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2023年9月13日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第64回議事録

○日時

令和5年9月13日(水)9:30~

 

○場所

日比谷国際ビル コンファレンススクエア 8F

○出席者

飯塚敏晃部会長 安川文朗部会長代理 小塩隆士委員 笠木映里委員
安藤伸樹委員 松本真人委員 高町晃司委員 眞田享委員 鈴木順三委員 末松則子委員
長島公之委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員 森昌平委員
赤名正臣専門委員 石牟禮武志専門委員 守田恭彦専門委員 前田桂専門委員
<参考人>
福田敬参考人 池田俊也参考人
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他

○議題

○制度見直しに関する検討(その1)について

○議事

○飯塚部会長
 ただいまより、第64回「中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会」を開催いたします。
 本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、本日の委員の出欠状況について報告します。
 本日は、全員御出席いただいております。
 また、今回は参考人として、福田参考人と池田参考人に参加をいただいております。
 次に、厚生労働省におきまして異動がございましたので、事務局より紹介をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。御報告をさせていただきます。
 事務局に異動がございました。須田大臣官房審議官(医療介護連携、データヘルス改革担当)でございます。以上でございます。
○飯塚部会長
 ありがとうございました。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日は「制度見直しに関する検討(その1)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○木下医療技術評価推進室長
 事務局、医療技術評価推進室長でございます。
 中医協費-1に沿いまして「費用対効果評価制度の見直しに関する検討(その1)」の資料の説明をいたします。
 2ページに項目をまとめております。今回の制度の見直しに関しまして、これまでの専門部会における御意見や業界からの意見陳述、また、専門組織からの意見書等を踏まえまして、事務局にて整理を行ったものでございます。
 本日は、その1といたしまして、項目全体についてポイントを絞って御説明をさせていただきたいと考えております。
 こちらの項目の2-1から2-3につきましては、具体的に論点等を事務局から御提案させていただいておりますが、2-4と2-5につきましては、本日は各委員から幅広に御意見をいただきまして、次回以降で議論を深めていければと考えております。
 それでは、資料をおめくりください。
 まず、4ページ目を御覧ください。
 これまでの制度の運用の実績及び評価についてで、まず、4ページにつきましては、現行の費用対効果評価制度の概要をまとめているものでございます。
 5ページは、費用対効果評価の対象品目の指定基準で、市場規模で区分しているものをお示ししているところでございます。
 また、6ページは、費用対効果評価の価格調整範囲で開示度の違いにおきまして、価格調整の対象範囲に営業利益を含めるかどうかといった違いを、模式的にお示ししているものでございます。
 7ページをお開きください。
 7ページに関しましては、品目指定数の推移を年度ごとにお示ししているものでございます。2019年度の制度開始以降、増加傾向にあることが右のグラフから見て取れるかと思います。
 8ページを御覧ください。
 8ページに、薬価・材料価格制度と費用対効果評価制度の関係性について説明をしております。
 ○が3つございますが、まず1つ目、2つ目は、それぞれの各制度の考え方をまとめておりまして、〇の3つ目を御覧いただければと思いますが、これらの制度によりまして、保険収載そのものは迅速に行われ、医薬品、医療機器へのアクセスを確保した上で、費用対効果評価制度によりまして、企業分析、公的分析に加え、専門組織での議論を経て評価が行われ、「質調整生存年という指標に基づく評価」に基づく価格の調整を行っているということをイメージとしてお示ししているものでございます。
 次に、各個別項目について御説明いたします。9ページにお進みください。
 ここからは、分析方法に関する事項についてまとめております。
 まず、10ページ目でございますが、比較対照技術の在り方についてでございます。
