ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会社会的養育専門委員会)> 第35回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 議事録(2021年10月5日)
2021年10月5日 第35回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 議事録
子ども家庭局家庭福祉課
○日時
令和3年10月5日(火)10:00~13:00
○場所
オンライン
○出席者
委員
相澤委員 安部委員 五十嵐委員 井上委員
奥山委員 河尻委員 北川委員 熊川委員
桑原委員 高田委員 坪井委員 中村委員
橋本委員 畑山委員 浜田委員 林委員
平井委員 藤林委員 松本委員 宮島委員
森井委員 薬師寺委員 山縣委員長 横川委員
村上代理
事務局
橋本子ども家庭局長
川又審議官
岸本審議官
小澤総務課長
山口少子化総合対策室長
中野家庭福祉課長
羽野虐待防止対策推進室長
野村企画官
林保育課長
鈴木子育て支援課長
山本母子保健課長
○議題
(1)具体的な対応について③(社会的養護経験者の自立支援、基盤(情報、権利擁護))
(2)その他
○配布資料
資料2 委員提出資料
参考資料1 委員名簿
参考資料2 これまでに頂いた課題・問題意識
参考資料3 今後の基本的な議論の方向性
○議事
皆様、声のほうは大丈夫でしょうか。
(首肯する委員あり)
○野村企画官 ありがとうございます。
委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日も、ウェブ会議で開催させていただきます。
本日の出欠状況でございますが、榎本委員、倉石委員、小島委員、横田委員は御欠席とお伺いしてございます。
また、菅田委員の代理といたしまして、村上幸治様、全国母子生活支援施設協議会副会長にお越しいただいております。
今回の委員会は、傍聴希望者向けにYouTubeでライブ配信をしております。なお、本委員会では、これ以降の録音・録画は禁止させていただきますので、傍聴されている方はくれぐれも御注意ください。
それでは、これより先の議事は、山縣委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山縣委員長 山縣です。改めまして、おはようございます。本日も長丁場になりますけれども、よろしくお願いいたします。
前回、こちらの音声環境の不都合で少し議事録が取りにくい状況で、チャットという言葉を使いましたが、今回、その準備はしていただいておりますので、今回はチャット機能を使わないということでいきます。
では、いつもと同じように、資料の確認からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○野村企画官 それでは、資料の確認をさせていただきます。
配付資料は右上に番号を付してございます。
資料1、具体的な対応③。
そして、資料2で委員提出資料。安部委員、中村委員、畑山委員、平井委員からの御提出資料です。
あと、参考資料1として名簿がつきまして、参考資料2と3は従前どおり、これまでいただいた課題、問題意識、それから、今後の基本的な議論の方向性ということで7月に御議論いただいたものをおつけしてございます。
以上でございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。
それでは、議事に入っていきたいと思います。
今回は、前回に引き続きまして、参考資料としてお配りしております「今後の議論の方向性」の中から、社会的養護経験者の自立支援、それから、基盤のうちの情報共有と権利擁護。この2点について議論を進めていきたいと思います。
まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○野村企画官 企画官の野村でございます。よろしくお願いいたします。
資料1を御覧いただければと思います。
2ページで、こちらの資料は従前御議論いただきました基本的な議論の方向性をそのまま付けたもので、具体的には、その具体化を図るということで3ページ目、そして、5ページ目とございます。
3ページ目は、入所等措置、自立援助ホーム、それから、里親さんに委託を受けた子も含めてでございますけれども、そういう施設に入っていたりというところで代替養育を受けている子についてというところでございます。
ここの審議会でもまさに御意見をいただいておりましたが、一律に年齢で満20歳に達するとか、あと、22歳でそれぞれの支援がなくなるといったところを御示唆いただいたところでございまして、これらについて、一律に年齢による対応は見直すこととし、児童の置かれている状況や児童の意見、関係機関との調整をも踏まえた上で都道府県が必要と判断する時点、例えばほかの福祉制度へのつなぎができるという時期までとか、そのような期間まで自立支援が提供されることにしてはどうだろうか。一律での年齢の対応ということを少し見直してはどうか。
そのために「具体的には」ということで一番下の○でございますが、児童自立生活援助事業について、いつまで提供するかについて、その必要性を都道府県が児童等に意見を聴き、関係機関との調整を行い、決定することとし、また、措置延長については、引き続き20歳までとしながらも、20歳以降については、児童自立生活援助事業として同じ児童養護施設で支援を受けられる。児童自立生活援助事業を活用して同じ児童養護施設で支援を受けられる枠組みをつくってはどうだろうか。
そういうことで、4ページ目を御覧いただければと思いますけれども、従前、入所等措置の子供であれば18歳までの入所措置、それから、措置延長20歳までで、その後は社会的養護自立支援事業というものが予算事業として存在している。一方で、自立援助ホームは児童自立生活援助事業があって、それが20歳までで、それ以降については事業としては存在する一方で、児童自立生活援助事業ということで、実施根拠の50条の第7の3号が適用していないといった状況がございます。
そういう中で見直し案というところで、入所措置等について、入所措置があって、措置延長があって、その後、児童養護施設等に入っていたり、里親とかの委託を受けている子についてですが、児童自立生活援助事業として手当てをしていく。また、自立援助ホームの子も引き続き自立生活援助事業を活用していくというところになるのですが、この際、22歳というところについて必要性を都道府県が状況等を勘案して事業実施時期を決めていくといった形にできないだろうかというところの見直しでございます。
続いて、5ページ目で「自立支援の提供について」でございます。上から2つ目の○で、家庭で暮らしている・暮らしていない、それから、就学の有無、そういったものにかかわらず自立支援の必要性に応じて自立支援が提供される環境の整備が求められるのではないだろうか。
こういったことを踏まえて、枠組みとして、先ほどのそういう施設とかに入っている子に対しての自立支援も同じですけれども、都道府県が、必要と判断される児童について、例えば入所等措置での自立支援の提供、児童自立生活援助事業の提供、通所による自立支援の提供、そういったものが確実に提供される環境の整備に努めるということを制度に位置づけていってはどうだろうか。実際には、都道府県がそういった必要性を判断するに当たり、児相、市区町村、自立支援に必要な関係機関と一堂に会する場をつくって、支援方向も含めて相談する体制、会議体みたいなものをつくっていくのではないだろうか。
通所による自立支援、もちろん、この通所による自立支援は必要に応じてアウトリーチみたいなものも行っていく形になるわけですが、具体的には、通所による自立支援みたいなものを事業として位置づけていくのであろう。では、そういった通所による自立支援が受けられるケースとしては、下から2つ目の○にございます、①、②、③、④といった子供に対して、児相が関与した子供に対して提供していくのであろう。
一番下の○でございますが、では、どのように提供していくのかというところですが、通所による自立支援を、事業を制度に位置づける。法定事業みたいなものをイメージしておりますが、そういったものとした上で、児童自立生活援助事業、今の援助ホームの利用の手続と同様に、市区町村、福祉事務所、児童相談所から都道府県が報告を受けて、支援を提供していくような形、それから、都道府県が必要と判断した場合には利用勧奨を行うといった形を取ることができるのではないかと考えております。
6ページは割愛して、7ページから、今度は基盤というところで御用意したもので、ここも基本的な議論の方向性で確認をいただいたものでございます。そのうち、今回は情報共有についてでございます。人材、資格については次回と考えてございます。
8ページ目は「情報共有について」ということで具体的なものを書かせていただきました。民間機関が要対協に参画していない、入ることができないといった御示唆もこの審議会でいただいております。支援が必要な世帯に係る情報を行政から得られないといった事例についても生じていることを受けて、要対協の運営指針や市町村子ども家庭支援指針を見直すなどして、要対協への多様な主体の参画を促進していくべきというふうにさせていただいております。
それから、要対協における行政機関と民間機関との間の情報共有の実態について調査を行い、効果的な運用を好事例として集約して、しっかりと全国の自治体に周知して柔軟な対応を求めていくといったことも考えられるのではないか。
それから、要保護児童のケース記録についてですけれども、都道府県(児童相談所)と市区町村をつなぐ情報共有システムが令和3年4月から運用が開始されております。9月1日から、全国の児童相談所において、本システムを活用といったことで具体的に取組が開始されているわけですが、このシステムの運用を定着させて、転居したケースに係る円滑な引継ぎ・迅速な初動を図るといったことについて進めていくといったことも書かせていただきました。
9ページ、10ページはそれぞれ、NPO法人などが参画している事例を御紹介するとともに、11ページには先ほど御紹介した情報共有システムなどについても参考資料としてつけさせていただいております。
12ページ目で、権利擁護でございます。12ページ目は基本的な議論の方向性でございますので、その具体化として13ページ以降を御用意しております。
子供の権利擁護については、上から3つ目の○でございますけれども、令和元年の児童福祉法改正附則において、子供の意見を聴く機会の確保、意見表明支援の仕組みの構築、権利擁護の仕組み等が改めて検討事項とされたことを受けまして「子どもの権利擁護に関するワーキングチーム」を令和元年12月に相澤先生の下で設置させていただきまして、11回にわたり議論を行って、今年5月に取りまとめを行ったところでございます。
以下、そのワーキングチーム取りまとめの内容を踏まえ、具体的な対応について整理させていただいたものが14ページ目以降という形になります。
14ページ目で、まず【子どもの意見表明】でございますが、まず、子供の意見がまさに子供の養育環境を左右する重大な決定の場面において確実に考慮されることが最も必要であろうというところで、都道府県、それから、児童相談所が措置や一時保護を行う場合、※3でもちょっと書かせていただきましたが、措置の停止、解除及びほかの措置への変更を行う場合なども同様にといったところがございますけれども、そういった時点において、子供の年齢等に合わせた適切な方法によって、あらかじめ子供の意見を聴取しなければならないといったことを児童福祉法に規定していくといったことを考えております。
また、実際、このワーキングチームでヒアリング等を行った事例などもありましたので、児童福祉施設において、自立支援計画を策定する際にも子供の意見聴取を実施するといったところについて、運営基準、省令といった法令とかに規定していくことが考えられないだろうかといったところでございます。
こういった意見を聴いていくような場をつくっていくわけでございますが、なかなか子供1人では意見を形成し表明することについて困難を抱えるといったことも多うございますので、そういう場合において、子供が児童相談所等に対して行う意見表明を支援する活動を、法定事業化みたいなものをイメージしておりますが、事業化していくこととしてはどうだろうか。「具体的には」というところでございますが、まず、意見表明支援が行われる体制みたいなものは都道府県等の努力義務といったところに位置づけるとともに、意見表明支援事業として、都道府県等が自らまたは外部に委託して、意見表明支援を行うことができることにしてはどうだろうかということを考えてございます。
次に15ページ目で、まさにそういった聴いた意見等々を処遇とかに適切に反映させていくことをするためには、意見を受け止めたり、また、必要に応じて児童相談所等と調整を図ること、それから、対応の改善を促す機能を有する第三者機関、要はこの第三者機関は非常にワーキングチームでもいろいろな議論が出たわけでございますけれども、ある程度の独立性のある機関といったところでの権利擁護機関の整備が求められるところでございます。
そこで、従前より児童福祉審議会を活用した枠組みの整備を考えてきたところでございますが、なかなか進んでいないこともあって、上から2つ目の○で、児童福祉審議会を活用した権利擁護の枠組みの整備を促進する観点からというところで、権利擁護の仕組みの整備を都道府県等の努力義務にする。それから、意見表明支援事業は先ほど御説明した枠組みの中で、児童福祉審議会による調査・審議の仕組み(調査員の配置など)、そういったものも行うことができることにしてはどうだろうか。また、この「児童福祉審議会を活用した」の部分ですけれども、独自にオンブズパーソン等を活用した権利擁護機関を設置している事例がございますが、そういったところが上記の機能を担うことも可能になるような、そういった柔軟な事業実施を可能にしていくのではないだろうか。
こういう取組のほかに、国レベルの権利擁護機関(子どもコミッショナー)について省庁横断的な検討が必要ではないだろうかといったところでの御提案をさせていただいております。
16ページ、17ページが非常に複雑な絵ではございますけれども、それぞれ、どのような流れで児童福祉審議会を活用していくのかといったところを整理した図でございます。
17ページは、その児童福祉審議会とは異なる権利擁護機関で行う場合といったところでの整理をさせていただいた図でございますので、御参考にしていただければと思います。
18ページ、権利擁護ワーキングの中でも御議論いただきました記録の取扱いについてでございます。社会的養護下の子供のケース記録でございますが、現在、児童相談所運営指針で記録票の保存期間を定めてございます。
従前も、平成25年、平成30年とそれぞれ指針改正をし、養子縁組が成立された事例、それから、棄児・置き去り児の事例で措置を解除した場合などは長期保存とする。それから、養子縁組が成立した事例については長期保存から永年保存というふうに見直しをしているところがございます。
今般、審議会等でも御議論いただいておることも踏まえ、当事者の知る権利により一層配慮する観点から、長期保存とする文書の範囲を見直すといったことが考えられるかということで少し御議論いただきたいと思っております。
なお、19ページ、るる申し上げました「子どもの権利擁護に関するワーキングチーム」の取りまとめの概要をつけておりますので、御参考にしていただければと思います。
以上でございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。本日議論いただくものの全てについて、一応、一括して説明をいただいております。
これから約1時間、11時20分前後をめどに、社会的養護経験者の自立支援、資料で言いますと6ページまでの議論をまずさせていただき、その後、休憩を挟んで、6番の基盤、7ページ以降についての御意見を伺おうと思っています。
進行はいつものような形でいきます。「手を挙げる機能」を使っていただきまして、私が順次指名していきますので、委員提出資料等を含めて必要があれば御意見を頂戴したいと思います。
では、御自由にお手を挙げていただけたらと思います。
平井委員、お願いします。
○平井委員 ありがとうございます。平井でございます。
2点なのですけれども、まず、今回の厚労省の出されている入所措置や自立援助の対象についてという部分で、現行は見ていただいたとおりだと思うのですが、見直し案の部分ですけれども、現在、一応、児童要保護施設等は二十歳までの延長で、自立援助ホームは一応二十歳まで法律上、委託措置ができるわけなのですけれども、これは二十歳から22歳までが今、児童要保護施設等の社会的養護自立支援事業と、これは自立援助ホームでしか活用できない、就学者の児童自立生活援助事業ということで制度的には成り立っているわけなのです。
今回は多分、これは二十歳以降、一旦、これは従来どおり二十歳で措置は解除ということで、二十歳から機械的な年齢制限を改めて、法的に児童自立生活援助事業に位置づけるという意味だと思うのですが、ここは自立援助ホームが一応、児童自立生活援助事業ということで通称呼ばれていて、また、同じ児童自立生活援助事業ということで、これが全てに適用されることになるとちょっと名称が混同してしまうというか、ここら辺も少し検討の余地があるかなと思います。
