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2021年7月30日 第32回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 議事録

子ども家庭局家庭福祉課

○日時

令和3年7月30日(金)10:00~13:00

 

○場所

オンライン


○出席者

委員
 

相澤委員   井上委員   奥山委員   河尻委員
北川委員   桑原委員   高田委員   坪井委員
中村委員   橋本委員   畑山委員        浜田委員
  林委員   平井委員   藤林委員        松本委員
宮島委員   森井委員  薬師寺委員   山縣委員長
横川委員   横田委員  村上代理(菅田委員代理)
 
事務局

野村企画官

○議題

(1)子ども家庭福祉の課題と今後の方向性について
(2)その他

○配布資料

資料1 これまでに頂いた課題・問題意識
資料2 今後の基本的な方向性(案)
資料3 委員提出資料
 
参考資料1 委員等名簿
参考資料2 子どもとその保護者、家庭をとりまく環境に関する資料
参考資料3 前回までの主なご意見
 

○議事

○野村企画官 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第32回「社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会」を開催いたします。
皆様、音声のほうは大丈夫でしょうか。

(首肯する委員あり)

○野村企画官 ありがとうございます。
委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日は、ウェブ会議にて開催をさせていただきます。
本日の出欠状況でございます。安部委員、五十嵐委員、榎本委員、熊川委員、倉石委員、小島委員は御欠席と伺っております。
なお、菅田委員は御欠席と伺っておりますが、代理といたしまして村上幸治様、全国母子生活支援施設協議会副会長にお越しいただいております。
また、浜田委員は途中退室と伺っております。
今回の委員会は、傍聴希望者向けにYouTubeでライブ配信をしております。
なお、本委員会では、これ以降の録音・録画は禁止をさせていただきますので、傍聴されている方はくれぐれも御注意ください。
それでは、これより先の議事は山縣委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山縣委員長 皆さん、おはようございます。東京は、若干、雨が降っているようですけれども、皆さんのほうは暑いところが多いのではないかと思います。
本日もたくさんの議事がございますので、時々、制限をすることがあるかもしれませんけれども、忌憚のない御意見をいただけたらありがたいと思います。
では、早速、事務局から資料の確認等をお願いします。

○野村企画官 それでは、資料の確認をさせていただきます。
配付資料は、右上に番号を付しております。
資料1「これまでにいただいた課題・問題意識」。
資料2「今後の基本的な議論の方向性(案)」。
資料3「委員提出資料」。
ほか、参考資料を配付してございます。
資料1、資料2は、7月16日の議論を踏まえて、7月16日のバージョンから修正を加えております。
以上でございます。

○山縣委員長 ありがとうございました。資料2が今、私たちが議論しているところになるわけですけれども、前回、資料2は枠組みが6つに分かれておりましたが、その中の1から3につきまして前回議論をいただき、今回修正をしていただいています。
今日は4-1から6まで、4、5、6の中身について前回と同様の形で、ここの方向性の中に入れるべき中身について御意見を伺うということになります。よろしくお願いします。
では、早速ですけれども、「4-1.ハイリスクの状況にある子どもやその保護者、家庭への在宅支援」以降の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○野村企画官 企画官の野村でございます。それでは、まず資料1の「これまでに頂いた課題・問題意識」のほうから御説明をさせていただきます。
5ページ目、「4-1.ハイリスクの状況にある子どもやその保護者、家庭への在宅支援」というところでございます。
児童相談所において、ハイリスクの状況にある子供やその保護者、家庭への在宅支援について、一時保護や入所等措置がされなかった子供やその保護者、家庭への支援。
一時保護や入所等措置がされている間の子供やその保護者や家庭への支援。
保護や入所等措置が解除され、地域に戻った後の子供、その保護者、そして家庭への支援について、いつ、どういった支援が必要か等の確認・検討・精査が十分ではないのではないか。
児童相談所、児童家庭支援センター、市区町村などがハイリスクの状況にある中で、家庭で子育てを行うことを支援する枠組み(在宅指導措置)が十分に活用されていない。また、在宅指導措置の活用状況に地域格差が存在している。
ハイリスクの状況にある子供やその保護者、家庭への支援について、児童相談所と児童家庭支援センター、市区町村が協働で支援に動く必要がある。
予期せぬ妊娠等で悩みを抱えている等のハイリスクの状況にある妊産婦への支援の充実が必要ということで、これらを課題として掲げてございます。
6ページ目、「4-2.社会的養護(代替養育)の提供」でございますが、一時保護の手続の透明性の確保など、一時保護所での環境の改善に早急に取り組む必要がある。
里親委託を推進するためにも、フォスタリング機能の強化を進めることが求められる。
ファミリーホームについて、ケアニーズが高い子供を受け止めているが、ファミリーホームの役割や在り方、体制を含めて見直すことが必要。
それから、児童養護施設や乳児院等における良い取組を推進していく仕掛けが必要。
児童家庭支援センター含め、社会的養護の資源について計画的に整備を進める必要。
入所等措置の場合において、負担金を理由に措置を拒む事例がある。
こういったことを書いております。
7ページ目は、今度は自立支援の関係でございます。
自立支援については支援の充足度合いに地域間格差が著しく、また、施設や自立援助ホームでの対応任せとなっている。
入所等措置や家庭養育は措置延長で20歳の誕生日月まで、自立援助ホームは22歳となる年度の末までという一律の対応になっている。
入所等措置や自立援助ホームにおいて、就学の中退率が高く、学習面の支援が手薄である。
それから、一時保護や入所等措置がされなかった、または一時保護・入所等措置されたが家庭復帰した子供(社会的養護を経験し家庭にいる子供)や入所等措置の解除または自立援助ホームを退所した子供についての自立支援の充実が必要。
入所等措置の解除後や自立援助ホーム退所後は暮らす地域を移動することも考えられるが、その場合の自立支援についてどう考えるか。
自立支援を受ける中で、親権停止など法的な関係を整えるための支援が十分にないといったようなことを掲げております。
8ページ目は、「基盤(人材、財政、情報、権利擁護)」というふうに掲げさせていただいております。
人材については、多様な課題のある子供やその保護者、家庭があり、丁寧な支援が求められる中では、人材の資質向上が不可避というような課題を置かせていただいております。
財源としては、安定的な財源が必要というところ。
情報共有の在り方については、相談や支援を充実させていく中で、業務効率やコロナ禍での対応も含め、相談機関の情報共有のシステムや要保護児童対策地域協議会の運営などについて考える必要がある。
権利擁護については、児童の権利に関する条約を踏まえ、子供の意見表明権を担保する仕組みを含めた権利擁護の枠組みの構築が必要であるとして、また、今度は書類の保存期間の話ですが、行政処分がなされた経緯等について子供が知りたいと思ったとしても、行政機関における書類の保存期間が「子供が25歳までの間」となっており、知ることができない等の状況にあるということで、この委員会で御示唆いただいた課題について掲げさせていただいております。
次に、その課題を踏まえてということで資料2でございます。今後の議論の方向性でごいますが、まず、2ページ目の「1.妊産婦、子育て世帯につながる機会の拡大」ということで、前回御意見を頂戴した部分でございます。
具体的に申し上げれば、例えば乳児家庭全戸訪問事業などにせっかくつながったつながりが断たれることがないように、それぞれの分野、それぞれの観点からのつながる機会を拡大する必要があります。
それから、4つ目の○でございますが、健診について、バイオ・サイコ・ソーシャルの側面から子供とその家庭の健康状態を考えることが可能となるようといったところの御指摘をいただきましたので、追記をしております。
それから、下から2つ目の○ですが、個々の世帯へつながることも大事ですが、子育て世帯がサロン活動とのつながる機会を増やすことも検討する必要がありますねという御示唆をいただいております。
3ページ目、「市区町村等のソーシャルワーク機能」の部分でございます。ここはもう大半、修正が入っておりますけれども、まずは1つ目の○でございますが、市区町村の相談機関が児童相談所のサテライト機関のような位置づけにならないように、しっかりと役割分担という整理が必要ですね。
また、通告と通告先のミスマッチの状況があります。そういったことを踏まえて通告先の一元化、そして、その上でのアセスメントによって事例に適した対応をすることが必要ではないか。
それから、市区町村は妊産婦、子育て世帯、子供をしっかり支えるというところはもちろんなのだけれども、リプロダクション・サイクルも見据えて、人としてのリプロダクション・サイクルも見据えて対応する見立てをしていく必要があるということでございます。
それから、1つ飛ばしまして相談機関のプラン作成の部分ですが、プラン作成については民間資源の活用についても検討が必要ですね。
そして、その下でございますが、地域共生社会のお話もいただきました。そういうことも踏まえまして、児童福祉以外の福祉的支援、それから学校・教育委員会、警察、司法など、様々な分野との連携体制の構築に努める必要があります。
また、相談機関、特に地域の子育て資源や民間資源と積極的に協働していかないといけませんというようなところで、具体的に保育所や認定こども園、地域子育て支援拠点、児童館、障害児・者の相談支援機関、それから児童家庭支援センター、そういったところとの積極的な協働というのが必要ですねといったようなところ。
それから、地域の子育て資源や民間資源、特に保育所や認定こども園の人材についても検討が必要ですということも記載をしております。
4ページ目でございますが、上から2つ目の○、死産や流産、人工中絶を経た女性に対する心理的ケアについても体制の在り方を検討するとさせていただきました。
それから、下から2つ目の○でございます。措置権限と書かせていただいておりましたが、「支援を目的とした措置」というふうに修正を加えるとともに、それらの権限を適切に利用できるように、その市区町村の職員の資質の確保みたいなところも必要ですね。
また、サービス提供量や内容に応じた予算配分といったような予算の仕組みといったところですね。一律にお金が出るという形ではなくてといったようなところの御示唆もいただいたところです。
あとは、利用者の費用負担の話、そういったようなところをいただいておりますので、修正を加えているところです。
5ページ目以降が、今日御意見をいただくところで「4-1.ハイリスクの状況にある子どもやその保護者、家庭への在宅支援」というところでございます。
1つ目の○、子供が家庭において心身ともに健やかに養育されるよう、ハイリスクの状況にある子供やその保護者、家庭に対して在宅支援が行き届くようにするため、児童相談所が、下の2つのポツですね。在宅支援の提供について、必要に応じて市区町村とも連携しながらプラン作成等を通して丁寧に方針を確認・検討・精査した上で 、児童家庭支援センター、市区町村とともに在宅指導措置が積極的に行われるように、予算の在り方も含めて検討を行う。
それから、上から2つ目の○です。ハイリスクの状況にある子供やその保護者、家庭に対し、在宅指導措置、入所等措置、市区町村等による家庭・養育環境への支援などが必要に応じて組み合わさって包括的に提供されるようにする。
上から3つ目の○ですが、若年妊産婦への支援を図りつつ、母子生活支援施設や乳児院、その他の法人などを活用し、ハイリスクの状況にある妊産婦に滞在型の支援も含め、必要な支援が行き届くようにする。
それから、保護者支援について、地域でより一層提供されるための体制整備が行われるようにする。
また、保護者だけではなくて、在宅にいるがハイリスクの状況にある子供に必要な支援が提供されるようにすべきである。例えば、児童発達支援センターとか、そういったようなところの積極的な活用など、そういったところも視野に入ってくるかと思っております。
こうした在宅支援の提供が確実になされるよう、児童家庭支援センターの整備を進めるということでございます。
6ページ目、「社会的養護(代替養育)の提供」でございますが、一時保護の適正手続の確保や環境の改善について「児童相談所における一時保護の手続き等の在り方に関する検討会とりまとめ」にのっとって検討する。具体的には、一時保護所の基準を設けていくべきではないかとか、司法関与の手続について、一時保護の開始前に行うようなことについてどこまで可能かといったようなところについて検討することとなっております。
里親支援について、効果的なフォスタリング機能の実現に向け、都道府県の役割の明確化や体制整備を検討するとともに、ファミリーホームの役割・在り方・必要な体制について検討する。
児童養護施設や乳児院等の多機能化・高機能化を進めるための仕組みを検討する。
家庭養育の推進、社会的養護の資源の整備・質の向上が計画的に進むよう、予算の仕組みも含め、社会的養育推進計画の在り方について検討を行うということも書かせていただいております。
7ページ目が、自立支援についてです。都道府県、児童相談所、市区町村の役割を整理して、必要とする子供の状況に応じて自立支援が提供されるようにする。
自立支援が必要とする子供ですけれども、入所等措置や自立援助ホームにいる子供はもちろんとして、入所等措置の解除、または自立援助ホームを退所した子供、それから一時保護や入所等措置がされなかった、または一時保護・入所等措置されたが家庭復帰した子供も対象としていくようなことを考えて、※として書かせていただいております。
入所等措置の措置延長や自立援助ホームの対象について、子供の自立支援を必要としている状況に応じて柔軟な対応ができるようにするといったところで、少し年齢の問題もここで御検討いただくということを考えております。
入所等措置や自立援助ホームの効果的な就労支援・就学支援の在り方を検討する。
それから、下から2つ目の○ですが、入所等措置の解除や自立援助ホームを退所した子供、「社会的養護を経験し家庭にいる子ども」への自立支援の在り方を検討する。
次に、児童相談所や市区町村、就労支援機関などが協働し、入所等措置の解除や自立援助ホームを退所した子供、社会的養護を経験し家庭にいる子供が就労支援や就学支援、住まいや生活の支援、司法の支援が必要に応じて受けられる環境、プラットフォームのようなものでしょうか、それを整える必要があるといったようなところでございます。
8ページ目、「基盤」の部分でございますが、「(1)人材」です。子供家庭全体をどうしていくかという観点から児童福祉分野をしっかり学ぶことができるよう、資格の創設について、卒後研修の在り方も含め、検討が必要である。
その児童福祉分野の専門的な支援を行う者の資格の在り方も含めた資質向上策についてワーキンググループの取りまとめにのっとって検討を進めるべきである。
この資格の人材を多く確保するため、多様な取得ルートの確保を検討するとともに、キャリアパスの中での対処なども考えるべきである。
また、(2)として「財政」ですけれども、子供家庭行政の安定的運営のための財源確保について検討する。
「(3)情報共有」として、多様な主体による支援、業務効率の向上、コロナ禍を踏まえた対応の変化、そういった様々な状況を踏まえ、要保護児童対策地域協議会での情報共有の在り方を見直すとともに、ICTによる情報共有を推進する。
「権利擁護」として、児童の権利擁護が進むようワーキングチームの取りまとめにのっとって検討する。
また、行政処分の経緯等を子供が確認できるよう、児童相談所等の記録の取扱いを検討するというふうに書かせていただいております。
以上でございます。

○山縣委員長 ありがとうございました。
前回の皆さん方の御意見に基づく修正が前半でした。それで、後半は今日の議論になります。
今日は4、5、6に分けていきたいと思いますけれども、とりあえず4-1、4-2につきましてこれから皆さんからの御意見を伺おうと思います。おおむね50分から60分程度、すなわち11時15分にはこの4についての御意見を終わらせていただきたいと思いますので、今日はたくさんの委員提出資料も出ていますから、できるだけ御意見はコンパクトにポイントをしっかり言っていただけたらありがたいと思います。
それでは、いつもと同じように自由に手を挙げていただいて、私のほうから順に指名をしていきたいと思います。
まず、桑原委員お願いします。

