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2018年8月22日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第50回議事録

○日時

平成30年8月22日(水)11:20~12:01

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

荒井耕部会長 中村洋部会長代理 田辺国昭委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本吉郎委員 城守国斗委員 万代恭嗣委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
平野秀之専門委員 上出厚志専門委員 堀之内晴美専門委員 日色保専門委員
<参考人>
福田敬参考人
<事務局>
樽見保険局長 渡辺審議官 山本審議官 森光医療課長 古元医療課企画官
樋口保険医療企画調査室長 田宮薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○費用対効果評価に関する検討について

○議事

 

○荒井部会長
 ただいまより、第50回「中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会」を開催いたします。
 まず、本日の委員の出欠状況について報告します。
 本日は、榊原委員が御欠席です。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
 それでは、議事に入ります。
 本日は「費用対効果評価に関する検討について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 中医協費-1の資料に基づきまして御説明をさせていただきます。
 1ページ目、本日の検討課題でございます。費用対効果評価に関する検討につきましては、去る6月13日の中医協にお諮りいたしましたとおり、検証の進捗状況の報告も行いながら、速やかな検討が求められる課題や検討可能な課題から順に検討を進めることとしております。
 2ページ目、本日は費用対効果評価に関する検討課題のうち、表1の下線を引いた部分につきまして、試行的導入の経験及び費用対効果評価に関する有識者による検討結果も踏まえまして論点の整理を行いたいと考えております。
 それでは、具体的な検討内容の御説明をさせていただきます。3ページ目をごらんください。総合的評価(アプレイザル)につきまして、まず1点目、(1)科学的な観点からの検証方法でございます。
 試行的導入におきましては、図2に記載のとおり、企業分析及び再分析の妥当性につきまして、科学的な観点からの検証を行いました。このうち、まず分析結果の妥当性に関する検証について下段に記載しております。
 <試行的導入における取組>でございます。試行的導入においては主に、ここは「図1」と書いてありますが、「図2」の間違いでございますので、訂正をさせていただきます。主に図2に示す4項目を踏まえ、分析結果(ICER)の妥当性について検証を行いました。
 <検討の視点>でございます。ICERはガイドラインに基づいた合理的な分析をもとに算出されるものであり、例えば分析に適したデータが複数ある場合など、ICERを1点で決めることが困難な場合もございます。そのため、幅を持った評価を許容する、こうした考え方が必要であろうということでございます。
 <論点>でございます。ICERにつきましては、科学的に妥当な分析が行われていることを前提として、幅を持った評価を許容してはどうか。
 続きまして、4ページ目をごらんください。これは複数の適応疾患がある場合のICERの評価について。また、一部の適応症などにおいて比較対照品目に対し効果が増加し、また同等であり、費用が削減される場合のICERの評価についてといった課題でございます。
 試行的導入におきましては、そちらに記載のとおり、複数の適応疾患があるなどにより、複数のICERが得られる品目の場合には、分析結果で得られた複数のICERを使用患者割合等で加重平均をし、総合的評価に用いた。
 また、一部適応症について、ドミナントなどの場合につきましては、当該適応症にかかるICERを0といたしまして加重平均を行い、その結果を当該品目のICERといたしました。
 ここで、有識者による検討の結果につきまして、よろしければ福田参考人より御報告をしていただきたいと思います。
○荒井部会長
 福田参考人、どうぞ。
○福田参考人
 参考人の福田でございます。
 それでは、費-2の資料に沿いまして御説明させていただきたいと思います。
 まず、2枚目にこの資料の目的といたしまして、費用対効果に関する検討を進めるに当たって科学的な事項について検討した結果を御報告するものであるという趣旨を書かせていただいております。
 3枚目が検討会のメンバーで、4枚目が本日御報告させていただく内容になりますけれども、まず、1番目の点について御報告をさせていただきます。
