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2018年12月5日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会 合同部会

○日時

平成30年12月5日(水)10:09~11:11

 

○場所

グランドアーク半蔵門 富士の間(4階)

○出席者

荒井耕部会長 田辺国昭委員 野口晴子委員 中村洋委員 松原由美委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 島弘志委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
平野秀之専門委員 上出厚志専門委員 村井泰介専門委員
五嶋規夫専門委員 堀之内晴美専門委員
<参考人>
福田敬参考人 池田俊也参考人
<事務局>
樽見保険局長 渡辺審議官 山本審議官 森光医療課長 古元医療課企画官
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 費用対効果評価に関する検討について
 ○ 費用対効果評価に関する検討状況について(報告)

○議事

 

○荒井費用対効果評価専門部会長
ただいまより、第13回「中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会合同部会」を開催いたします。
まず、本日の委員の出欠状況について報告します。
本日は、関委員、榊原委員、日色専門委員が御欠席です。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○荒井費用対効果評価専門部会長
まず、「費用対効果評価に関する検討について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。
企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
それでは、費薬材-1の資料に基づきまして御説明を申し上げます。
1ページ目でございます。費用対効果評価に関する検討の進め方ということで、これまでと同様の資料でございます。
2ページ目が今回の合同部会で議論をさせていただく内容についての概要でございます。
3ページからが具体的な内容になります。
検討課題の1つ目、「第三者的視点に立った透明性の高い組織・体制のあり方」でございます。まず、その1点目、公的分析についてでございますが、試行的導入におきましては、国立保健医療科学院及び委託を受けた大学が中立的な立場から再分析を実施いたしました。また、品目ごとに利益相反の確認を行った上で実施をいたしました。費用対効果評価に関する再分析には労力を要すること、さらに分析を実施可能な人材が限られているため、今後の体制の充実が必要であるということが明らかとなりました。
ここで、参考人より資料の提出がございますので、参考人のほうから御発言いただければと存じます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
よろしいでしょうか。
○福田参考人
参考人でございます。
今の同じページの次にあります<参考人提出資料における検討>というところで概要を御説明させていただきます。
諸外国の状況ですけれども、公的分析に関しまして、英国ではNIHR、National Institute for Health Researchという国立の研究の機関ですけれども、ここから委託を受けたアカデミックセンター、一般的にはEvidence Review Groupという称し方をしておりますが、そこが公的分析を実施しているという状況でございます。
このNIHRとERG(Evidence Review Group)は、分析品目数について契約を結んでおり、契約期間は5年間という形でやっています。この5年間の中にある程度の件数の分析をやっているという契約をしているという状況でございます。このERGの作成した公的分析レポートにつきましては、評価委員会、Appraisals committeeというところに提出され、そこで評価が行われているという状況でございます。
オーストラリアにおきましても、英国と同様の取り組みを行っております。
試行的導入に関しましては、先ほども御報告がありましたとおり、再分析を国内の大学に委託する際には単年度契約ということで実施をいたしました。ただ、今後はやはり質の高い公的分析を行うためには、優秀な人材確保を初めとする実施体制の充実が不可欠であると考えます。そのため、公的分析班については、できれば継続して実施できる体制とすることが望ましいのではないかと考えます。
あわせて、当然でありますが、利益相反についても慎重な配慮を行うとともに、分析の質を確保するための取り組みが求められると考えます。
以上でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、引き続きどうぞ。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
続きまして、次の4ページ、<検討の視点>でございます。
まず1つ目、公的分析の実施体制についてでございます。公的分析につきましては、中立的かつ高度な専門性を有する体制によって行われる必要がある。例えば英国におきましては、今、参考人より御報告のあったような取り扱いが行われております。一方、フランスにおきましては、大学等に委託するのではなく、国立研究機関が企業分析の検証を行う。国によって公的分析の実施体制やその内容は異なりますが、現在、体制としてはまだ整備がおくれているというのが現状でございます。
今後、品目数の増加、並びに国立研究機関の人員が限られていることなどを考慮いたしますと、我が国におきましては大学など公的分析班と位置づけて複数設置いたしまして、公的分析を実施する体制がふさわしいと考えます。
また、諸外国の状況を参考にいたしまして、厚生労働省の機関でございます国立保健医療科学院が公的分析において重要となる分析前協議などの各種調整、並びに分析の支援などを行うのが適当ではないかということであります。
また、各品目をどの公的分析班が対応するかについては、利益相反などを考慮した上で、同じく国立保健医療科学院で選定することとしてはどうかという御提案でございます。
