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2018年11月21日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会 合同部会

○日時

平成30年11月21日(水)9:29~10:58

 

○場所

全国都市会館大ホール(2階)

○出席者

荒井耕部会長 田辺国昭委員 野口晴子委員 関ふ佐子委員 中村洋委員 松原由美委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 島弘志委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
平野秀之専門委員 上出厚志専門委員 村井泰介専門委員
五嶋規夫専門委員 日色保専門委員 堀之内晴美専門委員
田倉費用対効果評価専門組織委員長
<参考人>
福田敬参考人 池田俊也参考人
<事務局>
樽見保険局長 渡辺審議官 山本審議官 森光医療課長 古元医療課企画官
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 費用対効果評価の検証の結果について(報告)
○ 費用対効果評価の試行的導入の対象品目(新規収載品)の評価結果について(報告)
○ 費用対効果評価に関する検討について
 

○議事

 

○荒井費用対効果評価専門部会長
 ただいまより、第12回「中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会合同部会」を開催いたします。
 まず、本日の委員の出欠状況について報告します。
 本日は、榊原委員が御欠席です。
 また、本日は費用対効果評価専門組織の田倉委員長に参考人として御参加いただいております。よろしくお願いします。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○荒井費用対効果評価専門部会長
 それでは、議事に入ります。
 まず「費用対効果の検証の結果について」及び「費用対効果評価の試行的導入の対象品目(新規収載品)の評価結果について」の2つをあわせて議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。企画官でございます。
 それでは、費薬材-1から3にかけまして、御説明を申し上げたいと思います。
 まずは、費薬材-1の資料をごらんください。「費用対効果評価の検証の結果について」の御報告でございます。
 こちらは既収載品13品目につきまして、ことし、検証作業を行いました7品目についての御報告の内容になります。
 1ページ目は、これまでの経緯を記載しております。資料の説明は2ページ目からとさせていただきます。
 2ページは、直近の取り組み状況の御報告でございます。
 検証品目への対応状況につきましては、本年6月13日及び10月17日に、当合同部会におきまして進捗の報告を行いました。また、その後、評価結果の案を企業側に伝達いたしまして、不服意見はなかったということで評価結果が取りまとまりましたので、御報告を申し上げます。
 なお、ちょうど2週間前の、11月7日の合同部会(非公開)におきまして、詳細な評価結果の案を御報告いたしまして、了承されました。
 下の「3.今後の対応(案)」でございますが、試行的導入において明らかとなった課題及びその要因について整理した上で、今後の検討に生かしていきたい。
 また、検証の対象品目につきましては、評価結果に基づき価格調整を行う予定としておりまして、その具体的な価格調整方法については、現在、中医協で検討いただいております、より科学的な妥当な方法も参考としながら、今後、決定していきたいということでございます。
 ここで、3ページ目の表1の評価結果につきまして、田倉委員長より御報告をいただきたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 参考人、どうぞ。
○田倉費用対効果評価専門組織委員長
 専門組織の田倉でございます。対象品目7品目の評価結果について御報告いたします。
 まず、1番目のハーボニーでありますけれども、分析の対象集団は「慢性C型肝炎」及び「C型代償性肝硬変」であります。
 右の欄の主な検証内容でありますが、「対象集団の分け方」と「比較対照技術」及び「分析に用いるデータ」と「費用の推計」となっておりました。
 昨年度の分析と検証結果の違いの要因につきましては、対象集団は、分析開始年齢を70歳とし、Y93/L31変異で分けて行いました。その結果、比較対照技術を左に示しておりますけれども、Y93/L31変異なしの分は「ダクラタスビル」と「アスナプレビル」、変異ありの患者は「経過観察」といたしました。
 あと、システマティック・レビューの分析期間は、2017年12月まで延長し、直近の中央成績を反映いたしました。また、費用の推計はNDBを用いて再集計を行っております。
 続いて、2番目のヴィキラックスでございますけれども、こちらの分析対象集団は「慢性C型肝炎」等になります。
 右の主な検証内容でございますが、「対象集団の分け方」と「比較対照技術」及び「費用の推計」となっておりました。
 昨年度の分析と検証結果の違いでありますけれども、対象集団はY93変異陰性を対象とした分析を行いました。
 比較対照技術は左に示しておりますけれども、L31変異陰性の場合は「ダクラタスビル」と「アスナプレビル」、陽性の場合は「経過観察」としております。
 また、費用の推計はNDBを用いております。
 続きまして、「3 ダクルインザ」と「4 スンベプラ」は、「慢性C型肝炎」と「C型代償性肝硬変」を対象にしました。
 右側の検証内容でございますが、「対象集団の分け方」と「比較対照技術」及び「費用の推計」について検証しております。
 昨年度の分析の検証結果の違いでございますけれども、対象集団は、Y93/L31変異陰性を対象として分析を行い、比較対照技術は「経過観察」としております。また、費用の推計はNDBを用いました。
 4ページ目の「5 オプジーボ」でございますけれども、こちらは分析の対象集団が「悪性黒色腫」「腎細胞癌」「非小細胞肺癌」となっております。
 比較対照技術は、それぞれ「ダカルバジン」「エベロリムス」「ドセタキセル」としております。
 右の主な検証内容は「投与期間」となっておりました。企業分析では、オプジーボの投与期間は最大24カ月としておりましたけれども、検証分析では一律の投与期間の上限を設けずに分析を行っております。
 6番目の「サピエンXT」は、分析の対象集団が「大動脈弁狭窄症」であり、主な比較対照技術は、手術高リスクの分は「外科的治療」であり、手術不能分は「標準治療」としております。
 右の主な検証内容でございますけれども、「分析に用いるデータ」と「費用の推計」となっております。
 昨年度の分析と検証結果の違いは、手術ハイリスク例につきましては、検証に当たって昨年度の両分析と異なるデータで、これは日本におけるレジストリデータを新たに集計したものを採用しております。また、費用の推計はNDBを用いた再集計を行いました。
 なお、手術不能例につきましては、昨年度の再分析の結果を採用しております。
 最後の「7 カワスミNajuta胸部ステントグラフトシステム」は、「遠位弓部大動脈瘤」を対象集団として、比較対照技術は「人工血管置換術」となっております。
 右の主な検証内容は、「効果の推計」と「費用の推計」となっております。
 この品目は、企業側より、再分析結果について理解を深め、論点を整理できたということで、検証については終了したい旨の申し出がございました。このことについて、費用対効果評価専門組織に報告がなされ、了承がありましたので、検証作業は終了としております。
 以上、検証の対象品目の評価結果の報告とさせていただきます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、引き続きどうぞ。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 続きまして、費薬材-2をごらんください。こちらは、新規収載品の試行的導入についての御報告でございます。
 先ほどの13品目は既収載品でございましたが、今回は4品目の新規収載品の報告になります。こちらも資料の2ページ目をごらんください。
 新規収載品への対応につきましては、本年6月13日に、費用対効果評価専門部会において進捗の報告を行いました。その後、分析結果が得られまして、10月2日の専門組織におきまして、4社から意見を聴取した上で、評価結果の案を作成いたしました。
 その後、不服意見の有無を確認したところ、不服意見はなかったということで評価結果が取りまとまりましたので、御報告を申し上げます。
 この分析の中で明らかとなった課題とその要因について整理した上で、今後の検討に活用する予定でございます。
 3ページ目の評価結果につきましても、あわせて田倉委員長より御報告をお願いしたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 では、委員長、お願いします。
○田倉費用対効果評価専門組織委員長
 専門組織の田倉でございます。よろしくお願いいたします。
 新規収載品の対象品目の評価結果について報告いたします。
 まず、医薬品でありますけれども、1番目の「キイトルーダ」でございますが、こちらは分析対象は「非小細胞肺がん等」であり、比較対照技術は「プラチナ製剤併用化学療法」でありました。
