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2018年11月7日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会 合同部会

○日時

平成30年11月7日(水)10:44~12:04

 

○場所

TKPガーデンシティ竹橋(2階大ホール)

○出席者

荒井耕部会長 田辺国昭委員 野口晴子委員 関ふ佐子委員 中村洋委員 松原由美委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員
松本吉郎委員 今村聡委員 城守国斗委員 島弘志委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
平野秀之専門委員 上出厚志専門委員 村井泰介専門委員
五嶋規夫専門委員 日色保専門委員 堀之内晴美専門委員
田倉費用対効果評価専門組織委員長
<参考人>
福田敬参考人 池田俊也参考人
<事務局>
樽見保険局長 渡辺審議官 山本審議官 森光医療課長 古元医療課企画官
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 費用対効果評価に関する検討について

○議事

 

○荒井費用対効果評価専門部会長
ただいまより、第11回「中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会合同部会」を開催いたします。
まず、本日の委員の出欠状況について報告します。
本日は、松浦委員、榊原委員が御欠席です。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○荒井費用対効果評価専門部会長
それでは、議事に入ります。
本日は「費用対効果評価に関する検討について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。
企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。企画官でございます。
それでは、タブレットで費薬材-1をごらんください。
1ページ目でございますが、費用対効果評価に関する検討につきましては、現在、そちらに記載のスケジュールで進めているということでございます。
その流れの中で、本日は2ページ目の表1の検討課題の中で、特に「(5)価格調整」について、下線を引いた部分を中心に協議をいただきたいと思っております。
価格調整方法について、費用対効果評価の基本的なところをおまとめした資料が3ページでございます。図2の下のグラフをごらんください。
費用対効果評価というものは、基本的には評価の比較対照となる技術に対して、費用効果がどのくらい増加するのかを計算した上で、増分費用効果比を算出する仕組みになっております。
この場合、費用、効果ともに増加する場合、すなわち、このグラフの中で申し上げますと、1の格子になっている部分につきましては、ICERが算出可能な領域でございます。
また、その下に斜線で囲っております2は、効果は同等もしくは増加をし、かつ費用が削減される品目ということで、この場合はICERは算出できない構造になっております。
そこで、価格調整を検討するに当たりましては、きょうは1と2をそれぞれ分けて検討いただきたいと思っております。
それでは、まず1のICERが算出可能な場合の価格調整方法について御協議をいたしたいと思います。
4ページ目が、ICERが算出可能な品目の価格調整方法についてでございます。
「ICERに応じた価格調整方法」の<試行的導入における取組>におきましては、図3にございますとおり、500万円/QALYまでは価格を据え置き、500万円/QALYを超えた場合に価格の引き下げをスロープ状の形で行って、1000万円/QALYで下げ率を一定にしたということでございました。
また、ICERは必ずしも1つの値には決定されず、幅を持った評価が行われた品目もあったということでございます。
ここで、有識者検討会におけるこの論点についての御検討をいただいておりますので、よろしければ、参考人のほうより御説明をお願いしたいと思いますが、よろしいでございましょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
では、福田参考人、お願いします。
○福田参考人
参考人の福田でございます。
それでは、費薬材-2のスライド形式の資料をもとに御報告をさせていただきます。
2枚目ですけれども、本資料の目的は、費用対効果評価に関する検討を進めるに当たって、科学的な事項について検討したものということでございます。
3枚目にメンバーがございますが、従来御報告したものと、メンバー構成は変わっておりません。
4枚目に「本日の内容」が2点ございますけれども、まず「1.価格調整方法について」を検討したものを御報告させていただきます。
6枚目のスライドで、価格調整を実施する際の対応方法としては、1番は試行的導入で行っている方法がございますが、それ以外の方法についてどんなものがあるか、あるいはそれについてどんなメリットや課題があるかについて整理したということでございます。
7枚目のスライドは、試行的導入における方法ということで、先ほども図を用いた御説明があったとおりであります。
同じ図が下の8枚目に書いてありますけれども、増分費用効果比で計算して500万円/QALY以下であれば価格調整はしないで、1000万円/QALY以上であれば最大の下げ幅で、間は直線で結ぶという形でございました。
9枚目のスライドでございますけれども、この方式の課題としては、ICERが幅を持った値であるときの取り扱いが難しいということでございます。
そもそも、この計算に関しましては、いろいろなデータを集計して使いますけれども、どうしてもばらつきがある。例えば、臨床データであれば、信頼感がある程度はありますし、費用データ等を含めても、どのようなデータソースを使うか、どのような集計を行っていくか等によって違いが生じる可能性があるということで、なかなか学術的には、これをかなりの確実性をもって1点に決めることが難しいということでございます。
ただ、試行の方法でありますと、特に500~1000万円/QALYの間のところで、斜めの直線になっているために、ここは価格調整率が連続的に対応するためにICERの値を1点に決めなければならない。このICERの値と価格は一対一で対応することになっておりますので、この場合には分析に適したデータが複数ある場合など、ICERが幅を持って評価される場合には対応が難しいということでございます。
次のスライドが、その他の方法として考えたもので、大きく分けて、基準値を1つつくるのか、2つつくるのか、あるいは3つ以上でつくるのかというような、段階を持って判断する方法があり得るのではないかということでございます。それぞれについて御説明をさせていただきます。
11枚目のスライドが、そのイメージでございます。
まず、(1)が「基準値が1つの場合」ということで、基準値を境にして、基準値より低い値であれば、費用対効果がいいとみなして価格調整はしない。ただ、それを超えたものについては最大限の価格調整をしていこうということでございます。
あとの(2)(3)は、この段階をふやしていったものということで、(2)については、基準値を2つ設定して2段階で価格調整をしていく。(3)については、幾つというのも理論的にはあり得ると思いますけれども、3つ以上でこのようなことをやっていく方法であります。
これらの段階式をとった場合に考えられるメリットやデメリットをまとめたものが、12枚目のスライドになります。
ここでメリット、デメリットを考える際に、試行的導入で実施している方法を考える観点として2点検討しています。
1つは「幅を持ったICERの取り扱いやすさ」ということで、先ほど申し上げましたとおり、増分費用効果比の値を1点に決めるのはなかなか難しい場合がございます。
もう一方で、階段形式にした場合には、当然、この基準値の境目のところでの価格変化が大きくなる可能性が生じます。これについても考える必要があるのではないかと思います。
この観点1、2についてまとめたものが下の表形式のものですけれども、◎は比較的扱いやすい、△は難しいということであります。
そのようなわけで、試行の方式に関しましては段差はございませんので、基準値を超えることによって価格が大きく変わることはないということであります。
ただし、課題で申し上げましたとおり、観点1のほうの幅を持った場合には、1点に決めるのが難しいときにどうするのかが大きな課題となるということです。