 6枚目、「複数疾患に適応がある場合等の対応方法について」ということでございます。これはどのような考え方があるかというものを、諸外国の状況なども含めて学術的に検討したものでございます。大きく2つ、複数のICERを一つに統合するという方法と、統合をしない2番の方法があると考えられます。それぞれ2つずつ方法があると思いますけれども、それについて御説明をさせていただきます。
 8枚目で御説明をさせていただきます。まず、複数のICERを一つに統合する手法のうちの(1)といたしまして、各ICERの加重平均値を算出するというもので、これは試行的導入においてとった方法でございます。
 下に例示を書かせていただきましたけれども、仮にこの薬あるいは医療機器等が適応疾患が2つAとBとありまして、患者の割合はほぼ同数ずつといたします。疾患Aにつきましては、従来の治療法と比べて増分効果が2QALY得られる。それに対して増分費用として600万円かかるといたします。そうすると、ICER、増分費用効果比はこの600万円を2QALYで割ることによって300万円/QALYと算出できます。疾患Bにつきましては、同様に考えますと、増分効果が仮に1QALYで増分費用が600万円としたら、600万円/QALYと算出されます。一番右側の数字がICERの疾患ごとの数字になります。試行的導入におきましては、これに患者割合で、この場合には0.5ずつを掛けて重みづけ平均をとるという形をとりましたので、結果的には450万円/QALYという値をもとに費用対効果を判定するということが行われました。
 この場合には、下の欄外に書きましたけれども、比較対照品目(技術)に対しまして効果が増加し、あるいは同等であり、費用が削減される場合、我々はドミナントと称しますけれども、この場合には増分費用効果比、ICERは値として算出されないことになりますので、便宜的にこの場合には値を0として加重平均を行うという対応がとられたというものでございます。
 ただ、このICERを一つに統合する方法ですけれども、もう一つ別の方法も考えられます。これが9枚目のスライドになります。ICERは増分費用を増分効果で割るという指標ですので、増分費用と増分効果の加重平均値を求めてからICERを算出するという方法です。表は先ほどと同じ例ですけれども、一番右側の600万円/QALYと300万円/QALYを統合するのではなくて、それぞれの増分効果と増分費用の段階で重みづけをするという値を出して、増分費用の加重平均が600万円、増分効果の加重平均は1.5QALYと計算してから割り算をする。この場合には400万円/QALYという値になるということでございます。統合する方法にも大きく2つあると考えられます。
 これについて学術的にどう考えるかということですが、10枚目のスライドになります。これは、そもそも本来性質が異なると考えられる複数の数値、この場合であれば、疾患が異なる場合にはICERのような数値を統合して平均等を算出して代表値とするということについては、学術的な観点からは評価が難しい、解釈が難しいと考えます。
 下の図が例ですけれども、仮に試行的導入のところを踏まえて、500万円/QALY以下であれば価格調整は不要で、費用対効果はいいだろうという考え方をとるといたしまして、疾患Aは300万円/QALY、疾患Bは600万円/QALYだといたします。統合すると、試行的導入の方法では450万円/QALYになりますので、これで見ますと、本来であれば疾患Aについては費用対効果がいいけれども、疾患Bについては費用対効果の観点からは調整等の課題があると考えるべきところが、統合すると450万円/QALYになりますので、全体としては費用対効果がいいのではないかという見方ができるかもしれません。
 ただ、このような解釈は、そもそも違う対象、違う疾患、違う性質のものですので、異質性があると考えられますから、このような統合は適切ではないのではないかと思います。
 さらに別の課題といたしまして、次の11枚目のスライドでございます。先ほど御紹介ししたとおり、複数のICERを一つに統合する方法としても2通りが考えられて、それぞれ結果としては異なる数字が得られるということになります。どちらのほうがより適切かという点についても議論いたしましたが、検討会の中では学術的にはどちらがすぐれるというものではないと、これについては合意が得られない。そもそもこれを統合すること自体、学術的には理解が難しいというところでございます。
 さらに、3番です。学術的には集団の結果を統合せずに、それぞれの集団ごとに意思決定をすることが原則で、これは有効性、安全性の評価等でも疾患ごとに行われるという理解をしています。
 そこで4ですけれども、製品の価値を費用対効果の観点から評価するためには、より適切な方法について検討する必要があると考えます。
 そこで、もう一つの方法が、12枚目のスライドの下の2.をごらんいただきたいのですが、複数のICERを一つに統合しない方法という考え方であります。これも2つ考え方がありますが、それぞれ御説明いたします。
