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2021年6月18日 第29回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 議事録
子ども家庭局家庭福祉課
○日時
令和3年6月18日(金)14:00~17:00
○場所
オンライン
○出席者
委員
相澤委員 安部委員 五十嵐委員 井上委員
榎本委員 奥山委員 河尻委員 北川委員
桑原委員 高田委員 坪井委員 中村委員
橋本委員 畑山委員 浜田委員 林委員
平井委員 藤林委員 松本委員 森井委員
薬師寺委員 山縣委員長 横川委員
事務局
渡辺子ども家庭局長
岸本審議官
小澤総務課長
中野家庭福祉課長
山口虐待防止対策推進室長
野村企画官
○議題
(1)家庭支援の取組に関するヒアリング
(2)その他
○配布資料
資料1 地域の子育て家庭に対する支援の事例
資料2 松戸市子ども部子ども家庭相談課長 長谷川様 提出資料
資料3 NPO 法人アンジュ・ママン施設長 小川様 提出資料
資料4 NPO 法人ピッコラーレ代表理事 中島様 提出資料
委員提出資料
参考資料1 委員等名簿
参考資料2 家庭支援の取組に関するヒアリング対象者一覧
資料2 松戸市子ども部子ども家庭相談課長 長谷川様 提出資料
資料3 NPO 法人アンジュ・ママン施設長 小川様 提出資料
資料4 NPO 法人ピッコラーレ代表理事 中島様 提出資料
委員提出資料
参考資料1 委員等名簿
参考資料2 家庭支援の取組に関するヒアリング対象者一覧
○議事
○野村企画官 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第29回「社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会」を開催いたします。
皆様、音声のほう、画面等々大丈夫でしょうか。
(首肯する委員あり)
○野村企画官 ありがとうございます。
委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日はウェブ会議にて開催させていただきます。
本日の出欠状況でございますが、熊川委員、倉石委員、宮島委員は御欠席と伺ってございます。
また、今回、ヒアリングをお引き受けいただきました松戸市子ども部子ども家庭相談課長、長谷川様、NPO法人アンジュ・ママン施設長、小川様、NPO法人ラーニング・フォー・オール、子ども支援事業部事業部長、入澤様、あきやま子どもクリニック院長、秋山様、光の園子ども家庭支援センター統括施設長、松永様、NPO法人ピッコラーレ代表理事、中島様に御参画いただいております。
今回の委員会は、傍聴希望者向けにYouTubeでライブ配信をしております。なお、本委員会では、これ以降の録音、録画は禁止させていただきますので、傍聴されている方はくれぐれも御注意ください。
それでは、これより先の議事は山縣委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山縣委員長 委員長の山縣です。改めまして、皆様、こんにちは。お集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日は、先ほど事務局から説明がありましたように、6団体のヒアリングが中心になります。
事務局から、資料の確認等をお願いしたいと思います。
○野村企画官 それでは、資料の確認をさせていただきます。配付資料は右上に番号を付してございます。
資料1、前回提出させていただきましたけれども、地域の子育て家庭に対する支援の事例、それから資料2で、松戸市から御提出いただいた資料、それから資料3で、NPO法人アンジュ・ママンのほうから御提出いただいた資料、資料4、NPO法人ピッコラーレのほうから御提出いただいた資料、ほか参考資料を配付してございます。
なお、基本的には、このヒアリング、資料1の支援の事例の資料を御活用いただくという形でお話をさせていただいております。
一方で、資料2、3、4、各団体から御提出いただいた資料を随時、松戸市、それからNPO法人アンジュ・ママン、NPO法人ピッコラーレのほうが御活用されるというところで御理解いただければと思います。
以上でございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、本日の進行について簡単に説明させていただきます。6団体というたくさんの団体がいらっしゃいますので、団体の方々には本当に申し訳ないのですけれども、1団体10分程度のプレゼン、加えて、委員の皆様との10分程度の質疑ということで、1団体20分強ぐらいを想定しております。
その後、残った時間で、前回までの議論や、本日のヒアリングを踏まえ、家庭支援の課題や方向性についてさらなる意見交換をしていきたいと思います。その際、団体の方々も一部残っていただいている可能性があるということだけをお伝えしておきます。聞いていただいているという前提で議論を進めていけたらと思います。質問等については、原則は前段のところで対応したいと思っています。
ヒアリングの順番ですけれども、参考資料2の順番どおりで、入れ替わり制でやっていきたいと思います。よろしいでしょうか。
では、早速ですけれども、松戸市子ども部子ども家庭相談課長、長谷川様よりプレゼンをお願いしたいと思います。長谷川様、よろしくお願いします。
○長谷川様 松戸市子ども部子ども家庭相談課の長谷川と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
松戸市では、児童虐待対応を担う子ども家庭総合支援拠点と母子保健業務を担う保健福祉センターの母子保健担当、そして子育て世代包括支援センター、当市では親子すこやかセンターという名称でございますけれども、この3つの機能を一つの課で一体的に取り組むことによって、妊娠期から子育て期の切れ目のない支援の実現を目指してございます。本日説明に使わせていただく資料は、資料1の2ページと、補足資料として、資料2によりまして松戸の取組について御報告をさせていただきます。
資料2の1ページをお願いいたします。松戸市の概要でございます。人口、年間出生数、児童人口等については御参照いただければと思います。
資料2の3ページをお願いいたします。こちらは、当課、子ども家庭相談課の組織体制になります。当課は、平成25年度に全庁的な組織改編で子ども部ができたときに、児童虐待対応、婦人相談対応を含む家庭児童相談業務を独立させて担う課として設置された部署でございます。
同時に、課内に母子保健担当室を設置し、母子保健業務を同一の課で行うことで、妊娠期からの切れ目のない支援を実現できる体制を整備いたしました。平成28年4月に設置しました親子すこやかセンターは、この母子保健担当室の中にある市内3カ所に設置している保健福祉センター内に所属しておりまして、保健師、社会福祉士、助産師を配置しております。
また、翌年の平成29年4月に、本課に子ども家庭総合支援拠点を設置いたしました。本課は、この支援拠点と要保護児童対策地域協議会の調整機関、家庭児童相談室を兼ねてございます。
4ページをお願いいたします。資料1の右上段と同様の図でございます。これは子ども家庭総合支援拠点と母子保健、要対協の当課の中で行っています役割のほうを整理したものでございます。
まず、左の部分、母子保健分野では、保健福祉センターの各種母子保健事業を通して、母子保健担当と親子すこやかセンターが児童虐待の予防、早期発見、対応を担います。また、中央部分の子ども家庭総合支援拠点では、資格を有する虐待対応専門員が家庭に寄り添いながら、時には指導を行い、迅速かつ丁寧な関わりを実施いたしております。
県との人事交流として、児童相談所から経験豊富な職員が派遣されており、本年で3年目を迎えます。組織力、個々の職員の対応力が向上してきていると感じております。
右の部分、要保護児童対策地域協議会である松戸市児童虐待防止ネットワークですが、調整機関である当課の職員全員に調整機関の役割を学ぶ研修会に参加させ、担当者として地域という面での連携のほうを強化してまいりました。
母子保健担当も含め、子どもの成長に伴い段階的に変化していきます時の切れ目を母子保健担当、親子すこやかセンター、そして子ども家庭総合支援拠点でつなぎ、支援に関わる複数の関係機関、関係団体の間を児童虐待防止ネットワークでつないで、切れ目のない支援に取り組んでいるところでございます。
5ページをお願いいたします。資料1の右下の図と同じものになります。上段の母子保健担当でございますが、従来より実施している乳児家庭全戸訪問や親子向けの健康教育、幼児健康診査など、様々な母子保健事業を多職種と連携しながら行っております。ここでは早期発見に尽力しており、ケースとしては、リスクの低い要支援ケースのほうを担当しています。
中央部分に記載の親子すこやかセンターは、妊娠期、産後の支援を手厚くするということを目的にしておりますので、従来の母子保健担当で個別支援してきたケースのうち、養育支援訪問事業を利用する家庭、本課が進行管理している要対協ケースを担当してございます。
一番下の部分になりますが、リスクが高い要保護児童ケース等は子ども家庭総合支援拠点が担当するという役割分担となってございます。
次に5ページをお願いいたします。資料1の左下段の取組実績についてグラフ化したものになります。御参照ください。
6ページをお願いいたします。妊婦支援における母子保健担当と親子すこやかセンターのケース分担についてお示ししたものになります。母子健康手帳交付時に母子保健担当の保健師が全数面接を行い、虐待予防の観点からリスクを判断します。具体的には、松戸市版の妊婦個別支援基準により、特定妊婦、ハイリスク妊婦、要支援妊婦の3つに分類し、要対協管理となる特定妊婦とハイリスク妊婦は親子すこやかセンターが担当、要支援妊婦は保健福祉センターの地区保健師が担当するというふうに分けてございます。
8ページをお願いいたします。松戸市版の妊婦個別支援基準になります。1から11に該当する場合は特定妊婦、もしくはハイリスク妊婦として親子すこやかセンターが、また、12から17に該当する場合は、要支援妊婦として保健福祉センターの地区保健師が担当するというふうに分けているものをお示ししてございます。
9ページをお願いいたします。その他、子ども家庭総合支援拠点と本課、親子すこやかセンターとの連携の例でございますが、本課の職員が行う入院助産の面接に親子すこやかセンターの社会福祉士等が同席し、情報や支援の方向性を共有しています。また、親子すこやかセンターが毎月行う養育支援訪問事業定例会に子ども家庭総合支援拠点の職員が出席し、支援方針を共有するほか、事業報告も共有することで現状の把握、確認等を行っております。
10ページをお願いいたします。最後になりますが、取組の効果でございます。児童福祉部門と母子保健部門を同一組織に設置したことで、システムの共有をはじめ情報共有、協議がスムーズに行える状況にございます。また、連携を行う上での課題が生じた際の解決が迅速に行え、これらは機動力のある対応につながっていると思っております。
同一組織で一体的に取り組むことは、指示命令系統が一本でございますので、このことは大変大きいと感じています。一方で、単に組織を一つにしただけでは連携はなかなか進まないということも現実としてございます。
今後も引き続き、児童福祉と母子保健分野それぞれが職務範囲を理解し、すき間を埋めるという行為を努力して行うことで、切れ目のない支援の実現を目指していきたいと思っております。
簡単ではございますが、以上で松戸市からの報告とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。時間を守っていただいて感謝します。
ただいまの松戸市さんからの説明につきまして、委員の皆様から質問、御意見をこれからいただきたいと思います。御質問等ある方は、いつものように、手を挙げる機能を使って質問いただけたら幸いです。うまく使われない場合は事務局のほうにチャットを使って連絡いただく、もしくは、取りあえず画面で手を挙げ続けていただくと対応します。
安部委員、お願いします。
○安部委員 西南学院大学の安部といいます。以前、ヒアリングに行かせていただきました。ありがとうございました。
質問が2つあるのですけれども、1つは、7番の妊婦個別支援基準のところで、例えば要支援項目が2つ3つ重なるとハイリスクになるのかなあとかいうような、単発でこれに該当というだけではなくて、軽いサインが重複するとリスク高まると思うのですけれども、それがこの基準にどう反映するかということをお聞きしたいと思いました。
2つ目は、松戸市の中での連携、すごくよく分かったのですが、児童相談所との連携がどのようになっているかということをお聞きしたいと思いました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。お願いします。
○長谷川様 ありがとうございます。妊婦個別支援基準のほうにつきましては、母子保健担当室の室長のほうが参加してございますので、室長から回答のほうをさせていただきたいと思います。私のほうからは、2つ目の御質問でございます児童相談所との連携はどのようにというほうを回答させていただきたいと思います。
児童相談所につきましては、個別ケースというところで連携のほうはうまくいっているという実感がございます。実際に要対協の委員さんになっていただきながら連携を深めているというところもございますし、それぞれのケースを通じまして、地区の担当、児童相談所の担当との個別支援会議への参加、助言をいただいたりするというところもスムーズに行えていると感じているところでございます。
また、子ども家庭総合支援拠点を設置いたしましてから、市の役割として、児相のように権限は有しないところでございますが、ケースワークを含め、やはり市町村の役割が重くなってきているなあというところも感じてはおります。市町村として支援する期間も長くなってきてございますので、市の強みを生かして、地域の社会資源の活用ですとか行政手続の支援ですとかいうところを含め、きめ細かく丁寧に寄り添った支援というところが市町村の役割かなあと思ってございます。
○山縣委員長 では、もう一方のほう、よろしくお願いします。
○西原様 母子保健担当室の西原と申します。よろしくお願いいたします。
妊婦個別支援基準についてですけれども、要支援妊婦の項目と重複して特定妊婦、ハイリスク妊婦の項目に当てはまる方は親子すこやかセンターで担当しております。
要支援妊婦のほうで幾つか項目が重なって判断に迷うような場合があったときにつきましては、保健福祉センターの地区担当保健師とカンファレンスを開きまして、地区の担当保健師で支援していくのか、親子すこやかセンターのほうで支援していくのかということで方向性を出しているような状況でございます。
○山縣委員長 今のお答えは、要支援のほうで2つの項目が重なると検討結果によってはハイリスクのほうに挙がっていくという。
○西原様 可能性もあります。
○山縣委員長 そういう可能性があるということですね。
その後、奥山委員、北川委員、浜田委員と手が挙がっています。これぐらいで大体時間かと思いますけれども、取りあえず、奥山委員、お願いします。
○奥山委員 ありがとうございました。2つほど伺いたいと思います。ハイリスク妊婦さん、それからハイリスクの家庭、お子さんたちを、発見するのはこういう形で発見するというのはよく分かったのですけれども、発見した時に、どのような支援をしているのか、その辺のところをもう少しお聞かせいただきたいと思います。つまり、支援内容に関してです。
もう一つは、先ほど、児童相談所との連携はすごくうまくいっていますというお話でした。私、それも聞きたいと思っていた項目なのですけれども、児童相談所は県で、市とすごくうまくいっているのだったら、母子保健と福祉が一本化したからうまくいってますという話とは矛盾しますよね。県と市でさえうまくいくなら、一本化の必要はないのではありませんか? 福祉と保健が一つの組織になったからとてもうまくいっているということであれば、人口50万近くある松戸市さんは児相を持つべきではないでしょうか。
児相との連携ということに関して、具体的に、福祉司指導の委託をどのぐらい受けていらっしゃるか、どのような形で受けていらっしゃるか、そこについてお聞かせください。よろしくお願いします。
○山縣委員長 よろしくお願いします。
○長谷川様 ありがとうございます。長谷川でございます。
具体的な支援内容という部分でございますけれども、発見した場合に、例えば一緒に同行訪問をまずさせていただいて、それぞれの家庭の持つ課題、アセスメントをして、課題を抽出します。それで、支援方針を決めていったりというふうな段階に進むわけですけれども、一番多いのは、その課題の解決をする既存の制度につなげるということが多いと感じています。
あと、医療につなげるというところでは、保健師の役割のほうが結構多うございますので、同行訪問をしたりということもやっているところではございます。
児童相談所との連携という部分でございますけれども、個別のケース支援というところでは、ケース検討をしながらうまく連携ができているという気はいたしてはおりますが、相談、通告のほうは市と児相と両方に入りますので、それぞれが主担当となって連携を、支援をしていくという現状です。
その中でお互いの市の強みの部分、または市から児相へ送致をして、権限を用いた一時保護等をしていただくというところでは、連携をしながら送致するというふうにはなりますけれども、具体的に児相のほうから福祉士指導の委託というところで、委託をされているというケースは現状ではございません。指導のほうは児相のほうにしていただき、市は市の役割の中で保護者の方に指導というか助言するというような状況になっております。
○山縣委員長 最後にあった児童相談所の設置についてはどうお考えですか。委員はつくるべきだという発言でしたけれども、基本的にはどうお考えですかということでいいと思いますが。
○長谷川様 ありがとうございます。50万都市でございますけれども、市の方向性としては、児相を市単独でつくりますという方向には今まだなってございません。千葉県のほうで児童相談所の設置を増設するとして、松戸市に県の児相のほうが、2026年を目途に設置されるという方向性が出されておりますので、そこと連携をしていきたいと考えております。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、北川委員、お願いします。
○北川委員 児童虐待防止ネットワークの中で、リスクの高い障害児部門との連絡・連携はどのようになっていますかということをお聞かせください。
○山縣委員長 お願いします。
○長谷川様 ありがとうございます。障害児の連携というところでは、市内の部署に障害福祉課というところがございますので、そこと連携させていただいて支援をいたします。また、いろいろなサービス、障害児の利用するサービスのほうがありますので、それを利用している場合には、その事業所も含め連携、連絡調整を頻回にさせていただいたり、実際に事業所のほうに行かせていただいたりしながら、一緒に支援をしているというような形で行っているという状況でございます。
○北川委員 ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、最後になりますけれども、浜田委員、お願いします。
○浜田委員 大阪の弁護士の浜田と申します。御報告いただき、ありがとうございました。
お聞きしたいのは1点です。取組の効果のところで、同一組織内においてというメリットをお伺いしましたけれども、今までの実践の中で、逆にこれはデメリットというような事象が何か出てきているかどうか、また、もしあればその中身について簡単に教えていただければと思います。
以上です。
○長谷川様 ありがとうございます。私、この課に来まして5年目になります。その5年前から一体的な取組の組織ができ上がったわけですけれども、5年目で、4年間終わって、デメリットと感じたことはないなあと思っています。ただ、うまく連携ができるようになるまではやはり時間はちょっと要しました。それは、今まで別々の部分でやっていたところが一つになりましたので、お互いに自分の守備範囲を主張するという部分が当初あったなあと思っております。その部分を少しずつ少しずつ、寄り添いながらといいますか、埋めながら役割分担をお互いが分かってくるようになるまではやはり少し時間が必要だったなとは感じています。
以上です。
○浜田委員 ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
大体当初予定時間になりましたので、松戸市さんからのヒアリングはこれで終わらせていただきます。松戸市のお二方、ありがとうございました。引き続き参加いただいても結構ですので、御判断はお任せします。
では、続きまして、NPO法人アンジュ・ママン施設長、小川様より説明をお願いしたいと思います。小川さん、よろしくお願いいたします。
○小川様 皆様こんにちは。NPO法人アンジュ・ママンの施設長をしております小川由美と申します。今日はよろしくお願いいたします。
私のほうからは、皆様に事前に配付させていただいた資料1、それから資料3のほうを見ていただきながら御説明していきたいと思います。
資料1のほうに載っている訪問支援というところの2つの事業を説明したいと思います。私が取り組んでいる地域の概要を少しお話ししますと、大分県豊後高田市という自治体、地域で取組をしております。人口は2万2000人ほどの地域です。そして、出生数は120人ぐらい。なので、1カ月に10人ぐらいの赤ちゃんが産まれるという超少子高齢化のまちで行っています。
そして私たちがいろんな事業を、子育て広場拠点であったり、病後児保育事業であったり、ファミリーサポートなど多機能にわたって子育て支援を行っている中で、この訪問支援というものの取組も行うことになりました。
概略はこちらの資料を見ていただきたいと思いますが、平成23年からホームスタートという訪問型の支援を行っています。これは地域のボランティアさんが傾聴と協働を主活動として、子育て中の方のおうちに訪問するというような事業になっております。こちら、今、登録の人数が50人ぐらいの方がそのおうちに訪問してもらっています。このコロナ禍の中で、広場もうちも閉所させていただきました。その中でも、相談支援は、支援は途切れていないよと、つながっているというメッセージを送り続けておりました。なので、結論から申しますと、この訪問型の御依頼であったり相談であったり、利用者支援事業などの事業も行っておりますが、そういった案件が増えていったというところが現場の声としてあります。
