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2023年8月2日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第63回議事録

○日時

令和5年8月2日(水)9:00~

 

○場所

日比谷国際ビル コンファレンススクエア 8F

○出席者

飯塚敏晃部会長 安川文朗部会長代理 小塩隆士委員 
安藤伸樹委員 松本真人委員 高町晃司委員 眞田享委員 鈴木順三委員 
長島公之委員 江澤和彦委員 島弘志委員 林正純委員 森昌平委員
石牟禮武志専門委員 守田恭彦専門委員 前田桂専門委員
<参考人>
福田敬参考人 池田俊也参考人
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他

○議題

○業界からの意見陳述

○議事

○飯塚部会長
 ただいまより、第63回「中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会」を開催いたします。
 本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、本日の委員の出欠状況について報告をいたします。
 本日は、末松委員、笠木委員、池端委員、赤名専門委員が御欠席です。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 今回は、関係業界からの意見聴取を行いたいと思います。
 関係団体としまして、日本製薬団体連合会、日本製薬工業協会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会、日本医療機器産業連合会、日本医療機器テクノロジー協会、米国医療機器・IVD工業会、欧州ビジネス協会 医療機器・IVD委員会より、意見を聴取したいと考えております。
 それでは、早速、意見陳述に移りたいと思います。
 まず、関係団体の皆様よりプレゼンテーションしていただき、その後に質疑とフリーディスカッションを行いたいと思います。
 関係団体の皆様は、最初に自己紹介を行った上で、プレゼンテーションをお願いいたします。
 それでは、まず医薬品に関連する4団体より、まとめてプレゼンテーションをお願いいたします。
○上野日本製薬工業協会会長
 皆さん、おはようございます。日本製薬工業協会の会長を務めております上野と申します。
 本日は、このような意見陳述の機会をいただき、誠にありがとうございます。
 本日は、日薬連、製薬協、PhRMA、EFPIAの4団体を代表いたしまして、製薬協の上野から費用対効果評価制度に関する業界意見を述べさせていただきます。
 本日は、PhRMAより原田在日執行委員会員、EFPIAより諸岡理事長に御参加いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の資料2コマ目を御覧ください。
 費用対効果評価制度については、本年3月の中医協総会資料にありますように、2019年の4月から運用が開始されており、その対象としては、医薬品・医療機器において市場規模が大きい、または著しく単価が高い製品とされております。ただし、治療法が十分に存在しない指定難病などの希少疾患、小児のみに用いられている品目については、対象外とされております。
 また、その評価の結果については、保険償還の可否の判断に用いるのではなく、薬価制度を補完する仕組みとして価格の調整に用いられると述べられており、私どももこのような基本認識を持っております。
 本制度が導入されて5年目を迎えることを踏まえ、令和6年度費用対効果評価制度の見直しに向けた業界の考え方をこのページの下に2点記載させていただいております。
 まず1点目としては、製薬業界としては、2019年の制度化以降、安定的に制度が運用されており、令和6年度の制度見直しについては、基本的な枠組みは変える必要はないと考えております。
 そして2点目として、その上で、これまで積み重ねられていた評価結果、専門組織の議論で明らかになった個別の課題への対処を行うべきと捉えております。
 このような基本認識の考えの下、以下のページから業界の要望について述べさせていただきます。
 3コマ目を御覧ください。
 まず、業界からの要望を述べるに当たって、それに先立ち、私どもの要望が費用対効果評価全体のどのプロセスに関連するものかということを示すために、このように掲げております。
 今回の私どもの要望は5点あります。
 1点目は、品目指定の運用における対象除外品目、技術の範囲について。
 2点目は、分析の枠組みの決定における比較対照技術の選定について。
 3点目は、総合的評価における配慮基準におけるQALYでは捉えられない要素について。
 そして4、5点目は、価格調整の範囲の在り方、運用についてです。
 それでは、以下のページから1つずつ詳細を述べさせていただきます。
 4コマ目を御覧ください。
 今回の我々の要望の中には、7月12日の専門組織意見書に関連する事項もあり、それらに関する要望につきましては、資料の右上に記載させていただいております。
 まず第1点目、品目指定の運用見直しについての意見です。
 品目指定については、費用対効果評価のルールにおいて、指定難病、血友病及びHIV感染症のみに使用される品目、小児のみに用いられる品目は評価対象除外基準で定められております。
 一方、希少疾病用医薬品は評価対象除外基準には入っておりません。しかしながら、指定難病と同様に、希少疾病用医薬品は、患者数が本邦においては一定の人数に達していない稀少な疾患であり、治療方法が確立していない疾患を対象としているにもかかわらず、費用対効果評価では特段の配慮はなされておりません。
