ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第58回議事録(2021年11月12日)

 
 

2021年11月12日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第58回議事録

○日時

令和3年11月12日(金)9:00~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

飯塚敏晃部会長 中村洋部会長代理 小塩隆士委員 関ふ佐子委員
安藤伸樹委員 松本真人委員 間宮清委員 眞田享委員 鈴木順三委員
城守国斗委員 長島公之委員 池端幸彦委員 島弘志委員 林正純委員 有澤賢二委員
赤名正臣専門委員 石牟禮武志専門委員 堀之内晴美専門委員 林利史専門委員
<参考人>
福田敬参考人 池田俊也参考人
<事務局>
濵谷保険局長 井内医療課長 中田医療技術評価推進室長
高宮保険医療企画調査室長 紀平薬剤管理官 宮原歯科医療管理官 他

○議題

○業界からの意見陳述

○議事

 


 

○飯塚部会長
ただいまより第58回「中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会」を開催いたします。
なお、本日も新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。また、会議の公開については試行的にユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について報告します。本日は、末松委員が御欠席です。
議事に入らせていただきます。今回は、関係業界からの意見聴取を行いたいと思います。関係団体として日本製薬団体連合会、日本製薬工業協会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会、日本医療機器産業連合会、日本医療機器テクノロジー協会、米国医療機器・IVD工業会、欧州ビジネス協会医療機器・IVD委員会より意見を聴取したいと考えております。
早速、意見陳述に移りたいと思います。まず、関係団体の皆様よりプレゼンテーションをしていただき、その後に質疑とフリーディスカッションを行いたいと思います。関係団体の皆様は、最初に自己紹介を行った上でプレゼンテーションをお願いいたします。
まず、日本製薬団体連合会、日本製薬工業協会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会よりお願いいたします。
○日本製薬工業協会(岡田)
おはようございます。製薬協会長を拝命しております岡田でございます。本日は費用対効果評価制度に関する意見として、この中医協の場で意見陳述のお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。
早速ですけれども、お手元の資料のスライド2を御覧いただきたいと思います。こちらでは令和4年度費用対効果評価制度の見直しに関する私どもの基本認識を再度お示しさせていただいております。中医協におけるこれまでの議論においては、費用対効果評価制度の基本的な枠組みは大きく変えず、現在までに公表された事例等から確認された運用上の課題を解決すべく、ルール見直しを行う方向であると理解しておりまして、これに異論はございません。
日薬連、製薬協として、今後も臨床的あるいは科学的に妥当な費用対効果評価分析に基づく事例を積み重ねつつ、あるべき制度の構築に向けた検討を進めることに賛同いたしております。引き続き、その議論に積極的に参加していきたいと考えております。
スライドの3ページを御覧ください。これまでの中医協における論点や議論に大きな異論はございませんけれども、お示ししております項目について意見と要望を申し述べさせていただきたいと存じます。
スライドの4ページを御覧ください。標準的な分析プロセス及び分析期間の見直しについて、論点として不服意見の聴取について挙げられていると承知しております。
前回の意見陳述の際にも申し述べましたけれども、専門組織(ⅰ)、(ⅱ)、(ⅲ)それぞれにおいて、企業が想定していない内容になることがあると考えられるところでございます。また、最終的な費用対効果評価の決定は中医協で行われるということから、その前に開催される専門組織では、企業の希望に基づいて不服意見の聴取を行っていただきたいと考えておるところでございます。企業の不服意見も十分に考慮した上で、専門組織で御議論をいただいて、妥当な総合的評価が行われることを望んでおるところでございます。
スライドの5ページを御覧ください。分析前協議についての意見でございます。分析前協議では、国立保健医療科学院と企業が分析の枠組みについて十分に議論を行って、双方が納得した上で分析を実施することが重要であると考えております。そのためには、1回目の分析前協議等から企業の要望に応じて臨床の専門家等が参加することは極めて有効であると考えておりまして、これに賛同するところでございます。適切な分析対象集団や比較対照技術が設定されることが、その後の円滑な分析及び評価の実施のために最も重要であると考えておりまして、委員の先生方も同様にお考えであると存じておるところでございます。そのために、分析前協議にて充実した議論が行われる運用をぜひともお願いいたしたいところでございます。
最後にスライドの6ページを御覧ください。こちらでお示ししている3項目については、本日詳細な説明は割愛させていただきますけれども、業界としては引き続き検討が必要と考えている項目でございます。今後、事例ごとに個別に、適切に対応、判断いただく、あるいは事例を収集しつつ継続してぜひとも中医協で御検討いただきたいと考えておる項目を最後に列挙させていただきました。
以上、私どもの意見について、ぜひ御検討いただきますようよろしくお願い申し上げます。
私からは以上でございます。
○飯塚部会長
ありがとうございました。
そうしましたら、引き続き、米国研究製薬工業協会からお願いいたします。
○米国研究製薬工業協会(スティーブ・スギノ)
米国研究製薬工業協会(PhRMA)の在日執行役員会副委員長のスティーブ・スギノと申します。本日はこのような機会を頂戴し、誠にありがとうございます。これからPhRMAのHTAに対する意見を述べさせていただきます。
