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2017年12月18日 第20回社会保障審議会福祉部会 議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成29年12月18日(月)15時~17時


○場所

厚生労働省 省議室
(中央合同庁舎5号館9階)


○出席者

田中 滋 (部会長)
石本 淳也 (委員)
井之上 芳雄 (委員)
上野谷 加代子 (委員)
内田 芳明 (委員)
関川 芳孝 (委員)
高橋 英治 (委員)
武居 敏 (委員)
橘 文也 (委員)
対馬 徳昭 (委員)
西島 善久 (委員)
平川 則男 (委員)
藤井 賢一郎 (委員)
堀田 聰子 (委員)
松原 由美 (委員)
松山 幸弘 (委員)
三好 昇 (委員)
武藤 素明 (委員)

○議題

社会福祉法人制度改革の実施状況について 等

○議事

○田中部会長 皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまより、第20回「福祉部会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれては、御多忙の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。

 まずは事務局より、新たな委員の御紹介と、本日の委員の出席状況について説明をお願いします。

○石垣福祉基盤課長 福祉部会委員の異動について、御紹介させていただきます。

 前回、平成28年9月26日の福祉部会開催以降、阿比留志郎委員、鎌倉克英委員が御退任されまして、新たに公益社団法人全国老人福祉施設協議会福祉会長の内田芳明委員、それから公益社団法人日本社会福祉士会会長の西島善久委員が任命されております。

 続きまして、本日の委員の出欠状況について申し上げます。

 本日は、猪熊委員、川井委員、黒岩委員、高橋福太郎委員、宮本委員、森脇委員より御欠席の御連絡をいただいております。

 また、堀田委員からは30分程度遅れるとの御連絡をいただいております。

以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 次に、前回の福祉部会以降、事務局にも人事異動がありましたので紹介をお願いします。

石垣福祉基盤課長 紹介いたします。

 地域福祉課長の竹垣でございます。

○竹垣地域福祉課長 竹垣です。よろしくお願いします。

石垣福祉基盤課長 福祉基盤課福祉人材確保対策室長の柴田でございます。

○柴田福祉人材確保対策室長 柴田です。よろしくお願いします。

石垣福祉基盤課長 なお、定塚社会・援護局長、八神大臣官房審議官、藤原総務課長につきましては、公務により遅れて出席の予定でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。

 カメラは、ここまでといたします。

 続いて、議事に入る前に資料の確認を行います。事務局から説明をお願いします。

○石垣福祉基盤課長 それでは、お手元の資料について確認をさせていただきます。

 議事次第をご覧いただければと存じます。

 本日は、配付資料といたしまして、資料1「退職手当共済制度(保育所等)の公費助成について」。

 資料2「社会福祉法人制度改革の実施状況について」。

 資料3「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて(福祉人材確保専門委員会報告書)について」。

 資料4「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律による社会福祉法の改正について」。

 参考資料といたしまして、参考資料1「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」、福祉人材確保専門委員会報告書の本文でございます。

 参考資料2「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律による社会福祉法の改正について」の関連資料でございます。

 以上を配付させていただいております。御確認方、よろしくお願いいたします。

○田中部会長 ありがとうございました。

 では、ここから議事に入ります。まず、資料1について事務局より説明をお願いいたします。

○石垣福祉基盤課長 それでは、資料1につきまして御説明を申し上げます。

 資料1の「退職手当共済制度(保育所等)の公費助成について」の資料をご覧いただきたいと思います。

 1ページおめくりをいただきたいと思います。

 社会福祉施設職員等の退職手当共済制度の保育所等に対する公費助成のあり方について(案)という表題の資料でございます。こちらにつきましては、保育所等の退職手当共済制度についての議論の経緯をまず説明させていただいております。

 上の段をご覧いただきたいと思います。こちらは、平成26年度に御議論をいただきまして、社会保障審議会福祉部会の報告書として、平成27年2月に出されたものの関連部分の抜粋でございます。

 当時は、資料にございますように、障害者総合支援法等に関する施設・事業と保育所につきまして、公費助成を廃止するか否かについて御議論がなされたところでございます。当時は、他の経営主体とのイコールフッティングの観点などから、公費助成を見直すべきだという御意見がございまして、障害者に関する施設・事業については、公費助成を廃止する一方、保育所等につきましては、子ども・子育て支援新制度が平成27年度から本格施行されたこと、それから平成29年度まで待機児童解消加速化プランに取り組むとされたことなどを踏まえまして、平成29年度までに結論を得るとされたところでございます。

 措置施設・事業などにつきましては、他の種別と大きく状況も異なりまして、他の経営主体の参入などもないことから、公費の助成の維持ということで御議論がなされた経緯がございます。

 こうした経緯を踏まえまして、社会福祉法等の一部を改正する法律の附則の中で、政府は、平成29年度までに関連の事項を検討し、その結果に基づいて所要の措置を講ずるとされていたところでございます。

 これにつきまして、資料の2ページ目をご覧いただければと思います。平成29年度までとされておりました待機児童解消加速化プランに取り組んできていたところでございますが、その後、今年の6月になりまして、「子育て安心プラン」ということで、引き続き待機児童の解消に向けて、集中的に平成32年度末まで、2020年度末まで取り組むこととされているプランが出ているところでございます。

 また、1枚おめくりいただきまして、3ページでございますが、子育て安心プランの中の6つの支援パッケージということで全体の施策の体系がございますけれども、その中で、この3ページの左側の一番下、点線で囲んであるところでございますが、保育士の退職手当共済制度の公費助成の継続の検討についても支援パッケージの一つに位置づけられているところでございまして、この部分が、今回検討しまして結論を出すことが必要になっているところでございます。

 恐縮ですが、1枚目にお戻りいただきたいと思います。資料の下向き矢印の下の枠内でございますけれども、こちらに事務局案として提案させていただいている考え方がございますので御説明させていただきます。

 今、申し上げましたような経緯と、今年度までの状況を踏まえまして、1つ目でございますけれども、平成29年度までの待機児童解消加速化プランに加えまして、平成29年6月に公表された「子育て安心プラン」によりまして、遅くとも平成32年度、2020年度末までの3年間で全国の待機児童を解消するための取組みが行われることとなっております。

 こうした状況を踏まえまして、保育所等に対する公費助成を一旦継続しつつ、公費助成のあり方についてさらに検討を加えまして、平成32年度までに改めて結論を得ることとしたいと考えております。

 つまり、3年間、待機児童解消のための取組みが集中的に進むということがございますので、その後にその時の様々な状況を踏まえまして検討していくこととさせていただきたいということでございます。事務局からは、以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。ただいま御説明がありました資料1について、御質問、御意見があればお願いいたします。

 高橋委員、お願いします。

○高橋(英)委員 日本保育協会の高橋でございます。

 退職手当共済制度の保育所等に対する公費助成を、子育て安心プランの関係で一旦継続しつつということでございますけれども、前回、今年度末までに結論を得るという待機児童加速化プランもそうだったのですが、こういった特に待機児童解消に重きを置いているプランと退職共済制度の公費助成のあり方がリンクしてくるのが非常によく分からないところがあります。

 平成32年度までに改めて結論を得るということですけれども、結論から申しますと、期限を切ることなく継続維持すべきであると思います。

 主な理由の第1ですけれども、この退職共済制度そのものの目的は公私間格差であったと記憶をしております。公立保育所の民営化や法人移管などが進んで、かつては6割が公立でありましたけれども、現在は4割くらいになっているのではないかと思っております。それでも、まだ4割は公立保育所があるということでございます。具体的な数字を今、持ち合わせていないので、今もし保育所等の公私別の割合がわかる数値が事務局であれば教えていただければ助かります。恐らく4割くらいではないかと思っております。

 第2は、平成261119日の福祉部会の議論の際に、きょうの資料にもありますけれども、民間とのイコールフッティングの観点からという御説明がありましたけれども、その時点では保育所については営利法人が1.88%であるというふうな説明を受けました。

 それ以降、爆発的に営利法人の保育所の数が伸びているとは思えないわけですけれども、そういった観点からもイコールフッティングが理由にはなかなかなり得ないのではないかと思っております。このあたりの割合の数値も今、一番新しい営利法人の割合の数値がありましたら教えていただけたらありがたいと思っております。

 第3番目は、同じく先ほど述べました福祉部会の際に、これは障害の分野についてでございましたけれども、報酬制度へ移行されたからというふうな御説明があったように思います。

 しかし、保育所等においては新制度に移行しても保育所はいまだ委託費というふうな取扱いでありますし、かついわゆる包括式に算定されているものではなく、給付費は積み上げで算定されているわけでございます。その給付費が仮にその報酬であるというふうな議論がありましたら、そこはなかなか理解ができないためであります。

 以上、3つの主な理由から、退職共済制度の保育所等における公費助成については期限を切ることなく継続が必要なのではないかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○田中部会長 御意見、承りました。質問の部分について、わかればお答えください。

○石垣福祉基盤課長 ありがとうございます。お答え申し上げます

 まず、数字の部分についてでございます。私どもの手元にあります最新の状況で申しますと、平成2810月1日現在における経営主体別の保育所等の運営の状況でございますけれども、保育所等につきましては全体としては2万6,265の主体があり、この中で行政が運営しております割合が8,857ということで、全体の33.7%でございます。営利法人ということで申しますと、1,337ということで、全体の5.1%でございます。一番割合として多いのは社会福祉法人でございまして、1万4,049で、全体の53.5%の割合を占めているところでございます。数字につきましては、以上でございます。

 それから、見直しの期限について御指摘をいただいたと思います。私ども、今様々な法律の制度、あるいは事業について、常に見直しの時期がある程度区切られているような状況がございまして、諸々の事情も勘案しなければいけませんけれども、待機児童の解消のための取組みというのが非常に重要な要素だとも考えております。

