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2021年7月16日 第31回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 議事録

子ども家庭局家庭福祉課

○日時

令和3年7月16日(金)14:00~17:00

 

○場所

オンライン


○出席者

委員
 

相澤委員  安部委員  五十嵐委員  井上委員
奥山委員  河尻委員  北川委員    桑原委員
小島委員  菅田委員  髙田委員   坪井委員
中村委員  橋本委員  畑山委員   浜田委員
林委員   平井委員   藤林委員   松本委員
宮島委員  森井委員  薬師寺委員  山縣委員長
横川委員  横田委員

事務局

小澤総務課長
矢田貝保育課長
山口虐待防止対策推進室長
野村企画官

 

○議題

   (1)子ども家庭福祉の課題と今後の方向性について
   (2)その他

○配布資料

資料1 これまでに頂いた課題・問題意識
資料2 今後の基本的な方向性(案)
資料3 委員提出資料
 
委員提出資料
 
参考資料1 委員名簿
参考資料2 子どもとその保護者、家庭をとりまく環境に関する資料
参考資料3 前回までの主なご意見
参考資料4-1 子どもの権利擁護に関するワーキングチームとりまとめ(概要)
参考資料4-2 子どもの権利擁護に関するワーキングチームとりまとめ(本体)
参考資料5 地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会における論点整理
参考資料6 第49回社会保障審議会児童部会(令和3年6月9日開催)での主なご意見

○議事

○野村企画官 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第31回「社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会」を開催いたします。
皆様、音声は大丈夫でしょうか。
(首肯する委員あり)

○野村企画官 ありがとうございます。
委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日もウェブ会議にて開催させていただきます。
本日の出欠状況でございますが、榎本委員、熊川委員、倉石委員が御欠席、また、林委員は途中退室と伺ってございます。
今回の委員会は、傍聴希望者向けにYou Tubeでライブ配信をしております。なお、本委員会では、これ以降の録音・録画は禁止させていただきますので、傍聴されている方はくれぐれも御注意ください。
それでは、これより先の議事は、山縣委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山縣委員長 皆さん、こんにちは。山縣です。頻回に皆さんとお会いすることができて、本当に喜んでおります。これまでも非常に多様な御意見いただいておりますけれども、今日もテーマに従って、皆さん方との意見交換を進めていきたいと思います。
まず最初に、事務局から、資料の確認をお願いします。

○野村企画官 それでは、資料の確認をさせていただきます。配付資料の右上に番号を付しておりますけれども、資料1 課題・問題意識、資料2 今後の基本的な議論の方向性(案)、資料3 各委員から御提出いただいている資料がございます。
このほか、参考資料1で名簿、2で第28回に御提示させていただきましたデータなどを整理している資料。それから、参考資料3で前回までの主な御意見。そして、参考資料4-1で子どもの権利擁護に関するワーキングチームの取りまとめ、そして、参考資料4-2がございます。参考資料5で地域における保育所・保育士等の在り方に関する論点整理、資料6で、社会保障審議会児童部会、6月9日の主な御意見を御用意しております。
以上でございます。

○山縣委員長 ありがとうございました。
それでは、次第に従いまして議事に入っていきたいと思います。
まず、この委員会とは別に、この委員会に関係する内容の審議が進められておりますので、それらについて一括して事務局のほうから報告をお願いいたしたいと思います。
まずは、子どもの権利擁護に関するワーキングチームの報告を室長のほうからお願いします。

○山口虐待防止対策推進室長 虐待室長の山口です。
参考資料4-1を見ていただきたいと思います。「子どもの権利擁護に関するワーキングチームとりまとめ」となっております。
1ページを見ていただきますと、左上、設置の趣旨がございますけれども、このワーキングチームは、令和元年に成立いたしました児童福祉法等の一部改正法の附則におきまして、子どもの権利擁護の在り方について検討し、必要な措置を講ずるとされたことを踏まえまして設置されたものであります。
委員は、右側に記載がございますが、本委員会の委員でもあります相澤先生に座長に就任いただき、議論を重ねてまいりました。
スケジュールは、左下にございますとおり、とりまとめまでに11回の議論を行いました。
とりまとめの内容について、ポイントで御説明いたします。2ページを御覧ください。
とりまとめのポイントですが、マル1、基本的な考え方として、子どもの権利保障を理念として位置づけた児童福祉法第1条、また、子どもの意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを定めた第2条の考え方を常に基本として、広く子どもの権利擁護に関する施策を推進すべき。
その上で、マル2、子どもの意見表明権の保障としまして、1ポツにあるように、個別のケースにおける意見表明。
都道府県・指定都市・児相設置市が在宅指導・里親委託・施設入所等の措置を行う場合には、子どもの年齢に合わせた適切な方法により、あらかじめ子どもの意見を聴取しなければならない旨を児童福祉法に規定すべき。
一時保護する場合には、事前の意見聴取を原則としつつ、あらかじめ意見を聴くことが難しい場合は事後速やかに意見を聴くことにすべき。
都道府県等は、意見表明を支援する者の配置など、子どもの意見表明を支援する環境の整備に努めなければならない旨を規定すべき。
2つ目として、政策決定プロセスへの子どもの参画。
都道府県等が子ども家庭福祉に関する制度・政策を検討する際には、社会的養護の下で暮らす子ども・経験者の視点が反映されるような仕組みを設ける。
また、社会的養護の当事者団体の活動の活性化・安定化を図るための支援に取り組む。
マル3として、権利擁護の仕組み。
子ども家庭福祉分野での個別の権利救済の仕組みとして、原則として全ての自治体で児童福祉審議会を活用した子どもの権利擁護の仕組み、例えば措置等の決定について子どもからの申立てに基づいて意見具申を行うといった仕組みが整備されるよう取組を促進していくべき。また、児童福祉法上、都道府県等は、子どもの権利擁護の仕組みの構築に努めなければならない旨を規定すべき。
その際、児童福祉審議会は、独立性や迅速性、アクセス、権利擁護等に関する専門性といった要素を担保すべき。
2つ目として、子どもの権利擁護機関としてあるべき制度として、国レベルのコミッショナーについての検討や、自治体のオンブズパーソンの取組を促進するべき。
4つ目として、評価ですけれども、個別の権利救済を図るのみならず、社会的養護の下
で暮らす子ども・経験者や外部の専門家が児童相談所、一時保護所や施設の運営全般を点検・評価し、その結果を踏まえて改善を図るサイクルを定着させることが必要。
一時保護所の第三者評価を義務化することを検討すべき。また、自治体において中立的・専門的な評価を行える体制の整備を進めるとともに、国レベルの評価機構についても検討していくべきとなっております。
厚生労働省としては、このワーキングのとりまとめを踏まえ、制度改正に向けた議論を進めてまいります。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。子どもの権利擁護に関するワーキングのとりまとめの報告でした。
続きまして、「地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会」、保育課長のほうからよろしくお願いします。

○矢田貝保育課長 保育課長でございます。
お手元の参考資料5を御覧いただければと思います。「地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会」、5月から開始いたしまして、倉石先生に座長をしていただきまして、これまで2回開催してございます。1回目、2回目で、論点を定めていこう、主な議論の方向について整理しようということで終わったところでございます。次回以降、3回目以降に、それぞれの論点について深掘りしていく、具体策について検討していくという検討状況でございますが、本日は、その深掘りしていく、具体策を検討する前の論点整理の状況について御説明するものでございます。
論点につきまして、資料1ページ目、まず、「人口減少地域等における保育所の在り方」。論点として2つございます。
1つは、今後、人口減少地域の拡大が想定される中、人口減少地域等において必要な保育を確保していくための方策についてどのように考えるか。
2つ目の論点として、各市町村では、保育所等の統廃合・規模縮小、公立保育所の在り方の検討などの対応が必要となり得るが、地域ごとに状況が異なることに留意しつつ、どのような対応が考えられるか。この2つを論点にしてございます。
以下、構成員からの主な意見をそれぞれの論点ごとに今後の議論のために書いてございます。
1ページで言いますと、例えば人口減少等を踏まえた今後の対応についてということですと、2つ目の○にございますとおり、今後、既存施設は収れんしていく方向になるが、保育機能だけでなく、保護者が求める気軽に相談できる人や場など、子育て全体を支える機能を備えつつ、集約化がなされなければならないとか、その次の3つ目の○、人口減少地域を含めて保育の機能をセーフティネットとして担保していくに当たって、保育所の多機能化は避けられないのではないかという御意見が出ているところでございます。
また、意見の続きでございます。2ページ目、これは専ら保育に係る話でございますが、
設備運営基準や公定価格についての見直しであったり、各自治体における対応についての御意見をいただいているところでございます。
3ページを御覧いただきまして、「2.保育所・保育士による地域の子育て支援」、こちらがこの場とも関連が深いところだと思います。
論点といたしまして、1つ目の○、地域で子育て世帯が孤立しないために、保育所等を利用していない子育て世帯に対して、保育所が担うべき役割や関係機関との連携についてどのように考えるか。
2つ目の○、その際、保育士の負担に配慮しつつ、保育士の専門性を活かした支援としてはどのようなものが考えられるかという論点を設定してございます。
構成員からのこれまでの主な意見といたしまして、まず、地域の子育て支援における保育所・保育士の役割について。
2つ目の○、地域の子育て家庭の相談・支援の対応を行う機関として、子育て世代包括支援センターや子ども家庭総合支援拠点の整備が進められている中、保育所等の役割をしっかりと位置づけて、子どもの育ちを連続的に支援していく必要がある。
また、1つ飛ばしまして、4つ目の○、孤立しやすい家庭ほど、支援の場に赴くのが難しく、支援事業が縦割りになっている実態も問題である。地域の子育て家庭に対して、継続的かつトータルなサポート体制が必要であり、その中で保育所の役割や専門性の活用を考えていく必要がある。
また、次の4ページでございます。保育所による地域の子育て支援としまして、例えば1つ目の○、保育所は、最も身近な児童福祉施設として、より多機能化が必要。施設活用の促進として、関係団体と連携しつつ、情報提供だけでなく、多世代交流の場としても必要になってくる。一般の保護者や地域に対しては、ICTを活用してより積極的に啓発や情報提供を行えるのではないか。また、保育所保育指針において、地域の子育て家庭への支援について具体的に記載することも考えていく必要があるのではないか。
5つ目の○、通常保育と子育て支援サービスを別々に運営するのではなく、つなげて実施することで、地域で子育てをしている親子が保育所保育に足を踏み入れるきっかけとなる。
1つ飛ばして、7つ目の○で、子育て家庭の孤立について、保育施設も当然関与していく必要があり、0~2歳の保育に欠けない家庭や、更には周産期における母親への関与も含めて必要なのではないか。ただし、子育て家庭への支援は、現状では、公定価格上もほとんど評価されておらず、人材・資金面でも余力がない。
次の○で、高知県では、保育所を地域の交流の場所として提供し、園庭開放などに一定以上取り組んでいる。6年前にこの事業をスタートしたが、まだ20か所にとどまっており、課題は、本来業務であったり、人材確保がとにかく難しいという点であるという御意見をいただいているところでございます。
さらに、5ページには、保育士の専門性を活かした支援ということでございます。
1つ目の○にありますとおり、保育所で全て賄うのではなく、子育て支援の関係者のそれぞれの専門性を活かして、どう連携していくかという観点が重要であるとか、飛ばして3つ目の○で、保育士に対して非常に多くの専門性が求められており、学生が養成校で学ぶ内容も既にパンク状態である。保育士や保育所だけが専門的知識・技術を持つのではなく、地域の様々な関係者が専門性を少しずつ高めていくことが重要であるなどの御意見をいただいています。
総じて、人口減少していく中で、保育所に通っていない御家庭への支援というのも、機能として期待していくという方向で議論がされている一方で、その場合には、さはさりながら、保育士さんの仕事も大変なので、どういうふうに支援していくかというところを併せて議論していくべきではないかという意見が出ているところでございます。
論点といたしまして、6ページでございます。保育の課題ということで、「多様なニーズを抱えた保護者・子どもへの支援」ということで、論点としては、一時預かりについて、必要とする人がより利用できるようにするための方策について、どのように考えるか。
また、2つ目の○として、医療的ケア児、障害児、外国籍の子どもや、家庭環境に特別な配慮が必要な家庭の子どもなど、保育の現場で多様化するニーズについて、待機児童解消の観点も踏まえ、その受け入れや必要な支援を進めるための方策について、どのように考えるかということで、下にありますとおり、一時預かりについて、リフレッシュを希望する場合も多いという御意見。
また、多様なニーズを抱えた保護者・子どもへの支援ということで、医ケア児や保育所の空き教室を利用した発達支援事業、もしくは外国籍の子どもがいる家庭への支援などの御意見が出ているところでございます。
最後に7ページ目、4つ目の柱として「保育士の確保・資質向上」ということで、論点といたしましては、生産年齢人口の急減や地域の子育て支援における保育所の役割を踏まえた、保育士の量的確保策や資質の向上策について、どのように考えるか。
2つ目の○で、わいせつ行為を行った保育士の対策について、教員の取扱い等を踏まえ、どのように考えるかという、保育士についての議論も行っているところでございます。
冒頭申し上げましたとおり、次回以降、このそれぞれの論点について深掘りして、具体案について検討会のほうで検討していく予定でございます。その際には、今日、この場などで出た御意見につきましても反映させながら、議論を進めていければと考えているところでございます。
以上でございます。

○山縣委員長 ありがとうございました。保育所・保育士等の在り方に関する委員会からの報告でございます。こちらのほうは、今のお話ではまだ意見を出し合っている段階のようです。
では、最後、3つ目になります。6月に開催されました社会保障審議会児童部会の報告、総務課長のほうからお願いいたします。