この訪問型の話に戻りますと、これは、仕組みの部分を右側のグリーンのところに流れを書いているのですが、単純に利用者さんの申し込みがあって、行くということで終わるわけではありません。利用者さんから申し込みがあった家庭に、まずはオーガナイザーという調整役の私やスタッフが訪問して、お母さんの困り事、ニーズ、どうしたいかというもの、お母さんのお気持ちを聞きます。そして、オーガナイザーと、ビジターと呼ばれる、ボランティアですが、そちらをお連れする。
ここの前に、マッチング作業といって、お母さんの困り事やニーズをどの方に行ってもらおうか、うちで言うと50人ほどの地域の方たちのいろいろな背景とか、こういったことならできるということを事前に把握しておりますので、この方に行ってもらいたいというマッチングを行い、そして、ビジターさん、ボランティアさんがお一人でそのおうちにボランティアで行きます。週に1回、2時間程度。なので、大体1カ月、延長したら2カ月などの形で訪問し、その後に、また私たちが、訪問どうでしたかということを聞きにお伺いし、そして終了というような取組になっています。なので、依頼があってすぐに一回訪問して終わるというような事業ではなくて、最低7回8回、そのおうちに訪問するというようなことをやっております。
私、一番最初に申し込みがあったときに訪問するのですけれども、そこから最後の評価のとき訪問したときのお母さんたちの様子はやはり違っていて、誰かが家に来てくれる、私の話を聞いてくれるというだけでこんなに心が軽くなるんだ、また、今このコロナ禍で外にも行けない、御主人からも出ることは止められているとか、そういった、でも、子どもにどう接していいか分からないというようなところに、先輩ママであったり地域の方たちが関わってくれて、その子どもさんの関わりをいろいろ教えてもらったりするということは本当に救われましたという声もあったりもします。
この活動は東京が主になっておりまして、全国で実は100団体ぐらいの団体が取り組んでいるものをさせていただいております。
その一方で、もう一つの事業、ママ家事サポートというタイトルですが、これは完全にヘルパー事業です。産前産後ヘルパーです。先ほどのホームスタートも妊娠期からのおうち、妊婦さんのおうちに訪問するのですが、やはり実際につわりがきついから買い物に行けないとか、おむつを買ってきてほしいとか、離乳食のつくり方が分からないからつくってほしいとかいうような完全なるヘルパーの事業も必要かなあということで、これは市と相談して、市の単費で行っています。なので、こちらの事業も、実績、下に挙がっていますが、そんなに多くはないのですが、それでもセーフティネットというような思いで、利用は入っております。
写真の様子を見てもらいたいのですが、ホームスタートのほうは、これは双子ちゃんのおうちにボランティアが行って関わっています。写真、料理をしているところは、本当に料理の仕方が分からない、どうしていいか分からないというところで実際にヘルパーが料理をしているという感じです。
こちらの場合は2時間500円という料金設定で行っています。ホームスタートのほうは無料で行っています。ただし、交通費のみ、ボランティアさんにはお支払いするというような取組をしております。
そして、別添でお送りさせていただきました資料3、ホームスタートのところにまた話戻るのですが、様々なプログラムを行っていることを御紹介したいと思います。訪問型の支援で、今、私どもは小さな地域ですけれども、やはり都会のほうにいくと外国人の方の支援であったり、多胎児産支援とか、今、人気というか、とてもニーズがあるのは妊婦さんの妊娠期からの支援というところの妊婦さんに喜ばれているというところが実感として感じます。
そして、私ども、その後、訪問の後に広場なども行っておりますので、広場にボランティアと一緒に行くとか、地域につながるというようなところの姿が多く見られております。
ずらずらっとパンフレットのほうを送らせていただいておりますが、資料の一番最後にホームスタートの効果というところで、大学の先生のほうが、野田先生がまとめてくださっているのですけれども、傾聴と協働だけで、お話を聞くだけで、どのような形の効果が生まれるかなあということを思われるかもしれませんが、やはりお話を聞いてもらったというところで満足度が上がっているというような数値なども挙がってきております。こちらのほうは行政とも連携させていただいております。
私どもの行っている場所、広場なのですが、行政が同じ建物内に入っております。なので、ワンステップ拠点になっております。母子保健もありますし、児童家庭相談員さんもいらっしゃいます。今で言うと児童手当とか、そういった申請とか、そういう子育て支援課の窓口もあります。その一番奥に広場をやっております。その場所で健診なども行っています。妊婦さん、母子手帳の交付なども行っています。なので、いろんなところの入り口から、様々な事業や広場や、そして人を知っていただくというところをとても丁寧にという形で行わせてもらっております。また、大分県のほうが子育て満足度日本一を目指すというところでいろんな子育て施策なども行っておりますので、その一助になればなという形で今関わっております。
私のほうからは、簡単ですが、取組のお話をさせていただきました。ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、先ほどと同じように、委員のほうから質問、御意見を伺いたいと思います。御自由に手を挙げていただけたら幸いです。
五十嵐委員、お願いいたします。
○五十嵐委員 どうもありがとうございました。確認ですが、このママ家事サポートは特に産前産後のためのケアではなくて、子育て、お子さんのいらっしゃる家庭に必要があるときにサポートに行くという、そういう理解でよろしいですか。
○小川様 五十嵐先生、ありがとうございます。これは産前産後というところに重きを置いておりまして、妊娠して、母子手帳交付から1年間という実は期限を設けております。やはり妊娠期からの切れ目ない支援というところに力を入れているところなので、妊婦さんを中心にと思っております。ありがとうございます。
○五十嵐委員 産後ケアというのは、お産の後には行かないのですか、そうすると。出産後の御家庭には行かないのですか。
○小川様 出産後の御家庭、行きます。子どもさんが1歳になるまで。なので、産後の家にも。
○五十嵐委員 1歳になるまでですね。分かりました。どうもありがとうございます。
○山縣委員長 産前産後で、産後は1歳未満ということだそうです。ありがとうございました。
では続いて、薬師寺委員、お願いします。
○薬師寺委員 御報告ありがとうございました。ちょっと制度的なことを確認させていただきたいのですが、ホームスタートの訪問支援というのは、国制度でいう養育支援訪問事業ということでよろしいのでしょうか。
○小川様 ありがとうございます。これは利用者支援事業の地域支援というところで私ども行っています。厚生労働省さんのほうから出していただいている利用者支援のところでも実は取組事例として挙げさせていただいておりまして、利用者支援で行っています。ママ家事は、本当にぜひちょっとお願いしたいくらいなのですが、市の単費で行っておりますので、何か事業になればなあということは思っております。
○薬師寺委員 ありがとうございました。
○山縣委員長 利用者支援事業の一般型を受託しておられるということでよろしいのですよね。その中の枠組みとしてこれを活用しておられるということですね。
○小川様 そうです。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、安部委員、お願いします。
○安部委員 ありがとうございました。西南学院大学の安部です。
公のところに興味があったのですけれども、市の窓口と母子保健と広場が一体的にあるというところだったのですけれども、設立の順番といいますか、その市の窓口、福祉の窓口と母子保健がもともと一緒にあったところに広場ができたのか、それとも、広場があって、母子保健だとか市が来たのかとか、その3つが一体になった経緯みたいなことをちょっと教えていただけるとありがたいです。
○小川様 ありがとうございます。経緯としては、その建物ですが、そこは平成14年に実は社協の建物だったのです。そこに平成16年に子育て支援課だけ、市の福祉事務所から分園という形で、まず子育て支援係が誕生しました。そのときに子育て広場が誕生しました。経過で言うと、平成16年に子育て支援係ができて、そして、広場が誕生しました。その後に保健師さんを呼びました。市のほうがですね。やはりここはワンストップ、ここに行ったら子育て中の人が何かが解決するのではないかというワンストップというイメージで、そこに後から保健師さんが来ました。その後にいろんな制度を行っていきました。母子手帳を配ったり、支援係が広くなったりというような経緯なので、福祉が、子育て支援係があって、広場ができて、保健師さんというような流れになっています。
○安部委員 ありがとうございました。最初から、ここに子育てワンストップをつくろうと思っていたわけではない。
○小川様 実は違うと聞いています。だけど、そこがとても利便性がよくて、やはり声を拾って拾って、豊後高田市、本当に行政さんが声を形に変えてくれるところがとてもありがたくて、1年1年変わっているというような感じです。
○安部委員 ありがとうございました。
○山縣委員長 ほか、ございませんでしょうか。
井上委員、お願いします。
井上先生、ミュートです。マイク外していただけますか。
できない? なぜだろう。申し訳ありません。ほかの方、いかがでしょうか。
では、ちょっと私のほうから1つ。少しお話はあったのですけれども、ホームスタートとかママ家事の中で、いろんな支援の必要なさらなる支援ですね。公的な支援が必要な御家庭等があった場合の役所とのつなぎ方ですね。逆に、ここの事業に対して、特にママ家事は単独の事業ですので、行政と直接の関係はないのですが、行政のほうから、こんな状況のおうちがあるんです、早目に行ってあげてくださいとか、そういう相互の関係というのはどれぐらいあるのかと、メリットはあると思うのですけれども、逆にそこにある困難さがもしあれば教えていただけたらと思います。
○小川様 ありがとうございます。今、物理的にも、建物内に保健師さんもいてくれてというところも話もしましたが、活動の取組も本当に20年近く一緒にさせていただいておりますので、保健師さんが全戸訪問した後に、その辺り、やはり気になる、あのおうち、養育支援まではいかないけれども、気になるというおうちのところであったりとか、そういったときには、保健師さんのほうもその方に声かけをしたりして、広場に連れてきてくれたりもしています。そして、そこで私たちと出会って、訪問型になったり。もちろん、このホームスタートというのは利用者さんの意思があって訪問ができるので、保健師さんが訪問したときに、こういった事業もあるけれども、どうですかというようなお声かけをしていただいて利用につながるというケースが実は非常に多いです。なので、入り口は保健師さんというところはとても多いです。どちらの事業もです。
ママ家事のほうも、本当に保健師さん、それから今、プレママ、プレパパ講座などもうちは行っておりますので、妊婦さんの支援というところで保健師さんのほうからつないでくれるというところ、どちらにもキーパーソンは保健師さんかなあというところで、とても丁寧につないでもらっております。
○山縣委員長 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。もう一方いけるかどうかぐらいの時間ですけれども。
どうぞ、横田委員。
○横田委員 ほかに誰もいらっしゃらないようなので。
父親のほうはどのようにこの事業に関わるということになるのでしょうか。
○小川様 ありがとうございます。実はホームスタートのほうとかも家事サポもですけれども、お父さんの申し込み、実際におうちにいらっしゃる方、お母さんが多いのですが、お父さんがやはり心配だと、妻が家で泣いていたり、子どもに対する関わりをとても不安がっているのでということで、お申し込みがお父さんということも見られております。なので、さっきのホームスタートであると、最後のモニタリングで私たちが行くと、お父さんのほうが、とても感謝していますとか、あと、広場に一緒に来てくれたりというような活動も見受けられることがあります。今本当にそういった関わり、お父さんのほうからの関わりというものもありますし、実際、シングルファザーのおうちであったりする、申し込みがあるときには、当然訪問もしておりますが、スタッフのほうが訪問しているというような形になっております。
○横田委員 ありがとうございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、予定の時間が参りましたので、アンジュ・ママン、小川様、本当にありがとうございました。
では、3番目の団体、NPO法人ラーニング・フォー・オール子ども支援事業部、事業部長、入澤様、よろしくお願いいたします。
○入澤様 よろしくお願いいたします。今、御紹介にあずかりましたラーニング・フォー・オールの入澤と申します。私からは、居場所支援事業の取組について御共有させていただきたいと思います。
それでは早速始めていきたいと思います。我々の課題意識ですが、課題を抱えている子ども、子育て家庭への支援が不足しており、特に学齢期のお子さんへの支援の制度、施策が整っていないところにあります。そういった課題意識に対してですけれども、我々の取組として、専門職やケアマネジメント機能を担い、他機関と連携して、虐待の早期発見、そして予防と同時に、子ども、家庭丸ごとの支援を行う居場所の運営をしております。
対象のお子さんについて少しお話をさせていただきます。こちらについては、資料に載っていないところですので、口頭での説明とさせていただきます。
対象のお子さんですが、困窮世帯のお子さんを対象としております。困窮世帯と言うときに、生活保護を受給しているであったり、就学援助、児童扶養手当、そして一人親の医療費助成など、そういったところを受け取っているお子さんを主な対象としております。
ただし、不登校や虐待ケースなど、将来の貧困リスクが高かったり、喫緊の対応が必要なケースというものもございます。そういったお子さんに関しては柔軟に受け入れをしております。
基本的に、6歳から18歳に対して居場所支援事業のサービスを提供しております。ただ、小学生については学童という形態で、そして、中高生についてはフリースペースという形で学齢期に応じて区切っており、サービスを提供しています。
続いて取組の概要について説明させていただきます。こちら、資料に記載のあるものでございますので、そちらも見つつ話を聞いていただければと思います。
3点ございまして、まず学齢期の子ども、家庭への支援です。安心安全な環境の空間の提供、生活習慣の形成や学習のサポート、進路相談であったり、毎日の食事の提供など、子どもの発達段階やニーズに応じた多様な支援を提供し、同時に、孤立した保護者への相談・伴走支援も提供しています。子ども、家庭丸ごとの支援を実施していると思っていただければと思います。
ちなみに、現場ですが、平日で週3日から5日で運営をしております。
続きまして2つ目、専門職によるケアマネジメントについてです。子ども、家庭の状況、アセスメントして、子ども一人一人の支援計画を作成しており、虐待の早期発見や予防や専門的ケアに努めております。
3つ目です。ハブ機能・連携です。こちらについては、学校や行政など多くの機関と連携をしており、居場所支援の現場につなぐとともに、必要に応じて、例えば困難度が非常に高いようなお子さんに関しては、改めて違う現場、社会資源にリファーしていく、つないでいくということをやっております。で、切れ目のない支援を届けております。
以上の3点についてですけれども、困窮世帯に対しては無償で実施しており、利用料は取っておりません。困窮世帯ではないが、虐待などの理由から入所しているケースに関しては、学童施設の料金を参考にしつつ、料金設定をして利用料を徴収しておりますが、基本的には困窮世帯を対象としており、無償で実施しているものと理解してください。
続いて、公的機関との連携の状況に関して簡単に御説明させていただきます。
行政との連携ですが、連携先として主にスクールソーシャルワーカーやカウンセラー、生活保護のケースワーカー、そして子ども家庭支援センターの相談係などと連携させていただいております。連携の内容としましては、まず、子ども募集についての連携があります。そういった行政の専門職から我々の現場を社会資源の一つとして保護者様に紹介してもらい、保護者様からの連絡をいただいて利用登録につなげているというところがございます。
続いて、子どもの日々の支援での連携というところがございます。気になることがあれば、いつでも気軽に報告、相談するというような信頼関係、間柄を築いておりまして、連絡・相談をさせていただいております。重篤ケースについては、より細かく報告をし、必要に応じて支援方針のすり合わせを実施しています。
最後ですが、支援体制の構築というところに関しても連携をしております。例えば研修についてです。子ども家庭支援センターの区の担当者から児童虐待における通告の仕方とかそういったところについて研修をしてもらう。居場所支援の職員に関して研修をしてもらうというようなことも実施しております。
また、通告のやり方などに関して、我々の団体が持っているマニュアル、フローみたいなものを行政の支援職からフィードバックをいただいて一緒につくっていくというようなこともやっていたりします。
また、加えてですけれども、今、行政との連携についてお話をしましたが、学校様とも連携をしております。近隣の学校、小学校、中学校、高校と連携をしております。連携内容に関しては、行政の支援職と同じく、子ども募集について、学校から社会資源の一つとして保護者に紹介してもらうということをやっております。
また、学校に関しては、学校の授業の中に居場所の職員が適宜ティーチャーアシスタントのような形で入るみたいなことも取組としてやっておりまして、教室の中でお子さんと信頼関係を構築し、大変なお子さんをその場で見つけて、学校の先生と共有、相談させていただいて、居場所につなげるような取組も行っております。
また、日々の支援に関しては、行政の支援職と同様、気になることがあれば報告、相談するということをやっておりますし、例えば学校の保護者面談に居場所の職員が同席をして、学校の先生との関係性が難しい保護者さんのサポートをさせていただくようなこともやっております。
続きまして、支援のマネジメントを含むソーシャルワークの状況について簡単にお話をさせていただきます。
団体のソーシャルワーカー、常勤から業務委託まで含めて4名おりまして、居場所支援の現場の子どもへのケースワーク、ミクロレベルのソーシャルワークをやると同時に、地域の社会資源の開拓などのメゾレベルのソーシャルワークを展開しております。
ケースワークについて言いますと、登録する全ての子ども、保護者についてのインテークの面談を実施しており、フェースシート、アセスメントシートといった情報整理、評価のためのシートを作成しています。その上で支援方針を定めており、その家庭全てにソーシャルワーカーが入っています。支援方針は、現場と連携しながら定期的に見直し、予防的な介入を心がけております。
続きまして、支援の対象者をどう設定し、どのように対象者を把握しているのかというところについて簡単に説明させていただきます。
基本的に、対象者は、お伝えしましたとおり、困窮世帯プラス緊急度の高いケースです。把握の方法ですが、行政の専門職や学校、地域の民生、児童委員からの紹介というものが多いです。ただ、一部、データベースを導入している自治体がございまして、そういった自治体と事業協定書を結んで、個人情報のやり取りを可能にしております。
そういったケースに関しては、自治体に関しては、データベース上でフラグが立った子どもに関して先んじて情報をいただくということで把握しているというのもあります。
続きまして、人材、職員のリクルート、どこから採用しているのか、どうリクルートしているのか及び養成方法について簡単に説明させていただきます。
リクルートに関してですが、居場所支援の現場のスタッフについては、転職希望者向けの、一般的によくある広告媒体に情報を載せて採用活動を行っており、採用しております。ソーシャルワーカーに関しては、つながりがあるNPO法人などからの紹介のケースが多いです。実態として、転職希望者向けの広告媒体に載せても、なかなかソーシャルワーカーが見つからない、採用に至らないというケースが多いためですね。
続きまして養成ですが、基本的にはオン・ザ・ジョブ・トレーニングでの育成をしております。ただし、団体としてコアとなる研修は開発、持っておりまして、そちらについて入職段階などで提供させていただいております。
最後、事業の予算はどこから来ているのか、補助事業の受託なのか、民間企業の助成を受けているのかなどというところについてお話をさせていただきます。まず、どこから来ているのか、つまり財源に関してですが、企業からの寄附金で運営しているパターンと、行政からの業務委託として運営させていただいているパターンがございます。
予算規模についてですが、現場、現場によって少しずつ金額が異なります。行政からの業務委託のケースが参考になると思いますので、2ケース紹介させていただきますが、まず、1つ目のケースですが、年間の予算2800万円で、週5日、20名のお子さん、小学校1年生から3年生のお子さんを対象に事業を運営しております。
一方、もう一つのケースに関しては、事業予算、年間で1000万円ほど、週3日、15名から20名のお子さんを対象にして運営をしております。
2つ目のケースのほうは少し金額は下がっているのですけれども、実際に我々としては人員不足のようなところを実感しておりまして、本来ならば、もう少し金額をいただけると現場としては大変助かると思いながら運営をしております。
10分というところで、もうそろそろ時間かと思いますので、私からの発表共有はここまでとさせていただきます。何か質問がございましたら、よろしくお願いいたします。
○山縣委員長 ありがとうございました。時間守っていただいて、感謝します。
では、委員のほうから自由に質問いただきますけれども、取りあえず安部委員、手が挙がっております。よろしくお願いします。
○安部委員 すみません。私ばかりで。
とても興味深かったのですけれども、ちょっとお聞きしたいのは、このような事業を全国展開、全国に同じようにするために何が必要なのかと、業務委託という話もありましたけれども、よく聞く話は、受け皿がないという話があったり、それから、いろんな意味で、全国で同じような活動を広げていくために何が必要なのかということをぜひお聞きしたいと思いました。