 これらを踏まえまして、業界からの意見としては、希少疾病用医薬品については、指定難病と同様に、評価の対象から除外すべきであると考えております。
 次に5コマ目を御覧ください。
 分析枠組みの決定の際の比較対照技術の適切な選定についての意見です。こちらも専門組織意見書に関連する事項です。
 費用対効果評価の分析ガイドラインにおいて、比較対照技術については、臨床的に幅広く使用されており、評価対象技術によって代替されると想定されるもののうち、治療効果がより高いものを一つ選定することが原則的な考え方であるとされております。
 しかしながら、現状では、ガイドライン上はこのような記載ではございますが、これまでの分析、報告された品目の中では、本来考慮されるべき臨床での使用実態があまり考慮されていない事例も散見されております。例えば分析ガイドライン4.1.3の「費用対効果の程度等」という記載を根拠に、「最も安価なもの」という理由で比較対照技術が選定された事例が報告書議事録で確認されております。
 これらの状況を踏まえまして、業界からの意見としては、比較対照技術の選定については、原則である実臨床において幅広く使用され、評価対象技術によって代替される医療技術が比較対照技術に選定される必要があると考えております。
 また、分析前協議及び専門組織の議論においては、企業が示すデータや臨床の専門家等の意見を十分に考慮していただければと思います。
 続きまして、6コマ目を御覧ください。
 次は、総合的評価の際の評価運用の見直しについての意見で、こちらは専門組織意見書にはない業界からの意見となります。
 費用対効果評価は、主に有用性加算を取得した品目について実施されております。そして、最終の評価となる総合的評価においては、ICERでは品目の有する価値を十分に評価できない品目については、開発阻害やアクセス制限につながる可能性が否定できないため、一定の配慮を行うこととなっております。
 しかしながら、現状においては、例示した7品目については価値を十分に評価できないために一定の配慮を行うべき品目であるにもかかわらず、実際には配慮されなかったという事例であり、問題があると考えております。
 例えば加算根拠の中で、海外におけるガイドラインで評価されている標準的治療法の要素は、QOL値では十分に評価できないと考えております。また、投与回数の減少、投与時間の大きな短縮などの利便性もQOL値では十分に評価できないと考えております。
 これらの状況を踏まえまして、業界からの意見としては、QALYでは捉えられない標準的治療法、利便性の要素が有用性加算で評価された品目について、総合的評価において一定の配慮がされるべきと考えます。
 続きまして、7コマ目を御覧ください。
 次は、価格調整範囲の在り方についての意見です。こちらは専門組織意見書に関連する事項です。
 費用対効果評価のルールにおいて、価格調整範囲は、中医協での議論の結果、類似薬効比較方式において算定された品目では、有用性加算に相当する部分が価格調整の対象範囲とされています。
 また、原価計算方式では、原価の開示度により有用性加算部分、営業利益率の部分が価格調整の対象範囲とされております。
 こういった基本認識の下、業界の意見としては、費用対効果評価は薬価制度を補完する位置づけである点から、価格調整の対象範囲を拡大するべきではないと考えております。
 次、8コマ目を御覧ください。
 こちらは価格調整の在り方についての意見です。こちらも専門組織意見書にはない業界からの意見となります。
 費用対効果評価のルールにおける価格調整は、結果に応じて費用対効果の悪い品目は価格を下げ、医療費の減少につながる品目等は価格を引き上げることが基本的な考え方となっております。
 そのような中、現状を見れば、分析が行われた品目については、費用対効果に優れる結果となった場合でも、厳しい価格引上げの条件のために、価格調整には反映されていない仕組みとなっております。
 2019年の制度化以降、評価が終了したH5品目を除く17品目中6品目は費用対効果に優れる結果が示されましたが、Appendixの21コマ目に書かれておりますように、薬理作用等が比較対照技術と比べて著しく異なること等の厳しい基準によって、価格調整には反映されませんでした。
 このような状況を踏まえまして、業界の意見としましては、現行の価格引上げに必要な条件は厳し過ぎるため、撤廃あるいは緩和を検討すべきと考えております。
 続きまして、9コマ目を御覧ください。
 これまで申し述べました要望5点でございますけれども、それ以外の要望をその他意見としてこちらにまとめさせていただいております。
 その他意見としては、専門組織意見書に記載がありました費用対効果評価の品目指定についての意見でございます。ここでは既に上市された品目の中で、新薬薬価収載時に指定基準を満たさなかった品目について、上市後の市場拡大に伴う費用対効果評価の該当性については既に各種算定の仕組みがあるため、費用対効果評価を改めて行う必要はないと考えております。
 また、その他の分析ガイドラインの改訂、基準値の配慮要件、介護費用の取扱いについては、資料に記載のとおりでございます。
 続きまして、10コマ目を御覧ください。
 こちらが本日最後のスライドとなります。
 このスライドでは、本日お話しいたしました費用対効果評価制度に対する業界意見の5点についてまとめさせていただきました。
 改めてのお話となりますが、1点目としては、品目指定の運用における希少疾病用医薬品については、指定難病等と同様に費用対効果評価の対象から除外すべきであるという点。
 2点目は、分析の枠組みの運用において原則である実臨床において幅広く使用され評価対象技術によって代替される医療技術に基づいて、比較対照技術が選定される必要があるという点。
