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2018年6月13日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会 合同部会

○日時

平成30年6月13日(水)10:15~11:08

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

荒井耕部会長 田辺国昭委員 関ふ佐子委員 中村洋委員 松原由美委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本純一委員 今村聡委員 松本吉郎委員 島弘志委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
五嶋規夫専門委員 上出厚志専門委員
村井泰介専門委員 平野秀之専門委員
<参考人>
福田敬参考人 池田俊也参考人
<事務局>
鈴木保険局長 渡辺審議官 伊原審議官 迫井医療課長 古元医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○費用対効果評価の検証品目の進捗状況について
○費用対効果評価の制度化に向けた検討について
○費用対効果評価の試行的導入に関する取組について

○議事

 

○荒井費用対効果評価専門部会長
ただいまより、第8回「中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会合同部会」を開催いたします。
まず、本日の委員の出欠状況について報告します。
本日は、野口委員、榊原委員、堀之内専門委員が御欠席です。
また、本日は福田参考人、池田参考人に加え、費用対効果評価に係る国際的な学術団体である「国際医薬経済・アウトカム研究学会」の日本部会の会長であります、岡山大学大学院保健学研究科の齋藤信也教授に参考人として御出席いただき、御意見を伺いたいと思いますが、このことについて御異議ありませんでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○荒井費用対効果評価専門部会長
それでは、議事に入ります。
初めに「費用対効果評価の検証品目の進捗状況について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので説明をお願いします。
企画官、よろしくお願いします。
○古元医療課企画官
それでは、費薬材-1をごらんください。「費用対効果評価の検証品目の進捗状況について(報告)」でございます。
「1.背景」のところで、平成28年度から開始した試行的実施におきましては、一部の品目において企業分析と再分析の分析結果が大きく異なることとなりました。これらの技術的課題への対応策を整理するため、7品目についての検証を行うこととしております。具体的な品目はそちらに記載のとおりでございます。
検証を実施するに当たりまして、前回の合同部会における決定を踏まえまして、分野ごとに当該分野の臨床の専門家や医療経済評価の専門家などからなるワーキンググループを設けまして、分析や評価のあり方について検討を行い、専門組織はその検討結果を参考として分析の枠組みに関する協議や分析結果の取りまとめを行うことといたしました。
本日は、これらの品目に係る検証につきまして、進捗状況を御報告するものでございます。なお、スケジュールはその下段の表の中に記載しております。現在5月から6月にかけまして、公的な分析を開始いたしております。この公的な分析につきましては後ほど出てまいりますが、公的な専門機関で実施するものでございます。
2ページ目は、これまでの取組状況について時系列で記載してございます。まず、厚生労働省におきまして、対象企業との協議を行い、分析の枠組み案の作成及び論点の整理を行いました。また、4月以降、分野ごとの3つのワーキンググループを開催いたしました。ワーキンググループの構成委員につきましては、そちらに記載のとおり当該分野の臨床の専門家並びに医療経済評価の専門家。こちらについては、専門組織の委員と一部重複をさせております。また、ワーキンググループの開催日程につきましては、4月23日、4月27日、5月2日と開催をいたしました。
ワーキンググループにおきましては、企業のうち希望のあった3社から意見を聴取いたしまして、枠組みについての検討を行いました。また、その結果を企業側に伝達するとともに、5月16日に専門組織に御報告をいたしました。専門組織におきましては、意見表明を希望する企業を募りましたところ1社が意見表明を行われた。また、その組織で作成した分析の枠組みを伝達いたしましたところ現時点で不服意見はなく、分析の枠組みが決定をされたという状況でございます。
その具体的な分析の枠組みが3ページ目の(表1)でございます。品目ごとに比較対象技術などが決定されたものでございまして、下線部が今回新たに決定した事項でございます。なお、表の下の○ですけれども、7番目の品目のカワスミの胸部ステントグラフトシステムにつきましては、企業側より再分析結果について理解を深め、論点を整理できたことなどから検証については終了したい旨の申し出がございました。このことにつきまして費用対効果評価専門組織に報告いたしまして、了承され、検証作業は終了といたしましたことをあわせて御報告いたします。結果として、引き続き検証作業を行う品目は6品目ということでございます。
最後の4ページ目は、今後の分析の進め方でございます。
今後、費用対効果評価専門組織において決定された分析の枠組み、すなわち先ほどの表1の枠組みに従いまして分析を行います。また、分析に当たりましては専門機関による分析を基本として実施いたします。また、前回の合同部会における指摘を踏まえまして、専門機関と企業側が別々の分析を行うのではなく、分析の過程において必要な情報共有や意見交換を行いながら分析結果を得ることとしたいと考えております。
