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2017年10月27日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第139回議事録

○日時

平成29年10月27日(金)9:00~9:39


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

中村洋部会長 野口晴子部会長代理 関ふ佐子委員 田辺国昭委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 宮近清文委員
松本純一委員 今村聡委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
加茂谷佳明専門委員 吉村恭彰専門委員 上出厚志専門委員
<事務局>
鈴木保険局長 渡辺審議官 伊原審議官 迫井医療課長 古元医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○中村部会長
 ただいまより第139回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
 まずは本日の委員の出欠状況について御報告します。まだ関委員が来られていませんが、本日は全員御出席の予定です。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○中村部会長
 それでは、議事に入らせていただきます。今回は「薬価制度の抜本改革について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○中山薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。それでは、資料を説明させていただきます。
 薬-1をごらんください。今回は「薬価制度の抜本改革について(その14)」ということで、その他の事項ということで議論をいただきたいと思っております。
 内容といたしましては、大きく分けて2つございます。1つは基礎的医薬品のあり方について、もう一つは4ページ以降でございますけれども、用法用量変化再算定の見直しについてということでございます。
 1ページ戻りまして、まず基礎的医薬品のあり方についてということでございますが、まず背景でございます。従来、28年度薬価制度改革前となりますけれども、累次の改定を経て薬価が極めて引き下がった医薬品に対してということでございますが、1つ目としては剤形ごとにかかる最低限の供給コストを確保するという観点で最低薬価というものを設定するという仕組みと、2つ目といたしまして医療上の必要性が高いということですが、不採算ということで、改めて原価計算を行うという形の不採算品再算定という仕組み、2つがあったということで、これで安定供給の確保を図ってきたということでございます。
 これに加えて、平成28年度の薬価制度改革におきまして、長期間臨床現場での使用実績があって、医療上、必要性の高い医薬品というものを基礎的医薬品といたしまして、当時の現行の不採算品再算定、最低薬価になる前の薬価を下支えするという仕組みとして導入したということでございます。
 基礎的医薬品につきましては、平成28年度におきましてどういったものを対象にしたかということですが、過去の不採算品再算定品目というものに加えまして、古くから医療の基盤となっている医薬品といたしまして、病原生物に対する医薬品、これは抗生物質ですけれども、あと医療用麻薬というものを対象といたしまして、薬効分類番号をもとに選定したということでございます。ここについては後ほどもう少し詳しく説明いたします。
 平成28年度診療報酬改定の中医協答申附帯意見におきましても、基礎的医薬品のあり方を引き続き検討するとされている状況です。
 中医協において示された課題については、今、申し上げた附帯意見とともに2ページ目でございますけれども、平成29年5月31日に開催されました中医協薬価専門部会におきまして、2つの意見が出ていました。1つは新薬創出等加算、長期収載品、後発医薬品についてはセットで議論すべきということに加えて、古くから使われ、評価されている薬についても、赤字にならないように配慮すべきという御指摘を2号側からいただきました。また、専門委員からは3点セットで議論すべきという意見とともに、基礎的な医薬品の位置づけもこの議論に加えるべきという意見もいただいているという状況でございます。
 現行制度につきましては、基礎的医薬品につきましては点で示している3つの要件の全てに該当していることを条件としております。その3つの条件というのは、収載から25年以上経過して、かつ、成分全体及び銘柄の乖離率が全ての既収載の平均乖離率以下であること。2つ目としましては、一般的なガイドラインに記載されて広く医療機関で使用されるなど汎用性のあるもの。3つ目の条件としては、先ほども申し上げましたが、過去の不採算品再算定品目と病原生物に対する医薬品及び医療用麻薬というものの中から選ぶということでありまして、選ばれた成分につきましては、その中で最も販売額が大きい銘柄に価格を集約して、その薬価を維持することとしているという仕組みでございます。