それと、やはりここは児童養護施設や自立援助ホームを継続したものでなければこの新たな事業も使えないということでしょうかということです。一旦途切れてしまった子がまた必要があって、この事業の枠の中で生活というか、やっていかなくてはいけない方々が発生した場合に、では、どういう形で見ていくのかという部分を少し御検討というか、またお教えいただければと思っています。
あと、通所の関係なのですけれども、これもいいことだと思うのですが、この通所の中に、私、前も言ったかもしれませんが、若者ショートステイも取り込んでやっていただければいいのかなということがあります。
一応、この案の中では私の意見としてはそういうことなのですが、私、資料を出させていただいたのですが、自立援助ホームに絡んでおりますので、資料にデータをつけたのですが、今の自立援助ホームももともとは就労対象児童だったのですけれども、データを見ていただければ分かるのですが、これがほぼ5割、50%が就学者なのです。だから、児童養護施設でなかなか受け皿として受け入れられなかった子供たちが今、自立援助ホームにかなり流れてきています。
今、一応、特別育成費とか、そういった大学支度費とかもつけていただいてはいるのですが、やはり同じ境遇の子が、児童養護施設に本来は入らなくてはいけない子が自立援助ホームに流れてきている。そうすると、ここも機能的にしっかり見ていかないと、養護施設と同じような待遇というか、ここでやはり、同じ子供なのですけれども、格差が生じてはいけないと思います。
あと、就労支援についても、これはたしか2005年に保護受託制度があまり使えなくて廃止されたのですよ。だから、これはまた今の時代、やはり就労困難な子供たちもいますので、そうすると、義務教育終了後、就労を伴う里親さん。ですから、そういった意味合いで職親制度というものがあったのですが、私が勝手に名前をつけているのですけれども、社会的養護協力雇用主制度。これは、こういう協力雇用主というものは司法関係にもあるのです。仮称なのですが、こういったものも創設する必要があるのではないか。
あと、住宅支援については、そこに書きましたけれども、今、国のほうで住宅セーフティーネット制度というものが、これは各県に住宅支援協議会とかが立ち上げてみえるのですが、私も今、実際、名古屋におりますので、名古屋の住宅都市局とかに行ったりして話はしているのですけれども、なかなか、ここに一応、国の制度としてはDVを受けた被害者とか生活困窮者とか児童虐待を受けた者とか、そういった者が入っているのですよ。そこが全然活用されていないというよりも、なかなかそこは見てもらっていないということで、もうちょっとこういう制度をうまく活用できるような仕組みをつくっていったほうがいいのかなと思います。
最後になります。一番最後の18歳以上から二十歳未満。これは前も言いました自立援助ホームの対象者なのですが、ここはなかなか児相にかかってこないのです。というのは、やはり児相は18歳までしか見ませんので、なかなか、この部分が抜け落ちている。せっかく制度としては二十歳まで委託措置ができるわけですから、このあたりをうまく市町村や関係機関ともっと連携してやっていただければと思います。
すみません。元へ戻りますけれども、最後、見直し案のところで二十歳以降、この制度についてはやはり児相がちゃんとついて面倒というか、一緒になって対応していくということなのでしょうかという質問も含めてです。
以上です。ありがとうございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。
平井委員、途中で使われた若者ショートステイというものが十分理解できなかったのです。これは社会的養護経験者を前提にしてということでいいのですね。
○平井委員 それも含めて、やはり年齢的にもそういった境遇に置かれた青年、青少年たちも含めた、一時的に家を離れたいとか、そういった方たちのショートというか、今、やはりショートステイも18歳までですね。ですから、その部分をちょっと担っていただければと思っています。
○山縣委員長 分かりました。ありがとうございました。
事務局、2つ質問が出ていますけれども、後で。
○野村企画官 最後のものをお答えします。企画官の野村でございます。
今回の通所の支援といったところが多分、中心になる児相の関与の御質問かと認識しておりますけれども、まず、基本的には都道府県、それから、児相が措置等を行っておりますので、この必要性を判断するといったところについては措置等を行った都道府県や児相がメインになってくるのであろう。その後、このケースの管理についても、都道府県、児相といったところが管理等々を行っていくのであろうということを考えておりますが、今後、具体的な運用について、様々、本日御意見をいただいて考えていきたいと思っております。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、続いて、桑原委員、お願いします。
○桑原委員 ありがとうございます。全養協の桑原です。
従来の児童自立生活援助事業ですが、なかなか府県によって、その活用というか、内容が本当に格差があるなと思いながら今があるのですが、今回、児童自立生活援助事業として法的根拠に基づいて実施する方向については全養協としては歓迎しております。
ただ、一人一人異なる環境であるとか育ちの背景を持つ子供に対して、どこで、誰が、どのように、その子供に効果的で継続的に支援を行うことができるのか。そういうことを考えたときに、子供を取り巻く人的環境とか対人関係、学校、職場、家庭などのその子が所属する場所。そこでの課題、子供の心身にまつわる特性や発達等を絡めて想像すると、相談支援事業として体制整備がなされても、子供にとってその場所が本当によりどころになるかどうかという、有効活用されるかというイメージが現時点ではイメージが持ちにくいのが正直なところです。
養育現場から見ると、人との関係性を通して安定性や信頼性が育まれていき、それを実現していく中には子供に携わる養育者側の意識であるとか覚悟であるとか、そして、子供のニーズに即したソーシャルワーク力が必要になると思います。そういう意味では本当に自立支援は課題山積だと思うのですが、施設につながり続ける子供たちの場合は一定、施設側が関わりながら支援ができるということでは、それはそれとして大切なことなのですが、ただ、やはり全ての子供たちが施設につながっているわけではない現実もあります。その辺のところをすくい上げるネットの在り方といいますか、そういう意味では公的にそういうよりどころとなるような場所が必要かと思います。
ただ、この事業が有効な事業として今後機能するようにしていくためには、ぜひとも現場に関わっている、そうした各関係機関の声を聴きながら事業を豊かにするように努めていただきたいというお願いも含めて、取りあえず以上でございます。よろしくお願いします。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、続いて、安部委員。
○安部委員 安部です。
構成員意見のところを見ていただきたいのですけれども、5ページですか。通所による自立支援というところがよく分からなかったのです。できれば質問に答えていただきたいのですが、社会的養育自立支援事業の中の設備で、つまりそういうところに通うのかなと思ったのですけれども、そういうところで対象者が集まることができる施設のことなのかなと思ったのですが、これは居場所の提供とかコーディネーターの配置を義務化することと、それから、都道府県に複数箇所必要ではないかと思いました。
そもそも、通所による自立支援が、こういうところに通うのか。でも、自立援助ホームとか施設に通うことも想像できないので、この中身を教えていただきたいのが一つ。
それから、もし私が言っている、この通知に基づくところだったら、下の四角に囲ってある要望をぜひお願いしたいと思いました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
何かコメントはありますか。
○野村企画官 企画官野村でございます。御質問ありがとうございます。
基本的には、この通所による自立支援の場については、現在、アフターケア事業所がるるございますけれども、そういったものを基本的な取組として想定しているものがございます。
また、具体的に、この通所による自立支援では個別具体的に、いろいろな悩みであるとか、そういったものを受け止めていくような場であるとともに、具体的に支援方法を相談する体制、会議体みたいなところで決まったものがどのように提供して、児童がどのように暮らしているのかみたいなところを確認していく。そういった機能なども多分、併せ持っているのであろうといったところでございます。
なお、通所による自立支援の事業といった形で考えてございますので、例えば児童養護施設であるとか自立援助ホームみたいなところがその事業を請け負うといったことも考えられるとは考えているところでございます。ただ、本日、いろいろな御意見をいただいて、また考えていきたいと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
確定した事業ではないので、また皆さん方の御意見でいろいろ修正があるという、これはほかのところも随所、皆、同じ状況だと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、続きまして、林委員、お願いします。
○林委員 5点ございます。
1つ目は、2ページの一番下の○のところです。自立支援の素地づくりというか、医療的ケアやメンタルヘルスケア以外に従前、インケアの中で言われているアイデンティティー形成支援を位置づけるべきではないかということです。そのことが後に検討される記録の保存とも関連して検討できるのではないかということが1点目です。
2点目として、地域を移動する子供もこの中では想定されていると思うのですけれども、やはり地域移動する子供の連携の在り方は別に特記すべきではないかというのが2点目です。
3番目として、5ページ目の一番下に「利用勧奨」という言葉が出ているのですが、基本的にあらゆるケースが利用勧奨というところからスタートするのではないか。これまでも出ていたように、自己開示力とか受援力とか援助希求力が非常に弱い子供たちもいるわけで、原則として利用勧奨から進めて、拒否する子供たちに対しても認知とか意向を変えていくようなアプローチがソーシャルワーカーの中で重要なのだということも言及されていたかと思いますので、原則として利用勧奨を行うことというほうが妥当ではないかというのが3点目です。
4点目として、子供の状況の多様性とか緩やかな移行支援を考えたときに、従前の自立援助ホームの在り方だけではなくて、ステップハウスとか、あるいはセミインディペンデントホームのような、住まい、あるいは介入の在り方、支援の在り方を、住まいの組合せを考えて、例えば自立援助ホームB型みたいなものをつくって、もうちょっと緩やかな移行が可能になるようにしてはどうかというのが4点目です。
すみません。4点です。以上です。
○山縣委員長 具体的なところをありがとうございました。
移動のところで言われた部分は後段の情報提供のところにも絡んでこようかと思いますので、またそちらのほうでも必要があれば御意見をお願いしたいと思います。
では、浜田委員、お願いいたします。
○浜田委員 浜田です。私から4点申し上げたいと思います。
まず、3ページの対象年齢のところですけれども、一律に年齢による対応を見直すことはとても良いことだと思って、強く賛同の意を表明しておきたいと思います。これによって子供さんといいますか、元子供さんといいますか、それぞれの実態、実質に応じた対応が可能になるということだと思うので、これについては期待しているところです。他方で、例えば全く上限年齢とかを定めないで、さらには今度、上限とかの考え方についても定めないことになり、例えばそれが、全てが自治体、最終的には自治体の決定によるものだというふうにしてしまうと、考え方に相当ばらつきが出てきやしないかとか、過度に謙抑的な運用になってしまいやしないかといったことを今から危惧するところが若干ございますので、この趣旨を明確にする。先ほど企画官から、次なる別の支援のところにつなぐ趣旨でという御発言もあったかと思いますけれども、そういったところの考え方を指針等で明確に示していただくこととセットになってくるのかなと思いますので、そこについて申し上げたというのが1点目です。
同じ3ページのところで、児童自立生活援助事業についての提供の必要性を児童等に意見を聴きといったところですが、これは後半にまた出てくるのかと思いますけれども、今日、いろいろなところで出てくる話だと思います。これは後半で言おうかなと思っていますが、当然、これは既に成人している、18歳を超えている。現状だったら二十歳を超えている元お子さんについても意見を聴くことになるので、そのときにアドボケートの仕組みとかでカバーできるのかというところが一つ課題になってくるかなと思います。今のが2つ目です。
3つ目ですけれども、5ページに行きまして、自立支援の提供のところです。3つ目の○のところで、都道府県は、自立支援が必要なお子さんについて、関係機関と一堂に会して、相談体制を構築した上で行うというところですが、この一堂に会しての会議、方向性を決定していく会議の中にお子さん、当事者であったりとか、またはそれを支えるアドボケートであったりとかという者が参加できるようになっていくことが望ましいものと考えます。もっとも、アドボケートの位置づけをどこまでのものと考えるかにもよると思いますが、実はそれだけで足りるのかという気もいたします。アドボケートはマイクの役割であると学びますけれども、そのお子さんの声を聴いたら聴きっ放しにならないように、これもまた後半の話かもしれませんが、聴きっ放しにならないような仕組み。そのための人、子供の声を受けての調整を図る人の重要性があるのではないかと思いますので、また後半で出てくるかもしれませんが、ここでは指摘しておきたいと思います。
最後の4つ目ですけれども、同じ5ページの上から4番目の○、通所による自立支援のところで、これはマル1からマル4までを読みますと、要するに全てのお子さんが対象になるというふうに読めそうだなと思う一方で、先ほど企画官からの御説明の中で、児童相談所が関与していたお子さんでという限定も入るやに聞こえたようにも思います。何らかの限定が入るのかということを1点確認させていただきたいのと、仮に入るとしたときに、例えば17歳のお子さんで自立支援が必要だとなったときに、そのお子さんについて、この自立支援の提供ができるのかどうかが、もし17歳の子について、そこまでの人生のどこかで1回は児相にかかったことがないとできないのだという縛りがもしかかるとするのであれば、それはどうなのだろう。17歳の時点で、いずれにせよ、自立支援が必要だ、サポートが必要だということであれば、そこはほかの、どんな17歳であっても同じなのではないかという気もするわけで、このあたりについては現時点での事務局のお考えをもうちょっと教えていただけるとうれしいなと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
最後の部分、御回答をお願いします。
○野村企画官 企画官の野村でございます。
まず、御指摘は多分、一時保護も在宅指導措置もされなかった児童というところだと思いますが、確かに御指摘のあるとおり、様々な状況にある児童で自立支援が必要な状況になるというのはあろうかとは思いますけれども、まずは現実的には児相が一度関わって、やはり見守り等々が必要な状況にあるとかという状況が過去にあったみたいなところとかを、運用の現実的なところを考えたときにはそういうところから始めていくのではないか。あと、具体に要対協みたいなところで関与があった等々というところもあろうかとは思います。ただ、先ほど申し上げたとおり、まずは児相の関与といったところから始めて、どこまでのことができるのかを考えていきたいというのが事務局の考えでございますが、本日、いろいろな御意見をいただければと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、畑山委員、お願いします。
○畑山委員 ありがとうございます。畑山です。私から4点ございます。
1点目は、子供・若者の状況・ニーズによって、年齢で区切らず、施設や里親家庭等にい続けられるようになる支援の拡充はとても重要なことであると思います。一方で、やはり物理的にい続けられない子供・若者も多くいます。例えば進路、進学先・就職先によって県外に自立せざるを得ない人や施設・里親家庭の人間関係等で元いた場所で生活できなくなってしまった人、また、措置延長していただけなかった若者、障害ボーダーで福祉の利用もできず、自立援助ホーム等にもつながりづらく自立してしまう若者であったり、もちろん、自分で自立を選択する若者もいるかと思いますが、やはり自立した若者は皆、同じ状況ではなくて、自立するときの背景も違いますし、い続けたかったのにい続けられない場合もあります。本来サポートを必要としているのが、サポートを得られずに自立してしまうこともありますので、何度か委員会でも発言させていただきましたが、やはり元いた施設・里親家庭にいないと支援を受けられないということは若者の行動や移動の選択肢を制限してしまうことになりますので、やはり既存の施設であったり里親に頼らない支援の枠組みを検討していただきたい。