資料の説明は以上となります。よろしくお願いします。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明に関して、御質問等がありましたらお願いします。特にこの資料に関してはありませんでしょうか。
ほかに特に御質問がないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
そうさせていただきたいと思います。
次に「費用対効果評価の制度化に向けた検討について」を議題といたします。
検討の進め方と制度化に向けた具体的検討の2つの内容が含まれていますので、別々に議論したいと思います。
まず、検討の進め方について、事務局より資料が提出されておりますので説明をお願いします。
企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
それでは、費薬材-2をごらんください。検討の進め方についてでございます。「1.背景」は記載のとおり本格実施に向けて、その具体的な内容を引き続き検討し、平成30年度中に結論を得ることとされております。
「2.検討の進め方(案)」でございますが、前回の合同部会におきまして2点の方針が決定されております。すなわち検討が可能なものから順に検討を行うこと。また、科学的な事項につきましては、医療経済学などに関する有識者による検討を行い、中医協の議論に活用するという方針でございます。これらの方針を踏まえまして、当該分野の学識経験者による検討結果も活用しながら制度化に向けた議論を進めることとしたいと考えております。
4ページは、「費用対効果評価制度に関する科学的な事項の検討について」ということでございます。
「1.概要」の1つ目の○は先ほど申し上げた内容。
2つ目は、前回お決めいただいた方針に基づきまして、平成30年度厚生労働科学研究におきまして、当該分野の学識経験者による検討を開始いたしました。検討結果につきましては、費用対効果評価専門部会参考人から中医協に報告をいたしまして、制度化に向けた議論に活用していただきたいと考えております。なお、検討メンバーはそちらに記載の12名でございます。そのうち池田先生及び福田先生には、専門部会に参考人として毎回御出席をいただいております。
3ページ目にお戻りください。「3.今年度の中医協における検討スケジュール(案)」でございます。制度化に向けまして、速やかな検討が求められる課題でありますとか、検討可能な課題から順に検討を進めまして、関係業界からのヒアリングも行った上で、制度化の内容について取りまとめを行いたいということでございます。
検討課題は、2ページの(表1)に書いてある内容が主な検討課題になるわけでございますが、この中で、試行品目の検証作業に直接かかわるような部分については検証を終えてからということでございますので、それ以外の項目を中心に検討を進めたいという御提案でございます。
検討につきましては、3ページの下の図に記載のとおり検証の進捗状況の御報告、また、有識者による検討結果の報告も行いながら御検討いただきたいということでございます。
資料の説明は以上となります。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明に関して、御質問等がありましたらお願いします。特にないでしょうか。
今村委員、どうぞ。
○今村委員
確認をさせてください。2ページにあります「(表1)制度化に向けた主な検討課題」ということで(1)から(5)までございますけれども、1ページにある今回の有識者の研究を活用するというものがこの検討課題という意味なのでしょうか。それはまた別の話になる。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
御質問ありがとうございます。
2ページの表1の検討課題は、制度化に向けて検討しなくてはならない項目を網羅的に記載したものでございます。有識者による検討につきましてはこの中で、特にICERの評価のあり方でございますとか、そういったこの中でも科学的、非常に専門的な部分についての御検討をいただくと御理解いただければと思います。
○今井委員
わかりました。ありがとうございました。
それを踏まえて、ICERの評価方法等のうち科学的な事項を有識者に御検討いただくということなのですけれども、もともとICERの話というのはなかなか難しいところがあって、簡単に理解がなかなかできない部分がありまして、この事項というものが具体的にこれからこういうことを検討いただきますみたいな、個別の論点を挙げていただくことは可能なのでしょうか。つまり、抽象的な感じに受けとめられるのですけれども、御専門の方からするとぴんと来るのかもしれないのですが、中医協で今後こういうことを議論していくのだなということが明確にわかるような事項として、これとこれとこれということは可能なのですか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
2ページの(表1)の検討課題を検討いただく中で、可能な限りそういった形でお示ししていきたいと考えてございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
よろしいですか。
○今村委員
これからお示しいただけるということで理解をいたしました。ありがとうございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官もよろしいですか。
ほかに御意見はどうでしょうか。
ほかに御意見がないようでしたら、本件については本日の御意見を踏まえ、事務局から提案のあった方針で進めることとしてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