2つ目、利益相反に関する対応でございます。2つ目の○です。公的分析の中立性を確保するという観点からは、各公的分析班がどの品目を担当しているかについては非公開といたしまして、公的分析班と企業が直接接触しないなどの体制とするのが適当ではないか。とはいえ、分析を行うに当たりまして確認が必要な事項がございます。こういった場合については、国立保健医療科学院を通じて照会を行うこととしてはどうか、また、厚生労働省も関与することとしてはどうかということでございます。
3つ目、公的分析の体制の充実、人材育成でございます。今後、品目数の増加、こうした中、人材の育成を初めとする公的分析の実施体制の強化が喫緊の課題でございます。そのため、人材育成に向けた新たな教育プログラムを設置することが必要と考えておりまして、諸外国のプログラムの現状などを参考にいたしますと、1年程度のプログラムを行うことが現実的ではないかと考えてございます。
以上を含めまして、論点が3点ございます。公的分析の体制、利益相反への配慮の観点、そして公的分析の体制強化のための取り組み、こうした3点を論点とさせていただいております。
5ページ目、費用対効果評価専門組織についてでございます。まず、試行的導入における取り組みでございますが、この専門組織につきましては、医療関係者、支払い側、及び経済学等に関する有識者により構成いたしました。委員の構成はそちらに記載のとおりでございます。
今年度実施しております検証作業におきましては、専門組織の下に臨床の専門家から成るワーキンググループを設置いたしまして、そのワーキンググループの検討結果も踏まえ、協議を行いました。
また、これら専門組織及びワーキンググループは非公開で行い、希望する企業からは意見表明をお伺いいたしまして、さらには不服意見書を提出するとともに不服意見表明を行うことができる。こうした取り組みといたしました。
なお、専門組織、ワーキンググループの委員につきましては、薬価算定組織などと同様に、対象企業との利益相反を確認して取り組んでございます。
ここで、<検討の視点>でございます。まず1点目、専門組織の構成についてでございます。試行的導入の経験を通しまして、専門組織の委員には費用対効果評価を進める中で極めて専門的な知識が求められるということが明らかとなりました。前回の合同部会におきまして、品目の選定、価格調整などについては中医協の総会で行うとの検討をいただいているところでございます。こうした一連の手続の中で、中医協総会と専門組織との役割分担を整理する必要があるのではないかというのが1点目。
具体的には、医療関係者の方でございますとか、保険者、支払い側のお立場からの検討については、中医協総会において行うことといたしまして、専門組織では薬価算定組織、保材専と同様に、中立的な立場から専門的な検討を行うこととしてはどうか。また、分析前の協議内容、分析内容につきまして、臨床の専門家の確認が必要でございます。こうしたことについても、薬価算定組織などと同様に、あらかじめ各分野の専門家を指名した上で、品目に応じて確認を行う。こうした体制が望ましいのではないかということでございます。
加えて、今回、費用対効果評価につきましては、ICER、すなわちQALYを用いた評価の特性がございます。こうした観点から、医療倫理の専門家にも委員として参画していただいてはどうかという御提案でございます。
こうした考え方を踏まえまして、具体的には、次の6ページをごらんください。表3、表4、表5と示しておりますが、こうした形で専門組織の委員構成としてはどうかという御提案であります。
まず、表3でありますが、本委員として医療経済の専門家、臨床の専門家、医療統計の専門家、医療倫理の専門家、こうした方々に入っていただき、分野ごとの専門家として各分野の臨床の専門家に品目に応じて参加をいただく。
表4が薬価算定組織、保険医療材料等専門組織との対比表となりますが、基本的には本委員の方というのはその組織に毎回基本的に御参加いただく。分野ごとの専門家は、品目ごとに御担当いただく。こういった形で運用してはどうかという御提案でございます。
その下、表5が中医協と今回御提案申し上げている専門組織の案との比較でございます。中医協の総会で費用対効果評価のルールを決定いただくとともに、対象品目の選定、価格調整、こういったことの決定をしていただく。また、中医協の費用対効果評価専門部会ではさまざまなルールを検討いただく。こうした中で、費用対効果評価組織、一番右におきましては、実際に科学的な事項を中心に専門的に各品目の評価をしていただく。こうしたたてつけでどうかという御提案でございます。
7ページでございます。会議の実施方法につきましては、薬価算定組織等と同様に非公開で行う。また、利益相反についての確認をした上で、企業からの意見聴取についても、専門組織において直接の意見表明ができることとしてはどうか。さらには、その際、必要な質疑応答を行えることとしてはどうか。また、策定された評価結果案などにつきまして不服がある場合については、不服意見書を提出するとともに、専門組織において直接の不服意見表明を行うことができることとしてはどうかということでございます。
論点は、そちらに記載のとおり3点。まず、専門組織の委員構成について、また利益相反の取り扱いや企業側からの意見、不服意見の聴取について、どのような方法で行うのが適当かという3点でございます。
8ページ、分析ガイドラインのあり方についてでございます。費用対効果評価を進めるに当たりまして、分析のガイドラインを中医協で策定いただきまして、本分析ガイドラインに基づきまして分析を行ってまいりました。
ここで、課題が幾つか見えてまいりました。分析に用いるデータの範囲などに関する分析ガイドラインの解釈が一致しないために、企業側と再分析側の分析結果が大きく異なった品目がございました。また、試行的導入を実際に行った中で、分析の方法についての技術的な課題が明らかとなりました。こうした分析ガイドラインへの反映も必要と考えられております。
検討の視点でございます。2つ目の○から御説明しますが、品目ごとの分析ガイドラインの解釈については、分析前協議などにおいて具体的に協議を行うことが必要である。また、現在、厚生労働科学研究班におきまして分析ガイドラインの改定に向けた検討を行っております。分析ガイドラインについて必要な見直しを行うことが求められると考えております。
そちらの研究班における検討内容の概要をそちらに記載いたしましたが、例えば比較対照技術の選定の考え方、システマティックレビューの実施方法、医療機器に係る分析に関する事項、費用推計の方法、こうしたことを今検討いただいておりまして、また、年度内に中医協に御報告申し上げたいと考えてございます。
