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2018年2月27日 (独)国立のぞみの園の在り方検討会(第5回)議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成30年2月27日(火)13:30~15:30


○場所

労働委員会会館612会議室


○出席者

佐藤座長
石渡構成員
大塚構成員
菊地構成員
北岡構成員
千葉構成員
遠藤オブザーバー

○議題

(1)「(独)国立のぞみの園の在り方検討会」報告書(案)について
(2)その他

○議事

○佐藤座長 皆さんこんにちは。定刻になりましたので、ただいまから第5回独立行政法人国立のぞみの園の在り方検討会を開催いたします。構成員、オブザーバーの皆様方におかれましては、御多忙中のところ、お集まりいただきありがとうございます。
 議事に入る前に、事務局から出席状況、資料の確認をお願いいたします。
○渥美施設管理室長補佐 構成員の出席状況ですが、本日は佐々木構成員、小林構成員から御都合により欠席との御連絡をいただいております。なお、菊地構成員につきましては、遅れる旨の連絡がありましたので申し上げます。なお、事務方といたしまして、宮嵜部長、朝川企画課長につきましては、国会業務のため、遅れての出席となります。
 続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御覧ください。「(独)国立のぞみの園在り方検討会」報告書(案)です。その下に参考資料として、昨年10月23日に、調査研究作業チームにより報告のありました「国立のぞみの園に関する調査結果」がついております。以上ですが、お手元にございますでしょうか。過不足などございましたら、事務局にお申し付けください。
○佐藤座長 よろしいですか。それでは議事に入らせていただきます。まず、本日の資料の報告書の案は、前回の議論に引き続きまして、私と事務局で調整を行った上で、作成をさせていただきました。それでは、報告書の案について、その内容を事務局から説明をお願いいたします。
○池田施設管理室長 冒頭申し上げましたが、朝川企画課長ですが、国会業務で遅れての出席になりますので、池田のほうから報告書(案)について御説明を申し上げます。
 お手元に国立のぞみの園の在り方検討会報告書(案)、参考資料で、平成29年10月23日に、調査研究作業チームでおまとめいただきました資料を配らせていただいております。本日は、調査結果の概要につきましては御説明は省略させていただきます。
 それでは、報告書(案)の目次ですが、「はじめに」から始まりまして、1が国立のぞみの園の現状、2が基本的な在り方、3事業内容、4業務運営、5スケジュール、あとは開催状況、構成員名簿、今御説明しました参考資料という掲載になります。それでは御説明申し上げます。
 1ページ、はじめにです。こちらはのぞみの園が昭和46年4月から、特殊法人の時代から開設しているということで、この法人の経緯を簡単に述べさせていただいております。まず1つ目の○は、昭和46年4月に、特殊法人の協会が開設して、施設として位置付けられたと。
 2つ目の○です。その後、平成15年10月に、特殊法人の改革がありまして、特殊法人から独立行政法人に移行されたと記載しています。
 3つ目の○です。のぞみの園は、入所者の地域移行を推進するとともに、重度知的障害者のモデル的支援の実施等について、知的障害者の福祉の向上に貢献してきた。
 4つ目の○です。しかしながら、世の中の状況が変わりつつあります。高齢化された方の処遇の問題ですとか、財政の問題、施設の老朽化など、近年、取り巻く状況が大きく変化しているということです。このため、昨年5月から本検討会を開催させていただき、本日検討結果をまとめたので報告するという内容になっています。
 2ページです。1で国立のぞみの園の現状を記載させていただいております。1入所者の状況ですが、当初は500名弱いらっしゃいましたが、現在は238名に減少している。平成15年10月に独立行政法人化されて、29年4月1日現在では、224人が入所されていて、平均年齢は65.4歳、平均障害支援区分は5.9と、高齢化、重度化になっている。65歳以上の入所者数は130人で、全体の6割弱を占めているという状況です。
 2つ目の○です。一方、現在取り組んでおります強度行動障害の方、矯正施設を退所された方につきましては、有期限で15人を受け入れておりまして、平均年齢は29.5歳、平均障害支援区分は5.2と、年齢も若いですし、障害支援区分も若干低くなっています。
 2の財務の状況です。平成16年当時は42億円ぐらいの事業経費がありましたが、平成28年度では31億、事業収入は17億の収入から18億になっています。運営費交付金ですが、23億から12億と、それぞれ減額になっております。平成15年10月からの独法化以降、事業経費、運営費交付金も減少となっているということです。
 3、建物の状況です。2ページから3ページです。御案内のように、広大な建物の敷地がございます。その中には各生活寮や各種活動支援棟があるわけですが、いずれにしましても、耐用年数が過ぎている建物も多く存在しています。
 4運営の状況ですが(1)として、平成15年10月に独立行政法人に移行する際に「国立コロニー独立行政法人化検討委員会」の報告書が取りまとめられておりますが、今後新たな入所者を受け入れないことを基本として、現在の入所者については地域移行を進めていくということで、現在もこの方針に基づき事業を実施しています。
 (2)地域移行の推進です。こちらはノーマライゼーションの理念に基づき、基本的には地域移行していくということがありました。当然ながらのぞみの園も、こうした時代の要請に応じて、早急に転換していく必要があったということです。また、前述の報告書(「国立コロニー独立行政法人化検討委員会報告書」平成15年8月8日)においても、地域移行の推進をということがあり、平成29年3月末では、170名の方が地域移行されているところです。
