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2019年1月23日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会 合同部会

○日時

平成31年1月23日(水)10:00~12:01

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

荒井耕部会長 田辺国昭委員 野口晴子委員 中村洋委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 島弘志委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
平野秀之専門委員 上出厚志専門委員 堀之内晴美専門委員 
林利史専門委員 五嶋規夫専門委員 
<参考人>
福田敬参考人 池田俊也参考人
<事務局>
樽見保険局長 渡辺審議官 山本審議官 森光医療課長 古元医療課企画官
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○費用対効果評価に関する検討について
○費用対効果評価の分析ガイドライン改定案について
 

○議事

 

○荒井費用対効果評価専門部会長
 ただいまより第15回「中央社会保険医療協議会・費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会合同部会」を開催いたします。
 まず、本日の委員の出欠状況について報告します。
 本日は、榊原委員、松原委員が御欠席です。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○荒井費用対効果評価専門部会長
 まず、「費用対効果評価に関する検討について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。企画官でございます。
 お手元の資料、費薬材-1をごらんください。こちらは、これまで議論を積み重ねてまいりました費用対効果評価について、一定の骨子(案)という形でおまとめをしたものでございます。
 続きまして、費薬材-2がパワーポイントの資料になりますが、先ほどお示ししました骨子(案)の概要をパワーポイントの資料としてまとめたものでございます。本日は、骨子(案)につきまして、この費薬材-2に基づきまして御説明を申し上げたいと思います。よろしくお願いします。
 費薬材-2の2ページ目をごらんください。こちらが「費用対効果評価の検討にかかる主な経緯」でございます。2012年に費用対効果評価専門部会を設置いたしまして、2016年からは試行的導入を行ってまいりました。
 また、3ページでございます。一番下、2018年6月15日の閣議決定におきまして、費用対効果評価につきましては、本格実施に向け、その具体的内容を引き続き検討し、2018年度中に結論を得ることとされております。これに従い、検討を進めてまいりました。
 4ページ目をごらんください。ここ半年程度、6月13日以降の検討内容について記載しております。下から3つ目、1月23日が本日の中医協合同部会でございます。その下は今後の予定でございますが、2月に関係業界の皆様からのヒアリングをさせていただきまして、その後、取りまとめを行っていきたいという段取りでございます。
 それでは、具体的な内容について御説明申し上げます。5ページ目以降でございます。
 まず6ページ目、「費用対効果評価の活用方法について」でございます。費用対効果評価の結果は、保険償還の可否の判断に用いるのではなく、一旦保険収載した上で価格の調整に用いる。また、今後の実施状況を踏まえ、費用対効果評価に係る組織体制の評価や課題を整理した上で、活用方法についての検討を継続していく、こうした方針でいかがかということでございます。
 続きまして、対象品目をどのような品目にするのか、7ページでございます。対応案といたしましては、これも中医協で御議論いただきましたとおり、保険医療財政への影響を重視する観点から、革新性が高く、財政影響が大きい医薬品・医療機器を主な対象とする。基準につきましては、対象となる品目数でございますとか、現在の費用対効果評価に係る体制などを踏まえまして、下の表のとおりとしたいと思います。御説明申し上げます。
 まず、表の左上、新規収載品とあります。これは制度化以降に収載される品目を対象とした区分でございます。そこをH1、H2、H3、この3つの区分に分けまして、いずれも類似薬効比較方式については有用性系加算が算定されたもの、また、原価計算方式については、有用性加算が算定されている、または開示度が50%未満の品目、こうしたものを対象としまして、さらに算定基準として、H1についてはピーク時市場規模が100億円以上、H2については50億円以上100億円未満、またH3につきましては、市場規模がそれに満たないものでありましても、著しく単価が高い等の中医協総会において必要と判断された品目、こうしたものをH3と位置づけてはどうかという御提案でございます。
 続きまして、その下、既収載品とあります。これは制度化以前に現に保険収載をされていた品目のことでございます。こちらにつきましては、算定方法によらず、有用性加算が算定された品目を対象としておりまして、市場規模につきましては1000億円以上の品目、また、その他、著しく単価が高い等の中医協総会において必要と判断された品目、こうしたものをH4と位置づけてはどうかという御提案です。
 続きまして、その下、H5でございますが、これは類似品目といたしまして、上記H1からH4の類似品目として、比較対象として算定された医薬品もしくは同一機能区分に分類される医療機器、こうしたものを対象にH5と位置づけたいと考えております。
 それぞれの品目の選定のタイミングが8ページにございます。費用対効果評価の対象となる品目については、速やかに選定を行うというのが基本的な考え方でございます。また、同時に多くの品目を選定するのではなくて、時期を分散して選定して進めていきたいということであります。
 まず、手続でございますが、新規収載品及び類似品目のH5区分につきましては、薬価算定組織等において基準に該当するか否かの案を作成し、中医協総会において了承を行う、こうした手続としたいと思います。
 また、H4の区分につきましては、同じく算定組織等の意見を聞いた上で、厚労省において該当するか否かの案を策定いたしまして、中医協総会において了承を行いたいと考えます。
 品目選定のタイミングでございます。下の表でございますが、いずれも品目選定のタイミングとしては年4回、これは保険収載のタイミングを活用して選定したいと考えております。ただ、少し補足で御説明いたしますが、H2については、まず年に4回の保険収載のタイミングで評価候補品目として選定いたします。その上で、それ以外のH1、H3、H4、こうした区分の選定状況を踏まえまして、分析の上限、こうしたものも参考にしながら、実際に分析を行うかどうかを決定していく。これを年2回程度、これも中医協の総会で決定したいと考えております。
 また、H5、類似品目でございますが、これにつきましては、費用対効果評価の分析は行わず、分析を行った代表品目に準じた価格調整を行う、こうした提案でございます。
 続きまして、9ページ、「除外基準」でございます。先ほど申し上げましたとおり、費用対効果評価の対象といたしましては、市場規模の大きなもの、また加算がついている、そういったものを対象にするのが基本的な考え方でございますが、その中でも希少な疾患などについては何らかの配慮を行う必要があるだろうと、こうした御意見をいただいております。
 考え方でございますが、例えば、英国のように費用対効果評価の結果を償還の可否判断に用いる場合は、患者アクセスが大きな課題となりますが、一旦保険収載した上で価格調整を行う仕組みでありましたら、患者アクセスの懸念は軽減されると考えます。ただ、費用対効果評価の結果を価格調整のみに行う場合でありましても、1、2に記載した品目につきましては、開発の阻害やアクセスの制限につながる可能性が否定できない。そのため、一定の配慮を行うということであります。すなわち、対象患者数が少ないために単価が高くなってしまうような品目、また、ICERでは品目の有する価値を十分に評価できない品目、こうしたものについては何らかの配慮を行ってはどうかという御提案でございます。ただ、制度の透明性を確保する等の観点からは、配慮する品目や要素についての判断基準が必要と、こうした御意見を中医協の場でもいただいております。
 そこで、結論といたしましては、除外品目でございます。これらのうち、1に該当するものとして、以下の品目は費用対効果評価の対象から除外するとしてはどうかという御提案です。治療方法が十分に存在しない希少な疾患、これは指定難病、血友病及びHIV感染症のみに用いられる品目、また小児のみに用いられる品目、こうしたものは対象から除外してはどうか。また、上記に該当する品目でありましても、市場規模が大きな品目につきましては、350億円以上と考えておりますが、こうしたものであるとか、著しく単価が高い、こうしたものについては中医協総会の判断により対象とすることができる、こうした規定を設けてはどうかと考えております。
 なお、ここで参考資料5をお開きいただきたいと思います。資料を一度閉じていただきまして、対象から除外する指定難病につきましては、費薬材参考5に記載しておりますとおり、現行の基準でございます300を超える疾患がございますが、こうしたもののみに用いられる医薬品・医療機器については対象から除外してはどうかと、こういった御提案でございます。
 恐れ入ります、費薬材-2に戻りたいと思います。10ページをごらんください。「除外基準(その2)」とありますが、表の形式にしたものがこちらになります。これの一番左側、治療方法が十分に存在しない希少な疾患のみに用いられる品目であるとか、小児のみに用いられる品目については対象から除外する。また、その右側でありますが、適応症の一部にそういった疾患が存在するもの、もしくは抗がん剤などについては、評価の対象といたしますが、総合的評価及び価格調整で配慮を行いたいと考えておりまして、これについては後ほど改めて御説明申し上げます。
 続きまして、11ページ目でございます。「費用対効果評価の分析・評価の流れ」を記載した図でございます。左から、保険収載された品目が、まず中医協で品目を選定いたしまして、分析前協議を経て、一旦ここで専門組織にお諮りし、その後、企業分析を行い、改めて専門組織で確認の後、公的分析を行い、そして専門組織から中医協総会と、こういった流れでございます。標準的には1年3カ月程度の流れを想定したものでございます。個々につきまして、次のスライドから御説明申し上げます。
 12ページ目でございます。まず、「分析前協議の方法並びに分析実施中の協議について」でございます。分析前協議及び分析実施中の協議につきましては、企業と公的分析班は直接接触しないことといたしまして、国立保健医療科学院が協議をしながら、間を持ち、照会を行うこととしたいと考えております。
 分析前協議が非常に重要であるといった御指摘をいただいておりまして、その中で可能な限り分析の枠組み等を決定いたしまして、それに基づき分析作業を進めることを原則といたします。ただ、どうしても分析開始後に必要な項目がありましたら、相互に照会することができる、こうしたルールにしたいと思います。
 ただし、協議内容につきましては、特に2番の分析実施中の協議のところでありますが、分析実施中に得られた新たな治験を採用するか否かの判断など、科学的な事項に限定する、こうした取り組みが適切ではないかと考えます。
 また、協議内容は記録し、専門組織に報告、決定する。こうした透明性のある取り組みにしたいと考えております。
 続きまして、13ページ目でございます。「専門組織の役割、体制等」についてでございますが、医療関係者並びに保険者、診療側、支払い側の立場からの御検討は中医協総会において行い、また、専門組織におきましては、中立的な立場から専門的な検討を行う、こうした基本的な役割分担としてはどうかという御提案です。
 3つ目の○ですが、具体的な品目に関する議論を行いますので、専門組織は非公開で行います。これは薬価算定組織並びに保財専などと同様の取り扱いでございます。