<論点>でございます。品目ごとの分析ガイドラインの解釈について、共通認識を得るための手続はどういった方法が必要かということ。また、分析ガイドラインを見直すことについてどう考えるのか。こうした点について御意見をいただければと存じます。
最後の論点であります。9ページをごらんください。4週間前の同じく合同部会で議論をさせていただきました価格調整方法について、改めて本日御協議をいただきたいと考えております。
9ページの下半分のところから御説明申し上げます。<中医協における主な意見(合同部会(平成30年11月7日))>と書いてあります。そこでは、スロープ方式も階段方式も、最も確からしい値を決めるという意味では本質的に同じであろうと。そうであれば、よりきめ細やかに価格調整ができるスロープ方式のほうが望ましいのではないか。また、一定の幅を持ったICERに対応するためには、スロープ方式より階段方式のほうが適当。階段方式を採用する場合に、閾値での価格変動が大きくなり過ぎないように配慮が必要。また、閾値をまたぐ場合にどのように対応するのか。こうしたことが課題であろうということです。どちらの方式をとるかによって、専門組織の作業や今後対応できる対象品目の数が変わるのか。こうした御質問、御意見もいただいたところでございます。
ここで、11月7日の協議を受けまして、また本日参考人から、御検討いただいた内容を御提出いただいておりますので、ここで御発表いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○荒井費用対効果評価専門部会長
参考人、お願いします。
○福田参考人
続きまして同じ資料で御説明させていただきます。今、スロープ方式と階段方式というものが議論されておりますけれども、階段方式で行った場合に、ICERが一定の幅を持って評価をされ、かつ閾値をまたがった場合にどうするかというのが課題になります。こちらにつきましては、基本的にはどちらの段で価格調整を行うことが科学的により妥当かについて専門組織で検討いただくというのが適当であると考えます。
その際に諸外国の対応などを参考にいたしますと、例えば増分費用効果比、ICERが一定の幅を持って評価されると言っても、その際に真ん中の点をとって機械的に決めるという対応を行っている国は承知をしておりません。また、幅については、やはりその幅が大きい、値が広く違うような場合には、その背景としては共通として得られるエビデンスが少ないと考えられますので、特にICERの幅が小さいものよりも比較的厳しい。といいますのは、費用対効果がいいことが証明されないという形で取り扱われている例が多くあると承知をしております。
また、この幅の程度ですけれども、例えばオーストラリアの場合には、各品目の評価結果を公表する際に、3万オーストラリアドルの幅で公表しているという状況でございます。
以上でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
続きまして、10ページをごらんください。<検討の視点>でございます。
まず1つ目、スロープ方式と階段方式についてということでございますが、試行的導入の経験からは、特に分析に適したデータが複数ある場合などにおいて、品目のICERを一点に決定するためには検討に大きな労力を要することが明らかとなりました。また、労力を費やした場合であっても、必ずしも一点に定められるとは限らない。こうしたことが試行的導入の経験でございます。そのため、価格調整方法については、ICERが一定の幅を持って評価された場合にも対応できる方法を検討する必要がございます。
価格調整の方法には、御協議いただいているとおり、大きく分けて2通りございまして、それぞれ欠点、利点がございます。ICERが幅を持って評価された場合、仮に階段方式を採用する場合につきましては、幅が同じ段の範囲内でありますれば価格調整率は自動的に決定される。価格調整率が決定されれば、それ以上の協議、分析を行う必要がなくなります。これは価格調整というものが一定の目的という背景にございますが、そのため、より多くの品目の分析・評価・価格調整を行うことができるといった利点を有します。
一方、階段方式には、スロープ方式と比較いたしまして閾値前後での価格調整の幅が大きくなる。ICERの値が閾値をまたぐ場合の対応を検討する必要がある。こうした課題も現にございます。
先ほど、参考人からの御発言ですと、閾値をまたぐ場合については、どちらの段で価格調整を行うのが科学的により妥当かについて専門組織で検討する仕組み、こうしたことでありますれば、閾値をまたぐ品目は一部に限られることなども考慮いたしまして、階段方式を採用するのが適当なのではないかというのがこちらの論点の考え方でございます。
ここで2ページ進んでいただきまして、12ページをごらんください。図3、イメージとして今回御用意しました。まず、階段方式を採用する場合のイメージでございます。これは14品目をざっと評価結果を並べているといったイメージでごらんいただければと思いますが、◎のような形でICERが一点に定まる品目ももちろんございます。ただ、中には、矢印で記載してあるように、幅がある品目も恐らく出てくるだろう。こうした場合に、品目A、品目B、この2品目につきましてはICERの幅が閾値をまたがるため、どちらの段で価格調整をするのが妥当か、こちらを専門組織で検討をいただくということになります。ただ、それ以外の品目につきましては、一点に定まった場合であっても、また、幅が一定ある場合でありましても、自動的に価格調整率が決定されますので、より多くの品目に労力を割くことができる。こうしたことを御説明する資料でございます。
戻りまして、10ページの下段でございます。階段方式を採用する場合の幅の設定について、ここは最後の論点になりますが、分析前協議を充実させ、分析の枠組み等を決定してから分析を行いますので、一定の幅におさまることが予想されます。
階段の幅が大きくなるほど、閾値前後での価格の変動が大きくなります。また、階段の幅が逆に小さくなり過ぎますと、階段方式の利点が失われる。こうしたメリット、デメリットの関係にございます。
また、オーストラリアでは、先ほど御報告がありましたとおり、3万オーストラリアドルの幅で品目が公表されている。こうしたことも考慮いたしまして、500万円/QALY、1000万円/QALYの間の中間の750万円/QALYを一つの価格調整における新たな閾値とする。こうした対応が考えられるのではないかというのが御提案でございます。
