ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(福祉部会福祉人材確保専門委員会)> 第13回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会 議事録(2018年2月15日)




2018年2月15日 第13回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会 議事録

社会・援護局総務課

○日時

平成30年2月15日(木)15:00~17:00


○場所

航空会館 701+702号室
(東京都港区新橋1-18-1)


○出席者

田中 滋 (委員長)
(代理:白井幸久参考人)
(代理:上原千寿子参考人)
上野谷 加代子 (委員)
(代理:峯田幸悦参考人)
(代理:川名勝義参考人)
武居 敏 (委員)
西島 善久 (委員)
平川 則男 (委員)
堀田 聰子 (委員)

○議題

社会福祉士に求められる役割等について
介護福祉士養成課程のカリキュラム改正案
その他

○議事

○田中委員長 皆さん、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまより第13回「福祉人材確保専門委員会」を開催します。

 委員の皆様方にはおかれましては、お忙しいところ、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 初めに、事務局より本日の委員の出席状況について報告をお願いします。

○片桐福祉人材確保対策室長補佐 それでは、本日の委員の出欠状況について報告します。本日は、石本委員、井之上委員、内田委員、川井委員、黒岩委員、高橋委員、森脇委員より御欠席の御連絡をいただいております。

 また、石本委員の代理として、日本介護福祉士会常任理事、白井幸久参考人。

 井之上委員の代理として、日本介護福祉士養成施設協会理事、上原千寿子参考人。

 内田委員の代理として、全国老人福祉施設協議会副会長、峯田幸悦参考人。

 黒岩委員の代理として、神奈川県保健福祉局福祉部長、川名勝義参考人に御出席いただいております。

 なお、定塚社会・援護局長、八神審議官、藤原総務課長は、公務のため、遅れて到着予定です。

 また、石垣福祉基盤課長は、公務のため、欠席いたします。

 以上です。

○田中委員長 ありがとうございました。

 ただいま御紹介がありました欠席委員の代理として出席いただいている参考人について、委員の皆様に御承認をとる必要があります。いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○田中委員長 ありがとうございます。

 カメラはここまでとさせていただきます。

 続いて、資料の確認を事務局からお願いします。

○片桐福祉人材確保対策室長補佐 それでは、お手元の資料について確認をさせていただきます。

 本日は、配付資料といたしまして、資料1「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」。

 資料2「「介護福祉士養成課程における教育内容等の見直し」について」。

 参考資料1「社会福祉士の現状等(参考資料)」。

 参考資料2「介護福祉士養成課程のカリキュラム(案)」。

 参考資料3「福祉人材確保専門委員会における主な意見」を配付しています。

 また、上野谷委員、西島委員から提出された資料を配付させていただいております。御確認をお願いいたします。

○田中委員長 ありがとうございました。

 早速議事に入ることにいたします。

 本日は、社会福祉士に関してこれまで議論してきた事柄について、事務局にまとめをつくっていただきました。その上で対応の方向性が示されていますので、この点について、委員並びに参考人の皆様から御意見を頂戴します。

 また、昨年10月に取りまとめた委員会の報告書を踏まえ、介護福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて、後に事務局から見直し案を報告いただきます。

 まずは資料1について、事務局から説明をお願いします。

○柴田福祉人材確保対策室長 それでは、資料に基づいて説明をさせていただきたいと思います。

 資料1「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」をご覧ください。

 1ページ目、これまでの議論の整理ということで、現状を整理させていただいております。

 1つ目の○、社会福祉士の活躍の場は、高齢分野や障害分野、児童分野、教育分野、司法領域など広い範囲にわたっており、各種制度において、それぞれの制度趣旨を達成するために配置され、養成課程で習得したソーシャルワークの技法を活用し、生活の質(QOL)の向上に向けた支援やウェルビーイングの状態を高めることを目指して相談援助を中心に実践に取り組んでいる。

 以下には、社会福祉士の就労分野、あるいは社会福祉士の就労先における職種、社会福祉士の就労先というものを参考につけております。

 2つ目の○、社会状況の変化による福祉ニーズの変化に伴う各種制度の改正や新たな支援制度として生活困窮者自立支援制度が創設される中で、高齢、障害、児童等の対象者ごとに充実させていた福祉サービスについて、複合化するニーズや制度の狭間への対応を強化する必要があることから、子供・高齢者・障害者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいをともにつくり、高め合うことができる「地域共生社会」の実現が今後の重要な福祉施策として位置づけられており、社会福祉士には、こうした変化を踏まえて役割を担っていくことが求められている。

 2ページ目、1つ目の○、具体的には、世帯全体の複合化・複雑化した課題に対応するため、多職種連携・多機関協働による支援を行うとともに、アウトリーチによって把握した地域の福祉ニーズを踏まえてサービスの提供や資源開発を行うなど、ソーシャルワークの機能を必要とする取組が求められていることから、社会福祉士には、専門的知識及び技術を有するソーシャルワーク専門職として、その機能を発揮することが期待される。

 また「社会福祉法等の一部を改正する法律」、平成28年3月31日成立で、平成29年4月1に本格施行されたものでございますけれども、それにおいて、社会福祉法人の公益性・非営利性を踏まえ、法人の本旨から導かれる本来の役割を明確化するため、「地域における公益的な取組」の実施に関する責務規定が創設され、今後、社会福祉法人は、他の事業主体では対応が困難な福祉ニーズに対応していくことが求められていることから、社会福祉法人の社会福祉士がソーシャルワーク機能を発揮し、地域の福祉ニーズを把握し、既存資源の活用や資源の開発を行う役割を担うことが期待される。

 さらに、各地域における地域共生社会の実現に向けた地域づくりの取組を見ると、社会福祉士が中心となって住民の支援や相談窓口での対応、組織の運営、多職種・多機関との連携等の業務を担っている事例もあり、ソーシャルワークの機能を発揮する人材である社会福祉士を活用することで、地域づくりの推進が図られている。

 3ページ目、ここからが今後の主な役割等を整理したものですけれども、社会福祉士が担う今後の主な役割、1つ目の○、地域共生社会の実現に向けて、包括的な相談支援体制の構築や住民主体の地域課題解決体制の構築を進めていく必要があり、社会福祉士がソーシャルワークの機能を発揮することにより、それらの体制の構築が推進される。

 包括的な相談支援体制の構築に向けたネットワークの形成や支援チームの編成に当たっては、例えば自立相談支援機関や地域包括支援センター、基幹相談支援センター、社会福祉協議会、社会福祉法人、医療法人、NPO法人、行政などのさまざまな機関が、地域の実情に応じて地域で協議し、ふさわしい機関が中核的な役割を担っていくことが求められる。

 そのため、社会福祉士には、ソーシャルワーク専門職として、社会的孤立、制度のはざま、サービスにつながらない課題等について、地域全体で支え合うことを目指して、分野別、年齢別に縦割りだった支援を当事者中心の「丸ごと」の支援とし、個人やその世帯の地域生活課題を把握し、既存の社会資源の活用及び資源開発を行い、多職種連携や住民主体の地域課題解決体制と連動し、必要な支援を包括的に提供する役割を担うことが求められる。

 また、住民主体の地域課題解決体制の構築に当たっては、住民一人一人が地域社会の構成員であるという意識を持ち、自身の身近な圏域に存在する福祉課題や表出されていないニーズに気づき、他人事を我が事として捉え、地域課題の解決に向けてそれぞれの経験や特性等を踏まえて役割を分かち合うことが求められている。

 下の※として、前回も御議論いただいた結果として、地域住民には、その地域に住んでいる人だけでなく、社会福祉法人や医療法人、教育機関等、そして、地元に根づいた商店や企業等も含むということを記載させていただいております。

 4ページ目、1つ目の○、そのため、社会福祉士には、地域住民の問題意識の醸成や地域住民の強みの発見などのエンパワメントを支援するとともに、グループや組織等の立ち上げ及び立ち上げ後の支援、拠点となる場づくり、ネットワーキングなどを通じて地域住民の活動支援や関係者との連絡調整を行う役割を果たすことが求められる。

 対応の方向性を3点記載させていただいております。対応の方向性の1つ目の○、地域共生社会の実現に向けた包括的な相談支援体制や住民主体の地域課題解決体制を構築するために必要なソーシャルワークの機能や、その機能を社会福祉士が担うために必要な実践能力を明らかにし、その能力を身につけることができるよう、社会福祉士の養成カリキュラム等の見直しを検討。

 2つ目の○、地域共生社会の実現に向けた地域づくりの担い手となる人材の育成に当たっては、養成団体、職能団体、事業者、行政、地域住民等の地域の関係者が連携・協働して学び合い、地域の実情を踏まえて取り組むことが重要。このため、養成団体や職能団体等が中心となって地域でソーシャルワークの機能が発揮されるような取組を推進。

 3つ目の○、社会福祉士の地域共生社会の実現に向けた活動状況等を職能団体が中心となって把握するとともに、社会福祉士が果たしている役割や成果の「見える化」を図り、国民や関係者の理解を促進ということで記載させていただいています。

 5ページ目、今、申し上げた対応の方向性の1つ目の○、社会福祉士養成カリキュラム等の見直しの方向性について記載をさせていただいております。

 1つ目の○、社会福祉士は、地域共生社会の実現に向けた地域づくりに必要となる包括的な相談支援体制及び住民主体の地域課題解決体制の構築やその後の運営推進において中核的な役割を担うとともに、新たな社会福祉ニーズに対応するため、ソーシャルワーク機能を発揮できる実践能力を身につけておく必要がある。