 また、希望する企業は、その専門組織におきまして、直接の意見表明及び相互に必要な質疑応答を行うことができる。また、不服がある企業につきましては、不服意見書を提出するとともに、直接の不服意見表明を行うことができる、こうした機会を設けたいと考えております。
 具体的な専門組織のメンバーでございますが、14ページでございます。医療経済、臨床、医療統計及び医療倫理の専門家から構成する。また、中立性が求められますので、対象企業及び競合企業との利益相反についても確認を行いたい、こうした取り組みを行いたいと思います。
 続きまして、15ページ目でございます。次に、公的分析についてでありますが、公的分析につきましては、まず、提出された企業分析の科学的な妥当性を検証いたします。そのレビューの結果、企業分析に課題がある、もしくは疑義がある、こうした場合には独立した再分析を行うこととしてはどうか。
 公的分析の実施体制でございますが、国立保健医療科学院が主導いたしまして、各種調整を行います。その上で、国内の大学などを公的分析班と位置づけて複数設置いたしまして、公的分析を実施する。取りまとめを国立保健医療科学院が行う。こうした手はずにしたいと。また、大学等の名称は公開といたします。また、各品目をどの分析班が対応するかにつきましては、利益相反などを考慮いたしまして、こちらも国立保健医療科学院が調整を行うということでございます。
 利益相反に関する対応でございますが、各公的分析班がどの品目を担当しているかについては、評価が終了するまでは非公開にしたいと考えます。また、接触禁止規定、守秘義務を求める、そういった取り組みで利益相反を確保していきたいと考えております。分析を行うに当たりまして確認が必要な事項がある場合は、直接企業と公的分析班が接触するのではなく、科学院が協議をしながら照会を行う、こうした形にしたいということであります。
 16ページでございます。「分析にかかる標準的な期間の設定」でありますが、企業分析に9カ月制度、そのうち分析前協議に3~6カ月、枠組みに基づく企業の実際の分析に3~6カ月ということで、この両者の期間が9カ月程度を上回らないこととする、こうした御提案でございます。また、公的分析については3カ月程度。これはレビューのみで終わる場合と再分析を行う場合で若干異なりますので、3カ月程度もしくは6カ月程度という御提案でございます。
 また、総合的評価から価格決定まで3カ月程度ということで、各品目の進捗状況については、定期的に中医協総会に御報告いたします。
 また、その下、費用対効果評価に係る分析の知見を有しない小規模な企業の場合など、なかなか標準的な期間での分析が困難な場合も想定されます。こうした場合には、標準的な期間を超えた場合、その理由を中医協総会に御報告する、こうしたことを進めながら、制度をよりよいものにしていきたいと考えております。
 分析ガイドラインにつきましては、そちらに記載のとおり、基本的には分析ガイドラインに沿って実施を行うこと、また、必要に応じて適宜見直しを行いたいということで、後ほど改正案を御説明いたします。
 次に、17ページでございます。データが不足しているなどの場合で、「分析不能」であることが確認される、こうした品目が出てくることが想定されます。この場合は、専門組織での協議を経た上で、中医協総会において分析・評価を中断することができる。この考え方といたしましては、品目の選定を中医協総会で行っていただいておりますので、そこを中断する。こうした判断についても、基本的には中医協総会において行っていただきたいと考えております。
 分析・評価が中断された場合でございますが、中医協総会は専門組織での検討を踏まえまして、品目ごとに期間を設定いたします。その上で企業側に必要なデータの集積及び提出を求めます。その上で必要なデータが得られない場合は、専門組織及び中医協総会での協議を踏まえ、最も費用対効果評価が悪いものとみなして価格調整を行うというのが御提案でございます。
 なお、分析の途中に当該品目が販売停止もしくは市場が大幅に縮小した場合につきましても、中医協総会において中止とすることができる、こうした規定も設けておきたいと思います。
 なお、企業が分析不能とした品目のうち、公的分析班、専門組織で分析可能であると判断された品目については、公的分析の結果を用いて価格調整を行うと、こういった御提案であります。
 なお、事例を集積した上で、今後の仕組みの参考にしたいということであります。
 続きまして、18コマ目からは総合評価に関する内容でございます。まず、「科学的な観点からの検証方法並びに公表の仕方」でありますが、ICERにつきましては、幅を持った評価を許容したいと。
 複数の対象集団に分けて分析を行う場合には、対象集団ごとにICERを算出いたします。この場合、算出されたそれぞれのICERなどに基づき、対象集団ごとに価格調整を行った上で、その価格の重みづけ平均を用いて価格調整を行ってはどうか。その下の例がございますが、こういった手続を考えております。
 価格調整に当たりましては、ICERの値がどの領域にあるのかを速やかに公表した上で、費用対効果評価の手法に関する科学的議論を深め、また今後の質を高めていくためにも、分析内容や論点、ICERの値などについては、報告書などの形で公表したいと考えております。
 次に、19コマ目でございます。希少疾患や重篤な疾患などへの配慮でございますが、上の考え方は先ほど除外品目のところで述べた内容と同じでございます。
 総合的評価で配慮を行う品目、19コマ目の下半分でありますが、ここは結論であります。以下の品目については費用対効果評価の対象といたしますが、総合的評価並びに価格調整において配慮を行います。適応症の一部に、治療方法が十分に存在しない希少な疾患が含まれる品目、また、適応症の一部に日本における小児用法・用量が承認されている小児疾患が含まれる品目並びに抗がん剤でございます。
 また、公的な介護費、生産性損失を含めた分析結果につきましては、国内の治験に基づき行われたものに限り、あわせて提出することを可能としたいと思います。この分析結果について、価格調整には用いませんが、提出された分析結果を公表いたしまして、事例を集積した上で、今後の仕組みの参考にしたいと考えております。
 続きまして、20コマ目からが、また価格調整についての内容であります。まず、価格調整の対象範囲をどうするのかということであります。対応案の1行目、価格調整の範囲については、薬価・材料価格制度を補完する視点からの検討を踏まえ、以下のとおりとするということであります。類似薬効比較方式については、有用性系加算部分を価格調整の対象範囲といたします。
 その下、原価計算方式につきましては、大きく2つに分けております。まず、開示度が50%未満の品目、医療機器においては、製品総原価の内訳に関する資料がない品目、こうしたものについては、営業利益及び有用性系加算部分、この両者を価格調整の対象にしたいという御提案であります。また、開示度が50%以上の品目については、有用性系加算部分のみを価格調整の範囲としてはどうかという御提案でございます。
 続きまして、21ページでございます。ICERに応じた価格調整の方法ということで、対応案のところであります。一定の幅をもって評価された場合にも対応できる階段方式とする。
 また、500万円と1000万円の中間の750万円を基準値とする。これは昨年、合同部会でもおまとめいただいた考え方であります。
 ここで、総合的評価において配慮が必要とされた品目の価格調整に用いる基準値でございますが、諸外国の基準値などを参考といたしまして、本日の御提案としては、750万円、1125万円、1500万円ということで、基本的に標準的な価格調整方法の1.5倍を基準値としてはどうかという御提案でございます。
 この右側の基準値を用いる品目が、すなわち何かと申しますと、対応案の4つ目の○ですが、適応症の一部に希少な疾患や小児疾患が含まれる場合でありますが、適応症のうち、該当する部分についてのみ、この基準値を用いるということであります。医薬品等全てについて基準値を用いるわけではなく、その適応症の部分についてのみ基準値を用いるという考え方です。
 また、ICERの幅が基準値をまたぐ場合の価格的な妥当性については、専門組織で検討を行うことになりますが、その基本的な考え方は21ページの下に記載しているとおりでございます。
 続きまして、22ページ、「価格調整率」でございます。類似薬効比較方式では、価格調整対象範囲について、下の図1のように価格調整を行うという御提案であります。すなわち、有用性系加算については、500万円、750万円、1000万円、ここを境といたしまして、3段階で引き下げを行う。
 また、原価計算方式につきましては、有用性系加算は図1のとおり、また、営業利益を対象とする品目につきましては、図2に記載したとおりでございまして、その価格調整率はそれぞれ異なる数値を用いたいということでございます。
 なお、昨年、この合同部会でも御議論がございました、患者に必要な医療品などの安定供給を確保するという観点から、最終的な薬価につきましては、調整前の薬価を10%、または15%引き下げた価格を下げどめとしてはどうかという御提案でございます。ただし、ICER500万円となる価格を下回らない、こうしたこともあわせて下げどめという形の御提案としたいと思います。
 続きまして、23ページでございます。以下の品目については、費用対効果評価の観点から活用が望ましいと考えられることから、一定の条件を満たすものについて、価格の引き上げを行うと、こういった御提案でございます。
 まず1つ目、ドミナント等とあります。表をごらんください。表の左から2つ目のドミナント等ですけれども、これはすなわち費用が削減される、こうした品目であります。これについては、試行的導入の際にも価格の引き上げを行いましたが、条件1、2を満たすものについて引き上げを行う。引き上げ率については、価格調整対象範囲、いわゆる有用性系加算の50%としてはどうかと。
 また、今回御提案といたしましては、その右側、ICERが200万円を切る、こういった品目につきましては、同じく条件を満たすものについて価格を引き上げてはどうかという御提案であります。
 ただ、別に定める条件とございますが、条件の1、臨床試験等により示されているところを、ドミナントよりは若干要件を課しておりまして、その要件が下の※2に記載のとおり、学術論文に原著論文として受理されている、また日本人を含むアジア人を対象とした集団において、比較対象品目よりも優れていることが統計学的に示されている、こうしたものに限って引き上げを行ってはどうか、こうしたものを評価してはどうかと、こういった御提案でございます。
 最後に、24ページ目でございます。価格調整のタイミングであります。基本的には、分析、評価が終了したものにつきましては、年に4回のタイミングを活用いたしまして価格調整を行いたいという御提案であります。
 価格調整に当たりましては、専門組織による評価結果、それに基づく価格調整の結果の案を中医協総会に御報告いたしまして了承を得たい。
 調整後価格の公表から価格調整までは、在庫への影響がございますので、一定の期間を設けることとしたいと思います。
 最後に、体制の強化でございます。今後、人材の育成を初めとした体制の強化に取り組んでいきたいと考えておりまして、公的分析を実施可能な人材を育成するために、新たに教育プログラムの設置などを検討いたしたいと思います。あわせて厚労省並びに国立保健医療科学院の体制の充実も図ってまいりたいという御提案でございます。
 以上、骨子(案)の内容について御説明させていただきました。御協議、よろしくお願いいたします。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明を踏まえ、項目ごとに協議を行いたいと思います。まず、「(1)費用対効果評価の活用方法」「(2)対象品目の選定基準」について、御質問、御意見等がありましたら、どうぞ、お願いします。
 松本委員、どうぞ。
○松本委員
