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2019年3月13日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会 議事録

○日時

平成31年3月13日(水) 13:00~15:00

 

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール3A

○議事

 

 

○新井食中毒被害情報管理室長補佐 それでは、定刻になりましたので、これより「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会」を開会いたします。
 本日、進行を務めさせていただきます、食品監視安全課食中毒被害情報管理室の新井でございます。よろしくお願いいたします。
 開会に当たりまして、道野食品監視安全課長から御挨拶をさせていただきます。
○道野食品監視安全課長 食品監視安全課長の道野でございます。よろしくお願いをいたします。
 本日はお忙しい中、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会にお集まりをいただきまして、ありがとうございます。初めに、委員の皆様方におかれましては、日ごろより食品衛生行政の推進につきまして、御理解と御協力をいただいていることに、まずお礼を申し上げたいと思います。
 昨年成立しました食品衛生法等の改正法案が本年4月から、特に広域食中毒対策にかかわる部分については施行を予定しているというか、もう施行が決まっておるわけでございます。昨今の食品の流通の広域化だとか、地方分権の推進に伴う自治体の細分化というような問題がございまして、国と都道府県との関係機関の食中毒発生時の連携を法的にも担保することが非常に重要な課題となっておりました。
 そういったことで、4月1日の施行を控えまして、本日は広域連携協議会の設置の内容であるとか、それから、厚生労働大臣が緊急を要する場合には協議会を活用して必要な対策を協議していくようなことを規定したことについて、細かい内容になりますけれども、御報告をし、御議論いただければと思います。
 本日は、定例の昨年の食中毒の発生状況のほかに、こういった広域食中毒発生事案の対策強化の制度の内容につきまして御説明するとともに、昨年より導入しております、特に腸管出血性大腸菌の遺伝子型解析方法を含んだ食中毒対策についても御報告をし、御議論いただきたいと考えております。
 あわせて、今般同じ法律改正の中で2年半後に施行を予定しておりますけれども、HACCPの制度化等に関しても、腸管出血性大腸菌食中毒への対応という視点から、幅広く皆様の御意見をいただければと考えております。食中毒対策のさらなる充実に向けまして、忌憚のない御意見を賜りますようお願いを申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。
 今日はよろしくお願いをいたします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 ありがとうございました。
 報道機関の方は、頭撮りはここまでとさせていただきますので、御退室をよろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 続きまして、委員の一斉改選がございましたので事務局より改めて委員の皆様を御紹介させていただきます。
 議事次第の2枚目に委員名簿がございますので、ご覧いただければと思います。五十音順に御紹介させていただきます。
 国立医薬品衛生研究所食品衛生管理部長、朝倉委員。
○朝倉委員 朝倉でございます。よろしくお願いいたします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 一般財団法人消費科学センター、雨宮委員。
○雨宮委員 雨宮と申します。よろしくお願いいたします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 部会長といたしまして、東京農業大学応用生物科学部、五十君委員。
○五十君部会長 五十君です。よろしくお願いいたします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 横須賀市健康部保健所生活衛生課長、石川委員。
○石川委員 石川です。よろしくお願いいたします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部第四室長、上間委員。
○上間委員 上間です。よろしくお願いいたします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 国立研究開発法人水産研究・教育機構中央水産研究所水産物応用開発研究センター衛生管理グループ長、及川委員。
○及川委員 及川です。よろしくお願いいたします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 公益財団法人東京都保険医療公社荏原病院副院長、大西委員。
○大西委員 大西と申します。よろしくお願いいたします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 浜松医科大学健康社会医学講座教授、尾島委員。
○尾島委員 尾島です。よろしくお願いいたします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 埼玉医科大学医学部社会医学教授、亀井委員。
○亀井委員 亀井と申します。よろしくお願いいたします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 国立医薬品食品衛生研究所衛生微生物部部長、工藤委員。
○工藤委員 工藤でございます。よろしくお願いいたします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 山口県環境保健センター所長、調委員。
 調委員は本日御欠席でございます。
 国立感染症研究所感染症疫学センター第二室長、砂川委員。
○砂川委員 砂川です。よろしくお願いいたします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 町田市保健所所長、広松委員。
○広松委員 広松です。よろしくお願いいたします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 公益社団法人日本医師会常任理事、松本委員。
 松本委員におかれましては、現在遅れております。
 鹿児島県立楠隼中学校栄養教諭、樒柑委員。
○樒柑委員 樒柑と申します。よろしくお願いいたします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 国立感染症研究所所長、脇田委員。
○脇田委員 脇田です。よろしくお願いいたします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 以上でございます。
 本日の部会より親委員に就任された方々は上間委員、及川委員、大西委員、亀井委員、工藤委員、広松委員、脇田委員でございます。
 また、樒柑委員におかれましては、鹿児島県教育庁保健体育課から、鹿児島県立楠隼中学校へ御異動されております。
 続きまして、事務局の異動がございましたので、御説明させていただきます。
 本日、業務により欠席しておりますが、生活衛生・食品安全審議官に宮嵜が着任しております。食中毒被害情報管理室室長補佐として、当職が着任しております。
 今回は参考人として、国立感染研究所の大西副所長に御出席をいただくこととなっておりましたが、急遽、体調不良で本日御欠席と連絡をいただいております。
 本日の部会は、16名の委員のうち、調委員が御欠席、松本委員が遅刻との連絡を受けておりますけれども、14名の御出席をいただいておりますので、薬事・食品衛生審議会の規定に基づきまして、成立していることを御報告いたします。
 それでは、ここからの議事進行は部会長にお願いしたいかと思います。よろしくお願いいたします。
○五十君部会長 それでは、早速、議事に入りたいと思いますが、まず初めに事務局から配付資料の確認をお願いします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 皆様のお手元にございます資料の議事次第を1枚おめくりいただきますと、配付資料がございます。まず、最初に訂正をさせていただければと思いますが、配付資料の資料4「腸管出血性大腸菌感染症調査のためのMLVA法の活用」と、こちらは資料4となっておりますが、参考資料と訂正させていただければと思います。
 議事次第を1枚おめくりいただけますと、座席表がございまして、続きまして、
 資料1 平成30年食中毒発生状況(概要版)及び主な食中毒事案
 資料2 平成30年食中毒発生状況
 資料3 広域的な食中毒事案への対策強化に関する制度の整備について
 参考資料 腸管出血性大腸菌感染症調査のためのMLVA法の活用
となっております。
 もし、資料の不足等ございましたら事務局のほうにお申しつけいただければと思います。
○五十君部会長 資料はよろしいでしょうか。
 それでは、早速議事に入りたいと思います。
 本日は報告事項が2件ございます。
 まず初めに(1)「平成30年食中毒発生状況等」について、資料1、資料2に基づきまして御報告させていただきます。
 それでは、平成30年食中毒発生状況等について事務局から御説明をお願いします。
○森田食中毒被害情報管理室長 それでは平成30年の食中毒発生状況につきまして、御説明をいたします。
 私は食中毒被害情報管理室長の森田と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料1と2がございますけれども、資料2につきましては、全体の詳細なデータでございまして、その中で主なものを資料1に抽出してございますので、資料1で御説明をしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず、資料1のほう、1枚めくっていただきまして、平成30年食中毒発生状況の概要のところでございます。
