ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第65回議事録(2023年10月4日)

 
 

2023年10月4日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第65回議事録

○日時

令和5年10月4日(水)薬価専門部会終了後~

 

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター 15F

○出席者

飯塚敏晃部会長 安川文朗部会長代理 小塩隆士委員 笠木映里委員
鳥潟美夏子委員 松本真人委員 高町晃司委員 眞田享委員 鈴木順三委員 末松則子委員
長島公之委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員 森昌平委員
石牟禮武志専門委員 守田恭彦専門委員 前田桂専門委員
<参考人>
福田敬参考人
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他

○議題

○制度見直しに関する検討(その2)について

○議事

○飯塚部会長
 ただいまより、第65回「中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会」を開催いたします。
 薬価専門部会と同様対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、本日の委員の出欠状況について報告します。
 本日は、全員が御出席です。
 今回は参考人として、福田参考人に御参加をいただいております。
 また、本日の議題では、個別の医薬品を取り扱うことになりますが、赤名専門委員につきましては、当該医薬品の製造販売業者に所属しておられますので、利益相反の観点から本日の部会には出席を控えていただくことといたします。
 それでは、まず、費用対効果評価専門部会に属する委員に異動がございましたので、御報告いたします。
 先ほどの総会においても指名がありましたとおり、本日より鳥潟委員に御就任いただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日は「制度見直しに関する検討(その2)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○木下医療技術評価推進室長
 事務局、医療技術評価推進室長でございます。
 前回の議論に引き続きまして、費用対効果評価制度の見直しに関する検討(その2)といたしまして、資料費-1を用いて御説明させていただきます。
 2ページを御覧ください。
 前回9月13日の本専門部会で提示させていただきました論点の項目となります。
 3ページから8ページまでは費用対効果評価の制度概要として、前回の資料を掲載しておりますので、適宜御覧いただければと思います。
 9ページまでお進みください。
 これまでの議論といたしまして、前回9月13日の本専門部会での御意見をまとめております。
 議論全体として、事務局より提示させていただきました論点につきましては、おおむね御了解いただいたものと理解しております。
 また、令和6年度の制度改正において、価格調整範囲等について踏み込んだ見直しを行ってもよい時期に来ているのではないかという御意見もいただいております。
 10ページ目以降で、本日御議論いただきたい項目として「価格調整の対象範囲のあり方について」と「介護費用の取扱いについて」の2項目について資料を御用意しております。
 まず、11ページ目から「価格調整の対象範囲のあり方について」でございます。
 12ページ目は前回と同じ資料でございますが、費用対効果評価の評価部分の範囲と価格調整範囲が乖離しているという点につきまして、専門組織からの意見で指摘されているところを御紹介しております。
 13ページ目です。
 これまでの議論として、前回の本専門部会の御意見を追加しております。いただいた御意見につきましては、基本的には価格調整の範囲を拡大する方向で検討すべきとの御意見をいただいております。
 一方、下から2つ目の○になりますが、ドラッグラグ、ドラッグロスにつながらないよう慎重に検討すべきではないかという御意見もいただいているところでございます。
 14ページと15ページに、前回御指摘いただきました、実際の価格調整範囲がどうなっているのかという宿題に対しまして、これまでに、費用対効果評価が終了した28品目について、実際の価格算定方式と価格調整範囲の一覧をお示ししております。それぞれのページの赤枠で囲んだところを御確認いただければと思います。
 16ページには、今、御説明しました14ページ、15ページで、一覧でお示しした価格調整範囲に対しまして、価格調整率の分布を箱ひげ図で左側に示しております。こちらは、前回提示したものと同じになっております。