○入澤様 ありがとうございます。全国に子どもの居場所を広げていく、広めていくために必要なのは、やはり行政が予算化をして、しっかりと事業として展開することかなと思います。生活、学習支援事業のように、しっかりとメニュー化をして、そして各行政で取り組んでいただけるように予算をつけていくというのが必要かなあと思います。
やはり民間の団体でも子どもの居場所をつくっていこうというような動きはありますが、民間の団体ですとなかなか運営の体力がないところが大きいかなあと思います。広がっている子ども食堂のような運動がやはり限界になってしまい、月に1回、多くても週に1回のような運営になってしまうというところが多いのではないかなと思います。そういった意味でも、行政の事業としていくというのが大事かなと思っております。
続いて人材の確保というところがキーになるかなあと思っております。現場で実際に子どもたちと向き合っていると、本当に困難度の高い、そして様々な困難を抱えたお子さんたちがやってくるなと思っております。外国にルーツのあるお子さんもいらっしゃれば、虐待を受けている疑いのあるお子さんもいらっしゃれば、発達に偏りのあるようなお子さんもいらっしゃいます。高い専門性が求められるというところがございますので、どのようにして人材を確保していくのかが鍵になるかなあと思っています。
そういった意味で、実際にそういう人材が豊富にこの国に今いるかというとそうではないというところもあるかと思うので、養成の仕組みを築き、そして提供していくというところが鍵になるかなと思っております。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
続いて、浜田委員、畑山委員、薬師寺委員、奥山委員と手が挙がっています。一旦ここの4人で時間調整させていただきます。では、畑山委員、お願いします。
○畑山委員 ありがとうございました。具体的にどういった先にリファーをされるのか、どういった社会資源があれば子どもたちの支援がより居場所から、その後の支援のつながり、どういった地域の社会支援があればいいのかというのを教えていただきたいというのと、もう一点、支援計画の見直しを定期的に行っているということですけれども、どのぐらいの期間でそういった支援の見直しというのを行っているのか、ぜひ教えていただければなと思います。
以上です。
○入澤様 ありがとうございます。リファーの先ですけれども、子どもたちの困難に応じてあるのが理想だなと思っていまして、実際に社会資源がある場合はつなげていくということをやっております。虐待の疑いのあるようなお子さんに関して、よくあるのがネグレクトとかで、実際に行政に通告するのだけれども、結局児相にはつながらず戻ってくるというようなケースがあります。やはり社会の中で児童相談所の受け皿というところが大きくなると、より一層リファーができるかなと思っております。
次にあるケースが、発達に偏りのあるお子さん、グレーゾーンのお子さんというのがやはり多いなあと思っておりまして、療育につないでいくというところがよくあることになります。ただし、ここも発生することですけれども、保護者の方が障害に関して認知しないみたいなパターンもあったりします。そういったときというのは、伴走支援の期間がかなり長くなりますので、そういったところに関して、居場所の職員だけでなく、行政と協働で進められるようになるとつなげるということがより一層効率的、うまくできるかなと思っております。
最後、またこれもよくあるパターンですけれども、不登校のお子さん、家から出るのもなかなかしんどいというようなお子さんがいらっしゃいます。そういったケースに関しては、訪問支援のようなメニューが行政で用意されていたりするとうまく連携ができるのではないかと思っておりまして、そういったメニューが既に存在する場合は活用する、ない場合は拡充していくというところが鍵になるかなと思っております。
いただいた質問の2つ目ですが、どういった頻度で見直しをしているのかというところですが、それは現場の状況にも若干左右されるのですけれども、例えば年間で2回から3回ほどマイルストーンを設定しまして見直しをしております。例えば夏休み前のような長期休業期間前のようなところで絶対見直しをするとか、そのように年間でスケジュールを決めておいて、およそ3カ月から4カ月に1回見直しをしていくということを定期でやっております。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、続いて浜田委員、お願いします。
○浜田委員 弁護士の浜田と申します。今日は御報告ありがとうございました。
聞き間違いかもしれませんが、お話の中で、自治体と協定を交わして個人情報の提供を受けているというふうなお話があったかと思いますけれども、そこのところをもうちょっと御説明、御紹介いただければと思います。
○入澤様 ありがとうございます。子どもの包括支援を進めるといった事業内容で、行政様と事業協定書を取り交わさせていただいております。ある自治体の中で我々が一つのエリアを選びまして、具体的には小学校2つ、中学校1つの中で学習支援を、そして学校外に学習支援の現場をもう一つ設けるという形で、学習支援でない、学習・居場所支援の現場を設けるという形で事業を運営しているところがあるのですけれども、そちらを進める際に、効果的にお子さんたちに支援を届けるために連携を深くやりたいというところで提案をさせていただきました。その際に、やはり個人情報の壁というところが厚く存在しているので、そちらに関して、事業協定書の中で、お子さんの支援のためならばそういったところの取り交わしを可能にしましょうというところを定めております。
○浜田委員 ありがとうございました。よく分かりました。
○山縣委員長 では、続いて薬師寺委員、お願いします。
○薬師寺委員 児童相談所の所長をしております薬師寺と申します。大変貴重な御報告、ありがとうございました。
実際に今、全国でどれぐらいの地域で展開されているのかということと、細かい話ですが、この居場所、学校の現場であったり、公的な場所を借りてやっているのかとか、独自にまた借りられるのかとか、そういう運営手法についてお聞かせいただきたいということと、先ほどの個人情報の情報共有もあるのですけれども、実際に大変なたくさんの課題を抱えている御家庭を寄り添い型支援したときに、とてもNPOさんだけで問題解決できないということで先ほどの御質問もあったと思うのですけれども、その辺の要対協との連携とか、メンバーに入っていらっしゃるとか、そういった具体的な行政との連携での課題について感じてられることを教えてください。
○入澤様 ありがとうございます。まず、全国どこで展開しているのかというところですけれども、関東圏で現在展開しております。直接現場を持っているのは東京都の葛飾区、埼玉県の戸田市、そして茨城県のつくば市になります。ただし、我々のほうで団体としてノウハウ展開の事業をやっておりまして、間接的に全国の多くの団体にノウハウを展開し、間接的な支援をしているというところはございますが、基本的には関東圏で直接の支援をしております。
場所に関してですけれども、ここに関しては、現在、当団体が運営している居場所の現場に関しては全て我々で不動産屋さんと直接やり取りをさせていただいて、借り上げをしております。ただし、自治体様によっては、やるときに自治体からの契約というふうにすることもあるかなと思いますので、ここに関してはケース・バイ・ケース、状況に応じて決まるのかなとは思います。
最後3点目、要対協との連携を含めた行政との連携の実態、そして課題についてですけれども、要対協に登録されているようなお子さんが現場に実際に通ってくるということは全然あることですね。よくあるケースでございます。我々のほうではまだ自治体の中で要対協のそのメンバーになっているというわけではないのですけれども、ケースカンファなどが行われるときはもちろん出席させていただいて、当該のお子さんに関しての情報共有、提供をさせていただくということはやっております。
課題の部分ですけれども、やはり塩漬けになってしまうケースというのが多くあるかなと思っております。直接な身体的暴力のようなところですと、すぐに動いてくださるということはあるのですけれども、そうでないケースに関しては、見守りをしていきましょうというような形で、なかなか大きく前に進まないということは実際にやはり、マンパワーの問題などで起こってしまうことなのかなあと思っておりまして、そういった部分に関しては課題と認識しております。
○薬師寺委員 ありがとうございました。
○山縣委員長 続いて、奥山委員、井上委員。一旦ここで時間調整をさせてください。では、奥山委員、お願いいたします。
○奥山委員 ありがとうございます。幾つかあったのですけれども、今、薬師寺先生の御意見と同じところがあったので、1つだけ伺いたいと思います。
連携といっても、横の連携は先ほど来お話が出ていますが、18歳以降の支援との連携についてお聞きしたいと思います。18歳までとおっしゃっておられたのですけれども、結構中途半端なケースといいますか、先ほど課題でおっしゃったように、なかなか動けないようなケースって、そのまま18歳になると結構大変なケースもあるだろうと思います。その先との連携、先をどのように対応されているのか、その辺を教えていただけるとありがたいと思います。よろしくお願いします。
○入澤様 ありがとうございます。まず、居場所事業だけでなく、当団体の方針にも関わるところですけれども、我々が支援をするときに、6歳から18歳までの切れ目のない支援、そして18歳以降に関してもリファーができるようにというところを意識して、現場の展開をしております。
具体的には、1つ支援をするエリアを選んだときに、6歳から9歳までの現場だけを用意するのではなく、時間は多少かかるときもあるのですけれども、その一つのエリアの中で複数現場を設けて、お子さんの支援が途中で終わらないように配慮するということをやっております。
そういった社会資源が用意できない場合でも、必要な社会資源をリストアップしまして、挨拶回りなどさせていただいて、ケースを通じて連携していくというようなやり方でリファーしていくということをやっております。
おっしゃっていただいたとおり、本当に期間がたったときに初めて課題が発露していくといいますか、難しさが出てくるようなときもやはりありますので、そういったときに備えて、常に連携できるところを用意して進めていくというのが課題解決の方法かなと思います。
○山縣委員長 ありがとうございました。
最後になりますけれども、井上委員、今度は声が聞こえますでしょうか。
○井上委員 大丈夫ですか。
○山縣委員長 大丈夫です。声聞くことができてよかったです。
○井上委員 すみません。ありがとうございます。
今ずっとお話を聞かせていただいておったら、いろんな事業、プログラム、出てくるのですが、まず、アメリカでも同じような状態起こってきたときに、それぞれの事業がどこを対象にしているのかということをちょっと明確にしていただかないと分かりにくいと思いました。それでいろんな意見が出ているのではないかと思っています。
例えば一番として、市町村、あるいは県などの行政と関係があるのかどうか。2番目は、その中の母子保健、あるいは児童福祉、児童福祉の中でも子ども子育てなのか、虐待なのか、障害福祉なのか。そしてもう一つは学校教育。そういった細かいところのどこと一緒に連携しているのかとか、あるいはそれは全然関係ないのかとかいうことですね。それからあと、対象年齢が主としてやっているのはどこだということと、最後に、具体的な例を出してよければ、どういうところでこのようにやっていますということを言っていただくと皆さん理解が進みやすくなるのではないかなと思いましたので、すみません、一言言わせていただきました。
○山縣委員長 ありがとうございました。ただ、今からその形は難しいと思いますので、できるだけ質問という形で、共通の基本の枠組みは一応団体さんには提示してあるのですが、今のような視点、質問のところで対応させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○井上委員 分かりました。
○山縣委員長 では、予定の時間参りましたので、入澤様、ありがとうございました。時間を取っていただきまして、感謝します。
○入澤様 どうもありがとうございました。失礼いたします。
○山縣委員長 続きまして、あきやま子どもクリニック院長の秋山様、よろしくお願いいたします。
○秋山様 あきやま子どもクリニックの秋山です。よろしくお願いいたします。
私からは、3事業を紹介させていただきます。まず、小児科診療所における産後ケア事業の取組です。産後ケア事業は妊娠、出産、包括支援事業の一つで、当院では、2018年に三鷹市の委託によるデイサービス型を開設いたしました。定員2名、10時から16時まで、三鷹市民であれば利用料金は1800円です。2020年より宿泊型を開設し、10時から翌朝の9時まで、7200円で利用でき、17時から翌朝9時までの夜間のみの利用も可能です。生活保護世帯や低所得者世帯には減免措置の配慮があります。
利用方法は、三鷹市では保健師などによる妊婦全数面接を行っており、その面接の際に産後ケア事業が案内され、利用する場合には市に登録することになっています。妊婦面接の際に1万円の子ども券が配付され、産後ケアにその子ども券がよく利用されています。
登録すれば、1カ月前よりインターネットによる予約ができるようになります。妊婦面接によって市が把握したハイリスク妊婦や新生児訪問などでの情報は市から産後ケア施設に事前に連絡があり、その内容は、EPDS高値、育児疲れ、夫のメンタル問題などで優先をして対応しています。
産後ケア施設で聞き取った相談内容も市と共有しており、相談内容は、産後うつや一人での育児が不安、2人きりでつらく、育児放棄したかったなどがあり、泣きへの対応などの育児相談、夫やきょうだいなどの家族の相談もあります。産後ケア施設での内容は、小児科診療所も共有しており、スタッフへの助言、きょうだいや家族への相談は小児科で対応し、相談内容によっては要対協と連携することも念頭に置いています。
産後ケア施設は母親が心身ともに休息できる場所として、現代には必要な事業であると実感しています。課題は、ニーズが高まるにつれて、キャンセル待ちも多く発生することです。また、今後は父親へのケアも必要かもしれません。産後ケア事業は、妊婦全数面接というポピュレーションアプローチの受け皿になり、また、小児科診療所と連携することで妊娠期からの切れ目のない支援で虐待予防になると考えています。
次に、取組事例2のペアレント・トレーニングについて説明させていただきます。この事業は、当方の子育てひろばとNPO団体SomLic(ソムリック)との協働で実施をしています。ソムリックは、武蔵野市周辺の子育てひろばや児童館、保育所や母子生活支援施設など、約15年間、ペアトレを開催してきている団体です。
メンバーは、児童養護施設で働いていた児童指導員やベテラン保育士、研究者など児童福祉関係者で構成されています。費用は、参加者より、全6回とフォローアップとして3000円を徴収し、ほぼボランティアで活動しています。
ペアレント・トレーニングは、発達障害や児童虐待予防、育児不安の軽減に効果があるものです。体罰でない子育ての仕方を習得し、健全な親子関係の構築を目指します。現在日本では、ペアトレは数多くのプログラムが存在していますが、2019年度の厚労省障害福祉課の厚労科研にて、ペアトレに必要なコアエレメントが示されました。そこで昨年度より、ソムリック代表が所属している白梅学園大学子ども学研究所の研究として、市区町村や子育てひろばなどで実施しやすいペアトレが研究開発されているところです。
児童虐待や育児不安の予防を目的としているため、ソーシャルワークを主軸に置いたプログラムとなっています。基本的に、ペアトレの参加者は公募をかけますが、それと同時に、地域の子育てひろばや保育所などから気になる方をつなげてもらうケースもあります。また、ペアトレで気になった参加者については、本人に了解をいただいた上で、小児科診療所や地域の関係機関につないでいます。
ソムリックのような民間団体の課題は、民間であることから、行政機関と連携が取りにくいこと、助成金や研究費が取れたとしても、人件費に充てることができないこと。また、本当にペアトレが必要な子育て家庭は参加費を相当安くしなければ受講されないであろうことへの対応だということです。
次に、最後の3つ目の事業です。当院では、平成25年より医療的ケア児の日中支援を行う児童発達支援事業を行っています。また、当院が呼びかけ、三鷹市、武蔵野市共同の重症心身障害児協議会が平成26年より設置され、関係機関で両市内の医療的ケア児の情報を共有しながら、地域で支援体制を整備しています。当院はコーディネーターの役割を担っています。その協議会の取組として、当院の児童発達支援事業所に通うお子さんが週に1日、地域の保育所に通う併行通園スタイルに取り組んでおり、平成27年度にはそのガイドラインも作成しました。
併行通園で、医療的ケア児に児童発達支援事業所の職員が同行し、保育所の受け入れをバックアップしています。この取組の目的は、医療的ケア児への地域の理解が深まること、ソーシャルインクルージョンの具体化として、地域の保育所や学校に医療的ケア児の通所、通学が可能になり、保護者の就労も可能にすること。地域から離れたところで受けている療育を地域へ移行することで、障害児を育てている家庭を地域で見守り、孤立予防となることです。これは障害児・者への虐待予防になるとも考えています。
この事業は、最初は厚労省のモデル事業、次に民間の助成金、そして、現在は三鷹市の委託事業で行っています。併行保育の5年間の実績は、保育所等の体制整備、医療機関との円滑な連携、そして保育士等の知識、技術の習得やその強化で、三鷹市では、令和2年度より一般保育園における医療的ケア児入所につながりました。
また、平成3年度より、医療的ケア児が地域の公立小学校入学が可能となりました。ただし、課題は山積しています。エレベータなどの環境整備、看護師などの確保、そして、最も重要なことは、地域でともに生活してこなかったため、まだまだ障害への理解が不足していることです。先日成立した医療的ケア児支援法を心から歓迎し、障害児・者を身近な地域で孤立させずに見守る体制を願っています。
以上です。ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、同じように、御質問、御意見がある方は挙手を手を挙げる機能でお願いします。画面上でもできるだけ探すようにいたします。
では、安部委員、奥山委員、お願いします。
○安部委員 すみません。安部です。
お話を聞いているととてもすばらしいと思ったのですけれども、どうしても秋山先生のところはコーディネーターの役割を持っていてつながっているのですけれども、だから、秋山先生の活動はとてもすばらしいと思ったのですけれども、全国的にというか、ほかの地域でこのようにつなげていくために何が必要なのかと。みんな秋山先生みたいに、誰も動かんなら私がやるというふうな活動が長続きするわけではないと思いますので、これを全国的に広げていくために何が必要なのかということを教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○秋山様 御質問ありがとうございます。実際に私も手探りで行ってきましたので、そしてまた、この事業が実際に活用できると今実感をしてきたところです。ですので、これを全国で広げるためにはどうしたらいいかというところまではまだ考えが及びませんで、小児科診療所というのはかなり機能的に動けるということを実感しましたので、地域の小児科の先生方と各事業が連携していただければいいのではないかと思っています。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、続いて奥山委員、井上委員、横田委員の順番でいかせていただきます。まず、奥山委員、お願いします。
○奥山委員 ありがとうございました。ちょっと似たような質問になるかと思うのですけれども、同じ小児科医として、小児科の医療でやるメリットというのを感じておられるだろうと思うのですけれども、そこの辺りを少し教えていただきたいと思います。
例えばこうのとりのゆりかごなんかも、やはり医療がやっているというのは非常に大きかったわけですけれども、こういう事業を医療が束ねているというところのメリットを教えていただきたいことと、あと、3つ事業をされていて、結構持ち出しになっていないかなという不安があって、持ち出しになってしまうとほかに広がりにくさというのが出てくるだろうなあと思うので、その辺のところを教えていただければと思いました。よろしくお願いします。
○山縣委員長 お願いします。
○秋山様 ありがとうございます。まず、小児科医がやることですけれども、今、小児科医もバイオサイコソーシャルを取り組もうとしているところですので、実際に小児保健に関わるところが多く、小児科医がこれから取り組む領域ではないかと思っています。
それから、資金に関しては、やはり家賃補助だとか、いろんな委託の中には含まれていないお金のところに関しては持ち出しになりますが、幾つか事業をすることによってそれを補填し合っているというところでやっています。ですので、単独事業でやるとしたときには厳しいものがあるかもしれません。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、続いて井上委員、その後、藤林委員も手が挙がっております。井上委員、お願いします。
○井上委員 秋山先生、本当にありがとうございます。今日お話を聞いて、改めて先生が長くやってこられた形が今ここでこういう形ではっきりなってきたなと感じました。
先ほどの安部先生の意見にも関係するのですが、先生、今までずうっとやってこられた子どもの心の診療医制度の中に、特に小さい子どもさんたちを扱っていく小児科医として考えていった場合に、この産後ケアのところは外せないぞという考え、それから、発達障害の子どもさんとか育てにくさ、これも先生がずうっとテーマとされてきました育てにくさを持つ親子ですね。そういったところの方たちに小児科医としてどのように関わっていったらいいのかというのを出していかれたときに、このソムリックのようなペアトレの形でずっとやっていく、そういった方たちと連動してするということがやはりすごく意味があると思いました。