 スライドの4枚目「食中毒事件数・患者数の推移」でございます。平成30年の発生状況につきまして、事件数は1,330件、患者数は1万7282人、死亡者数は3人でございます。下にグラフがございますけれども、棒グラフが事件数で、青い折れ線が患者数となってございます。事件数は1,330件でございますけれども、数字だけを見ますと10年ぶりの多さという形にはなります。患者数につきましては昨年並みの状況でございます。
 次の5枚目のスライドでございます。こちらは全体ではなく、患者数2人以上の事例につきましてまとめたものになります。同じように棒グラフが事件数、折れ線グラフが患者数になります。
 平成30年につきましては、事件数が822件、患者数が1万6774人、死亡者数1人でございます。事件数に関しましては822件で、例年並みの数字になっており、1人事例が多い年になろうかと思います。
 スライドの6枚目でございます。こちらは患者数500人以上の事例ということで、私どものほうで大規模食中毒として扱っているものでございます。それは2件ございました。
 1つは京都市で事業場の給食施設で調理した食事によって起こったもので、原因物質はウエルシュ菌で患者数が621人でございます。
 2つ目が広島市の仕出屋で製造された給食弁当によるもので、ノロウイルスで550人というものでございます。
 件数的には2件ということで、これは例年のような発生となります。
 次に死者が発生した食中毒事例でございますけれども、3人でございますが、イヌサフランによるものが2件2人、それから、毒キノコであるニセクロハツを原因とするものが1件1人で、いずれも植物性自然毒による死者でございます。また、死亡された方につきましては、ご高齢の方になります。この傾向はこれまでと変わるものではございません。
 次にスライドの7枚目に移っていただきまして、これは年齢階級別の食中毒の患者数につきまして、過去3年の傾向を見ているものでございます。分布自体は大きく変わっていないという状況かなと思っております。
 それから、その下の8枚目のスライドは「月別発生状況」でございます。これも3カ年の傾向を見るということでございますけれども、上段のものが事件数、下段が患者数で、これは全体の事例のものになっております。事件数につきましては、30年につきましては、4月、5月のところでの事件数が少し伸びているという感じとなっております。患者数につきましては、冬場に多くなる傾向にありまして、この傾向は特に変わっていないかなと思ってございます。これはいずれにしてもノロウイルスの影響と考えてございます。
 次の9枚目のスライドでございます。
 これは「病因物質別事件数の月別発生状況」でございます。細菌によるものが青のカラム、ウイルスによるものが赤のカラムになりますけれども、冬場にウイルスが多く、夏場に細菌が多い傾向は変わらない状況でございます。黄緑色のカラムが寄生虫によるものですけれども、30年に大きくなっているということになります。
 10枚目のスライドでございます。これは「病因物質別患者数の月別発生状況」でございます。赤いカラムがウイルスで、青いカラムが細菌でございまして、冬場にウイルス、いわゆるノロウイルスが多いということでございまして、12月から2月あるいは3月に非常に多くなっている傾向は変わるものではございません。
 続きまして、11枚目のスライドでございます。
 これは「原因施設別事件数」で、このページの上の部分が全体で、下のスライドが患者2人以上の事例ということで並べております。いずれも飲食店によるものが多いということでございまして、続きまして販売店や家庭、2人以上の事例ですと、仕出屋や事業場が多くなるという状況でございます。
 次のページに行きまして、スライド13枚目と14枚目でございます。
 これは「原因施設別患者数」でございます。同じく上が全体、下が患者数2人以上の事例で並べているものでございます。これも飲食店によるものが半分程度を占めておりまして、続きまして仕出屋によるもの、事業場によるもの、そのほか学校や旅館が続いている状況になってございます。
 また1枚めくっていただきまして、スライド15枚目と16枚目でございます。「原因食品別事件数」で、上が全体、下が患者数2人以上になります。見ていただきますとわかりますように「その他」が多くなってございます。この「その他」が何かということでございますけれども、下の脚注、※※にございますように、いずれにも該当しない全ての食品がここに入ってくるということでございます。酒精飲料、氷菓等々と書いてございますけれども、多いのは「何月何日の食事」とか、夕食ですとか、そういった形で特に食品が特定されたわけではないのですけれども、大ざっぱに把握されてわかったものが、この部類に当たることになります。
 それから、複合調理食品でございますけれども、これは※のところにありますように、コロッケ、ギョウザ、あるいは肉と野菜の煮つけ等といった形で2種類以上の原料によってつくられたものですけれども、いずれも主となるものがなくて、その中で材料のどれが原因か判明しなかったものでございます。
 こういった形でグラフがつくられているわけですけれども、その他が多く、全体でいけば魚介類、それから複合調理食品が多くなっている状況でございます。
 次のページでございまして、先ほどは事件数でございましたけれども、次は「原因食品別患者数」になります。同じく上が全体で、下が患者数2人以上でございます。これを見ましても、その他によるものが6割以上を占めていて、次いで魚介類、複合調理食品が多くなっている状況でございます。
 次のページは「病因物質別事件数の推移」で、時系列での経緯がわかるように折れ線グラフになっているものでございまして、病因物質として、ウイルスと細菌の主要なものをここに書いてございます。ごらんいただいたとおり、ノロウイルスとカンピロバクターが事件数については多い。この傾向は変わるものではございません。
 それから下の段が「病因物質別患者数の推移」で、こちらのほうは、ノロウイルスが多くなっているということでございます。これは1件当たりの患者数が多いことが反映されるわけでございますが、件数も多いですけれども、1件当たりの患者数も多いということでございまして、このようなことになりますけれども、この傾向自体は変わるものではございません。
 次のページでございます。
 これは「病因物質別事件数発生状況」の全体と、下のほうは2人以上での同じく発生状況でございます。全体で見ますと、一番多いのがアニサキスになってございまして、続きましてカンピロバクター・ジェジュニ/コリ、次でノロウイルスという順番になってございます。アニサキスが一番になることは30年が初めてになります。患者数2人以上で見ますと、アニサキスがずっと少なくなりまして、ノロウイルス、カンピロバクター・ジェジュニ/コリが7割近くを占める。この傾向自体は例年のとおりでございます。
 続きまして「病因物質別患者数発生状況」で、上が全体、下が患者数2人以上でございます。いずれもノロウイルスによるものが半分ぐらいを占め、次いでカンピロバクター・ジェジュニ/コリとウェルシュ菌でございます。ウェルシュ菌につきましては、事件数が少ない割には患者数としては大きくなるということは、1件当たりの患者数が多いということでございます。30年は大規模の食中毒も発生しているところでございます。
 以上が30年の状況でございますけれども、続きまして、主な広域的な食中毒事案の対応等ということで、平成30年に発生した主な広域的な食中毒事案を3事例御紹介させていただきます。
 次をめくっていただきまして、スライドの27枚目をごらんください。
 1つ目の事例は埼玉県、東京都、茨城県及び福島県から報告された同一遺伝子型の腸管出血性大腸菌O157による感染性食中毒事案になります。これはサンチュが汚染原因と疑われる事案で、9件遺伝子型が同一というものが確認されたものでございます。9件の発生状況につきましては、この表にありますように6月22日時点のものでございますけれども、ごらんのとおりでございます。
 この中で埼玉県によるものが食中毒として断定されたものでございまして、そこで残っていた残品のサンチュからO157も検出されているということでございます。この9件につきましてはMLVA型でございますけれども、いずれも遺伝子型が一致していることが確認されているものでございます。この疑われているサンチュでございますけれども、下のほうのスライドになりますけれども、流通経路が左上になります。共通の流通先として生産者から卸業者の1つがございます。御確認いただいたように、そこから卸業者、さらには食材納入業者等を通じて、9つの事例のところにサンチュが供給されているということでございます。
 対応等についてでございますけれども、6月3日に埼玉県が食中毒事案として公表し、その後の調査の進展等からサンチュが流通している自治体を招集して打ち合わせ会議をいたしました。これが6月8日でございます。その後、生産者に対して出荷の自粛要請を行って、生産者は6月12日から出荷の自粛を行ったということです。6月15日は厚生労働省から事案の概要を公表し、千葉県、農林水産省もそれぞれ公表をいたしました。
 また、生産者が絡みますので、厚生労働省から農林水産省に対して、衛生管理に関しての協力の要請をいたしました。また、サンチュの生産施設に対しましては、出荷前に自粛したサンチュの自主回収もあわせて要請いたしました。これは千葉県を通じた要請でございます。
 6月25日でございますけれども、出荷自粛要請について、施設からの改善措置がとられたということで、解除をしているという流れで行ってございます。
 右側の図は流行曲線で、確認された同一のMLVA型の方々の確認状況でございます。
 続きまして、事案の2でございます。
 こちらは同系列のハンバーガー店を利用した腸管出血性大腸菌、これはO121の患者でございますけれども、これが複数の自治体で認められて、一部の患者の分離株から遺伝子型が一致したというものでございます。発生の状況でございますけれども、これは8月7日から23日の間にこの当該系列の21店舗を利用した30名が腸管出血性大腸菌O121患者と認められて、その一部の患者の遺伝子型が一致したというものでございます。この中で食中毒と断定されましたのは2件で、患者数としては6名になってございます。