 今回は右の図を追加しておりまして、前回の部会で御指摘がございましたので、実際の価格調整範囲の割合がどうなのかを新しく図でお示ししておりまして、価格調整範囲の割合になります。
 基本的には評価終了品目において、現行での価格調整範囲の調整前価格に対する割合及び各調整率の分布になりまして、調整前価格に占める割合は平均で11%、中央値で9.1%と、価格全体に占める割合は大きくなかったと考えております。
 17ページは、前回と同じ諸外国における価格調整の対象範囲の資料になっております。
 18ページは、諸外国における価格調整の在り方について、英国とオーストラリアの仕組みを例として、部分的ではございますが、資料を用意させていただいております。
 まず、英国におきましては、費用対効果評価等に基づきまして、償還可否が検討されております。
 その場合、償還すべきでないと判断された場合には、企業と英国の国民保険サービスでありますNHSとの間で価格交渉が行われた上で償還される場合があること。そして、価格交渉は、増分費用効果比が閾値と等しくなる価格を参考に行われるとされております。
 次にオーストラリアでは、こちらも、評価結果は償還可否の検討に利用されております。また、償還すべきでないとされた場合には、費用対効果評価の閾値となる価格等を参考に、企業と保健省の間で価格交渉が行われる場合があるとされております。
 諸外国の例として、費用対効果評価の閾値を参考に交渉が行われているという事例の御紹介になります。
 19ページは、前回と同じ資料で、市場規模が1000億円超となった医薬品になります。
 20ページ、21ページも前回と同じ資料をおつけしておりまして、価格引上げの条件を記載させていただいております。
 業界からは、この価格引上げの条件が厳しいのではないかという御指摘をいただいているところでございます。
 22ページです。
 これまでの価格調整の在り方に係る考え方というところで、平成31年の中医協総会での議論を参考として、資料として御提示しております。
 四角の箱の中の対応の1つ目の○でございますが、価格調整方法は、ICERが一定の幅、科学的な確からしさという観点から一定の幅を持って評価された場合にも対応できるという形で、現在用いております、階段方式となっているものの御紹介になります。
 23ページ、各調整の対象範囲の在り方に係る論点になります。
 まず、上段で現状と課題をまとめております。
 これまでの議論におきまして、高額医薬品について価格調整範囲の見直しを検討すべきとの御意見をいただいていること。
 2つ目としまして、専門組織の意見書において費用対効果評価においては、評価対象技術と比較対照技術の価格差を対象に評価を行っているにもかかわらず、価格調整範囲は加算部分等とされており、対象範囲が一致していないと指摘があること。
 3つ目としまして、諸外国においては価格調整を行う場合において、調整範囲を価格の一部に限定するのではなく、費用対効果の閾値となる価格を参考に、企業との価格交渉を行って価格調整を行うとの方法を採用している。
 以上を踏まえ、下段でございますが、論点としまして、高額医薬品における価格調整範囲の見直しについて、専門組織の意見書において比較対照技術と評価対象技術の差である費用対効果評価の評価範囲と価格調整範囲が一致しないこと。
 諸外国においては、企業と価格交渉がなされる場合に、費用対効果評価の閾値となる価格が参考とされる場合があること。
 これまでに費用対効果評価の分析を行い、実績を重ねている。特に価格調整に当たっては、科学的な確からしさの観点も含め、一定の幅に対応できるよう階段方式で行っていること等から、価格調整の在り方についてどのように考えるか。
 また、価格引上げの際等の条件について、どのように考えるかとしております。
 次に2つ目になります。24ページ目から、次の項目である介護費用の取扱いについてでございます。
 25ページ目は、前回提示いたしました専門組織からの意見書でございます。
 26ページに、前回の本専門部会の各委員の御意見をまとめております。
 介護費用を含めた分析については、調査研究の状況を見て判断すべきではないか。そして、介護費用の軽減を医療保険の財源を使って評価することが妥当かどうか、深い議論が必要である。
 高齢者医療が増えていく中で、介護費用については、いずれは積極的に考慮すべきである等の御意見をいただいているところでございます。
 27ページ、28ページには「介護費用の取扱いについて」ということで、諸外国の現状についての前回と同じ資料をおつけしているところでございます。
 29ページは、介護費用の費用対効果評価の分析結果を活用した英国における事例の紹介で、今回追加しているところでございます。
 事例といたしましては、多発性硬化症という神経難病で運動麻痺などの症状を有する疾病でございますが、これに対する薬剤についての実際の評価を御紹介させていただいております。
 上から2つ目の箱であります「企業分析」の欄を見ていただきますと、分析に当たっては、基本的には論文でありますとか、UK MS surveyという多発性硬化症の民間サーベイがございまして、それらを基に介護費用が引用される形で含まれるという記載になっております。