 こういった中で、そういうものがひと区切りつく時点において、その時点の状況を、高橋委員が御指摘のイコールフッティングのような状況も含めまして、様々に勘案すべきものと考えているところでございます。以上です。

○田中部会長 ほかの質問があれば、どうぞ。

 武藤委員、どうぞ。

○武藤委員 全国児童養護施設協議会の副会長の武藤です。

 私は実は内閣府の子ども・子育て会議の一員であります。先日も子ども・子育て会議があって、この2ページにありますように、保育の部分は今、制度改革をしながら、それから待機児童解消のための加速プランを前倒しにしながら、量的にも質的にも高めようということで進んでいます。とりわけ量も今は重要なんですけれども、保育の質というものを担保するということがとても大事だということで、この子ども・子育て会議のほとんどのメンバーがそのような御意見でありました。

 この点からみると、保育士の給与改善というのは絶対的に確保しなければいけない状況で、この退職共済制度もとても重要な条件の一つだと思っていますので、今後も制度存続が高橋委員から出たように必要だと考えております。

 私どもの社会的養護の分野は、措置制度という形で公的責任を重視しながら、進めております。今回児童福祉法の改正で、特に養育が十分ではない子供たちに対して、親だけでは難しいだろうということで、社会的養育責任ということを非常に明確に打ち出しました。

 そういう意味からすると、私どもの社会的養護の分野についても公的責任、それから措置制度の存続ということも含めてですけれども、今後ともこの退職共済制度の位置づけということは重要であり、ぜひそういうふうなしっかりとした位置づけで今後も運営していただきたいと思います。

○田中部会長 ありがとうございます。

 どうぞ、高橋委員。

○高橋(英)委員 事務局に1つだけ、確認の質問です。先ほど、営利法人の割合が1,337カ所で5.1%という御説明を受けたんですけれども、これは資料的には昨年の10月で、もう1年以上たっているのであれなのですが、今、企業主導型保育という、いわゆる認可外の扱いではありますけれども、そういったものが非常に多くなっておるのですが、割合をカウントするときに、この営利法人の中に将来的には企業主導型のようなものも入ってくるのでしょうか。

○田中部会長 お答えいただけますか。

○石垣福祉基盤課長 お答え申し上げます。こちらにつきましては、今は現在の整理の中で営利法人をカウントしておりますけれども、企業主導型について、それをどのようにカウントしていくのかというところについては、よく今後整理をさせていただきまして、また全体の状況を見ながら判断をさせていただきたいと考えております。

○田中部会長 松山委員、どうぞ。

○松山委員 私も保育士さんの処遇改善には賛成でありますけれども、その財源がどこにあるかというときに、やはり保育所を経営している社会福祉法人の財務データが非常に重要になってくると思います。

 ちなみに、2015年度の数字で、保育所専業の社会福祉法人、991法人の平均経常利益率は7.5%です。これは、上場企業の過去最高益の利益率を上回っております。実はこれは14年度の数字からジャンプしています。何が重要かというと、2016年度の数字から厚労省のほうで全国データベースをつくられていると思うのですが、それを見ていけば、補助金がきちんと使われているかどうかが、はっきり分かるはずです。保育所に補助金を給付することには反対しませんが、そうしたデータを見て3年後に政府が判断するというのは、それはそれでいいのではないかと思います。

○田中部会長 平川委員、お願いします。

○平川委員 退職手当共済制度の関係は、この提案どおりでいいかと思います。

 それで、今、保育所の経営状態の話がありましたので発言させていただきますが、内閣府の調査に対して保育所もしくは認定こども園、幼稚園の経営状況の回答率がかなり低いと思っております。その辺は、事業者の皆さんにぜひとも努力をしていただきたいと思います。調査を出すことによって適切な収益であるとか、保育所はどのような経営努力をされているのかを見える化をすることによって、保育所の事業運営に対する信頼性が高まっていくと思っています。

 東京都の調査では、人件費率が極端に低い保育所も一部見受けられます。何らかの事情があってそういうふうになっているのかもしれませんが、本当にこの子ども・子育て支援新制度による財源、もしくは退職手当共済制度が本当に保育の質の向上に資するものであるというのをしっかり見える化をしていくということが重要ではないかと思います。以上です。

○田中部会長 ありがとうございます。

 では、藤井委員お願いします。

○藤井委員 先ほど高橋委員から、この根拠について疑問があるというお話で、私も若干の疑問がございます。

 この3年間、とりあえず待とうじゃないかということで、この結論そのものはこのとおりかと思うんですけれども、まずこの根拠として一つはイコールフッティングというものが挙がっているわけでございますが、イコールフッティングというのと、それからその前の財源論ですね。

 財源論は非常に重要な話で、これからの社会保障制度を維持していくために一円でも無駄に使いたくないという財源論はあると思うんですけれども、イコールフッティングということでいいますと、イコールフッティングをするといいことが起こるからするわけでありまして、イコールフッティングというのはやはり選択と競争というのがうまく働いている、うまく働くようにするということだと思うのですが、今の保育サービスのマーケットと呼んでいいか、これがどれだけマーケット性を持っているかどうかというのが一つの判断基準になると思うんです。あまりマーケット性がないにもかかわらず、一部だけマーケットだ、マーケットだといってイコールフッティングするとかえって歪みをもたらすことはあります。

 その場合、高橋委員がおっしゃったことで、まず保育サービスにおいて公費率が高い。それから、委託費でやっている。この2点に関していうと、保育サービスマーケットというのは実はそんなに機能していない、機能しにくい状況になっている。これは介護、障害等と比べれば明らかでございます。

 もう一点は、これは給料、人件費にかかわることですから、人材のマーケットがどうなっているかということで保育士人材マーケットということを考えましたときに、ほかの社会福祉法人と全く違うのが、保育士を持たなければいけないという縛りがあるわけで、専門職労働市場になっているはずである。

 そのはずなのですが、では例えば看護師とか医師のように、その資格を得たら基本的にその資格で生涯働き続けるという資格に保育士が現在なっているかというと、どうもそうでもないのではないかという気がいたします。私どもの卒業生でも、保育士を独学で勉強してとった人間が普通の銀行で働いていたりしますので、結構そういう例はあるんじゃないかと思います。

 それで、専門職でないと、専門的な資格を持たないと保育士に就けない。にもかかわらず、専門職労働市場になっていない。そういう状況は少なくとも一般の人材のマーケットと違いますから、マーケットをうまく活用するようにイコールフッティングしようというのはやはり余計にゆがみをもたらす可能性があると思います。

 ですので、まずは保育士の確保が大変だということで、確保と育成という観点、及び保育労働市場というのは実際どうなっているんだろうかという観点をしっかり吟味した上でないと、かえってまずいことが起きるという可能性がございますので、この御担当は社援局ではないと思いますけれども、そういった分析をきちんとしていただきながら、一定期間先送りといいますか、判断をゆだねようということでございますから、松山委員のおっしゃっていることも大事だと思いますし、この3年間、ぼっと指をくわえて待っているという話ではなく、きちんとそうした検討も進めていただきたいと思います。以上です。

○田中部会長 ありがとうございます。

 関川委員、お願いします。

○関川委員 大阪府立大学の関川でございます。私たちの大学でも、保育士を養成しております。その養成校の立場から、事務局の御提案については賛成でございます。

 私は、個人的には、社会福祉退職手当共済の制度は、保育所など教育・保育施設で働く保育人材を確保し、その定着により保育サービスの安定的供給、ひいては待機児童の解消につながる制度だという位置づけを改めて確認したいと考えております。

 問題となるイコールフッティングですけれども、今、事務局から御説明がありましたとおり、現在参入している営利法人の割合を考えると、前回障害者総合支援法上の施設において民間営利法人が参入している割合・状況とは全く異なりますので、イコールフッティング論は、今の段階では公費助成を廃止する理由にならないと考えております。

 ただ、気になりますのは、直近の経営実態調査で営利法人の利益率と社会福祉法人の利益率の違いなど、把握されているのであれば教えていただきたいと思います。今後の検討の視点にさせていただきたいと考えるところでございます。

 公費助成のあり方の見直しにつきましては、現在処遇改善等により待機児童解消について進めているところでございます。人材確保と施設整備は一体的に考えるべきものであり、政策的に見て整合を図ることが大切かと思っております。

 今後のこの問題を考える視点とすれば、生涯働き続けることのできる職場づくりを前提とした制度設計を、ぜひ次の機会にも考えていただきたいと思います。

 仮に公費の助成の見直しをされるのであれば、法人の掛金負担増加部分については、改定時に適切に公定価格等に反映していただくなど手当てされるべきであり、脱退等によって保育士の側に不利益が生じないように十分な配慮をお願いしたいと思います。以上です。

○田中部会長 利益率について御質問がありましたが、いかがでしょうか。

○石垣福祉基盤課長 経営主体ごとの利益率についてのお尋ねがありました。大変恐縮でございますが、手元にはございませんけれども、委員が御指摘のようなことも含めまして、今後検討していくときには幅広い視点から検討していきたいと考えております。

○田中部会長 松原委員、お願いします。

○松原委員 もし御存じでしたら教えていただきたいのですけれども、営利保育所が特に多いのは非常に不足している東京都内かと思うのですが、東京都における営利保育所の比率をもし御存じでしたら教えてください。

○田中部会長 おわかりですか。

○石垣福祉基盤課長 すみません。全体の数字は持ち合わせておりますが、都道府県ごとの数字を手元に持ち合わせておりませんので、また改めましてわかるようであれば御提供させていただきたいと思います。

