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2017年11月22日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第140回議事録

○日時

平成29年11月22日(水)9:18~11:29

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

中村洋部会長 野口晴子部会長代理 関ふ佐子委員 田辺国昭委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 宮近清文委員
松本純一委員 今村聡委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
村井泰介専門委員 平野秀之専門委員 上出厚志専門委員
<参考人>
池田参考人
<事務局>
鈴木保険局長 渡辺審議官 伊原審議官 迫井医療課長 古元医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○ 薬価制度の抜本改革について

○議事

 

 

○中村部会長
ただいまより第140回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
まずは本日の委員の出欠状況について御報告します。本日は全員が御出席です。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○中村部会長
それでは、議事に入らせていただきます。今回は「薬価制度の抜本改革について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
薬剤管理官でございます。それでは、資料の御説明させていただきます。
まず、薬-1でございます。今回の「薬価制度の抜本改革について(案)」の要点を文章として取りまとめたものでございます。説明は薬-2のポンチ絵で行わせていただきたいと思います。
薬-2をごらんください。「薬価制度の抜本改革骨子とりまとめに向けて(案)」でございます。
2~4コマ目は、昨年末の薬価制度の抜本改革に向けた基本方針の概要と本文になります。
5コマ目につきましては、ことしの6月9日に閣議決定された骨太の方針の薬価制度の抜本改革に係る内容の部分の文章でございます。
6コマ目、薬価制度の抜本改革につきましては、ことしの当初から議論を重ねてまいりました、その経緯についてまとめてございます。
具体的には、8コマ目から「効能追加等に伴う市場拡大への対応」の内容となっております。
9コマ目は「効能追加等に伴う市場拡大への対応」で、通常、効能追加等により市場が拡大した場合、2年に1回の薬価改定の際に、拡大率に応じて薬価を引き下げることで、市場拡大再算定などの必要な対応を行っている状況であります。その中で、昨年、オプジーボにつきましては、予想販売額が急激に拡大ということで、国民負担や医療保険財政に与える影響が懸念されたということで、緊急的に薬価を50%引き下げるという措置を行ったということでございます。こういった事例を踏まえまして、2年に1回の改定を待たずに、迅速かつ機動的に薬価を見直す仕組みの導入が必要ということであります。
そこで、効能追加等がなされた医薬品について、一定規模以上の市場拡大があった場合には、新薬収載の機会は年4回ありますので、それを最大限活用して薬価を見直すことが昨年末の基本方針にも盛り込まれているということでございます。
そのやり方でありますけれども、通常の2年に1回の市場拡大再算定は、薬価調査があるということで、その結果を踏まえて実施するということでございますが、年4回やるとなりますと、市場規模をどういったもので確認するかということが必要になります。これについては、NDBを活用することによって把握したいと考えております。実際にNDBからデータ抽出を行う医薬品を一定程度特定しませんと、作業が非現実的なものになるということで、データ抽出を行う医薬品の2つの分類を挙げております。
1つは「効能追加等がなされた医薬品」についてはデータ抽出を行っていく。さらに、効能追加等がなされていなくても、収載時に2年度目の販売予想額が原価計算の場合100億円、あるいは類似薬効比較方式の場合150億円以上とされたものについては、発売当初から当初予測を超えて大幅に市場が拡大する可能性もあるということで、そういったものについても追っていきたいと考えているわけでございます。こうしたものをNDBを確認することにより市場規模を追っていきますが、その際に、現行の市場拡大再算定の要件に該当するものについては、現行の算式に従い再算定を行うということです。ただ、四半期ごとの薬価再算定は、医療機関、薬局、卸、製薬企業に大きな負担がかかるということで、一定程度市場規模の大きなものとして、年間販売額350億円を超える医薬品を対象としたいと考えております。
あわせて、用法用量変化再算定についても、新薬収載の機会(年4回)を活用したいと考えております。
11コマ目は、350億円を超えるものに対して四半期の再算定は年間販売額350億円を超える医薬品を対象としたいと申し上げましたが、その根拠となる部分でございます。過去10年間の市場拡大再算定の対象品目を実際のその時点の年間販売額で並べまして、ちょうど品目数として真ん中あたりが350億円超でありまして、さらに、350億円超をその時点の年間販売額予想で積算してみると、総売り上げの4分の3を捕捉できるものでございまして、こういった観点で一定程度の売上額ということで、年4回の再算定の際には350億円超のものを対象としたいという理由となっております。
12コマ目は、四半期再算定のスケジュールのイメージでございます。NDBからデータを抽出すると申し上げました。例えば、12月診療分についてのデータを抽出するために2カ月半程度の時間がかかります。データを抽出して、実際の要件に該当するものがある場合には、それについての再算定を行うこととして、薬価算定組織に諮り、最終的には中医協にお諮りして、薬価の見直しを決定するという形にしたいと思っております。
その後、在庫などの問題がありますので、2~3カ月を経て施行というスケジュールを組みたい。それを12月診療分から3月診療分、6月診療分、9月診療分という形でやりたいということですけれども、2年に1回の薬価調査が9月前後にある可能性がありますので、そこについては薬価調査のデータをもって通常の再算定を行いたいと考えています。
13コマ目以降は、「毎年薬価調査・毎年薬価改定」でございます。これまで、市場実勢価格に基づく薬価改定は2年に1度、全医薬品を対象として実施しています。昨年末の基本方針におきまして、全品の薬価調査を行って、価格乖離の大きなものについては薬価改定を行うという方針がまとまっていたところでございます。
そこで15コマ目でございます。薬価調査の対象範囲といたしましては、2年に1度の薬価改定の間の年度を薬価改定年度と呼ばせていただきますが、これにおいて全ての医薬品卸から大手事業者を含め、調査対象を抽出して、全品目の薬価調査を実施することとし、その結果に基づき薬価を改定するということでございます。薬価改定年度における薬価調査の対象範囲などにつきましては、後ほどもう少し詳しく御説明をさせていただくことになります。
対象品目の範囲でございますけれども、平成33年度、2021年度に向けてということですが、これはどういうことかと申しますと、※にありますように、平成31年につきましては消費税率の引き上げが予定されておりまして、全品目の薬価改定が行われます。したがいまして、来年平成30年、さらに31年、32年と3年続けて全品目の薬価改定が行われる見込みでございまして、薬価改定年度の最初の年は平成33年度でございますので、平成33年度に向けてということで、安定的な医薬品流通が確保されるよう、国が主導して単品単価契約、早期妥結、一次売差マイナス是正等を積極的に推進する。流通改善に取り組むことにより、薬価調査が適切に実施される環境整備を図りつつ、国民負担軽減の観点から、できる限り広くすることが適当であるということでございます。
さらに、平成30~32年度までの3年間連続しまして、全品目の薬価改定が行われることから、この間の市場実勢価格の推移、薬価差の状況、医薬品卸・医療機関・薬局等の経営への影響等を把握した上で、平成32年中にこれらを総合的に勘案して、具体的な範囲を設定したいと考えております。
16コマ目「新薬創出等加算の見直し」でございます。
17コマ目を見ていただきますとおり、現行制度は新薬創出等加算の対象となった品目は、後発品上市または収載15年後の最初の薬価改定までの間、薬価引き下げを猶予としております。要件につきましては、企業要件と品目要件がありまして、企業要件につきましては、厚労省からの医薬品開発の要請等に応じていることでございます。こうしたものについては、乖離率が全医薬品の平均以下である全ての新薬を対象としているというのが現行の新薬創出等加算でございます。
課題といたしましては、企業要件さえ満たせば事実上全ての新薬が対象となる。そのため、革新性の低い医薬品も薬価が維持されることになる。さらに、乖離率が平均以下という品目要件があるので、価格が高どまりしているという指摘もある状況でございました。
したがって、改革の方向性につきましては18コマ目以降でございます。基本的に新薬創出等加算制度の機能をしっかり強化したいという趣旨でございますけれども、品目要件といたしましては、真に有効な医薬品を適切に見きわめてイノベーションを評価し、研究開発投資の促進を図るという観点で、対象品目について真ん中の表に掲げたものを対象としたいと考えております。
一つは希少疾病用医薬品、一つは開発公募品、一つは加算適用品、最後に新規作用機序医薬品としております。新規作用機序医薬品の中には革新性・有用性という観点で評価すべきもの、必ずしもそうとは言えないものの両方があるということで、一定の基準を設けて振り分けをしたいと考えているところでございます。乖離率が平均以下という品目要件については撤廃したいと思います。
19コマ目は、先ほど申し上げました新規作用機序医薬品についての革新性・有用性に係る基準についてです。それについては3項目の観点で基準を設けたいと思っております。
1つは、新規作用機序によりまして、既存治療で効果不十分な疾患に有効性を示したものであること。さらに、新規作用機序により、既存治療に対して比較試験により優越性を示したものであること。3つ目としては新規作用機序により認められた効能を有する他の医薬品が存在しないことという観点で基準を設けたいと考えているところでございます。
さらに、新規作用機序医薬品の収載から1年以内に収載された薬理作用類似薬、新規作用機序医薬品から3番手以内、したがって1年以内に出てきた2番手、3番手ということでございますが、こういったものについては、当該新規作用機序医薬品が加算適用品であって、有用性と革新性の程度が当該新規作用機序医薬品と同程度と認められる場合に限り、新薬創出等加算の対象としたいと考えます。
20コマ目、企業要件・企業指標についてでございます。これまでも未承認薬・適応外薬の解消に取り組むために、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議に基づきまして、厚生労働省から開発要請したものに対して適切に対応しない企業については、これまでどおり新薬創出等加算の対象からは除外したいと考えております。それに加えまして、製薬企業がさらなる革新的新薬開発とかドラッグ・ラグ解消に取り組むインセンティブとするために、革新的新薬の開発やドラッグ・ラグ解消などの実績・取り組みについて指標を設定いたしまして、指標の達成度・充足度に応じて加算にめり張りをつけたいと考えております。