 対応等ですけれども、9月10日に都道府県等に対しまして、O121患者を探知した場合に同系列店の利用や喫食状況等を確認することと、食中毒調査を実施する旨を通知いたしました。
 14日には遺伝子型が一致する店舗が複数認められたことで、原因調査中であるものの、患者発生店舗及び関係施設を所管する自治体が必要な調査を行い、再発防止策をとるよう通知し、調査を進めていったわけでございます。
 特に右側にありますように非加熱食材を中心に調査をいたしましたけれども、結果といたしましては、共通する感染源の特定には至りませんでした。対応等の一番下の○になりますけれども、関係自治体により、同一系列のハンバーガー店及び関係施設に対しまして、野菜の洗浄、殺菌工程の強化、その有効性の確認等について指導を実施したということでございます。これが事案の2でございます。
 事案の3でございますけれども、これは同系列の寿司店における腸炎ビブリオの食中毒の事案でございます。この同系列の寿司店で店内飲食、出前、テイクアウト寿司等を喫食して、腸炎ビブリオの食中毒が発生したものでございます。
 発生状況ですけれども、表にありますように21店舗で患者数としては197人でございます。その調査の中で複数店舗において保管されていたウニ参考品から腸炎ビブリオを検出して、共通に納品提供されていたウニが原因と推定されました。ウニは輸入もので、中国産のものであったということです。
 ウニの流通状況につきましては、右のところになりますけれども、輸入者から販売者を通じて同系列店の寿司の店舗へ配送されたということでございます。
 ただ、調査の中でわかったこととして、飲食店での取り扱いにおいて、常温放置とか、宅配時の温度管理に不備があることが確認されております。ウニを調理した従事者の手指または器具類を介した二次汚染の可能性もあることもわかりました。結果的に腸炎ビブリオが流通のどの段階で増殖したかは不明でございます。
 対応等についてでございますけれども、関係自治体から輸入業者に対して、当該ウニの自主回収の指導を行いました。それから、同系列の寿司店に対しましては、原材料の温度管理、配送から店舗の保管、宅配テイクアウトサービス等における食品の管理等について改善を指導したことと、厚生労働省におきましては、輸入されたウニにつきまして、輸入の都度、腸炎ビブリオの自主検査を指導する通知を発出したところでございます。
 3つの事例としては、以上でございます。
 続きまして、31枚目のスライドでございます。広域的な食中毒事案への対応でございます。32枚目のスライドは主な広域的な食中毒事案への対応等で、表をお示しさせていただいております。項目として5つございますけれども、1つ目の項目と4つ目と5つ目の項目に関しましては、食品衛生法を改正して広域連携協議会を設置するということで行われている対応でございます。この内容につきましては、後で詳しく御説明をするということで、ここでは省かせていただきます。
 2つ目と3つ目の項目につきましては、腸管出血性大腸菌の広域事案への対応でございます。3つ目の項目にありますように、遺伝子型別の検査については、反復配列多型解析法(MLVA法)へ統一することをいたしました。その上で関係部局の連携とか、患者情報、喫食状況調査や検査情報、これはMLVA法も含めて統合した情報管理をするということで、6月29日付の事務連絡を発出してございます。
 具体的にどのような対応をしているかが次のスライドになりまして、イメージ図、腸管出血性大腸菌による広域的な感染症・食中毒に関する調査についてでございますけれども、ちょっと細かくてわかりにくいかと思いますので、簡単に御説明いたします。
 真ん中のほうの厚生労働省のところにありますように、まず、地方衛生研究所等で実施した検査結果ですとか、国立感染症研究所で付与したMLVA法との結果につきまして一覧表にいたします。その表については保健所の感染症発生届出において、感染症サーベイランスシステム中で付与される番号(NESID ID)で串刺しできるようにした形で出していただきまして、それに対して自治体ですとか、そのほか飲食店等の調査等の情報を付加した上でリスト化していくということでございます。
 このリスト化した情報につきましては、食品保健総合情報処理システムに載せまして、自治体等がこの状況を閲覧していく。この情報は報告等されるものを随時反映させながらリストを維持していく取り組みをしているということです。
 具体的にどういう動きになっているかですが、それは下のスライドでございます。
 一つはこのリストをつくっている中で複数の都道府県等にて、同じMLVA型の患者が発生していることが確認された場合に、これはNESID IDがございますので、NESID IDを用いて該当する患者の発生時期ですとか、疫学的な状況、喫食状況等々を相互に照会、情報の共有を行い、その中で共通の発生要因等がありましたら、さらなる調査を進めていって、食中毒の被害防止等につなげていく動きでございます。
 それから、これは患者のほうから見たものでございますけれども、次のページでございますが、これは食品の側でわかった場合になります。収去検査等で腸管出血性大腸菌が検出されましたといった場合に、そのMLVA型を確認して、そのMLVA型の情報を同じようにリスト化していくことでございます。患者の情報とMLVA型の情報が一致したといった場合には、共通の何か原因になっているかどうかを疑って調査を行うことが可能になることで、これによって食中毒の拡大防止等につなげていければという取り扱いをしようと考えているものでございます。
 次の腸管出血性大腸菌食中毒の発生状況についてでございますが、これは、この後、また、最後のほうでディスカッションをするので、そのための参考として掲載させていただきました。
 37のスライドは腸管出血性大腸菌の発生の推移で、20年ぐらいの推移を載せさせていただきました。その下のスライドは平成30年の腸管出血性大腸菌の食中毒の一覧で、32件の全てをリスト化したものになります。
 最後の39枚目のスライドでございます。これは食中毒ではなくて、感染症法に基づく発生動向調査による腸管出血性大腸菌感染症の報告数で、これも20年程度のデータを載せてございます。
 ざっとで、まことに申しわけございませんでしたけれども、説明は以上でございます。
○五十君部会長 ありがとうございました。
 まず、今、御説明いただきました2の項目の広域的な食中毒については、議題2でまた議論します。それから、資料の最後にございます腸管出血性大腸菌の発生状況につきましては、議題4「その他」におきまして、今後の食品衛生法の改正の動向等を踏まえて、腸管出血性大腸菌食中毒の対策等について、フリーディスカッションを予定しておりますので、そちらで議論をいただきたいと思います。それ以外につきまして、ただいまの事務局の御説明に関し、御質問等がございましたら、お願いします。
 尾島委員、どうぞ。
○尾島委員 御説明ありがとうございました。
 スライドの8枚目で一番驚きましたのが、4月が事件数最大の月になったことで、御説明からするとアニサキスの増加によるのかなと思いました。アニサキスを月別で見ますと、一般的にこの4月、5月がかなりピークになっているでしょうか。あと、昨年までに比べて急にふえたのが、医師の認識が高くなってきちんと届出がされるようになったためなのか、それとも冷凍されないで喫食されるようなことがふえて、実際にふえたとか、そういうことが考えられるかという当たり、何かございましたら教えていただけますでしょうか。
○五十君部会長 事務局、お願いします。
○道野食品監視安全課長 御質問ありがとうございます。
 実はアニサキスが去年の春先に急に報告が増えたのは、カツオのたたきではなく刺身を原因とする報告が急増したような事案がございました。なぜ昨年急にそう増えたのか、医療機関の報告数が増えたことだけではなかなか説明が実はつかない。それまではカツオというと、サバだとか、イワシだとか、サンマだとか、そういうものの少し後ろぐらいの順位の、原因食品としてはどちらかと言うとそんなに頻繁にない。また、カツオを開いてみても、そんなにしょっちゅうアニサキスが出てくるわけではないような状況だったわけですが、昨年急に増えたことがございました。
 厚生科学研究のほうで専門の方々にもお願いをし、また、漁業関係者の方だとか、流通の関係者の方々にも現在ヒアリングをやっておりまして、急増の原因について確認を進めているところです。ただ、今年は今のところ、そういうような状況にはなっていないわけです。ただ、多くのカツオはたたきになる前は大抵冷凍したものですので、こういった原因にはまずならないのですけれども、割とチルド流通している刺身になるようなカツオでそういった事案が昨年あったというようなことであります。
○五十君部会長 よろしいですか。
 ほかに御質問、コメント等ございましたら、お願いします。
 砂川委員、どうぞ。
○砂川委員 詳細な御報告ありがとうございます。
 スライド13枚目と14枚目の原因施設別患者数、それから2人以上の原因施設別患者数のところで飲食店とか仕出屋等々がある中で、学校が一定数、6%ぐらいあり、これはちょっと気になるなと思いました。詳しいほうの情報を見てみましたら、食中毒発生状況の詳細なほうの18ページに情報がありますが、総数が21の中で、その他という形で12件ぐらい挙げられている形になっていて、この占める割合が結構影響しているのではないかと思ったのですが、これはどのような状況で発生しているのか。もし、何か情報がございましたら、教えていただければなと思いまして、質問しました。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 御質問ありがとうございます。
 さまざまなケースはあろうかと思いますけれども、やはり給食につきまして、汚染されたものが提供されたことによりまして、実際に食中毒としては発生してしまっていると、それが数としては多くなっているところがございます。
○五十君部会長 よろしいですか。
 そのほか御質問、コメント等はございますか。
 尾島委員、どうぞ。
○尾島委員 食中毒の事例でサンチュが原因のものがございましたが、もともとはどのように汚染されたのでしょうか。
○五十君部会長 事務局、お願いします。