 13枚目のスライドをごらんください。まず、そのうちの一つの方法(3)として、各ICERのいずれかを代表値として採用するという考え方であります。これは、疾患別等でICERが出てきますので、そのいずれかの値をとる。例えば最も低い値とか最も高い値等を決めて、代表値として採用するという方法が考えられると思います。これは一部の諸外国、イギリス等では採用されていると理解しておりますが、これについては以前の中医協のこの部会でも議論がございましたけれども、例えば費用対効果が最も悪いものをもとに価格調整等の判断をしていくということになりますと、費用対効果の悪いことが見込まれる疾患等については開発に影響を及ぼすのではないかという御指摘はされているところでございます。
 もう一つの方法が14枚目のスライドにあります(4)の方法で、各ICERに基づく価格の加重平均値を採用するというもので、疾患ごとのICERに基づく価格を算出して、それらの価格について加重平均をするという方法です。下に例を書かせていただきましたけれども、減算と書いてありますが、これはあくまでも試行的導入のやり方を用いた場合という仮定で検討会では議論いたしましたので、制度化に向けた議論の中でどうなるかは我々はわかりませんので、試行的導入の考え方でやった場合ということで御承知いただければと思います。
 仮に疾患A、Bとありまして、先ほどと同様に疾患AについてはICERが300万円/QALY、疾患Bについては600万円/QALYといたします。試行的導入のときの考え方ですと、300万円/QALYについては500万円/QALYより小さいということで減算はないという形になります。一方、600万円/QALYについては500万円/QALYを少し上回っておりますので、少し減算されるという形で、この場合には18%の減算になると試算されます。
 そこで、それぞれについて減算幅を考えた上で、患者の割合で、この場合には半分ずつとした場合ですけれども、重みをつけて減算の幅を決めるという考え方であります。
 この考え方は、適応疾患ごとに異なる値付けが行われたと仮定した場合の品目全体の平均価格という解釈ができると思います。
 さらに、オーストラリア等においては、このような方法が採用されていると理解をしております。
 仮に(4)のような考え方をとった場合に、試行的導入とどう違うかというところを例にしてみたのが15枚目のスライドになります。仮に価格の段階に行ってから統合すると、ICERの段階で統合するのと結果的に違うかというと、必ずしも一方的に価格調整が大きくなったり、小さくなったりということはないということでございます。
 【例1】にありますとおり、ICERは300万円/QALYと600万円/QALYで患者割合は0.5ずつだといたしますと、試行的導入の方法ですと、先ほど御説明したとおり、平均が450万円になりますので価格調整なしですが、個別に価格調整すべきかどうかを考えると、これも試行的導入の方法の場合ということですけれども、疾患Bについては一部価格調整が必要ということになりますので、全体としても少し引き下げになると考えられます。
 一方で、【例2】のように、例えば疾患Aについては700万円/QALY、疾患Bについては1500万円/QALYという状況だといたしますと、これは試行的導入の方法でやりますと1100万円/QALYとなりますから、最大の下げ幅をもって下げるということになりますが、(4)のそれぞれの価格調整幅を考えてから平均をするという方法をとりますと、疾患Aについては一部引き下げですが、疾患Bについては最大引き下げとなりますので、これは全体としては部分的な引き下げになると考えられます。なので、この方法をとることによって、必ず下げ幅が大きくなるとか、小さくなるということはないと考えています。
 そこで、これについての検討会としてのまとめを16ページに書かせていただきました。まず1番目の○ですけれども、複数疾患に適応がある場合等に、異なる対象集団に対するICERの平均値等を算出して、それを代表値とすることについては、学術的には評価が難しいと考えます。
 2つ目の○ですけれども、その場合に、複数のICERを一つに統合するのではなくて、適応疾患ごとにICERを出して、これに基づいた価格を算定し、それらの重みづけ平均を用いるという方法があり得るのではないか。これは仮に適応疾患ごとに異なる価格がつけられたと考えたときの市場平均価格と解釈ができると思います。
 そのような観点から、検討会といたしましては、やはりICERとして統合という形をとって解釈はできないという考え方をとるよりも、それぞれについての価格を考えてから統合するという(4)の方法が最も適切ではないかと考えております。
 以上でございます。
○荒井部会長
 企画官、続いてお願いします。
○古元医療課企画官
 それでは、資料費-1にお戻りいただきまして、4ページの下段、<検討の視点>でございます。ただいまいただきました検討の報告も受けまして、複数の適応疾患があるなどにより複数のICERが得られる品目の場合や、そのICERの一部がドミナントなどである場合について、試行的導入における経験も踏まえた上で、各疾患における価値を価格に適切に反映させるための方法を検討する必要がある。
 <論点>でございます。複数の適応疾患を持つことなどにより複数のICERが得られる品目の評価方法などについて、品目の適切な評価の観点からどうするか。