 10ページに専門組織からの御意見の対応案として、在り方の検討でありますとか、また、Best supportive care、BSCの扱いを含め整理してはどうかとの御意見をいただいているところでございます。
 11ページは、本部会における主な意見をまとめておりますので、御参照いただければと思います。
 12ページに、業界の意見陳述におきまして、特に下の事例になりますが、シェアの観点からの御意見があったものを御紹介しているところでございます。
 13ページにお進みいただければと思います。
 比較対照技術の在り方に関する過去の議論の経緯を13ページにまとめております。
 また、14ページには、比較対照技術に関する、どのような記載があったかという点につきまして、ガイドライン第1版から第3版までをまとめておりまして、それらの変遷をまとめたのが、14ページになっております。
 一番下の箱を見ていただければと思いますが、現行のガイドライン、第3版におきましては、評価を行う際の比較対照技術は、臨床的に幅広く使用されており、評価対象技術によって代替されると想定されるもののうち、治療効果がより高いものを1つ選定することが原則的な考え方と整理させていただいているところでございます。
 次に15ページをお開きください。
 15ページには、費用対効果のよくない比較対照技術が設定された事例をお示ししております。
 ユルトリミスの評価を行うに当たり、対象技術としてソリリスと比較した場合は、ICERが約700万となります。グラフや表の②としてお示ししているところになります。
 一方で、BSCを対象技術とする感度分析を行った場合には、ICERが1億円となった事例となっており、グラフで言うところの表と併せまして、①でお示ししているところでございます。
 また、次の16ページでは、ただいま15ページでは、感度分析にBSCを用いた事例を御紹介したところでございますが、16ページには、これまでの分析を行った事例として、Best supportive care、BSCを、もしくは無治療・経過観察を実際に比較対照技術とした事例を2つほど御紹介しているところでございます。
 17ページには、今、御紹介してまいりました比較対照技術の設定に関する諸外国の状況について、お示ししたものが17ページとなっております。
 18ページを御覧ください。
 これまで御説明してまいりました、比較対照技術の設定の見直しに係る論点をまとめてございます。
 まず、現状と課題につきましては、今、説明した内容をまとめているところでございます。
 下の箱、論点を御覧ください。大きく2点お示ししております。
 まず、比較対照技術の設定について、考え方が明確となるよう、ガイドラインにおける記載を検討してはどうか。
 具体的にはということで、①から③の手順を整理しております。
 また、シェアで一律に決めるものではないという点も、記載してはどうかと考えております。
 次に、一律にBSCを比較対照技術に設定するかどうかに当たりましては、新たな手順が生じることから、慎重に考えることとしてはどうかということで、論点をお示しさせていただいております。
 続きまして、19ページにお進みください。次の項目に移りたいと思います。
 次の項目といたしまして「分析対象集団の取扱いの整理について」になります。
 まず、20ページに専門組織からの意見として、分析不能となった集団の扱いを明確化すべきではないかとの御意見をいただいております。
 21ページには、分析対象集団についての、これまでの議論についてまとめたものになります。
 22ページまたは23ページには、対象集団の一部を分析不能と判断された事例をお示ししております。
 結果といたしまして、いずれも分析には含まないという取扱いとしております。
 これらを踏まえまして、24ページに論点をまとめているところでございます。
 下の論点を読み上げますと、分析対象集団の一部が分析不能となった場合について、次のように考え方を明確にしてはどうか。
 1つ目の矢羽根でございますが、対象集団の一部が、その希少性等によりデータを収集することが困難である場合は、その集団の結果は最終評価に考慮しないこととする。
 2つ目、その他データが開示されない等、企業の協力が得られず、分析が困難と判断される場合には、該当集団に対する係数は最低の係数として最終評価を行うというのを論点として提示させていただいております。
 続きまして、25ページから「費用対効果の品目指定」についての項目に移ります。
まず26ページに、専門組織から対象品目の選定の手順の明確化等の検討について、御意見をいただいております。
 27ページをお開きください。これまでの議論を整理しているところでございます。
 中段の業界の陳述におきましては、希少疾病用医薬品については、指定難病等と同様に評価の対象から除外すべきとの御意見をいただいております。