さらに、医療系ベンチャーにつきましては、そうした実績・取り組みは限られるという状況はやむを得ないと思われますが、一方で、革新的新薬創出の重要な役割を果たすことを期待されることもあるので、企業指標にかかわらず一定の評価をしたいと考えております。
その具体的内容が21コマ目でございます。企業指標といたしましては、真ん中の表にA-1と書いてありますが、国内試験(日本を含む国際共同試験を含む)のPhase 2以降の実施数を指標としたいと考えております。
実際は、新薬創出等加算の品目要件を新たに見直しますので、それに該当する医薬品を持つ企業を並べまして、それぞれの企業について、今申し上げた国内試験の実施数が幾らあるかを調べます。それを多い順から並べまして、上位25%につきましては4pt、真ん中の50%につきましては2ptという形で点数づけをしたいと考えています。新薬収載実績につきましても、過去5年でございますけれども、同様の形でポイントをつけたいと考えています。
さらに、ドラッグ・ラグ解消の取り組み・実績といった視点で、開発公募品については、開発着手数過去5年あるいは承認取得数過去5年という形で、1品目について2ptずつ付与する。さらに、世界に先駆けた新薬の開発品目数ということで、これも過去5年でございますが、実際に先駆け審査指定制度がありますので、その指定数ということで1品目について2ptをつけたいと思っております。
それぞれの企業についてポイントがつけられて、多い順からずらっと並べまして、上位5%未満を加算係数1、最低点数のところは加算係数0.8といたしまして、その他は0.9としたいと考えております。医療系ベンチャーにつきましては、実際の実績、取り組みは限られることを考慮して、企業規模などの一定の条件を満たす場合には区分2にしたいと考えてございます。
上の四角囲みをごらんいただきますと、そうしたことを30年度から実施したいと考えておりますが、初めてこうした考え方を導入しますので、区分1と3の範囲ですとか、加算係数の差による企業間の格差は限定的なものとしたい。今後においても、革新的新薬開発とかドラッグ・ラグの解消の取り組み・実績を評価するものとして適切かどうかは、検証をしっかり行った上で、次回以降の改定への見直し・反映を目指したいと考えております。
22コマ目ですが、今度は加算額の上限という観点でございます。平均乖離率基準の撤廃によりまして、乖離が大きければ大きいほど新薬創出等加算が大きいことになるということで、加算額に上限を設けることにいたします。平均乖離率以下につきましては、平均乖離率から2%を引いた0.8掛けを用いるとしたいと思いますし、平均乖離率を超えた場合は、係数の0.8の部分を0.5に厳しくしたいと考えているところでございます。
あと、累積加算の控除時期でございます。今回の見直しにより、新薬創出等加算の対象から外れる品目が一定程度生じます。こうしたものについては、従前の累積加算の控除時期を変更することは、企業の予見性を著しく損ねることになることなどから、これまでの累積加算の控除時期は従来どおり、後発品が上市された後、後発品が上市されない場合は薬価収載後15年経過後としたいと考えております。
制度の位置付けですが、抜本的に見直したということに伴って、その名称を「革新的新薬創出等促進制度」と改めることを含め、制度化を検討したいと思います。
欄外の※でございますけれども、加算額の上限、企業指標に基づく分類方法・加算係数等については、一定の財政調整を加えることがあり得ることをお示ししております。
さらに、23~24コマ目は、説明申し上げたものを図で表現したものでございます。
24コマ目をごらんいただくとおり、今回、加算係数を導入することにより、企業としての取り組みが非常に高いものについては薬価が維持されますけれども、そうではないものに関しては実勢価からは一定程度戻りますが、実際の薬価は少し引き下がる可能性が出てくることになります。
あと、申し上げますと、企業の評価は2年ごとに毎回やりますので、一旦下がったとしても、その次の改定のときに、企業の取り組みとして一番いいと評価された場合には、その薬価で維持される可能性もあり得ることを御承知おきいただきたいと思います。
次に25コマ目「イノベーションの評価」でございます。イノベーションの評価につきましては、原価計算の部分につきまして、革新的な医薬品も含まれ得るにもかかわらず、イノベーションに関する評価につきましては、類似薬効比較方式と比較して薬価全体に対して限定的になっている部分がございました。
これにつきましては、27~28コマ目でございます。実際の加算につきましては、左の点線の枠囲みにありますとおり、類似薬効比較方式に関しては価格全体に加算という形になっております。ただ、類似薬効比較方式でありましても、もともとは原価計算に基づいて薬価が設定されていると思います。こうした中、現行では右半分のところですけれども、原価計算の場合、営業利益のみに補正という形をとっておりますが、今回の見直しにより、価格全体に加算を行うというふうに見直したいという御提案をさせていただいております。
ただし、28コマ目をごらんいただくとわかりますとおり、実際の原価部分の開示度が高い場合には、価格全体の加算をそのまま適用したいと考えますけれども、開示度が低いものについては価格全体に加算した上で加算係数を0.2として掛ける形で、従来の営業利益の補正分と同程度という形にしたいと考えてございます。
29コマ目ですが、見直しに伴いまして、基本的には加算の部分の要件につきましては、類似薬効比較方式の場合のものを準用する形に見直したいということであります。加えて、原価計算方式の場合は、営業利益の部分についてマイナス50%までの減算という考え方もございました。減算の考え方については、引き続き従前のとおりとさせていただきたいという御提案でございます。
30コマ目以降「費用対効果の価格調整(試行的導入)」についてでございます。費用対効果評価による薬価の価格調整の範囲についてどう考えるかということでございます。
これについては32コマ目をごらんください。価格調整の対象としては、類似薬効比較方式と原価計算方式の場合の考え方を分けて書いてあります。
まず、類似薬効比較方式の場合でございますが、実際、1と2の点を考慮した上で、比較薬の1日薬価を下回らないこととして、価格調整の対象は補正加算に相当する部分としたいと考えております。
その理由としては、1として、今回の試行的導入の部分ですけれども、加算を受けている品目を基本として選定されているということで、比較薬に対する臨床的有用性があるものとして、薬価上の加算が行われているということです。
2として、比較薬に対して臨床的有用性等があるとされたにもかかわらず、比較薬の薬価よりも割り込むことは、類似薬効比較方式の考え方を大きく逸脱することになるということで、価格調整の対象は補正加算に相当する部分としたいということであります。
原価計算方式につきましては、製造に要した費用や営業利益等を積み上げて薬価を算定していることから、価格調整の対象範囲は薬価全体とするのですが、試行実施におきましては、営業利益に補正が行われた品目のみを選定しているため、価格調整は営業利益本体と製造総原価の合計額を下回らないこととしたいということでございます。
価格調整の対象部分の特定方法でございます。これも従来の中医協でも御指摘があったところですけれども、再算定とか外国平均価格調整とか市場実勢価格改定などによりまして、収載時の加算部分から変動した品目があるということでございますが、それについては変動額を案分いたしまして、価格調整の対象範囲を特定する形としたいと考えております。
加えて、※の2つ目です。収載時に加算のない品目も対象となっておりますが、これについては、比較薬の収載時の加算割合を適用することとしたいと考えます。
33コマ目が実際の価格調整の計算方法となっております。類似薬効比較方式については加算部分につきまして、1-βということで、下のグラフにある当該品目のICERに基づいて算定されるβを入れまして、1-βが0~0.9になるわけですけれども、それを掛けた上で薬価を出すこととしたい。原価計算のほうは、価格調整の対象は全体といたしますが、そこに収載時の営業利益率を掛け、さらに営業利益補正率プラス1分の営業補正率を掛けたものということで、実際は補正部分になりますけれども、そこに対して0~0.9の係数を掛けるということでございます。
※のところですけれども、企業分析と再分析の結果がおおむね一致しまして、評価結果のICERが一定の幅により示される場合の価格調整につきましては、再分析の値を用いて行いたいと考えます。さらに費用対効果評価につきましては、平成30年改定における再算定などによる算定後の薬価に対して適用することといたしまして、ICERなどにつきましても、これらの再算定による算定後に改めて算出したいと考えます。
34コマ目、比較対照品目(技術)に対し効果が増加し(又は同等であり)、費用が削減される場合(ICERの算出が不可能な品目な場合)の対応でございます。これらにつきましては、条件を設けまして、その条件をいずれも満たすものについては価格の引き上げを行うこととしたいということであります。
条件の1は、比較対照品目(技術)より効果が高いこと、または同等であることが、臨床試験等により示されていること。条件の2としては、比較対照品目(技術)と比べて、全く異なる品目または基本構造や作用原理が異なるなど、一般的な改良の範囲を超えた品目であることという条件をいずれも満たすものについて価格の引き上げの対象としたい。
引き上げ率については最大50%、計算に用いる係数βを1.5とするということ。かつ、引き上げ額は調整前の価格全体の10%を上回らない額としたいと思います。また、これに加え、引き上げ額は比較対照品目(技術)と比べた患者1人当たりの費用削減額の2分の1に相当する額以下とするということで、それぞれの中で一番下になるものについて適用させることになると考えております。あと、倫理的・社会的影響等に関する観点は、価格調整においては考慮しないということであります。
今後の対応として、費用対効果評価の本格実施につきましては、試行的実施において明らかになった技術的課題への対応策を整理した上で、具体的内容等について平成30年度中に結論を得たいと考えます。
35コマ目以降は「長期収載品の薬価等の見直し」でございます。長期収載品に関しましては、一定の期間を経た後の後発品への置きかえ率に応じて特例引き下げを実施しておりますのが現状です。長期収載品の依存からより高い創薬力を持つ産業構造に転換を進めることが基本方針などでも求められている。さらに、メーカーが担う安定供給などの機能や後発医薬品産業の健全な発展・育成に配慮しつつ、後発医薬品の価格帯を集約化していくことが必要ということが課題となっているということでございます。
これに基づきまして、長期収載品の薬価等の見直し改革の方向性ですが、実際のところは42コマ目の全体像を見ながら御説明させていただくのがよろしいかと考えます。
まず、後発品が上市されましてから5年を経過した後に、Z2と言われているものが適用される。現状としては、Z2がずっと続くということでございます。
まず、Z2につきましては、後発品の達成目標が80%に引き上げられたことを受けまして、これまでの後発品の置きかえ率と引き下げ率の関係におきまして、置きかえ率につきましてはそれぞれに10%ずつアップさせまして、通常30%未満で2%引き下げだったところを40%未満とし、上は60%以上80%未満という形で見直しを行うこととしたいということでございます。