 今後の検討課題としましては、まず1つ目としては対象分野についてどう考えるかということであります。先ほど申し上げましたとおり、平成28年においては不採算品再算定品目を対象とするということでございましたが、この仕組みの性質上、不採算品再算定、最低薬価になる前の薬価を下支えするという位置づけを踏まえまして、実際に不採算品再算定の対象となっていない分野でも不採算または不採算に極めて近い状況が継続している分野もございますので、こういったものを対象とすることについてどう考えるかということです。
 こういった状況を判断する手法としては、例えば過去数年の乖離率というものも検討する材料の1つとして考えられるのではないかということでございます。
 3ページ目、もう一つの検討課題といたしましては、平成28年の改定において抗生物質と麻薬を対象とすることにいたしました。これは薬効分類をベースに選択することとされておりまして、これについては参考資料の4コマ目をごらんください。先ほど挙げた条件をもとに、その中で薬効分類をベースに選択することにいたしました。その内容というのは4コマ目にありますとおり、薬効分類番号というものがありまして、その中に600番台で病原生物に対する医薬品、800番台で麻薬、こういったものの分類番号の中に分類されている医薬品を対象とする。その中から該当するものを選ぶという形をとったということでありまして、そのために例えば一部の抗生物質を含有する点眼剤につきましては、この番号でいきますと100番台に眼科用剤というものが含まれまして、そういったものについてはそもそも対象になっていないという状況になっておりまして、そういった状況を踏まえますと、基礎的医薬品の対象外となった抗生物質とか麻薬というのも存在するという状況でありまして、公平性の観点も踏まえて基礎的医薬品の対象として検討してはどうかということを挙げさせていただいております。
 次に4ページ目をごらんください。大きな2つ目の用法用量変化再算定の見直しでございます。これにつきましては従来、薬価収載後に主たる効能・効果に係る用法・用量に変更があった場合につきましては、変更前後の1日薬価が同じとなるように再算定を行うという仕組みがございました。このような中で昨年のオプジーボの例でございますけれども、主たる効能・効果の変化に伴って用法・用量が大幅に拡大した場合というものに対して、現在の用法用量変化再算定の対象となっていないという状況がございます。
 これはどういうことかと申しますと、オプジーボの例で御説明させていただきますが、まずオプジーボが最初に取得したのはいわゆるメラノーマと言われているもので、その用法・用量につきましては1回2mg/kgを3週間隔で点滴静注ということでございました。仮にこの効能・効果のままで右にあるように用法・用量が非小細胞肺がんのもののように、1回3mg/kgを2週間間隔という形で、効能・効果そのままで用法・用量だけが拡大したというような場合であれば、その用法・用量でふえた分だけ1日薬価が同じになるように薬価を引き下げるという仕組みとしてあったということなのですけれども、例としてオプジーボの場合を使わせていただくと、用法・用量が大幅に増加したわけなのですが、それは非小細胞肺がんに効能・効果が拡大したことに伴って用法・用量が拡大したということでありまして、それは主たる効能・効果に係る用法・用量に変化があったというものには該当しないということで、現行の用法・用量変化再算定の見直しの対象にはならなかったということです。こういったことで主たる効能・効果の変化に伴って用法・用量が大幅に拡大するような品目につきましては、用法用量変化再算定の対象とすることについて検討する必要があるという状況です。
 現行の用法用量変化再算定につきましては、現行制度ですけれども、対象品目は主たる効能・効果に係る用法・用量に変更があった既収載品となっておりまして、ただし、変化再算定の対象になるもの、あるいは安全対策上の必要性により用量が減少した品目は除くこととしているという状況でございます。
 5ページ目につきましては、計算方法としては先ほど申し上げたように1日薬価が同じになるようにということで、また、オプジーボの例をとらせていただくと、1回の用量が1.5倍になった、あと、期間についても3週間隔が2週間隔になって1.5倍になったということで、結局、2.25倍になったわけなので、薬価もこれを適用されると2.25分の1になるというイメージになるということでございます。
 5ページ目、今後の検討課題ということで、対象品目についてということで、主たる効能・効果の変更に伴って用法・用量が大幅に拡大した品目についても、用法用量変化再算定の対象に加えることとしてはどうかということでございます。ただ、効能変化再算定の対象となる品目については、従来と同様に対象から除外してはどうかということとしております。