次のスライドをお願いいたします。こちらのスライドでは、前回の意見陳述で示させていただきました費用対効果評価のシステム全体と、そのプロセスに関してのPhRMAの見解でございます。
本日は中医協で議論されておりますポイントについて、PhRMAの意見をお伝えしたいと考えております。
まず1点目は、標準的な分析プロセス及び分析期間の見直しについてです。
2点目は、効能追加時の取扱いについてです。
3点目は、費用増加の場合の取扱いについてです。
次のスライドをお願いいたします。現在、中医協では専門組織において、企業からの不服意見を聞く機会について、ある程度限度を持たせることの可能性について話し合われておりますが、私どもは専門組織(ⅰ)、(ⅱ)、(ⅲ)それぞれにおいての不服意見を提出できる機会、つまり、3回の機会が維持されるべきだと考えております。また、そのようにすることによって、企業が提出した不服意見に対するフィードバックをいただきたいとも考えております。
現行の専門組織におきましては、企業側は10分間の意見陳述と質疑応答の時間のみいただいておりますということで、厚生労働省・国立保健医療科学院、公的分析、製薬会社間における議論は十分にできていない状況であると私どもは考えております。ですので、ぜひ不服意見の提出できる機会を維持していただきたいと考えております。
このように、3回の不服申立ての機会をぜひ維持していただきたいということをお願いするとともに、費用対効果評価専門組織がそれを認めるか、認めないかに関わらず、不服申立を認めていただきたいと思います。
中医協では、イギリスのNICEにおいては、企業が不服意見を提出する機会がないという議論がされておりますが、そういったことはございません。NICEのガイドラインを見ていただきますと分かりますように、それぞれのステークホルダー、NICEのスタッフや公的な分析を行う専門家、企業も含まれておりますが、そのようなステークホルダーが意味のあるディスカッションをできるような機会を与えられておりますので、何回かはこのような不服申立ての機会をリクエストすることができるとなっております。詳細につきましては、参考資料を見ていただければと思います。
次のスライドをお願いいたします。次の課題は、企業の分析期間、また、その期間が延長した場合の取扱いです。これまでのところ、実際にこのような遅延が発生し延長を願い出て、それが中医協に認められた例といたしまして、テリルジー、最近はカボメティクスがございます。このような遅延は、企業側が努力をしていなかったから起きたのではございません。分析前の協議が予想したよりも長くかかった、あるいは、もともとはなかった追加の効能が出てきたといった理由によって遅れたわけです。このような遅延は遅延としてとるべきでございません。企業側の最低6か月という分析期間については保証されるべきであると思っております。
また、このような遅延が起きたときには、最も小さな価格調整係数を自動的に当てはめる。つまり、このような遅延が合理的ではないと考えたときには、最も小さな価格調整係数を当てはめる可能性を今、考えていらっしゃると伺っております。PhRMAといたしましては、その合理的ではないと考えられる遅延は具体的にどういうものなのか、例を示していただきたいと考えております。また、Q&Aを発出していただくことによりまして、全てのステークホルダーに対しての透明性を確保することが重要だと考えております。
次に、効能追加の際の取扱いについてお話をしたいと思います。
最初に申し上げたいことがございます。原則です。当初の効能について薬価が算定され、その結果ついた加算に対しての費用対効果評価が行われて、加算の妥当性が判断されるという観点からしますと、当初の薬価算定の際に考慮されていない効能追加は費用対効果評価の対象外であると我々は考えます。
しかし、もし対象とするような場合があった場合でも、その対象は限定的なものにしていただきたいと考えます。つまり、効能追加が行われた結果、その薬剤に関する主たる効能が大きく変化したとされる場合など、製品の評価が大きく影響される場合にのみ限定されるべきであると考えます。
次のスライドをお願いいたします。効果は同等であるにもかかわらずコストが上がったと国立保健医療科学院から判断された場合についての取扱いのお話をしたいと思います。
現時点において、中医協での話し合いの場では、このような場合には最も小さな価格調整係数を使うべきではないかという話し合いがなされていると思います。しかし、考えていただきたいのですけれども、このような状況は、既にその新薬は非常に大きな効果があるので加算がついているわけです。それに対して、2つの当局が違った評価を出すということは一貫性に欠けるのではないかという疑問が起きてしまいます。
具体的な例をここに2つ挙げております。
まず、トリンテリックスですけれども、この場合は比較対照薬として選ばれた薬剤です。これは実臨床での利用が非常に少ない、つまり、ほとんど使われていない、マーケットシェアも1%以下であるにもかかわらず、比較対照薬として選ばれました。このような比較対照薬を選んだということはガイドラインからの逸脱であると考えます。といいますのも、ガイドラインでは比較対照薬の選択をする場合には、導入された場合に置き換わる可能性があるもの、なおかつ、市場また臨床で幅広く使われているものと定められているからです。ですので、このような場合に、自動的に最も小さな価格調整係数を使うということにつきましては、そのようなことをするのではなく、科学的、実際の臨床の現場に則した形での決定をしていただきたいと考えます。
最後にまとめをさせていただきたいと思います。PhRMAといたしましては、費用対効果評価というのは薬価算定の補完的な仕組みであり、加算の妥当性を評価するシステムであるので、今後も本制度の趣旨を逸脱しない運用と改善を望んでおります。また、本制度のプロセスの透明性や妥当性は今後も高めていく必要があり、科学的な議論、判断が行われる仕組みへ改善していくことを望んでおります。
PhRMAといたしましては、そのような目的を達成するためには、日本政府の皆様方、ステークホルダーの皆様方と一緒に、今後も努力、協力させていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○飯塚部会長