Z2に関しては5年までといたしまして、後発品上市から合計10年がたった後につきましては、長期収載品の価格を後発品の価格の2.5倍まで引き下げたいということであります。その中でも、後発品への置きかえ率が80%以上になったものをG1と呼ばせていただいております。そちらにつきましては、長期収載品の価格を2年ごとに0.5倍ずつ引き下げて、6年後には1倍、後発品の価格と同じまでに下げたいということであります。
これに伴いまして、長期収載品の企業に関しては、実際に市場からの撤退を可能としたいと思っておりまして、Z2が終了した後の6月末には撤退可否判断をする。そして、6年後までの増産可能な時期に撤退することにしたいと考えているということであります。
さらに、80%まで置きかえが進んでいないものについては、G2区分ということでございまして、これにつきましては、一定程度ここに属する長期収載品については、販売シェアが大きなもので、特定の企業に極めて大きな影響を受ける、あるいは長期収載品に依存しないビジネスモデルへの転換を求めるということでありまして、10年をかけて引き下げていく形をとりたいと思っています。
さらに、引き下げた後も、長期収載品については市場からの撤退が困難という状況で、長期収載品に課せられた事実上の情報提供義務などを踏まえまして、後発品との一定の価格差を許容したいと考えております。したがいまして、10年の間に2.5~1.5倍まで引き下げたいということであります。
あと、G1、G2に加えまして、Cという区分を設けたいと考えております。ここに対しては、実際の後発品の置きかえ率に応じましてZ2と同じ基準での引き下げを行うということでありますけれども、実際にG2とCのどちらか低い引き下げ率になるような形で引き下げを行っていく形をとりたいと考えてございます。
後発品については、後発品が上市されてから12年たった時点で、原則としては1価格帯に集約する形にしたいと思います。ただ、G1区分におきましては、先発品が撤退する場合がございます。したがいまして、先発品が80%まで置きかわってはおりますが、20%弱は先発品が担っていたということで、そこに対して後発品メーカーに増産をしていただかなければならないということになります。そこに対して、増産に対応していただける企業とそうでない企業の品目で、2価格帯を設定したいと考えているということでございます。
あとは、G2に一旦行きましても、途中の時点で80%以上ということになれば、基本的にはG1へ移行するということですとか、あるいはG1の区分に分類された長期収載品につきましては、後発品による増産体制が整備される、増産対応がしっかりできるという場合にあっては、6年間をたたずして長期収載品市場から撤退できることとしたいということもございます。
もう一つ加えて、バイオ医薬品につきましては、G1、G2の対象からは除くこととしたいと考えておりまして、Cの対象には入れるという形で対応したいと考えてございます。
41コマ目につきましては、実際にG1区分に分類されて、長期収載品が撤退する場合のスキームを示させていただいてございます。
43コマ目「長期収載品の薬価等の見直し」で、平成30年度における円滑実施措置でございます。後発品が上市されてから10年が経過したものについては2.5倍まで引き下げますので、個別の品目で見たところ、実際にその時点の薬価から50%を超える引き下げ率になるものもあるということで、そういった品目については最大引き下げ率を50%としたいとともに、企業によってはG1、G2、Cによる年間販売額の影響額を医療用医薬品の総売り上げに対する割合という観点で影響率と見ますと、5%を超える企業もあるということで、そこに対しては円滑実施措置ということで、5%を超える場合については一定程度の引き下げの緩和を行うという形の措置を講じたいと考えているということであります。
44コマ目、「外国平均価格調整の見直し」でございます。従来の指摘から、45~46コマ目にありますとおり、米国、英国、フランス、ドイツの4カ国の価格を参照しているわけですけれども、米国につきましては、企業の小売価格が自由価格ということで不適切ではないか。一方で、米国は世界最大の創薬国かつ製薬市場であって、米国を参照国から除くことは妥当ではないとする意見もあったということで、これらを踏まえまして、米国で参照する価格は公的医療保険制度メディケア、メディケイドにおいて採用されている価格表であるASP及びNADACを参照したいということでございます。
これにあわせまして、外国平均価格調整を行う新薬の範囲といたしましては、原価計算方式により算定される新薬と、薬理作用類似薬が存在せずに類似薬効比較方式により算定される新薬に対しては、外国平均価格調整を行うこととしたいと思いますが、その他の類似薬効比較方式につきましては、薬理作用類似薬があるということで、公正な市場競争を確保するという観点で、外国平均価格調整を適用しないこととしたいということでございます。
次に47コマ目、薬価収載後の外国平均価格調整ということで、世界に先駆けて日本で薬価収載された医薬品は、当然ですけれども、参照する外国価格がないということで、1~4全てに該当する医薬品については、収載後の薬価改定に際においても1回に限り、外国平均価格調整を行うこととしたいということでございます。
条件といたしましては、原薬・製剤を輸入しているものとか、原価計算方式により算定されたものなどとしたいと考えます。価格調整につきましては、再算定や新薬創出等加算による価格調整を受けた価格に対して行うことにしたいと考えます。
さらに、収載後に外国平均価格調整による引き上げを行った場合には、患者負担が急激に増加するおそれがあることなどから、薬価改定時の外国平均価格調整においては、引き上げ調整は行わないこととしたいということであります。
最高価格の除外規定です。外国価格のうち、最高価格が最低価格の3倍を上回る場合は、最高価格を除外する形を現在とっております。これについてもASP・NADACの価格については、これまでのRed Bookの価格のおおむね80%程度であることなどから、3倍を上回る場合を2.5倍を上回る場合に最高価格を除外する形で見直したいと考えております。
48コマ目はNADAC、ASPについてでございます。下のところにありますけれども、掲載品目数としては、Red Bookに比べますと、参照すべき掲載品目数としては少ないですが、その中で価格比としては0.77、80%程度であるということなどを示しております。
次に49コマ目「基礎的医薬品の拡充」でございます。28年改定で基礎的医薬品という仕組みを導入したということでございまして、それに対しては一定の条件がございますということで、ここに対して不採算品再算定の対象になったものが28年の対象の考え方ですけれども、それに極めて近い状況が継続しているものについてどう考えるかというようなことなどが課題としてあった。
それについては51コマ目をごらんいただきますと、不採算に近い分野として過去3回の乖離率が連続で2%以下であった薬効分類を対象に加えたいと考えております。
28年改定で対象になりました薬効分類600番台または800番台の麻薬・抗生物質以外でも、前回対象となっていないところで麻薬・抗生物質に係るものもあるということで、例えば抗生物質による点眼剤などについても、今回対象に加えたいと考えています。
52コマ目「後発医薬品の薬価等の見直し」です。
53コマ目にあるとおり、課題としては後発品の価格が海外と比べて高いのではないかなどのほか、近年増加しているオーソライズド・ジェネリック(AG)に対して薬価制度が対応できていないのではないかといった課題がございます。
そこは54コマ目をごらんいただきますと、オーソライズド・ジェネリックにつきましては、先発メーカーの特許実施権を受けるなどによりまして、通常の後発品より半年早く承認され、収載される場合などがあるということです。下の図を見ていただきますと、6月の時点で先発の0.5掛けで収載される。その後、12月にその他のジェネリックが10品目以上収載されて、その場合は0.4掛けで収載されるといった事態があるということなのです。
55コマ目を見ていただきますとわかるとおり、イメージとしてはAGの部分が0.5掛けで100円、0.4掛けでその他のジェネリックが80円だった場合に、6月にAGが収載されて、9月の薬価調査を受けて10%引き下がったとしますと、その他のジェネリックについては、その結果を受けて80円から10%引き下げということになるわけなのですけれども、それについて同じ価格帯になる場合につきましては、先発の90円の部分を72円まで引き下げて価格帯を集約する形にしたいということでございます。
56コマ目、その他後発医薬品等の薬価の見直しです。使用割合の80%達成目標の設定などでさらなる増産体制の整備が必要であるとか、あるいは毎年薬価調査や薬価改定の導入などが予定される。さらには、長期収載品の薬価の見直し状況など、環境が大きく変化することがございますので、新規の後発品の薬価については現行制度を維持することとしたい。今後の制度改正の影響等を踏まえて、次回以降の改定で検討を行うこととしたいということでございます。
バイオシミラーの初収載の薬価についても、研究開発支援方策等の拡充によってその推進を図ることをしておりますので、開発インセンティブを損なわないためにも、現行制度を維持したいということでございます。
57コマ目にございますけれども、1つ目の○は既に御説明申し上げたところであります。2つ目の○は、毎年改定のときの対応でございます。
それにつきましては、58コマ目を見ていただきますとわかるとおり、薬価改定年度と言われている間の年におきましては、価格乖離の大きなものを価格改定の対象とすることで、同じ価格帯の中でも改定対象になるものと改定対象にならないものが出てくることがございます。したがいまして、そこについては、価格帯1、2に該当するものは価格改定の対象となったものにつきまして、それぞれの加重平均で新たな価格帯を設ける。
価格帯3は統一名でございます。これは価格改定の対象と対象外が混在するのですけれども、それにつきましては全てを加重平均して1価格帯を維持するという形をとりたいと考えております。それにつきまして、一旦5価格帯にはなりますが、次の診療報酬改定年度におきましては再び3価格帯に集約する形で対応したいと考えます。
59コマ目以降は、類似薬効比較方式についてでございます。これにつきましては、61コマ目をごらんいただくとよろしいかと思います。今回の見直しにより、新薬創出等加算の対象外となる品目が出てまいります。そうしたものにつきましては、比較薬が新薬創出等加算の対象であった場合は、維持されている薬価に合わせるのではなく、本来下がるべきだった薬価に合わせる形にしたいと考えております。ただ、比較薬の乖離率が類推されないように、実際には累積された新薬創出加算相当分につきましては、新薬創出等加算を受けた各年度における平均的な新薬創出加算率の合計としたいと考えます。
62コマ目以降は原価計算方式に関してでございます。
63コマ目。原価計算方式におきましては、研究開発費等の一般管理販売費につきましては、業界の平均値を上限とした上で、実際に必要な費用を積算することとしています。課題としては、原価が安くて、研究開発費が高額である場合には、上限によって研究開発費のほとんどが認められないことになって、革新的な医薬品であっても、研究開発費の回収が困難という場合があるということでございます。一部の希少疾病医薬品につきましては、現状でも係数を超える研究開発費等の一般管理販売費を認めている状況はございます。
64コマ目、そこで原価計算方式における革新的医薬品の適正な評価を確保しつつ、算定の透明性を向上させるという観点から、これまでの希少疾病用医薬品のほか、次の要件に該当する医薬品については、研究開発費等の一般管理販売費の上限を引き上げたいということであります。