あと、施設・里親家庭からのサポートを得られない人も含めた、安心して移行していけるような住宅支援等をどのように考えていくべきか、検討していただきたいと思います。平井委員の発言もありましたけれども、やはり公営住宅等を活用した住宅の支援なども考えられるのではないかと思います。自立後のケアを受けるのも子供の権利ですし、自立後のケアを受けるかどうかを子供たちが選べる必要もあります。退所した人全員が必要なアフターケアをどこでも必ず受けられるようにすべきだと思いますので、今後も検討し続けていく必要があるかと思います。
2点目ですが、やはり住んでいた地域から別の自治体に移動しても通所型の支援を受けられるような仕組みを徹底していただきたいです。現在も通所型の支援を必要としている若者は本当に多くいますので、都道府県、政令市に通所型の支援を行える事業所を早急に設置していただければうれしいと思います。
次に、こちらも5ページにある自立支援の提供についてですけれども、通所による自立支援を提供される対象として、一時保護されずに在宅指導措置をされた児童とありますが、この点について、特に在宅指導措置をされた児童こそ現状では情報がより届きにくい状況にあるかと思いますので、その子供たちに情報を伝える工夫を検討しなければいけないと思います。当然、親が機能していない場合も考えられますので、例えば中学校であったり高校といった、子供たちの生活圏内で子供たちが情報をキャッチできるように、学校関係者との連携など、子供たちに情報が届くような伝える工夫の検討が必要かと思います。在宅指導措置についても、意見書の6ページにも書かせていただいていますけれども、在宅指導措置自体の定期的な見直しの必要性、必要な情報の提供など、家庭引き取りしたら終結ではなく、緩やかにサポートの続く柔軟なる支援体制を検討していただきたいです。
最後にですが、やはりケアリーバー調査の義務化の検討をお願いしたいです。調査自体も定期的に継続して行っていく必要がありますし、可能であれば、一度、調査対象になった若者を数年後に追跡調査して、生活の状態であったり支援の状態を把握するようなものを検討していただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、奥山委員、お願いいたします。
○奥山委員 ありがとうございます。私のほうは少し今までの委員の方々とかぶるところはあると思うのですが、私の視点からお話とお願いをしたいと思います。
まず第1に、児童福祉法の中で、18歳を過ぎるけれども、このポピュレーションに関しては児童福祉法の対象だということを明確になるような形が必要だと思っています。それで、特定妊婦みたいな言葉をつくるのかというのもあるかと思うのですが、何か一つの形としてきちんと、この方たちは対象なのだというのが分かることが必要だと考えます。もちろん、虐待防止法と児童福祉法の関係のように、ケアリーバー法が児童福祉法の関連法として位置づけることもあるとは思います。とにかく、しっかりとケア・リーバーが対象なのだということの位置づけをしてほしいと思います。
もう一つは、社会的養護出身者と書かれているのですが、ビジョンの中では社会的養護というものは司指導を含む措置、つまり、行政処分を受けることを社会的養護といって、施設等にいる方たちは代替養育と呼ぶことを提案していたわけですけれども、そういう意味で在宅にいる司指導、行政処分を受けた方は当然、社会的養護出身者と考えていいと思っているのですが、それでよいかということが一つです。
もう一つ重要なのは、そういう社会的養護という、措置、行政処分をした自治体の責任を明確化してほしいということです。先ほどから何回かご意見がありましたが、転居することもあります。どうしても児童相談所の感覚は、その地域に住んでいる人を対象にする感覚があります。そうではなくて、自分たちが行政処分をした人たちに関しての責任はその自治体が持つことを明確にしてほしいと考えます。転居した後は、その転居した先にお願いするのは元の自治体だということを明確にしてほしいと思います。
同時に、そうなると、では、保護された子はいいけれども、虐待を受けていて保護されなかった子、つまり社会がネグレクトをした子はどうなるのかという問題があり、先ほどのご意見で、児相が関わったのか、関わらないのかという話が出てきたと思います。そういうお子さんに関しては、申立てがあったら、調査して、社会的養護を受けたお子さんと同等の環境の問題を持ったお子さんだということを、認定した場合は、その方もさっき言った児童福祉法の対象であることを認定するような形もあってもいいのではないかと思います。
そういうことをやっていく上では、当然だと思うのですけれども、自立支援事業とかコーディネーターとかというものはやはり義務化してほしいと思います。やれるでは駄目で、全国どこへ行ってもきちんと事業があるので、元の自治体がそこの転居先の自治体の事業にお願いする形が取れるということになりますので、義務化してほしいと思います。
そして、通所のところですが、通所といっても通うのが難しい人もいます。やはりアウトリーチも入っているのだということを明確にしていただき、措置をした自治体ではその対象者が将来どうなっていくのかというのは必ずフォローしていく義務があるのだということを明記していただくのが必要ではないかと思っています。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
事務局に確認が来ていましたので、2号指導等も含めているのかどうか。
○野村企画官 企画官の野村でございます。
基本的に、この通所による自立支援については、在宅指導措置、2号措置の場合においても一応対象とするということをイメージして、このマル1、マル2、マル3、マル4、様々なバージョンで御用意をしているということで御理解いただければと思います。
○奥山委員 あと一つ、平井委員の質問に答えていただいていないのですけれども、図の中で一旦退所して戻れるのかという御質問があって、それに対してのお答えもいただいていないかなと思うので、それについても。
○山縣委員長 忘れていました。2つと言って、1個だけにしていました。ごめんなさい。
○野村企画官 企画官の野村でございます。
基本的には継続したものを前提に考えておりますけれども、本日の御意見を踏まえて、また少し考えさせていただければと思います。すみません。
○山縣委員長 検討事項ということで。
では、続きまして、北川委員、お願いいたします。
○北川委員 ありがとうございます。ファミリーホーム協議会の北川です。
本当にこの一律というものを見直すのはとてもいいことだなと思います。ほんの数年前まで、18歳で手放さなければいけなかったのが二十歳までになって、22歳までサポートを受けられるようになりました。本当にそのことはちょっと前まで考えられなかったことですけれども、例えば私の里子などもそうなのですが、浪人して、大学4年生になると大学3年生までで切れてしまうとか、あと、今、大学4年生なのですけれども、単位が卒業までに何単位か、もしかしたら取れないかもしれないという、どきどきしてしまうのですが、それが3月までに卒業できなかったら半年もしくは1年となったときに社会的には孤立してしまうので、やはり一律に22歳までというのではなくて、その子に必要だなということがみんなで協議会などで一致した上で延ばしていくような措置は本当にありがたいことだと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、藤林委員、お願いいたします。
○藤林委員 幾つか意見があるのですけれども、その前に確認しておきたいことがありまして、今日の委員提出資料の中村委員・畑山委員の冒頭のところに「高校中退による措置解除が慣習化している」というくだりがあるのですが、これは大分なくなっているのではないかと思っていたのですが、まだまだ慣習化していて、全国いろいろなところに残っているのかなということを改めて認識いたしました。
それと関連して、平井委員の最初のところに、自立援助ホームの入居者は、就学者の割合が50%というのは、50%になってしまったのだというのも改めて再認識したわけなのです。けれども、考えますと、児童養護施設等で高校中退等で措置解除になってしまうような方々が自立援助ホームで受け皿となっていると考えていいのかなと、自立援助ホームと児童養護施設でケアしている対象はほぼ同じになってしまっている。実際、自立援助ホームの実態を福岡市で見ていきますと、本当にケアニーズの高い子供さんというか、青年が多く自立援助ホームに入所していて、その方々に今、一生懸命ケアしていただいているわけなのですが、このケアニーズの高い子供さんがいて、就学している子供さん、青年もいっぱいいることを考えると、現状の自立援助ホームの人員体制とかはかなり無理になっているのではないかと思っています。
そのことも全体で共有しておきたいというところが最初にあった上で、4ページの図なのですけれども、ここで20歳以上の方が児童自立生活援助事業という自立援助ホームと同じ名称になっているのですが、この20歳以上の方々の受け皿は自立援助ホームだけでなくて、実施主体が児童養護施設であるとか、または里親、場合によればその他のNPOなども想定しているのかどうかを確認したいと思います。
そうすると、18歳から20歳までの措置延長と20歳以上の児童自立生活援助事業の差は何なのかがよく分からない。そもそも、成年年齢が18歳に引き下げられたときに、20歳というものは何か意味があるのかというのがよく分からないところがあるのですが、この差がどうなのかというところが分からないので、ここの差がどのようなものなのかを教えていただきたいと思います。単に措置費で運営するのか、そうでないのかというところなのか。ケアの中身もあるのかどうかです。
それで、20歳以上の児童自立生活援助事業が自立援助ホーム、児童養護施設ともし等しく同じように参入するのであれば、そこにかかるコストが現状の自立援助ホームのコストに合わせるのか、反対に児童養護施設が行っているコストに合わせるのか。こういった重要な議論が必要ではないかと思います。
この点については、一律でなくて、やはりケアニーズに応じたコストをかけるべきではないかと思っております。この辺も十分な議論が必要ではないかと思っております。非常に様々な精神的なハンディを持っている方々もたくさんいらっしゃって、その方が自立援助ホームの今のコストではとてもできないのはみんな分かっているわけなので、この機会に十分な人件費なりコストをかけた十分なケアを行っていくことが重要ではないかと思います。
これに関連して、負担金のこともこの際、再度御議論いただきたいと思うのですけれども、そもそも18歳から20歳の措置延長期間に保護者から負担金を取る意味があるのか、そもそも取れるのかというところがあるわけなのですが、それと併せて現在、自立援助ホームにおいては本人から徴収するわけなのですけれども、なかなか働けない、途中でやめてしまう方も多くあって、できれば自立援助ホーム入所期間に貯金をして、その後、退所するのが本来なのですが、かえって借金をつくってしまって出ていく方もいらっしゃるのではないかと思っているのですが、この児童自立生活援助事業における本人からの徴収・負担はどう考えるのかということも十分な議論が必要ではないかと思います。
それから、5ページですけれども、何人かの方が言っていますように、この年齢における自立支援は通所だけではないと思っているのですよ。様々なサポートとかサービスが必要なので、その中の一つが通所であったり、同じ経験者が集まっているところへの参加というものはあるかもしれませんが、やはりアウトリーチであるとか住居支援であるとか、または住んでいる住居への訪問支援とか、そういったことも重要であったり、または就労しているところへのジョブコーチのような付添いであるとか、そういったことが実はメインではないかということを考えると、通所というネーミングは今後また検討するべきではないかと思います。
これについては、中村委員・畑山委員の提出資料の6ページのユースセンターということもあったりするので、多分、地域ユースセンターとか、何かそういうベースにあるのかな。アフターケア事業所もいい言葉なのですけれども、ケアを受けていない若者も対象になると、そもそもアフターではないということを考えると、幅広くユースセンターとか地域ユースセンターがいいのかなと思います。
それから、先ほど事務局のほうで、ケース管理については児童相談所、都道府県が責任を持っていこうという説明があったと思うのですが、ここが、確かに児童相談所が措置をした子供さん、青年の方が当該児童相談所設置市に住もうが、よそのところに行こうが、措置したところが責任を持つという入り口の部分は分かるのですけれども、どこかで、ずっと都道府県ではなくて、市町村がその若者の支援について責任を持っていくということにどこかで接続していかないと、ずっと都道府県というのはあり得ないのではないかと思います。
そう考えると、若者のサポートを責任を持って行うのは多分、市町村であり、市町村の若者支援協議会なのかなと思うのですが、いかんせん、市町村で若者支援協議会を持っているところがまだまだ多くないということを考えながら、そこはどうしていくのか。どの時点で若者支援協議会にバトンタッチしていくのか、また、重なり合いなどをしていくのかということもとても重要なことかなと思います。
私の知っている範囲では、豊橋市と枚方市が要対協か若者支援協議会にスムーズに引き継いでいるということを聞いているわけなのですけれども、それが全国1,700の市町村でできるかどうかはよく分からないのですが、これも若者支援という法律もあるわけなので、これをどう活用していくのかというのは重要な課題かなと思っています。
細かいことですけれども、入り口の部分は多分、都道府県とか児童相談所が合議体をつくって決定することになっていますが、それは先ほどどなたかが言われたと思いますけれども、この決定プロセスには絶対、このアドボケイトが必要かなと思っているので、「僕はこういうところに入りたい」と言っても、「それはいけません」というふうに自分の知らないところで決定されないように、18歳を超えた若者に対してもアドボケイトが必ずつくような、そういう制度も考えないといけないのではないかと思います。
取りあえず、以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
確認が幾つかありますけれども、事務局のほうから。
○野村企画官 企画官の野村でございます。
2点あったかと思いますが、まず、4ページの20歳以降の児童自立生活援助事業として赤い点線でお示ししたものでございますけれども、基本、先ほど継続したものをベースに考えていたところともリンクしてまいりますが、要は児童養護施設にいた子で20歳以降、それこそ自立支援が必要だと判断された場合において、同じ児童養護施設で暮らし続け、自立支援を受けるといったことを可能にしていくといった趣旨でございますので、例えば里親の委託でいる子供についても同様といったところでございますので、自立援助ホームにみんなが移るといったことをイメージしているものではないといったところでございますので、ほかの施設にいて、そのままい続けることができるといったところを担保できればといったところで考えたものでございます。
もう一つ、措置延長とこの児童自立生活援助事業との趣旨で、あくまで措置延長の入所措置、実施根拠は第27条第3項とございますけれども、それを延長していくところでの二十歳というものがございます。もちろん、その中に自立支援といったところを提供していくという要素はあるのですが、その上で、さらに自立支援に重点を置いて、引き続き、そこにいるといったところについての必要性をそれこそ勘案して、児童自立生活援助事業という、まさに自立支援に重点を置いた事業を使っていくといったところで、趣旨が少し変わるといったところで考えたいとは思いますけれども、また御意見をいただければとは思います。そういった意味で申し上げれば、本人の意向、というものをしっかりと確認していく必要があるというところでございます。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
かなり時間が迫ってきましたけれども、まだ9人の方がいらっしゃいます。他の委員と重なっている部分につきましては、議事録上、きっちり残りますので、できるだけ固有性が高い部分を中心に御意見をいただけたらと思います。制約して申し訳ありません。
では、坪井委員、お願いいたします。
○坪井委員 坪井です。
今回、年齢による対応を、一律だったものを見直そうというのはとても良いと思います。それと今度、この通所支援というものが新しいということでは今回の御提案の目玉と見えるところなのではないかと思うのですけれども、その点に関して3つ申し上げたいと思います。
一つは、実際に自立するまでのことを考えると、措置の延長でカバーできる。そこはとても大切なことなのですが、一方で就職しました、措置が解除になりました。でも、その仕事がうまくいかなかった。では、どうしようというときに、例えば施設でもそうでしょうし、元里親のところに頼ってくるということがよくあるわけなので、措置延長ではカバーできないようなところのサポートの仕組みはもう少し丁寧につくり込んでいただけたらと思います。実際に就職したタイミングから1年後にはその半数が退職している現実があるわけですから、措置が解除された場合にもどんなふうに支援がうまく続けられる仕組みにするのかという設計をお願いしたいと思います。