ありがとうございました。
引き続き、欧州製薬団体連合会よりお願いいたします。
○欧州製薬団体連合会(レオ・リー)
おはようございます。欧州製薬団体連合会副会長のレオ・リーと申します。本日は、費用対効果評価制度の改善に向けた貴重な意見陳述の機会をいただき誠にありがとうございます。
次のスライドです。まず、EFPIAといたしましては、費用対効果評価制度を保険償還の可否に用いないとする基本原則が守られていることを歓迎いたします。
その上で、従来から申し上げておりますように、本制度は加算の妥当性を検証し、イノベーション評価を行うということを目的としたものであり、薬価制度を補完するものとして導入されたと認識しております。今回の制度検証におきましては、運用面で指摘された様々な問題の解決に向けた改善が必要と考えております。本日は制度改善に向けた論点について、様々な見解を申し上げていきたいと考えております。
次のスライドです。初めに、薬価算定組織との連携について論点を申し上げたいと思います。
まず、EFPIAは、医薬品の価値は多様な観点から評価されるべきというのが基本的な立場であります。そういうことで「薬価算定組織との連携」という名目で、薬価算定組織の算定に当たって、前もって費用対効果評価専門組織が経済性の観点から算定に関与するということに懸念を表明しております。
この2つの組織は異なる視点で加算やイノベーションを評価するということに意味があると考えております。それを前提に、費用対効果評価制度というものが導入されたと考えております。
次のスライドです。次に、体制強化を含む複数の論点について申し上げます。
まず、EFPIAとしましては、国立保健医療科学院を含む体制を強化することで、分析前協議を拡充することができ、そのことにより費用対効果評価制度の科学的妥当性や効率性を向上することができ、諸問題の解決につながると考えております。また、最も小さな価格調整係数を用いての価格調整の運用案についても論点で示されております。これにつきましては、中医協の先生方からも御指摘がありましたとおり、水準の是非について妥当性を含む検討が必要と考えております。また、分析期間の超過に関する論点でありますが、これも中医協の先生方からの御提案がありましたように、分析前協議終了後に個別に分析期間を設定していくという考え方に賛同いたしております。
次のスライドです。評価終了後の再評価プロセスと効能追加についても申し上げたいと思います。
まず、費用対効果評価制度における分析対象品目の要件を明確にしていく必要があると考えております。特にH3区分に関してですが、海外評価機関の研究ではなくて、現行の非常に曖昧な要件を明確化することが必要と考えております。また、今までもお伝えしているとおり、費用対効果評価制度というのは薬価制度に対する補完的位置づけを持つと考えており、また、その制度原則を踏まえた上で、追加効能と希少疾患等を費用対効果評価から除外する運用というのを改めて求めていきたいと思っております。
次のスライドです。公的介護費用に関する研究に関しては、私どもは歓迎しております。ただ、医薬品の価値には財政削減効果ですとか、患者負担を軽減する、労働生産性を向上させるといった点もあります。研究班による研究では、介護費用に限定されない様々な手法を検討されることを希望いたします。
また、今回は制度検証として運用面の改善に向けた議論が行われているものと考えます。ただ、将来的には海外の医療技術評価機関が実施しているような、ICER以外の要素を含んだ医薬品の多様な価値を評価することができる体制づくりに関する議論も必要になると考えております。
次のスライドです。まとめです。EFPIAといたしましては、費用対効果評価制度の検証を目的とする今回の議論におきましては、加算の妥当性を検証していくという現行制度の従来趣旨から逸脱しない改善を求めていきます。これまで指摘されてまいりました多くの課題は、科学院の体制強化などを通じて分析前協議をさらに拡充することによって解決できるものと考えております。
私どもからの陳述は以上であります。論点別の見解につきましては、この後のスライドでまとめておりますので、御参照いただければと思います。
どうもありがとうございました。
○飯塚部会長
ありがとうございました。
続きまして、医療機器に関連する4団体より、まとめてプレゼンテーションをお願いいたします。
○日本医療機器産業連合会(住吉)
おはようございます。日本医療機器産業連合会副会長を務めます住吉でございます。おはようございます。8月に引き続きまして、費用対効果評価について意見を述べる機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。
早速、資料の費-4を御覧ください。本日は日本医療機器産業連合会、日本医療機器テクノロジー協会、米国医療機器・IVD工業会、欧州ビジネス協会の4団体の意見として述べさせていただきます。
2ページ目を御覧ください。9月15日及び10月15日の費用対効果評価の合同専門部門で提出されました、現状の課題並び論点に対する医療機器業界としての基本的な見解をお示ししております。
8月4日の業界意見陳述におきまして、医療機器の特性に起因する評価上の課題について御説明申し上げるとともに、これを解決するための対応として3点御提案を申し上げました。このうち、分析枠組みの検討における臨床の専門家などの早期関与について御配慮いただき、1回目の分析前協議から臨床の専門家などの参加を可能とすることの提案をいただいたことについては感謝申し上げます。一方で、ICERに十分に反映されない患者便益を考慮した評価については課題として取り上げられておらず、十分な検討が行われたとは言えない状態と考えます。この点につきましては、後ほど詳しく御説明を申し上げます。
今回の専門部会提案は、現在の費用対効果評価制度の基本的な枠組みを維持した上で運用の改善を目指すものと理解しており、制度設計について御提案いただいた内容に大きな異論はございません。とはいえ、医療機器については、まだ1品目が選定されたばかりという段階であり、評価実績が極めて限られることから、医療機器特有の課題については把握し切れていないものと考えます。このことから、個別製品の評価を行うに当たっては、医療機器の特性に配慮した柔軟な対応をお願いしたいと思います。