○道野食品監視安全課長 最終的にサンチュが一応共通性が高いことと、菌が検出されたこともあって、原因施設としてどうこうという取り扱いよりは、むしろ水耕栽培で栽培されている生産施設ということもあって、農林水産省や千葉県さんのほうからも御協力をいただいて、現地で原因究明というよりは、むしろそういった生鮮野菜に準ずるような取り扱いをしていただく。そのためにどういうことが必要かという観点で生産者の方々とも協議をしました。例えば通常の生鮮野菜を取り扱う食品の取り扱い施設と大分管理等も違うということがありまして、使用水の問題だとか、手洗いだとか、そういった施設の管理だとか、その辺についての改善をお願いしたところです。
 実際にその施設内で何がどのような形で汚染を起こしたかについては、そこまでは十分な調査は、結果としてはできなかったというようなことであります。
○五十君部会長 よろしいでしょうか。
 ほかにございますか。
 それでは私から1つ。
 15、16、17、18の資料を見ていきますと、例えば17番目のスライドですと「その他」というカテゴリーが非常に多くを占めている状況です。恐らくこの統計上はどういった原因が食中毒に関与しているかを見たいという意図でまとめているかと思います。「その他」がこれほど多くなってしまったため、下に脚注をつけていただきまして「その他」にどのようなものが含まれるかを書いてあります。
 例えばその最後に「○月○日の食事」等や何らかの報告があった場合は「その他」に入ることになるのですが、そうすると、この「不明」という項目との関係で、実際は報告のときにどのように対応しているか、分かりにくくなってしまうと思います。
 このあたりにつきましては、今後項目の見直し、ないしは何らかの報告方法のマニュアル化、例えば具体的にこういった形で回答するという例をお示しいただいたほうがよいのではないかと思います。そのあたりにつきまして、何か事務局からコメントはありますでしょうか。
○道野食品監視安全課長 まず、統計の継続性というところから言うと、多分この様式を変えるとすると、過去にさかのぼって整理できるとかという問題もあるので、そこは慎重に検討させていただきたいのです。
 一つ、最近の食中毒の発生状況と以前と違うところは、やはり感染発症菌量というかウイルス量の少ないものの、例えばノロウイルスもそうですし、それから先ほどから話に出ています腸管出血性大腸菌もそうなのですけれども、要は特定の食品と原因物質がだんだんと結びつかなくなってきたことと、調理済みの食品に、例えば従事者の方からの汚染が原因になるようなことがあって、複合調理食品の割合がどんどん増えている。腸炎ビブリオとかサルモネラみたいな特定の食品との一対一関係というのが、だんだん崩れてきていることもあると思うのです。
 そういったことで、事務局のほうでもすぐできるものとしては「その他」の中で病因物質別に並べたときに、そういった私が今申し上げたことだけが要因なのか、それ以外にも何か要因があるのかどうかということについては「その他」をちょっと分解してみることによって整理をしてみたいと思います。4月から始まる次年度の発生についても、ちょっとそういった目でもデータが整理できないかということについては、検討させていただきたいと思います。
○五十君部会長 大変難しいところかとは思いますが、ぜひ次の対策に反映できるような形の集計ができるように御検討いただければと思います。
 そのほかにはありますでしょうか。
 工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 今の道野課長のお答えの中で、私がちょっと思うところは「その他」というのは、例えば何月何日の食事と言いますといろいろな品目がありますが、その中のどれかということが微生物学的にも検証ができなかった。または疫学的にも、例えば茶碗蒸しを食べた方だけがなっているとか、そういうところの疫学的調査でも解決ができなかったことも含まれて「その他」という形になっていると考えてよろしいのでしょうか。
○五十君部会長 事務局、お願いします。
○道野食品監視安全課長 恐らくそういう調査結果になっているものの多くが多分、要はノロウイルスだとか、腸管出血性大腸菌だとかというような、食品と結びつきにくいものというか、そういった調理段階での汚染で広く汚染されてしまっているものが関与している。そういったことで結果として何月何日の食事とか、どこどこの施設で提供された食事とかという形になっているのだと思います。
○五十君部会長 よろしいですか。
 では、ほかに御質問、御意見等がないようでしたら、先に進みたいと思います。
 続きまして、報告事項といたしまして(2)「広域的な食中毒事案への対策強化に関する制度の整備について」につき、資料3に基づきまして、御報告をお願いします。
 それでは、事務局からお願いします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 それでは、資料3を御準備いただきまして2ページ目をご覧いただければと思います。
 政省令等の施行のスケジュールがございますけれども、一番左上でございますが「施行日政令・食品衛生法施行規則の改正」というところがございます。こちらはいずれも昨年の11月26日に同事公布させていただいております。
 施行日政令につきましては、改正食品衛生法の施行日を平成31年4月1日と定めたものでございます。食品衛生法施行規則の改正、こちらは省令になりますけれども、こちらにつきましては「広域連携協議会は、地方厚生局の管轄区域ごとに、当該地方厚生局並びに当該地方厚生局の管轄区域内の都道府県、保健所を設置する市及び特別区をその構成員として設けることとしたもの」と、こちらの2つで11月26日に公布しております。
 スケジュールの2つ目でございますけれども「食品衛生に関する監視指導の実施に関する指針の改正」でございます。こちらは今年の2月8日に公布しております。内容といたしましては「国及び都道府県等の連携を法律の連携協力規定に基づいたものとし、さらに、広域的な食中毒事案発生時の連携に関する項目を新設する等の改正を行う」ものとなっております。
 スケジュールの3つ目と4つ目でございますけれども広域連携協議会の設置規程及び運営要領、食中毒処理要領、食中毒調査マニュアル、統計作成要領等の改正と、現在こちらについて作業を実施させていただいております。
 スケジュールの右側でございますけれども、黄色のところ、先ほどの施行日政令で施行期日が決まっておりますが、4月1日に広域連携協議会が施行される。4月に第1回の広域連携協議会を各地方厚生局のブロックごとに開催予定としております。既に日付が決まっておりますので、4月15日から4月25日までの間にそれぞれ開催予定となっております。設置規程と運営要領につきまして、次の3ページ以降で御説明させていただきます。
 設置規程につきましては、厚生労働省が地方自治体や地方厚生局宛てに通知するものと位置づけておりまして、食品衛生法第21条の3第1項及び食品衛生法施行規則第21条の規定に基づきまして、厚生労働大臣が、監視指導の実施に当たっての連携協力体制の整備を図るほか、各地方厚生局の管轄区域ごとに広域連携協議会を設けることを規定したものでございます。設置日としましては、平成31年4月1日です。
 協議事項としましては3つございまして、1つ目は「関係機関の連絡及び連携体制の整備について」。
 2つ目は「広域的な食中毒事案の発生又はその拡大、及び広域流通食品等の食品衛生法違反を防止するために必要な対策について」。
 3つ目としまして「その他必要な事項について」です。
 広域連携協議会の幹事としましては、厚生労働本省といたしまして、その構成員につきましては各厚生局及び各厚生局の管轄区域内の都道府県、保健所を設置する市、特別区としております。
 議事につきましては非公開としておりますけれども、ただし議事要旨は公開としております。事務局につきましては各地方厚生局。こちらにつきまして現在作業を進めておりまして、3月中には先ほど申し上げました地方自治体と地方厚生局に通知等でお示ししたいと考えております。
 続いて4ページでございます。
 こちらは各広域連携協議会にて定めるものでございますが、運営要領としておりまして「食品衛生法第21条の3第4項の規定に基づき、広域連携協議会の組織及び運営に関して定めるもの」でございます。
 構成としましては、設置規程と同じとなりますけれども、幹事、事務局、構成員といったものを定めております。
 協議の内容は大きく2つございまして、平常時と下の○にございます事案発生時となっております。
 平常時につきましては「構成員等間の連絡体制の整備」「食中毒事案等が発生した際に実施する調査及び検査の内容並びに共有する情報の内容」「調査及び検査等に要する人員の派遣並びに検査機器及び検査技術等の技術的な協力」「発生した広域的な食中毒事案等及びそれに対する対処の内容並びにそれぞれで行っている食中毒事案等への対応施策」です。また、本日の食中毒部会等の議論内容等、こちらについて平常時から協議しておくべき事項について、定めることとしております。
 事案発生時におきましては、事案について把握している情報がございますので、それらの共有、今後の調査・対応方針、当該事案の公表方針、その他事案への対処のために必要な協議といったものを第1回の広域連携協議会にて定めることとしております。
 続きまして5~6ページをご覧いただければと思いますが、食中毒処理要領の改定案の概要の主な内容のところを抜粋させていただきました。多くは広域連携協議会の活用として新設させていただいております。下線部のところが新設した内容となります。
 「Ⅰ 趣旨」でございますけれども「広域的な食中毒事案(疑いを含む)発生時においても、適切な原因調査、情報共有等の対応等を行うことができるよう、広域連携協議会の開催等により、関係機関は相互に連携を図りながら協力しなければならない」。
 「Ⅳ 発生の連絡、報告」、2番に「都道府県等の衛生主管部局」がございますけれども、その中に「広域的な食中毒事案発生時の報告等」の中に新設としまして「平常時より定例的に開催される広域連携協議会において、他の都道府県等の衛生主管部局との連絡、連携及び協力体制を確保しておかなければならない。広域的な食中毒発生時には直ちに食中毒被害情報管理室及び関係機関に情報共有を行う」。