1つの条件は、原価計算において製品総原価のうち、薬価算定組織で開示可能な部分の割合(開示度)が80%以上で、その妥当性が確認できる。また、製造原価が安いものということで、化学合成品であるという2つの条件を満たすものにしたいと思っております。
その場合の上限としては、希少疾病用医薬品について、係数を超えて研究開発費等の一般管理販売費を認めたものの平均値、直近3年間の部分を考慮して、下がそのグラフになっていますけれども、70%としたいということであります。
65コマ目以降の「薬価算定方式の透明性」につきましては、既に67コマ目にございますとおり、イノベーションの評価における透明性の向上の促進措置ということで、原価計算方式においての開示度に応じた加算率という点ですとか、あるいは今、御説明を申し上げました研究開発費等の一般管理販売費率の取り扱いにおける透明性の向上促進措置といった点で対応したいと考えます。
68コマ目からは「用法用量変化再算定の見直し」でございます。
69コマ目にありますとおり、現行制度の概要としては、従来、薬価収載後に主たる効能・効果に係る用法・用量に変更があった医薬品については、変更前後の1日薬価が同じとなるように再算定(用法用量変化再算定)があったということでございますが、一方で、薬価収載後に主たる効能・効果に変更があって、変更後の効能・効果に係る類似薬がある医薬品については、変更前後の類似薬の薬価・市場規模等の比率に基づきまして、効能変化再算定があったということでございますが、実際、オプジーボの例を挙げさせていただいております。
オプジーボは最初、メラノーマで2mg/kgで3週間隔だったのですが、肺がんが追加されたときに、3mg/kg2週間隔ということで2.25倍になったのですけれども、用法用量変化再算定は主たる効能・効果に係る用法用量が変更になった場合になるので、それではないということで適用対象とならなかったということでございます。
したがいまして、70コマ目にあるとおり、主たる効能・効果が変化して用法用量が変化した医薬品については、一定程度の市場規模の拡大を条件としたいと思いますけれども、用法用量変化再算定の対象としたいと思います。ただ、効能変化再算定がある場合には、そちらを優先したいと思います。市場規模の拡大としては、10倍、100億円超えとなるような場合を対象にしたいということでございます。そうした形で再算定を受けたものにつきまして、それを比較薬としたものがある場合、類似薬としての再算定の対象にしたいということでございます。
71コマ目「医療系ベンチャーの振興のための方策」でございます。
医療系ベンチャーの支援の重要性というのは指摘されておりますが、73コマ目ですけれども、原価計算方式における控除の取扱いという点で少し見直しをしたいと考えます。原価計算方式におきましては、研究開発の査定において、企業が国などから受けた交付金等の額は除くこととしています。一方で、医薬品開発に係る企業向けの交付金などの中には、開発が成功した後に企業に対して得られた売り上げに応じて納付金を求めるものがございます。したがいまして、医療系ベンチャーの振興の観点も踏まえて、開発後に売上高に応じた納付金等を求める交付金等については、原価計算方式における控除の対象から除くこととしたいということでございます。
74コマ目以降「各制度の適用順」です。今回の見直しの御提案に伴いまして、各制度の適用順のイメージを一部見直します。
現行から比較してごらんいただきますと、Z2に対しては新長期収載品の特例引き下げ制度(G1・G2/C)が併存する形になります。
また、新薬創出等加算については、検討ということですけれども、革新的新薬創出等促進制度ということで検討してはどうかという御提案をさせていただいております。
その後、収載後外国平均価格調整、費用対効果評価という新たな価格調整の概念が導入されることを御提案していますので、これが加わるということであります。
76コマ目は「H28年度緊急薬価改定の対象品目の薬価の取扱い」です。
77コマ目、平成28年度には医療保険財政への影響が極めて大きい品目について緊急的に薬価改定を行いました。その際には、再算定の根拠となる年間販売額については、企業の予想を用いていることから、平成30年度薬価改定においては、緊急改定がなかったものとして改めて薬価調査に基づいて改定を実施することとしておりました。
したがいまして、平成28年度緊急改定の対象となったオプジーボにつきましては、平成30年度薬価改定において、平成29年度の緊急薬価改定がなかったものとして、平成30年度薬価制度改革の内容も踏まえた薬価最低基準に基づきまして改定を受けることとなるということでございます。
私からは以上です。
○三浦経済課長
続きまして、医政局の経済課長でございます。
78コマ目以降、薬価調査の関係あるいは流通改善の関係について御説明申し上げたいと思います。2年に1度、行われております通常の薬価改定の間の年の調査方法に関するお話でございます。
79コマ目であります。現行制度は、2年に1度の通常の薬価改定におきましては、全品目を対象として販売側は全数、購入側、医療機関あるいは薬局に関しましては抽出いたしまして調査客体として調査を実施しているところでございます。これに関しまして、その間の年について、全品目を対象とした大手事業者等に対する調査を行うとされておりますけれども、調査客体の範囲、あるいは懸念事項についてどう対応していくかといったようなことが課題となっております。特に、特定の卸事業者のみを調査客体とする場合に関しましては、例えば取り扱いのない品目が生じてしまう。あるいは取引先が調査対象であるところと調査対象でないところにおいて、購入側が何かしら意図を持って対応をすることがあるのではないかといった懸念も示されているところでございます。また、もちろん極力負担の少ない形で薬価調査を実施したいという思いがあるところが課題かと思います。
したがいまして、改革の方向性でございます。2年に1回行われております薬価調査の間の年の調査方法につきましては、全ての卸業者を対象として、調査客体を抽出した調査を実施することといたしたいと思います。また、抽出の割合につきましては、ほぼ全ての品目が全数調査による乖離率とおおむね一致するような割合を設定したいと思っております。
続きまして「薬価調査の正確性及び調査手法の見直し」に関することでございます。
81コマ目でございます。現行は、先ほど申し上げましたとおり、購入側、加えまして行政職員が実地調査をすることもしております。これに関して、正確性、調査方法をどのように見直しをしていくかという課題になっているところでございます。
改革の方向性でございます。新たな調査データを検証する仕組みといたしまして、購入側調査。現在、実は購入側調査というのは幾らで買いましたというデータは入っているのですけれども、どこから買いましたといったような購入元のデータは取得いたしておりません。
82コマ目にございますけれども、金額ベースで突合するということはできても、取引における突合というのは現在の状況では不可能なものとなっております。
これに関しまして、81ページ上の○でございます。新たな調査データを検証する仕組みといたしまして、購入側調査において販売側データとの個別取引での突合を可能とさせるため、調査票に購入した卸業者(営業所名)を記載する欄を設けたいと思っております。
一方で、記載事項が追加されるということで、購入側の調査負担が大きくなることが懸念されます。このため、調査客体につきましては、規模を現在の半分といたしたいということでございます。
83コマ目であります。調査手法の見直しに関してでございます。これはいささか事務的ではございますけれども、従前、私どもは薬価調査は都道府県を経由した調査をさせていただいておりました。こちらに関してまして、今年度、今回の薬価調査におきましては、去る3月29日の中医協で御了承をいただきまして、都道府県を経由せず、厚労省から直接調査客体に調査票を送る、あるいは回収をするといった手順を踏んだところでございます。これにより今般わかりましたことは、負担の軽減あるいは調査客体自身の調査に対応する時間がふえるといったこと。あるいは、コールセンターを設置することによって、比較的効率的な対応ができたのではないかと思っております。
改革の方向性でございます。今後の薬価調査におきましても、調査の効率性の観点から、都道府県を経由せずに、私ども厚生労働省から調査客体に対しまして調査票の配布・回収を直接行いたいと思っております。
84コマ目以降、公表事項でございます。
85コマ目でございます。現在の公表事項でございますけれども、全体の平均乖離率、後発品の数量割合、投与形態ごとの平均乖離率及び薬価ベースの割合、報告金額が多い薬効分類ごとの平均乖離率、このような事項を公表させていただいているところでございますが、こちらについて公表事項の拡大を検討せよということになっております。
薬価調査の結果でございます。価格情報ということで、企業にとって非常に機密性の高い情報であると考えております。また、取引の実際の主体でございます卸事業者の価格交渉にも影響を与えかねない点についても十分に配慮する必要があるのではないかと思っております。
「改革の方向性」でございます。卸業者等の事業への影響を考慮した上で、現行の公表事項を拡大して薬価調査の結果を公表するということで、追加の公表事項を幾つか挙げております。回収率あるいは妥結率などの医薬品取引に関する事項、医薬品の分類ごとの数量割合、金額割合、あるいは後発品の数量割合といった事項について今後公表してまいりたいと思っております。
最後、86コマ目以降、流通改善に関する事項でございます。
87コマ目をお開きください。現行制度は御案内のとおり、薬価につきましては最終的な償還価格が公定されております一方で、そこに至るまでのメーカーあるいは卸売業といった流通過程におきましては自由価格で取引されております。このような一種特殊な流通を行っております関係上、2つ目の○でございますけれども「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」といった会議体を設けまして、関係団体、ステークホルダー、購入側あるいは販売側、流通の当事者に一堂に会していただきまして御議論いただいております。これまで一次売差マイナスの解消ですとか、未妥結・仮納入の改善、単品単価取引の推進といったような取り組みを行ってきたところでございます。
また、診療報酬上、平成26年の改定におきまして未妥結減算制度を導入していただきまして、未妥結・仮納入の改善について取り組んでいただいたところでございます。さらにこの取り組みを加速する必要があるということで、課題として3点ほど、先ほど申し上げました一次売差マイナス、未妥結・仮納入、単品単価取引に関しましては、未妥結・仮納入は未妥結減産制度の導入によりまして一定程度の改善が見られておりますけれども、その他の2つの事項については、いささか推進がおくれているのではないかといった認識でいるところでございます。
このようなことを踏まえまして、88コマ目、改革の方向性であります。流通改善の取り組みを加速するためには、まずは医薬品メーカー、卸売業者、医療機関、保険薬局が取り組むべきガイドラインを作成し、遵守を求めていくこととし、また、その趣旨・内容を未妥結減産制度に取り入れるなど、診療報酬などにおける対応を検討する。また、保険制度以外の総合的な取り組みといたしまして、バーコード表示の推進ですとか共同配送、メーカー、卸、医療機関との間のモデル契約書の作成等、流通の効率化をさらに進めていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございました。