 3点目は、総合的評価において、配慮基準については、QALYでは捉えられない要素が評価された品目については配慮されるべきという点。
 4点目としましては、費用対効果評価は薬価制度を補完する位置づけであるために、価格調整の対象範囲を拡大させるべきではないという点。
 そして最後、5点目としましては、現行の価格引上げに必要な条件を撤廃、緩和すべきであるという点でございます。
 以上、日薬連、製薬協、PhRMA、EFPIAを代表いたしまして、費用対効果評価制度に関する業界の意見を述べさせていただきました。
 どうも御清聴ありがとうございました。
○飯塚部会長
 ありがとうございました。
 それでは、次に医療機器に関連する4団体よりまとめてプレゼンテーションをお願いいたします。
○高木日本医療機器産業連合会副会長
 おはようございます。
 日本医療機器産業連合会副会長を務めます高木でございます。
 本日は、医療機器業界として意見を述べる機会を頂戴し、誠にありがとうございます。
 時間も限られますので、早速資料のほうを御覧いただきたいと思います。
 本日は、日本医療機器産業連合会、日本医療機器テクノロジー協会、米国医療機器・IVD工業会、欧州ビジネス協会4団体の意見として述べさせていただきます。
 2ページを御覧ください。
 制度化以降、医療機器では3品目が対象となり、うち2品目の評価結果が6月14日の中医協において報告されたところでございます。評価が終了した2品目については、残念ながら非常に厳しい評価結果となったわけですが、これら2事例において、従前より業界が繰り返し訴えてきました医療機器の特性に起因する課題が顕在化したものと受け止めております。
 結論から申しますと、現在の費用対効果評価制度は、医療機器が社会に提供する多様な価格、価値を十分に反映できるものになっていないのではないかと理解をしております。
 本日は、2品目の評価結果及び医療機器の特性について改めて御説明申し上げた上で、医療機器の費用対効果評価に関わる課題とそれに対する改善要望を申し述べたいと思います。あわせて、7月12日の費用対効果評価専門部会にて御提示のあった費用対効果評価の専門組織意見書に対する医療機器業界の見解についても申し述べたいと思います。
 3ページを御覧ください。
 まず、専門組織意見書において、医療機器の特性に応じた評価の在り方について検討を進める必要があるのではないかと言及をしていただいたことに感謝を申し上げます。日本の制度環境に即した医療機器の分析並びに評価の在り方が確立されることを期待いたします。
 右下にありますように、福田先生による厚労科研報告書には、RCTが少ないことを踏まえたエビデンスの考え方や習熟カーブの取扱い、高額医療機器の設置費用の取扱いなどについて指摘がなされておりました。
 これらを考慮する上で、多様な医療機器の特性を具体的に把握する必要があると考えており、これを担保する観点から、検討過程に業界が関与できるようにしていただきたいと考えております。
 続きまして、当該の2品目の事例並びに改善要望につきまして、AMDDの綿貫委員長より御説明をいたします。お願いいたします。
○綿貫米国医療機器・IVD工業会保険委員会委員長
 米国医療機器・IVD工業会保険委員会委員長の綿貫でございます。
 それでは、4ページを御覧ください。こちらは脊椎内固定器具の事例です。
 本品は、最終的アウトカムを有意に低下させるデータを示して、保険収載時に5%の加算が認められました。
 一方、費用対効果評価においては、指定された比較対照品に対する比較研究がないことから、エビデンスに乏しいとして費用最小化分析にて評価が行われました。
 このように、対象品目は異なるが構造的特性が類似であり、高い蓋然性を持って追加的有用性が見込める場合においても費用最小化分析と判断されるのであれば、多くの植込み医療機器は同様の評価になることが想定されます。
 続いて、5ページを御覧ください。こちらはリードレス心臓ペースメーカーの事例です。
 本品は、臨床上有用な新規の機序を有するとして、保険収載時に10%の加算が認められました。
 一方、費用対効果評価においては、長期のデータがないことから、QOL値の差分はないとされました。企業は、QOL値の差分につながる事象として、行動制限や不安感の低減を説明しましたが、認められませんでした。
 医療機器では、QOL値データが存在せず、一定程度の蓋然性に基づく過程を踏まえて分析をする場合があると考えることから、結果に対するより詳細な説明と丁寧な議論が必要と考えております。
 6ページを御覧ください。
 現在のプロセスでは、公的分析班やC2Hが有する科学的知見や評価方針について企業が理解を深めること、及び対象品目の臨床環境やアウトカムへの影響、エビデンスの状況等を公的分析班やC2Hの皆様により深く理解していただくこと、これらが難しいと考えております。
 7ページを御覧ください。医薬品との比較を御説明いたします。
 医療機器は品目数が多く、売上規模が相対的に小さいことから、製品ごとに試験を実施する余力が小さく、短期間に製品に置き換わり、比較研究も行いにくい状況でございます。
 また、開発プロセスにおいては定まった評価方法がなく、RCTによる優越性評価だけではなく、個別のリスクアセスメントが行われる場合もあり、必ずしも類似技術の比較試験が求められません。
 加えて、医療機器は主に医療従事者が使用し、医師の技術に影響を受けるほか、海外と使用方法が異なる場合もあります。
 8ページを御覧ください。
 前述しました医療機器の特性を踏まえ、評価プロセスに関わる改善要望をAからEとして御説明させていただきます。
 9ページを御覧ください。
 まずA、C2H及び公的分析班とのコミュニケーションについての課題です。
 1点目として、分析前協議の内容と時間が限られているため、どのような分析手法やパラメータの推定方法が受け入れられるのか確認できないまま企業分析を行う場合がございます。