○小澤総務課長 総務課長の小澤でございます。よろしくお願いします。
6月9日に社会保障審議会児童部会が開催されました。その場の議論につきましては、同日、秋田部会長のほうから、こちらの専門委員会にもお伝えしたいという意向が示されたこと。また、前回のこちらの専門委員会におきまして、宮島先生のほうから、こちらのやり取りについても言及があったことを受けて、このたび、参考資料6の形で概要と、それから、この資料の3ページ目以降が議事録の全体ですので、双方を資料とさせていただきました。こちらの概要につきましても、簡単に内容を御説明させていただきたいと思います。幾つかのテーマに分けて当日の議論を整理させていただきました。
子ども家庭福祉に関する資格の在り方・資質向上について、1ページ目の一番上の部分でございます。ここにつきましては、当日の児童部会でも「上乗せ型」あるいは「横並び型」を示させていただいた上で議論がなされました。この中では「上乗せ型」が望ましいという意見。一方で、「横並び型」についても、既存の資格がなくても取得できるようにしてはどうか。あるいは、視野を広げるという意味で望ましいという意見、それぞれがあったところでございます。
次に、1ページ目の真ん中辺り、一時保護の在り方と子どもの権利擁護については、一時保護については、法務省や裁判所との連携が重要。あるいは、子どもの権利擁護につきましては、意見表明といったときに、社会的養護の子どもだけになりがちなので、全ての子どもを念頭に置いていただきたいという意見。
それから、保育所くらいから、権利とはどういうものかということをきちんと教えていくことが重要という指摘がございました。
社会的養育の推進につきましては、例えば里親委託率につきまして、そもそも里親のなり手が少なくなっている中、数値目標ありきで進めることに疑問といった意見。
それから、数値目標が独り歩きしないような配慮が必要。
それから、社会的養育推進の「見える化」につきましては、児童養護施設等の小規模かつ地域分散化の達成具合の率を参考値でも盛り込んだらどうかということでございました。
2ページ目、お願いいたします。
保育関係につきましては、地域の特性に応じたマッチング支援については、利用者支援専門員に担わせるべきではないか。それから、保育所と子育て支援拠点の連携によって、潜在保育士の活用にもつながるのではないかという意見がございました。
それから、保育所につきまして、ピークアウトに備えて、あらかじめ転用できるようにしたり、余った予算を子育て支援事業に転用できるような仕組みにしておくべき。
それから、保育士の仕事の魅力については、さらなる発信が必要といった意見がございました。
その他として、地域子育て支援事業について、妊娠中から支援の対象となるようにしてほしい。
2つ目でございますが、コロナで居場所を失ったり、性の問題やゲーム依存を抱える子
どもたちの実態が明らかになったということで、修学後も学校等でのスクリーニングから支援につなげていく方策が必要ではないか。
あるいは、3つ目の○ですが、ヤングケアラーについて、精神的なケアが重要。
児童福祉司について、長く働いてもらうための育成・ノウハウの共有が重要といった意見がございました。
こちらの議事録につきましては、既に厚生労働省のホームページにも掲載して公開させていただいております。
私のほうからは以上でございます。

○山縣委員長 ありがとうございました。部会のほうで、私たちの専門委員会の報告もかなり時間を取って議論いただいているようでございます。説明ありがとうございました。
この委員会の周辺で起こっている関連の動きについて、今、報告いただきましたけれども、何か御質問ございますでしょうか。我々委員からも何人か、それぞれ参加していただいていますが、特段、追加とか修正・補足等ございませんでしょうか。
奥山委員。

○奥山委員 ありがとうございます。
先ほど権利擁護の件で、制度の改正を考えていると事務局のほうからおっしゃったと思うのですけれども、どういう形での制度改正を考えておられるのか、その辺を明確にしていただけるとありがたいと思いました。
それから、もう一つは、これは意見です。保育所に関係して、今回初めてこういうものを見せていただいたのですけれども、私が少し関わっている保育園などでは、家庭に問題のあるお子さんがかなり増加しています。それゆえに、本当は1対1で関わってあげなければいけないにもかかわらず、例えば4歳だと30人に1人の配置しかないような保育の状況になっているということがあります。一人一人の子どもが発達する権利を持っているのだということをしっかりと考える必要があります。この報告の趣旨全体を見させていただくと、子どもからの視点が入っていないように感じます。
社会の状況とか保育園がどうだという話ばかりで、その中にいる子どもの視点が抜けているような気がしています。発達する権利をきちんと確保するような形が必要です。そして、家庭の問題があるお子さんたちに関して、保育の中でいかに発達させていくかという視点も必要だと思いますし、家庭との連携という意味で、以前もビジョンの中でもいろいろ議論しましたけれども、スクールソーシャルワーカーと同じようなソーシャルワーカーが保育園の窓口になるということも必要なのではないかと思っております。その辺も御議論いただけるとありがたいなと思いました。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
林委員、お願いします。

○林委員 よろしくお願いします。
権利擁護の内容についてですけれども、ある程度自己表現力のある子どもを前提にされているような傾向があるかなと思いました。つまり、エモーショナルリテラシーというか、そもそも表現するというレディネスが十分に整っていないお子さんがむしろ多いかと思うのですね。
そういうことを考えたときに、子どもの啓発、エンパワーメントとか子どもの権利ノートとかを使った、ふだんの生活における取組などは、かつては強調されていたと思うのですけれども、そういうことだけではなくて、そうしたリテラシーを高めていく取組というのが、日常生活のケアの中で意識的に取り組まれる必要があると思います。その前提のレディネスをどういうふうにふだんの生活の中で整えていくかという視点が、前提として大事かなということと。
もう一つは、意見という言葉は定着していると思うのですけれども、児童相談所運営指針のほうには意向と意思の区別化ということは規定されています。意見と言うと、言語化された言葉というふうに、どうしても捉えてしまうのではないかということを考えたときに、そうした点も配慮した言葉がいいかと思いました。
それから、先ほど奥山委員も言われましたように、今後、かかりつけ保育所みたいな、そういう考え方もあるわけで、個別支援計画とか、そういうものも引き受ける保育所などを考えたときに、ソーシャルワーカーの配置が必要に思います。何もかも保育士が担わないというフレーズが結構見られる中で、多職種の配置という視点は非常に重要かなと思いました。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございます。
続いて、横田委員、お願いします。

○横田委員 権利擁護の件ですけれども、子どもの意見を聞いた後の話です。資料4-2だと、例えば子どもが意見を言ったら「仕方がない」と言われたとか、そんな記述があるわけです。子どもの意見を聞いても、その意見を反映することができない場合もあると思うのですが、その場合に仕方がないということで終わりではなくて、参考になる子どもの意見が出たとしても、そうでない意見が出たとしても、同じように丁寧に扱うべきではないかと私は思います。
つまり、どのような子どもの意見、気持ちが出たとしても、同じように向き合う。特に、意見が受け入れられないときこそ、きちんと向き合うべきではないかと思うのです。その辺、資料4-1で、意見を聞いた後、どうそれに向き合うかという視点が見えていないようですけれども、何かここはお考えがあるのでしょうかということを聞きたいと思います。
以上です。

○山縣委員長 事務局、今、答えられますか。では、室長、お願いします。

○山口虐待防止対策推進室長 虐待室長です。
まず、このワーキングにつきましては、本「社会的養育専門委員会」でもこれから御議
論いただくところだと思っておりまして、今日の資料で言いますと、これから説明があるわけですけれども、資料2の中に、この子どもの権利擁護については、ワーキングチームの報告・検討にのっとって検討していくということが書いてありますので、次回の御議論になるかと思うのですが、そういったことで、このワーキングの場でもまた後日議論いただくことになるのだろうと思っております。
その上で、このワーキングでどんな議論がなされていたのかということでありますけれども、今、御質問のありました点につきましては、資料4-2のほうに全文があって、ちょっと多いのですが、5ページの下のほうに「なお」から始まる段落があると思います。ここを見ていただきますと、なお「意見を聴取する」際には、形式的に意見聴取の機会を確保するだけでなく、適切な方法で実質的に確保されることが必要である。その上で、個別ケースとして措置する場合においては、都道府県等の責任において、子どもの意見を尊重しつつ、最善の利益を優先して考慮して対応すべきであり、その具体的な方法に関しては、運営指針等に明記して徹底していくべきということです。
なので、単に聴くというだけでなく、聴いた上で、当局がそれを踏まえて最善の利益を考慮して決定を行うのだということを運営指針に書くべきだということが提言されているということであります。
以上です。

○横田委員 すみません、そういうことではなくて、こう対応したということを子ども自身にどうフィードバックするのですかということなのです。

○山縣委員長 重要なポイントだと思いますので、制度設計に際して、そういう意見があったということから、今後、このことについてもやりますので、再度、そこで横田委員のほうからも強化した説明をいただけたらと思います。

○横田委員 ありがとうございます。

○山縣委員長 取りあえず、今の御意見は議事録のほうにきっちりメモしておきます。ありがとうございました。
では、安部委員、お願いします。

○安部委員 ありがとうございます。安部です。
報告が3つあって、分かっていないのは私だけなのかもしれないのですけれども、参考資料4が権利擁護に関するワーキングチーム、資料5が保育に関する検討会、資料6が社会保障審議会の児童部会なのですけれども、ワーキング、検討会、児童部会、そして、今日議論している「社会的養育専門委員会」、その関係性はどんなふうになっているのかということ。つまり、同じようなことを幾つもの場所で議論しているような気がするのですけれども、どこが本体で、ワーキングは多分その下なのだろうと思いますけれども、児童部会と権利擁護、この会議との関係も含めて、ちょっと教えていただけるとありがたいのですけれどもね。

○山縣委員長 これは、小澤課長のほうからお願いします。

○小澤総務課長 私のほうから御説明させていただきます。
まず、今回のこの会議は、全体が社会保障審議会の下にあります。これは、厚生労働省の下に置かれている審議会です。その中の部会として児童部会がありまして、さらにその下に、今回の「社会的養育専門委員会」あるいはワーキングチーム、今日説明した権利擁護ワーキングチームがあるという形になります。さらに、厳密に言うと上下関係という形には必ずしもなりませんが、今回の順番でいきますと、権利擁護ワーキングチームの検討を受けて「社会的養育専門委員会」で検討する。
その上で、どこが最終的にその意見になるかということで申し上げますと、「社会的養育専門委員会」が社会的養育関係について議論するということであります。ここで一定の決定がなされるということであれば、児童部会で特段問題がなければ、それが今後の社会保障審議会の意見になるといった形で御理解いただければ。
お願いします。

○山縣委員長 ちょっと補足があるそうです。

○野村企画官 企画官の野村です。
確かに、いろいろオーバーラップするような構成になっている部分がございますけれども、また次回御用意しておきますけれども、第27回の専門委員会、4月23日でございますが、そこの資料1の中で、ワーキンググループ、保育の検討会等々の関係については御紹介しておりますけれども、子どもの権利擁護に関するワーキンググループ、あと、そのほかのワーキンググループ、検討会の御報告をさせていただいております。子ども家庭福祉に関し専門的な知識・技術を必要とする支援を行う者の資格等の在り方。それから、一時保護の手続等の在り方。そして、今日御報告させていただいた子どもの権利擁護の在り方、この3つをワーキンググループ検討会として開催しております。
それは、令和元年の児童福祉法等の一部改正の中の附則の検討規定を受けまして、そこで議論すること、検討することとなったものを、このワーキンググループ、検討会を開催して議論しております。そこの検討会の結果を、この4月から皆様に御参集いただいて「社会的養育専門委員会」で御議論いただいているという形になっております。一定の方向性を見た検討会、ワーキンググループの結論をもって、皆様方に今後具体の検討をいただく会がそれぞれございますので、その際にまた御議論していただくというものになってございます。
また、保育所・保育士の在り方の検討会につきましては、別途保育士の地域の活動の部分でございますとか、保育士の在り方の部分がございますので、この専門委員会と同時並行といいましょうか、同じタイミングで検討会を立ち上げさせていただいているという形になります。
先ほど総務課長から御説明させていただきました児童部会につきましては、年数回開催してございますが、この専門委員会の元になる部会でございます。定期的にその進捗状況等々を御報告させていただいているというところがございますので、そこでの議論の状況
などを御紹介させていただいたというところになってございます。
以上でございます。

○山縣委員長 ありがとうございます。
安部委員、よろしいでしょうか。

○安部委員 ありがとうございました。

○山縣委員長 続いて、北川委員、お願いします。

○北川委員 子どもの権利に関するワーキングチームのとりまとめ等、ありがとうございます。
先ほどの林先生の意見にも似ているのですけれども、今後進めていくに当たっては、なかなか表現できなくて権利が守られない状況にある、リスクが高い障害のある子のことも忘れないでいただきたいなと思いました。
あと、保育所のほうの論点整理の文書の中で、5ページ目の子育て支援の関係者のそれぞれの専門性を生かして、どう連携していくかという観点というのは、非常に大事だなと思って、私も障害のある子がいる保育園に訪問するのですけれども、そこに行ったり、児童発達のほうを見たり、地域の中で面として、それぞれ子育て機関として連携等、家族を支えていくという在り方はとても大事だなと思います。その子に合った集団とか関わりとかを保障していくという意味でも、面での連携ということは進めていってほしいなと思います。
あと、ソーシャルワーカーと、プラス、心理職がいたらいいのではないかと思います。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございます。
では、続いて、井上委員、お願いします。

○井上委員 ありがとうございます。
保育所・保育士等の在り方に関する論点の整理のところです。この中で1点確認したいのですが、ちょうど今、テーマとなっていますような内容のことを、大分県のほうでは大分県の保育コーディネーター制度というのがありまして、多分そちらでもう7年間以上だと思いますが、児童相談所の研修を3泊4日ぐらいで行って、最終的に知事が認定して資格を取って、その地域で継続してやっていくという制度をやっております。ですので、もしそちらの委員会の中でそういった話が出ていなければ、一度聞いていただくと、少しお役に立つ内容があるのではないかなと思いましたので、お伝えします。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。保育のところはこれから議論が深まっていくということですので、情報として大分の例があるということをお伝えいただけたらと思います。
では、坪井委員、お願いいたします。

