今のところCADTHでは、既存の品目についても分析が出ているものについては、少し比較検討しているということで、多くの品目では結果が大きく変わらないということではございました。
来年以降、どのような制度になるかというのは分からないのですけれども、両者の分析結果に乖離があるような場合には、社会的な広い立場のみではなく、両者の分析に基づく価格の設定について交渉していくということだそうでございます。日本についても、こういったアプローチの検討が必要かもしれないと考えているところでございます。
最後、14ページがまとめでございます。公的介護費用については、推計における技術的な課題及び制度での取扱いについて学術的な課題であり、やはり研究としてさらに取り組んでいきたいと考えているところでございます。
まず、これらの課題を整理した上で、我が国における医療保険制度の給付対象を取り扱った公的医療の立場からの分析結果と併せて、公的介護費用等を含めた分析への対応を検討するという形が必要なのではないかと考えているところでございます。
以上でございます。
○安川部会長
福田先生、御説明ありがとうございました。
では、引き続きまして、事務局より説明をお願いいたします。
○木下医療技術評価推進室長
事務局、医療技術評価推進室長でございます。
薬費-2にお戻りください。9ページにまとめをつけております。
まず、現行のガイドラインでも「公的介護費へ与える影響が評価対象技術にとって重要である場合には、公的介護の費用を含めた分析を行うことができる」とされているが、これまで、介護費用を含めた分析は行われていないこと。
専門部会における議論において「介護費用の取扱いについて、介護費用を含めた分析についての研究の状況を見て判断すべきではないか」「介護費用の軽減を医療保険の財源を使って評価することが妥当かどうか、深い議論が必要である」という意見があったこと。
また、諸外国において、公的介護の制度が異なるため一概に比較は困難であるが、介護の費用への影響を分析に組み込むこととしている国が複数あること。
我が国においては、公的介護に係る統一的なデータベースとして介護データベースが整備されていること。
製造販売業者から提出された薬価基準収載希望書では、承認審査に用いられた有効性・安全性に係る試験成績に関する資料以外に、介護費用等に基づく評価に関する内容が含まれていること。
また、今、研究班のほうより技術的課題について御説明いただいたというところが現状でございます。
以上を踏まえまして、論点といたしましては2点。
介護費用の分析の取扱いに関しては、技術的な課題も踏まえ、どのように考えるか。
今後の議論の進め方として、介護費用の取扱いについては、レケンビにかかる議論の中で合同部会として行うこととしてはどうかとしております。
説明は以上となります。
○安川部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明について、御意見、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
では、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
ありがとうございます。
まず、資料薬費-1の3ページの薬価算定方法の対応の方向性、4ページの算定に用いるデータの対応の方向性、いずれも異論ありません。
続いて5ページ、薬価収載後の価格調整、市場拡大再算定についてです。
資料にも記載されているような状況の変化、例えば、使用可能な医療機関の体制や、使用実態の変化に加え、投与前の患者選択に当たる、より簡便な検査方法が使用可能になることなどや、患者当たりの投与期間による影響もあり、現時点で価格調整ルールの在り方を検討するのは困難であると考えます。
本剤については、市販後に全例調査が実施されますので、収載後の状況を把握しながら、現時点においては、一定期間経過後に必要に応じて改めて議論することをルール化しておくことを提案いたします。
さて、患者当たりの投薬期間に関連して事務局に質問いたします。
レカネマブの臨床試験では、18か月でアミロイド陽性の閾値を下回ったと報告されていますが、この時点で投与が中止されることも想定されるのでしょうか。
もう一つ、本剤と同様の新薬が登場した場合の影響は考えられるでしょうか。
続きまして、資料薬費-2、レカネマブに関わる費用対効果評価の在り方に関する論点、9ページの論点についてコメントします。
まず1つ目の論点です。福田参考人には丁寧な御報告をいただき、ありがとうございました。
報告により、公的介護費用の分析の取扱いに関して、技術的課題に加え、学術的課題もあるということは理解いたしました。
介護費用の推計についてなど、まだ研究を進めるべき技術的な課題も数多くあり、前回申し上げたように、引き続き研究を進めていただくものであり、今後の研究の進展に期待しております。
特に介護データベースに関しては、現時点で、使用経験がないとのことですが、介護データベースを用いることで、初めて明らかになる課題もあるかと思います。
次回以降、さらなる資料等も含めて、事務局に検討をお願いいたします。
したがって、報告いただいたように、様々な課題があり、引き続き研究を進める必要がある現状を踏まえますと、介護費用に係る制度の見直しは慎重に判断すべきと考えます。
2つ目の論点です。
介護費用の取扱いについては、レカネマブに係る議論の中で、引き続き合同部会として行うことに異論ありません。
私からは以上です。
○安川部会長
ありがとうございます。
今、御質問がありましたが、これについては、事務局から御回答をお願いいたします。
○安川薬剤管理官
薬剤管理官でございます。2つ御質問をいただいていますので、それに関して説明いたします。
まず、投与の継続の判断の件でございます。具体的には、こういった投与の継続についてですけれども、通常の診断の中で判断されるということもありますが、以前、資料にもお示ししましたけれども、最適使用推進ガイドラインでも、投与継続、中止の判断を定期的に行うという規定を設けることとしております。