 右の企業分析と再分析の結果が異なっていた主な理由は「投与期間」でございました。すなわち、企業分析ではキイトルーダの投与期間を最大24カ月としておりましたけれども、再分析では一律の投与期間の上限を設けずに分析を行いました。この背景につきましては、投与期間について事前に協議をしていなかったため、分析が異なったということでございます。
 2番目の「イブランスカプセル」は、「進行乳癌等」を対象とし、比較対照技術は「ホルモン療法剤」でございました。
 こちらの企業分析と再分析の結果が異なっていた理由は「分析に用いる薬価の違い」でございました。企業分析では、実際の収載価格を用いましたけれども、再分析では収載希望価格を用いたということであります。この背景につきましては、費用対効果評価に用いる品目の価格について、事前に協議をしていなかったということで、異なる結果となっております。
 続きまして、医療機器でございますけれども、1番目の「Absorb GT1スキャフォールドシステム」は、「経皮的冠動脈形成術実施患者」を対象集団とし、主な比較対照技術は「コバルトクロム-エベロリムス薬剤溶出性ステント」となっております。
 企業分析と再分析の結果が異なっていた理由は「分析に用いるデータの違い」となっております。つまり、企業分析と再分析において、採用されたデータが異なっていたということであります。
 ちなみに、こちらの品目につきましては、全世界で発売が中止とされております。
 最後は「インスピリス RESILIA大動脈弁」につきまして御説明いたします。
 こちらの分析の対象集団は「大動脈弁機能不全症」であり、「大動脈弁置換術等」を比較対照技術としております。
 企業分析と再分析の結果の違いは「分析に用いるデータの違い」ということでございました。すなわち、企業による分析では、システマティック・レビューを実施したところ、分析に組み入れることの可能な文献がなかったということで、分析不能としておりました。一方で、再分析では、比較対照技術と比較して、薬機法で承認されていることから、効果は同等として、分析ガイドラインに基づいて比較対照との費用比較分析、いわゆる費用最小化分析を実施しております。
 以上、こちらも分析に用いるデータの範囲について事前協議が十分でなかったということで、再分析の結果が異なる形になりました。
 試行的導入の対象品目の評価結果の御報告とさせていただきます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 それでは、最後に費薬材-3の資料をごらんください。
 こちらが今、御報告を申し上げました試行的導入の中で得られました、さまざまな課題についての要因、検証での対応、さらには今後の対応の案を取りまとめたものでございます。
 まず、「課題」でございますが、一番左に大きく2つございます。
 「両分析」と書いてありますが、これは企業の分析と再分析とごらんいただければと思います。例えば、両分析間で投与期間、比較対照技術、対象集団といった分け方に相違があったことが一つの課題でございます。
 また、両分析間で、費用や効果の推計方法、さらには用いるデータといったものが異なったことによりまして、両分析の結果が大きく相違をする結果が得られたわけでございます。
 その右に「主な要因」を4つに取りまとめておりまして、ずっと一番右に行っていただき、「今後の対応(案)」について御説明を申し上げます。
 「今後の対応(案)」の1つ目ですが、分析内容についての事前協議を充実させることが必要であるということ。
 2つ目ですが、分析前の協議内容及び分析内容について、臨床の専門家が確認することができる公的な体制が必要ということ。
 3つ目は、ガイドラインの解釈については、品目ごとに協議が必要である。さらには、ガイドラインについては必要な見直しを検討する必要があるということでございます。
 最後の4つ目は、分析の途中に新たなデータが得られるケースがございます。こうした場合においては、情報共有でございますとか協議を行えるルールが必要だろうということでございます。
 資料の説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明に関して、御質問等がありましたらお願いします。
 幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
 費薬材-1の資料の主な検証内容のところに、企業が分析したものについて、NDBを用いて再集計した値を使用したものが4品目ほどあるのですが、最終的にNDBを使用するのであれば、企業の分析の段階において、必要に応じてNDBを使うことはできないのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 今回の事前協議の中で、特に費用、効果について、どこまで、どのような形で推計していくのかといったところが課題になりました。今後は、企業分析の中で、もとより事前協議の中でNDBを用いるということであれば、そちらをその段階から活用していただくことはできると思っております。
 ただ、実際のNDBデータを企業の方が直接アクセスすることは現時点ではできませんけれども、そのデータを用いた分析は可能だと思っております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
 わかりました。
 それでは今後、本格導入においては、効率化の観点からも、ぜひ御検討いただきたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ほかにいかがでしょうか。猪口委員、どうぞ。
○猪口委員
 費薬材-1の2ページ目なのですが、「今後の対応」の2番目のところで、検証の品目について、最後に「価格調整を行う」となっておりますが、これは来年4月に価格調整を行うという意味合いでよろしいのでしょうかということが一つです。
 もう一つ確認ですけれども、この試行的導入の次の費薬材-2の品目については、価格調整は行わないということの確認だけさせていただきたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 まず、1つ目の御質問につきましては、この時期でございますが、今後の対応の3つ目の○に書いてございますとおり、「より科学的に妥当な方法」というのは、今まさに議論いただいております。そちらが一定程度まとまった段階ということでございますので、明確に今、4月だということまでは、その検討状況にもよるとは思いますけれども、おおむねそういった時期ではないかと思っております。
 また、費薬材-2に記載いたしました新規の品目につきましては、もとより価格調整を行わない形で試行を開始しておりますので、予定どおり価格調整は行わないということでございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ほかに御意見がないようでしたら、本件については御報告の内容で御了承としてよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ありがとうございました。
 それでは、そのようにしたいと存じます。
 次に「費用対効果評価に関する検討について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます・
 それでは、費薬材-4の資料をごらんください。「費用対効果評価に関する検討について」ということでございます。
 これまでも、費用対効果評価につきましては、個々課題につきまして、御検討を続けてきていただいております。資料の2ページ目をごらんください。
 本日は、制度化に向けた検討課題のうち、「特に対象品目の選定」「企業によるデータ提出」「再分析」「価格調整」についての検討を行いたいと思います。
 具体的には、2ページの下半分の「具体的には」と書いてあるところでありますが、以下の内容について協議を行うということで、(1)の1から(3)の2までの11項目についての論点整理を行いたいと思います。
 なお、委員の皆様の机上に費薬材-6という横紙を紙で配付しております。こちらは基本的にはペーパーレスの会議でございますが、私の説明の中で、恐らくこの費薬材-6の資料をあわせてごらんいただいたほうが理解ができると思いましたので、本日は特例的に紙で費薬材-6を配付させていただいております。こちらもあわせてごらんいただければと思います。
 それでは、説明に入りたいと思います。
 まず、課題の1つ目は、3ページ目の「品目の選定」でございます。
 「選定のタイミング」についてでございますが、<試行的導入における取組>はそちらに記載のとおりでございまして、<検討の視点>であります。
 費用対効果評価の対象となる品目については、速やかに選定することのできる仕組みが求められます。また、体制には限りがございますので、円滑に進めるためには、同時に多くの品目を選定するのではなく、時期を分散して選定するほうが体制としては望ましいと考えております。
 こうした状況を踏まえますと、新規収載品については保険収載を機に選定すること。また、既収載品につきましては、新規収載品の状況を踏まえつつ、選定基準を満たす品目から、優先的に評価が必要な品目を選定するなどの対応が考えられるということでございます。
 ここで1つ目の<論点>ですが、新規収載品、既収載品についてどのようなタイミングで選定することが望ましいのか、御意見をいただけますと幸いです。
 4ページ目の「選定及び公表の手続き」でございます。
 <検討の視点>のところで、対象品目の選定につきましては、中医協で定められた選定基準を満たすか否かにつきまして、中立的な立場の者が確認した上で、透明性を持って決定することが考えられます。