ただいまの説明に関して、御質問等ありましたらお願いいたします。
松本純一委員、お願いします。
○松本純一委員
幾つか質問を交えながら意見、要望を述べさせていただきます。
まず、効能・効果等に伴う市場拡大の対応でございますが、用法用量変更と効能・効果追加が行われた際に起こる市場規模の大幅な拡大に対応することは、今まで要望してきたことでもあり、歓迎するものであります。
毎年薬価調査・毎年薬価改定についてでありますが、国民負担の軽減につながることから、市場実勢価格に基づく薬価の見直しは理解できるところでありますが、働き方改革も別途進められている中、医療機関を初めとした価格調査に携わる関係者の勤務時間の増大が懸念されるものであります。また、頻回なシステムメンテナンスを行うため、システム管理費の増大につながることも予想されるところであります。価格調査に当たっては、医療機関などの作業負担軽減につながるような調査方法についても引き続き検討をお願いいたします。
続いて、新薬創出等加算の見直しであります。19コマ目のところに「新規作用機序医薬品の収載から1年以内に収載された薬理作用類似薬」を3番手以内とされておりますが、具体的な医薬品の事例を教えていただけるものなら教えていただきたい。また、3番手というのが、薬事承認取得の順番なのか、薬価収載の順番なのかどちらか教えていただきたいと思います。
また、薬-1の2ページ下の2行にございますところを具体化されたのが薬-2の資料だと思いますが、22コマ目、24コマ目にあります制度化を検討することに反対するものではありませんが、具体的な名称を示して改めることを含め検討するとしたことには非常に不快感を覚えます。どのような名称にするのかを含め制度化を検討するとか、名称を含め制度化を検討するというように訂正していただきたいと思います。
費用対効果評価の価格調整でありますが、原価計算方式で価格調整は営業利益本体と製造総原価の合計額を下回らないというのは、27コマ目の図のどこを指しているか、示していただければと思います。
試行的に行われた費用対効果評価の結果に基づいて試行的に価格調整を行うということではありますが、薬価全体に対して調整をすべきではないかと思います。また、34コマ目の安くて効果が高い医薬品あるいは医療機器であれば、私も使いたいと思うものであり、売り上げとして市場で評価されるものではないでしょうか。価格を引き上げる必要はないと考えますが、価格を上げるということであれば、試行の場合に限定してもらいたいと思います。
続いて、長期収載品の薬価等の見直しについてですが、36コマ目。バイオ医薬品をつくることができるということがより高い創薬力を持つことのように読めますが、ソバルディ、ハーボニーなどは化成品であっても画期的な治療薬でありましたので、この辺、少し表現がうまくならないかと思います。
38コマ目です。後発医薬品がある場合には先発医薬品、長期収載品の価格を後発医薬品まで下げるということは賛同いたすものですけれども、なぜ、価格が下げられたことを理由に先発医薬品が市場から撤退できることになるのか。このことについては違和感があります。既にそのような意向を表明している企業、品目があるのであれば、具体的に教えていただきたいと思います。また、ないのであれば、この点については先発医薬品として培ってきた医療に必要な知財を失うことのないよう、国あるいは業界として体制を確保する担保がなければ、現時点では保留とせざるを得ないと思います。有効性、安全性の情報管理をどのように考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。
外国平均価格調整の見直しですが、アメリカの企業希望小売価格を参照する外国平均価格から外すこと、適用する新薬の範囲を見直すことについては評価するものであります。ただ一方、アメリカの価格としてASP及びNADACを新たに参照することについては、それらに収載された価格の状況が不明なため、実際に運用してみて、Red Bookと同じようなことが起こらないか心配しており、経過を見る必要があると思われます。あとで検証が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
後発医薬品の薬価等の見直しについてです。AGの見直しもジェネリックの見直しも、12コマ目にありましたスケジュールにのっとって行うものなのでしょうか。後発医薬品は新規収載品とは違うということであれば、後発医薬品の薬価も用法用量の変更や効能・効果の追加に関して、年4回の薬価収載に合わせて確認することもできると思いますし、年2回の後発医薬品の収載に合わせて見直すこともあり得るのではないでしょうか。この辺のお考えを聞かせていただければと思います。
以上です。
○中村部会長
御意見もありましたが、質問を薬剤管理官のほうからお願いします。
○中山薬剤管理官
お答えしたいと思います。
まず、最初に質問としていただきましたのは、19コマ目かと思います。2番手、3番手というものでどんなものがあるのかということでございます。今、確認できるところでは、最近の例でいきますと、レパーサというお薬がありました。それについては2番手で1年以内に出てきたもので、プラルエントというものがありまして、そういったものがここに該当する例として挙げられるという事実がございます。
さらに、薬事承認なのか収載順なのかという点につきましては、収載順という形で考えております。
22コマ目の名称と制度化という点に関して、厳しい御意見をいただきました。名称についても唐突感があるのではないかという御指摘かと思います。今回、御説明したとおりでございますけれども、約8年、試行ということで新薬創出加算制度を継続してまいりました。その点をいろいろ検証して、抜本的にやり方を見直したということで、制度化したいということと、今回の見直しが革新性、有用性といった観点を踏まえて品目を絞るということですので、そういったことにつながる制度としたいということで、名称としても「革新的新薬創出等促進」という言葉を入れさせていただいたというのが我々の御提案でございました。いろいろ御指摘いただきましたので、名前と制度化という点については、引き続き御相談させていただきながら進めていきたいと思うところであります。
32コマ目の営業利益本体と製造総原価の合計額を下回らないところがどこに該当するかという御指摘だったと思います。
27コマ目をごらんいただきますと、原価計算における製造総原価と呼ばれるものについては、製品製造原価の部分と研究開発費等の一般管理販売費という部分ですので、まずそこと、営業利益本体と申し上げているのは、緑色で示した部分ということですので、ここの部分を下回らないという意味として記載されているということであります。
42コマ目の撤退の部分です。先発で撤退する意向がある品目があるのかという御指摘です。具体的な品目はまだ承知しておりません。ただ、新薬、長期収載メーカーの中ではそういった制度ができればそういった形で対応したい企業があるということも一方で承知しているという状況かと思います。
実際に撤退した場合に、新薬、長期収載メーカーの蓄積したさまざまな安全性等の情報をしっかり活用するようにしなければいけないのではないかという御指摘かと思います。これは非常に大切な指摘だと思います。今回、枠組みとして進めるに当たりまして、撤退可能の判断をして、その後、そういった情報を含め、どう移行させていくのかといった運用の仕方については、しっかり詰めた上でこの枠組みを進めていきたいと考えます。
さらに、外国価格調整、ASP、NADACに関しての検証が必要ではないかという御指摘です。確かに、これまで参照したことのない価格表を参照するということで、平均的な価格差については0.77倍であることをお示しして、さらに最低と最高の価格の3倍を超えたものは、除外から2.5倍に下げることで大丈夫だと我々は考えて御提案しているものでございます。その結果については、ある程度蓄積した上で検証してみることは当然必要になってくると思います。そういったことはしっかりやっていきたいと思っています。
あと、後発の薬価の部分について、年4回の機会といった頻回な見直しというような御指摘をいただいたのだろうと思いますけれども、基本的には後発の薬価につきましても、薬価調査に基づきまして、その結果を踏まえて薬価改定を行うことが原則になろうかと思いますので、市場が拡大したものについては、そういったものを待つことなく、NDBを活用して見直す仕組みにしたいということでございます。そのような考え方を後発の薬価そのままに当てはめることは難しいと考えております。
以上です。
○中村部会長
松本純一委員、お願いします。
○松本純一委員
ありがとうございます。
ある程度の疑問は氷解いたしました。ただ、22コマ目を見ますと、下の2行のところですけれども、括弧書きで、有用性を入れるかどうかはともかく、「革新的新薬創出等促進制度」という今まで検討してきたことの名称が入っているわけですが、こういう書き方をすると「改めることも含め」ということになると、改めることが既定事実化されているように思うわけです。こうすると、名称は変えることができないのか。ここではっきりと、名称も変えることができるのだと。あるいは、制度化しないということもあるのだと。「検討する」ということですので、その辺のところのお考えを教えていただければ。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
基本的には、御指摘も踏まえまして、引き続き御相談させていただきたいと思います。
○中村部会長
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
まず、きょう広範にわたる薬価制度の抜本的改革骨子のとりまとめということで、事務局にはこの労に感謝を申し上げるとともに敬意を表したいのですが、実際、薬価制度の抜本改革について、これから実質的に第2ラウンドというような意味で議論を深めていくという状況の中で、先週末から全国紙で本日の骨子と非常に似たような形の報道が相当されているわけでございます。
また、まるで決定したかのような記事だと、その報道によってさまざまな情報を目にさせていただいたのですけれども、私として個人的には、昨日委員に資料が開示されて説明があり、きょうの議論に至っているわけでございますが、きょうの説明の中ではその報道については何も触れていただいていないし、個人的な感想として申しわけないのですけれども、そもそも中医協での議論という協議会の位置づけ並びにプロセスそのもの自体をどうお考えなのかというのは非常に危惧しておりまして、遺憾に思っているわけであります。その辺について、事務局はどのようにお考えなのかというのが1点。
そこで、これからまとめていただいた骨子について、ある意味、これは素案だということで、先ほど松本委員からもありましたけれども、いろいろ決めつけているところもややあったりして、議論の深まりの過程がやや抜けている形のまとめということがありますので、そういうことは変更の余地があるということを前提にして細かくコメントをさせていただければと思います。
まず、10コマ目ですが、効能追加等に伴う市場拡大への対応でございます。そもそも効能追加というのは、既収載の医薬品等に対して新たな効能追加がされたときには、その薬価を再算定すべきだと、それを制度化すべきだとまず考えているのですけれども、そこはなく、効能追加で市場拡大をしたときの対応だと。