以降のスライドにつきましては、AMDDの小川会長より詳しく説明をお願いいたします。
○米国医療機器・IVD工業会(小川)
米国医療機器・IVD工業会会長の小川でございます。
3ページを御覧ください。日本型の費用対効果評価制度は、薬価及び材料価格制度を補完するものであり、本制度を円滑に運用するために、企業としても努力すべきと考えております。特に人材育成は評価機関だけではなく、企業側においても強化が必要な事項だと言えます。
費用対効果の担当者を配置し、日本型の費用対効果評価の特性については正しく理解することまでは各社で行うとしても、自社製品を分析した場合にどのような技術的課題があり、どのような対応が求められるのかは、教科書的な説明だけでは理解できるものではありません。医療機器については、いまだに評価実績が乏しく、公開情報はほとんどありません。
医療機器では、相対的に企業規模が小さいことから、本領域の研究者と深く交流できる人材を社内に擁するのは困難なことが多く、費用対効果分析を円滑に行う上で必要な情報を得るためには、保健医療経済評価研究センター(C2H)あるいは公的分析班などからの情報発信に頼らざるを得ないのが現実となっております。
この観点から10月15日の資料の費-1の33ページの「公的分析実施施設からのヒアリングの結果」に示された公的分析結果等の論文化や、公的分析班に関わる利益相反の見直し、関係学会への周知活動の実施につきましては、日本型の費用対効果評価制度に関する最新の知見が企業にも共有されやすくなることから、速やかに実施されることを期待しております。
続きまして、現状の課題と意見を2点述べさせていただきます。4ページを御覧ください。
先ほど住吉副会長から言及があったICERに十分に反映されない患者便益について、詳しく御説明いたします。これは10月15日の資料の費-1の13ページの「費用増加に係る見直しについて」で取り上げられた事例を示しておりますが、薬価収載の際に有用性加算が認められたにもかかわらず、費用対効果評価において追加的有用性、具体的には健康関連QOLを評価することが困難とされた事例がございました。これは費用対効果分析における技術的な課題というよりは、価格調整で用いられる評価体系の課題だと考えております。
医療技術が社会に提供する価値には、患者本人の健康QOLが改善すること以外にも、低侵襲性治療による早期社会復帰や医療従事者の負担軽減による医療安全の向上、医師の技術の均てん化により、いわゆる神の手の技術を全国で受けられるようになること、さらには廃棄物削減による環境負荷の軽減など、様々なものが含まれております。現在のICERに過度に依存した評価体系では、このようなQALYで捉え切れない多面的な価値を反映することが困難だと考えます。
このような観点から、薬価及び材料価格算定時に、専門組織で採用されたものとは異なる評価基準である健康関連QOLの値のみをもって、価格調整係数に最も小さな値を当てはめて価格調整を行うという現状のやり方については、再考していただきたいと思います。
10月15日の資料の費-1の41ページの「薬価算定組織との連携に係る見直しについて」で論点に挙げられておりますように、有用性系の加算等を含めた評価等について両組織で情報共有を進めていただいた上で、ICERに十分反映されない患者便益の価格調整方法については別途検討していただきたいと思います。
続いて、企業側の人材育成について詳しく御説明いたします。5ページ目を御覧ください。
現状では費用対効果、評価を経験された企業や公的分析班からの情報開示は、通知によって制限されております。このため、一般的に得られる情報は費用対効果分析の教科書的な説明がほとんどになっており、保健医療経済評価研究センターや公的分析班から評価機関の経験や見解が公開されるのは、制度開始から1年半以上が経過してからであり、その後も講演などの機会は非常に限定的と言えます。
また、評価を経験した企業からの情報発信はほとんどなく、どのような点で、どのような背景から双方の見解が相違したかを理解することは難しいのが現状になっています。日本型の費用対効果評価の文脈で求められるエビデンス基準や、想定される分析の枠組みが諸外国のHTAとどのような点で異なるのかについて企業内で十分に理解されなければ、自社製品の分析で想定される技術的課題を認識し、円滑に分析を進められるよう準備することができません。ひとたび対照製品に選定されると、企業は諸外国のHTAで採用された分析枠組みを踏襲して分析前協議に臨むことから、双方の認識の隔たりが大きく、分析前協議の長期化につながっているのではないかと推察しております。
そこで、保健医療経済評価研究センター及び公的分析班には、経済及び臨床学会や企業向けの説明会などで、分析の技術的課題や対応等についての講演や、企業担当者がフラットに質問できる研修会などを定期的に御提供いただきたいと思います。
具体的なイメージとしては、7ページに例をお示しておりますが、PMDAが医療機器の審査基準等に関して、臨床学会や業界向け研究会等で行っておられる講演やワークショップのようなものを想定しております。
保健医療経済評価研究センター及び公的分析班の皆様が御多忙なのは十分理解しており、心苦しい限りではありますが、制度が浸透するまでは年数回程度の実施をお願いしたいと思います。また、品目数で大半を占める医薬品を中心とした御説明になることは理解しておりますが、医療機器の特性を踏まえた御説明を内容に含めることを御検討いただきたいと思います。
以上、業界からの意見を述べさせていただきました。
皆様御存じのように、医療機器は技術と手技が一体で用いられるものが多く、臨床経験のフィードバックを受けて頻繁に改良が加えられていきます。また、比較対照となる治療についても、外科的な手技から外科手術が困難な患者さんにおける薬物治療まで多岐にわたることが想定されております。医療機器については、これから1例目の評価が行われるところであり、今後も引き続き事例を集積した上で意見を交換させていただければと希望しております。
陳述は以上でございます。ありがとうございました。
○飯塚部会長
ありがとうございました。
一通り御説明をいただきましたので、これより質疑及びフリーディスカッションに移りたいと思います。なお、質問は日本語でお願いいたします。
城守委員、お願いいたします。