○坪井委員 ありがとうございます。
子どもの権利擁護に関するワーキングチームのとりまとめの中で、意見表明権について申し上げたいと思います。ワーキングチームで非常に丁寧に対応していただいて取りまとめていただいて、すばらしいなと思って拝見しておりました。その中で、意見表明権のところで、例えば在宅指導であるとか、委託であるとか、施設の入所というところについても、しっかりと意見を表明できるようにとか、都度のポイントについて丁寧にフォローされているのですけれども、制度設計をどういうふうにしていこうかということを前提に検討されている中で、こういう形で丁寧にまとめられているのだろうと思います。
一方で、子どもが意見を表明しようということを、トレーニングという言い方がいいかどうか分かりませんけれども、日頃からそういうことをしっかりやっているということがとても大事になってくるのだと思います。そういうことの積み重ねがない中でいきなり意見をと求めても、子どもは表現できません。しっかり発言できるような、あるいは表現できるようなトレーニングが必要だと思います。そのためには、家庭の中で常日頃から子どもが自分の意見をしっかり伝えて、それを聞いてもらえるという、文化みたいな部分が必要なのではないかなと考えます。
そうすると、制度設計をどういうふうにしていくかということとは別に、日本の今までの考え方を少しずつ変えていくような仕掛けというのがあって初めて、子どもが自分の意見を伝えていいのだと感じられるようになってくると思うので、せっかくここまでまとめていただいてくるので、さらに、子どもたちが自分の意見を言っていいのだと感じられるような、それは家庭の中でも、あるいは大きくなったら学校の中でもそうですけれども、そういうことをどう発展させていくのかという仕掛けについても、ぜひ御検討いただけるといいなと思って発言しました。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。今の坪井委員の御意見は、林委員、北川委員とも共通しているところだったと思います。単に意見表明権という言葉だけではなくて、実際にそれができるような、林委員はレディネスという言葉を使われましたけれども、事前の環境設定等が必要だと。これは、制度設計のところで、既にワーキングは終わっておりますので、具体化するところで事務局のほうに参考にしていただけたらと思います。
3つの会議につきましては、既に終わったところ、これから実質始まるところ、基本的に私たちの意見を報告する場所ということですので、繰り返しますけれども、今後の制度設計のところでそれぞれ反映していただけたらと思います。
では、今日の本題に入っていきたいと思います。委員会では、これまで令和元年の児童福祉法等の法改正の最後についておりました検討規定に基づく検討状況や、子どもとその保護者、家庭を取り巻く環境等について、議論、ヒアリングを重ねてまいりました。委員の皆様からこれまでにいただいた課題・問題意識、今後の方向性を、事務局のほうでいつものようにまとめていただいております。今回及び次回の7月末の委員会の2回で、その資料を基に改めて議論を行い、今後の方向性を皆さんと一緒に確認・整理していきたいと
思います。
次回の枠組みを含めて、今日、話すべきところについて、重点的に資料1、2について事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○野村企画官 企画官の野村でございます。
資料1、資料2を御準備いただければと思います。今回と次回の2回で、この資料1、資料2の議論をさせていただきたい、御意見等々いただきたいと考えてございます。その2回でいただきました御意見等々をこちらの資料にしっかりと取り込ませていただいて、夏以降に、1、2、3、4、5、6とございますけれども、個別・具体に御議論いただいて、年内の取りまとめを目指していくといったことを考えてございます。本日は、資料1の1、2、3、4、5、6とございますが、1、2、3までの議論をいただきたいと考えてございます。
まず、資料1を御覧いただければと思います。「これまでに頂いた課題・問題意識」でございます。
2ページ目、「妊産婦、子育て世帯につながる機会の拡大」ということで、ポピュレーションアプローチでいかにつながっていくかという視点での切り口での取組を今後どうしていくかというものでございます。
1つ目の○ですが、虐待事案を見つけるという観点での「把握」に止まっている可能性がある。虐待をしないようにどう予防していくか、そのための支援をどうつなげるかを考えることが肝要という大前提の御指摘をいただいております。
あと、妊娠届を出していない妊婦が痛ましい事案につながることが多い。妊娠届を出す前からつながる機会を確保し、支援につなげなければいけない。
あと、子どもの健診、乳幼児健診、学齢期の子どもの健診等々ございますけれども、諸外国と比較しても、頻度や内容について課題があるという御指摘をいただいております。
それから、未就園児、特に虐待死亡事例に結びつく可能性が高い3歳未満児について、健診など母子保健の定点での機会に限られており、継続的につながる機会が不足している。
また、就学前の3歳以降の世帯、就学児のいる世帯、思春期の子どもや例えば外国籍の子どもの世帯などについては、母子保健の定点での機会もなく、つながる機会が圧倒的に不足している。その上の未就園児、3歳未満児と比較して書かせていただいております。
3ページ目、「市区町村等のソーシャルワーク機能の強化」でございますが、母子保健と児童福祉は、別々の機関による職員の資質に左右される「連携」に止まっていて、一体的な対応はほとんどの市区町村において行われていない。
また、支援をコーディネートする機関がない。市区町村の相談機関は、子どもやその保護者、家庭のニーズや置かれている状況を踏まえ、支援の濃淡を見極めて必要な支援を結びつけていく必要があるという御指摘もいただきました。
また、民間や地域による地域の子育て支援活動を把握し、有機的に連動させる役割を果たす機関が明らかでなく、地域の子育て支援活動の推進が十分でない。
就学前の子どもやその保護者、家庭について保育所などがつながることができているところとできていないところと差がある。
それから、公的な相談機関につながりにくい、妊娠届を出していない妊婦や健診未受診の者などに対して、民間による相談機関の活用が必要である。敷居の高さ低さという観点での御指摘がございます。
あと、市区町村では人員や体制が不十分な状況にある。
続いて、4ページ目でございます。「全ての子育て世帯の家庭・養育環境への支援の拡充」というところで、青信号、黄色信号、赤信号みたいなところで考えると、ブルーゾーンからイエローゾーンぐらいまでのことを踏まえて、どういう支援を拡充していくかという切り口でございますが、子どもやその保護者、家庭が支援を要する状況にある場合に提供可能な支援が、種類、質、量において不足している。また、不登校の子どもや居場所のない子どもなど、子どもに対する直接の支援がない。
また、産後ケア事業が法定化され整備が進められているが、その推進が必要。
メンタルヘルスに課題のある子どもの事例が多くなっている。医療機関との連携が必要。
それから、利用者負担を理由に支援を拒む事例がある。利用者負担軽減に取り組む自治体もある。
また、市区町村によっては、支援を提供できる体制が整備できない状況にあるところもある。一部の地域では、児童家庭支援センターと協働して、包括的に提供体制を整備している事例がある。
また、市区町村には、支援が必要な子どもやその保護者、家庭に対して、積極的に支援等を結びつけることを可能とする制度上の権限が十分でないという御指摘をいただいております。
5ページ目以降は、「ハイリスクの状況にある子どもやその保護者、家庭への在宅支援」「社会的養護の提供」、続いて、7ページが「社会的養護経験者の自立支援」、8ページ目は権利擁護、基盤としての人材、財政、情報共有の在り方といったものを整理してございますが、4-1以降については、次回ということにしてございます。
続いて、資料2でございますが、「今後の基本的な議論の方向性」、要は制度の見直しの方向性として、こんなことが考えられるのではないかということで、4月の27回から30回までの議論等で示されたものを事務局で整理したものでございます。
2ページ目、先ほどと同じように、「1.妊産婦、子育て世帯につながる機会の拡大」というところでございます。
総論として、全ての子育て世帯とできるだけ早期につながり、支援メニューを提示し、支援を必要とする場合に確実に支援につなげていくため、全ての子育て世帯とつながる機会を拡大する。把握とか、そういった観点ではなくて、つながるという視点。
具体的には、生まれる前からつながり、安心・安全な出産となるよう、妊娠時に早期に支援につながる環境を整える。費用のお話なども御指摘いただいたと認識しております。
また、子どもの健診について、その内容や個々人の成長特性に応じた健診の頻度等に関する課題抽出やガイドライン作成等の方策を検討する。
そして、そういう母子保健周り以外にも、転居した子育て世帯も含めて全ての子育て世帯に確実に支援を提示しつながることができるよう、アウトリーチ等によるつながる機会の確保について検討する。
また、全ての子育て世帯や子どもが気軽に相談ができるよう、保育所や地域子育て支援拠点など地域の子育て資源の活用を検討するというところです。
それから、3ページ目、「2.市区町村等のソーシャルワーク機能」についてでございます。
市区町村の相談機関について、妊産婦、子育て世帯、子どもの誰1人取り残さないよう、資質の向上を図りつつ、母子保健と児童福祉の一体的な対応を可能とする。そういったものを目指す必要があるのではないか。
あと、相談機関は、支援の必要性の濃淡に応じて支援を体系立ててつなげるプラン作成等を通して、ソーシャルワーク機能を発揮するものとする。
加えて、その相談機関は、民間や地域による地域の子育て支援の資源を発掘・創出し、有機的に機能するようプラットフォームの構築などに努めていく。
それから、相談機関は、自らが動くというのはもちろんあるのですけれども、保育所や地域子育て支援拠点などの地域の子育て資源や児童家庭支援センター、NPOなど民間資源と積極的に協働し、ソーシャルワーク機能を強固なものとする。また、民間資源による敷居の低い相談機関の設置を推進するということで、アクセスであったり、その対応に対して、様々な機関が届くことをイメージしているところでございます。
これらを実現するため、市区町村における人材の確保や体制の在り方を検討する。
そして、4ページ目、具体の支援をどういうふうに提供していくかという部分で、「全ての子育て世帯の家庭・養育環境への支援」というところでございます。
地域子ども・子育て支援事業の子育て短期支援事業や一時預かり事業などについて、保護者や子どもが利用したいときや市区町村が必要とした際に利用できるようにする。
また、妊産婦に支援が行き渡るよう、産前産後ケアを推進する。
それから、育児負担の解消や家庭の生活環境を整える訪問支援、よりよい親子関係の形成の支援、そして、不登校の子ども等を含め学校や家庭に居場所のない就学期の子どもの居場所の確保、あと、メンタルヘルスに課題のある子どもへの対応について、新たな支援の検討を行う。ここまでがサービスメニューとして、どういった拡充・充実を図っていくかという観点で書かせていただいております。
そして、それらを結びつけていく仕組みとして、どこに暮らしていても、支援を必要とする子どもやその保護者、家庭に支援が行き届くよう、まずは、市区町村の制度的な権限(措置権限等)をどうするか。それから、予算とか計画を書かせていただいていますが、予算の仕組みも含め、市町村子ども・子育て支援計画の対象をどう考えるか。そして、プ
レーヤーという部分ですけれども、個々の市区町村で整備が困難な場合などに、児童家庭支援センターとの協働による整備。要は、行政主体の権限の在り方、そして予算とか計画をどうするか。あと、実際それを担っていくプレーヤーとして、どういうものが考えられるかといったところについて検討を行う。
この際、地域の特性に応じて、民間が積極的に動くことができる仕組みにする必要がある。民間が動いていくに当たって、何か規制とかで動きにくいところについての見直し等々、考えていく必要があるのではないかということです。
5ページ以降は、先ほど申し上げたとおり、ハイリスクの状況にある子どもに対しての在宅支援で、児相と市区町村が包括的に動いていく必要がありますといったお話。
6ページ目の「4-2.社会的養護の提供」で、例えば一時保護のお話もございますし、フォスタリングのお話などもこちらに用意しております。
7ページ目、「社会的養護経験者の自立支援」というところで、年齢の問題などを含めて。あと、家にいながらの自立支援といったところの議論もいただいておりますので、書いております。
また、8ページ目、先ほど申し上げたとおり、権利擁護のお話もありますが、資質向上のお話、あと、情報共有のお話なども御指摘いただいておりますので、そういったものを次回、また御議論いただければと思っております。
以上でございます。

○山縣委員長 ありがとうございました。
資料1で6つの柱を立てて、問題とか課題、現状の分析をいただき、それを解決するための提案が、資料2のほうで同じ枠組みで示されています。これからの議論ですけれども、まず事務局の説明にありましたように、4以降は次回にやる。今回は、1、2、3について議論いただこうと思いますけれども、残る時間が2時間ございますので、まず、約1時間かけて、4時手前ぐらいまでに1番と2番についての御意見を伺おうと思います。その後、休憩を挟んで、3番についての意見交換をしようと思います。
では、「妊産婦、子育て世帯につながる機会の拡大」「市区町村等のソーシャルワーク機能」についての御意見を伺おうと思います。
五十嵐委員、よろしくお願いします。

○五十嵐委員 ありがとうございます。
資料1と資料2の1の3つ目の○について補足、あるいは修正をお願いしたいと思います。子どもの健診には、乳幼児健診だけではなく、学校健診も含め課題があると、問題意識のほうで記載していただきました。資料2の方向性についてですが、私としては、日本の健診は、乳幼児の場合には、どちらかというと栄養とか発達、それから病気のチェックというのが中心です。それから、学校健診は、学校活動についていけなくなるような病気がないかどうかをチェックすることが主眼です。
いずれの健診において身体的なチェックが中心に行われています。健診とはバイオ・サ
イコ・ソーシャルに良い状態であるという点から見ますと、バイオロジカルなチェックしかされていないというのが日本の健診の特徴だと思います。資料2の2ページの3つ目の○の記載なのですけれども、もしできましたら、バイオ・サイコ・ソーシャルに子どもと家庭を捉え、対応できる健診を実現するための方策について検討することを検討していただきたいと思います。
これは要望です。お願いします。

○山縣委員長 ありがとうございます。ほかの委員も大きな異論はないのではないかと思いますので、どういう表現にするかは、また事務局のほうと調整させていただきます。
では、続きまして、橋本委員、お願いします。

○橋本委員 ありがとうございます。
私のほうから、母子保健と児童福祉の一体的対応について、具体的には、これは子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点をくっつけるということだと思いますが、これについては大いに賛成です。とりわけ小規模の市町村では、それしかないと思うくらいです。
さて、その新たなセンターでは、支援対象の家族に対してアセスメントを実施し、その上でプランを作成してソーシャルワークを行うことになるのでしょうが、最大の課題はプランニングの難しさだと思っています。先行する障害児の場合を見ても、事業者によるプランニングが少なくて、セルフプランがとても多い。これは、子どもをアセスメントし、プランを立てる場合、当該児の成長変化が著しいこと。さらには、当事者、保護者、学校や保育園の先生など、ステークホルダーが多岐にわたることなどに起因しています。
その辺の難しさを十分に勘案して、新たな機関の在り方を検討することが必要と思うのですが、その際、特に子どもの自立支援計画や指導委託、援助計画書等の作成に熟練している民間事業所の活用を検討していただきたい。より具体的に言えば、児家センや社会的養護施設に対して、アセスメント等、プラン作成業務の一部委託が促されるよう、制度設計を検討していただければと思います。
以上です。

○山縣委員長 重要な点をありがとうございました。
では、続きまして、相澤委員、お願いいたします。

○相澤委員 ありがとうございます。
私は、資料2の1番目で、全ての子育て世帯や子どもがというのが入りまして、子育て支援だけではなくて、子育ち支援をするということが非常に重要だということです。そうなると、全国の4500か所ぐらいの児童館などで子どもが相談する事業なども展開されていますけれども、子育ち支援としての児童館の活用ということを入れていただくのがいいのかなと思います。「市区町村等のソーシャルワーク機能」の相談機能はというところの4つ目にも、子育ち支援としての児童館の活用といったことも入れていただくといいのかなと思っております。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございます。児童館は余り出てきていませんでしたので、非常に必要な資源だと思います。
横田委員、お願いいたします。