これに対しまして、基準値を1つにする場合です。前のスライドで(1)と書いてある、基準値より高いか低いかで判断する形式のものについては、幅を持ったICERについては比較的取り扱いやすい。つまり、この段階を超えるかどうかだけを判断すればいいことになりますので、ある程度の幅があってもどちらに乗っているものかを判断すればいいということになります。
ただし、段差がどうしても大きくなりますので、基準値を超えることによって価格変化は大きくなるということで、観点2を△にしているということです。
基準値を2つにして、段差を2段あるいは3段以上にしていく場合というのは、そのちょうど間になっていくということなのですけれども、これは数を多くしていきますと、12ページの一番下のところなのですが、基準値の数をふやしていきますと、どうしても多くの基準値を何らかの根拠をもって設定していく必要が生じてまいります。以前に申し上げましたけれども、これらは基準値を設定するときにも、学術的には必ずしも明確には提示できない可能性があると考えております。
このようなメリット、デメリットを踏まえた上で、検討会として出した結論といたしましては、前の図で言うと、(2)のところで基準値を2つ設けて、2段階で下げていくことを考えたらいいのではないかということでございます。
13枚目のスライドになりますけれども、この図で言いますと、領域1に関しては、基準値1より低い場合には費用対効果がいいと見なせばいいですし、その先は基準値2までを1段階、その先でもう1段階下げるということであります。この辺が幅を持ったものに対応するのと、段差の大きさをある程度緩和できるという意味ではいいのではないかと思います。
14枚目ですけれども、これに関しましても課題はあり得て、ICERが幅で示された場合に、例えば、中央値をもとにスロープ方式を使って調整することもあり得るかもしれませんけれども、幅で示されたといいましても、両端の値が同じように確からしいかはわかりません。これはあくまでも統計的に、確率的に分布するものに限らず、使う値が違う、そもそも臨床のデータとしてとってくるものが違う、あるいは同じデータソースでも費用と集計するやり方が違う等によってばらつくことがありますので、どちらのほうがより正しい値に近いというのはあり得ると思います。
そういう観点からすると、必ずしもここからここまでという端点を明確に示すことも難しいですし、その真ん中をとって判断することも一律には妥当とはいえないのではないかと思います。そのような観点からは、段数はある程度の段階で抑えて、一応、検討会としては2段ぐらいで考えたらいいのではないかというのが結果でございます。
以上でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、引き続きどうぞ。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
それでは、費薬材-1の5ページ目をごらんください。
<検討の視点>でございますが、ICERにつきましては、分析に適したデータが複数ある場合など、1点で決めることが困難な場合もあるため、一定の幅を持った評価を許容する考え方が必要と考えております。
3つ目のポツですが、価格調整の方法には、図4のとおり、大きく分けてスロープ方式と階段方式がございます。
試行的導入におきましては、経緯といたしましては、評価結果をよりきめ細かく価格調整に反映させるという観点から、これは事務局側からこの中医協の場にスロープ方式を御提案させていただきまして、お認めいただき、スロープ方式を採用した経緯がございました。
そこで、試行的分析等を進めていく中で、スロープ方式が、ICERを1点に決められるという前提に立った方式でありまして、今回の有識者検討会による検討結果も踏まえまして、一定の幅を持ったICERに対応するためには、階段方式のほうが適当ではないか。昨年、事務局がスロープ方式を御提案させていただいたわけではございますが、試行的導入の経験から、こうした検討状況でございます。
なお、階段方式を採用する場合におきましては、ICERの値が閾値をまたぐ場合の対応方法等についても、あわせて検討する必要があると考えてございます。
<論点>でございますが、ICERが一定の幅を持って評価される可能性を考慮に入れた価格調整方法といたしまして、どのような方法が望ましいのか、御意見をいただければと思います。
続きまして、6ページ目の「価格調整率」についてでございます。
試行的導入における価格の調整対象につきましては、類似薬効比較方式並びに類似機能区分比較方式の品目では補正加算部分とするなどの取り扱いを行ったところでございます。その上で、価格調整の対象につきまして、最大90%の引き下げとなるよう価格調整を行ったというのが試行的な取り組みでございました。
そこで、下の<検討の視点>でございますが、価格調整率につきましては、価格調整の範囲、価格調整方法を踏まえて検討するものだと考えます。
まず、費用対効果評価の結果(ICER)に基づきまして、確実に価格調整を行うことが原則でありますが、その上で、患者に必要な医薬品等の安定供給を確保する。こうした観点も求められますので、価格調整に当たりましては、そうしたバランスも考慮する必要があるのではないか。
あわせまして、費用対効果評価の結果につきましては、現在ございます薬価・材料価格制度を補完する観点から活用する。こうしたことを基本として検討する必要がある。こうした視点を持って、具体的な検討を進めていきたいと考えてございます。
<論点>でございますが、類似機能区分比較方式と原価計算方式それぞれの品目につきまして、価格調整率をどのように設定するのか。
また、ICERに基づき、確実に価格調整を行うこと。ならびに、患者に必要が医薬品等の安定供給を確保する。こうした観点から求められる方策についてどう考えるか、御議論をいただければと思います。
7ページは、冒頭で御説明申し上げた2番、すなわち比較対照技術に対して費用が削減される品目の取り扱いについてでございます。
<試行的導入における取組>を上段に記載しておりますが、試行的導入におきましては、こうした費用削減品目につきましては、費用対効果評価の観点からその活用が望ましいということで、価格調整について配慮、すなわち、価格の引き上げを行いました。
価格の引き上げ率につきましては、そちらの記載のとおり、価格調整対象の最大50%以下かつ価格全体の10%以下などの基準を設けております。
<検討の視点>でございますが、費用削減品目など、費用対効果の観点から望ましいものにつきましては、試行的導入における取り扱いも踏まえまして、具体的な方策を検討する必要がある。
また、当該品目が有する医療経済上の有用性と、価格の引き上げなどによる影響とのバランスを配慮した上で制度設計を行う必要がある。こうした検討の視点があると考えております。
<論点>でございますが、費用対効果評価の観点から、活用が望ましいとする品目の範囲をどのように位置づけるのか。また、価格調整についてどのような方法が望ましいのかということでございます。
最後の4つ目の論点は、資料の8ページ目をごらんください。
こちらは、総合的評価(アプレイザル)におきまして、配慮が必要とされた品目の価格調整方法についてでございます。
<試行的導入における取組>におきましては、表2にございます倫理的・社会的考慮要素に該当した品目については、1項目該当するごとにICERを5%割り引いた数値を「価格調整係数」と呼びますが、これを用いて価格調整を行ったということでございます。
こうした品目の価格調整方法のあり方につきまして、これもまた有識者検討会による検討をいただいておりますので、よろしければ、参考人より御説明をいただきたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
福田参考人、お願いします。
○福田参考人
それでは、また費薬材-2のスライド形式の資料で、15ページ目から御説明させていただきます。
16ページ目に「試行的導入における配慮方法:ということで、今、御説明がありましたけれども、試行的導入においてはこの4つの項目につきまして、ICERの値から5%割り引いた値を使うという対応が行われたということでございます。
17枚目に、これに対しての課題として挙げられる点なのですけれども、1点目としては、増分費用効果比の値を5%割り引くという形は、そもそも増分費用効果比は算出の定義値が決まっておりますので、そこから5%引くというのは科学的に解釈することは難しい。これについては、研究者の間でも議論があるところでございます。このような点も踏まえて、割り引いた値は「増分費用効果比」と呼ばずに「価格調整係数」と呼ぶことにしていると理解はしておりますけれども、似たような数字になりますので、誤解を受けやすいのではないかという指摘がございます。