 「(1)費用対効果評価の活用方法」についてでございます。これは意見ですけれども、我が国ではこれまで国民皆保険制度のもとで、有効性、安全性が確認された医療であって、必要かつ適切なものは保険適応することを基本に対応してまいりました。予算の制約や経済性によって保険適応外とする取り扱いについては、こうした基本原則を変えることになりますので、国民の理解を得ることができるかは大変大きな課題であると考えております。こうした考えに立つと、費用対効果評価の結果は、保険償還の可否判断に用いるのではなく、一旦保険収載した上で価格調整に用いるという方針には賛成したいと思います。
 引き続きまして「対象品目の選定基準」、7ページ目でございますけれども、市場規模の大きな品目を費用対効果評価の主な対象にすることについては、費用対効果制度の観点からも賛成いたします。また、昨年10月に開催された合同部会で発言したとおり、市場規模が一定程度を超えない場合であっても、著しく高額な品目については、中医協の判断で対象にできること、医薬品と医療機械等で同じ基準とすることについても賛成したいと思います。
 ここで質問ですけれども、まず1点、H1とH2について、年間で何品目程度見込んでおられるのでしょうか、御質問いたします。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 御質問ありがとうございます。資料、費薬材-2の後ろの参考資料でございます34コマ目をごらんください。こちらの表でございます。こちらは、今年度並びに昨年度のピーク時の市場規模並びにその加算ありなし、こういった品目を統計としてお示しするものでございます。2018年度、一番下の段をごらんいただきますと、例えば、100億円以上で加算ありの品目は、医薬品が4品目、医療機器は0品目、ここがいわゆるH1区分でございます。また、H2区分が50億円以上100億円未満とありますので、今年度、医薬品が4品目並びに医療機器が1品目でございます。H1とH2を合計しますと、4+4+1の9品目となります。今年度はまだ2月収載、年に4回の収載が残っておりますので、品目がふえる、ふえないは今後の変動要素ですけれども、おおむね10品目程度選定できるのではないかと思っております。今年度の実績をもとに予想するとですね。ただ、2017年度をごらんいただきますと、品目数が少のうございます。こうした形で、年度によりまして、ある程度変動があると見込まれますが、おおむね10品目程度というのが回答でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 松本委員、どうぞ。
○松本委員
 それについてはわかりました。
 7ページの全体的な仕組みは理解しますけれども、H1とH2の選定基準の中のピーク時市場規模予測というところが非常に気になる部分であります。例えば、ピーク時が10年後であっても同じ100億円、例えば、試行的導入で用いたカドサイラは、10年後の見込みが170億円だったということがございます。果たして何年後の予測なのかによっても違いますし、あくまで予測規模というところで、100億円と50億円という金額が提示されておりますので、これに何らかの要素が入り込まないかどうかということは非常に懸念されるところだと思いますが、これについてはいかがでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 品目によりまして、また競合品の状況などによりまして、いつピークを迎えるのかが品目によって異なることはあると思います。ただ、基本的には、今回の御提案はピーク時の市場規模ということで、その時期というファクターよりは、ピーク時の市場規模、こういったものをもとに判断したいという御提案でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 松本委員、どうぞ。
○松本委員
 だとすると、例えば、10年後であっても、15年後であっても、それは構わないと。途中でどういう変化があっても、それは構わないという考えになってしまってもよろしいのでしょうか。ある程度基準がないと、少し難しいのかなとは思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 基本的にはピーク時の市場規模の予測は最長10年間ということで仕切りをしておりまして、そのころになりますとまた後発品が出るとか、状況は確かに変わってくることは御指摘のとおりだと思いますが、ここはまずピーク時の市場規模ということで御提案したいと思っております。
○松本委員
 あくまでも予測ということなので、いろいろな不測の事態、例えば、ほかの対抗するような医薬品が出るとか、いろいろあると思いますので、その辺は少し経過を見ながら、場合によってはまた議論させていただきたいと思います。ここが不確定というか、不透明なところであると思っております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 どうぞ、吉森委員。
○吉森委員
 ありがとうございます。今回の骨子のまとめということで、最終段階に来ているということなので、恐縮ながら、細かい点も含めて、細部にわたり質問させていただければと思っています。
 まず、7ページの対象品目の選定基準でございますが、表の区分のH3、H4に著しく単価が高いとあります。この著しく高い単価の考え方について、多分、薬価ということなのでしょうが、ワンショットで考えるのか、ワンクール、いわゆる使用の期間を考えるのか、基本的には考え方を明確にしておく必要があると思いますので、事務局のお考えをお聞かせ願えればと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。御指摘のとおり、価格といったときに、ワンクールという形にするのか、ワンショット、この考え方はさまざまあると思いますが、今回、主なものとして考えておりますのは、ワンショットといいますか、その単価そのものが非常に高価である、こうしたものをまず想定しております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 ありがとうございます。そうしますと、今度、著しく高いという点について、具体的な金額の相場観というか、今後、新薬開発においてはますます高額な医薬品が増えるというのは、皆さん、想定のとおりで、その対応として、特にH3などを想定しているのだろうと思います。例えば、現行で一番高い単価の医薬品に合わせて、それ以上ということも考えられると思いますが、8ページに薬価算定組織等において基準に該当するか否かの案を作成すると○の4つ目の内容を踏まえると、事務局としては、著しく高い点についてどう整理するのか、また具体的にどういう金額想定をしているのか、もしお考えがあれば教えていただければと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 御指摘のように、今後さまざまな、新たな医薬品・医療機器の保険収載が見込まれるわけでございますが、ここは明確な基準といいますよりは数百万円程度、こうしたところを一つの目安に取り扱い、検討していきたいと考えております。その上で中医協総会にお諮りして決めていただく、こういう手続かと思っております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 吉森委員、お願いします。
○吉森委員
 そうすると、薬価算定組織等の意見は、これは今ご説明があったように数百万円であるため、費用対効果の対象となる整理で中医協に諮るという理解でよろしいのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 候補としてお諮りいたしまして、総会で決めていただく、こういう手続になっております。
○吉森委員
 わかりました。体制とか、選定の対応で、先ほど松本委員からも質問がありましたが、H1、H2の基準について、現状の公的分析の体制では、年間10品目程度の分析が限界ということで、以前のこの部会での事務局見解をいただきました。それを勘案すれば、H1とH2に分けたという背景は理解できますが、そもそも制度の趣旨から言えば、選定基準としたH2、50億円以上の品目であっても速やかに分析開始すべきと考えております。8ページには、H2選定の背景については、評価候補品目ということで位置づけるとなっておりますので、H3、H4の品目数にもよりますが、先ほどの資料にもありましたように、仮に10品目を下回っておれば、H3、H4とH2の位置づけ、H2はそれでも後から候補として対応するのか、運用面で整理しておく必要があると思いますので、どのようにこの仕切りを理解すればいいのか、もう少し丁寧な御説明をいただければありがたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。まず、基本的な考え方といたしましては、H1からH5、いずれも中医協総会において決定いただくのが基本でございます。その上で、H2区分だけが、今、御指摘いただきましたとおり、少しプロセスが違っております。年により、例えば、H1の品目が多く出る年、少なく出る年、こういった中で、H2という、候補品という枠を設けることによって、平準的に分析を行っていきたい、こうした考え方と御理解いただければと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 よろしいですか。松本委員、どうぞ。
○松本委員
 追加になりますけれども、8ページ目の選定のタイミングについてですが、新規収載品等について、年4回の保険収載時に中医協総会において選定することには賛成いたしますが、先ほどの質問に続きますけれども、保険収載時に市場規模予測が要件に該当しなかった品目、例えば、ピーク時市場規模予測が30億円の品目であって、実際に収載した後に市場規模が拡大し、H1もしくはH2に該当することになる品目もあるかと思いますけれども、この場合はどのタイミングで選定することになるのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。この場合は、やはり年4回の保険収載のタイミングを活用する形で中医協総会で選定いただくという手続になります。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 どうぞ。
○松本委員
 わかりました。
 もう一つ、9ページ目ですけれども、指定難病等のみに使用される品目を費用対効果評価の対象外とすることには賛成いたしますし、また難病等に使用される品目であっても、市場規模の大きいものを対象とする考え方にも賛成いたします。
 1点質問があります。前回の中医協でも、抗がん剤等の市場規模の拡大についての懸念については発言させていただきましたけれども、近年、抗がん剤を併用することについての適応拡大が多くなってきております。こうした併用療法の費用対効果評価についても今後は検討していく必要があるのではないかと考えておりますが、これについては、事務局はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。抗がん剤の併用療法、こういったものの費用対効果についての御質問でございます。併用療法につきましては、この評価の仕方、そういったものを費用対効果評価の対象とすることは私どもも必要であると考えておりまして、ただ、科学的にどのような評価の仕方が妥当であるのか、そういったこともしっかり検討を進めながら取り組んでいきたいと考えております。
○松本委員
 この併用につきましては、しっかりと検討していっていただきたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ほかに、1番及び2番に関連することで。間宮委員、どうぞ。
○間宮委員
 ありがとうございます。除外基準の中で、指定難病と血友病及びHIV感染症と、小児に用いられる品目ということなのですけれども、これに該当する品目であっても、市場規模が大きな品目ということで、括弧して350億円以上と書いてありますけれども、これはどういう根拠で350億円以上となっているのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。まず、基本的には、希少な疾患に対しては除外するということの中で、実際に市場規模が一定程度大きな品目については対象としてはどうかという御提案でございます。