○横田委員 ありがとうございます。
私のほうからは、資料4-1の「1.妊産婦、子育て世帯につながる機会の拡大」の最後の5番目になりますが、外国籍の子どもの世帯についてです。機会が圧倒的に不足していると書かれてあるのですけれども、例えば母子保健法は、もともと児童福祉法から分離しているので、児童福祉法が外国籍の子どもにも適用される以上、母子保健法も外国籍の子どもには適用されるはずです。また、住民基本台帳法上も、法律の内容が変わっていますから、外国籍の子どもの把握はできると思うのです。そうすると、一体なぜそういう圧倒的に不足しているという状況が起きているのか。
例えば、在留資格がない場合はそういう問題があるのですけれども、それ以外にどういう問題が具体的にあるのかということを教えていただきたいし、もしその点についての具体的な情報等が不足しているのであるならば、そこを具体的に、まず問題状況を把握すべきであると思います。その上で対策を考えるべきだと思いますが、そこまでいくのは大変だと思いますので、まずは、その問題状況の把握ということで、もし現時点で何か把握している、こういう具体的な問題があるということがありましたら、御教示ください。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございます。
これは質問ということで、野村さん、お願いします。

○野村企画官 1ポツの一番下の○については、外国籍の子どもとパラレルですけれども、3歳以降の世帯、子ども、就学児、思春期の子どもといった部分で、母子保健の定点での機会もなくと書かせていただいたのは、1つ上の、要は、3歳未満児については、1.6健診、3歳児健診、定点での機会がございますけれども、就学児、思春期の子ども、外国籍の子どもといった、あくまで例示として掲げさせていただいておりまして、学校保健での健診はございますけれども、定点での機会という部分において、十分確保されているのかといったところ。
あと、外国籍の子どもの世帯については、例えば書面を渡したとしても、その文字が読めないといったケースもあり、把握がなかなか難しい。あと、学習支援をやったとしても、内容自身、ボディランゲージでやり取りして、結局そこでつながらず、また行政との関係が途絶えてしまうといった事例を我々のほうでもいろいろ聞かせていただくようなことが多うございましたので、例示の一つとして掲げさせていただいているところでございますが、今後議論していく中で、そこに対しての支援がどういったものが考えられるかというのは、問題の状況なども一緒に確認させていただければと思っております。

○山縣委員長 ありがとうございました。今後、文章化するときにはもっと丁寧に書くべ
きだけれども、確かに例示等で「母子保健の定点での機会もなく」が浮いてしまっている感じがあるので、場合によっては、ここは抜いても大きな問題はないと思います。例示をしたために、そちらの言葉に引かれてしまうと思いますので、ほかの部分が逆に薄くなってしまうかもしれません。御指摘ありがとうございました。
奥山委員、お願いします。

○奥山委員 ありがとうございます。
まず、市町村の支援の重要なベースとなるのが「拠点」になるかと思うのですけれども、厚生労働省さんは、2022年までに全ての市区町村に拠点を配置するということを明言されているのですけれども、それが本当に可能な状態になっているかという質問が1つです。可能じゃなければ、この1年半ぐらいでどのようにやっていくおつもりなのでしょうか。明言したのですから、それは実行しなければならないわけで、この1年半、どんなふうに、どんな形でやるおつもりなのかというのを聞かせていただきたいというのが1つです。
もう一つは、ここには余り出てきていないのですけれども、いわゆる「こんにちは赤ちゃん事業」です。せっかくつながったのに、その後つながりができていかないというのがあると思うのですけれども、そこから行政とのつながりにつなげていく方法も、もう一つ考えていかなければならないと思います。
それから、ここは市町村のソーシャルワークということについて書かれているのですけれども、市町村のソーシャルワークの中で、どうしても妊娠期から乳幼児期に物すごく偏っている印象があるのです。それ以降のお子さんたちへのソーシャルワークというのも非常に重要なので、例えば学校との連携といったことに関してもきちんと対応するような方法が必要です。学校との連携が、同じ市でありながら教育局との間がうまくいっていないということもあるので、拠点ができたときに思春期まで含めて対応ができるような形というのも考えていく必要があるのではないかと思います。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございます。
後半は御意見ということで、前半は質問的な、実態を含めて、目標達成、どういう段取りになっていますかというほうはお答えいただけますか。では、室長からお願いします。

○山口虐待防止対策推進室長 虐待室長です。
子ども家庭総合支援拠点ですけれども、今ほど御指摘ありましたとおり、2022年度末までに全市区町村に設置していくことを目指しているわけでございます。現状ですけれども、2020年4月現在で432の自治体に設置。設置率で言うと約4分の1ということになっております。これから期限が迫ってまいりますと、自治体からうちのほうにも問合せが来ておりますが、設置が加速していくことを期待しておりますけれどもね。
私どもとしては、様々な支援、例えば今年の4月から、類型が5個ぐらいあるのですけれども、人口規模に応じて小規模型から大規模型まで拠点というのはあるわけですが、一番小さい小規模型において、子ども家庭総合支援拠点と母子保健のほうの包括支援拠点を
一体的に運営する場合には、人をシェアしていいよということを規制緩和して設置しやすくするということであったり、あるいは拠点の設置をこれから検討している市区町村に対して、アドバイザー派遣であったり、セミナーをやったり、そういったことをちょうどやっているところでございまして、期限までに設置が進むように、我々としても市区町村の取組を応援していきたいと思っています。

○山縣委員長 はい。

○奥山委員 今のお答えに対してですけれども、本当にすごく小さいところで、町村でそれぞれが拠点を持つというのは、なかなか難しいところがあると思うのですけれども、複数の自治体が一緒に合同で持つとか、そういうことの支援というのはお考えになっていらっしゃらないでしょうか。

○山口虐待防止対策推進室長 前半で申し上げた、小さいタイプで子育ての総合拠点と母子保健のほうの総括拠点の人員をシェアしていいというのは、一体的につくった場合には同じ人でやっていいよということですので、そういう方向性に沿った、ある意味規制緩和を進めているということであります。

○奥山委員 1つの小さな村でも、必ず1つ持つということで考えているということなのですね。

○山口虐待防止対策推進室長 そこは、まさにここに論点として示してありますので、これからどう考えていくべきなのかというのは御議論いただくべきところだと思いますが、それぞれ1つずつつくるということになっていますので、一緒につくって、施設としては1か所だけれども、同じところに看板が2個あって、人は共有して。

○奥山委員 私が言いたいのは、包括支援センターと拠点を一体化するのではなくて、幾つかの町村が一緒になって拠点を運営するといったことは考えていないかという意味です。

○山縣委員長 これもほかの福祉部門等、福祉以外も含めて、広域連合とか一部事務組合のような形になり得るかどうか、事務局に丁寧に見ていただく必要がありますけれども、例としては既に他領域にもありますので、この領域でも可能かどうか。今の奥山委員の御意見というのは、可能ならば、小さいところはそういうことも認めていくべきではないかという前提の御意見ということ。

○奥山委員 本当に小さな村で1つずつやるというのは、とても大変なところもあるのかなと思っているので、そういうことをお考えになっていらっしゃるのかどうかということでお聞きしたかった。

○山縣委員長 ありがとうございます。では、検討いただくということで。
もう一つは、今日の資料にも頂いているのですが、子ども家庭総合支援拠点については、今の室長のお話は2020年、去年の4月のお話ですが、今年の4月の状況というのはいつ頃把握できるのでしょうか。かなり進んだような感覚ではあるのですけれども、10月ぐらい。

○事務局 もうちょっと早く。

○山縣委員長 では、そんなに遠くない段階で数値が整理できると、今、事務局のほうか
ら聞きましたので、この委員会、月2回ぐらい開いていますから、分かり次第、こちらのほうにも報告をいただくということにしたいと思います。ありがとうございました。
続きまして、藤林委員、お願いします。

○藤林委員 やっと順番が回ってきまして、待っておりました。
私のほうからは、3点ほど意見というか、述べたいと思います。
まず、1点目ですけれども、保育所の在り方というのはとても重要な課題と思っておりまして、この「社会的養育専門委員会」と、もう一つの「保育所・保育士等の在り方に関する検討会」が同時並行で行われている。それぞれがそれぞれに対して意見を述べ合うというのは、とても重要なことじゃないかなと思いますし、今までなかったことじゃないかなと思います。その意味で、この「社会的養育専門委員会」として、地域における保育所の在り方が、いかに要保護児童、要支援児童の支援においても重要であるかということを積極的に提言の中に盛り込んでいってほしいなと思っております。
その理由について、少し述べたいと思うのですけれども、保育所こそが相談の場であり、把握の場であり、支援につなげる最初の場に本当になる場だと思っております。なぜなら、住民にとって、役所とか相談機関というのは、遠方でありますし、わざわざ行かなくてはならない。保育所は、親のほうから来てくれるわけですし、毎日でも来るわけですから、その意味で、本当に相談の場であり、支援につながる最初の場になり得ると思っています。しかも重要なのは、保育所はポピュレーションを対象とした場です。だからこそ、リスクやハンディを抱えた世帯にとって、行きやすいし、相談しやすい。最も支援を受けやすい場と考えていいのかなと思っています。
その意味で、保育所で現に様々な多機能な支援をやっていらっしゃると思うのですけれども、もっと多くの保育所がケースワーク的な支援であるとか、またはペアレンティブプログラムのような支援であるとか、様々な多様な支援を提供できると、それは全ての保護者だけでなくて、要支援児童・要保護児童の世帯も確実に支援が届くという意味では、とても大きなインパクトがあるのではないかなと思っております。重要なのは、現にこういった多機能な支援をされている保育所が全国にあると聞いていますけれども、これを全国に万遍なく広げていくためにはどうしていったらいいのかというのが非常に重要な課題かなと思います。
その場合に、先ほど説明があったように、保育士一人一人に負担がかかると、今度は保育の質が低下してしまうという問題があるので、そうした場合に、支援に関わる保育士さんを加配で置くとか、またはより専門性を確保していくとか、場合によれば、そこに保育士の待遇も併せた何らかの検討が必要じゃないかなと思っています。そこは、もう一つの検討会のほうと、両方に参加していらっしゃる委員もいらっしゃると思いますので、どうすれば保育所こそが支援の拠点、一番身近な拠点として機能するのかというのを議論していっていただきたいなというのがあります。
2点目は、市区町村等のソーシャルワーク機能のところですけれども、一番上に、市区
町村の相談機能について、質の向上を図りつつ、母子保健と児童福祉の一体的な対応を可能とすると書いてありますけれども、先ほど奥山委員が言われたみたいに、一体的に相談とか支援に対応していくという観点でいくと、学齢児も重要な部分ですから、可能かどうか分からないですけれども、学校、教育委員会と、一体的という言葉が書けるかどうか分からないですけれども、例えばスクールソーシャルワーカーを介してとか、何らかの形で、ここに学校、教育委員会のことも視野に入れたものを文言として書き加えていくことが重要ではないかなと思います。
市町によっては、その拠点の中に教育委員会がしっかり入ってくるとか、または教育委員会に拠点を置いているところもあったりするわけですから、決して不可能ではないのではないかと思っています。
3点目です。この「2.市区町村とのソーシャルワーク機能」で4つ書かれておりますけれども、これは今から新たにこの方向でやっていこうということではないと思っておりまして、このそれぞれに書いている内容というのは、平成29年3月30日付の市町村子ども家庭支援指針の中に全部書いてある内容なのですね。この書いてある内容を、大事だからちゃんとやっていきましょう。リスクアセスメントだけじゃなくて、ニーズアセスメントを行った上で支援ニーズをしっかり把握して支援プランをつくっていきましょう。できるだけ当事者である子どもや家族も保護者も参画した支援プランをつくっていこうということも、文言はそのとおりではないかもしれませんけれども、指針に全部書いてあるわけですね。
重要なのは、書いているけれども、あえてここで書かないといけないという問題というか、課題こそが重要じゃないかなと思っているところで、この指針どおりにできていない実態がどの程度あるのかということを把握しつつ、重要なのは5番目の○ですね。市町村の人材の確保や体制の在り方を、今後どのようにアップグレードしていくことで、指針に書いてあるようなことが実現できるのかどうかというのが重要な課題かなと思っています。これは、次週に回された、一番最後の人材の専門性のところにも関係してくるところだと思っておりますので、またそこで述べたいと思います。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。3点についての御指摘でございました。
保育所と保育士のところですけれども、報告いただいた委員会のところはそういう立てつけになっていますので、変えづらいかもしれませんが、私たちはそこに制約されることがないので、できたら、地方の状況を考えたら、保育所はどんどんなくなっていって認定こども園に変わっていっていますので、その言葉遣いを少し入れておいたほうがいいかなという気がいたしました。とりわけ地方の認定こども園というのは元保育所ですから、実質は同じものなので、はっきりそういう方々に配慮したほうがいいかなと思いました。ありがとうございます。
では、続いて、薬師寺委員、お願いいたします。
○薬師寺委員 児童相談所の立場から申し上げたいと思います。今、藤林委員もおっしゃいましたけれども、乳幼児の子育て世帯にとりまして、保育所というのは地域の子育て支援の拠点といいますか、要と考えておりまして、保育所を利用する親子だけではなくて、利用しない親子にとっても地域とのつながりを持つ機会と場ということになっております。
今後は、先ほどの保育のところでも言われていましたけれども、市区町村の相談機関としっかり連携するということで、利用する親子への支援と利用しない親子への支援ということで、アウトリーチ型の支援ができるような機能を持っていただきたいと思っておりまして、利用する親子につきましても、送迎が困難な保護者の方もいらっしゃいますので、そういったときへの支援とか、利用しない孤立しがちな親子については、相談機関と連携してアウトリーチをするといった機能を担っていただけるような体制にしていただきたい。
そのためには、ソーシャルワークの専門性を持った保育士の育成ということで、それは保育所の体制とは別に、そういった地域支援の保育士といいますか、ソーシャルワーカーといいますか、そういった立場の方が必要だと思いますし、また、今までも何度も話題になっていますが、ケアニーズの高い子どもの保育の専門性といったところが、親子支援、家庭支援にも有効であると考えておりますので、保育所をなくすことがあってはならない、地域の子育て支援の拠点に今以上に機能を発揮していただきたいと考えております。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
では、井上委員、お願いします。