 3番は「地方厚生局」でございますが(1)として「広域連携協議会の開催」で「関係機関の連絡及び連携体制を確保するため、法第21条の3に基づく広域連携協議会に係る必要な事務を処理する」としておりまして、「ア 定例的な開催」「イ 事案対処のための開催」です。
 4番でございますが「厚生労働本省」としまして大きく2つ、1つ目が「食中毒発生時の初動対応」として「都道府県等からの報告、国立感染症研究所からの感染症発生動向調査を中心とした全国的な解析情報、国立医薬品食品衛生研究所からの食品検査状況等から、広域的な食中毒事案発生を探知した場合は、必要な情報を国で取りまとめ、関係する都道府県等で情報共有を図る」。
 2つ目としまして「大規模または広域的な食中毒事案発生時に必要があると認めるときに厚生労働本省は法第60条の2の規定に基づき、広域的な食中毒事案等に対処するための協議会の開催を地方厚生局に依頼する」。
 「Ⅴ 調査」で原因追及の試験検査にございまして、これまでも記載があった部分でございますが、こちらに先ほども話がありました反復配列多型解析法としてMLVA法を記載しております。もともとはパルスフィールドゲル電気泳動ということでPFGEの記載がございましたけれども、MLVAに改正させていただいております。「また」からの部分でございますが「食品から腸管出血性大腸菌を検出した場合においても、MLVA法による患者由来菌株のライブラリーと照合を行うため、MLVA法による検査結果、または菌株を国立感染症研究所へ送付すること」。
 8番で「総合的判断」でございますけれども「広域的な食中毒事案においては、複数の都道府県等における調査結果を踏まえて判断する必要があるため、広域連携協議会において調査結果を共有し、協議を行い、当該結果を尊重して総合的な判断を行う」。
 「Ⅵ 措置(公表)」で最後でございますが「広域的な食中毒事案について公表を行う場合には、事前に関係機関に情報提供を行う。または広域連携協議会において公表方針の協議を行う等、行政として整合性のとれた情報発信を行うよう努めなければならない」。
 これらの件について、新設を予定しております。
 また、6ページの下に小さく※がございますけれども、食中毒調査マニュアル、食中毒統計作成要領、食中毒健康危機管理実施要領につきましては、今般食中毒処理要領と同趣旨とその他、事務手続を明確にするために改訂を予定しております。
 事務局からは以上でございます。
○五十君部会長 ありがとうございました。
 ただいまの事務局の説明に関しまして御質問、御意見がございましたらお願いします。
 大西委員、どうぞ。
○大西委員 聞き逃したかもしれないのですけれども、広域的というのは、何か定義があるのですか。何をもって広域的と考えるか。複数の都道府県にわたるのを広域的とするか、あるいはそうではない定義があるのでしょうか。あれば教えていただければ。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 明確な定義を定めているものではございませんけれども、先ほどの大西委員からお話もございました複数の都道府県で起きている事案につきましては広域的と考えておりまして、一つはケースバイケースではございますけれども、起きた事案において対処してまいりたいと考えております。
○大西委員 ありがとうございます。
○五十君部会長 よろしいですか。
 英語で言うとdiffuse outbreakがこれに相当する概念になるかと思います。
 雨宮委員、どうぞ。
○雨宮委員 こちらの広域連携協議会を制定するに当たって、例えばなのですが、先ほどの資料1の29のハンバーガー店における腸管出血性大腸菌は原因がわからなかったかと思うのですが、そういったのを解明するのに役立つというか、ためになる、より解明できるように制定されているというか、施行されていると考えてよろしいですか。もし、そうだとしたら、この場合、例えばこういう形だとこのように解明できるのではないかという具体的な説明があったらとてもわかりやすいかと思いますので、お願いします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 御質問ありがとうございます。
 まさにこういったケースの場合には、広域連携協議会等の開催に当たるのではないかと考えられますけれども、ただ集められた情報を共有することと、その後の調査方針を決定する場でございますので、必ずしも原因究明が全てにおいて可能かとなりますと、それはやはり調査の状況次第になってしまうかとは思います。ただし、今般の広域連携協議会の趣旨としましては汚染された食品の早期探知であり、それの流通の防止等が目的とされておりますので、早い段階で集められた情報について関係機関の皆様で共有して、その原因と疑われるものについて対処することができましたら、食中毒の拡大防止につながるのではないかと考えております。
○五十君部会長 追加をお願いします。
○道野食品監視安全課長 若干捕捉をさせていただきますと、今、食品衛生法を施行している自治体は150ございます。特に広域で患者さんが散発的に発生している場合は、それぞれの自治体が持っているデータは非常に限られていまして、当然疫学的な解析も難しい。さらになかなかこういった情報の集約は先ほどの説明にもありましたように、システムではやっているものの、実際に調査している人のいろいろなそれに付随した情報なども、やはり集約していかないと疫学的な発生状況が全体で見られないことがあります。
 ただ、やはり何もしないでいると、非常に限られた情報の中で各自治体が判断せざるを得ない。公表もそれで動いていかざるを得ないことがあって、結局外から見ると、言ってみれば各自治体での情報だけが世の中に発信をされて、非常に世の中から見ればわかりにくいというか、一体どうなっているのかさっぱりわからないというような話にもなってくる事案もございます。
 そういったことで、我々としては早期の段階でできるだけそういった疫学情報を集約して、先ほど調査方針を整理すると申し上げましたけれども、やはり全体としての調査を一定の方針を持ってやっていくことによって、こういう食中毒調査を迅速に、また効率的にやっていくことによって、結果として原因食品の解明だとか、それから、当該食中毒の拡大防止を図っていくという、こういったものはスピード勝負なものですから、そういったところにつなげていきたいというような趣旨であります。
○五十君部会長 よろしいでしょうか。
 尾島委員、どうぞ。
○尾島委員 このような広域の協議会ができることは非常にすばらしいことだと思いました。1つ、隣接の協議会同士の情報共有ですとか、あと、場合によっては合同開催とかについて御要望したいのですが、私どもの静岡県は厚生局で言いますと東海北陸厚生局なのですが、農林水産省ですと関東農政局で、あと、全国保健所長会も関東甲信越静になりまして、ちょうどブロックの狭間になります。あと、広域に食中毒が起きた場合にはこの区域をまたいで発生することも出てくると思いますので、ぜひその辺も運用上柔軟にしていただきながら進めていただければと御要望したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 御意見ありがとうございました。
 今お話しいただきましたブロックごとという話なのですけれども、私の説明が一部悪かった部分もあるかと思いますが、各広域連携協議会はブロックごとに開催はされますけれども、今おっしゃっていただいたように、ブロックを超えてそこで言う構成員が参加するというのが、法律上でも整備されておりまして、今回の運営要領の中にもそういった規定を設けておりますので、まさしくブロックをまたがって起きてしまった場合には、関係自治体等も協力をしまして開催をし、事案に当たりたいと考えております。
○五十君部会長 よろしいですか。
 砂川委員、どうぞ。
○砂川委員 後でフリーディスカッションの時間があるので、もしかしたら今はいいかもしれないのですが、広域連携協議会は大変重要な一歩かなと思います。4月1日というと目前ですので、内容の詳細な部分も決まっているとかと思うので、これはあくまで意見です。
 内容を見ますと、リスク評価であったり調査に関することがメインではあるけれども、例えばこの協議会そのものでリスクを下げていくとか、そういったところまで検討するようなことが想定されているのであれば、例えば食品メーカーとか、あるいは流通メーカーとか、また、恐らくブロック割りが違うという先ほどのお話もありましたが、農林水産部局の方々にも参加をしていただくとか、そういった形を、特に平時の中である程度定例化していったりすると、かなり有効なのではないかと感じたところであります。あくまで意見です。
○五十君部会長 事務局、何かありますか。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 御意見ありがとうございます。
 今後の運用につきましては、砂川委員から御意見をいただきましたことを踏まえまして、検討してまいりたいかと考えております。
○五十君部会長 よろしいですか。
 ほかに御質問、コメントでも構いませんが、ありましたらお願いします。
 砂川委員、どうぞ。
○砂川委員 たびたび済みません。6スライド目の食中毒処理要領の改訂案の概要のところで、試験検査を基本的にMLVA法で統一的にこちらに書いたということがありますが、例えば自治体の中で急いで比較をしたり、検査をしたりする必要のある場合に、自治体の中ではPFGEの実施が慣れていたりすることもあり得るだろうなと思いました。ここの「(MLVA法)等」の「等」については、そのような広い意味を含んでいるという形で理解すればよいでしょうか。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 御質問ありがとうございます。
 厚生労働省といたしましては、この遺伝子型の検査につきましては、現行やはりMLVA法で統一を図っていきたいと考えております。砂川委員からの御質問もございましたけれども「等」について幅広い観点で記載がございますけれども、ちょっと反復になってしまいますが、厚生労働省としまして、遺伝子検査につきましては、今後はMLVA法にて行っていきたいと考えております。
○五十君部会長 よろしいですか。
 恐らく以前、サルモネラのdiffuse outbreakのときに非常に特殊な血清型であったとか、そういったものも、活用可能と思われます。恐らくそういったものでも迅速にフォローアップできるのではないかという砂川委員の御意見ではないかと思うのですが、いかがですか。