 4ページです。(3)有期入所者の受入です。先ほど、新規のいわゆる一般の方の受入れは停止していますが、平成23年度からは、強度行動障害のある方の受入れ、平成20年度からは矯正施設退所者の方を、有期ではありますが受け入れています。
 (4)診療所の機能を活かした支援で、診療所につきましてはいろいろ議論はありますが、のぞみの園にはやはり医療スタッフと設備を確保した医療サービスを提供しているわけですが、2つ目の○です。入院病棟では13床整備いたしまして、入所者の方が疾病等になられたときには、使用させていただいています。また、地域の障害をお持ちの方につきましては診療を行っていまして、平成28年度の外来患者の受入れ数は5,800件ほどとなっています。
 (5)支援の実践を踏まえた調査・研究です。この調査・研究につきましては、必要なテーマをその都度設定させていただき、その成果が全国の支援者施設などで活用されるなど、実効性のあるものとなるように努めているところです。
 5ページ、上の○です。また、これまで培ってきた専門性を活用しまして、のぞみの園のフィールドがあるということが非常に強みです。そういったフィールドを活かして実践結果をまとめ、調査・研究を実施しているところです。以上1で現状を御説明させていただきました。
 次に、2の基本的な在り方です。1国立のぞみの園の役割です。のぞみの園は、のぞみの園法により、重度の知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援の提供、調査・研究を行うことにより、知的障害者の福祉の向上を図るということを目的としています。
 2つ目の○です。御説明しましたが、障害者の高齢化、重度化、環境の変化を見据えながら、国立のぞみの園に求められる役割を考える必要がある。このため、のぞみの園では、全国の施設の取組状況を把握し、それを踏まえて国として実施すべき事業に絞って役割を担うべきであると記載させていただいています。
 次の○です。障害者の高齢化や重度化が進行する中で、地域移行という視点は重要ですから、そういった要請にも応えていくべきである。また、旧法人からの入所者約250名強ですが、入所に至った経緯、現状を踏まえて、本人や御家族の不安が生じないように、国として最後まで責任をもって支援をするというメッセージの発信が必要であるということです。また、著しい行動障害を有する者は、グループホームで適切にケアする事例が存在することを考慮する必要がある。これはこの検討会で社会福祉法人にグループホームで適切にケアされているということもあるので、その辺も考慮すべきであるということです。
 6ページ目です。一方、先導的な取組を行うに当たっては、支援方法、人材、職員配置、財源も含めた経営モデルとなる必要がある。今後、従来の実施方法を検証し、支援方法、職員配置、財源等について、全国の施設で実践可能となるようにすべきであるということです。
 2の運営主体です。平成15年10月から特殊法人から独立行政法人に移行しているわけですが、独立行政法人になるということとは、政策的な意味がある一方で、社会環境などの変化に伴って見直していく部分もあると言える。また、自治体などから民間へ実施主体を移行した事例も存在することを考慮する必要がある。これも本検討会におきまして、事例発表していただいたところです。以上を踏まえまして、運営主体につきましては、独立行政法人がよいのか、検討する必要があるという記載をしています。
  以下の事業内容で検討した結果、実施すべきとされた事業を担うにふさわしい主体となるよう見直しを行うべきである。その際、障害者総合支援法の施行により、障害福祉サービスが全国的に普及している状況も踏まえた検討も行うべきである。昭和の時代から平成に変わり、障害福祉サービスも相当普及していることを踏まえて検討を行うべきであると記載しています。
 3事業の内容の1、旧法人時代からの入所者に形る支援、繰り返しになりますが、平成15年10月以降、いわゆる一般の入所者の方については受け入れてはいない。地域移行者数につきましては、29年3月末現在で170名ですが、平成15年度から19年度は、地域移行させる初期ということで、44名、7ページの第2期中期目標期間は、106名、逆に第3期中期目標期間になりますと、やはり重度で高齢化の方がいらっしゃるので、なかなか地域移行が進まないということで20名と。近年では地域移行者数が減少している状況にあります。
 しかしながら、障害福祉計画の基本方針におきましても、福祉施設の入所者の地域移行というのは定められています。今後も更に地域移行を推進する必要がある。このため、今後は、平成30年度障害福祉サービス等報酬改定で、新設が予定されている重度の障害者への支援を可能とするグループホーム、特別養護老人ホームにつきましては、移行先として選択肢がなかったわけではないですが、そういったところがこの4月から変わる。障害報酬サービスでも手厚くなりますし、特別養護老人ホームについても移行することが少しはハードルが低くなるということで、地域移行を推進していくべき。また、今後、地域移行を大きく進めていく中で、社会福祉法人などが、役割を担えるか検討すべきである。高齢化が進み、常時医療的ケアが必要な者については、その支援の在り方について検討する必要がある。のぞみの園の入所者の方も高齢化、医療的ケアが必要ですが、全国の社会福祉法人でもこういったことについては御苦労されている点があると思っています。
 2の有期入所者に係る支援です。強度行動障害の方、矯正施設を退所された方については、有期限で入所支援を実施しています。平成28年度までに、強度行動障害の方は15人、矯正施設退所者につきましては32人をそれぞれ受け入れています。現状として、強度行動障害の方は、常に数十名の待機者がいらっしゃいまして、その対応が大きな課題となっています。また、矯正施設を退所された方につきましては、刑期が不明確ということで、待機は発生してはいませんが、入所の要望ですとか、相談というのは恒常的に寄せられている状況です。