そして最後に、これもまた驚いたのですけれども、今まさに焦点が当たっております医療的ケア児のケアのところですね。ここも我々、地域でやっている小児科医として外せないテーマですので、先生ずうっと考えられていたことをそのまま全国発信していただいて、各都道府県の中にもう既にできている小児科ネットの中でこれをつくっていくことが必要だとはっきり言っていただくのが一番いいのではないかと思いましたので、先生への応援のメッセージも含めまして、発言させていただきました。ありがとうございました。
○山縣委員長 特段質問はなかったようですけれども、発信をということでしたので、何か、秋山委員、あれば一言。
○秋山様 このような機会をいただいて、今回発信することができて感謝いたします。またほかにも発信できるように頑張ります。ありがとうございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では続いて、横田委員、藤林委員、北川委員、一旦そこで時間調整とさせてください。まず、横田委員、お願いいたします。
○横田委員 御報告どうもありがとうございました。大変勉強になりました。
御報告の最後のところの令和3年度より医療的ケア児について地域の公立小学校入学が可能となったということとの関係で、その前の御報告の内容として、保育所への併行通園の御報告があったと思いますけれども、保育所についてはどうなのかということです。障害者差別解消法の動きもありますけれども、この保育所というのは公営と私立変わらずということでしょうかという御質問です。お願いします。
○秋山様 公設民営の認可保育園です。
○横田委員 私立はまだということですか。
○秋山様 はい。民営というのは社会福祉事業団が経営している保育園です。
○横田委員 ありがとうございます。
○山縣委員長 医療的ケア児が社会福祉事業団のところの保育所には入っているということですね。ありがとうございました。
では、藤林委員、お願いいたします。
○藤林委員 私も、小児科医療機関がこういった市民サービスを提供していくということで、その利用しやすさという点で非常に大きな特徴があるかなと思って聞いておりました。私のほうから、私がいつもこだわっている課題で確認したい質問が1点あるわけですけれども、利用者の費用負担という観点で、先生のところは、産後ケア、それからペアトレ、それぞれ幾らぐらいの利用料を取っていらっしゃるのか。先ほど、ペアトレのところで何か難しいというふうな御発言をされていらっしゃったと思うのですけれども、利用料を取ることによって、結局、利用しやすさが少し損なわれたり、本来は利用したほうがいい方が利用されなかった、そういう事例があるのかどうか、その辺も含めてコメントいただければと思います。
○秋山様 産後ケアに関しては、三鷹市民であれば大体1割程度の補助、利用者が負担しています。それから、ペアレント・トレーニングに関しては、先ほど言いましたように、この団体が助成金とか研究費を取ってきても人件費には充てられないということがあるので、ほとんどボランティアに近い状況でやっています。利用者からは、1回500円、6回で3000円もらっているわけですけれども、これは資料代、それからお茶代という形でもらっています。ですので、活動自体が、人件費とか出ないので、なかなか難しいところがあるかと思います。
それと、実際にペアトレを必要としている家庭に声をかけたくても、やはりお金の負担があると声をかけにくいというところがあるようです。
以上です。
○山縣委員長 最初のところで1割負担とおっしゃいましたけれども、実額で言うと大体どれぐらいの金額になるのでしょうか。
○秋山様 三鷹市民は1800円でデイケアが利用できます。宿泊すると、24時間で大体7200円で利用できます。これは恐らく民間だと夜間3万ほどかかるのではないかと思っています。
○山縣委員長 ありがとうございました。藤林委員、大丈夫ですか。
○藤林委員 24時間で7200円ということは、1週間宿泊すると、掛ける7ということですかね。
○秋山様 はい。産後ケア事業は1家庭7回までと決まっていますので、大体それで利用されています。
○藤林委員 それと、先ほどのペアトレですけれども、6回通せば3000円ということですけれども、例えば三鷹市との間で、市が持っているいろんな事業を先生のところに委託するなりで、ペアトレの中に公費というか、市の予算が入るような、そういう市との交渉とかそういうのは特にないのでしょうか。あくまで先生のところとNPOだけでやっていらっしゃるというふうな理解でよろしいでしょうか。
○秋山様 そうですね。このソムリックという団体がいろんな場所で活動していますので、その中の一つとして私のところを利用している。ソムリックさん自体が活動する場を探すのが大変で、もちろん、場所の提供をしてくれるところを探すのが大変だということがあります。
○藤林委員 分かりました。どうもありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
次、北川委員、その後、時間の関係がありますが、初めての発言ですので、菅田委員までお認めしたいと思います。そこで秋山委員に対する質問は終わらせていただきます。では、北川委員、お願いします。
○北川委員 秋山先生、どうもありがとうございます。私のところでも、医療型の児童発達支援センターと重症心身障害児の児童発達支援事業所を行っているのですけれども、昨年から医療型の児童発達支援センターを委託して、今までお母さんたちが、どちらかといえば訓練中心だったので、訓練に行けるお母さんが来ていたのですけれども、送迎をするようになったら、今までおうちにいた、どこにも行かなかった親子が来るようになって、その中に、子どもとの関わりが難しかったり、適切な関わりが、子育てがきっと大変だと思うのですけれども、できてなかったりする家庭があって、発達障害の子どもたちに比べると、この重心児や医療的ケア児の保護者のケアって余りやっていなかったなという実感があって、うちの場合は、ショートステイとかにつなげたりしながらその御家庭のケアをしていくわけですけれども、そういう大変な家庭が一定数あるということが分かったのですけれども、先生のところではそのような、何か障害のある子のお母さんのそういう困り感というのが、中心地の場合、聖域というか、なかなか難しい面もあるかと思うのですけれども、虐待予防とか含めてどのようになさっているのか教えてください。
○秋山様 私のところは、送迎は保護者、タクシーを利用して送迎をして、お母様方に連れてきていただくということをやっていますので、毎回、スタッフが保護者と話をする、場合によっては30分、1時間と話をしていかれるお母様方もいらっしゃいます。その中で心配になった御家庭に関しては、診療所のほうにもお母さん相談に来ていただいたりして、話をしています。また、これまで重心のお母さん方は訪問看護を利用し、それから社会への第一歩として、この児童発達支援事業所を使う。次の、もう一つステップアップするために私は保育所との併行通園を考えているのですけれども、子どもたちのライフサイクルの中で児童発達支援事業所がどこでどのような役割をするのかというところでの、次のつなぐ中間施設とでもいいましょうか、そういう役割をしたいと思っています。ですから、お母様方にも、ここに来て、次のステップは学校はとか、そこに向けた支援をしていきたいと思っています。
○山縣委員長 では、最後になります。菅田委員、お願いいたします。
○菅田委員 全国母子生活支援施設協議会の菅田と申します。よろしくお願いします。
秋山先生、ありがとうございました。大変勉強になりました。今の質問につながるような質問ですけれども、3事業やっていて、とりわけ産後支援事業であるとか、ペアトレの事業であるとかで、やはり気になる家庭というのは多く見受けられると思うのですが、その中で母子家庭ってどのぐらいの数というか、割合があるのかということと、あと、そういう母子家庭を発見したときにはどのような機会につないでいるのか。母子生活支援施設もペアトレ事業に入っているようですけれども、その点、よろしくお願いします。
○秋山様 まず、産後ケア施設に関しては、市から情報がありますので、その情報をもとに優先して対応しています。数的にはちょっと記憶にありませんが、ただ、今のところ、まだ2~3年目ですのでそれほど多い数ではないです。
それから、母子生活支援施設へのペアトレのことですけれども、これはソムリックの方からそこの内容を聞いておりませんので、また後日お知らせできたらと思います。すみません。
○菅田委員 ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
時間、若干オーバーしましたけれども、秋山様、本当にありがとうございました。
では、続きまして、光の園子ども家庭支援センター統括施設長、松永様、よろしくお願いします。
○松永様 皆さん、こんにちは。松永と申します。私のほうは、児童家庭支援センターでの短期預かり制度という事業についてお話を進めたいと思います。画面の共有をさせていただいてよろしいでしょうか。
○山縣委員長 はい。
松永さん、ちょっと待ってくださいね。
ごめんなさい。ちょっとこちらの画面がフリーズしているそうです。
松永さん、申し訳ないのですけれども、資料がなくても説明できるような概要とかがあれば、その分、時間は確保いたしますので、委員のほうに、必要な事項、基本的なこととかあればお話を願います。
○松永様 私たちの児童家庭支援センターでは、年間に240人ほどの子どもたちのショートステイや、それから里子のレスパイト、そして、一時保護の子どもたちのケアをしているところです。1回につき大体3泊4日が平均で、年間、3.5人ぐらいを毎日扱っているような状況ですけれども、今日は資料を使いながらちょっと皆さんにお話をしたいと思っていたのですが、私も余り慣れていないものですから、本当に申し訳ありません。画面共有はできませんかね。
○山縣委員長 こちら、まだフリーズ、ホストのパソコンがちょっと止まってしまって。
松永さんと、この後もう一方、中島様がありますけれども、ちょっと事務局のほうから連絡をいただいて、今、3時40分弱ですので、3時50分再開ということで、10分間休憩させていただきます。
(休 憩)
○山縣委員長 予定の3時50分になりましたので、再開したいと思います。
松永さん、本当に不具合で申し訳ありませんでした。時間、今からの開始ということにさせていただきたいと思いますので、委員の方々もそのことを御了解いただきたいと思います。
では、松永様、よろしくお願いいたします。
○松永様 改めまして、松永です。
光の園のほうでは、年間に昨年は240人ほどの子どもたちを預かりました。今、令和2年度の末で書いている部分になるのですけれども、1200日ぐらい宿泊をするような形で、1人当たり3泊4日ぐらいのサポートをしながら、24時間365日、夜間・休日・祭日の対応をしたところです。この短期の取組については、全体の取組と関係していますので、簡単に取組を紹介したいと思います。
私たちのところでは、児童養護施設本体施設を中心にして、本体施設では保育所、学童クラブ、美術館、児童家庭支援センター、児童館を一緒に運営をしています。北と南に300メートルほど離れたところに拠点のⅡと拠点のⅢがあります。20年ほど前に私の前の施設長が、今日の委員をなさっている山縣先生や奥山先生、そして、特に井上先生のお話を聞きながら施設の改革をしていきました。
当然、子どもたちが安心して暮らせる家をつくるということで、小規模化や地域分散を進め、同時に多機能や高機能の機能を踏まえることで、地域の子育て指導、お母さんたちのお守りになるような施設づくりをしてきたところです。とにかく地域に愛される子どもの福祉施設にしようということが私たちのコンセプトで、本体施設に移された児童家庭支援センターと、それから別府市の子ども家庭総合支援拠点の委託を受けて、これを中心に、学童クラブ140人、それから保育所が70名、毎日利用するような施設になっています。
子どもたちの暮らす家のほうは、地域に4つ分散して、今生活しているところです。今日も15組のお母さんと赤ちゃんが児童館に遊びに来て、一緒に過ごしています。
写真で見ますとこんな感じになります。地域の子どもたちが自由に利用できるような施設に今なっているところです。児童館では、ベビーマッサージを毎月1回、それから、ちちんぷいぷい「お母さんの会」や「子どもの会」、こういうものを通しながら、地域のお母さんと子どもの関係を育てる行事を組んでいます。
児童家庭支援センターでは、発達障害の子を持つ親の会や、それから、学校の先生たちが発達障害の子どもについての支援方法を学んだり、不登校児童への働きかけ等を小児精神科医と一緒にできるような「ひとりからの会」というものをやっています。それから、要対協の実務者の人たちの勉強会として、弁護士を塾長として、産婦人科のお医者さんにアドバイザーをしてもらいながら、児童家庭支援センターで毎月1回、市役所のホールを借りてみんなで勉強する「こども福祉塾」というものを開催しているところです。
それから、学童クラブを利用している140人の子どもたちのお母さんやお父さん、それから保育園の保護者に対して、児童養護施設で気がついた子育ての知恵というものを分かち合うことができるような小さな本をつくって、子どもが泣いたときの関わりや、病気したときの関わり、お風呂や、髪結い、抱っこのやり方みたいなものが伝わるようなものをつくって、一緒に勉強会をしているところです。
このショートステイですけれども、短期に預かる事業はスペシャルケアの一つだと感じています。特に里親さんをサポートする、そのことは、具体的にはレスパイトが一番お互いに共有できる養育だなあということで感じているところです。
山縣先生が国連の子ども権利委員会が日本の国に対して求めていることを6つにまとめていますが、この2と3の一時的、短期的な預かりを含めたスペシャルサポートや里親のサポートが少ないなあということを感じているところです。この社会的養育に関しては、朝から夕方までの支援、プラス、夕方から翌朝までの支援、夜間・休日・祭日のサポートがとても大事で、必要に応じて子どもを預かる、そういう機能が制度的に整っていかないと子ども家庭総合支援は難しいのではないかなということを現場にいて感じている。
1年間の子どもたち預かったものをカレンダーにしているのですけれども、青が里子、赤がショートステイ、緑が一時保護です。4月がこんな状況で、昨年の5月、コロナで学校が休んでいたとき、6月になると学校の先生たちからのお話もあって、どんどん増えていきます。9月、10月、11月、12月。お正月も預かることになります。で、2月、3月、4月、5月というふうになっていて、この半年は、一日も預からなかった日はありません。ショートステイの数も毎年どんどん増えていっている状況です。それから、一時保護の数もどんどん増えていっていて、レスパイトはでこぼこがありますけれども、レスパイトしていた子どもは里親さんがギブアップして施設のほうで預かるということが起こっています。
最後になりますけれども、特別な子どものための特別な場所、お医者さんであれば、そこの病院に行けばこの病気は治せるというような尊敬と信頼を受けることができるのですけれども、子育て支援の場所というところは、看板を掲げたスペシャルケアではとても難しい。つまり、差別、あるいは区別されるようなことが起こってくる。ですから、地域にとって子どもを支える「温かい場所」であって、誰でも利用できる「安心感」とスペシャルケアはさりげなく口コミで広がっていくような流れをつくっていきたいと思っているところです。
必要に応じて子どもを預かる機能を備えたところを全国につくっていってほしいし、それから、本体施設での子どもの育ちと暮らしを守る機能を経験したスタッフたちがこのことに参画していく。つまり、夕方から朝までの支援をさりげなくできているような場所を広げていってほしいなあということを思っているところです。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。松永様、ひょっとしたら、途中でお子さんの名前がカレンダーに入っていたのではないかと。できるだけ実名等は出さないで、ほかのところでもプレゼンしていただくほうがいいのではないかと思いました。ごめんなさい。
では、委員のほうから、今までと同じように、挙手をいただいて質問いただけたらと思います。
藤林委員、お願いします。
○藤林委員 松永先生、とてもすばらしいプレゼン、ありがとうございました。さりげないスペシャルケアというその言葉が、確かにそうだなあと思って聞いておりました。その中で、ちょっとショートステイについてお伺いしたいことが1点ありましてお教えいただきたいと思うのですけれども、私も、ずっと以前、光の園さん、訪問させていただいて、別府市のほぼ真ん中にあるというイメージがあるのですけれども、児童家庭支援センターとして、多分、別府市だけがショートステイの委託をされているのか、ほかの近隣の市町からもショートステイを受けるような仕組みをしていらっしゃるのか、その点を1点確認したいということと、それから、別府市も広いと思いますし、特に近隣の市町になると結構遠かったりするので、中には光の園までショートステイのために子どもを連れていくことが困難な家庭とか、または車の免許を持たない家庭なんかあった場合に、例えば送迎ということなんかを考えていらっしゃったり実行していらっしゃったりしているのかという、その辺何かお考えがありましたらお教えいただきたいと思います。
○松永様 1点目ですけれども、別府市だけではなくて、大分市、別府市、別府市の隣の玖珠町、杵築市、こういうところからショートステイを預かっております。今年から、余りにも数が増えてきたものですから、大分市はお断りしました。
あと、送迎の件ですけれども、基本的には連れてきていただいています。そして、別府市内であれば学校に送迎するのは、お迎えしたりするのは私たちのほうでさせていただいております。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では続いて、河尻委員、横川委員、奥山委員。まず河尻委員、お願いします。
○河尻委員 松永先生、ありがとうございました。武蔵野学院の河尻と申します。よろしくお願いします。
まず1点目は、里親家庭の支援もされているのですけれども、これは光の園の児童養護施設に入所しているお子さんの家庭養護への移行、あるいは、その移行後の支援といったものも含まれているのかどうかという点についてお伺いしたいのが1つです。
もう一点は、光の園というと、僕のイメージは、長い歴史があって、地域に根差した児童養護施設というようなイメージがあるのですが、その児童養護施設に付置されている児童家庭支援センターの取組として、児童養護施設に付置されているメリットというものはどのようなところがあるのかというところについて教えていただければと思います。
○松永様 1点目は、私たちの施設から里親のところに行った子もいますし、それから、一時保護で児童相談所から、初めから、この子は里親に委託するということで、3カ月ほど一時保護をして、その間にマッチングを何回も繰り返しながら里親さんのところに行くということもあります。私たちのところから里親さんに委託されていた子どもたちは、私たちの家が、光の園が親戚のうちのような形で、時々、里親さんの用事のときにお預かりしたりして、里親さんをサポートするというようなやり方です。
それと、児童養護施設に付置された児童家庭支援センターとして、私たちの施設は、今、数は少なくなってきましたが、20人ほどの独身の職員たちは、園のそれぞれの家に住み込んでいる。そして、児童家庭支援センターの建物にもスタッフが住み込んでいて、夜の対応や、それから、何か起こったときの困ったときの対応を一緒にセンターの職員なんかとするということで、やはり子どもにとっても安心感はあるだろうと思いますし、それから、児童家庭支援センターのスタッフだけでは24時間365日のケアは無理と思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、続いて横川委員、お願いします。
○横川委員 すみません。全乳協の横川です。よろしくお願いします。
2点質問があります。1点目は、ショートステイ、レスパイト、一時保護を、非常に積極的に受けておられるという状況についてです。その中で、専用施設、専用スタッフというような形は確保できでいるのかということと、受け入れ人数の上限は設けなくてもやっていけるだけの体力があるのかということがです。
もう一点は、児童養護施設と児童家庭支援センターの統括施設長として、職員の意識の持ち方がそれぞれ若干違う部分があるのではないかと思われます。その辺りの組織内の人事異動も含めた意識レベルの共通化という部分について教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○松永様 スタッフについては、児童家庭支援センターのスタッフが3名、それから、別府市の子ども家庭総合支援拠点の委託が2名、それから、児童養護施設の里親支援専門相談員は、児家センに私のところの場合は仕事場を置いています。基本的にはこの6名が児童家庭支援センターの仕事を一緒にやっているような状況です。
ケースについては、基本的には3ケースまでというふうに上限を設けています。でも、1ケースで3人きょうだいというようなこともありますから、一番多いときには10人ほどをお預かりすることもあります。
それから、職員同士の関係ですけれども、基本的には児童養護施設で住み込んで、そして子どもたちと一緒に3年ぐらい暮らしたスタッフを地域支援型に持っていくというやり方を法人はしています。ですから、児童養護施設で人材を育て、その中で専門職の資格を持ったスタッフたちを児童家庭支援センターや子ども家庭総合支援拠点や保育所、それから学童クラブというふうに、基本的には児童養護施設から全体のスタッフを養成していくというやり方でしていますので、共通意識はとても持ちやすいのではないかなと考えております。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、奥山委員、その後、林委員でお願いします。奥山委員、お願いします。
○奥山委員 ありがとうございました。今日はショートステイのことを中心にお話をいただいたと思うのですけれども、ショートステイをやられていても、それから、ほかのところでも、ハイリスクな御家庭というのは結構あるだろうと思うのですが、そういう御家庭の、例えばアウトリーチ的な在宅の支援というのも児家センでなさっているのか、それともそれは市でやっていて、そこと連携する形になるのか、その辺のところを少しお伺いしたいと思いました。
○松永様 奥山先生、大変お世話になります。いろいろ先生にアドバイスいただいて、ありがとうございます。