また、2点目といたしましては、この価格調整方法の場合、ちょうど斜めになっております500~1000万円/QALYの間ですと、この5%を引くと価格が変わることになりますが、500万円/QALYとか1000万以上/QALYの範囲外のところで5%が変わっても、価格には影響しない。つまり、結果としては考慮されていることにならないというケースがしばしば生じるのではないかということが課題として挙げたところでございます。
18枚目になりますけれども、これに対応する方法といたしまして、aの試行での方法以外に、「(b)価格の引き下げを緩和する」あるいは「(c)基準値を変化させる」という2つの方法によって、前にありました1番目、2番目の課題は解決できるのではないかと考えています。
「(b)価格の引き下げを緩和する」という方法ですが、この倫理・社会的な要素等で考慮する部分については、価格として算定したものについて、一定程度調整をするという考え方でございます。これは理論的には実施可能と考えますけれども、我々の承知している範囲では、諸外国で運営されたような実績はないものと理解しております。
一方、もう一つは「(c)基準値を変化させる」という方法で、これは抗がん剤や難病薬等の基準値を変化させて、どこから価格調整をするかということについては、イギリスのNICEを初め、諸外国で実施されている方法ということで、これは実現性もあるのではないかと思っております。
参考までに、これは前回も挙げましたけれども、19ページ目に諸外国におけるこれらの対応を挙げさせていただきました。イギリス、オランダ、スウェーデン、韓国あるいはスロバキアといった国において、一般的な医薬品等と抗がん剤、難病薬等については基準値を変える。つまり、どこまでを許容するかという値を変えるという対応で配慮されているという状況でございます。
これらの検討結果をまとめたものが20枚目になります。
多くの諸外国においては、希少疾患や重篤な疾患等について、評価の過程で定性的に考慮するか、あるいは基準値を変化させることで対応しているということです。
試行でやっております、ICERを割り引くという方法については、学術的には割り引いたこと自体の解釈が困難であって、ほかの方法が適切ではないかということです。
ほかの方法としては、価格の引き下げを緩和するとか、基準値を変化させるという方法が考えられると思いますが、一番下のポツにありますけれども、(b)の方法ですと、ICERの値が極めて大きいものでも、これにかかわらず価格引き下げが緩和されることになりますし、諸外国における取り組みもないという点からしますと、(c)の方法が実現可能性としては最も有力な候補と考えられるのではないかということでございます。
以上でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
そうしますと、費薬材-1にお戻りいただきまして、9ページの<検討の視点>でございます。
総合的評価におきまして配慮を行うことが想定される品目といたしましては、対象の疾患、患者数が少ないために単価が高くなってしまう品目でございますとか、ICERでは品目の有する価値を十分に評価できない品目などが想定されるところでございます。こちらは、表3の10月17日のこの合同部会で御提案させていただいたものが想定されるということになります。
先ほど、有識者検討会での検討によりますと、こうした品目の価格調整における配慮といたしましては、表4の3通りが考えられます。
試行的導入における経験や、有識者検討会による検討の結果並びに諸外国における取り組み状況などを踏まえますと、これらのうち、基準値を別に設定する方法、その下の表4で申し上げますと、3番の方法が有力な候補となるのではないか。こうした検討の視点を挙げさせていただいております。
その上で、10ページの<論点>でございますが、
○総合的評価(アプレイザル)において配慮が必要とされた品目について、価格調整でどのように配慮を行うのが適当か。
○基準値を別に設定する場合、諸外国の値を参考に、どの程度の基準とすることが適当と考えられるのか。
以上が論点でございます。
この論点に沿いまして、本日、御意見、御協議をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明を踏まえ、項目ごとに協議を行いたいと思います。
まず、今の費薬材-1の3~5ページの「(1)ICERに応じた価格調整の方法」の部分で御質問、御意見等がありましたら、お願いします。
松本委員、どうぞ。
○松本委員
価格調整方法についてですけれども、もともと、スロープ方式は、閾値の前後で大きな価格変動がないこと、500~1,000の間であれば、より細やかな価格調整が可能であること、あるいはその間であれば非常に公平感があるということでそれを採用したと理解しておりますけれども、幅を持った値として評価するときに、階段方式のメリットもある程度理解はしましたが、それであっても、結局、価格調整のときにグラフ上のどこに1点を落とすかについては同じなわけであって、本当に階段方式が学術的に意味があるのかについてはかなり疑問を持ちました。
まず、幅が階段のステップにかかったときどうするかということは大きな問題かと思いますし、これまでの経緯でも、非常に予期せぬというか、想定外なことが結構起こっていることもわかっております。
例えば、幅が非常に広い場合はどうするのかという問題も出てきます。そうすると、本当に階段状を採用したときに、逆に不公平が出てくることも大いに考えられますし、今回、2-2の階段を2つにするという案ですけれども、そこも本当に学術的に意味があるのかどうかについても、真ん中の案をただ採用したというだけであって、果たしてこれが本当に意味があることなのかどうかは、御説明いただいても納得しかねる面はあるのかなと思います。
階段式がいけないということはありませんけれども、果たして本当にこちらにしてスロープ状よりも意義があるのかということに関しては、もう少し検討したほうがいいのではないかとは思いました。
その辺はいかがでしょうか。幅が非常に広くなった場合とか、階段のステップに当たったときも、結局はどこかで1点に絞るという調整をしなければいけなくなるのではないでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
では、福田参考人、お願いします。
○福田参考人
御指摘ありがとうございます。
階段にした場合には、当然、先生が御指摘のようなことが想定されると思います。
まず、1点に最終的に決まるのではないかということなのですが、こういう分析をやっていきますので、最も確からしい値に、できれば1つに決めていく。それが理想だとは考えます。
一方で、試行的にやったものも踏まえても、相当な確からしさを持って1点で決めるのは、技術的にはなかなか難しいものだと思います。
そこを判断していくことになったときに、スロープ形式ですと、本当に1点に決めないと、わずかにずれてしまっただけで、極端に言いますと、例えば、増分費用効果比が600万円なのか601万円なのかで価格が変わってしまう。
その精度で求めるのか、そうではなくて、どの段に乗っているかを判断する。つまり、その1万円が同じ台に乗っているのであれば、そこまでの判断は不要になると思いますので、そのほうが判断はしやすいのではないかと思います。
もう一点、またがった場合というのが必ず出てくると思います。どうしてもまたがった場合には、階段形式の場合にはどちらかを判断する必要が生じると思います。それは、よりどちらのほうが確からしいかで判断することが基本的な考え方だと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
松本委員、どうぞ。
○松本委員
私が1点に絞ると言っているのは、価格調整を結局1点に絞ることになるので、そういった面においては、先ほどおっしゃったような説明は余り通用しにくいのではないかと私は思いました。結局、価格調整を1点に絞っていくわけですから、その過程をどうするかという話だけであって、どちらが科学的なのかどうかは理解しがたいと私は思いました。
○荒井費用対効果評価専門部会長
今村委員、どうぞ。
○今村委員
今の松本委員のお話とかなり共通することなのですけれども、科学的かどうかは別として、階段を無限大にふやしていって、基準値を無限大にふやしたものがスロープになるわけですよね。
○福田参考人
そうです。
○今村委員
結局、階段をまたぐものがあるというお話なのですが、そこがよくわからないのは、データが複数出てくるといっても、先ほど、再分析にしろ企業分析にしろ、最後は1点の数字になっているわけですよね。基本的なことなのですけれども「幅を持ったデータが出てくる」という意味をもう一度教えていただきたいのです。