 8ページです。このような状況で、強度行動障害、矯正施設を退所した方につきましては、引き続き支援を行う必要があるが、全国の施設の状況も踏まえて支援の在り方を検討すべきである。この検討会でも事例発表がありました。体力のある法人では受けられている所もあります。また、これらの取組は全国的な規模で普遍化されることが必要である。そのため、利用者に係るのぞみの園における実践について、調査・研究の結果を積極的に発信することが望まれる。のぞみの園で調査・研究したものについては、発信が望まれているということです。
 3の調査・研究、養成・研修及び援助・助言です。調査・研究につきましては、適切なテーマを設定し、のぞみの園のフィールドを活かした調査・研究を実施してまいりました。また、養成・研修につきましては、国の政策課題や、関心の高いテーマを取り上げて、セミナーや研修会の開催、成果等も発表させていただいております。更に援助・助言につきましては、求めに応じて、調査・研究の結果等に基づき、援助・助言を実施してきたところです。
 9ページです。今述べましたように、国立のぞみの園のフィールドを活かして支援の実践結果を全国に発信するため、引き続き調査・研究、養成・研修及び援助・助言を実施すべきである。また、調査・研究の方法として、全国の先駆的実践を集約しネットワーク化を図ることも検討すべきである。また、盲ろう者等への支援など、新たな課題として取り上げた事項については、具体的なニーズの把握に努めるべきであるということです。
 4の附帯業務です。1から12まで現在附帯事業を実施させていただいております。障害者総合支援法の法定サービスもあれば、1、12、13は、自治体から受託を受けて実施している事業もあります。今後事業の効率化を図るため、国として役割を果たすべき事業について、具体的なニーズの把握に努めた上で、本体事業との関連性の薄い附帯事業につきましては、国で行うべき事業との関係から縮小、廃止及び委譲も含めて、抜本的に検討すべきである。
 また、のぞみの園の診療所は、入所者に必要な医療を提供し、支援の質を高めていることから、事業内容の1及び2と密接的に関連すべき機能として捉えるべきである。
 10ページ、4の業務運営です。のぞみの園の経営等に関する調査研究作業チームの資料では、事業収入は平成28年の18億から34年には14億ぐらいになるであろう。3億ほどの減収となる。この傾向は、一般の入所者をストップしているものですから、当然と言えば当然ですが、今後も継続することが見込まれるので、中長期的に運営を維持するのが困難になりつつあることから、事業内容、運営体制等の見直しが必要である。
 また、重度の知的障害者への対応は、重要な課題であり、経営の効率化を具体的に検討すべきである。その際、これらの検討についいては、第4期中期目標の早期に、平成30年4月ですが、運営部門別の収支項目についての分析を行い、人員体制や雇用管理の在り方を含め、早急に実施すべきである。
 2の実施場所です。昭和46年の開園当初から、現在の高崎市にあり、広大な敷地で、高崎市を臨む丘陵地にありまして、起伏が激しく市街地から孤立しており、地域に溶け込んだ場所とはなかなか言い難いのではないかということです。入所者が地域移行などにより、開園当初から半分以下となった状況や、地域移行の理念、共生社会実現を踏まえ、現在よりもより身近な地域で運営すべきであり、その方策については、引き続き検討する必要がある。
 3の老朽化した建物です。相当数の建物が広大な敷地にありますが、58件のうち9件が既に耐用年数が超過していることや、24件については、10年以内に耐用年数を超過する見込みである。ですので、建物も老朽化しているということがあります。このため、老朽化した建物につきましては、今後の利用者数の見込みや、入所者の処遇に相応しい設備のあり方、実施場所等を、総合的に勘案した上で、未使用の建物の処分を計画的に策定すべきである。
 5のスケジュールです。のぞみの園につきましては、現在、平成25年3月に定めました、第3期中期目標、30年3月までですが、それに基づき運営をしている。
 2つ目の○、第4期中期目標につきましては、平成29年度中、3月中に策定することとなっています。今後は、本報告書を踏まえた上で、第4期において、地域移行の更なる推進、運営費交付金の削減などを行っていくべきである。さらに、以下の事項については、厚生労働省と国立のぞみの園で協議し、第4期の早期に着手すべきである。収支分析を行いつつ、人員体制、雇用管理の在り方及び事業内容の検討。運営主体、実施場所等、中長期的在り方についての具体化。
 以上が本文の報告書の御説明で、12ページは第1回から第5回、本日までの開催状況、13ページは御出席いただいております構成員の皆様の名簿を付けさせていただいています。簡単ではございますが、以上が事務局からの報告書の御説明です。
○佐藤座長 ただいま説明の案を、本日、皆様に御確認いただいた上で、報告書として正式に成案を得たいと考えています。冒頭に申し上げたように、この案については、この間、4回開かれた会議の中で様々な議論を進めてきたことを基本に据えて、最終的に私が座長として事務局と協議した上で、最終案としてまとめたものです。
 したがって、できるだけ皆様の御意見、あるいは現状の把握の仕方については配慮したつもりですが、大きな修正意見は基本的にないかと思っておりますが、本日は最終回でもありますので、文言の修正等について御意見がありましたら、御発言いただきたいと思います。その際は、具体的にどの部分をどのように変えるべきかということについて御提案いただければ幸いです。