私のところでは、ショートステイはやはり社会的養育のスペシャルサポートの必要なケースがすごく多いと感じています。ですから、私たちはアウトリーチも当然、その預かったケースをサポートしていく。市のほうも、逆に私たちのほうを頼っています。そして、本当に難しいケースは、児童相談所の指導委託というものを受けて、定期的に訪問できるような形をつくっているところです。
以上です。
○奥山委員 すみません。それに加えて1つだけ財政的なことをお伺いしたいと思います。そういう指導委託を受けて訪問したりするということに関しての、ある意味、今の形で足りていると思っていらっしゃるかどうか、その辺のところを教えていただきたいのです。
○松永様 非常に厳しい状況なので、やはり制度をきちんと整えていただきたいなあというのはあります。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、林委員、お願いします。
○林委員 2点あります。1つは、入所児童に対して高機能化ということを掲げられていたのですけれども、具体的にどんな支援をされているかということと、それは通常の措置児以外に、例えば里親委託とか、そうしたお子さんに対しても提供されているのか。もし提供されているとしたら、それはどういう事業枠組みの中でやっておられるのかということ、高機能化についてお聞かせ願いたいということと、2点目は、ショートについて、利用できる子どもの年齢とか、あるいは費用負担について、そういうことを中心にした、何か課題として感じられていることをお聞かせください。
以上です。
○松永様 高機能化については、そんなにたくさんのことはできませんが、里親家庭に行っている里子の手助けをしたり、そういうことを今始めているところです。それから、発達障害の子どもたち、それから保護者へのサポートも意識してやっているということぐらいだと思います。ショートステイ等の年齢については、本当に1歳ぐらいから18歳ぐらいまでの子どもたちを幅広く受けていますので、みんなで児童養護施設で経験した私たちの関わりを十分に生かしながら児童家庭支援センターで努力をしているということです。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
大体予定の時間になりましたので、松永様のヒアリングは終わらせていただきます。前半不手際があったこと、本当に申し訳ありませんでした。ありがとうございました。
では、最後になりますけれども、NPO法人ピッコラーレ代表理事の中島様、よろしくお願いいたします。
○中島様 よろしくお願いします。NPO法人ピッコラーレで代表をしております助産師の中島と申します。
今日は、豊島区で実践している若年妊婦のための居場所、ぴさらという場所の実践について皆さんに知っていただく機会をいただいて、本当にうれしく思っています。ぴさらは運営を始めてからようやく7月で1年になる、本当に始まったばかりの取組ですので、様々な御意見をいただけたらと思っています。
取組の概要ですが、私たちピッコラーレは、「にんしんSOS東京」という、妊娠にまつわる全ての困った同志に寄り添いますという葛藤相談窓口を運営しています。こちらは実施事業として運営をしていて、全国から御相談をいただいているような状況にあります。この相談の中で、電話やメールの相談だけではなく、実際にお会いしたりということが必要なケースが、ハイリスクの方、特にあるのですね。その中で、実は居所がない、ネットカフェにいるとか、SNSで知り合った男性宅にいるという妊婦さんにお会いしてきました。
ただ、そのような方にお会いしても、私たちはつなぎ先が本当にないということをこれまで6年間の中で経験してきている中で、私たち自身が、宿泊も可能な妊婦のための居場所というのを運営する必要があるのではないかということで始めたという経緯があります。居場所があれば、まず安心してゆっくりと考える時間の確保ができるのではないかということを考えておりますし、あと、この場所は妊娠の何週からでも使っていただけて、しかも、妊娠中もそうですけれども、産後も含めてお使いいただける、また、産むか産まないか決まっていなかったとしても、中絶を選択する場合でも中絶後の方であっても利用が可能というふうにしています。
それで、ちょっと大事だなあと思っているのが、妊婦であるということに対する私たち社会のまなざしが本当に不足していると思っているのです。特定妊婦と言ったときには、精神的なリスクと社会的リスクがあるということは皆さん議論されているかなあと思うのですけれども、彼女たちは、妊娠は病気ではないかもしれないのですけれども、それまでの成育の中だったり生活の中で身体的なリスクを抱えているという状況にある方が多いです。合併症を持っていたり、精神疾患を既に抱えているとか、そういった様々なリスクを持っている方に対して必要なケアというのが何なのかとか、彼女たちにとって適切な居場所が何なのかということを考えた受け皿が必要だと思っています。
特定妊婦という言葉は児童福祉法の中に書かれてはおりますけれども、彼女たちのための制度とかいうものは見当たらないのが今の現状かと思います。居場所がない妊婦と会ったときに私たちどうしているかというと、売春防止法とかDV防止法を根拠法とする制度や支援になっていて、例えば行政につないでいったとき、どのようにつなぐかというと、未受診で、もうおなかが大きいとなっても、直ちに病院というふうにならないケースもあるのです。居所がない場合ですね。そういったときは、女性相談、福祉事務所、あとは児家センですとか児相に連携をしていくということが必要になってくるのですが、それぞればらばらな場所にあって、どこからつないでいくかとか、それらの皆さんとの情報共有みたいなところでいつも苦労をしている状況でした。
厚労省の皆さんが私たちの話を聞いてくださって、若年妊婦等支援事業というのを参加はしてくださっているのですけれども、これは補助率2分の1なので、実際には動き出すまでかなり時間がかかるのかなあと思っております。うちの取組というのは、ここの部分、特定妊婦等に対する産科受診等支援とか、あとは緊急一時的な居場所の支援というところに当たるかと思います。
それで、居場所の事業、ちょっとこれはうちの場がどんな感じかというのを見ていただけたらと思いますが、豊島区の空き家利活用事業の一環で、一戸建てのおうちをお借りしています。1階に個室が2部屋あって、2階がリビングダイニングキッチンということになっています。
2階の様子はこんな感じですね。ここにいるのがスタッフです。机が3つ、ダイニングテーブルがあって、今、コロナなのでみんな分かれて座って食事をしたりしています。キッチン、すごく広くて、一緒につくったりもできますし、奥に沐浴ができるシンクが用意されていたりします。
訪れた子は、自分の部屋で休むということもあるのですけれども、2階のこういうベッドで横になって私たちのケアを受けたり、マッサージですとかお灸をしたり、助産師がたくさんいるので、そういうケアをしたりもできますし、自分でヨガしたりストレッチしたりお散歩に行ったりということもできます。あと、食事は、給食があるわけではないので、食べたいもの、食べられるものを一緒に考えて、献立を組み上げて、そして食べてもらうということをやっています。
行事なんかも一緒に祝ったりということをやっていて、実はここを利用した子が次の居場所に行った後も、100日のお祝いで利用してもらったり、赤ちゃんの様子を知らせてくれるという形で訪問したりということが起きているので、その中でいろいろな関わりを持っています。
あと、居場所ができたということで、様々な寄附物品を私たちのほうで持つことができるので、既に利用した方ですとか、過去の相談者さんに、パントリーのような機能で物を送ったりとかいうことをする拠点にもなっています。
実はステイだけではなくて、デイの利用もありまして、そのデイの利用の中では、ユースクリニックのような形で、保健室のような利用の方法があります。ここに来て、検査薬ですとか避妊具というのをお持ちになっていただいたり、使い方をちょっと学ぶみたいなこともやっています。
それで、ここは、すごく大事にしているのは、シェルターではないのですね。なので、地域に開かれた場所として運営していて、ここに来れば、ゆっくり、まずは自分の未来のことを考えたり、妊娠中健やかに過ごすとかいうことができながら、その中で様々な人とのつながりが得られるということを大事にしています。様々な地域の人とのつながりができることによって、次の場所に行った後もまた訪れてもらうことができるようになっています。
実は、屋根があって寝る場所があればいいだけではないという中で、彼女たちにとって必要なもの、ファンクションが幾つもあると思っているのですね。それを訪れた妊婦さんに合わせて、ちょっとこの場を伸び縮みさせるような形で、それぞれの機能を用意していくということをやっています。ピッコラーレだけではここができないので、地域の連携先と一緒に動かすということをやっています。
これまでの利用ですが、15名の方がステイの利用をしています。新生児が2名、あとは、上の子がいる方というのも行き場所がないのですね。なので、上の子がいる方が上の子と一緒に利用するとか、あとパートナーが泊まったりとか御友人が泊まったりということも今までにありました。妊娠の継続を希望しているけれども、居場所がなくて、妊産婦支援施設に入るまでの間の利用ですとか、あとは、DVがあって、妊娠期からの継続支援が必要な方が産後ケアのため、この方は里親に出したりということをしているのですけれども、その後のケアをするとか、あとは、上の子いる方というのが、一時保護所のほうに上の子を預けないと妊産婦支援施設に入れないというような状況もあったりする中で、それを拒否されて、そのままネットカフェにいたいというような状況があったりする方がうちを利用されたりということが起きています。
実際には、かなり私たちの窓口に入ってきた方の利用を想定していたのですけれども、公的な機関との連携の中で動いている状況があります。社会的養護の中で育った女性の妊娠をキャッチした元担当者さんからの相談でつながるケースとか、あとは行政の窓口で既にキャッチしているのだけれども、既存の支援、婦人保護施設とか民間のシェルターでは対応困難なケースについて問い合わせが来た後に利用に至ったケースもありますし、女性相談さんから一時保護委託という形で契約を交わしてという利用もありました。
なかなか私たちだけでも公的な支援なしでその方の暮らしを組み立てるということはできないので、利用者のほぼ全てのケースで行政との連携があります。ただ、一方で中絶を選択する場合は公的支援が存在しないことがあるので、かなり民間団体とか民間の様々な支援を使うということが多いかなあと思っています。
連携先との情報共有の了解が得られれば、皆さんと情報共有をして、リスクの共有というのができると思っていて、それをすることによって、実際、要対協のほうに私たちも出席しながら、私たちがどこを担うのかというのを皆さんと一緒に再定義するようなこともあって、コロナの中ではズームの会議にて遠方の方の要対協に参加するということも起きていました。
この中で皆さんに要望という形で資料のほうにおつけしたものは、今日は時間の限りがあるので全部お話しできませんけれども、私たちが出会っている方、ハイリスクの方のように思われるかもしれませんが、もっと手前で公的な支援を、もっとポピュレーションアプローチで整備することができれば、かなり早目にキャッチしたり、この場所に来るまでもない方というのも多くいらっしゃると感じております。ぜひ全ての妊婦が必要な支援が受けられるような状況を社会の中に整備していただきたいと思っております。
以上になります。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、委員のほうから質問を受け付けたいと思います。よろしくお願いします。
横田委員、お願いいたします。
○横田委員 御報告ありがとうございました。大変勉強になりました。
御報告の中で既に御説明いただいたかもしれないのですけれども、開かれた場所だということなので、利用者さんの数を報告いただきましたが、利用者さん同士が関わり合うということはどうなのでしょうか。対象者の方の中には中絶の方もいらっしゃるわけですよね。ほかの利用者さんと一緒にいるのはどうなのだろうと思ったりもしたのですけれども、そこら辺はいかがでしょうか、お願いします。
○中島様 ありがとうございます。問いとしてよくある問いかなと思うのですけれども、事前にこの場がどんな場所なのかというのを御説明して利用いただいているので、私たちとしては、特別に中絶後だからとか、出産後だからという形で関わらないようにとかいう配慮を特にこちらがするということはありません。ただ、本人が食事を例えば部屋で取りたいという場合は部屋で取れるように配膳するとか、そういう関わりはしています。本当に自然にこの場にいるという、大勢ではないのですね。2部屋なので、2部屋の中で緩やかにお互いちょっと様子を見ながら関わっていくということが生まれているのと、必ず1対1になることはなくて、私たちが間に入っているというような状況があるので、本当に御本人の気持ちと、あとはどうしたいかというニーズを確認しながら毎日運営しています。今日はみんなで一緒に食べたいけど、ちょっと今日は違うとか、そういったことがあったりしますので。食べたいものもちょっと違ったりするので、その辺りもかなりその方のニーズに応えるということを大事に今はしています。
○横田委員 配慮されているけれども、それが目立たない形で自然にという。そうでもなくて。
○中島様 もしかすると、嫌だなと思っている子はいるかもしれないとは思うのですけれども、それも含めて、実は、例えばカンファレンスも一緒にしたりするのですね。1週間ぐらいいてもらったら、「1週間いて、どう?」って。最初の1週間ってすごくみんな気も張っているし、とても場に適応しようとして頑張っているのですけれども、2週間ぐらいたつと疲れてきて、本当は3食食べるの辛かったのだけど、用意してくれるから食べていたとか、そういうことがいろいろ出てくるので、その辺りは一緒に1週間過ごしてどうだったかとか、何か気になることはあったかとか、もっとこうしてほしいというのがあるかとか、そういうのをコミュニケーションとりながら一緒につくっていく人として関わるようにしています。
○横田委員 ありがとうございます。
○山縣委員長 では続いて藤林委員、お願いします。
○藤林委員 本当に必要なサービス、サポートというふうに思いながら聞いておりました。でも、実際、これぐらいきめ細かなことを継続的にしていこうと思うとかなりの運営費が要るのではないかと思いまして、多分、婦人保護の委託費では全然賄え切れないのではないかと思うのですけれども、実際に運営における公費はどのように入っているのか、東京都から入っているのか、国から何かの補助金をもらっているのか、その辺を教えていただきたいというのが1点目。
もう一つ、さらっと流されたのですけれども、パートナーさんも一緒に入居していらっしゃると。こういうケース、あるんだなと私も思っているのですけれども、通常のいろんなこういう事業は、母子であったり、または婦人保護という枠組みで、なかなかパートナーさんも一緒に入所できないということが現状あるのではないかと思うのですけれども、どういうケースが、パートナーさん、一緒に入所して居場所を使っていらっしゃるのか、またはそういうケースは潜在的にそこそこにあるのではないかなと私は思っていまして、その辺の感触というか、お考えを聞かせていただければと思います。
○中島様 ありがとうございます。まず、運営の予算ですけれども、昨年度1年間回してみて、2600万円、年間費用がかかっています。民間の助成金と寄附と、あとクラウドファンディングで立ち上げ費用を用意して動かしました。公的なお金というのは、今のところ入っていない状況です。
居場所は、日勤者と夜勤者を配置していて、妊婦であるというところで、特に臨月ですとか、あとお産直後の新生児、退院したての子を預かったりということがあったり、あと、もともと劣悪な環境でずっと生活されてきたので、最初に基礎疾患ないかなとか、いろいろなリスクが考えられるので、夜勤のときにちょっと助産師を配置するとか、そういったこともしているのですね。なので、かなり人件費がメインの費用になっています。
固定費は、空き家利活用事業だったというところで、実は公的なお金全然入っていないと言ったのですけれども、豊島区さんから、最初、おうちのリフォーム代として200万円、支援をいただいてのスタートなのと、大家さんがすごくいい方で、一般的な賃料の約半額から30%ぐらいの賃料でここをお借りできているというところで何とか今は動かしていますが、このままだとサステイナブルではないので、もちろん、東京都の予算化、国が書いてくれたものをしっかり東京都に事業化してもらうという働きかけが必要だなと思っています。
あともう一つ、パートナーの利用ですけれども、このケース、誰でもというわけではなくて、パートナーとホテルに住んでいたというケースだったのですけれども、その後、出産後、1カ月健診の後にまたそこに戻るということがもう決まっていたケースで、子どもが24時間いる生活がどういう生活なのかということをパートナーの方にちょっと実感してもらう必要があるのではないかという背景ですとか、あとは、育児技術、お風呂に入れるとか、おむつかえるとか、そういったことをいきなり3人で始めるのは難しいと思って利用していただいたケースがあります。ずっとではないですけれども、数泊ですね。私たちにとってもすごくチャレンジでした。
○山縣委員長 ありがとうございました。
横川委員、北川委員、菅田委員と手が挙がっております。大体この辺で時間かなと思いますので、一旦そこで止めさせてください。では、横川委員、お願いします。
○横川委員 全乳協の横川といいます。よろしくお願いします。
お話を聞いて大変勉強になっています。その中で、全乳協としても、要保護児童の予防的支援機能に取り組むことなど、今後のあり方としての乳幼児総合支援センターをめざしている最中です。先生が取り組んでいる中で、子どもやお母さんを大事にという視点で具体的に乳児院と連携したことが実際あるかどうかということが1点です。もう一つ、全国の乳児院、145カ所あるのですけれども、もう少し乳児院としてこう動けというようなものがあれば教えていただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
○中島様 ありがとうございます。私が何か乳児院の皆さんに御意見というのは恐れ多いなと思って、今はっと考えたのですけれども、乳児院さんとの具体的なケースでの連携というのはまだないかなと思います。ただ、乳児院出身の方の利用というのはありますので、乳児院がどういうところなのかというのは、その子の言葉を通じて、ああ、そういうところなんだねという中で、またお世話になりたいと思う場所かというところがすごく大きなポイントかなと。余り覚えてないとは思うのですけれども、そこがあるなあと思うのと、あと、家族支援というか、今本当に、日本ってファミリーポリシーが見当たらないし、家族を支えるというような部分をもっと打ち出していただけると、すごくみんなも使いやすいのではないかなということは感じていて、子どもというところがすごくメインにあるのだけれども、私たちが出会っている妊婦さんというのは、妊婦さん自身も要保護児童であったり、経験を持っていたり、実際まだ未成年であるという、子どものところにいる妊婦さんたちだったりもしますので、何かそこの、家族というと日本ってどうしてもお父さんとお母さんみたいになってしまうのだけれども、国際セクシュアリティ教育ガイダンスにあるような、まずは家族にはいろいろあるという前提のもとで家族支援という視点があると私たちもお世話になりやすいなあと思います。
○横川委員 ありがとうございました。
○山縣委員長 では、北川委員、お願いします。
○北川委員 中島さん、とても参考になりました。
○中島様 こんにちは。いつもお世話になっています。ありがとうございます。
○北川委員 開かれた施設というふうになっていますけれども、例えばDVがあったり、リスクを抱えた妊婦さんに対して、それから、一時保護委託になる10代の妊婦さんもいると思うのですが、そういうサポートが必要な妊婦さんにどういう具体的なサポートをなさっているのかということを教えてください。
○中島様 ぴさらは、既存の枠組みがフィットしなかったり、既存の枠組みの中でどうしてもキャッチできない方たちが利用していらっしゃるので、DVがあって、例えばシェルターに入れるとか、婦人保護事業の中でうまくやっていけるという方はそちらに行っていらっしゃるのですね。特に身を隠さなければいけないようなケースはうちは難しいと思っているので、その辺りは、もちろん、DVが背景にあるケースが全部だめというわけではないのですけれども、逃げなきゃいけないとか、直ちに命の危険があるというケースはちょっとうちでは難しいと思っているので、ぴさらがある前から、様々な民間のシェルターも含めて私たちお世話になってきたのですけれども、そういったところの利用は引き続きしながら、もうそこに入らないケースですね。ネットカフェにまた行っちゃうとか、ビジネスホテルにいざるを得ないみたいな方がうちに来ていらっしゃるような状況です。
それで大丈夫でしたかね。もう一つ何か。
○北川委員 10代の不安定な時期の、まだ子どもの時期の方のサポートとか。
○中島様 それは本当に苦労していて、うちは15歳の子が一番小さい子かな、利用あったのですけれども、そのケースも、もう既に公的な支援とつながっている状況の中で、どこも受け皿がないという、一時保護所も難しいみたいな状況のときにうちが選択肢になるというような状況です。なので、第一選択がぴさらでなくて、様々な、既にある社会資源を検討した結果、どこも難しいとなったときに問い合わせが来て、うちを利用していただくみたいな形なのですね。なので、そういうケースは本当に連携先と私たちも情報共有しながら一緒にやっているような状況です。
○北川委員 ありがとうございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。
最後になりますけれども、菅田委員、お願いいたします。
○菅田委員 全母協の菅田と申します。よろしくお願いします。
中島さんの今回の発表、すごくいい活動をされているなと思って聞かせていただきました。私は母子生活支援施設の人間なのですけれども、特に資料の23ページの要望⑤、これは全くそのとおりだなと思って要望を見せていただきましたし、また全母協としてもやはり、妊婦で出産前でも母子生活支援施設を利用できるようにという要望は出しております。こんな要望の⑤がなぜ出てきたのかということで何かきっかけの事例があるのでしょうか。
以上です。
