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2018年9月6日 第2回戦没者遺骨収集推進法に基づく指定法人への指導監督等に関する有識者会議

社会・援護局事業課

○日時

平成30年9月6日(木)14:00~16:00

 

○場所

厚生労働省 専用第12会議室(15階)

○出席者

戸部座長  竹内構成員  犬伏構成員  熊谷構成員  浜井構成員 
 

オブザーバー

一般社団法人日本戦没者遺骨収集推進協会専務理事

○議題

(1)第1回有識者会議における助言・意見の反映状況
(2)平成30年度指導監査の結果報告
(3)平成29年度戦没者遺骨収集事業について
(4)平成30年度予算、平成31年度概算要求について
(5)質疑
その他 行政施策の状況につて
 

○議事

1 主な提言・助言
(1)支出決定における手続きについて
 指導監査で不備が確認された指定法人における会計手続きについて、適正処理を前提として、業務の効率化及び改善を図るべきである。
(2)遺骨収集事業の実施方法について
 推進法が成立して3年目を迎えるなか、指定法人は事業を積極的かつ効果的に進めるに当たっての課題と改善点を洗い出して提示すべきである。同時に、厚労省においても、この3年間の取り組みを検証し、次年度以降の最善の体制作りを行うべきである。
(3)関係省庁、関係諸国との連携について
 中止となった遺骨収集事例の検証を行い、そうした事例の再発防止に努めると共に、遺骨収集の推進を図るために関係省庁の担当者と定例会議を実施する等連携を密にすべきである。また、関係諸国との連携についても、可能な限り積極的に関係省庁と協力して取り組むべきである。
(4)迅速な情報公開と事業の普及啓発について
 積極的かつ迅速な情報公開及び長期継続的な事業の実施、次世代継承等の観点から、どうすれば広く国民に対し戦没者の遺骨収集に対する理解及び協力を得られるか検討すべきである。
 
2 発言概要
(以下、構成員を○、事務局を●、オブザーバーを◇と表示)
 
(1)平成30年度指導監査結果報告について
○口頭指摘事項の消耗品の購入について、日用品的な物も含め全ての消耗品について専務理事の決裁が必要なのか。
 最終的な意思決定権が専務理事であることは間違いないと思うが、細かいところまで全てを専務理事がやるべきかどうか若干改善の余地はあるのではないか。今後の体制の見直し、業務効率化ということで考えてほしい。
○責任体制を明確にすると同時に、適正処理を前提として、限られた職員体制の中で業務の効率化を図ることができればよい。
◇手許現金以外のものについては支払いまでに3回承認することになっているが、3つの段階の中で、最終的には専務理事が承認しないと支出はできないので、勝手に支出しているわけではない。
 
(2)平成29年度戦没者遺骨収集事業について
○3点質問したい。まず1点目は、DNA鑑定状況について、前年度、平成29年は判明、否定を含めて66件という実績になっている。これは例年の数字と比べるとかなり少ないように思えるが、その理由や背景を教えてほしい。
 2つ目は、現地調査員及び統括現地調査員が平成29年、平成30年度においてどこに何名配置されており、その区分はどうなっているのか。3点目は、中国に関して、今後の予定としては引き続き外務省と連携し、機会を捉えて遺骨収容の実施に働きかけるということだが、前回の会議では2016年の6月に1度、駐日大使館に説明をしたとのことだったが、その後、昨年度においてどのような働きかけをしたのか。
●1点目については、平成28年度は全体で434件の結果が出ており、身元がわかった方が40件、否定された方が394件、これは逆に例年に比べて数が多いということになる。
 これは、平成28年度から沖縄での新たな取り組みを開始したという要因がある。沖縄では一定程度、死没地点が資料で残されているということもあり、遺留品がない場合でもDNA鑑定を開始した結果、多くの方に手を挙げていただいたが、残念ながら全て否定につながったということで、394という数字にあらわれている。
  一方、平成29年度は、歯以外にDNA型を採取できるような御遺骨が見つかった場合には、遺骨検体として持ち帰るというような試行的な検証などを専門家の方々が行ってきた。
 理由は一概には言えないが何か極端な理由があって数が減ったということではなく、さまざまな試行的な検討、検証をしている状況である。
○次年度からは実際にこの年度に何件の鑑定が行われたのかという鑑定件数も入れてほしい。
○DNA鑑定の鑑定数3,308件とあるのはDNA鑑定を始めた平成15年からの延べ数か。年度ごとにはでるのか。
●平成15年から開始して以降の累積である。次回の資料は全体が見渡せる形に改める。
●2点目の質問である現地調査員については、ミャンマー、東部ニューギニア、ビスマーク諸島、ソロモン諸島、マリアナ諸島で配置。例えば、ミャンマー、東部ニューギニアには統括現地調査員が1名と、現地調査員が1名の各1名、ビスマーク諸島では統括現地調査員が1名。マリアナ諸島は、現地調査員が2名体制。統括現地調査員が、現地調査員の役もしつつ、現地調査員の取りまとめをしているのが実態である。
●3点目の中国との関係について、2016年4月に法律が施行され、政府の基本的方針が決められたという一つのきっかけを捉えて、在京大使館に面会を求めて受け入れてくれたという経緯がある。それ以降も外務省と相談をしながら進めていくということにはなっているが、なかなかその糸口がまだ正直言って見つかっていない状況である。
 