 続きまして、5ページをごらんください。評価結果の取りまとめ方でございます。試行的導入における取り組みといたしましては、図3に示す内容で取りまとめを行いました。<検討の視点>でございます。評価結果については、当該品目の価格調整に必要な情報が含まれていることが必要でございます。加えて、分析の枠組みなど、評価に関する基本的な情報の記載が求められます。
 <論点>でございますが、評価結果については基本的には試行的導入と同様の取りまとめ方としてはどうか。また、その詳細については、分析方法や総合評価及び価格調整方法に関する今後の検討状況を踏まえ決定してはどうかということでございます。
 最後に、6ページ目をごらんください。評価結果の報告、公表の仕方についてでございます。<試行的導入における取組>といたしましては、評価結果として、「主な対象疾患、主な比較対照技術、分析結果(ICER等)及び倫理的・社会的考慮要素への該当の有無」を公表いたしました。本日お配りいたしました別紙、1枚の横の表でございますが、この内容で公表をさせていただいたところでございます。分析結果のうちICERについては幅のある記載で公表をいたしております。
 ここで、有識者検討会における検討の報告を、福田参考人からよろしければお願いしたいと思います。
○荒井部会長
 参考人、お願いします。
○福田参考人
 よろしくお願いします。
 もう一点の事項につきましては、先ほどの費-2のスライドの資料の最終のページ、18枚目をごらんいただけますでしょうか。この1枚にまとめてございます。
 評価結果の報告、公表の仕方についても、検討会で議論いたしました。1番目の○ですけれども、費用対効果評価の分析等、諸外国でも行われておりますが、透明性確保の観点に加えて、関連業界のみならず国民にとっても意味のある情報であることから、諸外国においても公開されていることが多いと理解をしています。
 具体的には、その下にあるような、イギリス、フランス、オーストラリア、スウェーデンといった国でございます。
 3番目の○ですが、分析結果の概要に加えて、例えば専門組織に該当する組織で議論された科学的論点とその結論等については、企業の知的所有権に配慮しつつ、諸外国においてもその概要が一定程度公開されているという状況でございます。これによって議論の前例が参照できることになりますので、企業側で分析する場合、あるいは再分析として分析する場合、ともにより整合性のとれた分析が実施可能になるものと期待されます。
 公表のレベルにつきましては、イギリスのNICEという組織がございますが、ここでは企業分析、再分析も含め、膨大なレポートが公開されているということがございます。ただ、これは世界的に見ると少し特殊な例でございまして、その他の国では該当する医療技術評価機関から要約された数ページ程度のものが公開されているというのが多い状況でございます。
 このような状況を踏まえて、我が国においても結果が公表されることが望ましいのではないかと、検討会では考えております。
 以上でございます。
○荒井部会長
 企画官、続いてどうぞ。
○古元医療課企画官
 費-1の資料にお戻りいただきまして、最後、6ページの下段、<検討の視点>でございますが、分析の枠組みやICERを含む主要な分析結果などを公表することは、制度の透明性を確保するために重要でございます。
 また、分析の質を高めるためには、前例を参照できることが効果的と考えられ、そのために必要な項目を公表することも望ましいと考えます。
 一方、公表内容につきましては、個別品目の情報であること、またICERが幅を持って評価される可能性があることなどを考慮いたしまして検討する必要があるといったことでございます。
 最後に<論点>でございますが、試行的導入における取り扱いと同様、各品目の主な対象疾患などを公表することを基本としてはどうか。加えまして、分析の質を高めるなどのために公開することが望ましい情報とは何か。また、ICERについてはどのような形で情報を公表するのが適当か。
 以上の論点につきまして御意見をいただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
○荒井部会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明に関して、御質問等がありましたらお願いします。
 松本委員、どうぞ。
○松本委員
 まず、最初ですけれども、試行的導入をしっかりと検証するということがこれまでもこの会で言われておりましたし、それがまず最重要課題だと思っています。現在行われている検証作業につきましては、その都度の説明を今後もお願いしたいと思います。
 その上で、費用対効果評価の仕組みについては、試行的導入における取り組み結果も踏まえて、中医協での検討を経て決定するものと思いますけれども、それは確かに同時に科学的にも妥当な方法であることが望ましいということは言うまでもありません。
 そうした考えに基づきまして、私のほうからまず各論点についてコメントさせていただきたいと思います。
