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2018年1月29日 第4回検体検査の精度管理等に関する検討会議事録

○日時

平成30年1月29日(月)15:00~17:00


○場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)


○議事

○野坂医療情報管理専門官 定刻になりましたので、ただいまから第4回「検体検査の精度管理等に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、御出席いただき、まことにありがとうございます。

 なお、本日は日高構成員より御欠席の連絡をいただいております。また、事務局の医政局長の武田が所用により途中退席させていただきます。

 続きまして、お手元の資料を確認させていただきます。

 議事次第、座席表のほか、次のとおりになっております。

 資料1「業務委託における検体検査の精度管理のあり方について」。

 資料2「臨床検査における品質・精度の確保のための精度管理実態調査(矢冨構成員提出資料)」。

 資料3「遺伝子関連検査の品質・精度確保:医療法等の改正に備えて(宮地構成員提出資料)」。

 資料4「遺伝子関連検査・染色体検査の品質・精度の確保について」。

 参考資料の方は、読み上げを省略させていただければと存じます。

 資料の欠落等がございましたら、事務局にお申し付けください。

 よろしいでしょうか。

 冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。

 それでは、議事に移りたいと思います。以降の議事運営は座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○楠岡座長 座長の楠岡でございます。

 お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。

 時間の関係もございますので、早速議事に入りたいと思いますが、本日の議題に入ります前に、検体検査の分類の見直しにつきまして座長預かりとさせていただいているところでございます。これに関しまして、日本病理学会より改めて意見を述べさせていただきたいということですので、佐々木構成員から御説明いただければと存じます。

 佐々木構成員、よろしくお願いいたします。

○佐々木構成員 本日は、このようなお時間を割いてくださいまして、座長の楠岡先生及び厚生労働省の事務局の方々には御礼申し上げます。

 もし楠岡座長が許しましたら、A4の紙を1枚皆様にお渡ししても大丈夫でしょうか。

(資料配付)

○佐々木構成員 それでは、説明させていただきます。

 日本病理学会理事長の深山正久よりの預かりになりますので、このまま読み上げさせていただきます。

 臨床検査技師法の検査分類の見直しに関する検討会へのお願いということで、四角の枠ですが、遺伝子関連検査は従来の検査項目に並列するものではなく、従来の検査項目との間には一線を画すべきである。この要望は日本病理学会員4,584名の総意、強い要望でありますということです。理由としましては、日本病理学会では、これまで臨床検査技師会とともに、病理検査精度の維持・向上のため、日本病理学会、臨床検査技師会共同で認定病理検査技師制度を立ち上げ、共同講習会等を開催して、713名を認定してまいりました。

 特に病理検体を用いた体細胞遺伝子検査では、その検体の取り扱いが、血液細胞による体細胞遺伝子検査のように、ただ単に採取した血液を提出すればよいというものではなく、検査技師、病理医による検体のクオリティーマネジメントが非常に重要になります。がん細胞が少数しか含まれていない病理検体で体細胞遺伝子検査を行った場合、遺伝子変異が検出できなかったという結果は、患者さんからがんの治療の道を奪うことにもなりかねません。病理検体による体細胞遺伝子検査の際の病理検体の取り扱いに関しては、我々病理医及び病理検査技師ともに特に慎重に扱っております。同じ体細胞遺伝子検査でも、血液細胞によるものと病理検体によるものでは全く次元が異なるものと考えております。

 これまでも病理検体を用いた体細胞遺伝子検査に関しましては、日本病理学会でゲノム研究用病理組織検体取扱い規程及びゲノム診療用病理組織検体取扱い規程を策定し、前者は約1万1,000部を医療機関等に無償配布してまいりました。また、ゲノム病理標準化センター講習会を開催しまして、これは臨床検査技師会では、生涯教育の単位、認定病理検査技師の更新の単位として、また、病理学会では病理専門医更新の単位として、これまで述べ約1,000名を超える受講者となっております。

 裏返していただきまして、遺伝子関連検査、染色体検査をほかの検査と一緒くたに同じ平面的な表の中で、同じ並びで扱うことは、遺伝子関連検査、染色体検査もほかの血液検査や生化学的検査と同等のレベルであることにもとられかねず、危機感をいだいております。特に体細胞遺伝子検査でも40SNP以上の塩基配列はそれのみで個人情報となり、個人情報保護法の観点からも他の検査結果の取り扱いと次元が全く異なります。なお、臨床検査技師法改正案の国会審議の際に附帯決議が付されており、遺伝子関連検査など検体検査の分類を策定するに当たっては、医療法の適用範囲に含まれるものを明確にするようにとされております。日本病理学会が懸念している医行為との関係については、この附帯決議を勘案して再度検討すべきではないかと考えます。

 以上、遺伝子関連検査、染色体検査をほかの検査と分離する、あるいは、少なくとも遺伝子関連検査、染色体検査の体細胞遺伝子検査の欄に、血液細胞によるもの、病理検体によるもの等を明記していただくことを強く要望いたします。

 なお、皆さんのお手元にある資料は、以上になります。お時間をいただきまして、どうもありがとうございました。引き続き、事務局及び楠岡座長のほうで御検討願えればと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

○楠岡座長 佐々木構成員、どうもありがとうございました。

 御提示のこの病理学会の御意見等も参考に決定させていただきたいと思いますので、引き続き御協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。

 まず、資料1「業務委託における検体検査の精度管理のあり方について」、事務局から御説明をお願いいたします。

○益田医療関連サービス室長補佐 それでは、お手元の資料1を御説明させていただきます。

 「業務委託における検体検査の設備・面積・人的基準の検討について」です。

 3ページ、第1回検討会資料をお付けしておりますが、本日は、ブランチラボ、衛生検査所に業務委託される検体検査の課題について御議論いただければと思います。

 4ページ、検討事項ですが、ブランチラボ、衛生検査所の検体検査の分類につきましては、本検討会で御議論いただいておりますが、見直し後の分類につきましては表1のような一次分類と二次分類になっております。衛生検査所の登録基準として必要な設備・面積・人的要件、また、ブランチラボが備えるべき設備要件については、それぞれ医療法施行規則と臨床検査技師等に関する法律施行規則に検査分類ごとに別表として定めておりますので、検査分類の見直しに伴い、こちらも見直す必要があります。

 5ページ、まず、検査用機械器具について、二次分類の見直しに伴い、研究班報告におきまして表のような案が示されております。現行から変更し検討する箇所につきましては、赤字で示しております。

 6ページから9ページで、個別に御説明いたします。

 6ページ、事務局からの御提案といたしまして、免疫学的検査の検査用機械器具ですが、「恒温水槽」につきましては、一般的に用いられる「恒温槽」に名称変更し、「免疫血清学検査」に統合できなかったものを整理した「免疫血液学検査」において必置とし、「自動免疫測定装置又はマイクロプレート用ウォッシャー及びマイクロプレート用リーダー」につきましては、「血清学検査」及び「免疫学検査」のうち検査技術が同様のものを統合した「免疫血清学検査」において必置としています。「水平振盪器」につきましては、「免疫血液学検査」及び「免疫血清学検査」において使用しないため削除としております。

 7ページ、血液学的検査の検査用機械器具ですが、「自動凝固検査装置」は一般的に用いられる「血液凝固検査装置」に名称変更し、必置としています。

 8ページ、生化学的検査の検査用機械器具ですが、「天びん」、「純水製造器」及び「自動分析装置又は分光光度計」については、「生化学検査」及び「免疫化学検査」において必置として、主に質量分析等の技術を用いる「血中薬物濃度検査」については、「分析装置又は分光光度計」を必置としています。

 9ページ、遺伝子関連検査・染色体検査の検査用機械器具ですが、「遺伝子増幅装置」、「遺伝子増幅産物検出装置」は、一般的に用いられる「核酸増幅装置」、「核酸増幅産物検出装置」に名称変更し、必置としています。

10ページ、次に、衛生検査所の構造基準についてです。衛生検査所の登録基準として、一次分類の区分に応じた最低限必要な検査室の面積が設定されております。検査分類のうち一つの検査のみを行う場合には20平方メートル以上必要となっていますが、分類の見直しに伴い変更しております。その他、検査分類見直しによる特段の要件を設定する必要がないと考えておりますので、影響を最小限に留めるために変更しないものとしております。

11ページ、衛生検査所の人的基準についてですが、衛生検査所の登録基準として、一次分類の区分に応じた最低限必要な医師または臨床検査技師の人数が設定されております。検査分類のうち一つの検査のみを行う場合は、医師または臨床検査技師が1名配置されることになりますが、分類の見直しに伴い変更しております。その他、検査分類見直しによる特段の要件を設定する必要がないと考えておりますので、影響を最小限に留めるため変更しないものとしております。

12ページ、今度は「業務委託における検体検査の精度の確保に必要な標準作業書、作業日誌、台帳について」になります。

13ページ、研究班報告において、今後、高度で複雑な検査技術分野ごとに求められる人的技術要件、検査工程ごとに必要な精度管理要件や基準を明確にする必要があり、指導要領の中で重要な要件については、これを施行規則における基準に格上げし、精度管理強化を行う必要があるとされています。このため、標準作業書、台帳、日誌など、新たに必要とされている書類について、その導入についての検討が必要でございます。

14ページは、ブランチラボ・衛生検査所が備えるべき書類について、検体検査のプロセスごとに整理したものです。青が現行で備えるべき書類で、オレンジ色が研究班報告において義務化が提案された書類になっております。

15ページ、事務局から御提案といたしまして、研究班報告を踏まえまして、ブランチラボ・衛生検査所について、赤字の新たな標準作業書、作業日誌、台帳を追加し、また、研究班報告で指摘されている個人情報の保護や情報セキュリティーに関しては、衛生検査所の指導要領等において、個人情報保護関連法令及び厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守することを明記してはどうかと考えております。

16ページから22ページで、各項目について御説明いたします。

16ページが、医療機関からの検査依頼、医療機関への検査結果報告における情報の連携・交換について、ブランチラボや衛生検査所が医療機関から検査依頼等の情報のやりとりに関することについて、あらかじめ定めておくべき事項を明確化し、標準作業書の作成を求めてはどうかと考えております。また、交換する情報の確認、追加・修正の記録が確認できるように、新たに検査依頼情報・検査結果情報台帳の作成を求めてはどうかと考えております。

17ページが、教育研修・技能評価について、現行の衛生検査所指導要領に記載されている教育研修・技能評価に関する部分を登録基準へ格上げし、検査分野ごとに要求される教育研修・技能評価について、知識・技能レベルの基準を明確化するための教育研修・技能評価標準作業書の作成を求め、また、教育研修・技能評価を行う際は、研修の参加記録や技能評価の記録が確認できるよう教育研修・技能評価記録台帳の作成を求めるかどうかと考えております。

18ページが、委託検査管理について、ブランチラボや衛生検査所が他の衛生検査所等へ再委託する場合になりますが、現行の衛生検査所指導要領に記載されている外部委託に関する事項を登録基準へ格上げし、他の衛生検査所等に再度検査を委託する場合の依頼情報や検体の送付方法等を明確にするため、外部委託標準作業書の作成を求め、また、外部委託を行う際は、検体の送付や結果の受領等の記録が確認できるよう、現行の委託検査管理台帳に追加して記録することを求めてはどうかと考えております。

19ページ、工程管理・精度管理について、現行の測定標準作業書のうち精度管理に関する記載事項と衛生検査所指導要領に記載されている事項をまとめて精度管理標準作業書の作成を求め、主な記載事項では、赤字の部分が現行から追加する記載事項になっております。測定標準作業書については、異常値を示した検体の取り扱い方法等について、医学的観点から管理者等が臨床検査技師の場合に置くことが求められている指導監督医の役割を追加し、精度管理標準作業書については、精度管理試料の入手方法・評価方法、外部精度管理調査の参加計画等を追加しております。

20ページ、追加の理由といたしまして、検体検査の精度管理の重要性から、標準作業書を独立したものとして、精度管理の方法、評価基準等の記載事項等、精度管理に関する事項として明確化することが適当と考えております。また、測定標準作業書に基づいて測定を行う際は、設備の温度等の記録が確認できるよう温度・設備管理台帳の作成を求め、精度管理標準作業書に基づいて精度管理を行う際は、内部精度管理の評価結果、外部精度管理調査の評価結果等に対する原因究明及び改善措置の記録についても確認できるよう、現行の統計学的精度管理台帳や外部精度管理台帳に追加して記録することを求めてはどうかと考えています。

21ページ、苦情処理について、現行の衛生検査所指導要領に記載されている苦情処理に関する部分を登録基準へ格上げし、委託元の医療機関から受けた苦情の処理手順、記録の方法等を明確にするため、苦情処理標準作業書の作成を求め、委託元、行政への報告の記録が確認できるよう、現行の苦情処理台帳に追加して記録することを求めてはどうかと考えております。