○砂川委員 若干そういった意味合いも含めていますが、自治体間ではなくて、自治体の中での比較などにおいては、もしかしたらそういったPFGEなどの活用が早くわかることもあり得るのではないかという観点でちょっと質問をしたということです。
○五十君部会長 事務局、どうぞ。
○道野食品監視安全課長 先ほど、事務局の説明でMLVAに統一の方向でというか、統一したいと申し上げた趣旨は、一昨年のちょうど夏場に発生しました南関東を中心にしたO157のまさにdiffuse outbreakの際に、そういった遺伝子検査手法が混在をしたことによって、共通の遺伝子型を持つ菌が分離された患者さんの発生状況の把握がなかなかうまくいかなかったことも踏まえてのことであります。
 もちろん菌種によってはそういった技術的な裏打ちがまだできていないものもありますし、それぞれの菌種や場合に応じて対応していくことは重要だと思うのですが、ただ、やはり同一の種類の菌の中で、複数あるというのは、結局全体として調査のおくれにつながってしまう部分もあります、PFGEよりも基本的にはMLVA法のほうが日数的にも短くて済むということと、別々の検査機関でやった検査結果をもとにタイピングできるようなことがありますので、そういう有用性も踏まえて、進めている事情があることも御了解いただければと思います。
○五十君部会長 よろしいでしょうか。
 それでは、ほかにございますか。特にないようでしたら、先にまいります。次は、(3)「腸管出血性大腸菌感染症調査のためのMLVA法の活用」についてです。こちらにつきましては、本日は資料配付のみとさせていただきます。今も御質問に出ましたように、方法論について少し我々も理解しておいたほうがよいということで設定させていただきましたが、諸事情によりまして、今回は資料配付のみとさせていただきます。こちらにつきましては、今後機会を見て、また説明等の時間をとらせていただければと考えております。どうか御了承いただきたいと思います。
 それでは、最後の(4)「その他」にまいります。その他といたしましては、ここで腸管出血性大腸菌食中毒の今後の対策等に関するフリーディスカッションの時間をとりたいと考えております。
 腸管出血性大腸菌食中毒につきましては、焼き肉店などの飲食店や食肉販売業者が提供した食肉を生や、加熱不足で食べて感染する事例、汚染された野菜類が原因と疑われる事例、また、腸管出血性大腸菌に汚染された食品が広域に流通していたために、複数の自治体で患者が発生する事例等が発生しております。また、重篤な患者が発生することもあり、過去には死亡事例も報告されております。
 生食用食肉につきましては、既に基準等ができまして一部対応している状況でございますが、今般、食品衛生法改正によってHACCPの制度化等の動きがありますので、そういったことも踏まえまして、この場で特に今後の腸管出血性大腸菌食中毒の予防対策等につきまして、委員の皆様方より御意見をいただきたいと考えております。なお、資料1の36ページから腸管出血性大腸菌食中毒の発生状況を示してございます。参考資料としてこちらをごらんになっていただきながら、御意見をいただきたいと思います。
 行政側から何かありますでしょうか。
○道野食品監視安全課長 ありがとうございます。
 資料としては、資料1の37番目のグラフからになります。御承知のとおり、その次の39番のほうの数字を見ていただくと、感染症法で医療機関から報告されたEHECの患者数は年間約4,000前後となっています。その中で実際に食中毒として調査がある程度のところまで一応、喫食状況とか行動調査はされているのですけれども、なかなか食中毒だというところまではいかないものも多々ございます。
 そういった中で実際に食中毒としての調査ができて、報告がされたものが、37番のほうで見ていただくと平成30年で32件456名でありまして、主に食品の衛生という観点から見た場合、どういった施設でどういう食品でこういったものが起こっているのかにつきましては、その下の表、38番目の資料になると思います。食肉が関係するものもありますけれども、必ずしもそうではなくて、先ほど部会長からもお話があったような野菜類だとか、そういったものが原因になるケースもございます。
 こうして見ていただいた上で、今回の法律改正の中で、原則全ての食品等の事業者の方にHACCPへの対応を求めることになります。もちろん規模の大小によって、その程度の差はあるわけですけれども、基本的には、まさにこういった腸管出血性大腸菌のようなものも含めて、危害要因を十分特定して、それぞれの事業者が危害要因を管理していくための衛生管理計画と我々は制度上申しているわけですけれども、計画をつくって実行して記録を残してもらいましょうという仕組みになるわけです。
 やはりその際に危害要因の分析は、もちろん個々の事業者がやる場合もありますし、小規模事業者の方には手引書で、おおむね大ざっぱなところをお示しする手法もとりながらやっていくわけなのですけれども、まさにそういった施行に向けての準備も我々のほうで今やっている状況であります。
 そういった中で、ここの部会におかれましては、消費者の方もいらっしゃれば、行政、それから研究機関、まさに感染症の専門家の先生方、実際に日々現場で調理に当たっている学校現場の方もいらっしゃるということで、予防対策だけに限らず、発生時の対応だとか、そういったことも含めて、多分いろいろ課題を日ごろお感じになっていると思います、そういった観点で、御意見をいただければありがたいので、よろしくお願いをいたします。
○五十君部会長 ありがとうございます。
 今のような趣旨でございますので、腸管出血性大腸菌の制御に関すること、あるいは現場での体験談等々につきまして、委員の皆様から自由な情報発信をしていただければと思います。
 ひとまず、御意見、何かコメントのある方はお願いします。
 砂川委員から行きますか。
○砂川委員 今回の広域食中毒への対応に関するところでいろいろな御苦労があっただろうと思います。ちょっと私が気になっている点としましては、例えば資料1の33スライド目あたりに描かれているイメージ図のところで、上のほうにありますが、MLVA法による結果の取り扱いが一つ明記されています。
 実際に事例の調査協力をさせていただいたりするときに、それではMLVAの結果が一致した場合に、どういうことをやれと言っているのかという声を自治体から聞くことがかなりあります。患者数が多い事例ですと、広域事例の可能性も含めて調査をしていただきたいとは申し上げられるのですが、自治体では1例とか2例とかそういった場合の対応は、自治体によってかなり温度差があると感じています。
 このあたりについて、何かガイダンスというか、そういったものを将来的に何か出していくようなお考えがあるのかという点について、もし、あれば教えていただければと思います。
○五十君部会長 事務局、お願いいたします。
○道野食品監視安全課長 まさに自治体が数がふえて細分化していくと、おっしゃるとおりで、言ってみれば1自治体で捉えられる患者数はすごく限られてくるものですから、そういった意味でも、広域連携協議会を開くかどうかは別にしても、やはり日々こういった発生状況を国のほうで集約をして、少ないしよくわからないなと1自治体が思っていたとしても、いやいや、それは周辺自治体で既にこれぐらいの報告がありますよと、それからMLVAのデータもあるということで、そういった情報を共有すること、また、情報を集約することによって何とか原因究明に近づけていきたいのが、現在の取り組みであります。
 それを一歩進めて、それだけではなかなか調査が難しいものに関しては、やはり広域連携協議会で対応していく組み立てになってくるのかなと考えています。
○五十君部会長 よろしいですか。
 では亀井委員、どうぞ。
○亀井委員 詳細な説明をありがとうございした。
 今度法改正もあって、それを実際に移すので、いろいろ御苦労もおありになると思います。そこで、私が現場におりまして感じたことを何点か申し上げたいと思います。1つ目は、こういう協議会の仕組みはすばらしいものだと思いますが、関係する人全てに周知するのはなかなか難しいかもしれません。食中毒患者さんの第一発見者はやはり医療機関の方などが多いと思います。医療関係者の方々に対しても、このような制度ができることをわかりやすく教えていただけるような場があると、より効果的にこの制度が動くのではないかと思います。
 2つ目は、一昨年の事例などは大学の授業などで、実際の対応された保健所の先生などに来ていただいて教えていただいています。私はたまたま医学部ですけれども、これから社会に出る医療関係の職種の学生さんに知って頂く機会があると良いと思います。若い人は吸収も非常に早いですし、また興味を持って聞いていただけて、さらに発想も柔軟で、逆にいろいろなコメントをいただけると感じております。私どもにも非常にメリットがあると思います。
 3つ目は、人材についてです。多分これから、このような危機管理の事案に関しては、コーディネートをするような方が益々必要になってくるのだろうと思います。この機能を広域的な協議会が代替して、うまく連携を図ろうとされているのだろうと思いますけれども、今後コーディネート機能をどう強化していくか、そのためにどのような人材を育てていくかというあたりを検討していただければと思います。
 以上でございます。
○五十君部会長 ありがとうございます。
 事務局、何かありますでしょうか。
○道野食品監視安全課長 御指摘ありがとうございます。
 最初の点ですけれども、やはり医療機関との連携は非常に重要だと私どもは思っています。もともとこの広域発生の際の調査に関して、今回の資料で言うと、資料1の広域食中毒事案の対応のところで細々として資料がありますけれども、こういったことをなぜやらないといけなくなったかと言いますと、やはり食中毒情報として、自治体の食中毒の担当者が見るということが1つあるのですけれども、その前段として感染症法に基づく報告があるわけであります。