○荒井費用対効果評価専門部会長
参考人、お願いします。
○福田参考人
「幅を持った」といいますのは、そこで取り扱うデータとしてどれを使っていくかとか、これはデータソースもありますし、それをどう集計していくかによって、多少、値は変わり得るということでございます。
やり方を1個決めれば1つ出るのですけれども、その1通りのやり方が必ず正しいかというと、そこはある程度ばらつきを持った値として考えるほうがいい。
例えば、臨床試験等の成績を見ましても、当然、点数以外に信頼区間等もあるわけでありまして、どのくらいの確からしさで見ていくかというところは、ある程度の幅を許容して考えたほうがいいかなと学術的には考えています。
○今村委員
おっしゃるとおりで、そんなに科学的にぴしっと出ないことは十分理解した上で、ただ、試行的な事業等でも、結果としては1つの数字で出るわけですよね。それが複数の数字が出ることを言っておられるのか、そもそものその1点が不確かだから、1点で決めないで幅で出してくるということをおっしゃっているのか。そこがよくわからないのです。
○荒井費用対効果評価専門部会長
参考人、どうぞ。
○福田参考人
一応、私の試行に関しての理解では、基本的には1点で定めるように計算をしてやっておりますけれども、試行品目の中でもある程度の幅を持って結論が出されているものがあるというふうには理解しておりますが、それが意思決定が変わらないところであれば、その幅を共有したもので意思決定はされる仕組みになっていたかと理解しております。
○今村委員
基本的な理解が足りないのかもしれないですが、先生のおっしゃっている「幅で出てきた」というケースは、今までの試行の中で先生たちが分析された再分析では、とりあえずみんな1つの数字で出ているわけですよね。幾らから幾らの幅という形で出たことはないという理解なのですけれども、当然、企業の分析と皆様の分析が違っていて、それを幅と言えばそうなのかもしれないのですが、そうではなくて、最終的にはある1点にみんな決めて出してこられているのではないのですか。
例えば、同じ薬でもそこに対象の疾病が幾つかあって、この疾病に対しては幾ら、この疾病に対しては幾らという意味での幅ということを言っておられるわけではないのですよね。
○福田参考人
はい。
○荒井費用対効果評価専門部会長
では、企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
まず、最後に御質問のあった、適応症ごとに算定されるICERのばらつきを言っているわけではございません。あくまでもそれぞれの適応症の中での話のばらつきということでございます。
現に1点に決められたものが結果としてはありますけれども、そうでない品目もございます。また細かくは御説明させていただければと思いますけれども、今後も科学的に考えたときに、必ずしも1点に決まる場合ではないことも見据えまして、制度としての仕組みを検討しておく必要がある。このようにごらんいただければと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
城守委員、どうぞ。
○城守委員
ちょっとお聞きしたいのですけれども、ICERが1点というか、幅が比較的少なく決まりやすい品目と、ICERにかなりの幅を持つ品目というふうに考えますと、どれぐらいの割合になるのでしょうか。
もしくは、ICERが1点で決まる品目のほうが多いということであれば、もともとスロープ方式のほうが、またいだときの段差に落ちる幅が少ないということで、きめ細やかということで試行的に導入されたわけでしょうから、そちらに近い品目はスロープにすることも考えられますよね。ですから、必ずしも段差にする、ないしはスロープ方式にするという二者択一の選択でなくてもいいのかなとも思いますが、いかがでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
では、池田参考人、どうぞ。
○池田参考人
参考人の池田でございます。
日本では試行的導入の対象の品目が少ないので、何割ぐらいがどういう状況だということはなかなか評価しにくいところだと思いますが、例えば、イギリスで行われている分析結果などを見ますと、多くの品目について、1つの答えを示すのではなくて、イギリスだと2万ポンドとか3万ポンドという基準値があって、その基準値を超えない確率は何%という、いわゆる確率感度分析という手法を使って、幅を持った推計に加えて、この段を超える確率はどうだという確率で評価し、総合評価しているという例が多数ございます。
そういう意味では、今後、日本で品目が広がっていきますと、1点に決めるということではなくて、どの段に乗るのか、どのステップにあるのか、その確率がどのくらい確からしいのかという形で評価をすべき品目も多く出てくるのではないかと、海外の事例を見る限りでは私は考えております。
○城守委員
そうしますと、例えば、幅の値をある一定値以上に低く見積もったときにはスロープ形式にするという考え方も可能ですよね。そのようにしたほうが、きめ細やかになるという考え方はだめなのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
品目に応じて、スロープ形式を適用するのか、階段方式にするのかを分けてはどうかという御指摘でございましょうか。
○城守委員
そうですね。
○古元医療課企画官
そこにつきましては、もちろん、きょうはそれの是非というお話はないとは思うのですけれども、それも含めて御議論をこの場でいただければと思っております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
ありがとうございました。
今、議論されているように、ICERが一定の幅を持って評価されるのをどう考えるかは、単純に企業によるデータ提出があって、再分析されてアプレイザルに入るという流れの中で、今回の試行的な場合は、企業によるデータ提出と再分析が余りにもかけ離れていたので再検証の分析を行った。
だから、その再検証の分析が1つになったからというのは理解できるのですけれども、今、先生たちがおっしゃっているように、これからいろいろやっていく中では、当然ながら、いろいろな基準になるものをとってくることによって、また、QALYのあり方によっても、2つ、3つに分かれるのはあり得るという前提でこの議論を進めるということでよろしいのですよね。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
そういった御認識でよろしいかと思います。
○吉森委員
だとすれば、その一定の幅を持ったICERに対応するというのは、この御提案のとおり、スロープ方式よりも階段方式のほうが適当であるとは考えますけれども、そう考えていく中では、私は2つの論点があると思っていまして、スロープを階段にするのに、階段を何段にするのかという論点と、もう一つは、階段をつくったときの基準値というか、閾値をまたぐ場合にどのように決めるのかがあると思うのです。
まず、階段を何段にするかというのは、つまり、基準値を幾つ設定するか。先生たちの議論では、2つが妥当だということでありますけれども、今までの試行的な事例を前提に考えますと、ICERの基準値が500万/QALYと1000万/QALYの2つであった。そうすると、その間はフラットに階段するという考え方ですよね。こうすると、500万と1000万の間は同一の価格調整率を適用するということであれば、価格変化の影響する幅がいささか大きいのではないか、もう少しきめ細かな階段があってもいいのかなとは思うのです。
先生たちにお聞きしたいのですけれども、ICERの評価の一定の幅というのはどの程度を想定されているのか。また、その想定の根拠は何か、医療経済的な根拠があるのかどうかを教えていただければと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
福田参考人、どうぞ。
○福田参考人
御指摘ありがとうございます。
幅がどのくらいというのはなかなか一概には言いがたくて、先ほども御質問がありましたけれども、例えば、どんなデータソースを使うかで、頼るべき有効性については臨床試験が1つしかありませんとか、使える費用の計算方法が1つであれば、そんなにばらつきは生じないと考えられますが、これが複数のデータがあり得て、それをどう集計していくか、あるいはそれを集約して分析していくのかとか、集計方法をどうするのかというあたりになってくると、ある程度はばらつく可能性があると思います。