 御参考までですけれども、参考の6コマ目をごらんいただくと、効能変化再算定というのは最初に効能を得ていたものというのが1日薬価で100円だったといたします。そうしたときに、効能が追加されて、それに最類似薬があったという場合には、その最類似薬の1日薬価が50円だったとすると、それを参考にして市場の割合に応じて薬価を引き下げていくという形をとるということでございます。そういったような仕組みがあるので、そういった仕組みに該当するような場合はこれを優先するけれども、効能追加がされたところに最類似薬がなくて参照とすべき薬価がないという場合には、用法用量変化再算定の対象と考えてはどうかということでございます。
 もう一つ留意点がございまして、資料の5ページに戻りますが、主たる効能追加の追加前の効能に係る用法・用量は全く考慮しなくなるということなども踏まえますと、主たる効能・効果の変化に伴う用法用量変化再算定の対象については、用法・用量の拡大によって一定程度市場規模が拡大した品目というもののみを対象とする必要があるということでございます。
 次に類似品につきましても、主たる効能・効果変化に伴う用法用量変化再算定を受ける前のものを比較薬として類似薬効比較方式で算定された品目があるならば、それも同様に再算定の対象としてはどうかということを挙げさせていただいております。
 資料の説明は以上でございます。
○中村部会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関して御質問等ありましたらお願いいたします。
 吉森委員、お願いします。
○吉森委員
 まず1番の基礎的医薬品のあり方についてですけれども、そもそもこれは繰り返しで申しわけないのですが、長期間、臨床現場での使用実績があり、医療上の必要性の高い医薬品の安定供給を確保するために、最低薬価になる前の薬価を下支えする制度ということで前回改定において導入されたということで、薬価改定ルールの特例制度のような位置づけで、また、これは試行的な取り組みとして、この資料の2ページの3ポツにありますような3つの要件全て満たす医薬品を基礎的医薬品だということにしたと、その経緯を理解しているわけですけれども、そこで今回この制度創設の本来的な指針にのっとって、対象範囲をさらに不採算品再算定品目に近い分野ということで拡大したいという提案だということで方向性を理解していますが、当然、対象範囲はおのずと医療上の必要性の高い医薬品に限定すべきだと考えております。
 そこで明確な判断基準があるべきではないかと思いますので、ここに御提案の不採算品再算定の対象となっていない不採算及び不採算に極めて近いというものを対象とするのであれば、提案の過去数年の乖離率だけということで、これで果たして不採算に近いと判断できるのかどうかというのは疑問であり、ある程度客観的な線引きができるような要件設定が必要なのだろうと思います。
 2つ目の用法・用量変化の再算定の見直しのほうでございますけれども、今回の事務局の提案で、オプジーボのような効能追加によっての用法・用量が大幅に拡大した場合というのが補足できるというのであれば、提案のような見直しは賛成でございます。しかし、一方で資料にもありますけれども、この提案にもありますが、効能変化再算定の対象となる品目は除外だとか、理論上はこのような医薬品は市場拡大算定の対象となることもあるのだと思いますので、また一方で去年末の薬価の抜本的な改革の基本方針では、今後、効能追加等に伴い市場が大幅に拡大された場合には、年4回薬価収載の機会を捉えて薬価を改定するというような方針も出ております。ここで事務局にお願いですが、次回以降でよろしいので、効能追加等があった場合にどの調整ルールが、どの優先関係で適用されるのか。今後の検討を深めていくためにも、一度それぞれこういう効能追加等によるルールの適用の要件整理も含めて、薬価収載後の効能・効果等に変更があった場合の再算定調整の全体像を整理して一覧でお示しいただくとありがたいと思います。
 以上、意見です。
○中村部会長
 では薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
 1つ目につきましては御指摘のとおりでございますので、当方といたしましては乖離率と言いましても、乖離率が極めて低いとか、逆ざやの状態が継続しているとか、そういったものを確認するというようなことなど、あと、成分とか品目での乖離率だけではなくて、薬効群全体での乖離率も下回っていますとか、そういったいろいろな条件を組み合わせて適切に不採算品に近いという分野を選定して、お示ししていきたいと思っているところでございます。