○桑原委員 ありがとうございます。
皆さん、おはようございます。全養協の桑原でございます。時間を頂戴します。前回発表する時間がございませんでしたので、全養から出した意見について述べさせていただきます。資料としては、37ページからになっています。
まず1番目ですが、「児童養護施設の今後のあり方」として、全養協では特別委員会を設置して、「今後の児童養護施設に求められるもの(最終報告書)」を今年6月に取りまとめました。その中には、いわゆる養育ということでの「個別的養育機能」、そしてさらに充実強化するために基盤となって支える「支援拠点機能」、その2つをベースにして、地域の要保護・要支援児童等の支援に活用していくという「地域支援機能」の3つに整理をしております。これが下の表でございます。
そして、次のページですが、「児童福祉法の改正に向けた意見」でございます。
まず、(1)は児童養護施設の「養育」を基盤として、子どものニーズや地域の実情に応じた養育の多様化と施設の多様化を推進するということであります。
児童養護の「養育」は、地域小規模の施設や、あるいは分園型の小規模グループケアによってのみ取り組まれるものではなくて、本体施設において分園では対応できない様々なケースに対応をしております。また、その養育についてはいろいろな職種がお互いに連携しながらチームケアを行っています。本体施設、分園を問わず、多職種が連携したチームケアそのものが児童養護施設の高機能化であり、既に多くの児童養護施設で日々、実践されているものと考えます。
そのことを踏まえて、数値目標や養育形態の在りようを優先して画一的なものにするのではなく、子どものニーズに応じた多様な養育環境を社会に整備していくということが重要であると考えます。
また、どの機能を充実・強化していくかということですが、地域のニーズに応じて当然検討していくべきであろう。施設の高機能化、多機能化は、多様な子どものニーズと地域の特性等に合わせて、施設が主体的に各機能を選択し、充実・強化していくものであると考えます。
2つ目ですが、「社会的養育における養育・支援の連続性のなかで、他種別機関と連携・協働しながら支援し続けていくことが重要である。」ということであります。
地域の要支援・要保護児童への予防的支援、一時保護による支援、施設入所による支援、地域でのアフターケアといった一連の養育支援の流れの中で必要な役割を担っています。これは、最後の40ページの表を後で御覧いただけると御理解いただけるかと思います。
また、施設入所中の支援において、子どもにとっては唯一無二な存在である家族とのつながりを大切にして親子関係支援を行っています。施設は親子分離となった家族にとって子どもを預かる身近な存在であるという役割を果たしていることかと思います。さらに、家庭復帰あるいは退所後も養育者とのこれまでの関係性を基盤に訪問や来所による面談、子どもが安心して暮らしていけるように継続した支援を行い、他の機関とともに制度へつなげながら子どもを支えていく社会の基盤強化を図っています。このように、措置期間だけでなくて、予防的支援からアフターケアまでの一連の養育支援を担う児童養護施設の役割は非常に大きいものかと思っています。
3つ目に、「地域で生活する要保護・要支援が必要な子どもやその家族に対する子育て相談、在宅支援や一時保護の支援は、本体施設における安定した個別的養育機能と支援拠点機能の拡充・強化が不可欠である。」ということです。
全養協が提案する要保護児童等への予防的支援や親子関係の再構築などを含む地域支援機能の充実は、本体施設における安定した個別的養育と支援拠点機能の上に成り立つものであります。そうした機能の土台の上に、子育て支援や在宅支援、必要に応じてショートステイ、トワイライト、一時保護等の地域や在宅段階での重層的な支援が可能となります。児童養護における支援拠点機能にある専門性が大切な資源となっていると考えております。
最後に4つ目ですが、「社会的養護退所児童が社会で孤立せず、安心・安全に生活していくためには、自立に向けた段階的かつ継続的な支援が必要である。」ということであります。
措置延長により20歳まで、措置解除後、22歳の年度末まで支援が継続できることになっています。この環境を最大限に利用して、個別の支援の充実を図ることが重要であると考えますが、自治体によって、措置延長などの活用は決してスムーズではありません。一律に18歳で措置解除を行う自治体もあり、あるいは退所時点で措置解除を行う18歳未満であっても、そういったことが起こっている自治体もあります。子ども一人ひとりの状況に応じた段階的かつ継続的な自立支援が必要であると考えます。
そして、社会的養護退所児童が社会で孤立せずに安心・安全に生活していくために、地域の実情を踏まえた継続的な支援体制の構築が重要であると考えます。現行制度は、都会型であります。地方で暮らす子どもたちにとって、都会に出て行く場合に、アパートの確保から全て自前でやって、そこでいろいろな助成団体に申請していくような状況にあります。どこで暮らしていても支援が受けられる、そういった条件の整備の検討が必要かと考えます。
最後ですが、措置解除も段階的な自立に向けた必要な支援を継続的にやっていくことが必要ではないかと考えて、全養協の意見書についての説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○山縣委員長 ありがとうございました。
現段階で14、15人、手が挙がっています。もうこれだけでいっぱいになりそうなのですけれども、今の桑原委員のように紙媒体で意見を提出いただいている場合、全て読んでいただかなくても、文言としての議事録には載りづらいのですが、内容的には反映するという前提で考えていきますので、そこの中のポイントだけ、特に強調されたい部分のみを報告していただいても構いません。御協力よろしくお願いします。
では、続きましても井上委員お願いします。

○井上委員 ありがとうございます。
4-1の「ハイリスクの状況にある子どもやその保護者、家庭への在宅支援」というところにおきまして、ちょっと内容を見させていただいていますと、ハイリスクの状況にある子供さんというのをポピュレーションアプローチで考えますと、染色体異常とか心疾患等の先天性疾患のある子供さんとか、それから低出生体重児、医療的ケア児、それから発達障害児とか、そういった身体的な疾患のある子供さんたちへのケアというのは意識をしっかり入れておかないと、社会的養護のケアが必要な方たちだけのような印象がちょっとこの中にありましたので、それだけ強調して追加させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○山縣委員長 分かりました。これは前段との絡みもあると思いますので、調整をしたいと思います。
では、続きまして、坪井委員お願いいたします。

○坪井委員 ありがとうございます。
それぞれ委員の皆さんから提出された資料も非常に丁寧に作られていて、拝見しております。それから、4-1のところですけれども、これまでの意見の中でもどういうふうにハイリスクの子供たちを支援していくのかということで非常に丁寧にカバーされていると思っております。
一方で、この委員会として本来話すべき内容なのではないかと思うところが、家庭での在宅支援の前提となる部分なんですけれども、今、日本で虐待の4体系、身体、精神、性的、ネグレクトを含めて、この対象の子供の9割が家庭にいます。そういう日本の状況の中で、この9割の家庭にいる子どもたちをどのように家庭で支援していくのかということが今、議論されていく状況だと思うのですけれども、一方でその数字というのは、どういう支援ができるのかによって変わっていくべき部分なのではないかと思います。
だから、もちろんどういう支援ができるかということの議論と同時に、今の比率の状態が、それだけの子どもが家庭にいるということがよいのか、あるいはもっと家庭で対応できるのか、逆に家庭で対応できる人数に対してもう少し社会的養育の中で対応していくような形に変えていく必要があるのか。そういう本質的なところは、この委員会でこそ話し合うべき内容なのではないかと思います。
今年度はすごくテーマがたくさんありますので、今年度どこまでできるかというのは別だと思うんですけれども、そういう部分の議論というのは今回の紙の中にはなかったようなので、一言申し伝えようと思って発言しました。
以上です。ありがとうございました。

○山縣委員長 ありがとうございました。
では、続いて北川委員お願いいたします。

○北川委員 私のほうは、4-2のファミリーホームの役割、在り方、必要な体制についてお話ししたいと思います。4-1についても、少しだけ資料の34ページをかいつまんでお話しします。
ファミリーホームですけれども、平成21年に制度ができて、令和元年度は417か所、子供は1,660人となって大変増えてきております。
しかし、ファミリーホームの実態は設立当初と大きく変化しております。いろいろ児童養護とか里親制度とか変わってきている中で、ファミリーホームだけがあまり変わっていないという実態があります。
しかし、ファミリーホームは、今、委託される子供は児童養護とか里親と比較しても、ケアニーズの高いお子さんが多くなっています。それから今、一番措置されている子供の年齢が多いところが17歳となっています。障害児が46.5%、虐待経験のある子供が53.0%と、困難を抱える子供が多く措置されています。それは、ある意味、このような困難を抱える子でも家庭養育の中で育てられるという強味はあるんですけれども、実際現場で養育している里親さんたちは非常に大変さを抱えています。
それに対して、協議会としては、この6人の定員というのは家庭養護を考えたときにどうなんだろうという意見が出ていて、元利用者の方々からも、甘えたいときに甘えられなかったという意見が出ていました。それで、やはり家庭養育であることを鑑み、委託人数は原則4人にすることが望ましいのではないかと考えます。
ただ、里親制度との絡みがあるので、全体でこのことは考えていかなければいけないと思います。
しかし、現在4人になった場合、措置費が減少して運営することが難しくなっていますので、厚労省も児童養護施設と体制強化事業にファミリーホームを加えていただきましたけれども、実際に行っている自治体が非常に少ないということもあり、解決すべき課題ではないかと思います。
それから、運営形態ですが、今、養育者は常勤1人と非常勤の補助者2人になっていますが、同じ社会的養護の子供6人を見ている家庭養護で24時間、そこに養育者がいるとはいえ、随分人員配置が違っているということをどのように考えているかということで、やはりファミリーホームは養育者がすごく頑張っている状況の上に成り立っているかなと思います。
あとは、専門性の向上も必要ですし、最後にやはり養育の困難性を抱える子供たちに対して、乳幼児とか障害児とか被虐待児については、委託費とか措置費の加算をしていく必要があるのではないかと思っています。
これがファミリーホームなんですけれども、4-1のほうで少し井上先生もおっしゃっていましたが、私はリスクを抱えるというところで、母子保健課のほうで出生前診断の段階からのサポートについて、専門委員会があってこのサポートについてすごく重要だということが報告書に出されていますので、出生前診断の段階からのサポートというものも考えていただけたらと思いました。
以上です。

○山縣委員長 出生前診断の話はあまり入っていませんでしたので、重要な御指摘ありがとうございました。
では、続いて相澤委員お願いいたします。

〇相澤委員 ありがとうございます。
私の所属する全国家庭養護推進ネットワークの幹事会の下に置かれたワーキングで議論して打ち出しました、制度改革案の2つの柱と6つの具体的な提案について説明をさせていただきたいと思います。委員提出資料の8ページを見ていただきたいと思います。
柱の1つは「ソーシャルワーク系事業を中心とした新たな事業の制度」ということで、里親家庭支援をはじめとして子供のアセスメント、ケアマネジメント、障害児施策等の連携等のソーシャルワーク系の子供家庭支援機能を、虐待予防の観点を含めて、一時保護児の養育と併せて、施設の民間機関による社会福祉事業として児童福祉法に規定して制度化するということです。
もう一つの柱は、「措置費体系の抜本的な見直し」ということです。施設等の民間機関が新たな事業に踏み出し、その質を向上させていくインセンティブとなるように、入所機能も含めて措置費の体系を抜本的に見直して、民間機関のパフォーマンスの向上に応じた措置費が増加する体系とする。
この2つが大きな柱ではないかと考えていたということです。
その具体的な内容としては、右側にあるように6項目を提案したいと思います。
1つ目が、一時保護後の支援におけるソーシャルワーク系事業の制度化。
2つ目が、虐待予防の強化のための指導委託の措置制度化。
3つ目が、「乳幼児総合支援センター」をはじめとした総合的なセンターの創設。
4つ目が、母子あるいは親子一体型の支援制度の創設。
5つ目が、ソーシャルワーク系事業の思い切った措置費配分。
6つ目が、パフォーマンスに応じて増加する措置費体系ということです。
詳しい内容については、資料を読んでいただければと思います。
以上です。よろしくお願いします。

○山縣委員長 具体的な提案をありがとうございました。
では、続きまして、横川委員お願いします。

○横川委員 全乳協の横川です。よろしくお願いします。
提出資料は63ページからですが、前回の第31回のときに前半はお話をさせていただきましたので、後半をお話ししたいと思います。
その前に、今、一番感じているのが、4-1の○の1つ目のプラン作成が非常に重要だということです。この支援プランを作成して、それを児童相談所をはじめ市町村、児童家庭支援センターを含めた社会福祉法人がどういう形で、きめ細やかに連携して実施するかがポイントだと思いますので、その点について全乳協としてもアンテナを高く張っていかなければいけないと思っています。ですから、今回、母子一体型の支援ということで、5ページ目の○3つ目のところに「乳児院」という文言を入れていただいたことは、ありがたく思っています。こういった形で、私たちも頑張っていきたいと思います。
提出資料の説明としては、66ページの「家庭訪問」についてです。この部分を実際に手がけていこうと思った場合、乳幼児に特化したような児童家庭支援センターの併設が非常にいい形で機能しているという報告が全国の調査の中で出てきましたので、そういったことがとても重要だと思っています。
あとは、4-2のほうでフォスタリングについてですが、全乳協としてフォスタリングの重要性は以前から述べていました。特に平成27年5月に全乳協が発出した冊子『よりよい家庭養護の実現をめざして』では、里親との関係を個別に築いていくことや、里親家庭の強み、弱みを理解し、強みを伸ばし弱みを支えることを前提に関わりを持つこと、また3点目として、信頼できる里親家庭、連携できる既存の里親、里親候補を地域で発掘していくといったことの必要性述べています。フォスタリング機関もなるべく乳児院で受託していこうということで今、意思表示をしているところです。
ただ、現在145か所ある乳児院の中で受託しているのは34か所で、34か所の中でも職員体制として1名だけ配置の形でやっているのが11施設あります。そういった意味で、包括的なフォスタリング機関としての動きにはまだ至っていないので、体制強化が必要だと思っています。
あとは67ページで、そういった取組で多機能化、高機能化を推進していく上では、やはり基盤になる施設が必要であり、その在り方を提言しておきたいと思います。特に乳児院の養育基盤の拡充が必要、24時間365日養育を提供できるためにはその部分がとても重要ですので、乳幼児総合支援センターの中ではセンター拠点機能が重要だということを述べています。センターの各機能が適切に展開できるように監督、マネジメントする拠点機能ということで述べています。
以上のように考えていますので、よろしくお願いします。ありがとうございます。

○山縣委員長 ありがとうございました。
以下、河尻委員、畑山委員、画面上で最後が林委員になっておりますけれども、ここで11人いらっしゃいます。一旦、ここでこの4についての御意見は切らせていただきます。
では、河尻委員お願いします。