最後の12ページ、図4にイメージ図を記載しておりますが、500万円/QALYと1000万円/QALY、こういった閾値の間に一段設けた3段階、こうした形が一つ御提案として考えられるのではないかということでございます。
今回、まずスロープ方式なのか、階段方式なのか。そして、階段方式とする場合の閾値への対応、階段の幅、こうしたものについて、御意見、御協議をいただければと存じます。
資料の説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
ただいまの御説明を踏まえ、項目ごとに協議を行いたいと思います。まず、3ページから7ページの「第三者的視点に立った透明性の高い組織・体制のあり方」について、御質問、御意見がありましたら、どうぞ。
松本委員、どうぞ。
○松本委員
4ページの<論点>のところでございます。公的分析につきましては、国内の限られた複数の大学に委託して実施するというのが確かに現実的な対応だろうと思います。多数になると、人材育成や作業が分散して効率が悪くなるということもあろうかと思います。ただし、その際、利益相反に留意することは非常に重要な観点であり、衆人環視ができるようにすべきであると思います。
その上で、今回提案された方式で基本的にはよいと考えますが、例えば医薬品の承認に係る薬食審の部会において、企業から定期的に資金を受け取っていた委員が1年以上にわたり規定に反して審議に参加していたことが報告されております。
名前を公表したとしても利益相反の問題が発生し得ることから、名前を非公開にしてはさらにその問題が余計に見えなくなることが懸念されます。名前に関して公開すべきだと考えます。これを検討してはいかがかと思いますが、まずこれを1点お聞きしたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
御指摘の件は、専門組織の委員の氏名の公表に関する論点かと思います。御指摘いただきましたとおり、委員名を公表することによりまして透明性が高まる面も当然あると思います。また、公表することによりまして、企業などから当該委員への働きかけがなされる可能性とか、委員にかかる各種負担、そういったものもあると考えておりまして、そういったどのような影響があるかもあわせまして検討させていただきたいと思います。
御意見をいただきまして、ありがとうございます。
○松本委員
検討に関してはよろしくお願いいたします。
続けて、一ついいですか。人材育成に関しては、これも非常に重要な課題でありますので、厚生労働省におきましては必要な予算を確保した上で、これに関しては積極的に取り組んでいただくよう、改めてお願いしたいと思います。これは要望です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ほかにはいかがでしょうか。
どうぞ、吉森委員。
○吉森委員
ありがとうございます。
「第三者的視点に立った透明性の高い組織・体制のあり方」、まずは4ページの<論点>について意見も含めて質問が2点ほどございます。費用対効果評価においては、中立性を担保した、透明性が高く、高度な専門性を有する公的分析機関の必要性、これは言うまでもございません。また、4ページの<検討の視点>にお書きいただいている方向性は、この事務局提案で基本的には異論はございません。
まず1点目の質問ですが、最初に厚生労働省の機関である国立保健医療科学院の保健医療経済評価研究センターが中心になってくると思うのですけれども、これは現在どのような体制で運営されているのか、ちょっと把握していないので教えていただければということと、透明性と中立性の確保、利益相反の防止の観点でも、公的分析班の担当品目の指定とか、分析班と企業との仲介をするというのが主な役割ということに想定されているようですが、この国立保健医療科学院の経済評価研究センターは、現在、体制として滞りなく今の役割を遂行することが十分可能な体制であると思っていいのかどうか。
諸外国に比べて、日本の公的分析機関の体制整備がおくれているとも書かれていますので、そういう現状を勘案すると、現行体制をより充実する必要があるということで、これ以降の人材育成にもいろいろ触れられているのだと思いますが、この評価の本格的導入に向けて体制強化をどのように整備していくのか、何か具体的なプランを現状お持ちなのか、もしあればお聞かせ願えればというのがまず1点でございます。
2点目は、次の人材育成でございますけれども、4ページの(3)の2つ目の○に、公的分析の人材育成のために新たな教育プログラムの設置が必要とあるのが、何か教育プログラムの具体的な仕組みを想定されているのでしょうか。想定されていれば教えていただければと思います。
私見でまことに恐縮ですけれども、費用対効果評価にかかわる公的実施体制の強化を図って、そのための継続的かつ安定的な人材供給体制を担保することが一番重要ではないかと思っておりまして、現時点での実現可能性を別とすれば、例えば大学院の修士課程などに一定の学位を取得できる、それと学会、企業などから評価も得られるような仕組み、こういうものを厚労省を初め国全体として整備していくことも一つの有効な方向になると考えますが、現在、具体的な何かプランがあれば教えていただけますでしょうか。
以上、2点質問です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。御質問を2点いただきました。
御質問いただきました、現在の国立保健医療科学院の体制でございます。こちらにつきましては、こういった医療経済を中心的に行うセンターというものを設置をいたしておりまして、そこの人員についても今後体制を強化していく。現時点では数名という状況ではございますけれども、今後、体制を強化して進めていきたいということであります。
とは言いましても、当然、フランスのように全てを国立研究機関の中でやるという体制はなかなか難しいであろうという背景もございまして、今回、国内の複数の大学に公的分析も御協力いただくという体制を御提案申し上げました。そういった体制で行っていくには十分な体制であろうと考えております。
2点目でございます。人材育成にいたしましては、御指摘いただきましたとおり、これこそがやはり喫緊の課題であると考えておりまして、例えば、ここはもし参考情報がありましたら、また参考人からも少し補足いただきたいと思いますが、欧州、イギリスなどで行われております人材育成のプログラムも参考にしながら、具体的には、ある程度一定の基礎的な知識のある方を対象にいたしまして、1年間程度の座学、実務を含めたプログラムができないのか、こうしたことを今検討させていただいております。