 費用の具体的な内訳といたしましては、利用者の移動手段のためのサービスなども含め、評価に含まれるということが記載されておりました。
 また、疾患の特性等により、考慮すべき点などは異なりますが、神経系疾患における評価の一例ということでまとめさせていただいております。
 30ページと31ページは、参考資料といたしまして、本年7月の社会保障審議会介護保険部会からの資料として、介護保険総合データベース、いわゆる介護DBについて、概要や第三者提供の経緯などをお示ししております。
 31ページは、介護データベースの収集経路の概要となっております。
 32ページまでお進みください。
 「介護費用の分析の取扱いに係る論点」になります。
 まず、現状と課題でございますが、現行のガイドラインでも、公的介護費へ与える影響が評価分析対象にとって重要である場合には、公的介護の費用を含めた分析を行うことができるとされているが、これまで介護費用を含めた分析は行われていない。
 2つ目としまして、専門部会における議論において、介護費用の取扱いについて、介護費を含めた分析についての研究の状況を見て判断すべきではないか。介護費用の軽減を医療保険の財源を使って評価することが妥当か、深い議論が必要であるという意見があったこと。
 3つ目といたしまして、諸外国において、公的介護の制度が異なるため一概に比較は困難であるが、介護の費用への影響を分析に組み込むこととしている国が複数あること。
 4つ目としましては、我が国においては、公的介護に係る統一的なデータベースとして介護DBが整備されていること。
 これらを踏まえまして、2つ目の箱でございますが、論点としまして、介護費用の分析の取扱いに関しては、引き続き結果への活用ができるかどうか研究を進めることとしてはどうか。
 2つ目といたしまして、介護費用の分析結果が得られた場合の結果を反映するに当たっての取扱いについて、制度上どのように考えるかという2点をお示ししております。
 最後に33ページ目から、新たな項目といたしまして、レカネマブに係る検討を追加させていただいております。
 34ページです。
 先日9月27の中医協総会の資料になります。令和4年度の薬価制度改革における高額医薬品対する対応として、年間1500億円の市場規模を超えると見込まれる品目が承認された場合には、直ちに中医協総会に報告し、薬価算定方法の議論を行うことと、整理したものの御紹介になっております。
 35ページは、レケンビの薬価収載に向けた論点等において、介護費用の取扱い等について、薬価専門部会と費用対効果評価部会で議論を行い、その結果を踏まえ、総会で議論することとしてはどうかと論点を提示いたしまして、総会で了承されたことから、本日より本専門部会での御議論をお願いしているところでございます。
 最後、36ページに、レカネマブに係る費用対効果評価に係る論点になります。
 まず、現状と課題です。レカネマブに関しては、市場規模が1500億を超えると見込まれる医薬品として通常の算定ルールとは別の扱いを検討することが議論されていること。
 また、レカネマブについては、介護費用に基づく評価に関する内容を含むデータが提出されていること。
 3つ目としまして、費用対効果評価の見直しに向けた議論においては、高額医薬品に係る価格調整範囲の見直しや、介護費用の軽減に係るデータの取扱いについて議論してきたところを現状で挙げております。
 下の箱でございますが、論点といたしまして2点。
 レカネマブの取扱いについての全体の議論の中で、費用対効果評価における、価格調整範囲の見直しや、介護費用の軽減に係るデータの取扱いについて検討することとしてはどうか。
 効率的に議論を進めるため、薬価専門部会との合同部会を開催して、議論を進めてはどうかとしております。
 37ページ以降は、これまでの指定品目の現状や、レカネマブに関する薬価部会の資料等を参考資料としてつけておりますので、適宜、御参照いただければと思います。
 事務局からの説明は以上となります。
○飯塚部会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問等がありましたら、お願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 前回の議論や、本日の資料も踏まえ、価格調整範囲と介護費用に関するデータの取扱いについての各論点についてコメントします。
 まずは、23ページの価格調整の対象範囲の在り方に係る論点についてです。
 価格調整範囲については、この費用対効果評価の仕組みをより有効に活用することで、費用対効果評価制度そのものの費用対効果を高めるという意味においても、非常に重要な視点と考えます。
 諸外国の状況や、これまでに評価を終えた品目の実績等については、今回の資料で示されて、一定程度理解は深まりました。