それでは、事務局におかれましては、そのように進めていただきますようお願いします。
次に「費用対効果評価の制度化に向けた具体的検討について」、事務局より資料が提出されておりますので説明をお願いします。
企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
それでは、費薬材-3をごらんください。「費用対効果評価の制度化に向けた具体的検討について」ということでございます。
「1.本日の検討課題」でございますが、前回の合同部会でも最優先での検討が必要とされた基準値の設定、支払い意思額調査を含む関係につきまして検討を行っていただきたいと考えてございます。
2ページ目をごらんください。「2.具体的な検討」でございます。
<試行的導入における取組>でございますが、こちらは基準値を500万円及び1,000万円/
QALYとして行ったところでございます。
<中医協における主な意見(合同部会(平成30年3月7日))>でございますが、前回の合同部会におきまして、支払い意思額調査については「命に値段をつける」という性格のものであるという御意見。また、支払い意思額調査についてはその信頼性が低いとの指摘がある。また、広く施策に適用すること自体にもさまざまな意見があると聞く。そのあたりも含め、改めて整理をしてほしい。また、最優先で検討すべきであるということ。また、経済・社会情勢の変化などを考え、検証が必要ではないか。さらには、調査を実施する場合の問題点、昨今の経済情勢を踏まえた基準の妥当性の検証並びに基準値の設定方法など、議論の前提となるものを提示してほしいといった御意見をいただいたところでございます。こうした意見を踏まえまして、有識者による検討をしていただきました。
次の資料の費薬材-3別紙でございます。もしよろしければこちらに基づきまして、本日御出席いただいております福田参考人を呼び、齋藤参考人から御説明をいただければと存じますが、いかがでございましょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
参考人、どうでしょうか。
福田参考人、よろしくお願いします。
○福田参考人
参考人の福田でございます。
それでは、費薬材-3別紙のスライド資料に基づいて御説明をさせていただきます。
2枚目、下のところですけれども、「資料の目的」というものを書かせていただいています。先ほど御説明がありましたとおり、費用対効果評価の制度化に向けた検討を進めるに当たって、科学的な事項について検討したというものでございます。本日はその中で、基準値の検討をしたものについて御報告をさせていただくということでございます。
3枚目が先ほどもございました、検討した際のメンバーでございます。
4枚目、本日の御報告の内容なのですけれども、まず「1.基準値の設定方法について」は、諸外国の状況あるいは研究者からの意見等をレビューして、どんな考え方があるか、それぞれどんなメリットや課題があるかを整理したということです。
2番目がこれに基づいて、現時点では基準値について、このように考えるべきではないかというものを検討会の結果としてまとめたものを御報告いたします。
最後は、昨年来の課題になっております「3.国として新たな支払い意思額調査を実施することについて」の意見をまとめたものを御報告させていただきます。
5枚目に参ります。まず「1.基準値の設定方法について」ということです。これは諸外国でのアプローチあるいは研究者の提案等を検討した結果、以下の4つの考え方というのが大きく挙げられるのではないかということになりました。
1つ目は、機会費用や現在償還されている医療技術の水準をもとにする考え方。
1つは支払い意思額、社会的にどのぐらい払うかという意見の聴取も含めてですが、このような考え方に基づくもの。
1つが一人当たりGDP等の経済指標に基づくもの。
もう一つが諸外国の基準値を参考に設定する、という考え方でございます。それぞれについて御説明をさせていただきます。
6枚目のスライドに、まず(A)として挙げさせていただきました「機会費用や現在償還されている医療技術の水準等1」というものです。これは機会費用ということですけれども、現在の医療システム全体でおおむねどのぐらいのお金をかけて、どのぐらいの成果が得られているか。特にこれは過去にどのように医療費がふえてきていて、それによってどのようなアウトカムが得られているか。例えば製造年数の延長であるとか、そういうものをもとに1QALY相当のものが幾らぐらいであるかというのを算出して、これを基準にしたらいいのではないかということであります。これは、まだ具体的にどこかの国で使われているということではありませんが、イギリスの学者を中心にこのようなものが提案をされているということでございます。これは、現行の機会費用よりも効率的な技術を選択することによって、医療システム全体が効率化していくだろうという考え方に基づくものであります。
もう一つが、過去の医療技術のものではあるのですけれども、個別の医療技術での費用対効果の結果です。特にICER、増分費用効果比の結果に基づいて、これを目安にすればいいのではないかということです。研究者の意見としては、過去によく論文等で参考にされているものとしては、慢性腎不全の患者に対する人工透析の費用対効果とか、冠動脈バイパス手術の費用対効果のようなものが参照されている場合がある、というのが文献で出てまいります。
次のスライドに参ります。
このような機会費用とか、現在償還されている医療水準をもとにという考え方なのですけれども、利点といたしましては機会費用という考え方をすれば、定められた予算の中でより効率的な医療システムを目指すということでは、これまでどのぐらいのお金を使って、どのぐらいの成果を得られるかということをもとにしますので、合理的な考え方と見ることができます。あるいは既に償還されている個別の技術と比べるということであれば、個別の技術がこうなのでということで明確に比較ができるというメリットはあります。