 具体的には、新規収載につきましては、保険収載における一連の手続の中で、薬価算定組織、保険医療材料専門組織におきまして、該当基準に該当するか否かの案を作成いたしまして、中医協総会において了承するという手続が考えられると思います。
 また、既収載につきましても、例えば、厚労省において選定基準に該当するか否かの案を作成いたしまして、中医協総会において了承するなどの手続が考えられます。
 こちらの対応案といたしましては、中医協の総会で了承することを書かせていただきましたが、どのような手続が望ましいのか、御意見をいただければと存じます。
 続きまして、5ページの「分析のプロセス」でございます。あわせまして、お手元の費薬材-6をごらんいただきますと、今、御説明申し上げたのが費薬材-6の一番左側、品目の選定のところでありましたが、そこが少しずつ右に進んでいくという形でごらんいただければと思います。
 品目の選定をしました後に、分析前の協議を行います。<検討の視点>のところから御説明をいたします。
 事前協議により決定される分析の枠組みは、それによって品目の分析内容の大枠が決定されるものでございます。これを充実させる必要があるというのは、試行的導入の結果からも明らかだと思っております。
 事前協議の内容につきましては、臨床的に妥当な内容を、中立性を確保しながら決定することが必要と思っておりまして、そのためには、臨床の専門家による確認を行った上で、専門組織で決定する。こうした手続が求められると思います。
 また、事前協議の段階で決定可能な事項と、分析前には決定することができず、その後の分析を進める中で協議することが必要な事項についても、あらかじめ整理しておく必要があると考えております。この点については、後ほどまた詳しく御説明を申し上げます。
 <論点>は、事前協議について、どのような手続で進めるのが望ましいのか。また、事前協議で決定する事項について、その具体的な内容をどうするのかということでございます。
 6ページ目は参考でございまして、続きまして、7ページ目の「費用対効果評価専門組織等の関わり」をごらんください。
 <検討の視点>でございますが、費用対効果評価の科学的妥当性や中立性を確保するためには、各段階で専門組織が関与することが求められます。
 例えば、事前協議の内容につきましては、こちらは再掲になりますが、専門組織で決定するといった手続が求められます。
 具体的には、専門組織には以下の3つの役割が考えられるのではないか。こちらも机上配付いたしました費薬材-6などもあわせてごらんいただければと思いますが、分析前協議の後、企業分析の後、そして、公的分析の後ということで、1品目が実際に分析・評価が行われる中で、3つのタイミングで専門組織がかかわる。こうした体制が考えられるのではないかという御提案でございます。
 <論点>は、専門組織はどのような役割を果たすのが適当か。あと、専門組織における企業意見の表明の機会について、どうすることが適当かということでございます。
 続きまして、8ページの「分析実施中の協議」でございます。
 試行的導入では、一定の事前協議が行われたものの、分析実施中の協議は行われなかったことが、分析結果が大きく異なる要因となったことがございました。こうした課題につきまして、有識者検討会による検討をいただいておりますので、福田参考人より、よろしければ御発言をいただきたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 では、福田参考人、お願いします。
○福田参考人
 では、検討会で検討したものについて御報告させていただきますが、資料といたしましては、現在ごらんいただいている費薬材-4の資料に概要を記載していただいておりますので、8ページのまま御説明をさせていただきます。
 試行的導入では、分析に先立って一定の事前協議が行われましたけれども、分析実施中の協議は行われないというスタイルで取り組みました。また、相互の協議の機会が限定されており、そのことが企業分析と再分析の乖離を生む一因になったと考えております。
 そこで、まず、事前協議において、分析の枠組み等につき議論を行い、相互の考え方を認識する必要がある。ここに十分時間をかけるべきと考えます。
 一方で、事前協議の段階で分析方法を全て決めることは困難であると考えます。そこで、事前協議において決めるべき事項を定め、かつ両者で分析についての見解の違いが生じないよう、分析途中においても、必要に応じて協議できるような体制を整備する必要があるのではないかというのが検討会の意見でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 そこで、<検討の視点>でございます。3つ目の○をごらんください。
 分析を進める中で生じた疑義への対応、分析中に得られた新たな知見を採用するか否かの判断など、相互に紹介する、一定の協議ができる仕組みが必要ではないかということでございます。
 ただ、特に分析中の協議につきましては、いわゆる交渉となることを避けなくてはいけない。また、中立性を保つことが求められます。
 そのため、例えば、分析実施中に得られた新たな治験に関する協議など、科学的に必要と考えられる内容に限定すること。また、企業と公的分析班は直接接触しないこと。協議内容については記録した上で、専門組織に報告するなどのルールが必要であろうと考えております。
 <論点は>分析開始後の相互の協議の必要性についてどう考えるか。また、どのようなルールを設けるのが適当か、御意見をいただけますと幸いです。
 続きまして、9ページ目は「再分析の方法」でございます。
 試行的導入では、企業分析の内容にかかわらず、企業分析の後に再分析が独立して行われたということでございます。
 この課題、対応案につきまして、有識者検討会による検討をいただきましたので、福田参考人よりまた御説明をお願いできればと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 福田参考人、お願いします。
○福田参考人
 では、検討会の報告をします。
 試行的導入におきましては、この方法ですと企業分析の内容にかかわらず、独立した再分析を行うことになるという流れになっておりました。
 一方で、諸外国におきましては、企業から提出を求める場合が多いですけれども、その分析結果をレビューする、検証するという形が一般的に多くとられております。
 そこで、企業分析の結果については、まず内容についてのレビューを行って、その内容が妥当と判断される場合には、それ以上の再計算等は不要なのではないか。これは事前協議等を充実させることによって、このような対応が可能になる品目がふえると想定されるのではないかと考えられます。
 ただし、企業が提出した分析に科学的な観点からの課題があると判断される場合には、試行でも行ったとおり、新たな分析の実施について検討する必要があると考えます。
 以上でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、引き続きお願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 それでは、<検討の視点>でございます。
 事前協議で分析の枠組みを決定した上で、また、分析開始後も必要に応じて協議を行うことができる。こうした形でありますと、試行的導入とはまた変わりまして、企業分析と再分析の間に大きな乖離が生じる必要がなくなるということであります。
 こうした状況のもとで、企業分析が一定の質を有している場合には、必ずしも独立した再分析を行う必要はないということでございます。
 このように、企業分析の後に行われる公的な分析の役割は、品目によって異なることが見込まれます。こうしたレビュー及び再分析につきましては、両者をあわせて「公的分析」と呼ぶこととしてはどうかといったことも、あわせて御提案を申したいと思います。
 <論点>は、公的な分析について、その役割及びその内容をどうするのが適当か。また、公的に行う分析につきまして、「公的分析」と呼ぶことについてどう考えるか、御意見をいただければと思います。
 続きまして、10ページの「分析にかかる標準的な期間の設定」であります。
 試行的導入における実績は、上に記載のとおりでございます。
 <検討の視点>でありますが、費用対効果を適切に進める上では、事前協議などにつきまして、必要な期間を十分確保する必要があるということであります。
 例えば、事前協議におきましても、システマティック・レビューから始めまして、専門的な検討、協議、論点の整理といったことが必要になりますので、相応の期間を要することが想定されます。
 一方、費用対効果評価の結果に基づく価格調整を遅滞なく行うためには、各段階で標準的な期間を設定することが必要であろうと考えております。
 今後、制度運用の効率化や諸外国の分析、導入といったことを検討する中で、必要な時間の短縮は望まれるところではありますが、当面は試行的導入で得られた経験をもとに、そちらに記載のような処理期間を設定してはどうか。すなわち、企業分析が9カ月程度、公的分析は3カ月ないし6カ月、総合的評価及び価格決定に3カ月ということで、こちらも費薬材-6の資料上段に矢印で記載をしておりますが、そういった標準期間の設定をしてはどうかといった御提案でございます。
 <論点>は、標準的な期間をどのように設定するのかということでございます。
 続きまして、11ページの「臨床の専門家の参画」をごらんください。
 試行的導入では、評価対象品目について、臨床の専門家が検討する公的な体制が存在しなかったという課題がございました。
 <検討の視点>のところをごらんください。