22ページ、最後になりますけれども、検体処理について、検体の保管、返却、廃棄の作業を画一化するため検体処理標準作業書を求め、保管・返却・廃棄の各工程の状況、結果の記録が確認できるよう、検体保管台帳、検体返却台帳、検体廃棄処理台帳の作成を求めてはどうかと考えています。

23ページ以降につきましては、現行法令等、参考資料としてお付けしております。

 説明は、以上になります。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、何か御質問はございますでしょうか。

 どうぞ。

○菅間構成員 先ほどの最初の冒頭の分類の話があったように、4ページ目に「第1回の議論において、医療技術の進歩に合わせて、以下のとおり検体検査の分類を見直したことに伴い」と結論が出たようなことで書いてありますけれども、分類に関しては座長預かりになっているわけですから、これは正しくない。

 その点と、それを受けて、9ページの遺伝子関連検査の二次分類諸々も含めて、それを前提とした表になっていますので、これは確定ではないわけですから、その分、暫定的な分類その他をきちんと入れておくべきではないかと思いました。

 以上です。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。

 菅間構成員から御指摘がありましたように、分類に関しましては座長預かりとなっておりますが、一定程度、ご議論をいただく必要もありますので、この分類に基づいて一度御議論いただいた上で最終的な整理でまた改めさせていただければと思いますが、本日はこの分類に基づいて議論を進めていただきたいと考えております。

○楠岡座長 ほかにございますか。

○菅間構成員 改めて分類に関しては時間を持って議論するということですね。現状ではこれに従ってやるけれどもと。

○木下保健医療技術調整官 次回以降の取りまとめの際に、全体的なこれまでの議論を整理する中で、分類も含めてやるということで予定しているところでございます。

○楠岡座長 ほかにございますか。

 伊藤構成員、どうぞ。

○伊藤構成員 これは私どものような素人には全く難しい話ですが、精度を上げるためにこれだけ大変な手順をつくられたり改正があったりということで、本当にすごいなと思うのですけれども、昨今、色々な業界でも検査の手抜きあるいは記載ミスなどが頻発しているように報道されていると思います。質問なのですけれども、これだけの報告や様々なことを義務化することによるそれぞれ実施しているところの負担というのは、相当のものになるのでしょうか。それとも余り変わらないということなのでしょうか。そこをお伺いしてみたいなと。専門の皆様方のことなのでしょうけれども。

 一般論なのですけれども、余り複雑になるとかえって形骸化するという傾向が社会全般にあるような気もしまして、余りにも沢山の標準作業書や日誌や台帳があると、これだけ見てもすごいなと思うのですが、コスト上の負担とかというものは果たしてあるのかないのかお伺いしたいと思います。

○楠岡座長 いかがでしょうか。

 どうぞ。

○田澤構成員 衛生検査所協会の田澤でございます。今の御指摘の実際にその負担を強いられる協会ですが、今の御説明の14ページに、現行で何が存在していて、これから何が新設されるのかといったところがきれいにまとめられて説明されたわけですけれども、この青のものについては既にございます。赤のものについても任意で行っているところはたくさんありますので、結論から申し上げますと、負担に関しては若干の負担があるものの十分対応可能だと。業界としても、10年の取り組みの結果として、外部委託ということがありますと経済理論が入ってくる。当然コストの向上といったときに、今おっしゃられた手抜きとかということが絶対に起きないようにということで、ここについては、今、基準がないものもしくは基準が曖昧なものについては、しっかりとそこの基準を決めて、あるいはちゃんと明記して、外部委託できるところで評価いただいて、検査ができる。これは強い思いの中でやってきまして、10年の議論の中でこういうことが望ましいだろうということも確認してきておりますので、十分可能ということが1点でございます。

 研究班の矢冨先生からも実態調査の報告が後からあると思うのですけれども、これをもしやったと仮定したときに、各衛生検査所で対応が可能かどうかという結果報告も出てくると思うのですけれども、その結果の中でも基本的には対応可能という結論になっていると思いますので、これについては実施困難もしくは経済的に大きな負担になって結果として医療の効率化が妨げられるということはございません。

 以上です。

○伊藤構成員 ありがとうございます。

○楠岡座長 よろしいでしょうか。

標準作業書は、同じ場所で働いている人たちが全く同じような作業を行うためのものということで、これは一度決めたらそうしょっちゅう変わるものではなくて、何か変更事項があり作業内容が変わば修正します。逆に、この標準作業書を全員が理解することで、個人間で差が起こったりしないということがあるかと思います。

 下の日誌とか台帳は、その日その日のプロセスを記録することになりますので、御指摘にあったような、もし問題が起こったときには、さかのぼってどの時点で問題が起こったかとかいうことを示すトレースの基本になるもので、それに関しましても、今、御説明がありましたように、ある程度は既に行われているものですし、逆にこれらが医療安全上の担保になるようなものでもあると思っておりますので、そういう理解でよろしいのではないかと。

 ほかにございますか。

○宮地構成員 私は、県の精度管理委員と委員長を合わせて20年ほど務めている立場からコメントさせていただければと思います。検査全般においては今までの課題は大分整理されてきていると思っています。私が今までお願いしてきたところが幾つか盛り込まれている中の大きな点としましては、指導監督医の役割です。従来の臨検法では、指導監督医の役割が全般の指導ということで解釈が非常に幅広いものでございました。そこで、指導監督医は、ある意味においてはラボディレクターのような役割も求められる、本来は非常に重要なポジションなのですけれども、それが全般という形ではっきりしなかった部分です。必須性の高い部分から入れていただいたのは非常にありがたいと思いますし、精度管理の標準作業書と苦情処理の標準作業書に指導監督医の役割が入ったというのは非常に大きな前進だと思います。医師の立場からそういうものを見て、臨床的にどうなのかということを現場にフィードバックしていただく、指導していただくという意味では、本当の指導監督医の指導という部分が本格的に法律で裏づけられたのではないかと思っています。

 もう一つ、希望していたのは研修における役割です。教育研修のところでも教育研修・技能評価標準作業書というものの整備ということで非常に大きな前進ではございますが、ここに指導監督医の役割が明確化されておりません。追加の理由で「高度で複雑な検査を行う場合の品質を確保するため、検査分類毎」ということでございますが、検査分類ごとは、非常に重要なのですけれども、全般の指導ということがもともとあったわけです。全般というのは、例えば、安全です。検査の現場の安全、労働安全衛生だとか、感染や医療安全、既に盛り込まれています個人情報保護とか、ITセキュリティーとか、ゲノムの倫理指針とか、こういうものは他の法律でカバーされているからということで、今回の法律で盛り込むのが難しいのは間違いないのですけれども、標準作業書の中に入れることに関しては、指導監督医が何らかの形をとることは可能なのではないか。

 他の法律に関して、廃棄物だと廃棄物処理法とかがありますが、他の法律に基づくものは、ぜひ指導要領のほうに加えていただければと感じている次第でございます。ちなみに、17ページの下、現在の指導要領の第5項の研修についての4ですけれども、衛生検査所における内部研修に留めることなく、他の外部の教育研修の機会を活用するよう努めることは謳っていますが、実際問題としてなかなかできないのです。特に小さな衛生検査所では、要員が少ないところで主に平日にやっている研修に外へ行くというのはほとんど不可能というところがありまして、そういう意味で内部研修というのは非常に重要で、かつ、医師が安全衛生とか、医療安全とか、さまざまな横断的な研修内容を盛り込んでいただくことが重要と思っております。

 以上です。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 市川構成員、どうぞ。

○市川構成員 今、宮地構成員から指導監督医の話が出たのですけれども、19ページの右の測定標準作業書、主な記載事項の7番目に「異常値を示した検体の取扱方法」、この異常値は測定上の異常値という意味ですか。医療的な異常値ではなく、測定上の異常値という意味でよろしいでしょうか。

○益田医療関連サービス室長補佐 事務局でございます。

 こちらに関しましては、測定上も含めて、医学的観点から、臨床的なところも含めまして、指導監督医の御意見をいただくというところで記載しております。

○市川構成員 ということは、異常値を示した検体の取り扱いは、結構標準的に病的な異常値が出てきますね。

○益田医療関連サービス室長補佐 実際にそれが測定上のものなのか臨床的なものなのかというところもありますので、そういうところも含めて指導監督医のところが必要だと判断しています。

○市川構成員 ただ、現実的には、検査所によっては指導医が常駐していないところもありますね。そんなところでは結構回答が出るのに時間がかかったりして、検査の迅速性が損なわれる。そこら辺のところはどのように。

○益田医療関連サービス室長補佐 それに関しましても、そのようなことが起きないように、そもそも標準作業書においてその取り扱いをちゃんと決めておくというところで、今回、測定標準作業書の中でこれを決めておくべきだと考えております。

○市川構成員 例えば、数値とか、そういう状況によって、日常作業で処理する部分と、指導監督医に相談する2つがあるという考え方ですね。

○益田医療関連サービス室長補佐 そういう分担等を決めておくことが大事かと思います。

○市川構成員 今までは特になかったのですか。

○益田医療関連サービス室長補佐 今までのところは、先ほど宮地構成員からお話があったように、全般的な指導になってございますので、今回はこのあたりが少し強化している部分です。

○市川構成員 個別でも対応すると。

○宮地構成員 はい。

○市川構成員 了解いたしました。

○楠岡座長 ほかにございますか。

 伊藤構成員。

○伊藤構成員 もう一つ伺っておきたいのですが、22ページのところで、今のお返事と同じになるのでしょうか、検体処理標準作業書を求める、それをつくるということと、その追加の理由で「保管・返却・廃棄における基準を明確化することが適当」と同じ意味になるのかなということが1つと、今まではどうだったのでしょうか。これは、標準作業書ということでいいのか、もっと法律なり何かできちんとこういうことをしてはいけないと定義づけられるような性格のものなのか。意味合いが少しわからないのですけれども。

○田澤構成員 今の御質問でございますけれども、先ほどの1番の標準作業書を求めると保管期間、返却、廃棄に関する標準作業書を求める事は同じではないかということがあったのですが、保管というのは、検体をお預かりして、当然ある一定の期間はその検体を適切な条件で保管しておかないと、当然追加の検査の依頼だとか、再検査とかそういうものに備えないといけないということで、大体これは3週間程度に決まってはいるのですが、基本的にはその検査所ごとにそれぞれの自主基準があって、かなり幅があるのです。

 また返却については、その検体について特に病理標本を用いた遺伝子検査などの議論でもよく出たのですけれども、その検体をもう一度医療機関に返却をして、医療機関の中で追加検査をしたり確認したい、別の検査を行いたいという場合に必要となるプロセスです。そのときには、衛生検査所で行った検査にプラスアルファして、再度、病院の中でその検体の検査を行わないといけない。ですから、その時に備えて返却のプロセスだとか、返却のための保存の基準だとか、そういうことが明確になっていないといけない。

 廃棄についても、一定の検査処理が終わった後は当然滅菌をしたり医療廃棄物として処理するということになるのですけれども、この作業書や自主ルールは当然今もあるのですが、これについては各検査所の自主基準にかなり従っているところがありますので、これは明確に書く必要があると思います。これが明確に書かれることによって、医療機関が適切な追加の検査を委託できたり、あるいは、この基準で検体が廃棄されているということであればこれについては追加のオーダーができないとか、その辺のところが明確になるということになりますが、標準作業書に書くというのは、今までこれに似たようなことはやってはいるのですが、指導要領に従って自主基準でやっていくということなので、実際に標準作業書に定義した基準を明記をして、医療機関がそれを明確に把握し評価出来るようにすることが重要と思います。

 もし事故が起きた場合は、この基準に基づいてそのとおりにやっているのかということが確認出来るということになりますので、そういう観点でこういう標準作業書が必要なのではないかという理解でおります。

○楠岡座長 どうぞ。

○伊藤構成員 老婆心なのかもしれませんけれども、検体といっても色々な検体があるのだろうと思うのですが、追加の理由のところに「遺伝子検査」、「DNARNA」ということが書かれていますけれども、非常に大事なものだと思うのです。それが作業手順書みたいなことでいいのか。大体今までそれが統一した基準が半分なかったようなこと自体がちょっとおかしいかとは思うのですけれども、ここらあたりの懸念というのは色々あると思うのです。ある程度、現場の判断にお任せしていく余地があるのか。それとも、これは絶対にこうでなければならないという形で決められるものなのか。もう一言、質問したいです。

○楠岡座長 どうぞ。

○田澤構成員 おっしゃるとおりで、特に遺伝子検査等に関しましては、十分な基準というものが、ここにいらっしゃる宮地構成員が中心となって作成されたベストプラクティスガイドラインだとか、遺伝子検査の検体取扱いマニュアルだとか、そういうものが大昔からあったわけではありませんが、新たに作成される基準ではそういうものをちゃんと遵守した形で新たに検体取扱いの基準を作ることになりますのでガイドラインに従って、100%こうでなければいけないということを付けるかどうかは別として、ガイドラインに従った自検査室の基準を明確化してこの中に書くということにより、少なくとも今以上に相当品質の高い検体取扱いの基準ができると理解しております。