2点目、実際に、例えば里親のところでもそうですけれども、そういうふうに丁寧にサポートしながら、自ら、次のチャンスを目指して仕事に就いて、またうまくいかなくなった。でも、またサポートしてもらって次のチャレンジをするというふうにして、それこそ30歳を超えてもトライしていたり、あるいはようやく仕事が安定して、この自立がしっかりしたものになるケースが多いわけですので、その年齢までの対応をするような仕組み、あるいは先ほど奥山委員からありましたが、児童福祉法でこれをやるのだといったときに、その制限から年齢的な制限がもし出てくるのであれば、2番目の点としてはケアリーバー法を、次にという声がありましたけれども、実際にはカバーできない部分については今すぐに採用をお願いしたいと考えます。
3点目、これも通所のところなのですが、今、例えば家出をして、定まった居所を持たずにさまよっている10代の女性たち、困難を抱える女性たちの支援をNPOが実施しているところもたくさんありますけれども、残念ながら全く足りていないのが現状だと思います。そういうところの支援が行き届くためには、児童相談所が関与したかどうかが一つの基準になるということで、先ほど企画官の野村様からも現実的な問題として児相が過去に関わったところからスタートしたいということだったのですが、現実にはそういうところ以外のところに実際に困っている子どもたち、あるいは子どもたちがそういうときを過ごしたために自立がなかなかできずに困っているケースがたくさんあるわけなので、先ほど畑山委員は在宅指導のときにはなかなか情報が届きにくいと言われていましたけれども、それすらなかったところにはさらに情報が届いていない。そういう子どもたちをどうやってサポートするのかということを考えると、現実的に困っている子どもたち、あるいはそこから、その結果として自立ができていないところについては支援ができるような設計にぜひしていただきたいと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、宮島委員、お願いいたします。
○宮島委員 ありがとうございます。若者の自立をしっかり支えようという積極的な提案として賛同いたしますし、ぜひ前に進めていただきたいと思います。
その上で、これは大変なことだということを今、感じています。ケアリーバーのイメージを、例えば1人で勉学に励むとか、1人で就職するけれども、あるいは就職にトライする。就職したが、落ち着かない。それで頑張っているというイメージだけで平板に捉えてしまうと、実態とは全然合わない。一番困難な人たちが漏れてしまう可能性があると思います。何らかの縛りをかけなければ駄目だということは分かるのですが、10代後半、あるいは二十歳、二十歳過ぎの若者たちが、特にケアを離れた方、あるいはケアには関わらなかったのだけれども、様々な課題を抱えた方々の暮らしというものは本当に壮絶なものだろうと思います。
これは現場の方から耳にするものも当然あるわけですが、同時に昨今起こっている残念な虐待死事件を見ても明らかだと思います。摂津市の3歳児死亡事例で言えば、お母さんは二十歳そこそこで、生後6か月の子供を抱えて転入してきた。それで、3年たったということです。加害男性もまだ23歳で、まさに、この年齢です。しかもヤングケアラーとして育った方であるということが報道されています。まさにこういう方々。大津の小学校1年生の女の子が亡くなった事件の加害少年は17歳です。児童養護施設出身でした。17歳ということだと、今春から暮らしたということだと、一旦就職等をしても、まだ措置が延長されていてもおかしくない。4月からお母さんと暮らすようになったけれども、恋人ができて、一旦外へ出て戻ってきた。それで加害ということになった。昨年大田区で発生した3歳の女の子をアパートに置き去りにしてしまった女性も児童養護施設出身で、頑張って子育てしていたが、20代前半に加害者になってしまった。数年前になりますけれども、東京都渋谷区の児童養護施設で元入所児童の方が施設長を刺殺してしまった事件がありました。これは、施設はかなり後追いをして丁寧にフォローしていたわけですが、そして、本人が疾病を抱えて、医療につなげようとしていたけれども、そこへつながらずに、そして、訪ねてきて事件を起こしてしまった。まさにこういう事件が起こっています。ケアリーバーの方々は本当に厳しい中で、様々な暮らしをしています。妊娠するようなこと、家を失ってしまうようなこと、本人が病んでしまって自殺を図ろうとするようなこと。そういった様々な方々、一番困難の方々が支援から漏れないようにする仕組みが必要だと思います。
先ほど藤林委員がおっしゃっていたと思いますが、通所ということではなかなか足りないだろうと思いますし、林委員がおっしゃっていたのでしょうか。勧奨とかもアウトリーチが前提である。本人から助けがなくて、一緒に暮らしていた友達から、あの子は今ヤバイよと心配するLINEが入ったりして、施設に情報が入り支援を開始され働きかけをしていると聞いています。相当にこれは支援の体制を厚くしないと、間口を広げたけれども実質がないとか回っていかないということが起こってしまいます。子供の分野だけではなくて、住宅、経済的支援、医療、精神保健、母子保健、障害福祉。そういった様々な方々に関わって頂いて支援していかないと当事者を救えないと思います。そのあたりをどう充実させるかが課題だと思っております。御検討をお願いいたします。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、相澤委員、お願いします。
○相澤委員 皆さん言っているように、やはり総合的な青少年のためのユースセンター、自立支援センターは、転居などのことを考えたら、つくっていくのがやはり必要だろうと思っています。そういう意味では、以前も言ったと思いますけれども、自立支援型の児童家庭支援センターとか自立援助ホームとか通勤寮とか、そういったいろいろな多機能をそろえたセンターをつくっていくべきであろうと思います。
そういうことを考えたら、子供若者総合センターや子若協議会などの青少年施策をどういうふうに活用していくかが大切。大分には子供若者総合相談のセンターと若者サポートステーションと児童のアフターセンター大分といったものが一緒になった大分青少年総合相談所があります。ただしこれだけでは足りておりませんで、やはりいろいろな多機能をきちんとつけていることが必要だろう。そういう意味では障害児施策などの活用も必要でありまして、一回、事務局が規制緩和のことも考えていくということを言っておられましたので、そういったものもぜひ活用できるように考えていただきたいと思います。
それから、1つ、これは子供たちが児童養護施設や里親家庭にいるときの自立支援を考えたときに、細かい話ですけれども、子どもたちは大体、高校生になると携帯電話とかを持っているわけです。そういう意味での措置費に通信費みたいなものは入っていませんので、ぜひ携帯電話も持てるような、そういう措置費も拡充していただけるといいかなと思っています。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 お願いします。私からは3つあります。
一つは、年齢のことはとてもうれしいと思っていますが、意見書でも出させていただいたみたいに、最低18歳までの保障をというもので、藤林委員も驚いておられたかなと思いますが、高校を中退した方とか、アルバイトで収入があるとか、あと、通信制に通わせない施設がある等全国、かなり多様な施設や里親家庭があって、やはり15歳で出されてしまう若者がいるのも現状かなと思います。また、施設や里親家庭は受入れが可能と言っていても、児童相談所は措置を切ってしまうこともこれまでにも何件も聞いていますので、年齢の検討をしていただけたというところと、運用上も良いほうになっていくといいなと思っています。
2点目が、5ページの部分のいろいろな機関と一緒に子供・若者の自立をというふうに書いていただいていますが、もちろん、前提として事務局でも当事者参画、子供の参画は考えていただけていると思うのですが、これを見ている限りでは子供が不在だなと思っていますので、記載をしていただけるとありがたいです。実際の若者たちの話を聴いていると、アフターケア事業をしている自治体でも、子供たちに情報が伝わっておらず、知らなかったということも実際にあって、子供たちが情報を知れることも大切だなと思っています。細かい記載の部分になってしまうのですが、よろしくお願いします。
3点目は、意見にも出させていただいていましたし、先生方も御意見をされていたかなと思いますが、やはり都道府県のばらつきをできるだけ早くなくすような取組というものが必要だと思います。前回の議論でもされていたとは思うのですが、都道府県推進計画にしっかり自立支援について、各都道府県・政令市がどのように整備していくかということに力を入れていただけると良いなと思っています。
以上です。ありがとうございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、松本委員、お願いいたします。
○松本委員長代理 これまでの議論、この数年、自立支援についてなされてきたと思いますけれども、そこでの議論の方向を反映させる形でいろいろな御提案があると理解しております。その点について、まず大きな方向として、ぜひ進めなければいけないと考えています。
その上ででございますが、特に社会的養護自立支援事業が実際に走って、都道府県ごとにかなりばらつきがあるし、運用にばらつきがあるということをきちんと法定化していくことが一つの方向かと思いますけれども、ただ、これは必置にしなければいけないのだろうと思っています。都道府県が必ずやらなければいけない仕事なのだというふうにして位置づける。そういう意味では法的な位置づけを明確化していくとともに必置にしていくのが大事な方向かと思います。
特に、こういう場合にどうするとか、いろいろな場合が出てくるかと思いますが、基本的には自立支援計画をきちんと共同で立てて、それを実行していく体制をどうつくるかが重要になっています。そのときに必要なことは、やはり自立支援を担当するソーシャルワーカーがきちんと配置されていて、そのことに仕事として責任を持つことが最低条件で、それがあって、本人、アドボケートの参加がきちんと有効に機能するのだと思っておりますので、それを必置にしていく、担当者を必ず置く、自立支援計画をきちんと見直すということを枠組みとして持って、そして例えば、一旦切れたけれども、もう一度必要だという場合にはどうするかということもきちんと個別に確認しておく。
あるいは先ほど奥山委員がおっしゃいましたが、保護されなかった、これまで児相にかからなかったけれども、今の状況を見ると、それは同等の場合だったねということをきちんと認定していくことも大変重要だと思います。それは誰がやるのかというのは、やはり自立支援あるいは若者を担当するワーカーがきっちりされていないとそこに責任を負う人が出てこないと思いますので、皆さんがおっしゃったことと多く重なりますので申し上げませんが、そのことについては強調しておきたいと思います。
以上であります。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、井上委員、お願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。私は資料の4ページを開けてお話を聴いていただきたいと思います。
私の意見は奥山先生とか坪井委員、中村委員、畑山委員、宮島先生、それから、松本先生たちが言われていたことに重なってきます。やはり全体的に大事なことは、入所措置を受けた段階で親からの分離した生活を選択というところで今の児童福祉を考えていけば、当然、子供さんへの責任をどこがどんなふうに持っていくのか。それを明確にする。それは現時点では県で知事さんがこうやっていく格好になっているのですが、その方たちがその県を出て全国を動き回っていく段階で、このリービングケア、アフターケア。その辺のところの問題が出てくるようなときに一体、どこがどんなふうに責任を持っていくのかをやはり明確にしていく必要があるのではないかと思っています。
ですので、イギリスでいけばちょうどスペシャルケア、スペシャライズドケアになるのですが、そこを受けた方たちに関してきっちり、大きくなって一人前になるまでしっかり責任を持って見ていくところをまずしっかり決めることによって、今日ずっと皆さんが言われていますリービングケア、そして、アフターケアを続けるのは当然になると思います。
イギリスの場合は、御存じのとおり、1989年で子供法でやりまして、この辺の話が出だしたのは2014年、2015年の、そこら辺が物すごくしっかり出てきていた時期ですから、そこまで考えるのに25年ぐらいかかっているのですが、それを全部、25年かからないとできないということでは何でもなくて、そのほかの国々の動き、特にニュージーランドなどを見ますと、そういった先進的なところの考えをきちんと取り入れた段階で自分の国にどう合わせていくかということをやっていくと、6~7年でかなりいい形のものができています。日本もやはり同じようなことを考えていきながら何をすべきか、今、先生方がみんな言ってくださっているところをしっかり出していくことが大事なのではないかと思いました。
ですので、この4ページでいきますと、入所措置のところはそれで終わり、それから、措置の段階でまだまだ必要という形であれば、児童相談所はそれで終わりという形で持ったとしても、その方たちがさらに生活して、そして、子供ができて、仕事を続けていく。そういったところで再度、いろいろな問題が出てくるのが、イギリスでも最初は措置が終わった段階で切っていたのですけれども、その後、そんな問題が出てくるのが分かってきて、ずっと経過を見ていく。そして、途中で25歳とか、いろいろな年齢で切ると言っていましたが、そういった生活の中で問題が出たときに一旦、親元を離された子供に関してはきちんともう一度、それが必要というふうに思ったときにケアができるものを残すというものをやっておりましたので、そういった視点を入れながら考えていく必要があるのではないかと思いました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、薬師寺委員、お願いいたします。
○薬師寺委員 ありがとうございます。かなり児童相談所の業務の枠が幅広く、また、非常に重責だなということを実感しています。
私からは3点です。
令和4年4月から成年年齢の引下げによりまして、18歳になれば成人の扱いとなるということなのですけれども、先生方がおっしゃったように、社会的養護経験者については様々な背景があって、家族の支援が得られないとか、虐待の影響により自立は困難などの状況があるということですので、成年年齢に達しても児童福祉法の対象とすることをいま一度確認したいと思います。
また、自立支援の提供なのですが、大阪府では自立支援資金貸付事業である、スタート資金と言っていますが、こういった貸付けの利用に当たっては施設だけではなく、児童相談所が里親委託児童等の自立に向けて支援を行う仕組みとなっておりまして、児童福祉法上に都道府県の役割を規定されることで法的根拠を持てるようになるかなとは考えております。
ただ、自立支援に関する児童相談所と市町村関係機関との協議会につきましては、既に先ほどもお話に出ていました子ども・若者育成支援推進法に基づく子ども・若者支援地域協議会がありますので、個別支援の協議の場は整理が必要になるだろうと思います。国においても内閣府とか障害の関係と調整いただきまして、実際の運用のイメージの整理をお願いしたいと思います。
通所による自立支援、通所だけでいいのかというお話がありましたけれども、自立支援を必要とする児童等と関わった市区町村、福祉事務所、児童相談所、児童養護施設や里親等から報告を受けて、児童等からの申出によって通所による自立支援を行う自立支援事業者が支援を提供するという、一旦、児童相談所を介する、都道府県への申出を介するところが人とのつながりによって支援の提供を受けようという思いに至る方が多いと思いますので、都道府県への申出を介するということは実際にはなじまないのではないかと思っております。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、河尻委員、お願いいたします。
○河尻委員 あまり時間がないので、皆さんと重なるところも多いので、何点かだけお伝えします。
1点目は今、薬師寺委員がおっしゃった児相の対応についてなのですが、国立の児童自立支援施設でいうと全国の児童相談所とお付き合いがあるわけですけれども、特に18歳を超えた自立援助ホームのお子さんに対する対応はかなり都道府県によって開きがあります。恐らく現場でも18歳を超える子、あるいは今後見直し案にもある二十歳を超える子について、どこまで児相が関与したらいいのか、現場でも分からないまま対応するような状況になるのではないかと思うので、ここについては議論をもう少し深める必要があるだろうということと、そのときに非常に大事なのは、児童相談所の業務の幅が場合によっては非常に広がってしまうので、それが現実的にどこまで可能なのか。児童相談所がじかにやらなければいけないことと都道府県が委託できることと、そのあたりの整理も含めて検討する必要があると思います。