 試行的導入の経験を踏まえますと、分析前の協議内容や分析内容について、当該分野の専門家が確認することができる公的な体制が求められます
 3つ目ですが、専門家の参画方法といたしましては、検証で行ったような品目ごとにワーキンググループを設置する方法と、あらかじめ各分野の専門家を指名した上で、品目に応じて当該分野の専門家が確認する方法の2通りが考えられると思います。
 この中で、一定の品目を効率的かつ的確に評価していくためには、現在、薬価算定組織でございますとか、保険医療材料専門組織などで用いられております方法、すなわち、あらかじめ各分野の専門家を指名した上で、品目に応じてその専門家が分析内容の確認を行うといった体制が望ましいのではないかということでございます。
 <論点>といたしましては、臨床の専門家が確認できる仕組みとして、どのような方法が望ましいのかということでございます。
 続きまして、12ページ目をごらんください。
 試行的導入におきまして、評価に用いるデータが不足しているなどの理由で、企業側が「分析不能」とした品目が2品目ございました。そのうち、1品目は既収載品のうちの1品目ですが、「ジャック」という品目につきましては、再分析の結果も分析不能ということでございました。
 また、他の1品目は、本日、まさに先ほど申し上げた品目ですが、これにつきましては、再分析では分析可能とされました。これは分析に用いるデータ範囲につきまして、事前に十分な協議をしていなかったため、その分析結果が異なることになったものでございます。
 こうしたデータが不足しているがために、分析不能もしくは企業分析と再分析の結果が異なることが一つの課題として見えてまいりました。それについて、有識者検討会による検討をいただきましたので、こちらもあわせて御報告をお願いいたします。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 福田参考人、お願いします。
○福田参考人
 では、検討会の報告をいたします。
 試行的導入では、今もありましたが、評価に用いるデータが不足している等の理由によって、企業分析は評価不能とした品目についても再分析を実施いたしました。そのうち、再分析の結果も評価不能とされたものと、評価結果が得られたものがあるということになりました。
 この要因の一つとしては、分析ガイドラインの解釈が企業と再分析で異なることが想定されますので、分析ガイドラインの解釈について、事前協議等において共通認識を得るように取り組む必要があると考えます。
 もう一つは、これを制度としてやっているのであれば、データとしては早期に質の高いデータが提出されるような、何らかの制度的な対応が必要ではないかと考えます。
 以上でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、引き続きお願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 <検討の視点>でございますが、まず、先ほど御報告申し上げましたとおり、有効性に関するデータが不足しているという理由で分析不能な品目が存在することが、試行的導入を通じて明らかとなりました。
 分析不能であることが企業側及び厚生労働省において確認された品目につきましては、専門組織の了承を得た上で、分析・評価を中止することができるルール、仕組みも必要だろうと考えております。
 一方で、分析が可能であるにもかかわらず、企業側が分析不能と判断する場合もあり得ます。その主な理由といたしましては、先ほどございました「分析ガイドラインの解釈が統一されていないために、誤って分析不能としてしまう場合」「費用対効果評価(価格調整)を回避するために、分析不能とする場合」などの事例が考えられると思っております。
 このうち、1番のガイドラインの解釈の不統一といったことを防ぐためには、先ほど、専門委員からも御提案がありましたとおり、ガイドラインの解釈についてきっちりと協議をする。こうしたことが効率的と考えられます。
 また、早期に質の高いデータが提出されるような、何らかの制度的な工夫を検討した上で、企業が分析不能とした品目のうち、再分析及び専門組織で分析可能とされた品目につきましては、再分析の結果を用いて価格調整を行うことが考えられます。
 あわせまして、今後は、保険収載を視野に医薬品等の開発を進めている企業に対して、分析・評価に必要なデータの内容などについて周知するなどの取り組みも検討する必要があるのではないかと考えております。
 あわせて、分析が中止とされた事例を集積した上で、今後の仕組みの参考にすることも必要でございます。
 <論点>でありますが、「分析不能と判断された品目の分析・評価を中止する場合に必要な手続とは」。また「企業が分析不能とした品目のうち、再分析及び専門組織で分析可能とされた品目への対応はどうするのが適当か」の御意見をいただければ幸いでございます。
 最後は13ページの価格調整のタイミング、手続についての論点でございます。
 まず「価格調整のタイミング」でございますが、<検討の視点>は、費用対効果評価がなされた品目については、その結果をより速やかに価格に反映することが望ましい。
 新医薬品及び新医療機器につきましては、年4回保険収載をしておりまして、費用対効果評価の結果に基づく価格調整につきましても、同じく年4回の保険収載の機会に行うこととしてはどうか。
 ただ、在庫への影響等を踏まえまして、調整後価格の公表から実際の価格調整までには一定の期間を設ける必要があるだろうということでございます。
 <論点>は、どのタイミングで行うのが必要か。また、在庫への影響などを踏まえ、一定の期間を設ける必要性についてどう考えるかということでございます。
 最後は「価格調整の手続き」でございます。
 価格調整につきましては、中立的かつ透明性を持って確認できる仕組みが必要と考えております。具体的には、価格調整につきましても、中医協総会の了承を得る手続としてはどうかということでございます。
 具体的には、専門組織による評価結果の案、作成した価格調整結果の案を中医協総会に報告し、了承を得るといった手続が考えられます。
 また、これらの結果につきましては、実際の選定に携わりました薬価算定組織、保険医療材料専門組織にも報告することとしてはどうかという御提案でございます。
 <論点>は、価格調整の手続につきまして、中立性及び透明性を確保する観点から、どのような方法が望ましいのか、御意見、御協議をいただきたいと思います。
 資料の説明は以上となります。よろしくお願いいたします
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明を踏まえ、項目ごとに協議を行いたいと思います。
 まず、費薬材-4の3~4ページの「(1)品目の選定」に御質問、御意見等がありましたら、どうぞお願いします。
 松本委員、どうぞ。
○松本委員
 まず、費用対効果評価の対象となる品目につきましては、保険収載からその間をあけずに選定するという基本的な考え方には賛成いたします。
 新規収載品につきましては、年4回の保険収載時に、この中医協総会において選定するということでよいと考えます。
 また、既収載品につきましては、選定のタイミングは選定基準に左右されるとは思いますけれども、やはりこの中医協総会において選定するという手続には賛成したいと思います。過去のオプジーボのように、収載時の予測と異なって、適用拡大により対象患者が大幅に拡大する場合も、中医協の判断で拾えるようにするという意味です。
 以上です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 まず、3ページですけれども、どのようなタイミングでということは、今の松本委員と同じですが、新規収載品については、既存の薬価制度との平仄を合わせるということで、製薬企業の予見性確保の観点からも、年4回という保険収載を機に評価対象に選定するということでよいのではないかと考えます。
 既収載品については、前回の合同部会でも申し上げましたけれども、前提として、公的分析にかかわる評価体制の組織的限界がある。このような中で、実勢価格に基づく改定や再算定等が行われていることも踏まえますと、費用対効果評価制度の導入時点においては、原則、新規収載品を優先しつつ、既収載品については、効能追加などをされることで著しく市場規模が大きく変化した品目、また、著しく高額な品目等に限定して選定することでやむを得ないと考えております。
 こうした前提のもとで、既収載品については、NDBデータにより市場規模の拡大が確認できた場合において、その時点で評価対象に選定し、評価した上で、既存の薬価制度の効能追加に伴う再算定の場合と同様に、年4回の新規収載の機会を活用して、価格を見直すというふうにする制度がよろしいかと思います。
 4ページの、対象品目の中立的な立場の者が透明性を持って、どのような手続かということでございますが、これは<検討の視点>に記載されているとおりの考え方で新規収載品は薬価算定組織及び保険医療材料専門組織、また、既収載品は厚労省で選定品目案を策定する。こういうことで、最終的に中立的な立場として中医協の了承を得るという流れでは異論はございません。
 しかし、新規、既存両収載品とも、対象品目の選定に当たっては、恣意的な判断がなされないような、あらかじめ明確な選定基準をきちんと決め、透明性を担保していくことが必要だと考えております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ほかにはいかがでしょうか。猪口委員、どうぞ。
○猪口委員