ただ、課題は幾つもございまして、まず、機会費用については日本で測定された数値が存在をいたしません。私どもの調べた範囲では、今、イギリスの研究者が提案している段階のものというのが一つ存在するだけだと思います。それから、既に償還されている個別の技術を参考にする場合には、その技術の水準が適切であるかどうかというのが必ずしも学術的には明確ではない。当然ですが、さらに技術によって増分費用効果比、ICERは異なってまいりますので今度はどの技術を基準とすべきか。人工透析なのか冠動脈バイパス手術なのかといった判断が必要になってまいりまして、これは明確にどの技術を参考にすべきという根拠がないというものでございます。
8枚目になりますけれども、次の方法は「(B)支払い意思額(社会的な合意を含む)」という方法につきましては、部会でもお話を既にさせていただいておりますので省略をさせていただきますが、健康上のメリットを得るために幾ら払ってもいいか。これを社会的な合意といいますのは、公的医療保険制度でどのぐらい払っているのかという聞き方も含んだものであります。
これの利点といたしましては、特に社会的な立場で公的な医療保障制度等でどのぐらい払っていいと思うかという意味では、公的医療費の水準に関して、保険料等を負担している方々にある種の社会的コンセンサスとして示すことができるというのがメリットだと思います。
一方で、既に御指摘も幾つかありますけれども、課題もありまして、支払い意思額は調査方法、質問方法とか提示する金額、あるいは獲得できる健康状態、特にQALYに換算したものによって結果が影響を受けやすいということです。あと、社会的な立場で聞く意思額、社会保険等から幾ら支払ってもいいかという聞き方をすると、回答者の判断根拠の妥当性の評価が難しい。つまり、自分の懐が痛まないのであればたくさん払ってもいいのではないかという答えもあり得るという指摘がありました。
また一方で、自分の手術等をするということで、個人の支払い意思額を聞くという方法も、支払い意思額の調査方法としてはありますけれども、これは、特に所得水準により強い影響を受けるというのが研究的にはわかっております。また、これは全額自己負担で医療を受けますという設定での質問になりますので、我が国のように公的医療保険制度の制度設計の根拠として用いるのは、必ずしも適切ではないのではないかという御指摘がございました。
9枚目、次の考え方としては、一人当たりGDP等の生産性の指標を用いるというものです。GDPは御案内のとおり国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額でございます。これを人口で割ったものが一人当たりGDPで、内閣府の発表では、2016年に425万円というのが我が国の状況でございます。これを用いる考え方はWHOなどが提唱しておりまして、特にWHOは一人当たりGDPの1~3倍程度を目安としたらどうかということを示しております。1倍以下だったら非常に費用対効果がいいですし、3倍程度までは許容範囲ではないかという考え方でございます。
これについては、下の10枚目のスライドですけれども、まず、利点としては、一人当たりGDPという指標は一人当たりの生産性というものと対応する考え方でありますので、こういうものを使う一つの目安というのはあり得るのではないかということです。さらに数値はもちろん毎年明確に出てまいりますし、場合によっては毎年変更する対応も可能という明確な指標になります
ただ、これも課題があるという御指摘が多数ございまして、WHOの提案するような根拠、特にGDPの3倍程度までいいではないかというところの根拠は全く示されておりませんのではっきりしていない状況であります。さらにこの文書は主に開発途上国向けに提唱されているような値、今後医療保険制度、医療提供体制を整備していくような国に向けてという捉え方が一般にできると思いますので、先進国の状況を見る限り3倍程度まで費用対効果がいいとして判断している国は見当たらないという状況でございます。
次がもう一つのほうで、諸外国における基準値を見たらどうだろうということで、一応公表されているもの、あとは調査等、実際に現地のこういう評価をしている団体なり、政府なりにヒアリングをした結果で把握しているものを御紹介しておきます。
イギリスでは、2万~3万ポンドというのは従来からお伝えをしているものでありますけれども、抗がん剤等、特に終末期の医療にかかわるようなものに関しては5万ポンド程度まで許容しているような状況になっています。その他を書いてあるのですけれども、各国でそれなりに目安は設定しているということです。根拠として、明確にこれですと言っているところはほぼないのですけれども、参考にしているものとして一人当たりGDPを挙げているところ、あるいはオランダについては後で改めて御紹介しますが、支払い意思額等も参考にしているものという国がございます。スロバキアはちょっと変わっていまして、一人当たりの給与を参考にしているというところでございます。
これをGDP換算したのが12枚目の下のスライドになります。上の表ですと、各国通貨で書いておりますのでなかなか横に比較は困難ではないかということで、先ほどの経済指標であります一人当たりGDP比で見るということをやっています。そうしますと、ここで示されている基準額というのはこの表のとおりで、おおむね1~2倍程度ではないかなというところでございます。
そういうことで、このような4つの方法について基準の検討を検討会ではしてまいりまして、それぞれ利点もありますけれども、課題もあるということでございます。これについてまとめたのが13枚目のスライドになります。