○井上委員 ありがとうございます。
今回、私は自分の意見の資料を出しておりますので、資料に基づいてお話しを進めていきたいと思います。よろしくお願いします。

○山縣委員長 資料3を御覧ください。

○井上委員 資料で、今、論点になっています1番、2番、ページ数で2から5ページに関する意見となりまして、私の中では大きく3つに分けて意見を述べていきたいと思います。
まず最初に、市区町村の支援業務の在り方についてですが、資料の3ページを御覧ください。下のほうの、市区町村における子育て支援施策とか母子保健施策の概要にありますように、妊娠期から支援が必要な家族には、本当に様々な問題がお困り感としてあります。特に、その上にありますように、特定妊婦さんや、それ以外でも配慮の要る妊婦さん、さらにはその家族全体を支援するためには、本当に様々な支援が必要となっています。
このような方々を対象とした、切れ目のない、顔の見える支援を構築するためには、4ページの上のほうにありますような、厚労省の研修等で準備されています母子保健関連施策のまとめの図では、市区町村で実際に行っている業務ではちょっと見えにくいのではないかと思いましたので、私としては、1自治体ですけれども、中津市の母子保健事業の流れをその下のほうに示しております。ここで言いたいのは何かといいますと、先ほど奥山
委員が言われていましたように、こんにちは赤ちゃん訪問がその1回でぽつんと終わるというのは、イメージとして、原則余りないのですね。
ただ、自治体によっては、それだけ、訪問したら終わりと言っているところもあるのですが、決してそういうものではなくて、母子保健でまず全ての自治体の子どもさんたちに出会うということをしっかり意識して、国のほうの資料になりますと、どうしても1歳6か月、3歳6か月というところにぽんと行ってしまうのですが、実は4か月とか、中津は7か月ですが、実際は10か月が多いのですけれども、そういう健診の中でずっと継続して、特に黄色のようなものは明確に自治体の保健師さんたちは続けてやっていっています。ですので、これが続いていっているというところで、とても大事になるということを改めて強調したいと思います。そして、歯科のほうとか、いろいろなものを併せますと、本当に多くの方がこの方たちに出会っているのですよという形でお伝えしたいと思います。
その後の5ページ以降になりますが、これはちょっと古くなりますけれども、2016年の市区町村の支援業務のあり方のワーキンググループの中で案として出したものですが、この市区町村の支援業務の中身を、ここに挙げている、これは1つの例なのですけれども、「妊娠中からのケア」とか、それからずっと細かくいろいろありますが、進んでいきまして、2番目に「出生後4か月健診まで」を対象とした事業として、特にどういったところが大事だよというのを、母子保健が中心となるところ、児童福祉が中心となるところに分けながら説明を書かせていただいています。
そして、さらに進みまして、要対協についてというところで書いているのですが、これはあくまでも中津市の仕事を中心に書いていますが、実は現在、御存じのとおり、東京都の保健局とか、大阪、奈良県、愛知県、そのほか多くの自治体から、こういったポイントを整理しているものがきちんと母子保健のほうでは出てきています。そして、それらを既に一緒にして、最低項目の基盤というものを作成しつつありまして、今後全ての自治体において子育て世代包括支援センターという言葉で統一していきますが、その中で最低やるべきことを示していけるようなガイドラインというものを意識してつくることが必要なのではないかなと思います。
これがないために、今までいろいろなところでやっているのを見ますと、担当が交代したり、いろいろなことが変わると、次に引継ぎの段階で抜けてしまうと、そのまま消えていったりするようなことが起こっておりまして、ここをしっかりきちんと押さえていくことを明示しないと、同じことの繰り返しが続くだろうなと考えています。
では、先に行きます。次に、「市町村における子どもの家庭相談の流れ」につきましても、本会でも相澤委員が繰り返し示しているように、特に要支援の1、2、3までの内容を明確にしていく必要があるのではないかといつも思っております。その中で、市区町村の要支援段階については、自分が「教育と医学」に投稿した内容がありますので、それをここに挙げさせていただいております。既に中津市の場合は、4年分の要対協の実務者会議の中での相談事例をこの分類で検討しまして、特に要支援2の中で、それぞれの主管課
が行ってきた支援の内容等を分析してきましたので、今後のテーマを考えるときにかなりいろいろなことが分かってきましたので、追って、また報告を出させていただきたいなと思います。
ごめんなさい、もうちょっとです。13ページの中段のところを見ていただきたいと思います。要支援1とか2に対する支援内容は、子どもの貧困対策とか子ども・子育て新制度等で検討されている支援施策と、絶対連携・協働しないといけない内容が多くて、ここの委員会においても、ここに紹介したある程度の枠組み等を使って考えを進める必要があるということを言っておきたいと思います。
最後になりましたが、3番目のところに行きたいと思います。15ページ以降をお願いします。ここが、先ほど奥山委員とか藤林委員も触れてくださっていました。それから、お答えにもなっていたと思いますが、子ども家庭総合支援拠点の考えを示しています。御存じのように、これに関しましては、日本大学危機管理学部の鈴木先生が中心となった報告がありまして、その下にあります、今日もおられます藤林先生が顧問となりました、西日本こども研修センターあかしに、その後の研修制度が引き続いておりまして、先ほどの担当の方のお話にもありましたように、規模の大きさによって分類がなされて、こういう研修がずっと行われていっています。
現実、いろいろなものが広がってきているのですが、ここでお伝えしたいことは、ちょっと飛びまして、17ページ以降を御覧ください。そこに私が直接関わっております熊本県さんの絵を示しています。熊本県さんは、14市23町8村という45自治体があるのです。大分県の場合は合併が進んでしまいましたので、18市町村しかありません。ですので、随分形が違う県が混在しているというのが日本全体の状態です。
その中で研修会をやったのですが、事前の説明の中で、子育て世代包括支援センターと子ども家庭相談支援拠点について、既にあるのか、ないのか、予定があるのか等を、もう2年ぐらい前の話ですけれども、聞いたときの資料がこれになります。
いずれも、皆さん、22年度までにはつくる方向に行っているのですが、ここの資料の中でお示ししたいのは、18ページの上の段の表をちょっと御覧ください。熊本県内14市というものがあります。これの中に、子育て世代包括支援センターを中心として、それに支援拠点が一緒になってできるようなところとか、別々の形でやっていくのだけれども、逆に子ども家庭支援拠点のほうが中心になって、そこに母子保健のほうが入ってくるという合併の仕方をするようなところもある状況です。それが、小さい市町村になればなるほど、そういったところが強くなってきています。
ここでちょっと分かりにくいかもしれないですけれども、一番右端のほうにあります学校教育のほうは、教育委員会部局として、どこの市町村も、小さいところも含めて単独というのが多いのです。
この中で、あかしの研修会の中で、先ほど藤林先生もちょっと言われましたけれども、先日、愛媛県伊予市の、ある支援拠点の場合は、教育委員会の皆さんのほうが中心となっ
て、OBの方たちが中心となってつくっているのですね。その理由というのが、出生数が100人とか120人ぐらいの自治体だったのですけれども、小さい自治体になればなるほど、保健師さんとか子育て支援員の働く数はすごく小さくなりまして、なくなってくるのですけれども、学校の先生というのは、その地域の校区・学区の中に広くおられるわけです。
ですので、その方たちのOBをしっかり使っていくという気持ちになっていきますと、小規模になればなるほど、逆に学校教育部門にしっかりお願いして一緒にやっていくという格好にすると、いろいろなグループができますということを最後、ちょっと強調しておきたいと思います。
すみません、長くなりました。以上です。終わりです。

○山縣委員長 たくさんの資料の提供、ありがとうございました。
続きまして、髙田委員、お願いします。

○髙田委員 よろしくお願いします。
考えを述べさせていただきます。1つ、できるだけつながりということを書かれているのですけれども、一人一人の方と1対1でつながっていくという考え方もあるのですけれども、子育てグループみたいな、子育てサロンとか、各所でいろいろなことが展開されていますけれども、そういうサロンと支援者がつながって、そのサロンの人たちが誰かとまたつながりをつくっていく、SNS上でつながりをつくっていくということを視野に入れた支援というのも、考えていただけるといいのではないかと思っています。サロンの力はかなり大きいと思いますので、支援者、支援される側というだけではなくて、ピアサポートのような形になっていきますので、それをぜひここに組み込めればなと思っていました。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございます。今のも恐らく反対の委員はいらっしゃらないと思いますので、基本的にはどう書くかということで対応させていただこうと思います。
では、北川委員、お願いします。

○北川委員 すみません、質問ですけれども、3ページ目の○の4つ目、「相談機関は」というのは「市町村子ども家庭支援拠点とか母子保健包括支援センターで、保育所や地域子育て支援拠点などの地域の子育て資源や児童家庭支援センター、NPOなどの民間資源」、こちらはメニューなのでしょうか。そして、最後の「民間資源による敷居の低い相談機関の設置」というのはどういうことなのか、まず、この文章の構造について教えてほしかったのです。

○山縣委員長 では、野村さん、お願いします。

○野村企画官 すみません、分かりにくくて申し訳ありません。
資料2の2ポツ、3ページ目の「相談機関は」とあるやつは、母子保健と児童福祉の相談機関ですので、包括支援センター、総合支援拠点を指しています。一体的なそれらの相談機関はというところですけれども、要は、行政の相談機関のみでは、単体でのソーシャルワーク機能というのは限界がありますので、地域の子育て資源、児家セン、それからNPO
などの民間資源といったところと一緒になって、それらがソーシャルワーク機能を少しずつ発揮していただいて、地域全体のソーシャルワーク機能というものを強固なものとする必要があります。
「また、民間資源による敷居の低い相談機関の設置を推進する」。「また」というのが分かりにくい部分があると思いますが、「このため」なのかもしれませんけれども、要は行政による敷居の高い相談機関だけだと限界がありますので、敷居が低い民間資源を使った、動いていただいた相談機関みたいなところが必要になるでしょうといったところを考えています。

○山縣委員長 北川委員。

○北川委員 では、これはソーシャルワークについての機能を強固なものとするための機関を書いているということでいいですか。

○野村企画官 はい。

○北川委員 すみません、メニューなのかもしれないのですけれども、障害児支援機関もすごくケアニーズの高い子どもや親・家族を支援しているので、いつも前のポンチ絵とかにも入っていなかったりするので、もしこれが将来、ポンチ絵になったときに、また障害児のところがどこに入るのかなというのがあったので、○の4つ目か、それとも下のほうの3番目のメニューの中、どちらかに連携機関として、そこでもソーシャルワークをするので、入れていただいたほうがいいと思いますので、よろしくお願いします。

○山縣委員長 恐らく積極的に排除しているわけではないと思いますので、例示として入れていなかっただけなので。確かに、例示として1つくらいは入れておくほうが、いろいろな子どもたちを対象にしていますよというイメージが伝わると思います。重要なポイント、ありがとうございました。
では、宮島委員、お願いいたします。

○宮島委員 ありがとうございます。
基本的には、課題の立て方も今後の方向性もこのように示してくださったことを支持します。まずそれを表明しますが、どのような形で意見を申し上げたらいいのかというのが、自分の中でなかなか整理できずにいます。ですから、うまくお話ができるか悩むのですが、ぜひ申し上げたいことがあります。
大きく分けて、1番のところで一固まり、2番のところで一固まり、申し上げます。まず、つながるという言葉が何度も出てくるというのは、今までのこの領域の在り方からの大転換だと思っています。日本で悲しい事件がたくさん起こって、通告ばかりだったと思うのです。通告は今後も大事だと思いますけれども、どうつながっていくか。通告と安全確認でとどまっていたのを、どうやってつなげていくのかということに発想が進んでいった。支援はちゃんと展開しなければいけないのだということですから、問題の立て方も方向性も支持します。
その上で、1番に申し上げたいと思ったことは、妊婦さんのことです。この1年間の死
亡事例、コロナ禍になってたくさん起こっているわけです。当然、前の法改正の端緒になった事件等がありましたけれども、むしろこの1年間でどのような事件が起こっているのか、いろいろ考えると、つながれない人々、孤立している人たちの虐待死がたくさん起こっているということを改めて感じます。母親が児童養護施設出身で都内に出てきて働いていた。結婚して子どもができた。でも、離婚後その子どもを置いて遠くまで行って帰ってこなくて亡くなったという子どもや、実家とのつながり、縁が切れていて、非正規でずっと働いていた方。でも、生活を成り立たせるために家を空けたときに赤ちゃんが亡くなった事例。
あと、昨年は外国人の技能修習生の方の事件が複数、続けざまに起こりました。中高生でも外国人の方でも独り暮らしをしている女性でも、本当にそういうことが起こるのだと。あと、生理の貧困なども言われていましたけれども、生理用品の不足も申し出れないような子どもたちがいて、そこにも注目が集まっている。我々はここに注目して、そういうことがどこでも起こるのだということを本当に考えた上で、つながるということを大事にしなければいけないなと改めて思わされます。
相澤委員が前回も、また児童部会でも言ってくださいましたけれども、助けを求めていいのだとか、不当なことがあったら、これはおかしいよ、何とかしてくれということを言っていいのだという教育を、小さい頃からきちんと行っていく必要があると思います。
また、死亡事例の検証でも、一番多いのは、実際は孤立していて助けを求められない事例の子どもたちで、だけれども、そこは行政機関も関わっていないから検証がきちんとしにくい。ここは大事なのだという漠然としたものはあるのだけれども、これがどうしたら防げるのかという検討を進めていく必要があるということを改めて思わされています。
抽象的で恐縮ですけれども、1つ目については、そういうふうに感じております。
2つ目のほうも、今度は市町村のことですけれども、それこそ自分で育てられない場合には、市町村とかに相談しなければいけないと児童福祉法第30条には書いてあるわけです。同居児童の届出だけではない、血縁関係のない子どもだけじゃなくて、経済的な面も含めて育てられない場合には、保護者は相談しなければいけないと書いてあるわけですけれども、本当に育てられないという相談を受けるだけの十分な受け止め方ができるようになっているかというと、できていない。これは、つながるということとかニーズ把握ということへの理解が弱かったからだと思います。きちんとニーズ把握をする。これに基づいて、当事者が参加しなければプランは描けません。そこで、当事者がきちんと参加して支援プランをつくっていく。
また、プランができても、合意して支援契約を結ばなければ支援は展開できない。そういう本当に基本的なことが抜けてしまって、もっと違う部分の技術的なことばかりが話題になってきていたけれども、本当に基本に帰って、つながるということや支援を展開することがどういうことなのかということを意識して、それがアピールできて、実際にトレーニングや体制整備にも結びつくような形で議論を進めていきたい、そういうふうに考える
必要があると思わされています。
本当に抽象的で申し訳ありませんけれども、以上でございます。