 2点目として、医療機器の2事例では、公的分析班の報告書提示から専門組織3の総合的評価までの期間が短く、内容を十分に評価することができませんでした。
 3点目として、公的分析班との質疑応答が書面のみのため、公的分析班の考えを適切に理解することや企業分析の真意を理解していただくことが困難でございました。
 10ページを御覧ください。
 先ほどの課題に対し、3つの改善を要望させていただきます。
 改善要望1として、比較試験が存在しないことが明らかな場合などは、必要に応じて分析前協議の対象と時間を拡大して、パラメータの推定方法等について協議させていただくことを希望いたします。
 2として、専門組織2及び3の前に、事実確認等を目的として公的分析の結果を確認できる機会を希望いたします。
 最後に3として、公的分析班と直接的なやり取りができることを希望いたします。例えばPMDAの電話相談のように、分析手法やエビデンスの適切性について質問したり、公的分析班からの質問に直接御説明できるようなものを想定しております。
 11ページを御覧ください。
 次にB、分析の流れについての課題です。
 公的分析の指摘を受けて、企業がやり直しをしたいと考えても、分再提出をすることができません。また、分析前協議の時点では認識されなかった課題が明らかになるなど、丁寧な説明が必要な場合でも、3か月以内という制約があるため、十分な説明の時間を確保できない可能性がございます。
 そこで、改善要望1として、公的分析の指摘を踏まえて企業がやり直しをした場合、再提出が可能となるということを希望いたします。
 また2として、公的分析の指摘に対して丁寧な議論がなされるよう、必要に応じて公的分析期間の延長を検討していただくことを要望いたします。
 次に、12ページを御覧ください。
 Cの総合的評価に関する課題です。医療機器の臨床試験は単群試験が多く、追加的有用性がないと評価される場合がございます。また、十分なQOL値データがなく、ICERの不確実性が高く、低侵襲手術時にはQOL値に直接影響を及ぼさない便益が多くなります。このような状況において、医療機器のエビデンスの実情が考慮されず、医療機器の価値が適切に評価されない可能性があると考えております。
 13ページを御覧ください。
 課題を踏まえた総合的評価の改善要望です。
 保険適用値は高い蓋然性を持って臨床的有用性が認められたにもかかわらず、費用対効果評価では、エビデンスが不足するという製品については、価格調整における配慮を総合的評価で御検討いただきたいと考えております。例えば保険適用と費用対効果で比較対照技術が異なり、かつ、十分な臨床データが存在しないものなどが考えられております。
 次に、14ページを御覧ください。
 D、価格調整に関する課題です。
 費用最小化分析では、価格調整における配慮が行われない場合がございます。
 そこで、改善要望として、費用最小化分析の価格調整係数に配慮が必要なものの区分を設けて、緩和した調整係数を設定することを要望いたします。
 次に、15ページを御覧ください。
 E、分析及び評価の実施についてです。
 課題の1つ目として、医療機器の費用対効果分析は技術的に難易度が高いことから、社内において人材が少ない企業では分析の遂行が困難な場合がございます。医療機器の費用対効果評価は諸外国でも経験が少なく、求められる水準の知識、経験を持つ人材が限られます。また、材料価格制度など医療機器の特性を理解している分析業者が少ないことも挙げられます。
 これらを踏まえて、改善要望1として、分析人員が不足する場合についても、分析不能として御審議いただきたいと考えております。
 16ページにプロセスフロー図をお示ししております。
 中ほど黄色い部分、企業より分析不能を申し出た場合は、専門組織において公的分析結果を用いるか、最も低い価格調整ケースとするかを御審議いただくことを想定しております。
 17ページを御覧ください。
 課題の2つ目として、H3区分のいわゆる再評価はC2Hの意見による指定のみとなっております。企業自ら希望することはできません。企業がエビデンス不足等で低い評価を受けた後、積極的にエビデンスの創出や専門的人材の配置などの投資を行っても、再評価の機会がないとこれら投資の回収ができません。
 このようなことから、改善要望2として、H3の指定プロセスに企業の申出によるものを追加していただくことを要望いたします。
 18ページを御覧ください。
 専門組織意見書に対する業界見解のうち、2点ほど企業の意見を述べさせていただきます。
 まず、価格調整の対象範囲の在り方について検討の必要があるのではないかとの御意見に対しては、医療機器の事例がまだ2品目のみと十分でないため、拙速な価格調整対象の拡大は行うべきではないと考えております。本意見書にもありましたとおり、医療機器の費用対効果評価の在り方は引き続き検討されると理解しており、価格調整対象の拡大は、類似品よりも低い価格に引き下げる可能性があると考えております。これは日本はイノベーションを否定するというメッセージにもなりかねず、企業としては懸念をしております。
 続いて、19ページを御覧ください。
 公的結果を公的刊行物等に掲載するなどの公的分析の体制を充実させる方向性については賛同した上で、さらなる質向上のための踏み込んだ取組を期待しております。例えば公的刊行物に掲載する場合は、ホームページに公開されている企業提出の分析結果についても掲載いただきたいと考えております。また、公開された分析結果を基に、よりよい分析の在り方について、幅広な意見交換の場をぜひ設けていただきたいと考えております。
 20ページを御覧ください。
 まとめとして、さきに述べた改善要望及び専門組織の意見に対する見解を記載させていただきました。
 私からの説明は以上となります。