 3ページの「選定のタイミング」なのですけれども、既収載品と新規収載品なのですが、考えますと、既収載品のほうが当然、臨床におけるデータは数多く出ているはずで、新規収載品ですとどうしても治験レベルのデータになりますから、正確なICERを出していく等を考えますと、既収載品のほうがデータがちゃんと出るのでないかと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 こちらは既収載品の選定基準をどのように設定していくのかという議論につながると思いますが、委員御指摘のとおり、既収載品のほうが、市販後のデータを含めまして、幅広いデータが得られるなどのメリットはあると思います。
 そういった中で、今、御議論いただいておりますとおり、例えば、適用が拡大して、市場が大きくなった。そういったもののうち、どういったものを実際の対象にするのか。そこの明確な基準を引き続き、御相談させていただきたいと考えております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 よろしいですか。
 ほかにこの件では。中村委員、どうぞ。
○中村薬価専門部会長
 先ほどの猪口委員のご質問と関連しますが、3ページの<検討の視点>の既収載品についてのところで、「既収載品については新規収載品の状況を踏まえつつ、選定基準を満たす品目から優先的に評価が必要な品目を選定する」とあります。新規収載品が多くて、もし費用対効果評価に係る体制のマンパワーでは足りないということであれば、選定基準を満たすけれども、選定されない品目も出てくるという理解でよろしいでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 基本的には、これから定めていただきます選定基準を満たすものについては、費用対効果評価を行うのが基本原則だと思っております。ただ、新規品目の数を見ながら、選定のタイミングを少しずらすことは、バリエーションとしてはあり得ると思っております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 よろしいですか。
 この件でほかにはございますでしょうか。どうぞ。
○今村委員
 あくまでもこれは想定の話になるのかもしれないですけれども、今までのお話の中だと、これは新規収載品のときに最終的に価格調整をするときには、加算で調査することになるという理解でよろしいのですよね。
 そうすると、企業の皆さんはどれだけの加算をつけるかということをあらかじめ申請されて、新規収載されてくる。そうすると、当然、対象になり得るものかどうかというのは、ある程度、企業の方たちは予見できるのではないかということになると、これは新規収載品を対象にすると、加算の申請とかそういうところにいろいろな影響が出てくるのかなということはいかがなのでしょうか。
 その可能性は、企業の経営的な判断になるのかと思いますけれども、既収載品のメリットというのは、データがあることと同時に、もう一回価格が決まって、ある程度市販に流通されているものなのですけれども、新規収載品が対象になると、そういうことに影響がないのかどうかを教えていただければと思うのです。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 では、企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 そうした加算などの新規品についての影響が全くないと言われるとそうではないと思いますが、これは個々の品目に応じて、企業側がさまざまな考えの中で検討されるものだと思いますが、御指摘のとおり、費用対効果評価が新たに入ることの影響は全くないということではないとは思います。
○今村委員
 そうすると、例えば、このプロセスの中で対象になって、分析前協議というものがあると、企業が分析の枠組み案を提出することになってくるわけですけれども、当然のことながら、自分が申請するものが対象になりそうだと思ったら、事前にある程度予見できて、こういうことも全部考えておかれることになるということですか。
○古元医療課企画官
 そうしたことも可能だと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 よろしいでしょうか。
 では、次に行かせていただきます。ありがとうございました。
 次に「分析のプロセス」のうち、5~9ページの「分析前協議(事前協議)の方法」「費用対効果評価専門組織等の関わり」「分析実施中の協議」「再分析の方法」について、御質問、意見等がありましたら、どうぞお願いします。
 松本委員、どうぞ。
○松本委員
 では、1のところからでございますけれども、試行的導入の経験からいっても、事前協議の重要性については論をまたないところだと思います。事務局には、試行的導入での混乱を教訓に、しっかり取り組んでいただきたいと改めてお願いいたします。
 事前協議は最も重要であって、その透明性を確保するためにも、協議結果を専門組織で確認する手続が必要と考えます。
 その上で1つ質問ですけれども、事前協議でその品目をよく知る臨床医がかかわる必要があるということですが、品目ごとに詳しい臨床医を集まることは全て可能だということなのでしょうか。まず1点、それをお聞きしたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 では、企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 その品目もしくはその治療分野、その疾病に関する専門家という御質問だと思いますが、その分野に必要な専門家を集めることは可能だと考えております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 では、引き続き、松本委員。
○松本委員
 続いて2のほうですが、分析とその評価を進める過程で、その都度立ちどまって、専門組織が分析内容などについて確認し、方針を決定するという考え方には賛成いたします。
 3ですけれども、分析実施中に協議する必要性については理解できますが、<検討の視点>にあるとおり、協議が交渉になってはならないと考えます。協議内容は科学的なものに限定すること、また、透明性のある手続とするなどのルールがぜひ必要だと思いますけれども、この「透明性のある手続」というのは具体的にどのようなことを考えていらっしゃるのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 本日の御提案の中では、資料の8ページに記載してございます。
 <検討の視点>の4つ目の一番下のところですが、協議内容をしっかり記録した上で専門組織に報告するなどによって、透明性、中立性などを保っていきたい。こうしたことが御提案でございます。また、その他御意見をいただければと思います。
○松本委員
 その辺はかなりやりとりをしっかりするということでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 そういうことでございます。
○松本委員
 わかりました。
 では、最後の4つ目をよろしいですか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 どうぞ。
○松本委員
 4ですけれども、制度の効率性から、事前協議や分析中の協議を充実させることによって、公的分析をできる限り検証作業としたほうが望ましいと考えます。ただし、必要に応じて再分析を実施できる体制は整えておく必要があると考えます。
 再分析ではなく公的分析ということについては、賛成いたします。
 そこで、専門委員の先生もしくは事務局にお聞きしたいのですが、海外のお話が触れてありましたけれども、日本と同様、費用対効果評価の結果を価格調整に用いているフランスでは、公的分析の役割はどのようなものになっているか。また、ドイツでもどのようになっているかを教えていただきたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 福田参考人、どうぞ。
○福田参考人
 参考人でございます。お答えさせていただきます。
 まず、フランスの状況ですけれども、フランスは企業から提出された費用対効果評価の結果について検証をする、まさにレビューをする形で取り組んでいる状況でございます。
 なので、改めて再計算することはほぼなくて、価格を企業と交渉するために検証結果からそれを用いるということでございます。なので、検証の結果、費用対効果の分析に課題があると判断された場合には、費用対効果にすぐれていることが必ずしも証明されていないという立場で交渉に当たると聞いております。
○松本委員
 その結果によって公的分析というよりは、レビューによってもう一度交渉し直すということですか。
○福田参考人
 はい。それに基づいて交渉するというふうに理解しております。
○松本委員
 ドイツではどうなのですか。
○福田参考人
 ドイツは、仕組みとしては有効性、安全性の評価についてシステマティック・レビュー等を行って、協議をすることになっていまして、それをもとに価格交渉をするのですが、それがまとまらない場合には費用対効果の評価をという流れになっております。
 現時点で我々の把握している範囲では、価格交渉がまとまらずに費用対効果評価までに至った品目がございませんので、その状況については承知しておりません。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 よろしいですか。
 では、今村委員、どうぞ。
○今村委員