2つ目は、6ページの自立支援事業者についてです。これは今までにも皆さん意見があったように、アウトリーチであるとか、それから、この自立支援事業者が通所の対象として完結するサービスを行うところなのか、あるいは窓口としていろいろなところにつないでいく業務を負ってもらうのか。これは若者にとって選択肢を増やす上でも、いろいろな施設だけではなくて、NPO法人であるとか、いろいろなところが負ってもらえればいいなと思うのですが、この事業の中身は本当に細かく議論したほうがいいのではないかと思っています。というのは、法律で都道府県の業務として、あるいは事業として規定するところまではざっくりと法律に書くわけですから、そこに賛同の意見があると思うのですが、では、これを実際に事業に落としたときに、すごく嫌らしい言い方をすれば、スタッフを何人つけて、年間何千万円ですと。これでやってくださいという、いわゆる箱払いの事業にして、実際、どこまでやっているのかよく分からないような事業になるのは非常にもったいないわけです。そういう意味では、どういう事業を担ってもらうのかということはなるべくケアリーバーの意見も聴きながら具体的にして、お金の出し方も含めて実効性のある事業にしていただきたいという思いがあります。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
最後になります。お待たせしました。横川委員、お願いいたします。
○横川委員 全乳協の横川です。よろしくお願いします。
私からは1点のみです。10代で妊娠、出産して乳児院でお預かりするケースが非常に多くあります。そうした状況があるので、全乳協として母子一体での保護ということを打ち出したのですけれども、今回お話しいただいているような自立支援という観点で乳児院を利用する形もあるのではないだろうかと思います。
中学校3年生で妊娠して出産した子を5年間、うちの乳児院で見ました。親子分離して赤ちゃんを見ていて、面会交流を丁寧にして、二十歳を過ぎてお返ししましたが、まだお母さんは十分自立していない部分があって、おばあちゃんとの関係性でかなり生活がすさんでしまった状況でした。今度は児童養護施設で再保護が必要ではないかという議論をしていますので、10代で妊娠して出産したお母さんの自立をどう考えるかが抜けている気もします。
母子の状況で自立援助ホームがお預かりする事例があるかどうかは分かりませんけれども、全乳協で母子一体の支援と考えた場合、母親の自立支援という観点で考えることも必要かと思いました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。母子生活支援施設も含めて、そこの部分は母子ホームという話もかつて出ておりましたので、また皆さん方の追加の御意見をどこかの機会でいただけたらと思います。
一旦、これで前段の議論は終了させてください。
今、ちょうど11時半です。11時35分過ぎぐらいに再開したいと思います。11時35分までは確実に休憩で、遅くとも11時37分から11時38分には再開したいと思います。画面に皆さん方のお顔が見えたあたりで再開したいと思いますので、しばらく休憩してください。よろしくお願いします。
(休 憩)
○山縣委員長 委員におかれましては、全員のお顔が見えておりますので、再開したいと思います。
後段は情報共有についてと権利擁護ということで、資料は8ページ以降になります。7ページは6の全体像を説明したものにすぎませんので、本日の議論は8ページ以降でお願いしたいと思います。
進行については前段と同様、各委員のほうで手を挙げていただきまして、私から順次指名していきます。よろしくお願いします。
では、御自由に。
安部委員、お願いいたします。
○安部委員 ありがとうございます。構成員提出資料を見てください。3つのことを申し上げたいと言います。
1つ目なのですけれども、意見表明のところで自立支援計画に子供の声を反映ということですが、努力義務というか、何か形式をしっかり定めたほうがいいかなと思います。小学校1年生にするか、小学校4年生にするか、ちょっと迷いますが、子供と一緒に自立支援計画表をつくり、それを署名して、コピーに貼り付けて、なおかつそれを監査の対象にしたらいいなと思います。ただ、子供と一緒につくる自立支援計画だけではなくて、専門職としてのアセスメントに基づく自立支援計画と2つあって、ただ、それが乖離したものではなくて、職員はこういうところを心配しているということは子供に伝えるけれども、子供の意見表明を尊重した自立支援計画はやはり子供の意見とか子供の声を中心とした、それを応援する自立支援計画。この2つを作成し、どちらも監査の対象にすることで定着を図りたいなと思いました。
2つ目ですが、権利擁護機関のことです。子供の声をきちんと整えるアドボケートの仕組みなのですけれども、私は福岡県の児童福祉審議会の委員をしているのですが、今まで1件も上がってきていませんので、単に児童福祉審議会に意見を上げる仕組みをつくるだけではなくて、権利擁護機関を、意見表明支援員を必ずセットにすることを義務づけないと、この仕組みは機能しないだろうと思います。
3つ目です。記録の取扱いなのですけれども、私が児童相談所自体に、当時は5年廃棄ということはあまり明記がされていなかったのですが、私の知人のファイルがあったのです。そこに子供の頃の知能検査の結果が残っていたので、どんな範囲を記録に残すかがとても大事で、もちろん、過去の事実を知る権利というふうにして残したほうがいい部分もあるのですけれども、逆に残さないほうがいい記録もあるのではないかと思いました。変な話、中村委員の記録が大阪府の児相に残っているとかというのはやはり気持ちが悪いことだと思いますので、自分自身の記録が自分の知らないところで残っていることが起こりかねないということで、この記録の取扱いについては課題があるかなと思いました。いろいろ課題があって、バランスを取るのが難しいことだと思いますが、丁寧な議論が必要かと思いました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、桑原委員、お願いします。
○桑原委員 ありがとうございます。全養協の桑原です。
最初に14ページ、子供の意見表明のところですが、子供が児童相談所に対して行う意見表明、3つ目の○のところですか。子供の意見を聴くときの責任と評価を考えたときに、ケースワーカーだけでは厳しいかなと。やはり弁護士を含めた第三者がちゃんと声を受け止めて評価する仕組みは絶対必要かなと思っています。
最近、自立支援計画については、私の知る限りでは子供の声を聴きながら作成しているというふうには聞いているのですが、一方で今日の提出資料で中村委員や畑山委員の資料の中にあった権利ノートなどでも、それの運用をどうするかということによっては権利ノートがつくられていること自体は評価できても、運用がなされなければ実は大変なことがあると思います。
今ではないと僕は信じているのですが、かつてあるところで権利ノートの裏には投函すればそれが相手に伝わるという、最近はほとんどそうなっていると思うのですが、ある施設の子供がそれを投函した。それで実は水面下で相当に大変なことがあった。結果として、実は子供が出したはがきが、このはがきをそのまま出すと、どこの施設の誰それがどうも出したということが分かるので、子供は慎重になって官製はがきを買って、それを写して出した。ところが、結果的にはもみ消されたのです。こうなると、幾ら仕組みがあっても活用する、要は評価側の質の問題が担保されないと、子供はやはり何を言ってももう仕方がないという諦めの状態になります。
私は全養協のこういう関係をやっていると時々、私の知る子供がなぜか、実はという話を聴く機会が時として起こってくるのですが、なかなか厳しい問題があると思っています。その辺では、なぜそれがもみ消されたかということを、ある時期、いろいろなルートを通して調べたことがあるのですが、やはり施設のありようが表面化することに対して、必ずしも施設側だけではなくて、行政処分する側も一緒になってそれに蓋をしたということも聞きますし、これは確実な情報ではないのであれですが、そういうことがぜひ起こらないように、やるならそういう仕組みをしっかり整えることが僕は本当に大事なことだと思います。今はスマートフォンやいろいろなメディアに子供たちも関わるようになって意見表明ができやすくなった環境は一方ではあるのですが、それを受け止める側の質の問題が課題だと思っています。
あと、記録の開示なのですが、やはり施設を出てからいろいろ、自分のあのときはどうなったとか、いろいろと当時の様子を教えてほしいということもあったり、あるいはなぜ自分が施設に入っていたのか。そういうことについて実は知りたいのだということを30代や、あるいは自分が家庭を持っていろいろあったときに尋ねてくるケースがあります。表向きは、これはある児相の方と話していたのですが、なかなか最近、こういう問題になると難しいのだよという話を聴いたことがあるのですが、例えば施設側は、例えばうちの施設に限って言えば、一定の年数で情報開示については処分というふうにはしているのですが、全てをそのまま置いています。
というのは、子供たちが将来、大人になって、家族を持って、社会人になって、そして、いろいろな病気を抱えたりとか、健康上の問題であるとか、あのときに自分を施設に預けた、あの父親の気持ちはどうだったのか。今でも父親が許せないとかと言って尋ねてきた人の場合などは、ケースを見ながら、一応、一定の情報をお伝えしたことで、父親に対してこういう気持ちを持ち続けた自分が愚かだったと。この帰り道に父親のところに寄って、頭を下げて帰りますとかと言いながら、その後、施設とつながっているケースもありますし、いろいろなケースが想定されるので、一律にというのは非常に難しいことかなと思います。
以上です。ありがとうございます。
○山縣委員長 保管の話と開示の話ですね。そこの部分も丁寧に考えないといけないかもしれません。
では、高田委員、お願いいたします。
○高田委員 よろしくお願いします。全国児童心理治療施設協議会の高田です。
情報に関しては大きな話で、とても気になっているので、させていただきたいのですが、民生委員・児童委員さんとかと話していても必ず情報の問題で、自分たちとしては力になりたいけれども知らせてもらえないという話が出たり、一番、直近でびっくりしたのは、里親さんたちが委託を解除されて、子どもたちが実親の下に戻ったときに、戻った後の情報がまるで入ってこない。聞いても教えてもらえない。里親さんたちは、自分が気持ちを込めて育てた子どもたちが突然いなくなって、ぶつっと切れたような感じになっていて、すごい喪失感がある。こんな嫌な思いをするのだったら里親をやめたいとかという話もちらほら聴こえてきたりするのです。そもそも個人情報はどこまでを開示していいものか、いけないのか。例えば運動部で頑張ってやっていますというくらいだったら個人情報でも何でもないと僕は思うのですけれども、その一言もなかったりする。そういう整理を一回、どこかでしていただけないかというのが一点。
もう一つは、委託を解除された子どもが実親に戻った後に、子ども自身が自分のことを元の里親さんに伝えたいか伝えたくないかとか、そういう意向を言う権利があると思うのですが、そういう丁寧な意見を聴取しているようにはあまり聞こえないので、そこも含めて何か指針を出していただけないものかと思っています。
すみません。とても大きな話なのですけれども、いろいろな人の力を借りて子どもを育てるときは必ず問題になってくることだと思いますので、よろしくお願いします。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、坪井委員、お願いいたします。
○坪井委員 3点申し上げます。
1つ目は、子供の意見を聴き取る技術といいますか、子供の措置について子供自身の声を反映するという考え方の危険性みたいな部分についてお話をしたいと思います。よく知られているように、虐待を受けた子供が親から、このことは誰にも話してはいけないよ、話したらお前は独りぼっちになってしまうぞと言われていて、それでも独りぼっちになるのは嫌だなと思っていたのだけれども、いろいろ困って誰かに話す。そうすると一時保護所に入ることになってしまって、親が言ったとおりになってしまったと実感する。そこで二度と言わなくなったりする。あるいは悩みに悩んで、虐待について何とかケースワーカーに告白することができた。そうしたら、そこで分かったわ、じゃあ、同じ話を何々さんにも後でしてね。何々さんというのはその上司だったりするのですが、そういうふうに言われた。もう一度、同じ話をしなければならないということは、私の話は信じてもらえなかったのだろうか。では、その何々さんに話すときには今度は信じてもらえるように別の内容の話をしようと考えたりする。子供は発達段階の脳で考えていることなので、そういうふうにして大人に対してどう対応するか、一生懸命考えてしゃべるわけですけれども、そういうところで出た発言が最終的に措置を決定するのは全くおかしなことになってしまう可能性があるわけなので、そこの区分けはしっかりするような制度にしていただきたいと思います。
実際に、今の状況でも子供の発言が何かエクスキューズのように使われたり、あるいはあなたが自分で言ったのではないかみたいな話になっていることが多々あります。実際に大人のしたことで子供が追い込まれている状況。それは大人の責任なわけですから、そういう状況はやはり大人の責任でしっかり子供の環境を整えてあげることが大事だと思いますので、そういうことができるような制度に設計していただきたいと思います。
2点目は、子供が意見を自ら発言する環境をどうやって整備するかということについてです。実際に子供が自分の意見を言おうと思ったら、小さいときから自分の意見を聴いてもらえる。発言したら、それは聴いてもらえるのだということが整っていることがとても大事だと思います。これは社会的養育に限らないテーマだと思いますが、例えば子供が親にこれを買ってほしい、あれを買ってほしいということもあるでしょうし、お父さん、一緒に公園で遊ぼうということもあるかもしれない。あるいはお母さんに、今度は晩御飯にこういうものを食べたい。そういうことを子供が言うときに、それを一つ一つちゃんと受け止めて、それを実現してあげるからこそ子供は自分の希望を発言する習慣がつくのだと思うのです。
でも、それは結構大変なことで、お母さんは、今日はハンバーグを作ろうと思っていたのだけれども、子供が、いや、カレーライスが食べたいと言ったときにどう対応するのかとか、お父さんが今日は休みだけれども疲れているなと思っていても公園に行って遊ぼうと思ったときに、それを実現する。そういう日々の努力があって、初めて子供は自分の声を発することができるようになっていくということがあると思うので、そういう子供が声を出せるような環境というか、文化をつくっていくことをしっかりやらないと、もちろん、今回いろいろ提案していただいている、この制度を整備することはとても大事なことですし、とても大きなことなのですが、そういう制度をつくって、システムをつくったら、子供の意見がちゃんと聴けるようになるのかというと、少し違う部分もあるのではないかと思うので、もちろん、今回提案いただいている制度はしっかりつくっていただきたいのですけれども、加えて、そういう子供が意見を言う環境をどうやって、この日本でつくっていくのか。そういうことも目配せいただけたらいいと思います。
3番目、最後です。記録です。記録の保存期間、特別養子縁組の成立したお子さんに対して永年保存になっている。これはすばらしいことだと思います。一方で、この施設で育った子供であれ、里親で育った子供であれ、自分のルーツを知りたい、親を知りたい、親と会いたいということを考えるようになる年齢は結構ばらばらだというふうにいろいろなところで聞きます。10代の真ん中を超えたあたりからそういうふうに考える子供たちもいますし、20代の子もいますし、あるいは場合によったら人生の後半になって、いろいろそういうことに思い至る。そういうケースもある。そういう中で、この特別養子縁組のケースに沿う形で、全てのケースについて、ずっと情報が確保されている。知りたいときに知ることができる。そういうことがとても大事だと思いますので、そういう方向に向けてぜひ整備していただけたらと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、奥山委員、お願いします。
○奥山委員 ありがとうございます。
まず、報告書にはかなり書いてあるのですけれども、今回、子供の意見を聴くというところだけしか表に出ていないのですが、子供の意見を聴くのと、それに従うのは異なります。意思決定は子供の最善の利益を優先して決定し、子どもにもそのことをしっかり伝えるということがたしか報告書にはちゃんと書かれていると思います。先ほども坪井委員の意見にもありましたように、子供が家庭にいたいと言ったから保護しません、それで子供が亡くなってしまったのでは目も当てられないのです。責任を子供に押しつけるのではなく、決定の責任は児童相談所等の自分たちにあり、それは子供の最善の利益を考えて決定することが重要なのです。ただ、子供の意見を聴いて、その意見の内容では、例えば子供の安全を脅かすものであれば、子どもにその説得もしなければならないし、コミュニケーションを取っていくことが必要で、最終的に子供と一緒に考える形になることが重要なことであって、子どもの意見そのままに決定するというふうに思われると危険だと考えます。そのことは報告書の中には書かれているはずなので、そこを明確にしてほしいと思います。