○中島様 そうなのです。母子生活支援施設さんは私たちも物すごくお世話になっていて、しかも妊娠中からお世話になっている施設も幾つかあります。地域によってはそれが難しい地域がまだまだあって、特に例えば夜間ですね。当直の人が警備員さんしかいないようなところは、臨月は難しいですと例えば言われてしまうとか、あとは、上の子と一緒だったら、本当は母子生活支援施設なのでスムーズに入れそうなものですけれども、上の子一緒で、妊婦で入ると、お産になったときに、上の子どうするみたいな問題が出てしまうから、臨月のときどうしようというので、ぴさらを1回使うとか、いろいろそういった地域によって、格差と言っていいのかな、格差があるし、あと場所がとても不便な場所にある地域なんかだと、本人が病院まで、車も持っていなかったりするとそもそも通えないよねみたいなところで、入所がすごく抵抗感があるということもあったりしますね。最近はどうか分からないですけれども、お風呂がないところも、本当に地方だとあるのですね。そういったところはやはり、妊婦で入るの、すごく嫌だなとなったりもするので。でも、母子生活支援施設の皆さんには大変いつもお世話になっていて、うちの後に行くことが多いですね。
○菅田委員 どうぞいっぱい活用してください。
○中島様 はい。ありがとうございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。
薬師寺委員、手が挙がりましたけれども、短くお願いできますか。
○薬師寺委員 はい。今のお話で、上の子(の養育)どうする?のときに、実際に産婦人科で出産されているときは、ぴさらで上の子を保護するという認識でいいでしょうか。
○中島様 実際には、うちがやったケースは、それはやらなかったのですね。お友達のところに預かってもらうということを御本人が選択されて、出産で入院中は、お友達がその期間見てくれて、退院のタイミングで一緒に帰ってくるということをやったケースと、あとは、無理というケースは、母子生活支援施設のところでお世話になったケースと、一時保護になるケースも多分あると思うのですけれども、うちはまだ子どもだけを預かるということはやっていないです。
○薬師寺委員 相談の入り口のところで、出産時に上の子どもをどうしようとなった方が来られているということですね。
○中島様 そうですね。その辺りも、今後はどのようになっていくのかはちょっと考えたいと思っているところで、上の子だけも預かれるのかみたいな話はちょっと出てはいるのですけれども、保育士も、うち、メンバーにいるのですね。ただ、夜の預かりは、やはりいろんなリスクがあるので、保険の問題とかもちょっとあったりして、すごく難しいなと思っているところですね。
○薬師寺委員 ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
中島様、ありがとうございました。
それでは、先ほど途中で休憩を取りましたので、ここは休憩なしで、あと、残る時間が20分弱ですけれども、今日のヒアリング、6団体の御意見を聞かれた感想とか、あるいは、今後、それを踏まえて家庭支援等についてどういう方向で考えていけばいいのか、その辺を自由に意見交換していきたいと思います。よろしくお願いします。
安部委員、その後、橋本委員、お願いします。
○安部委員 皆さん、ありがとうございました。とても参考になりました。
一番思ったのは、一つ一つの事業って、大体法定事業が多かったと思うのですけれども、それを組み合わせていっている、もしくは、逆にいうと現在の課題としては、いろんな子育て支援とか支援サービスのメニューをコーディネートしたりとかまとめたりとか、そういうところがないというところが一番大きいのかなあと思いました。
それともう一つは、やはりお金の問題といいますか、個別の事業として出されているので、それを取りまとめて相談に応じてアセスメントしてというところにお金がついていないというか、それはやはり行政ではなくて、民間だからこそ柔軟にできるところがあって、柔軟に、なおかついろんなサービスの組み合わせができるような体制をどうやってつくっていくのかが課題だなあと思ったところです。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。連携とかネットワークというところだと思います。では、橋本委員、奥山委員でお願いします。
○橋本委員 ありがとうございます。ピッコラーレさん、若年妊婦支援、とても勉強になりました。
実は私、今、この委員会が始まる直前まで、社会的養護自立支援事業を実施する団体の全国組織である「えんじゅ」の定期総会に参加しました。ちょうど今日だったのです。そこでは、一時保護につながらない、措置に至らない年長児へのケア体制の不足について議論がありました。ピッコラーレさんとかぶるところだと思います。また、自分の意思で親に見切りをつけて実家を離れる、言わば自分の成長に必要なこととして家出を選択せざるを得ない思春期青年たちの支援のあり方も重要と思っています。
ところで、先週、児家センの設置運営要綱と指導委託促進事業実施要綱が改正され、18歳の誕生日を過ぎても支援を継続することが可能となりました。これは児家センという地域支援の実践現場から、18歳を過ぎても継続して支援しなければならないケースが頻発している実情を訴えた結果として、厚労家庭福祉課の皆さん頑張っていただいて改正していただいたと理解しています。
しかし、現実、このような年長児ケースに対して、社会資源としてはせいぜい民間シェルターや宿泊可能な児家セン、挑戦的なNPOなどがインフォーマルな形で宿泊場所や食事を提供したり、就労を支援したりしているというのが現状だと思うのですね。ここまでの協議では、これらのインフォーマルな、いわば自腹を切るような支援に財政支援をしっかりとつけて、ある程度こういう支援をフォーマルなものにしていくための議論が弱かったので、今後のテーマとして提起させていただきたいと思っています。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、奥山委員、お願いします。
○奥山委員 いろいろお話を伺ってきて、皆さん、特に民間の方々はすごく工夫しながらやっておられるのですが、そこで扱える方々の数というのはそんなに多くない。だから、このモデルをいろんな子どもたちに対応できるようにつなげていくように、民間の方々が参入できる、基盤が必要だと思います。市町村等にその基盤があって、もう少しその地域に合った自由な民間の動きができるような仕組みというのが1つ必要だと思ったのが今日のお話を伺っていての印象です。
つまり、こういうモデルがあったから国で鉛筆をなめていろんな制度を作って、それが同じ形で広がるようにすると非常に時間かかるし、地域の特性に合わないということがあるので、もう少し自由にできるお金の仕組みが欲しいと思いました。
それからもう一つは、ハイリスクの家庭への支援を強化していかないといけないだろうと思いました。いろんな民間の方々がいろいろやっていく中で、本当のハイリスクのところがなかなか難しいところがあるのだろうというのは非常に感じました。ハイリスク家庭へのアプローチがもう少しできる形が必要だと思っています。
例えば松永さんも保育園をやっていらっしゃいます。問題があると、児童相談所は保育園に預けることで安心するのですけれども、実際、今の保育園って、4歳児、5歳児が、子ども30人に1人の保育士の配置基準しかないのです。ほとんどの保育園がそんなのではできないのでもう少しはカバーしていると思います。ただ、一人一人に寄り添わなきゃいけないような集団行動が難しいお子さんが現在、圧倒的に増えています。そういう中で見ていると、家庭が難しいお子さんを保育園に入れて安心とはとても言えない状況が生まれていると思います。ですので、ハイリスクのお子さんたちが通えるような治療的な保育園、基準としては、少なくとも児童発達支援センターぐらいの配置基準があるような保育施設が必要ではないかなと思っています。
以上です。
○山縣委員長 最後の部分、非常に興味を持って今聞いていました。ありがとうございました。
藤林委員、お願いします。
○藤林委員 私は、サービスの公平性という観点で聞いていたのですけれども、全国どこの市町村に住んでいても、サービスに対するニーズがあれば同じようにサービスを受けられるということが多分基本的な考え方でないかと思うのですけれども、今日のそれぞれの取組というのはとても先進的ですばらしいものと思うのですけれども、たまたまそういった児童家庭支援センターがある、たまたまそういったNPOがある、そこの人々は使えるけれども、ちょっと離れると使えないというのでは、それは公平なサービスにはつながっていかないのではないかなあと思っていまして、でも、そこを超えていくような仕組みをどのように我々は考えていくのかというのが重要かなあと思っています。
その場合に、サービスを届けていくとか、先ほど松永先生のショートステイのところで質問したように、場合によれば送迎という選択肢もあるのではないかなあと思ったりします。また、NPOがペアレント・トレーニングをしたり、先ほどのピッコラーレのような居場所支援を行ったりする場合においても、公費がなかなか入りにくいという仕組みがあって、でも、これは場合によると国が、家庭福祉課以外が持っている予算をうまく使えばやれる部分もあるのではないかなという気もするのですけれども、いずれにしても、社会福祉法人だけでなくて、NPOが質の高いサービスを提供する場合に、安定した運営ができるような財政的な支援をもっと考えていく必要があるのではないかなと思っています。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
奥山委員、再度手が挙がっているという理解でよろしいでしょうか。
○奥山委員 1つ言い忘れました。ハイリスクの方々に関しても、NPOさんがいろいろ頑張っておられるけれども、結局は来てもらえるのがベースになっていると思います。ハイリスクで支援を拒否するような方々にどう支援を届けるのかというのが非常に難しいところだろと思います。指導委託という形になったときには、その指導委託の場合に、支援計画が立ったら、その支援計画に必要なもの、認められたものに関しては送迎とかそういうのも含めて公的にある程度の費用が出るような形になっていかないと、支援を拒否する家庭に届けるというのはなかなか難しいのではないかと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、相澤委員、北川委員の順でお願いします。
○相澤委員 先ほど母子生活支援施設が妊婦を預かることがなかなか要望していてもできないというような発言がありましたけれども、今の仕組みでも、対象を広げるとか、例えば障害児の仕組みなんかも児童で活用するとか、児童の仕組みを障害のほうで活用するとか、そういう規制緩和や運用をすれば十分にいろんな意味で使えるものはいっぱいあると私は思っています。そういうところでの検討をまずするということがすごく重要だろうなと思っています。
例えば里親の活用でも若年の場合は、児童ですから、妊娠して、その子が里親に委託されて、子どもを産んで、親子で里親さんが見るとか、そういう形はできるわけで、いろんな今の仕組みを上手に使いながら、運用レベルで拡充していくようなこと、あるいは規制緩和を考えてもいいのではないかなと思っています。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、北川委員、お願いします。
○北川委員 少し相澤先生の意見と同じですけれども、先ほど奥山先生が治療的な保育園とおっしゃっていましたけれども、昨日、児童発達支援センターの通所関係の研修会があったのですけれども、そこで友田先生をお呼びしてお話を聞いたら、その後のグループディスカッションでも、家庭支援も必要で子どもも愛着の問題ある子が本当に増えてきているというお話をすごくされていました。そして、先ほどもちょっとお伝えしたのですけれども、なかなか登園するのが難しい場合、送迎がすごくよくて、おうちまで迎えにいくと、結構いろんな困難を抱える家庭のお母さんと、お母さんは来なくても子どもだけ連れてきてくれたりとか、そういうことも可能だし、個別サポート加算という加算が今年からついて、そういう支援の必要な家庭には、契約制度なので同意は必要なのですがつきました。ハイリスクの家庭にも対応できるような体制と、少人数で専門職もいてということで、ぜひ今ある制度を横につなげて連携しながらやっていくということが大事だと思うのです。児童発達支援センターも、子育て支援機関の一つにぜひ皆さん考えていただけたらうれしいと思いました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
3人手が挙がりました。畑山委員、横田委員、藤林委員、ここら辺でぼちぼち時間かと思います。御意見の中身によって、もう一方、二方いけるかもしれません。畑山委員、お願いします。
○畑山委員 ありがとうございます。藤林委員の御意見に私も同じように思っています。地域によってある、ないがあるので、サービス受けられない子たち、社会的養護の子たちが今生きている地域でも必要とするサービス受けられない子たちも多くいるだろうなと思いました。今回聞かせていただいた事例においても、行政機関や学校関係、病院につながり紹介されているケースが多かったと思います。となると、社会資源につながりづらい社会的養護経験者はそういった支援機関にもつながれず、サービスがあっても利用できない方たちが多くいるかなという印象を受けました。やはり支援につながりきらない子どもたちが、どうやったらサービスつながっていくのかという議論をぜひ一緒にしていけたらうれしいなと思いました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
横田委員、お願いします。
○横田委員 先ほどから皆様からいろんな意見が出ており、多分重なるところが多いと思うのですけれども、障害児への支援という視点からもということを言われました。例えば今日、学童期の児童のという話も出ましたが、学校そのものの福祉機能とか、余り議論拡散すると問題かもしれませんけれども、学校教育そのものという視点も必要だと思いますし、また、少年非行との関係で言うと、先ほどの年長の子どもの虐待の場合に支援がない結果として少年非行等のほうにいくという話もあるので、そちらの知見との連携とかもあったほうがいいかなと思っているのです。
ちょっと拡散し過ぎかもしれませんけれども、以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、藤林委員。
○藤林委員 先ほど言い忘れた点が1点ありまして、追加のコメントをさせていただきたいのですけれども、先ほど北川委員さんの意見にもあったと思うのですけれども、現在でも使える補助事業というのは、障害児関係でも子育て支援関係でも幾つもあると思うのですけれども、そういったものをしっかり見つけ出して、必要なケースに提供していくということが必要でないかなと思うのですけれども、実はそれは各市町村の子ども家庭総合支援拠点の一つの大きな役割ではないかなと思っています。
どのように市町でサービスを組み合わせていくのか、または、もっと言えば、補助金を取っていくのかということも含めて、拠点が今後もっともっと成熟していく中で、そういった部分も役割としてあるのではないかということをつけ加えたいということと、もう一つ、サービスがなければつくっていく、または広域的に利用し合うという発想も必要なのです。そういったサービスをつくっていったり広域利用をやっていくというのも、それは市町村の拠点の役割でないかなということをここで強調したいなと思ってコメントさせていただきました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、橋本委員、お願いします。
○橋本委員 すみません。私も先ほどちょっと言い忘れたのですけれども、今日の話を聞いて、またこれまでの委員会の話を聞いていて、やはり今キーワードは地域だなというふうに感じています。一施設とか、一事業所がどうのこうのという議論を超えた議論をしないといけないのかなあと思っています。いろんな先駆事例を見ていても、どことは言いませんけれども、どこの県が、あるいはどこの区が、市がというところで、頑張っているところは全部頑張っているのですね。頑張ってないところは頑張っていない。
あえて言うと、先ほど畑山さん、支援が届かない子どもたちへという話をしましたけれども、支援を届けない市町村があるというところをやはりみんなでちょっと意識したほうがいいのかな。そういう市町村がどうやって手を挙げていくか。藤林さんのようなスーパー公務員がいるからできたとかいう話でなくて、やらない市町村がどうやったらやるようになるのかということを議論する必要もあるのかなと思います。
一例を挙げると、支援対象児童等見守り強化事業、これ、やっているところが60ぐらいしかないと聞いているのですよ。1700も自治体があって。10分の10補助ですよ。それをやらないという選択って、なぜそうしているのかというところを分析する必要もあるのかなと。非常に過激で乱暴かもしれませんけれども、問題提起させていただきます。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。10分の10でもやらないところがあるということですね。
大体予定の時間に達しましたけれども、今日は6団体、あるいはそれを踏まえて、最後の短い時間でしたけれども、御議論ありがとうございました。
藤林委員、橋本委員、あるいは奥山委員とか言われていましたように、幾つか共通部分があったと思うのですけれども、制度化されていても、市町村が予算化等をしなければ、結局実現できないというところですね。もう一つは、予算化しても、それに手を挙げる事業者がいなければ、また今度は市民には届かない。この双方の側面ですね。特に予算的なことは、厚生労働省の関係等でどんどん進めていく必要があると思うのですけれども、事業者が手を挙げない状況、あるいはその事業者そのものがない状況ですね。それをどう育てていくのか。
福祉領域では、昔から、民間と公の関係で、平行棒とか繰り出し梯子という言い方をしたことがあります。民が先鞭をつけて、それを繰り出し梯子のように伸ばしながら公が引き継いでいくとか、平行棒で両者対等な関係の中で余り口を出さないほうがいいんだという考え方もあるのですが、これも最近は協働論ということで、一緒にやっていくような形、民間のそういう方々を育成していく、あるいは民間が新しいことができやすいような予算体系、これは藤林委員が言われていたところだと思うのですが、そんなところを皆さんのお話を聞きながら感じたところです。
今回はこれで終わらせていただきますけれども、当面連続いたしますけれども、次回以降の予定等について、事務局からお願いしたいと思います。
○野村企画官 本日はありがとうございました。
次回の日程でございますが、6月29日(火曜日)10時から13時、資質向上に関するヒアリング及び議論を予定しております。
以上でございます。
○山縣委員長 それでは、本日はこれで閉会にしたいと思います。
久しぶりに、時間内、1分前ですけれども、終わることができて感謝いたします。委員の皆様、長時間にわたり御議論いただきましてありがとうございました。次回またよろしくお願いいたします。
皆様、音声のほう、画面等々大丈夫でしょうか。
(首肯する委員あり)
○野村企画官 ありがとうございます。
委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日はウェブ会議にて開催させていただきます。
本日の出欠状況でございますが、熊川委員、倉石委員、宮島委員は御欠席と伺ってございます。
また、今回、ヒアリングをお引き受けいただきました松戸市子ども部子ども家庭相談課長、長谷川様、NPO法人アンジュ・ママン施設長、小川様、NPO法人ラーニング・フォー・オール、子ども支援事業部事業部長、入澤様、あきやま子どもクリニック院長、秋山様、光の園子ども家庭支援センター統括施設長、松永様、NPO法人ピッコラーレ代表理事、中島様に御参画いただいております。
今回の委員会は、傍聴希望者向けにYouTubeでライブ配信をしております。なお、本委員会では、これ以降の録音、録画は禁止させていただきますので、傍聴されている方はくれぐれも御注意ください。
それでは、これより先の議事は山縣委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山縣委員長 委員長の山縣です。改めまして、皆様、こんにちは。お集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日は、先ほど事務局から説明がありましたように、6団体のヒアリングが中心になります。
事務局から、資料の確認等をお願いしたいと思います。
○野村企画官 それでは、資料の確認をさせていただきます。配付資料は右上に番号を付してございます。
資料1、前回提出させていただきましたけれども、地域の子育て家庭に対する支援の事例、それから資料2で、松戸市から御提出いただいた資料、それから資料3で、NPO法人アンジュ・ママンのほうから御提出いただいた資料、資料4、NPO法人ピッコラーレのほうから御提出いただいた資料、ほか参考資料を配付してございます。
なお、基本的には、このヒアリング、資料1の支援の事例の資料を御活用いただくという形でお話をさせていただいております。
一方で、資料2、3、4、各団体から御提出いただいた資料を随時、松戸市、それからNPO法人アンジュ・ママン、NPO法人ピッコラーレのほうが御活用されるというところで御理解いただければと思います。
以上でございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、本日の進行について簡単に説明させていただきます。6団体というたくさんの団体がいらっしゃいますので、団体の方々には本当に申し訳ないのですけれども、1団体10分程度のプレゼン、加えて、委員の皆様との10分程度の質疑ということで、1団体20分強ぐらいを想定しております。
その後、残った時間で、前回までの議論や、本日のヒアリングを踏まえ、家庭支援の課題や方向性についてさらなる意見交換をしていきたいと思います。その際、団体の方々も一部残っていただいている可能性があるということだけをお伝えしておきます。聞いていただいているという前提で議論を進めていけたらと思います。質問等については、原則は前段のところで対応したいと思っています。
ヒアリングの順番ですけれども、参考資料2の順番どおりで、入れ替わり制でやっていきたいと思います。よろしいでしょうか。