 ソーシャルワークの機能には、権利擁護・代弁・エンパワメント、支持・援助、仲介・調整・組織化、社会資源開発・社会開発など、さまざまな機能が挙げられるが、これらの体制の構築及び運営を推進していくに当たって求められるソーシャルワークの具体的な機能は次のようなものになる。

 以下、これまでの福祉人材専門委員会で何度かお示ししている黄緑色のところにありますような包括的な相談支援体制の構築に求められるソーシャルワークの機能、そして、水色部分の住民主体の地域課題解決体制の構築に求められるソーシャルワークの機能を記載しております。

 6ページ目、1つ目の○、地域共生社会の実現を推進し、新たな社会福祉ニーズに対応するためには、これらのソーシャルワーク機能の発揮が必要であり、ソーシャルワークの専門職である社会福祉士がその役割を担っていけるよう実践能力を習得する必要があることから、現行のカリキュラムを見直し、内容の充実を図っていく必要がある。

 また、社会福祉士の実践能力を高めていくためには、カリキュラムの見直しとあわせて、実践能力を養うための機会である実習・演習を充実させるとともに、教員が新カリキュラムを展開していくための研修や教員・実習指導者の要件等について検討する必要がある。

 7ページ目、(1)社会福祉に関する科目の内容の充実、1つ目の○で、社会福祉士養成課程におけるカリキュラムについては、前回の改正、平成18年度から10年が経過しており、少子高齢化の進展や世帯構造の変化といった社会的な変化だけではなく、人々の意識の変化といった内面的な変化も含め、社会状況等が変化してきていることに加え、こうした状況の変化に伴う各制度の制度改正や新しい制度の創設などが逐次行われていることを踏まえると、社会福祉に関する科目の教育内容の見直しが必要である。

 見直しに当たっては、地域共生社会の実現に向けて「包括的な相談支援体制」や「住民主体の地域課題解決体制」の構築が重要であることを踏まえ、これらの体制を構築するために必要となるソーシャルワーク専門職として実践能力を習得できる内容とすべきである。

 具体的には、社会福祉士が、個人及びその世帯が抱える課題への支援を中心とした分野横断的・業種横断的な関係者との関係形成や協働体制を構築し、それぞれの強みを発見して活用していくため、コーディネーションや連携、ファシリテーション、プレゼンテーション、ネゴシエーション、社会資源開発・地域開発などを行うとともに、中核的な役割を担える能力を習得できる内容とすべきである。

 また、自殺防止対策、矯正施設退所者の地域定着支援、依存症対策、社会的孤立や排除への対応、ここの部分は、前回御議論になったLGBT、多文化共生等々の課題も含まれておるという理解です。災害時の支援などにおいて、ソーシャルワーク専門職である社会福祉士にも役割を担うことが期待されていることを踏まえると、ソーシャルワークの基本を習得することを土台として幅広い社会福祉ニーズに対応できるようにするための実践能力を習得できる内容とすべきである。

 ※として、ニーズの多様化に合わせて実践的な教育内容にするためにその都度科目を積み上げるということではなくて、社会福祉士になるまでに身につけておくべきことは何かという観点から整理が必要との意見があったということを記載させていただいております。

 8ページ目、(2)実習・演習の充実、1つ目の○、実践能力を有する社会福祉士の養成に当たっては、各分野の知識とソーシャルワークの知識・技術を統合して実践できるようにするため、実習及び演習形態による学習が重要となる。

 実習は、厚生労働省が指定する施設及び事業において実施することとされており、実習先の多くは特別養護老人ホーム、障害者支援施設、児童養護施設等の入所施設となっている。実習では、実習指導者から、個別の相談援助に加え、多職種連携、アウトリーチ、ネットワーキング、社会資源の活用・調整・開発等について実際的に理解し、実践的な技術等を体得するために指導を受けることが目的であるが、現状を見ると、実習生の準備状況や習熟度等の違いはあるものの、それらを実習プログラムに十分に組み込むことができておらず、職場の業務内容の学習にとどまっている場合もあるとの意見がある。

 一方、今日求められている人材は、複合化・複雑化した個人や世帯の課題を適切に把握し、既存のサービスでは解決できていない問題や潜在的なニーズに対応するため、多職種・多機関と連携や交渉を行い、それらをコーディネートしながら課題を解決できるだけでなく、課題解決に向けて地域に必要な社会資源を開発できる実践能力を有する人材であり、実習を通じて養成していく必要がある。

 また、演習は、地域福祉の基盤整備と開発に関する科目やサービスに関する科目などとの関連性を視野に入れて、具体的な事例を用いて専門的援助技術を実践的に習得することを狙いとしている。この点に関して「アセスメントができる」とした場合に、講義でソーシャルワークにおけるアセスメントとは何かという理論等を学んだ上で、実際に演習でアセスメントの技術を身につけていく、講義内容と演習を連動させることで、確実にソーシャルワーカーに必要な実践力を学習できるようにしていく必要がある、それらを実習でさらに総合的かつ実践的に学ぶとともに、講義-演習-実習の学習の循環をつくっていくべきとの指摘がある。

 9ページ目、1つ目の○、こうしたことを踏まえると、ソーシャルワークに求められる実践能力を習得するため、実習・演習の内容の充実や改善に向けた見直しを行う必要がある。

 具体的には、現場で学習する機会や時間を増やすために講義・実習・演習の充実を検討するとともに、アウトリーチ、ネットワーキング、社会資源の活用・調整・開発に関する実践能力を習得し、実際に活用できるようにするための教育内容について検討を行う必要がある。

 なお、養成教育における実習時間については、社会福祉士の実践能力を向上させるため、現行の180時間から大幅に増加させるべきとの意見がある。

 ※として、養成施設・学校等や学生に過度な負担とならないよう留意が必要であると注で書いてあります。

 また、実習施設の範囲について、社会福祉士がさまざまな場面で相談援助の実務に従事している現状を鑑みると、実務経験ルートとして実習の履修免除が適用される施設等と同じ範囲に広げ、より多様な施設等で相談援助の実習が可能となるよう、その範囲を見直すべきとの意見がある。

 注として、現状ですけれども、「実習施設の範囲」と「実務経験ルートとして実習の履修免除が適用される施設等の範囲」を比較すると、「実習施設の範囲」のほうが「履修免除が適用される施設等の範囲」よりも狭くなっている。例えば、都道府県社会福祉協議会、教育機関、地域生活定着支援センター等は履修免除が適用される施設だが、実習施設には含まれていない。

 最後の○、社会福祉士が活躍する場が多様になってきている現状を踏まえると、多様な施設や機関等で実習が可能となることは、さまざまなニーズに対応できる社会福祉士の養成にも資することから、実習施設の範囲の拡大について検討を行う必要がある。

 ※として、既存の法制度やサービスでは解決が難しい複合化・複雑化するニーズに対応しているNPO法人等においても実習が可能となるよう検討すべきとの意見がある。

10ページ目、1つ目の○、実習施設の範囲の拡大の検討にあわせて、実習指導の方法に関する事項についても見直しが必要である。

 最近の実習を見ると、社会福祉士の地域貢献や地方創生を視野に入れ、中山間地域や離島といった人材の確保や育成が困難な地域において、地域住民等との連携を実践的に学び、個人や世帯及び地域のアセスメントや、必要な社会資源の検討や開発を行うなど、地域において包括的な支援の実践を学ぶ実習にモデル的に取り組んでいる例もある。

 ※で例えばと書いてありますけれども、今治市社会福祉協議会や江田島市社会福祉協議会、都城市社会福祉協議会では、個人への支援を中心とした分野横断的な関係者との協働体制の構築や地域アセスメントに基づく資源開発など、地域を基盤とした実習が行われている。

 また、先進的な取り組みを行っている地域の実習施設での実習や、卒業後のUターン就職を見据えた出身地、地元の実習施設での実習など、現在通っている学校、養成校から遠方の地域の実習施設で実習を行う場合もある。

 一方、実習先は、教員による巡回指導が可能な範囲で選定することとされていることから、このような実習の形態が拡がっていかないという課題がある。

 そのため、現在では、対面による実習指導のほか、ICT等を活用した指導も可能と考えられることから、今日的状況を踏まえて実習指導の方法を見直し、さまざまな地域の実習施設で実習が可能となるよう検討を行う必要があるということでございます。

11ページ目、対応の方向性の2つ目、地域全体での社会福祉士育成のための学び合いの推進についてを記載しております。

 1つ目の○、現在、社会福祉士の育成は、養成団体、職能団体、事業者団体が中心となって進めているが、地域共生社会の実現に向けて必要となる包括的な相談支援体制及び住民主体の地域課題解決体制を構築し、対象者の属性にかかわりなく、複合化・複雑化した課題に対応できる社会福祉士を育成するためには、養成団体、職能団体、事業者団体が協働して社会福祉士養成に取り組みつつ、行政、地域住民など、地域のさまざまな立場や分野の関係者が連携・協働して学び合うことが重要である。

 また、地域共生社会を実現するためには、支え手側と受け手側に分かれるのではなく、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら、自分らしく活用できる地域コミュニティを育成することも重要である。