 次に28ページを御覧ください。
 ここは、2つの項目をお示ししているところでございますが、まず上段についてです。
 品目を指定するタイミングが、現行規定されていないというところでございますが、この指定に当たりましては、医薬品におけます四半期再算定を例示として参考のものとしておつけしております。
 次に下段につきましては、再指定時の価格調整範囲についてということで挙げておりますが、右の例でお示ししているとおり、現行、明確な指定範囲、価格調整範囲を再指定時にどうするかということに関しまして、明確な規定がないという状況になっております。
 一方、左の例でお示ししておりますように、外国平均価格調整のルール、こういったものを参考として、再指定時の価格調整範囲を検討してはどうかということを、ここでお示ししているところでございます。
 29ページには、参考といたしまして、医薬品における四半期再算定について、事例として挙げているところでございます。
 30ページを御覧ください。
 今、御説明いたしました項目につきまして、大きく2点、論点を通してお示ししております。
 まず、1つ目でございますが、再指定時の運用について、保険適用時に指定基準を満たさない品目の指定について、市場拡大によって基準に該当するかの確認は、四半期再算定の運用等を参考に検討してはどうか。
 2つ目でございますが、再指定時の価格調整範囲については、外国平均価格調整後の医薬品等の調整範囲を参考に、価格調整前の価格に対する有用性加算等の割合としてはどうか。
 「品目指定時の配慮について」という項目でございますが、品目指定時の配慮については、希少疾病を対象とした医薬品についてのこれまでの評価に当たっては、明らかな問題はないということから、現状の規定を維持することとしてはどうかという点を挙げているところでございます。
 31ページにお進みください。
 「分析プロセスについて」でございます。
 32ページは専門組織からの意見、また、33ページは、これまでの議論についてまとめております。いただいた意見につきましては、次ページ以降で詳細を御説明いたしたいと思います。
 まず、34ページでございますが、令和4年度改定におきまして、分析・評価の流れに係る見直しを行った概要をお示ししております。
 この見直し後のフローにおきまして、実際に評価を終えた事例は、現在、1例のみとなっております。
 35ページをお開きください。
 35ページには、分析不能な場合の新たなプロセスに関する業界からの御提案について、プロセスフロー図の例になります。
 黄色の囲みのところにございますが、分析人員の不足により、分析困難な場合の新たなフローの御提案をいただいているところでございます。
 次に、36ページをお開きください。
 36ページには、専門組織の議論の進め方の現状についてまとめているところでございます。
 検討の過程で分析すべき課題を整理し、それら課題ごとに企業分析、公的分析を行い、議論の上、専門組織としての意見をまとめています。
 37ページにお進みください。
 分析プロセスの見直しに係る論点でございます。
 まず1つ目、費用対効果評価の分析、評価の流れについては、引き続き令和4年度改定における見直しを踏まえた運用を継続し、課題がある場合には見直すこととしてはどうか。
 2つ目といたしまして、人員不足等の理由で分析が難しい場合に、企業から企業分析ができないことを申し出る新たなプロセスを検討してはどうか。
 3つ目といたしまして、専門組織の意見様式等を見直し、分析の論点に沿った議論を促す仕組みを検討してはどうかという点を挙げております。
 次に、38ページ目から次の項目に移りたいと思います。
 「価格調整の対象範囲のあり方について」でございます。
 まず、39ページ目を御覧ください。
 専門組織からの意見をまとめているところでございます。
 ページの下段にありますイメージを御覧いただければと思いますが、費用対効果評価の評価に当たっては、費用全体を対象とした評価を行っている一方で、その結果を用いた価格調整に当たっては、有用性加算等の範囲で実施しております。
 イメージあるとおり、現状では、評価時点における分析対象と価格調整として反映する対象の範囲が異なっていることから、諸外国の事例も参考にしながら、価格調整の対象範囲の在り方について、検討する必要があるのではないかという御意見をいただいているところでございます。
 40ページには、これまでの議論をまとめております。
 専門部会におきましては、価格調整の対象範囲は、加算部分に限らず、より広い費用対効果が同等になるように調整すべきではないかという御意見をいただいております。
 また、業界意見陳述におきましては、費用対効果評価制度は、薬価制度を補完する位置づけであるため、追加的有用性やICERを検証し、加算部分について調整を行うことが基本的な制度の仕組みである。よって、価格調整の対象範囲は拡大させるべきではないといった御意見をいただいております。