 2つ目につきましても、抜本改革の中での四半期再算定というものも具体的な内容をお示ししますが、その中のどの部分が優先的に適用されるかとか、基本的には複数適用される場合には、下がり幅が大きいものが適用されることが原則的な話になるのではないかと思いますけれども、その中でも合理性のあるものを選ぶことになると思いますので、そういった形で示せるものはお示しできるようにしたいと考えております。
○中村部会長
 ほかはいかがでしょうか。では加茂谷専門委員、お願いします。
○加茂谷専門委員
 基礎的医薬品について御提案をいただいているところでございますが、本件につきまして専門委員としてコメントを述べさせていただきたいと思います。
 まず前回、28年度改定で本ルールを導入していただきましたことに、改めて感謝を申し上げたいと思っております。適用された品目を有する企業からいろいろ御意見を頂戴しております。本ルールが適用されたことによって将来にわたる安定供給の不安が軽減された、あるいは不採算の拡大あるいは採算割れに対する歯どめの効果があったという声を聞いております。その結果といたしまして、相当古い薬が対象になっておるところでございますので、製造設備等の老朽化対策をこのルール適用後、より後押しをするようになった。例えば移転あるいは更新、そして製造設備の修理といったものをしやすくなったということで、引き続き安定供給に関して責任を持って対応していくという声があるところでございます。
 私どもといたしましては、当然のことながら対象となった医薬品が供給を停止することが実例として起きていないということも確認しているところでございます。引き続き古くから出している薬が医療現場において必要なものもまだ数多くあろうかと思いますので、ぜひ先生方の御理解を得ながら基礎的医薬品のさらなる範囲の拡充については、お願いをしたいということをコメントさせていただきます。
○中村部会長
 では幸野委員、お願いします。
○幸野委員
 まず質問です。基礎的医薬品は、28年度改定で試行的に導入されましたが、試行的導入は継続されるのでしょうか。また、現行制度では2ページにあるように、過去の不採算品再算定品目であることが要件の一つになっていますが、今回の提案は、この要件を見直して、不採算に近い状態の品目も対象にするのか、それともこの要件は変えずに、不採算に近い状態のものを例外的に救うという趣旨なのか、提案の趣旨を教えていただきたいと思います。
○中村部会長
 では薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
 28年度から創設されました基礎的医薬品でございますが、試行ということで開始いたしまた。これにつきましては対象とするものをいろいろ拡大していくのかどうかということとともに、中身の運用の仕方とかいろいろなものを実際の状況を見ながら検討していかなければいけない状況だと認識しておりますので、30年度改革におきましても基本的には試行という状況は継続という形になろうかと思います。
 2点目につきましては、過去の不採算品再算定品目ということが28年度のときに明確に書いてあるわけなのですけれども、今回の場合はそれにかなり近いというものも含めるという形での対象範囲の見直しをさせていただきたいという御提案でございます。
○幸野委員
 ということは、2ページに書いてある要件は変えずに、不採算に近い状態にある品目のうち、本当に医療上必要なものについて、限定的に対象品目に加えるという理解でよろしいでしょうか。
○中山薬剤管理官
 過去の不採算品再算定品目となったものが今までの対象だったということなので、そこについては限りなくそこに近づいているものも含めて対象としたいということなので、そこは一部ここの部分の対象を拡大するという形になりますので、いかがでしょうか。
○幸野委員
 我々は、基礎的医薬品の対象となるものは本当に医療上必要なものであって、供給が困難になるものを限定的に救うという例外中の例外の対応と捉えていますので、次の改定では対象品目を拡大するという提案がなされていることについて、違和感があります。要件を見直すとしても、不採算品再算定の対象にならずとも、供給が困難で本当に救う必要がある品目への限定的な対応と捉えていただきたいと思います。また、現在は全部で1万6,000品目あるうちの600品目程度が基礎的医薬品に指定されていて、4%ぐらいに当たると思うのですが、今回の提案で見直した場合、対象品目の規模はどれぐらいになるかという想定は事務局でされているのでしょうか。
○中山薬剤管理官
 まず対象としては、先ほどお答えしたように乖離率が極めて低いとか、逆ざやが継続しているというような状態に限定してということで考えますので、基本的には幸野委員御指摘のとおり、対象に関してはきちんと精査するという形でお示ししたいと思います。
 対象とすべき品目なのですけれども、現状としてどういう形でリストアップできるかというところがまだ詰まっていないところがありますので、品目としてどれぐらいの規模でふやすかというところは、現状では何とも申し上げられない状況だと思います。