 また、比較対照技術と評価対象技術の差である費用対効果評価の評価範囲と、価格調整範囲が一致していないという前提についても理解できましたので、あわせて、なぜ、そのことが課題なのかという点について、薬価制度、材料価格制度の補完という、これまでの説明との整合性を図る観点や、比較対照技術の選定プロセスに関する正当性などの観点も踏まえ、今後、具体的に調整範囲の見直しの議論をさらに進めていくために、事務局においては、具体的な資料の整理をお願いしたいと思います。
 続いて、32ページの介護費用の分析の取扱いについてです。
 介護費用に係るデータの評価に関しては、改めて研究を進めるべきです。今回、事務局から介護費用の取扱いに関する一事例の提示がありましたが、確率的感度分析の結果、70%の確率で費用対効果良好とあったり、調査が実態を反映していない可能性を指摘しているのみにとどまるなど、日本における価格調整の仕組みとはかなり異なっていることがうかがわれますので、背景や技術的課題の整理を踏まえて、対応を検討する必要があると思います。
 これまでの我が国の費用対効果評価の品目において、対象となる事例がなかったことを踏まえれば、個別品目に当てはめた議論を行うその前に、まずは、技術的な課題を整理していただき、議論を深める必要があると考えます。
 こちらについても、事務局において、議論を進めるための資料をお願いしたいと思います。
 最後に、36ページのレカネマブに関する論点につきましては、異論ありません。
 私からは以上です。
○飯塚部会長
 ありがとうございました。
 ほかには、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。論点に沿って発言させていただきます。
 まず、価格調整の対象範囲の在り方に係る論点についてですが、以前にも指摘しましたが、価格調整の範囲については、その範囲を広げることによって、ドラッグラグやロスが進んでしまう懸念があるため、慎重な議論が必要だと考えています。
 影響が過大にならないよう、今回海外の事例ということで幾つか示されていますけれども、オーストラリアのように、費用対効果評価の閾値となる価格等を参考にするなど、一定の線引きを設けるという視点も必要と考えます。
 また、これまで費用対効果評価が行われた医薬品は引下げとなったものが多く、価格調整の範囲を広げた場合、これまで費用対効果評価を行ってきた医薬品では、どのような引下げになるのかなど、シミュレーションが可能であれば示していただけると、議論が進むものと考えます。
 次に、介護費用の取扱いについてですが、1つ目のポツについては、そのとおりに進めていくべきものと考えます。
 また、2つ目のポツについては、反映するに当たっての具体的な課題整理を進めることが必要と考えます。
 また、介護DBに関する説明がありましたが、実際の治療がどうなっているのかは、把握できることが必要と考えます。
 最後に、レカネマブに係る費用対効果評価の在り方に係る論点についてですが、示されている論点の内容で進めていくものと考えます。
 以上です。
○飯塚部会長
 ありがとうございました。
 ほかには、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。まず、論点に沿って少し話をしたいと思います。
 まず、23ページに関して、価格調整の対象範囲については、今ほど長島委員等がおっしゃったように、私も、そもそも費用対効果を調整する対象範囲と、価格調整範囲が一致していないということそのものは、本来、少し違和感を感じるところでしたので、28品目ですか、既にこの調整で行われているという実態で、費用対効果を一定程度評価されたとみなされれば、当然こういう方向で行くべきではないかと感じています。
 その上で、なおかつ、これから高額医薬品がどんどん上市されていく中で、この費用対効果制度の意味するところは非常に重くなってきていると思いますので、その意味でも十分な効果を発揮するために価格調整範囲の見直しというのは必要ではないかと感じておりますので、論点の○の1つ目の3つのポチについて、その理由も含めて賛同したいと思います。
 次に、介護費用に関してですけれども、これは、なかなか難しいということは、前回の費用対効果の分科会でもお話がありました。十分まだ分析の体を呈していないという御意見もあろうかと思いますので、私も検討がこれからどんどん必要ではないかと思います。
 そういう意味で、36ページの最後のレカネマブに関しては、これから(介護費用の点で)費用対効果がどう反映できるかということの、まさに試金石になるものではないかと思っております。
 英国等にはない、日本には、先ほど御説明にありましたように、介護DBという割と正確な評価対象となるデータもあります。そこを上手に使える方法があれば使っていただきながら、レカネマブに対して、少し長期にわたるかもしれませんけれども、その費用対効果を追いかけていることは、費用対効果の介護費用に対する評価が可能かどうかということを、見定める意味でも非常に重要ではないかと思います。少し実験的な評価になる可能性もあるかもしれませんけれども、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思っていますし、その意味で、合同部会は、是非開いていただければと思います。