 350億円の理由でございますが、一定程度以上の市場規模を考えましたときに、現行の薬価ルールの中に四半期再算定、こうしたルールもございます。そうした基準なども参考といたしまして、今回は350億円以上という数字を御提案させていただきました。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 間宮委員、どうぞ。
○間宮委員
 指定難病ですとか、現在、除外の対象になる疾患については、市場規模は最高でどれぐらいとかはわかっているのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 事務局、お願いします。
○田宮薬剤管理官
 手元に詳細なデータは持ち合わせておりませんけれども、特定の難病疾患全体ということではなくて、1品目当たりで見た場合に、例えば、350億円を超えるようなものは現時点ではないのではないかと思っているところでございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 間宮委員、どうぞ。
○間宮委員
 今はないのでしょうけれども、これは350億円以上となっていますけれども、実際に300億円近いのがあるのかどうなのかとか、350億円以上というだけの話なのかどうなのか。要するに、ほかのもので言えば、50億円以上とか、100億円以上とかという金額になっていますけれども、350億円以上になるのは物すごくたくさんの人が使うというイメージがあるのですけれども、そのあたりはどうなのですかね。現状の難病とか、この対象になるものの金額についてですけれども。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 薬剤管理官。
○田宮薬剤管理官
 350億円以上という金額ですけれども、患者数が多い場合も、当然、350億円のファクターとしてはございますが、もう一つの要素としては、やはり単価、あるいは使用期間とか、そういった要素も絡んでくるのではないかと思っております。直近の例で私が記憶しているところですと、例えば、抗HIV薬で先般薬価収載されたものですと、ピーク時の市場規模が90億円とか100億円近くといったものもございましたので、そういう意味では、実際に現時点で対象品目があることを想定しているわけではございませんけれども、今後の新規収載品の市場見込みの中でそういったものが出てくる場合を念頭に、一つの考え方として提案させていただいているということでございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 今村委員、どうぞ。
○今村委員
 確認ですけれども、2と言っているのは(2)のところまででよろしいのですね。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 「対象品目の選定基準」のところまでという意味です。
○今村委員
 ということは、除外のところはまだ。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 除外も(2)の中です。
○今村委員
 それを踏まえまして、今、議論になっている除外品目、9ページなのですけれども、一番下の○で、著しく単価が高い品目等については、中医協総会の判断により対象とすることができるという記載があって、先ほどの吉森委員の御質問にも、この「著しい」がどういう意味かという御質問がございましたけれども、もともと著しく単価が高いものは、このHの分類の中で、該当する品目として選ぶことになっているわけですけれども、除外のところでも「著しく」という言葉が出てきて、これは同じ考えでよろしいのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。まず、手続としては中医協総会で判断していただくことは同じであります。著しく単価が高い部分につきましては、先ほど例示で申し上げました数百万円、そういったものを一つの目安として中医協にお諮りして、ただ、こういった品目は、対象患者が非常に少ないとか、いろいろなケースがあると思いますので、そこは都度、御説明、御相談をしながら総会で御判断いただきたいと。ただ、手続としては御説明申し上げたとおりでございます。
○今村委員
 何となく、同じ基準ではなく、そのとき、そのときで事情を見ながら判断して、中医協総会での最終的な結論という御説明だと思います。もちろん、中医協総会が決定をするときに一番大事な会だというのはよく理解はできますけれども、何か、基準がその都度変わるというイメージに思えて、もう少し明確なルールができないのかなと。つまり、同じ基準、著しく高いというものが同じだったらおかしな話になってしまって、こっちでは該当するけれども、こっちは外すほうの話に出てくることになるので、そこの整理をもう少し明確にできないかなと思います。
 それから、10ページの表なのですけれども、今言った言葉を表にするとこういう形になりますというのですけれども、私の理解力が悪いのかどうかわからないのですけれども、これを見ると、一番左の列が品目と対象品目という記載になっているのですけれども、どういう違いでこういう言葉使いをされているのでしょうか。品目といったら、ある品目であるし、対象品目というのも同じことを言っているのではないですか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 ここは、一般的な考え方として、対象となる品目はこういった品目ですよということで書いているものです。
○今村委員
 そうすると、上の品目との整理はどうなっているのですか。
○古元医療課企画官
 一番上の品目は、一般的な意味での品目であって、その中で費用対効果の対象品目として、少しブレークダウンした内容とごらんいただければと思います。
○今村委員
 これは除外の品目ですね。
○古元医療課企画官
 一番左側が除外の品目の案でございます。
○今村委員
 言っていることは、先ほどの9ページで書かれていることを表にするとということなのですけれども、表だけ見ると、何かわかりにくいなというのが正直な印象なので、上の品目というのは、こういう考え方という意味合いなのかなとは受けとったのですけれども、記載ぶりを検討していただいたら、表だけ見たときにもう少しわかるかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ほかに(1)と(2)の範囲内で、吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 繰り返しで申しわけございません。8ページのH2の、先程の説明で優先順位等、整理の仕方は理解したのですが、中段に評価可能品目数の上限を目安にという、「上限」という言葉について、現状時点では10品目程度という理解でいいのか。そうすると、この後に出てくる体制強化も含めて、その分析体制が整ってくれば、この上限は当然上がっていく。この上限は誰がどこでどのように設定をするのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。現状では御指摘のとおり10品目程度ということでありますが、体制の充実に伴いまして対応できる品目もふえてくると、こういうことを目指しております。上限をどこで決めていくのかにつきましては、実績を、分析の状況などを都度、都度、中医協総会には御報告申し上げますので、そこで決めていただくのが筋ではないかと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 ということは、現実対応としてやりながら、どんどんキャパが広がっていくという考え方でいいということですか。
○古元医療課企画官
 そういうことでございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ほかにはいかがでしょうか。(1)と(2)の範囲内で。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 次に「(3)分析のプロセス」について、御質問、御意見等がありましたら、どうぞお願いします。
 松本委員、どうぞ。
○松本委員
 12ページでございますけれども、分析前協議の方法についてですが、試行的導入の経験からしても、分析前の協議の重要性は論をまたないところです。この協議において、分析の枠組み等について可能な限り決定し、それに基づき分析作業を進めることが極めて重要と考えています。これは意見です。
 それから、専門組織の委員構成について、13ページ目から14ページ目でございますけれども、中医協との役割分担並びに専門組織の委員構成については事務局の提案に賛成したいと思っております。ただし、昨年12月の中医協で指摘したとおり、分析の状況等につきましては、適宜中医協に御報告いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、同じく昨年12月の中医協で議論があったところですが、専門組織の委員につきましては、対象品目との利益相反の確認が必要ですので、しっかりとした対応をお願いしたいと思います。
 16ページでございます。品目選定からの9カ月と、品目に応じて事前協議と企業分析とでフレキシブルに分け合うという案には賛成いたします。ただし、今後、制度が成熟していく過程で、分析に必要な期間も短くなってくると考えられますので、これにつきましては適宜見直しが必要であることは申し述べておきたいと思います。
 また、分析の治験を有しない小規模な企業において、標準的な時間を超えてしまう場合があり得ることについては理解できますけれども、よりよい制度運用のためには、その理由を中医協にしっかりと御報告いただきたいと思います。
 なお、公的保険の市場に参入するからには、企業に対しては、規模の大小を問わず、薬価制度などの理解を深めていただき対応する義務があると思います。厚生労働省の担当部局は、保険収載前の早期の段階から企業に対して、薬価制度なりについての御指導をいただくようにお願い申し上げます。
 ここで事務局に質問ですけれども、再分析を行う場合の公的分析に要する期間が6カ月程度とされていますけれども、これは必ず6カ月を要するという解釈でよろしいのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 ありがとうございました。進捗管理を行っていく中で標準的な期間を設定しておりますが、これは必ず6カ月かかるというものではございませんで、それより早く終了いたしましたら、終了させるというものでございます。必ず6カ月かかるというものではありません。
○松本委員
 先ほど述べましたけれども、なるべく短くする努力は継続して行っていただきたいと思います。
 引き続いてよろしいですか。16ページ目の分析ガイドラインについてですが、分析ガイドラインにつきましては、必要に応じて適宜見直しを行うというのは当然のことであると思いますし、17ページ目、データが不足している場合の対応についてですが、分析を中断もしくは中止するとする品目及び理由につきましては、制度の透明性を確保する観点から、中医協総会にその理由を報告した上で総会で決定する必要があると思います。また、一定期間を与えられたにもかかわらず、有効性等についての必要なデータが得られない品目とは、すなわち、有効性についてのエビデンスを示すことができないという品目だといった解釈になりますので、その場合は低い評価とされても、これはやむを得ないことと考えます。企業が分析不能とした品目のうち、公的分析班及び専門組織で分析可能と判断された品目については、公的分析の結果を用いて価格調整を行うことは、これも当然のことと考えます。