試行の状況を踏まえましても、ある程度の幅は生じる可能性はあるのではないかと思っております。その際に、何段にするかというのは、学術的に必ず2段でなくてはいけないとかということはないと思いますので、御議論いただくものだとは思いますけれども、御指摘もあったとおり、何段にするかというは、基準をどう設定していくかということになりますので、そもそも基準値を根拠をもってどう設定するのか。2段については、確かに試行でやったものは2つありますので、そのまま使うという手はあると思いますし、間をつくるにしても、その先をつくるにしても、基準値をどう設定するかというのはあります。
あとは、基準値がふえて段差がふえると、当然ですが、複数の値が出てきたときに段差をまたがる可能性が増すことになりますので、どうしてもそこの判断が発生するケースがふえていくと思います。
ちなみに、イギリスですと、おおむねいいとされる目安としては2~3万ポンドという言い方をしていて、そこでは1万ポンドぐらいの差を持って考えているところでございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
今村委員、どうぞ。
○今村委員
基本的には、最終的に割り切りの話なのだろうと思って、それほど厳密な科学的なものという感じはしないのです。
5ページにありますように、これは過去の試行的な導入のときの話ですけれども、29年10月4日には、このスロープ方式と階段方式のどちらをとるかを議論して、それでスロープ方式をとったという経緯がある。
では、それを踏まえて試行をやったら、スロープではぐあいが悪いから階段に変えるのだというお話なのかなと普通は思いますけれども、先ほど御説明いただいたように、イギリスではこういうやり方で既に行われていますということは、それは最近わかったことではなくて、前からわかっていた話ですよね。そうすると、試行的な導入のときに、どういうやり方をするかという議論のときにそういう話が当然あってしかるべきなのではないのか。
つまり、今になってこの階段方式のほうがすぐれているというような話であると、何となく、では、何か悪かったのだとなる。先ほどおっしゃったように、試行のときにはある程度幅はあるとおっしゃっても、結局は1点で出てきているわけですよね。
これからのことを考えると、幅があるから階段方式にしましょうという新たな提案というのは、何となく納得しがたい部分があって、結局、段をまたいだときにはまた別のことを考えなければいけないという御提案になっているのであれば、何でスロープではいけないのかなと思うのです。
先ほどのように、○とか△だとか◎だとかいうもので判断するのは、正直、難しいなと思いますが、最終的にはどういう割り切りをするかということだとは思います。絶対反対というわけではないのですけれども、何となくすっきりしないということだけ申し上げておきます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
先ほどの先生の説明だと、階段方式にして閾値をどうとるかの明確な科学的根拠というか、妥当性というものは余りなく、ある程度の幅を考えるということでやるならば、今、議論になっていますけれども、一定のICERの幅をどれぐらい許容するのかはある程度想定しておかないと、余りにも試行的のように大きく幅が開いてしまうと、再検証しないといけないことになりかねない。
そういう意味では、この階段にもしするならば、一定の幅というのはここまでで、その幅の間で、それをメルクマールとして基準値を設定していけば階段にはなる。余りにも細かくやるとスロープと何ら変わらなくなってしまいますので、個人的には2つよりも3つか4つとは思いますけれども、その辺は特別に科学的な根拠がなければ、政策判断でやるのだろうとは思います。これは、階段のスロープの意見でございます。
もう一つの論点で、もし階段にしてしまえばというので、基準値をまたぐ場合にはという御提案ですけれども、基準値をまたいだときに、例えば、基準値を挟んでどちら側により大きく一方がはみ出ているのかで決めるのか、それとも、2つ出ている場合ですと、信頼性の高い臨床研究等に基づいたICERを優先するのかというようなことで多分、判断するのかなとは思いますけれども、この辺については有識者の先生たちはどのようなお考えでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
福田参考人、どうぞ。
○福田参考人
御質問ありがとうございます。
段差をまたいだ場合なのですけれども、単純に両端の値が同じように確かとは限らない。と言いますのは、それぞれの値がどうやって出されたか、どういうデータソースで計算が出されたか。あとは、確率的にはその値そのものにある程度のばらつきがあり得る。
先ほど、感度分析と申し上げましたけれども、パラメーターが変わったらどう変わるか、使う設定が変わったらどう変わるかを考慮して、よりどちらが確からしいかを判断していくというステップが必要と思っています。これは、組織でやることなのかなと理解いたします。
もう一点、よろしければ、今村先生にもお答えしてもよろしいでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
どうぞ。
○福田参考人
御指摘ありがとうございます。
説明が不十分だったところもあって、御指摘のとおりで、試行でやったものでも、再分析等の結果としては1点の値を御提示する形で、それを基づいた意思決定をされているというふうには理解しております。
ただ、この方式は、こういう形で1点の推計値をもとに価格を設定することになっておりますので、逆に言うと、1点の推定値の周辺でばらついている程度が考慮されない判断方法になってしまっていると思います。
学術的には、確かに推定値や平均値なりは重要でありますけれども、どの程度ばらつきがあるかも考慮した上での判断がされることが、学術的には望ましいのではないかとお話をしている次第でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
今村委員、どうぞ。
○今村委員
ちょっと確認ですが、吉森委員がおっしゃっている「幅」というのは、企業と分析班の数字が大きく幅を持っているように先ほどはうかがえたのですが、そうではなくて、分析をしたときに、ある1点に近いところで幅ができるとおっしゃっているということでよろしいのですよね。
○福田参考人
両方でありまして、同じ1点推定でもばらつきがありますし、その設定が違う。企業がやったから問題があるという意味ではなくて、企業がやった設定でも妥当である可能性はもちろんありますし、再分析のものが妥当である可能性もあります。だから、設定による違いもありますし、それによって計算したものについても、その値の周辺にばらつきで真の値があると考えるべきだと思います。
○今村委員
そうすると、再分析をやらないで、その企業の言っておられた数字と、先生方が得られた数字の間にある程度の幅があることを容認したまま、価格調整をするというように聞こえるのですけれども、そういうことをおっしゃっているのですか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
吉森委員、何かありますか。
○吉森委員
今の理解は、企業の分析データを出して再分析に入る。再分析に入ったときに、企業のデータがより正確であって、再分析とニアリーであればその2つを採用するというのか。そこでどうするのかはこれからの話なので、全部を再分析にしてしまう、企業の分析は無視するのですと言えばおっしゃるとおりなのです。
だから、そこは決めの問題だというよりも、それも専門組織でどう判断して、どうしたかを明確にするだけの話なので、それは我々にもわかり得ないのですけれども、その辺があるということで今の話を進めるのだろうと私は理解しています。
○荒井費用対効果評価専門部会長
松本委員、どうぞ。
○松本委員
冒頭で私がお話ししたところが、お話を聞いてもまだ課題が解決できていないようには思います。階段にまたぐときと、階段をどうつくるかは、今のお答えを聞いてみても、やはり疑問にしか思えない。
階段をまたいだときに、どこかの1点に落とすことになるわけでしょうから、これは何回も言っていますけれども、価格調整のところのどこかに1点落とすわけなのです。そうすると、幅を持ったときに1点落とすこととどこがどう違うのかということは、もともとある程度の幅を、不確かさをICERが持っていることは理解したけれども、どこかの1点に価格調整を落とすわけなので、結局はどちらか割り切りやすいかという話になっている印象としか私には思えないのです。