 ただ、当然のことながら財政影響というものは考慮しなければいけないので、無制限にふやしていくものでは当然ないものと理解しております。
○幸野委員
 どれぐらいの品目が対象になるかが想定できない中で、提案に対して賛否を述べることはできかねます。万が一、対象品目数が倍になると基礎的医薬品の意味が変わると思うので、対象品目の規模はしっかりと示していただきたいと思います。また、参考資料の3コマ目にあるように、矢印が左に向かって伸びており、基礎的医薬品の対象を拡大していくということが書かれていますが、私は、この図の書き方は違うのではないかと思います。本当に医療上必要なもので、供給が困難になるものだけを限定的に救う制度と捉えているので、対象をどんどん拡大していくということではないと思います。
また、28年度に基礎的医薬品に指定された品目を見て、気になることがありました。長期収載品とそれに対する後発医薬品が10個程度指定されている、とある病原生物に対する医薬品を見たところ、長期収載品は53.7円、後発医薬品はその半分の価格の22.6円でしたが、基礎的医薬品に指定されたことによって、22.6円の後発医薬品を含む全ての品目の価格が、最も高い販売額の長期収載品の53.7円に引き上げられていました。元の価格から最も高く価格が引き上げられた品目では、後発医薬品の価格が4倍近く引き上げられたものもありました。こういった現象が起きるというのは、本当に正しいのかと思います。
薬価制度の抜本改革に向けた政府基本方針で、長期収載品に依存するモデルから脱却するという考え方がある中で、長期収載品の価格に後発医薬品の価格を合わせて、長期収載品を基礎的医薬品として守るという考え方は矛盾しているのではないかと思います。後発医薬品が上市されている長期収載品は本当に医療上必要な医薬品なのか、後発医薬品に代わっていくものであって、基礎的医薬品に指定する必要はないのではないかと思うのですが、事務局はどのようにお考えでしょうか。
○中山薬剤管理官
 まず基礎的医薬品につきましては、御説明させていただいたとおり長く使用されて、かつ、ガイドラインに記載されるとか、医療上の必要性があるとか、そういった中で汎用性があるものという性格のものに限定して、まずそういうところで限定した上でということでの仕組みでございますので、そういったものがかなり不採算になるとか、それに近いという状況であるならば、一定程度価格を維持するところでの仕組みとして導入されたということになろうかと思います。そこについては非常に限定的なものを対象としたものになろうかと思います。
 一般的に新薬の評価、長期収載品の引き下げ、後発品への移行ということは大原則として実施していくということでありますので、そういった大原則の部分と、医療上の必要性みたいなものと、長く利用されているようなものの価格をある程度のところで維持をすることの考え方ということで、全体として考えていただければと思っているところであります。
○幸野委員
 効能・効果が同一の後発医薬品が上市された長期収載品であっても、医療上の必要性は高いというのは、どういうことなのでしょうか。
○中山薬剤管理官
 基本的には成分として必要性を判断するということでありまして、それが基礎的医薬品にしたものの中には結果として、幸野委員が御指摘いただいたような一部の例はある、長期収載品と後発品という形で残って、それが基礎的医薬品に移行したものも一部あるという状況でありまして、そういったものもその中には一部含まれているということで御理解いただきたいと思います。
○幸野委員
 全く理解できないのですが、基礎的医薬品に指定するということが、抜本改革で記載されている、長期収載品に依存するモデルから脱却するという内容と矛盾しているほか、後発医薬品の使用促進も妨げているということは理解していただきたいと思います。今回の提案は承認できないとまでは申し上げませんが、基礎的医薬品のあり方は、私が述べたことも踏まえて検討してほしいと思います。
○中村部会長
 どうもありがとうございました。
 ではほかにいかがでしょうか。今村委員、お願いします。
○今村委員
 今、幸野委員のおっしゃったこともなるほどなと思って聞いている部分もあるのですけれども、臨床の現場からすると今まで長い間、患者さんに安定してお薬として出していたものが供給されなくなるというのは、医療側もそうですし、患者さん側も非常に不安に思われるということも確かにございますので、そういった今、御指摘いただいたようなことを整理しながら、きちんとこの方向性については進めるということで私どもは賛成をしたいと思っております。もともとここにきょうも資料の中にありますけれども、2号側としてはセットで議論をするということも申し上げているわけですので、そういうことも加味した形で、方向性については進めていただければと思っております。