○田中部会長 後ほどでもお願いします。

 西島委員、どうぞ。

○西島委員 日本社会福祉士会の西島と申します。

 社会福祉士という立場ではありますが、職能ということで少し御発言させていただきます。私たちが介護であっても、もしくはソーシャルワーカーであっても、または保育士であっても、しっかりその専門性を生かして仕事をしていくという意味では非常に待遇の部分が大切かと思っております。その意味で、今ここで議論されていることも非常に大切なことですし、処遇改善、賃金の問題もそうですが、あわせてこの退職金のことについても継続ということでお考えいただいていることは非常に大事なことかと思っております。

 私ども、介護や障害分野で、イコールフッティング論の中でなくなってきた経緯はあるのですけれども、今、各委員の御発言のように、保育というマーケットはそれとは同等にするものでないということであれば、そこは慎重に適切に対応いただきたいと感じております。

 また、その利益率の御指摘もございましたが、こちらについては数値として見えてくるものだろうと思いますので、専門職がしっかりとその役割、機能を果たせるような待遇ということを踏まえていただいて、もし適切に使われていないというようなものがあったとしたら、そこは適切に御指導いただけたらと感じております。以上です。

○田中部会長 ひとわたりよろしゅうございますか。委員の方の多くは、事務局提案の1ページの下に書かれている内容については特に異論がなかったように感じます。一旦、継続しつつ、平成32年度までに改めて結論を得る。何人からの委員からは、当然ただ漫然と3年待つのではなく、その間に経営データや人材市場のあり方を含めて検討した上で3年後まで継続するという方向で特に反対はなかったと理解いたしますが、よろしゅうございますね。

(委員 異議なし)

○田中部会長 では、その方向で進めてください。1についてはここまでといたします。

 続いて、資料2について事務局から説明をお願いします。

○石垣福祉基盤課長 続きまして、資料2「社会福祉法人制度改革の実施状況について」に基づきまして御説明を申し上げます。

 1ページおめくりをいただきたいと思います。社会福祉法人制度改革、平成28年に改正がありました社会福祉法の主な内容についてまとめさせていただいております。この改正の中では、左側にございますように5本、柱がございます。

 1点目、「経営組織のガバナンスの強化」ということで、右側になりますが、議決機関としての評議員会を必置としたり、一番下の○になりますが、一定規模以上の法人への会計監査人の導入などの制度見直しが行われたところでございます。

 2点目、「事業運営の透明性の向上」につきましては、財務諸表の公表等の範囲を拡大したり、法律上明記をしたりということが行われたわけでございます。

 3点目の「財務規律の強化」つきましては、右側で申しますと2.番、3.番のところにございますように、福祉サービスに再投下可能な財産額、いわゆる「社会福祉充実残額」を明確化しまして、その充実残額がある場合には社会福祉充実計画の作成の義務づけなどが行われたところでございます。

 4点目といたしましては、社会福祉法人の本来的な性格などを鑑みまして、「地域における公益的な取組を実施する責務」ということで責務規定を設けておりまして、これの推進を図っているところでございます。

 5点目、「行政の関与の在り方」につきましては、所轄庁による指導監督の機能強化などでございますが、この中に、この後御説明をさせていただきます一番下の○のところになりますが、財務諸表等の収集・分析ですとか、国による全国的なデータベースの整備といったものがあったわけでございます。こうした内容に基づきまして、この後、2ページ以降の資料で、順次現在の取組状況ですとかデータなどの御説明をさせていただきたいと存じます。

 2ページ目をご覧いただきたいと思います。「社会福祉法人の財務諸表等電子開示システムについて」でございます。このシステムにつきましては、一番上の「本システムを導入する趣旨」のところにございますように、平成26年6月に閣議決定された『規制改革実施計画』ですとか、あるいはこちらの社会保障審議会福祉部会の報告書においても、社会福祉法人の運営の透明性の確保や、国民に対する説明責任の確保という観点から、整備をするように求められたものでございます。

 「本システムの概要」につきましては、絵の左下にございますように、それぞれの社会福祉法人が必要な書類について所定の様式に入力をいたしまして、所轄庁に届出をしていただき、所轄庁の確認などを経まして、真ん中の段になりますが、国と独立行政法人福祉医療機構で全体を整理、集計をいたしまして、国民の方々に提供をしていくというものでございます。

 システムですが、法人の関係書類の公表につきましては今年の6月から本格的に稼働しているところでございます。

 次の3ページ目をご覧いただきたいと思います。本日は、規制改革会議や福祉部会からお話がございました内容に基づきまして、一般の国民の方々に社会福祉法人の状況がわかるような概略の資料を提供させていただくもののイメージといたしまして、幾つか主なものを御紹介させていただいているということでございます。これについて、順次簡単に御紹介をしたいと思います。

 3ページのところでございますが、まずは「社会福祉法人の状況」ということで、所在地別の法人数などを棒グラフにさせていただいております。上のほうは都道府県別の法人数ということでございまして、大阪府が全国で一番多くなっておりまして、福岡県、それから東京都の順になっておりますが、都道府県ごとの法人数、主な事務所の所在地別に分けさせていただいております。

 その内数ということになりますが、下に政令指定都市別の法人数、それから4ページのほうにまいりますが、中核市の法人数ということで掲げさせていただいております。

 4ページの下の段は、所轄庁別の法人数ということで、左側に表がございますが、都道府県、政令指定都市、中核市、一般市、あとは厚生労働省が一部所管している法人がございますので、それにつきまして分類をさせていただいているところでございます。一般市がほぼ半数近くを占めておりまして、次に都道府県、政令指定都市という順になっております。

 5ページ目をご覧いただきたいと思います。5ページの上の段でございますが、法人の事業の形態別で区分けをしているところでございます。一番多いのが「一般法人」ということでございまして、右側の点線の囲みの中にもございますけれども、一般法人といいますのは、施設を経営する社会福祉法人ということで、介護施設であったり、障害者支援施設であったり、保育所であったり、そういったいわゆる一般の方々がイメージをするようなことの多い社会福祉法人でございまして、これが全体の85%程度を占めているところでございます。

 そのほかにも、各都道府県や市町村の自治体ごとなどにございます「社会福祉協議会」が約1割、「社会福祉事業団」ですとか、「共同募金会」、それから、「その他」として、助成型の法人ということで、ある程度の資金を基金のような形式で持っておりまして、福祉のための助成などを行っているような社会福祉法人がございますが、そういったものなどが400ほどということになっております。

 5ページ目の下の段でございますけれども、設立認可からの経過期間別の法人数を書かせていただいております。棒グラフで5年ごとに分けさせていただいておりますが、11年~15年、あるいは16年~20年のところに少し大きい数がありますのと、36年~40年、41年~45年のところにも少し大きなまとまりがあるような状況となっております。

 次に、6ページ目をご覧いただければと思います。「社会福祉法人の経営状況」でございます。一般の企業などで申しますところの収入に当たります「サービス活動収益」の規模別に法人を分類しております。「1億円以下」から1億円刻みで、最後は「10億円超」となっておりますが、2億円以下の法人で44%ほどを占めておりまして、大変小さい法人が多い状況になっておりますが、全体平均でいいますと、5億4,000万ほどという状況になっております。

 続きまして、7ページ目をご覧いただければと思います。こちらは、「社会福祉法人の経営状態」の全国平均でございますけれども、ある程度お示しをできるようにということで、作成を考えているものでございます。「経営状態」と一番左に書いてある表がございます。この中で、今回は一例ということで出させていただいておりますが、「経営指標」の中の一番上の「経常増減差額率」というところを仮にクリックをしたというイメージで、右側の折れ線グラフで全国の法人の分布の状況を示させていただいているものでございます。上のほうに「経常増減差額率」ということで、「全国の平均」ですとか、「中央値」の数字を出させていただいています。

 これは一例でございますが、左側の「経営指標」の欄にございますように、「職員一人当たりのサービス活動収益」から一番下の「自己収益比率」までの項目について、それぞれの項目ごとに全国の法人の分布の状況をお出しできるようにしております。

 この「経営指標」でございますが、表の下のところに「※」印で書かせていただいております。こちらは、日本公認会計士協会の非営利法人委員会に大変御協力をいただきまして、平成26年7月に社会福祉法人の経営状況を見る場合に必要となるような主要の項目ということでお出しいただいている経営の指標に基づきまして、全国の状況がわかるようなものを提供させていただきたいと考えております。

 この7ページの資料とあわせまして、次の8ページもご覧いただきたいと存じます。こちらは、既に福祉医療機構のシステムの中のホームページ、いわゆるWAMNETというページの中で既に公表されているものでございますけれども、全国の社会福祉法人の財務諸表電子開示システム、先ほど冒頭で少し申し上げましたが、そのシステムの中で、一法人ずつの状況については具体的な計算書類等が既に公開されているところでございますので、7ページの全国的なデータなどとあわせた形でご覧いただきますと、個々の法人の財務状況の分析などの一助になるかと考えております。こういったデータを一般の方向けにお示しをさせていただいて、社会福祉法人の経営の状況を一般の方々にもご覧いただけるようにしてまいりたいと考えております。

 続きまして、資料の9ページをご覧いただきたいと思います。こちらは社会福祉充実残額、いわゆる社会福祉充実財産と、その使途などについて整理している資料ですので、概要の御説明をさせていただきます。

 社会福祉法人が保有する財産につきましては、その中身を明らかにしまして、一定の計算を行った上、社会福祉充実残額が生じた場合にはその使途について、所轄庁の承認を得た上で公表するということをもって、「見える化」をしていくということでございました。

 9ページの中ほどの絵になりますけれども、一番左側をご覧いただきたいと思います。まず、法人の「活用可能な財産」というものを、下の括弧書きにあるような計算に基づきまして算出をいたします。