では、早速ですけれども、松戸市子ども部子ども家庭相談課長、長谷川様よりプレゼンをお願いしたいと思います。長谷川様、よろしくお願いします。
○長谷川様 松戸市子ども部子ども家庭相談課の長谷川と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
松戸市では、児童虐待対応を担う子ども家庭総合支援拠点と母子保健業務を担う保健福祉センターの母子保健担当、そして子育て世代包括支援センター、当市では親子すこやかセンターという名称でございますけれども、この3つの機能を一つの課で一体的に取り組むことによって、妊娠期から子育て期の切れ目のない支援の実現を目指してございます。本日説明に使わせていただく資料は、資料1の2ページと、補足資料として、資料2によりまして松戸の取組について御報告をさせていただきます。
資料2の1ページをお願いいたします。松戸市の概要でございます。人口、年間出生数、児童人口等については御参照いただければと思います。
資料2の3ページをお願いいたします。こちらは、当課、子ども家庭相談課の組織体制になります。当課は、平成25年度に全庁的な組織改編で子ども部ができたときに、児童虐待対応、婦人相談対応を含む家庭児童相談業務を独立させて担う課として設置された部署でございます。
同時に、課内に母子保健担当室を設置し、母子保健業務を同一の課で行うことで、妊娠期からの切れ目のない支援を実現できる体制を整備いたしました。平成28年4月に設置しました親子すこやかセンターは、この母子保健担当室の中にある市内3カ所に設置している保健福祉センター内に所属しておりまして、保健師、社会福祉士、助産師を配置しております。
また、翌年の平成29年4月に、本課に子ども家庭総合支援拠点を設置いたしました。本課は、この支援拠点と要保護児童対策地域協議会の調整機関、家庭児童相談室を兼ねてございます。
4ページをお願いいたします。資料1の右上段と同様の図でございます。これは子ども家庭総合支援拠点と母子保健、要対協の当課の中で行っています役割のほうを整理したものでございます。
まず、左の部分、母子保健分野では、保健福祉センターの各種母子保健事業を通して、母子保健担当と親子すこやかセンターが児童虐待の予防、早期発見、対応を担います。また、中央部分の子ども家庭総合支援拠点では、資格を有する虐待対応専門員が家庭に寄り添いながら、時には指導を行い、迅速かつ丁寧な関わりを実施いたしております。
県との人事交流として、児童相談所から経験豊富な職員が派遣されており、本年で3年目を迎えます。組織力、個々の職員の対応力が向上してきていると感じております。
右の部分、要保護児童対策地域協議会である松戸市児童虐待防止ネットワークですが、調整機関である当課の職員全員に調整機関の役割を学ぶ研修会に参加させ、担当者として地域という面での連携のほうを強化してまいりました。
母子保健担当も含め、子どもの成長に伴い段階的に変化していきます時の切れ目を母子保健担当、親子すこやかセンター、そして子ども家庭総合支援拠点でつなぎ、支援に関わる複数の関係機関、関係団体の間を児童虐待防止ネットワークでつないで、切れ目のない支援に取り組んでいるところでございます。
5ページをお願いいたします。資料1の右下の図と同じものになります。上段の母子保健担当でございますが、従来より実施している乳児家庭全戸訪問や親子向けの健康教育、幼児健康診査など、様々な母子保健事業を多職種と連携しながら行っております。ここでは早期発見に尽力しており、ケースとしては、リスクの低い要支援ケースのほうを担当しています。
中央部分に記載の親子すこやかセンターは、妊娠期、産後の支援を手厚くするということを目的にしておりますので、従来の母子保健担当で個別支援してきたケースのうち、養育支援訪問事業を利用する家庭、本課が進行管理している要対協ケースを担当してございます。
一番下の部分になりますが、リスクが高い要保護児童ケース等は子ども家庭総合支援拠点が担当するという役割分担となってございます。
次に5ページをお願いいたします。資料1の左下段の取組実績についてグラフ化したものになります。御参照ください。
6ページをお願いいたします。妊婦支援における母子保健担当と親子すこやかセンターのケース分担についてお示ししたものになります。母子健康手帳交付時に母子保健担当の保健師が全数面接を行い、虐待予防の観点からリスクを判断します。具体的には、松戸市版の妊婦個別支援基準により、特定妊婦、ハイリスク妊婦、要支援妊婦の3つに分類し、要対協管理となる特定妊婦とハイリスク妊婦は親子すこやかセンターが担当、要支援妊婦は保健福祉センターの地区保健師が担当するというふうに分けてございます。
8ページをお願いいたします。松戸市版の妊婦個別支援基準になります。1から11に該当する場合は特定妊婦、もしくはハイリスク妊婦として親子すこやかセンターが、また、12から17に該当する場合は、要支援妊婦として保健福祉センターの地区保健師が担当するというふうに分けているものをお示ししてございます。
9ページをお願いいたします。その他、子ども家庭総合支援拠点と本課、親子すこやかセンターとの連携の例でございますが、本課の職員が行う入院助産の面接に親子すこやかセンターの社会福祉士等が同席し、情報や支援の方向性を共有しています。また、親子すこやかセンターが毎月行う養育支援訪問事業定例会に子ども家庭総合支援拠点の職員が出席し、支援方針を共有するほか、事業報告も共有することで現状の把握、確認等を行っております。
10ページをお願いいたします。最後になりますが、取組の効果でございます。児童福祉部門と母子保健部門を同一組織に設置したことで、システムの共有をはじめ情報共有、協議がスムーズに行える状況にございます。また、連携を行う上での課題が生じた際の解決が迅速に行え、これらは機動力のある対応につながっていると思っております。
同一組織で一体的に取り組むことは、指示命令系統が一本でございますので、このことは大変大きいと感じています。一方で、単に組織を一つにしただけでは連携はなかなか進まないということも現実としてございます。
今後も引き続き、児童福祉と母子保健分野それぞれが職務範囲を理解し、すき間を埋めるという行為を努力して行うことで、切れ目のない支援の実現を目指していきたいと思っております。
簡単ではございますが、以上で松戸市からの報告とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。時間を守っていただいて感謝します。
ただいまの松戸市さんからの説明につきまして、委員の皆様から質問、御意見をこれからいただきたいと思います。御質問等ある方は、いつものように、手を挙げる機能を使って質問いただけたら幸いです。うまく使われない場合は事務局のほうにチャットを使って連絡いただく、もしくは、取りあえず画面で手を挙げ続けていただくと対応します。
安部委員、お願いします。
○安部委員 西南学院大学の安部といいます。以前、ヒアリングに行かせていただきました。ありがとうございました。
質問が2つあるのですけれども、1つは、7番の妊婦個別支援基準のところで、例えば要支援項目が2つ3つ重なるとハイリスクになるのかなあとかいうような、単発でこれに該当というだけではなくて、軽いサインが重複するとリスク高まると思うのですけれども、それがこの基準にどう反映するかということをお聞きしたいと思いました。
2つ目は、松戸市の中での連携、すごくよく分かったのですが、児童相談所との連携がどのようになっているかということをお聞きしたいと思いました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。お願いします。
○長谷川様 ありがとうございます。妊婦個別支援基準のほうにつきましては、母子保健担当室の室長のほうが参加してございますので、室長から回答のほうをさせていただきたいと思います。私のほうからは、2つ目の御質問でございます児童相談所との連携はどのようにというほうを回答させていただきたいと思います。
児童相談所につきましては、個別ケースというところで連携のほうはうまくいっているという実感がございます。実際に要対協の委員さんになっていただきながら連携を深めているというところもございますし、それぞれのケースを通じまして、地区の担当、児童相談所の担当との個別支援会議への参加、助言をいただいたりするというところもスムーズに行えていると感じているところでございます。
また、子ども家庭総合支援拠点を設置いたしましてから、市の役割として、児相のように権限は有しないところでございますが、ケースワークを含め、やはり市町村の役割が重くなってきているなあというところも感じてはおります。市町村として支援する期間も長くなってきてございますので、市の強みを生かして、地域の社会資源の活用ですとか行政手続の支援ですとかいうところを含め、きめ細かく丁寧に寄り添った支援というところが市町村の役割かなあと思ってございます。
○山縣委員長 では、もう一方のほう、よろしくお願いします。
○西原様 母子保健担当室の西原と申します。よろしくお願いいたします。
妊婦個別支援基準についてですけれども、要支援妊婦の項目と重複して特定妊婦、ハイリスク妊婦の項目に当てはまる方は親子すこやかセンターで担当しております。
要支援妊婦のほうで幾つか項目が重なって判断に迷うような場合があったときにつきましては、保健福祉センターの地区担当保健師とカンファレンスを開きまして、地区の担当保健師で支援していくのか、親子すこやかセンターのほうで支援していくのかということで方向性を出しているような状況でございます。
○山縣委員長 今のお答えは、要支援のほうで2つの項目が重なると検討結果によってはハイリスクのほうに挙がっていくという。
○西原様 可能性もあります。
○山縣委員長 そういう可能性があるということですね。
その後、奥山委員、北川委員、浜田委員と手が挙がっています。これぐらいで大体時間かと思いますけれども、取りあえず、奥山委員、お願いします。
○奥山委員 ありがとうございました。2つほど伺いたいと思います。ハイリスク妊婦さん、それからハイリスクの家庭、お子さんたちを、発見するのはこういう形で発見するというのはよく分かったのですけれども、発見した時に、どのような支援をしているのか、その辺のところをもう少しお聞かせいただきたいと思います。つまり、支援内容に関してです。
もう一つは、先ほど、児童相談所との連携はすごくうまくいっていますというお話でした。私、それも聞きたいと思っていた項目なのですけれども、児童相談所は県で、市とすごくうまくいっているのだったら、母子保健と福祉が一本化したからうまくいってますという話とは矛盾しますよね。県と市でさえうまくいくなら、一本化の必要はないのではありませんか? 福祉と保健が一つの組織になったからとてもうまくいっているということであれば、人口50万近くある松戸市さんは児相を持つべきではないでしょうか。
児相との連携ということに関して、具体的に、福祉司指導の委託をどのぐらい受けていらっしゃるか、どのような形で受けていらっしゃるか、そこについてお聞かせください。よろしくお願いします。
○山縣委員長 よろしくお願いします。
○長谷川様 ありがとうございます。長谷川でございます。
具体的な支援内容という部分でございますけれども、発見した場合に、例えば一緒に同行訪問をまずさせていただいて、それぞれの家庭の持つ課題、アセスメントをして、課題を抽出します。それで、支援方針を決めていったりというふうな段階に進むわけですけれども、一番多いのは、その課題の解決をする既存の制度につなげるということが多いと感じています。
あと、医療につなげるというところでは、保健師の役割のほうが結構多うございますので、同行訪問をしたりということもやっているところではございます。
児童相談所との連携という部分でございますけれども、個別のケース支援というところでは、ケース検討をしながらうまく連携ができているという気はいたしてはおりますが、相談、通告のほうは市と児相と両方に入りますので、それぞれが主担当となって連携を、支援をしていくという現状です。
その中でお互いの市の強みの部分、または市から児相へ送致をして、権限を用いた一時保護等をしていただくというところでは、連携をしながら送致するというふうにはなりますけれども、具体的に児相のほうから福祉士指導の委託というところで、委託をされているというケースは現状ではございません。指導のほうは児相のほうにしていただき、市は市の役割の中で保護者の方に指導というか助言するというような状況になっております。
○山縣委員長 最後にあった児童相談所の設置についてはどうお考えですか。委員はつくるべきだという発言でしたけれども、基本的にはどうお考えですかということでいいと思いますが。
○長谷川様 ありがとうございます。50万都市でございますけれども、市の方向性としては、児相を市単独でつくりますという方向には今まだなってございません。千葉県のほうで児童相談所の設置を増設するとして、松戸市に県の児相のほうが、2026年を目途に設置されるという方向性が出されておりますので、そこと連携をしていきたいと考えております。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、北川委員、お願いします。
○北川委員 児童虐待防止ネットワークの中で、リスクの高い障害児部門との連絡・連携はどのようになっていますかということをお聞かせください。
○山縣委員長 お願いします。
○長谷川様 ありがとうございます。障害児の連携というところでは、市内の部署に障害福祉課というところがございますので、そこと連携させていただいて支援をいたします。また、いろいろなサービス、障害児の利用するサービスのほうがありますので、それを利用している場合には、その事業所も含め連携、連絡調整を頻回にさせていただいたり、実際に事業所のほうに行かせていただいたりしながら、一緒に支援をしているというような形で行っているという状況でございます。
○北川委員 ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、最後になりますけれども、浜田委員、お願いします。
○浜田委員 大阪の弁護士の浜田と申します。御報告いただき、ありがとうございました。
お聞きしたいのは1点です。取組の効果のところで、同一組織内においてというメリットをお伺いしましたけれども、今までの実践の中で、逆にこれはデメリットというような事象が何か出てきているかどうか、また、もしあればその中身について簡単に教えていただければと思います。
以上です。
○長谷川様 ありがとうございます。私、この課に来まして5年目になります。その5年前から一体的な取組の組織ができ上がったわけですけれども、5年目で、4年間終わって、デメリットと感じたことはないなあと思っています。ただ、うまく連携ができるようになるまではやはり時間はちょっと要しました。それは、今まで別々の部分でやっていたところが一つになりましたので、お互いに自分の守備範囲を主張するという部分が当初あったなあと思っております。その部分を少しずつ少しずつ、寄り添いながらといいますか、埋めながら役割分担をお互いが分かってくるようになるまではやはり少し時間が必要だったなとは感じています。
以上です。
○浜田委員 ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
大体当初予定時間になりましたので、松戸市さんからのヒアリングはこれで終わらせていただきます。松戸市のお二方、ありがとうございました。引き続き参加いただいても結構ですので、御判断はお任せします。
では、続きまして、NPO法人アンジュ・ママン施設長、小川様より説明をお願いしたいと思います。小川さん、よろしくお願いいたします。
○小川様 皆様こんにちは。NPO法人アンジュ・ママンの施設長をしております小川由美と申します。今日はよろしくお願いいたします。
私のほうからは、皆様に事前に配付させていただいた資料1、それから資料3のほうを見ていただきながら御説明していきたいと思います。
資料1のほうに載っている訪問支援というところの2つの事業を説明したいと思います。私が取り組んでいる地域の概要を少しお話ししますと、大分県豊後高田市という自治体、地域で取組をしております。人口は2万2000人ほどの地域です。そして、出生数は120人ぐらい。なので、1カ月に10人ぐらいの赤ちゃんが産まれるという超少子高齢化のまちで行っています。
そして私たちがいろんな事業を、子育て広場拠点であったり、病後児保育事業であったり、ファミリーサポートなど多機能にわたって子育て支援を行っている中で、この訪問支援というものの取組も行うことになりました。
概略はこちらの資料を見ていただきたいと思いますが、平成23年からホームスタートという訪問型の支援を行っています。これは地域のボランティアさんが傾聴と協働を主活動として、子育て中の方のおうちに訪問するというような事業になっております。こちら、今、登録の人数が50人ぐらいの方がそのおうちに訪問してもらっています。このコロナ禍の中で、広場もうちも閉所させていただきました。その中でも、相談支援は、支援は途切れていないよと、つながっているというメッセージを送り続けておりました。なので、結論から申しますと、この訪問型の御依頼であったり相談であったり、利用者支援事業などの事業も行っておりますが、そういった案件が増えていったというところが現場の声としてあります。
この訪問型の話に戻りますと、これは、仕組みの部分を右側のグリーンのところに流れを書いているのですが、単純に利用者さんの申し込みがあって、行くということで終わるわけではありません。利用者さんから申し込みがあった家庭に、まずはオーガナイザーという調整役の私やスタッフが訪問して、お母さんの困り事、ニーズ、どうしたいかというもの、お母さんのお気持ちを聞きます。そして、オーガナイザーと、ビジターと呼ばれる、ボランティアですが、そちらをお連れする。
ここの前に、マッチング作業といって、お母さんの困り事やニーズをどの方に行ってもらおうか、うちで言うと50人ほどの地域の方たちのいろいろな背景とか、こういったことならできるということを事前に把握しておりますので、この方に行ってもらいたいというマッチングを行い、そして、ビジターさん、ボランティアさんがお一人でそのおうちにボランティアで行きます。週に1回、2時間程度。なので、大体1カ月、延長したら2カ月などの形で訪問し、その後に、また私たちが、訪問どうでしたかということを聞きにお伺いし、そして終了というような取組になっています。なので、依頼があってすぐに一回訪問して終わるというような事業ではなくて、最低7回8回、そのおうちに訪問するというようなことをやっております。
私、一番最初に申し込みがあったときに訪問するのですけれども、そこから最後の評価のとき訪問したときのお母さんたちの様子はやはり違っていて、誰かが家に来てくれる、私の話を聞いてくれるというだけでこんなに心が軽くなるんだ、また、今このコロナ禍で外にも行けない、御主人からも出ることは止められているとか、そういった、でも、子どもにどう接していいか分からないというようなところに、先輩ママであったり地域の方たちが関わってくれて、その子どもさんの関わりをいろいろ教えてもらったりするということは本当に救われましたという声もあったりもします。
この活動は東京が主になっておりまして、全国で実は100団体ぐらいの団体が取り組んでいるものをさせていただいております。
その一方で、もう一つの事業、ママ家事サポートというタイトルですが、これは完全にヘルパー事業です。産前産後ヘルパーです。先ほどのホームスタートも妊娠期からのおうち、妊婦さんのおうちに訪問するのですが、やはり実際につわりがきついから買い物に行けないとか、おむつを買ってきてほしいとか、離乳食のつくり方が分からないからつくってほしいとかいうような完全なるヘルパーの事業も必要かなあということで、これは市と相談して、市の単費で行っています。なので、こちらの事業も、実績、下に挙がっていますが、そんなに多くはないのですが、それでもセーフティネットというような思いで、利用は入っております。
写真の様子を見てもらいたいのですが、ホームスタートのほうは、これは双子ちゃんのおうちにボランティアが行って関わっています。写真、料理をしているところは、本当に料理の仕方が分からない、どうしていいか分からないというところで実際にヘルパーが料理をしているという感じです。
こちらの場合は2時間500円という料金設定で行っています。ホームスタートのほうは無料で行っています。ただし、交通費のみ、ボランティアさんにはお支払いするというような取組をしております。
そして、別添でお送りさせていただきました資料3、ホームスタートのところにまた話戻るのですが、様々なプログラムを行っていることを御紹介したいと思います。訪問型の支援で、今、私どもは小さな地域ですけれども、やはり都会のほうにいくと外国人の方の支援であったり、多胎児産支援とか、今、人気というか、とてもニーズがあるのは妊婦さんの妊娠期からの支援というところの妊婦さんに喜ばれているというところが実感として感じます。
そして、私ども、その後、訪問の後に広場なども行っておりますので、広場にボランティアと一緒に行くとか、地域につながるというようなところの姿が多く見られております。
ずらずらっとパンフレットのほうを送らせていただいておりますが、資料の一番最後にホームスタートの効果というところで、大学の先生のほうが、野田先生がまとめてくださっているのですけれども、傾聴と協働だけで、お話を聞くだけで、どのような形の効果が生まれるかなあということを思われるかもしれませんが、やはりお話を聞いてもらったというところで満足度が上がっているというような数値なども挙がってきております。こちらのほうは行政とも連携させていただいております。
私どもの行っている場所、広場なのですが、行政が同じ建物内に入っております。なので、ワンステップ拠点になっております。母子保健もありますし、児童家庭相談員さんもいらっしゃいます。今で言うと児童手当とか、そういった申請とか、そういう子育て支援課の窓口もあります。その一番奥に広場をやっております。その場所で健診なども行っています。妊婦さん、母子手帳の交付なども行っています。なので、いろんなところの入り口から、様々な事業や広場や、そして人を知っていただくというところをとても丁寧にという形で行わせてもらっております。また、大分県のほうが子育て満足度日本一を目指すというところでいろんな子育て施策なども行っておりますので、その一助になればなという形で今関わっております。