だから、どちらがいいかということは非常に難しいので、もう少し幅を持ったとき、階段にかかったときにどちらにするのかという議論と、階段の数をもうちょっと科学的に、何かみんなが納得できる案をもう少し考えてきていただいて、もう一度、出していただいたほうがいいと私は思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
安部委員、どうぞ。
○安部委員
委員の皆様の御意見はそのとおりだと思うのですが、ICERそのものが、使用するデータや比較する薬剤、技術によってその大きさが変わってしまう性質がある中で価格調整に使うということで、補完的な価格調整としていることもありますので、そういった面からすると、ICERを使って、500~1000万の間を1段階としてしまうのはちょっと乱暴な気もします。スロープ方式でなだらかにすると、そのデータがそれほど正しいのかという問題があるということであれば、あくまで価格を下げるという方式の中では、より緩和な方式のほうがいいのではないかとは考えます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ほかにはいかがでしょうか。遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員
ICERの確率分布を階段状に乗せるというお話ですけれども、逆にICERの確率分布の統計上の代表値をスロープに乗せることと全く同じではないかなという気はするのです。
もちろん、その際に連続的に値を変えるのか、例えば、0.1%ずつ値を変えるのかというのはあるかもしれないですけれども、先ほどからお話しのように、基本的に価格は1点に決めなければいけないわけで、分布があるからといって、分布のある価格はできないわけで、1つの価格にするのであれば、確率分布があったとしても、その代表値をスロープに乗せるのと、確率分布を階段に乗せるのは全く同じことに思えるし、階段に乗せた場合は、今度は段差のところで2段階での調整が必要になりますけれども、スロープであれば、1点に決まるので1回で決まってしまうということで、別に階段にする必要はなく、統計上の処理でできるのではないかと思うのです。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
本論点につきましては、先ほど、松本委員からも御指摘いただきましたとおり、さまざまな論点、今回の御意見を整理いたしまして、改めて御協議させていただきたいと思いますので、よろしくお願いできればと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
どうぞ。
○今村委員
それで了解なのですけれども、確認なのですが、どちらの方式をとるかによって、専門組織の作業が大きく違ってくる、今後、扱える対象品目の数が変わってくるのかどうかが、何かこの方式の選択に影響しているのかどうかということだけ教えてください。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
こうした科学的な議論と、実際にこういった制度を運用していく。この両方の観点を総合的に御協議させていただきたいと思っておりますので、きょうの時点で、そこがどれだけ影響しているのかはお答えはできないのですけれども、そこも含めて御協議をさせていただきたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
この件に関しては、とりあえずよろしいでしょうか。宮近委員、どうぞ。
○宮近委員
資料を作成する際に、いわゆるスロープ方式と階段方式の2つの方式で具体的にモデルをつくって、こういうやり方でやると、例えば、スロープ方式ではこういう問題がある、階段方式ではこういう問題があるというように、具体的なステップを示していただきながら問題点を摘示していただくことをお願いしたいと思います。我々もどちらかいいとか悪いとかの判断をしづらいけれども、今までのお話を聞いていると、各委員の皆さんがいろいろなモデルを組み立てて、こういう問題もある、ああいう問題もあるということになるので、少し具体的なやり方のプロセスをそれぞれの方式で示していただくと、理解は進む感じはします。
これは要望です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
それでは、次に行ってよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○荒井費用対効果評価専門部会長
次に、6ページ目の「(2)価格調整率」について、御質問、御意見等がありましたらどうぞお願いします。
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
患者に必要な医薬品等の安定供給を確保するという観点からも、価格調整率に下限は設けるべきだと思います。
また、類似薬効比較方式と原価計算方式の品目それぞれについて、価格調整率をどう設定するかというところですが、類似薬効比較方式については、加算の部分を価格調整の対象にして、加算の部分が相当大きい場合には、全体に下限を設けるということでよろしいかと思います。
原価計算方式につきましては、営業利益本体と製造総原価の枠内で試行的導入では価格調整を行ったのですが、これについては、何度も繰り返し申し上げているように、薬価制度の抜本改革後も製品総原価の開示度が非常に低い。2018年度以降に薬価収載された新薬のうち、開示度はほとんど50%未満ということを考えると、やはり類似薬効比較方式よりも厳しい引下げルールを設けるべきだと考えます。これは意見でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
松本委員、どうぞ。
○松本委員
基本的には幸野委員のおっしゃっていることと同じような考えを持っておりますけれども、類似薬効比較方式の場合に、加算の幅にかなり大きな違いがあるのではないかと思います。大きな場合はそれなりの配慮は必要かと思いますけれども、小さな場合にそれだけ配慮する必要があるかについては、もう少し考えたほうがいいのではないかと思います。
もう一点、非常に加算が大きな場合に、非常に費用対効果がよくなかったときには、そもそも加算が何だったのかということにもなるので、その辺についても若干の疑問は持っております。小さな場合とか大きな場合についての配慮はあってしかるべきではないかと思いますけれども、それについての事務局の考えはいかがでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
前回の合同部会で、価格調整の範囲をどのように設定するのかという御議論もいただきましたが、委員が御指摘のとおり、加算の幅が薬価もしくは材料価格の全体にどの程度占めるかによりまして、このインパクトは大きく変わってまいります。
そういった意味では、価格の幅の小さいものであればどういった、その両者を安定供給のバランスも含めまして考慮した上での仕組みを検討していきたいと考えております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
その類似薬効比較方式、原価計算方式というのは、皆さんの御意見どおりで同感なのですが、1つ教えていただきたいのは、試行的導入において価格調整方法としたこの計算式は、前提としては、スロープ方式をやればこのような計算式ですねということなのだろうと理解しているのですが、階段方式にした場合、これはどのように考えるのかを教えていただければありがたいです。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
これは、これからまたこちらの議論になるとは思いますが、階段方式にした場合は、この階段の数に応じまして、どの段にあるかに応じて引き下げ率が変わってくることになりますので、この単純な一次方程式のような式ではなくて、階段の段に応じた割引率という形になると思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
そもそもこの計算式は、試行的のときは余り説明も受けていなくて、これでいいという科学的根拠は何なのだろうなというふうには疑問に思っていたのです。
これは階段方式にすれば、今、おっしゃったとおり、調整率をどうするかというだけの問題になるのかなというふうには理解しているのですけれども、その辺について見識を伺いたかったので、今みたいな質問になりました。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ほかにはいかがでしょうか。では、上出専門委員、どうぞ。
○上出専門委員
ありがとうございます。