 次に41ページには、参考といたしまして、市場拡大再算定の対象となった医薬品の中で、市場規模が1億円超とされたものを示しております。
 近年、一定数の市場規模が大きな医薬品があることが確認できるかと思います。
 42ページには評価終了品目におけます価格の調整率についてお示ししておりまして、平均でマイナス3.2%、中央値がマイナス2.8%となっております。
 次に43ページにお進みください。
 43ページには、現行の価格の引上げについての条件について示しております。これらの条件に照らして個別の事例については、次のページに整理をいただいたものがございます。
 44ページをお開きください。
 業界意見陳述における意見におきまして、一部の集団で費用対効果に優れる結果が得られた品目について、先ほど御説明しました、43ページの条件の該当状況が整理いただいたものになっております。
 次に45ページをお開きください。
 45ページには、諸外国におけます価格調整の対象範囲として、医薬品・医療機器について、その価格の決定方法を整理しているものでございます。御参照いただければと思います。
 46ページにお進みください。
 価格調整の対象範囲の在り方に関する論点をまとめているところでございます。
 まず、現状と課題につきましては、これまで御説明した内容をまとめております。
 論点といたしましては、これまでの費用対効果評価制度の実績を踏まえ、高額医薬品に関しては、費用対効果評価のより積極的な活用の観点から、拡張性範囲の条件の在り方についてどのように考えるか、提示させていただいております。
 次に47ページへお進みください。
 次の項目は「介護費用の取扱いについて」でございます。
 まず、48ページに専門組織からの御意見を載せております。
 まず「現状及び課題」として、介護費用の取扱いについては、国立保健医療科学院において諸外国での取組などの情報収集を行っているが、具体的な事例が少なく参考となる情報は限定的となっているといった御意見がございました。
 また、現行のガイドラインを記載しておりますが、まず、中段の囲みを見ていただければと思いますが、公的介護費を含める追加的分析を実施することができるとされているものの、下段の囲みにありますとおり、公的介護費や生産性損失を含めた分析結果は、費用対効果評価案の策定には用いないというのが現行のガイドラインとなっております。
 49ページには、これまでの議論をお示ししております。
 専門部会では、介護費用等を含めた社会的価値については、具体的事例がないことから慎重に検討していくべき。
 関係業界からの丁寧なヒアリング、専門家の意見を聞き、検証を進めるべきではないかといった御意見をいただいております。
 また、業界意見陳述におきましては、我が国において、引き続き研究を行うとともに、費用対効果評価に限らず、介護負担の軽減等を評価する仕組みを検討いただきたいといった御意見がございました。
 50ページには、費用対効果分析での介護費用の取扱いや、どの範囲を分析に含めるかにつきまして、現時点で把握できております諸外国の現状を整理したものをお示ししております。
 また、51ページ目は参考といたしまして、諸外国の公的介護制度について、分かる範囲でまとめたものをお示ししているところでございます。
 52ページにお進みください。
 介護費用の取扱いに係ります論点をまとめているところでございます。
 論点といたしましては、介護費用の分析の取扱いに関して、どのように考えるかという点を挙げさせていただいております。
 53ページにお進みください。
 最後の項目となります。「費用対効果評価の結果の活用について」でございます。
 まず、54ページでございますが、費用対効果評価の結果の活用に係るこれまでの議論、さらに56ページには、分析体制の充実に係るこれまでの議論についてまとめているところでございます。
 最後57ページ以降に関しましては、参考資料といたしまして、費用対効果評価終了品目と現在評価中のものの一覧を示しております。
 また、参考資料1から3までおつけしておりますので、適宜御参照いただければと思います。
 御説明は以上となります。
○飯塚部会長
 ありがとうございました。
 そうしましたら、ただいまの説明に関しまして、御質問等ございましたらお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 幾つか示された各論点について申し上げます。
 18ページ、比較対照技術の設定の見直し。
 24ページ、分析対象集団及び比較対照技術の設定の見直し。
 30ページ、費用対効果評価の品目指定の見直し。
 37ページ、分析プロセスの見直しについては、各論点に示されたとおりでよいと考えます。