 以上、意見でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 公的分析の実施体制ですが、15ページの3番目には利益相反に関する対応等について、構成員の接触禁止規定は当然だと理解しておりますが、公的分析班と費用対効果評価の専門組織の委員の重複、これはできる限り避けるべきだと考えております。一方で、この分野の専門家が少ないという現実を勘案すれば、評価品目によっては重複するケースがあるのではないかとも考えられます。その際には、公的分析班としての評価にかかわった個別の品目に関しては、専門組織の委員としては関わらないというような運用規定をあらかじめ整理、制定しておく必要があるのではないかと考えますが、事務局のお考えはいかがでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 御指摘のとおり、そうした規定を設けて進めていきたいと考えております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 よろしいでしょうか。今村委員、どうぞ。
○今村委員
 松本委員からも、この分析評価の途中経過について、中医協にきちんと報告をしてほしいという御意見がございました。16ページにも具体的に各品目の進捗状況については定期的に中医協総会に報告するという記載がありますけれども、11ページの全体の流れの中で、中医協という言葉が出てくるのは、品目選定と最後の評価決定の部分だけになっています。書きぶりが難しいのかもしれませんけれども、ここはあくまで分析・評価の流れということなので、直接的に中医協が分析にかかわるわけではないので、こういう書きぶりになっているのかとは思いますけれども、やはり全体の中での中医協の役割がもう少し明確になるようなシェーマというものを、この中に書いていただくのかどうかは別として、そういったイメージをちゃんと記載していただけるとありがたいなと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 御意見ありがとうございます。
 (3)の範囲内でほかにございましたら。よろしいですね。ありがとうございました。
 次に、「(4)総合的評価」について、御質問、御意見等がありましたら、どうぞお願いします。
 安部委員、どうぞ。
○安部委員
 1つ確認させていただきたいことがあるのですが、18ページの(4)の対応案の○2つに、複数の対象集団に分けて分析を行う場合について書いてございまして、集団前にICERを算出して、それぞれのICERに基づいて価格調整を行った上で、重みづけ平均を用いて価格調整を行うという御記載があります。下のほうに例が書いてありまして、疾患Aが300万円で、疾患Bが600万円だと、この説明のような図になって、疾患Aについては500万円以下であるのだけれども、これについてはゼロという形で評価するということは試行的導入でやったわけでありますが、今般、先の(5)に入ってしまって恐縮ですが、23ページにドミナントもしくはICERが200万円以下の場合の事例が載ってございます。これを導入することになりますと、仮にAがドミナント、またはICERが200万円未満で、23ページに定めている※2の(1)(2)の条件を満たしている、条件をクリアしているような場合には、それぞれ疾患A、疾患Bについて、価格を算定して、その価格に基づいて、重みづけ平均を用いて価格調整を行うことにするのかについて、確認をしたいと思います。よろしくお願いします。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。安部委員御指摘のとおりの考え方だと思っております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 よろしいでしょうか。松本委員、どうぞ。
○松本委員
 まず、18ページ目ですが、ICERについて幅を持った評価を許容することと、また、複数のICERがある場合の対応につきましては、これまでの中医協の議論に沿ったものであり、事務局の提案に賛成いたします。
 19ページ目、配慮を行う品目についてですが、この品目や要素につきましては、制度の透明性を確保する等の観点から明確な基準が必要であると考えております。公的介護費や生産性損失につきましては、かなり前の中医協で今村委員からも意見が出ましたけれども、現時点では判断基準が明確には示されておらず、価格調整に用いることはできないのではないでしょうか。ただし、今後の制度を検討する上で、こうした要素を考慮した分析結果を提出していただくことについては特段反対するものではありません。
 18、19ページ目の公表の仕方についてですけれども、今後、費用対効果評価の質を高めるためにも、できるだけ多くの情報を公表することが望ましいと考えておりますが、そこで事務局への質問です。分析内容や議論になった科学的論点等について、論文などの形で公表するとのことでありますけれども、その公表の時期や方法等について、具体的にはどのような方法を考えていただいているのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。諸外国におきましても、公的機関から、その分析の内容、それは国によりましてディテールは異なりますけれども、主な分析内容が報告書、レポートのような形で公表されておりますので、そうしたものをまず想定しております。分析終了後、できるだけ速やかにそうしたものを公表したいということでございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 松本委員、どうぞ。
○松本委員
 それは、事務局で、あるいは専門組織でそれについて調べるということなのですか。それとも提出していただくということなのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。まず、価格調整を中医協総会で行っていただくという手続と、学術的に、その内容、あと公表の内容については、企業側とも、どこまで公表ができる、そういった調整も行った上で公表する、それを中医協総会にまた御報告する、こういった形ではないかと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 よろしいですか。では、吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 今のお話に関連することですが、報告書は、厚労省、保健医療科学院なのか、専門組織なのか、公的分析班、いずれが中心となって報告書をまとめられるのかという質問と、公表は今のように中医協に諮ってということで、中医協の位置づけ、先ほど今村委員からもありましたが、どのタイミングで公表すべきというのは、分析が終わったときに話が上がってきて、中医協で了解するのかということなのだろうと思います。いずれにしましても、費用対効果評価の論点は、国民一般に積極的に情報を開示していくという点は非常に重要な対応だろうと考えておりますし、個々の医薬品ごとの価格調整を決定した段階で、速やかに公表していくのが望ましいのではないかと考えておりますが、タイミングと、誰がどう取りまとめるのかはきちんと整理しておく必要があるのではないかと思います。報告書をどうまとめるか、どこが中心にというところのお考えをお聞かせ願えればと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 お願いします。
○古元医療課企画官
 報告書につきましては、諸外国の事例がございますので、そうした様式なども参考に、国立保健医療科学院が中心となって取りまとめると、こういった位置づけでございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 よろしいですか。
○吉森委員
 わかりました。
 19ページの総合的評価で配慮を行う品目でございますが、一番下の○について、先日、関係業界ヒアリングで外国の製薬団体の主張に見られたような意見、ICERのみならず、ICERに含まれない医薬品等の追加的価値を反映すべきということを考慮したものだろうと考えております。医薬品の倫理的、社会的な追加的価値を算出するというのは、その基準づくりも含めて容易ではないと認識しておりますが、考え方は十分に理解できると思っております。今後、制度開始後もよりよい費用対効果評価の仕組みとしていくためにも、厚労省または保健医療科学院におかれては、集積した事例の分析、研究をしっかり行い、やはり総合的評価に用いられる仕組みとしての明確な基準の制定につなげられるような研究、研鑽をお願いしたいと思います。
 以上、意見です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ありがとうございました。
 ほかに「(4)総合的評価」についてありましたら。よろしいですかね。ありがとうございました。
 次に、「(5)価格調整」「(6)費用対効果評価に係る体制の強化」について、御質問、御意見等がありましたら、どうぞお願いします。
 松本委員、どうぞ。
○松本委員
 20ページ目ですけれども、現行の薬価・材料価格算定ルールをあくまで補完するという視点から検討するという考え方に賛同しますし、それを踏まえて、今回、事務局から提案された内容に対しましては賛成したいと思います。
 21ページ目の配慮が必要とされた品目の価格調整方法についてですが、抗がん剤などについて試行的導入を行ったようなICERを割り引くという方法ではなくて、基準値を別に設定するという考え方は諸外国でも同様の取り扱いがされていることからも理解できるところです。また、制度の透明性を確保するためには、別基準をどういった品目に適用するかについての明確な基準が必要であり、今回それが示されたことで、事務局案に賛成いたしますが、750万円という基準を提案した考え方を再度説明していただきたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。この資料を少し先に進んでいただきまして、35コマ目でございます。こちらに諸外国の基準値と、現行の日本の500万円という基準値を記載しております。現在、日本の基準値500万円は、一番右側に1.18とありますが、対GDP比で1.18という数字でございます。昨年の中医協の議論の中でございました1.18をどの程度まで、抗がん剤などについて高い位置に持っていくのかと、こういった議論の中で、1.18を例えば2倍としてしまいますと、2.36ということで、これであれば諸外国の基準を超えてしまう、凌駕してしまう、こういった御意見の中で、やはり2倍を超えない範囲。そして、今回御提案しておりますのは、500万円の1.5倍、対GDP比で言いますと1.8程度でございますが、こうすることによりまして、欧米の基準とほぼ似通った相場観になるのではないか。こうしたことで今回、750万円を御提案させていただいたところでございます。
 説明は以上になります。
○松本委員
 わかりました。この750万円につきましては賛成したいと思います。
 22ページ目、引き続いてよろしいでしょうか。価格調整率についてですが、患者に必要な医薬品の安定供給を確保するという観点から、価格変動の幅を一定範囲内にするという考え方は理解できます。ただし、品目によって加算割合は大きく異なりますので、一律の基準ではなく、加算率に応じた価格調整方法、つまり、加算率の大きな品目はより大きな引き下げ率とするといった方法も考えられると思いますけれども、これについてはいかがでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、どうぞお願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。この引き下げの下げどめにつきましては、昨年の中医協の議論、また先般の関係業界の皆様からのヒアリングの場においても、いろいろ御意見がございました。そこで今回、こういった御提案を申し上げて、きょうの御意見も踏まえながら対応案を考えていきたいと考えております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 どうぞ。
○松本委員
 続いて23ページ目になりますが、費用対効果評価の観点から活用が望ましいと考えられるものとして、一定条件を満たす品目について、価格を引き上げるという考え方は理解できます。対象となる品目の候補が上がった場合は、速やかに中医協総会にその詳細を御報告いただいた上で、総会で決定するという手続は必ず必要であると思います。