 その中でも、前回の総会で少しお話しましたように、このレカネマブが、これから使用が開始されるときに、例えば、使用ガイドラインの中で使用した患者さんに対する介護のフォローアップが、データが取れるように、例えばリストアップをするとか、そういうことが可能なのかどうか、この辺は、前回も少しお聞きしたいと思いますけれども、費用対効果としての分科会の取組として、そういうことが可能かどうかということをお聞きしておきたいと思います。
 以上です。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 こちらに関して、事務局から何かございますか。
○木下医療技術評価推進室長
 事務局でございます。
 最後に御質問いただいた点でございますが、現行の費用対効果の分析に当たりましては、企業から提出された資料、データ等に基づいて行うということで、事務局のほうでデータ等を先に用意して迎えるという枠組みにはなっていないという現状もございますので、なかなか、今後、費用対効果を行うに当たって、事務局側で研究なり調査なりを立てるということは、現行の枠組みからすると相当程度難しいと考えております。
○飯塚部会長
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 例えば、これを使用する場合に、将来的に公的機関から介護度等の推移について、情報をいただくということを使用するための条件にするとか、そういうことは可能なのでしょうか。
○飯塚部会長
 御質問をいただいておりますが、いかがでしょうか。
 薬剤管理官、お願いします。
○安川薬剤管理官
 薬剤管理官です。
 1つは、収載の際に、どういったところまで求めるかというところは、限界があると思います。我々としても、この品目に関して前例調査とかの話があるのは、あくまで薬事のほうの視点の有効性・安全性の観点から、様々なことを調査しなさいというところは義務づけられています。それは、法律に基づく承認条件ということをやっていますけれども、あくまで有効性・安全性の観点なので、別の切り口で、この調査もという話はさすがに難しいと思っております。
 ただ、一方で、保険収載の中にどこまで求めるかというのは、多分、実現可能性とか、そういったところであるので、なかなか多くのものを求めるところの難易度の高さはあると思いますので、ケース・バイ・ケースで御判断するしかないのかなと思っているところでございます。
○飯塚部会長
 よろしいでしょうか。
 江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
 介護費用の分析について申し上げます。
 レカネマブのごとく、認知症が根治する薬剤ではない場合に、介護費用の分析において、例えば、生涯介護費用が変化するのかどうか、あるいは分析の評価期間をどう設定するのかなど、様々な課題があると思っています。
 また、現状の認知症ケアにおいては、御本人が落ち着くなじみの環境のもと、なじみの関係者である職員が生活歴からアセスメントを行って、既にBPSDを予防するような適切な認知症ケアというのも存在いたします。
 したがいまして、薬剤のみの効果を評価するというのは、これから研究されると思いますけれども、現時点では極めて難しいのかなというのが感想でございます。
 特に認知症は、社会的な関わり、人との関わり、あるいは環境要因等、様々多様な因子が影響するのが認知症でございますので、その辺りも含めて検討が必要かと思います。
 さらにMCIとか軽度認知症では、現状においては、あまり介護サービスを利用していないというのが実態でございますので、今後の幅広い視野での検討が必要と考えております。
 以上でございます。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 この研究等の課題ということで承りました。
 ほかにはいかがですか。松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 どうもありがとうございます。
 まず、1つ目の価格調整範囲につきましてですが、これは前回も申し上げましたけれども、加算部分に限らず、より広い範囲を調整対象にすべきだと考えております。
 費用対効果評価の結果を保険償還の判断に用いないのであれば、費用対効果が同等なところまで近づけるよう、価格調整範囲を設定すべきというのが、まず、私どもの基本的な認識でございます。
 その観点で18ページを拝見しますと、イギリスとオーストラリアでは、今、申し上げた考え方に基づく増分費用効果比が閾値と等しくなる価格を目安としているということでございますので、まずは初めのステップとして、こうした諸外国の例が参考になるのではないかと考えております。