 46ページ、価格調整の対象範囲の在り方については、本制度より積極的に活用するという事務局の提案については理解しますが、議論するには資料が不足していると考えます。調整範囲を議論するに当たり、費用対効果の対象となった品目が実際にどの分、例えば、どの加算、営業利益などで調整を受けたのかという点を確認する必要がないでしょうか。事務局において整理をお願いいたします。
 52ページ、介護費用の取扱いについて、介護費を含めた分析についての研究の状況を見て判断する必要があると考えます。
 私からは以上です。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 では、追加の資料等の御要望がありましたので、今後、御検討いただければと思います。
 森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 論点に示された進め方などについては、おおむね異論はございません。その上で、幾つか発言させていただきます。
 46ページ目の価格調整の対象範囲の在り方についてですが、価格引上げの条件については、業界の意見陳述にもありましたとおり、日本人を含むアジア人を対象とした集団において、統計学的に示されていることなど、現行の条件の一部撤廃による緩和は必要な対応と考えます。
 緩和によって、企業の新薬開発等にどのような影響があるのか、財源にどのような影響があるのかを見つつ判断していくもので、厚生労働省においては、関係団体の意見を踏まえて、具体的な対応の検討をお願いできればと思います。
 また、価格調整の対象範囲についてですが、その対象範囲を広げることについては、高額医薬品に該当するかどうかで調整範囲が変わってしまうため、影響が非常に大きくなります。
 ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスにつながらないよう慎重な検討が必要であり、もし広げる場合には、影響が大きくなり過ぎないよう、価格調整範囲自体の配慮や、引上げ幅や、引下げ幅の上限設定などの対応が必要と考えます。
 次に、52ページ目の介護費用の取扱いについてですが、今後の費用対効果評価における重要な視点になります。介護負担の軽減などは、多種多様な視点がございますので、具体的にどの範囲までを認めていくのかが適当なのか、どのような軸で線引きしていくのかなど、明確化は必要なものと考えます。
 このような視点を踏まえ、厚生労働省においては、関係業界と意見をすり合わせて、具体化できるよう準備を進めていただければと思います。
 私からは以上です。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。御意見承りました。
 引き続き、御意見、御質問等ございましたら、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 私も長島委員と同じような視点ですけれども、まず、価格調整の対象範囲については、もともとこの費用対効果をスタートしたときに、やはりこれから超高額の医薬品が出たときに、市場がどこまで拡大するか分からない、それに対して、安全弁としてつけるという意味があったと思います。
 ただ、現状はスタートしてまだ時間がたっていないので、調整幅がかなり小さいのですけれども、これからどんどん高額な薬剤等が出てきた場合には、やはりここが安全弁になるように、少し積極的に範囲を広げる事を、今後、検討すべきではないかと思います。
 一方で、今、長島委員がおっしゃったように、現状では、どこまで対象にすべきかというデータとしては、まだまだ不足しているところがあるかと思いますので、引き続き研究をしていただければと思います。
 2点目ですけれども、介護費用に関する件ですけれども、これも、今、長島委員等がおっしゃったように、私も現状ではまだ難しいのだろうと思いますけれども、ただ、これから高齢者医療がどんどん増えていく中で、単に画像でがんの腫瘍の大きさが半分になったとか、そういうデータも大事ですけれども、それよりも、この薬あるいはプログラム医療機器を使ったことによって、ADLがどこでまで改善したのか、改善しなかったのか、こういうアウトカムも非常に重要になってくると思います。
 ただ、これを数値化するのは、まだかなり難しいではないかと思うので、ここの場ではない話ですけれども、もう少し積極的にこの研究を進めるような予算措置も含めてやって頂き、いずれ医薬品等がADLにどう効果を上げたか、あるいは緩和ケアとしてどう効果が認められたかということも評価の対象にすべきということは、ぜひ前向きに積極的に研究していただければと思っています。
 以上です。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 引き続き、御意見、御質問等ございますでしょうか。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 具体的な議論の第1回目ということでもありますので、まず、費用対効果評価について、基本的な考え方について発言を最初にしたいと思います。