次の第三者評価ですけれども、例えばさっきの自立支援の事業所はいずれ第三者評価が必要になると思うのですが、第三者評価というものは第三者であればいい言った風に捉えられがちですけれども、専門的に均一な評価を徹底するためには、評価機構が必要だというところも報告書には書いてあるので、そこもぜひ検討していただきたいと思います。
それから、記録に関しては、先ほどありましたように、私は永久に保存して、亡くなるまでということを考えれば、例えば100年保存にしてほしいと思っています。今までですと記録がほとんど紙媒体でしたが、今はほとんど電子化されてきているので、保存が非常に難しいわけでもないと思います。さっき安部委員が保存すべきものと保存すべきではないものとおっしゃったのですが、それはやはり保存している機関の信頼度だと思います。医療機関などは結構な個人情報でも長く保存している医療機関は多いわけですけれども、そこの信頼度が重要だと思います。そういう意味で保管をきちんとするという形で100年保存を私は提案したいと思います。最終的に関わったところから100年保存すれば大体亡くなるまで保存できるのではないかと思考えます。
もう一つ、子供たちが大人になってからでも、自分の過去がどうだったのだろうということで記録の開示を希望すると、ほとんど黒塗りで出てくるとのことです。自分の情報にも限らずというか、親のことが関わっているから親の承諾を得ないと開示できませんといった答えになるのです。そこが、親の権利と子供の権利ということになるのでしょうけれども、やはり子供の知る権利をしっかりと考えて、真っ黒にするのではなくて、子供が、自分が何でここにいるのか、何で保護されたのかが分かるような開示がなされるようにバックアップが必要ではないかと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
権利擁護に関するワーキングチームの取りまとめについては、あくまでもポイントがここに書かれているだけであって、書かれていないところを無視するということでは決してありません。
○奥山委員 ただ、非常に重要なポイントが抜けているので、お話ししました。
○山縣委員長 了解しました。ありがとうございました。
では、続きまして、林委員、お願いいたします。
○林委員 3点ございます。
一つは13ページの2行目です。保障される権利の享有主体としての子供観というものが明記されているわけですけれども、この文面は後の意見表明につながることだと思いますので、子供を明確に権利行使の主体として捉える子供観も明記すべきでないかというのが1点目です。
2点目として、形成支援の中で記録というものは重要なものですが、その記録が今後、里親支援機関とか児童福祉施設とか、それが今、都道府県によって条例等で保存期間が定められているわけですけれども、多分、福祉施設の記録の電子化などもこれから普及していくわけですから、そのことも含めて検討いただけたらということ。
それと、子供にとって望ましくない情報を抹消するという考え方ではなくて、むしろそういうことを含めてどういう支援が必要なのかということだと思うのです。つまり、開示支援の在り方を十分に検討いただくことが必要というのが3点目です。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、橋本委員、お願いいたします。
○橋本委員 ありがとうございます。社会的養護自立支援事業をやっていない数県の中の一つである福井県の橋本です。自立援助ホームが日本で唯一運営されていない県である福井県の橋本です。都道府県、それから、市町村格差を痛感している今日この頃です。
冗談はさておき、今日、実は資料の9ページを御覧いただきたいのですけれども、これは私ども福井県越前市、福井県はいろいろあるのですが、越前市では市が非常に頑張ってもらってこういう取組をしているということの紹介です。厚労省の方、うまくまとめていただいてありがとうございます。
若干補足させていただきたいのですが、越前市では社会福祉法人の地域公益の取組を共同実施する団体、市内全ての社会福祉法人19法人が集まってできた団体が地域で学習支援事業とか子ども食堂を展開しているNPOや地域団体を財政的あるいは人的に支援しています。また、支援対象児童等見守り強化事業もこの団体が直接実施しています。これは笙ネットという愛称ですけれども、そういう団体がある。それから、福井県内全ての乳児院、児童養護施設、母子生活支援施設、児家セン、そして、里親会が結集して任意団体をつくって、ここが福井県で唯一、フォスタリング事業を展開しています。これはFLECフォーラムを主催している全国家庭養護推進ネットワークをオマージュして、福井県家庭養護推進ネットワークという名称で、この春、創設されています。そして同じく今春、当事者団体も結成されました。これらの組織はいずれも越前市の要対協に加盟しています。
今日、私がこの委員会の中でお伝えしたいのは、こういう新たな団体、子ども食堂、見守り支援強化を頑張っている団体を含めて、いろいろなリソースが今、できている中で、これらをどう要対協に入れていくか、要対協とつなげていくかというところがやはり一つ大きな論点としてあるのだろうということです。併せて、このような団体を、どう生かしていくかということもこれからの検討課題だということです。その意味で、新たなリソースを要対協がどう活用していくかということが2つ目の論点。
そして最後3点目の論点ですが、民生委員さんとか里親さんとかが中心だと思うのですが、いわば市民有志の人たちにどんどん市井で活躍してもらわないといけない。そのために情報をどうマネジメントしていくか。この辺が論点になるのかなと思っているのです。今般、要対協内での官民の情報共有の在り方について研究会が出来上がったということなので、その研究活動に期待するわけですけれども、これらの論点に関する先進事例をしっかり集めて水平展開していくことが必要であり、そのうえで最低限のところは、先ほどどなたかがおっしゃいましたが、やはり必置という形で、あるいは最低限これだけはやってほしいということをしっかりとあらゆるものに書き込んでいくことが必要なのかなと思うところです。
私からは以上です。ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、薬師寺委員、お願いいたします。
○薬師寺委員 私からは1点です。児童記録の取扱いについてです。
社会的養護の子どものケース記録というものは、養子縁組が成立した事例以外に施設入所や里親委託経験者までなのか、2号措置、一時保護を含むのかなど、明確に定める必要があると思いますので、実務的に現場の意見を聴いていただきたいと思います。
なお、年間虐待相談対応件数20万件を含む受け付けた全ての相談記録を長期保存とするのはかなりICT化が進まないと物理的に厳しい状況にありますので、法律改正されてすぐというのが非常に厳しい状況ですので、一定の準備期間をいただいて「この情報については永年保存にする」という形で定めていただけたらと思っております。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
現状で2号措置までを含めた記録の保存というふうに今、事務局はイメージしておられますか。それとも、そこも含めて議論ということですか。
お願いします。
○羽野虐待防止対策推進室長 虐待防止対策推進室長の羽野でございます。
具体的な範囲については、まだこれから検討していきたいと思っていますので、皆様からの御意見も含めて考えていきたいと思います。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、次に、浜田委員、お願いいたします。
○浜田委員 浜田です。
申し上げようと思っていなかったことですけれども、情報共有の関係で、記録の保存はまさか紙をずっとどこかで保存というのはおよそ現実的でないと思うので、そこは電子的なものにシフトしてというのは当然の前提で御検討願えればと思っております。
もともと安部先生からの御指摘があったところに捉えて言いますと、記録がいろいろにある、残っているほうが私もいいと思っておりまして、あとは所内で例えばどこかの児相に私の記録があったとして、私の知人がそれを見られるかどうかはセキュリティーのかけ方というか、どんな人がどんな用途で見られるかをあらかじめ定式化することで適切な管理ができるようになるのではないのかと感じております。
もともと申し上げようと思っておりましたことはその話ではございませんで、14ページの上から3つ目の○で、子供の意見表明を支援する活動を事業化してはどうかというところについての意見を申し上げます。
これについては、ぜひ事業化という方向を推し進めていただきたいということが一つと、我々、弁護士または弁護士会といった組織がこの意見表明支援の受け皿になれるだろうと考えるということを申し上げております。私は別に全弁護士を代表できるわけでも何でもないですが、多くの弁護士もここについて関心を持って勉強はしているというところを申し上げておきたいと思います。
既に弁護士の活動としては、主に弁護士が運営する子供シェルターなどが中心ですけれども、入ったお子さんそれぞれにコタン、子供担当弁護士なのでコタンですが、コタンをつけて、その子の支援に当たるということを弁護士が関わっているシェルターでもどこでも当然のようにやっていることは御承知いただいているかと思います。そこではお子さんに手続とか今のお子さんの現状はもちろんですけれども、この先どうしたいかというところについて、お子さんの最善の利益であったり、お子さんの意向であったりを踏まえた支援活動、具体的には意見表明支援もそうですが、関係機関との調整でありますとか、不服申立て等を含めて子担がサポートしているのが現状でございます。これをアドボケートと呼んでいいのかどうかというのはその定義次第かなと思いますが、現状はそういう活動をしております。
もう一つ申し上げると、この活動は多くの場合、日弁連の法律援助事業を利用して報酬を確保しております。この事業は、実は日弁連の会員が支払う会費が資金の出どころとなっているのです。それでコタンはそれぞれの業務に関する報酬がもらえることになるのですけれども、言ってみれば弁護士が自分で自分の足を食っているような面がないとは言えませんので、最初に申し上げた意見表明支援の事業化のところですが、この事業化について適正な報酬をつけていただくことがとても重要になってくるだろうと考えております。
なお、皆さん御承知いただいているかもしれませんけれども、兵庫県弁護士会で一時保護されたお子さんに希望があったら面会して処遇の改善を求めるといったところまで踏まえた活動がこの間、始まったと聞いております。これは言ってみればコタンの範囲を多少広げるということのように見られるとは思いますが、その事業では費用は、新聞報道レベルですけれども、自治体と弁護士会が負担すると聞いております。一歩前進とは思いますが、このような兵庫のような取組が今、全国で散発的に行われているところと認識しておりますので、これが全国に広がっていくことを期待するものです。
最後にもう一つ、これに関連してですけれども、別に実は意見表明支援の受け皿が弁護士だけでいいと思っているわけでは全くないということです。むしろ逆でして、弁護士だけでやっていると何かやり過ぎたりとか足らずが出てきたりというところがあるのだろうと思っておりますので、矛盾したことを言うようですが、弁護士の関与は必要不可欠だろうと自負しておるものの、他方でここには多様な、いろいろな専門性を持ったいろいろな方が参加してこそ実効性のある制度になると思っておりますので、他業種の方々とも連携しながら弁護士もその一翼を担いたいと考えております。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、続いて、畑山委員、お願いします。
○畑山委員 ありがとうございます。
意見表明についてですけれども、意見書の7ページにも書かせていただいていますが、子供が意見表明をするにしても、子供自身が子供の権利を知らないと、きっと意見を表明すること、救済を求めることなどはないと思います。各自治体に任されている子供の権利ノートについても、国として具体的な法的な根拠に基づいて全ての自治体で作成・運用されるようにしていただきたいです。
私自身の社会的養護での生活を考えると、自分の権利を考えたことがなかったです。意見を表明していいとも思っていなかったですし、意見を言ってもどうせ何も変わらないと感じていました。生活の中で不安があったとしても、ほかの子も我慢しているしと思っていたりとか、もし自分が何か言ったら、この大人の人たちは聞いた内容をどうやって扱うのだろうと思っていたので、本当にそういったところが私自身もありました。
関わる子供たちの中でも、子供の権利ノートを知らない子供たちも実際にいます。意見表明を考えるに当たっては、一時保護所であったり、児童養護施設、里親家庭、まず、権利ノートの徹底を行ってほしいと思います。現場レベルであれば権利ノートを子供たちに渡していますだけでは本当に意味がなくて、先ほど委員の方からもありましたけれども、本当に権利ノートを頂いた記憶は私もありますが、使い方は知らなかったです。例えば事務所の前に意見箱が置かれていても出さないですし、電話したくても事務所前に電話があったら誰も電話しません。はがきを投函したくても切手を持っていないとかで、やはり権利ノートとセットで子供たちが使いやすいように、運用方法についても検討していくことがすごく大切だと思います。
子供たちが子供の権利を知って意見を表明したいのだと思ったときに第三者であるアドボケートの役割がすごく重要になってくるかなと思います。何も意見を言ってこない子は何も問題がない子ではないですし、課題がない子でもないですし、言いたいことがないのではないので、定期的に継続して聞かれる機会であったり話せる機会を子供たちの生活の場で確保できる仕組みをぜひ検討していただきたいです。
しかし、このアドボケートを養成して現場で子供たちと関わる者としては、真に機能するための質の基準を明確にする必要があるのではないかと思います。前回の里親さんの議論にもありましたけれども、誰でもなれるものだとすごくリスクがあると思いますので、やはり一定の基準を満たした養成研修の実施を検討していただきたいです。また、実際にアドボケートと関わる子供、経験者を含んだアドボケートの仕組みを定期的に評価できる仕組みの構築も検討が必要ではないかと思います。
あと1点が、私も発言するか、すごく悩んでいた部分であるのですが、記録の取扱いに関しては、どのタイミングで自分のことを知りたくなるのかは本当に全然、子供によって違いますので、やはり永年保存でやってほしいという思いと、けれども、誰でも見られる状態ではないというものをしっかりつくっていただきたいというのは思いました。浜田委員がおっしゃっていたように、やはりセキュリティーがすごく重要で、私自身も知人が児童相談所の職員になるということを聞いたときに、私の情報も、気軽ではないのですが、もしかしたら見られるのかなと思ったらすごくそわそわしたので、そういった子供たちがいつでも見られるようにはしていただきたいですけれども、残ってあることで不安を感じてしまったり安心できないものにはならないような検討がきっと必要だろうなと思いました。
以上です。ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、宮島委員、お願いいたします。
○宮島委員 ありがとうございます。手を挙げたときは3つあったのですが、うち2つは既にほかの委員の方が御発言いただきましたので、簡単に述べたいと思います。
当事者の声を生かす、特に子供の意見を用いるときの注意事項としては坪井委員、奥山委員、畑山委員が言ってくださったとおりだなと思いました。表面化された子供の意見頼りになってしまう。例えば中高生になっても、心理的虐待による呪縛が強かったので家へ帰りたくないと言えない。それで言わないことを頼りに、家に返すとかを保護者に会わせるということを進めていく。こういうことはやはりあってはならないと思っております。
もう一つ、記録の保存と利用と開示です。これも奥山委員、林委員、浜田委員、畑山委員のおっしゃることに賛同します。私も兄の記録が、職員になった23歳のときに児童相談所に索引のみですが残っていました。やはりいろいろと複雑な感情を持ちますが、保存されていることと見られることはまた別なものだということの整理が必要かなと思います。
3点目は重ならないところで申し上げたいのですが、これは情報の共有についてです。情報の共有を促進し、また、民間機関の参加を促す。基本的には賛成で、どうしても必要だと思っておりますが、共有が強調されるとちょっとよろしくないことも起こると思っております。というのは、情報は得たら用いなければいけない。そのためには分析しなければいけないと思うのです。分析して深掘りすることのない情報をただ広げれば弊害が起こる。