 まず1点、ICERについてですけれども、その数値の性格上、一定の幅を許容すると。これまでもこれは議論されてきたことですが、その考え方は理解できます。
 次に、複数疾患に適応がある場合など複数のICERが得られる品目については、その価値をより適切に価格に反映できる方法が望まれます。今回説明がありました有識者による検討内容を今後の検討の参考にしたいと思いますが、あえて言うならば、現時点では(4)の方法が有効かと思いますけれども、さらにもう少し検討してはどうかなということも考えております。
 3番目ですけれども、評価結果の公表については、費用対効果評価の透明性を高めて分析の精度を上げていくという観点からは大切なことであって、海外の先進国で行われているということですので、これを参考に必要な情報を開示していくということについての方向性については賛成いたします。
 1点、その上で事務局に伺いますけれども、今回の有識者検討会からの報告を受けて、事務局としてはどのように進めていくつもりなのか、改めてお聞きしたいと思います。
○荒井部会長
 企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
 ありがとうございます。
 費用対効果評価につきましては、国民の皆さん並びに医療保険関係者の方々にとって納得感のある仕組みとすることが重要と考えております。そのためには、試行的導入における経験も踏まえながら、また今回の有識者検討会からの報告も参考にいたしながら、事務局といたしましても科学的にもより妥当な方策を探っていきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○荒井部会長
 松本委員、どうぞ。
○松本委員
 今回の有識者検討会からの報告は、おおむねこの線でもって進めていくということについては妥当だというお考えなのでしょうか。
○荒井部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 本日の時点では論点として御提示をさせていただきまして、こうした今回いただいた報告を一つのたたき台として検討していくのだろうと理解しております。
○荒井部会長
 吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 ありがとうございます。
 今、松本委員、事務局のほうの説明、いわゆる試行的導入を踏まえて科学的な考察を踏まえながら進めていくというのは賛成でございます。
 それを踏まえて今回の論点でございますけれども、アプレイザルにおいて、まず御提案の費-1の3ページの分析の妥当性に関する検証についての意見でございます。ICERの評価というのは前提としてガイドラインに従った合理的な分析をする、それによって使用可能な対照データが複数ある場合には複数のICERがはじき出される、これは現実的な結果でございますし、試行的導入時には費-1の別紙に4薬品が評価結果として両分析結果表記という経緯もございましたし、その複数結果のどちらがより論理的妥当性があるかという検証はなかなか難しかったということも踏まえますれば、ICERの分析ガイドラインに基づいて科学的な観点で適切なデータを用いて分析するということについて、それを前提とした場合には一定の幅を持って結果を許容するという考え方、ICERの評価の整理としては妥当ではないかと考えます。
 続きまして、次のページの複数の適応疾患があるケース、また一部の適応症においてのドミナントがあるケース、これについては複数の疾患がある場合につきましては、試行的導入においては各ICERを患者割合などによって加重平均で算出し、またドミナントの場合には当該適応のICERを0ということで、他のICERとの加重平均を行ったということで、ICER分析方法については一つに統合してやった。
 しかし、そもそもICERというのは特定の比較対照技術に対して提示される指標だと理解しておりまして、比較対照技術が異なるICERの統合自体が非常に外形的であって、価値指標としての妥当性については、外形的に統合するということは意味をなさないのではないかと考えております。
 したがいまして、先ほど福田先生から御説明がありましたけれども、医療経済学等の有識者の皆さんの検討会の考え方、つまり費-2の16ページにございます、対象品目を適切に評価するためには、複数のICERを一つに統合するのではなくて、適応疾患ごとのICERに基づいてそれぞれの価格を算定して、それらの加重平均を価格として採用する方法、これがより論理的妥当性があるのではないかと考えております。
 しかし、一方でこの考え方のような、各ICERに基づき価値を加重平均で算定する手法、また、先ほど最初のICERの評価において一定の幅を許容する場合においては価格調整の対象範囲をどのように考えるのかというような課題が出てくるのだろうと考えますので、こういうことを勘案すれば、ICERの算出方法と価格調整の関連性は必然であると思っておりますので、今後、この制度化の議論を進めていく中で、検討課題の中では価格調整のあり方とICERの算出方法のあり方は同時並行的に議論する必要があるのではないかと考えております。