 私が属しております健保連としては、国民皆保険制度の持続可能性とイノベーションの評価を両立する観点、さらには費用を負担する立場から見て、納得性や合理性のある価格を設定する観点から、費用対効果評価は極めて重要な仕組みと認識しております。
 一定程度の事例や経験が蓄積されたことも踏まえて、令和6年度の制度改革において、専門組織からの意見も踏まえまして、踏み込んだ見直しを行ってもよい時期に来ているではないかと考えております。
 次に、個々の論点について発言させていただきます。
 18ページに示されております、比較対照技術の設定についてでございますけれども、1つの技術を設定するのが困難な場合の手順を、ガイドラインで明確にする方向性で進めていただくことについては、結構でございます。
 また、費用対効果がよくない比較対照技術が設定された場合に、一律にBest supportive careと比較することについては、手順の迅速化という観点で、慎重に考えるということもある程度は理解いたしますけれども、このBest supportive careとの比較が妥当なケースというのも考えられますので、これは個別に判断する余地というのを残しておくべきだろうと考えております。
 続きまして、24ページに示されております、分析対象集団の一部が分析不能となった場合の考え方でございますが、これも論点に示してあるとおりで異論はございませんけれども、企業の協力が得られない場合に、企業からその理由を提出してもらって、データの開示が、その後より進むような対応を検討する必要があると考えます。
 続きまして、30ページに示されております、品目指定についてでございますが、これも論点に示された方向性に異論はございません。
 1点、以前のヒアリングの場でも発言いたしましたけれども、指定難病や血友病、HIVであっても、費用対効果の評価が可能なものを、その対象とすることがあってよいのではないかと考えております。
 続きまして、37ページ、分析プロセスの見直しについても、論点に示された方向で進めていただきたいと思います。
 次に、46ページの価格調整範囲の条件の在り方でございますけれども、これについては、加算部分に限らずに、より広い範囲を調整の対象にすべきだと考えております。
 これまでも申し上げてまいりましたが、費用対効果評価の結果を保険償還の判断に用いないということであれば、費用対効果が同等になるように価格調査をすべきだということを改めて強調したいと思います。
 最後に、52ページの介護費用の取扱いでございますが、研究自体は進めるべきであると考えますけれども、それが技術的に可能だとしても、介護費用の軽減を医療保険の財源を使って評価することが、果たして妥当なのかという根幹の考え方に関わるところでございますので、深い議論が必要でございます。
 そういうことからしますと、現時点では少し現実的ではないと指摘をさせていただきます。
 この件に関しては、少し事務局に確認なのですけれども、52ページの現状の一番上に、分析が行われていないということが記載されておりますけれども、この行われていない理由が、情報とかデータの不足によるものなのか、例えば、研究の手法とか方法によるものなのか、もし、把握されておれば、御教示いただきたいと思います。
 私からは以上になります。
○飯塚部会長
 ありがとうございました。
 御質問をいただいておりますけれども、事務局から、いかがでしょうか。
○木下医療技術評価推進室長
 参考人の方から、御発言を求めてもいいでしょうか、福田参考人のほうから。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 そうしましたら、もし、参考人の委員からコメント等、もし、ございましたら、いただけますでしょうか。
○福田参考人
 参考人の福田でございます。
 御指示は、今、最後に御指摘いただいた介護費用を含めた分析が行われていない理由に関してかと理解しましたが、よろしいでしょうか。
○飯塚部会長
 お願いいたします。
○福田参考人
 ありがとうございます。
 これまでの品目の中で、確かに介護費用の分析というのはされていなくて、理由としては、まず、これを含めた分析が基本分析として意思決定に関わるものではないというところがあると思いますが、それ以上に、これまで選ばれた疾患の中で、特に介護費用への影響を考慮するような考え方を企業のほうで取る品目がなかったということかと理解しております。
 以上でございます。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 松本委員、そちらでよろしいでしょうか。
○松本委員