市場拡大したときの対応に限って申し上げれば、この方向性というのは理解はするところですけれども、データ抽出の範囲の1、2なのですが、1は当然効能追加がされたものを全てカバーするということで理解はできるのですが、2のほうは効能追加ありなしにかかわらずこういうくくりでやろうというのは、既存の市場拡大再算定との整合性をとって整理すべきだろうと思うのです。ここで一緒に整理してしまうということはどういうことなのかというのが1つ、質問であります。
また、範囲の確認のためにNDBを使うということでございますけれども、これは理解はするところですが、NDBというのはそもそもレセプトのデータですし、実際の医薬品の使用から一定の時間ラグが生じる可能性というのは当然あると思うのですが、これについて具体的にどの程度の時間スパンでNDBを切って分析していく予定なのか。細かくて申しわけないのですが、質問をしたいと思います。
次に、22コマ目の新薬創出加算の見直しについてですが、これは対象品目の基準の明確、真に革新性、有用性のあるものに限定するとか、対象企業を新薬開発に関する指標を細かく設定して限定するとか、その達成度、充足度によりめり張りをつけるとか、そういう方向性は賛同したいと思います。
ここで、19コマ目の下のほうにありますけれども、例えば、新薬創出加算の対象の外縁を有用性加算、画期性加算がついた医薬品を比較類似薬として薬価を算定した場合、3番手と書いてありますけれども、そういう品目の取り扱いについて、ここは先ほど松本委員からも意見がございましたが、しっかり明確にしてグレーゾーンを残さないように。といいますのは、製薬企業の予見可能性についても当然影響してくるわけでしょうし、その辺についてはできる限り明確にしておくべきだと思います。
次に、22コマ目の欄外の※についてでございます。これについては、財政調整を加えるケースは具体的にどういうものがあるのか、その辺を教えていただければと思います。上のルールとはまた別の論点だろうと思いますけれども、これはルール化の話ではないと思いますので、どういうケースがあるのか教えていただければありがたいと思います。
次に25コマ目のイノベーションの評価なのですけれども、ここでいう27コマ目にあるような方向性にある革新的医薬品の解釈は、18~19コマ目の新薬創出等加算に書かれておりますことと同じような考え方でいいのかどうか。ここは同等だと考えて、こういうものを革新的医薬品とするのかを教えていただければと思います。
最後ですけれども、42コマ目の長期収載品です。G1、G2のルールとして、後発品の薬価の2.5倍としていますけれども、この根拠並びにそれ以降の各年度の倍率の刻みについて、実勢価格等のデータを見て決められたのか、単に一定の決めとして設定されたのか。この辺を教えていただければありがたいと思います。
加えて、既存の後発品を2.5倍したときに、長期収載品の価格を上回ってしまうケースが当然出てくるのだろうと思いますので、そういう場合はG1、G2も倍率もずっとそうなのだろうと思いますが、上回った場合はCに書いているような補完的なルールで対応していくのか、どう考えたらいいのかを教えていただければと思います。
それと、これは前の議論のときにも申し上げましたけれども、長期収載品を後発品に置きかえるタイムスパンの問題ですが、Z2の置きかえ率を含めて期間10年、並びに今回のG1、G2の期間を含めると10年で20年。そうすると、先発から数えて30年近くたっているということでもありますし、一方で、基礎的医薬品は先発から25年以上を基礎的医薬品に考えるということもありますし、後発品ですと12年たつと同一価格帯になってしまうこともありますので、30年というスパンはどう考えたらいいのか。
後発品の使用割合を80%にするということで、後発品を政府を挙げて使用促進し、より高い創薬力を持つ産業構造に長期収載品依存から転換していこうということを明確にしているわけでありますから、現状を考えれば、スピード感が必要であり、この時間軸については再検討すべきだろうと思います。
以上、意見と質問です。
○中村部会長
幾つか質問がありました。
まずは医療課長、お願いします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
まずは、冒頭の報道に関する御指摘につきまして、私のほうから私どもの考え方を御説明しまして、個別的、技術的な内容につきましては薬剤管理官のほうからとさせていただきます。
報道に関しましては、先般も松本純一委員から似たような御指摘をいただいております。私どものスタンスといたしましては、基本的に中医協のこの場で御審議いただき、結論を得るということを一貫して申し上げてまいりました。
一方で、実態として今回、大部にわたる成案につきましては報道がなされていることを私どもも承知いたしております。薬価の抜本改革は非常に多岐にわたりまして、これまで事務局として今日の成案を得るまでには、言ってみれば霞が関の5号館の中だけでやるということでは決してございませんで、関係者のさまざまな御意見を当然聴取することになります。
個々の報道について、その正否をつまびらかに御指摘することは避けますけれども、そういった過程の中でさまざまな報道がされたものと思います。先般も申し上げましたが、あくまで中医協のこの場で御審議いただき、この場で結論を得るということは一貫してそのように努めておりますし、今後ともそのようにさせていただくということを重ねて申し上げまして御理解を得たいと考えております。
私のほうからは以上でございます。
○中村部会長
細かいところを薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
それぞれ御質問いただいた点などについてお答えしたいと思います。まず、10コマ目の「効能追加等に伴う市場拡大への対応」でございます。基本的にはこうした薬価改定、市場拡大に伴う再算定を行うような場合には、薬価調査に基づくデータでやるというのが基本かと思っております。やはり年4回という形で実施するためには、市場規模を把握するためにはNDBを活用するしかないという結論に至ったということであります。
その中で、NDBを活用するに当たりましても、抽出する品目というのは一定程度制限しなければ、作業として非現実的なものになってしまう状況があるため、データ抽出を行う医薬品については1と2を抽出する医薬品として選びたいということです。
2について、効能追加がなされたものは基本的に全部拾うということですが、それ以外でどういったものを選ぶかといった話として、その場合は市場拡大再算定の対象となるものということで、それを参考にして2年度目の販売予想額が原価計算で100億円とか類似薬効で150億円以上となっているものは、可能性として一定程度以上の市場規模が膨らむ、それを上回る市場規模が拡大する可能性があるというものとして、抽出して見ていこうではないかという考え方に基づいて設定しているということでございます。
NDBを用いたスケジュールのイメージは御説明したのですが、説明が足りなかったのか、御質問の趣旨が違うのかわかりませんけれども、12コマ目に書いてありますとおり、12月の診療分を抽出して、それが一月分になりますので、そこを12倍する形で年間の販売額を予想するという形をとって、それを基準に照らして再算定を行うかどうか判断するということです。
ただ、抽出するには一定の時間がかかるということとか、あるいは手続としてはしっかり薬価算定組織による議論、中医協による議論を経た上で、在庫等の問題がありますから、一定の期間を施行猶予しなければいけないというところがございますので、在庫等の対応に関する施行猶予期間も必要だろうということで、こういった流れで年4回という形で実施していきたいと考えているということでございます。
あと、新薬創出加算の範囲については、グレーゾーンを残さないようにという御指摘もございました。それにつきましては19コマ目にありますとおり、基本的には希少疾病とか開発公募品とか加算適用品というのは自動的にわかります。新規作用機序については、選別をする形になるわけですけれども、そこについては19コマ目に設けた基準をしっかり明確にしておりますので、そういったものに照らしてグレーなる部分がないようにしっかり対応をしていきたいと思います。
22コマ目、欄外の財政調整の部分でございます。基本的には新薬創出加算につきましては中医協で御議論いただきまして、その結果を踏まえて見直し案をとりまとめるということとしております。その上で、今回の新薬創出等加算の見直しで御説明しましたとおり、事務的に品目の精査、まさに新規作用機序医薬品の見きわめ、品目の精査とか、あと、企業指標ということで、ポイントをつけて個々の企業の分類を行うといった作業を事務的に行います。最終的に詳細な対象品目と企業の分類も固まっていくことになります。
一方で、来年度予算編成に向けまして、年末の段階で見直しによる影響を見込む必要も出てくるということもございます。可能な限り詳細な対象品目や個々の企業分類の確定と、年末段階で見込む影響とがずれないように、事務的に作業を進めるということでありますけれども、一定のずれが生じた場合には、その範囲で財政調整を行う可能性があるということでございます。あくまで恣意的に財政影響をふやしたり減らしたりということではなく、対象品目などを精査し、確定させていく段階でのずれが生じた場合に、財政調整を行うということで記載させていただいております。
次に、27コマ目の革新的医薬品でございます。新薬創出等加算における革新性、有用性というのは、新薬創出加算の対象となるかどうかという点での言葉でございます。イノベーションの評価につきましては、原価計算の中には革新的医薬品が含まれ得るということですので、そういったものに対してのイノベーションの評価を適正に行いたいという意味での革新的医薬品という言葉を使わせていただいているということでございます。
さらに、42コマ目の引き下げのところだと思いますけれども、長期収載品の引き下げにおきまして、2.5倍とした根拠でございます。これにつきましては、後発品が出てから10年経過したものについて、後発品と比べてどれぐらいの乖離があるのかということを並べまして、非正規分布なのですけれども、おおむね75パーセンタイル以上が2.5倍になるということで、そうしたことも参考に2.5倍までということを入れたというのが一つの根拠となっております。
あと、下げの期間につきましては、今回、2.5倍ということで、大きな見直しをいたします。したがいまして、G1区分におきましては、後発品への置きかえという観点での後発品の増産などの対応が必要であると、あるいはG2におきましても、説明させていただきましたけれども、長期収載メーカーがある程度新薬創出という観点の方向性に転換させていくとか、さまざまな企業としての考え方などがあると思いますので、そこに対して対応が可能なように、一定程度の期間をかけて緩やかに引き下げていくこととさせていただいたということかと思います。
あと、C区分につきましては、G2区分になったとしても、既に最初2.5倍までに引き下げると申し上げましたが、それよりもさらに下がっているような場合も当然あり得ます。したがいまして、そういったものについては、Z2基準というものを照らして、G2で段階的に引き下げていく部分と、通常の後発品の置きかえ率に基づく引き下げと比較して、それの低いほうを薬価として採用するという考え方をしていきたいということでございます。
2.5倍まで引き下げた以降までの期間、Z2までに至る期間の5年とZ2の5年という期間の10年、さらに新薬が出てからという点ではもっと長い期間ということになろうかと思いますけれども、そこに対する考え方でございますが、後発品が出てから一定程度急激に長期収載品の薬価を引き下げるということをいたしますと、後発品が出てこなくなるおそれがある。あるいは、長期収載品の価格が高どまりするおそれがあるなどの点がございます。スペインなどでもそういった事例があるということはここでも御紹介させていただいた記憶がございます。