 最後に、AMDD小川会長より発言させていただきます。
○小川米国医療機器・IVD工業会会長
 米国医療機器・IVD工業会会長の小川でございます。
 21ページを御覧ください。
 医療機器業界としてこのような機会をいただけたことに、まず改めて感謝申し上げます。
 冒頭、高木副会長からもお話がありましたが、今回評価が完了した2品目についても、最も大きい価格引下げとなったことを受けて、業界としては本制度の運用について大変憂慮をしております。
 費用対効果評価制度は単なる価格引下げのツールではなく、価値に見合った価格を明らかにする仕組みだと信じております。材料価格制度を補完する本制度の改変により、日本市場にとってネガティブなメッセージを発することがないよう、慎重な御議論をお願いしたいと存じております。
 2つ目のポツですけれども、日本においては、薬事承認と保険償還が行われた後、費用対効果評価が行われるわけですが、医療機器では薬事承認に臨床試験を求められることが少ないということで、企業としては、費用対効果評価を念頭に置きつつ、いつ、どの製品について、どのようなエビデンスをつくっていくのか、そのためにどのような人材を配置、育成するのかといった難しい判断が求められております。そのような中、費用対効果分析の体制構築や質向上に企業が前向きに取り組めるよう後押しするプロセスをぜひ御検討いただきたいと思います。
 3つ目のポツです。一方で、企業規模や開発状況などから、必ずしも十分な準備の下、分析に臨むことができない企業もあると思われます。そのような企業にとって、過度な負担となったり、製品開発の意欲をそぐことがないよう、御配慮いただきたいと思います。
 最後、4つ目のポツですが、費用対効果評価制度の本格実施から4年が経過したとはいえ、医療機器についてはまだ2品目しか経験がございません。医療機器の費用対効果評価は世界的にも事例が少ないため、業界あるいはアカデミアにもノウハウが蓄積されていないと伺っております。今般、専門組織から医療機器の特性に応じた評価の在り方について御提言いただいたことは、業界としては大変心強く思う次第です。
 医療機器が社会に提供する多様な価値を適切に評価に反映できるよう、医療機器の特性に応じた評価の在り方について検討を進められる際には、ぜひ業界としても貢献していきたいと考えております。
 陳述は以上でございます。本日は誠にありがとうございます。
○飯塚部会長
 ありがとうございました。
 一通り御説明をいただきましたので、これより質疑及びフリーディスカッションに移りたいと思います。いかがでしょうか。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 関係業界から意見をありがとうございました。
 安定的に運用されていると評価している医薬品側と、ようやく2品目の評価が終わったところの医療機器では、議論の前提が異なっていると受け止めました。したがって、制度としてベーシックなところは共通的に議論できるとしても、医薬品と医療機器の違いに根差した制度設計の細かいところについては、別々に議論することも可能ではないかと思います。
 それでは、まず医薬品業界の意見について、資料10ページのまとめに沿って質問とコメントをさせていただきます。
 1、品目指定の運用として、希少疾病用医薬品については評価の対象から除外することを提案されていますが、これは費用対効果の結果、薬価が引き上がる可能性がある場合も含めて除外することを提案されているのでしょうか。教えてください。
 2、分析の枠組みの運用では、最も安価なものという理由で比較対照技術を選定すべきではないという提案がなされています。しかし、ガイドラインでは、比較対照技術を一意に決めることが難しい場合は、無作為化比較試験等における比較対照技術、価格算定上の類似技術、費用対効果の程度等も考慮して、最も妥当と考えられる費用対象技術を両者の協議により選定するとされています。したがって、専門組織としては、価格面だけではなくて総合的な観点から判断されているはずと考えますので、この点については専門組織の御意見も伺いながら検討していく必要があると思います。
 3、総合的評価における配慮基準については、QALYで捉えられない要素も総合的評価として配慮すべきという御提案ですが、長い議論の末、定められた費用対効果は、QALYに基づいて評価するという原則を変えるものであり、また、薬価上の評価の違いが曖昧になってしまうのではないかという印象を受けますので、慎重な検討が必要ではないかと考えます。
 4、5、価格調整の範囲の在り方、運用ですが、価格調整の範囲につきましては、外国価格調整が価格全部を対象にしているのに、費用対効果は限定していることの違いを業界はどのように考えていらっしゃるのか、コメントいただければ幸いです。
 次に、医療機器業界の意見についてです。
 医療機器については、これまで2品目しか検討されておりませんので、今後もう少し事例数が増え、経験を積み重ねることで、国立保健医療科学院とのコミュニケーションなども効率化していくことが考えられます。
 また、企業分析に必要な人員が不足する場合には分析不能としてよいとする御提案もなされていますが、こういった点も今後、分析のノウハウが蓄積されることで、状況が変わってくる可能性もあるのではないかと思います。以上、事例や経験の蓄積が今後必要かつ有用な段階ではないかと思われます。
 1つ質問いたします。医療機器の承認や価格づけの最近の流れを踏まえますと、公的分析班とのコミュニケーションの行き違いや医薬品との違いを感じることはあるでしょうか。
 私からは以上です。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 そうしましたら、幾つか御質問等をいただいておりますので、もしよろしければ各団体から御回答等、この段階でありましたらお願いいたします。