○全体の質疑応答のところで質問すべきことかもしれないが、遺骨収集数が伸びていないというか、減っている。せっかく議員立法で遺骨収集に国が努力するという目標が掲げられたにもかかわらず、ここ数年遺骨収集数が増えていない。なぜこういう状況になっているのかを改めて説明してほしい。
●今日、法律の施行前から、具体的に戦没者の御遺骨が一体どこにあるのかという情報が極めて乏しい、あるいは乏しくなってきたことが大きな課題である。まずは情報を集めようと、平成21年度からは対戦国側が遺した資料の中にヒントがないかということで、今日まで情報収集に努めてきた。平成31年度までは情報の分析と現地調査によって御遺骨の所在を明確にし、その上で場所が特定できたところから順次、収集団を派遣するという流れで実施していきたい。

(3)平成30年度予算、平成31年度概算要求について
○遺骨鑑定体制の強化に関して3点質問したい。平成29年度予算から平成30年度予算で9,000万円くらいの増になった。平成30年度において体制強化という意味でDNA鑑定機関が増えているのかということが1つ。
 2つ目は、この1件当たりの単価が幾らに増えたのか。
 3点目は、平成31年度要求において遺骨鑑定の予算要求が同額だが、このDNA鑑定機関を来年度以降も増やしていくということが想定されているのか。
●DNA鑑定機関については全国の、主に大学機関の法医学教室などの専門家に委託しており、大学との契約ということで11機関にお願いをしている。古い御遺骨からDNA型を抽出する技術は一定の専門性などを要するため、現在携わっている専門家にご相談しているが、まだ具体的な増加には及んでいない。
 一方、予算については単価契約という形式で1件当たり幾らという出来高に応じて支払っている。例えば今年度11機関から12機関に増えた場合でも、その大学との契約においては1件当たりの出来高で支払うため、予算の範囲内で対応し得る。単価は、御遺骨からDNA型を抽出して御遺族のデータとのマッチングを行うところまで1件当たり5万円だったが、平成30年度からは1件当たり8万円に増額することで、各機関との同意を得て契約をした。
 
(4)遺骨収集全体に対する質疑
○まだかなり多数の未収容の御遺骨があるという状況で、予算に限りがある中、今後どのような方針で進めていくのか。
●目下の課題は、いかに御遺骨の所在の情報を集め切るか、それをいかに特定し得るかというところに大きな課題があろうかと考えている。
  各地域の取り組み方針で示したとおり、例えば幾つかの地点においては、行けば必ず収容できるような情報もあり、可能な限り早く手をつけていきたい。また、一部においては現地側との調整がまだ整っていないところがあるため引き続き外交努力も含めて調整を進めていきたい。
  一方、フィリピンでの事業再開が今年度から見込まれ、ここは一番数多くの未収容の御遺骨があるので、当座は、事業が立ち遅れていた7年間の取り返しをし、さらに前へ進むということも重点的にやっていきたいと考えている。
 