そういったことも踏まえまして、一定程度後発品への置きかえ期間を確保しながら、後発品も価格下げということで段階的に下げていくことをやりながら、長期収載品も含めた安定供給といった観点を全部実現していく。長期収載品も引き下げていくことを全て実現するためには、ぎりぎりこうしたやり方なのではないかという考え方に基づいて御提案させていただいているところでございます。
説明は以上です。
○中村部会長
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
ありがとうございます。
私の理解が足らないのか、12コマ目の各四半期で、12月診療分ですと3月に抽出して見直しというのは、個別にそれぞれ見て、一月分を12倍にしてやっていくという考え方ということでいいのですか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
そのとおりかと思います。抽出する医薬品として選ばれたものについて、その月分の実際の使用量を抽出して、それに薬価を掛け合わせることによって実際の売り上げの市場規模を推計し、12倍することによって年間に当てはめてどうなるかということで、その結果をもって基準に照らしていくことを考えています。
○中村部会長
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
個別の医薬品について,効能追加が医薬品でされたときの時期というのは余り勘案しないのですか。例えば、12月だと11月ぐらいに追加された分については、それはまたその次の3月でカバーするという考え方でいいわけですか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
NDBから抽出すべき医薬品にフラグを立てて、実際の診療分のデータを得られるまでの事務手続がどの程度かというのは、正確な情報を持ち合わせておりませんが、抽出できる最短の期間の診療分からしっかりデータを抽出して追いかけていくということで間違いないことになります。効能追加の後です。
○中村部会長
吉森委員、お願いします。
○吉森委員
それですと、データをとるところによって、最初に効能追加されて、それが使用されるのに1年かかるのか、2年かかるのかということもあるのでしょうし、その辺をどう考えるかという整理をしておく必要があるのだろうと思います。
そこをルール化するのかどうかはわかりませんけれども、データのとり方によっては使用量の把握はかなり違ってくるし、12倍するわけですから、1年間ずっと押しなべて全部チェックするわけではないわけですよね。NDBでやるわけですから。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
医薬品が効能追加されて一気に広がるのかどうかということは、確かにさまざまなケースがあると思います。仮に、急速に広がった場合については、3カ月おきにデータを抽出して見ていくので、そういったものはしっかり捕捉できます。一方で、ある程度時間をかけて伸びていくものも含め、2年に1回の通常の薬価改定に基づく全品の改定というのは引き続き行うわけですから、そういったもので市場拡大に対してはいろいろなケースに対応できるようにしっかりやっていきたいということであります。
○中村部会長
今村委員、お願いします。
○今村委員
3点、御質問と意見があるので、申しわけないのですけれども、一つ一つ個別にやらせていただきたいと思います。
まず、21ページの新薬等創出加算の見直しということで、企業指標をポイント化して客観性を持たせるというのは非常によい取り組みだと思っております。A、B、Cと分類してありますが、これはA、B、C全てを満たさなくても、例えば一つだけでもいいということなのでしょうか。まず、質問です。
○中村部会長
一つずつですね。
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
現在のこの考え方については、まず、新薬創出加算の対象となる品目を持つということが、この指標を当てはめるかどうかの前提条件としてあるのです。そうした品目を持っている企業を対象としまして、A、B、Cに該当するかどうかということでポイントづけをするということで考えておりまして、Aにおいても4pt、2pt、0ptとありますし、BとCについても該当する品目がない企業もあり得るということは事実かと思います。
○今村委員
ありがとうございました。
ということは、例えばAならAだけで対象になる企業もあるとすると、今後は四角の中にありますように、まず、こういうことでスタートをして、そして実態を見ながら検証を行って、今後また改めていくということなので、それはそれで私もよろしいと思います。右側の分類方法で、グラデーションをつけるということで、いいと思うのですけれども、現在、企業の取り組みに相当差があることを前提にすると、実際、どんなポイントになるかわからないのですが、分類方法を見ると、最低点数が0.8の掛け算になる。
仮に、20ptになりました。1の分類は上位5%未満が例えば80ptになりましたというと、22ptから上位のところが5%が70ptになるとすると、68ptまで物すごく幅広い、企業としての取り組みに大きな差があるけれども、そこは全部0.9になると見えるので、せっかくグラデーションをつけるのであれば、これは感想というか今後実態を見ていけばいいと思うのですけれども、もう少しグラデーションがあってもいいのかなというのが意見です。
細かいことで大変恐縮ですけれども、27ページですが、価格全体に加算するということで、現行、これは参考でも今も左側は類似薬効比較方式で加算前価格に補正加算をしているのですが、一番右側にありますように、消費税がありますけれども、もともと非課税になっていて、医療機関や薬局等の負担をなくすために価格に補填をするということで消費税を入れ込んでいると思うのですが、こういった補填に対して加算の原資に掛け算するという形になっていて、金額ベースで計算すると同じような形になるのかもしれませんけれども、見え方として消費税という税金に対して補正加算の原資にするというのは違和感があると思います。見え方の問題なのですけれども、この辺についてはいかがなのでしょうか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
御指摘ありがとうございます。
今回の御提案としては、緑の部分ということで、製品製造原価から消費税までの全体に加算という形でお見せしているということになりますが、仮に、製品製造原価、研究開発費等、あと営業利益、流通経費に対して加算を行って、その上で消費税を掛けるとしても、両者とも金額としては同じ形になりますので、確かに見せ方としては流通経費までで掛けて最後に消費税という形にするという考え方が正しいのかもしれません。
○今村委員
ありがとうございました。
実質上の金額が変わらないという御説明なので、実態には何の影響もないかもしれないのですけれども、理解をしていただく上で見せ方は大事かなと思ったので申し上げました。
最後、75ページです。これは今回、先ほど吉森委員にも御指摘いただいたように、事務局が大変努力していただいて、全体像を初めて見せていただいて、初めてという言い方はおかしいのですけれども、なるほどということで理解できました。
費用対効果評価については、現行試行での取り組みですけれども、本格導入の話もありますが、その際にも、下の欄にあるところに費用対効果を入れるという理解でよろしいかどうか。本格的導入の話はこれから行われると思いますけれども、それも含めて制度として書かれているのかどうかを教えてください。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
費用対効果評価を薬価の調整に反映させるという前提に立てば、本格実施以降の場合もこういった考え方になると考えています。
○今村委員
ありがとうございます。
最後に、22コマ目。松本純一委員からも御質問があって、今回、「革新的新薬創出等促進制度」という名前に改めることを含めて検討するということで、管理官のほうからそこも含めて今後議論させていただきたいということでございましたので、それはそれでよろしいかと思います。
75コマ目もそうなのですけれども、今回、薬価制度の抜本改革になります。だから、全体を制度として議論している。下の絵を見ていただいても、これは意見として申し上げますけれども、制度というのは全体を言っているわけですね。ほかの薬価にかかわるさまざまな加算であるとか算定評価であるとか、名称を見ていただいても、個別のものを制度と呼んでいるなんてことはないわけです。それを、部分だけを見て制度という名称をつけるのはいかがなものかと私は思います。
今まで試行的な取り組みとしてやってきたものを、先ほど御説明のように、そうではなくて、本格的に実施するかどうかは議論だと思いますけれども、名称としてこういう形で制度と名づけることについては、ここで意見として反対と申し上げておきたいと思います。
以上です。
○中村部会長
安部委員、お願いします。
○安部委員
1点要望というか、意見であります。
54~55コマ目の「後発医薬品の薬価等の見直し」というところで、AGが先駆けて収載された時期的な例外が起きたときに対応するような仕組みとして、指数処理の事例が載っています。これはこれで一定の理解はできるのですが、この仕組み全体を見ると、AGについては薬価調査に基づいた乖離率以上に下がります。GE1、2~10というのは、薬価調査を経ないで指数を掛けて値段を下げる仕組みになっているわけであります。後発医薬品が上市されましたら、なるべく早く、薬局、薬剤師から患者の皆さんに正しい情報提供をして、選択をしていただいて、使用促進につなげることが求められているわけでありますが、こういう例外的な事例を示して、AGは実際の乖離率以上に下がるというイメージが、ほかのジェネリックについては薬価の乖離率実績を経ないで下がってしまうというイメージだけ先行してしまうと、後発医薬品の使用推進に後ろ髪を引くようなことになりかねないと思います。これは非常にレアな、時期的なケースのみに起きるということについては、今後、十分に現場が理解できるように御説明いただければと思っています。時期によってはこういうことは起きないわけでありますので、誤解が起きないように説明をよろしくお願いします。
○中村部会長
ほかにはいかがでしょう。
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
主に今まで御意見が出なかった点について、何点か質問と意見を述べたいと思います。
まず、新薬創出等加算の見直しについてです。28年度では、対象品目が800程度あり、約90社が対象になっていたと思うのですが、新基準を適用した場合の対象品目数や区分1に該当する企業数について、お教えいただきたいと思います。
次に、資料薬-2の27~28コマ目のイノベーションの評価についてです。もともと原価計算方式においては、薬価算定の根拠の明確化や薬価算定プロセスの透明性の向上に向けて検討するということが基本方針だったと思うのですが、いつの間にか、イノベーションの適正な評価の確保に向けて加算をどうするかという方向に変わり、製品総原価の開示度に応じて加算率に差を設けるという方向が示されました。この見直しによって透明性は向上すると思うのですが、最も高い基準でも80%以上の開示度となっているため、20%は開示されないまま、薬価全体に加算されるという考え方はいかがなものかと思います。