 透明性を高めた仕組みということですけれども、臨床の専門家が各プロセスの中でかかわってこられるのですが、臨床の専門家がどなたかは公開されるということでよろしいのでしょうかということと、その議論は当然、専門組織には知らしめられることになるのでしょうけれども、例えば、非公開の場で中医協の委員にどんな議論がされたかということも明らかになるのかどうかの2点を教えていただければと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 臨床の専門家につきましては、これまでの薬価算定組織、保険医療材料専門組織等でも、明確に公開をしておりません。同様の手続ではないかと思っております。
 また、この中医協への御報告でございますが、当然、させていただくということでありますけれども、その内容につきましては、企業の情報でありますとか、可能な範囲で適宜御報告をさせていただく。ここはお約束申し上げたいと思います。
○今村委員
 例えば、中医協という傍聴の方がたくさんいらっしゃる場ではなくて、いつも非公開でやるところで、ある程度細かい、どんな議論がされたかということを教えていただけるかどうかということです。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 こちらは必要に応じて、そこは対応させていただきたいと思っております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 よろしいですか。吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 ありがとうございました。
 まず、5ページの1でございますけれども、試行的導入時の検証結果、先ほど課題等対策を見せていただきましたけれども、評価結果を聞くことになったのがそこの要因に述べられているとおりでございますので、この対策を踏まえて、分析前の事前協議は入念に実施すべきとは考えております。
 そこで、費薬材-6の「分析・評価の流れ」のイメージ図で「分析前協議」と書いてありますけれども、それと分析の枠組みの決定に6カ月という対応期間を設定されておりますが、これは分析前の協議をしっかりとして、分析の枠組みを充実させるという重要性を踏まえたプランであると理解はしますけれども、この6カ月という期間設定は、何か具体的な根拠があって6カ月にされているのでしょうか。その後の分析が公的も企業も含めて3カ月、3カ月にすれば、いささか倍の期間をとっているのはどうなのかと思ったものですから、教えていただければと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 御指摘の6カ月のところの根拠といいますか、相場観でございますが、これは試行的導入を行った経験から御提案を申し上げております。
 分析前協議は、具体的に申し上げますと、品目の設定を行った後に、厚労省側から企業に対して、分析の枠組みの案を御提案いただくという手続になると思います。そこで一定のやりとりをした後に、企業側から最終的な御提案をいただくまでに、恐らく2~3カ月程度かかるのではないか。
 その後、提出いただいた分析の枠組み案について、また協議、論点の整理などを行うのに3カ月程度要するのではないかという相場観から、6カ月と御提案をさせていただいたものでございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 わかりました。
 いずれにしましても、分析前の枠組みの議論は、今、御説明いただいたように、厚労省と臨床の専門家、公的分析班の助言を入れつつ、企業さんと事前協議をしっかりやる。それと、最終的には枠組みは専門組織がきちっと決定をしてスタートをすれば、その後の議論で、いろいろな齟齬が出た場合にも対応しやすいのではないか、齟齬が出ないのではないかと考えております。
 2つ目の論点で、決定事項について具体的内容をということですが、これは費薬材の8ページの論点の、分析実施中の協議の必要性にもからんでくると思います。中立性を確保する観点から、分析実施中の協議は必要最小限にとどめる必要があると考えておりまして、事前協議においては、想定できる最大限の枠組みの必要事項を整理して、方針をあらかじめ決定すべきだと考えます。
 続いて、7ページの2でございますが、専門組織の関与は、先ほどのイメージ図のとおりで、3つの段階で専門組織が参画していくことがございます。この専門組織には必ず臨床の専門家の参画条件が必須条件だと考えておりますし、内容の確認、意見聴取をするなど、科学的妥当性がより高まるような仕組みにしていただきたいと思います。専門組織における企業意見の表明の機会については、次の9ページの論点でございますが、公的な分析の役割とあわせて検討すべきであると考えております。
 つまり、企業分析と公的な再分析の結果が違った場合には、当然、費用対効果評価制度としては、公的な分析の結果を優先することを明確にすべきだと思っておりますし、実際、公的な分析の結果を優先する品目が生じた場合には、その専門組織におけるアプレイザルのタイミングで、企業側から不服意見を聴取する機会を設けるということでいいのかなと考えております。
 次が8ページの3ですが、分析実施中の協議は、中立性を確保する観点から、分析開始後に新たな臨床試験の結果が公表されるなど、あらかじめ予見することができなかった科学的な根拠、ケースなどのような限定的な運用にする必要があると考えます。
 先ほど来から出ていますが、協議ではなくて交渉になることを排除しなければならないと思っておりますし、公的分析班と企業とは直接接触しないことが、中立性、透明性を担保する仕組みとしては必要だろうと考えます。
 そういう意味でも、繰り返しになりますけれども、分析前の協議はきっちり想定して、方針を決定しておくことが必要だと思いますし、そのため、先ほど質問しましたが、6カ月必要だというのであれば、この6カ月間に十分に議論、交渉していただければと思います。
 以上です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 そうしましたら、ほかにはございますか。平川委員、どうぞ。
○平川委員
 お願いなのですが、費薬材-6のイメージ図ですが、分析前協議と専門組織の関係性で、「分析前協議」の中に「企業が分析の枠組み案を提出」等と書いてあるのですが、費薬材-4の資料と整合が余りとれていない気がしますので、費薬材-6のイメージ図の「分析前協議」の文章を、少し整合性を持ってつくり直していただきたいのと、専門組織と分析前協議との関係性が離れているものですから、費薬材-4の資料では、専門組織がしっかりと分析前協議にも関わるような話になっていますので、このイメージ図をつくり直してもらったほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 イメージ図をつくり変えるということですが、この件はよろしいですか。企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 「分析前協議」の内容を、専門組織をもとに決定していただくという位置づけを考えております。詳細はまた御確認させていただきまして、必要な修正がございましたら、させていただきたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 この件ではほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。専門委員、どうぞ。
○上出専門委員
 ありがとうございます。
 今回、試行的導入並びにその検証をもとに、分析のプロセスにつきましていろいろ御提案がございましたので、試行対象企業からお聞きしました意見も踏まえまして、専門委員として少しコメントをさせていただきたいと思います。多くはここまで各委員がおっしゃったこととかぶることになりますけれども、お許しいただきたいと思います。
 まず、事前協議でございますけれども、分析の枠組みにつきまして、可能な限り、具体的な事項まで合意した上で企業が分析を始めることは、非常に重要と考えております。より短い期間で適切な分析を行うためにも非常に重要でございますし、例えば、その際に対象となります医薬品の投与期間の設定等、臨床の専門家による確認が必要な項目も少なくないと考えますので、当該領域の診断治療に精通された臨床の専門家の先生にご参画いただくことも極めて重要かと考えています。
 このようなプロセスが実現されれば、公的分析の多くは企業分析のレビューで十分となって、公的分析に求められますリソースも軽減できるのではないかと考えます。
 一方、資料にも記載のございますとおり、事前協議で分析に必要な全ての事項を決定することは困難かと思います。分析を開始した後に新たに生じた疑義について、企業と公的分析班が十分な協議を行いまして、双方が同じ理解に立って次のステップに進むことは、適切な分析をするという意味で非常に重要かと考えております。
 この際、公的分析側の疑問の解消のみならず、企業側の疑問といったことについても、解消されるような仕組みが非常に重要かと考えております。この点が試行の検証の中で残された課題とお聞きしております。
 同じ観点で、本来であれば、企業と公的分析班、場合によっては臨床の専門家の先生を含めて、face to faceで意見交換をすることが、相互の理解という意味では最も効率的と考えますが、企業と公的分析班が直接接触することが、中立性の確保等といった観点で好ましくないということでございますので、本日の資料の8ページ目の<検討の視点>の3つ目の○の2行目に、「分析に必要な事項について、相互に照会するなど、一定の協議ができる仕組み」と書いていただいておりますが、是非、こういった仕組みをつくっていただきたいというのがお願いでございます。