○推進法の趣旨に沿って、積極的な遺骨収集の推進と事業のあり方という観点から3点ほど指摘、提言したい。
  まず1点目で、事業のあり方について、本年度、推進法の成立から3年目に入っており、これからは法の趣旨に沿って、より積極的かつ効果的な遺骨収集を進めていく必要がある。推進法の成立後、一定の成果も出ていると受けとめており、また現場の方のお話を伺うと大変御苦労されているということは承知をしている。しかし、収容実績という面でいうと少し減っているのではないかということで、法律の実効性についても少なからず疑問の声が挙がっているという現状だと思う。
  もちろん、海外での公文書調査等、結果を踏まえて今後成果が出てくることを期待しているが、集中実施期間というのは9年と定められていて、残りの期間は6年余りということを鑑みて、指定法人においてはこれまでこの2年、3年の経験を踏まえて、事業を積極的かつ効果的に進めるに当たっての課題と改善すべき点を洗い出して提示をしてほしい。
  この点に関して、厚労省においては9年の内の3年ということが今回区切りになるので、きっちりこの3年間の取り組みというものを検証し、次年度以降にまた最善を尽くしていくという体制を作ってほしい。
  2点目は、関係省庁並びに関係国政府との連携について、2017年9月にトラック諸島への遺骨収集の派遣というものが行われたが、現地地権者との調整が出来ておらず、遺骨収集作業をすることなく帰国するという事案が発生している。
 遺骨収集ができる体制を整えるのは指定法人ではなく厚労省、そして外務省等の国の責任で行うものであると考えているが、結果として、それがなされなかった。予算、税金がかかっている事業なので、二度とこのようなことがないように、今回の事案についてきちんと検証をし、再発防止に努めてほしい。
 また、厚労省と外務省の連携が十分にとれて交渉ができていたのかということについても若干疑問の余地があるので、例えば外務省、厚労省の担当官で定例協議を設けるなど、連携を密にしてほしい。関係諸国との連携について、可能な限り関係国と積極的に協力して取り組むべきであり、積極的に検討してほしい。
  3点目は、情報公開と事業の普及啓発という点に関して、前回の有識者会議が開催されたのが2017年12月1日で、その議事概要がウエブサイトに掲載されたのが3月末、年度末であった。その間、少なくとも私には何ら連絡もない状態であり、余りにも対応が遅かったのではないかと思う。年度末ぎりぎりになって掲載したというような印象も抱いた。事務局のこういった姿勢には、疑問を抱かざるを得ない。
 閣議決定された基本計画においては、戦没者の遺骨収集に関する普及啓発がうたわれており、次世代継承等の観点から、広く国民に対し戦没者の遺骨収集に対する理解及び協力を得ることができるよう、展示会の開催やパンフレット配布等による普及啓発を行うものとすることが書かれている。これは長期継続的な事業の実施という観点から非常に重要なことであるため、今後どうすればこの点を徹底することができるのかということについてしっかりと検討して、なお一層、積極的な普及啓発を実現してほしい。
●議事概要の公開が遅れた不手際について、皆様にお詫び申し上げる。
 情報公開の点については、ご指摘を踏まえて、姿勢をどう正すべきかしっかり検証していきたい。事業のあり方については、まずは情報収集、それからその分析、整理に努めて、具体的にどう展開すれば、より効率的に成果を上げ得るのかについて引き続き真剣に考えていきたい。
 それから、関係機関、あるいは関係諸国との関係については、関係省庁にもぜひ協力を呼びかけていきたい。
○この遺骨収集事業は役所の事業である前に本来は国民的な事業であるはずなので、大げさに言えば国民を巻き込むようなPR活動というのはかなり重要な部分を占める。その点について厚労省の方で何か工夫をすることが必要なのではないか。
 それから、これは法人へのお願いでもあるが、やはり若い人を巻き込んでいかなければならない、後継者を育てていかなければならないので、そのための基盤を作ってほしい。
○広報活動について、厚生労働省ではいろいろなリンクを張って見られるようになっているので、ここに協会のリンクを張って飛べるようにしたらある程度啓発とか広報になるし、人目には触れる機会になろうかと思う。
○また、協会でパンフレットを作ってもらえれば、よりわかりやすいと思う。
 
その他 行政施策の状況について
○フィリピンのDNA鑑定結果について、既に公表されていた国立遺伝学研究所の鑑定結果では、日本人に統計的に有意に見られる個体というものは5件見つかったということだったが、この5件について、その後まだフィリピンに保管されているのか、あるいは持ち帰られてもう既に千鳥ヶ淵なのか。
●この検証当時、フィリピン国内にあった御遺骨はフィリピンの国立博物館に委託をして、保管料を支払った上で厳格に管理をしていただいている。
 先般、フィリピンとの覚書協定が締結できたので、今後は遺骨収集の実施とともに、その残された御遺骨の日本への帰還に向けた準備を既に進めている。
 
以上

 

 

 

 

 

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