 2点目のことで御質問をさせていただきたいのですけれども、これも方向性としては賛成をしたいと思いますが、そもそもオプジーボが例に挙がっているのですけれども、私の理解が正しいかどうか教えていただければと思うのですが、そもそも効能・効果の変更に伴う効能変化再算定の対象に時期的にならなかったので、本来的にはこういった効能変化が起こったものについては再算定を先にするのが普通である。だけれども、それができなくて今回は用法・用量で対応したいという理解でよろしいのですか。私の質問がわかりにくいですか。
○中山薬剤管理官
 効能変化再算定につきましては、先ほど御説明させていただいたのですが、参考資料の6コマ目にある図が効能変化再算定の説明をしております。これの対象となるのは例えばメラノーマの場合で仮に例をとると、メラノーマは当時100円の薬価だった。そこに肺がんが効能追加されたときに、肺がんの最類似薬が既に存在して、そこの薬価があったという場合には、それを参照にできるので、その薬価を参照にして市場の割合に応じて薬価を下げていくという仕組みなので、オプジーボの例をとると、肺がんに追加されたときの最類似薬がないという状況なので、そもそも効能変化再算定の対象とはできなかったということであります。
○今村委員
 わかりました。私の理解が十分でなかったので、そもそも効能変化の再算定の品目ではなかったということですね。
 先ほど吉森委員も少しおっしゃっていたように、その時点で効能変化の再算定ができるようであれば、そちらが先に適用されるとか、そういうことは後ほどまたお示しいただけるということでよろしいですか。再算定というのはいろいろあるものですから、その辺の理解が十分に全体像ができなかったので、伺ったところです。
○中山薬剤管理官
 参照とできる薬価がなかったわけなのですけれども、それがあったとすれば28年の改定のときにそれを適用して、再算定を行っていたということになります。
 失礼いたしました。28年の改定ということでいくと、実は薬価調査というものが9月で、効能追加が12月にされたというものがあるので、そこの部分ではそのまま再算定が適用されなかったことになるかもしれませんが、効能変化再算定が適用されるかどうかという意味で言えば、もし参照すべきものがあったとすれば対象となったということでございます。
○今村委員
 確認ですけれども、その場合には対象となる品目があれば効能・効果の再算定を先に適用するという理解でよろしいですね。
○中山薬剤管理官
 参照すべきものがあったとすれば、適用するということです。
○今村委員
 先に適用されている。そうすると、この用法・用量の再算定は適用されないことになる、除外されるという順番でいいですね。
○中山薬剤管理官
 今の御提案している用法用量変化再算定は、追加された後の用法・用量をもとに再算定をするというものでございまして、追加される前の用法・用量を完全に無視することになります。ですから、そもそも再算定する前の価格というのは、もとの用法・用量も加味した上で設定された価格なので、だからそれを無視するというような状況はある意味、市場規模がこちらが非常に追加された後がかなり大きいという条件が伴っていないといけないということでありますけれども、効能変化再算定のほうは追加されたほうの薬価の参照すべきものがあるという合理性があるので、優先的に適用するとすれば、効能変化再算定を優先して適用して、そういったものが適用できない場合は用法用量変化再算定を適用するという順番になるということでございます。
○中村部会長
 安部委員、お願いします。
○安部委員
 基礎的医薬品のあり方についてでありますが、加茂谷専門委員からも28年改定でこの制度を入れたことによって、一定、安定供給に資するような取り組みが行われたということを御紹介いただきました。医療現場のニーズがあるものを安定供給していただくというのは非常に重要な観点ですので、そのニーズをきちんと踏まえながら、不採算または不採算に極めて近い状況がある場合には、一定の評価をして、対象を適正に広げることは必要かと考えます。
 以上です。
○中村部会長
 ほかはよろしいでしょうか。
 では、基礎的医薬品のほうは、方向性としてはきょう御提案いただいたことでよろしいということですが、一部、1号側の委員の先生方から幾つかデータを提示していただくとともに、問題提起もありましたので、その点については今後議論をさせていただければと思います。また、用法用量変化再算定の見直しについては、わかりにくかった、また全体像が見えなかった、という御指摘もありましたので、見せ方も含めて今後検討していただければと思います。
 幸野委員、お願いします。
○幸野委員
 私が申し上げているのは、まずは対象品目の規模を見て判断させていただきたいということで、それを見てからでないと賛成し難いということを理解いただきたいと思います。
○中村部会長
 そのような理解でよろしくお願いいたします。
 本日予定された議題は以上になります。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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