○河尻委員 よろしくお願いします。私のほうからは、4-2の「社会的養護の提供」の中で、特に家庭養育の推進と施設の機能強化の2点についてお話ししたいと思います。
まず家庭養育の推進なのですが、フォスタリング機能が進まないということを指摘されていますが、もともと社会的養育推進計画を各自治体で立てていただいている段階で、そもそもフォスタリング機能は何なのか、どこが担ったらいいのか、漠然とよく分からないまま社会的養育推進計画を立てていたような印象を、担当レベルの話を聞いて受けています。
このフォスタリング機能については、私は以前から1つ疑問に思っていることがあるのですが、もともとこのフォスタリング機関というのは海外のフォスタリングエージェンシーをモデルにしてそれを導入しているというふうに認識しているのですが、海外のフォスタリングエージェンシーというのは里親さんを活用した養育機関なんです。里親支援の機関というよりも、自分たちで里親さんを掘り起こして、自分たちで里親さんを育てて、委託された後も里親さんのフォローをして、いわば施設が施設の職員と一緒に施設を形成しているのと同じように、フォスタリング機関というのは里親家庭を活用した養育機関であるという見方が私は正しいと思います。
ただ、今の日本のフォスタリング機関事業を見ると、これは要綱を見ても分かるようにばら売りできるようになっています。例えば、里親さんの開拓の部分だけを担っている、あるいは既存の里親さんの支援だけを担っている。これを全部総称してフォスタリング機関と言うので、非常に分かりにくくなっている部分があると思いますが、私はやはりこのフォスタリング機関というのは以前あった里親支援事業とは違いますので、里親さんの開拓から里親さんの教育、そして委託後、全てを担うフォスタリング機関というものに最終的にはしていかなければいけないと思います。
それで、もう一つ、そのフォスタリング機関が進まない理由の1つとしては補助金の問題があります。この補助金というのは、御承知のとおり原則、国が2分の1、今はちょっと違うやり方もしているようですが、自治体が2分の1出す。自治体にとって、補助金の予算確保というのは非常にハードルが高い。この後出てくる社会的養護自立支援事業もそうですが、非常にハードルが高いものです。
何を申し上げたいかというと、フォスタリング機関が養育機関だという認識で整理されるのであれば、これは措置費の対象になるのではなかろうか、義務的経費の対象になるのではなかろうかという考え方が1つあるのではないかというのが私の意見です。その辺りについて、もし議論できる余地があるのであれば検討していくべきではないかと思っています。いずれにしても、このフォスタリングの体制と里親さんの専門性の向上みたいなものが進まないと、安易に里親委託を進めることはすごくリスクがあると思います。
それも含めた上で施設の基本強化の話になりますが、まず大前提として現状、社会的養育推進計画、家庭養護を進めていく中でなかなかフォスタリング機能が進まないという状況の中では、これは絶対里親、これは絶対施設と明確にするよりも、ある程度重ね合わせたような状況の中で措置権者が里親や施設に対するアセスメントをしっかりして、子供にとってベストな選択ができるよう、選択肢をたくさん用意するということを大前提にしなければいけないと思います。
そういった意味で、乳児院とか児童養護施設に対する入所児童の対象というのはあまり限定しないほうが少なくとも今はいいと思っていますし、そういったものを考える意味で乳児院や児童養護施設の本体施設の使い方というのもまだまだ幅を持って議論する余地があるのではないかと思っています。
この計画の中で一番基本的な考え方として私が明示するべきだと思うのは、我々大人がつくった数値目標や計画ですけれども、もしこれが非常にリスクを伴う場合、目標をつくった大人がそのリスクのしわ寄せをもらうわけではなくて、うまくいかなかったときにそのしわ寄せを一番もらうのは子供なんだと。それが里親不調であったり、施設不調であったりということはあると思いますが、何を目的にしてこの推進計画を進めていくのか、一番リスクを負っているのは誰なのかということをしっかり明示をしていく必要があるのではないかと思います。
施設の機能強化については桑原委員、横川委員がおっしゃっていたとおりですが、特に乳児院、児童養護に関しては既に各施設の協議会でビジョンを出していただいているので、その現場が出したビジョンをベースに今後議論していくべきだと思います。
最後に、児童自立支援施設について1つだけ申し上げたいと思います。本来であれば、児童自立支援施設に来るようなお子さんがこの世の中からいなくなってくれることが一番ありがたいことで、一番理想的なことなのですが、一人でもいる限り我々は全力を尽くしてその子供のケアをしなければいけないと思っています。
その児童自立支援施設に来るお子さんのこの10年、20年の様子を見ると、明らかに子供のケアニーズや抱える問題というのは深く、重いものになっています。児童自立支援施設というのはこれまで生活をベースにして支援を行ってきましたが、現状を考えると、さらに医療と心理的ケアの2つはどの児童自立においても必須にしないと、ちょっと子供を見られる状況ではなくなってきていると思っています。
先ほど申し上げたとおり、この社会的養育の推進計画の進め方、それから理想を言うのであればこぼれ落ちるような子供を一人たりとも出してはいけないわけですから、児童自立支援施設からもしこぼれ落ちたら本当に子供は行くところがなくなってしまうので、そういう意味で児童自立支援施設への医療体制、それから心理的ケアの体制というのはさらに充実したものにしないと、なかなか子供を見ていくのは難しい状況になっているということをお伝えしておきたいと思います。
私からは以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
それでは、畑山委員お願いします。

○畑山委員 よろしくお願いします。畑山です。
私は、4-2について、2点お話させていただきたいと思います。
1つ目は、ユースから若者、社会的養護経験者から、一時保護所にいたときに施設が満員になっているから空きが出るまで里親家庭に委託されたとか、あなたは家族というものを経験したほうがいいから里親家庭に委託されたというような声が届いていまして、家庭養育の推進という言葉だけが前に出ていることはすごく子供の気持ちが置き去りになっていることがあるかなと思います。ですから、議論の方向性として、家庭養育の推進が一番に挙げられていて、もちろん家庭養育は子供のために必要でもありますけれども、そうでない場合もあるので、例えば高年齢児であったり、家族からの虐待経験があったときに、家族という小さい社会に対してしんどい感情を持つ子供たちであったり、里親家庭等は小さいコミュニティーであるがゆえにしんどい経験をしてしまうという声も届いてきていて、そうしたときに里親家庭ではなく施設のほうがいろいろな職員さんがいて、多くの子供たちの中の一人であるほうが楽な子供たちもやはりいます。
社会的養護に対して求めることは、年齢であったり、子供たちの背景によってそれぞれ違ってきます。もちろん親という機能を求める場合もあったり、通っている学校に通い続けたいからということで里親家庭を希望する高年齢児の子たちもいますけれども、そのベースに家庭養育だけが進んでいったりとか、里親委託率だけを追うことのリスクというのはあります。
そのためにも、子供の権利擁護に関するワーキングからも出ていましたけれども、措置先を決める段階において子供の意見を十分に聞く方法、措置を決める段階において、やはりこれから生活する場所を子供自身が選択、決定できるからこそ家庭養育の推進で、子供の声を聞くことをベースに家庭養育の推進を行ってほしいと思います。家庭養育推進という言葉に違和感を持つ子供たちがいることもお伝えしたいと思いましたので、措置先を決めるときには子供の声をいか聞いて反映させる仕組みを併せて検討していただきたいというのが1点です。
もう一つが、フォスタリング機関について、方向性の中に効果的なフォスタリング機関の実現というのがありますけれども、私自身、里親さんであったり、ファミリーホームの方々の会議にファミリーホームの補助員として参加させていただくこともあるのですけれども、フォスタリング機関に求めることであったり、職員さん、里門さんに期待すること、今の実情というものが議論される場面が多く会議の中であります。
実際にフォスタリング機関を使う里親さん等から話を聞くことで、より使いやすい、使う人が使いやすいものになっていくことが、それこそフォスタリング機関と里親さんとの関係性も含め重要になってくるかと思いますので、現場の声の拾い上げについても意見交換会とかが必要ではないかと思ったりします。そこを厚労省としてはどうお考えなのか、ぜひ聞かせいただきたいと思って御意見させていただきました。
以上です。

○山縣委員長 厚労省の意見というのがありましたけれども、後でいただけますか。
では、続いて村上委員お願いいたします。

○村上委員 全母協の村上と申します。今日は、菅田会長の代理で参加させていただきました。よろしくお願いします。
5ページの4、まず母子生活支援施設は一番の強みである家族単位での支援をこれまでも行っておりますが、これからも同じように家庭養育の推進を行っていきたいと考えています。
1つ目の○、在宅支援について、母子生活支援施設の中にはショートステイやトワイライトステイを行っている施設もたくさんあります。そういったところを上手に利用していただきながら、保護者とともに親子支援という形での活用をしていただきたいと考えています。そのほかにも潜在的ニーズを掘り起こすという意味で、食の支援として子ども食堂などを行っていたり、学習支援や子供の居場所づくりといった支援を行っている施設もたくさんあります。そういったところを社会資源として利用していただけたらと思っております。
2つ目の○については、入所されてからアフターケアも含めて、ハイリスク家庭に対して、虐待対応や母親を含めた支援というものを行っております。昨今では、医療とつながることが非常に大切なお母さん方、子供さん方も多くおられますので、そういった医療支援が必要な家庭に対しては、関係機関との連携を取りながら通院支援や服薬支援などを行いながら、虐待につながらないように、また子供のヤングケアラー化を防止する対応をしております。
3つ目の○について、乳児院さんとともに母子生活支援施設の名前を入れていただきましてありがとうございました。母子生活支援施設としましては、これまでも妊産婦の入所による支援を行った経験を基にして、若年妊婦や単身妊婦も含めた産前産後の母子支援に、より一層取り組んでいこうと考えております。
4つ目の○について、母子生活支援施設はもとより、母子を分離せず子供支援、保護者支援、家庭養育支援を実践してきました。家庭養育優先がうたわれる今こそ、親子関係再構築も含め、これまで培ってきました専門性を最大限に発揮した取組を行っていこうと考えております。これらの支援を利用者だけではなく、アフターケアも含めた地域の子育て家庭全体に支援を展開できるように考えております。
しかしながら、国の制度にのっとったものばかりではなく、すでに実施している施設には、法人や施設が独自の財源で行っているところもたくさんあります。各施設が必要に迫られて独自で行っているものが数多くありますので、支援が必要な方に確実につながるよう、実施している施設に国からの後押しがあれば、効率よく、また効果的に支援を行っていくことができるのではないかと考えております。
その辺りの考え方、意見表明といったものを資料の42ページから提出させていただきますので、そちらも併せて御覧いただけたらと思います。
以上です。ありがとうございました。

○山縣委員長 ありがとうございました。
それでは、続いて平井委員お願いいたします。

○平井委員 ありがとうございます。自立援助ホームの平井です。よろしくお願いします。
我々は年齢の高い子供たちの支援に関わっているわけなのですけれども、4番の在宅支援という部分で、やはり年齢の高い子でも家庭の中に福祉、医療、司法の狭間にいる子供たちが結構見え隠れしていると思うんです。ですから、その中で市町村とも連携しながら在宅指導措置といったものは自立援助ホームでも可能なのではないかと思っております。
それと、今、自立援助ホームは児童自立生活援助事業という名前なのですが、以前は自立相談援助事業だったんですね。だから、この相談というものをもう一回復活させて、市町村とも連携しながら、在宅で見え隠れしている年齢の高い子供たちを救うネットワークを構築していかなければならないかなと思っております。
もう一点、最後に要対協ですね。ここは、やはり自立支援機能を持たせて拡充していくということも必要ではないかと思っております。
また、資料も提出しておりますので、目を通していただければと思います。ありがとうございました。

○山縣委員長 ありがとうございました。
では、続いて橋本委員お願いいたします。

○橋本委員 ありがとうございます。
今日の会議の冒頭で坪井委員さんが、9割在宅にいるんだと、それがそのままでいいのか、代替養育の活用を含めてどうすべきかということをこの専門委員会で議論すべきではないかというお話がありました。まさにそのとおりだと思います。
加えて、参考資料3の「前回までの主なご意見」の4-2の「社会的養護(代替養育)の提供」というところの○の5つ目なのですけれども、「都道府県社会的養育推進計画について数字だけでなく、ソーシャルワークも含めた支援の内容について確認すべき」と、これはたしかこの専門委員会が始まって、河尻委員の御発言だったかと思うのですけれども、この話も確かにそのとおりだと思うんです。
私自身、さらに言えば、市町村におけるソーシャルワーク体制が充実すれば、早期発見対応力が増強して、これまでは発見されず、あるいは発見して掘り起こされても支援体制不足から埋め戻しされていた。言葉は悪いですけれども、私はよく掘り起こされても人が足りないから埋め戻すんだというような言い方をするのですが、埋め戻しされていたケースが代替養育を必要とする子供の数として挙がってくるはずです。社会的養育ビジョンにも、実はその辺の変化への期待がしっかりと記されていたと思っています。
それなのに都道府県計画ではそうなっていない。全社協さんのやっておられる社会的養護関係施設が担う役割・機能に関する検討会で作成していただいた都道府県の計画一覧表というのがあります。これによれば代替養育を必要とする子供の数について、10年後増加すると計画を立てた都道府県は15自治体にすぎないんです。
一例を挙げれば、東京は717名増加するのに、神奈川県は51名のマイナス、それから高知県は183名増加するのに、愛媛県は47名のマイナスになっているんですね。隣り合う自治体でこれだけの違いなんです。厳しい言い方をしますけれども、もはやこれは巷間言われる地域の歴史的背景とか地域特性などという事情をはるかに超えている数字だと思うんですね。
はっきり言えば、これは担当者の意識の違い、もっと言えばどこまで本気で要保護児童を掘り起こす気があるのか、自治体の社会的養育施策に向かう姿勢の違いと言っても過言ではないと思っています。社会的養育推進計画のチェックや見直しを行う際には、ぜひこの点も御留意、御指導願いたいと思います。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
続いて、奥山委員お願いします。