○宮地構成員 補足させていただきますと、後で御紹介しますが、特に遺伝子に関しては、日本もOECDの加盟国でございますが、2007年に遺伝子の検査に関するOECDのガイドラインを承認しました。このガイドラインの一般原則の中に、いわゆる一般的なインフォームドコンセントとか、個人情報の取り扱い、及び検体の取り扱いにつきまして、しっかりと規範に従うということが挙げられております。それに従って国内の日本版ベストプラクティスにも同様のことが述べられておりまして、それに呼応して今回設けたもので、今までは廃棄物処理法に基づいて指導要領に盛り込まれた部分があるわけですが、今度は遺伝子関連検査に特有の問題に踏み込んでここに盛り込んだということでございます。

○楠岡座長 ほかにございますか。

 どうぞ。

○菅間構成員 今の議論はよく理解できるのですけれども、ただ、そこまで踏み込むということは、臨床検査上の遺伝子関連検査、あるいはその先のところの異常を示した場合の判断も含まれると思うのですけれども、ある程度医者が判断するところの医療行為まで臨床検査所に求めるということですか。逆に言うと、臨床検査所である程度そうした医療行為をしてもいいということになってしまうのではないかと思われます。なかなか微妙な医師法と臨検法とのはざまの話で、難しい話だと思います。

○宮地構成員 後でお話しさせていただきたいと思ってはいるのですが、検査のプロセスは非常に複雑でして、医師はその複雑なプロセスを経て出てきた結果、それに従って医療を行っているわけですが、その複雑な中には、検査の測定における色々な複雑な干渉とか、さまざまな異常反応が出てきたりした結果もあるわけです。そういうところも含めて、それは臨床的な病態を反映するものなのか、検査室での過程の中で起きてくる人為的な異常値なのか。医師の臨床的な立場から、医学的な判断というか、アドバイスをもらうことが必要だということです。あくまで、医師法における医療行為とは違います。

○菅間構成員 かなりグレーで医療行為にかぶるという認識ですよね。

○楠岡座長 どうぞ。

○田澤構成員 私どものイメージしている典型的な事例でいきますと、例えば、免疫の抗原抗体反応のプロゾーン現象とか、薬物の検査で、これは専門的になるかもしれませんが、カテコール環を持っている薬物の分析ピークがかぶってしまうとか、免疫・科学反応上の色々な分析データが通常の標準作業あるいは標準の基準では判断し得ないものがあり、こういう検査生データの異常値が出てきたときに、これを測定上どのような形で判断したらいいかとか、特にある疾患の患者さんのときにはそういう現象が起きやすいとか、そういうアドバイスを受けるということが指導監督医師のあるべき役割と考えており、診断をするとか、そういうことではないと理解しております。

○楠岡座長 伊藤構成員。

○伊藤構成員 貴重な時間を申し訳ありません。なぜここにこだわっているかといったら、これは物すごい個人情報なのです。普通、個人情報でも、名前が書いてあるようなものとか、コピー用紙でも何でも、シュレッダーにかけてから出すとか、色々な形で、既に廃棄の業者に出すときには何もわからないような形で出すわけですけれども、この場合はそこが読み取れなくて、そのままの状態で処理もお願いしますと言って渡して処理をしてもらうということになると、何かそこで事故というのはあり得るかなと思ったりするのですが、そういうことを全く心配しなくていいというレベルで出しているのかどうかなのです。

○楠岡座長 お願いします。

○田澤構成員 検体については、個人情報が識別できる情報は一切ついておりません。ですから、そこについての心配はないと思います。

○伊藤構成員 ありがとうございます。

○楠岡座長 DNAを廃棄する場合に、DNAをそのままで廃棄するのではなくて、何らかの処理をして分断するとか、変性させるとかして、それを受け取った側がそれを分析しても、もとのDNA標本が復元できないぐらいのところまで処理しているのか、それともそのまま出しているのかというのが伊藤構成員の御心配の点だと思いますが。

○田澤構成員 検体廃棄については2つあると思うのですが、1つは、遺伝子検査の検体の議論の前に、一般的な検査に供される通常の血液だとか、血清だとか、血漿だとか、そういう生体材料が検査大量試料のほとんど大半であり、そういうものに対しての保管だとか返却だとかということについての基準は余り異論がないと思います。

 遺伝子検査の試料ということに関して言いますと、DNAを抽出する前の有核細胞を返却するケースというのは余りなく、むしろ抽出したDNAを返却して、それを医療機関なり研究機関なりでもう一度はかりたいということで戻すということが大半となります。衛生検査所において分析終了後に返却せずに廃棄を行う場合は、今、座長がおっしゃられたように、当然通常の廃棄行為プラスDNAを切断・破壊する処理等、そういうことを行うことになりますので、基本的にはそれがゲノムの情報として個人情報が色々なところに分散する、さらにそれが特定の個人を識別する情報と紐付くことは基本的にはないということになります。

○楠岡座長 よろしいでしょうか。

 ほかにございますか。

 それでは、時間の関係もありますので、続きまして、矢冨構成員から、資料2、受託者における品質・精度の確保のための精度管理実態調査中間報告について御説明をお願いいたします。

○矢冨構成員 それでは、資料2に基づいて説明させていただきます。

 検査における品質・精度の確保のための精度管理実態調査ということで、前回の検討会におきましては医療機関関連の報告をさせていただきましたけれども、今回、衛生検査所・ブランチラボに関して中間報告をさせていただきます。

 2ページ、この調査目的は、前回説明させていただいたとおりであります。新たな基準の策定に当たっては現状を踏まえたものにする必要があるということで、先ほど田澤構成員から的確なイントロをしていただいたとおりであります。3つ目の●に書かれていますように、今回、衛生検査所及びブランチラボに関しての実態調査の中間報告を提示させていただきます。

 3ページ、今回の調査の概要でございます。衛生検査所、ブランチラボの回答数に関しては、3つの●に書かせていただいたとおりです。

 まず、4ページ、5ページに今回のアンケート内容、つまり、質問内容を書かせていただきました。問1から問16までございます。

 この回答結果に関しまして、6ページ以降にまとめております。問1、指導監督医が担うべき業務内容ということで、精度管理の技術的な指導・監督、検査値の専門的な評価、苦情処理の指導等、先ほど議論があったとおりでございます。

 次は、問2以降の回答結果をグラフにまとめさせていただいております。それぞれの質問に関して、青が整備済みで、赤が対応可能、黄緑が対応不可ということで表しています。黄緑の部分、つまり、対応不可の比率が高いものに関しては、現状を踏まえて的確に対応しないと混乱が起きる危険性があるということで、以下、黄緑のパーセンテージが多いところに関して注釈を加えさせていただきます。まず、7ページの衛生検査所の回答で、上から4つ目の個人情報保護に関するものです。この個人情報保護に関しては、質問そのものを読ませていただきますと、「個人情報保護標準作業書について:ゲノム解析を実施する場合においては、個人情報保護に関する指針・対策を明確にした標準作業書を備えることについて当てはまるものを選択してください」対して、整備済み、対応可能、対応不可から回答を求めたものであります。この質問に関しまして、対応不可の理由として、ほとんどが、ゲノム解析は実施していない、ゲノム解析の実施予定はなしという回答でございました。ですから、そもそも対応不可というより、対応不要というのが正確なところでありまして、これは問題がないと考えております。

 8ページは、ブランチラボの結果をまとめたものでございます。上から4つ目に関しては、先ほどと同じ個人情報保護関連の質問です。上から6つ目は、設備管理記録台帳に関するもので、これも黄緑のパーセンテージが多いわけでございますが、対応不可の理由として、排水・廃棄物処理設備、消毒設備などは病院設備のためということで、要するに、医療機関が管理するため、ブランチラボとして対応しなくてもいいというニュアンスかと思います。これに関しましては、本年の研究班におきまして、衛生検査所とブランチラボ、それぞれにおける必要な記載事項案を慎重にお示しさせていただくように進めたいと考えております。

 最後、9ページのまとめをご覧ください。今回のアンケート調査結果を踏まえますと、ほとんどの衛生検査所及びブランチラボにおいて、追加提案された標準作業書等に関して、既に整備済みか記載事項がわかれば対応可能と判断されたと考えております。

 以上です。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 ただいまの御説明に何か質問はございますでしょうか。

 菅間構成員。

○菅間構成員 今の矢冨構成員の説明で、個人情報保護に関しては、遺伝子関連検査はこれまではやっていないから対応不要であった、それは理解できます。しかし、今後、今回の検討会を受けて遺伝子関連検査が行われることを前提とした場合には、先生がおっしゃった対応不要とするのはおかしいかなと思われます。今後は衛生検査所においてもきちんとした個人情報保護の体制をとる必要があるけれども、現状ではできていないというそのままの解釈にすべきではないかと思いました。

○矢冨構成員 おっしゃるとおりです。御指摘ありがとうございます。

○楠岡座長 ほかにございますか。

 そうしましたら、先ほどの資料1の説明及び今の矢冨構成員からの現状報告を踏まえまして、この業務委託における検体検査の精度・管理のあり方につきましては、事務局案のとおりということでよろしゅうございますか。

(首肯する構成員あり)

○楠岡座長 それでは、そのように進めさせていただきます。どうもありがとうございました。

 次に、資料3「遺伝子関連検査の品質・精度確保:医療法等の改正に備えて」につきまして、宮地構成員からの御説明をお願いいたします。

○宮地構成員 資料3をご覧ください。「遺伝子関連検査の品質・精度確保:医療法等の改正に備えて」とまとめたものを解説させていただきます。

 2ページは、先ほどお話ししました臨床検査の工程と精度保証です。臨床検査は、実際には、測定前または検査前プロセス、検査プロセス、検査後プロセスと大きく3つに分かれますが、さらにそれを分解しますと3つ4つに細分されてくるわけで、非常に複雑な工程を経て結果が返ってきます。特に品質・精度確保におけるキーとなる実体的要素、人、組織、機器、標準物質、こういうものは青の背景で囲んであります。この複雑な過程を経て出てきた結果、それによって医師は診断・治療を行っているわけですが、先ほどありましたように、その数値や結果の信憑性を医師は全くわからないのです。一方で、下にあるように、医療の質に対する社会的関心が高まり、患者さんにとっては本当に信憑性のある結果に基づいて診断・治療を行っているのかと。それを信じ切っているわけですけれども、複雑な工程を経てきますので、先ほどの測定上の異常反応とか、たくさんのことが実際には起きているわけです。それを信頼性と客観性の指標をどうしたらいいかということで、検査室の第三者評価の重要性が高まっているわけです。それによって医療の信頼性や患者の安心・安全が確保できるという時代になってきております。

 次のページをご覧ください。先ほどの複雑な工程を縦軸に、横軸の上に遺伝子関連検査の3つのカテゴリー、病原体核酸、ヒト体細胞遺伝子、生殖細胞系列遺伝子の3つのカテゴリー、下の横軸にその検査の利用の出口を示したものです。どういう要素が実際にあるかということを、2006年、先ほどのOECDのガイドラインのドラフトが公表されたときに、日本の現状を整理させていただいたのです。この青の背景のところ、例えば、測定者は検査技師等であったり、生殖細胞系列の遺伝学的検査では研究者等であったり、測定機関は研究機関、民間機関であったり、登録衛生検査所であったり、まちまちでございます。最も大きなところは「未整備」と書いているところなのですが、白血病、がん、単一遺伝子疾患をはじめ、生殖細胞系列において、測定・機器試薬、標準物質、またはその下の外部精度管理というところでは全く未整備です。これが10年前の状況ですが、本質的に10年たっても全く変わっておりません。現在もほとんど未整備のままです。

 その次のページをご覧ください。一方で、法整備に関する海外との比較によりますと、欧米ではこれにお示ししますように、臨床検査及び遺伝子関連検査については、法律で品質・精度管理に関する要件が規定されております。

 5ページですが、遺伝子関連検査の複雑さと精度保証の重要性ですけれども、通常の検査よりもより複雑で多様な検体を使って、さまざまな非常に高度な測定技術を用い、その結果の解釈は通常の検査よりも非常に難しいのです。膨大な情報がありますし、病型診断の体系化も非常に複雑化して、それが今の分子標的療法をはじめ直接治療に結びつくという時代でございます。したがって、先ほどの複雑な工程全体の品質を確保する、つまり、品質保証が重要になるわけです。

 6ページは、もう少し細かく書いたものですが、測定前、測定、測定後で色分けをしておりますが、検査前、検査後の段階においても検査室がかかわらないといけない状況になってきました。それは、各医師や各診療科の先生が単独では十分に対応できない。検査に基づいて横断的な対応ができる検査室の重要性が高まっておりまして、そこで検査室の能力を第三者評価することの重要性が高まっているわけです。