検討会の意見といたしましては、諸外国の状況を見ても単一の調査結果は支払い意思額でも、あるいは一人当たりGDPでも、あるいは機会費用等の考え方であっても、単一の調査結果等から基準値を設定することは妥当ではないのではないか。そこで設定の方法としては、これまでに挙げたようなさまざまな項目を総合的に勘案して、決定していただくのが適当であると考えます。特に現行の500万円、特に価格調整を始めるところですが、以下の観点から現時点では、学術的にも正当化できる水準ではないかという御意見が多くありました。
まず、機会費用とか現在の医療ということで考えますと、論文によっては人工透析等を参照しているというのがありましたが、この治療費はおおむね500万円程度になる。あるいは過去の研究でありますが、支払い意思額の調査も500万円程度の平均値を示しております。
さらに、国民の所得、一人当たりGDPで見ましても、今、500万円といいますと一人当たりGDPの1.18倍ということですので、諸外国のGDP対比のものと見てもほぼ妥当な値ではないかということです。
(D)が諸外国のものと比べても、ほぼ同水準ではないかということでございます。ただし、検討会で御意見がありましたのはイギリスやオランダ、スウェーデンのように、抗がん剤でありますとか難病薬等のものについては、別に基準を設けているという国も存在をいたします。この辺は今後議論が必要なのではないかという意見がございました。
この中でも、これまで諸外国の例として御紹介する機会がなかったので、今回オランダについて基準値を出しておりましたので御紹介をしたいと思います。(参考1)とあります14枚目なのですけれども、オランダでは、2015年に費用対効果評価を担当しているZINという組織がレポートを出しております。基準値を2万ユーロから8万ユーロ、これは重症度に応じてということであるのですけれども、そういう基準を出しています。
どうやって2万ユーロとか8万ユーロを出しているかということなのですが、15枚目のスライドがこの文書の中で示されております、基準値の設定根拠の主な内容ということであります。以前のものでは一人当たりGDPというものを目安にしていましたけれども、2015年に出されたものの中では支払い意思額の調査、これはオランダの国内でやられている調査で他者、自分以外の者が健康上のメリットを得るためにはどのぐらいとか、自分自身の場合には幾らぐらい的なものの結果を参照している。あるいは機会費用についてはオランダ国内での推計はないということなのですが、先ほどイギリスの研究者がやっていると言いましたけれども、そこでの御提案を受けて、こういうものを参考にして決めているということです。オランダでは一人当たりGDP、支払い意思額等の結果をもとに総合的に基準値を設定しているということで、我が国でも同様の考え方が妥当ではないかというのが検討会の意見でございます。
最後に16枚目のところですけれども、昨年来の課題になっております国として新たな支払い意思額調査を実施することについてでありますけれども、検討会の結論といたしましては、以下の理由により、現時点で国として基準値の設定を目的とした新たな調査を実施する必要性は低いのではないかと考えております。
理由といいますのは、一つは先ほど申し上げましたが、支払い意思額は調査方法によって結果の影響を受けやすいことなので、単独の調査に頼るというのは危険があるかもしれないということです。
支払い意思額については、基準額の設定に当たり一つの参考情報にはなり得ますけれども、現時点では、費用対効果評価制度における基準値を設定するためにどのような方法が最も適しているかについての知見が十分に存在をしていないのではないか。つまり、どういう方にどういう聞き方をすればいいかというのは、まだ検討が必要なのではないかということです。
それから調査目的について、明確に薬価や医療材料等の価格調整に用いるということを宣言した上で、回答を求める場合には、回答にバイアスが生じる可能性も想定がされる。つまり、制度的に有利と国民が考える方向に答えるようなこともあり得るのではないか。
基準値については、社会・経済状況の変動に伴い見直すことも必要と考えられますけれども、近年、社会・経済状況についての大きな変動は認められないのではないかということで、次の(参考2)のスライドをごらんいただきたいのですが、検討会でも名目GDPの変化でありますとか、消費者物価指数、CPIでありますとか、賃金水準等の比較を行いました。以前に試行的導入で設定したもとになっている支払い意思額調査は2007年にやっている調査ですけれども、2017年の水準と比べてもこれらの指標は大きく変化していないということから、過去の研究を参考にして、試行的導入の段階で設定されている値については、それを使うことが妥当ではないかという結論でございました。
私からは以上でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
参考人、ありがとうございました。
引き続き企画官からお願いします。
どうぞ。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
それでは、費薬材-3の資料にお戻りいただきまして、2ページ目の下段でございます<検討の視点>。
今回検討している基準値でございますが、国民皆保険の我が国におきまして、さまざまな背景を有する国民、幅広い疾患に関係するものでございます。その設定に当たって、さまざまな要素を総合的に考慮することが求められるのではないか。
その上で、<論点>を3点記載してございます。
さまざまな要素を総合的に勘案して決定するのが適当ではないか。また、現在償還されている医療技術の水準等を踏まえまして、試行的導入で採用した基準値についてどう考えるか。そして、現時点で国として基準値の設定を目的とした新たな調査を実施することについてどう考えるかという3点でございます。
本件につきましては、前回の合同部会におきましても、最優先での検討が必要とされているところでございます。本日は、これらの論点につきまして方針を決定していただきたいと思ってございますので、御議論のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明に関して、御質問等がありましたらお願いします。