○上野日本製薬工業協会会長
 御質問並びに御意見、どうもありがとうございました。
 それでは、今、長島委員からいただいた御質問等につきまして、製薬協の上野のほうからまとめて答えさせていただきます。
 時間も限られておりますので、ポイントとなるところだけになるかもしれませんが、その点、御容赦ください。
 まず、1点目でございます。私どもとしては希少疾病用医薬品についても除外対象にするべきではないかということに対して、その評価の結果プラスになることも踏まえてそのような意見かという御質問だったと思いますけれども、簡潔に申しますと、そのとおりでございます。
 2点目は御意見だと受け止めておりますけれども、分析の枠組みにおける対照技術の選定は、実臨床で幅広く使用された技術について、総合的な観点という原則であることは我々も十分承知しております。ただ、実際の運用を見てみますと、Appendixの16コマ目で、これは一例でしかないかもしれませんが、例えばGLP-1のアゴニスト、抗糖尿病薬の評価のときに用いられた比較対照技術でございます。ここは基本的には3種類です。
 まず、DPP-4とSGLT2が併用されているもの、BとしてはSGLT2のうち最も安価なもの、CとしてはGLP-1になりますが、この中でBのSGLT2の中で選ばれましたのは、グリーンのルセオグリフロジンです。実際にSGLT2のシェアを見ますと、ルセオグリフロジンが極めて少ないシェアにもかかわらず、この品目が選ばれています。結果として、この品目が一番価格が安いということではあるのですが、広く使われているというものであれば、もう少しシェアが広いものから選ばれるのが適当ではないか。これは一例かもしれませんが、こういった事例が幾つか散見されるということでございます。
 3点目でございます。QALYでは捉えられない要素があるということで、総合的評価において評価指標を見直すべきという点について、原則を変えるものではなく慎重な判断が必要というのはまさにそのとおりだと思いますが、実際にこちらにつきましてはAppendixの17ページを御覧ください。そもそも有用性加算におきましては、上のイ、ロ、ハ、ニといった点で加算の評価がされておりますけれども、一方で、費用対効果の評価におきましてはQALY、すなわち下のEQ-5D-5Lに書いてあるような、移動の程度とか、身の回りの管理とか、ふだんの行動、痛み、不安等の観点が評価されており、有用性加算で評価された観点とはかなりポイントが違います。これは薬によって異なるかもしれませんが、こういった差異があるということを踏まえて、改めて私どもとしても慎重な判断、評価が必要だということについては異論がございません。
 そして4点目、費用対効果評価の価格調整範囲を変える点でございます。そもそも費用対評価効果につきましては、有用性加算において加算の内容が妥当であるかどうかを評価する制度だと考えており、それをさらに薬価本体に広げるということ自体については、特に薬価本体においては薬価制度で決められた薬価部分を改めて見直すことになり、制度としてもそれは不整合が生じるのではないか、このような考えに基づいて、有用性加算部分のみについて評価の対象にすべきという点でございます。
 以上、私のほうからお答えさせていただきました。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 ひとまずよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 医療機器の団体のほうにも御質問がありましたが、手短にお願いいたします。
○綿貫米国医療機器・IVD工業会保険委員会委員長
 AMDD綿貫でございます。
 質問といたしましては、医薬品・医療機器の違いを感じることがあるかということだと理解しております。
 一番大きいポイントは、エビデンスの充実度ではないかと考えております。医療機器は、先ほど提案にも示して示させていただいたとおり、エビデンスが十分にないことがございます。こういったことから、C2Hの皆様方とエビデンスのありなしに関して企業に期待されるところが大きい状況の中で、企業としてもなかなか難しいところがあるかと考えております。
 つきましては、よりコミュニケーションを踏まえて、そこの点を補っていきたいというのが、今回の要望にも述べさせていただいたとおりでございます。
 以上でございます。
○飯塚部会長
 ありがとうございました。
 続きまして、御質問等。
 森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 資料の御説明をいただき、ありがとうございました。
 日本製薬団体連合会等に対して幾つか質問と意見をさせていただきたいと思っています。
 まずは質問させていただきます。今、御回答が一部あったかもしれませんけれども、2コマ目で全体的な認識として費用対効果評価制度の基本的な枠組みを変える必要はないと述べられておりますが、価格調整範囲など現行の制度の枠組みを変えることにより想定される関係業界への懸念や影響のお考えがあればお聞かせいただきたいと思っております。
 また、8コマ目の価格調整の在り方について、業界意見で、優れた結果となっても条件が厳しいため、価格引上げに反映されないため、条件の撤廃や緩和が求められていますが、具体的な問題点として2点ほど現状に示されていますが、緩和などをするとすれば、ほかにどのような形で条件変更すべきなのか、お考えがあればお聞かせください。
 また、9コマ目のその他の意見についてですが、中長期的な検討になると思いますが、介護費用の取扱いは今後検討が必要な重要な視点と考えています。介護費用の軽減等は、比較すべき対象の決め方によって多種多様な視点がございますので、具体的な考え方を明確化することが必要と考えます。具体的な業界提案があれば検討は進めやすいものと思いますので、現時点で考えがあればお聞かせください。