 次のページをご覧ください。遺伝子関連検査の直近の動向でございますが、技術開発と実用化の加速ということで、LDT、これはLaboratory Developed Test、つまり、検査室独自開発の検査。マルチプレックスは、多項目同時測定、NGSすなわち次世代シークエンサーなどが導入され、保険診療にコンパニオン診断や遺伝学的検査が広がってきております。また、保険診療外やヘルス領域では、新出生前検査や個人識別、DTC、すなわちDirect to Consumer TestingDNA検査による郵送健診も行われています。しかしながら、適正な実施・利用の仕組み、医療従事者や利用者の不慣れという問題は、この10年間、本質的には変わっていないのです。したがって、ここで国として課題取り組みの必要性、実用化、実施体制、適正利用、社会基盤整備などの必要性から、ゲノム医療実現推進協議会が発足しました。

 次のページをご覧ください。健康・医療戦略推進本部のもと、中間取りまとめが平成27年7月に出てきまして、そこでのまとめの中に、医療現場への実利用に向けた課題として、ゲノム科学の急速な進展の結果として、実利用に向けた段階である、発症予測、予防、診断、最適な薬剤投与量の決定、新たな薬剤の開発等に向かっていく必要がある。しかしながら、例えば、欧米と日本では、基礎科学として、ゲノム解析、ゲノム研究、コホート研究、疾患ゲノムバンクは、日本は欧米を凌駕しております。一方、実用化の段階にいきますと、医師の指示を受けて行われる遺伝学的検査は、欧米が4,600項目以上に対して、日本は144項目、保険診療は36から72疾患と広がってきておりますが、格段に少ない実情があるわけです。

 9ページです。そこで28年度のゲノム医療実現推進協議会のまとめとして「2.各論」の「1」医療実装に資する課題」のトップに「(1)検査の品質・精度管理」が最も大きな問題の一つではないかということで、それを受けて次のページをご覧ください。

 第5回ゲノム医療タスクフォース会議の対応方針として、遺伝子関連検査に特化した日本版ベストプラクティスガイドラインの要求水準が必要と考えられ、タスクフォースでの議論を含め、今後、具体的な方策等を検討・策定することになりました。

11ページをご覧ください。それでは、日本版ベストプラクティスガイドラインとは何かと申しますと、一般的原則が書かれておりますが、それを目指すための実務上のガイダンスが4つの柱から成っておりまして、1番が検査機関の質保証システム、2番が技能試験、これは外部精度管理と重なるものでございますが、結果の報告の質、教育と訓練の基準でございますが、その全体の中で最も重要なところが1番の質保証システムの中の施設認定の取得でございます。ここがOECDガイドラインで推奨されていたものでございまして、日本では10年前はそういう取り組みというものがまだ発足したばかりでございましたので、望ましいという表現にしてあります。

 次のページを見ていただけると、そこで遺伝子関連・染色体検査の基準の中に、分類を踏まえて、遺伝子関連検査と染色体とを組み合わせて、追加的に設定する基準案として、検査施設の第三者認定ということを挙げているわけです。ただし、全てのところに認定を加えず、現状でもう少しフレキシブルにするということで、高い技術のところはどこかということで、指標として病理検体を使う場合、マルチプレックス検査、シークエンシングという形で分けて、2016年度の厚労科学研究班での報告書に出させていただきました。

 それでは、この高い技術と対象外はどう分けたかというと、次のページを見ていただきたいのですが、2013年にJCCLS、日本臨床検査標準協議会で長い間議論した結果、保険償還で品質の確保を指標とした評価をしてほしいという主旨で、その基準としてつくってきました。今まで、保険診療上、検査というのは物として評価されていました。製品として個別の点数がついているわけですが、品質を確保した場合にはそれなりの点数を付けるべきだろうと。さらに、今後は検査サービスとして品質を評価すべきであろうということで、先ほどのベストプラクティスガイドラインの要件を満たしたものに関しては加算などを求めてきたわけですが、今回、法改正に伴う施設要件として議論されているところでございます。対象例として、下の段にありますが、簡素、正確な測定、すなわち、試薬キット、自動測定の薬事承認されたものが製品としての評価として、一方、検査サービスは、複雑、技術・知識、教育トレーニング、解釈・判断を必要とするもの、例えば、薬事未承認検査法や遺伝学的検査が相当しますが、これはFDAのコンプレキシティーモデルを参考にしたものでございます。

 次のページを見ていただきますと、これをさらに医療・ヘルスケアでの品質の考え方に膨らませた場合に、同じ考え方が、自由診療、健診、DTC、個人識別、臨床治験に当てはまるのではないかということでございます。特に自由診療、健診、DTCについては共通点がありまして、単一遺伝子疾患の確定、発症前、保因者、出生前の検査を行う場合は、衛生検査所登録さらにISO 15189ISO 17025による第三者認定を求めてはどうかということを挙げさせていただいております。

 次のスライドをお願いします。ISO 17025は、分子学的検査の領域に関して、既に認定基準もありますし、JAB等で審査をしております。しかし、ISO 17025はヒトの検体を扱う上では十分ではないわけです。そのISO 17025を母体としてつくられたものがISO 15189です。15ページをご覧いただきますと、ISO 15189の検査室認定の課題と対応なのですけれども、現状の日本でのプログラムは、一般臨床検査項目、保険診療、薬事承認を前提としたものだけを審査しています。一方、臨床研究中核病院はこのISO 15189などの国際認定が施設要件化されているわけですが、本来の目的の国際レベルの臨床研究や医師主導の臨床治験には、右上のLDT、例えば、コンパニオン診断、遺伝学的検査、新規技術や、新規バイオマーカーを対象とした検査の質確保が重要なのです。しかしながら、実際には審査がされていないということで、制度設計にミスマッチがあります。そういう問題認識のもと、ISO 15189の国際規格は既にそこをカバーしていますが、日本におけるガイダンス文書、審査基準が必要だろうということで、今、その作成の作業をしております。

 その基準となるものが、次のページを見ていただきますと、国内外のさまざまな規格です。右下は、半分がJCCLS、日本臨床検査標準協議会でつくってきたガイダンス文書でして、直近では、昨年10月に検体品質管理マニュアル第二部、NGS対応版が出ましたし、海外でもAMPAssociation for Molecular PathologyCAPの合同でNGSの規格が出たところですが、こういうものをISO規格に落とし込もうということです。

 次のページをご覧ください。ISO 15189の第4章の管理上の要求事項と第5章の技術的要求事項の中に、ピンクのところが情報、濃い青が検体で、先ほどの病理からのゲノム診療病理組織検体取扱い規程など、薄い青が人材、全般的なところがグレーになっています。こういうものを落とし込んだガイダンスをつくっているところです。

 次のページを見ていただければと思います。先ほどのベストプラクティスガイドラインの4つのアプローチについて現状と課題と進行中をまとめたところですが、1番の質保証システムについては、今、お話ししたところでございます。2番の技能試験は、CAPの外部精度管理調査でモレキュラーサーベイを2012年から導入しておりますが、一方で、我が国の利用可能な検査項目が少ない。CAPの遺伝学的検査は特にコーカシアンの疾患が主で、日本人特有疾患の項目がないのです。それから、高額な参加費が課題です。そこで、日本版のEQAの検討と、EQAだけではカバーできない部分の標準物質だとか、まれな疾患に対応する精度管理物質の提供を目指すCDCで行っているGetRMというものがあるのです。Genetic Testing Reference Materials Coordination Programですが、日本版のGetRMの検討を各学術団体と意見交換を進めているところです。4番の、検査実施施設の要員の教育訓練は各学会でさまざまな認定資格ができているところでございます。

 最後に、これがゲノム医療を取り巻く環境と課題で、ゲノム医療が今後良質かつ継続的な医療提供をするには、既に技術革新、研究基盤整備、情報革新、医療水準、医療のシフト、社会的環境というものが待ったなしで動いているところなのですけれども、遅れているところが白抜きのところです。すなわち、経済基盤(保険診療)、人的基盤、医療基盤、これらを整備するには、今回の一番右下の青の丸のところの法的基盤が重要です。今まで、個人情報保護法、がん対策基本法、難病法に基づいてさまざまな議論と施策が出されてきているところですが、検査の品質確保、及び、医療基盤、経済基盤、人的基盤に関しては、今回の医療法、臨検法改正への議論が非常に大きく影響して整備されていくのだと思われます。

 以上でございます。

○楠岡座長 宮地構成員、ありがとうございました。

 これに関しまして、御質問がありましたら、お願いいたします。

○菅間構成員 すごくよくまとまっていると思うのですけれども、一番最後のまとめの図中で1つ大きな点が欠落しているように思えます。それは、第1回目のときにお話ししましたけれども、費用対効果です。ゲノム医療、ゲノム診断は今求められているイノベーションとして、日本の医療のレベルを上げて、かつ、いかに費用をかけずにやっていくかがポイントだろうと思われます。そのために、医療費の観点、経済的な観点もぜひこの中に入れるべきであるというのが総論的な話です。その上で、最初に余計なことを申しますと、最初の表題は、「医療法等の改正に備えて」ではなくて、もう医療法は改正されているので、それを受けてですから、表題がちょっと違っています。

○宮地構成員 すみません。正確には「医療法等の改正の施行に備えて」ですね。

○菅間構成員 先ほど質問したところとかぶるのですけれども、先生の説明資料の中の、2ページの薄水色の四角あるいは6ページのブルーの四角の中が検査室で行う行為として認識されると思われます。けれども、この四角の囲み方がかなり微妙な問題で、どこまでが医療行為として医師がかかわる行為と定めるべきか、あるいは検査室でやる行為とすべきか?言い換えると検体検査として外部に出していいのはどこなのかという点を改めてよく考えた上で、この薄水色の四角の枠を修正していただければありがたいと思います。

 それから、先生の資料の中で全く同意するのは、この8番です。現在の日本の研究レベル、遺伝子・分子生物学的な研究のレベルは決して低くない。このシーソーのグラフのように、日本の遺伝子検査をする技術は決して低くない。基礎研究あるいは理学系の研究に携わる人たちを取り込めば、医療の現場で遺伝子検査を行うことは、十分可能なレベルにあります。むしろアメリカ・ヨーロッパよりもそれなりの技術を持った方はたくさんおられると思います。それらの人を医療に早く取り込んで、遺伝子診断を安価でどこでもできるようにすることが大事なのではないかと思います。そのためには、現在あるISOを基礎とすべきと思います。余りにも最初から精度管理の基準を上げ過ぎると、遺伝子検査は全て特定の衛生検査所、あるいは、CLIA法を当てはめるとしたら、衛生検査所を介して全てアメリカの検査施設に流れてしまう形に多分なります。遺伝子検査はこれからコスト的にかなり大きくなるかと思います。遺伝子検査料として、国内の医療機関に払われるべき社会保険料が全て、海外に流れることにもなるのではと危惧されます。

 総論的な話ですけれども、先生の資料は非常によくまとまっていると言うと失礼ですが、遺伝子検査の枠組みの線引きをよく考えていただきたい。その上で、最初の分類もそうですが、日本の医療に遺伝子診断、遺伝子治療をいかに導入するかを、現在よく考えないとというのが一番のポイントです。感想になってしまいましたけれども、それに関しては、先生、いかがでしょうか。

○宮地構成員 承りましたと言うつもりでしたのですが。

○菅間構成員 あるいは、座長はいかがでしょうか。

○楠岡座長 ここで一番問題になるのは、精度管理とそれをどう法的に義務化するかあるいは任意の状況に置くかというところで、医療に関する部分に関しては、今回医療法の改正もありましたし、もともと検査に関しましても色々な法律がかかっていたわけです。今回のところでも、14ページのスライドにある医療以外のところ、自由診療とか健診はある程度医療にかかわってくるところですけれども、それ以外の右側のサービスのところの色々なものがかなり規制の外れたところで起こってきています。医療に関わる部分はしっかりできているのだけれども、それ以外の部分が、例えば、消費者庁あたりから問題視されるということもあって、その全体をいかに同じ基準でということも今回の法律改正の一部になっていると思います。

 ですから、医療としてどんどん進んでいって、そのためには厳格な精度管理があり、それを解釈する関係者の議論が進まないといけないということに関しては、今までずっと御議論いただいたように進んでいくかと思うのですが、それ以外のところに関して、どういうようなことを義務づけていくかというのも、これは医療法では縛れないところで、むしろ検査技術としての法律で縛っていくということで、今回、そちらのほうでも並行して検討しているという状況があるかと思います。

 菅間構成員がおっしゃるように、コストとエフェクティブネスというか、有効性との兼ね合いもかなり大事なところで、このあたりは結果的に個人の主観によるところもあると思います。診療報酬改定でも費用対効果が問題になっていますけれども、今回見送りになった理由の一つとしてなかなかまとめ切れないというところで、ごく一部だけになっているので、こういうところも含めて、それを利用するとかに関しては個人の判断に負うところが大きいと思います。しかし正しい情報をちゃんと提供できるということは最低限のことであり、その点に関しての今回の精度管理があると私自身は考えているところであります。