松本純一委員、お願いします。
○松本純一委員
この支払い意思額調査については、従来から我々は反対してきましたことは、その記載のとおりであることは御承知だと思います。また、費薬材-3別紙の16枚目のスライドを見ていただきますと、有識者の方々による検討の結果、調査の信頼性などの観点から現時点で、国として、基準値の設定を目的として実施する必要性が低い、ということは我々の主張に沿うものであります。
今回の検討結果について、<論点>の3番目の○になるわけですけれども、この支払い意思額調査につきましては、2号側としてこういう結論に達したことは異論のないところでありますが、これについて<論点>として書かれておりますけれども、事務局としてはどのように考えておられるのかをお聞きしたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
企画官、よろしくお願いします。
○古元医療課企画官
御質問の件でございます。
調査の信頼性等の観点から現時点で、国として基準値の設定を目的とした新たな調査を実施する必要性は低いとの御指摘、有識者の検討の結果でございます。この内容につきましては事務局としても理解のできるところでございます。ただし、有識者の方々によるこうした検討結果も参考にしていただきながら、中医協委員の皆様に今後の方針について決定していただきたいと考えてございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
よろしいでしょうか。
ほかに御意見はありますか。
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
ありがとうございます。
この費薬材-3の2ページの最後の<論点>のところでございますけれども、これを踏まえて、3点ほど意見を申し上げたいと思います。
まず1点目でございますけれども、この価格調整に用いる基準値の考え方並びにその試行的導入での基準値の妥当性については、今、有識者の先生から御説明いただきました別紙について、先生方の提言では、基準値の考え方においては13ページにございますけれども、単一の調査結果などで設定するのではなくて、科学的な観点からは主に4つの項目を中心にさまざまな項目での検証並びにデータを総合的に勘案して決定することが適当だということで、過去の支払い意思額調査の結果、英国基準を参考にした試行的導入の500万及び1,000万/QALYの基準値水準は、昨今の社会・経済情勢の変化を踏まえても一定の妥当性、有効性がある、並びに学術的にも正当化できる水準であるという検討結果が提言されているのは御案内のとおりです。
私としては、検討資料の17ページ、「(参考2)社会・経済状況の変化について」のデータのグラフがございますけれども、右下のグラフの実質賃金の折れ線の漸減傾向についてはやや気になるところではございますが、結果に特に異論を挟むまでの材料でもないのかもしれません。そういうことからすれば、いずれにしても、この提言をもとにした2ページに戻りますけれども、<論点>の国としての基準値の設定を目的とした新たな支払い意思額調査の実施の必要性は低い。また、各要素を総合的に勘案して決定することが適当ではないかという方向性については理解をしたいと思っております。
一方で、今回の基準値の水準、試行的導入の際の500万、1,000万が今後、将来にわたって妥当性を有するという保証は何もございませんし、検討資料にもありましたけれども、諸外国を見ましても費用対効果評価のあり方や基準値において確たるものがあるわけでもない。まだ発展途上だというふうにも考えます。
そこで、2点目の意見でございますけれども、今後の費用対効果評価の制度化の運用方向性については、諸外国の動静も踏まえながら価格調整に係る基準値の水準については定期的に検証し、妥当性、有効性の確認をしつつ、この費用対効果評価制度の高度化を図っていく必要があると考えておりますし、当然ながら社会・経済情勢や医療保険制度、診療報酬の内容等々を取り巻く環境が大きく変動した場合には、支払い意思額調査の必要性の有無も含めて基準値のあり方のみならず、価格調整のあり方についても再度検証、検討していく必要があるのだろうと考えております。
最後に3点目でございますけれども、今回は中医協として、費用対効果評価の制度化に用いるための国としての支払い意思額調査を行わないという方向性は十分理解をいたしましたが、別の次元で、例えば今、福田先生が所属されております国立保健医療科学院などでの調査研究として行うということが否定されるものではないと思っておりますし、公的医療支出水準に関する社会的コンセンサスにおけるある種の調査、研究ということでの、アカデミアの分野での学術研究であれば、該当者にバイアスが生じるというリスクも低減されるのではないかと思いますし、実際に行っていただくことで、調査方法のデザインなどの新たな手法や発見なども期待されるのではないかと考える次第です。そういう意味では、この費用対効果における将来的な調査研究として、ぜひアカデミアの分野で積極的な取り組みをお願いしたいと思っています。
以上です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
そのほかにはどうでしょうか。
宮近委員、どうぞ。
○宮近委員
私も、吉森委員と同じような観点から意見を述べさせていただきたいと思います。
資料の費薬材-3別紙では、有識者の検討結果として、現行の基準値、1QALY当たり500万あるいは1,000万という数値が現時点で一定の妥当性があるとされております。こうしたことを踏まえて、引き続き現行の基準を用いることについては、2018年度中に費用対効果評価制度に関する議論の結論を確実に得ることを優先するといった観点からも、当面の対応としてはよろしいのではないかと思います。