このICERの確からしさといったことにつきましては、先ほど来、御議論があったところかと思います。また、ICERが有する不確実性といったものを踏まえますと、費用対効果の結果の活用は、現行の薬価制度を補足する観点で用いるべきであるというところは、前回も御議論があったところかと思います。
そして、調整率でございますけれども、試行的導入におきまして、最大90%の引き下げとなったわけでございます。この加算の大きさにつきましては、対象品目の有効性、安全性といったことにつきまして、薬価専門組織において専門的な見地から検討され、中医協において了承されたものであると承知しております。
仮に最大90%の引き下げをしてしまいますと、このようなプロセスで決まりました加算率の大半が、費用対効果評価の結果によって失われてしまうということが起こるわけでございます。これが本当に、現行の薬価制度を補足するという考え方と合致しているのかどうかは、ぜひ御検討いただきたいと考えております。
これは本質的な議論ではないかもしれませんけれども、少なくとも試行的導入におきましては、御存じのとおり、10%以上の加算を有する品目が対象として選定されました。仮に、この10%の加算が90%引き下げられますと、加算は1%しか残らない。そうなりますと、検討の対象になりませんでした5%の加算を取得した品目よりも加算が小さくなってしまう。これはある意味、薬価制度と矛盾する状況が起きてしまう可能性を持っていたのではないかと考えます。
そういったことも踏まえて、この調整率の最大引き下げ率といったものにつきましては、御議論いただきたいと考えております。
また、原価計算方式の品目につきましては、先日来、その透明性といったことでいろいろ御議論をいただいております。そもそも原価計算方式で算定された品目というのは、適切な比較薬がないということで、原価計算方式で薬価が算定されたものでございます。
それを踏まえて、この費用対効果評価で対照技術として選定されたものが妥当なのかどうかといったことも含めて、その費用対効果評価の結果の活用などについては御議論をいただきたいと考えております。
以上でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
そのほか、この価格調整率の件に関してはいかがでしょうか。
ありがとうございました。
次に、7ページ目の「比較対照技術に対して費用が削減される品目の価格調整方法」に関して御質問、御意見がありましたらお願いします。
松本委員、どうぞ。
○松本委員
ここのところは、費用対効果評価の観点から言うと、その活用が望ましい品目の取り扱いについては、基本的には試行的導入で採用した方法のもとで、対象品目の範囲や対応策について検討するということでよろしいのではないかと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
この件については、比較技術に対して効果が増加し、費用が削減される品目で、一定の条件を満たす品目については、価格の引き上げ等、医療経済上の有用性のバランスを考慮した制度設計を検討するという方向性は支持できるものだと思っています。
そこで、このICERが算出不能で費用が削減される品目の範囲、価格調整の方法は、今、松本委員もおっしゃったように、試行的な導入での案ぐらいのことしか、対案というか、妙案は思い浮かびませんけれども、もしこの件に関して、有識者検討会などで先生方が何か具体的、科学的妥当性のあるような、医療経済学的な観点から、メルクマールなり調整方法なりがあれば、教えていただければありがたいです。
○荒井費用対効果評価専門部会長
福田参考人、お願いします。
○福田参考人
御指摘ありがとうございます。
この効果が同等以上で、費用が削減されるドミナントの場合なのですけれども、諸外国でも当然、評価によってこういうものが生じる可能性はありますが、一応、これについての対応として我々が認識している限りでは、価格で対応している国はないと思います。
ただ、背景といたしましては、それぞれの価格設定に関しまして、各国の制度がありますので、例えば、英国の場合ですと、もともと薬の価格は企業が決めることになっておりますので、この評価結果に基づいて価格を上げるといった対応はしないということだと思います。
一方、日本ではこの制度をもともと持っておりまして、この中医協で価格を決めておりますから、その結果として、ドミナントであるものについてそのような対応をするという考え方はあり得るのではないかと考えます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
次に、8~10ページの「総合的評価において配慮が必要とされた品目の価格調整方法(価格調整係数)」について、御質問、御意見等がありましたらどうぞ。
松本委員、どうぞ。
○松本委員
抗がん剤などについては、ICERは割り引くのではなくて、基準値を別に設定するという考えについては理解はいたします。
1点、最初にお聞きしたいのですけれども、イギリスの例とかを出されておりますが、もともとそこは保険償還の可否にまで活用している国ですけれども、逆にドイツとかフランスではそこまでしていないわけで、こういった国ではこの辺はどうなっているのかをまずお聞きしたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
福田参考人、お願いします。
○福田参考人
ありがとうございます。
ドイツやフランスの状況ですけれども、まず、フランスに関しましては、今、費用対効果評価を導入して取り組んでいるところですが、評価結果は価格交渉に用いるということで、国とメーカーの間の交渉になっていて、これについては我々も調査等を試みておりますが、全く情報は公表しないとあちらもおっしゃっておりますので、わからない状況ということでございます。
ドイツにつきましては、現時点では有効性の評価に基づく価格交渉は行われますけれども、費用対効果の評価までは至っておりませんので、ドイツにおいてはまだ事例がないと理解しております。
○荒井費用対効果評価専門部会長
松本委員、どうぞ。
○松本委員
わかりました。
それで、その基準値を変化させる方法ということで、もしそれを行うとするとどの程度かという話になってくるわけでございますけれども、過去のというか、試行的導入のときに500万/QALYと1000万/QALYということで基準値を決めたわけですよね。そうすると、幾ら500万とか1000万を右側に動かすといっても、1000万/QALYのところからは効果が非常に小さいということになっていたので、余り500万の基準をずっと右に動かして、1000万を超えるようなのは、今までの試行的導入の経緯からすると、かなり無理がある感じはいたします。どの辺にするかというのはこれからの議論かと思いますけれども、500万、1000万を動かすに当たっては、余り大きな移動は考えにくいのではないかという感じはいたします。
その際に、8ページの表2のところで、どこのところをしっかりとこれに反映させるのかとなると、これは試行的導入のときも議論がありましたけれども、1番と2番のようなところまで考慮要素として捉えるのかどうかとなると、もう一度、考える必要があると思いますし、3番とか4番の抗がん剤とか、特に非常に希少な疾患に関しては配慮しても構わないと思いますけれども、1番、2番のところまで広げるかどうかは議論があるのではないかと思います。
というのは、前回の試行的導入の4項目をとったときには5%ずつにしましたし、それであればということで了承した経緯も多少はありますので、今回のように、どれかに当てはまれば右に動いていくということであれば、ここの表2のところでどれを当てはめるかは、もう一度、しっかりと議論していただきたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
ただ今のご意見に関連するのですが、基準値を動かして対応するという考え方自体には、私は賛成をいたします。
基準値をどのように設定するかはこれからの検討になるかと思いますが、有識者の方の検討の費薬材-2の19ページに、今の日本の425万円というGDPに対して基準値が500万円ということで、一番右の1.18という係数になっています。ほかの国を見ると、イギリスもオランダも1人当たりのGDP比の0.67とか0.45などに比べて、かなり高い基準値が設定されているという事実があるのです。
もし、この基準値を、各国のように2倍にすると、1.18の2倍ということで2.36という数字が出て、結構高い数字になるのではないかというところがあるので、この点についても考慮しなければいけないと思うのですが、福田先生、いかがでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
福田参考人、お願いします。