 また、その理由についても御説明いただければ良いのではないかと思っております。更に、この報告書の取扱いに関しての御意見、あるいは今後ののぞみの園に対する御期待や御意見なども併せていただければと思います。では、冒頭に本日、欠席の通知のありました小林構成員からコメントが届いておりますので、議論に先立ち、事務局から紹介していただきたいと思います。
○渥美施設管理室長補佐 それでは、小林構成員からのコメントを読み上げます。「佐藤座長様、構成員の皆様、第5回目の検討会について、業務都合により、出席できませんことをお詫び申し上げます。議題として、報告書取りまとめが予定されていますので、これまでの私の意見をまとめる意味で、地方自治体の立場から一言申し上げさせていただきます。
 報告書(案)について、検討会欠席のため、予め拝見しましたが、これまでの議論が整理され、各種課題が今後の検討事項としてしっかりまとめられていると思います。なお、重い障害のある方たちの支援については、国がしっかりと関わる、または自治体や福祉に関わる団体をサポートするなどの仕組みが必要と思います。特に、現在、強度行動障害のある方たちへの支援が課題となっていますが、そのような社会的課題への対応方法や直接的支援機能などで、国としてしっかり関わっていただきたいと思います。
 以上、総体としての意見ですが、宜しくお願いします。平成30年2月27日、群馬県健康福祉部障害政策課長、小林啓一」。
○佐藤座長 それでは、構成員の皆さんから御意見を頂きたいと思います。どなたからでも御発言をお願いします。
○大塚構成員 事務局、御苦労様でした。佐藤座長に感謝申し上げます。おおむね、これでということです。余り細かいことですので、あとは佐藤座長にお任せということです。9ページの上から3つ目の丸の、「また、盲ろう者等への支援など新たな課題としてあげられた事項については、具体的なニーズの把握に努めていくべきである」ということです。盲ろうの方たちについての支援は、障害者自立支援法以降、3障害統合ということなので、いろいろな障害についても対応していかなければならないということがよく分かって、そういう方向性もあると思っております。
 ただ、盲ろう等含めて、今までのぞみの園のやってきたこととこれからを含めて、近々未来を考えてみると、将来はあるかもしれませんが遠いところにあるのではないかという印象があります。むしろ、ここについては強度行動障害あるいは触法も含めて、既に取り組んできた発達障害の方等への支援ということが妥当なので、新たに取り組むということかもしれません。
 その根拠です。1つは、一昨年の発達障害者支援法の中において、発達障害者支援法の対象として知的障害を入れるという議論が出ました。御存じのように、アメリカの精神医学会のDSM-5、精神疾患の診断・統計マニュアルについては、神経発達障害という概念が出て、発達障害の中に知的障害や自閉症スペクトラムなどが入るということなので、非常に近似というか近いわけです。
 そういう意味においても、少し広い概念ですが、発達障害についてこれから取り組むべき課題かと思っています。それについては、平成28年5月24日の厚生労働委員会、参議院、衆議院、両方同じでしたが、発達障害者支援法の一部を改正する法律案に対する附帯決議の六に、少し長いのですけれど、「個々の発達障害の原因究明及び診断、発達支援の方法等に関する調査研究を加速・深化させるとともに、発達障害に関する症例を広く把握することにより、不足している分野における調査研究に重点的に取り組むこと。また、これら調査研究の成果や国際的動向等も踏まえ、常に施策の見直しを努めること。その際、発達障害の定義の見直しにも留意すること。」ということで、発達障害の定義というのは、正に、知的障害を入れるかどうかという議論の中で、附帯決議の中で今後の課題となったわけです。
 次の改正のときには、知的障害も入るのだと考えると、一番近いのは、むしろ発達障害、あるいは発達障害者支援法の一部を改正する法律案に対する附帯決議については、二に小児の高次脳機能障害を含む発達障害の特性が広く国民に理解されるよう、取り組むということがありますので、修文としては、多分、発達障害及び高次脳機能障害者等への支援など新たな課題として取り上げ、調査・研究及び全国への支援に努めていくべきであるというのが妥当かと思っております。以上です。
○石渡構成員 今の大塚構成員の御意見に私も賛同して、基本的なところは本当に同じ意見です。盲ろう者については、北岡構成員は検討や御経験もおありなのだと思います。前の会議でも少し紹介しましたが、全国盲ろう者協会などが、ここ5年くらいいろいろな検討を続けていて。確か、平成30年度に厚労省から研究の予算等を頂いてモデル事業をやるというお話も聞いております。
 むしろ、盲ろうについては経験や実際に相談支援をしていらっしゃる団体に支援や予算を付けるみたいな形で、私ものぞみの園が特にと言うのは、発達障害のところだろうと思っています。本日、欠席されているのですが、佐々木構成員にお会いしたときも、のぞみの園としては、是非、今までの調査・研究の蓄積なども併せて、強度行動障害の支援という辺りを今後も引き続き力を入れていただきたいということを、佐々木構成員からここで発言しておいてくださいというお話を頂いております。
 今、やはり発達障害者支援法の中の発達障害の定義が、現状の支援とそぐわない部分もあるというようなお話を、かなり児童発達支援センターで直接支援をしている方からお聞きすることも多いです。今、大塚構成員がおっしゃったような方向で、我が国も知的障害の方を発達障害の中に入れるかどうかという辺りは大きな課題なので、私としては言い切れません。そこのところに力を入れて、そして、そのときに調査・研究部門があって、かつ、診療所での診療があったという辺りが、のぞみの園の強みだと思います。
