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2019年2月20日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会 合同部会

○日時

平成31年2月20日(水)9:48~10:23

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

荒井耕部会長 田辺国昭委員 野口晴子委員 中村洋委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 島弘志委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
平野秀之専門委員 上出厚志専門委員 堀之内晴美専門委員
林利史専門委員 五嶋規夫専門委員 
<参考人>
福田敬参考人 池田俊也参考人
<事務局>
樽見保険局長 渡辺審議官 山本審議官 森光医療課長 古元医療課企画官
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 費用対効果評価について 骨子(案)
○ 費用対効果評価の分析ガイドライン改定案について

○議事

 

○荒井費用対効果評価専門部会長
ただいまより第17回「中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会合同部会」を開催いたします。
まず、本日の委員の出欠状況について報告します。本日は、野口委員、榊原委員が御欠席です。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○荒井費用対効果評価専門部会長
まず、「費用対効果評価について骨子(案)」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。
企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
それでは、資料でございますが、費薬材-1が実際の骨子の本文となってございます。本日の会議におきましては、その次の費薬材-2、パワーポイントの資料に基づきまして御説明を申し上げます。
以前お示しした骨子(案)からの修正点を中心に御説明を申し上げます。まず、骨子(案)のスライドの2枚目、3枚目につきましては、これまでの主な経緯並びに主な方針、こうしたものを記載してございます。
続きまして、4コマ目、これまでの検討状況でございます。一番下から4行目、1月23日に骨子(案)を御提示いたしまして、その後、2月6日に関係業界からのヒアリングを行っていただきました。そして、本日、2月20日、費用対効果評価に関する骨子の取りまとめでございます。
6コマ目ですが、費用対効果評価の活用方法については、保険償還の可否の判断に用いるのではなく、一旦保険収載した上で価格の調整に用いるということ。
7コマ目でございます。医療保険財政への影響度を重視する観点及び薬価・材料価格制度を補完する観点から、革新性が高く、財政影響が大きい医薬品・医療機器を費用対効果評価の主な対象とするという内容でございます。こちらにつきましては、前回の骨子(案)からその観点を少し追加して整理をさせていただいております。
8コマ目でございます。費用対効果評価の対象とする品目については、速やかに選定を行う。また、分析・評価を円滑に進めるため、同時に多くの品目を選定するのではなく、時期を分散して選定することといたします。
9コマ目、除外基準でございます。費用対効果評価の結果を償還の可否には用いず、価格調整のみを行う場合でありましても、そちらに記載の1、2、こうした品目では開発の阻害、またアクセス制限につながる可能性が否定できないため、一定の配慮を行うということでございます。
このうち1に該当するものといたしまして、費用対効果評価の対象から除外する品目を設ける。具体的には、治療方法が十分に存在しない稀少な疾患(指定難病、血友病及びHIV感染症)のみに用いられる品目、及び小児のみに用いられる品目、こうしたものについては対象から除外するという考え方でございます。
11コマ目は、費用対効果評価の分析・評価の流れとなります。全体を通しまして3カ月から1年半程度、こういった期間で分析・評価を行うというのを標準的な期間と位置づけております。
12コマ目、分析前協議の方法及び分析実施中の協議についてでございます。分析前協議・分析実施中の協議につきましては、企業と公的分析班は直接接触しないことといたしまして、国立保健医療科学院が企業や公的分析班と協議をしながら照会を行うことといたします。分析前協議において、分析の枠組みなどについて可能な限り決定いたしまして、それに基づき分析作業を進めることを原則といたしますが、分析を進める中で必要な事項について相互に照会することができる仕組みといたします。