 それは感染症部門のほうで医療機関からの情報が管理されていますので、結局行政機関の中でも、そういった感染症情報と食中毒情報を一元的に管理する必要があるということで、実はこのような話になっています。そういった観点から言うと、例えば患者さんの発生情報だとか、特に遺伝子型の一致した方がいらっしゃいますよというような情報が医療機関に伝わることによって、そういった医療機関からの報告届出を後押しすることができてくるのだと思います。御指摘の点を十分踏まえた上で、今後どのように、地域でもそうですし、全国的なレベルでも情報共有ができるかということについては、我々も工夫してまいりたいと考えております。
 それから、こういった事例に関して、教育機関のほうに提供したり、そこで情報発信してもらったりというケースがなかなか、厚生労働省としては、取り組みとしてはまだまだ足りないと思っております。我々も大学に行って、いろいろな行政関係の話をするケースもありますので、まずはそういったところからしっかりとやっていきたいと考えておりますし、地方にも働きかけていきたいと考えております。
 あと、人材ということで言いますと、確かに行政の場合、1人の人がずっと同じことをやるというわけにはいかない部分もなかなかあるので、やはり仕組みからつくっていかなければいけない。実行上やればいいのではないのかという観点もあるのですけれども、今回は制度としてしっかり位置づけて、なおかつ、このことによって自治体の食品衛生の監視指導計画の中にも位置づけてもらうということで、やはりシステム化していくことが必要だなと感じたわけでありまして、こういった制度にしたわけです。
 あわせて、ただ、こういったものを動かしていくには、やはり専門的な知識が非常に重要でございまして、特にそういった意味で国立感染症研究所、それから、国立医薬品食品衛生研究所、さらに地方の衛生研究所とも連携しながら、比較的専門家のほうはそんなに異動が多くはないわけですので、専門的な観点からのコーディネートサポートもお願いしながら進めていきたいと考えております。
○亀井委員 ありがとうございました。
○五十君部会長 よろしいですか。
 工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 腸管出血性の大きな事例は、浅漬けであったりとか、漬け物で発生していて社会的にも問題になっていますが、今回の事例の整理をされている資料1の38の表とかを見ますと、やはり原因施設が、どうしても焼き肉店、飲食店といったところが大変目立っていると思います。食品安全委員会のほうでリスクプロファイル作成というのに十何年か前に取り組んだことがあるのですけれども、そのときにも、やはりどうしても焼き肉調理が食中毒を整理していきますとターゲットになっていました。今回、平成30年度のデータを見ましても、やはり焼き肉店がどうしても目立っていることがわかるかと思います。
 焼き肉店の中でも野菜なのか、肉なのかということはいろいろあると思うのですが、肉も比率としては大きいのではないかと思います。こういった焼き肉店の協会というようなものがもしあれば、そういったところからのアプローチができないのかなとちょっと思ったりもしまして、以前にそういう話を多少させていただいたことがあるかと思うのですけれども、何かはっきりした協会というものがそのときにはないようなお話だったのですが、そういった業界からのアプローチはできないものなのでしょうか。
○五十君部会長 事務局、お願いします。
○道野食品監視安全課長 焼き肉屋さんの業界団体はあります。たしかそういう箸だとかトング、箸は要は食べるときと調理のときと別にするとか、トングを使うとかということの情報発信はしていたかのように思います。ちょっとそこのところはしっかりとした記憶が私もないので、余りいい加減なことは言えないのですけれども、ただ、業界団体のほうも、たしか前の生肉の規格をつくる際にもいろいろ議論にも入っていましたし、そういった問題は十分認識をされていると思います。
 ちょうど先般も、そういった焼き肉チェーンでの腸管出血性大腸菌の食中毒、散発的な発生ですけれども、やはり事例があります。焼き肉店でよく焼いてくださいというようなことはあるわけなのですけれども、本当にそれだけで予防ができるのか。そこは焼き肉店の課題もあれば、消費者にどこまでそういったことを求めるのか。それから、流通している食肉そのものに関しては、どれぐらいのレベルまで要求するのか、非常に難しい問題もあるわけです。
 特に日本のような焼き肉店は、欧米では余りないわけですので、そういった意味で言うと、少し欧米のとっている手法をそのまま持ってくるのもなかなか難しい部分はあるのかなと感じておるわけですけれども、その辺につきまして、むしろ委員の皆様にも御意見をいただけるとありがたいなと思っています。
○五十君部会長 この腸管出血性大腸菌の問題、あるいはノロの問題につきましては、以前の食中毒部会でも、食品衛生の立場からだけで、どこまで対応できるのかという議論がありました。感染症対策と連携しなくてはいけないということで、今回、広域的な対策の中でそういったことが織り込まれてきていると思います。
 腸管出血性大腸菌は、この資料1の37ページになりますが、ここで見ますと、食中毒として記録に残ってくるのは年間せいぜい30事例ぐらいで、人数的にも200人ぐらいのところなのです。ところが、次のページを見ますと、感染症法上は全数掌握対象となっておりますので、こちらで見ますと、毎年3,000どころか4,000ぐらいでほとんど変わりがない状態で推移していますから、食品の衛生対策だけでは手を打つことができない部分があることは明らかであります。では、食品衛生でどこまでやることが可能かというような御意見をいただけたらと思います。また、医療の側、感染症法上の立場からも少し御意見をいただければと思います。
 大西委員、どうぞ。
○大西委員 大西と申します。
 臨床医の立場から話しますと、一般の臨床医は、例えばO157の患者さんを診察したときに、食中毒であろうが、三類感染症であろうが、区別など一切しません。O157が出た、では届けようかということで、三類感染症の届出はしますが、食品とか衛生、食品包装あるいは容器と関連した食中毒としての意識は全くありません。だから、届けはします。では、その届けは何かと言うと三類感染症としての届けです。我々だったら食中毒と、あるいは三類感染症の両方の届けは出しますが、一般の内科医はそういうことはしません。気がきく保健所は後で教えてくれます。そういう現状なのです。だから、こういう数字の解離としてあらわれるのであって、それは多分ここにいる方は全員御存じだとは思います。
 以上です。
○五十君部会長 ありがとうございます。
 今のこと以外でも構いませんが、ほかに御意見ございますか。
 尾島委員、どうぞ。
○尾島委員 今の関連ですが、39ページの数字を見ますと非常に安定した数字で、状況は余り改善もしていなくてずっと来ているのだなとわかります。37ページとの解離がこのVT産生かどうかとか、今の届出の問題なのかとか、あとは症状の度合いなどでしょうか。医療安全ですとアクシデントとインシデントと言いますが、37ページがアクシデントで39ページがインシデントなのか、それとも、その中でも重篤な方もいらっしゃるかもしれないですけれども、その辺を思いました。先ほどのMLVA法をするというのは、39ページの全例に原則MLVA法もやってくださいとかという方向になっているか、していく方向かとか、いかがでしょうか。
○五十君部会長 事務局、お願いします。
○道野食品監視安全課長 先ほどの大西先生と尾島先生の今のコメントにつきまして、ちょっと簡単に役所側からの説明をさせていただきます。
 全体の流れとしては、医療機関から感染症法の場合は届出が三類感染症の場合は出るわけであります。食中毒の届出があるなしにかかわらず、感染症の担当のほうでまず調査が行われるわけであります。その中で特定の食品が関与している、もしくは特定のそういった飲食店だとか、そういう食品につながる疫学的な情報があれば、食中毒としての調査がスタートすることになります。
 そこをスムーズに行かせるように、先ほどの、要は感染症法で届けられた場合にNESIDの番号がつくわけです。それを共通管理番号にして、食中毒調査もやっていこうという仕組みにしようと、今さら何だと言われそうですけれども、一応そのような仕組みに昨年以降整理をしてきているというようなことであります。
 したがいまして、このMLVAの分類につきましても、基本的にはそういう感染症法で届け出られて、もちろん菌がなければできないので、当然その分離菌が確保された場合には、MLVA法を実施する。自治体によっては、まだ検査体制が整っていないところもございますので、そういったところについては、感染症研究所のほうに菌株をお送りいただいて、解析をしていくような体制をとっています。また、その数字の違いも、そういったことで、感染症法で届け出られたけれども、特定の食品等に結びつく疫学情報がなかったものはその差になって出てきているのが現状でございます。
○五十君部会長 尾島委員、どうぞ。
○尾島委員 ありがとうございます。
 今後HACCPも義務化になって、対策が進んでいくことが期待できるのですが、37ページのこの数字ですと上下していて余りよくわからないので、39ページのこの数字が減ってくると非常にいいなと思うのです。
 この要因としては、大きく消費者側の扱い方の要因と、あと、提供者側の要因とあって、提供者側が野菜の生産、屠殺場、流通、食品製造、販売とか、いろいろな段階があって、HACCPをやる中で、この辺は減らないけれども、この辺は減ってきたなとか、そういうことがうまく見えてくるといいなと思います。39ページのこの全例についてそれを調べるのは非常に大変そうではあるので、どこまでできるかあるのですが、何かその辺をモニターしながら、この辺の対策はうまくいっているけれども、ここは強化が必要とか、そういうことを出していけるといいなと思いました。
○五十君部会長 ありがとうございます。
 ほかにありますか。これはディスカッションですから気楽に御発言いただきたいと思いますので、ぜひ、日ごろ蓄えているものを出していただければと思います。いかがでしょうか。食品衛生関連の委員の方につきましては、HACCPでどれぐらい改善しそうだとか、その辺のところの体感的な御意見がありましたら、コメントいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 朝倉委員、どうぞ。