 そういう中で、のぞみの園の診療所の実績として高評価されたのは、知的障害の高齢化というところ。やはり、高齢になると認知症の症状が出てくる知的障害の方への支援の在り方はどのようにあるべきなのかというところを、かなり具体的な事例や海外の研究成果なども踏まえて方向性を出してくださっています。高齢化という辺りへの対応が医療としての連携を踏まえてできたという辺りは、是非、今後も大きな課題なので、研究部門と併せて力を入れていただきたいと思います。
 ですから、独立行政法人であるのぞみの園としては、もちろん今まで知的障害の蓄積があるわけですから、更に、発達障害の方の支援という新しい課題に対応していただきたいと思います。この報告書として、これからの在り方の方向性を出しているわけですが、もう1つ、これがいかに実行されていくのかというのは、進行管理のところを少し見えるように、今後、どのように確実に是正していくのかという辺りのことについて、何か方向性が見えるといいかということも考えているところです。以上です。
○千葉構成員 私は頂いた報告書全般にわたって、基本的にこれでよろしいのではなかろうかと思っております。むしろ、感想という形で発言することをお許しいただけるのならば、その辺りを触れてみたいと思います。
○佐藤座長 はい、どうぞ。
○千葉構成員 今、先生方のお話にもありましたように、特に、今、石渡構成員からお話があったように、確かに、スケジュールや工程管理は重要かということで、最後のスケジュールの中でも、今後、第4期の中期目標期間の取扱い等々が書かれているので、独法の場合は、これがある意味、工程管理の標になっていくということでもあるので、この中にしっかり入れながら、入れるというか、どこまで盛り込めるのかはもうある程度決まっているのだなと思うのですが、第5期をにらみながら何が書けるのかということは、この4期中に結論を得るという形がいいのかと思っています。
 独立行政法人という同じ立場の組織に属する者として申し上げると、もともとの思想が市場の供給に任せては供給が期待できない分野について取り組むというのが、1つ大きなテーゼになっています。常に、相対的な問題になっているというのは、つまり、社会環境、いろいろな事業基盤、社会インフラ整備動向等、常に裏腹のところで役割を担わなければいけないという意味では、確定的なものが作りにくい、これはすごく難しい部分なのだろうと思っております。
 これまでの議論の中で、障害者自立支援法以降、かなり社会基盤として普及が進んでいく中で、のぞみの園には別な役割があるというのは確かにおっしゃっるとおりです。そういう意味で、今もお話があった発達障害に着目してもう一段深掘りするというのは、確かに、その発想なのではないかと思います。
 一方、独立行政法人のもう1つのテーゼということで言うと、必ず言われるのが、運営費交付金の削減という点になってまいります。その点において、この報告書の中ですごく目に付いたところは、9ページの附帯業務の中の1つ目の丸です。この辺りは、確かに書かれているように様々な附帯業務をやっていらっしゃる。
 一般的に独法が行う附帯業務は、基本的に先ほど申し上げたような市場で賄えないようなニーズ対応という点か、若しくは、市場で賄えたとしても附帯業務を実施することによって逆に運営費交付金の縮減に資するというようなものであれば、これは積極的に支持されるべきだと思います。
 これまでの議論等々も含めると、結構コスト的に厳しいものがあると聞いておりますので、その辺りの業務改善、ないしは、存廃も含めた検討等、ある意味、本業であるのぞみの園の支援を側面から支えられる、特に財政面で支えられるようなものに、うまく持っていけるのか持っていけないのかというのは、1つ大きな正念場になるのではなかろうかと思います。そういう意味では、この辺りの検討又は業務改善をしっかり進めていただきたいということも、同じ独法なので偉そうなことは言えないわけですが、期待させていただければと思っているところです。以上です。
○菊地構成員 遅れてすみませんでした。全体を通しての御説明も聞きましたし、文章の中身も見た結果、大筋このままでいいと思っております。ただ、感想というか、これから考えてほしいと思うことがあります。それは、結局、民間、私たち社会福祉法人が運営する際には、どうしてもリスクやコストを考えます。
 例えば、1対1で支援しなければならない強度行動障害の人が来たときに、職員は過重労働になってくる。ある一定期間であれば耐えられるが、それが長期間にわたるときには非常に困難になってきて、職員が辞めるか利用者を受けないかといったリスクを伴ってしまう現実があります。そういう中で、やはり、国としての役割は絶対的にあると思います。
 ただ、我々と同じようなことをやっているのであれば、のぞみの園は必要ないという話になります。そうではなくて、非常に困難な事例に対して積極的に取り組むということではあれば、障害福祉サービス等報酬外の運営費があったとしても、それは妥当性があると私は思います。ですから、これから先その辺りを考慮しながら、余計にお金を出すからそれでいいということではなくて、税金を使っているわけですからコスト管理は適切に行って、私たち民間社会福祉法人よりも更に気を使いながら進めていっていただければと思います。
 もう1点は、大塚構成員が言われた、盲ろうのところは、そこにさしてこだわるわけではないのですが、強度行動障害の方が私の施設にも何人かおり、支援員が幾ら押さないように注意しても、自分で眼を強く押してしまい、結局、拘束する以外に手はないとなってしまうのです。拘束しないために、様々な工夫をしているのですが、それでも長い間、自分の眼を強く押していると視力がどんどん低下してきて失明するという人もいます。
 そうすると、自分のこだわっていることができなくなったストレスが新たに出てきます。一概に盲ろうといっても、結局、一般的に想像する盲ろうの方たち以外にそういう人たちもいます。眼を強くこすってしまうとか、土や泥に顔を付けたりそれを食べる等、そういうことをしてしまう人たちも現実的にいるわけです。そういう人たちの視力低下はかなり問題になってきますので、それは、これとは少し違うと思うのですが、ただ、一概にそれが全く違うと言わないで、そういう部分も含まれるのではないかと思うのです。ですから、発達障害やそういう部分を概念的に合わせるのかということを含めて入るのだろうと私は想像しながら聞いておりました。以上です。