○奥山委員 ありがとうございます。
まず4-1からいきます。支援措置の話ですけれども、分離に至るほどではないけれども、そのまま見守りをしても、本当に傷つき、傷つきでどうしようもなくなっていく子供が非常に多いのです。やはり積極的な介入ができないと、そこの子どもを救うことができません。そういう意味で、支援を拒否する家庭に対して、支援を強制的に入れられるような制度が必要だろうと思います。
それから4-2にいきますけれども、高機能化というのは非常に重要な問題だと思います。多機能化にはいろいろな意見をいただいているんですけれども、高機能化ということに関連して、児童自立も心理治療施設も含めて、全ての施設に関してケアニーズに応じた措置体系をきちんと構築していくということをやらないと、追いつかないのではないかと思います。児童相談所で見ていても、代替養育の制度が子どもたちの困難さに追いついていないということをつくづく感じます。
先ほど桑原委員のほうから、地域の実情や施設の実情に合わせてとおっしゃったのですが、取り残されている子どもがいるわけです。例えば、私が関わっている児童相談所などでも、乳児院から養護施設で生活し、暴力的になって一時保護をして、一時保護で何とか収まってきたので養護施設にお願いしたいと頼んでも、お願いできずに1年以上たっています。そのぐらい、取り残されている子どもがいるわけです。ですから、施設の都合や地域の都合ではなくて、子どもの都合で何とかしてほしいのです。子供中心に考えて、取り残される子どもがいないように、施設の高機能化もしていってほしいと思います。
特に、私もビジョンの委員会をやらせていただいたときには職員配置は1対1ぐらいは必要と思っていたのですけれど、難しいお子さんに関しては1対1では追いつかないです。ですから、一番問題になる大変なお子さんたちに関しては1対1以上の対応が必要と思いますし、そういう十分な体制を取った上で、断らないというか、うちは見られませんということを言わないということが重要なのではないかと思います。
さらに、先ほど橋本委員からも出ましたけれども、本当にキャパが少ないと思います。確かに、児童自立に行くほどではない、養護施設でやれるでしょうと考えても、養護施設が受け入れてくれないということも多いのです。やはりキャパ全体が少ないということも非常に大きな問題だと思います。そこもおっしゃるとおり、私も言おうと思っていたのは、社会的養育推進計画の中で、増えるということをしっかりとアセスメントしているところが少ないというのは非常に大きな問題だと思いますので、そこは厚労省としてもきちんと対応してほしいと思います。
それから、さっき家庭養育推進というのは違和感があるとおっしゃったんですけれども、やはりここは乳幼児を優先した家庭養育推進だと思うんです。高齢のお子さんたちに関しては、もちろん里親さんのほうがいいお子さんや里親家庭に行きたいお子さんもいるんですけれども、施設がいいお子さんも決して少なくありません。
しかし、乳幼児はやはり優先的に里親養育が必要というエビデンスがあります。ここは乳幼児を中心とした、あるいは優先した家庭養育推進を進めることが必要だろうと思います。
それから、先ほど相澤委員のほうから民間移譲を進めるような提言があったんですけれども、民間にいろいろなことを委託していくのは私は悪いことではないと思っているのですが、それに当たって重要なことは資格をしっかりとすることです。今回の御提案はメニューを増やすだけではなくてソーシャルワークも民間に委託していきたいということですので、ソーシャルワークの資格化をきちんとしていくことと評価機関をきちんとつくっていくこと、これを抱合せでやっていかないと危ないと思います。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
では、薬師寺委員お願いします。

○薬師寺委員 4-1のところで御意見を申し上げます。
子育てをサポートしてくれる親族がいないとか、地域で孤立しているということで、精神的不安定などで養育に困難を抱える保護者と子どもを早期に発見する、在宅支援につなぐということから虐待を防止することができると考えます。
実際に、市町村や児童相談所が関係機関等からの通告によって、ハイリスクの状況にある子どもや保護者を把握したら速やかに必要な支援ができるように、主担当となる市町村、もしくは児童相談所が支援プランを作成して、連携して具体的な支援調整を行うという仕組みが必要だと思います。
支援プランを受け入れる保護者に対しては市町村による在宅支援措置という形で、支援がなければ子供を一時保護せざるを得ないリスクがあるのに支援プランを受け入れない保護者の場合は児童相談所による在宅指導措置というふうに分けてはどうかと思います。現実的には、児童相談所が一時保護した子どもの解除に当たって、保護者と話し合って在宅指導措置をかけるという流れになるのではないかと思います。
具体的な支援の内容としては、児童相談所と市町村が来所相談、家庭訪問によって相談支援関係を構築して、ニーズを把握して支援のマネジメントを行うというのがソーシャルワークですけれども、今もお話に出ましたが、やはり親子関係再構築に向けた保護者支援プログラムとか、子供への心理教育、心理治療などの心理的支援というのは非常に重要だと考えますし、加えてこれまで議論しておりました保育や家事援助、育児援助、子育て短期支援事業などの具体的な養育支援という3本柱で進めていただければと考えております。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
それでは、続けて、中村委員お願いします。

○中村委員 よろしくお願いします。私からは意見書45ページからの部分で、「社会的養護制度の課題と改善」の部分をメインにお話をさせていただきたいと思っています。
以前御報告があった令和2年度の実態把握全国調査の部分から少し切り取っていますが、まずは、一時保護のサービスについてです。私も手続等に関する在り方検討会にも出させていただきましたので、一時保護は、重篤な虐待の予防をと増える傾向にありますが、一時保護をされた子供たちの権利擁護や一時保護所の質はどうなっているんだという意見を言わせていただいていたのですが、実際この全国調査からも一時保護のサービスが他のサービスよりも比較してよくなかったと答えている経験者がいるというのは一つ言えることではないかと思います。
あとは、これはとても深刻だと思っているのが、措置解除5年で30人の若者が亡くなっているということがこの実態把握調査から分かったところです。私たちは一生懸命、今、子供のために議論をしているわけですけれども、今の社会的養護制度の改善について話をしているときに、では子供たちがどういう意見を持っているのかということをいま一度考えないといけないなと思っています。
そこで、先ほども出ていました社会的養育推進計画について、権利擁護も含まれていますが、その中に当事者、子供、若者の声をどこまで盛り込めたかという事も資料として出していただいていますが、ほとんどがアンケート調査にとどまっている状況があります。やはりしっかり子供、若者の声を聞きながら制度をつくっていくという視点で推進計画を考えていただきたいし、推進計画を定期的に実施するという方向性があるのかはわかりませんが、やはり定期的に実施しながら見直していくということも必要なのではないかと思っています。
多くの意見は意見書に載せていますが、もう一つは先ほど桑原委員もおっしゃっていたかと思いますが、就学をしない人たち、例えば中学を卒業して高校に行かない人たちや中退してしまった人たちが、施設や里親家庭から出されるという状況がやはり全国的にもまだまだあって、そういう状態でいいのかは考えないといけないと思います。以前も同じ意見を言わせていただきましたし、これまで課題になっていたと思うのですが、何も変えられずに今もそういうことが続いているという状態はどうなのかと思っています。やはり中卒でも子供たちが居所を奪われない、サポートを奪われないような状況をきっちり整備していく必要があるのではないかと思っています。
最後に、全体のことで、措置解除後のケアは次のテーマのときにお話しさせていただきますが、やはりつながりが途絶えているというのが実態把握調査から分かった状況だと思いますので、施設にいるとき、里親家庭にいるときに、子供たちとのつながりをどう社会に出た後も維持していくか、または家庭復帰した後も維持していくかというのがすごく重要なテーマだと思っています。
ですから、リービングケアなどもそうですが、つながりをつなげていく役割の人が必要です。自立支援コーディネーターが施設に配置されていこうという動きがあると思うのですけれども、里親家庭にはどの機関がカバーしていくかとか、それが施設の自立支援コーディネーターだけでいいのか。子供たちというのは地域の中で育ちますので、やはり地域にそういった機能があって、子供のときから大人になるまでのつながりをちゃんとコーディネートするような人や役割や機関というのを誰がどうするのかというのを考えないといけないのではないかと思っています。
ただ、これは後半の議論の自立支援の部分にもつながっていくかと思っていますが、いる間もしっかりケアしないといけないし、というような視点を持っていただきたいなと思って発言させていただきました。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。一部は、5に絡む内容でした。
それから、中村委員の中で、計画について見直すのかというのがありましたけれども、計画期間がありますので、よほど大きな変化がない限り、基本的には満了後、恐らく見直すという大前提になっているということでいいと思います。
続きまして、藤林委員お願いします。

○藤林委員 もう時間がないので、簡潔に話したいと思います。
私が言いたいことは奥山先生と中村委員が半分は言ってしまったので、そこは割愛したいと思うのですけれども、先ほど中村委員が言われた児童養護施設でいろいろな事情があって高校に進学できなかった子供、単位が足りなくて退学、中退した子供、または様々な問題行動のために退学処分になってしまった子供、こういった子供が児童養護施設から措置解除させられてしまう実態というのは、私は児相長の18年の間に数多く経験してきたのですけれども、さすがに今はそれはないのではないかと思いたいのですが、そういったことがもし今でもあるのであれば、これは法改正しなくても改善するべき課題ではないかと思うので、ぜひこれは通知文などで実現してほしいと思います。
私の言いたいことは、あとは2点です。
4-1の3つ目は、若年妊産婦への支援を図りつつ、ハイリスクの状況にある妊産婦に滞在型の支援ということです。これは、2015年、16年の新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会の頃からずっと言っていた産前産後のケアの部分であり、これはビジョンでも書かれているわけなのですけれども、いわゆる産前産後母子支援事業というのが厚労省のほうで予算化されているわけですが、なかなか広がっていないのではないかという気がしていまして、もし可能であれば事務局のほうで、今これが全国でどれぐらい実施されているのかという数字と、なぜ広がっていないのかというところをぜひ御説明いただければと思います。
特定妊婦さんの把握については、産婦人科医療機関、母子保健との連携の中で大分増えてきたと思うのですけれども、特定妊婦さんの支援の中で、この産前産後母子支援事業というのはとても重要な、本当にそのニーズに沿った支援だと思うのですが、もっともっと広げていくべきではないかというのが私の意見です。もし広がっていかない理由があるのであれば、それを改善する方法の一つとして法定化していくとか、義務的経費化していくというのもあるのではないかと思います。
ちなみに、産後ケアは母子保健法の中で法定化されてかなり広がっているわけですけれども、その比較においても検討していただければと思います。
それから、4-2のフォスタリング機関につきまして、河尻委員さんから言われたフォスタリング機関というのは里親支援機関ではなくて里親養育をする機関である。それはまさにそうだと私も思っておりますし、英国のいろいろな文献でもそのように書いてあるわけなので、そこはそのように今後も進めるべきではないかと思いますし、養育機関として今後、全国に広がっていくべきだと私は思います。
その前に、もしフォスタリング機関を養育機関として義務的経費化の対象にしていくのであれば、当然これは児童養護施設、乳児院と同等に第三者評価の対象とするべきではないかと思っていまして、それとワンセットであるべきではないかと思います。
ただし、現在の社会的養護施設の第三者評価が本当に実情を表しているかどうかということは、やはり別の観点でしっかりと検討するべきではないかと思っていまして、もしフォスタリング機関を第三者評価の対象にするのであれば、その評価の在り方、評価委員の専門性の在り方についても十分検討するべきではないかと思います。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございます。
今、質問にあっ産前産後のことは畑山さんのも含めて最後に事務局のほうからお願いします。
続いて、林委員お願いいたします。

○林委員 私からは、6ページの2つ目と3つ目についてです。
3つ目については、高機能の視点の中身というのは先ほど出ていましたように心理治療的なケアの均てん化というか、普遍化ということだと思うんですけれども、高機能の社会化ということも考えていただけたらと思います。
それを2つ目のフォスタリング機能の充実というところにも持っていただきたいということと、ビジョンの中にも出ていましたように、産後措置の柔軟な活用という中に特に学童期以降の里親委託に向けては施設措置と並行するというような考え方もあるのではないか。そういうことで考えると、心理治療的な高機能を里親として求められている方というのは極めて多いかと思います。高機能の社会化という視点とフォスタリング機能の連続性ということも考えていただきたいということです。
それから、2つ目の効果的なフォスタリング機能というのは、私はピンポイントで2つに集約されるかと思います。
1つは、出ていましたように民間フォスタリング機関の全部委託の機関に関する検討です。参考資料2の102ページに、今のフォスタリング機関事業の実施状況をいただいていますけれども、多くはやはり役割分担なんですね。児相と民間機関というのと、事業のほとんどは児相が受託しているという実態です。これは、やはりフォスタリング機関を考えるときに欧米、オセアニアのモデルにしたというのが藤林委員とか河尻委員が言われていたことですけれども、ガイドライン、国の出している通知の中にも、全部委託を前提として民間が担うということの意義を共有したはずです。それを改めてきちんとなぜ進めないのかという辺りを検討する視点と、もう一つは子供の養育支援体制の充実化に向けた検討ですね。
フォスタリング機関ガイドラインの中にも、チーム養育という言葉が頻繁に使われるんですけれども、実際には訪問支援で終始して、拠点が分散化する中で訪問者が増えるだけというような声は相変わらずよく聞くわけです。
先ほどの高機能の社会化ということとも結びつくわけですけれども、やはり子供の養育支援、チーム養育というのはそもそもどういうことなのかという根本的な問ですね。それと、体制ということを具体的に検討する必要性があるのではないかということです。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
このパートの最後になります。お待たせいたしました。本当に遅くなって申し訳ありません、宮島委員、お願いいたします。

○宮島委員 発言の機会をいただきましてありがとうございます。4-1と4-2について、私も書面で意見を出させていただいています。
まず、ここを4-1と4-2に分けて整理していただいたということについて感謝と支持を申し上げます。やはり在宅支援を充実するということと、代替養育の充実はセットでなければならない。これを強く意識するためにも、このようなまとめ方をしていただいたこと、そしてそれを続けることをぜひお願いしたいと思います。
中身に入ってまいりますが、ちょっと言葉のことで恐縮なのですけれども、ハイリスクという言葉は分かりやすいのですが、一方で発信する側と受け取る側の間に誤解が生じる可能性もある。困難を抱える子供と家庭が、危険なとか、危ないとか、悪いとか、そういうことに受け取られかねないという面もあると思います。ですから、ハイリスクということが高い福祉ニーズを持つことなんだ、困難を抱えていることなんだということが分かるように、場合によっては括弧書きで、高い福祉ニーズを持つ、困難を抱えるというような表記の仕方を是非していただきたいと思います。
言葉は大事で、前回の3のことになってしまうのですけれども、通告の一元化も一つ間違うと間違った方向にいってしまう。地域を離れて遠いところに1か所センターをつくって、そこで集中的に受ければいい。そういったことはあり得ない話で、やはり地域と離れないで、とにかく通告をちゃんと受けて、それが地域の機関に引き継がれるということでなければいけない。これはアメリカでもそうだということを山本恒雄先生から教えていただきましたけれども、やはり言葉を注意しながら用いていくということが大事だと思います。
2番目ですけれども、表明されないニーズがある。今この時代では、本当に助けてと言いづらい状態があり、それをもってニーズがないというふうに受け取られてしまう。そのために、支援サービスの提供が少ないままに置かれている。この構造をちゃんと意識した上で、地域で提供される支援サービスをとにかく増やしていくということを強調して進めていっていただきたいと思います。
3番目ですけれども、在宅支援を進める上で児童家庭支援センターにとても期待しています。これは、標準装備にしていかなければ無理だと思います。具体的に言えば、生活の場、施設が公共化するのはいいんですけれども、中で暮らす子供たちの生活が落ち着かないものになってしまってはよくない。ですから、やはりその部分については児童家庭支援センターという形で支援を充実していく。在宅とインケア、退所後をつなげていくということがとても大事だと思います。
また、児家センの設置の在り方ですけれども、やはり職員配置が少ないので単独でいろいろなことをやれるかというとそうでもないと思いますので、いろいろな機関と手を組みながら力を合わせてやるというような自由な展開の仕方を模索できるようにしていただきたいと思います。
最後ですけれども、一時保護のことがやはり大事だと思いますが、特に今回、司法関与の度合いを高める。これはぜひとも必要なことだと思うのですけれども、形だけになって事務料だけが増えるというようなことはあってはならない。事例には、必要を表現しやすい了解が得られやすいものと、そうしにくいものがあったりします。そのようなことや、地域ですね。やはり都市部と地方では違うという辺りもちゃんと把握した上で、その問題点がマイナスのほうに働かないような形でぜひとも進めていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございます。