 たまたま対象品目がなかったということで、理解をいたしましたので、ありがとうございました。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 そうしましたら、安藤委員、お手が挙がっております。よろしくお願いいたします。
○安藤委員
 ありがとうございます。
 全体の論点の方向性につきましては、異論はございません。その上で何点か意見を述べさせていただきます。
 まず、37ページにつきまして、費用対効果評価の分析評価の流れに際して、人員不足や様式上の制約等の理由で、十分な議論ができないという事態は避けるべきであると考えております。
 安易に分析できないと名乗り出る企業が続出しないようにする必要はあるものの、人員不足等の理由で分析が難しい場合に、企業から企業分析ができないことを申し入れるプロセスを新たに設置することや、意見様式の見直しについては、前向きに検討してもよいのではないでしょうか。
 続きまして、39ページに諸外国の事例も参考にしながら、価格調整の対象範囲の在り方について検討する必要があるのではないかとの意見がございますが、日本と同様に、加算部分のみを価格調整の対象範囲としている国はあるのでしょうか。少なくとも45ページに掲げられた国は、日本とは異なる制度を採用しているように思われますが、事務局のほうで、もし、具体的な例を把握しているのであれば、御教示いただければ幸いでございます。
 次に、48ページの介護費用の取扱いにつきましては、医療・介護の連携という観点から、また、全体的な医療費の適正化の観点からも、今後、分析の余地はあると考えられます。
 資料にありますとおり、介護データベースの蓄積や活用が進むよう、国におかれましては、医療DXのみならず、介護DXも着実に進むような態勢を整えていただきたいと思います。
 最後に56ページの分析体制の充実についてでございますが、少子高齢化の中で限られた医療資源を最大限効率的、効果的に活用していくためには、データ分析に基づく政策形成が必要不可欠であると考えております。
 協会としましても、私どもの社内でございますが、研修の充実やマニュアルの提供を通じ、職員の分析能力向上に取り組んでおります。
 資料にありますとおり、公的分析の結果を研究分析として扱うことや、さらなる人材育成への支援について、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。
 以上です。
○飯塚部会長
 ありがとうございました。
 御質問をいただいておりますが、では、事務局からお願いいたします。
○木下医療技術評価推進室長
 事務局でございます。
 価格の調整の範囲に関しましての御質問だったかと思いますが、45ページにお示ししております、医薬品の価格の決定方法そのものが、各国が日本と大きく違っているということで、こちらに今、お示ししている範囲の中には、日本と同じような形で取っているというところは、事務局として把握していないところでございます。
 また、福田参考人からも、もし、補足がありましたらお願いできればと思います。
○飯塚部会長
 福田参考人。
○福田参考人
 福田でございます。
 今、事務局からあったとおりで、私も承知している範囲であれば、この類似薬に加算をするという形式は、日本独自の薬価算定方式ですので、諸外国の制度において、その加算部分といった考え方を取っている国はないものと理解しております。
○飯塚部会長
 ありがとうございました。
 安藤委員、よろしいでしょうか。
○安藤委員
 はい、了解いたしました。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 そうしましたら、島委員、お手が挙がっております。よろしくお願いいたします。
○島委員
 ありがとうございます。
 長島委員、それから、池端委員の意見に全く同感でございます。各論点に関しましては、このようにまとめてられておることに関しては、同意いたします。
 43ページにございます、価格引上げのといったところでございますが、このドミナントといったところの最初の現行の在り方、比較対照品目に対して効果が増加し、費用が削減されるといったものがドミナントの考えと思いますが、この2番目のICERが200万円以下というのが、この区別しているところの説明を、できればお願いしたいということと、こういうドミナントと評価された品目に関して、あえて価格を引き上げるというよりも、むしろ学会等を通じて、非常に評価が高いということを報告する形のほうが、非常に対応としてはいいのではなかろうかと考えております。
 それから、介護費用に関しましては、これからの研究の中身によると思いますが、どういった項目を評価するかといったところまで言及していただければ、ありがたいかなと思います。
 以上でございます。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 ICERについて、200万円の閾値について御質問がありましたけれども、こちらは事務局、いかがでしょうか。