御指摘いただきまして、ありがとうございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
参考人はいかがしますか。よろしいですか。
では、お願いします。
○福田参考人
今ありました教育プログラムに関する諸外国の状況ですけれども、特にこの制度として進んでいる英国におきましては、幾つかの大学においてこういうのを教育する専門のプログラムをつくっていて、1年というような単位で専門的な教育を行っています。そこで教育を受けた方がNICE等の組織で評価をしたり、場合によっては企業等でそういうデータを準備するというような業務で就職をされていると承知しております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
ありがとうございます。実態はよくわかりました。方向性も理解をいたしました。
続いて、5ページの専門組織の委員構成については、<検討の視点>にございます方向性は中立性の担保の観点から賛同できると考えております。3つ目の○にございますが、診療及び支払い側の立場からの検討は中医協総会で行うということで、役割分担としては、先ほど御説明いただいたように、これでいいのかと思います。中医協総会で検討を行うことということにすれば、費薬材-1参考1、前回も示されました「費用対効果評価分析・評価の流れ(イメージ)」でございます。そこで専門組織1から3まで、分析の枠組み、企業分析の確認、総合評価、それぞれその場面で専門組織での検討状況を必ず中医協に御報告いただく、そこで議論をするというようなことを明確にしておく必要があると思います。この辺はぜひそういうふうにお願いしたいと思いますし、お考えをお聞かせ願えればと思います。
また、専門組織の委員構成については、公的分析班の構成員として個別の品目分析にかかわる方が専門組織の分野ごとの専門家として構成員となることは、中立性、透明性の観点から問題なしとはならないと思いますので、公的分析班と専門組織の構成員については、本委員の兼務というのは当然避けるべきだと思います。分野ごとの専門家も、同じ案件において両組織を重複することのないような運用にしていただくということで、あらかじめ一定の参画ルールを定めておく必要があるのではないと思います。
以上、お考えをお聞かせいただければと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
まず、まず1点目につきましては、委員の構成の見直しとあわせまして、御指摘いただいたような形の御報告を中医協のほうにしっかりと行っていくことは重要だと思っておりますので、御意見のとおりかと存じております。
また、2点目の中立性を確保する観点、特に公的分析班と専門組織、こことの利益相反についてはきっちりとルール化をして対応していく。具体的には、公的分析に現にかかわった方が専門組織の議決にかかわることはふさわしくないと思いますので、こうした対応は御指摘いただいたとおり御検討していきたいと思っております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
7ページもよろしいですか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
7ページまでです。
○幸野委員
一つ確認ですが、先ほど松本先生からもご意見がありましたが、利益相反については非常に重要な要素だと思います。臨床の専門家が専門組織等に加わるということですが、臨床の専門家というのはまさに医薬品に関する多くの臨床をされている方ですが、このような方だと必ず何らかの形で企業とのかかわりがあるのではないかと思っていて、利益相反が全くない方は本当にいるのかと疑問に思うのです。
利益相反に関する確認の方法や、あるいは一定のルールを設ける等、そういったものを決めておく必要があると思います。あるいは、先ほど松本先生からご意見がありましたように、氏名を公表する等の対応も必要ではないかと思うのですが、事務局としてはいかがお考えでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
現在、類似の組織といたしまして、薬価算定組織とか保険医療材料等専門組織といったところもございます。こちらも利益相反をきっちり対応する必要があるということでございまして、現状を御説明申し上げますと、こちらの薬食審の取り扱いなどと同様でございますが、全く利益相反がないということだけではございませんで、過去3年間、年間50万円以下、こうした額でありましたら議決に参加ができる。もしくは、50万円から500万円、こうした幅でありましたら、議決には参加できませんが、審議に参加をして意見を述べることができるという取り扱いがございます。特に、専門性の高い品目になればなるほど、幸野委員が御指摘のとおり、全く利益相反のない方ばかりではないということだと思いますので、こうしたものに準じた取り扱いとしてはどうかと考えてございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
専門組織のように一定のルールをつくって対応をするということで了解しました。
○荒井費用対効果評価専門部会長
城守委員、どうぞ。
○城守委員
確認ですけれども、人材育成に関してですが、このプログラムは公的分析をする方のための恐らく教育研修プログラムになると思うのですけれども、実際問題、費用対効果の専門組織のメンバーも、一定程度、公的分析に関する知識というものも必要になろうかと思うのですが、その方たちに対しては、プログラムとは申しませんけれども、教育内容的な提示とか、そういうことは予定されているのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
そういった方につきましては、制度の趣旨、あと分析ガイドラインを含めまして、きっちりと御説明した上で参画をしていただくというのは基本的な考え方であると思っております。また、今後、プログラムなどを履修された方が将来的に分析にかかわっていらっしゃることにもなると思っております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
松本委員、どうぞ。
○松本委員