○山縣委員長 ありがとうございました。
先ほど言いましたように、このパートについてはここで御意見を終わらせていただきます。この間、畑山委員と藤林委員から少し事務局に質問が出ていましたので、担当の方からお願いします。

○中野家庭福祉課長 家庭福祉課長でございます。
御意見ありがとうございます。御質問いただいた点について、何点かございましたのでお答え申し上げます。
まず、畑山委員からフォスタリング機関について、ユーザーである里親さん等からの意見を聞くべきではないかという御指摘をいただきました。これはそのとおりでございまして、フォスタリング機関の意見交換会ということで、フォスタリング機関の皆さんが集まっていただいて意見交換をする場がございます。その場で、こうした対応が必要なのではないかというところを働きかける等の対応を検討してまいりたいと思います。また、秋には自治体の都道府県の社会的養育担当者の方との意見交換がございます。そうしたいろいろな機会を使って、そうした意見交換が必要だということについて働きかけていきたいと考えております。
それから2点目、藤林委員から産前産後の母子支援事業は実施状況が少ないのではないかということで、具体的な実施状況について、それからその実施が少ない理由についてお尋ねをいただきました。
令和2年度の交付決定ベースということでございますが、今、実施されているのは11自治体という状況でございます。これが少ない理由について明確には分からないのですが、先生からもお話いただいたとおり、1つはやはり補助事業であるというところで、なかなか自治体のほうの予算確保が難しい補助事業であるという御意見。
それから、看護師の配置ということが要件になっているわけでございますが、看護師の配置についてなかなか人材の確保が難しいという辺りが、これは明確に完全に分析し切ったものではないのですが、意見としていただいているところでございます。
最後に、橋本委員、奥山委員から社会的養育推進計画について今の見込み数ですね。代替養育が必要な見込みについて御意見をいただいたところでございますが、これは現状でも御案内のとおり、この計画の策定指針では現状追認型で、現状における委託可能な里親数ではなくて、里親委託が必要な子供の数を見込むことと、これは指針にはっきり書いているところでございますので、こうした点について秋に社会的養育の都道府県の担当者を集めた会議を開きますので、改めて周知徹底をしてまいりたいと思います。
以上でございます。

○山縣委員長 ありがとうございました。
では、1時間半たちましたので、ここで少し休憩を挟ませてください。切りがいいということで11時35分まで、7、8分になりますけれども休憩をしたいと思います。
では、その時間にお集まりをいただけたらありがたいと思います。

(休 憩)

○山縣委員長 11時35分になりましたので、再開をしたいと思います。
次は5番目、「社会的養護経験者の自立支援」というところについての御意見を伺いたいと思います。こちらは、12時10分から15分ぐらいまでに終えることができたらと思います。今回、非常にたくさんの方々の手が挙がる状況にありますので、できるだけ御意見はポイントを押さえて説明いただけたら幸いです。
では、奥山委員お願いいたします。

○奥山委員 最初にちょっと言い忘れていたことが1つあったので、前のところで追加させてください。
さきほど、ケアニーズに応じた措置費体系というのがあったのですが、措置費体系の中に委託費体系も入っていると考えてください。里親ファミリーホームも難しいお子さんたちを預かっているときに、やはりそれなりの費用が必要になるというふうに考えています。
例えば私が関わっている里親さんなどは、委託されてから小児がんにお子さんがなられて、その後、持ち出しも多いですし、物すごく大変な状態になられていましたが、子どもを捨てるわけにいかないので一生懸命介護もされているわけです。
そういうようなことも含めて、急に変化した時は、ケアニーズの見直しをしっかりとやればいいわけで、ケアニーズに応じた委託費というのが必要なことと、もう一つは施設の高機能化とか多機能化については大分議論があったんですけれども、里親さんの例えば一時保護里親、今、大分のほうでは緊急里親という形で少し始まっている事業もあると聞いていますけれども、そういうことも考えながら、里親制度の見直しもしっかりとやってほしいと思います。
それで、次のケアリーバーというか、リービングケアの話ですけれども、私は基本的にはここで言わせていただきますけれども、ケアリーバー法がやはり必要だと思っています。きちんとした法律で、社会があなたたちの実家なんだと、社会が実家をきちんとつくる、あるいは実家なんだよということを明記するような法律として整備するということが私は必要ではないかと思っています。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
では、松本委員お願いします。

○松本委員長代理 たくさんあるので、最重要事項から申し上げます。
奥山先生がケアリーバー法というふうにおっしゃいましたけれども、ケアリーバー法という形を取るのか、それとも児童福祉法の中にきちんと書き込んで法改正をするというのかということは、いろいろ知恵を出さなければいけないと思うのですけれども、いずれにしても現行ある予算事業として始まっている社会的養護自立支援事業をベースにきちんと法定化する。費用は義務的経費にしていくということが最重要の課題だと考えております。
特に前回の実態調査を踏まえましても、かなりこの事業の実施の自治体格差、自治体による違いが大きいということは、やはりやってみて、事業が走ってみて分かってきたことでもあります。
もう一つは、自治体によって濃淡があるということは本来業務ではないということが大きく関わっていると思いますので、きちんとこれは措置をした自治体の本来業務であるというふうに明確に位置づけて、その上で地域のいろいろな社会資源をコーディネートしていく、あるいはその役割をきちんと明記していくということが不可欠の課題だと感じておりますので、そこはこの委員会の中で法定化していくという方向が大きく了承されるのであれば、どういうやり方があるかということを具体的に議論すべきだと考えております。これが、まず最初の1点目です。
2点目、この5にまとめていただいたところで「社会的養護を経験し家庭にいる子ども」というふうにして、○の1つ目ですけれども、「必要とする子ども」というところに「社会的養護を経験し家庭にいる子ども」というふうにして少し枠を広げているということは非常に重要だと思います。どうしても18歳以降の話となりがちなところを、それは年齢も含め、あるいは施設での中途の退所ということも含めて、あるいは先ほど高校中退の問題がありましたけれども、そういうことも含めて、これはやはり重要な必要としている子供だとして幅を広げておくということが論点として提起されていますので、ここを含み込める形できちんと制度化していくことが大変重要だ。
そうなってくると、やはり地域もいろいろな支援機関とのつながりをどうするかということと、もう一つは在宅での措置ということをきちんと継続していく。施設退所後、あるいは里親委託の解除後も、在宅支援の強化あるいはそこへの措置費制度をきちんと回していくということも含めて、そちらと連動なんだということも強調しておきたいと思います。
そうなってくると、特に自治体の本来業務として位置づけて、そこにいろいろな支援者が関わるとなりますとコーディネートの役割、あるいは支援機関プランの役割ということは重要になってきますので、これの5点目辺りになるのでしょうか。こうした形の協議会のようなものは当然検討されるべきことであると思います。そうしたところに当事者がどのように参画していくかということで、社会的養護全体への評価の一環となっていくような、そういうサイクルが回せることが、大変この自立支援のところをてこにして全体を見直していく枠組みができることが重要だと思います。
以上であります。

○山縣委員長 ありがとうございました。
画面を見ていただいたらお分かりのように、もう既に十何人になっていまして、これは明らかに時間を超過するということなので、できるだけポイントを押さえて、また今後これについても議論をする時間はございますので、多くの委員の意見を短いながらも聞けたらと思いますので御協力をお願いします。
では、林委員お願いします。

○林委員 最後の○の自立支援に関わることです。ここの下から2行目、就労支援、就学支援ということで具体的な支援内容について書かれているのですけれども、改めてケアリーバーの調査結果を見ると、こういう支援を受ける段階ではないというか、かなり健康上の問題を抱えている。それも、回答した人でさえということですね。それで、つながれない。つながったとしても切れてしまうという状況で、自殺者に象徴されるようなかなり精神的、心理的な深刻な状況です。
つまり、この就労支援、就学支援以前のケアですね。先ほどの施設の高機能とも、あるいは社会化というところとも絡むことですけれども、それを前提にするということです。これを書くと、どうしても就労の継続、就学の継続ということが先走ってしまうという問題です。だから、ここはちょっと書き方を変えていただいたほうがいいのではないか。その前の準備体制に関する記述というのが必要ではないかということです。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございます。
では、薬師寺委員お願いします。

○薬師寺委員 ありがとうございます。
大阪府の取組ですけれども、昭和39年に社会福祉法人大阪児童福祉事業協会が設立されて、アフターケア事業部が設置されたというところから始まっております。その当時は社会的養護経験者の生活、就労の相談事業というところから始まっているのですけれども、現在は大阪府、大阪市、堺市から自立生活に役立つ知識やスキルを学ぶソーシャルスキルトレーニングの講座を約1年かけて中学3年生以上の子供たちに提供している。自立する前からアフターケア事業部の支援者とつながりを持って、施設職員以外にも相談援助関係を構築するという仕組みになっています。それでも、全てのケアリーバーとつながることはできていないと考えております。
社会的養護経験者が自立してからも、つながり続ける支援の仕組みというのが必要だと思います。児童養護施設等の役割としては、退所した者に対する相談、その他の自立のための援助を規定されていますけれども、やはりそれだけではなく今回のケアリーバー調査の結果から見ても、国としては定期的なケアリーバー調査の実施ですとか、都道府県は我々が担うということになりますが、都道府県も社会的養護経験者の支援に取り組むことを何らかの形で規定する必要があるのではないかと思っております。
具体的には、ケアリーバーを支援する体制、具体的には施設の自立支援専任担当者とか民間団体、行政が情報共有して課題を改善する仕組みを構築することから始めるということが考えられると思っております。
以上です。

○山縣委員長 平井委員、お願いいたします。

○平井委員 平井です。私のほうは、自立援助ホームの立場から御意見をお願いしたいと思います。
従来、自立援助ホームの場合は義務教育終了後の就労を対象とした子供の支援から始まっているわけなのですが、直近の我々協議会の調査の中では、入居者の約半数は就学者なんです。やはり就労している子はそれなりに何とか仕事をしてお金を稼いで生活できるようにこちらのほうも見守りながら支援していくわけですけれども、就学している子は学校のほうがやはり重視されるものですから、この子たちは児童養護施設の子供と同じような措置が必要かなと思っております。
あとは、二十歳まで一応委託措置ができるんですけれども、これ以上に今は22歳まで社会的養護自立支援事業と就学者自立生活援助事業という補助事業があるわけですが、ぜひともこれは義務的経費化していただいて、そういった対象の子供たちはこの制度に乗って自立が図れるようにしていただきたいと思っております。
それともう一点、施設を退所した18歳以降の子供たちと、児相にかからない18歳以上の子供たち。こういった子供たちの相談支援をもう少し強化しながら、自立援助ホームでも先ほど申し上げたように相談も一応可能ですから、そこから底上げを図っていただいて自立支援の強化をしていただければと思っております。
ですから、自立援助ホームも養護施設等と同じように多機能化、高機能化していくという意味では、今は入居者6人に対して職員は2.5人しかいないんですね。ここはやはり地域小規模児童養護施設と同じように3人まで加算とか、そういった職員配置にしていただければと思っております。
あと一点だけ、すみません。今、自立支援担当職員を配置していただいていますが、これもやはり配置基準の中に入れていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
以上です。

○山縣委員長 では、桑原委員お願いします。

○桑原委員 ありがとうございます。
先ほど前半、休憩前までにいろいろと児童養護の話が出ました。御発言したほうがいいかなと思ったので、時間を頂戴して2点だけ時間をください。
1つは、措置依頼を断る、断らないという話がありましたが、何かあるとやはり養護施設がターゲットになっているなという感じがしています。今の体制の中で非常に重篤なケースが本当に増えてきて、本体施設であっても措置依頼があった時点で、例えば精神障害の子供さんを実際に抱えている状況があったり、施設によっては小規模ケアに1人入れたら、とてもじゃないけれども、もう生活が成立しない。そこでは、実はもう3人抱えていて施設の維持ができないような話まで聞いています。
そうやっていっぱいいっぱいで受け入れている施設の状況と、あとは外出しの前に1対1にしようという話がありますが、それも外出しの御褒美なので、本来その子供が育つという養育の視点で考えれば、本体であっても外であってもその条件は同様にしなければいけないだろうと思うんです。混乱の原因を逆に呼び込むということは、やはり施設は今、預かっている子供を守る。新しくやってきた子供を守らなければいけない立場なんだけれども、それができない状況として恐らく今は断るしかないかなという状況もあります。
それと、ビジョン以来、施設へのいわゆる人材確保という問題が相当深刻になっている状況があり、その体制をつくること自体も正直、大変な状況があります。本来、ビジョンそのものの進め方というのは数値目標もあるんだけれども、例えば子供の問題、家庭の問題と、それから預かる側の施設の問題と、それをつなぐケースワーカーの問題とセットで進めるということが前提であったはずなんですね。
ところが、こういうことになると、どうしても施設がターゲットになってしまう。やはり施設の弁用というか、そういうことを思うと、現場は本当に大変な中でよくやってもらっているというのがあるのですが、昨日も実は母子家庭の再婚の話があって近日中に入籍をする。それで、預かっている子供がそのことに対して全く知らない状況でその話が飛び込んできて、明日1日時間をあげるから入籍、養子縁組するということを受け入れるかどうか判断しなさいというような要求がくる。これは、施設に入っている段階でその子供を守るということもなかなかできない状況があるということを考えたときに、ケースワークの在り方ももっと丁寧にやるべきだと思います。あくまでも関係機関とセットで進めるということでの質を相互に互換していくということでは、この視点はずらさないでいただきたい。
それからもう一点ですが、家庭復帰後のいわゆる支援の問題です。私どもの施設でも9割を超える子供たちが虐待のケースであるわけですが、18歳で家庭復帰するケースも現実にあります。そういったときに、戻った段階でそこでもう生活管理が始まってしまう。その家の文化が解消されていなければ、やはりそこで管理される生活になっていくとしたときにそこで自立がストップされてしまう。自立援助ホームに入っているから、むしろ逆にそれが展開していけるということはあるかと思うのですが、問題が起こった場所が改善されていないときの子供の不全感ということを何とか食い止めるために、家庭復帰後もちゃんと支援ができる仕組みを整備していくことも必要ではないでしょうか。家庭に帰ったら一件落着では決してないので、そういうケースも幾つか抱えています。
取りあえず、2点報告しました。ありがとうございました。

○山縣委員長 ありがとうございました。
1から4につきましては、先ほども申し上げましたように改めてまた確認とか意見を聞く機会を設けますので、できましたら時間の関係もあるので5番を中心に御意見いただけたらありがたいです。
では、坪井委員お願いいたします。

○坪井委員 坪井です。
社会的養育を経て就職した若者の半数が、1年以内に離職しています。彼ら、彼女たちは、人に相談することが上手でない若者も多いです。それでも、改めてチャレンジして、そして社会に出て行く。そのためには、都度、自分で選択して、自分で決定して、そして失敗して、それでもそこで受け止めてもらえる。そこで自己責任だと言って突き放されるのではなくて、受け止めてくれて相談できる存在が必要だと思います。そういう存在があることによって25歳で自立できたり、あるいは30歳になって自立できたり、そういうことが現実だと思います。
先ほど奥山先生はケアリーバー法を提案されて、松本先生は児童福祉法の中でというようなことも検討したらということをおっしゃいました。どちらでも構わないと思いますけれども、法制化をお願いしたい。そして、その際には自立のもっと前から支援が始まって関係を構築することができ、そして25歳になっても、あるいは30歳、さらにはそれを過ぎても支援が届けられる、続けられる制度設計が必要だと思います。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございます。
では、中村委員お願いします。