○朝倉委員 先ほどからの先生方のディスカッションをお伺いしていると、やはりHACCPの制度化を、とりわけ焼き肉店等も含めた形で続けていっていただいて、さらにこの原因究明のシステムにつなげていただくことが非常に大事なのかなというような印象を持ちました。そういった中で、例えばHACCPのところの一つの枠組みの中に、こういったところにも連携をというようなアピールをぜひしていただくことも重要なのかなと思いました。
 コメントでございます。
○五十君部会長 ありがとうございました。
 広松委員、どうぞ。
○広松委員 保健所の立場から少し申し上げたいと思います。
 我が所のほうでは腸管出血性大腸菌の発生が届けられますと、基本的に給食の喫食をしている方かどうかは非常によく見まして、例えば保育園に行ってらっしゃるとか、何かそういうようなことがあれば、これは給食の関係をチェックしなければいけないということで、非常に大きく見ます。
 それから、個別の方であると、御本人の記憶に頼った喫食調査になります。この辺は感染症の担当の者も、食品の担当の者も協力してやるのですけれども、まず、ここに大きな関門というか、記憶があってお店のほうがはっきりすれば、そこに調査につながっていくのですけれども、昨今多いのは非常に多く外食をしている、あるいはいろいろなものを買って食べていることで、ほとんど覚えていないような場合は、そこで調査はお手上げでとまってしまうのです。もちろんその前に協力したくないと、プライバシーを出したくないので絶対に協力したくないとおっしゃる方もかなりふえてきておりますので、そうした場合も調査は行き詰まってしまいます。
 それから、非常に協力的に調査に協力していただいた場合でも、そのケースが、例えば2人でお店に行ったなどという場合は、お二人とも発症していればまた違うのでしょうけれども、お一人だけ発症という場合、あるいはもう一方が忙しくて検便できない場合もかなりございまして、そういうような場合は、お店の調査をするわけですけれども、まずお店の方にお伺いするのが、有症苦情がなかったかどうかです。お店の方がほかにありませんとおっしゃられると、それ以上は普通はできないということになろうかと思います。
 念のため、少し店に任意協力みたいな形でお店の厨房の状態などの衛生状態を見せていただいたとしても、そこで検査というのはなかなか厳しい状況です、仮にやらせていただいたとしても、発生からかなり日にちがたっていますので、患者さんの検便の結果なども含めてですから、当然1週間ぐらい経過しているのが通常でございます。そうした場合には、もう食品のロットなどもほとんど変わっていますので、そこで出なくても当然かなというような見方しかできないのが現状でございます。
 そしてまた、非常に多くの飲食店を利用している生活パターンの方ですと、例えば今はやりなのですけれども、加熱不十分なハンバーグですとか、肉を使ったおさしみみたいなものを好んで食べていらっしゃる方のような場合、どのお店に絞っていいのかも全くわからないような状況になります。
 調査の過程でさまざまな状況があって、逆に例えば外食をほとんどしないのに、たまたま何かの拍子に、月に一度食べていたお店ということになると、これは明らかに食中毒と判定できてしまいますので、そうしたお店の方がお気の毒かなと思うぐらいで、逆にたくさんの方がきっと出ているにもかかわらず、さまざまなお客さんが多店舗を利用していることで、断定に至らないケースのほうが多いような印象でございますので、そういった現場の状況でございます。
○五十君部会長 ありがとうございました。
 保健所の側から言いますと、なかなか食中毒とするのは大変だという現状があるということで、食中毒事例として報告される例は、先ほどの話にもありましたように氷山の一角になりがちであるというようなコメントもあったと思います。ありがとうございます。
 ほかにはありますでしょうか。
 砂川委員、どうぞ。
○砂川委員 きょう、ぜひお伝えしたいなと思っていたことがもう一点あるのですけれども、広域食中毒で昨今の大きな問題として、野菜が原因の可能性がある事例は、1つトピックスだろうと思います。その中で実際に調査協力をする中で、直面する大きな課題が、特に野菜についてはトレーサビリティーが難しいことにたびたび出くわすことが少なくないことがあります。
 これは既に農林水産部局とかの話になってくるかもしれないので、ここでその点について強調するのは、あまりよくないのかもしれないのですが、今後の調査の1つの重要な課題にもなってくるだろうとも思います。その点について、調査が順調に進むような形にもっていけるように、ぜひ農林水産省とのいろいろな連携というか、調整というかについても、ぜひ進めていただきたいなと思います。
 特にきょうはHACCPの話が出ておりますので、恐らく野菜についても、いわゆるGAPとかの重要性みたいなことをよく聞くことがあったりします。その点についての連携というか、強化していただくことが一つ重要ではないかなということで、コメントをいたしました。
○五十君部会長 ありがとうございます。
 農水部局との連携ということが今少し出てまいりましたが、実は生食肉の検討時に、腸管出血性大腸菌はもともとどこが一番問題なのかという事に関しまして、いろいろな調査、研究等が報告されました。様々な研究報告書等を通して見ますと、牛の保菌状況が最も関連があるということでした。従って牛肉は特に感染経路となりやすく、やはり生食はなかなか難しいだろうというわけです。
 一方で、野菜類でも集団事例が発生する。これは一体なぜだろうというと、牛自体の保菌率が高いということは、当然牛から糞尿として出て、それが間接的に、農場で植物にも行く可能性があるわけです。腸管出血性大腸菌の場合は発症菌数が非常に低いですから、そういった汚染を受けて感染という問題も考えていかなくてはいけない。
 HACCPの管理の中で、やはり原材料の受け入れのところが重要です。農産物の原材料となると、なかなかチェックがうまくいかないと思いますので、まさに農林部局との連携をどういう形で行っていくかという問題は、この腸管出血性大腸菌に関しては非常に重要なところです。もともとは本菌がどこから来るかの問題と、それから、野菜類がどのように汚染される可能性があり、集団事例までいっているか、このあたりを厚労・農水が協力して明らかにしていく必要があるのではないかなと、私は個人的に思っているところです。ぜひその辺を今後考えていっていただければと思います。
 そのほか、ございますか。よろしいですか。
 では事務局、どうぞ。
○道野食品監視安全課長 活発な御意見ありがとうございました。
 まず、広松委員から、現場での初動の調査がなかなか大変なところがあるという御発言だったわけです。そういったこともありまして、やはりできるだけ例数をふやすには全国の情報集約をしていくことによって、例えばそこの地域には残品が残っていなくても、ほかのところでまだ未使用のものや保管中のものがあったりとか、そういったことも流通調査の中で検体の確保等もできていくこともあります。疫学情報は数がふえればふえるほど確度が上がっていくこともありますので、まさにそういったところを今回も十分強化をしながら、できるだけやはり三類感染症の報告数と食中毒のギャップを埋めていく。それが結局予防のほうにもつながっていくのだろうと考えています。
 HACCPの関係で申しますと、もちろん食肉の処理の段階は、非常に重要な段階でありまして、もちろん危害要因としても代表的なものとして認識していますし、今ちょうど厚生労働科学研究のほうで、朝倉先生に食肉処理段階でのHACCPの検証の手法として、諸外国でももう既に腸管出血性大腸菌に着目してやられているような状況があるわけですけれども、まずは国内の場合、Enterobacteriaceaeでまずやってみようかということで、まずそこから始めてみるようなことも今御検討いただいています。
 やはりそういった食肉での汚染の率を下げていくことが非常に重要ですし、国際的に見ると限りなく、そういった汚染されたものを市場に出さない方向で動いてきているような状況もあります。
 また、農林水産部局との連携と言いますか、生産段階との対応で言いますと、HACCPの制度化におきましても、そういった野菜類の一産業と、食品衛生法でのHACCP管理との境目をどうするかも実は議論をしております。現段階の考え方としては、やはり野菜の選果場まではGAPで対応していくような整理をしている。
 GAPについては、HACCPと違って義務化ではないのですけれども、普及を進めていくということで、農林水産省のほうでその推進を政策的にしていることもございますので、そういったことでやはり対応が進んでいくのではないかと考えています。
 いずれにいたしましても、きょうの御議論につきましては特に生産段階との連携の部分については、農林水産省とも十分にシェアをしまして、今後の対策に結びつけていくようにしたいと考えております。
○五十君部会長 ほかには特にありませんでしょうか。
 大変貴重な御意見をありがとうございました。
 尾島委員、どうぞ。
○尾島委員 前半の資料1の関係で言い残したことなのですが「その他」についての議論がございました。「その他」について何月何日の食事としか特定されていなかったものと、本当に「その他」の何かが特定されたものの内訳は、ぜひ出していただけるといいと思います。
 もう一つが、議論で出ましたのが、原因物質の絡みもあるので、この原因食品と原因物質のクロス集計表も、この詳細が資料のほうにそれを追加いただくと、それが年次で積み重なってくると、このセルが減ってきたとかそういうのがわかりますので、ぜひそういうのも出していただければと思いました。
○五十君部会長 コメントありがとうございました。
 ほかにありますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、予定していた時間にもなりましたので、これでフリーディスカッションを終わりにさせていただきたいと思います。
 貴重な御意見をどうもありがとうございました。
 その他、事務局から何かありますでしょうか。
○新井食中毒被害情報管理室長補佐 特にはございません。
○五十君部会長 それでは、本日の食中毒部会はこれで終了いたします。長時間にわたる熱心な御議論、ありがとうございました。

 

 

(了)

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