○木下医療技術評価推進室長
 事務局でございます。
 43ページは、ドミナントとICER200万未満で差を設けてする理由としましては、やはり費用が削減される効果とQALYが少額であるということに関しましては、考え方を分けて整理したほうがいいということで、こういった引上げの条件をそもそも設定したものと認識しております。
 また、ここに関しまして、もし、様々な御意見をいただければというところではあろうかと思いますが、現行、この制度を導入したタイミングでの考え方の差としては、そのように設けているのかと思います。
 また、ドミナントに関しましては、学会等でこういった方策、薬剤、機器等の活用を促してはということでございますが、その費用、価格を変更する考え方と、別に相反するものではないということで、学会のほうでも御協力が得られるということであれば、そういうものの使用を促すということは、1つの方策かなと思います。
 ありがとうございます。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 そのような形でよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 ほかには、御質問、御意見等ございますでしょうか。
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 先ほど松本委員がおっしゃった中で、介護費用に関してのこと、地域でやっている医療の評価に対して、介護についての評価を連動させるのは、少し違和感をという御発言があったかと思います。
 もちろん、単純に考えれば、当然、中医協で議論するものは医療、介護保険は介護給付費分科会で、その評価はあるべきということは分かりますけれども、ただ一方で、これは総会マターになるかもしれませんけれども、高齢者医療を考えると、医療の目的は、確かに生命を守ることが一番、介護は生活を守ることが一番ですけれども、医療も介護も、その先にある高齢者医療というのは、高齢者がいかにいい人生を送っていただくか、そのために医療として何ができるか、介護として何ができるか、最終的なアウトカムは、その方がACPに基づいたすばらしい人生を全うしていただけるかというところ、そこをゴールと考えれば、医療がそこに対して、何か貢献していることに対しては費用対効果も見る、そういうことを考えてもいいのではないか、特に高齢者医療に関しては、そういうこともあるのではないか、これは私の私見なのですけれども、感じています。
 それがどこまで、この費用対効果制度に落とし込めるかどうか、まだ夢物語かもしれませんけれども、そういう目で医療を見るということも、これからは必要ではないかということを、個人的な意見として言わせていただきます。
 以上です。
○飯塚部会長
 ありがとうございました。
 それでは、専門委員からも御意見等がありましたら、お願いできればと思います。
 石牟禮委員。
○石牟禮専門委員
 石牟禮でございます。
 本日は特にございません。ありがとうございます。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 守田委員、よろしくお願いします。
○守田専門委員
 守田でございます。発言の機会をいただき、ありがとうございます。
 新しい医療へのアクセスを迅速にするために導入されました、費用対効果の仕組みにつきまして、上市後に分析評価が行われて、価格の見直しが行われるということは、非常に重要であると認識をしております。
 一方、公的分析、そして企業分析ともに、その負担は非常に大きいという指摘もございます。
 今回の論点には、分析、そして評価の方法等についても考慮がなされておりまして、今後、その状況や特性を踏まえながら、柔軟に御議論いただければと考えております。
 以上です。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 そのように進めてまいりたいと思います。
 ほかには、御質問、御意見等ございませんでしょうか。
 よろしいですか。ありがとうございます。
 そうしましたら、ほかに御質問等もないということでございますので、本件に係る質疑は、このあたりとしまして、今後、事務局において、本日いただいた御意見も踏まえて、御対応いただくということでお願いしたいと思います。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡をいたします。
 それでは、本日の費用対効果評価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

(了)
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