○山縣委員長 ありがとうございました。
では、続いて、坪井委員、お願いします。

○坪井委員 坪井です。2つ申し上げます。
1つは、児童相談所のことです。今回も整理していただく中で、2番のタイトルとして「市区町村等のソーシャルワーク機能」としていただいていて、それから、保育所・保育士の在り方という形で資料も出していただいて、いろいろな検討が進んでいるという中での話です。一方で、今日配っていただいた「子どもとその保護者、家庭をとりまく環境に関する資料」というところでは、かなり丁寧に児童相談所のことを取り上げていただいています。
私の理解では、今、児童相談所は非常に忙しくなっていて、とても回らない状況、本来やるべきことがなかなかできにくい状況になっているのに対して、市区町村のソーシャルワーク機能を強化して対応しようとか、あるいは保育所をどういうふうにしようかという議論も出てきているのだと思うのです。それはそれで、もちろんそういうことを建設的にやっていくのはとても大事だと思うのですけれども、大前提として、今の児童相談所の状況がとても大変だということが、今回の取りまとめていただいている論点の課題、問題意識というところに具体的に盛り込まれていないのは、残念だなと思います。
そもそも、そこの機能がうまく回らないのをどうしようかということを議論している部分が多分にあるわけですから、もちろん、今回の議論は、児童相談所をどうしましょうということを議論できる場ではなくて、今年度中に以前の法律をつくるときの約束のフォローアップをどうしようかということなので、そこをやっていく、そのための市区町村のソーシャルワークであり、保育所あるいは認定こども園の話なのだという位置づけでいいと思うのですけれども、課題のところには、そこを何とかしなければいけないというのに対して、どうしようかというそもそもの発想があるということをちゃんとうたってほしいなと思います。
余りに当然過ぎて、そこは書いていないのかなと想像もしたのですけれども、そういう課題がある中で、そうでない部分でどう対応しようとしているのかということについてやっているのだというのを、もう一度振り返って明示していただくのがいいのではないかなと思いました。以上が1点目です。
続けて、2点目を申し上げます。2点目は、学校のことです。学校のことについては、奥山先生も藤林先生も、さらに井上先生もそれぞれ言及されていて、そのとおりだなと思います。藤林先生は、もちろん保育所、認定こども園のこともお話になりましたけれども、学校のことについてもちょっと柔らかい表現を使いながらお話しをされました。そういう意味では、大人の事情としてはそういうことがあるのかなと思うのですけれども、実際、私たちがここに集まっているのは、子どもの事情を配慮するために集まっているのだと思
います。
なので、そこについてはもう少し踏み込んで、学校というものが、例えば虐待の通告の大きな役割を担っていたり、逆に、不登校の問題については、学校でどうやってソーシャルワークを生かしていくのかということが求められている状況の中で、そこを遠ざけるような感じで対応するのはまずいのではないかと思いますので、ぜひ子どもの視点に立って、学校教育のところはどういうふうに一緒に考えていったらいいということについて、踏み込んでもらえるとよいなと感じました。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
この後、松本委員、横川委員、奥山委員、宮島委員の手が挙がっております。恐らく、この辺で今日の御意見の時間に大体なろうかと思います。これにつきましては、次々回以降、さらに細かく御意見いただく機会がございますので、この4人で今日のところは御意見を伺うのを一旦終わらせていただけたらと思います。
では、松本委員、お願いいたします。

○松本委員 ありがとうございます。
1点だけ。この項目もいずれ議論していただきたいということです。妊婦さんのことは書いてあるのですけれども、抜けがちなのは、妊婦さんが妊婦さんでなくなったとき、特に人工妊娠中絶されたときにどういうふうにフォローするのかということを議論の中に入れて、あるいは施策の展開の中に位置づけておく必要があるのではないかと思います。特に、特定妊婦さんで人工妊娠中絶されると、それは個人として大変つらい経験で、一番ケアが必要なときだろうと思いますけれども、一方で母子保健の枠からは外れてしまうわけです。
その後、また妊娠されるということがあったときに、その後のつながり方が全然違うと思いますし、例えば札幌で一昨年ありました事件も、10代のときに妊娠して、人工妊娠中絶して、一度離れてしまう、離さざるを得ない状況になって、次の妊娠時にまた対応するということになります。そういうふうになりますと、支援の継続性ということから考えても大変ハードルが高いし、つながるという観点から考えても、むしろ困難をつくり出しているようなところがあります。
一方で、制度的に妊婦さんでなくなると、ただつらい経験をした1人の若い女性ということになりますので、どういう枠組みで設定するのかが工夫のしどころだと思います。ただ、そこは実践的には大変重要な課題になるので、自治体でも大変御苦労されているところじゃないかと思いますので、そこを組み込むような形で今後の在り方を考えるという議論ができればということであります。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
では、横川委員、お願いします。

○横川委員 全国乳児福祉協議会の横川です。よろしくお願いします。
資料3の28ページに全乳協としての意見提出を行っています。1点目は、「早期の予防的支援における乳児院の役割」についてです。再三、この会でもお話しをしました乳幼児総合支援センターの考え方を具現化するため、ワーキングチームを立ち上げて議論し始めました。その中で、特にゼロ歳から2歳以下の死亡事例が多く周産期支援の強化が必要という状況に対して、乳児院も丁寧に取り組んでいきたいということをまとめ、意思表示をしております。
実際に、ここに数字も少し書いてありますが、新規の一時保護の委託件数も倍以上に伸びていることに加えて、ショートステイも令和元年度の受入人数は5390人という数字になっています。こうした予防的支援に特に乳児院が動く必要があるということで書いているものです。
おめくりいただいて、29ページに、「乳児院における「要保護児童等予防的支援機能」」について具体的に書かせてもらっています。先ほど分離という言葉がありました。確かに乳幼児期に分離して、それが長期間になると、予後が悪いというか、親に戻すときにかなり難しい点があります。委員の中でも大分話し合いをした上で、29ページに書いてある、親子での通所、宿泊、保護という考え方を取り込んでいく必要があるだろうということを述べています。今の時点でも、既に産前産後母子支援事業を行っている乳児院は全国で9か所になりました。あと、産後ケアという形で母子ともにお預かりしている乳児院も出てきています。
もう一つは、乳児院に併設する児童家庭支援センターと協力して、実際にそういった取組を強化しているという報告もつい先日、受けたところです。
30ページに、母子一緒に預かることの意味について、ポチが5つ書いてあります。
パーマネンシーの保障に資する支援であること。
具体的な育児の手立てを伝えていくことで、親の養育力の向上と親子のアタッチメント形成に寄与できること。
あと、親と子ども双方のアセスメント、及び親子の関係性のアセスメントが可能になること。これはとても大きなことだと感じています。
4点目のポチのところで、実親に寄り添い、実親の分離の受け止めや喪失の痛みに寄り添うことが可能となることを挙げています。先ほども少し委員の方からお話がありましたが、第2子以降の出産・育児のリスク回避を考えていくということを確認しています。
ポチ、5つ目のところですが、職員と実親との関係性は、その後の親子が、乳児院に通所することや家庭訪問を受け入れるという、受援力とか援助要請力を培うことにつながると先日もお話しをしています。
こうしたことを意見してきたなかで、今回の資料2の「1.妊産婦、子育て世帯につながる機会の拡大」と「2.市区町村等のソーシャルワーク機能」、乳児院とか乳幼児総合支援センターという言葉が一切書かれていません。乳児院として、今取り組んでいるとい
う報告はさせていただいていますし、そういった文言を入れていただけるとモチベーションも上がるので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
では、奥山委員、お願いいたします。

○奥山委員 ありがとうございます。
1つは、先ほど来、子どもの相談というのは非常に重要だという話が出ていましたけれども、権利擁護のワーキングでは、今回の児童福祉の分野に限った結論を出す必要があって、そこからのスタートだったわけですけれども、本来、在宅にいるお子さんのアドボケートの必要性ということに関しても考えていく必要があると思います。ですから、将来的には、在宅にいるお子さんたちのアドボケート、それも乳幼児から障害も含めて、どういう形でアドボカシーを行うか、アドボケートさんを育てるかということも含めて考えていかなければいけない。それは、今はなかなか難しいかもしれないけれども、将来的にはその方向が必要だと思っているのが1つです。
2つ目は、さっき周産期に偏っているのではないかというお話しをしましたけれども、以前に相澤委員が出してくださった図にもあったかなと思うのですけれども、リプロダクションサイクルを考えた上で、自立支援と妊娠前は基本的につながってくるわけですね。ですから、自立支援があり、そこからプレコンセプショナル・ケアがあり、そして妊娠期のケアに移っていくというところがどういうふうにつながっていくのかということを考える必要があると思います。私たちが対象としているのは児童だから外れると言われてしまいそうですけれども、いずれそこが児童に関わってくるわけですから、そこはきちんと考えていかなければならないと思います。ですから、リプロダクションサイクルをきちんと考えるということが、重要だと思っているというのが2つ目です。
3つ目は、先ほどのご意見の中で、児相が忙しいから市町村がやるといったお話が出たのですけれども、そうではないと私は思っています。本来、市町村がしっかりと寄り添い型の支援をするというのがベースでなければいけないと思っています。そういう支援の在り方が非常に重要だと思います。その中で、虐待が発見された場合に市町村に通告が入ります。市町村に通告が入ると、今の児童相談所と市町村の関係で言うと、市町村がお付き合いしている関係機関からの通告が市町村に入りがち。警察や泣き声通告は児相に行ってしまう。つまり、ここにミスマッチが起きているわけです。
それにより、市町村が結構それで大変になっていますし、寄り添い型支援をすべき市町村が、児相でありがちな、虐待か虐待じゃないかというところばかりを重視してしまうような支援の在り方になってしまっているという問題もあります。今、通告数が非常に増えてきている中で、通告を一元化して、そこが分類して、どういうものは市町村が通告の先を受け止めて、どういうケースに関しては児相が受け止めて、どのぐらいの期間で対処しなければいけないかということをやっていくこと、これは本当に早急に考えていただかな
ければならないことです。それが市町村の圧迫にもつながっている問題だと思いますので、そこも考えていただきたいと思っています。
以上です。

○山縣委員長 市町村には、市町村固有の機能がある。そこをきっちり押さえていくべきだというお話だと思います。重要なポイントだと思います。
では、最後になります。宮島委員、お願いいたします。

○宮島委員 ありがとうございます。
今、奥山先生が言ってくださったものとかなり重なります。市町村がミニ児相化してしまっている。基礎自治体が丁寧に子どもを守り、子どもを支え、家族を支えなければ、この国の子どもたちの幸せは築けない。だから、児相のこととかは、むしろ4とか5のほうで十分取り扱って、ここでは市町村を中心とした地域の問題を主に論ずるという形の方向性が私は望ましいのではないかと申し上げたいと思います。そのことが1点目です。
もう一点、先ほどの妊娠のことでぜひともと思っていたのですけれども漏らしました。妊娠届出をした後は、妊婦健診は公的補助がかなり受けられますけれども、それでも補助額と実際の必要金額に差があるという話があります。さらに、初診時の費用の無料化がとても大事なのではないか。この辺りに取り組もうということで、従来の妊婦健診に加えてこれを無料化しようと産婦人科の先生方の有志が取り組んでいらっしゃいますけれども、これをぜひとも広げるべきだと思います。20代で孤立している女性とか貧困状況にある女性の問題は大きいと思います。ひとり親家庭になって、小さな子どもがいて、妊娠したけれども、男が逃げてしまったという場合もあるわけです。
初診のハードルを下げるということ。そこに公的なものを入れていくということが極めて重要じゃないかなと思いましたので、それを申し上げたいと思いました。
以上でございます。

○山縣委員長 ありがとうございました。非常に多様な御意見を多くの委員の方々からいただきまして、感謝申し上げます。
先ほど言いましたように、時間の関係で、一旦ここで切らせていただきまして、切りがいいので、4時10分まで12分程度休憩させていただいて、その後、3番の課題について、同様に御意見をいただこうと思います。
では、一旦休憩させてください。

(休 憩)

○山縣委員長 お帰りになりましたら、座っておられるかどうかを確認するために、できましたらビデオを機能させていただいたら幸いです。小島さん、中村さん、森井委員、このお三方の顔がまだ見えていませんが、4時10分になりましたので、追ってお帰りだと思いますので、休憩後、再開したいと思います。
繰り返しますけれども、ここからの時間は約1時間、5時前をめどに、「3.全ての子育て世帯の家庭・養育環境への支援」について」、資料1、2をベースに必要事項についての御意見をそれぞれ伺えたらと思います。
桑原委員、手が挙がりました。よろしくお願いします。

○桑原委員 ありがとうございます。
前半のほうでは、随分いろいろ御意見をお聞きしながら勉強させていただいていますが、全養の意見書については、多分次回が中心になるので、次回にまたお話しをさせてください。
それで、3についてですが、先ほど1、2も含めて、髙田委員のほうから、つながるということとサロンということの御発言があったので、少し御報告を兼ねてと思います。私もこの委員会にいながら、自分の身の回りというか、地域の社会資源とかニーズとか、そういったことについて十分把握できていないなというのを非常に実感しながら、それでいて、先行きがどうしても見通せないという状況にありました。
それで、実際にはショートステイ、トワイライト等の取組はしているのですが、ニーズがあるということははっきりしているのだけれども、いつでもいらっしゃいという体制にはないのですね。事業としての仕組みはあるけれども、人がいない。そこに人が配置できていたら、多分、24時間の対応はもっとスムーズにいくだろうということを思っています。何度もこういう議論は出るのですが、なかなか前に行かないというのはちょっと残念だなと思っています。
ただ、実はサロンのことで、ここのところ、NPOのサロンの方たちと出会う機会が偶然ありました。それがきっかけで、施設にいらっしゃいというやり取りをしながら、いろいろ意見交換をした経緯がございます。そこで実際に出てきたのが、若いお母さんたちが、子どもさんを抱えながら、ゆっくりと手足を伸ばして湯船につかったことがないとか、自分の好きな食べ物を調理して、自分だけの時間をちょっとでもいいからエンジョイするという場所とか環境が自分たちにはないのだという話が出たのですね。
それがきっかけとなって、私どもの施設の見学とつながったのですけれども、これは夏以降になるのですが、定期的に私どもの施設にそういうお母さんたちがやってきて、お風呂に入り、台所を使って、しばらく過ごして帰るというNPOのグループの利用が正式に決まったのですね。そこまでの切実さというか、ニーズに対して、それを捉えるアンテナが本当に弱かったなという反省をしています。
児童養護施設は、今、外出しもそうですが、本施設の機能と多機能化という課題を抱えていますけれども、施設の環境によってはそういうことも今後は可能になるなということも感じながら、今後は機会があれば発信していきたいなと思っています。
次回の会議で、また社会的養護について、ぜひよろしくお願いいたします。以上です。ありがとうございました。