○城守委員
ありがとうございます。本日、各団体から御意見をお伺いした上で、大きく2点ほど御質問したいと思います。
まず、1点目ですが、EFPIAの3ページに記載されております見解の一番下に「多様な観点から医薬品の価値評価を行う場合、多様なステークホルダーが参画し、費用対効果分析(ICER/QALY)以外の要素も検討して熟議する『アプレイザル』の実施体制構築を中長期的な取り組みとして改めて提案します」とございますが、このアプレイザルがICERに反映されない様々な評価項目を軸にするという立てつけになっているわけですが、ICER以外の様々な評価基準を含めていくということになりますと、企業の方がよくおっしゃっておられます予測可能性を減じるという可能性が逆に多く出てくるとも考えられるわけですが、その点についてはどのように考えていらっしゃるのかということが1点です。
もう1点は、我が国の費用対効果評価の制度は、御存じのように償還価格を設定してから費用対効果の評価を行うということで、海外とは異なる制度になっているわけです。これは一日でも早く適切な医療技術を患者さんに届けるために、優れた制度だと考えております。
また、この評価によって価格が上がるにせよ下がるにせよ、本来の適切な価格にするために、費用対効果評価を迅速に行うということが何より求められていると、この中医協では合意されていると理解しております。
この観点から考えますと、現在、分析期間の短縮を中心に制度設計の精緻化が行われているところではあるわけですが、企業の皆様はこの点に関してどのような企業内としての努力をされているのか、その取組について、主な点だけでもコメントしていただければ幸いでございます。
私からは以上です。
○飯塚部会長
ありがとうございます。そうしましたら、二、三伺ってから御質問をさせていただきたいと思います。
有澤委員、お願いいたします。
○有澤委員
意見陳述を様々な観点から御説明いただきましてありがとうございます。
薬価基準制度との整合性を踏まえて、新薬の価値評価のあくまで補足的な手段として限定的に用いられるものであるということ、それから、現行の枠組みは大きく変えず、事例等を積み重ねた上で運用のルールを見直していくという方向性、これらについての認識については、意見陳述について私も賛同させていただきたいと思います。
その上で2点ほどお伺いしたいのですが、まず、日薬連さんの資料でいくと6コマ目になりますけれども、分析前協議で決定される枠組みが事前に企業にとって、想定し得ないものの場合、分析期間の遅延が発生することがあるということになっておりますが、どのようなケースを懸念されているのか、具体的なものを改めて教えていただきたいと思います。
もう一点は、ドミナントとなって費用対効果に優れている場合というのも、こちらは何か具体的なイメージがあるのかということです。専門委員からの御意見もお伺いしたいと思います。
以上です。
○飯塚部会長
ありがとうございます。
そうしましたら、御質問がありましたので、ここで一旦御回答をお願いできればと思います。
1点目はEFPIAに関する御質問で、ICER以外を含めることで予測可能性を減じるというような可能性があるという城守委員からの御質問ですが、いかがでしょうか。
○欧州製薬団体連合会(レオ・リー)
御質問ありがとうございます。
ICER以外の分析手法を入れることによって、予見可能性が低下させられるのではないかということについての回答です。
まず、予見可能性が低下するということは、私どもはICER以外の要素を入れることによっても起こることはないのではないかと思います。といいますのも、ISPORですとか、その他関連学会のガイドライン、公表文献などを参照しているわけであります。加えて、財源削減効果ですとか労働生産性の向上など、そうした手法についてはこうした学会での文献などを参照して行われるからであります。
高度な御質問でありますけれども、費用対効果制度の効率性を高めるために、どういった領域において、我々としても推奨する点があるのかということについてお話をしたいと思います。
例えば、EFPIAの会員会社のように本社が海外にあるような企業におきましては、既に第3相の結果が出る時点におきまして、臨床試験の結果についての海外での文献などを見て、分析枠組みの準備を始めることが可能であります。8月の時点で既にお話しいたしましたけれども、分析の枠組みというものが企業側にとりまして十分に理解できないようなものが出てまいりますと、結果的に企業側は全く白紙から分析をやっていかなければならないことになります。
以上です。
○飯塚部会長
ありがとうございます。
今、2点目で御回答いただいた点ですけれども、分析期間短縮のためにどのような取組を企業でされているかというのは、城守委員から御質問がございました。
ほかの団体で、もし追加でコメントありましたらお願いできますか。
○日本製薬工業協会(岡田)
製薬協の岡田から補足コメントを、2点目の御質問に関してさせていただきたいと思います。
2点目の御質問は、我が国の制度は償還価格を設定してから費用対効果を行うという制度の立てつけの中で、できるだけ費用対効果を迅速に行うべきだということで、それに関する企業努力等を御質問をいただいたと思っております。
企業分析の流れについて改めて御紹介をさせていただきますと、企業は品目に指定される前から指定されることを想定して準備を行っているということをまずもって申し上げたいと思います。
具体的には、比較対照技術、あるいは分析対象集団、効果指標、分析モデルなどを検討して、臨床試験や文献などの必要な情報を収集して解析を行って、それに備えておるということでございます。
そのような事前の準備をした上でなのですけれども、定められた企業の分析期間というのは、非常にスムーズに進んだとしても、現状は決して余裕のある期間設定ではないということについては御理解をいただければと思っておりまして、企業としてもできるだけ定められた、合意された期間内で収めるということを、最大限努力していると申し上げたいと思います。
したがいまして、今日のプレゼンテーションでもお話をさせていただきましたけれども、分析前協議の議論の充実化についても意見を述べさせていただきましたが、これは御指摘のとおり効率的に分析を行う、迅速に審査をいただくということにおいても極めて重要であるということについて、改めて申し上げたいと思います。