13コマ目、費用対効果評価専門組織の役割、体制でございます。専門組織は、そちらに記載の3つの段階で関与を行います。すなわち、(ア)分析前協議の内容の確認、分析の枠組み等の決定、(イ)企業分析の内容の確認、(ウ)企業分析並びに公的分析の結果に基づく総合的評価を行う。
専門組織におきましては、希望する企業が直接の意見表明及び相互に必要な質疑応答を行うことができる仕組みといたしまして、また、不服のある企業については不服意見書を提出するとともに、専門組織において直接の不服意見表明を行うことができる仕組みとしてはどうかという内容でございます。
15コマ目、公的分析の方法や体制についてでございます。まず、公的分析の方法につきまして、こちらは提出された企業分析の科学的妥当性を検証(レビュー)する。その結果、企業分析に課題があり、科学的妥当性に疑義がある場合については、独立した分析(再分析)を行うことという内容でございます。
公的分析の実施体制でございますが、国立保健医療科学院が公的分析を主導し、各種の調整を行います。その上で、大学などを公的分析班と位置づけて複数設置いたしまして、公的分析を実施する。これを基本のフレームといたします。また、利益相反に関する対応については、そちらに記載のとおりでございます。
16コマ目、分析にかかる標準的な期間設定でございます。各段階での標準的な期間を、そちらに記載のとおり設定をいたします。各品目の進捗状況につきましては、定期的に中医協の総会に報告をする。また、費用対効果評価に係る分析の知見を有しない小規模な企業の場合など、標準的な期間での分析が困難な場合も想定されますので、標準的な期間を超えた場合はその理由を中医協総会に報告するとした内容でございます。分析ガイドラインのあり方については、そちらに記載のとおり、見直しを適宜行うということでございます。
17コマ目、データが不足している場合などの対応でございます。今後、さまざまな品目を分析・評価を行う中で、データが不足している等の理由で「分析不能」であることが確認された品目については、専門組織での協議を経た上で、中医協総会において分析・評価を中断することができる。その他、さまざまなケースが想定されますが、その対応についてはそちらに記載のとおりでございます。
18コマ目、総合的評価における科学的な観点からの検証方法でございます。ICERにつきましては、分析に適したデータが複数ある場合など、ICERを1点で決めることが困難な場合は、幅を持った評価を許容する。そして、価格調整に当たりましては、ICERの幅が価格調整のどの領域にあるのかを速やかに公表いたします。その上で、今後の分析の質を高めるために、分析内容や議論となった科学的論点、ICERの値などについて報告書などの形で公表するといった内容となっております。
19コマ目、配慮を行う品目についてでございます。下半分でありますけれども、配慮を行う品目については、総合的評価並びに価格調整において配慮を行います。具体的には、適応症の一部に治療方法が十分に存在しない稀少な疾患とか小児疾患、こうしたものが含まれる品目、並びに抗がん剤、こうしたものについては配慮を行います。また、公的介護費や生産性損失を含めた分析結果については、国内の知見に基づき行われたものに限り、あわせて提出することを可能といたします。価格調整には用いませんが、提出された分析結果を公表いたしまして、事例を集積した上で、今後の仕組みの参考にしたいといった趣旨でございます。
20コマ目、価格調整の対象範囲でございます。類似薬効比較方式、原価計算方式それぞれの品目につきまして、そちらに記載のとおり、価格調整の対象範囲としたいという内容でございます。
21コマ目、ICERに応じた価格調整方法でございます。価格調整方法といたしましては、ICERが一定の幅を持って評価された場合にも対応できる階段方式とする。また、500万円と1000万円/QALY中間の750万円/QALYを基準値といたします。また、総合的評価において配慮が必要とされた品目につきましては、右側に記載のとおり、750万円、1125万円、1500万/QALYを基準といたします。
22コマ目、価格調整率であります。有用性系加算の価格調整率並びに営業利益の価格調整率につきましては、下の図に記載のとおりの内容で御提案でございます。
23コマ目、価格調整率(その2)、こちらが前回の資料からの追加となった資料でございます。前回1月23日にお示しいたしました骨子(案)におきましては、価格の下げどめを10%または15%、こうした表記をしておりました。その後、中医協での御議論、また関係業界からのヒアリング、そういった御意見を踏まえまして本日の案を御提案しております。