○北岡構成員 2つあります。1つは、今の発達障害と盲ろうの話です。今日、盲ろう者友の会の方や盲ろう者協会の方がいらっしゃらないので、客観的な情報が分からないのですが、知的障害を伴う盲ろう者の方がいらっしゃいます。私の認識で言うと、盲ろう者協会や友の会の皆さんは知的障害を伴わない方への支援の在り方について、違いますか。
○石渡構成員 結構、そこは現実問題としてあるので、対応していらっしゃると聞いています。
○北岡構成員 そこは当事者も交えて話をしなければいけないと思います。今のお話で言うと、発達障害や高次脳機能の方を含むのは、もちろんいいと思います。今の大塚構成員のお話で言うと、盲ろう者を外したほうがいいという御意見でしょうか、それとも加えるのかどっちなんだろうということが1つです。
 もう1つは、もちろん、高次脳機能障害の方は、自分に障害があるという認識がない方が結構いらっしゃるので、のぞみの園という中で暮らしをしてもらいながら何か整えていくというのは、現実問題として結構難しいのではないかと思います。高次脳機能障害の方について、実際にのぞみの園を利用をしてもらいながら、その支援の在り方みたいなことを出していくということもあるかもしれませんが、どちらかというと高次脳機能障害は、今後、のぞみの園の研究部門としおやりいただいたほうが、現実的かと思いました。
 ですから、この辺りについてどういう書きぶりをするのかというのは、最終的に座長にお任せするということだと思います。やはり、知的障害を伴う盲ろうの方たちへの支援というのは、今、私の知っている範囲では、皆さん相当手探りな状況であるということだけは現実的であるし、もし、友の会や協会でそういう研究事業が行われているとしたら、それでいいのかという問題は、そういうことで言えば発達障害はほかにもいろいろな研究事業が行われているわけですから、余り、こちらでやっているからやめておけとか、そういうことで言えば、何かさっぱり、発達障害だって、いろいろな所で研究をおやりになっているのではないですかという話になってくるのではなかろうかと思いました。
 もう1つは、これを全部読んでみて、なるほどそうだなと思ったのですけれど、前回のこの検討会でも申し上げたのですが、やはり、秩父学園とのぞみの園は両方、確かに特殊法人心身障害者福祉協会から始まった国立のぞみの園で、もう1つは、もともと国立だからということで、こういうところの議論にはならないのでしょうが、私たちのような社会福祉法人の関係者でいうと、国立ということで言うと、この2つが国立だということがあるので、のぞみの園だけを取り上げて国が何をすべきかみたいな議論を5回やってきましたが、実は秩父学園ものぞみの園と2つで国が何をやるべきなのかという議論を行うほうが、よりのぞみの園の在り方を深めることができたのではないかという感想を持ちました。
○大塚構成員 盲ろう者等へという言葉があり、一般的には肢体不自由、盲ろう、聴覚障害ということで、この文面から見ると、この障害についての支援をのぞみでやるということですよね。そこは、少し違うのではないか、これは、国立リハビリテーションセンターもありいろいろやるということで、知的障害を伴う盲ろう者、盲ろうを伴う知的障害の研究のニーズが非常に高いということは重々承知です。
 例えば、タガヤさんという方が山梨でずっと盲ろうの方の支援をやってきて、非常に研究家です。でも、多分、聴覚障害を持った知的障害の方も重複障害として同じようなニーズがあると思います。それから、重い身体障害と知的障害では重症心身障害の方だって課題になる。そういうものを全部のぞみがやるということはあり得ないということで、そういう意味では重々知っています。この文面の中の盲ろう者というのは少し違う、むしろ、今までのぞみがやってきたこと、そして、今後の一番近いものでは発達障害が一番やるべきターゲットであり、個々の細かいことをどんどん入れていったら、それは切りがなくて、どこまで広がるのかということになるのかと思っております。
○佐藤座長 最終的な文言は、今、議論されたようなことを含めてどのように取り扱うのかは、事務局と再度相談してまとめます。お互いにおっしゃっている意味は余り違わないということを前提に、私の理解ではそのように思っておりますので、そのようなことを踏まえながら検討いたします。そのほかに何かございますか。
○大塚構成員 おっしゃるとおり3障害統合の時代に障害者自立支援法になったので、いろいろなことをやるべきだと思っております。ただ、のぞみの園が今までの経験と技術、知識の熟練、蓄積、今後を見たときにはやはりというところで、発達障害ということも含めて考えたということです。
 発達障害となると、また複雑になってしまうのですが、今ののぞみは知的障害の国の福祉向上のための様々なことをする機関として位置付けられたということだと思っています。それは、心身障害者の福祉協会、この前の最初に作ったのぞみの園においても、心身障害であるけれど保護及び指導に関する調査・研究を行うということや、指導の業務に従事する職員の養成及び研修ということで、やはり、国がやらなければならないことで民間にはなかなか困難なということから始まったということで、今でも続いているということは忘れてはいけないことかと思っています。
 特に、知的障害という観点からいけば、明治24年に石井亮一さんという方が滝乃川学園を作り知的障害者の教育や福祉の父であると、知的障害がずっと脈々と法律まで入って支援、それぞれの障害について、研究や調査・研究があるのですが、やはり私たちは知的障害ということを中心に、本人、家族、支援者、施設の職員、在宅サービスを提供する人たち、団体は、やはり知的障害というところで、国もきちんと知的障害のことをやっているというメッセージのために、のぞみがあったり、あるいは今後も国は責任を持って知的障害の福祉の向上のために様々な仕掛けを作るのだと、組織を作ってやっていくのだということが、多分、支援する人や家族が安心する場だと思うのです。ここだけは、きちんと国の責任としてずっと行っていくべきだと私は思っています。以上です。