私からの2点目の御質問に関する補足は以上です。
○米国研究製薬工業協会(スティーブ・スギノ)
PhRMAのほうからもぜひ申し上げたいと思います。
今、製薬協並びにEFPIAの方がおっしゃったということで、私どもの意見も述べさせていただきたいと思います。
もちろん、分析期間といったものを短縮するということと、もう一つは、分析前の準備期間に関しまして、実際の分析とはまた別個に、3か月とか6か月の間隔を設けることも重要ではないかと思います。先ほどの御指摘のように、できるだけ早期に分析の準備を開始しておくことが大事だと思うからであります。
その間の時間を設けることによりまして、十分にスタートを早くして、その間に臨床的なデータとか、それ以外のいろいろなインプットも集めておくことによりまして、実際の分析に入るときに、枠組みも既にそのときにできているということで、作業も迅速化できるということになると思います。
○飯塚部会長
ありがとうございます。
申し訳ありません。次の論点に進ませていただきます。
先ほど有澤委員から日薬連の資料の6ページ目につきまして御質問がありましたけれども、この点に関して、もし日薬連から御回答がございましたら手短にお願いできますでしょうか。
○日本製薬工業協会(岡田)
ありがとうございます。御質問を2ついただいたと承知しております。
分析の枠組みが企業と国立保健医療科学院との間で違いが出るというのは具体的にどういうことかということと、ドミナントについてのさらに詳細な御説明ということで、質問が2点あったと思います。
赤名専門委員から、この2点について説明をさせていただきたいと思います。
○赤名専門委員
専門委員からお答えさせていただきます。
まず、1点目の企業が事前に想定したものとどのように違ってくるのかと懸念するケースでございます。
まず、分析前協議では、分析の枠組みを企業と国立保健医療科学院ですり合わせるということになりますが、具体的に何をすり合わせるのかということですと、例えば、分析の対象集団、比較対照技術、分析の手法、効果指標といわれるQOLを使ってどのようなことを評価するのか、分析モデル、こういったことを事前にすり合わせるのですけれども、以前も中医協でもありましたが、テリルジーの事例を持ってきますと、分析対象集団が企業の想定を超えて細分化されているということになります。
そうすると、もうこれは事前に用意したものではなくて、また新たにデータを取得したり分析をしたりということが発生しますので、時間を要してしまうことを懸念しているということが第1点目でございます。
第2点目はドミナントでございますが、ドミナントは比較対照技術に対しまして、QALYが増加して、かつ、費用が削減されるということで、これはICERの算出はできないものと理解しております。すなわち、明らかに比較対照技術に対して費用対効果が優れるというものだと理解しております。
具体的事例に関しては、こちらもテリルジーというものでございますけれども、幾つか細分化された中で、2つの分析対照集団においてドミナントという結果が出ております。
すなわち、これはそれぞれQALYが増加し、一方で費用は削減されているということでございます。具体的な数字は割愛させていただきますけれども、12個に細分されたうちの2つの分析対照集団については効果がよくなり、費用が削減されたということでございますので、なかなか出るものではないので、この辺についても御検討いただきたいということでございます。
以上でございます。
○飯塚部会長
ありがとうございました。
そうしましたら、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず、各団体からのプレゼンテーションにお礼申し上げます。今回はヒアリングということですので、それに関して幾つかコメントさせていただきたいと思います。
まず、PhRMAとEFPIAから、同様に追加効能に関する取扱いについて御意見が出てきております。これについては、対象としないという御意見が書いてございますけれども、そもそも最初に加算がついた場合は、それが追加効能の薬価にも反映されておりますので、当然、費用対効果の対象になることの妥当性があるのではないかと思いますので、その点についてぜひ御理解を賜りたいと考えます。
次に、PhRMAの資料の7コマ目にあります判定基準について言及されておりますけれども、国ごとにいろいろな判定基準があるということに関しては十分御理解をされていると思うのですが、日本にもそうした基準があるというのが基本認識でございます。
ただし、この世界も国際的にビジネスを展開されているということは事実でございますので、この判定基準、結果をどのように今後活用するかというところも関係しますので、海外情報の継続的な収集、並びに研究については必要だと考えております。それについては進めていただきたいと思います。
3点目でございますが、同じくEFPIAの資料の3コマ目に組織の関連性について言及があるのですけれども、EFPIAの2コマ目にも書いてございますが、まだ評価品目が少ないといった中で、両組織の結果の違いに一定の傾向があった場合には、保険収載の段階で考慮することは否定するという断定的な表現になっているのですけれども、この段階ではその辺の判断が適切ではない、少し早いのではないかと感じております。
最後に、AMDDから人材育成に関するお話がございますけれども、分析前協議をスムーズに運用していく、あるいは分析期間を短縮するという意味については非常にいいと思いますので、今後進めていただければと感じております。
以上であります。
○飯塚部会長
ありがとうございます。
幾つか御質問がございましたけれども、恐らく最初に御質問がありました追加効能について、特に業界から御意見、コメントをいただければと思います。いかがでしょうか。
○欧州製薬団体連合会(レオ・リー)
薬価の加算に関しましては、個々の効能に対して全てということではなく、当初の効能に対してまず決定されるものであります。したがいまして、費用対効果評価といいますのは、その加算の妥当性を検証するための目的で使われますので、当初の効能においてのみ適用されるものと考えます。つまり、効能が追加されるたびに、その前に行われました解析、評価等に関しましては、基本的には意義が小さくなると考えております。