また、原価計算方式について今でも疑問に思うのは、営業利益率の高さです。営業利益率は、政策投資銀行のデータハンドブックから一部上場の製薬企業34社の3カ年平均を用いるので、非常に優秀な企業の営業利益率であり、高いということを業界ヒアリングで指摘したところ、製薬会社では研究開発費の占める割合が高いので、致し方ないという回答がありました。
研究開発費については、これまでの上限は45.9%でしたが、開示度の高い医薬品については上限を70%まで引き上げるということに見直されるため、研究開発費もかなり高く計上できる仕組みに変わると思います。原価計算方式では、こういったものの積み上げによって算出されるため、現状よりもかなり高い価格の医薬品が上市されるのではないかということが非常に懸念されます。研究開発費の上限を見直すのであれば、営業利益率についても、上場34社だけではなく製薬企業全般の利益率を用いるといった見直しを今後検討していく必要があるのではないかと思います。これについても、事務局の見解を聞かせていただければと思います。
次に42コマ目の長期収載品については、吉森委員がおっしゃったように、スピード感がないのではないかと思います。中でも最初のZ2適用までの期間が5年というのは少し長いのではないかと思います。最低でも2年間ぐらいで後発医薬品への置換率を見て、Z2を適用するというのでも良いのではないかと思いますが、これも見解をお聞かせいただきたいと思います。
34コマ目の費用対効果評価の価格調整については、どの部会で発言すべきかわからないのですが、確認したいことがございます。これまで私は費用対効果評価で価格を引き上げることについては反対してきましたが、34コマ目を見ると、条件○1と○2の両方を満たす場合には価格を引き上げるということと、引上げについては保険財政に影響を与えない範囲で行うというように記載されています。
ここで確認ですが、費用対効果評価でICERが算出できない場合、つまり費用が削減されるものについては、価格を引き上げても医療費削減の効果を考慮すると、保険財政への影響は限定的であり、条件に合致したものを全て対象にするのではなく、個別に判断するということであれば、価格の引き上げについて賛同したいと思います。このような理解で良いのかをお聞かせいただきたいと思います。
最後に、50コマ目の基礎的医薬品の拡充についてです。平成28年度は、約600品目が基礎的医薬品に指定されましたが、今回の見直しによって対象品目が拡大されます。28年度に対象となった品目を見ると、後発医薬品がある長期収載品が基礎的医薬品に指定されている場合もあり、こういった品目が基礎的医薬品であって良いのかと疑問に思います。後発医薬品がある長期収載品は、後発医薬品に置きかわっていくべきものではないのか、なぜ基礎的医薬品として指定しなければいけないのかを教えていただきたいと思います。また、基礎的医薬品に指定されることによって、最も販売額が高い品目の価格となるので、価格の低い後発医薬品まで価格が引き上げられています。患者にとっては、今まで低価格で購入していた後発医薬品が基礎的医薬品に指定されることによって価格が上がるというのは、矛盾のある制度だと思うので、後発医薬品のある長期収載品は対象としないということも検討していただきたいと思います。
○中村部会長
御質問と見解並びに確認をしてほしいということが多々あったかと思います。
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
御説明いたします。費用対の価格引き上げの部分については、古元企画官から答えさせていただきたいと思います。その他についてお答えします。
まず、新薬創出等加算の対象でございますけれども、御説明申し上げたとおり、薬理作用の一番手となるようなものについて品目の精査を今後していかなければいけない状況がございます。現在のところ、該当する品目数がどの程度になるかという点については、この場で申し上げられるようなデータは持ち合わせておりません。G1のほうも御指摘いただいたかもしれませんが、そこについても基本的に同様でございます。
27~28コマ目の原価計算の開示度の大きいものについての全体の加算の部分でございます。今回の御提案のような形で製品製造原価の開示度が高くて、補正加算部分が高くなるものがどの程度あるかということで、これは振り返ったデータがございます。過去3年間におきまして、国内製造ということで申し上げますと2品目になります。したがって、かなり限定的な適用となると考えているところであります。
実際のところ、ブラックボックスになるところについての加算はいかがなものかということですが、開示度が低いものについては、係数を掛けることによって事実上、営業利益補正分と変わらない程度にしかならないということですし、一方で、80%以上という開示度にしている部分の20%部分などは、包装の委託などでやむを得ない場合もあるという事情も考慮している結果であるということでございます。
あと、営業利益率の高さと一般管理費の関係ということで、63コマ目です。実際のところ、研究開発費等の一般管理販売費につきましては、現在、製造原価と一般管理販売費と営業利益を分母にいたしまして、分子において研究開発費等の一般管理販売費にしたときに、0.459以下であるという上限を設定しているということで、製造原価が低くて、研究開発費が非常に高い場合には実際にかかった研究開発費が薬価のところに入れられずに切られてしまうという点があるので、非常に原価が安くて研究開発費が高額である場合については、一定程度係数を見直してもいいのではないかということであります。営業利益の高さという点とはまた別の視点での御提案であるということでございます。
42コマ目も、最初の5年というのは長いのではないかという御指摘もいただきました。吉森委員からも御指摘いただいた点で、私のお答えはそこまでなのでございますけれども、基本的には後発品への置きかえという点と、長期収載品、後発品の価格引き下げを両立しつつ、安定供給という観点も全て両立するということでぎりぎり踏み込んだ見直しであるということが我々の御提案でございます。
基礎的医薬品でございますけれども、品目数がふえるのではないかという御指摘です。また、後発品があるようなものまでも対象にするのはおかしいのではないかという御指摘でした。これは前回も御指摘いただきまして、理解できないというお答えをいただいているのですけれども、基礎的医薬品の基本的な考え方は、50コマ目にありますように、収載25年以上、かつ成分・銘柄ごとのいずれの乖離率も平均以下とか、一般的なガイドラインに記載されて広く医療機関で使用されているといった前提条件がございまして、そういったものの薬価がどんどん引き下がっていくことについて一定の下支えをするという観点で、成分として選んで、それと同成分のものについては一定の条件を満たすものは同じ価格として薬価を維持する仕組みでございます。したがいまして、そういう基本的な考え方に該当するものについては、厳しくしっかり精査していきたいと思いますけれども、該当する成分については後発も含めて対象とするという考え方で検討していきたいと思っています。
○中村部会長
古元企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
34コマ目、費用対効果評価に基づく引き上げについて確認をということでございます。御指摘いただきましたとおり、引き上げの幅につきましては、比較対照品目、技術との関係も含めまして限定的といたしております。また、対象品目について該当するか否かにつきましては、個別に判断するとしておりますので、御指摘いただいたとおりと御理解いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○中村部会長
よろしいでしょうか。
上出専門委員、お願いします。
○上出専門委員
ありがとうございます。
本日、示されました薬価制度の抜本改革の個別項目に関しまして、業界としての意見という意味では、また改めて業界代表の意見を述べさせていただく機会が設けられるのではないかと理解しております。本日は、専門委員としての受けとめということでコメントをさせていただきたいと思います。
本日の議論の中で、先ほど吉森委員からも、今回の抜本改革の目的の一つとして、我が国の製薬産業を長期収載品に依存するモデルからより高い創薬力を持つ産業構造に転換することも目的であったというコメントがございました。そのような文脈で、新薬創出等加算と長期収載品、後発品並びに基礎的医薬品をセットで議論していこうということについてもこの部会で一定のコンセンサスが得られたのではないかと理解しております。
今回、示されました長期収載品の薬価に関する新たな仕組みでございますが、これは我々業界にとっては非常に大きな変革でございます。恐らく、先発品企業のみならず、後発品企業もかなりの影響を受ける企業が出てくるのではないかと考えております。そういう意味では、今回示されました緩和措置で十分かどうかといったことにつきましてはまた御検討いただきたいと思っておりますが、先ほど申し上げましたような観点で申しますと、こういった方向性というのは我々も否定すべきものではないと理解しております。ただ、それはあくまでも新薬の創出を促進する制度とのセットという前提であり、それらのバランスが非常に重要であると考えております。
本日の資料の18~19コマ目に新薬創出等加算の品目要件が示されております。対象品目を希少疾病用医薬品や加算適用医薬品、そして新規作用機序医薬品の中でも一部のものに絞り込むという内容でございます。新規作用機序医薬品は患者さんに新たな治療の選択肢を提供するものでございますが、一方で開発リスクは高く、企業はリスクをとって開発をするわけでございますが、そのような新薬も対象とならないケースが出てくると理解しました。
また、資料の20コマ目以降には、企業要件の見直し案が示されております。今回の導入に当たっての暫定的な係数と理解しましたが、見直し案では企業要件によって加算率が減算されるということでございますが、95%の企業ではたとえ品目要件に合致した品目であっても薬価は維持されない仕組みであると理解いたしました。そういう意味では、品目要件、企業要件で非常に厳しく縛られる仕組みでございます。このような仕組みが企業の開発意欲を阻害して、結果として患者さんにとって必要な医薬品が提供されない状況を生んでしまわないような措置が必要ではないかと考えております。
薬価維持の制度の対象を新規性に乏しいものは除外するという考え方はもちろんそのとおりかと思いますが、革新的新薬開発の創出を促進する制度として、適切な基準の設定をぜひ御検討いただきたいと考えております。
以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
では、ほかに御質問等がないようでしたら、本件の議論はここまでとさせていただきます。
本日の議論を踏まえまして、次回は業界団体からの薬価制度の抜本改革に関する意見聴取を行いたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○中村部会長
ありがとうございます。
それでは、次回は業界団体の意見聴取の場を設けたいと思います。
本日予定された議題は以上になります。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
 

 

 

 

 

 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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