 こうしたことを踏まえると、現任の社会福祉士が中核となって地域住民と協働してソーシャルワークに関する知識・技術や実践事例等を学び合い、それぞれの力を合わせながら実践能力を向上させ、地域共生社会の実現に向けたソーシャルワークを展開できるような取組を推進していくため、職能団体や養成団体等が中心となって実施する社会福祉士の育成や、地域課題の解決に向けた活動を学び合えるような場づくりを推進することが必要である。また、そのような場を活用することは、実習教育の充実や教育・実習指導者の資質向上にも資すると考えられる。

 なお、実習生の受け入れや国家資格取得後の現任研修の強化等については、所属組織によるサポート体制の充実が必要であるとの意見がある。

 ※の1つ目として、地域のさまざまな施設・機関に所属しているソーシャルワーカーを対象とした研修として、前回の福祉人材専門委員会で御紹介がございました、例えば日本ソーシャルワーク教育学校連盟が今年度に全国4カ所で実施している「コミュニティに強いソーシャルワーカーを養成する研修」がある。

 ※の2つ目として、社会福祉士は、専門職の中では特殊で、各職場に少人数、1人や2人の配置をしている場合が多く、現場でのOJTが難しいという実態があるため、職能団体等の卒後教育についてより工夫が必要であるとの意見があるという記載をしております。

12ページ目、対応の方向性の3つ目、社会福祉士の役割等に関する理解の促進について記載をしております。1つ目の○、社会福祉士が果たしている役割や活動等の周知については、職能団体や養成団体等が中心となって行われているが、社会福祉士は多様な施設・機関においてさまざまな職種や職名で勤務し、相談援助以外の業務も行っている場合もある等の理由から、社会福祉士の専門性や役割がわかりにくいものとなっているのではないかとの意見がある。

 また、「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」(平成30年4月1日施行)では、市町村において地域住民や行政等との協働による包括的支援体制の推進が求められていることから、自治体において社会福祉士が果たしている役割等の実態把握を行う必要があるとの意見がある。

 福祉事務所等の行政機関は、地域における包括的な相談支援体制において中核的な役割を担う一つとされており、相談者について適切なアセスメントを行い、ニーズに対応したサービス提供や多機関協働が期待されていることから、行政機関においても、ソーシャルワークを専門職とする社会福祉士の活躍がより一層期待される。

 こうしたことを踏まえると、社会福祉士が果たしている役割や成果等の「見える化」を図り、国民の理解をより一層促進するため、職能団体が中心となって、多様な分野の施設・機関等において活動している社会福祉士の業務実態や所属組織での社会福祉士の活用の状況等を把握することが重要である。

 資料1の説明は、以上でございます。

○田中委員長 ありがとうございました。

 ただいま事務局から説明のあった内容について、御質問、御意見があればお願いいたします。

 西島委員、どうぞ。

○西島委員 日本社会福祉士会の西島と申します。

 質問というか、まず事務局に確認させていただきたいのですけれども、資料1の9ページ目、養成カリキュラム等の見直しの方向性の上から3つ目の○、現行の180時間から大幅に増加させるべきとの意見があるの後の※のところで、養成施設・学校等や学生に過度な負担とならないよう留意が必要であるということなのですけれども、この場合、当然受け入れ側の実習の施設であったり、今回範囲も見直すということですので、期間等もあると思うのですけれども、これは「等」に含まれているということでよろしいでしょうか。

○柴田福祉人材確保対策室長 そのとおりです。「等」に含まれています。

○西島委員 ありがとうございます。

 できましたら、資料を提出させていただいておりまして、引き続き御説明させていただくのは可能でしょうか。

○田中委員長 どうぞ。

○西島委員 今、事務局のほうから説明がありましたように、地域共生社会の実現に向け、社会福祉士がソーシャルワーク機能を発揮することが求められています。本日、資料を提出させていただいているのですが、本日の論点に関しまして、現在本会が実施している社会福祉推進事業が関連しておりますので、速報値ではありますが、調査結果を用いながら発言をさせていただきたいと思います。「地域共生社会の実現に資する体制構築を推進するソーシャルワーク専門職である社会福祉士」という資料をご覧いただきたいと思います。

 1ページ目、「地域共生社会の実現に資する体制構築を推進するソーシャルワークのあり方に関する実証的調査研究」として、社会福祉士が地域共生社会の実現に向けた体制構築において必要なソーシャルワークの機能を果たしていることを実証するとともに、そのソーシャルワーク機能を果たすために必要な価値、知識、技術、並びに組織要因等を明らかにすることを目的に、1、事例分析、2、質問紙調査、3、フォーカスグループインタビュー調査を実施しています。

 2ページ目、全国から20名の社会福祉士を抽出し、ソーシャルワークの機能を発揮したソーシャルワーク実践事例を収集し、その分析を行っています。ソーシャルワークの機能は、第9回委員会でもお示ししておりまして、今回の資料5ページにも示されております。

 3ページ目、こちらは今回調査対象になった社会福祉士の一覧になります。所属先等、お示しさせていただいております。

 4ページ目、社会福祉士の基本属性になります。うち5名が認定社会福祉士という状況になっております。

 5ページ目、こちらは縦にして見ていただけたらと思います。こちらは社会福祉士による実践事例を図にまとめ、分析を行っています。ソーシャルワークの機能を発揮すること、働きかけによる変化に着目しております。個別の相談援助に加え、社会福祉士が地域住民、多機関と協働しながら、ごみの撤去作業を通して、地域の支援体制や意識、行動の変化を促し、孤立と排除であった状態から、地域における見守り支援体制の構築へと展開しています。

 まず上段ですが、介入前と介入後の働きかけによる変化、中段はそれを可能としたソーシャルワーク実践の展開、下段がソーシャルワーク実践における基盤とした価値、特に活用した知識、技術をお示しし、統合化していることがわかると思います。

 6ページ目、また横になりますが、20の実践事例において活用した地域・技術をまとめております。本日説明がありましたファシリテーションや社会資源の開発等も含まれております。

 7ページ目、こちらは社会福祉士の実践環境です。赤字が書いておりますが、Q5-4Q5-11Q5-12をごらんください。組織内での、また、地域内でのスーパービジョンの体制が不十分であることが課題と言えます。

 8ページ目、こちらは事業の2つ目として、社会福祉士と連携・協働している専門職及び地域住民に対して、地域の支援体制や意識、行動の変化を把握するため、質問紙調査を実施し、専門職からは158名、地域住民からは101名の回答を得ております。

 9ページ目、こちらは専門職の基本属性をお示ししております。

10ページ目、この資料は、専門職からの評価として、社会福祉士の実践や協働を通して、つまり、ソーシャルワークの機能を発揮することで、地域の支援体制が変化し、そのことがあらわれていることを確認することができます。

11ページ目、こちらについても同様に、ソーシャルワーク機能を発揮することで、専門職、地域住民の意識、行動の変化が確認できます。問4-3-1から4-3-3までが、専門職の変化、その下、問4-3-4から問4-3-8までが地域住民の変化です。他人事を我が事として捉え、地域課題の解決に向けて、それぞれの経験や特性等を踏まえて、役割を分担しながら協働していることがわかります。

12ページ目、こちらは専門職の社会福祉士への期待を確認したものです。連携の支援、専門的知識・経験の活用、気軽に相談できる相談相手、地域課題の発見及び地域課題解決などがあり、地域共生社会の実現に向けた役割が求められております。

 一方で、社会福祉士の役割、専門性の周知、認知度の向上が挙げられており、これは裏返しますと、わかりづらさを示しているのではないかと考え、課題であると認識しております。

13ページ目、次は、地域住民にかかわる部分です。まず、基本属性ですが、年齢は60代以上が6割を占めておりまして、ボランティアグループ、民生・児童委員、町内会・自治会の順で多くなっております。

14ページ目、次は地域住民に対する調査なのですが、まず、地域住民の評価として、専門職同様に社会福祉士の実践や協働を通して地域の支援体制や専門職と地域住民の意識や行動が変化し、その効果があらわれております。ソーシャルワークの機能を発揮することによる効果を確認することができます。

15ページ目、こちらは地域住民の社会福祉士への期待を集計させていただいておりますが、期待として、支援を必要とする人への支援や情報の提供、気軽に相談できる相談相手が挙げられています。また、専門職と同様ですが、社会福祉士の役割・専門性等の周知、認知度の向上というところが挙げられており、こちらもやはりわかりづらいという印象があるのかなと、共通した課題として捉えております。

16ページ目、本調査の成果と課題を整理しております。特に課題といたしまして、1つ目、地域におけるスーパービジョンの体制整備、2つ目、現任研修の体制整備、3つ目、「社会福祉士」や「社会福祉士の実践内容」のわかりづらさ、4つ目、就労環境等の環境整備が挙がってまいりました。

17ページ目、本日のテーマである社会福祉士に求められる役割等についてですが、1の役割に加え、2の専門職及び地域住民からは、多職種連携や地域住民と協働し、地域連携の体制をつくる役割が求められています。

 一方、連携・協働して地域の支援体制や行動の変化を促してきたことにつきましては、確認ができておりますが、その状況におきましても、社会福祉士の役割や実践内容はわかりづらいことが課題と言えます。