 また、論点では、高額医薬品における価格調整範囲の見直しということで、高額医薬品に限って議論することが前提のようでございますけれども、例えば、14ページ、15ページと拝見しますと、H5区分の品目も相当あるということでございますので、そうした類似品を対象とするかどうかについても、今後検討すべきだと考えます。
 次に、介護費用の取扱いでございますが、これは、先ほど薬価専門部会で申し上げましたけれども、介護費用の軽減を医療保険の財源を使って評価することについて、研究を進めること自体は否定いたしません。
 仮に今回、レカネマブについて介護費用の分析を試行的にやってみたとしても、それは、あくまでも個別のものに対するものであって、ほかの薬に対しても一般的なルールとして適用するかどうかは、さらに慎重な議論、判断が必要だと考えております。
 薬価専門部会との合同部会を開催し議論をすることについては、異論ございません。
 1つ質問がございます。
 資料の30ページ、31ページに、介護保険総合データベースの紹介が載っておりますけれども、例えば、今テーマになっているような介護費用と薬剤とのこうした分析をするに当たって、これは、先ほど池端先生も言われましたけれども、データを扱う制約であるとか、あるいはデータの取り出しであるとか、加工方法であるとか、そうしたものについて、これがある程度利用できるという目安があって、多分紹介されると思うのですけれども、その辺についての見解だとか、課題等が、もし今、お分かりであれば、少しコメントをいただければと思います。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 介護DBの活用可能性に関して、御質問をいただいておりますが。
○木下医療技術評価推進室長
 事務局でございます。
 データベースを用いて、今後、どのように研究等を進めていくかということにつきまして、研究班と相談いたしまして、次回以降どういう課題があるかということにつきまして、整理の上、御説明させていただければと思っております。
○飯塚部会長
 今のでよろしいでしょうか。
 長島委員、お願いします。
○長島委員
 今の介護データベースの活用に関してですけれども、現在は、介護データベースのデータ提供を申請される場合に、レセプトのNDBとの連結を希望されるところが非常に多くなっています。
 NDBのほうで、そこで通されている薬剤をリストアップすることで、それを使っている患者さんがリストアップできると、そこに対する介護保険の情報というのを連結して、リストアップすることは一応可能ですが、その介護データベースに入っている情報が、今のところそれほど多くはないので、それをもってして、介護費用というところまでできるかというと、まだまだ難しいけれども、そういう形で連結することで、一定程度の可能性はあると考えられております。
 以上です。
○飯塚部会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員
 私のほうからレカネマブの合同部会については、まず、賛成です。それについて少し意見を、お話をさせていただきたいと思っております。
 現在、費用対効果の部会では、客観的な分析プロセス等がはっきりしておりませんので、今回は非常に賛成で、ぜひ参加したいなと思っています。
 ただ、今後、ある意味では、薬価の算定を決める立場と、今度はそれを評価する立場というのは、やはり異なる可能性もあるので、客観性が担保できるかどうかということが少し懸念かなという感じがしますので、そういった意見だということで、私のほうはお話をしたいと思っていました。
 以上でございます。
○飯塚部会長
 ありがとうございました。
 高町委員、御質問等ございますか。
○高町委員
 ありがとうございます。
 私からは、介護費用について、意見を述べさせていただきます。
 介護費用の取扱いについては、議論する課題として想像しやすい内容ではありますが、データがまだ不十分な中で、これまでの議論を踏まえますと、拙速に判断することは難しいのではないかと思っています。
 レカネマブに対しての取扱いもありますが、今後、丁寧な議論を行うためにも、まずは、研究を進めることからスタートすることでよいのではないかと考えてます。
○飯塚部会長
 ありがとうございました。
 ほかには、御意見、御質問等いかがでしょうか。
 一点、23ページのところに戻っていただきますと、価格調整範囲の見直しという議論の最後に、一定の価格引上げの際の条件等について、どう考えるかという論点も御提示いただいておりまして、これは、皆様、御意見等ございますか。