 ここからは意見になります。
 6コマ目の総合的評価の際の評価運用の見直しについて、総合的評価での評価の充実とともに、薬価算定時に利便性、標準的治療等が評価された品目については、その有用性をある程度尊重してほしいという主張は理解しました。
 一方で、QALYで捉えられない有用性については別の指標で評価できないかといった点について、先ほど長島委員からもありましたけれども、このことに関しては議論を深める必要があるのではないかと考えます。
 私からは以上です。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 もうお一方、お二方ございましたら、御質問いただきまして、まとめて御回答いただければと思いますが、いかがでしょうか。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 どうも御説明ありがとうございました。
 今回は業界からのヒアリングということでもありますので、御要望として承りたいと思いますけれども、私自身の認識とは少し乖離している部分もございますので、そういったものを踏まえて、幾つかコメントと質問をさせていただきたいと思います。
 まず、医薬品業界の御意見については、資料の10ページにまとめて記載されておりますけれども、1つ目の品目指定についてなのですが、希少疾病用医薬品を指定難病と同様に対象から除外ということですけれども、保険者あるいは患者の視点に立って考えますと、治療法が確立していないからこそ、治療法を選択する際に費用対効果が重要であるということについてはぜひ御理解いただきたいと思います。むしろ指定難病や血友病、HIVであっても、費用対効果の評価が可能なものは評価対象とすることがあってもよいのではないかと考えております。
 次に、2の分析枠組みの決定について御要望があるということでございますけれども、前回の見直しで分析前協議から企業が推薦する専門家の参加が可能になっております。今回の御要望が、こういった参加によって改善とかいい方向に向かっていると受け止められているのかどうか、感想を教えていただきたいと思います。
 続きまして、4番目、5番目の価格調整の関係でございますが、これについては試行的導入の時点から議論があるところですけれども、過去の実績を見ますと、時間と手間、あとその結果が必ずしもリンクしているとは言えず、費用対効果評価という仕組みを積極的に活用する観点からは、これまで以上に医療保険財政の持続可能性につなげていくべきと考えております。
 本件に関係しまして、医薬品業界に質問がございます。
 業界の資料にはございませんけれども、2022年の新経済・財政再生計画 改革工程表には、医薬品の保険収載の判断等に費用対効果や財政影響などの経済性評価を活用することが記載されることについて、医薬品業界としてはこれをどのようにお考えなのかお伺いしたいということでございます。
 また、本日、後から説明いただきました医療機器の業界からは、分析実施に必要な人員が不足する場合も分析不能として、最も低い価格調整係数を用いるべきという御提案がありましたけれども、なかなか個人的には認め難いかなという印象もございますが、これについて、逆に医薬品業界側はこれをどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
 次に、医療機器業界の御意見についてに移りたいと思いますが、これまで2例しか実績がないということがございますので、まずは運用上での工夫で対応し、その後、方法論の確立がされた場合には、これは業界の主張とはちょっと異なりますけれども、対象範囲を広げていくという方向に移っていくのではないかと考えております。
 私からは以上になります。
○飯塚部会長
 ありがとうございました。
 そうしましたら、また幾つか御質問いただきましたので、まず医薬品団体のほうから御回答を手短にお願いできれば幸いです。
○上野日本製薬工業協会会長
 ありがとうございます。
 それでは、まず森委員からいただいた1つ目、3つ目の質問は私のほうからお答えさせていただいて、2点目はPhRMAの原田さんのほうからお話をさせていただきます。
 まず、第1点目の費用対効果評価制度の対象範囲についての御意見かと思います。これは先ほどの長島委員の問いにも答えさせていただきましたように、既に多くの品目が価格を引き下げられている現状となっている中で、特に価格調整範囲が拡大するということは、薬価の引下げの幅が大きくなり、企業の収益にさらに影響が大きくなる、そのように我々は認識しております。
 加えて、価格調整範囲が加算部分だけでなくて本体部分まで及ぶということになりますと、先ほど申し上げましたように薬価制度において類似薬と同等の価値を評価するという基本原則に対して整合性に不備が生じるという点についても、我々は問題があると思っております。
 3点目でございます。今回、介護制度の点については特に触れてはおりませんけれども、専門組織からの意見書に記載されているとおり、介護費用については様々な、例えば国立保健医療科学院において研究が進められており、それを進めていくことには異論はございません。また、介護の費用や負担を軽減するという医薬品の価値について、費用対効果評価制度に限ることなく、薬価制度を含め、その評価の仕組みについて幅広く御検討をお願いしたいと思っております。
 以上でございます。
○原田米国研究製薬工業協会在日執行委員会委員
 それでは、8コマ目の価格調整の在り方についてですけれども、PhRMA在日執行委員会委員の原田から申し上げます。