18ページ目、これら本調査の速報値を踏まえまして、地域を基盤としたソーシャルワーク実践を展開する上で、本日の論点に即して申し上げます。

 まず、論点1についてですが、社会福祉士に関するカリキュラム内容の充実といたしましては、実習能力の取得とあわせまして、それらを専門職及び地域住民に対し、わかりやすく、理解しやすい言葉や方法を用いて説明できるよう、「プレゼンテーション」等の知識・技術を習得することが大切と考えております。

 社会的孤立や排除への対応といたしましては、人権や多様性の尊重を理解することが重要であり、ひきこもり当事者の支援やLGBTや外国人の支援に関する内容の充実も必要と考えております。

 2といたしまして、演習・実習の充実といたしましては、演習は、ソーシャルワーク実践を学ぶ重要な機会であります。演習の充実を図るため、現任の社会福祉士による演習への参加や現場で学ぶ機会の確保を図っていくと、現任の社会福祉士の積極的な活用が有効ではないかと考えております。

 実習指導者については、職場の業務内容の学習指導にとどまっている場合があるという御意見を踏まえつつ、ソーシャルワークを総合的かつ実践的に指導するため「社会福祉士実習指導者講習会」の見直しや充実も必要と考えております。

19ページ目、論点2に関してですが、連携・協働の場づくりとして、あらゆる団体の連携、または協働に向けた話し合いの場が必要と考えています。

 2といたしまして、連携・協働の参加促進としてですが、関係団体が協働し、社会福祉士の育成を初め、地域課題の発見及び解決に向けた活動を学び合う「場」への参加、協力ということ、社会福祉士の職務として所属組織の承認が得られることも大切であると考えております。

 3といたしまして、生涯研修制度及びスーパービジョン体制の充実ですが、地域で社会福祉士を育成するためには、1つの施設や機関で育成するには限界があるという御意見もあります。地域全体で学び合う場を創造し、活用しながら、実践能力の向上に資する現任研修とスーパービジョン体制の充実が必要です。

 社会福祉士を育成する手段として「認定社会福祉士制度」の活用も考えられるのではないでしょうか。

20ページ目、論点3についてです。社会福祉士の活躍の場は、広い範囲に及ぶことから、市町村における包括的な支援体制の推進におきましては、本調査の成果と課題を踏まえると、社会福祉士の活用、配置、実践環境等を含めた実態把握が必要ではないかと考えております。

 2といたしまして、専門職及び地域住民との協働には、社会福祉士の役割や実践が多職種及び地域住民にわかりやすいことが重要であり、実践を「言語化」または「見える化」できる能力の強化を図るとともに、「社会福祉士」及び「認定社会福祉士制度」に対する理解を進めていくことが重要であると考えております。

 最後になりますが、私たち社会福祉士は、地域住民や関係機関と協働しながら、地域共生社会の実現を目指し、人々の「生きる」をしっかりと支えていきたいと考えております。社会福祉にかかわる人々が、ソーシャルワークのすばらしさを共感し、社会福祉士がその役割を果たせるよう、関係者の皆様と取り組んでまいりたいと考えております。

 私からは、以上になります。

○田中委員長 ありがとうございました。

 この社会福祉推進事業は今年度末までに研究をされて、来年度の頭ぐらいに発表されるということですか。

○西島委員 そうです。

○田中委員長 では、それも期待いたします。

○西島委員 ありがとうございます。

○田中委員長 速報結果の御発表でした。役所の資料だけではなく、こちらについての質問でも結構ですが、いかがでしょうか。

 武居委員、どうぞ。

○武居委員 資料1を中心にしてですが、社会福祉士に求める役割、それに対する期待のようものを、事業者であります社会福祉法人側からの意見として申し述べさせていただきます。

 資料1の2ページの真ん中の○にございますように、社会福祉法の改正がございまして、社会福祉法人の責務として、「地域における公益的な取組」の実践というものが位置づけられたということであります。いわば従来の制度の枠の中にないようなサービス、地域の中にある新しいニーズの発見、新たなニーズへの対応というのが、この大きな意味するところだろうと思います。それを社会福祉法人として、ないしは事業者としてやっていくに当たっては、そこでのニーズの発見、サービスにつなげる力、これらの役割というのが、まさにソーシャルワーカーの役目だと思いますので、我々事業者としても、その重要性を感じ、ソーシャルワーカーの役割に対する期待が大きいと考えています。

 さらに、その上に、そこを出発点として、地域共生社会というところの問題に至っては、より地域課題の発見、解決というところにつなげていかなければならないわけですから、さらにソーシャルワークの機能の充実が必要だという認識は持っているところでございます。ただ、それに対しての具体的な方法については、幾つかの課題があると思いますので、後ほどそれについての意見を述べさせていただきたいと思います。

 以上です。

○田中委員長 ありがとうございました。

 上野谷委員、どうぞ。

○上野谷委員 日本ソーシャルワーク教育学校連盟、上野谷でございます。

 まず、今、出していただきました資料1、全体の感想を少し述べさせていただきたいと思います。

 本当にこの間、田中委員長を初め、委員の方々が非常に積極的かつ包括的な議論を進めてこられたこと、また、厚労の事務方の方々にも敬意を表したいと思います。

 社会福祉士の役割を考えますときに、見えにくさがあります。看護や介護、その他の専門職と違うところもあり、私たち自身が地域生活課題を抱える立場が少ない者が委員になりながら、もちろん言い切れませんけれども、経験がないという中でさまざまな実践に接近していく、そして、創造していくということが求められるわけですね。ですから、そういう中でのこのまとめといいますのは、まず基本的な考え方がきちんと書かれていると思いますし、カリキュラムの見直しについても、非常に丁寧に今後のあり方を導いてくれるだろうと思うような内容にも触れてありますので、おおむね私どもの団体としましても、評価したいと思っております。

 ただし、悩ましいのは、先ほど9ページ目の3つ目の○にも出てございましたように、負担という言葉に象徴されますように、これは今の時代の専門職としては、学ぶ学生にも負担といいましょうか、やはり必要となってきますし、養成側の教員も、あるいは職能団体、事業者、それぞれが負担をシェアしないといけない課題があるわけですね。ですから、私どもは覚悟をしてこれに取り組むということでございます。もちろん労働条件の問題やら、いろいろございましょうけれども、過度は困りますが、組織を潰さない、しかし、果敢に次の世代へこの専門職を渡していくという委員会だと思いますので、そういった意味で、後で少し詳しくお話しさせていただきますが、非常に悩ましいけれども、果敢に取り組もうというこの方向性、これを評価したいと思っております。

 また、9ページ目の4つ目の○なのですが、私は以前から規制緩和をしていただきたいと。規制緩和とは言わなかったかもしれませんけれども、実習の場所にしても、あるいは指導の問題にしても、工夫と柔軟性というものがあれば、過度な負担にならない中でもできるのではないかという気持ちもございますので、ぜひ次の検討の方向性の中でそういうことを生かせていただいたらありがたいと思っております。

 全体の感想程度にとどめて、時間がございましたら、資料に基づいてお話をさせていただきたいのですが。

○田中委員長 どうせなら続けてしまってはいかがですか。

○上野谷委員 ありがとうございます。

 それでは、上野谷提出資料に基づきまして、お話を続けさせていただきます。

 お手元に資料を配付させていただいております。この委員会では、平成27年9月、新福祉提供ビジョン、28年の9月の社会福祉法の改正、これは非常に大きな影響を私ども養成校に対しても提示しております。6月のニッポン一億総活躍プラン、閣議決定、あるいは地域共生社会実現本部の設置、ある意味、この間の流れといいますのは、今の社会福祉士養成に関して非常に大きな基本的な考え方や変化をせざるを得ない状況にあるということをまず認識しております。

 私ども日本ソーシャルワーク教育学校連盟も、特に平成27年の9月に新福祉提供ビジョンが公表されて以来、早速特別委員会を設置して検討をしてまいりました。また、御承知のように、総会であるとか、昨年秋に開催した全国社会福祉教育セミナー、あるいは、さまざまなワークショップ等の特別企画で厚労からもお出ましいただき、社会福祉士を取り巻く動向、それから、今後の養成教育のあり方について、全国の養成校とともに検討する機会を持ってまいりました。ですから、私どももこの3年間ばかり、非常に急ぎかつ慎重にさまざまな検討をしてきましたということをまず御報告をさせていただきます。

 今日、後で介護福祉士についてのカリキュラムの中身について御報告があると聞いておりますけれども、同じように社会福祉士についても、今日までの検討を踏まえてカリキュラムの内容について検討されるものと承知しております。

 本日お配りしました資料をもとに、特に私はいろいろありますけれども、具体的なカリキュラムを検討する際の押さえておくべき事項に焦点を当てて、お手元に配付しておりますので、ご覧ください。

 2ページ目、1でございます。これは分野横断的、総合的かつ包括的な実践が行われるソーシャルワーク専門職、これを養成するための教育内容の再編、あるいは教員及び実習指導者の要件の見直しを検討する。これは私ども自身の謙虚な反省から、教員及び実習指導者の要件見直しを検討したいと、このように思っているわけであります。