具体的には、23コマ目の左下の図をごらんいただきたいと思いますが、X軸、横軸が有用性系加算の率、縦軸を下げどめの率といたします。25%までの有用性系加算の品目については、価格全体の10%を下げどめとしてはどうか。また、25%を超え、100%未満、こうしたものについてはなだらかにリニアに下げどめを上げていきまして、100%以上の加算が認められた品目についてはまた15%で下げどめをする。こうした御提案でございます。
24コマ目は、比較対照技術に対して費用が削減されるなどへの対応でございます。前回の骨子(案)でもお示ししましたとおり、ドミナント及びICERが200万円未満の品目についての引き上げのルールでございます。
25コマ目、価格調整のタイミング、手続、体制の強化については、そちらに記載のとおりでございまして、基本的には価格調整は年4回のタイミングで行う。また、調整後価格の公表から価格調整までは、在庫への影響等を考慮し、一定の期間を設けるということ。また、体制の強化に取り組む公的分析を実施可能な人材を育成するために、新たに教育プログラム設置を検討、あわせて厚生労働省並びに保健医療科学院の体制充実を図るとしております。
最後に、26コマ目でございます。こちらはこれまでの検討内容などを踏まえまして、今後の検討についてということで、新しくスライドを用意しております。中医協におきましては、そちらに記載のとおり検討を進めてまいりました。
今回の骨子の取りまとめに当たりましては、これまでの中医協における検討、試行的導入の結果、有識者の検討結果及び関係業界からの御意見を踏まえ、費用対効果評価専門部会及びこちらの合同部会におきまして、論点整理、対応案の検討を行ってまいりました。本年4月より本骨子の内容に基づき運用を進めるとともに、費用対効果評価に係る事例を集積いたしまして、体制の充実を図ることといたします。こちらを基本といたします。
その上で、適正な価格設定を行うという費用対効果評価の趣旨や、医療保険財政への影響度、価格設定の透明性確保などの観点を踏まえ、より効率的かつ透明性の高い仕組みとするため、関係業界からの御意見並びに諸外国における取り組み、こうしたことを参考にしながら、選定基準の拡充、分析プロセス、総合的評価、価格調整方法及び保険収載時の活用のあり方などについて検討するとしております。
また、総合的評価や価格調整において配慮する要素や品目の範囲、配慮の方法などについては、今後企業から提出される分析結果や諸外国における運用などを参考に検討を行うこととするという内容でございます。
骨子(案)の御説明については以上でございます。よろしくお願いいたします。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明を踏まえ、御質問、御意見等がありましたら、どうぞお願いします。
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
23ページ、価格調整率(その2)の下げ止めの設定について今回新たに御提案いただいているのですが、確認、質問を2点ほどさせていただければと思います。
まず、1点目は、医薬品と保険医療材料における下げ止め率の基準は、資料では同一でございます。基本的な価格調整の方法については同等の考えでもいいのかと思いますが、やはり安定供給を確保する観点から、下げ止めの考え方においては、医薬品と保険医療材料における有用性系加算の調整率の範囲は同等ではないわけですし、また、原価計算方式の革新性の評価においての価格調整方法も、医薬品と材料は違うと思っております。これらを勘案すると、医薬品と保険医療材料での下げ止めの基準を別に設けることも考えられるのではないかと思ったわけですが、別々でなく統一にしているという検討経緯や考え方を教えていただければというのが、1点目です。
2点目は、20ページにあります「原価計算方式における価格調整対象範囲(イメージ)」の2のような場合、営業利益のみが調整対象になるという品目については、今回、下げ止めの設定をしておりませんけれども、この品目についてはどう考えるのか。やはり最低10%が下げ止めなのか、それとも別に15%を超えてもいいという考え方なのか、その辺を教えていただければ。2点です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
御指摘いただきましたとおり、薬価と材料価格では大きなフレームとしては同様でありますけれども、最大加算率などが異なっているというのが現状でございます。今回、それぞれのルールに従って費用対効果評価の価格調整を行うわけでありますけれども、今回御提案申し上げているのは、あくまでも下げどめ、どの程度まで薬価もしくは材料価格を調整することが安定供給に与える影響、そういった観点でごらんいただければと思っております。ですので、全ての品目が下げどめ規定に該当するわけではありませんし、より下げ率の低いものであれば、今回の規定は特に関係がないといったものでございます。