○佐藤座長 私も、意見として申し上げておきたいことがあります。のぞみの園が、この独法が晴れて15年、3期を経て、その間一貫して遠藤理事長が努力された、あるいは職員の方々もそれに協力して一緒に取り組まれたということで、独法化の前の検討会で掲げた目標について、基本的にはその方向性をきちんと実践されてきたことについては、この検討会で改めて確認がされているわけです。ただ、私ももう少し強く意見を言うとか、あるいはもう少し事務局ときちんと議論をするということをすればよかったと、今、思いますのは今後のことなのです。
 そもそもノーマライゼーションや地域福祉と言われたのは、思い返すともう20年も前でしょうか、もっと前でしょうか。障害者プランが公開されたときに、これからは地域に根ざした福祉を進めていくのだというような趣旨で、いろいろな施策の展開を展望したと思います。やや遅れて、のぞみの園もこれでは置いていかれるということで、後を追うように、そしてまた全国のいろいろな取組と響き合いながら、取組を進めてきたと思うのです。
 今は、いろいろな財政事情の状況などがありますが、これからはそういうことをもっともっと徹底して、障害者プランでうたったことが20年たっても、まだ、のぞみに頼るのかというような話であっては、私はいけないと思います。のぞみが、仮に大きな成果を示してきたということであれば、それは全国にいかに普遍化していくかという話です。お金のことだけで言えば、今のところ14億ですか。更に、当面次の5年間で、どれぐらい縮減されるのかは分かりませんが、いずれにしても10億円単位のお金が出ていくのでしょう。これが、仮に2,000万円ずつ、全国50箇所モデル事業で、重度の行動障害を持つ方の処遇のために、実践的な取組と、それからそこでの幾つかの研究ということを考えていけば、常識的に考えて、そういう時代、そういう方向に移行するほうが、今の時代に即していると思います。ですから、そういうことを視野に入れながら、今後の、のぞみの園の在り方をどうするかを検討すべきであると、今、皆さんの御意見を伺いながら、改めて私はそのように思ったわけです。
 1つだけ例を取りますと、診療所の件です。先ほど、千葉構成員からも出ましたが、13床の有床診療所で、このデータによると外来が5,845件です。それに比して、私の記憶では専任の医師が4人で、看護師の数も非常に多いですし、重装備です。ちなみに、私がかつて関係していた社会福祉法人も、たまたま診療所を持っていて、そこは常勤の医師2名と、その人たちの働き過ぎを防止するために、3人の週1日だけの非常勤の医師3人、あとは、リハビリのスタッフが、非常勤まで入れると10人、PT、OT、ST、心理などを入れて、1年間で外来の件数は正確な数は分かりませんが、大体1日平均70人ぐらいなのです。年間250日と考えると、1万5,000件を遥かに超えているのです。その多くは、結果的に障害児、ないしは大人の方で、診療に時間が必要な人たちなので、それだけリハスタッフをそろえると、とても経営は厳しいのです。そういう意味では、それでも何とか地域に貢献ができているのです。やはり、全体として、のぞみの高コスト体質は、もしこれが標準だとしたら、全国の施設に厚生労働省は、とんでもない状況を押し付けて、見て見ぬふりをしていると批判されても仕方がないと思います。
 私は、のぞみがこの15年間やってきたことを、それはそれとして評価しているつもりですので、それを、いかに全国に普遍化するかをきちんと考えるべきだと思います。そのために、のぞみの在り方を検討する次の5年間であるべきだと考えています。そういう意味で、今回の報告書について、踏み込んだ部分もあれば、まだ十分に踏み込めていないということを感じつつですが、取りあえずこのようなことで進めていければいいのではないかと思っています。以上が、私の意見です。
 では、まだ少し時間がありますので、この件に関しての文言の修正など、ほかにはよろしいでしょうか。では、この検討会のオブザーバーとして参加していただきました遠藤さんに、感想と御意見を頂きたいと思います。
○遠藤オブザーバー まず、のぞみの園ということで、構成員の皆様方に、いろいろと真摯にお考えいただいて、御議論いただいて、このような案をおまとめいただいたことを、本当にありがとうございました。また、今、座長から御紹介がありましたが、私も独立行政法人になって、初代の理事長ということで、この14年と6か月、独立行政法人として相応しい事業を展開していくと。そのことによって、全国の障害関係の施設、事業所にいろいろと役に立ち、そのことが障害のある人たちのニーズに的確に対応していくことなのだというようなことで、やってまいりました。本日、ここにおられる構成員の皆様方には、そのような面でも大変お世話になりましたし、その他、全国の関係者の皆様に御支援、御協力いただきましたことを、この場をお借りして恐縮ですが、御礼申し上げたいと思います。
 そして、今日おまとめいただいた報告書の案について、私も読ませていただき、また構成員の皆様方の御議論を聞いていて、最後に参考として申し上げます。基本的な在り方として、5ページの2つ目の○で、のぞみの園は全国の施設での取組状況を把握し、それを踏まえて国として実施すべき事業に重点を絞って、役割を担うべきである。正に、これまでこのようにやってきましたし、これからもこのようにやっていけということですので、このようにおまとめいただいたことを大変感謝しております。