 この点に関しては多分余り御異論はないところかと思いますが、その延長上に関しては色々な問題がまだ残っているかと思っております。

 どうぞ。

○難波構成員 宮地構成員、非常に重要なところで、よくまとまっていると思います。

 何点か私からも意見を申し上げたいのですが、先ほど菅間構成員が言われましたように、8ページのところで、まさにこれが現状を如実にあらわした内容だと思います。基礎科学と申しますか、日本の場合、DTCが特に難病の遺伝学的検査を非常に支えている現状がある。その部分を担保した上で精度の管理を進めていくという観点をぜひ持っていただきたいと思います。逆に言えば、今までは基礎研究の中で非常にボランティア的にやってきた内容が、難病の研究等には役に立ってきたというか、患者さんに還元されてきたという実情がございます。精度を上げることは非常に重要で、難病は我々もやっているのですが、今のボランティアでは絶対にやっていけないというのも現状でございます。精度を上げた体制で予算もできるだけコストを抑えてというお話ですが、ある程度きちんと質を上げるためにはそれなりの費用負担も入れていただきたい。あるいは、我々小さなラボではできないものをどこかに集めようという努力も、現在行っている段階ですので、それを段階的にきちんと進めて、質が上がるような行為にぜひしていただきたいということが一つはあります。それとともに、診療報酬が今は72疾患しかカバーされていない。このあたりも含めて、ちゃんと費用がペイする検査にして、ちゃんと持続性のあるものにしていただきたい。そのあたりをぜひお考えいただきたいというのが第1点です。

 もう一つなのですが、2ページ目は非常に幅広い内容を全てこの精度管理の中に含めていらっしゃいますが、先ほど菅間構成員も言っていらっしゃいました、医行為と検査はある程度分けて考える必要があると私も思います。このパネル検査にしても、NGSの検査の最後の解釈は大変困難で、これは検査のレベルだけで解釈できるものではない。具体例を言いますと、現在、がんゲノム等でエキスパートパネルをつくるということを病院で行っています。これは、確かに検査も一部入るかもしれませんが、これは医行為そのもので、病院の中で専門家が集まって、それを診療にダイレクトに落とすという、そこの部分のエキスパートパネルの充実が大変重要だと考えています。今回のこの精度管理等に関しては、その前の段階までで、エキスパートパネルの部分までの質管理を第三者認証というものは必ずしもなじまないと考えますので、その部分を切り分けていただきたい。例えば、検体検査では、むしろ候補をたくさん挙げていただく。それに対してきちんとした精度管理ができるという考え方で出していただいて、最終的に患者さんに戻すときにはエキスパートパネルをきちんとする。その中に、当然遺伝カウンセリングの専門家もいますし、疾患の専門家もいますし、当然、病理の専門家もいる。そういうものも、ここにダイレクトではないかもしれませんが、付記していただきたい。(遺伝子関連検査は、)それを備えないとできない。そのために、精度の高い検査結果を出していただくという整理にぜひしていただきたい。最終的なエキスパートパネルまでこの中に含めると非常に複雑な内容になるのではないかという懸念がございます。そこの部分が指摘の1つです。

 それから、先ほどこれに関しまして色々な専門職のお名前があったのですが、遺伝子診療学会等でジェネティックエキスパートという新しい職務をつくっています。また、さまざまな学会の色々な職がございますので、幅広くそういう観点からの人材育成も一つとして入れていただきたいと思います。

 要点としましては、今のLDTをきちんと担保しながら質を上げていくという工夫を、ぜひしていただきたいというのが第1点。最終的な解釈に関しては、医行為の部分というか、病院の中でのきちんとした体制をつくる。それとのすみ分けといいますか、その部分もきちんとしていただきたい。最後に、さまざまなジェネティックエキスパート等の専門職等を幅広く入れた人材育成という観点で御議論いただきたい。そこをよろしくお願いいたします。

○楠岡座長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 その資料3の状況をもとにして今後どうしていくかということで、資料4「遺伝子関連検査・染色体検査の品質・精度の確保について」を事務局より説明をお願いいたします。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。

 お手元に資料4を御用意ください。

 先ほど宮地構成員が御説明になりました資料の12ページに、2016年度の研究班の遺伝子関連・染色体検査の基準案を御提示いただいております。こちらで御提示いただいた基準に追加的に設定する基準案に沿った形で、事務局で今般新たにスタートいたします遺伝子関連検査の基準について整理させていただいているものでございます。適宜参考資料2等もご覧いただきながら説明を聞いていただければと思います。

 まず、2ページ目、昨年度の厚労科研報告書の一部抜粋になっております。この中では、研究班報告書におきまして、遺伝子関連検査・染色体検査の基準について以下が挙げられているところでございます。今、挙げていただいていますものが、大きく責任者の設置をどうするのか。内部精度管理の実施、外部精度管理調査の受検をどうするのか。検証をどうするのか。さらには、先ほども御指摘がありました第三者認定をどうするのかという各論点について御指摘をいただいているところでございます。

 3ページ以降、それをさらに少しかみ砕いた形で論点を整理させていただいております。まず、論点1といたしまして、責任者の設置に関しまして2つ挙げております。まず、1つ目としまして、精度管理の責任者の配置について検査全体の責任者との兼任をどうするのか、2つ目としまして、その責任者に求められる経験と資質をどうするのかという点を挙げさせていただいております。論点2といたしまして、内部精度管理、外部精度管理、研修に関しましては、4点挙げさせていだたいております。まず、1としまして、これらに係る外部精度管理調査の実施体制は現在どのような状況になっているのか。2つ目としまして、この体制が十分に整っていない場合には、どのようにして体制を確保していくことが必要であろうか。3つ目といたしまして、外部精度管理に関しましてその機会が確保できない場合には、どのような代替方法が考えられるのか。4つ目としまして、今後、現状も踏まえた上で、精度の確保に向けてどのような枠組みやプロセスで進めていくことが適切か。その際に、医療機関の行う遺伝子関連検査・染色体検査についてはどのように扱うべきかという形で論点を挙げさせていただいております。

 4ページ、論点の3つ目といたしまして、第三者認定に関する論点を5点挙げさせていただいております。1つ目としまして、第三者認定について、どのような基準、規格を対象とするのか。2つ目としまして、その第三者認定によって担保すべき水準は何か。また、第三者認定を取得するに当たりましては、他の検査との関係でいきますと、遺伝子関連検査部分だけでよいかという論点を挙げさせていただいております。また、3つ目といたしまして、これらが現在どのような状況で、体制が十分に整っていないとした場合にどうやって確保していくのかというのが3つ目。4つ目といたしまして、この取得に関しまして、義務とするのか、もしくは努力義務とするのか。5つ目としまして、その第三者認定を取得する場合に、全ての遺伝子検査を対象にするのか。場合によっては一部の検査を除外もしくは含めるという取り扱いはどうするのか。さらには、取り扱う検体といたしまして、検討案でまとめていただいています病理検体とそれ以外の検体の取り扱いをどうするかという点を論点として挙げさせていただいております。

 5ページ以降、それぞれの論点につきまして、考え方とそれらに考えられる事務局として御提示しています基準案を整理しております。まず、5ページに関しまして、責任者の設置に関するところです。論点の1、2は先ほどと同じになっております。考え方の1になりますが、まず、検査全体の責任者、医療機関におけます責任者と、ブランチラボや衛生検査所におけます精度管理責任者と、今回求めております遺伝子関連の責任者に関しましては、そういう責任者というお立場に関しましては兼任を認めてはどうかと考えております。2としまして、これらの責任者に関しましては、原則、医師または臨床検査技師、歯科医療機関の場合は歯科医師または臨床検査技師ということでどうかと考えております。また、業務にかかわる専門知識を有するそれ以外の者につきましても、責任者としても差し支えないのではないかと考えております。ただし、その場合であっても、知識に加えまして、業務経験につきましては一定の要件を求めてはどうかと考えております。これらをまとめましたものが次の基準案になりますが、それらに関しまして、精度管理に係る責任者は必置という形で要件化した上で、その他の業務の責任者との兼任は可という形で案を提示させていただいております。その責任者に求める資格としましては、医師または臨床検査技師、もしくはそれに同等の専門知識を有する場合は資格を要件としないということでどうかと思っております。ただ、これらのいずれの場合におきましても、業務経験に関しましては一定の要件を求めることとしてはどうかと考えております。

 6ページにお進みください。続きまして、内部精度管理、外部精度管理、研修に関する論点になります。1から4は先ほどと同じ内容です。

 7ページにお進みください。今、御提示しました1から4のそれぞれの論点に立つ考え方をこちらに整理しておりますが、1、2に関しましては、研究班報告に記載されております「外部精度管理調査が存在しない場合」について、遺伝子関連検査に係る外部精度管理調査の手法が確立していない、国内で実施する主体が限られているということで、実施体制が十分に整備されていないことが想定されます。この場合、仮に十分でないという場合にどうやっていくかということが考え方として重要かと考えております。また、代替方法に関しましては、「例えば」ということで挙げさせていただいておりますが、医療機関、衛生検査所、ブランチラボ、それぞれ行っている場合には、相互にチェックする方法も考えられますが、それ以外に何かしら代替方法としてもし考えられるものがあれば、各構成員の御意見を伺いたいと考えております。また、4に関しまして、精度の確保につきましては、今般、まずは内部精度管理の実施、適切な研修の実施を義務といたしまして、外部精度管理の受検につきましては、その実施体制の整備を行う必要があるのではないかと考えております。この場合、外部精度管理の実施につきましては、医療機関の場合は前回の検討会で努力義務として整理されたところでございます。医療機関の中におけます遺伝子関連検査に関しましては、この遺伝子関連検査に係る部分のみを義務ということにしてはどうかと考えております。今、御説明しましたものをまとめますと、下にありますように、遺伝子関連検査につきましては、内部精度管理の実施と研修の実施に関しましては義務として、外部精度管理の受検につきましては、実施体制が整備された段階で改めて検討して義務とするかどうかということを御議論いただく必要があろうかと考えております。医療機関に関しましても今と重複する部分でございますが、遺伝子関連検査については、内部精度管理の実施と適切な研修の実施を義務とすることで求めてはどうかと考えております。

 8ページは、第三者認定に係る、まずは研究班報告書の概要を御説明させていただきます。検査施設の第三者認定に関しましては、遺伝子関連検査における品質・精度に係る基準について、原則として、検査施設の第三者認定等高い基準を要件にすべきである。一方、実際の運用において、簡素なもの、測定及び解析までが薬事承認された一連の試薬・装置で実施されるものなどもあり、検査施設の第三者認定等高い基準の適用外の範囲を明確にすべきでもあり、以下の条件を全て満たすもののみを行う場合については不要とするべきである。1としまして、検査検体が病理検体でないこと。2としまして、単一の核酸配列を検査の対象としていること。ただし、シークエンシング法を除く。3、測定及び結果報告が一連の薬事承認された試薬、装置で構成されるシステムで実施されること。こういった全てを満たす場合については不要としてはどうかという案をいただいております。下に概念的にお示ししていますが、病理検体以外ということであれば、血液検体は考えられるかと。2としまして、単一の核酸配列以外でありますと、ある領域の全ての核酸配列を検査するものが考えられます。測定方法は、システム化されたもの、それ以外という2つのパターンに大きく分ければあるかと考えております。

 9ページは、研究班でおまとめいただいた第三者認定に関しまして、事務局として改めて整理させていただいているところでございます。考え方の1になりますが、例えば、診療報酬におきましては、「国際標準検査管理加算」におきましては、ISO 15189の認定をもって加算対象としているところがございます。それ以外には、これまで議論に出てきましたCAPといったものも想定されるところではございます。また、2におきましては、これら第三者認定によって担保されるべき水準というものを検査施設における検査プロセスが対象になろうと考えております。3、4に関しましては、まず、現状におきましては、ISO 15189の場合、現在、遺伝子関連検査に特化した項目はないこと。また、認定機関は、現在、日本適合性認定協会のみでありまして、直近の認定実績としましては、2015年に10施設、201613施設、2017年に23施設でありますが、医療機関、衛生検査所の数に比して認定に係る実施体制が必ずしも十分とは言えないのではないかということで、まずはこの第三者認定に関しましては勧奨とすることとしてはどうかと考えております。遺伝子関連検査に係る認定のみならず一般的検査項目に係るまでは求めないこととしてはどうかと考えております。5といたしまして、第三者認定の勧奨も求めないような要件に関しましては、研究報告書にありますように、病理検体でないこと、単一の核酸配列を対象としていること、測定の一連の関連のシステムで実施されていることを満たすのであれば、第三者認定の取得は不要としてはどうか。また、病理検体とそれ以外の検体を同様に処理できるシステムもあるということに関しましては、構成員の御意見を伺いたいと考えているところでございます。