ただ、先ほど吉森委員もおっしゃっていましたけれども、現行の基準が適切なものであるかどうか、今後の社会・経済状況の変化等に照らして、継続的に検証、見直しをしていく必要があろうかと思います。その際、さまざまな項目を総合的に勘案して決定することが妥当という有識者の皆さんの見解はそのとおりだと思われますので、一つの視点として支払い意思額調査の結果を用いることも有用であろうかと思います。その観点から、先行の調査から一定期間が経過しているため、厚労省におかれましては、今後の費用対効果評価制度への活用も見据えて、学術的な研究を含めて当該分野の知見をしっかりと積み重ねていただきたいと思います。
以上、意見です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
そしたら、幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
私も支払い意思額調査については、事務局の御提案にありましたとおり正確性の観点やバイアスがかかる懸念等々を鑑みて、実施する必要性は低いということについては同意させていただきます。
支払い意思額調査を実施せずにどうやって基準値を設定していくかが非常に重要になると思います。今日は有識者の先生が3名いらっしゃるのでお聞きしたいのですが、日本以外の国、例えばイギリス、オランダはある程度幅を持たせた形で基準値を設定していて、しかも、これは基準値というよりも、福田先生のご説明の中で推奨値という言葉で表現されていたかと思うのですが、それに比べて日本は試行的導入においては500万、1,000万という決定的な数値で設定され、諸外国を参考にしているようで、日本独自のやり方ではないかと思います。これから本格的導入に向けて基準値の設定を議論するに当たって、今までのとおり決め打ちで、医療機器も医薬品も一つの500万、1,000万という決め方をしていくのか。それとも、まだ議論がなされていないのかもしれないですが、諸外国のようにあくまで推奨値というある程度フレキシブルな形、あるいは、重篤な疾病については違った基準を設けるべきなのかというところについて、もしお考え等があればお聞かせいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○荒井費用対効果評価専門部会長
福田参考人、いいですか。
○福田参考人
ありがとうございます。
諸外国と日本に関しても、諸外国を参考に議論するときに話題になりました。あくまでも今回は基準値として議論させていただいたのは、費用対効果の分析結果として、ICER、増分費用効果比などに費用対効果はよいのか悪いのかというあたりを判断する目安とする値という意味での基準値ということでございます。
この基準値をどう使って、その後の意思決定をしていくかというのは諸外国と日本とは違う状況にあると思っています。例えば諸外国では、イギリスの場合ですと、主にそれをNHSという医療保障制度のもとで推奨するかしないかという判断に使いますので、そこと日本のような価格調整に使うのは少し違ってくるだろうということは議論がございました。イギリスを例に話をしておりますが、イギリスの中でも2万~3万ポンドという幅があったり、あるいは5万ポンドという少し重症なといいますか、特に終末期の延命に貢献するような治療に関しては基準を変えている。このような考え方については価格調整をする我が国においても、そういうものは検討する余地があるのではないかという意見はございました。そのような状況です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
わかりました。これからの議論で事務局にお願いなのですが、基準値は、今は500万、1,000万と一定となっていますが、この価格調整のあり方と基準値の設定は一緒になって議論していくべきだと思います。基準値を設定するにあたっては、価格調整のあり方をどうしていくかということも含めて検討していく必要がありますので、基準値を先に決めてしまった後に、価格調整のあり方を議論していくというのはちょっと違うやり方だと思います。その点を考慮して、今後の議論を展開させていただきたいと思います。これは意見でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
松本純一委員、お願いします。
○松本純一委員
この別紙のところで言えば、8枚目のスライドにありますように、支払い意思額調査は公的医療保険制度の制度設計の根拠に用いるのは適当でないというのは、そのとおりであろうと思います。
13枚目のスライドにありますように、いろいろな項目を総合的に勘案して決定するという意味での調査というのも全く否定するものではないのですけれども、どのような質問をするか、どのような答えを導き出すかといいますか、イエス、ノーで答えられるような質問でないと、バイアスがかかるなどいろいろなこともあると思いますし、非常に難しいと思います。ですから、ぜひそういうときには項目も含めてなのですけれども、支払い意思額調査をする、費用対効果を評価して、むしろ議論もそうなのですが、今までずっと支払い意思額調査の議論をしてきました。これは中医協の時間を考えたら相当に費用対効果が悪いのではないかと思いますので、その辺も含めて今後検討していただきたいと思います。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ほかにいかがでしょうか。
専門委員、どうぞ。
○上出専門委員
専門委員として、一つだけコメントさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