 その後、マイナスの記号がありますけれども、真ん中に「事業継続に費用な財産」ということで、事業に使う財産、あるいは将来の建替などに備えた財産、必要な運転資金は、一定の計算式に基づいて差し引くということになっております。

 さらに右にいっていただきまして、その結果、プラスになる財産が生じる場合には「再投下対象財産」ということで、これを「社会福祉充実財産」と呼びまして、これらの財産の使途を明らかにする計画を立てていただき、社会福祉事業などに使っていただくということになっております。

 この社会福祉充実財産の使途については、10ページをご覧いただきたいと思います。社会福祉充実財産が生じた場合でも、これらは個々の社会福祉法人の皆様方が、言ってみれば経営努力や経営効率化の取組をされた結果、生じたものということでございますので、「見える化」はするものの、法人の方々の自主的な経営判断のもとで、その使途を決めていただくということになっております。

 ただし、法律上、第1順位から第3順位まで順番に御検討いただくということになっておりまして、第1順位は本業たる社会福祉事業に関して、職員の処遇改善や人材の雇い入れ、あるいは施設の建替や充実といった用途に充てられるという仕組みになっております。

 第2順位は地域公益事業ということで、単身高齢者の見守りや、制度の狭間にある方々に対する包括的な相談支援、あるいは各種制度の対象にはならない移動支援など、地域の課題に対応するための事業を対象にしています。

 そのほか、第3順位が公益事業となるという仕組みでございます。

 次の11ページ目をご覧いただきたいと思います。「平成29年度における「社会福祉充実計画」の策定状況等について」という資料でございますが、こちらは制度施行初年度ということもありまして、各法人の方々からご提出いただいたものの精査などに少し時間がかかっておりまして、全ての法人の状況となっておらず、大変恐縮でございますけれども、調査対象の約2万600法人の中から、1万7,000法人ほどの状況がわかっておりますので、その段階の状況ということで、概略を御説明させていただきたいと思います。

 資料の「1.社会福祉充実財産の有無」というところでございます。こちらは社会福祉充実財産、先ほどの計算式に基づきまして、これらの財産が生じた法人が全体の12%ということになっております。

 「2.社会福祉充実財産が生じた法人の収益規模」でございますけれども、吹き出しがございます1億~5億程度の収益規模の法人が約半数を占めております。そのほか、1億以下の法人と、5億~10億までの法人がそれぞれ2割弱ということでございまして、これらの合計で大半を占めている状況でございます。

 「3.社会福祉充実計画の内容」でございますけれども、一番多いのはこの表の下から3つ目の「既存施設の建替、施設整備」でございます。事業の数としましては、全体の4割近く、1,700ぐらいの事業数となっております。

 以下、一番上の「新規事業の実施」、次の「職員給与、一時金の増額」の順に多くなっています。また、今、人材確保が難しいというお話が先ほどの議題でもございましたが、社会福祉充実財産は職員の処遇改善にもかなりご活用いただいています。そのほか、「研修の充実」ですとか、「既存事業の定員の拡充」などにもご活用いただいています。

 「4.事業の種類」につきましては、今ご説明させていただいた事業の内容を先ほどの第1順位から第3順位までのくくりで整理をした場合、本業たる社会福祉事業が94%程度ということでございます。

 次に地域公益事業は3%ということですが、これは事業形態によっても違っておりまして、例えば社会福祉協議会の場合は1割程度になっています。

 続きまして資料12ページの「「地域における公益的な取組」について」でございます。こちらは、前回の社会福祉法改正の際に、第24条第2項に責務規定を設け、これに基づきまして下の絵にありますように、1.~3.までのような3要件を設けまして、取組をお願いしているところでございます。

13ページでは、各所轄庁、自治体の方々を通じて私どもの方で把握をしました取組事例につきまして、ここで少し挙げさせていただいております。

 一番上の「制度外のサービス」に取り組んでいただいている例としては、例えば介護保険外のサービスを実施したりですとか、雪国などでは、単身高齢者の雪かきを応援するような取組をやっていたりということがございます。

 次の「各種相談窓口の設置」では、住民の様々な困りごとに総合的に相談できるような窓口を法人が共同で設置していたりしている例がございます。

 その次の「移動支援」のところでは、過疎地域などが中心だと思われますけれども、公共交通機関での移動が困難な方を対象に、地域とその自治体の中心地などを結ぶ送迎バスの運行などをされている例があるということでございます。

 そのほか、一番下の「地域住民相互の交流支援・ニーズ把握」ということで、サロンの設置や、あるいは地域の空き家を活用して高齢者の支援を行う拠点にするといったような取組をされている例がございます。

 続きまして、14ページの「会計監査人の設置義務の範囲について」でございます。会計監査人の設置義務につきましては、今年4月から、収益30億、あるいは負債60億を超える法人が対象となっておりまして、順次、各法人に実施をしていただいているところでございます。点線囲みのところにございますように、今後、実施状況を見ながら、また、導入の障害などもよく整理をしながら、取組みを進めていくということとなっております。会計監査人の設置義務がない法人につきましても、いわゆる専門家の支援を活用していくことになっております。

 現状でございますが、資料の15ページをご覧いただきたいと思います。左側の円グラフでございますが、会計監査人を設置している法人についてまとめましたところ、設置義務に基づいて会計監査人を設置をしている特定法人が全部で322法人でございます。設置義務はかかっておりませんが、任意で設置をしている法人が81法人と、全体の2割となっております。

 事業区分の割合は、右側の円グラフになりますが、比較的大きな法人が多いということで、複数事業を手がけている法人が全体の8割を占めている状況でございます。そのほか、個々の種別の法人の設置状況は、ご覧いただいている円グラフのとおりでございます。

16ページは、この設置状況につきまして、都道府県ごとに棒グラフの形にさせていただいております。

 続きまして、最後の項目になりますが、17ページの「社会福祉法人の指導監査の見直しに関する取組」でございます。

 まず、資料の18ページを先にご覧いただければと思いますが、指導監査の見直しにつきましては、18ページの左側にありますとおり、社会福祉法人に対する所轄庁の指導について具体的に整理されていない部分があったこともあり、いわゆるローカルルールがかなり存在をしていたという状況がございました。

 こういった状況を是正していくということで、規制改革推進会議や国会での御議論の中でも指摘を受けていたところでございまして、右側の「見直しの方向性」にございますように、指導監査要綱を見直したり、監査をする所轄庁の職員にも分かりやすいガイドラインを作成したり、あるいは行政監査の省略・重点化、監査周期の見直しなどを実施することとなっておりました。また、監査をする人材の育成として、研修などを充実することとなっておりました。

 これにつきまして、17ページにお戻りいただければと思いますが、制度改正時に御指摘いただきました見直しの方向性で、順次取組みを進めておりまして、「平成29年度」というところでございますが、通知につきましては、今年4月に、指導監査実施要綱を制定するとともに、2行下の指導監査ガイドラインを示すことで、監査の基準を明確化させていただいたところでございます。

 また、「研修会」ということで、一般市の職員まで含めまして、ブロック会議を開き、研修会を実施させていただきました。

 その下、「意見交換会」でございますが、これは監査ガイドラインなどを一回策定した後も、全体の状況に応じて見直しが必要だと考えておりまして、毎年意見交換会を実施することにしております。今回は、12月頃、関係団体と自治体の代表から、監査ガイドライン、監査要綱などについて御意見をいただくこととしております。30年度以降も、同じような取組みを進めてまいりたいと考えております。

 社会福祉法人制度の実施状況につきましては、以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。法改正に基づいてでき上がった画期的なデータだと思いますが、ただいまの説明に関して質問、御意見がありましたらお願いいたします。

 武居委員、どうぞ。

○武居委員 全国社会福祉法人経営者協議会の武居でございます。

 現在、私どもの組織は、全国の社会福祉法人の中でも特に施設を経営している法人の45%程度が会員の組織でございます。今回の制度改正に向けて準備をし、制度改正が行われた後、各会員が迷うことなくこの制度改正に乗っていってもらいたいということで、昨年度も今年度も、年に2回ずつ、全都道府県で我々役員が出向きまして、制度改革の説明会等を行ってまいりました。

 現時点で、会員の中からこの制度改正に係る部分で非常に疑問を呈されているものが1点ございます。それは、ただいまの資料の中で申しますと12ページになります。「「地域における公益的な取組」について」でございます。

 私どもの組織は、会員向けに情報公開ページというものをつくっておりまして、会員が情報公開をしやすいように登録できる公開ページをつくっております。そこで、この地域における公益的な取組に関連をして、自分の法人でこの取組をやっているというふうにチェックをしている会員が全会員の中の50%であります。

50%と聞くと皆さん、何だ、50%しかやっていないのかという感じをお持ちかもしれません。これには、やはりこの制度の内容についてもう少し検討するべき要因があるのではないかと思われるわけでございます。先ほど課長の御説明の中にもありましたが、12ページの3要件をちょっと見ながら聞いていいただければと思います。具体的な例を示しませんと、多分皆さんおわかりにくいだろうと思いますので、私の自分の法人の取組みについて、一つお話をさせていただきたいと思います。

 保育園の園長が、今年度の初めに、この制度改正に関係して、子ども食堂をやりたいと私のところに申し出てまいりました。いいじゃないか、ぜひやろうよということで、具体的に始めたわけであります。子ども食堂の開始時の意図というのは、貧困と子どもというのを主たるテーマに考えて、ただ貧困の方はお集まりくださいというわけにはいきませんので、親子の子育て支援というような名目で広い間口を設定して、実際に事業を今年度開始いたしました。月に1回ですが、利用者は4月から少しずつ増えてまいりまして、11月は親子あわせて80人ほど参加をしているという実態でございます。