 それから、24ページ目の、年4回の保険収載のタイミングで価格調整を行うことでよいと考えますが、質問ですが、価格の公表から価格調整まで、在庫への影響等を考慮し、一定の期間を設けるとしていますが、この一定の期間とはどの程度の期間を考えていらっしゃるのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。この一定の期間でございますが、薬価制度の再算定なども参考に、今、2カ月程度、こういったところが一つの目安ではないかと思っております。
○松本委員
 わかりました。体制の強化について、最後に24ページの下段でございますけれども、これも繰り返し議論になっているところですけれども、人材育成は非常に重要な課題であって、厚生労働省には、必要な予算を確保した上で、今後も積極的に取り組んでいただくよう、改めてお願いしたいと思います。
 以上です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ありがとうございました。
 では、吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 まず、20ページの価格調整の対象範囲について、原価計算方式の医薬品については、製薬団体など関係業界の営業利益を価格調整の対象範囲外にすべきという意見は、先般の業界ヒアリングなどを通じて承知をしておりますが、今回のこの制度設計では、開示度の低い、50%未満の品目、製品総原価の内訳に関する資料がない、透明性に欠ける品目に限定したということで、さらには22ページにございますとおり、営業利益の価格調整率の最大を有用性系加算等の価格調整90%に比べて50%と低くしています。さらには22ページの対応案の○の3つ目について、下げ止めを設ける限定対応としていることを考えれば、トータルとしては、制度として事務局の仕組みの方向性は理解できるものだとは考えます。そこで2つ質問がございます。1つ目は、22ページの○の3つ目の10%または15%引き下げた価格を下げ止めとする。この10%または15%という運用はどういう形で運用していくのか、適用をどうするのかという点です。
 2つ目は、開示度について、50%、これは対象品目を選ぶときも50%となっておりますが、一般的な感覚で申しわけないですが、50%の開示度というのは必ずしも開示が高いとも思えないというか、もう少し開示度の率は上がってもいいのではないかと思います。企業の秘密保持を勘案すれば、50%以上というのは十分に情報開示がされていると事務局では認識されているのかどうか、その辺のお考えをお聞きしたい。また、例えば、開示度50%未満と50%以上の品目がどれぐらいのパーセンテージになっているのか、分かれば教えていただければと思います。
 以上です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 まず、1つ目の御質問についてお答えしたいと思います。この下げどめの率につきましては、昨年も各お立場の方からさまざまな御意見をいただいているところでございます。今回、事務局といたしましては、相場観としては10%または15%ということでお示しをいたしておりますが、詳細の運用、基準の割り方などについては、御議論いただきまして、それをもとに詳細な案を今後御提示していきたいとは考えております。先ほど松本委員からも御提案がありました、こういったものも参考にしながら検討していきたいと考えております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 薬剤管理官、どうぞ。
○田宮薬剤管理官
 吉森委員からの2つ目の質問について、通常、薬価を原価計算方式で算定している場合、原材料ですとか、包装資材の価格や量とか、あるいは臨床試験や申請資料作成などの実際の費用などについて、伝票ですとか、あるいは作業工程の時間数など、そういったところをさまざま精査した上で原価計算の算定をしているところでございます。ただ、例えばでございますけれども、原薬の製造工程などについては、作業時間、あるいはその原料費などを含めて詳細に開示がされている場合であっても、製剤化する部分の工程を専業業者に外部委託するといったことがございます。そういった場合は、もちろん伝票とか実績などを確認した上で、実際の費用の妥当性は確認しているわけですけれども、通常、委託先の原価の開示までは出てこないことも多うございまして、そういった場合には私どもでは、製品総原価のうちのそこの部分のコストについては、開示されていないという取り扱いにしております。すなわち、厳密に厳格に運用しているところでございまして、そうしたこともあり、平成30年度4月以降の原価計算で加算が適用された品目、成分数で9成分ございましたけれども、そのうち、実際には7成分が開示度50%未満という実態になってございます。そういった意味では、50%未満というのは、ある意味、実効性のある基準であると思いますし、今説明した開示の考え方からしても適切なのではないかと考えているところでございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
 私も原価計算方式の開示度に応じて営業利益率を価格調整の対象範囲とすることについて、一律に50%を基準として設定することには違和感があります。開示度が50%以上であれば合格点に達しているという印象を受けるのですが、例えば、開示度60%であっても、40%はブラックボックスであるにも関わらず、営業利益を価格調整の対象範囲としないのは、ちょっと違うのではないかと思っています。やはり営業利益率に切り込むのであれば、その開示度に応じて、例えば、6割開示されているのであれば、4割部分については価格調整の対象にするという考え方を取り入れるというのは、いかがでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 薬剤管理官、どうぞ。
○田宮薬剤管理官
 今、御指摘の点でございますけれども、実際、例えば、輸入品目のような場合に、移転価格のところについて内訳が出ないということで、結果的に開示度が低くなるといったことがあるわけでございます。先ほど委員から不透明であるという御指摘がございましたが、実際の原価計算の算定におきましては、例えば、米国から製品を輸入するといった場合に、米国から日本以外の国、すなわち、イギリス、ドイツ、フランスなどにどういった移転価格が設定されているかとか、そういったことをインボイス等で確認した上で、日本以外の国への販売価格と比較して、日本が不当に高くないといったことは確認させていただいているところでございます。あわせて、外国平均価格調整といったルールもございますし、諸外国の最終的な価格についても確認させていただきながら薬価算定をしているところでございます。
 ただ、そういった中でも、先ほど申し上げたように、製造の一部工程を委託したような場合も含めて、企業の取引形態、製造、輸入の形態の中で、どうしても詳細な原価が出てこないところがあるといったところがございまして、そうした中で、開示度50%未満というのは、先ほど申し上げたとおり、これまでの実績を踏まえましても、ある意味、相当程度厳しい基準になっているのではないかと思っているところでございます。
 なお、この50%未満という基準について、一つ参考としましたのは、原価計算方式に対する加算係数の基準において50%未満、50%以上から80%未満、80%以上といった3つの区分がございますけれども、その区分も参考にして50%未満を提案させていただいたところでございます。
○幸野委員
 ですから、一律に50%を基準として設定するのではなく、開示度に応じて営業利益率の減算部分を決めていくという考え方はいかがでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
 実際の品目ごとの開示度がどれくらいになるかは、例えば、もともとの製品の製造コストですとか、臨床試験における費用とか、そういったいろいろなコストとの関係で決まってくるところがあるので、ごく一部を委託しただけで開示度に大きな影響を及ぼすとか、そういった品目もございますので、開示度で段階的にするという、非常に精緻な形のルール設定が適切なのかといった議論はあるのではないかと思っております。
 一方、営業利益率を段階的に半分まで調整するといったルールにつきましては、現行の原価算定方式におきまして、院内製剤として既に使われているものなど、既存治療と比較して相当程度革新性か低いと認められるものについては、現行のルールでも営業利益率のマイナス50%といったルールもございますので、あくまで薬価制度の補完という位置づけで考えた場合に、そういったルールも参考としながら、今回、ルールとして提案させていただいたところでございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
 先ほどご説明がありましたように、平成30年度以降に薬価収載された原価計算方式における医薬品について、9品目中7品目が開示度50%未満ということで、我々からしてみれば、開示度に対するインセンティブが余り働いていないような感じがしてなりません。費用対効果評価において、開示度が50%以上であれば営業利益率を価格調整の対象範囲としないという基準を設定すると、50%ぐらい開示していればもう十分なのだという印象を与えるような感じになるのではないでしょうかその点については国としてどのようにお考えですか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 薬剤管理官、お願いします。
○田宮薬剤管理官
 繰り返しになりますけれども、例えば、製造コストなどを詳細に明らかにしていても、どうしても企業の実際の製造の中で、一部工程を外部業者に委託するほうが効率的といったケースも多数ございます。そういった場合に、一部委託をするだけで、もちろん伝票などは確認しておりますけれども、そこの部分の詳細が示されないといったことはどうしてもあるわけでございまして、そうすると、容易に開示度80%を切ってしまうといったこともございます。そういったことについて、一律に80%未満なので開示度が低いという判断に至るのかというと、私どもとしては、ごく一部のところを委託しただけでそういったことになることも考えますと、今回の50%未満の基準というのは、製造販売業者からすると、かなり厳しい水準になっているのではないかと思っているところでございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 よろしいですか。では、吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 少し細かくて恐縮なのですが、21ページのICERが一定の幅をもって基準値をまたぐ場合の、※の基本的な考え方について、整理の意味での質問です。幅が一定以上あるなど、科学的な確からしさが課題がある場合、ICERの幅のうち最も大きい点をとありますが、具体的には、一定以上の幅があれば、この考え方をとるのか、そうではなくて、科学的根拠に課題がある場合のみ、一定以上の幅の際にこういう考え方をとるのか。そうすると、確からしさに課題がある場合というのは全て、幅の大きさではなくて、こういう考え方をするのか、整理をしていただくとありがたいと思うので、質問です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 福田参考人、どうぞ。
○福田参考人
 では、私から回答させていただきます。
 まず、科学的な確からしさに関してなのですけれども、今の※の最初にありますとおり、例えば、幅があって、幾つかの値が出てきた場合に、より科学的に確からしい値が存在するのであれば、そちらを採用するというのが基本だと思いますので、最後の部分に関しては、一定の幅があるというのが基本になると思います。この一定の幅があるということ自体が1つの間に確定をできないという意味で、確からしさが低いと判断すべきと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 そうしますと、一定の幅というのは、品目に応じて違うのでしょうが、一定という意味はどう解釈すればいいのでしょう。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 福田参考人、お願いします。