その中で有効性の観点という意味でも、6か月に1回、継続の是非の判断をしながら、実際には認知症関係のスコアの評価とか、様々な症状の状況を見ながらということでの判断になろうかと思いますけれども、ガイドラインにそのような内容を規定する予定でございます。
もちろん、安全性の観点からも定期的な確認が当然必要ですから、そういったことを総合的に見ながら継続の判断をいただくことになります。その後も、18か月以上継続する場合につきましても、同様と思っております。
もう一つの今後の新薬の上市による影響につきましてですけれども、今回は、レケンビについて御議論いただいているところでございますけれども、類似の薬剤が既に承認申請されている状況と承知しております。
そういったものが仮に承認された場合には、本剤も含む全体的な市場規模予測を考えることになろうかと思います。承認内容とか、必要な安全対策とか、そういった内容によって変わり得るものと考えていますので、そういった薬剤が実際に出てきた段階で、改めて整理が必要かと認識をしているところでございます。
○安川部会長
では、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
回答をありがとうございました。投与の継続性については、今、御回答にあったように、最適使用推進ガイドラインで適切な記載をお願いいたします。
以上です。
○安川部会長
ほかに、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
まず、薬費-1の資料に示されている対応の方向性については、基本的には異論ございません。
そのうち、6ページ目に示されている薬価収載後の価格調整に関する対応の方向性についてですが、今後の投与患者数については、先ほど事務局から投与の継続性についての話もありました。実際の患者ごとの投与期間がどのくらいになるか不明であることや、使用可能な医療機関の数など、本剤の使用状況の変化により、本剤の市場規模は収載時の予測よりも大きくなる可能性が否定できないと考えています。
また、市販後のARIAの発現割合などの影響もあり、どのように増加していくのか、現状では推計が困難な部分があり、この時点で何かルールを決めることも難しいため、収載後の価格調整ルールは必要なタイミングで議論や見直しができるようにしておくことが必要と考えます。
次に、薬費-2の介護費用の取扱いに関する論点についてですが、福田参考人から御説明いただき、ありがとうございました。
現状では、介護データベースの利用経験が少なく、公的分析での使用経験がなく、技術的な課題についての整理も十分できる状況ではないと考えます。
課題の整理とともに、引き続き研究を行う必要があると考えます。それらがある程度クリアされてから、評価に組み込んでいくことも1つと思います。
また、公的介護費用以外の費用をどう考えるのか、学術的な課題についても研究していく必要があると考えます。
今後の議論の進め方については、異論はございません。
私からは以上です。
○安川部会長
ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか、では、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
まず、1の資料の5ページの対応の方向性については、今、長島委員がおっしゃったように、現時点で価格調整ルールを変更するまでには至らないのではないか、ただ一方で、今後の動向によっては、ルールを変更することが可能な状況に置くということについて、私も賛成したいと思います。
2点目ですけれども、資料2の最後の9ページの論点ですが、費用対効果は、私も少し思い入れがあることなので、費用対効果の中の介護費用の分析をどう考えるかということは、レカネマブという認知症の薬というのは、ある意味では試金石になるのではないかと思っています。
いわゆるアウトカムとして介護費用が減るかどうかというのは、高額な薬剤であるからこそ、非常に大きいポイントではないかと思います。
一方で、今、福田参考人からもお話がありましたように、技術的、学術的な課題が多いということも十分理解させていただきました。そして、諸外国でもまだまだ十分な評価はできていないということも。
一方で、公的介護保険等がきちんと整備されている我が国において、先駆的な取組として、これが本当に可能かどうかということを見るためにも、ぜひ研究は続けていただければと思いますし、もしそれからネガティブデータになっても、介護費用のアウトカム評価を費用対効果の項目として見るのは難しい1つのネガティブデータとして次に進めることになると思いますので、ぜひ研究を続けていただきたいと思っています。
そしてまた、最後の合同部会で今後検討するということに対しては、もちろん賛成したいと思います。
以上です。
○安川部会長
ありがとうございます。
ほかいかがですか、では、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
公的介護費用の取扱いについて申し上げます。MCIとか軽度認知症は、現状においては介護保険サービスよりも、地域支援事業のサービスの利用も多いと想定されますので、その点においては、公的介護費用には反映されないこととなります。
既に要支援1と要支援2の方の通所介護、訪問介護は、地域支援事業の中の総合事業に移行していることは留意すべきだと思います。
また、公的介護費用に関するサービスを利用するとすれば、居宅サービス、地域密着型サービスが想定されますけれども、医療保険と介護保険の違いは、介護保険は契約によってサービスが提供され、始まります。
したがって、本人の意思とか、ケアマネジャーとの話し合いというものが、かなり影響に入りますので、そういった要因も勘案すべきではないかと思います。
以上でございます。
○安川部会長
ありがとうございます。
ほかに御意見はいかがでしょうか。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
どうもありがとうございます。