7ページの<論点>でもよろしいでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
はい。
○松本委員
中医協総会との役割分担を考えますと、専門組織に求められる主な役割は、分析内容についての妥当性を確認することであると思いますので、専門組織は医療経済や臨床専門家などで構成するということであれば理解はいたします。
ただし、その場合に、分析状況につきまして中医協にしっかりと適時報告をしていただく必要があると思いますけれども、そういった報告についてこれまでとちょっと違うところがあるのかどうか、それをお聞きしたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
新たな仕組みでございますので、各品目の選定はもちろん中医協の総会で行っていただきますが、その分析状況についてはできるだけ頻度を上げて中医協のほうにも御報告を申し上げたいということで、それが新たな御報告ということになると思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
どうぞ、松本委員。
○松本委員
もう一点、医療倫理の専門家のところでございますけれども、確かに倫理的な面は社会的な側面とも密接に関係するということで理解はいたしますけれども、医療倫理の専門委員がどんな形で実際にここにかかわってくるのかどうかということがよくわからないことがあるので、それについてお聞きしたい。
この医療倫理の専門の先生ですけれども、費用対効果分析の段階ではなくて、中医協の参考委員として聴取するというやり方も考えられるのではないかと思います。支払い側、診療側の公開の議論に、倫理面での示唆をこの総会においていただくのが、逆に国民にとってはわかりやすいのではないかと思いますが、これについてはいかがでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
まず、専門組織の委員という位置づけでございますが、倫理的な側面でございます。原則として、今回御提案申し上げているフレームが、品目の効果というものをQALYで評価をした中で行っていくということでございますので、なかなかそれだけで評価をし切れない、そういったことも含めまして評価の中で検討をいただきたいという趣旨で倫理面の方をという御提案でございます。
また、そういった方に中医協総会もしくは専門部会に御参画いただいてはどうかという御提案につきましては、中医協と専門組織との役割分担、もしくは費用対効果評価専門部会との役割分担を含めまして検討させていただきたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
松本委員、どうぞ。
○松本委員
わかりました。どういった考え方がおありになるのか、我々にとっても示唆に富むような提言がいただければと思いますので、検討いただければと思います。
最後のところですけれども、専門組織の委員についての利益相反の取り扱い、企業側かの意見聴取、不服意見の聴取につきましては、この事務局の提案でよろしいのではないかと思います。
以上です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ほかには。
平川委員、どうぞ。
○平川委員
今のお話のありました医療倫理の専門家のところでありますが、医療倫理という概念や、その専門的な分野というのはそれほど世間的に定着しているかどうかというのはどうもよくわからない面があります。医療倫理という具体的な学問的なイメージがあるのかどうかというのをお聞きしたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
実際に現在行っております高度先進医療でございますとか、そういった個々の技術の協議におきましても、医療倫理の専門家の方にも現に参画をいただいております。そうした幅広い視点からの議論をしていきたいということで御理解をいただければと思っております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
どうぞ。
○平川委員
イメージが少し湧かないのですが、この辺をもう少しわかりやすいものがあったほうがいいのではないかと思います。このことから、この費用対効果評価専門組織の中にはイメージ的には当然入るべきかなと思いますけれども、もう少し具体的なものについて今後お示ししていただければなと思います。
以上です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ほかにはいかがでしょうか。この件に関してはよろしいですか。
ありがとうございました。
次に、8ページ目の分析ガイドラインのあり方について、御質問、御意見等がありましたら、どうぞお願いします。
松本委員、お願いします。
○松本委員
分析ガイドラインにつきましてですが、試行的導入のことも一番問題になりましたけれども、特に分析前の協議ということで、その中で企業側との共通認識を持つことが大切であると思います。したがって、試行的導入での経験を踏まえてガイドラインの見直しを行うことには同意いたします。
ただし、ガイドラインは今回の見直しで終わりではなくて、今後とも必要に応じて適宜見直しを行っていく必要があると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
松本委員もおっしゃったように、試行的実施の経緯を踏まえると、この費用対効果評価においては、この分析前協議から分析の枠組み等の決定までのプロセスが企業分析の標準的な役割、イメージ図によると9カ月となっていますけれども、その企業分析の9カ月のうちの6カ月を分析前協議が占めているということで、最重要な課題であるというのは、皆さん、認識は一にしているところだと思いますが、このプロセスを迅速かつ適切に遂行し、科学的妥当性、公平性が確保できるかどうかというのは、分析ガイドラインに従って厳格に実施するということが一番重要なのだろうと考えておりまして、費用対効果評価の本格的導入実施までには、試行的導入の経緯、また、諸外国における実施例等を参考に、できる限り分析ガイドラインをブラッシュアップしていくことが必要であり、この考え方は賛同できるものでございます。