先ほど1回目の発言の中で今、様々な悲しい事件が起こっていますけれども、一つ一つの事例の深掘りがどのくらいできていたのか。それぞれ関わった機関が自分の関わりや自分の情報を深掘りして考える。それで、自分の関わりにきちんと責任を持つ。その上で少数の機関が膝詰めでちゃんとすり合わせ議論をする。そういうときに初めて適切な対応が導き出されるのだと思います。やはりそこを抜きに広げることになると垂れ流しのように、あるいは持っているだけ、集めるだけに関心が集中して実際には生かされない、支援に生きてこないということが生じますので、情報の共有とか参加機関を増やすときには、弊害にも着目した上で、きちんと少数の直接関わる方々のそういうすり合わせと議論が必要だということ、それぞれの機関での分析がまず必要だということ。そのことも併せて強調して、考えて、また伝えていただきたいと願います。
以上でございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、続いて、代理で出席いただいております村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 全母協の村上です。よろしくお願いします。
子供の権利擁護、【子どもの意見表明】について、母子生活支援施設はほかの種別と措置などの性質が少し違うので該当しないかもしれないのですが、1つ目の○のところで「都道府県等又は児童相談所」という部分もこれを単純に福祉事務所と読み替えていいのかという疑問と、また「子どもの意見」が2回ぐらい出てきているのですけれども、ここを母親と子供と読み替えていいのかという疑問です。それがもし見解が異なるのであればそのような仕組みを検討していただきたいと思います。また、母子生活支援施設は母親がいるがために子供の意見までなかなか聴き取れない、反映されにくいところがあるので、福祉事務所なりが子供の意見をきちんと聴取する方法を検討していただきたいと思います。
加えて、母子生活支援施設も児童福祉施設の一つなので、福祉事務所だけではなく、子供の意見を聴いてもらえる機関として児童相談所も関わりを持っていただけたらと思います。
以上です。
○山縣委員長 確かに御指摘の点、私も頭から抜けていました。
これは母子生活支援施設、いわゆる福祉事務所を窓口にする場合のことについては現在で何か検討されていることはありますか。
お願いします。
○羽野虐待防止対策推進室長 虐待防止対策推進室長の羽野でございます。
御指摘いただいた点も重要な点だと思います。詳細はこれから詰めていきたいと思いますけれども、基本的な考え方は措置とか一時保護みたいな強制的な権限が伴うものを想定してはいたのですが、御指摘いただいた点もどうしたらいいのか、検討したいと思います。
○山縣委員長 ありがとうございます。
重要なポイントの御指摘、ありがとうございました。
では、続いて、井上委員、お願いします。
○井上委員 ありがとうございます。私は資料の15ページを参考の絵として見ながらお話ししたいと思います。
実際にあった事例の状況で、子供の状態を里親さんとか施設の方が、要するに日々、その子をよく見ている人から、子供の様子が何か変だなというのに気づいて、特に思春期に入ってきた子供だったのですけれども、そういった意見が出て、まず、児童相談所に相談されています。そうしたら、児童相談所の担当の方がそちらに来てくださって、子供を見てくださって話したのですが、そのずっと見ている人たちが何か変だなと感じている行動を児童相談所の職員の方がおられるときは子供が全然示さなかったのです。そうしたら、その状態に関して、これはもう大丈夫だからという形で親御さんの下に返そうという方向の話に進んでいったのですが、やはり里親さん施設の、たまたまほかのケースがあったのですけれども、そちらのほうが、いや、これは何かおかしいので、誰かの意見を聴きたいのですがと言ったのですけれども、児童相談所の方が、この間、話を聴いたので、このままいきますというふうな話が進んでしまった。そういう状況のときでした。
そうしたら、ここにあるように、そういった状況のときに、例えば児童福祉審議会に、あるいは権利擁護の部会に連絡を取って意見を聴いていただけたらという格好で言われているのですが、他県のことなのですけれども、そういった事例が実際にありまして、そうすると、そこの福祉審議会の方たちは、やはりまず最初に児童相談所にこういう事例の話があったのですがという話をしてしまって、そうすると児相からその話を聴きましたがという格好になって、その施設の方、里親の方たちが気を遣ってそういう形でしているのですが、結局、意見が正しく伝わらなくてということで、今度はようやく私たちに昔、関わっていたからということで連絡があって、そして、実際にお会いして見せていただいたら、この子は、今ははっきり言えないけれども、時間がたったら統合失調症になってくる可能性がある言動が始まっていますねというお話ができるような事例がありました。時間がたったのですが、1年ぐらいたって、やはりはっきりその症状が強くなってきてという状況になりました。
だから、そういう意見が出たときに、児童相談所の方たちだけに相談し続ける格好ですと大変うまくいかなくなりますので、これらの流れの中に児童福祉審議会も入れますが、もう一つ、それでもうまくいかないときに、皆さんが言われている第三者。これは医師とか弁護士とか心理士とか、地域で違うと思いますが、そういったところで相談できるようなものをやはりきちんと残しておいていただくというふうにしていかないと、また少し失敗する例が出てくるのではないかと思いましたので、追加させていただきました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、河尻委員、お願いします。
○河尻委員 まず、子供の意見表明の保証に関しては、冒頭、坪井委員がおっしゃったことは非常に大事なことだと思っていますし、奥山委員がおっしゃったとおり、ここの解釈は間違えないようにしなければいけないと思います。
その上で、あえて細かい文言について申し上げると、14ページの【子どもの意見表明】の一番上の○の3行目です。子供の措置とか一時保護に関して「あらかじめ子どもの意見を聴取しなければならないことを児童福祉法に規定してはどうか」。なぜあらかじめなのかというところにあえてこだわるのと、ピンポイントで子供の意見を聴くことを、要するに子供の意見表明の機会をどこかでつくっておけば子供の意見表明の保証になるという考え方は非常に薄いのではないかと思っています。
これをあえて変えるとすれば、一番大事なのは、ここで言っている児童相談所の措置や一時保護の決定までの過程の中に子供が参加していることがすごく大事で、子供自身が自分の今後についての検討の中に自分も参加しているのだという意識を持ってもらうことがすごく大事なのです。このあらかじめの意見聴取はこれからあなたについていろいろ検討します。その前にあらかじめ、あなたの意見を聴いておきます。あなたの意見はそうなのですね。では、あなたのその意見をもって検討しますねということにすぎないわけですよ。それだけでは、しかもそれを法律に書くのは文言的には抵抗があります。もうちょっと流れの中で子供に参加してもらう。今回のペーパーは「意見表明」にすごく寄り過ぎていて、それよりももっと参加するとか参画するという表現が見合っているのではないかと思います。
これは皆さんの意見も聴きたいのですが「聴取」という言葉が僕はどうしても引っかかっていて、子供の意見を聴取するという、もうちょっとほかの言葉がないのかなと思っています。
それから、同様に○の2番目で「自立支援計画を策定する際にも子どもの意見聴取を実施する」。これは間違っていないのですが、大事なのは、先ほどから言っているように、子供の意見は最初からびしっと決まっていてずっと持ち続けているようなことはないので、非常に揺れ動いたり、いろいろな人と話をしながら子供の意見も変わっていったり、不安を聞いてあげたり、将来に対する希望が動いたり、いろいろなことがあるわけですから、なるべく点で意見を聴取するという書き方ではなくて、日常的にとか定期的に子供の意見をちゃんと把握しながら、それをちゃんと自立支援計画にも反映させることが大事なのだと思います。
2点目は記録の扱いなのですが、ちょっとずれるかもしれませんが、引継ぎについて児相の運営指針に書いてもらえないかと思います。それは、一つは前回も申し上げたとおり、家庭養護については記録の引継ぎがほとんどなされていないということ。また、児童自立支援施設についても、例えば乳児院とか児童養護施設を経て児童自立に来た子について、我々は乳児院の記録とかが欲しいですが、ほとんど来ないです。児童相談所にお願いしても、それも児童相談所によって違う。場合によっては直接、施設に連絡してもらったりすることがありますが、やはり養育をつないでいく、それから、子供の理解をする意味で記録の共有は絶対に必要だと思います。
併せて、記録の共有とともに、できれば養育者の引継ぎを丁寧にやってもらいたいと思います。どうしても施設をまたぐ場合、あるいは家庭養護につなぐ場合に一時保護が間に入ったり、私どもの場合だったら家庭裁判所の鑑別所が入ったりしますので、直接、養育者同士の引継ぎがうまくできない場合は多いです。それをしていいのかどうなのかも迷う場合がありますので、記録の引継ぎと養育者の引継ぎをすることは子供のソーシャルワークを行う上でもとても大事なことであり、まさに権利擁護を進める上でも大事なことであるので、そこはぜひ対応の中に何かしら具体的に規定していただければと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
事務局に確認ですけれども「あらかじめ」にはそんなに強い意味を込めておられますか。事前にということのみで、プロセスに必要に応じてというものも含めるという理解でよろしいのでしょうか。
どうぞ。
○羽野虐待防止対策推進室長 虐待防止対策推進室長の羽野でございます。
あらかじめ意見を聴取しなければならないことを児童福祉法に規定してはどうかというのは、これは先日の検討会の報告書にそう書いてあるので、そのまま引き写させていただいているというところではありますけれども、条文上、法技術的にどう書けるかということと、あとは運用上、どういうふうにしていくかということと、両面あるかと思います。
先ほど河尻委員がおっしゃったような、点で聞いたという、それだけではなくて、ちゃんと流れの中でとかというお話も、御指摘はごもっともですので、条文上どうするかという話と運用上どうしていくかという話と両面で検討していきたいと思います。
○山縣委員長 ありがとうございます。
恐らく私自身はそういうふうに勝手に思い込んでいましたので、申し訳ありませんでした。
では、続きまして、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 お願いします。3つあります。
一つは記録保存についてです。意見を出させていただいているとおりですが、私自身も自分が児童相談所の記録にアクセスしようと思ったときには25歳を超えていて、児童相談所の記録がなかったという経験があります。やはり自分がなぜ施設に措置されていたのかということも分からずに生きていくことの生きづらさはすごく痛感してきたところがありますので、これからの若者たちには自分たちの生い立ちというか、なぜ施設や里親家庭にいるのかというところをしっかり伝えていただけると良いなと思っています。また、知れるときに知れる機会があることはすごく重要かなと思っています。そして、やはり閲覧権限を設けるとかは必要だと思います。誰でも見られるということでは本当はないはずなのですけれども、そういうふうに運用上しっかり取り決めていただけたらいいかなと思います。浜田委員がおっしゃっていただいたみたいに、もちろん、電子化の保存が進んでいくと思いますので、それは現場からすると大変かもしれないのですが、ぜひ永年保存ということで御意見を言えたらと思って発言しました。
2点目は権利擁護の取りまとめについてです。資料の12ページにも取りまとめに沿って検討すると書いていただいていますので、とてもありがたいと思っています。ここの権利擁護の取りまとめの中で2つ抜き出して改めてお伝えしたいと思っているのが、一つは意見聴取される子供の年齢についてです。これまで乳幼児や障がいがある子供たちの意見が聴かれてこなかった、聴かれる機会を奪われてきた。子供たちが意見を発する機会を奪われてきた状況があるのではないかと思っています。この取りまとめでは子供の年齢や障がいにかかわらず全ての、特に社会的養護下の子供の声を聴きましょうと記載していただいているのはすごく重要なポイントだと思っていますし、できたら自立支援計画も何歳以上の子供の意見を聴きましょうという表記はやめていただいて、全ての子供にという記載で引き続き、この取りまとめで書いていただいているようにお願いできたらと思っています。
3点目は当事者参画についてです。取りまとめにも書いていただいているのですが、19ページのポイントの部分がとても分かりやすいかと思いますが、マル2の「2.政策決定プロセスへの子ども参画」でも推進計画を含めた政策決定プロセスに子供の参画、または当事者の声をという点です。「社会的養護」は「社会的養育」と言ったほうがいいと思うのですが、経験者の声をしっかり反映させることはとても大切だというところです。子供・若者の参加ではなくて参画だということを改めて強調したいと思っていますし、これはマル4の評価の部分にも書いていただいていますが、やはり今、生活している子供たちとか経験者の評価がとても大切だということも、この取りまとめにも書いていただいていますが、改めて強調してお伝えしたかったところです。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、続いて、藤林委員、お願いします。
○藤林委員 14ページで、一時保護であるとか措置とか自立支援計画、措置変更、措置解除も重要だと思うのですけれども、このそれぞれの場面で子供の意見を聴取しなければならないのは本当にそのとおりで、これが工程化されていくのはとても重要なことかなと思っております。
それで、14ページの3つ目の○のところに意見表明支援が「上記の意見を聴取される場合」と書いてありまして、単に何か不満がある場合だけではなくて、その時々の自立支援計画を作成するにしても、措置解除される場合においても、措置変更される場合であっても、前半にありましたように、慣習的に高校を中退したら解除される場合であっても意見が聴取され、意見表明支援員が配置されることはとても重要なことではないかと思います。
その際に、中村委員に先に言われてしまったのですが、乳児や障害児についてもこれは変わらず意見表明支援の対象であるべきということはぜひ忘れずにちゃんと意識しておかないといけないのではないかと思います。例えば乳幼児が本来は里親や養子縁組が検討されるべきなのに、施設措置が何年にもわたっている。3年、5年にわたっているといった事態は現状まだまだあるわけなのですけれども、そういった場合に乳幼児は自分の意見を表明できない。この場合に本来はアドボケートが必要ではないかと思っておりますので、乳幼児や障害児についても当然、意見は聴取されるべきであり、その場合に意見表明支援員が配置されることは絶対に不可欠と思います。
このように、14ページの上のほうで子供の意見聴取を法定化するのであれば当然、意見表明支援員も同時に法定化しなければおかしいのではないかと思います。それであれば14ページの下から3行目に「意見表明支援が行われる体制の整備を都道府県等の努力義務」は論理的に考えれば「義務化」と思うわけです。意見聴取されることの法定化が進むのであれば意見表明も同時に義務化していくことが重要になるのだろう。
ただし、アドボケイト、意見表明支援員の養成であるとか確保にはどうしても時間がかかることもあって、これが先行している自治体とそうでない自治体があるということを考えれば、やはり経過期間を置いて、いつまでに義務化するという書きぶりになるのではないかと思っています。
それとアドボケイトは、先ほど何人かの委員が言っておられますように、非常に重要な役割なので、誰でも研修を受けてできるものでは決してありませんし、ボランティアでも決してないのではないかと思っております。やはりそれ相応の専門性が必要と思っておりましたので、そう考えますとアドボケイトの質を十分確保できるような予算の確保が必要であり、浜田委員か誰かが言われましたように、相応の報酬が保証されることも必ず必要ではないかと思っています。
それから、これが最後なのですけれども、15ページの3つ目の○のところに「国レベルの権利擁護機関(子どもコミッショナー)について省庁横断的な検討が必要ではないか」ということにつきましては、これはぜひとも創設いただきたい。この専門委員会として全員の名前で決議してほしいぐらいかなと思うのです。なぜなら、この委員会は、今回だけでなくて、前回までも子供施策についての都道府県格差、市町村格差が議論されたり、今日でも福井県ではこうなのだということが言われていたりしていますけれども、実際、全国レベルにおける客観的な調査はどうしても後手に回ってしまったり、なかったり、厚労省さんもいろいろな研究事業でされていますが、なかなか子供の立場に立って十分なサービスが届いていない。場合によれば不利益が生じている。中には省庁横断的な問題があって、なかなか調査が十分できないといった問題もあるのではないかと思っています。その意味で、子供の権利の立場に立って中立公正に調査する機能を持った子どもコミッショナー、子供の権利擁護機関を国レベルで創設することが今、ここで議論している物事を考えていく場合の非常に重要な土台になっていくのではないかと思っております。