 最後の評価のまとめ報告、公表の仕方についてでございます。これについては、基本的な考え方としましては、アプレイザルの結果に基づいて主たる比較対照技術、また分析方法、価格調整における調整方法、こういうような基本的な情報を初めとして、専門組織や、その下に今回設けておりますけれども、分析ワーキング等々で議論された科学的な論拠による考察、このような費用対効果評価制度の透明性の確保並びに国民の理解につながるようなものをまとめ方として報告、公表していくという仕方が必要だと考えております。
 そういうことでは、一方で公表事項は、ここにありますように個別品目情報でございますので、関連企業並びに業界の知的所有権などへの十分な配慮というのも当然必要になってきますので、諸外国の公開事例等々を参考に、先ほど先生の発表にありましたけれども、今後の制度の高度化に資するような情報公開を議論していくべきだと考えております。
 以上です。
○荒井部会長
 ほかには。
 幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
 各論点について意見と質問等をさせていただきたいと思います。
 まず、共有しておかなければならないのは、3ページの<論点>のICERについては幅を持った評価を許容してはどうかというところを、皆さんで同一の理解をしておかなければならないと思うのです。試行的導入のときは、500万~1000万の価格調整の基準値の範囲内においてICERが決まれば価格は決まる、1対1の対応にあったわけですが、今後本格的導入については、これを1対1とするのではなくて、価格調整における基準値についてもある程度幅を持たせるという考え方にしようという理解でよろしいですかということをまずお聞きしたいのです。
○荒井部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 今の御指摘の点については、切り離した議論と私は理解しておりまして、ICERについては科学的な観点からやはり幅というものがおのずと生じ得るものだということが一つの独立事象としてございます。
 価格調整の話は今後一つ一つの課題の中で議論をさせていただきたいと思いますので、そこはきょうは切り離した議論として御理解いただければありがたいと思います。
○幸野委員
 わかりました。では、ICERについてはある程度幅を持たせるけれども、価格調整の基準値をどうするかについては価格調整の議論の中で検討するということで理解し、意見としてはICERに幅を持たせるのであれば、価格調整についてもある程度幅を持たせるべきではないかということをコメントさせていただきます。
 それから、次の論点、4ページの複数の適応疾患については、有識者検討会で示された16ページの取りまとめにありますように、ICERを統合せずに、それぞれの適応疾患に応じた価格を加重平均するということについては賛成させていただきますが、ここで一つ気になるのは、患者割合で重みづけをするということですが、患者割合をどう算出するかについては有識者検討会の中で議論が行われたのでしょうか。
○荒井部会長
 参考人、お願いします。
○福田参考人
 御質問、ありがとうございます。
 患者割合につきましては、実際に例えば当該医薬品が使われている患者の割合を把握すべきと思います。ただ、対象がどのようなものになるかというのがわかりませんので、既に使われているようなものなのか、今後使われるようなものかによって、見通しのようなものでつけるのか、あるいは実際の実績に基づいてつけるのかというところまではきちっと議論はできておりませんけれども、実際に使っている患者の割合を使うべきと思っております。
○幸野委員
 医薬品を保険収載するときに、ピーク時の対象患者割合が示されますが、それは使わずに、例えば直近の過去1年間に使用した患者割合で重みづけをするという方法を検討していくということですか。患者割合は日々変化して、急に増えたりする場合もあると思いますが、そこをどのように考慮するかによって価格が変わってくると思うので、そこは非常に重要な部分だと思うのです。
○荒井部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 実際の薬価収載から価格調整までの流れが今後の議論になるという前提で、考え方だけをきょうはお答え申し上げたいと思います。
 価格調整の段階で一定の信頼性がある、患者さんの使用割合といった数値をどのような形で用いていくのか、この具体的なことについては今後改めて御協議をさせていただきたいと思いますが、信頼性がより高い、またより新しい情報に基づきまして価格調整をするのが適切であろうと考えております。
○荒井部会長
 幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
 わかりました。今後の検討ということで理解いたします。
 それから、次の<論点>の5ページの評価結果の取りまとめ方について、試行的導入と同様の取りまとめ方としてはどうかということについては、異論があります。