 個人への支援に加えて、地域課題の解決に向けた取組を地域で中核的に行えるソーシャルワーク専門職としての社会福祉士を養成するため、現行カリキュラムを精査せねばなりません。今、相談援助という言葉を使っておりますけれども、今回、ソーシャルワークに関する科目を基幹科目として位置づけ、基幹科目を担当する教員については、講習会の受講を含めた教員要件を新たに設けるなど、カリキュラム内容とあわせて教育体制についても見直しを行うべきであると考えております。

 実習・演習担当教育及び実習指導者の要件についても、現在も各講習会をやっておりますけれども、時間数、あるいは内容、今日的状況を踏まえて、拡充・改変するなど、見直しを行うべきと考えております。

 社会福祉士が多様な分野・領域で働く現状、先ほども御報告がございましたように、そうしますと、それぞれの分野、領域を科目として独立させるという科目が細分されてきた経緯がございます。必要ではありますけれども、科目が過度に細分化され過ぎないように、これは留意すべきであると考えております。

 また、それに関して、国家試験科目も現在19科目、既に試験が今年度は終わりましたけれども、他の国家資格に比べますと、やや細分化され過ぎているという現状を踏まえますと、例えば科目群による出題とするというような見直しを行うべきであるということとしております。

 2でございます。実習科目の時間数を大幅に増加するとともに、現行の相談援助実習とは別の枠組みを新たに設け、総合的、段階的、かつ多様な実習教育が行えるよう検討すべきです。これについては、例えば現行の社会福祉士養成制度は、実習科目は「相談援助実習」、これは180時間以上及び「相談援助実習指導」というものがございます。これは大学の中、養成施設の中でやっておりますが、90時間以上という状況になっております。見直しに当たっては、現行の相談援助実習を基幹的なソーシャルワーク実習として位置づけ、時間数を増加するべきであるということを考えております。

 また、実習科目以外の科目です。例えば講義であるとか演習科目においても、今日的には文科省も言っておりますように、アクティブラーニングの教育方法を活用しながらソーシャルワークに関する知識・技術を実践現場において学ぶことができるような時間を一定程度確保する。新たな枠組みを位置づけ、一定の基準を設けた上で、総合的・段階的かつ多様なソーシャルワーク実習が行われるよう、実践的なカリキュラムに見直すべきであるということでございます。

 例えば仮に従来の相談援助実習がございますけれども、それを基幹的ソーシャルワーク実習としてきましたが、それ以外に、枠組みとしては、例えば見学実習であるとか、フィールドワークであるとか、インターンシップであるとか、こういうものを各大学は工夫して、現在もおやりになっていらっしゃるのですけれども、その際はソーシャルワーク専門職に必要な内容に限っていただき、海外のソーシャルワークに関するフィールドワーク、これは前回私も申し上げたわけですが、そういう実習も含めて認めていく方向でございます。

 3ページ目、3でございます。社会福祉士養成教育のカリキュラムの総時間数を増加すべきであると考えております。総時間数につきましては、前回の委員会でも、私は少し話題にいたしましたし、先ほど申し上げましたように、現状での養成の枠組みを前提に考えた場合の発言なのですが、昨年の2月7日に開催されました本委員会でも私が提出した資料にも書きましたように、総時間数については、できるだけふやした上で、今日の内容を見直していくべきであると考えております。

 さらに、昨年の2月にお配りしました資料では、社会福祉協議会、地域包括支援センター等の全数調査の結果を御報告いたしました。現任者の地域への取り組みが個人や家族への支援に比べて余り取り組めていない状況がわかりました。これらを踏まえましても、現行法で許容される範囲において、現行法許容の範囲と考えておりますが、カリキュラム、総時間数をふやした上で教育内容を見直すべきと考えております。

 4でございます。先ほども少し申し上げましたけれども、科目名称に「ソーシャルワーク」を明確に位置づけるべきということに関してでございます。社会福祉士がソーシャルワーク専門職として共通認識を得られている状況がございます。国家試験においてもソーシャルワークのグローバル定義を初め、ソーシャルワークに関する知識を問う試験問題がこれまでも出題されていることからも、科目名称に「ソーシャルワーク」を明確に位置づけるべきであると考えております。

 次に、5、最後でございます。5年程度のサイクルで定期的に見直すことができるようにすることについては、前回の社会福祉士制度の見直しの際は、法改正があったことから、その法改正の附則に、法施行後、5年を目途として施行状況等を勘案し、資格制度の検討を加え、必要な場合は所要の措置を講ずるとされましたが、今回法改正が特段見直しではないと思っておりますので、同様に、教育内容については、見直した内容の実施状況を検証しながら、定期的にプラン・ドゥー・シー・チェックをアクトしていただくように、制度のつくり直しをすべきであると考えております。

 4ページ目、この2つの図は、昨年3月に既に御提出したものでございます。少し変更もしておりますけれども、従前から申し上げておりますように、私ども、今日的な課題に取り組んでいくに当たりましては、右上の養成校、養成団体だけでは養成が成り立たないと考えております。それぞれの地域において、事業者、養成校、職能団体がそれぞれ求められる役割を果たしつつ、まずはこの三者がコアになりまして、ソーシャルワークの専門職の人材養成に協働して取り組みながら、行政、多職種、住民の方々などと協働して学び合う取り組みが必要と考えております。

 5ページ目、これは昨年3月に既にお配りをしておりますものに少し改変したものでございます。先ほど事務局から御説明いただいた社会福祉法人の地域における公益的な取り組みを今後さらに推進していく意味においても、将来の福祉人材を生み出す養成校が、社会福祉法人と協働しながら、社会福祉士養成の展開ができればと考えております。

 長くなりましたけれども、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○田中委員長 ありがとうございました。

 ほかの視点で結構ですので、御質問、御意見があれば、お願いします。

 川名参考人、どうぞ。

○川名参考人 神奈川県で福祉部長をしております、川名と申します。黒岩委員の代理で出席させていただいております。

 まず、資料1につきまして、今回非常に丁寧にまとめていただきまして、わかりやすく整理されているかと思います。

12ページ目、理解の促進という中で、これだけ社会福祉士の役割が多様になってきているという中で、行政でも非常に多くの社会福祉士が勤務している状況があります。ここの中にも福祉事務所が例示されておりますけれども、児童相談所ですとか、行政の窓口ですとか、精神保健分野とか、さまざまなところで社会福祉士に活躍していただいているというところがございます。

 本件もこれだけ複雑化、複合化している課題の中で、今、我々神奈川県の行政職の社会福祉士も、人材の資質向上について改めて再構築しようということで検討しているのです。その中でも役割を果たすために必要な知識、能力というところでは、ここでまとめられているのと同様に、アセスメントですとか、プレゼンテーションですとか、相談援助技術ですとか、権利擁護ですとか、地域の課題をしっかりと把握して企画立案できるようにというところを、我々行政はかなりの人数がいますので、それを段階ごと、経験年数ごとにどこまでを達成度合いにしていくかということで、今、行政の中のプログラムをどうつくろうということに取り組んでいるところでございます。

 そういう中で、かなり新卒で入ってこられる方もいらっしゃいますので、養成のカリキュラムの見直しというところにもつながってくるかと思うのですけれども、現場でしっかりと年数を追って、知識、能力が積み上がっていくところだと思います。今も御報告をいただいたりしていますけれども、カリキュラムとともに、現任教育というところを、少数職場もある中でどのようにというバランスをとってというところが重要になってくるかと思います。その辺、我々行政もどういう役割が果たせるのかというところも含めて、引き続き議論できればと思っております。感想的な部分も含めて、現在の神奈川県の取り組みも含めて御紹介させていただきました。

 以上でございます。

○田中委員長 御紹介ありがとうございました。

 平川委員、どうぞ。

○平川委員 ありがとうございます。

 社会福祉士の役割、そして「見える化」というのは大きな課題だということで示されているかと思います。社会福祉士会の資料においても、20ページに社会福祉士の実態把握の必要性ということが書かれています。まずは実態把握をして、それがどういう役割を果たしているかという検証、研究というのが「見える化」につながっていくと思っています。

 前も診療報酬の話をしましたけれども、今回の診療報酬改定でも、社会福祉士の配置の要件はまたふえておりまして、病院においても、急性期病院であろうとも、療養病床であろうとも、患者さんを在宅等に帰すということが大変重要な課題となっております。その帰すためにさまざまな課題があるというのは、病院においても相当強く認識させられてきているのが、診療報酬上でも社会福祉士の配置が評価されてきている形になっていると思っています。

 そういった意味で「見える化」というのはそういうことにもつながっていくのかなと思いますので、ぜひとも社会福祉士が果たしている役割や成果の「見える化」というのは、今後の国民の皆さんの理解を得るために極めて重要な課題ではないかと思っています。

 そういった意味でも、社会福祉士の重要性は増していくというのは当然出てくると思うのですけれども、先ほどの行政機関における配置についても、自治体の中においては理解を得てふえてきているのではないかと思っております。その場合、行政機関などにおけます専門職の位置づけが自治体によっては明確に位置づけられているところもありますけれども、なかなか人事上明確に位置づけられていない場合もあるやに聞いておりますので、行政機関においては、そういう専門職に対する人事上の配慮という観点も重要ではないかと思っています。