○山縣委員長 ありがとうございました。次回、よろしくお願いいたします。
では、林委員、お願いいたします。

○林委員 2点ございます。
1つは、前提になる市町村の格差というのは、声としてかなり出てきていたわけです。実施の格差です。低い位置にある市町村の実施率をどう高めていくかという中で出てきた、義務的経費であるとか、あるいは一定のミニマムなサービスに関しては義務的実施みたいな、トップダウン的ではあるけれども、そういう考え方までいかなくても、市町村の格差の是正に向けた対応策というのは何らかの記述が必要ではないかというのが1つ目です。
それから、2つ目は、サービスもあり、ニーズもあるけれども、利用されない状況ですね。特に、ショートとかトワイライトの中には、アクセス支援の問題とか、一定の支援ニーズに基づいて無料化するとか、そこまで記述しなくても、ニーズはあるけれども、利用されない状況があるというのは、この4ページ目の○の4つ目に含まれるような内容かと思うのですけれども、そこはきちんと書いたほうがいいのかなということと。
そうしたことと同時に、4ページの一番下、民間が自由に動くことができる仕組みとか、あるいは前のページにあった、資源を発掘し、創出するというようなボトムアップ的な在り方、地域の特性に応じたサービスの創造というのは非常に重要なことなので、そういうことを具体化することをもうちょっと具体的に記述いただけたらと思いました。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございます。
では、奥山委員、お願いします。

○奥山委員 まず1つ目は、題名です。これは、この内容を見てみると、どちらかというと要支援の家庭・子育て世代という意味だと思うのです。でも、「全ての子育て世帯の家庭・養育環境への支援」。全てにこれをやらなければいけないように誤解されるのではないかと思うので、題名を少し変えていただいたほうがいいのではないかなと思います。
2つ目は、先ほど来、少しお話もありましたけれども、4つ目の○がかなり重要なポイントだろうなと思っているのですけれども、市区町村の「措置権限等」の権限に関して、重要なのは指導でなくて支援であるということと強調したいと思います。また、支援計画に基づいて、必要な支援に対して、行政処分として、あなたがこれをしなさいと言うわけですから、ある程度低額、できれば無料でやれるような支援が必要です。例えば、先ほど来出ている保育園の送迎とかショートステイとか、そういうところに関しても、保育園が休みで親子2人だけになっちゃうときは行き詰る危険があるから、その間はショートステイを使ってくださいねということを言った場合には、それはただでやるということが必要だろうと思います。
もう一つは、先ほどの施設の多機能化としての地域支援、あるいは児童家庭支援センターの地域支援ということに関しての財政的な立てつけの問題です。全体としての費用だけではなく、ある種の出来高といいますか、どのぐらいやったかということに対してお金が支払われるようにする等ということに対しての議論が必要だと思います。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
3番の項目立てについては、また別途、事務局と相談させてください。
浜田委員、お願いします。

○浜田委員 ありがとうございます。
今、申し上げようと思ったことは、直近で奥山先生から御指摘があったところです。申し上げたいと思ったのは、4つ目の○のポツの1つ目、措置権限のところと、その下の予算のところです。措置という字面だけ見ると、それが強権的なものに見える可能性があると思われます。そうなると、受け手としてもなかなかに受け入れがたいのではないか。
これは、その家庭に積極的に手を差し伸べていくという意味での支援を届かせるための仕組みとしては、もちろん一定の有用性を持つのだろうと思います。そういった意味で、措置という形でやることを一概に否定はできないし、むしろ必要だろうと思う気持ちがあります。その一方で、この措置の受け手となる親御さん、お子さんもそうですし、逆に措置を行う主体としての市区町村の側の気持ちとしても、何かそこに強権的なものであったり、伴走とか支援といったワードではない気持ちが生まれてきやしまいかというところを若干危惧するところでございます。
もちろん、そこは具体的な運用の指針とかガイドラインといったものをどうつくるかとも絡んでくるだろうと思いますけれども、ちょうどいい頃合いの強さの枠組みということを考慮しながら、制度設計していく必要があるのだろうなと感じたというのが1点目です。
「予算の仕組みも含め」というところについては、ここも先ほど御指摘あったとおりですけれども、措置という形になってきているのに利用者負担があるということになると、それは結局実効性を欠くことになろうという気がいたしますので、利用者負担を前提にしない制度枠組みを検討しなければならないだろうなと感じました。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
では、横田委員、お願いします。

○横田委員 ありがとうございます。
私のほうからは、3の一番上の○のところですけれども、不登校の子どもなど、子どもに対する直接の支援がないというところです。子どもに対する直接の支援は、もちろん一番大事なのですけれども、それに加えて保護者に対する支援のことも必要だろうということです。
そのことは、例えば去年の学校の登校自粛で多くの人が実感したと思うのですけれども、不登校の子どもの親は従来からそういう状況にあったわけです。にもかかわらず、例えば2016年の児福法改正と前後して制定された教育機会確保法、これは学校教育の方でつくられた法律ですが、保護者の支援の視点を含んでいないのが課題だと思っているのです。つまり、学校教育行政では、保護者の支援という視点が不登校に限らず非常に希薄だと私は
思っているのです。
学校教育の行政と協働するということを多くの委員の方が言われていましたけれども、具体的にこういうところで協働すべきではないか。例えば、子どもの放課後については、新・放課後子ども総合プランが2019年からスタートしていますけれども、そういうことに加えて、不登校とか具体的な課題ごとに学校教育行政との連携を少しずつ広げていくことが必要ではないかと思っています。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
では、菅田委員、お願いします。

○菅田委員 ありがとうございます。全母協の菅田です。
今回の資料には数多く「妊産婦への支援」という文字が入り、資料1のこれまでの課題・問題意識だけでなく、方向性の資料のなかでも、方向性1、そして3の○の2個目、さらに次回検討予定の4-1にも妊産婦への支援が書かれています。私は大賛成です。単身女性が妊娠して出産する。そして、子どもを養育し、愛着形成を図りながら自立に向かっていく。リスクの高い妊産婦にこの一連の流れを支援できる施設というのは、母子生活支援施設しかありません。
今回いただいた資料の内容をふまえて、全母協としての資料を提出させていただきました。資料3の25ページと26ページのA4、2枚です。大変見やすいので、委員の皆様もちょっと御覧になっていただけたらと思います。簡単に説明させていただきます。これは、5月に事務局から提出していただいた資料を基に、全母協で検討会を立ち上げ、議論した内容を、「「子どもとその保護者、家庭をとりまく環境に関する論点」に対する全国母子生活支援施設協議会の基本的考え方」としてまとめています。
前文で全母協として大切にしている、3つの柱を立てました。その柱がこの四角で囲ってあるものです。すべての子どもが希望をもって生まれ育つ社会にしていくための支援を、産前産後の支援として捉えています。また、地域における子育て世代の支援拠点として、アフターケアを含む地域支援としてまとめました。そして、分離しない支援からつながりの回復をめざす、親子関係再構築への支援。これら3つの支援を強く進めていくための4点目の意見を出しております。これは要望や提言というよりも、むしろ母子生活支援施設がこんなことをこれから頑張っていきますという意思表明であり、こういう支援に力を入れていきたいということを示しています。
まず、意見1が、今、話した特定妊婦を含めた産前産後の支援について、母子生活支援施設は、特定妊婦等の安心・安全な出産と母子の愛着形成をはぐくむ支援、地域生活に向けた「自立支援」を行いますということをうたっております。
次のページに入りますが、母子生活支援施設は、産前の支援を積極的に進めたいのですが、現在の児童福祉法では、母子世帯にならないと母子生活支援施設を利用できないとなっています。そのなかでもいろいろ工夫しながら、出産前からの支援を行っている母子生活支援施設は数多くありますが、とりわけ第1子出産の女性への支援が1つの鍵になってくるかなと思っています。
意見2について、母子生活支援施設は、地域の要保護・要支援状況にある子どもやその家庭を応援するために、その専門性を活かした地域支援に取組むということを示しています。これは、アフターケアの強化と、施設内の支援だけにとどまらない、幅広い地域支援をめざすという意見表明です。
そして、意見3については社会的養護のもとで生活する子どもと母親を、母子生活支援施設において再統合し、さらに、退所後の地域生活を支援することを示しています。親子関係再構築支援について、全母協の調査では、全国の母子生活支援施設の実に44.2%が社会的養護を含めた外部に実子を預けている、または入所させている家庭があるという結果が出ており、この部分に力を入れていこうということです。
それから、意見4は、意見1から3までを補強する内容となっており、上記の支援を強化して拡充するための意見となっています。地域で支援を必要とする子どもや家庭が、母子生活支援施設の適切な利用につながるように支援することが重要です。母子生活支援施設の持つ支援機能に対する正しい理解と活用を望んでおり、その思いを制度改正の際にも検討してほしいという意見となっています。
以上です。ありがとうございました。

○山縣委員長 ありがとうございます。基本的に私たちが議論している方向と大きくずれていないと思いますので、団体さんのほうでもぜひよろしくお願いします。
では、続いて、北川委員、お願いいたします。

○北川委員 3の○の一番上ですけれども、ショートステイは本当に大事だと思います。障害の分野だと、受給者証があればすぐ泊まれるということもあって、うちの法人で20人のショートステイ、普通のおうちですけれども、いつもいっぱいの状態です。というのは、スウェーデンに行ったときに保育園の隣にショートステイがあって、実家のようにお父さん、お母さんが利用していて、これだと本当に利用しやすいなと思って、うちの園の隣にショートステイを作ったら、お母さん、子どもたちがすごく泊まりやすい状況で、子どもたちも泊まりたいし、治療的に泊まる場合もあるのですけれども、レスパイトとして泊まる場合もあります。
この子たちは障害のある子というか、受給者証がある子なのですけれども、うちの園のお母さんに精神疾患があったりして、お母さんもつらいからですけれども、お姉ちゃんも大変になってきて、お姉ちゃんをどこかに泊まらせたいというときに、一時保護でないところじゃないとちょっと無理だなとなったときに、地域にこういうショートステイがあったらいいなと思います。そのときに、単にショートステイがあるというだけじゃなくて、ちゃんと人の配置とかをしっかりしていただかないと、子どもをせっかく泊めてもいい環境にならないので、これも大事なことだと思います。
あと、すみません、1つ質問なのですけれども、妊産婦への支援で、先ほど松本先生と
かが中絶の後のケアのことをおっしゃっていましたけれども、私、NIPTの専門委員会のときに、こういう中絶の後の支援などは女性健康支援センターで行っていると聞いた覚えがあるのですけれども、日本の制度の中では、今ここのセンターがそれを担う仕組みになっているのでしょうか。これは質問です。

○山縣委員長 では、小林課長、お願いします。

○小林母子保健課長 母子保健課長でございます。
今、御指摘いただいた点でございますけれども、女性健康支援センター、女性の健康に関する様々な相談に応じているところでございまして、明示的に中絶に関する相談を業務のメインの柱に据えているわけではございませんけれども、先ほど松本委員のほうからもございましたけれども、人工妊娠中絶の方に対する心理的ケアは大変大きな課題だという認識を持ってございまして、先般、人工妊娠中絶だけに限りませんけれども、死産とか流産をしてしまった女性の方につきましては、死産・流産であっても妊産婦に位置づけられるという解釈の下に通知を発出して、心理的なケアを充実いただくように自治体にお願いしている状況でございます。

○山縣委員長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

○北川委員 いいです。ありがとうございました。

○山縣委員長 では、橋本委員、お願いいたします。

○橋本委員 ありがとうございます。
先ほどの桑原委員の御発言を補強する形になると思うのですが、まずは子育て短期支援事業について発言させていただきます。いわゆるショートステイの供給量の拡大とメニューの充実は、家庭支援施策の推進において不可欠と考えています。しかし、現在、同事業を実施している児家センの現状を見ると、緊急にショートステイが入ると、職員も超過勤務対応で夜勤を行うなど、職員の善意や過重労働によって実施されているのが実態です。そこで、ぜひとも24時間365日開所可能な専用スペースと専用職員の確保ができる制度を、十分な財源を伴って創設していただきたいと思っています。そのスペースや職員を一時保護委託などにも活用することで、在宅支援機能が飛躍的に向上すると思いますので、よろしくお願いします。
次に、最後に記されている地域の特性についてコメントさせていただきます。これまでの専門委員会での議論を見る限り、現在の情勢は、乳児院や児童養護施設などが地域の特性に応じて児家センを標準装備し、家庭養育優先原則を実現していくのには最大のチャンスと思っています。そこで、国としても調査研究を要望したいと思います。
まず、1つ目、例えば都道府県や市町村が児家センに対して何を望んでいるのかを明らかにしていただきたい。とりわけ、過疎化が著しい町村にある児童養護施設が、児家センを設置して地域支援を展開していくにはどうしたらよいのか。町村へのニーズ調査等を行い、アドバイスが欲しいと思います。実は、現場では、子どもの多い都市部でしか児家センによる地域支援は機能しないのではという懸念の声も聞くのですが、私はむしろ、町村
役場には子ども家庭福祉に関わる専門職が少ないがゆえに、都市部とは違うチャンスやニーズがあると思っています。
いずれにしても、標準装備と言う以上は、できるところとできないところに二分されるわけにはいかないわけで、政令市型、中規模自治体型、町村型、あるいは都市部、農村部といった類型ごとに、民間機関による地域家庭支援の在り方を提案できるような研究報告や提言を待ちたいと思います。
また、2つ目として、要対協についても、その在り方研究をお願いします。特に、要対協が実際に活動する際にボトルネックとなっている事実。例えば、教育委員会との情報共有がしづらいとか、官から民への情報提供が限定的であるとかの課題を整理し、そこを突破するための研究をお願いしたいところです。
最後に、3つ目ですが、研究によるエビデンスや好事例を踏まえて、それを水平展開していくための機会の創出も併せてお願いしたいと思います。特に、フォスタリング機関の連絡協議会、アソシエーションの立ち上げは喫緊の課題だと思っているのですが、それを促すための経験交流集会の開催などが必要と思いますので、ぜひ御検討をお願いします。
以上3点お願いして、私の話とさせていただきます。ありがとうございました。