 今日の検討議題ではありませんが、倫理的・社会的影響等に関する考慮要素について、試行的導入においては該当の有無しか公表されませんでしたが、ここにもある程度の基準を設けるべきだということを主張させていただきます。本格導入の際には、もし倫理的・社会的影響等に関する考慮要素の4項目のうちいずれかに該当するのであれば、どのような根拠をもってこの項目に該当したかというとりまとめ方は必要だと思います。これについては、今後、倫理的・社会的影響等に関する考慮要素の議論の中でどこまで公表すべきかというのを検討していくべきで、試行的導入と同じとりまとめ方とするということを今日の議論で合意するのは時期尚早だと思います。
 それから、6ページ目の公表の仕方については、試行的導入では加重平均したICERが公表されましたが、もし有識者検討会の検討結果どおりの「ICERを統合せずに疾患別の価格を決めていって加重平均するというやり方」が採用されるのであれば、疾患別のICERをそれぞれ公表すべきだと思います。これは意見でございます。
 以上です。
○荒井部会長
 ありがとうございます。
 安部委員、どうぞ。
○安部委員
念のため確認ですが、先ほど古元企画官から、きょうは価格調整の議論は切り離すという御説明がありました。本日の論点はそのとおりだと思うのですが、その意味で確認です。資料の費-2にいろいろ事例をお示しいただいていて、例えば14ページ、15ページに、複数疾患のICERにかかる取り扱いをどうするかという論点整理と比較が載っているわけでありますが、この資料の中にはICERの考え方とともに、具体的に疾患A、Bという形で価格調整なしとか一部引き下げというような記載もございますが、これはあくまで仮定の一事例であって、このような形で調整をするというような議論のための資料ではないということで考えてよろしいかどうか、確認をさせてください。
○荒井部会長
 企画官、どうぞ。
○古元医療課企画官
 御指摘のとおり、これはあくまでも事例でございまして、昨年の試行的導入のルールを適用した場合にこのようなモデルであるという例示でございます。
○安部委員
 了解しました。
○荒井部会長
 吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 私、先ほど申し上げましたように、このICERの評価のやり方と価格調整は切り離せないと考えておりまして、(4)の方法をとったとしても、ICERはICERで出して、それで加重平均を価格でやるというやり方ですから、当然ながら、それとの幅を持ったところでもどういうテーブルをポイントにして置くか。従来ですと曲線になっていて、一つ決めて、そこで何%減算とかやったわけですけれども、2つ出てきて幅を持つのならばどういうテーブルにするかというのも、当然ながら同時並行的に考えないといけないと考えておりまして、各論を進めるときにはその両方で一緒に議論をしていくということをやらないと、これはこれ、それはそれでは、なかなか結論は出せないのではないかと思っております。
○荒井部会長
 中村委員、どうぞ。
○中村部会長代理
 こちらは質問というか、意見になるか、わからないのですが、一意見ということでお願いしたいと思います。いただいたスライドの資料の15ページを見たときに、そこにはきょう福田先生のほうから、「試行的導入時の方法と比較しても、価格調整結果が一方向に動くとはない」といったことだと思うのですけれども、よくよくみてみると、【例1】だと、比較的ICERが低いといいますか、費用対効果がいいものはこれだと価格は下げられて、【例2】だと、ICERがより高いほうといいますか、費用対効果が比較的悪いほうは、今度は試行的導入時の方法と比べて今度は価格が上がるような形になっているのかなと理解しています。
 今後、検討していただけると思うのですけれども、どういった形で(4)を実際価格調整されるのかによって、費用対効果がよりすぐれたほうの価格を下げて、より費用対効果の悪いほうの価格を上げてしまう、こういったことになるとなかなか理解も得られないのではないかと思っていますので、このあたりをぜひ論点の一つにして考えていただければなと思います。
 以上です。
○荒井部会長
 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 ほかに御意見もないようでしたら、本件については本日の御意見を踏まえ、事務局において検討を進めることとしてよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○荒井部会長
 ありがとうございました。
 それでは、そのようにしたいと存じます。
 本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いします。
 それでは、本日の費用対効果評価専門部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

(了)
<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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