○中村委員 先ほどの薬師寺委員の意見とも重複すると思いますが、ケアリーバーの実態調査は国、都道府県、両方ともに定期的な実施が必要ではないかと考えています。そして、数だけ、量的調査だけではなくて、今回は自由記述でも多くのことが得られたと思っていますので、やはり質的な調査が必要ではないかと思います。
2つ目は、措置解除後のケアについての部分です。皆さんおっしゃっていることと同じことになるかもしれないですが、アフターケアというと何か附属のものみたいな位置づけになっていると思うのですが、子供と若者の人生は連続しているわけです。ですから、自治体によってはサービスを受けられない状況があるというのは今、大きな課題かと思っています。サービスに格差が生じているところでは、補助事業になっているところはやはり必置にしていただいて、自治体間移動があったとしても支援の切れ目がないようなサポートを考えないといけないのではないかと思っています。先ほど坪井委員の話でもありましたが、やはり出た後にすぐ仕事を辞めてしまうというような若者や、今は学費の関係で大学、高等学校に進んだとしても中退せざるを得ない若者もいますので、出た後、数年の集中的なケアというのはやはり考えないといけないのかなと思っています。
もう一つは今まで議論に出てきたかはわかりませんが、記録の保持についてです。意見書の48ページの上の部分に書いてありますが、現在25歳の上限と決まっているものを、やはり若者たちの権利として自分たちの情報がきっちり保管されているような環境を整えていただけたらというところです。この記録の保持のことはこれまで必要だとは言われてきましたが、議論にはなっていないと思うので、ここは25歳の上限を変えていただきたいと思っています。
最後ですが、家族再統合後、やはり支援が受けにくくなっているなというところです。例えば、中学校で高校に行かず家庭に引き取られたとか、家族再統合の後も支援が受けられたり、家庭復帰後に、親との関係や生活が大変だという子供、若者たちの声を聞いていると、やはりそこのサポートも重要だし、措置解除後のケアも年齢によってはしっかり考えていかないといけないのかなと思っています。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
それでは、畑山委員お願いします。

○畑山委員 ありがとうございます。
まず、ケアリーバーの実態を把握するためにケアリーバー調査を行うかと思うのですけれども、子供たちの声の中では、どうせこの調査に答えても何も変わらないとか、聞いたからにはこの調査を生かしてほしいという声も届いています。ですから、聞いて終わりではなくて、子供たちからの声を聞いたのであれば、その調査結果を見てどう受け止めたのか、どういうことを考えているのかというのをぜひ回答してくれた若者に対してフィードバックしてほしいという声がありますので、ここでお伝えさせていただきます。
先ほど中村委員からもありましたけれども、アフターケアという概念について、そもそも措置解除後のケアというのはサービス提供者から見た支援のアフターケアで、子供、若者にとってはアフターケアではないので、このアフターケアという考え方、それこそ名称も含めてぜひ検討していただきたいと思います。
意見書を提出させていただいた中で、幾つかお伝えさせていただきます。
1点目が、退所した人たちに確実に支援を届けるためには、やはり支援を届けるために退所した者の状況を把握する必要があると思います。以降、18歳以降の経験者の現況等の把握を行う機関の所在を明確にしていただきたい。そして、ケアリーバー調査を定期的に実施し、把握した課題を社会的養護制度の課題として制度を改善するような仕組みを検討していただきたい。
もう一点ですが、ケアリーバー調査でも明確になったかと思いますけれども、やはり困り事の多くは退所後の経済的な問題ですので、何度か発言していますが、措置援助や社会的養護自立支援事業について柔軟な活用方法を検討していただきたい。
例えば、進学、就学して、自活して生活拠点が施設や里親家庭にない若者に対しても、自立支援事業等の枠組みの中で生活費、家賃、医療費等金銭的な支援を行うということをぜひ考えていただきたいと思います。
もう一点が、ケアリーバー調査で施設や里親とのつながりがない、つながれない若者が多くいることが分かったかと思いますけれども、施設等につながっている若者だけが自立支援等の恩恵を受けられるようなことになっています。経験者の中には様々な理由で施設と里親家庭とつながりを持たない若者が多くいますので、今後、自立支援のサービスを考える上では既存のサービスにくっつけるものではない、既存の施設や里親さんだけに頼らない措置解除後の支援制度の構築を検討していただきたいです。 IFCAとして活動させていただく中で、米国の自立支援というものを見てきましたが、その中で社会的養護経験者に特化したユースセンターというものがあったんですね。このユースセンターでは、社会的養護から自立した若者が安心して社会に出て行くためにサポートを得られる機関となっていまして、社会的養護に理解のある職員を配置して、ユースセンターについては意見書にも書かせていただいていますけれども、ユースセンターに行くと自身の困り事を解決できるような、例えばユースワーカーさん、社会的養護に理解がある職員さんがいて、雇用の問題、職業訓練、住居、メンタルヘルスケアのプログラム、ピアサポート等のサポートを得られるようなセンターがありました。
いわゆる一般の若者が困ったときに行く窓口には、私たちはなかなか行きづらかったりします。というのは、やはり窓口に行って自分自身の背景を話しづらかったり、自身の困り事に気づけなかったり、困り事を整理して話すことはすごく困難なので、やはり日本においても社会的養護を経験した、本来であれば社会的養護が必要であった若者に特化した伴走型支援を提供するユースセンターの設置を要望します。
最後に、皆さんおっしゃっていましたが、現行の児童福祉法の年齢要件では18歳以降の支援、ケアを受ける根拠がなくて、実施のばらつきや予算化の難しさがあります。ぜひ何らかの法的根拠を明示していただきたいと思います。
そして、児童福祉法で18歳以降の支援に十分に対応できないのであれば、措置解除後に対応する法的根拠を明示していただきたいと思います。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
今、手が挙がっている方は9人いらっしゃいますけれども、ここで完全に打ち切らせてください。
次は、河尻委員お願いします。

○河尻委員 なるべく簡潔に申し上げます。
この5番のところに、施設のアフターケアの充実というものもしっかり書きこんでいただきたいと思いますが、畑山さん、中村さんと全く同じことを私も考えていて、今さらですが、アフターケアという言葉は考えれば考えるほど違和感がある。これまでも議論があったように、これから施設の多機能化といったものを考えれば考えるほど、もちろん入所しているお子さんに全力を尽くすことは言うまでもありませんが、言い換えれば、その後のステップに対しても同じぐらいの力を注ぐ必要があるというのは、我々現場を見ていても、現場から退所した子供の様子を見ていても実感しているところであるので、その辺の発想を大きく転換して、アフターケアというものも本家本元のケアだというぐらいの意識を持つ必要があるだろうと思っています。
それが1つと、もう一つは先ほどから出ているようにケアリーバーの把握とか支援に関しての責任の所在みたいなものはこれまであまりはっきりしていなかったので、そこをはっきりさせる必要があると思いますが、実際にケアリーバーに対していろいろな支援をしたり相談に乗ったりするときには、私は絶対的に民間の活用が必要だと思います。
例えば、ケアリーバーについては様々なニーズがあるわけで、これは就労支援であったり、生活の支援であったり、あるいは既に家庭を持った中でいろいろな相談に乗ってもらいたかったり、いろいろなニーズがあるわけです。そのいろいろな若者のニーズに対してどういう形でアプローチをするか、あるいはどういう形でアウトリーチするかというのは、若い方々のほうがいろいろなアイデアを持っていて、それを活動に移したりしている例はたくさんあるわけです。そういった意味で、いろいろな民間のアイデアを生かせるようなことが必要だろう。
では、それをどうやって生かすのか、どうしてもお金の話になるのですが、これは金額の話ではなくて、行政が何か固まった事業をつくって、やれる人は手を挙げてくださいではなくて、アイデアに対してしっかりと補助をしてあげるようなシステムのお金の出し方というのが民間を活用する上で非常に重要ではないかと思います。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございます。
では、相澤委員お願いします。

○相澤委員 ありがとうございます。
代替養育を経験した子供の自立支援については、やはり子供が自立生活を開始して、親になる準備期を経て、親となって子供を産み育てるまで定期的かつ必要に応じて継続的に実施することが求められるとビジョンでは書かれているわけですね。
自立した後に家族の問題を抱えている子供は、先ほど桑原委員が言ったように非常に多いわけで、そういう意味では相談する場所がきちんと確保されるということはとても大事だなと思っていまして、先ほど畑山委員が言っていたようなユースセンターを私は設置すべきだと思っています。やはり総合的な青少年自立支援センター、例えば自立支援型の児童家庭支援センター、それにプラス自立援助ホーム、さらには宿泊型自立訓練事業という障害者の訓練事業、いわゆる通勤寮ですね。プラス勤労青少年ホームというようなセンター、相談機能、生活支援機能、就労支援機能、レクリエーション機能、一時保護機能、短期宿泊機能、コーディネート機能、そういう機能を持ったセンターをつくっていくべきではないかと思います。
そして、例えばそのセンターの夜間指導員などについては社会的養護経験者に担っていただくとか、社会的養護経験者のための集いの場の事業を行うとか、さらには退所候補者と退所者交流事業を行うとか、継続的に移行支援ができるようなセンターをきちんとつくっていくことが必要ではないかと思っています。
以上です。

○山縣委員長 では、井上委員お願いします。

○井上委員 ありがとうございます。
今、皆さんがはっきり言ってくださっていますので、それをもうちょっと強調したいと思いますが、平成28年度の児童福祉改正法ができたということは、イギリスで言えば子供法ができたのと同じぐらい抜本改正であったということですね。
これができた後は、逆に言うと子供を社会的養護で措置を決めた時点で、子供にとって最も重要な家族から引き離してケアをするということを決めたわけですから、これは県、国がその子が自立して安定した生活ができるようになるまで必ず見届けますよ、責任を取りますよということを盛り込んだきちんとした法律、ケアリーバー法に近いものをつくっていかないとうまくいかないのではないかと私は思っています。
今のところのディスカッションで問題になるのは、親元を離したのですが、その子がその後、社会に入っていけるまできちんと見ていくという姿勢のところで約束事がないので、途中で家庭に帰ってしまったらもうそこでフォローは終わりとか、ばらばらの状態がずっと続いています。
ですが、とにかく子供の権利条約を比準した国ですので、それをやってしまえば必要なことは、その方が途中でそういうケアを受けてしまった後、元の社会の中にうまく適応できるようになるまでは必ず国が一緒に見ていくという形にしていけば、その子供たちが例えば大分県から東京で生活するようになってしまったとしても国が見ていくわけですので、県が変わったとしてもその県と一緒に連携してやっていくというような形を取りやすくなると思いますので、そういう視点が必要ではないかと思いました。
以上です。

○山縣委員長 宮島委員、お願いします。

○宮島委員 ありがとうございます。
これについても意見提出資料を出させていただいています。3ページから4ページにわたり5つの項目を挙げさせていただいていますので、詳しくはそちらを見ていただければと思います。
やはり暮らしを支えるということがとても大事だ。全ての人々にとって共通するニーズとスペシャルニーズ、この両方を射程に置いて充実させなければ子供たち、あるいは出身者の方々を支えることはできない。それをはっきり意識すべきだと思っております。
2つ目は、やはり措置中と措置後という言葉も付け足しみたいに見えてしまうので気をつけなければいけないのですけれども、措置中にできることで、極めて御本人にとって一人で担うのは大変だということはやはりあるので、それを入所中に解決していく。実際、国籍がないような状態のまま、あるいは非常に不安定な在留資格のまま退所してしまうようなことがあるので、こういうことは避けなければならないと思います。
あるいは、本当に虐待とか事故のためにひどい外傷があったりやけどがあって、その成形手術などを一人で行うのは到底難しいことなので、措置中にできるものをきちんとやっていく。そこに手を伸ばし得るソーシャルワークとケアワークを併せて行っていくということがとても大事だということを申し上げたいと思います。
3つ目ですけれども、引継ぎの問題ですね。引き継ぐということは切ってしまうというようにも受け取られるので注意しなければなりませんけれども、その方が受けられる権利がある様々なほかの領域の支援を確実に受けられるようにする。その権利を奪わないようにする。このようなことを、実践レベルできちんとしておかなければいけないのではないかと思います。
非常に難しいですね。社会的養護は、現行では都道府県が実施主体になる。でも、そのほかのサービスは市町村が主体になる。そこでなかなか引継ぎの主体がはっきりしないというようなことがあります。そういったことも含めて、実践的なレベルで引き継ぐということが本人にとって不利益にならない、本当の伴走の意味での引継ぎということができるようにする。そのことを明らかにし、行えるようにする。制度面でも実践の力量、技術、方法の面でもそのようなことを充実させていく必要があると思います。
以上でございます。

○山縣委員長 では、続いて横川委員お願いします。

○横川委員 全乳協の横川です。
乳児院としても、親子関係構築支援機能とかアフターケア機能を乳幼児総合支援センターの機能として掲げています。実際に乳児院で実践をしていると、親御さんの中で社会的養護経験者が結構数多くいるなと思っています。そういった方に出会っていると、自立支援という今回のテーマですけれども、いかに愛された経験を積むかというところが勝負だと思います。乳児院としても乳幼児期の育ての状況は情報としてかなりいっぱい持っているという状況があるので、今後は全乳としてアフターケアを意識した、つなぐだけではなくその後も支援をしていくという視点を持つことを前面に出していきたいと思っています。
その中でちょっと気になるのが、市町村の要対協の話の中でも、18歳になったらケースから下ろしますというような話が横行しているので、そういった息の長い縦のラインで見ていくということを乳児院側も意識していきたいと思っています。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
当初の予定にほぼなりましたけれども、あと4人手を挙げていただいておりますので、この方についての発言は確保したいと思います。
では、続きまして村上委員お願いします。

○村上委員 全母協の村上です。ありがとうございます。
母子生活支援施設では、入所中の数年では解決しない問題や、退所後に新たに発生する問題もたくさんあり、そういった家庭に対してアフターケアという形で母子生活支援施設の職員が支援に取り組んでいます。
一般家庭の子供さんたちもそうだと思うのですが、高校を卒業したからとか、二十歳になったからといって親御さんの支援が一切なくなるということではなく、それ以降も親御さんの支援はあると思いますし、もっと言いましたら家庭を持たれた後も親御さんの支援の下に幸せな家庭を築けるというところもあると思います。そういった部分を、母子生活支援施設や社会的養護関係施設が担っていくことが必要なのではないかと思います。
そういった意味では、母親を含めた社会的養護経験者が退所後、何歳になっても困ったときや不安になったとき、またSOSを出したいときに頼れる場所が必要なのではないかと思いますし、施設が第二の故郷になるような形で引き続き支援体制を整えることが必要なのではないかと思います。
本当にアフターケアというのは終わりがなくて、地域に出た後も数多くの子供さんやお母さん方が施設を頼って訪れてきます。母子生活支援施設にもアフターケアの専門の職員に予算をつけていただいて非常にありがたいのですが、それ以前に本体施設の運営の安定が保障されるようなシステムを構築していただくと、より多くの退所後の子供さん、お母さん方の支援ができると思いますので、そういったところをお願いできたらと思います。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
では、藤林委員お願いします。