 以上でございます。

○田中委員長 ありがとうございます。

 上原参考人、どうぞ。

○上原参考人 介護福祉士養成施設協会で代理で参加しております、上原と申します。

 介護福祉士教育だけではなく社会福祉士教育も両方やっています。私は今回の御提案を聞いていまして、すぐにはできないかもしれませんが、ぜひ整理していただきたいことがあります。実は「社会福祉士」という国家資格名ですが、社会福祉士養成教育の中で「社会福祉」という言葉が消えてしまったり、「ソーシャルワーク」を明確に位置づけると言いながら、「相談援助」という言葉がもう一つ出てきてしまう。

 今回、私は久々に福祉系の大学に戻って「社会福祉原論」を教えていますがどのテキストの名前も『現代社会と福祉』です。そして、その技術は「相談援助」としてまとめられています。学生さんは何となく相談援助というと、制度・サービスの相談をする人というイメージなのですね。それでは、ソーシャルワークの全体像はなかなか見えないのだと思うのです。

 昔から社会福祉分野は、日本語で言っているところと、いきなり横文字になってしまうところがあって、それが混在してしまったり、肝心の社会福祉という言葉が見えなくなってしまう中、本当に社会福祉士は本来何をする職種なのかというところでは、私は今回の報告は、そこをもう一回描き直していただいていると思うのです。

 ただ、問題は、言葉の使い方です。社会福祉士なのだけれども、職場でいろいろな呼ばれ方をしてしまったり、ソーシャルワークということで、今回、地域を改めて位置づけてきたと思うのですが、技術ということになると、相談援助となってしまう。実習をプラスするというのも、そうなると思うのですが、そこを相談援助技術でくくってしまうのは無理があると思うのです。

ソーシャルワークを日本語で言いかえるとどうなるのか。生活に困難をかかえる人たちへの相談を通じながらその生活基盤を整え、その人らしい生活を支援しながら、なおその課題への対応は家族や関係者、あるいは地域全体を支える条件づくりへと広がっていくはずなので、そこをいかに描いていくかがとても重要な課題なのだろうと思います。

 もう一つ、地域の現状は本当に今、それこそ他人事ではなく見直されていくべきだと思いますが、学生さんを見ていると、地域はなかなか見えていないのですね。そんな学生さんたちに地域共生社会実現のための中核になる教育というのは、とても大変なことだと思っています。サラリーマンの生活は地域と余り関係がないので、地域がなかなか自分たちの中で意識化されていません。今、いろいろな問題が出ている、昔とは違うと言っても、今しか知らないので、そんなに問題に見えない、学生さんはそんな反応です。

 そういう意味では、どう実習を通じて今の地域の問題をお互いに実感していくか。実は教員も、自分の育った時代の地域のイメージと現実の中にいて急激な変化についていけてないような気がします。私は今の地域をきちんと実習の場、演習の場にしながら、学生も教員もちゃんと学び合い、地域でもみんなで語り合おうという先ほどの提案はとてもいいと思うのです。むしろ地域全体で今の現実を見直して語り合わないと、社会福祉だけではたぶん何もできないでしょう。それぐらい厳しい現実があるので、改めてこのカリキュラム改定を通して、いかに関係者が現実を共有し合って、何をしたらいいのかという議論がきちんとされていく。そのあたりを意識しながら取り組むことがとても大事だと、自分の課題も含めてなのですが、思いました。

○田中委員長 御経験に基づいて、個別支援の話と地域全体を見ることが一緒になってはいけなくて、両者はいわば重層的な別の能力であるとの御指摘と、地域そのものが何であるかについては現実に理解が共通でないので、そこはとても難しいとの御指摘の二つでした。大変貴重な話をありがとうございました。

 西島委員、どうぞ。

○西島委員 今、いただいた御意見、また上野谷委員の御提案についてもですが、実は私どもも職能団体として、相談援助ということが非常に広範囲ですし、ソーシャルワークと見たときに一部分であったりしますし、そこのところを何とか表現も含めて考えられないのかなというのは常々思っておりました。正直、それを私どものほうから積極的にどういう場で御提案させていただくのがいいのかなとも思っていたところなのですけれども、まさにきょうの御提案は同感する部分があります。

 実は、前回も社会福祉士の定義についても少し触れたことがあったので、これも経緯があることだと思うのですけれども、現状、非常に範囲が広まっておりますので、その辺についても、ぜひ容易ではないと思いますが、機会とかタイミングを御検討いただいて、何とか一緒に検討いただきたいかなと思うところです。

 先ほど、上原参考人から御発言があったように、きょう、事務局の参考資料として出ております参考資料1「社会福祉士の現状等」、この8ページを見ていただきますと、まさに社会福祉士、社会福祉主事の任用の状況も入っておりますが、これだけ幅広くいろいろなところに配置されておりまして、現状として、社会福祉士が必置となっているのは地域包括支援センター、必置ではないですけれども、社会福祉士の活用をきちんと明記いただいているのは、この下線が引かれているところであるのだろうと思います。

 これにつきましても、恐らく今までいろいろな経過があってのことだと思います。これを一つにするというのはそんなに容易なことではないのですが、例えばこの職種が社会福祉士であれば非常にわかりやすいようなところもあるのではないかと感じているところであります。これは今、期待するとか、そういうことではないのですけれども、例えば医療の医師であったり、看護師であったり、仕事と資格名が非常にわかりやすいところがあったりしますので、そういうことは常々感じているところですので、そういう御意見もいただきましたので、少し申し上げさせていただきます。

○田中委員長 峯田参考人、どうぞ。

○峯田参考人 全国老人福祉施設協議会の内田委員のかわりに来ました、副会長の峯田でございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」の7ページの4つ目の○でありますけれども、自殺防止対策、矯正施設退所者の地域定着支援であるとか、依存症の対策、社会的孤立等の記載があります。私どもの全国老施協も1万1,000の特別養護老人ホームやデイサービスや養護、軽費老人ホーム、ケアハウス等も擁立している団体でございますけれども、そういうところで、災害などもあって、そういう形に対応できるような社会福祉士を養成するのだとなっておりますけれども、なかなか経験というのでしょうか、非常に重要だなとも思っております。学問や概念としての対策も当然必要でありますけれども、実践的な能力や習得ということについても、レベルをある程度どこまで求めているのかということをぜひ御検討いただきたいと思います。

 私どもでも、当然、社会福祉法人の施設が集まっておりますので、生活困窮をされている方の養護老人ホーム、少しあいておる状況もありますね。そういうようなところにきちんと入っていただく。特別養護老人ホーム等でも、今、全国老人福祉施設協議会はDWATと表して、災害時の支援を全国規模で位置づけをしておりまして、支援できるような体制をつくっていこうということに取り組んでおります。

 そういう点では、私の個人的な意見にもなりますけれども、これをやるにはスーパービジョンというのでしょうか。社会福祉士を育成できるような施設長だとか理事長、この上の人にきちんとスーパービジョン体制を理解できる人を配置しないと、誰がやっているのかというのは非常に難しいのでありますので、我々全国老施協のほうでもそういう点で、経営者の問題であるとか、こういう災害の問題とか、少し国民目線に立った老施協に考え方を変えていこうということで、今、石川会長等も含めて話をしている最中でございますので、そういう点で、ぜひ我々も協力させていただきたいという意見でございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

○田中委員長 ありがとうございます。

 平川委員、どうぞ。

○平川委員 先ほど肝心なことを言い忘れました。一つは、この資料1の内容を見てみますと、今日的な社会状況の変化についての記述をもう少し補強してもいいのではないかと思っています。

 高齢化が進む中で、生活保護受給者も高齢者が大変多くなっておりますし、札幌の共同住宅の火事のように、住まいの問題などが大きな課題になっている。そして、これからさらにまた単身の高齢者、低年金、無年金の高齢者がふえていくことが想定されている中で、地域における、先ほど、上原参考人が言いましたけれども、地域というものをどうやって見せていくかも課題ですが、地域において社会の変容が進む中で、社会福祉士の役割は大きくなっているのだということについての課題認識を押さえることも重要なのかなと考えていました。

 とにかく、これだけ孤立や単身というものが、今まで家族で支えられていたのが、社会で支えていく仕組みがますます求められているという観点から、社会福祉士の役割が高まっているのではないかということについて強調することも重要かと思っています。

 以上です。

○田中委員長 上野谷委員、どうぞ。

○上野谷委員 先ほど提供しました資料の図でございますけれども、今、それぞれの委員がおっしゃいましたように、人材育成というのは、一つの団体だけでできるような内容ではございません。ですから、人材養成に係る協議体のようなもの、どこが世話をするのかが悩ましいですけれども、私どもとしますと、この養成団体と職能団体と、それから、事業者団体、地域と一緒になりませんと、この現任者あるいは実習指導者の養成ができないわけであります。多くの課題解決をするのは現任で働いている方でございますので、そこをどうするかということもこの検討会として、別の問題だと言われたら困りますわけで、ぜひ、これは一緒にやっていくということを確認していただきたいと思います。

 これは労働団体とも手を組んで、知識と技術と働き方をきっちりといたしますと、専門性は高くなるという、こういう研究も出ておりますし、そういった意味で、この委員会で集まっているメンバーが厚労と一緒にやっていく。こういう時代がやっと来たということが一つです。