以上です。
それで、井上委員が非常によく御存じなので、もし時間があれば追加いただければと思っています。すみません。補足でした。
以上です。
○山縣委員長 では、最後のところで、もし時間があるようでしたら、井上委員、補足をお願いしたいと思います。
では、続きまして、北川委員、お願いします。
○北川委員 本当に国が出した施策が市町村に届いていないことが大きい問題かなと思います。
私からは、中村委員や藤林委員もおっしゃっていましたけれども、やはり障害のある子とか赤ちゃんの意見表明ということで、特に私は障害のある子にずっと関わってきましたので、やはり彼らが物事を決められないという前提で、子供のため、本人のためという大前提で親とか支援者が決めてきたという長い歴史がありますので、本当に分かりやすい情報提供の仕方とか、あと、支援者との関係性の中で合意形成して、それも1人ではなくて何人かのチームでとか、いろいろな職種が関わってとか、いろいろな方法がありますので、障害のある子とか乳幼児を忘れないようにしていただきたいと思います。
2点目、意見表明権ですが、本当に5~6年前ですが、里子が意見表明をしても、児童相談所に手紙も書きましたし、面接も受けましたけれども、意見を拾い上げることは全くなかったことがありました。本人に説明はなく、里親に説明があったので、本人としてはちょっと傷ついたかなという経験になったと思います。やはり本人から聞いて、聞きっ放しにならないようにというところでは、その意見表明をアドボケートも含めてしっかりと今後位置づけてほしいと思います。やはりこういうところで傷つけられる必要はないのではないかと思います。
3番目ですが、高田委員が最初におっしゃった、やはり里親さんたちがその先の情報が分からないという、前の日に例えば里子が帰りたくないと泣いたけれども、児童相談所が決めて帰らなくてはいけない。でも、その先、どうしているかというのが心配でたまらない里親さんもいました。ですから、里親のケアワーカーとしての情報提供の在り方を今後考えていかないといけないかなと思います。
4点目は記録の問題なのですが、開示は子供にとって本当に必要だと思います。その記録なのですけれども、客観的なものもあれば主観的なものもあるかもしれない。日本において記録の書き方の専門性はまだ十分ではないのではないかという、やはりストレングスモデルではなくて、子供の強みとか良さに焦点を当てた記録を取っていなかった歴史があるのではないかと思います。何年か前に武蔵野で育ちのアルバムをつくったときに、やはり子供が育ちのアルバムを見て自尊心が保てるようなというところを、それも育ちの一つにできるようになっていくことに気をつけてつくった育ちのアルバムがあったかと思いますが、やはり望ましくない記録であっても、今は開示は必要。絶対、それを取り除くのではなくて、林先生がおっしゃったように、そのときに開示のときの支援の在り方とか、そばにいる人の存在とか、そういうこともあって開示があるのかなと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、相澤委員、お願いします。
○相澤委員 ありがとうございます。
私は全国でアドボカシー活動をしている団体の方々と情報交換するような会を開催しておりまして、そこで出た意見なのでございますが、まず一つは、皆さんも言っていたように、意見表明支援員の養成が必要だということで、その養成の仕組みづくりをどうつくっていくのか。これはとても大切だということです。やはりきちんとした一定の専門性を確保するために支援員が獲得すべき専門的知識や技術を明確にする必要があるのではないかということが一点出ています。それから、養成の担い手の確保という意味でトレーナーをきちんと確保することも必要ではないかということが出ております。
それから、皆さんからも出たような、活動を十分に実施していくだけの子供意見表明支援員の配置基準とか予算の確保が当然必要になってくる。これをきちんとしていかなければいけないだろう。それから、アドボケートをスーバービジョンする、意見表明支援員をスーパービジョンするスーパーバイザーの確保が必要だということです。
3番目としては、子どもコミッショナーをきちんと創設していただきたいということとか、それから、あらゆる子供を視野に入れたアドボカシーを将来的にはきちんと確保してほしいということが出ております。私なども実際にモデル事業などをやっておりまして思うことは、やはり幼少期からの権利教育とか、子供の聞かれる権利とか意見表明をする権利を前提にした養育とか教育、ケアワーク、ソーシャルワークなどの実施をきちんとやっていくことがとても重要だ。小さいうちからそういうことが当たり前になるような、そういう教育を展開していただきたい。これはぜひ早めに始めていただければと思っております。
それから、やはり実際に救済をするというか、子供が意見表明をしたときに申出をするところで調査をする人に子供権利擁護調査員という方がいるわけでございますが、この人の専門性はとても重要だというふうにモデル実施をしていて思います。この人をどのようにしてきちんと確保していくのか、養成しているのか。こういう点も国においては考えていただきたい。
それから、今、大体、社会的養護に入っている子供たちを対象にモデル実施しているのですけれども、これは里親さんから出た意見ですが、私たちのところにアドボケートが来るよりも、退所して家庭復帰した後にアドボケートさんが行くような、そういう仕組みを早くつくったほうがいいのではないか。まさにそのとおりだなと思っております。
それから、児童福祉審議会の活用はなかなか実際、モデル事業をやってもされないし、子供たちに児童福祉審議会をきちんと知ってもらわないとなかなかアクセスしないだろう。そういう意味では児童福祉審議会の説明もさることながら、児童福祉審議会の委員が子供のところに訪問して交流して、知ってもらうような取り組みも必要ではないかと思っております。
記録については、北川委員から言っていただきましたので、育ちアルバムもそうですし、また、養育者間の引継ぎという意味で、河尻委員も言っていましたけれども、育てノートなどを活用して、子供が自分を知る権利として記録を読んだときに、大切に育てられたのだといった記録をきちんと残すことがやはり重要ではないかと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、横川委員、お願いします。
○横川委員 全乳協の横川です。お願いします。
先ほど何名かの方からお話しいただきましたが、乳幼児の権利擁護はどういう視点で見る必要があるのかというところはなかなか書きにくいというか、きちんとしたものがなかなか見えない部分があります。これは乳児院においても、きちんと権利擁護ができているかを自己チェックしていく必要性と、倫理綱領やより適切な関わりをするためのチェックポイントを掲げて読み合わせなどをしていますけれども、やはり乳幼児の権利擁護を考える上でどこを見ていかなければいけないのかをもう少し掘り下げなければいけないと思っています。
一つは、子供の発達状況を定期的に確認していかないといけないと思います。これはもちろん、乳児院もそうですし、里親宅での養育もそうですし、実親もそうです。
もう一つは、子供が安心・安全を感じながら成長しているかです。愛着形成を含めた関係性のアセスメントが非常に重要になると思うので、その部分を乳幼児の権利擁護を見る上ではとても大事なポイントなのだということを、もう少し見える形で書き込む必要があると思います。市町村の母子保健における子育てサロンや健診のときに見ている保健師さんの一人一人の感覚もとても重要になってくると思います。
私たち乳児院としても、そうしたことをきちんと見ていきます。児童相談所が訪問調査で来たときは、子供の成長・発達もそうですし、職員との愛着形成はどうなのかを見てくださいということを言っています。そんな取組を重視することを丁寧にやっていく必要があるかと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
最後になります。松本委員、お願いします。
○松本委員長代理 かなりいろいろな方がいろいろな観点からおっしゃって、基本的にこれまで出た発言について支持します。
記録の保存については、これは残っていたほうがいいというのはみんなの総意だと思いますので、残すことを前提に、どういう形でやったら残せるかという具体的な検討をすることがよろしいのではないかと思います。管理も含めてです。
意見表明に関してですけれども、やはり14ページの3点目のアドボケートの制度化・事業化が非常に重要だと思います。これは藤林委員がおっしゃっていたと思いますが、これを必置にしていくことが重要だと思うことが一点。
もう一つは、これは河尻委員がおっしゃったと思いますけれども、やはりピンポイントではなくて、むしろ参加の観点。中村委員もおっしゃったのですが、参加・参画の観点があって、その中での意見表明であることをもうちょっと明確にしていく必要があると思います。
そう考えますと、意見表明というものは、例えば3点目のところで、処遇に関して不満がある場合とかというのではなくて、これはつまり、一時保護所に入るのは子供にとってみたらそのこと自体で大ごとなので、不満があろうがなかろうが、ちゃんと聞く。いいことがあったらいいことも聞くというふうにしたほうがいいと思います。不満があってトラブル処理の機構ではなくて、いいことも悪いことも常に聞くのだということを前提にしておかないとトラブル処理の機構を一方でつくりましょうという話になっていくので、そうすると、やはり問題はどうしても表面化しない、潜ることが出てくる。
いいことも含めて、お話を聴かせてということを、常にアドボケートがついている。それは定期的に会うとか一時保護とか、そういうタイミングでは常にいるとか、そういうことを前提にしていかないとまずい。そうすると、これはかなり、これまでにないものをつくっていくことになり、時間が少しかかると思いますけれども、それはそういう方向を強く進めていくことがさっきの自立支援の問題にも強く関わってくる。そういうときに、もう一つは意思決定のところで保護者、親の参加をどう考えるかというのは議論していくべきことだろうと思います。
方向として大変必要な方向が打ち出されていると思いますので、これは確実にしていくということと、特にトラブル処理の問題ではないということを前提にして、日常的な参加・参画をどういうふうにつくっていくかという一環として、これが位置づく。そのためにアドボケートが大変重要な役割を果たす。それを全体としてドライブをかけていくには、やはりコミッショナーがきちんと設置されて全体の統括をしていく体制ができるのが重要かと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
お時間が数分残りましたので、先ほど時間があれば井上委員に若干補足をというふうに言いましたので、その時間を取ろうと思います。恐らく藤林委員の意図は、この子供の権利委員会の直近2~3年前の4回、5回の総括所見で日本には、地方には子供の権利を聞く機関があるのは認めるけれども、国レベルではないという御指摘をされていた。同じく、そのときの恐らくモデルに想定されているのがイギリスの権利擁護機関ではないかと思っていまして、ただ、イギリスの総括所見のところにもまだ問題ありというふうに書かれて、今、そこは何だったのか、正確に覚えていないのですが、その辺の情報が井上委員で何かあれば追加をよろしくお願いします。
○井上委員 ありがとうございます。機会をいただきました。
先生、一点、その場所だけに絞って話すと分かりにくいと思いますので、少し全体の話をさせていただきたいと思います。
国レベルのコミッショナーは最初からそこにあったのではなくて、今、先生が言われたように、地方からいろいろ出てきたものの意見を集約していって、最後にそこはそろったので、そういう視点で日本の状況から外国のものをどう取り入れたらいいのかということを考えたことがありますので、それをお話しさせていただきます。
まず、この問題に関しては、やはり日本で行われているように、県単位できちんと考えていく。外国では州、ステートでやっております。それを考えていくときに、まず子供たちが、家族が生活している自治体、市町村の中で、ニーズが必要な子供さんをポピュレーションアプローチの中からどれだけきちんと拾い上げるかということです。そのチルドレン・イン・ニーズと言われる人たちを拾い上げた中で、その後の経過とか評価とか、いろいろなものの中で、先ほど言いましたスペシャルケアが必要な子供・家族がどういったものがあるのかを次に判断していきます。
このスペシャルケアが必要な子供・家族を考えた段階で、そこで県単位でその方たちを登録していくという制度になっていきます。ですから、外国でいえばステートです。日本の状況にそれを当てはめますと、現在では児童相談所がそれを判断し、それが必要と思った場合は、分離する場合は県知事さんが親代わりをする格好になるのですが、そこまでいかないけれども、放置していたらそうなる可能性がある。そういった人たちも実はその中に含めていったほうがいいのではないか。県としてそこをきちんと把握しなければいけない人たちが、こういう人たちがおられますということをきちんと把握して出していくことが必要だと思います。
今度は、その県で詳細な評価の記録を残して、そして、子供や養育者の状態の記録をきちんと残した上で、それを先ほど言いました県で認定したスペシャルケアが必要な子供という形で出した上で、それをここに上がっています児童福祉審議会に当たるもの。これがコミッショナーの形になってくるのですが、ここに子供の権利擁護の部会もしっかり組ませておくのがとても大事になります。
先生方がずっと言われていますアドボケートを置く場所は、実はここになるのです。ですから、このアドボケートをここにしっかり置くことによって、そういったニーズが、スペシャルケアが必要と判断された子供さんをそこに登録すると同時に、この審議会に登録された子供さんに対してアドボケートたちがしっかりついて、しっかり権利として親御さんから離す必要がある可能性があることを踏まえた上で子供さんに、でも、あなたにはそれを、いろいろな意見とかお話を聴いてくれる人がここにいるのですということを明確に伝えるという格好でこの児童福祉審議会が成り立っていきます。先ほど、子供の権利の調査委員とか、そういった形で言ってくださったのですけれども、まさにそういった詳しいスキルを持った人たちがこの権利部会の中におっていただくのがとても大事になると思います。
これが現時点は、今まで自分の経験している日本における児童福祉審議会はまだまだ児童相談所と連動しておりまして、児童相談所が出したものがそのまま必要な人と判断されるのですが、今はここの大きく変わろうとしている中では子供の権利のところをしっかり伝えて、児童相談所がそう判断したとしても、その部会の中でもう一度見直してみたら、ここはこういうふうに考え直したほうがいいという意見を十分出せるような機関として成り立つ格好にしないとうまくいかないと思います。
最後になりますが、そこで十分検討した県で担当した子供さんたちの名簿とか状況を今度、国に上げていって、国は個々の症例の詳しい話はすぐは取りません。それは県が持っているわけです。その中でですが、県が取り上げた人に関しては児童福祉法で、法律で守るようになったわけですが、国が責任を持って、その方たちがどうなっているのかを時々、定時で確認していく作業が必要になってくる。それを国レベルの権利擁護のコミッショナーというイメージでつくっていただいて、そこで今度はそれぞれの県、それぞれのステートが、その県によって差がないようにということのバランスを整えるところが国レベルの権利擁護機関という格好でイメージしていただいて継続していけば形が整ってくるのではないかと思っています。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。社会的養護に限定して今まで議論してきていますけれども、そこを超えるかどうかも非常に重要な、教育、学校現場の話とか、ほかのところも関わってくるかと思いますので、重要性は共有できたというところで、その具体性についてはまたいろいろ議論が必要だということで今日は収めさせていただきます。
ちょうど時間の13時になりました。御協力ありがとうございました。
事務局、次回以降の予定等をお願いします。
○野村企画官 次回の日程につきましては、11月5日の金曜日、10時から13時、一応、テーマとしては一時保護、それから、児童福祉分野の専門的な支援を行う者の資質向上策を予定してございます。
以上でございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。次回は11月5日、時間は今日と同じでございます。
あと、開催方法はウェブでよろしいのですか。
○野村企画官 はい。一応、それを考えています。
○山縣委員長 その前提でございます。よろしくお願いします。
長時間にわたり御議論いただきましてありがとうございました。
では、適宜御退室をお願いします。
(了)
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会社会的養育専門委員会)> 第35回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 議事録(2021年10月5日)