このような仕組みが正式に導入されますと、つまり、追加効能ごとに新たに費用対効果の評価を行えるということになりますと、薬価を下げていくためにこれが使われてしまうというおそれも出てくるわけであります。このような制度になってしまいますと、新薬の開発が妨げられ、それによりまして新たな効能が出てこなくなり、患者さんの医療に対するアクセスが妨げられるのではないかということをEFPIAとしては懸念しております。
御清聴ありがとうございます。
○米国研究製薬工業協会(スティーブ・スギノ)
私からもシステム、それから、それぞれの違いについて一言申し上げたいと思います。
確かに世界中にあるいろいろなシステムの違いなどをよく理解して、情報を集めることは大事だと思います。それぞれの制度でいい点もありますし、問題点あるいはリスクもありますし、意図しない帰結も起こり得ると思うからであります。
なぜこれが大事かといいますと、今回のこの費用対効果分析に関しまして、日本の制度の中においてルールや様々の点の一貫性を担保することが大事だと思うからであります。
この場合に2つの事例を挙げておりまして、その一つがトリンテリックスでありますけれども、それに関しましては比較対照技術を用いて評価しているわけですが、この比較対照技術として選ばれたものは1%未満しかマーケットシェアがないものでした。一方、マーケットリーダーとなるような製品は40%以上のシェアを持っております。この比較対照に選ばれた薬というのは1%未満のシェアですから、そのクラスの中でも最も低い、安い薬ということになりました。
7ページに出ておりますもう一つの例のユルトミリスでありますけれども、これも、結局、費用対効果の分析のときの結果で該当しないということになりまして、これは希少疾患用のものでありますので、これに対して、結局、一貫性のない形で適用されてしまいました。
そこで、ほかの国の様々な市場システムを検討することも重要でありますが、日本の制度の中で、例えば規則とか、その規則が実際に適用されるときに関しましても一貫性が担保できるようにしていく。そして、その間には透明性のある対話が行われることが重要だということを申し上げたいと思います。
○飯塚部会長
ありがとうございます。一貫性のお話は承りました。
そうしましたら、少し時間が超過しておりますが、手短に、まず、池端委員から御質問をお願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。私からは1点だけです。医療機器の4団体の御報告についてお話をさせていただきたいと思います。
まず、この医療機器に関しては、ここにありますように、ICERに十分反映されない患者便益を考慮して評価してほしいということに一定の理解をさせていただいています。一方で、3ページにありますように、一番下のポツで「日本型の費用対効果評価制度に関する最新の知見が企業に共有されやすくなることを期待する」ということも十分理解しているところです。
ただ、4ページにありますように、費用対効果というのはあくまでも薬価を中心にして出てきた制度である限り、健康関連QOLの評価基準を中心にということはやむを得ないところかと思います。一方で、4団体がおっしゃっているように、低侵襲性治療、医療従事者の負担軽減、医師の技術の均てん化等々に関する評価も非常に重要だと思いますけれども、これは逆に価格に評価されなくても、この医療機器を使うことのユーザー、いわゆる医療提供者とか利用者、患者さんたちの有益性があれば、販売路を拡大されて、いわゆるマーケティング拡大につながり、企業側としても一定程度の利益、経済効果があるという点もあるのではないかということです。そういうことによって企業努力もされているし、よりいいもの、より安くて低侵襲性の医療機器があれば、それを利用するという流れはあるかと思います。
その中で、劇的に健康関連QOLの点から見ても有用性が高いものに関しては加算等がつく可能性があるとは思いますけれども、そういう2つの面から皆さんが企業努力をされていることがあるのではないかということで、一定程度やむを得ないところはあるのではないかという気がしますけれども、それに対して御意見があればお聞かせいただければと思います。
以上です。
○飯塚部会長
ありがとうございます。
医療機器の団体からもしございましたら、手短にお願いできますか。
○米国医療機器・IVD工業会(小川)
御質問ありがとうございます。保険委員長の伊藤から、具体的に返答させていただきます。
○米国医療機器・IVD工業会(伊藤)
AMDDの保険委員長の伊藤と申します。よろしくお願いします。
御質問をありがとうございます。健康関連QOLに反映されないような観点についてということですけれども、実際、費用対効果評価が行われた場合に、それに伴って価格調整が行われるわけでございます。そうしますと、比較される医療技術との間で、新しい技術が費用対効果に優れているか優れていないかといった点での結論が出てしまうということが一つ懸念されるところです。
そういった観点の中で、おっしゃったとおり、ほかの低侵襲ですとか、そういった観点でのプロモーションといった形も含めてできるというところになりますけれども、そちらが評価されない中で、価格上、費用対効果が劣るという評価がされてしまいますと、国としての評価が影響されるということも懸念されますので、そういった観点も含めますと、多面的な価値について評価していただいた上で、それを価格調整に反映させていただくといった観点も、すぐにできるかどうかは分かりませんけれども、引き続き検討いただいて、その多面的な価値についてどうやって反映させていくかということについて、引き続き検討していただければと考えている次第でございます。
以上です。
○池端委員
ありがとうございました。
○飯塚部会長
ありがとうございます。
安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員
ありがとうございます。
まず、分析体制の強化につきまして、EFPIA側から御意見をいただきました。この論点につきましては、前回、当部会で言ったとおり、私自身も特に重要な論点であると認識しております。この論点に関しまして、4ページに青字でEFPIAから、分析前協議において科学院側から科学的妥当性に疑念を抱くような要求があったという御説明がありましたが、この事例について可能な範囲でもう少し具体的に御教授いただけませんでしょうか。また、科学院側からも何か補足等がありましたらお伺いできれば幸いです。