 上原参考人に対しては、10年前はソーシャルワークという言葉すら、この改革の遡上にのらなかったわけです。ですから、私どもは「ソーシャルワーク専門職としての社会福祉士」、こういう言葉遣いをし、グローバル定義も考えながらやりませんと、韓国、台湾、中国、少なくともこのアジアの中でのリーダーシップがとりにくい状況になってしまっている状況がございますので、そういった意味ではグローバル定義を少し考えながら、ソーシャルワーク専門職としての社会福祉士、精神保健福祉士という捉え方をしていこうということで、言葉遣いはそうしているつもりでございます。

 ですから、検討会におかれましては、相談援助という言葉の範囲を今度はきちんとやっていただき、少なくともアジアでも世界でも通用する日本でありたいなというのが、これは個人の意見として聞いていただければありがたいです。

 以上です。

○田中委員長 資料1のタイトルが「ソーシャルワーク専門職」と書いてあるところは画期的ですね。厚労省側の決意が見えて大変結構ではないですか。

○上原参考人 私はソーシャルワークの援助技術体系をもう少しわかりやすくしたほうがいいと思うので、ぜひ御検討をお願いします。

○田中委員長 武居委員、どうぞ。

○武居委員 養成カリキュラムの問題の非常に重要なところは、知識レベルではなくて実践レベルをどうするかが一番大きいところではないかと思います。そういう意味では、資料1の8ページに書いてございますような実習・演習の充実というのは、まさにそのとおりだろうと思います。しかも、そのことは、学校の教室レベルで十分できることでは当然ないわけでありまして、そこをどうするかというのが今回の一番重要なポイントではないかと思うのです。

 いろいろなやり方があると思うのですけれども、本来で言えば、学校教育の中の一環として、例えば実習指導者は学校から現場に出向いていって、直接、実習生とともに、現場の実践の中で教育をするのが本当は望ましい姿なのではないかと思いますが、全国に散らばって実習をするというようなケースではそれが現実的かというと、なかなか難しいのだろうと思います。

 ちなみに、看護実習などは対象の人数も多いわけですし、実習指導者が同行していって、カンファレンスなどをともに開くようなケースが結構あるのですけれども、社会福祉実習は、1か所の人数も少ない。1人、2人の人がいろいろな実習場面に分散しているところに教員が全員つけるかというと、それは実質的に無理だろうと思います。そこは非常に難しいのだろうと思いますが、学校の授業で行われる講義、演習、それから、現場レベルの実習というところがちゃんと循環していくというか、つながっていかないと、教育そのものは完成していかないと思うのですね。

 では、それは今までどこがやってきたかというと、現場の現任者、社会福祉士、社会福祉士でないにしても、ソーシャルワークを実践している現場の現任者がやってきたのだろうと思うのですが、我々としてもそこのレベルはまだまだ不十分と言わざるを得ないのではないかと思います。当事者のレベルも不十分ですが、その現任者が後進をちゃんと指導できるレベルは、さらにまだもっと遠いように思われます。そのあたりをどうしていくのかというのが、一番ポイントだろうと思います。

 ちなみに、今までは、卒業後も現場に就職をしてもらうわけですから、現場の側はそういうことも考えながら、ある程度、後進を育てる、就職先の一つとして就職してもらう、いわばボランティア的な役割を今まで実践してきたのだろうと思います。しかし、専門性をもっと上げていくという意味では、そのレベルではとてもできないのだろうと思います。

 一方、現任で働いている職員の人たちも、専従要件の問題があるわけでありまして、本来のやるべき仕事と学生の実習指導ということがどうリンクしていくのか、どう仕事の中でそれが位置づけられるのかというような、さらに難しい問題もあるのだろうと思います。そのあたりはもう少し現場実習のあり方として、誰がやり、どのくらいやり、それは業務の中に位置づけられるかどうかということまで含めて今後検討していく必要があるのではないかと思います。

 以上です。

○田中委員長 御指摘ありがとうございます。

 最後は峯田参考人が言われたように、現場の経営者の姿勢によってスーパーバイズできるかどうか決まってきますね。

○峯田参考人 余計なことを言いました。

○田中委員長 正しいです。現任者だけではなくて、その上にいる経営者の資質が問われてくるとのご見解には、私も賛成です。

 資料1については、以上でよろしゅうございますか。

 それでは、ここから資料2の話題に移ります。2について、事務局から説明をお願いします。

○柴田福祉人材確保対策室長 続いて、資料2について御説明をさせていただきます。「「介護福祉士養成課程における教育内容の見直し」について」という資料をご覧ください。

 1ページ目、見直しの背景でございます。御案内のとおり、1つ目の○ですけれども、平成2910月に取りまとめられました、社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会の報告書「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」を踏まえまして、今後求められる介護福祉士像に即した介護福祉士を養成する必要があることから、各分野の有識者、教育者及び実践者によります「検討チーム」を設置しております。

 中段のほうに「報告書」の養成課程の教育内容の見直しに係る部分について、事務局要約をつけておりますので、ご覧いただければと思います。

 これを踏まえまして、見直しの観点ですけれども、この報告書を踏まえまして、現行の介護福祉士の養成・教育の内容や方法を整理し、下記の1から5までの観点から教育内容の見直しを行っております。1つ目が、チームマネジメント能力を養うための教育内容の拡充、2つ目が、対象者の生活を地域で支えるための実践力の向上、3つ目が、介護過程の実践力の向上、4つ目が、認知症ケアの実践力の向上、5つ目が、介護と医療の連携を踏まえた実践力の向上となります。

 この教育内容の見直しのスケジュールにつきましては、下段にありますように、2018年度から周知を行う、2019年度より順次導入を想定ということで書いております。

 2ページ目から、介護福祉士養成課程の教育内容の見直し、主な事項を記載させていただいております。一番上の青い破線の部分をご覧いただきたいと思います。1つ目の○でございますが、「報告書」に示された今後求められる介護福祉士像に即しまして、「社会福祉士養成施設及び介護福祉士養成施設の設置及び運営に係る指針について」に示されております各領域の「目的」、教育内容の「ねらい」を体系的に整理しています。

 2つ目の○、領域間で関連・重複する教育の内容の整理を含め「教育に含むべき事項」の趣旨を明確にするために、指針に「留意点」を追加しております。こちら、参考資料2とともに読んでいただきたいのですけれども、「介護福祉士養成課程のカリキュラム(案)」というものを添付しています。参考にご覧いただいたほうがわかりやすいので、今の青い破線で囲んだ部分について御説明をさせていただきます。

 下に1ページ目、2ページ目と書いてあるところをお開きいただきたいのですけれども、2ページ目が「求められる介護福祉士像」と「領域の目的と教育内容等」、現行を記載させていただいています。1ページ目が、今回作業部会、幹事会等々で御検討いただいて、「求められる介護福祉士像」と「領域の目的と教育内容等」をお示しした案でございます。今、青い破線の部分でお示ししたのは、この指針の部分の1ページ目の「目的」というところと、教育内容の「ねらい」というところを改めて今回の報告書に沿いまして整理をしたということが、青い破線の1つ目の○の部分でございます。

 2つ目の○の部分につきましては、3ページ目と4ページ目をお開きいただきたいのですけれども、4ページ目が、例えばということで「人間と社会」の領域の現行部分でございます。3ページ目が、今回お示ししている、御報告させていただく案なのですけれども、この「教育に含むべき事項」もご覧いただきたいのですが、その横に「留意点」というものを加えたというのが、今回の見直しで新たに追加したところでございます。これは先ほど申し上げたように「教育に含むべき事項」の趣旨というものを改めて明確にさせていただいて、お示しをしているというところでございます。

 資料2にお戻りいただければと思います。こちらが青い破線の部分の御説明でございます。以下、具体的な4つの観点に沿った見直しの内容を簡単に御説明させていただきます。

 マル1、チームマネジメント能力を養うための教育内容の拡充ということでございます。真ん中のオレンジ色部分の○を見ていただきたいのですけれども、「人間関係とコミュニケーション」の教育に含むべき事項に、チームマネジメントを追加しております。時間数も30時間から60時間としております。

 マル2、対象者の生活を地域で支えるための実践力の向上という観点からは、下のオレンジの箱の1つ目の○で、「社会の理解」の教育に含むべき事項に、地域共生社会を追加しております。

 すぐ下の2つ目の○、さらに「介護実習」の教育に含むべき事項に、地域における生活支援の実践を追加しております。

 3ページ目、マル3、介護過程の実践力の向上というところでございまして、オレンジ色の1つ目の○、領域「介護」の目的に、各領域での学びと実践の統合というものを追加しております。

 2つ目の○、「介護総合演習」と「介護実習」にこれまで現行の「教育に含むべき事項」という記載がなかったのですけれども、新たに「教育に含むべき事項」というものを追加しております。

 マル4、認知症ケアの実践力の向上ということで、同じくオレンジ色の箱の1つ目の○ですが、「認知症の理解」の教育に含むべき事項に、認知症の心理的側面の理解を追加しております。

 2つ目の○として、「認知症の理解」の教育に含むべき事項に、認知症に伴う生活への影響のみならず、認知症ケアの理解を追加しております。

 マル5、介護と医療の連携を踏まえた実践力の向上ということで、オレンジ色の1つ目の○ですが、「介護実習」の教育に含むべき事項に、多職種協働の実践を追加しております。