 これは少し戻っていただいて、16ページ辺りを見ますと、費用と効果、価値を反映していこうという趣旨なのですけれども、今までのところは、価格を下げる方向に実際は扱われてきたということなのですが、これをしっかり今後見ていくというところで、論点に挙がっていたのかと思いますが、この辺り、もし御意見等ございましたら、お願いできればと思いますが。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員 先ほども申しましたけれども、これらを議論するためには、まず、事務局において、具体的な資料を整理して、それを御提示いただくというのが前提ではないかと考えております。
 以上です。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 これは、今まで資料を提示いただいておりますけれども、どのような資料を、もし今、御念頭にありましたら。
○長島委員
 先ほどコメントのところで申し上げたところですけれども、まず、例えば、薬価制度、材料価格制度の補完という、これまでの説明との整合性を図る観点とか、比較対照技術の選定プロセスに関する正当性の観点、あるいは、例えばシミュレーションなど、そういうもので、少し具体的にどのようなものかというイメージが、今、湧いていない状況ですので、そのような具体的な資料が必要ではないかと考えております。
○飯塚部会長
 分かりました。
 この制度を少し大きく見直していこうという場合に、どういう具体的な方向性があるかということで、資料の御提示をいただきたいということかと思います。
 ほかにこの点は、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 資料の21ページのほうに、価格引き上げの条件というのが、右のほうに2つほど示されておりまして、費用対効果に優れた結果が得られた品目が、どういった点を満たさなかったというのが明記されております。
 どちらかというと、①よりも②のほうが、全部バツがついていると思うのですけれども、そこに書いてある条件が全く異なっているということ、あるいは改良の範囲を超えるということは、私はある意味では、結構妥当な基準ではないかと思いますので、例えば、これを覆すほどの何か条件が出てくるとか、それは先般の業者のヒアリングも、少しそこまではという印象を受けましたので、そういうのがあればということで、検討するということではないかと思いますが、あくまでも、個人的な意見にとどまりますけれども、そういうことで、私としては思っております。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 そういったこの辺の条件を、もう少しどう考えるのがよいかというところかと思います。
 島委員、お願いいたします。
○島委員
 ありがとうございます。
 前回も発言させていただきましたが、今、松本先生から言われたような条件というのは、妥当なものだろうと思いますが、ドミナントの評価が、現実1円も上がっていないと、これに対しては、前回13ページの一番下に書かれておりますけれども、むしろそういうドミナントと評価したものを、関連学会のところにきちんと通達して、こういうものが優れていますよといったことのほうが、実際多く使われるだろうと思います。ですから、そういう考え方もあってしかるべきではないかなと思っております。
 以上です。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 そうしましたら、こういった御意見をいただいておりますので、そういった点も踏まえて、今後、事務局には資料等を整理していただければと思います。
 ほかには、御質問等ございませんでしょうか。
 よろしいですか。ありがとうございます。
 そうしましたら、本件に係る質疑は、このあたりとしたいと思います。
 今後、事務局において、本日いただいた御意見等も踏まえて、御対応をお願いしたいと思います。
 その際に、まず、価格調整範囲につきましては、本日、いろいろ御意見をいただいておりますので、具体的なイメージを事務局から提示いただきまして、今後、議論を深めていくという方向とさせていただいてはいかがかと思います。
 また、介護費用の取扱いに関しては、技術的な整理について、研究班の先生方からお示しいただくことを検討していただければと思います。
 また、論点にありましたとおり、今後の検討におきまして、薬価専門部会と相互の検討状況を共有しながら議論するために、次回は合同部会として開催することとしたいと思いますが、こちらはよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 そうしましたら、次回は合同部会として開催するように、事務局において御対応のほど、お願いいたします。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の費用対効果評価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 
<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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