事務局の提案の中で、最後のほうに厚生労働省科学研究班における検討内容が各項目で内容の充実を検討中、年度内に中医協に御報告いただくということですが、分析前協議を円滑かつ公平に行うためには、現在検討中のこの内容についても、あらかじめ企業側と分析側の認識の共有を図る、共通認識を持つということであるならば、策定段階で関係団体からのヒアリング等で意見聴取をして策定するという手順をとったほうが、企業側と分析側の認識はより共有できるのではないか、実効性が高まるのではないかと考えておりますけれども、これについてはそういう段取りということで考えてよろしいのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
具体的なガイドラインの見直しの案につきましては、できるだけ速やかに御提示申し上げて、企業側の御意見も伺えるような段取りで進めていきたいと考えております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
それは、中医協に御報告いただく前にガイドラインについてのヒアリングをするのか、それとも中医協で報告、決まった形でのヒアリングをするのか、どちらなのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
具体の進め方につきましてはまた御相談をさせていただければと思いますが、まずは中医協の皆様に御提案させていただいた上でのことと考えております。
○吉森委員
枠組みを決めるというか、ガイドラインが既にでき上がっていて、それをブラッシュアップするということで内容の検討をされているので、今回、企業サイドとのすれ違いが起きたところのヒアリングも含めて、入念な打ち合わせをしてガイドラインを作成して報告をいただくのがよろしいのではないかと個人的には考えているのですが、参考にしていただければと思います。
いずれにしましても、前回も申し上げたのですが、先ほど松本委員からもございましたが、高度な専門知識が必要であり、本格実施後に改めていろいろ出てくるような知見、ノウハウも多分にあると思いますので、このガイドラインはそういうものも速やかに取り込んで、見直しできるような手順、段取りはどういう仕組みにするのかというのも、あらかじめどういう見直しをするということも含めて事前に検討しておく必要があるのではないかと思います。その場で場当たり的に見直していくよりは、こういう場合にこうするということの一定の指針をおつくりになったほうがいいのではないかと思います。
以上、意見です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。ガイドラインの件ではよろしいでしょうか。
ありがとうございました。
次に、9ページから12ページのICERに応じた価格調整方法について、御質問、御意見等がありましたら、どうぞお願いします。
今村委員、どうぞ。
○今村委員
9ページで、前回、スロープでやるか、階段でやるかによって専門組織の作業や対象品目が変わるのかという御質問をさせていただいて、本日、事務局から総体としては手間は減るのだというような御説明であったかと思います。
750万という具体的な数字も入った御提案ですけれども、これをやった際に対象品目はかなりふえるのだろうと思うのですけれども、逆に人材はまだまだ不足していて、十分な対応ができないのではないか。これは事務局のお考えとして、まだまだ人材が不足しているので、専門組織の手間をできるだけ少なくするという意味で階段方式を考えられているのか。それとも、対象品目をふやしたいということでお考えになっているのか。その辺を教えていただければと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
基本的な考え方といたしましては、もちろん両面あると思いますが、今おっしゃった後者が基本的な考え方ではないかと思います。であるがゆえに、今後、人材育成の体制を進めながらということでございます。
○今村委員
後者というのは、対象品目をふやしていくと。
○古元医療課企画官
対象品目をふやしていく必要がある。
○今村委員
ふやしていく必要があることが大前提で、それをするには人材の育成が大事だという考え方だと。ということは、人材がまだまだ育成されていない段階では、対象品目をどんどんふやすということは、現実的にはなかなか難しいというお考えなのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
そこはいかに質を保ちながら進めていくかということでございますので、限られた人材でどこまでできるのかということを含めた御提案でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
松本委員、どうぞ。
○松本委員
11ページ目でございますけれども、表6に利点、欠点の比較ということで出ておりまして、11月7日の合同部会でも述べさせていただきましたけれども、よりきめ細やかな価格調整を行うという点で、スロープ形式のほうがふさわしいという考えは変わりませんが、階段方式の利点、欠点、それからスロープ方式の欠点ということも、この表でよくわかりました。
ICERの幅が閾値をまたいだ場合に、どちらの段に決定するということであれば、それはICERを1点に決めるということと本質的には同じと考えますけれども、図3にあるとおり、階段方式を採用すれば、ICERの幅がある場合であっても、閾値をまたがない品目については速やかに価格調整を決定できるという利点が非常に大きいということと、それによってICERを1点に決めるという、これはなかなか大変な労力だと伺っておりますので、それをしなくてもよいということは非常に大きな利点だということも理解いたしました。
これによってより多くの品目に対応できるということであれば、階段方式を採用することは一定の合理性があることは理解できます。
階段の幅につきましては、前回提案がありました500万円から1000万円を一つの段とするのは、やはり閾値での価格変動が大き過ぎると考えますので、今回提案されました750万のところを新たな閾値とすることにつきましては妥当かなと考えます。
なお、閾値をまたぐ品目についてでございますが、先ほど専門委員のほうからございましたとおり、ICERの幅が大きな品目は、その背景としてエビデンスが少ないと考えられることから、ICERの幅が小さい品目よりも厳しく取り扱われていることが一般的であるというお話をいただきました。
先ほど言いましたICERの幅が大きいというのは、250万円ぐらいというお考えだということで確認をしたいのですけれども、その辺が大きいという感覚になるということでよろしいのでしょうか。参考人にお聞きしたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