 この事業の内容を、例えば今の12ページの中で3要件に照らしてどうなのだと考えてみますと、1番は「社会福祉事業又は公益事業を行うに当たって提供される「福祉サービス」であること」、広い意味でこれはある程度当然だろうと考えられます。

 2番目は後にしまして、3番目の「無料又は低額の料金で提供されること」ですが、子どもの場合は無料で、一緒についてくる保護者の方は100円で、ということで昼食を提供しておりますので、3番目は明らかに対象だろうと思われます。

 しかしながら、2番目の「日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者」という条件が、例えば当初意図した貧困と子どもという設定をしていると考えた場合に、本当にそこに来ている子どもが貧困の状況なのかどうかという確認は非常にしにくい状況であります。財政的におたくは生活保護基準に照らしてどうですか、などということはもちろんできないわけでありまして、いわば間口を広くして、あなたはだめということができないようなことを考えますと、いわゆる子ども食堂の事業というのがこの制度の対象になるかどうか。3要件を非常に厳密に考えてしまいますと、この事業は対象にならないということになるのではないかと思われます。

 そういうような感じで、私どもの会員の皆さんも今やっている自分たちの事業がこの対象になるのかどうなのか、ないしはこれから新たに取り組もうとしているものがこの事業の対象と考えていいのかどうなのかというところに、やや混乱があるように思われます。

 そもそもこの制度はどうだったかと考えますと、既存の制度の狭間のニーズを拾おうという形で意図された内容でありますので、文章で明確にしようとするとどうしても枠から落ちる対象のようなものがあったりして、ある種の曖昧さが必要なのだろうと思われます。そういう意味で、24条の2項に対する通知について、今後もう一度整理し直す必要があるのではないかと思われます。

 もう1点、今後について御検討いただきたいのが、そのようなものを意図してやろうという会員が地方の行政の窓口にさまざまに質問をする。今度こういうことをやろうと思うのだけれども、というような質問をしたときに、行政の窓口の担当者がなかなか分かりにくくて、それはその施設を使っていいのかどうかとか、施設のその職員をそういうふうに使っていいのかどうかとか、そういう返事が行政の側から返ってくるようなことをよく耳にします。その辺りも含めて、見直し及び所轄庁に対する指導をぜひ今後見直していただければと思います。以上でございます。

○田中部会長 何かお答えになりますか。

○石垣福祉基盤課長 御意見ありがとうございます。

 まず1点目でございますが、特に武居委員が例示で挙げていただきましたような子ども食堂などを実施する場合、貧困家庭のレッテルが張られてしまいやすい状況とか、貧困かどうかの確認をすることが非常に現場の間尺に合わないような形になるということは往々にしてあり得ることだと思っておりまして、そういうことは避けなければいけないだろうと思っています。

 私どもといたしましては、「地域における公益的な取組」は、武居委員に仰っていただいたように、まさに制度の狭間となっている方々を、社会福祉法人のこれまでに培ってきたノウハウやネットワークを上手く活かしながら、柔軟に支援をしていただくことが重要であると考えております。

 ですから、どこまで柔軟にできるのかという課題はございますけれども、そこは私どもの方としても整理をいたしまして、しっかりと現場で支援を必要とする方々を支援できる状況にしていくために、今後とも関係者の皆様方の御意見を伺いながら進めていきたいと思います。必要に応じて、関係通知の整理見直しなども含めまして考えていきたいと思っております。

 それから、「地域における公益的な取組」に、設備や人員を活用してよいかについて、所轄庁の判断が分かれ、それがまた一つの取り組みにくさとなっているという点についてでございます。

こちらについては、まずは、各福祉サービスの制度趣旨や、そのための報酬や措置費が支払われているということがありますので、そこは原則守っていただくことが前提としてあるわけでございます。ただし、一方で、今、厚生労働省では、地域共生社会の取組を進めており、各制度にまたがるような取組であっても、共通的に取り組めるようにするための通知などを出させていただいております。各福祉制度の中で必要以上に縦割りになることによって、地域の社会資源が有効に使えないということがないように、取組を進めてきているところでございますけれども、今の御意見なども踏まえまして、関係部局で連携をしまして、よく検討をしなければならない部分があるかと思っております。

 その上で、所轄庁に対しましても、こうした点を分かりやすく提示をしまして、各現場の実情に応じた「地域における公益的な取組」が進んでいくように努力をしてまいりたいと思います。以上でございます。

○田中部会長 上野谷委員、どうぞ。

○上野谷委員 地域公益活動の拡充に関して、ぜひお願いをしたいと思っております。私ども、日本ソーシャルワーク教育学校連盟副会長として出席をしているものでございます。

 今、課長がおっしゃられたように、共生社会をつくっていくには何といっても人づくりが大切だと思っております。人づくり、人材養成には専門職と、そして地域の住民の方々の御協力が双方、必要でございます。

 人材養成におきましては、この11ページにもございますように、研修の充実も関係してまいりますが、しかし、一方では実習の受け入れであるとか、キャリアパスを含めての研修の充実はもちろんでございますけれども、住民の方々のボランティアの受け入れを通した福祉教育ですね

 施設にボランティア活動を受け入れますと、施設が助かっているという言い方をされる方がありますが、決してそうではなく、そこで得た研修の中身を地域住民として地域で生かしていただくということを今は考えられている時代になっておりますから、ぜひこの社会貢献活動といわれる中に、今までより一層、実習の受け入れ、そしてボランティアの受け入れはもちろんのことでございますけれども、人材養成の福祉拠点にしていただく。高齢者の施設だから保育の方々の研修をしてはいけないということでは決してありませんので、ぜひそういった形での貢献をしていただきたいと思います。これは、お願いでございます。

○田中部会長 ありがとうございます。

 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 両委員が地域における公益的な取組ということで、私もこれを含めて5点申し上げます。

 まず1点、武居委員が2.番が間尺に合わないケースとおっしゃいましたが、ケースによって3.番もあるのではないかと思います。例えばNPO法人ですけれども、育て上げネットというひきこもりの支援をやっている非常に有名な法人がございますが、もともと自主事業で月4万円くらいをとってひきこもり支援をしている。家族会が、たしか月1万円とかとっています。これは経営が成り立つという面でこの値段をとっているのですが、参加する側はやはりそれだけのお金を払うということで、非常にモチベーションを高めた上で参加している。

 それで、お金がない方の部分は、育て上げネットは、行政や企業と協力して、そこの部分は安くしてあげたりはしているんですけれども、一部において3.が成り立てば、むしろきちんとお金をとることの意味があるケースもございますので、ぜひこの3要件でございますね、改めて現状を経営協等と御協力いただいて見直していただきたいと思うのが1点の意見でございます。

 それから、ページ順に申し上げます。7ページですが、これは全国的に数字を出していくというのは、会計の専門職ばかりではなくて、私たちのような有識者とか、あるいは経営に関わる者が見ていく数字ということでございますので、一定の検討を専門職の方々がした上でやられたものに私ごときがいろいろ言うのは何なんですが、私が数字を見る上で幾つかこれが欲しいなというものを申し上げて、もう一回御検討いただけないかと思っております。

 まず借入金なのですが、「借入金償還余裕率」というフローのものは出ているのですが、今、実際に借入金はどれだけお持ちかということが入っていないものですから、例えばネットキャッシュフローとかでもいいんですけれども、そういうストックの借入金がわかるような指標がないか。

 それから2番ですが、「借入金償還余裕率」ですけれども、これは分母は借入金返済額ですか。今はわからなくても後ほどでいいんですけれども、社会福祉法人の場合、今はほとんどなくなりましたが、行政側に借りた上で借入金の補助金を出してくれるというやり方が以前ございました。そういうケースですと、この借入金償還余裕率の出し方を変えたほうがいいということがございますので、そこはどうかという確認でございます。

 3番目ですが、これも非営利法人委員会でやられたので、社会福祉法人独特のものが、2番目に申し上げたのと同様、ないのではないかと思うんですけれども、国庫補助金等積立金取り崩し額率を出していただいたほうがいいんじゃないか。

 それから最後ですが、下から2番目に「総資産経常増減差額率」とあります。これは企業でいうROA、リターン・オン・アセットだと思いますが、これは収益性に入っているものではないかと思います。

以上、もし借入金償還余裕率の数式がわかればお教えいただきたいと思います。

 それから3点目ですが、14ページでございます。会計監査人を設置する意義については、実はこの審議会でも私は少々ネガティブなことを申し上げたりしていたのですが、実際に私が関わっている法人等の話を聞きますと、非常に有意義であったという感触を得ております。はっきり言いますと、そういう会計処理をしていたんだというのが見つかるということで、私などが全然気づかないようなことが、さすが専門職は気づくんだなということが出てくるということで、法人自身も喜んでいるというケースを多く聞きます。

 これに加えて、会計監査及び専門家による支援ということで、この専門家による支援もそうなのですが、最初のうちはいろいろなものが見つかると思います。あとは、継続的にやっていくときにどんなものが見つかってくるかということだと思うのですが、社会福祉法人に関しては非常に情報を出していこうということでいいことだと思いますけれども、社会福祉法人側がこの会計の専門職を活用される際にどういう情報をもとにやっていらっしゃるかというと、やはり知り合いにお願いするとか、今時ですからネットで探すとか、そういう形になっておりまして、せっかく会計監査人が指摘したものとか、専門職等の利用で指摘されたものの形式が定められておりますから、これを全て開示するわけにはいかないと思いますけれども、何らかの形で処理するなり何なりして、どの会計の専門職、法人がどういったデータをどういった形で指摘されているのか、そういうものが積み上がりますと、社会福祉法人側が長期的なお付き合いというのが前提だと思いますけれども、いろいろ問題があるなと思ったときに選択するとか、そういうことに資すると思いますので、そういったものの検討をお願いできないかというのが3番目です。