○山縣委員長 ありがとうございました。
次、相澤委員ですけれども、以下、五十嵐委員まで、あと8人、既に現段階で手が挙がっております。お一方、3分取っても5時を過ぎてしまうという状況です。繰り返しますけれども、次々回以降、また御意見をいただく機会は確実にございますので、取りあえず、時間調整で五十嵐委員のところで進行を一旦止めさせていただきたいと思います。
では、相澤委員、お願いします。

○相澤委員 ありがとうございます。
地域共生社会の構築に向けてつくられた重層的支援体制整備事業というのがありますね。地域課題の把握をして、そして資源の実情を踏まえてデザインを検討して、様々なツール、財源を自由に組み合わせて全体のデザインをするとか、事業を柔軟にデザインできるように、各事業間で重なりがある役割を柔軟に調整して、事業全体をデザインできるような重層的支援体制整備事業がありますけれども、そういった事業をぜひ子ども家庭分野でもできるようなことを検討していただきたいなというのが1点と。
それから、福祉サービスを総合的に提供する上で、現行制度の規制等について対応可能な事項を整理している、地域の実情に合った総合的福祉サービスの提供に向けたガイドラインが出ていますけれども、子ども家庭分野での調整可能な規制緩和ができるような点についても、ぜひ検討していただいて、使い勝手のいいものにしていただきたいというお願いです。
以上です。

○山縣委員長 2点ありがとうございました。
では、続いて、藤林委員、お願いいたします。

○藤林委員 3分ということですので、手短に意見を述べたいと思います。
私も、ショートステイ、子育て短期支援事業の重要性について、思うところがあります。子ども・子育て支援事業13事業の中で、このショートステイはとても重要な事業で、ポピュレーションサービスでもあり、なおかつ要保護・要支援児童のサービスでもある、非常に使いやすい、敷居の低い、でも重要な予防的な事業じゃないかなと思っています。ところが、以前もお話ししましたけれども、例えば市町村によっては、管内に児童養護施設や乳児院がないために利用できない、遠方で利用できないという方がいる。これはとあるシンポジウムで聞いたのですけれども、都道府県なのか、市町村なのか分からないのですけれども、年間の利用日数の制限がある。こういう非常に使いにくい地域もあると聞いています。
一方で、これも最近、直接聞いたのですけれども、枚方市のファミリーポートひらかたというのがありまして、これは児童養護施設のサテライトを幼稚園跡地に開設して、ショートステイを利用しやすくしているという例があるとか、また、福岡市のSOS子どもの村や明石市のショートステイ里親のような取組もあったりいたします。
要するに、施設がなくても、サテライトとか里親を活用すれば、どこの市町村でも可能という先進的な取組があるわけですけれども、このような制度というのは、仕組みとしては現在でもやろうと思ったらできるわけですけれども、なぜか全国に広がっていかないのです。里親ショートステイは今年度からと思うのですけれども、この供給体制を全国市町村に広げていく仕組みをどう考えていくのかというのを、ぜひ検討いただきたいなと思います。
これは、橋本委員も同じような提案だったと思うのですけれども、例えば里親ショートステイをしようとした場合に、児童家庭支援センターが十分なマンパワーが必要であるといった課題があるのではないかなと思いますし、乳児院、児童養護施設がショートステイに対応しようとした場合に、どうしても定員の問題、暫定定員の問題もあるのではないかと思いますけれども、そういったことがもしネックになっているのであれば、それは改善すべき課題じゃないかなと思います。
2点目、これも短めに言いますけれども、4つ目の○の市区町村の制度的な権限(措置権限等)は、この「3.全ての子育て世帯」のところに置くのは、私もちょっと違和感があるなと思いますので、これを事務局で検討いただければ。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
では、続いて、薬師寺委員、お願いします。

○薬師寺委員 ありがとうございます。
児童相談所の立場から申し上げます。先ほど菅田委員がおっしゃったのですけれども、私も特定妊婦等、妊娠期から支援が必要な妊婦さんというのが多くなってきている印象がありまして、母子保健から実際にいろいろなクリニックの産前産後ケアにつながることも
増えてきたのですけれども、児童相談所のほうに寄せられるケースとしては、居所がないとか、居所が安定しないような妊婦さんがいらっしゃいます。そのときに、児童相談所とか市町村から母子生活支援施設とタイムリーに連携が取れて、スムーズに受け入れられるような仕組みが必要だと思っています。
例えば、母子生活支援施設の入所利用の相談というのは、割と子ども家庭総合支援拠点の担当者ではない方が担当されていたりしますので、そういった妊婦さんへの支援もされている母子保健とか子ども家庭総合支援拠点の相談の一環として、母子生活支援施設の入所利用ということも対応していただけるような仕組みというものが必要かと思います。現状としては、途中で女性相談センター、婦人相談所が一時保護を行ったり、いろいろな相談機関が絡んでくることがありまして、すっと使えないというところがありますので、そういった仕組みの整理といったことをしていく必要があるかなと思っております。
皆さんおっしゃったように、ショートステイについては、送迎などのアウトリーチ型支援が必要ですし、空きがない状況をどうするかということとか、市町村の予算の不足、制限があるといったことについては、保護者がしんどいときにすぐに使える仕組み、一時保護ではない、本当に支援としての仕組みが必要だと思っております。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
では、横川委員、お願いします。

○横川委員 横川です。
先ほど、一生懸命になって、今、母子一体でのショートステイとか一時保護の受入れを全乳で考えているということを言いました。ただ、その専用施設というものがあるわけではありません。今の時点では、入所している子どもさんの親子関係再構築支援のための母子室というのを1室設けている乳児院が多いですけれども、それ以外はそうした親子の受け入れのための施設がないという状況がありますので、その部分がとても必要になります。
ショートステイも、先ほど令和元年度に5390人という数字を言いました。ただ、それよりも多いぐらいのお断りをしています。入れない状況です。一時保護が増えているのと同様にショートステイの依頼が増えるので、どうしてもその部分で手が足りない、目が足りない、場所が足りないという状況があります。
もう一点、○の2つ目の産前産後ケアですけれども、大変ありがたいことに、乳児院等多機能化推進事業という予算を厚労省が組んでくださったのですが、先ほども言いましたとおりまだ9施設にとどまっています。受託ができない理由として一番挙げられているのが、都道府県行政で事業化をなかなか許可してくれないということです。DV補助金ということもありますが、そういうことが緊急調査をして判明しました。そういった意味で、義務的経費化の必要性は、再度お願いしたいと思っています。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
では、宮島委員、お願いいたします。

○宮島委員 ありがとうございます。
2点ございます。基本的には、考え方と方向性は賛成するのですけれども、気になるところがあります。
1つは、権限という言葉です。児童相談所と比べると権限がないということが意識化されやすいので、これが出ているかなと思います。でも、もっと足らないのは、技術とか自分たちの実践の根拠を説明する力といったものが総合的に足りないと思っています。権限という言葉が独り歩きしないように、ここについては御検討いただきたいと思います。
もう一点は別の観点なのですけれども、全ての子どもやその世帯への支援を拡充する。いろいろなところの力を合わせましょうという方向性は大賛成なのですが、書いてある内容だけを見ると、どうも子ども家庭福祉領域のことだけにとどまるように思えてなりません。先ほど北川委員が、相談支援事業、障害福祉分野の様々なことの方が全然進んでいると。そこに学ぶ必要があると思います。この間、児童相談所の研修会に講師として行った際に、元社協のコミュニティソーシャルワーカーだったという新規採用の職員の方が、一時保護からの引き取り時の対応について実にいいアイデアを出してくださったのです。
そういった様々な領域の方々の知見とか力を総動員して、子どもと家庭のニーズにちゃんと応じていく。それこそが重層的、あるいは共生社会を目指すということだと思います。その中に、子ども分野のことがちゃんと分かってもらえるようにする。深掘りと領域を越えることの両方が必要なのではないか。今のところだと、子ども分野だけにとどまっているような記述に読めてしまう。ここをもう少し御検討いただきたいと思います。
以上でございます。

○山縣委員長 ありがとうございました。
では、奥山委員、お願いいたします。

○奥山委員 さっき言い忘れたことと、今までのご意見に対して、少し私の意見を言っておこうと思います。先ほど市町村の権限に関しては、支援を拒否するような親御さんに対してというのが大前提だと思います。宮島先生がおっしゃったように、支援の技術というのは非常に必要なのですけれども、次回の話になると思うのですけれども、27条第1項第2号の措置に関して言うと、指導措置なのです。支援が中心となった措置というのがあるべきではないかと強く思います。
もう一つ言いたかったことは、先ほど来、母子をどうするかという話はよく出てくるのですけれども、家族になる、父親になることの支援をも含めて、父子、家庭、夫婦も含めてどうするかということもあると思います。ですから、例えば私、1回、乳児さん専用のファミリーホームを訪ねたことがあります。個々の里親さんが見つかるもしくは家庭に帰るまで預かっておられます。そのファミリーホームでは、お母さんも泊まることができるようなお部屋も1室作られているのです。ニーズに応じてやられているのですが、ファミリーホームでも母子ケアをやってもいいのではないかと思います。ファミリーホームに限
らず、通常の里親さんでもいいと思いますが、そこでの親子支援という形も必要と思います。さらにそれで考えれば、施設さんにも、家族全員が泊まれるような仕組みというのも、是非つくっていただきたいなと思います。
もう一つ、ショートステイに関しても、先ほど来、里親さんのショートステイという話が出てきています。一方で、たしか大分のほうで、緊急里親さんという制度をつくられたと聞いています。そういう意味で、ショートステイに関しても、緊急でも預かれるような里親さんたちの制度というのも、今後あっていいのではないかと思いました。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。途中でお話しされた支援的措置というのは、4番目の○の市町村における権限(措置権限)のところで恐らく議論できるのではないかと思います。
では、続きまして、坪井委員、お願いいたします。

○坪井委員 ありがとうございます。
先ほどの市町村のソーシャルワーク機能のところで、非常に丁寧な御指摘を奥山先生からいただきました。ありがとうございます。確かに、今日に至るまでの議論の中を振り返っても、市町村のソーシャルワークの機能がファンダメンタルなものであって、児相の補完機能では決してないのですよというのは、そのとおりだと思います。ありがとうございます。一方で、児童相談所が大変なことに変わりない部分があると思うので、それはそれで大切な問題と位置づけて、並行して議論していけたら、と思っております。
それと、同じ発言の中で奥山先生が、児童相談所だけではなくて、市町村の機能も通告のケースが増えたりする状況の中で、随分大変な状況になりつつあるとおっしゃいました。私も、日頃現場の人たちを見ていて感じているのと全く同じことをおっしゃったので、そのとおりだなと思いました。
思うことがあるので、1つ申し上げます。児童相談所にいろいろな通告が「189」(イチハヤク)という、直接行くようなシステムが導入されて、これは大きな成果を上げていると感じています。今まで見えにくかった虐待が表に見えるようになってきて、対応が可能になったということだと思うのですけれども、通告するというところをスタートラインにしたシステムというものの良さというのは、今後もそういうことは活用する部分があると思います。
一方で、通告件数がどんどん増えている状況の中で、新しいシステムについて、そろそろ考える時期が来ているのかなと思ったりもしております。それは、通告するというシステムとは別の観点で、虐待がよくないということをみんなで確認し合うシステムとか、あるいは地域の中で、そういうことについてもう少し敏感に反応できるような、そして通告するだけじゃなくて、住民のみんなが対応できるようなことが描けないのかとか。
とにかくそういうことを考える、スタートする時期がもう来ているのではないかと思いますので、今年度の議論に入るかどうか分かりませんけれども、ぜひそういうことについ
ても皆さんのお知恵をと感じたので、申し上げた次第です。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
最後になりますけれども、五十嵐委員、お願いいたします。

○五十嵐委員 ありがとうございます。
皆さん御存じのように、昨年9月にUNICEFが、OECD38か国の中で、我が国の身体的健康は1位、心理的な健康は37位。38位はトルコでしたけれども、ブービー賞をもらったということは御存じかと思います。この3つ目のメンタルヘルスのことですけれども、日本は、死因別では、11歳から40歳まで自殺が第1位です。こういうことを評価されて、OECD38か国中、我が国の子どもたちのメンタルヘルスは37位という評価を受けているわけですけれども、小学校の2%、中高生の6%ぐらいが、実は鬱病性の障害があるにもかかわらず、気がつかれてもいない。
ということで、ここにメンタルヘルスに課題のある子どもへの対応について、支援の検討を行うと書いていただいたのは、もちろん大事なのですけれども、このメンタルヘルスの問題は、早期発見して早く対応しないと自殺につながってしまうわけであります。ですから、メンタルヘルスに課題のある子どもの早期発見のための仕組みについても検討していただきたいと思いますので、追加をお願いしたいと思います。
以上です。

○山縣委員長 ありがとうございました。
当初予定した時間にほぼ近づいておりますので、今日のところは、これで御意見のほうは一旦締めさせていただきます。
今日、冒頭、子どもの権利に関するワーキングの報告がございましたけれども、そこで、本人、子どもたち自身、あるいは元当事者であった人たちの声をしっかり聞く環境をつくりましょうと言われたのですが、本当に申し訳ありませんでした。中村委員と畑山委員、大人がわっとしゃべったもので、なかなか手を挙げる機会がなかったかもしれませんけれども、次回は権利擁護ということに絡みますので、私のほうから、場合によっては指名してでも御意見をいただこうと思います。次回、よろしくお願いいたします。
では、今後のことについて、事務局のほうからお願いします。

○野村企画官 次回の日程は、7月30日(金曜日)10時から13時を予定しております。
以上でございます。

○山縣委員長 次回は、7月30日の午前中、よくあるパターンの10時から1時ということになります。
本日はこれで閉会したいと思います。委員の皆様、長時間にわたり御議論いただきまして、貴重な御意見をたくさん提出いただきまして、ありがとうございました。これで委員会のほうを終了したいと思います。お疲れさまでした。
(了)

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