○福田参考人
諸外国におきましても、GDP比というこの表での示し方ですけれども、一般的なものに対して2倍程度にする場合が多いということではございます。あくまでもGDP比でそろえた場合ですので、必ずしも高いか安いかは何ともいえないところではあります。
○荒井費用対効果評価専門部会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
私が言いたいのは、日本の基準値1の500万自体が既にほかの国より高く設定されているので、その点を考慮する必要があるのではないかということなのです。
○福田参考人
これについては、表記の問題ももしかしたらあるかもしれないです。
例えば、イギリスの場合には、一般的に2~3万ポンド程度という言い方をしておりますが、ここでは2万ポンドのほうを採用しておりますので、一般的な基準値としているほうにも、イギリスの場合ですと少し幅を持っているという状況ですから、そこのあたりを考慮すると、必ずしも日本のものがとても高いということはないと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
この対応については皆さんの御意見のとおりで、幸野さんと一緒なのですけれども、前回のこの部会でも申し上げましたが、ICERを5%割り引くことについては、先生たちの意見もございますし、8ページの有識者検討会の検討の最初の○に示されていますように、医療経済学上からの科学的な妥当性が疑わしいことは全く同感でございまして、もし倫理的・社会的影響を考慮するならば、その程度に応じて基準値を調節して設定する。
また、その基準値は社会的な、いわゆる支払い意思に関連していると考えますと、倫理的・社会的影響がプラスであれば、支払い意思額は高くなってもいいという考えが、一定妥当性があるのだろうと考えております。
したがって、この基準値について諸外国方式を取り入れて対応するというのは支持できるところでございますけれども、その基準の程度といいますか、その際の基準の設定値については、今、先生たちからお話がありましたけれども、設定根拠に何か明確なというか、科学的な基準があるのか、全く政策的な判断なのか。その辺がわかれば教えていただければと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
福田参考人、どうぞ。
○福田参考人
諸外国のということでよろしいでしょうか。
○吉森委員
そうです。
○福田参考人
わかりました。
まず、このスライドですと19枚目のところですけれども、イギリスに関しましては、一応、一般的な基準値として、5万ポンド程度が抗がん剤の場合は基準になっておりますので、記述として2.5倍という記述は出てくるのですけれども、これが明確に先に2.5倍というものがあって決まったということではなく、過去に個別事例について判断していった実績に基づいて、その程度まででいいのではないかということになっていると理解しております。
スウェーデンや韓国に関しましては、特に根拠は明確に示されることなく2倍という値を採用しているということでございます。
オランダにつきましては、ちょっと差が大きくなっておりますけれども、実はオランダの場合には3段階になっておりますので、それの両端はこのような値になっているということで、これについては、その疾患の重症度を反映するような指標を検討して考えているというものでございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
ありがとうございます。
そうすると、我が国でこの方式を採用するならば、今、おっしゃっていただいたように、イギリスとか、科学的な根拠をある程度積み上げたものを参考にすることは可能なのでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
福田参考人、どうぞ。
○福田参考人
一応、諸外国の状況をこのような形で参考にすることはできると思いますが、今、申し上げたとおり、例えば、2倍にしますといったときに、そこがなぜ明確に2倍が妥当なのかについては説明が各国ともございませんので、どうして2倍ではなくて2.2倍ではだめなのかというあたりまでは、特に学術的な議論はないと考えております。
○吉森委員
ありがとうございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
今村委員、どうぞ。
○今村委員
これは本格的導入の話として議論しているということなので、試行的な導入のときとは条件が違うということもあるでしょうし、非常に時間のない中で試行的導入を進める中で決められた条件ということで、500万、1000万ということもよく理解はできます。
ただ、こういった海外の事例等については、少なくとも試行的な導入の時点でも情報としてはあったのだろうと思うのです。これは新たにどんどん出てきている情報ではなくて、あのときの中医協の議論で、500万と1000万という数字を少なくとも決めている時点では、こういうことを考えないで決めた。
これは事務局に確認したいのですけれども、その試行的な導入で、500万、1000万で切って価格調整をしたものを仮に3倍に動かしたら、そんなことはないと思いますけれども、1500万、3000万とずらすと、価格調整は試行のときにはしているけれども、本格導入のときにはしないというように、不公平が生じる可能性があって、その辺はどこまで動かすと、試行のときに価格調整をしたものが対象にならなくなるのかみたいなデータは出していただけるのでしょうか。調べればわかるのだとは思いますが、今、頭の中に数字が入っていないので。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
個別品目の具体の増分費用効果比の公開は差し控えたいと思っておりますので、この場で数字を出してというのは御容赦いただきたいと思っております。
○今村委員
つまり、何を申し上げたいかというと、この基準をずらすことによって、前のものとの不整合が生じないようにしてほしいという意味で申し上げています。
○古元医療課企画官
了解いたしました。そこも含めて検討させていただきます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ほかにはいかがでしょうか。松本委員、どうぞ。
○松本委員
この論点の冒頭に申し上げたとおりですけれども、今、今村委員のほうからもありましたが、結局、500万を動かすときに、それが2倍を超えて1000万以上に行ってしまうとなると、これはかなりおかしな話になってしまうのが端的なことだと思います。だから、1000万以下のところで議論しないといけないということだと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
上出専門委員、どうぞ。
○上出専門委員
ありがとうございます。
このアプレイザルにおいて配慮すべき要素ということで、今回、例として挙げていただいております重篤な疾患ですとか、対象患者の少ない疾患について、異なる基準値を設けることは、諸外国でも行われていることを考えますと、非常に現実的なプランではないかと考えております。
一方で、試行の際に検討いたしました公衆衛生的有用性等といった要素につきましては、今後、検討の余地があるのではないかというような御議論もございましたけれども、重篤な疾患ですとか、対象患者の少ない疾患以外に、どんな要素を考慮していくべきか。
また、その場合には、必ずしも異なる基準値ではなくて、今回の有識者会議の検討の中でも示されております、価格調整率を圧縮するという方法などが有効な場合がないのかといったことも、今後、御議論をいただきたいと考えております。
以上でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ほかに御意見はないでしょうか。よろしいですかね。
そうしましたら、本件については、本日の御意見を踏まえ、事務局において検討を進めることとしてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
それでは、そのようにしたいと存じます。
本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いします。
それでは、本日の「費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会」の合同部会はこれにて閉会といたします。
どうもありがとうございました。
 

 

(了)
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