○藤林委員 もう時間も短いので、簡潔に述べたいと思います。
先ほど井上委員から英国1989年子ども法のことがちょっと出たので、それに関連してお話ししたいと思うのですけれども、今ネットで調べながら意見をまとめているわけなのですが、『世界の児童と母性』という資生堂さんが出している冊子がありまして、その2012年の冊子に京都府立大学名誉教授の津崎先生が書かれている論文があります。これには今日の議論の参考になることがいっぱい書いてあるので、まず紹介しておきたいと思うのですけれども、ここに1989年法23条にケアリーバーに適切な住居を提供する義務を自治体に課し、と書いてありまして、そうなんだなと思ったのですけれども、先ほど松本委員からもありました児童福祉法の中に書くのか、あえてケアリーバー法に書くのかというのはあると思うのですけれども、英国においては1989年の子ども法にこういった条文があったんだなと。
その後、ケアリーバー法ができたというのがあるので、どのように法文で書くのかというのは今後検討すべき点ではないかと思うのですけれども、言いたいのは、自治体がそのケアリーバーに対して住居を保障する義務があるというのが明確に書かれるのというのは、とても大きな意味があるのではないかなということをまず最初に申し上げたい。
今日の議論でも、就労支援とか就学支援とか相談といった部分、そういったニーズもあるわけなのですけれども、住居の保障というのはとても重要な基本的な部分ですから、そこをしっかりと自治体の責務として法定化するということが重要かと思います。
これに関連して、本当に児相長18年間の中に様々な本当に忸怩たる思いをした経験は何度もあるんですけれども、こういった10代後半の方々、または20歳を超えた方々が住居がなくなってしまうということをたくさん何度も経験してきました。
専らこの年齢の方々の受け皿になっているのは平井委員の団体、自立援助ホームです。本当に自立援助ホームでは、これでもかというぐらい難しい子供さんを多数ケアしていただいていますが、それでもなかなか集団生活ができない子供さんというのは一定いらっしゃるのです。集団生活がどうしてもできない子供さんは、結局自立援助ホームを出て行った後は本当にどこにも行く場がない。運がよければと言っていいかどうか分からないんですけれども、生活保護を得て単身生活という場合もありますが、そのチャンスにも恵まれない子供さんがいて、中にはホームレス化していく方も何人も経験していたなということがあります。
ですから、この住居を保障するといった場合に想定されているのは、自立援助ホームのような集団型の住居であったり、または社会的養護自立支援事業において、元いた里親や施設のことを想定されていますけれども、元いた施設、里親には行きたくないという子供さんもいらっしゃるということを考えると、ここはこういった集団型のケアでない個別の住居を確保していく。個別の住居でケアつきの住居を確保していくという選択肢もこの機会に検討するべきではないかと思います。
先ほどの津崎先生の論文では支援下宿、サポーテッドロジングス(supported lodgings)という選択肢を紹介されていますけれども、こういった個別の住居の確保といったことも国内でももっと議論するべきで、やはりどうしても集団で生活できない、元いた里親や施設には戻りたくないという子供さんのニーズに応じた施策を考えるべきではないかと思います。
以上です。

○山縣委員長 住居という新しい視点、ありがとうございました。
では、続きまして、北川委員お願いいたします。

○北川委員 ありがとうございます。
私は今、高3の子供の里親と、社会的養護自立支援事業を受けている22の子供がいます。特に高3の里子が周りに3人いるんですけれども、みんなやはり18で就職するというのはすごく大変なので、3人集まっては、どこの専門学校へ行くとか話合いができるような時代になったというのは、この社会的養護自立支援事業と、あとは給付費型の奨学金ができて、本当に未来を少し描けるようになっていいことだと思っています。
その中で、社会的養護自立支援事業になってちょっと困ったなということが、子供たちが言っていたのですけれども、密かに病院に行くのを控えていたんだよね、お金がかかるから、歯医者も治療しなさいと言われたけれどもちょっとやめたんだよねという話があって、やはり医療費の問題というのは大きいと思っていますので、この辺も先ほどの義務的経費の法制化と関係あるかと思いますけれども、困っているところだということを押さえてほしいと思います。
また、就職しても辞めてしまう子供が多いのと同じように、大学に行っても中退したり、もしくは4年で卒業できない子がいます。それで、今4年生なんですけれども、4年で卒業できなかったら無償化も、もともと成績が悪いと無償化は駄目になってしまうのですけれども、給付費型も駄目になってしまって、次年度からは1年間、さてどうしようか。いざとなったら、里親が前のようにお金を負担することになるとは思うのですけれども、それは一部であって、この辺の少し余裕を持った無償化だとか給付型の奨学金というのも考えていく必要があるのではないかと思います。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
このパート最後になりますが、浜田委員お願いいたします。

○浜田委員 今日は大きく遅刻して参りまして、今パワポが5の自立支援のところのお話だということは重々認識しつつも、もしお許しいただけるのであれば4-2のところについて手短に発言することをお許し願いたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○山縣委員長 了解しました。

○浜田委員 ありがとうございます。
そこのところに、一時保護の適正手続の確保という項目がございます。ここの内容に含まれるものとして、一時保護に関する司法審査の在り方についての検討というのがあろうと把握しています。これについては、ここにも記載があります検討会取りまとめというのが今年4月に出まして、現在これを基に関係省庁間での協議が開始されていると聞き及んでおります。
ただ、この取りまとめというのは、一時保護の司法審査の現状をどう変えるべきかということについて確定的な意見が述べられているものではありません。また、その際にどのような要素を考慮して制度設計をするかということについて触れているわけでもありません。
実際のところ、ここで考慮すべき要素はたくさんございまして、そもそも一時保護の全件を対象とするのか否か、また司法審査というときに事前審査なのか、事後審査なのか。事後審査として、その時期はいつ頃までと設定するのか。はたまた、裁判所は果たして一体何を審査するのか。子どもや親権者に対する手続保障をどう考えるのか。そういった制度というのは、さらに児童相談所の現状を踏まえてきちんとワークし得るものなのかといったことを全体的に考慮されることが必須であります。
そういったことを考えますと、このような制度設計というものは省庁間の協議だけで確定し得るものではないし、すべきものでもないと考えます。
では、どうするかといいますと、一時保護の検討会は形式としては今も復活可能と聞いておりますので、そちらの検討会の御意見をもう一回踏まえるということも必要でありましょうし、児童部会の中での中心的な役割を担うこちらの専門委員会でもしっかりした議論を行うことが必須であろうと考えます。
何が言いたいかというと、要するに拙速な制度改正というものがなされるということには慎重であらねばならないと思っております。我々専門家は、こういったことについては地に足をつけた議論が必須であろうと考えております。
以上です。お許しいただきまして、ありがとうございました。

○山縣委員長 ありがとうございました。では、今の中身は4のところで対応させていただきます。
最後になります、「6.基盤」で、括弧内に4つの中身が書いてありますけれども、ここにつきましてほぼ30分時間が取れます。時間は短いのですけれども、取りあえず30分の中でいろいろな御意見を伺おうと思います。やり方は今までどおりになります。
では、奥山委員お願いいたします。

○奥山委員 ありがとうございます。
1つは項目に関してなのですけれども、権利擁護の報告書の中に確かに入ってはいるのですけれども、やはり権利擁護というだけではないので、第三者評価、評価機関もしくは評価機構、それに関して項目出しをしていただきたいと思います。これはとても大事な話だろうと思うので、それはきちんと項目出しをして議論をしていくべきではないかと思います。
もう一つは、先ほど来いろいろな意見が出ているんですけれども、例えば在宅措置をうける、もしくは乳児院、養護施設、その他の施設など、いろいろな代替養育で生活していた子どもたちが、ケアリーバーになると変わっていってしまいます。
代替養育をうけるような子どもに多い傷ついた心のケアであるとか発達障害の問題などを見ていると、どこか1か所が縦に見ていく必要があるのではないのかということを強く感じています。そういう意味で、例えばケアセンターといったものをつくっていくべきではないかと思っています。
それに関して言うと、私自身、割と小さいときから施設とか、そういうところにおられるときから一緒にケアをしていた子どもさんたちをずっと大人になるまで見ていくということがあります。ただ一方で、幾つかの施設さんは、施設を出て行かなければならないので今後何かあったらよろしくお願いしますと言って紹介された方というのはほとんどつながれないのが実情です。なかなか難しいのですね。ですから、やはり縦に見ていくどこかセンターみたいなところ、特に傷ついているお子さんたちに対してそういうことができるところというのがとても必要ではないかと思います。
最後は、どこに言ったらいいのかがよく分からなかったのでここで言わせていただきたいと思うのですけれども、法律上こういうお子さんたちは守られていないと思うことが幾つかあります。その一つは戸籍法の問題です。
無戸籍の子どもたちを、どこの県の児童相談所も結構抱えています。かえって全く親がいないということだったら何とか戸籍を作れるのでしょうけれども、親御さんがいてネグレクトというか、全然対応してくれないというと、戸籍がずっとないままできてしまうというお子さんがいます。そういうのは本当に子どもの権利の重大の侵害だと思っているので、戸籍法の問題は何とか解決してほしいと思います。
それから、先ほどのケアリーバーのところもそうなのですけれども、子どもさんが長じて、親とともに住むようになった時、あるいはそうでなくても親御さんからかなりむしり取られるというケースが割と多いのです。お子さんのほうから親子の縁を切るというのは、法律上できません。特別養子縁組をしない限り親子の縁は切れないです。何らか子どもの側から親子の縁を切るような方法をぜひ考えていただきたいと思っています。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございます。
では、藤林先生お願いいたします。

○藤林委員 では、6の(1)の「人材」の3番目のところで少し意見を述べたいと思うのですけれども、さっきまでと打って変わって誰も手を挙げないのでどうしようかなと思ったのですが。
これも私の経験から少しお話をしたいと思うのですけれども、18年間の児相長経験の中で多くの方々を児童福祉司として任用していたわけですが、その中で私は福岡市の保育士さんが区役所の子供家庭支援の機関にいたり、その後、児童相談所の児童福祉司になったり、最終的にはスーパーバイザーになっていく方というのを何人も見ていまして、保育士さんはすごいなと思っているんです。
保育所での保育の経験があって、子供のケアの経験も十分あり、また保護者支援の経験もある方がソーシャルワーカーとして区役所とか児童相談所でソーシャルワーク、ケースワークを行っていくというのは社会福祉士、精神保健福祉士から児童福祉司になってきた方たちとまた異なる、非常に十分な経験と専門性を持っていらっしゃると思います。こういった方々が全国の児童相談所、または市町村にたくさんいらっしゃる。保育士全体からすると数は少ないかもしれませんけれども、全国の市町村、または児童相談所にいらっしゃるということを感じます。
また、福岡市の児童相談所には里親を支援する係もありまして、ここにも保育士さんが何人もいまして、里親ソーシャルワークという分野でも保育士さんは現場経験とか子供のケア、保護者ケアの経験があるので、きめ細かなソーシャルワークができるという、とても大きなメリットかなと思っています。
そこで、このペーパーの3番目の「この資格の人材を多く確保するため、多様な取得ルートの確保を検討するとともに」というふうに書かれているわけなのですけれども、今までこの専門委員会の前段であったワーキンググループでも、この専門委員会においても、社会福祉士、精神保健福祉士の資格を持っている上にどうするのかというような議論がずっとなされていたかと思うのですが、保育士資格を持っている方々が必要な単位を履修してソーシャルワーカーの資格を取っていけるようなルートもしっかりと検討するべきではないかと思います。
現に保育士のカリキュラムを見ますと、子供の心理であるとか、または保育の立場でのソーシャルワーク科目があったりするわけですから、必要な単位の履修ということで、人材確保という点で大きな意味を持つのではないかと思っています。
ついでにもう一点、実は中村委員の意見にちょっと触発されて、これはやはりそうだなと思うのですけれども、中村委員の前半の意見の中で一時保護所のケアの質が問題だということを言われて、非常に反省しなければいけないなと思っているのですが、それは一時保護所の運営という問題もあるんですけれども、一時保護所も児童養護施設もほかの施設もそうなのですが、ケアワーカーの資格は実は議論が必要だと言いながらされないままここに至ってしまっているんですけれども、本当に今のままで大丈夫なのかと思います。
今日の議論でも、施設の高機能化といったことが言われているわけです。高機能化を担っていくのはケアワーカーなんですけれども、現状では保育士と児童指導員で、児童指導員というのも非常に幅の広い資格で、別に国家試験も養成校での実習経験もなしで児童指導員になっていくわけですが、それで本当にいいのか。今後、もっと様々な子供のニーズに応じたケアを各施設で提供していく。一時保護所も児童養護施設も乳児院も児童自立支援施設も提供していくというのであれば、児童指導員の在り方はこれでいいのかというところもやはりこの機会に議論しておかないと、またこの問題は5年後、10年後に先送りになるのではないかと思って問題提起をさせていただきました。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございます。
それでは、髙田委員お願いいたします。

○髙田委員 人材育成のことで、この資格が大卒で取れるかという議論があったのですけれども、先ほどの4-1の話の中でも、ソーシャルワーク機能というものが重要だという御意見を多くの先生からいただいていますが、ソーシャルワーク機能はかなり高度な専門性が必要とされると思うんです。こういう人は、市区町村に各1人というよりも、もっと広域のところでスーパーバイザー的に中心になって動くような専門性を考えていったほうがいいと思います。
そういう意味では、児童相談所内で今であれば普通の福祉司さんとスーパーバイザーと、その上に役職がおられると思うのですけれども、そういう中に専門的なソーシャルワーカーというものを位置づけるような組織を考えていく。そういう前提で人材育成のことを考えていったほうが今、本当に喫緊の課題としてなかなかソーシャルワーク自体がうまくいっていない。何とかしようというときに、そういう枠組をまずつくっておかなければいけないと思いますその枠組みに乗るような形の人材育成の資格制度とか卒後教育の考え方とかを入れないと、幅広に誰でもソーシャルワークができるようになりますよというようなことを目指しても相当難しいと思いますし、うまくいかないのではないかというのが私の意見です。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
それでは、河尻委員お願いします。