 また、費用対効果評価専門組織で、企業が意見を表明する機会をぜひ設けていただきたいと思っておりますが、できれば、十分な質疑応答ができるような形での表明の機会というものをいただければ、専門組織の委員の先生方の理解もより深まるのではないかと考えております。
 以上、お願いでございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ありがとうございました。
 この事項に関してはよろしいでしょうか。
 次に、10~12ページの「分析にかかる標準的な期間の設定」「臨床の専門家の参画」「データが不足している場合等の対応」に御質問、御意見等がありましたら、どうぞお願いします。
 松本委員、どうぞ。
○松本委員
 まず、「5 標準的な期間の設定」については、事務局の提案の内容にはおおむね異論はありませんが、企業分析が余り長くなることは望ましくないと思います。今後、制度が成熟していくと思われますので、この過程で必要な期間も短くなっていくと考えられるため、適宜の見直しは必要と考えますが、いかがでしょうかということがまず1点。
 それから、試行的導入の際に、検討対象品目ごとに持っているデータ量も、企業の体制も多分、異なっていると思いますので、結果として、結論が出るまでの時間は異なっていたのではないかと思います。
 つまり、場合によっては9カ月を待たずしても企業の分析結果が出るのではないかと思いますが、それについてどうお考えになるかの2つをお聞きしたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 1点目につきましては御指摘のとおりでございまして、実績を見ながら、適宜の見直しは必要と考えております。
 また、品目に応じまして、実際に試行的導入におきましても、企業との協議の頻度、期間などは異なりました。全ての品目について9カ月要するというわけではないというのは御指摘のとおりでございますので、あくまでも標準的な処理期間ということでごらんいただければと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 松本委員、引き続きどうぞ。
○松本委員
 わかりました。
 6のほうでございますけれども、臨床の専門家にかかわっていただくことの重要性はまさにそのとおりでありますので、事務局の提案に異論はありませんが、確認させていただくことが1点ございます。
 臨床の専門家については、特に当該企業との利益相反の確認が求められると考えますけれども、その手続についてはどう考えていらっしゃるかをお聞きしたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 大変重要な御指摘をありがとうございます。
 利益相反の確認につきましては、臨床の専門家の方はもとより、再分析班も含めまして、きっちりそこは確認をして手続を進めていくことが必要だと考えております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 どうぞ。
○松本委員
 この費用対効果評価に係る全ての人に利益相反の確認が必要と思いますので、そこのところはしっかりとお願いしたいと思います。
 7でございますけれども、分析不能と確認された品目については、抽出することで問題はないと思います。その際は、透明性を確保するためにも、この中医協に報告していただく必要はあると考えます。
 また、企業分析の結果が得られず、再分析の結果のみが得られた場合に、再分析の結果を用いて価格調整をするのは当然のことと考えます。
 以上です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ほかにいかがでしょうか。安部委員が早かったので、よろしいですか。
○安部委員
 7のところでありますが、分析・評価に必要なデータに関して、「早期に質の高いデータが提出されるような、何らかの制度的な工夫が必要である」という有識者の方の検討結果が出ておりまして、事務局として、保険収載を視野に医薬品の開発を進めている企業に対して、「分析・評価に必要なデータ内容について周知するなどの取組も検討する必要がある」という御提案でありますが、それはそのとおりであると思います。
 一方で、こういった分析・評価に必要なデータというものが決まってきますと、当然、当該開発企業もそれを意識した事前の準備をすることになると思っておりますし、それも必要なことかと思いますが、そういった内容を検討する中で、必要な新薬や機器の開発に過剰な負担がかかってしまって、ドラッグラグとかデバイスラグにつながらないような配慮が必要かと思いますので、その点はよろしくお願いしたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 城守委員、どうぞ。
○城守委員
 7番の企業側が分析不能と判断したことに対しての対応なのですが、確かに公的分析班による再分析の結果を用いてということでよろしいかと思いますが、ケースを積み重ねますと、恐らく一定程度のガイドラインに沿った形が確立してくると思うのです。
 そのときに、ここにも書いてございますけれども、想定はしたくないですが、要するに、モラルハザード的に、これだったら全て任せようみたいな形をとってくることが多くなった企業に対して、ただ再分析で対応するということなのか。それとも、何らかのペナルティーと申しますか、そういうシステムを導入する予定があるのかどうか。そのあたりをお聞かせいただければと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 御指摘のとおり、今後、重ねていく中で検討する一つの課題であると思います。
 まず、当面の対応といたしましては、標準的な処理期間を設けた上で、なかなか企業側にもこれまでの経験がない手続でございますので、そういった必要なデータなどをきっちり御説明しながら進めていきたいということです。その後、事例を集積する中で、御指摘のようなことも含めて検討していく必要はあると考えております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 よろしいでしょうか。吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 ありがとうございます。
 まず、11ページの「6 臨床の専門家の参画」ですけれども、これはあらかじめ各分野の専門家を指名して、この分析を確認することの体制はいいと思いますが、透明性、中立性を確保する観点からは、分野ごとに1人ではなくて、複数名の専門家を指名しておくことが必要ではないかとは思います。
 いらっしゃるかどうかわかりませんが、そこのところはきちんと担保していただきたいと思いますし、非常に高度な専門知識が必要であるということであれば、本格実施後に初めて得られる知見、ノウハウも当然、多分にあると思います。そうした知見、ノウハウをしっかりデータとして残すとともに、専門家の交代を見据えれば、計画的に後進の育成をしていく体制を整備していくこともあわせて必要ではないかと考えます。
 次に、12ページの7のデータ不足の件でございますが、この「分析不能」と言うときの分析可否の判断は、この費薬材-6の流れの中のどのタイミングを想定されていらっしゃるのでしょうか。全てにおいてということでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 こちらも必要であればまた、専門委員にも補足をいただければと思いますが、分析前協議の段階で「分析不能」と判断される事例も当然あると思いますので、この一連の流れの中で、どこかのタイミングで判断をされるということだと、必ずどこでというものではないと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 基本的には、想定するのはこの公的分析の後とアプレイザルのタイミングでどうだったか、実は企業側はどうだったかという話なのかなと考えていたのですが、分析前協議の段階では、6カ月あるわけですから、しっかりと臨床専門家なり公的分析班の助言を受けつつ、企業との打ち合わせ、議論も含めれば、ある程度可否というのは判断できるのではないかと思います。そのタイミングで不能だとすればそれは不能であっても、専門家では実は分析可能と判断すれば、進めればいいというので、そこで議論をすればいいのだろうと思いますし、企業サイドに助言をすればいいのだろうと思います。
 そのときに、これは明らかに「分析不能」だということで結論を出したとしても、その後、またいろいろなデータが出てきて分析可能であるならば、またこの分析前協議から始めていけばいいと思います。
 そういう意味では、アプレイザルのところでしっかりと議論をするということで、これは担保できるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。非常に具体的な事例を含めて御質問いただきました。
 基本的には、手続といたしまして、専門組織など、こういった中立的な立場のところできっちりとまずは判断する。こうしたところを守りながら進めていきたいというのが基本的な考え方でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 よろしいですか。今村委員、どうぞ。
○今村委員