 これらをまとめましたものが、次の10ページになります。今の御説明を踏まえまして、遺伝子関連検査を行う場合、第三者認定の取得については、まずは取得することを勧奨することとしてから始めてはどうかと考えております。国内において、認定に係る体制が整備された場合は、「例えば」ということで以下のような基準を策定して、さらなるこういった質の確保に取り組んではどうかと考えております。その場合でありましても、第三者認定をとるかとらないかということにおきましては、「例えば」ということでございますが、病理検体を扱う場合に限定するのか。もしくは、そういった検体の差を設けないこととすることか。もしくは、2におけますように、複数の核酸配列のみを扱っている場合を対象にするかとか、3にありますようなシステム化をされているようなものについて、これらのものを対象とするかどうかといったことにつきましては、御意見を伺いたいと考えております。

 事務局からの説明は以上になります。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 それでは、御質問をお願いしたいと思いますが、今、最後のほうにありましたように、特に外部精度管理調査の手法の確立・体制の強化、代替方法のあり方・仕組みについて、この検討会として目指すべき将来像を御提示いただければと思っております。また、一番最後にありました第三者認定につきましても、必要な体制整備について御議論いただければと思っております。いかがでしょうか。

○宮地構成員 まず、外部精度管理調査の件でございますが、これは「外部精度管理調査」という表現が、一般の検査では大規模な外部精度管理調査が日本で50年近くの歴史を持っていますので、これは努力義務だったわけです。研究班では、内部も外部も義務にしてはどうかというときのこの「外部精度管理調査」という言葉が、英語で言うとEQAですね。External Quality Assessmentであり、評価なのです。調査ではないのです。ISOにおいても検査室間比較という章の中に入っておりまして、大規模調査を対象とすると、遺伝子に関しては、難波先生が御専門とする難病等は永遠に大規模調査は構築できないわけですので、この「調査」という言葉を使う限り、調査が実現した折に義務化というのも成り立ちません。したがって、ここは「外部精度管理評価」とか、私の資料と日本版ベストプラクティスガイドラインに挙げておりますが、「施設技能試験」、そういう言葉も含めたような表現にしていただくことが、1つ、法律とする場合でも重要かと思います。「検査室間比較」か「施設技能試験」です。

 一般的には、「外部精度管理評価」、「検査室間比較」になるわけですが、そこに「技能試験」、「サーベイ」、「Proficiency testing プロフィシエンシーテスティング」、さまざまな表現がある中で、これが混同して使われているという日本の実態がございまして、ここに一つ大きな問題があるわけです。そこで、ISOでは規格としてISO 17043JIS 17043)といって、適合性評価、技能試験に関する一般要求事項で定義があります。しっかり技能試験と外部精度管理調査は分けて議論したほうがいいだろうということになります。

 したがって、先ほどの遺伝学的検査をはじめ、大規模な調査が将来的にも構築されないであろうという中で、しっかり検査室間比較あるいは施設技能試験は認めていくべきだろう。そういう観点では、義務化ということも可能だと思います。

 先ほどの代替法が施設技能試験や検査室間比較に相当します。ISOでは、代替法としては、認証標準物質、過去に検査したサンプル、保管細胞または組織からの材料、他の検査室のブラインドでの交換、検査室間比較プログラムで日常的に検査する精度管理物質が挙げられております。

 それから、日本版ベストプラクティスガイドライン、これはOECDのガイドラインの記述からそのままですが、検査室間でのブラインド試料の交換、ブラインド試料の反復検査、異なる独立した方法による検査の実施、及び他のパラメーターとの比較等があります。したがって、こういうものを含めた概念で捉えないと、この外部精度管理調査または大規模な外部精度管理調査という概念でいくと、これはいつまでたっても義務化はできないであろうということになりますので、定義に大きく依存するであろうということが挙げられます。

 それから、あるべき姿というのは外部精度管理の評価のモニタリングなのです。例えば、アメリカではCLIA法で、アクセプトできない結果が連続しますと検査中止命令が出ます。改善ができるまで中止命令が出るぐらい、国としてどこの施設がどんな外部精度管理での評価でどんなスコアを出しているかという中央管理している仕組みがあるわけです。その中央管理をする仕組みが、日本版ベストプラクティスガイドラインでも、施設の成績をモニターすることをうたっておりますので、いずれは長期的にはそういうモニターする施設、機関も必要になるのではないかと思います。

 また、遺伝子に関しては、2012年から、先ほどのモレキュラーサーベイを日本臨床検査医学会の指導のもとCAPサーベイの中に取り込みまして、全国で運用開始していますが、先ほどの問題点としては、日本人に特化したような疾患の項目が少ない。例えば、フクヤマ型の筋ジストロフィーなどはコーカシアンにはないわけです。それから、費用が非常に高いのです。モレキュラーサーベイだけで、例えば、CAPサーベイでモレキュラーの遺伝子の部分の審査を受けるのに、年間50万はかかると思います。検査室全体だと200万ぐらいかかるわけで、非常に高いのです。そのために、せっかく国内に導入しても、参加する施設は少ないのです。これはある意味インセンティブが働いていない。高いだけではなくて、特に各施設の判断で参加するということになっていますので、ある程度ルール化していけばそれなりに参加数は増えていくであろうとなりますが、課題として国内で独自の仕組みをつくっていかないといけないだろうということが挙げられるかと思います。

 そこにおいては、施設技能試験や外部精度管理評価というのは4つのベストプラクティスの柱の1つなのですが、標準物質や精度管理物質というものの各国内での開発も必要になってきまして、検査の標準化のための研究所を国家として持っていないのは日本だけなのです。アメリカには先ほどのCDCCAP、さまざまな大きな組織が国家レベルであるわけですけれども、日本にはございません。そういうところも考えて、行政のほうで考えていただければというのはございます。

 外部精度管理については、以上でございます。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 ほかに御意見はございますか。

○菅間構成員 今のお話で、外部精度管理は国内の体制が整うまでは時間をかけてすべきだろうと思います。病理検体を扱う場合には外部精度管理が必ず必要というのは、逆のような気がしますが、どういう経緯でこうなったのでしょうか。

○宮地構成員 これは研究班での議論の結果、病理検体を扱うときには、1つは測定前の段階で、組織の取り扱いです。ホルマリンの固定の影響は非常に大きいですから。

○菅間構成員 先ほどの話で、そこのところは病理医が介在して内部でやっているわけです。すなわち医療行為の中でやっているので、逆に外部精度管理は必要ないのではないかと。

○宮地構成員 今の議論は認定のお話に移っているかと思います。

○菅間構成員 外部精度管理の認定です。

○宮地構成員 外部精度管理と第三者認定は違う話なので、認定のお話の基準でよろしいですか。

○菅間構成員 わかりました。勘違いいたしました。

○宮地構成員 認定のお話だとすると、病理検体をどうして挙げたかというと、病理組織の病変をしっかりと確認するとか、病理の先生がやっていただくわけですが、今、新しい技術だとマイクロダイセクションとかをやらないと、しっかりした病変かどうかの確認、そういう意味での専門的な技術、それから、固定とか、処理とか、さまざまな測定前のプロセスを新しい技術で対応しないと、誤った結果が出かねないというところで、測定前の複雑さと技術と影響因子があるわけです。測定もそうなのですけれども、測定後の結果に対しては、例えば、病理の先生方に診ていただいて、それはしっかりした病変を反映した結果であろうということを、測定前、測定後をしっかりそういう体制が整っているか。先ほどのISOの話になりますと、ISO 15189が何を認定するか、何を見ているかというと、検査全体のプロセスに。

○菅間構成員 私が言いたいことは、そこは病理検査のプレアナリティカルな検体の採取あるいは採集で、検査ではなく病理医の医行為なので、検査体制の精度管理の中に含めることには違和感がある。変ですということが言いたいことです。

○宮地構成員 法律は、検査の品質確保という法律なのです。結果が正しいかどうかということを求めている上で、検体の取り扱いが非常に重要です。検体の取り扱いは、組織においては病理の検査室で行ってきているわけです。ISOにおいても、検査前プロセス、検査、検査後プロセスが審査対象になっておりますが、第三者認定で何を認定するかというと、検査のプロセスがしっかり行われていることという、それは検査前、検査、検査後というところがありまして、さらに適切な人材で、要員で、適切な手順で、測定がなされ、報告がなされ、結果を出して報告をされるというところを適切にできるかどうかの検査室の能力を第三者として評価するというものが認定なのです。

 そういうところで、先生の論点の医行為かどうかというところはよくわかります。固定とか、標本の準備とか、これは検査室で行われて、検査の結果の質を担保するということでは切り離せないところであるということで、第三者認定が必要ではないかということでございますので、これはぜひかかわる病理の先生方で十分御議論いただければとは思っております。

○楠岡座長 どうぞ。

○西尾構成員 がんの遺伝子診断で言いますと、昨年度、リキッドバイオプシーというEGFR遺伝子変異の血漿検査がコンパニオン診断薬としてファーストラインから承認されておりまして、同じように、対象とするEGFR遺伝子の体細胞変異については、病理検体のみならず血液も対象とすることから、病理検体だけというところの説明、整合性が少しとりにくいということを感じます。もう一つ、検査対象の核酸配列につきまして、抗EGFR抗体のコンパニオンというか、IVDとしましては、現在、オールRASのキットが発売されておりまして、それを用いて薬物療法の対象かどうかを選別しています。オールRASというのは、KRASNRASBRAFと広がっているわけですけれども、それ1つの検査でやるという以上、単一の遺伝子というのは少し現状と合わないということがありまして、第三者認定不要という基準について少し御議論いただければいいなと思います。

○楠岡座長 いかがでしょうか。

 難波構成員。

○難波構成員 極めて妥当な線で会議案ができていると思うのですが、幾つか質問と意見がございましす。まず、質問といいますか、この8ページ目の第三者認定不要の場合、下の病理検体を扱わない、単一の核酸配列のみの検査対象と測定方法については薬事承認という、これがどこまでの範囲をどう縛るのかということがわかりにくいように思うのです。また、第三者認定を推奨ということなのですが、ある程度簡便な検査でキット化されたものを非常に意識させているというのはよくわかるのですが、これだけの内容でそれがぴんとくるのかなというのがちょっと疑問なところがある。表現を少し具体的なもの、例えば、間接的にインフルエンザの核酸検査のようなものも入るとは思うのですが、そういうところのものとして、また、ある程度いわゆる複雑なものはちゃんとやるという趣旨だと思うのですが、その辺をわかりやすくしていただいたほうが、見た人、専門家でない方はわかる気がします。このあたりの工夫が要るのかなというのが1点の質問になるということです。

 それと、第三者認定のところが一番私も気にかかって、できるまでは勧奨とするというのは極めて妥当な線だとは思います。例のゲノム医療のタスクフォースで書かれている内容としましては、遺伝子関連検査に特化して、日本版ベストプラクティスガイドラインも書かれております。(第三者認定については、)今の臨床の日本適合性認定協会しかないとかということになると、なかなか進まないということであれば、実は人類遺伝学会でもベストプラクティスをそれに準じて改訂版を進めているところもあり、そういうものをある程度きちんとやっていくという方針ではいかがか。そして最終的には第三者認証が本当にできるようになるのであればそうしていくという、それまでの勧奨と努力義務というものがございますが、それまでの過程は、学会等で今までつくっていたものを重要視しながら、よりきちんとしていくという方向性でまとめていけば、ある程度質は現段階でも上げていく工夫になるのかなと思われます。(具体的に)それをどういうふうにやっていくかというのは少し検討が要るかもしれませんが、現状のベストプラクティス等はある程度各研究者というか、色々な大学等でも意識しながらやっている部分もありますので、そういうものが少し考慮されるべきで、最後のほう(第三者認定)は、確かに現状としてやるのは非常に難しいなということで、アグリーします。

 それと、外部精度管理に関しても、宮地構成員が言われたとおり、現状として難病に関してこれをやるのはほぼ不可能だと思いますので、現状に合わせて質の高いもの、ですから、ベストプラクティスあるいは相互査察も一つの方法かもしれませんが、そういうところで現状として(質を)あげていくということを段階的にやっていけるようなものであればいいのではないかと思います。

 ありがとうございました。

○楠岡座長 ほかにございますか。

○宮地構成員 勧奨か努力義務かというところで進んでおりますが、少なくともCAPは受審可能なのです。CAPのモレキュラーラボ、NGSも受審は可能なのですけれども、受審された施設にお聞きしますと、インスペクターの問題で、海外から人を呼ばなければいけないとか、さまざまな問題があって、多少お金がかかります。それから、海外の人が日本語のSOPを見てもわからないわけですね。お金をかけて本当にどこまで読み切れているのかとか、通訳を介してですから。厳密にどこまで審査しているか不明な点があります。