○河尻委員 私からは、4番の「権利擁護」のところについてです。ここには、ワーキングチームの取りまとめにのっとって検討すると書いてあるわけですけれども、特に子供の権利擁護の中でもこのワーキングでは子供の意見表明を中心に議論されたようなのですが、子供の意見を聞く意見表明ということをテーマにして話し合うと、まずはその機会をどうやって保障するかという話になると思うのですが、その前の大前提として、全ての子供が明確な意見を持っているわけではないし、その意見を聞かせてと言われても分からない状態、あるいは両論の意見を持っている。例えば、家には帰りたい。でも、帰っちゃいけないかもしれないという中で子供は苦しんでいる。そういうなかなか表現しづらい子供の考えとか思いに対して寄り添っていくことが非常に大事な考え方だと思うのですが、そのことも踏まえてこのワーキングの取りまとめを読ませていただいて、本当に文句をつけるわけではないのですけれども、この中にある意見表明支援という言葉がどうしても私には違和感があります。
もちろん、この言葉に対する違和感についてはこの中にも書いてあるので、今後ここの表現は考える必要があるとは思いますが、意見を持っている子供が支援をされる側にいるということも違和感がありますし、先ほど申し上げたとおり、これはアドボケイトとか、オンブズマン制度とか、いろいろなものを意識して議論されていると思いますが、先ほど言ったいろいろな曖昧な思いとか複雑な思いを持っている子供にどちらかというと寄り添っていくような立場だと思うので、この支援という言葉の使い方についてはさらに議論する必要があるのではないかなと、ちょっと細かい話ですが思いました。
ちなみに、ではほかに何かいい言葉があるのかと言われたら、ぱっと出てこないというところが申し訳ないのですが、ここは結構、言葉として大事なところかなと思いました。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございます。
橋本委員、横田委員、宮島委員、北川委員、松本委員、井上委員、ここで6人いらっしゃいます。一旦ここで切らせてください。
では、橋本委員お願いします。

○橋本委員 ありがとうございます。
前回の専門委員会で、私は要対協についての在り方研究をお願いしたところ、早速、市区町村の要保護児童対策協議会等に関する調査研究検討会を実施する旨の御連絡がありました。また、児家センと自治体の連携にスポットを当てた研究も近々スタートすると聞いています。このような家庭福祉課の皆さんの極めて迅速な対応に、まず感謝申し上げたいと思います。
その上で、改めてこの場で2点、基礎自治体の子供家庭支援の基盤にある要対協に関する問題意識を共有させていただきたいと思います。
まず1点目ですけれども、子ども・子育て会議と要対協の関係です。例えば、今回大きな問題となっているショートステイの供給量は子ども・子育て会議が決めているのですけれども、要対協の実践とは全く関係性を持たずに進めている自治体が少なくありません。これからは、社会的養護施策が市町村の子育て支援事業との接続を強めていかなければならないということはよく言われているのですが、そのためにもここの連携の在り方が極めて重要になってくると思います。
次に2点目ですけれども、権利擁護の観点からも要対協の構成メンバーに社会的養護経験者が加わっていくことも必須と思います。実は、私の地元の越前市では、今春よりケアリーバーの当事者組織が要対協に加盟しました。さらには、要対協の個別ケース会議の進め方についても、当事者を交えたオープンダイアローグや、ついおととい、花園大学の久保先生から教えていただいたのですが、ラップアラウンドの手法などを学んでいくことも必要かと思います。正直、子供の権利擁護とか当事者参画の理念は、国ではこの専門委員会のようにそれなりに大事にされて議論されていますけれども、ほとんど全ての基礎自治体レベルでは「何のことか」という状況かと思っています。
そういうわけですので、今後はこの専門委員会の論議を基礎自治体にどう生かしていくのか、あるいはこれは局長が以前どこかで使われていた表現ですけれども、どう「均てん化」していくのかというのも実はこの基盤の論議の中に含めるべきかと思ったところです。
以上です。ありがとうございました。

○山縣委員長 ありがとうございました。
では、横田委員お願いします。

○横田委員 ありがとうございます。
6の最後の児童相談所の記録の話です。先ほどお話が出ました大体25歳までという現状を変えたいということなのですが、恐らくこれはコンセプト自体を変えるということが一つの手がかりになるのではないかと思っています。
というのは、先ほど5についての発言として6の話が出ているということが象徴的だと思うのですが、恐らく25歳までというときの理屈は、保護は18歳や20歳までだけれども、あと5年くらいはという発想だと思うのです。そうではなくて5のところで出てきたことからも分かるように、これは過去の話ではなくて現在の話として、25歳、26歳の人にとって今、必要な個人情報捉え直すことができれば、別に25歳で切る必要はないという話にならないだろうかと考えています。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございます。
では、宮島委員お願いします。

○宮島委員 ありがとうございます。
やはりこの基盤のところでも委員提出資料の58ページから書かせていただいています。長いので、詳しくはそちらを見ていただくようにお願いした上で、2点申し上げたいと思います。
1つ目は、主に資格のことと人材育成のことですけれども、現場にいる方がその学びとか経験を積み上げながら取得できるようなもの、ステップアップできるようなものにぜひともしていただきたい。先ほど、保育士の方で優れた方がたくさんいるとありましたが、本当にそうだなと思いました。市町村で保育士という形でこの仕事に携わっている方が9.7%、教員の方が20.9%、保育士、助産師、看護師の方が21.9%というふうに国の調査結果でも出ています。
実際に私は市町村の事例検討会等に参りますと、そういった資格で頑張って優れた働きをされている方が多くいらっしゃいます。要対協の調整担当者も専門職という形になっていますし、そして研修も受けなければならない。そういう形で、現場で働き、しかも義務となった研修を受けて積み上げている人、この人たちの積上げが生かされるものでなければならない。この人材育成の仕組みを通じて新しく上乗せするとか、足らない部分を補うという資格、そしてそれを取得する方にとってメリットとなり、レベルアップする。そういったものにしなければならないと思います。ぜひとも現在子供家庭福祉で働いている現場の人が積み上げられるものとしてほしい。
同時に、既に社会福祉士とか精神保健福祉士を持っていらっしゃる方、社会福祉士を持っている方は25万人いらっしゃいますし、精神保健福祉士を持っている方も9万以上います。そして、残念ながら子供家庭福祉の領域で働く方は少ない。5%に満たない。でも、子供家庭福祉のことに関心を持ち、そこに自分の経験や知識、スキルを用いていきたいというふうに考えている方は決して少なくないのです。
私の勤務する学校にはいろんな領域の方がいらっしゃいますけれども、病院のソーシャルワーカーとか、刑務所で働いていらっしゃる方もおられますが、私が担当する授業等に出てくださっていても、とても優れた力を持っていますし、その知見を示してくださるんです。また、障害分野で働いている方もそうですし、高齢者分野の方ももちろんそうです。ほかの領域で働いている。けれども、ソーシャルワーカーとしての資格も持っていて、実践力を積み上げてきている。そういった人たちの力が活用できるといいますか、それら活かしながら子供家庭福祉を担って頂いて、こちらの領域でも活躍していただける。そういった仕組みをぜひともつくっていただきたい。現在、子供家庭福祉で働いて資格のない方、逆にほかの領域で働いていて資格のある方、そういった方々の持っているものが積み上げられ、そして力量を上げられる、そういった仕組みをぜひともつくっていただきたいと思います。
2点目は、これは学部だけではありませんけれども、逆に学部等の教育において、では社会福祉士や精神保健福祉士の学びや訓練では足りない部分をどう担っていくかということですけれども、やはり社会福祉士では足りない部分はあります。また、精神保健福祉士では足りない部分もあります。精神保健福祉士では児童家庭福祉はない、あるいは生活困窮の科目がないんです。これを補っていかなければいけないと思いますし、子供家庭福祉の分野のほうでは精神保健の分野等の学びが足りない部分があります。社会福祉士であっても児童福祉の時間数は従来の半分に数年前のカリキュラム改正でなっています。
この部分を補わなければならないと思うんですけれども、座学を増やすことによって果たして学部生が実践力を獲得できるのか。いろいろな座学をどんどん増やしていったら学びが硬直化していきます。また、実際の教育を提供する大学等でも幾つものものを並行して走らせることが難しいということで、絞ったり、どれかをやめていくという傾向が今は認められます。
このようなことを考えるならば、上乗せするものは座学の辺りをむしろ絞って、そして演習とか実習とか、この辺りのことで実践的に子供家庭福祉のことにまず興味を持ち、意欲を持ち、しかもスキルを上げて、そして現場に入っていけるような仕組みをぜひともつくっていく必要があるのではないかと考えます。
以上です。ありがとうございます。

○山縣委員長 ありがとうございました。
では、北川委員お願いします。

○北川委員 先ほどから保育士さんの役割のことが出ていたと思います。やはり保育士さんも、家族支援をしていくときにソーシャルワークをしっかり担ってもらっている現場がたくさんあるのではないかと思います。それで、保育所そのものに私は心理士さんとかソーシャルワーカーさんがどういうふうに今後配置される必要があるかなと思っているのですけれども、保育士そのもののソーシャルワークということも大事だと思います。
ただ、私も保育士の養成校で教えてきたのですけれども、いつのころからか、たしか保育士の取得単位の中から相談援助の科目がなくなったというふうに先生から聞いて、やはり今、保育園の地域支援が強調されている中、もしこのソーシャルワークがないのであれば、学ぶ必要があるかなとは思うのですけれども、これについては今日でなくてもいいのでお聞きしたいと思ったところです。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございます。では、次回以降、保育士養成のカリキュラムについてお願いします。
それでは、松本委員お願いします。

○松本委員長代理 先ほど、藤林委員のほうから資格のことについて保育士さんも含めてということがありました。また、宮島委員からも多様なというところで発言がありました。これはワーキングのところでもう既に発言したことなので、それだったらちょっと重ねてと思いましたけれども、やはり既存の社会福祉士、精神保健福祉士の上乗せというルート以外に、どういう資格を持っている方かとか、現職の人が職場の研修の一環として研修を受けて、それを認定されて資格の取得ができるというルートをつくっておくのが大事かと思っています。
そうすると、職場の研修、あるいは現職の中で受けていく研修と資格ということがリンクしていく。そのように設定をしておくと、職場の研修の意味合いがまた変わるし、モチベーションも変わるのではないかと思っています。そういう議論があったということは、ワーキングのところでも私は強調して発言していたということは確認をしておきたいと思います。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
最後になりますけれども、お待たせしました。井上委員、お願いします。

○井上委員 ありがとうございます。
今、松本先生も言ってくださったのですが、藤林委員が保育士さんの話を出してくれるようになりましたので、大分の状況も踏まえて少しお伝えしたいと思います。
大分のほうでは7年前から保育コーディネーター制度というものができまして、そういった社会的養護とか養育のところの研修を受けた上で、一応知事さんのほうの指定を受けて各市町村の保育士さんがその業務を続けるということができていました。それが、3年前から実は大分県の教育委員会のほうの主管に移りまして、学校教育としてコーディネーターを整えていくという制度も同時に重ねて進めていくという格好になりまして、今はかなり全体でこういったことを学ばなければいけないということが進みました。
それが始まって、これはもうはっきりしているのですけれども、28年の改正児童福祉法を基にしまして、学校教育のほうも子供のことを児童福祉司と一緒にやらなければ教員としては違反ですよというくらいの強いメッセージを出すようになっていろんなことが進んできていますということをちょっとお伝えしたいと思いました。
それで、北川委員がずっとやられておられますひろばの事業で、中津市は平成10年から地域子育て支援センターを保育所が中心とする保育所型と、1つは私のところなのですが、医療型という形でこの地域子育て支援センター事業をずっとやってきまして、その中で保育士さんたちの力がすごくあるということをとても感じて、それを基にコーディネーター制度のほうにつながっていったというような経過があります。ですので、実際の現場をやっている人間からいいますと、特に市町村でやっていて母子保健のところから連続してやっていこうという形でやっていけばいくほど、保育士さんたちの力を使わない手はないということをお伝えしておきたいと思います。
2点目は、河尻委員が言ってくれましたアドボケイトの意見表明支援の言葉のことなのですが、実際に私たちが大分でもやっていきますと、子供の認知、行動の発達段階に応じてお子さんたちの表現の仕方が違ってきます。その違ってきている子供さんたちなりの言葉をどのようにしっかり捉えて、それをアドボケイトとしてやっていくかというところがとても重要になってきます。
それで、これはこれから恐らくまだまだ検討していかなければいけないことがあるのですが、子供が言った言葉をアドボケイトが翻訳してしゃべってしまうとちょっと形が違ってくるではないかとか、いろいろ出てくるのですけれども、そういう視点を持ってきちんと子供の意見を聞いていくという形が大切で、そこを支援するというイメージで使っているというふうに考えていただけたらと思います。
最後に、橋本委員が言われていた子ども・子育て支援と要対協の関係のところなのですが、これは現在進めています子ども家庭総合支援拠点の位置づけをどう考えるかというところで、子ども・子育てと要対協を全部包括した格好で考えていっています。ですので、私は子ども・子育て会議の会長をしておりまして、要対協の副会長をしています。そういった格好で一緒につないでいって相互に意見を考えていくと、支援拠点全体の子供家庭支援というものは市町村の中でどう見ていったらいいのか。そこをどう結びつけていったら一緒にできるかというようなイメージが大分薄くなってきていますので、よかったらまた皆さんと一緒に検討しながら進めていけたらと思っています。
時間を取りました。以上です。

○山縣委員長 ありがとうございます。
松本代理は手を挙げていらっしゃいますか、前のままですか。

○松本委員長代理 今、改めて挙げました。

○山縣委員長 では、簡単にお願いします。

○松本委員長代理 今、子供の意見表明について幾つか意見が出ています。それで、大変重要な観点で、ここをきちんと進めていくということが社会的養護あるいは子供家族福祉全体に関わることかと思っています。
そのときに、特に意見表明支援という観点に関わって確認しておきたいのは、意見表明の問題は聞く側の問題、つまり意見を表明する側だけではなくて、やはりそれを受け止める側なり、全体の聞くという姿勢、あるいは生かすという姿勢の問題とセットで考えなければいけないということなので、意見表明の問題は制度に関わる大人全体の問題なんだということで、当たり前の話ですけれども、やはり制度として動き出すときにはそこをセットで意識をしていくことが肝要かと思ったので、あえて発言をいたしました。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
当初の予定時間いっぱいになってきました。本日の議論はこれまでにさせてください。
事務局のほうでは本日の意見を踏まえて前回同様、4、5、6について修正をお願いしたいと思います。それを私のほうで確認した上で、次回委員会に諮りたい、配付させていただきたいと思います。
最後になりますけれども、事務局から今後の予定、日程及び委員会の中身について御説明をお願いしたいと思います。

○野村企画官 本日はありがとうございました。
今後の進め方についてですけれども、前回と本日で御議論いただきました今後の基本的な議論の方向性に基づいて、ここにございます1から6を3つか4つ程度に分けて、9から10月にかけてそれぞれの項目について御議論いただきたいと思っております。そして、9月から10月までの御指摘を踏まえて議論を重ねて、年末をめどに取りまとめを行うというようなことをイメージしております。
次回の日程につきましては、委員の皆様には8月も幾つか日程を確保いただいているところでございますけれども、9月7日火曜日10時から13時を予定しております。
以上でございます。

○山縣委員長 そういう予定で、8月は準備作業に事務局のほうで費やしていただくということで、お集まりいただきますのは9月7日になります。よろしくお願いします。
本日は、これで閉会としたいと思います。長時間、お付き合いいただきましてありがとうございました。お疲れさまでした。
                                                                                                                       

(了)

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