先ほどの幸野委員の御質問に対する福田参考人の御回答、またディスカッションの中で、重篤な疾患について別の基準値を設けるべきかどうかという点がございました。本日の資料の3別紙の13ページの一番下のところにイギリス、オランダ、スウェーデンの事例が示されております。御存じのようにがんの治療におきましては、生存期間を延長する一方でQOLの大きな改善がなかなか得られない場合が多く、QALY当たりの費用が大きくなってしまう傾向がございます。そういったこともあって、これらの国ではこのような別の基準が設定されているものと理解をしておりますし、有識者のディスカッションの中でも検討の必要性が指摘されているということでございますので、ぜひ今後の中医協での議論におきましても、この点を御議論いただければと考えています。
○荒井費用対効果評価専門部会長
今まで幾つかの議論をいただいたわけですけれども、事務局として特に何かありますでしょうか。
どうぞ、企画官。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
これまでの御意見のやり取りを踏まえますと、本日の中医協といたしまして、現時点では国として、基準値の設定を目的とした新たな支払い意思額調査は実施しないこと、また、試行的導入で設定した基準値については、正当化できる水準であることの2点が確認されたと理解をしてございます。
以上でございます。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。ほかに特に御意見はないでしょうか。
中村委員、どうぞ。
○中村薬価専門部会長
今後その基準値を変える可能性はまだあると理解しているのですが、ぜひ専門の先生方に調べていただきたいと思っているのは、海外で基準値を変えた例があるのか、あるいは変える場合にはどのように変えているのか、あるいはどういった基準で変えているのかということです。これらの情報は、我々にとっても非常に参考になるのではないかと思います。
以上です。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ほかにはよろしいでしょうか。
そうしましたら、本件については本日の議論を踏まえまして、現時点では国として基準値の設定を目的とした新たな支払い意思額調査を実施しないという方針であること、また、試行的導入で設定した基準値については、正当化できる水準であることが確認されました。こういうことでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
それでは、事務局におかれましては、そのように進めていただきますようお願いします。
次に「費用対効果評価の試行的導入に関する取組について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので説明をお願いします。
企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
それでは、費薬材-4をごらんください。「費用対効果評価の試行的導入に関する取組について」でございます。
費用対効果評価の試行的導入におきましては、既収載品13品目に加えまして、新規収載品についても費用対効果評価の対象としてございます。こちらにつきましては、保険収載に先立ち、保険適用希望書の提出とあわせて中医協ガイドラインに可能な範囲で沿った分析結果の提出を求めてございます。本日は、試行的導入における新規収載品に関する取り組みについて現状を御報告申し上げたいと思います。
2ページ目をごらんください。現在までに医薬品2品目並びに医療機器2品目が該当いたしまして、全ての品目について企業から企業分析が提出されております。また、現在再分析を実施している状況でございます。企業によるデータにつきましては、可能な範囲で薬価基準収載希望書、または保険適用希望書の提出時の提出を認めておりましたが、実際にそのタイミングで提出がされたものはうち1品目でございました。また、これらの品目につきましては、企業において一定の加算を希望したものという選定基準に該当いたしまして選定されたものでありますが、これらのうち保険適用に当たり、実際に加算が認められた品目は2品目でございました。
「3.今後の対応(案)」。3ページ目でございます。
試行的導入におきまして評価対象となりました、先ほど申し上げた4品目につきましては、引き続き再分析を実施いたします。また、専門組織において総合的評価を行いまして、評価結果を費用対効果評価専門部会に御報告申し上げたいと思います。また、これらの分析評価の結果につきましては、今後の制度化に関する検討にも活用させていただきたい。また、制度化に関する検討につきましては今年度中に行うこととしておりますため、今後この制度化に関する検討を目的とした新たな品目の選定は行わないこととしたいと考えております。
資料の説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明に関して、御質問等がありましたらお願いします。特にほかに御意見はないですか。
御意見がないようでしたら、本件については本日の御意見を踏まえ、事務局から提案のあった方針で進めることとしてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○荒井費用対効果評価専門部会長
ありがとうございました。
それでは、事務局におかれましては、そのように進めていただきますようお願いいたします。
本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますのでよろしくお願いします。
それでは、本日の合同部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
 

 

(了)
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