まず、冒頭に、この専門部会の位置づけを確認させていただきたいと思うのですが、最初に安川部会長のほうから、情報共有化という言葉があったかと思うのですけれども、今回、レカネマブを特に念頭に置いて、こういったことになっているのですけれども、専門部会において、レカネマブに関する大半のことを、結論を得るという形になるのか、あるいは情報共有化を図った上で、おのおのの部会で持ち帰って、おのおののカテゴライズを決めるというステップになるのか、その辺を明確化した上で議論に入っていただきたいと、これは前回に主張すればよかったのですが、お願いでございます。
次に、資料に関するコメントでございます。
まず、薬費-1でございますが、論点の1と2については、事務局から示されております対応の方向性に異論はございません。
論点の1につきましては、算定組織で丁寧に議論をしていただき、算定の方法並びにその方法を選択した理由を中医協にも示していただきまして、我々も判断できるように、ぜひお願いをしたいと思います。
あと、論点の3でございますけれども、収載後に患者数が上振れすることや、投与期間が長期化する可能性が否定できず、保険財政に極めて重大な影響を及ぼす懸念がございますので、市場拡大再算定について、個別的な取扱いを検討することは不可欠であると考えております。
続きまして、薬費-2でございますけれども、3ページにございます、今後の議論の進め方については、事務局案のとおりで結構でございます。
また、福田参考人には、介護費用の分析に関して御説明をいただき、どうもありがとうございました。
その報告にもありましたとおり、そもそも費用対効果評価の中で、公的介護費用を扱った経験が乏しく、技術的にも、さらに学術的にも課題があることが分かりました。
医療保険の給付で介護費用を考慮することについての枠組み上の問題は別といたしまして、技術的な観点からも、かなり困難な作業になることが予想されますので、分析を進めるということであれば、体制を含めて慎重な検討が必要だということを指摘させていただきます。
私からは以上になります。
○安川部会長
ありがとうございました。
今、松本委員から、御質問というか御提案というか、ありましたが、これは事務局からお願いいたします。
○安川薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
合同部会の位置づけというか、そういった御質問をいただきましたので、回答いたします。
今回、合同部会の形式を取ったのは、前回の部会でも紹介しましたけれども、データの取扱いといった観点については、費用対効果評価も含めて、総合的に議論する必要がございましたので、それぞれの部会で御議論いただくというより、双方の部会の議論を踏まえて議論をいただくことがよかろうということで、こういった提案をさせていただきました。
最終的には、それぞれの部会として、薬価の考え方、あるいは費用対効果評価の考え方をまとめて、それを総会に報告いただくということになりますので、個別の部会でまとめていくのか、あるいは合同部会の中でまとめていくかというところは、効率性を考えると、合同部会で議論を進めていくことが適当ではないかと思っているところでございます。
以上です。
○安川部会長
松本委員、いかがですか。
○松本委員
今後の審議には対応したいと思います。よろしくお願いします。
○安川部会長
ありがとうございます。
事務局、ありがとうございました。
ほかに、御意見、御質問等ございますでしょうか。
では、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
薬費-1の5ページの論点3なのですけれども、皆様と同意見ではありますが、市場拡大再算定については、医療機関の体制や使用実績、実態の変化、また、投与前の患者選択に当たり、いろいろな検査方法が使用可能になっていくということの状況の変化なども見込まれると思いますので、投薬そのものではなくて、周辺状況も考慮できるような取扱いを考えていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○安川部会長
ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。
では、飯塚委員、お願いいたします。
○飯塚委員
ありがとうございます。
今回のレカネマブの件ですけれども、医療費が増えるけれども介護費用は減るかもしれないというケースで、医療と介護を一体で考えることのメリットがあり得るケースということになります。
先ほどの脳卒中のtPAに関する議論で、要介護となった原因の理由の第2が脳卒中であったというデータも御提示をいただいておりました。
今後も医療と介護をより一体的に考えることで、医療資源の有効利用が可能となり、国民にメリットをもたらすというケースも、当然あり得るケースもあると思いますので、先ほどもお話にありましたけれども、先駆的なケースとして分析していただいて、様々な課題があると思いますけれども、そういうものを洗い出していただくと、あるいは今後どういったデータがあれば、よりよい分析ができるか等も含めて御議論をいただければと思います。
以上です。
○安川部会長
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
ほかに御質問、御意見等ございませんようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思います。
本日の合同部会の議題は以上です。
次回につきましては、本日の議論を継続して進めるため、今回と同様に、合同部会の形式で議論を深めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○安川部会長
ありがとうございます。
それでは、次回も合同部会として開催することとしたいと思います。
本日いただきました御意見等に基づいて、事務局で必要な資料の準備等をよろしくお願いいたします。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡をいたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の合同部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
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