以上です。
○飯塚部会長
ありがとうございます。
EFPIAはいかがでしょうか。4ページ目の2つ目のポイントに関して、具体的な事例はどのようなものがあったのかという御質問でした。
お願いします。
もし、今すぐには難しいということでしたら、少しお時間を取っていただいてお考えいただいて、その間に間宮委員からお願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
医療機器4団体の御意見の中で、企業側の人材育成というのはあったのですけれども、これは企業側の人材育成だけではなくて、費用対効果評価の人材育成というのは重要であると私も考えていて、もちろん、育成を推進してほしいというのはあるのですけれども、現在分析に関わっていく人たちが知識を高めていくということが大事であって、情報の共有ができていないというお話もありましたし、企業向けの説明会などもしてほしいというお話がありましたけれども、そもそもガイドラインはもちろんあって、それだけではどうも不十分で、理解が十分にできないということであれば、これからどんどん費用対効果評価というのは進めていくべきですから、いろいろなケーススタディーというか、迅速に公表できるものというのを積極的に出していくことが大事だと思うのですけれども、そういう対応も必要だと考えておられるのかをお聞きしたいと思います。
○米国医療機器・IVD工業会(伊藤)
御質問ありがとうございます。
企業の人材育成という観点で、ケーススタディーの必要性も含めてということで御指摘いただいたという理解でございます。
私どもとしては、今回お願いしている講習会とか研修という中には、当然ケーススタディーというものも入っていると考えております。AMDDの団体の中では、費用対効果評価に係るワーキンググループを設置しまして、その中でガイドラインですとか、そういったことについての知識向上は努めております。ただ、そういった総論的な研修には限界がございまして、そういった中では御指摘いただいたようなケーススタディーというところでの情報共有が重要だと考えております。
また、御存じのとおり、医療機器については今回1例目が指定されたという中で、試行的導入の経験はございますけれども、その際に、試行的導入後には各企業から、学会等での発表等も含めて共有されておりますけれども、まだ本格導入されて運用されている実績が医療機器側には足りませんので、そういった中で引き続き情報共有、C2H等からの研修等を望んでいるという次第でございます。
以上です。
○飯塚部会長
ありがとうございます。承りました。
島委員、お願いいたします。お待たせいたしました。
○島委員
ありがとうございます。
私から1点だけですが、いろいろな団体からの御説明の中にありましたように、分析期間短縮という大きな観点からは、効能追加の製品に関しては以前も発言させていただきましたけれども、これは別の製品であるという形で、効能追加の分の分析が必要であればまた別個にきちんと分析するということを原則にしたらいかがかと思います。
意見でございます。
○飯塚部会長
御意見をありがとうございます。
そうしましたら、先ほど安藤委員から御質問がありました件で、もしEFPIAのほうから御回答がありましたらお願いできますでしょうか。EFPIA資料の4ページの2つ目のポイントです。
4ページ目の2点目に関して、科学院から科学的妥当性に疑念を抱くような要求があったという認識ということだったのですが、どのような具体事例があったのかという御質問がありました。
もし、今は難しいようでしたら、また別途お聞かせいただけるとよろしいかと思いますが、そのような形でお願いしてよろしいですか。
○欧州製薬団体連合会(レオ・リー)
こちらの質問につきましては、詳細に文書において回答させていただきたいと思います。
○飯塚部会長
ありがとうございました。
福田参考人、何かございますか。
○福田参考人
科学院のほうからもという御質問でしたので、よろしければ我々の方からの見解を述べさせていただければと思います。
分析前協議において、事例がどれかというのは我々も分かりかねるところがあるのですが、我々といたしましては、学術的、中立的な観点から、公的分析班、大学のチームとも検討して見解をお示ししているということでございます。
当然、学術的な観点からも企業と意見が必ずしも一致しないというケースはございますが、この場合には費用対効果評価専門組織において、科学的に妥当かどうかという観点から御議論して意思決定がなされているものという理解をしています。
なので、特に科学的な妥当性を欠く議論をしているということはないと認識しております。ただ、そのように伝わってしまっているのであれば、我々も説明が不足しているところがあるかもしれませんので、御意見は真摯に受け止めたいと考えます。
以上でございます。
○飯塚部会長
ありがとうございます。もし具体的に何かありましたら、また御連絡いただければと思います。
中村委員、お願いいたします。
○中村委員
ありがとうございます。私も手短にします。
これまで各業界団体から様々な意見が出ましたが、理解を深めるためには、国立保健医療科学院の福田先生からも、各論点についていろいろ情報があればと思っていました。ただ、今日は時間もかなり過ぎていますので、必要がありましたら事務局等を通じて今後情報をいただければと思っていますので、福田先生、よろしくお願いいたします。
○飯塚部会長
ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
ほかには御意見等はございませんでしょうか。
本日は大変活発な御意見を頂戴しまして、ありがとうございました。そうしましたら、本日の関係業界からの意見陳述につきましてはここまでとさせていただきます。
本日の議題は以上となります。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の費用対効果評価専門部会はこれにて閉会といたします。皆様、どうもありがとうございました。
 

(了)
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