 4番目は単純な質問ですけれども、15ページです。右側のグラフのNがわからないので、これは特定法人だけなのか、任意設置法人もあわせているのか。それで、特定法人だったらこの比率はどうなるかがもし分かればお教えください。

 それから、最後に18ページです。一番右隅に、「指導監督の見直しに向けた団体、自治体との意見交換の実施」ということを明記していただいております。これは非常に画期的と申しますか、これ自身はこれまでも国はやってこられたことですし、自治体もやってこられたことだと思うんですけれども、こういった資料にきちんと明示いただくということは、国としてやっているということを書かれることですし、こう書いていただくことそのものがすばらしいことだと思います。

 これに加えてなのですが、ぜひ所轄庁のほうもこういった形で関係団体、あるいは諸法人といろいろ打ち合わせをする会、そういったものを持っていただいて、インフォーマルな形でいろいろ意見交換をするといったことを進めることをぜひお考えいただけないかということでございます。以上です。

○田中部会長 御意見がありましたが、質問が7ページと15ページについてございました。お答えください。

○石垣福祉基盤課長 順番に、お答え申し上げます。

 「地域における公益的な取組」の要件について、武居委員が仰られた2.の観点というのもありますし、藤井委員がおっしゃられた3.のところを組み合わせた場合にどうなるのかとか、色々な論点はあると思いますので、よく関係者の御意見を伺いながら対応していきたいと思います。

 それから、会計の経営分析の資料で、幾らか御指摘がありましたけれども、まず借入金のところです。基本は、毎年、財務諸表が出たときに、その年度でどのくらいの借入金かというのはあるわけでございまして、今回の経営分析は、法人のデータの中で幾らか組み合わせて計算をして、経営分析を分かりやすくするというところでございますが、その辺は工夫もしながらですけれども、分かりやすくなるように気をつけていきたいと思います。

 次に、余裕率についてですが、これは非常に口頭で申し上げても分かりにくい計算式がありますので、後ほど御提供はさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしましても、御指摘いただきました国庫補助金の取り崩し率ですとか、ROAに当たるところですね、今、もしかすると既に出ているものなどもあるかもしれませんので、よく整理をした上で検討させていただきたいと思います。

 それから、会計監査人について、15ページの右側の円グラフですが、これは、左側の403法人の内訳を種別ごとで分けたデータになっております。

 あとは、会計監査人が設置されて非常によくない会計処理が見つかってよかったとか、助かったというお声があるというお話なんですが、そういうお声があるということは設置をした効果があったということで大変望ましいことだと思っております。

 一方で、私どもも、会計監査人の設置の状況について、運営に問題がないのかどうかというところを、調査研究事業なども含めまして、今よく把握をしているところでございますけれども、特に地域の法人などにつきまして、どうやって会計監査人の依頼先を探すのか、少し苦労したというお話も聞いているところでございます。せっかく設置したいのにもかかわらず、依頼する先が見つからないということですとよくありませんので、会計監査人を選択しやすくするために、どのようなことができるのか、関係の団体の方々と御相談しながら進めていきたいと思います。以上でございます。

○田中部会長 三好委員、どうぞ。

○三好委員 北海道の江別市でございます。

 ページ数でいきますと、17ページと18ページでございまして、法人の指導監査が都道府県から市のほうに移行がされまして、これまでの福祉部会におきましても、都道府県の指導の関連する都道府県からの適切な指導と、さらには指導監督にかかる国の基準の明確化ということを要望させていただきました。

 私は、非常に高い評価をするということでの発言でございますが、今回、具体的な指導監視にかかわるガイドライン的なものが示されまして、その着眼点、さらには確認事項、それから指摘の基準、確認の書類、非常に具体的に表示をされておりまして、これまでばらばらであったものが統一をされ、この中身が法人のほうにもわかっていただけまして共通の時点で議論ができるということになりました。これは、非常によかったと思ってございます。スタートしたばかりでございますので、我々もまだ勉強しなければなりませんし、また都道府県のほうも市町村の指導が残っておりますが、それがまだ潤沢にされていないということもございまして、多分これからだと思います。

 今回、30年以降におきましても研修会の実施、さらには指導監査に関連しまして、先ほども御発言がありましたけれども、自治体との意見交換ですね。これも私は画期的なことだと思っておりまして、ぜひその内容の充実を図っていただきたいと思っております。

 課題は何かといいますと、これは私どもの課題かもしれませんが、会計監査でございます。2回ほど北海道の中でも研修会がありまして、うちの職員が出席をしましたけれども、なかなかこの中身が理解しづらいといいましょうか、習熟するまでに至っておりません。今後、収益で10億、さらには負債で20億と、監査人設置も拡大していくようでございますけれども、市町村が行う指導のときに、あわせて当然、収益の問題も出てきますので、それも含めたガイドラインとか、もっと詳し目のことも今後検討していただければと思ってございます。

 要望でございます。以上でございます。

○田中部会長 御要望として、ありがとうございます。

 松原委員、どうぞ。

○松原委員 私も、今回の非常に大きな改革をよくここまで円滑に進められたなと感心しております。

 御参考までに、先ほどの藤井委員の御質問ですけれども、ROAは収益性の指標じゃないかという御質問があったと思うのですが、私が答える立場ではないんですけれども、経営指標というのは見る視点によって、普通ROAを収益性で見るのは事実ですが、収益性で見ることもあれば別の視点で見ることもある。その着眼点によって変わるということで、必ずROAは収益性というわけではないということを、御参考までに。

○田中部会長 複数の見方があり得るとの御説明でした。ありがとうございます。

 松山委員、どうぞ。

○松山委員 

1点、厚労省に教えていただきたいのですけれども、ここに来る前に厚労省さんのホームページで、社会福祉法人が届け出る「事業の概要等」の様式についてという通知文を見てきました。そこには補助金については建設費の補助金と大規模修繕の補助金を明記するように項目がなっているのですが、補助金にはそういうもの以外に経常経費補助金というのがあるのではないかと思うんですが、私の勘違いでしょうか。この様式の中のどこかに入っているのですか。

 というのは、2011年に福祉基盤課と議論させていただいたときに、当時は地方自治体が行っている補助金の額が把握できないということで、全国で、一体幾ら社会福祉法人に補助金が入っているか把握できないというお話だったので、今回の財務データベースをつくるときにそれが明らかになると私は思っていたのです。その辺をちょっと教えていただければと思います。

○田中部会長 お答えになられますか。お願いします。

○石垣福祉基盤課長 事業の現況報告書の中でのお話をいただきましたけれども、社会福祉法人は、計算書類もあわせて公表しなければならないことになっておりまして、その中で、実はこれも規制改革推進会議などから指摘をされてきたところで、収入のうち、公費にかかるものと、それ以外にかかるものとを、区分けをして表示をするように見直しを行ったところでございますので、計算書類の方では、公費とそれ以外の収入とをわかるように区分するということになっておりますので、把握できようかと思います。

○松山委員 今の御回答に対して、実際に私が見たものですけれども、規制改革会議と福祉部会でそういう議論があったことを契機にして、ある社会福祉法人はそれまで事業活動収支計算書に経常経費補助金収入という勘定科目を記載していたのをやめて、その他収益というところに入れてわからないようにしたところもあるんですね。

 だから、そこはきちんと厚労省さんのほうで把握できるようにしていただかないと、補助金をこれからもっと増やすべきだという議論が多分できにくいと思うんです。補助金政策を考えるときの重要なデータなので、ぜひお願いしたいと思います。

○石垣福祉基盤課長 個別の事例はまた色々とご教授いただければと思いますが、いずれにしても「見える化」と逆行するようなことにならないように、私どもとしても、松山委員の御指摘も踏まえまして、よく状況を確認して取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございます。

田中部会長 武藤委員、どうぞ。

○武藤委員 質問として、6ページの「サービス活動収益」の規模別の法人の割合ということで、10億超のところが10%ということですが、30億だとか、50億だとか、100億だとかがありますが、この上の内訳というんでしょうか、そういうものがもし分かれば参考までに教えていただければと思います。

 それと同じようなことになるかもしれませんが、11ページに社会福祉充実財産が生じたということで、この中で50億だとか100億以上超えているというような法人が0.数%ということになると思うんですけれども、この状況が少しわかれば教えていただければと思っております。

 あとは意見ですが、最初に御説明があった財務諸表の電算化についてですが、このシステムで、多少正確でないようなことが出ているということをお聞きしたんですけれども、当初この会が始まるときにお話ししたのですが、保育所だとか児童養護施設なども小規模なところが多くて、事務職員も非常勤職員ぐらいしかいないというところで、さまざまな書類をつくるときに園長が一緒になってやったりして、なかなかこの電算化のシステムになじまない。ついていけないというような法人も若干あるような気がするので、そういうところはどうだったのかなと思っています。

 ですから、より丁寧な説明だとか、それから細かい点の問い合わせ先の保証だとか、場合によっては各都道府県から派遣をしてそこに対しての助言だとか、そういうことができるというようなことをやってもらわないと、大きな法人になるとしっかりした事務職員を雇ってIT化された方向についていけるんですけれども、小規模な法人はなかなかついていけないところもあるんじゃないかと思いますので、ぜひそこら辺の対応がしっかり出来るように丁寧な御検討をお願いしたいと思います。以上です。

○田中部会長 では、御質問にお答えください。

○石垣福祉基盤課長 全体の2万600の法人の状況ということでお答えをさせていただきますと、例えば100億円超の法人は25ということになっておりまして、非常に数的には少ない状況になっております。また、30億円超の法人は、先ほどの会計監査人の設置義務が課されている法人320と同数ということになります。そのような規模感ですので、非常に大きい法人というのは法人数としてはごく一部になっております。