 先ほどから、臨床の専門家のお話が非常に出ていて、私も先ほどお伺いしたら、名前は公表しないということで、それはほかの例に倣っての慣例ということと同時に、企業側からその専門家に対してアプローチがないようにという配慮なのかなとは思いますけれども、2点ありまして、その道の専門家の方で、本当に企業の方と全く無関係に研究されている方はほとんどいないのではないか。本当にそういう方たちが実際にプルできるのかどうかという危惧と、COIの問題で、一体どの程度の線引きでお考えになっているのか。
 別に厚労省を信じていないわけではないのですけれども、きちんとそういった人材を選ぶとおっしゃっていますが、どういう要件で、全く何の関係もない方という意味なのか、一定の資金供与を受けているけれども、それはきちんとした公的なもので認められたということでのルールを考えておられるのか。そこを教えていただければと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 特に非常に専門性の高い分野につきましては、先生が御指摘のような状況があると我々も理解しておりますので、一切、企業側とのかかわりのない方ではなくて、一定程度以下というような基準を設けた上で、そこも御説明した上でかかわっていただく形ではないかと思います。それが現実的な対応になると思います。
○今村委員
 現時点でルールというものをある程度想定されているのですか。これから考えていかれるということなのですか。
○古元医療課企画官
 既存でございます薬価算定組織などの取り扱いを参考に進めていきたいというのが、基本的な考え方でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 よろしいですか。
 ほかにこの件ではいかがでしょうか。専門委員、お願いします。
○堀之内専門委員
 ありがとうございます。
 専門委員より、2点申し上げさせていただきます。これまでの議論と若干重複するところがあります点をおわびいたします。
 まず最初に、標準的な期間の設定に関しまして、<検討の視点>として、企業分析の期間が提案されております。先ほどから、この期間が少し長いのではないかという御議論になっております。将来的にはこの期間を短くすることは大変重要だと思っております。
 ただ、試行におきましては、平成28年4月に対象品目を指定された時点で、企業においては対象製品に関するデータ収集や確認などを開始しております。したがいまして、実質的には分析開始から結果の提出までには12カ月を要しました。ほぼ全ての企業が費用対効果評価を初めて行うことになりますので、適切な分析期間ないし、その「標準的な」という意味合いに関しまして、試行的導入における経験を踏まえて、適切な分析期間を再考いただけるように御検討をお願いできればと思います。
 もう一点ですが、臨床の専門家の参画についても、先ほどから御議論をいただいております。
 これに関し、企業側に臨床の専門家の先生がどなたであるかは開示されないということはございますが、この費薬材-6の資料の中で臨床の専門家の関与が明示的に書かれておりますのは、いずれも専門組織の開催に合わせてとなっております。事前協議をより充実させる意味も含めまして、分析前協議において、ぜひ厚生労働省側が指名する臨床の専門家に参加いただき、企業がお連れする臨床の専門家も含めて双方で議論していただけるような場があると、関係者間での臨床にかかわる検討が格段に進み、適切な前提のもとでの分析につながるのではないかと考えられます。
 このような臨床の専門家の参画につきまして、御検討いただけますとありがたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 よろしいでしょうか。専門委員、どうぞ。
○平野専門委員
 ありがとうございます。
 先ほど、専門委員のほうからコメントがありました、10ページの「分析にかかる標準的な期間の設定」について、重複しますけれども、医薬品の専門委員の立場から一言、コメントさせていただきます。
 企業分析にかかる期間がおよそ9カ月とされています。事前協議が6カ月、この後に、特に枠組みに基づく企業分析にかかる期間が3ヶ月ということについて、対象疾患や各企業が有するスキルがかなり異なる可能性があることを、いま一度、考慮していただきたいと考えています。
 具体的には、今回提示された3カ月は、かなりタイトな期間と理解しておりまして、企業が質の高い分析結果を導き出すためにも、少なくとも6カ月以上の期間が必要ではないかと考えている次第でございます。
 以上でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 そのほか、この件に関しましては特にないですかね。
 次に、13ページ目の価格調整について御質問、御意見等がありましたら、どうぞお願いします。
 松本委員、お願いします。
○松本委員
 まず「1 価格調整のタイミング」についてでございますけれども、費用対効果の結果を速やかに価格に反映するという考え方は理解できますが、価格調整が余りに煩雑になると、現場の負担は大きくなります。
 そもそも費用対効果評価制度は、薬価制度、材料価格制度はあくまで補完するという位置づけにあると思います。そうしたことを考えると、総合的に考慮した上で、価格調整のタイミングについては決定すべきものと考えます。市場拡大再算定という前例があるので、最大でも年4カ月とすべきと考えます。
 「2 価格調整の手続」ですけれども、価格調整結果を中医協総会で了承するという手続については、そのとおりでよいと考えますし、今回の費用対効果評価全般に関しましても、ポイント、ポイントでしっかりと中医協にその内容を上げていただいて、了承を得る必要があると考えております。
 以上です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
       ありがとうございました。
 この件ではほかにいかがでしょうか。間宮委員、どうぞ。
○間宮委員
 中医協への報告というところで、今、ポイント、ポイントでということでお話もありましたけれども、そのタイミングについては少し明確にしておいていただきたいと思います。
 ポイントポイントで報告することが大事というのは、試行的導入のときには、全体が終わって、その後でこうだったという報告がありましたけれども、その中でいろいろな課題が浮き彫りになったわけです。その浮き彫りに対して、こういう対応をしていくということで案が出ているということなので、全体的に評価が終わった後で報告されてもしようがないので、やはりそれぞれの節目、節目のときに、中医協に対して報告をしていただいて、中医協からの意見も言えるような機会を持っていただきたいと思うのですけれども、そのあたりはどのように考えていらっしゃるでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 個々の品目の進捗管理につきましては、専門組織の中で対応するものだと理解しておりますが、実際に全体の進捗がどのような状況にあるのか。また、新たな課題が生じたものにつきましては、こうした中医協の場に御報告を申し上げて、また御意見をいただく。そういう手続をぜひ進めたいと思います。御指摘ありがとうございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 間宮委員、どうぞ。
○間宮委員
 試行的導入のときに出てきた課題以外にも、これからまた新たな問題が出てくる可能性もあると思いますので、そういう意味では、少しイレギュラーなことが起きたときには報告をしていただくことが大事なのかなと思いますので、そのあたりを留意していただければと思います。お願いします。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ほかにこの件で御意見は。吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 今の中医協への報告の件でございますけれども、例えば、この費薬材-6のイメージ図にありますが、分析前協議の後、枠組み決定として専門組織で議論した。こういうような、今の何品目の中で枠組みはこれで決定した。その次に企業分析に入って、企業分析がどういう形で出たかというので、専門組織でまた確認をされる。そのときに報告をいただく。当然、アプレイザルをやったときにも報告をいただく様なイメージがよろしいのかなと考えますが、いかがでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 その頻度、内容につきまして、引き続き、御報告の形式を含めまして御協議をさせていただきたいと思います。御指摘ありがとうございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ほかに御意見はないですね。よろしいですね。
 ほかに御意見等がないようでしたら、本件については、本日の御意見を踏まえ、事務局において検討を進めることとしてよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○荒井費用対効果評価専門部会長
 ありがとうございました。
 それでは、そのようにしたいと存じます。
 本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡しますので、よろしくお願いします。
 それでは、本日の「費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会」の合同部会はこれにて閉会といたします。
 どうもありがとうございました。
 

 

(了)
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