○福田参考人
 なかなか明確に示すのは難しいですけれども、おおむね、目安としては、例えば、1つの段をまたいであるような場合ではないかなと思います。
○吉森委員
 そうすると、必ず閾値の幅をまたぐ部分についてはという解釈でよろしいわけですね。同じ段に載っていれば、その幅におさまっている場合、例えば、標準的なものですと250万円刻みですから、250万円の幅に入っていると。それを超えた場合という考え方でよろしいわけですね。
○福田参考人
 例えばということでありますけれども、そのような目安ではないかと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 城守委員、どうぞ。
○城守委員
 22ページの価格調整率のところなのですけれども、価格は調整前の薬価を10%または15%引き下げた価格を下げどめとすると書いておられるわけですけれども、その前に四半期再算定等のほかの再算定を受けて薬価が落ちた場合は、落ちた薬価に対して、さらにこの調整を加えるという意味であろうと思うわけですが、ケースとしては少ないのかもしれませんが、たまたま他の再算定とこの公的分析を含めた費用対効果の調整の時期が割と近接している、そういうケースも出てくる可能性はあるかなと思うのですけれども、そういう場合はどちらを優先にして、それに基づいてあとを調整するのか。それによって価格がちょっと変わってくるのではないかと思うのですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 貴重な御指摘ありがとうございます。実は、昨年の試行的導入におきましても、通常の薬価改定のフレームの中で、費用対効果評価の結果に基づく価格調整を行いました。やり方としては、ほかのルールをまず適用した後に、そこで得られた仮の薬価といいますか、そこで調整したものを用いて、改めて、この費用対効果のICERを算出して適用ということですね。ほかのルールの後にこれをかけるというのが基本的な考え方であります。物によって、おっしゃるようにタイミングがいろいろございますので。ただ、同時期に来た場合は、ほかのルールを適用した後にこれということになると思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 24ページの体制強化についての意見と質問です。体制強化については、先ほど各委員からありましたが、費用対効果評価制度の定着化には公的分析の体制整備強化は最重要事項だと考えております。今後、何年で何品目程度対応できる体制にするかという具体的な工程計画が体制整備を図っていくことの定着化に向けては必要要件だと考えておりますが、予算措置も含めて、事務局はどのようにお考えなのか、お考えがあればお聞かせ願えればと思います。
 また、体制強化の2つ目の教育プログラムについて、新たな教育プログラムの設置とあり、先日、関係団体のヒアリングでも、各企業というか、団体に申し上げましたが、企業においての人的な面での体制強化を図ることは、この費用対効果評価分析を迅速に行うことでの担当者の人材育成は非常に重要な事項だと思っていますので、企業において分析を担当するような方も、この教育プログラムに対象として入っていただくこともできるのではないかと考えますが、その辺はどうお考えなのかも含めて、2点の御質問です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 企画官でございます。
 まず、1点目でございます。少し中長期的に取り組む必要があるというのは御指摘のとおりであります。例えば、人材育成プログラムを設置するといたしましても、これは単年度のものではなくて、やはり複数年度ですね、こういったものをイメージして、ただ、具体の、何年後に何人と、こういったことをここで申し上げられるような状況ではないのですけれども、やはり複数年度かけてしっかり取り組んでいきたいということがまず1つございます。
 また、2つ目の御質問につきましては、人材はこの制度を行っていく上での両輪でございますので、どのような形、このプログラムの内容なども検討する中で、どのような方を対象にしていくのか、これも検討してまいりたいと考えております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 よくわかりました。いずれにしましても、アクションプランを早急に立てて取り組まないと、費用対効果評価は、4月から走り出したとすれば、多分、分析の限界、今は10品目ということですが、これから想定される高額な薬価の開発に伴えば、どんどん首が締まっていくということになろうかと思いますので、ぜひ具体的なアクションプランを早急に御検討いただきたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 島委員、どうぞ。
○島委員
 ありがとうございます。確認ですけれども、20ページのところの考え方ですね。これは費用対効果評価を行った対象品目に関する考え方ですね。そうすると、2とか4のところは、もちろん加算がないと。先ほど示された34ページの対象としようというところは、加算があるものを費用対効果の対象にしていますね。そうすると、2とかは対象にならないものが入るのではないかという気がするのですが、その辺はどうなのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 御質問ありがとうございます。ちょっと私の説明が不十分でございました。資料の7ページをごらんいただきたいと思います。今、島委員に御指摘いただいた内容は、この図の上半分の原価計算方式の左から4つ目の枠をごらんいただきたいのです。有用性系加算の算定、または開示度50%未満という書き方をしておりまして、これは私の説明が不十分で申しわけございませんでした。必ずしも加算がない品目であっても、開示度が低いものは対象にしたいと、こういう御提案でございます。よろしくお願いします。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 安部委員、どうぞ。
○安部委員
 参考人の方にちょっと教えていただければと思うのですが、23ページの※2に、別に定める条件が(1)(2)の両方をクリアすることが求められているわけでありますけれども、HTAの専門家からすると、こういった要求事項はごく当たり前というか、そういうものなのか、それとも相当厳しいとか、緩いとか、もしお考えがあれば教えていただければと思うのです。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 福田参考人、お願いします。
○福田参考人
 御質問ありがとうございます。23ページの※2のところですけれども、費用対効果の観点からというよりも、多分、有効性の点から、日本人を含むアジア人を対象とした集団でのエビデンスがしっかり示されていて、それが学術的にも証明されているという要件だと思います。費用対効果の観点から、ある程度の範囲内で上げるというのは、考え方としてあり得るのではないか。この条件に関しましては、これはかなりしっかりとしたエビデンスが出ているものではないかと考えます。
○安部委員
 わかりました。ありがとうございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 宮近委員、どうぞ。
○宮近委員
 資料の22ページの関係ですけれども、対応案の○の3つ目、先ほど吉森委員から、10%または15%引き下げた価格を下げ止めとするという内容について質問がありましたが、事務局からは、その内容もこの場で議論してくださいというお答えがあったと理解しています。事務局として、例えば、こういう場合は10%、こういう場合は15%を適用するというお考えは、今、お持ちではないということでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。そういったことも含めて、ここは御意見をいただいた上で、また、今後、業界の皆様からのヒアリングもございますので、そういった質疑の中で、どういったやり方がふさわしいのかを検討していきたいという御提案でございます。ここで何か決まったやり方を御提案するという形ではないと御理解いただければと思います。
○宮近委員
 昨年の10月、11月にこの内容について論議した際に、必要な医療品等の安定供給を確保することが大変重要であるということが論議されたと思います。また、制度については、全く新たな制度をここで運用し始めることになるでしょうから、この下げ止め率についても一定の配慮が必要なのではないかと考えます。つまり、運用がスムーズにいくような率でまずやってみて、その実績を踏まえて、さらに検討を重ねることが必要ではないかと私は思います。
 以上です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 いかがでしょうか。(5)及び(6)の部分ですけれども、ほかに。
 どうぞ、幸野委員。
○幸野委員
 23ページの、ドミナントや、ICERが200万円以下のものについては薬価を引き上げるというところですが、費用対効果評価の目的は、医療保険財政への影響が大きな医薬品や医療機器に対して、費用対効果の観点から評価して価格の妥当性を検証するのが目的で、試行的導入のときから、評価がよいものについては価格を維持し、悪いものについては価格を下げるというのが私の考え方だったのですが、ドミナントのように、費用が下がる、効果が同等というものについては、その下がる原資を利用して価格を上げるというのは理解できるのですが、例えば、ICERが出て、費用も上がり、効果も上がるというものについて、価格を上げることが、この費用対効果評価の本筋からは逸脱しているのではないかと思います。例えば、非常に高額な医薬品が出て、費用対効果評価を行ったら、200万円以下におさまったとします。では、その高額医薬品について、さらに価格を上げるのではなく、これは評価が正しかったから価格を維持するべきではないかと思うですが、その点についてのお考えはいかがでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。少し考え方でありますけれども、今回のこの取り組みにつきましては、新たな医療技術について、その価値を科学的に評価する、いわゆるヘルス・テクノロジー・アセスメントを推進していこうと、こういった大きな流れの中での試みでございます。この中で、費用対効果評価の結果を医薬品等の価格調整に用いる、こういった方法を検討しているわけでございますが、費用対効果の悪い品目について引き下げのルールを設定する一方で、よいものについて引き上げを行う、これは政策の形としては整合性のとれたものではないかとは考えており、今回提案させていただいたものでございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 幸野委員。
○幸野委員
 繰り返しになりますが、医療保険財政に影響を与えるものが対象になっているわけですから、その費用対効果が幾らよいものが出たとしても、財政にマイナスの影響を与えるような仕組みは実施すべきではないと思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 こちらはあくまでも費用対効果評価というものに基づいて価格調整を行うと。この方法として、どういったやり方が適切なのか、ここを御議論いただきたいということでございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 よろしいですか。(5)及び(6)のところでほかに何かございましたら。よろしいですかね。
 上出専門委員、お願いします。
○上出専門委員
 今回示されました骨子案に対します業界の意見につきましては、2月に業界の意見ヒアリングの機会を設けていただけるということでございますので、そこで業界代表から述べさせていただくことになるかと思いますが、全体を通しまして、本日の御議論も踏まえて、専門委員として少しコメントさせていただけたらと考えております。よろしいでしょうか。