2つ目の御質問でございますが、加算のない品目につきましては、実際には引き下げ率というものが下げどめの基準にまで至らないというものと考えておりますので、ここは少し別に考えていただいて大丈夫ではないかと思っております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
よろしいですか。
松本委員、どうぞ。
○松本委員
診療側といたしましては、今の20ページ、それから23ページの下げどめのルールも、有用性系加算の多寡によって考え方を変えるということについては、基本的には賛成いたします。
全体的な骨子(案)についても、1月23日にこの案が示されて、その後の業界ヒアリング等を踏まえて今回微修正を行ったわけですけれども、この案につきましては了承したいと思います。
中医協においては平成24年から検討が始まって、当初、厚生労働省は総論なしで各論、そしてまた理念なしで技術論を提示して、2年後の診療報酬改定で試行的導入ありきで進めようとされていましたけれども、そのときから両側の委員から、性急に結論を求めず、幅広い観点から慎重な検討を行うべきとの指摘があって、結果的に次回改定ありきではなくなりました。
その後、平成30年度までじっくりと検討が続けられて、現行のあるべき日本型のきめ細やかな制度案となった理解しております。
保険償還の可否に用いるのではなくて、一旦、保険収載した上で価格調整に用いられ、現行の薬価制度や材料価格制度をあくまでも補完するという観点で活用するという基本原則が守られており、事例を積み重ねて、同時に体制の充実も図りながら、諸外国の取り組み状況もその都度参考にしながらですけれども、今後も継続的に検討すべきと考えております。
以上です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
今、松本委員からもお話がありましたが、骨子(案)全体の方向性、総論については、来年度から費用対効果評価制度を本格導入、この案で進めることについては賛成したいと思っています。
一方、26ページに今後の検討についてまとめていただいておりますが、費用対効果評価制度としてこれで完成されたということではなくて、ようやくスタート台に立ったと理解しておりますので、今後、運用における課題も各分野で山積していると考えておりますし、費用対効果評価にかかわる国内での事例の集積のみならず、やはり諸外国における取り組みの動向も適時把握して、さらには内外の関係業界の意見も参考に、日本における費用対効果評価制度が世界の各国から評価されるような仕組みとなるよう、そのあり方については継続的かつ発展的に検討を重ねていくということが重要であると考えております。
その中で、喫緊の課題としては、公的分析班及び企業における評価体制の充実に尽きるのだろうと認識しておりますし、現状では評価対応件数にも限界があるというのはわかっていることでありますので、事務局におかれては、専門組織及び公的分析班の体制強化、並びに人材育成などの具体的な充実案についての工程表の検討を早急に進めていただければありがたいと思っております。
最後に、この費用対効果評価制度については、今、松本委員からもございましたように、2010年ごろに議論が開始され、10年近くかけていろいろ議論を重ね、導入にこぎつけたわけでございますが、この間、事務局におかれてはさまざまな課題、さらに難局があったというのは、私もこの議論の途中から参加させていただいて身に染みて感じているところであります。
今回、関係各所とも協議し、粘り強く研究を続けていただいて本日に至ったということに対しては、この場をお借りして事務局に対しては敬意を表したいと思っておりますし、今後、今申し上げたように、この評価制度を確たるものにするための検討も継続して積み上げていただければと思います。微力ながら私も参加をしたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
最後に、いろいろな課題の中ではやはり倫理的、社会的影響に対する論点というのが諸外国の機関からもいろいろ意見を頂戴しておりますけれども、日本の患者サイドの視点から言えば、支払い的な観点というのも学術的な研究も含めて重ねていただければありがたいと思っています。個人的な意見です。
以上です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
ほかに御意見等がないようでしたら、本日の議論を踏まえた骨子(案)をもって、費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会合同部会としては、先生方の御意見が集約されたとして取りまとめさせていただきたいと思います。