 ただ、次の運営主体の所の最初の○で、業務については見直していくべき部分があると。これも、当然だと思います。これは、いろいろな障害福祉施策の実施状況なり、全国での障害福祉サービスの状況を踏まえて、こういった、のぞみの園の業務もどんどん見直す。これも、当然だと思っております。ただ、次に「また」で、自治体から民間へ移行した事例が存在すると書いてあるのが、やや、なぜかなと思うのです。これは、確かにこの検討会の場で、こういった県立の施設を民間に委譲したような例も、御紹介いただきました。それは、民間に委譲して大変喜ばれてということで、私どもとしては特段参考にも何もならないような事例でした。そういう意味で、単に自治体から民間に移行した事例が存在することを考慮する必要があるということを、どのように私どもは理解したらいいのかというのは、なかなか理解しがたいところであることは申し上げておきたいと思います。
 それから、座長から御意見ということで、のぞみに10億円も出す必要があるかどうかと。これは、そういったコストとパフォーマンスの関係で、どう評価されるかということだと思います。ただ、障害福祉サービスの全国での状況を見ていますと、株式会社などがかなり参入してきております。そして、先日も、のぞみの園に株式会社が、いろいろと学習したいということで、社長以下10人を超えるスタッフが、見学なり学習にまいりました。そこは、最初は保育所をやっていて、障害の分野にも進出するということで、生活介護、児童発達支援、放課後デイサービスなどで10を超えて、事業所を展開しているところだと聞いています。そういう所で、いわゆるサービスの質をどうやって保っていったらいいのか、向上していったらいいのかということについて、大変困っていました。
 そういう意味で、この障害福祉の分野にも、そういった営利法人が当たり前のように参入してくる状況の中で、やはり国としてサービスの質を均てん化する、あるいは底上げを行っていくという意味で、いろいろと担うべき役割は、多々あるのだと思います。本日も、発達障害や、高次脳機能障害など、幾つかのテーマが出されました。そういった実態については、私どもも今、いろいろと勉強している段階です。そういうものも踏まえて、のぞみの園として更にそういう事業を展開し、そのことによって障害福祉施策の推進に貢献してしていくのだという心づもりは、当然役職員が一体として持っております。そういうことも前提として、これからのいろいろな御議論をしていただけたら幸いかと思います。以上、いろいろと勝手に申し上げました。
○佐藤座長 どうもありがとうございました。先ほど言い忘れましたが、北岡さんが最後に言われた秩父学園のことです。このまま放っておくわけにはいかないと思います。現状は、秩父は、実際の入所定員の半分ぐらいしか、利用者は入っていないと聞いています。しかも、その中に、いわゆる過齢児がおられるわけです。平成32年度に猶予期限が切れれば、実際に秩父学園は利用者がいなくなってしまうのではないかと、これは、想像に過ぎませんが。にもかかわらず、今後どのようにこの秩父学園を国として、いつまでも維持していくことが適切なのかどうかという話も、きちんとしなければいけません。これは我々の任務ではありませんので、もちろん厚労省の中できちんと議論していただければと思います。直営ですので、あるいは、のぞみの園よりも、もっと議論は進めやすいかと思います。そのことを、私も期待いたします。
 これは先ほども言いましたが、全国の施設が悪戦苦闘しているということを十分に承知していただかないと、例えば、のぞみを、例えば秩父を存続維持しても、量の問題として全然足りないのです。ほとんど、問題の極一部に対応できるだけだと思います。全国には、莫大な数の、莫大という言い方もどうかと思いますが、支援を今すぐ必要とする人たちがたくさんいるわけで、その人たちのことを考えたり、思いを至らせたときに、ここを守れば何とかなるという話では全然ないということを含めて、のぞみの問題を私たちは考えてきたつもりですし、その方向の中で秩父の在り方も含めて、今後国として障害のある人たちの地域生活をどう支えていくかということに関して、これをどうするかという、やや後ろ向きな話だけではなく、前に向いて施策の展開を検討していただきたいです。これは、取り分け、この検討会の報告書に関わる話ではありませんが、座長としてそのようなことを、まとめに代えた言葉にいたします。よろしくお願いします。
 では、その他、特にないようでしたら、最終的な報告については、座長である私に一任していただき、事務局と詰めて議論をした上で、最終報告を作成いたします。
 では最後に、部長から御挨拶を頂ければと思います。
○宮嵜障害保健福祉部長 一言、御礼の挨拶を申し上げます。構成員の皆様方におかれましては、昨年の5月から本日まで5回にわたり、熱心に御議論いただき、誠にありがとうございます。佐藤座長をはじめ、皆様方のおかげで、本日報告書(案)を、おおむね取りまとめることができました。厚生労働省としては、今後、本報告書の内容を踏まえ、国立のぞみの園と協議し、早速来年度から必要な検討に着手してまいりたいと考えております。構成員の皆様方におかれましては、引き続き御指導いただきますようにお願い申し上げ、簡単ではありますが、御礼の挨拶といたします。どうもありがとうございました。
○佐藤座長 ありがとうございました。それでは、これで本日の検討会を閉会いたします。構成員の皆さんには、いろいろと御協力いただきまして、ありがとうございました。いつも、しゃべり過ぎで、何度やっても座長よりそちらがいいなと思う役目でしたが、皆さん、本当に御協力ありがとうございました。御苦労さまでした。事務局にお返しいたします。
○渥美施設管理室長補佐 最終的な報告書については、後日、厚生労働省のホームページにおいて公表するとともに、構成員の皆様方にお送りいたします。それでは、これを持ちまして、本検討会を終了いたします。ありがとうございました。


(了)

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