 まず、分析のプロセスに関しましては、試行的導入の検証で明らかになりました課題に対する対応策を盛り込んでいただいたと理解しております。今後、納得性の高い分析といったものが行われることが期待できると考えております。
 その中で1点だけ、本日も少し御議論ございましたけれども、事前協議と企業分析をあわせても9カ月ということにつきまして、試行の実績を踏まえますと、本当に現実的にできるのかどうかといったところは若干の懸念が残っておるところでございます。対象企業はこの9カ月といったものを目指して真摯に取り組んでいくことはもちろんでございますけれども、試行の初期に当たりましては、柔軟な運用も必要ではないかと考えております。
 一方、品目の選定基準並びに価格調整に関しましては、先ほども開示度の低い加算のない原価計算方式の品目についていろいろ御議論がございました。業界といたしましては、この費用対効果評価と薬価制度の整合性といった観点も含めまして、対象とするのは加算のある品目に限定すべきはないかという意見を先般の業界の意見陳述でも述べさせていただきました。この辺につきましては、かなり意見の乖離があるところかと考えております。
 また、加算の引き下げ、調整率につきましても、最大90%でございますが、以前も述べさせていただいておりますけれども、薬価専門組織で検討され、そして中医協で承認されました加算率を、不確実性の高いICERの結果をもって90%調整してしまうことが過大ではないかというのが我々の受けとめでございます。
 また、総合的評価におきましては、ICERの分析結果のみでは評価し切れない、そういった要素に対する対応についても、また業界の意見陳述で意見を述べさせていただくことになると思いますので、ぜひ御検討いただけたらと思っております。
 そして最後に1点、先ほど、下げどめ10%、15%につきまして意見があればということでございました。薬価制度におけます市場拡大再算定は、年間の売り上げが150億円を超えて、予想より2倍に増えたもの、もしくは100億円以上、予想の10倍と、実際に売り上げがこのぐらいの規模で拡大してしまったものに関しまして、例えば、類似薬効比較方式の製品であれば、最大15%の引き下げでございます。そういったことを踏まえまして、この費用対効果評価をもって調整する率が薬価の15%というのは少し過大なのではないかと考えておりますので、ぜひそういった点も含めて今後御検討いただければと考えております。
 長くなって申しわけございませんでした。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見ないようでしたら、本日の御意見を踏まえ、事務局において検討を進めることとしてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ありがとうございました。それでは、そのようにしたいと存じます。
 次に、「費用対効果評価の分析ガイドライン改定案について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 企画官でございます。
 費薬材-3をごらんください。まず、概要を私が御説明申し上げた後に、福田先生から詳細を御説明いただきたいと思います。
 まず、この分析ガイドラインでございますが、以前、中医協におきまして実際にお認めをいただいた内容がございました。それを今回、改定したいということでございます。今回お示ししている資料は、既存のガイドラインから、実際に試行的導入に携わっていただいた企業の皆様、また、その他の企業の方からも一定の御意見をいただいた上で、反映もさせたものでございます。ただ、企業側としてはまだ御意見がある部分があると思いますので、その内容は次回のヒアリングでもお伺いしたいと思っております。現時点版として、まず御報告申し上げるということで御理解いただければと思います。
 概要は以上でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 そうしたら、福田参考人、お願いします。
○福田参考人
 参考人の福田でございます。
 では、費薬材-3の資料に基づきまして、この試行的導入を受けて、主にガイドラインに変更を加えた点を中心に御説明させていただきます。
 文書の形式のままで恐縮なのですけれども、まず、2ページ目にあります「ガイドラインの目的」でございます。ここには、1.2のところですけれども、本ガイドラインが企業分析及び公的分析の両方に適用されることを明記いたしました。
 次が、4ページの「分析対象集団」というところでございます。基本的には3.1にありますとおり、企業による分析の実施の時点で適応となる患者を分析対象集団とするということで、これは従来どおりで変化はございません。
 その下の3.2のところで、複数の適応がある場合、あるいは同一疾患内において治療成績や用法用量、比較対照技術が異なる主要な集団がある場合には、各集団についてそれぞれ分析を実施することを原則とすると書いております。これは基本的には試行的導入での取り組みと同じ考え方ではあるのですけれども、試行的導入の過程で、どのような対象集団のグループでやっていくのかというあたりで検証が必要なものもあったということで、このあたりをわかりやすく記載したということでございます。
 その下の3.2.1というところなのですけれども、ただしということで、例えば、適応を全てやるといっても、非常に適応が多い場合もあり得ますので、このような場合には、患者数や疾患の性質等を勘案して、企業と協議した上で、どれを対象とするかを選択するという考え方を取り入れているということです。これについては事前協議で議論することになると理解しております。
 次のページの4番の「比較対照技術」でございます。これについては4.1にあるとおりなのですけれども、試行的導入に関しましては、基本的に既収載品について評価を行うということで、比較対照技術については、新規の医薬品等が導入された時点で最も代替されたという実績に基づいて比較対象を選ぶのを基本としておりましたが、今後は新規の収載品目が中心になっていくと想定されますので、ここの言い方を、新規の医薬品等が導入された時点で代替されると想定されるもののうち、治療効果がより高く、臨床現場等において幅広く使用されているものを原則とするという書き方に変更してございます。
 続きまして、次の6ページ目の「追加的有用性」でございます。ここについては、やはり試行的導入と変わらずに、基本的にはランダム化比較試験のシスティマティックレビューに基づくことを記載しております。
 次の7ページの5.4でございます。試行的導入におきましても、このようなランダム化比較試験等が非常に限られているような品目もございましたので、5.4にありますとおり、既存の観察研究やレジストリーデータなどを再解析した結果をもって追加的有用性の評価を行う方法も取り入れたということでございます。これは試行的導入においても、実際に検証分析の段階でこのような方法を採用したものがございます。ために、このような方法も採用することにしたということでございます。
 続きまして、次の9ページの6番の「分析手法」ですけれども、これも基本的には試行的導入と同じところなのですが、6.4で、この分析対象となる複数の疾患や、同一疾患内での複数の分析集団がある場合には、ICERは疾患や集団ごとに算出すると明記いたしました。これをもとに患者数で分析をするということでございます。
 それ以降は変更が少ないですので、少し先にいかせていただいて、ページで言うと13ページになります。9番の「データソース(費用を除く)」ということなのですけれども、9.4で、試行的導入についても医療機器についても取り上げてまいりましたが、医療機器等の評価において、いわゆる習熟効果、ラーニングカーブと言われるもので、これは経験を蓄積していることによって治療効果等の改善が得られるというものですけれども、この考え方は医療機器の場合にはあり得るということですので、これとか、製品の改良による効果です。これを反映した分析を共有するものというガイドラインに変更いたしました。ただし、これらにつきましては、科学的に信頼できる定量的なデータがある場合だと思いますので、しっかりとデータを確認して、これについても両者で協議をして合意のもとで実施するという記載にしてございます。
 続きまして、「費用の算出」という、次の14ページのところでございます。ここでは、10.3のところで、費用の推計においては、日本における平均的な使用量や標準的な診療過程等を反映するというのを基本としていて、これは試行的導入と同じなのですが、このような観点から、10.4のところで、実臨床を反映した国内におけるレセプトのデータベースを用いることを推奨するという形にしております。ただし、レセプトでは難しい場合もあり得ると思いますので、この場合にはその限りでないということです。その場合なのですけれども、その下の10.5のところで、レセプトのデータ等で難しい場合には、標準的な診療プロセス等に基づいて診療報酬点数を積み上げて計算するという形もあり得るという記載としております。
 それから、次の16ページ目の11番の「公的介護費用・生産性損失の取り扱い」でございます。これは先ほども議論がありましたけれども、直接的に反映するということではないということでありますが、今後、こういうものをどう扱うかについて、データは可能であれば提出していただいて、それをもとに議論していくということだと思いますので、この部分の記載については、試行的導入でも入っていたのですけれども、今回もそのまま残すという形で、このような方法で介護費用・生産性損失について計算したものを御提出いただくことも可能だととっています。ただし、基本的な分析には含めないというのが基本的な姿勢でございます。
 簡単ではありますが、以上でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明に関して、御質問等がありましたら、お願いします。
 吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 ありがとうございます。この分析ガイドラインの改定案はあくまで現時点は途中経過だという理解での意見を申し述べたいと思います。当然、先ほど来議論がありましたが、企業分析の期間が、分析前協議と、その協議の枠組みに基づいた費用分析の合計が9カ月を上回らないという期間設定をされている中で、今回のこの分析ガイドラインは、企業サイドにとって、企業分析をよりスムーズに対応するための重要な指針になるものだという位置づけだと考えております。今、御説明いただきましたとおり、ガイドラインの内容改定に当たっては、試行的評価実施時の分析前協議においての問題点、その課題の抽出、そして、その課題解決への対応方策等が、保健医療科学院、厚労省中心に検討されてきた経緯は理解できましたが、ガイドラインについて、申しわけないのですが、これを我々が評価する中では、皆さん、御理解しているのだろうと思いますが、このガイドラインのどの箇所にどのような課題があって、その対応方針としてどのように対策を考え、修正したかがわかるような、一覧性のある資料をおつくりいただいて改定案をお示しいただくと、私などは評価しやすいのかなと考えますので、ぜひ次回、改定案を総会で評価すべきという御提案の際には、資料作成を含めて御対応をよろしくお願いしたいと思います。
 以上、意見です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 ほかに御意見等ないようでしたら、本件については御報告の内容で御了承としてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ありがとうございました。それでは、そのようにしたいと存じます。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡しますので、よろしくお願いします。
 それでは、本日の費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会合同部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

(了)
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