その際、細かい文言の修正は部会長に一任させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
それでは、骨子(案)を総会へ報告させていただきたいと存じます。
次に、「費用対効果評価の分析ガイドライン改定案について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。
では、参考人。
○福田参考人
では、私のほうから。参考人の福田でございます。よろしくお願いいたします。
分析ガイドライン改定案につきまして御説明させていただきます。資料としては費薬材-3が本体になりますけれども、前回御説明したときの御指摘を受けまして、別紙として変更前と変更後、また変更理由の一覧表を作成いたしましたので、基本的にはこの別紙のほうで御説明させていただければと思います。前回はこのような資料がなくて大変失礼いたしました。
この表に書いてありますのが、変更後、変更前。変更前といいますのは、試行的導入で使ってきたガイドラインでございます。変更後が今回の提案、一番右が変更理由となっております。
この中で主な変更の御提案について御説明させていただきたいと思います。まず、一番上のNo.1と書いてある第1章、ガイドラインの目的のところです。ここは、本ガイドラインが製造販売業者により提出される分析と公的分析を対象としている、両方に係るものであるというのを明記いたしました。
それから、項目の3番目になります。章だと3というところで、分析対象集団というところですけれども、3のセクション1というところに、変更前ですと、分析時点において評価対象技術の適応となる患者を分析対象集団とするとありました。今回の提案も基本的に同じなのですけれども、分析時点というのが誰の分析の時点かというのが明確でないということが試行の段階でもありましたので、製造販売業者による分析の実施時点においてということを明記いたしました。
そのもうちょっと下に行きまして、No.6、第4章のところですけれども、これは比較対照技術に関するものでありまして、変更後のものがアンダーラインのようなものになっています。導入された時点で代替されると想定されるもののうち、治療効果がより高く、臨床現場等において幅広く使用されているものを選定することが原則的な考え方であるということです。右側の変更前のものですと、文の最後のところですが、多く代替されたと想定されるものというような言い方になっています。
これは、試行的導入におきましては主に既収載品を対象としておりましたので、実際にどれだけ代替されたというものがある程度データを持って確認できるような状況でありましたけれども、今回主に想定されているのが新規に収載されるものということですので、このような「代替されると想定される」というような言い方とか、治療効果が幾つかあるのであれば、より高いものを比較対照にするという考え方を明確にしたということでございます。
項目の8番目、章で言うと第5章で、追加的有用性というものです。これは、変更前は「追加的有用性・安全性」という言い方でしたけれども、一般的には「追加的有用性」という表現を使いますので、このように変更しております。
追加的有用性の評価につきましては、そのページの一番下、9番目から次のページにかけて、試行での経験を踏まえて幾つか明確にしてきたということでございます。その中でも特に大きな変更として御提案させていただきたいのが、ちょっと先になりますけれども、13番目の項目、No.13というところで、5のセクション4というところですが、これは従来なかったものですけれども、このようなものを追加いたしました。ちょっと読ませていただきます。「より信頼性の高い結果が得られると考えられる場合、協議の上で適切と判断されれば、既存の観察研究やレジストリーデータなどを再解析した結果をもって、追加的有用性の有無を評価してもよい。ただし、研究の質(研究デザイン、群間での患者背景の差異、統計解析手法、サンプル数や施設数等)について十分に説明しなければならない」というものでございます。
ここは従来の治療法に比べての追加的有用性を原則としては無作為か、ランダム化比較試験に基づいて評価をしていくという章ではありますけれども、試行でもなかなかこういうデータがないような領域もございます。その場合に、試行でも1品目についてこういう対応をとりましたが、既存の研究として集められているような観察研究のデータ、あるいはレジストリー、患者登録のデータなどを解析し直して有効性を判断するということを行いました。このような方法を今後も取り入れるべきだろうということで、これは新規の項目として追加をいたしました。