 それから、電子開示システムについてですが、特に小規模の法人では、どうしても事務体制が不十分になってしまいがちなところもありますし、一方で、システムもできてすぐということもあって、こなれていないということで、御迷惑をおかけしている部分があるかと思います。

 電子開示システムについては、昨年度1回試行で運用をしたところ、色々と御指摘、御意見をいただきまして、修正を行った上で、今年度、6月から本格稼働したというところがありますが、継続して、来年度に向けましても、システム上、直せるところは直していきたいと考えております。

 また、相談窓口についてですが、決算を締める時期から、その後、理事会、評議員会を開催するまでの時期に、お問合せが多くなりますので、その辺りを中心に、問合せに対応できるような体制を考えていきたいと思っております。システム自体も使いやすいものにし、それから、問合せなどにも対応できるようにしていくということで、法人の皆様方に、そういう間接業務的なところであまり御負担をおかけしないように、今後とも気をつけてまいりたいと思います。以上です。

○田中部会長 資料2についてはよろしゅうございますか。

 では、時間の都合もありますので、次に移ることにいたします。資料3について、事務局から説明をお願いします。

○石垣福祉基盤課長 続きまして、資料3について御説明を申し上げます。

 「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」という資料でございます。

 1枚おめくりいただきたいと思います。こちらにつきましては、一枚紙にまとめた概要ということでございますが、参考資料1として本文をつけさせていただいております。今年の10月4日に、この社会保障審議会福祉部会の福祉人材確保専門委員会でまとめられた報告書の概要について、御説明を申し上げます。

 まず、「現状・課題」のところでございます。介護人材に求められる機能の明確化などについて、現状はどうなっているか、課題はどういったことかについて、ここでは4点整理をさせていただいております。

 まず1つ目でございますが、介護職の業務の実施状況を見ました場合に、国家資格を持っている介護福祉士と、それ以外の方々との間で明確に業務が分担されていない状況が把握されたところでございます。

 ただ、これにつきましては下の「※」印にやや小さく書いてございますように、もともと小さい事業所の場合には業務を切り分けて分担できるほどの職員数がない場合があったり、訪問系サービスの場合には、業務の形態として1人での訪問が普通でございますので、その際には業務分担という形にならない。あるいは、いずれのサービスもそうですが、業務のピークタイム時には皆さん総出で対応しなければいけない状況がある。そういったことがございますが、いずれにしましても、それ以外の部分も含めてあまり明確に分担されていないということがございました。

 2つ目の「○」でございますが、管理職の方々の認識としまして、介護福祉士の方が専門性を持って担っていただきたいことの業務として、1行目にございますような認知症の周辺状況のあるような方、あるいはターミナルケアが必要な方、それから介護過程の展開、実際に実施した状況のアセスメントなども交えながらやるような方、そういう高度な専門的な難しいところについては介護福祉士の方に担っていただきたいという認識があるということが分かりました。

 3つ目の「○」でございます。いわゆる介護職のリーダーの方につきましては、実際に介護の技術が高いということも大事ではございますけれども、一方で、職場でチームリーダー的に働いていただくという場合には、介護職の統合力、あるいは人材を育成する能力、そういったものも求められてまいりますが、その辺が今はまだなかなかできていないような状況ではないか。

 一方で、こういった介護職の育成などがしっかりと重視されている事業所においては、リーダーとしての役割を明確にしたり、あるいはそういう方のキャリアパスの位置づけをしっかりと反映させるといったことで、リーダーを育成するということにしっかりと認識を置いているということが挙げられておりました。

 4つ目でございますけれども、今度は一般的な介護の仕事についていただく方、介護未経験ということになろうかと思いますが、こういう方が介護分野に入ろうと思ったときに不安に感じることとしましては、非常時があったときにどうしようということですとか、介護保険制度が複雑で理解できないのではないか、それから自分の行っているケアがしっかりと適切に行われているのかといったところが心配だということが挙げられておりました。

 こういったような現状や課題を踏まえまして、業務を進めていくに当たりましては、利用者の多様なニーズに対応できるように、グループによるケアを推進していく上で、その人材に求められるそれぞれの機能や必要な能力を明確にしまして、意欲や能力に応じてキャリアアップしていけるような形にするべきではないかという考え方が示されております。

 具体的には、その下の4点になりますけれども、左上から順番に御説明をいたします。

 1つ目は、「介護職のグループにおけるリーダーの育成」でございます。これは、介護職の方がグループになってチームで介護サービスを提供していくというときに、しっかりと質が確保される、あるいは、介護福祉士の方の社会的評価が向上されるようにということで申しますと、5年程度の経験を積んだ一定のキャリアを持った方を介護職のグループリーダーとして育成をしていくべきではないかということでございます。少し区分けをして、そういう方をチームリーダーとして意識して育成をしていくべきではないかということでございます。

 次に「介護福祉士養成課程におけるカリキュラムの見直し」でございます。こちらについては、介護福祉の専門職として中核的な役割を果たしていけるようにということで、最近の課題でもあります認知症高齢者や単身高齢世帯の増加などに対して、しっかりと対応していけるような介護福祉士を育成するということで、必要な知識や能力を今の状況にあわせてカリキュラムの見直しなどを含めて考えていくべきではないかということでございます。

 3つ目は、「介護人材のすそ野の拡大に向けた入門的研修の導入」でございます。これについては、先ほど現状と課題のところで申し上げましたように、参入に当たっての不安を払拭しないといけないということでございまして、先ほど申し上げましたような非常時への対応などを含めまして、参入を促進できるような入門的な研修を実施してはどうかということでございます。

 4つ目は、「介護福祉士等による医療的ケアの実態の把握」でございます。医療との役割分担などにつきましては「医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」でも提案をいただいておりますが、利用者の方への喀痰吸引や経管栄養の実施状況、それから研修体制など、よく状況を見まして、実態を調査して、その上で状況にあった取組を進めていくべきということでございます。

 次に、2ページ目をご覧いただければと思います。介護福祉士のカリキュラムにつきましては、平成19年度のカリキュラム改正時には、左側のような12項目で能力が必要だろうと、求められる介護福祉士像を掲げていたところですが、これについて、社会状況やいろいろな変化、制度改正などもありまして、基本は変わらないにしましても、右側にございますように、少し整理をしました。

 例えば、1つ目の尊厳を支えるケアというのは当然重要であるわけでございますけれども、そのほか、地域の状況なども意識しながら、あるいは最後の10番の項目にありますように、「介護職の中で中核的な役割を担う」ということも介護福祉士の方には求められるといったこと等も整理した上で、現在カリキュラムの見直しなども進められているところでございます。

 ごく簡単でございますが、資料3については以上でございます。

○田中部会長 ありがとうございました。福祉部会の委員からこの委員会にも加わっていただきまして、御議論ありがとうございました。

 では、ただいまの説明に対して御意見、御質問があればお願いいたします。

 対馬委員、お願いいたします。

○対馬委員 2ページ目の件でありますが、「求められる介護福祉士像」ということで、10項目に再編していただきました。大変上手にまとめていただいたと思うのですが、このまとめたものを今後具体的に作業する段階で、もう少し現場の介護者がわかりやすい言葉に置きかえていただけないかと思います。

 例えば3番目でありますが、これからの介護は利用者のできないことだけを支援するのではなく、その人らしく生活するための支援も大切です。具体的には、今まで元気なときには自分で豆をひいてサイフォンでコーヒーを落として飲むのが人生の生きがいであり一日の生活の喜びだったとします。しかし、障害を持ってからは、それができなくなり、その人らしさが失われてしまいました。その利用者さんが豆をひいてサイフォンをセットすることはできるが、最後のお湯を注ぐことができないのであれば、それを支援することにより人生の一つの喜びとなり、その人らしい生活を送ることにも繋がります。

 それからもう一つ、5番目のところでありますが、介護者というのは毎日同じ高齢者に対して介護サービスを提供しますので、どうしても介護がマンネリ化したてしまいます。これからの介護というのはこの人にどう介護したら自立して生活ができるかという視点が大事だと思うのです。

 具体的には、毎回食事介助をする時に、同じ食事介助をするのではなくて、常に介護する立場の視点としては、食器やエプロンなど、さまざまな工夫をして、できるだけ自力摂取をしてもらうという方法にかえていくことが大切です。また、今まで全介助だと思ってベッドから車椅子に移乗させていた人が、よくよく見ると機能が残っていた場合、残存機能があるにもかかわらず、介護者が全介助して車椅子に乗せるのではなく、もう少し視点を変えて、手の置き方によって自力で移乗したりできるということが札幌での実験でわかってきました。

 これからの介護は、常に、この人をどうやって介護して自立させるかということを常に考える介護にしていかなければなりません。書いてほしいことは全部入っていますが、もう少し現場の人たちがわかりやすい表現に変えてほしいと思います。

 もう一点、医療行為についてはこれから実態把握をしてからと説明されていました。介護業界の中にも介護福祉士を廃止して、準看にしてはどうかとおっしゃる方はいますが、私はこれについては大反対です。しかしながら、せめて家族ができる医療行為は介護者ができるようにしたほうがいいのではないかと思いますので、実態把握とあわせて検討いただきたいと思います。以上です。

○田中部会長 貴重な御指摘、ありがとうございます。

 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 手短に1点、1ページ目の左隅の「介護人材のすそ野の拡大に向けた入門的研修の導入」ということですが、これは非常に重要なことになっていくのではないかと思います。

 ただ、御案内のとおり、老健局の方で、生活援助ヘルパーの研修をつくるという話がございます。それから、これも老健局ですけれども、総合事業で各自治体がさまざまな研修をつくっています。それから、これも老健局なんですけれども、施設職員が初期の認知症のことだけを学ぶ短期プログラムというのを国がつくっています。