 2つ目の○、「こころとからだのしくみ」の教育に含むべき事項を、これは基礎的な教育内容と各論的な教育内容を順序立てて示すという観点からですけれども、こころとからだのしくみ1(人体の構造や機能を理解するための基礎的な知識)と2(生活支援の場面に応じた心身への影響)に大別しております。

 3つ目の○、「発達と老化の理解」の教育に含むべき事項の「人間の成長と発達」に、ライフサイクルの各期の基礎的な理解を追記したということでございます。

 4ページ目、以上がカリキュラムの見直しを御説明させていただいたのですけれども、さらに「検討チーム」から、今後取り組むべき事項に関する意見というものをいただいております。「検討チーム」におきまして、見直しを行った介護福祉士養成課程の教育内容が、その目的や狙いに沿って体系的かつ効果的に教授されるために、次の3点の取り組みの必要性について意見があった。

 1つ目の○、教授方法や教育実践の事例を含めた教育方法の提示。今般の見直しにおいては、教育に含むべき事項について、留意点を示した。その教授に当たって、想定される教育内容や教育実践の好事例、教育活用等の教育実践の検討を行い、効果的な教育法方法を示すことが必要。

 2つ目の○、体系的な教育実践の必要性。それぞれの領域の狙いや教育内容の目的・趣旨を踏まえ、相互の体系的な関連性・順次性を考慮した教育実践が必要。このため、相互の体系的な関連性や教育の目的を可視化する仕組みとして、カリキュラムマップやカリキュラムツリーの活用方法の検討が必要。

 学内で学んだ知識と技術を実践の場で統合し、専門職としての態度や実践力を養うため、養成校と実習施設が連携する必要がある。このため、実習施設と介護実習の目的や狙いの共有を図ることや、実習指導の質の向上を目指した取組が必要。

 3つ目の○、習得すべき知識や技術の評価指標の作成。領域の目的や教育内容の狙いに示した習得すべき能力や態度について、基準となる修得度の評価指標を作成することが必要。この検討チームからいただいた御意見につきましては、今後しっかりと検討してまいりたいと考えています。

 5ページ目、参考として今回の全体像の時間数をつけております。ご覧いただければと思います。

 6ページ目、先ほど、検討チームと申し上げたメンバーでございます。左側が幹事会と作業部会、領域ごとに3つ設けさせていただきました。右側を見ていただきますと、検討経過をまとめておりますけれども、幹事会、各領域の作業部会、各3回、そして、領域幹事作業部会を計2回開催していただきまして、精力的に御議論、御検討いただきました。ここの福祉人材確保専門委員会からも委員としてご出席いただき、まことにありがとうございます。改めて、この場をかりて検討チームの方々、先生方を含めて感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 説明は以上でございます。

○田中委員長 ありがとうございました。

 これは報告事項ということでよろしいのですね。

○柴田福祉人材確保対策室長 報告です。

○田中委員長 報告事項ではありますが、ただいまの内容について、御質問、御意見があればお願いいたします。

 白井参考人、どうぞ。

○白井参考人 日本介護福祉士会の石本の代理の白井と申します。

 何点かお話しをさせていただきたいと思います。今回のこの介護福祉士の養成課程における教育内容の見直しの中で、より質の高い介護福祉士を養成するということで考えてみると、教育を今後実施していくことになると思うのですが、養成施設の教員とか、現在学んでいる学生の立場から考えると、余り教育の中で過度な負担とならないような教育が必要ではないかという考え方は妥当だと思います。そうした範囲の中から介護福祉士に求められる資質ということで、養成課程で習得できるような視点が必要かと思います。

 その観点からも、今回、先ほど御説明がありました教育に含むべき事項の中に留意点を設けたという部分については実際に教育をしていく上で極めて大事だと思っています。

 3点ほど意見を述べさせていただきたいと思うのですけれども、この見直しの中の4ページの今後取り組むべき課題等が載っているところにも出ているのですけれども、新しいカリキュラムの内容とする教育を教育現場や介護実習や、そうしたところでやっていくことになると思うのですが、各科目の教育内容を踏まえて、どのような順番でどのように教えていくのかという事柄については整理していく必要性があるのではないか。その辺が大事かと思います。これについては、各養成施設でも十分な検討が行われる必要があるのかなと思っております。

 このカリキュラムの中には、当然介護実習があるわけですね。そうした点で見れば養成施設だけでは教えられない、まさに現場へ行って実習を積み重ねることによって、学生のさまざまな学びがその中から出てくるのだと思うのです。そういった部分で言えば、実習生を受け入れている施設や事業所、その中で指導に当たる実習指導者の養成教育というのも極めて重要ではないか。この一翼を担う存在だと私どもは考えています。

 このことを踏まえて、我々としても、職能団体として、養成施設ですとか、当然介護サービスの事業者とともに、より質の高い介護福祉士の教育体制を検討していきたいと思っています。

 3つ目、今、介護福祉士の実習指導者のお話をさせていただきましたが、今回示されているさまざまなカリキュラムの中には、新しい内容がかなり含まれていると思います。その中で考えると、有資格者のフォローを行っていくことも極めて重要かと思っています。そういった事柄についても、職能団体として、取組の推進を図っていきたいと考えています。そのためには、介護サービスの事業者や養成施設との協力も必要ですが、ぜひ厚生労働省からの御支援も賜りたいと思っております。

 今回示されている教育内容を見せていただきますと、当然介護福祉士に必要とされる知識を学んで、それを統合化して、現場で活かすための実践教育ということが、具体的に示されているように見ています。そして、それが今まで以上に明確化しているのではないかと感じて、御説明を伺わせていただきました。

 今回の幹事会ですとか、作業部会ですとか、その委員の皆様、また、事務局の皆様にも、いろいろな取り組みをしていただいたことに関して感謝申し上げたいと思います。

 以上です。

○田中委員長 ありがとうございました。

 ほかにこの報告事項について、何かコメント等、ございますか。

 上原参考人、検討過程に加わっていらしたのですね。どうぞ。

○上原参考人 介護福祉士教育は、領域が「人間と社会」と「介護」と「こころとからだのしくみ」となっておりまして、社会福祉系、介護系、看護系教育の連携教育です。生活を支えるというのは幅が広いので、その連携教育で、特に2009年度の改定から「介護」の領域を中心にして、あと2つの領域がバックアップをするという形をとり、時間数は科目によって大きく括られていて、学校の中で実際にどうその時間を分担して教育するかというところがとても大きなポイントだったと思うのです。

 今回、その形はそのまま残しながら、もう一回、各領域の中で、いかに意味ある連携をするかというところを、各作業部会の先生たちには、時間は増やさずに、なおかつそれぞれの領域の中でお互いの科目がどのように連携するかというところで議論していただきました。前はなかった留意点として、この辺をポイントに置いて連携していこうということを新たに提示しています。そういう意味では、改めてもう一回、今の新たな課題に対応する介護福祉士教育のあり方について領域ごとで相当議論していただいて、まとめています。

 また、問題は、先ほどの社会福祉士と同様に地域を意識するというところは介護福祉士教育の中でも強調されています。社会福祉士教育も介護福祉士教育ももともと地域は視野に入れてきたと思うのですが、現実に介護の分野では、逆にとても地域の実習がしづらくなっているのです。例えば訪問介護実習が前は必置だったのですが今は生活介護の時間数が短くなってしまって、実習生を連れて歩いていたら、仕事にならないというのが現実で、学生は、その地域での暮らしとか訪問介護の現実が見えなくなっているようなところも実はあります。

 地域密着型やグループホームでの実習が、それにかわって地域を意識するというところで位置づけられてはいるのですが、グループホームも10年たつと重度化してしまって、ターミナルに近いような現状、なかなか地域の一員としてとか、地域でどう介護福祉士が役割を果たすかというのが見えづらい中で、現実にどうやっていくか。

 そういう意味で、社会福祉士も多分同じなのですけれども、地域を意識した実習をどう仕組んでいくのか、教育する側と現場との双方の努力が相当いるというあたりを、この間議論してきました。そういう意味では、『教育の手引き』を前もつくったのですが、相当丁寧にいろいろな教育実践例を挙げながら、教育のあり方については、再度、現場の方々とも一緒に議論していきたいと思っています。

○田中委員長 ありがとうございます。

 その幹事会で石本委員、堀田委員、川井委員がおられるのですが、きょうはいずれも御欠席なので、かわりに御説明していただきました。ありがとうございました。

 事務局からも御説明があった、留意点がついているのは確かに進化ですね。これはずっとわかりやすくなりました。さらにその先もあるとおっしゃいましたけれども、一応、ここは進化したと私は感じます。

 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、これがうまく現場におりるように期待いたします。

 ほかに意見がないようでしたら、本日の審議については以上といたします。次回は社会福祉に関して本日皆様からいただいた御意見やこれまでの議論を踏まえて、取りまとめに向けた議論を行う予定です。

 次回の開催について、事務局から説明をお願いします。

○片桐福祉人材確保対策室長補佐 次回の専門委員会は、3月16日、金曜日の16時からの開催を予定しております。

 場所については、決まり次第、御連絡させていただきます。

○田中委員長 本日の委員会はこれにて終了いたします。

 御多忙のところお集まりいただき、また、活発に御議論いただき、どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(福祉部会福祉人材確保専門委員会)> 第13回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会 議事録(2018年2月15日)

ページの先頭へ戻る