もう少し先に行かせていただいて、次の大きな御提案は23番目の項目で、6.4というところです。分析手法につきましては、基本的には試行的導入と同じ考え方ですけれども、項目23の6.4というところで、「分析対象となる複数の疾患や、同一疾患内での複数の分析集団がある場合、ICERは疾患や集団ごとに算出する」と。これは言い方としては従来と趣旨は変わっていないのですけれども、試行でもここは議論が分かれたところですので、このあたりを明確にしたということであります。
その下の24番目の項目で、8章、効果指標に関するところです。これも基本的には変更前ですと「質調整生存年(QALY)を基本としつつ」という言い方でしたけれども、中医協での議論に基づいて「QALYを用いることを原則とする」というような言い方に変更しております。
少し先に行かせていただいて、32番目になりますけれども、9章の4というところです。これはデータソースについての考え方ですけれども、これは特に今回追加で入れたものでございます。医療機器等の評価において課題になったことですけれども、価格的に信頼できる定量的なデータがある場合は、協議における両者の合意のもとで、上記のデータに基づく分析、これはRCTとかそういうものに基づくデータですけれども、それとは別に、いわゆる習熟効果(経験の蓄積による治療効果等の改善)や、ラーニングカーブと言われるものですけれども、製品改良による効果を反映した分析をあわせて提出してもよいという形にしました。
これはどうしても医療機器の場合には、習熟することによってより有効性が上がるということがあるということですので、これを考慮するというようなことを盛り込んだものであります。ただし、これがきちんとしたデータに基づいてというところは必要な条件かなと考えます。
次の33番目の項目が第10章、費用の考え方ですけれども、これも試行での取り組みを踏まえまして、各健康状態の費用の推計において、適切な場合には「10.3」の観点、これは本体を見ていただかないといけないので御説明しますが、10.3の観点と言いますのは、費用については日本における平均的な使用量とか標準的な診療過程に基づいた計算をしてくださいというのが10.3の趣旨でございます。この観点から、実臨床を反映した国内におけるレセプトのデータベースを用いることを推奨するというようにしています。ただし、レセプト上で健康状態の定義が困難であるとか、評価時点においてデータの十分な蓄積がないなど、推計の実施が困難な場合はその限りではないとしています。
ここは試行的導入でも用いましたけれども、ナショナルデータベースを含むレセプトデータを用いた分析方法について明記をしたということであります。そこから幾つかの項目については、レセプトデータの扱いについての記載を追加しているということであります。
それから、No.43になります。介護費用あるいは生産性損失に関するものですけれども、変更したのはアンダーラインのところだけでありまして、変更前のものでも公的介護費や生産性損失を含めてもよいという記載がありましたので、これはこのまま残しています。ただし、中医協での御議論を踏まえまして、国内の知見に基づき推計された公的介護費や生産性損失を含めてもよいというような言い方にしております。
主な項目については以上でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明に関して、御質問等がありましたらお願いします。
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
ありがとうございます。
前回、こういう比較表をということでお願いして、まとめていただいたので非常によくわかりました。今後も、先ほどの骨子にもありましたが、制度化以降の見直し等においても、こういう対応で御報告、御説明いただければありがたいと思っています。本当にありがとうございました。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ほかにはいかがでしょうか。
ほかに御意見等もないようでしたら、本件については御報告の内容で御了承としてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。それでは、そのようにしたいと存じます。
本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いします。
それでは、本日の費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会合同部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
 

 

(了)
<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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