 こういうものを、全部これを機会に整理していただいて、何が何だかわからない状況にならないようにしていただいて、すそ野の広がった研修、これを取ればあれが全部取れるといった格好でも結構でございますので、ぜひ整理等をよろしくお願いします。

○田中部会長 ありがとうございます。

 井之上委員、どうぞ。

○井之上委員 今回リーダーを育成するということで、現場の介護の質が上がるということには大きく前進するかと期待をしておりますが、次の課題としてはこのリーダーをどう育成するのかということになってくるかと思います。

 介護福祉士をもって5年ぐらいのものを対象にするということでありますが、職場でちょっと研修する程度に収めるのか、あるいは外部にちゃんと委託をしてそういう専門家のもとでの指導をするのか。介護福祉士も、私たちの意識では我々養成校もあれば、高校からもあれば、あるいは現場で3年と、さまざまな形で介護福祉士の資格を取っておられて、一応国家試験で統一するという形になったものの、例えば介護過程の展開一つにおいても、これを修得するだけでもかなりの時間を必要としているのが現状かと思います。

 ましてや、介護福祉士のカリキュラム改正前までの方々はこのことも学びもありませんし、そういうこともあれば次のリーダーを育成するというところもなかなか大変なことかと思っておりますので、ぜひそういう専門家の手による育成ということもひとつ検討していただきたいと思っております。

 そして、今回はリーダーという、職場のリーダーというところにとどまったわけですが、やはり我々とすればもっと質の高い、高度なものが必要だというふうに認識しておりますので、介護福祉士会がされている認定介護福祉士、あるいは我々が主張している管理介護福祉士等も今後ぜひ検討していただきたいと思っております。意見です。

○田中部会長 石本委員、どうぞ。

○石本委員 職能団体として一言。今回のこの報告書をまとめるに当たりまして、専門委員会の中におきましても職能団体としては意見書を2度ほど提出させていただいております。

 今、井之上委員からもありましたように、まずは中核となる人材をしっかりと養成する。現役で、現場経験で資格を取得し、今、介護福祉士で働いていらっしゃる方の割合が多うございますので、この方々のスキルアップというのはしっかり職能団体が責任を果たしてまいりたいと思いますし、その先にはしっかりと高度な人材を養成するということを見据えて、しっかり取り組んでまいりたいと思います。以上です。

○田中部会長 内田委員、お願いします。

○内田委員 全国老人福祉施設協議会の内田でございます。

 私ども、たくさんの介護職員さんが働いております。一言で介護職員といいましても、これがいろいろな職種の延長上にあることが多うございます。例えば、介護福祉士で一生懸命頑張って5年、10年たって、その中で介護支援専門員を取ったり、また勉強してスキルアップをして社会福祉士を取ったり、いろいろなスキルアップをしてみんな頑張っております。

 ただし、そこで問題が、スキルアップをしてケアマネになったり、あるいは相談員になりますと、処遇改善金というものから外されてしまいます。そうなると、実際に介護福祉士になっていたほうがいいんじゃないか。スキルアップをするよりも、そのまま介護福祉士として頑張ったほうが給与的にいいというふうな逆転現象が起きてしまいます。

 ですから、その辺も含めて、我々の業界は多職種協働というのが非常に大事な役割でございますので、その辺も今後御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○田中部会長 西島委員、どうぞ。

○西島委員 今、現場で、介護福祉士から経験を得て介護支援専門員や社会福祉士を目指してくださる方がいる。これは、私ども社会福祉士の職能団体としては非常にありがたいと思っております。

 ただ、また一方で、例えば介護福祉士からのスキルアップが社会福祉士や介護支援専門員なのか。その介護福祉士の中でスーパー介護福祉士とは言いませんが、本当は介護福祉士としてのスキルアップが非常に大切なのではないか。そういう方々と、チームケアとして一緒に連携していければ、協働していければいいかなと思ったりしますので、またその辺もよろしくお願いいたします。

○田中部会長 ありがとうございます。

 武藤委員、どうぞ。

○武藤委員 関連して質問をしたいんですけれども、前回の福祉部会でもお話をしたのですが、介護分野もさることながら、社会福祉士の分野についてもぜひ検討をということで検討されているのではないかと思うんですけれども、今の進捗状況を簡単でいいので教えていただければと思います。

○田中部会長 説明をお願いします。

○柴田福祉人材確保対策室長 御質問、御意見等ありがとうございます。何点かいただいたものですが、進捗状況でよろしいですか。

 社会福祉士の進捗状況につきましては、田中部会長に座長をお願いしている福祉人材確保専門委員会の方で現在議論中でございまして、昨年度から議論をしていて、今年度でいくと10月に議論をしております。

 といいますのも、地域共生社会の関係で地域力強化検討会の報告書等が夏に出たこともありまして、そこをひとつ待っていたという部分もございますので、それを踏まえてまた10月に議論をし、できれば今年度中に取りまとめを行っていきたいと考えております。

○田中部会長 ほかにあれば、どうぞ。

○柴田福祉人材確保対策室長 幾つかいただいた点につきまして、まず対馬委員からいただきました、表現を少し分かりやすくしてほしいということについては、どのような工夫ができるかということも含めて検討していきたいと思います。

 藤井委員からいただきました入門的研修について、老健局で検討している生活援助を中心に担う方向けの研修ですとか、あるいは認知症の短期プログラムの件につきましても、今回の入門的研修とよく整理をしていきたいと考えております。

 その他、いただいた中核となる介護人材を育てていくということに関しましては、当然、我々、職能団体さんと一緒にやりながらさらなる高度人材についても育てていくことをバックアップしていきたいと思っております。以上です。

○田中部会長 課長もよろしいですか。何かございますか。

 最後に法律改正の説明がありますが、これは今年の6月の法律改正ですね。時間の関係もありますし、もう皆さんは割と御存じだと思いますので、手短にお願いします。

○竹垣地域福祉課長 それでは、私からは、先の通常国会で成立しました社会福祉法の改正ということで御説明をさせていただきます。

 今回の改正は、一億総活躍プランなどの流れの中で地域共生社会の実現の取組を推進するということで、一括法である法案の中に盛り込み、改正が行われたというところでございます。

 資料の1ページでございますが、改正については大きく3点、記載しているところでございます。具体的な内容を、少し説明させていただきます。

 1点目は、地域福祉推進の理念として、支援を必要とする住民の抱える多様な地域生活課題について、地域住民や福祉関係者が我がこととして主体的に取り組みを行い、解決が図られることを目指すという趣旨を明記したということであります。

 2点目は、この理念を実現するというために、市町村が包括的な支援体制づくりをするということを規定した。この点は、後ほど少し説明させていただきます。

 3点目は、地域福祉計画に必要な施策、高齢者、障害者、児童、こういう各分野における共通的事項を横断的に記載するということを明確にした。上位計画として位置づけたということであります。

 また、策定につきましては、任意ということから努力義務化というところを図ったところでございます。

 また、資料の下のほうの「※」印にございますが、附則においては公布後3年を目途として包括的な支援体制を全国的に整備するための方策について検討するとされているところでございます。

 次に2ページのイメージ図でございますけれども、先ほど2にございました包括的な支援づくりのイメージということであります。

 1つ目は、赤の(1)のところの部分でございまして、まずは地域住民が地域福祉活動に参加するための環境整備を行うということで、具体的には住民相互の拠点の整備、または住民の参加を促す活動を行う方への支援というようなことが考えられるところであります。

 2つ目は(2)の部分ですが、分野を超えて地域住民が気付いた様々な相談事を総合的に丸ごと受けとめ、必要な情報提供、助言を行うことのできる場の整備ということであります。例えば、地域福祉の推進を目的とする社会福祉協議会、または地域包括ケアシステムの中核的機関ということでございます地域包括支援センターなどが想定をされているところであります。

 3つ目は(3)の部分でありますが、主にこれは市町村圏域におきまして、住民に身近な圏域の機関では対応しがたいような複合的な課題、こういったものについて対応するために、生活困窮者の自立相談支援機関などの関係機関が協働して解決していくための体制整備をするというものであります。新たに体制を設けるという場合や、地域ケア会議といった既存の場の活用が考えられるかと思っております。

 これらのそれぞれの段階、3層の取組みが、点として行われるのではなくて、面として行われることにより、取組みが進んでいくと考えているところでございます。

 しかしながら、一朝一夕には進まないということがございますので、現在85の地域でモデル事業をしているところでございます。このモデル事業の中で生まれた事例、こういったものを全国に向けて発信することで、一歩一歩取組みを推進してまいりたいと考えているところでございます。

 御説明は、以上でございます。

○田中部会長 御説明ありがとうございました。何か御質問、御意見ございますでしょうか。

 内田委員、どうぞ。

○内田委員 先ほど、地域における公益的な取組ということで、社会福祉法人の改革の中で出ておりましたけれども、それと今回の地域包括ケアシステムの強化というものの連動性はいかがお考えでしょうか。

○竹垣地域福祉課長 2ページの資料をご覧いただきますと、社会福祉法人、これは地域の中での社会福祉法人というのも入っておりますし、それを丸ごと受けとめるという立場の社会福祉法人というものも入れてございます。双方の立場で柔軟に入っていただくと、そういうふうに考えております。

○内田委員 ありがとうございます。

○田中部会長 ほかに御質問はございませんでしょうか。最後の説明の方向に進むように期待いたします。

 では、本日の審議についてはここまでといたします。

 次回の開催については、追って事務局より連絡するよう、お願いいたします。

 本日は御多忙の折、お集まりいただきましてどうもありがとうございました。よいお年をお迎えください。


(了)

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