 それから、ISOは施設の特性とかどういう検査項目をやっているかによって非常にフレキシブルな形でできるということで、日本に合っているのではないかと思います。ISOに関しましては、実績が今は少ないわけですけれども、近年急激に伸びていまして、余力が相当あります。ISO 15189は昨年の認定希望が60施設あったのですが、予算の関係で最終的には30施設が正式に審査を受けました。今年は既に80施設が審査を希望して、受審は恐らく半分の40施設の予想で、JABとしては、60プラスアルファの件数の審査ができるような体制を今年はとっていまして、更新と合わせて170件。既に130施設は一般項目でISOを持っているのです。その半数が高度な遺伝子をやっているとしても、そこはプラス中間報告とか、随時でとっていくということで、2年ぐらいでJABを中心としたISO 15189のゲノム版の認定審査の大体必要なところをカバーできると思います。あとは各施設の判断と予算確保だと思います。その間、どうするかというところでは、各学会で、例えば、病理でもゲノム病理学認定というものをお聞きしていますし、日本人類遺伝学会もある。各学会での取り組みは推進していただく必要があるのではないかと思います。

○難波構成員 その点に関して、第三者認証は非常に重要だとは思うのですが、今のISO等は費用がかなりかかって、例えば、小さな難病に割と特化したようなところでは非常にとりにくい状況がある。ですから、例えば、今のISO600万円がかかって、費用がかなりかかるということがある。そうすると、そもそも難病はかなりボランティア的にかなりギリギリの状況というか、費用負担が難しいので、検査会社さんもなかなか入ってこられない。こういう実情のが崩壊しないように、もう少し費用の負担とか、労働力に関してのところを何とか勘案していただけるような工夫がないか。第三者認証というのは、必ずしもISOだけを示しているものではないという議論もここでございましたので、特に日本の今までの現状は外国と違うということであれば、日本に適したものをできるだけ入れていただくという工夫もぜひ検討をお願いできればと思います。

○宮地構成員 ありがとうございます。

ISO 15189は、第三者認証ではなくて、今、第三者認定の話をさせていただいていまして、第三者認証と認定は大きく違うのです。認証は、先生のおっしゃるとおり、仕組みを持っているかだけですので、手が届きやすいところがありますし、費用の上でも削減可能です。ISO 認定としたところは、国際的な枠組みで第三者評価されるという意味で、欧米と比べて遅れたところがあるわけですから、あくまで国際的な水準、枠組みでの認定ががんゲノム診療拠点病院でも施設要件として言われています。それから、臨床研究中核病院の施設要件としてもそこはつくっていかなければいけないところなのです。先端医療に関しては、あくまで国際水準というのはゲノムタスクフォースでの一つの大きなコンセンサスなのです。それぞれ個別の学会レベルの認証は、個別にぜひ進めていただく必要があるとしても、高度な医療、ゲノム創薬をはじめ、国際的に通用する、医療関係の産業育成のためには、国際的枠組みの認定はどうしても避けて通れないのではないかと考えております。

ISOの場合では、500床規模の病院で年間審査平均が250万円ぐらいなのです。確かにCAPの場合は、査察官相互の相入れがあるので、審査には平均70万。しかし、先ほどもお話ししましたけれども、外部精度管理調査に参加するだけで、技能試験で年間200万かかるのです。これはモレキュラーの話ではなくて一般の話ですけれども、海外から査察官を呼ぶために渡航費を120万払って、通訳料は80万かかって、全体でISO受審より高くなります。日本でISO認定施設をもっと増やしていけば審査費用が下がってきますから、そういう意味でも数を増やしていくと、手が届く範囲で、かつ、国際的な認定が取得可能な状況になっていくのだとは思います。

 もう一つの課題は、ISO認定施設を1つ維持するのに、審査員1人が必要なのです。そうすると、今、審査件数170ぐらい更新と合わせてできるといっても、モレキュラーの審査できる人が同数いるかというと、いないのです。日本は遺伝子の審査の歴史がないためです。ぜひ難波先生には審査員として、御専門の立場で参加いただきたい。品質マネジメントと遺伝子、それに特化した人材育成が日本はおくれているので、今、医療関係の専門職の議論が班会議で行われているのですけれども、第三者認定とか第三者評価のための人材育成、専門分野の人材育成についても、ぜひ国として旗振りをしていただければありがたいと思っています。

○難波構成員 宮地構成員の言うことは非常によく理解できます。ただ、結局、費用負担がどうしても増えてしまうことは否めない。そこがちゃんと担保できるような検査体制はここの直接の議論にはならないかもしれませんが、それがないと結局やるところがなくなってしまわないか。特に難病関係はそもそもペイしにくい分野であることを勘案して、そこが担保できるような費用負担も含めた体制について、ぜひ考慮していただきたいということだけです。

○宮地構成員 ありがとうございます。

 先ほどの私の資料にもありましたが、欧米で4,600の項目が実際に使える状況になったのは、精度確保のための仕組みができていて、検査室が第三者認定されて、保険償還がされているから使えるようになったわけですから、そこに医療経済の観点でも、菅間構成員がおっしゃるところも踏まえて、欧米の仕組みを倣って、ソフトランディングで日本に導入していかないと、研究検査サービスを続けていくのは色々な意味で限界が来ていると思うのです。

○楠岡座長 伊藤構成員、どうぞ。

○伊藤構成員 意見というよりも、多分次回の議論になるかと思って勉強のためにお伺いしておきたいのですが、今の8ページの2に関連していることです。その前の資料3で質問しそびれてしまったのですが、例えば、検査依頼者というところで、ずっと主治医が並んでいて、途中から疾患リスクになると一般消費者が突然出て来るわけですけれども、これは現状を分析されたのでしょうから、質問なのですけれども、ここでこの疾患リスクに対して一般消費者が検査依頼者になり得るスタイル、ルートはどういうことになっていくのか。その後、報告までの間、これはどのようにしてつながっていくのかというのは心配をしております。

 今、先生もお話しになりました、先ほどの欧米で4,600項目以上となっていますけれども、これは日本が70疾患しか対象にしていないというのは問題にしても、4,600項目というのは本当に目標になり得る数字なのか、この中で不必要なものが入っていないかとか、普通の保険ではとても対象にならないものとか非常に高額なものが入っていたり、どうしてもやらなければならないということもないような検査項目も、もしもそれも全部含めて4,600項目となっているのだとしたら、余りここで競争しても意味がないことかなと思うのですが。日本の難病医療にしても、必要な部分を必要なところでコンパクトにきちんとまとめれば、日本としてはそれでいいのではないかと思ったりしたのですが。どのようにお考えになっているのでしょうか。

○宮地構成員 恐らく2番目の質問は難波構成員のほうがよろしいと思ってはいますが、4,600だとまだ少ないと思います。まだまだ足りない。いわゆる希少疾患のさらなる希な超希少疾患というものがありまして、その患者さん個人にとっては、検査が本当に大切なのです。非常にまれな疾患の方がいらっしゃいますから。資料3で疾患リスクに対して一般消費者というか、これはいわゆるDTC、消費者直販型の検査で、インターネット等を通して一般消費者が申し込んでいまして、その検査の多くは海外で検査実施しています。知らない間に海外の医療研究機関等で検査をして、結果が返ってきて肥満の何型だとかとやっております。そういうところでございますが、これは非常にリスクが高いのです。分析的妥当性の問題もさることながら、日本人のゲノムが海外にどんどん出ていってしまって、どこでどう使われているかわからないわけです。そういう大きな問題点があります。

○伊藤構成員 問題点として捉えていると。

○宮地構成員 そうです。ただし、分析的妥当性は確保したいということで、できたらISOの枠組みで第三者認定をとっていただきたいというのが先ほどの資料の趣旨でございます。

 その4,600項目については、難波構成員にお願いします。

○難波構成員 これは技術的には可能ですし、現在、NGS、次世代シークエンサーの技術ができておりますので、むしろエキソソーム解析というのであれば、ほとんどの疾患の遺伝子を網羅的に解析することが技術的には可能です。ただ、日本は保険医療システムが疾患ごとに認定していくという観点がありますので、そうしますと、技術認定が非常に現段階で難しいのです。そうしますと、その段階でこの72疾患というものが段階的に認められてきたという歴史的な観点がございます。ただ、研究レベルでは、欧米に匹敵するような疾患の解析、特にIRUDというAMEDが進めているプロジェクトでは、それを超えるような疾患の診断も既になされている。これは保険医療制度の縛りの中でそういう数が決まってきている。将来的にはこの辺も解消していく必要がある。技術的には十分にここを解消する段階には来ているということでございます。

○楠岡座長 時間がなくなってまいりましたので、議論を整理させていただきたいと思います。

 まず、資料4の論点1、責任者の設置に関しましては、提案どおりでよろしゅうございますか。

○宮地構成員 今までは、検査室の責任者のところでも議論がありましたが、遺伝子に関しましては、医師、臨床検査技師以外にも、国家資格を持たない者につきまして、業務に係る専門知識を有するそれ以外の者について責任者にすることが可能である、ただし、一定の業務経験を求めることとするところでございまして、原則は医師と臨床検査技師でよろしいわけですが、これらの職種は国家資格を持っている。一方、業務に係る専門知識を有するその他の者としては、確かに実態が理工学部出身の方とか、薬剤師の方とかいらっしゃいますので、そういう方も含めてよろしいのですが、一定の業務経験は法律でこれは盛り込む以上、ある一定というところの基準が必要だと思います。国家資格に対して業務にかかわる資格、学会認定等の資格、先ほど難波構成員からもお話がありましたが、関連する資格が一つの指標になるのではないかと考えます。

 先ほど、資料3でジェネティックエキスパート等が足りないということでございましたが、そのほか、バイオインフォマティクス技術者とか、それぞれの業務に応じた資格が必要になるのではないかと思っております。

○楠岡座長 この点に関しては、現状、一定の業務経験という枠の話であって、その具体的内容に関しては、今後、またこれだけで別に検討会が必要になるかもしれませんので、枠組みとしてはこれで御了承いただくということでよろしゅうございますか。

 次が、論点の2でありますけれども、内部精度管理の実施に関しては余り御議論はなかったと思いますが、外部精度管理に関しては、まず、名称が「外部精度管理調査」でいいのかどうか。宮地構成員からは、例えば、「施設技能試験」とか、あるいは「外部精度管理評価」とか、名称が内部精度管理と異なった、違いがわかるような名称を付けるということが必要なのではないかという御意見と、その名称を調整した上で、現在の体制の問題もありますので、ここでは今のところは義務化するかどうかというところに関して御議論があったかと思います。名前は別として、外部精度管理は義務化したほうがいいのか。もうちょっと様子を見るというか、代替的なものがはっきりするまで置いておくのか。あるいは、義務化するけれども、代替に関して別途調整を行うというか、議論としてどういう形ですか。

○菅間構成員 先ほどの議論で、基本的には現状は義務化できなくて、しばらく体制が整うまで待つべきだというのが結論だったと思います。

○宮地構成員 これは言葉の定義のところの入り口で縛ってしまったために、現在はできないということになってしまったわけですが、表現を変えていただければ、国際的な枠組み、国際的な基準でもっても代替法は認められておりますので、実際には現実に可能でございまして、一般検査が努力義務で、遺伝子関連が努力義務以下というのは整合性がないのではないかと思います。一般検査の、例えば、第三者のところも関係ありますけれども、高い技術は少なくともですね。

○菅間構成員 でも、現在の国内では体制が整っていないというのが先ほどまでの議論ですよね。

○宮地構成員 調査の表現にすると、永遠に体制構築は無理だろうとお話ししました。調査ではなくて、施設技能試験とか、検査室間比較とか、そういう概念で国際的には捉えられていますので、そういう概念であるならば義務化も可能だと思います。

○楠岡座長 いわゆる一般検査の場合の外部精度管理調査のような、日本医師会等でやっているような大がかりなものは無理だし、また、施設が扱っている範囲が非常に狭い場合においては、全部をできないからだめという話には決してならないというところで、そういう意味で、技能試験という話になったかと思いますが、これにつきまして。

○難波構成員 技能試験にしても、スタンダライズされたものが、今、色々なところで始まってはいるのですけれども、これに書き込むと、どんなものでどういうことと具体的に示さないと法令として非常に難しくなる。現段階では、菅間構成員が言われるように、少し整備しないと、はっきりした文言では、現段階では書きにくいのではないか。そうしないと混乱するのではないかという気はするのですけれども、いかがなのでしょうか。

○宮地構成員 既に平成28年の保険診療報酬の施設基準に、ブラインド試料でのいわゆる技能試験というのは2年前に施設要件に入っているのです。72疾患に関しては。

○楠岡座長 いかがですか。

○難波構成員 要するに、標準検体が得にくいというのは、(保険診療の)72疾患についてもですよね。ですけれども、そうすると、その辺の整備というか、それが前提となると思いますので、そこまでの猶予というか。