では、参考人、お願いします。
○福田参考人
御指摘のとおりで、ある程度の幅といったときに、この数百万という単位になってきた場合かなと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
どうぞ。
○松本委員
閾値をまたぐ品目につきましては、専門組織において引き続いてよりきめ細やかな価格調整を検討する努力を、このところは我々には見えにくいところなので、お願いしたいと思いますし、先ほどの非常に幅が大きい品目について、より厳しく判断をするということもあわせてお願いしておきたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
価格調整方法について一定の幅を持ったICERに対応する、そういう意味からいくと、スロープ方式よりも階段方式のほうが科学的妥当性があり、適当であると以前も申し上げて、今回の御提案は賛同したいと思います。
以前、合同部会で、階段方式での閾値の幅が500万と1000万では大き過ぎるということで、価格変動の影響の幅を大きくしないために、間にもう一つ閾値を設定してはどうかというお話をさせていただきましたけれども、今回、費薬材-2の参考人提出資料の8ページの海外対応事例、約245万円の幅で閾値基準を設定しているオーストラリアの例を参考に、今回、とりあえず科学的根拠というのは別にしましても、事務局の提案のとおり、500万と1000万の間にちょうど750万ということで、250万刻みの閾値設定は妥当な落ちつきどころではないかと考えております。
このICERの幅が閾値をまたぐ場合の対応を、先ほど松本委員からも御意見がございましたけれども、専門組織で検討することには全く異論はございませんけれども、やはり恣意的に判断されることのないように、透明性確保の観点から言えば、海外事例なども参考に考え方ルール、一定の指針をあらかじめ整理して、こう考えるというところは公表しておくべきだと思います。
以上です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
幸野委員。
○幸野委員
重複しますが、提案どおり、私も階段方式がよろしいかと思います。750万の設定も妥当だと思います。
その理由は、現在、基準値を500万、1000万としているのですが、この値も絶対的に正しいわけではないので、その中でスロープ方式にしたらICERに対する価格が1対1ということになるというのは懸念がありますので、それが「階段方式」によって小刻みになるのは妥当だと思います。
もう一点、閾値をまたぐ場合の取り扱いですが、またぐ場合というのは、多分どちらの値も妥当性があるから一つに決めることができなかったということですよね。ですから、どちらの値も妥当性があるということであれば、これも一定のルールをつくって、幅が広くても狭くても両方妥当性があるわけですから、ルールを決めるべきではないか。そこでまた個々の判断になりますと、協議が非効率的になるので、幅が広くても狭くても、1点に決めることができない場合には例えば厳しいほうをとるなど、そういったルールを決めるほうが、より効率的に、あるいはたくさんの品目を整理できるようになると思うのですが、いかがでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
基本的な考え方について少し御発言させていただきます。
吉森委員、幸野委員、いずれもそこは恣意的にならないように一定のルールが必要ではないかという御趣旨の御発言だと思います。そのとおりだと思っておりまして、やはり一定のルールは必要だと考えております。
参考人から補足をいただけますか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
では、参考人、お願いします。
○福田参考人
御指摘の点ですけれども、複数のICERが出てきて幅があるという場合に、基本的に同じ妥当だといっても、よりどちらが妥当かという判断ができるのであれば、その議論をすべきだと考えます。
ただ、その上でもやはり同程度であれば、どちらかを優先しましょうというようなルールを決めるということは可能ではないかと考えます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ほかにいかがでしょうか。
ありがとうございました。特にほかに御意見がないようでしたら、本件については本日の御意見を踏まえ、事務局において検討を進めることとしてよろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきたいと存じます。
続きまして、「費用対効果評価に関する検討状況について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。
企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
費薬材-3をごらんください。こちらは報告事項でございます。
本日協議いただきました論点を含めまして、過去6回にわたりまして費用対効果評価の検討をいただいてまいりました。その論点につきまして列挙いたしまして、資料として取りまとめたものでございます。この資料に基づきまして、また今後、関係業界からのヒアリング、また、報告のまとめ、そうしたものを進めていきたいと思いますので、こちらは参考でございます。
説明は以上でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明に関して、御質問等がありましたらお願いします。
特に御意見はないということでよろしいでしょうか。
そうしましたら、本件については御報告の内容で御了解としてよろしいでしょうか。
ありがとうございました。それではそのようにしたいと存じます。
本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡しますので、よろしくお願いします。
それでは、本日の費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会合同部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
 

 

(了)
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