 業界としましては、一部条件撤廃による緩和を求めます。具体的にはスライド20に示しておりますけれども、2つあります。条件1の(※2)の(2)の(1)を満たす臨床研究等のうち、日本人を含むアジア人を対象とした集団において、費用対効果評価における比較対照品目よりも優れていることが統計学的に示されているという条件。
 もう一つは、条件2の比較対照品目と比べて、全く異なる品目であること、または基本構造や作用原理が異なるなど一般的な改良の範囲を超えた品目であること。
 この2つであります。
 具体的には、条件1につきましては次のページ21に提示してありますけれども、評価が終了した品目のうち6集団がドミナントまたは費用削減、そして3集団が200万円/QALY未満という結果を示しました。
 しかし、引上げ条件1の臨床効果などのデータが、インパクトファクター15以上の学術誌には掲載されていましたが、表の下の(2)にありますように、比較対照技術より効果が増加することが、日本人を含むアジア人を対象とした集団において統計学的に優れていることを示す、この条件を満たせなかった例が複数ございます。
 現在、薬事承認におきましては、国際共同治験における日本人データの要否については、骨太あるいは有識者検討会においても議論されておるところであります。そして、この条件は、現在議論されている方向性とは逆行したルールではないかと考えております。
 また、日本人を含むアジア人集団だけで統計解析が可能な症例数を満たさない、こういうこともあるということをぜひ御配慮いただきたいと思います。
 さらに、2つ目の条件ですけれども、条件2に比較対照技術と比べて全く異なる品目であること、または基本構造や作用原理が異なるなど一般的な改良の範囲を超えた品目であることとありますが、新規作用機序以外でも、高い有効性・安全性・有用性が評価されたことで有用性加算が付与されております。それに対して、条件2を適用し、評価対象から外すことは適切な価値評価につながらないのではないかと考えております。
 これらにおきまして、条件1と2を全て満たすことは現実的には極めて難しいルールと考えておりますので、これら引上げ条件の一部撤廃による緩和を求めます。
 私からは以上です。
○上野日本製薬工業協会会長
 続きまして、松本委員からの質問2点について、上野のほうからまた回答させていただきます。
 まず1点目、費用対効果評価分析を保険償還の可否判断に用いる点についてという御質問だったかと思います。諸外国において保険償還の可否判断に用いられている例があることは承知しておりますけれども、諸外国においては、我が国のような精緻な薬価基準制度が存在しないということから、企業が設定した価格の妥当性や保険償還の可否を判断する手段の一つとして費用対効果評価を用いられると我々は認識しております。したがって、薬価基準制度に基づいて薬価を決定している我が国においては、費用対効果評価は新薬の価値評価のあくまでも補完的な手法として、有用性加算について限定的に用いられるべきと、このように我々は考えております。
 そして、2点目でございます。これは機器側が今回御提案しております分析不能に該当する条件に、分析実施に必要な人員が不足する場合を追加してはどうかという御要望だったと思いますけれども、製薬企業側としては、これまで現行制度に従い、期限内に適切に分析を実施してきたという経験はございます。ただ、企業の負担が大きいというのも事実でございます。従いまして、機器側の御提案については、製薬業界としても否定するものではないと考えており、ルールについては慎重に御検討いただければと思います。
 以上でございます。
○飯塚部会長
 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 時間も大分押しておりますが、ほかに御意見、御質問等がありましたらぜひお願いいたします。
 安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員
 ありがとうございます。
 手短に意見だけ述べさせていただきます。
 本日は御説明ありがとうございました。
 皆様の費用対効果評価制度に関する御見解を伺いまして、制度の意義は認識した上で、より丁寧なデータ分析や企業からの意見聴取を行うことにより、制度の正確性や納得性、予見性を高めていくべきという方向性で関係者は一致していると認識しております。
 今後、検証対象の増加が見込まれる中で、様式の見直しなど効率化すべきところを効率化しつつ、公的分析に関わる人員体制の充実であるとか、企業のデータ分析に関わるモチベーションの向上に取り組んでいただければ幸いであると思っております。
 以上です。
○飯塚部会長
 御意見ありがとうございました。
 ほかには御意見、御質問等ございますでしょうか。
 お願いいたします。
○森委員
 御回答いただきありがとうございました。
 介護費用のところですが、費用対効果評価に限らずというようなことで理解いたしました。ただ、これは新しい仕組みのところなので、次回以降、具体的な考えとか評価とかがあれば、ぜひ御説明いただきたいと思います。
○上野日本製薬工業協会会長
 承知いたしました。
○飯塚部会長
 森委員、ありがとうございました。
 ほかには御意見、御質問等ございませんでしょうか。よろしいですか。
 どうもありがとうございました。
 そうしましたら、大体御意見、御質問等をいただきましたので、本日の関係業界からの意見の陳述につきましてはここまでとさせていただきたいと思います。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたします。
 それでは、本日の「費用対効果評価専門部会」はこれにて閉会といたします。
 どうもありがとうございました。
 

(了)
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