○宮地構成員 代替検査に関しては、非常に幅広い選択肢があって、これはその検査を受ける患者さん側の立場から考えたら、その広い選択肢の中でやっていただいたほうが安心していただけると思いますし、現実的に無理な選択肢が並んでいるわけではないのです。

○難波構成員 具体的に言うと、相互査察とか、そういうものであれば。そうではないのですか。

○宮地構成員 そうではないのです。先ほど御紹介したとおりですけれども、ブラインド試料でやるというのもありますし、過去の検体でもいいわけですね。

○楠岡座長 そうしますと、宮地構成員の指摘のように、保険に収載されているものに関しては既にある程度義務づけられているところもあるわけですので、その外部精度管理という言葉は、それに見合う代替法等に言葉を少し考えていただくということと、既に義務化されたものは当然義務になるし、まだ代替法が確立していないものに関しては、少し猶予期間を置いて、それが決まり次第、順次適用していくという段階的なものとする。検討会の意見としてはそういう形でよろしいでしょうか。

 事務局側、いかがですか。

○木下保健医療技術調整官 各構成員からいただいた御意見と座長にまとめていただいた御意見を踏まえて、法令上どう書けるかというところは預からせていただければと思っております。基本的に整理いただいたように、診療報酬において対象となっている72疾患のように、方法が確立しているものについては、それを義務とする。それ以外の部分については、義務化するか、努力義務にするか。また、先ほどの代替法をどう整理するかということを整理させていただければと思います。

○宮地構成員 何度もすみません。最終的には、例えば、欧米の4,600疾患を本当に代替法でカバーできるのかというところもありますので、そこは並行してCDCGetRMのようなものを我が国にも構築していくべきだと思いますので、議事録に付けておいていただければと思います。

○楠岡座長 それでは、今の点に関しては、事務局で表現を考えていただくということでお願いしたい。

 3番目、第三者認定の問題でありますが、これは議論としては今のところ義務化はちょっと困難であろうということになるかと思いますが、努力義務と推奨とは少し差があるのでしょうか。

○木下保健医療技術調整官 あります。

○楠岡座長 努力義務のほうが強いということ。

○木下保健医療技術調整官 はい。

○楠岡座長 佐々木構成員、どうぞ。

○佐々木構成員 病理の佐々木ですが、9ページのところに病理検体を扱う場合ということで事務局からたくさん質問を投げかけられていたのですが、議論が白熱していて発言する機会を失ってしまったので、ぜひここに関してはまた調整願えればと思います。よろしくお願いいたします。

○楠岡座長 この点に関して、いかがですか。

 義務化は無理であるけれども、推奨なのか、努力義務なのか、大体方向づけだけ。それによって多分また内容的なところも少し変わってくるかと思います。それと、あとは第三者認定をする認定機関が、今のところは、ISOCAPしかないわけですけれども、今後、認定機関をどう認定するかという別の問題もあります。国際的に既に確立されているものはあるかもしれないけれども、先ほどの学会等、まだ臨床レベルですけれども、ひょっとして認定レベルに上がってくる場合、それを認定機関として認めるかどうかということもまた別途検討が必要になってくるかと思います。

 伊藤構成員。

○伊藤構成員 「推奨」とおっしゃったけれども、ここには「勧奨」と書いてある。どう違うのでしょうか。

○楠岡座長 「勧奨」、「努力義務」、どちらか。

○木下保健医療技術調整官 「勧奨」と「推奨」は勧めるということについては同じということです。「努力義務」になりますと、義務をかけるということで大きく意味が変わってくるという整理をさせていただいております。

○楠岡座長 どうぞ。

○三井構成員 歯科ですけれども、今後、ますます歯科のほうでもこういう検査が増えてくる可能性が十分にあるというところで、大学病院だろうが、診療所だろうが、そういう体制が全くできていない。今後できてくるという状況にある。そういうことを鑑みますと、努力義務を課せられるよりも、勧奨という形で広く見ていただきたいとは思います。

○楠岡座長 いかがですか。

 ただ、勧奨となると、法的には「勧奨」という書き方もあり得るわけですか。

○木下保健医療技術調整官 あります。

○楠岡座長 現段階では「努力義務」もまだ難しいのではないかという考え方と。

○難波構成員 三井構成員の意見に全く賛成で、歯科の領域も口腔内フローラの遺伝子解析は非常に有用性が高くなっていますので、恐らくそのあたりのところも気になるので、これは今、努力義務にすると非常に気になるところになります。準備というか、体制ができるまでは勧奨がよろしいかと思います。

○宮地構成員 第三者認定というところで、CAPISO 15189であるならばゲノム版というものを想定しなければいけないわけですが、この準備状況としては、1213日までの施行まではパイロット審査を数件やって、そのあたりから審査の申し込みを始めていただき、本格審査は来年の2019年4月頃から可能と考えております。

 一方、ISO 17025は、ISO 15189の基礎の段階の規格です。ヨーロッパでは、全ての検査室が第三者認定を受けなければ受けない強制規格なのです。例えば、フランス、イギリス、それぞれ800施設ぐらいがISOで第三者認定を受けていまして、ISO 151892012年版で初めてゲノムが入ってきてからは、このゲノムをカバーした12年版がマンダトリーになりまして、フランスでのゲノムラボは全てISO 15189で認定をとっています。その前は、長年ISO 17025で認定をとっていたのです。17025の認定機関は多くあるのですけれども、先ほどお話ししたように、人を対象とする場合はISO 15189のほうがいいだろうということで、ISO 15189の準備を待つという意味では勧奨でよろしいと思います。

 努力義務の場合は、たとえ「努力」とついていても、義務に近いところがございまして、行政からの指導対象になる危険性がございます。勧奨という緩い状況でしばらく、環境を整備する。これは厚生労働省令なので、厚生労働省で検討会を開いて、改めて環境の整った段階で努力義務または義務に格上げをしていただくのが妥当ではないかと思います。

○楠岡座長 どうぞ。

○田澤構成員 根本的な質問と意見ということなのですが、今日の資料1の3ページ目に掛かれている内容は、この検討会が始まった一丁目一番地だと思うのですけれども、これはそもそもゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォースの意見の取りまとめを受けて、医療機関については、遺伝子検査を行うための品質・精度管理の基準の法律上の規制がないということでこの基準を検討するために検討会が始まったと理解している訳ですが、本議論の最後のまとめのところで、一番の本丸であるゲノム医療における検査の精度管理基準の議論の結果、遺伝子検査ラボの認定は勧奨で、精度管理については努力義務になるという事が結論でしょうか?一方で、今日、衛生検査所とブランチの精度管理基準の議論でありました、例えば、標準作業書だとか、あるいは検体保管・返却・廃棄に関する作業書だとか、台帳だとかも、遺伝子検査を行う検査室にはそういうものも基本的には求めない。そうすると、医療機関の中で遺伝子検査を実施するといったときに、基本的には、衛生検査所の基準に定められる予定の標準作業書、精度管理作業書、その他の標準作業書とそれに関連する台帳、日誌、あるいは精度管理の参加、認定等、これら全てを精度管理の登録要件と言う事を比較ベースとしたときに、余りにも基準が脆弱で、これではどうも当初の目的が成立するのかどうか疑問であるという気がするのです。これは意見です。

○市川構成員 確かに医療機関の一般の部分はおっしゃったとおりなのですけれども、ある程度の特定機能病院とか、そういうところにはかなりしっかりとした規制がかかるような文案だと思います。いかがでしょうか。

○西尾構成員 ゲノム中核の要件の中に手順書等も入っておりますし、ISOの取得が義務化されて、先ほど2年以内に連携のISOをとることも規定されていますので、そういったところで実施されるに当たっては、そういった担保がされると思います。

○田澤構成員 臨床研究中核病院だとかゲノム医療中核だとかは医療法その他の法令基準で別途定められるのでいいと思うのですけれども、基本的には臨床研究中核が今は11しかなくて、特定機能も基本的に84、それ以外の地域連携病院で500とか続くわけですが、一般病院で遺伝子検査を実施しようとしたときに、ゲノム医療中核病院とかではない、また連携拠点でもないといったところが遺伝子検査を実施する時に、それでよろしいでしょうか。

○菅間構成員 現在、ゲノム医療中核病院の募集が回っていますけれども、本当に数えるぐらいです。そうではなく、中小の病院でも遺伝子検査がある程度できるようにしていただきたい。病院の外の大きな衛生検査所と同じ基準では、通常の地方の中小病院で遺伝子診断体制を整備することはまず不可能です。遺伝子検査の普及という観点で、推奨、勧奨という形でぜひとも始めていただければと思います。

○田澤構成員 そこは全然異論はございません。要は、その中で遺伝子検査を実施する検査室は少なくとも標準作業書だとか、その他の標準作業書とか台帳だとか日誌等、そういうものは要るのではないかと思うのです。少なくとも認定だとか精度管理の参加だとかということ以前に、最低限のところは要るのではないかと。

○木下保健医療技術調整官 

遺伝子関連検査の標準作業書に関しましては、医療機関に関しましても、前回の議論の段階で整理させていただいているところに含まれておりますので、医療機関だから遺伝子に関して標準作業書をつくらないということはございません。他の検査と同様に、遺伝子に関しても標準作業書は医療機関も策定いただくことになります。

 要は、その中身をどの程度つくり込むかみたいな話に関しましては、ある程度、医療機関と衛生検査所に差はあろうかと思いますけれども、標準作業書といった書類の類いに関しましては、他の検査所と同様に、医療機関においても策定するというところは同様の取り扱いになります。現状からすると、医療機関においても質の確保をお願いすることになろうかと思います。

○田澤構成員 今のお話ですと、標準作業書で遺伝子検査の質の担保するという事ですか?精度管理作業書とか、その他の標準作業書だとか、台帳・日誌とかが無くとも、基本的にはバックボーンとしての標準作業書があれば、遺伝子検査を行う医療機関の検査室においても最低限の質の担保はできるだろうという事ですか?

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。

 今回、内部精度管理を義務化ということになれば、内部精度管理に係る必要な書類も整備いただくことになろうかと思います。

○楠岡座長 よろしいですか。

 もとへ戻って、結局、認定の問題に関しましては、勧奨ということでスタートするけれども、当然のことながら、例えば、ゲノム中核とかの病院になってくると、ある程度それは自主的に受けていただいていくということになっていくかと思いますが、スタート時点では一応勧奨ということを検討会としては意見として出させていただきます。

○宮地構成員 田澤構成員の質問とも関係あるのですけれども、以前も議論があったのです。ここは全ての医療機関、衛生検査所に当てはまる要件をつくるということで、少しハードルを下げているわけですね。一方で、がんゲノム診療拠点があったり、臨床研究中核は別の話だとおっしゃる。同じ議論が厚労省の研究班でも出て、例えば、大学病院とか、特定機能病院、こういうところはまた別途議論していただくことになっていますから、高度な医療を提供するところには、遺伝子関連検査の要件をどうするかは、そこでまた議論していただければありがたいと思うのです。病院の機能に応じた特定機能病院、教育指定病院それぞれの検査室のあり方というのは、担当局で議論していただけるように投げかけていただければと思います。

○楠岡座長 よろしいでしょうか。

 そうしましたら、本日の議論はここで終了させていただきたいと思います。

 次回は、本年度最終回の予定でありまして、事務局から本検討会での議論を整理したものを準備し、それをもとに議論を行いたいと思っております。これまでの議論全般を通じて、次回の取りまとめに向けて、構成員の方から何か御意見がございましたら御発言をお願いいたします。

 市川構成員、どうぞ。

○市川構成員 この検討会で議論いただきました適切な精度管理を行うことは患者さんにとりまして大変重要なことで、いい医療を提供するためには必要不可欠なものと考えています。

 ただ、一方で、医療機関における精度管理に当たっては、現在提供している医療が提供できなくなるような過度な負担は避けていただく必要があるのではないか。また、医療機関にも色々ございまして、検体検査の検査が少ない医療機関は、日誌等の作成という新たな取り組みについては、過度の負担とならないよう各段の配慮をお願いしたいと思います。特に都市部など人や医療資源が充実した地域の医療機関であれば耐えられる負担であっても、過疎地やへき地、離島のような地域の医療機関のことを考えた場合、日本医師会として、全国の医療供給体制の観点から、強くお願いしたいと思っております。

 以上です。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 事務局でも、ただいまの御発言を踏まえて、検討会全体について整理したものを御準備いただきたいと思います。

 それでは、事務局からほかにございますでしょうか。

○野坂医療情報管理専門官 次回開催は3月を予定しておりますが、日程調整に係る詳細については、改めて御相談・御連絡させていただきます。

○楠岡座長 それでは、時間が延長して申し訳ございませんでした。

 これにて閉会とさせていただきます。

 本日は、どうもありがとうございました。


(了)

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