私のほうからは、簡単ですが、取組のお話をさせていただきました。ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、先ほどと同じように、委員のほうから質問、御意見を伺いたいと思います。御自由に手を挙げていただけたら幸いです。
五十嵐委員、お願いいたします。
○五十嵐委員 どうもありがとうございました。確認ですが、このママ家事サポートは特に産前産後のためのケアではなくて、子育て、お子さんのいらっしゃる家庭に必要があるときにサポートに行くという、そういう理解でよろしいですか。
○小川様 五十嵐先生、ありがとうございます。これは産前産後というところに重きを置いておりまして、妊娠して、母子手帳交付から1年間という実は期限を設けております。やはり妊娠期からの切れ目ない支援というところに力を入れているところなので、妊婦さんを中心にと思っております。ありがとうございます。
○五十嵐委員 産後ケアというのは、お産の後には行かないのですか、そうすると。出産後の御家庭には行かないのですか。
○小川様 出産後の御家庭、行きます。子どもさんが1歳になるまで。なので、産後の家にも。
○五十嵐委員 1歳になるまでですね。分かりました。どうもありがとうございます。
○山縣委員長 産前産後で、産後は1歳未満ということだそうです。ありがとうございました。
では続いて、薬師寺委員、お願いします。
○薬師寺委員 御報告ありがとうございました。ちょっと制度的なことを確認させていただきたいのですが、ホームスタートの訪問支援というのは、国制度でいう養育支援訪問事業ということでよろしいのでしょうか。
○小川様 ありがとうございます。これは利用者支援事業の地域支援というところで私ども行っています。厚生労働省さんのほうから出していただいている利用者支援のところでも実は取組事例として挙げさせていただいておりまして、利用者支援で行っています。ママ家事は、本当にぜひちょっとお願いしたいくらいなのですが、市の単費で行っておりますので、何か事業になればなあということは思っております。
○薬師寺委員 ありがとうございました。
○山縣委員長 利用者支援事業の一般型を受託しておられるということでよろしいのですよね。その中の枠組みとしてこれを活用しておられるということですね。
○小川様 そうです。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、安部委員、お願いします。
○安部委員 ありがとうございました。西南学院大学の安部です。
公のところに興味があったのですけれども、市の窓口と母子保健と広場が一体的にあるというところだったのですけれども、設立の順番といいますか、その市の窓口、福祉の窓口と母子保健がもともと一緒にあったところに広場ができたのか、それとも、広場があって、母子保健だとか市が来たのかとか、その3つが一体になった経緯みたいなことをちょっと教えていただけるとありがたいです。
○小川様 ありがとうございます。経緯としては、その建物ですが、そこは平成14年に実は社協の建物だったのです。そこに平成16年に子育て支援課だけ、市の福祉事務所から分園という形で、まず子育て支援係が誕生しました。そのときに子育て広場が誕生しました。経過で言うと、平成16年に子育て支援係ができて、そして、広場が誕生しました。その後に保健師さんを呼びました。市のほうがですね。やはりここはワンストップ、ここに行ったら子育て中の人が何かが解決するのではないかというワンストップというイメージで、そこに後から保健師さんが来ました。その後にいろんな制度を行っていきました。母子手帳を配ったり、支援係が広くなったりというような経緯なので、福祉が、子育て支援係があって、広場ができて、保健師さんというような流れになっています。
○安部委員 ありがとうございました。最初から、ここに子育てワンストップをつくろうと思っていたわけではない。
○小川様 実は違うと聞いています。だけど、そこがとても利便性がよくて、やはり声を拾って拾って、豊後高田市、本当に行政さんが声を形に変えてくれるところがとてもありがたくて、1年1年変わっているというような感じです。
○安部委員 ありがとうございました。
○山縣委員長 ほか、ございませんでしょうか。
井上委員、お願いします。
井上先生、ミュートです。マイク外していただけますか。
できない? なぜだろう。申し訳ありません。ほかの方、いかがでしょうか。
では、ちょっと私のほうから1つ。少しお話はあったのですけれども、ホームスタートとかママ家事の中で、いろんな支援の必要なさらなる支援ですね。公的な支援が必要な御家庭等があった場合の役所とのつなぎ方ですね。逆に、ここの事業に対して、特にママ家事は単独の事業ですので、行政と直接の関係はないのですが、行政のほうから、こんな状況のおうちがあるんです、早目に行ってあげてくださいとか、そういう相互の関係というのはどれぐらいあるのかと、メリットはあると思うのですけれども、逆にそこにある困難さがもしあれば教えていただけたらと思います。
○小川様 ありがとうございます。今、物理的にも、建物内に保健師さんもいてくれてというところも話もしましたが、活動の取組も本当に20年近く一緒にさせていただいておりますので、保健師さんが全戸訪問した後に、その辺り、やはり気になる、あのおうち、養育支援まではいかないけれども、気になるというおうちのところであったりとか、そういったときには、保健師さんのほうもその方に声かけをしたりして、広場に連れてきてくれたりもしています。そして、そこで私たちと出会って、訪問型になったり。もちろん、このホームスタートというのは利用者さんの意思があって訪問ができるので、保健師さんが訪問したときに、こういった事業もあるけれども、どうですかというようなお声かけをしていただいて利用につながるというケースが実は非常に多いです。なので、入り口は保健師さんというところはとても多いです。どちらの事業もです。
ママ家事のほうも、本当に保健師さん、それから今、プレママ、プレパパ講座などもうちは行っておりますので、妊婦さんの支援というところで保健師さんのほうからつないでくれるというところ、どちらにもキーパーソンは保健師さんかなあというところで、とても丁寧につないでもらっております。
○山縣委員長 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。もう一方いけるかどうかぐらいの時間ですけれども。
どうぞ、横田委員。
○横田委員 ほかに誰もいらっしゃらないようなので。
父親のほうはどのようにこの事業に関わるということになるのでしょうか。
○小川様 ありがとうございます。実はホームスタートのほうとかも家事サポもですけれども、お父さんの申し込み、実際におうちにいらっしゃる方、お母さんが多いのですが、お父さんがやはり心配だと、妻が家で泣いていたり、子どもに対する関わりをとても不安がっているのでということで、お申し込みがお父さんということも見られております。なので、さっきのホームスタートであると、最後のモニタリングで私たちが行くと、お父さんのほうが、とても感謝していますとか、あと、広場に一緒に来てくれたりというような活動も見受けられることがあります。今本当にそういった関わり、お父さんのほうからの関わりというものもありますし、実際、シングルファザーのおうちであったりする、申し込みがあるときには、当然訪問もしておりますが、スタッフのほうが訪問しているというような形になっております。
○横田委員 ありがとうございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、予定の時間が参りましたので、アンジュ・ママン、小川様、本当にありがとうございました。
では、3番目の団体、NPO法人ラーニング・フォー・オール子ども支援事業部、事業部長、入澤様、よろしくお願いいたします。
○入澤様 よろしくお願いいたします。今、御紹介にあずかりましたラーニング・フォー・オールの入澤と申します。私からは、居場所支援事業の取組について御共有させていただきたいと思います。
それでは早速始めていきたいと思います。我々の課題意識ですが、課題を抱えている子ども、子育て家庭への支援が不足しており、特に学齢期のお子さんへの支援の制度、施策が整っていないところにあります。そういった課題意識に対してですけれども、我々の取組として、専門職やケアマネジメント機能を担い、他機関と連携して、虐待の早期発見、そして予防と同時に、子ども、家庭丸ごとの支援を行う居場所の運営をしております。
対象のお子さんについて少しお話をさせていただきます。こちらについては、資料に載っていないところですので、口頭での説明とさせていただきます。
対象のお子さんですが、困窮世帯のお子さんを対象としております。困窮世帯と言うときに、生活保護を受給しているであったり、就学援助、児童扶養手当、そして一人親の医療費助成など、そういったところを受け取っているお子さんを主な対象としております。
ただし、不登校や虐待ケースなど、将来の貧困リスクが高かったり、喫緊の対応が必要なケースというものもございます。そういったお子さんに関しては柔軟に受け入れをしております。
基本的に、6歳から18歳に対して居場所支援事業のサービスを提供しております。ただ、小学生については学童という形態で、そして、中高生についてはフリースペースという形で学齢期に応じて区切っており、サービスを提供しています。
続いて取組の概要について説明させていただきます。こちら、資料に記載のあるものでございますので、そちらも見つつ話を聞いていただければと思います。
3点ございまして、まず学齢期の子ども、家庭への支援です。安心安全な環境の空間の提供、生活習慣の形成や学習のサポート、進路相談であったり、毎日の食事の提供など、子どもの発達段階やニーズに応じた多様な支援を提供し、同時に、孤立した保護者への相談・伴走支援も提供しています。子ども、家庭丸ごとの支援を実施していると思っていただければと思います。
ちなみに、現場ですが、平日で週3日から5日で運営をしております。
続きまして2つ目、専門職によるケアマネジメントについてです。子ども、家庭の状況、アセスメントして、子ども一人一人の支援計画を作成しており、虐待の早期発見や予防や専門的ケアに努めております。
3つ目です。ハブ機能・連携です。こちらについては、学校や行政など多くの機関と連携をしており、居場所支援の現場につなぐとともに、必要に応じて、例えば困難度が非常に高いようなお子さんに関しては、改めて違う現場、社会資源にリファーしていく、つないでいくということをやっております。で、切れ目のない支援を届けております。
以上の3点についてですけれども、困窮世帯に対しては無償で実施しており、利用料は取っておりません。困窮世帯ではないが、虐待などの理由から入所しているケースに関しては、学童施設の料金を参考にしつつ、料金設定をして利用料を徴収しておりますが、基本的には困窮世帯を対象としており、無償で実施しているものと理解してください。
続いて、公的機関との連携の状況に関して簡単に御説明させていただきます。
行政との連携ですが、連携先として主にスクールソーシャルワーカーやカウンセラー、生活保護のケースワーカー、そして子ども家庭支援センターの相談係などと連携させていただいております。連携の内容としましては、まず、子ども募集についての連携があります。そういった行政の専門職から我々の現場を社会資源の一つとして保護者様に紹介してもらい、保護者様からの連絡をいただいて利用登録につなげているというところがございます。
続いて、子どもの日々の支援での連携というところがございます。気になることがあれば、いつでも気軽に報告、相談するというような信頼関係、間柄を築いておりまして、連絡・相談をさせていただいております。重篤ケースについては、より細かく報告をし、必要に応じて支援方針のすり合わせを実施しています。
最後ですが、支援体制の構築というところに関しても連携をしております。例えば研修についてです。子ども家庭支援センターの区の担当者から児童虐待における通告の仕方とかそういったところについて研修をしてもらう。居場所支援の職員に関して研修をしてもらうというようなことも実施しております。
また、通告のやり方などに関して、我々の団体が持っているマニュアル、フローみたいなものを行政の支援職からフィードバックをいただいて一緒につくっていくというようなこともやっていたりします。
また、加えてですけれども、今、行政との連携についてお話をしましたが、学校様とも連携をしております。近隣の学校、小学校、中学校、高校と連携をしております。連携内容に関しては、行政の支援職と同じく、子ども募集について、学校から社会資源の一つとして保護者に紹介してもらうということをやっております。
また、学校に関しては、学校の授業の中に居場所の職員が適宜ティーチャーアシスタントのような形で入るみたいなことも取組としてやっておりまして、教室の中でお子さんと信頼関係を構築し、大変なお子さんをその場で見つけて、学校の先生と共有、相談させていただいて、居場所につなげるような取組も行っております。
また、日々の支援に関しては、行政の支援職と同様、気になることがあれば報告、相談するということをやっておりますし、例えば学校の保護者面談に居場所の職員が同席をして、学校の先生との関係性が難しい保護者さんのサポートをさせていただくようなこともやっております。
続きまして、支援のマネジメントを含むソーシャルワークの状況について簡単にお話をさせていただきます。
団体のソーシャルワーカー、常勤から業務委託まで含めて4名おりまして、居場所支援の現場の子どもへのケースワーク、ミクロレベルのソーシャルワークをやると同時に、地域の社会資源の開拓などのメゾレベルのソーシャルワークを展開しております。
ケースワークについて言いますと、登録する全ての子ども、保護者についてのインテークの面談を実施しており、フェースシート、アセスメントシートといった情報整理、評価のためのシートを作成しています。その上で支援方針を定めており、その家庭全てにソーシャルワーカーが入っています。支援方針は、現場と連携しながら定期的に見直し、予防的な介入を心がけております。
続きまして、支援の対象者をどう設定し、どのように対象者を把握しているのかというところについて簡単に説明させていただきます。
基本的に、対象者は、お伝えしましたとおり、困窮世帯プラス緊急度の高いケースです。把握の方法ですが、行政の専門職や学校、地域の民生、児童委員からの紹介というものが多いです。ただ、一部、データベースを導入している自治体がございまして、そういった自治体と事業協定書を結んで、個人情報のやり取りを可能にしております。
そういったケースに関しては、自治体に関しては、データベース上でフラグが立った子どもに関して先んじて情報をいただくということで把握しているというのもあります。
続きまして、人材、職員のリクルート、どこから採用しているのか、どうリクルートしているのか及び養成方法について簡単に説明させていただきます。
リクルートに関してですが、居場所支援の現場のスタッフについては、転職希望者向けの、一般的によくある広告媒体に情報を載せて採用活動を行っており、採用しております。ソーシャルワーカーに関しては、つながりがあるNPO法人などからの紹介のケースが多いです。実態として、転職希望者向けの広告媒体に載せても、なかなかソーシャルワーカーが見つからない、採用に至らないというケースが多いためですね。
続きまして養成ですが、基本的にはオン・ザ・ジョブ・トレーニングでの育成をしております。ただし、団体としてコアとなる研修は開発、持っておりまして、そちらについて入職段階などで提供させていただいております。
最後、事業の予算はどこから来ているのか、補助事業の受託なのか、民間企業の助成を受けているのかなどというところについてお話をさせていただきます。まず、どこから来ているのか、つまり財源に関してですが、企業からの寄附金で運営しているパターンと、行政からの業務委託として運営させていただいているパターンがございます。
予算規模についてですが、現場、現場によって少しずつ金額が異なります。行政からの業務委託のケースが参考になると思いますので、2ケース紹介させていただきますが、まず、1つ目のケースですが、年間の予算2800万円で、週5日、20名のお子さん、小学校1年生から3年生のお子さんを対象に事業を運営しております。
一方、もう一つのケースに関しては、事業予算、年間で1000万円ほど、週3日、15名から20名のお子さんを対象にして運営をしております。
2つ目のケースのほうは少し金額は下がっているのですけれども、実際に我々としては人員不足のようなところを実感しておりまして、本来ならば、もう少し金額をいただけると現場としては大変助かると思いながら運営をしております。
10分というところで、もうそろそろ時間かと思いますので、私からの発表共有はここまでとさせていただきます。何か質問がございましたら、よろしくお願いいたします。
○山縣委員長 ありがとうございました。時間守っていただいて、感謝します。
では、委員のほうから自由に質問いただきますけれども、取りあえず安部委員、手が挙がっております。よろしくお願いします。
○安部委員 すみません。私ばかりで。
とても興味深かったのですけれども、ちょっとお聞きしたいのは、このような事業を全国展開、全国に同じようにするために何が必要なのかと、業務委託という話もありましたけれども、よく聞く話は、受け皿がないという話があったり、それから、いろんな意味で、全国で同じような活動を広げていくために何が必要なのかということをぜひお聞きしたいと思いました。
○入澤様 ありがとうございます。全国に子どもの居場所を広げていく、広めていくために必要なのは、やはり行政が予算化をして、しっかりと事業として展開することかなと思います。生活、学習支援事業のように、しっかりとメニュー化をして、そして各行政で取り組んでいただけるように予算をつけていくというのが必要かなあと思います。
やはり民間の団体でも子どもの居場所をつくっていこうというような動きはありますが、民間の団体ですとなかなか運営の体力がないところが大きいかなあと思います。広がっている子ども食堂のような運動がやはり限界になってしまい、月に1回、多くても週に1回のような運営になってしまうというところが多いのではないかなと思います。そういった意味でも、行政の事業としていくというのが大事かなと思っております。
続いて人材の確保というところがキーになるかなあと思っております。現場で実際に子どもたちと向き合っていると、本当に困難度の高い、そして様々な困難を抱えたお子さんたちがやってくるなと思っております。外国にルーツのあるお子さんもいらっしゃれば、虐待を受けている疑いのあるお子さんもいらっしゃれば、発達に偏りのあるようなお子さんもいらっしゃいます。高い専門性が求められるというところがございますので、どのようにして人材を確保していくのかが鍵になるかなあと思っています。
そういった意味で、実際にそういう人材が豊富にこの国に今いるかというとそうではないというところもあるかと思うので、養成の仕組みを築き、そして提供していくというところが鍵になるかなと思っております。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
続いて、浜田委員、畑山委員、薬師寺委員、奥山委員と手が挙がっています。一旦ここの4人で時間調整させていただきます。では、畑山委員、お願いします。
○畑山委員 ありがとうございました。具体的にどういった先にリファーをされるのか、どういった社会資源があれば子どもたちの支援がより居場所から、その後の支援のつながり、どういった地域の社会支援があればいいのかというのを教えていただきたいというのと、もう一点、支援計画の見直しを定期的に行っているということですけれども、どのぐらいの期間でそういった支援の見直しというのを行っているのか、ぜひ教えていただければなと思います。
以上です。
○入澤様 ありがとうございます。リファーの先ですけれども、子どもたちの困難に応じてあるのが理想だなと思っていまして、実際に社会資源がある場合はつなげていくということをやっております。虐待の疑いのあるようなお子さんに関して、よくあるのがネグレクトとかで、実際に行政に通告するのだけれども、結局児相にはつながらず戻ってくるというようなケースがあります。やはり社会の中で児童相談所の受け皿というところが大きくなると、より一層リファーができるかなと思っております。
次にあるケースが、発達に偏りのあるお子さん、グレーゾーンのお子さんというのがやはり多いなあと思っておりまして、療育につないでいくというところがよくあることになります。ただし、ここも発生することですけれども、保護者の方が障害に関して認知しないみたいなパターンもあったりします。そういったときというのは、伴走支援の期間がかなり長くなりますので、そういったところに関して、居場所の職員だけでなく、行政と協働で進められるようになるとつなげるということがより一層効率的、うまくできるかなと思っております。
最後、またこれもよくあるパターンですけれども、不登校のお子さん、家から出るのもなかなかしんどいというようなお子さんがいらっしゃいます。そういったケースに関しては、訪問支援のようなメニューが行政で用意されていたりするとうまく連携ができるのではないかと思っておりまして、そういったメニューが既に存在する場合は活用する、ない場合は拡充していくというところが鍵になるかなと思っております。
いただいた質問の2つ目ですが、どういった頻度で見直しをしているのかというところですが、それは現場の状況にも若干左右されるのですけれども、例えば年間で2回から3回ほどマイルストーンを設定しまして見直しをしております。例えば夏休み前のような長期休業期間前のようなところで絶対見直しをするとか、そのように年間でスケジュールを決めておいて、およそ3カ月から4カ月に1回見直しをしていくということを定期でやっております。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、続いて浜田委員、お願いします。
○浜田委員 弁護士の浜田と申します。今日は御報告ありがとうございました。
聞き間違いかもしれませんが、お話の中で、自治体と協定を交わして個人情報の提供を受けているというふうなお話があったかと思いますけれども、そこのところをもうちょっと御説明、御紹介いただければと思います。
○入澤様 ありがとうございます。子どもの包括支援を進めるといった事業内容で、行政様と事業協定書を取り交わさせていただいております。ある自治体の中で我々が一つのエリアを選びまして、具体的には小学校2つ、中学校1つの中で学習支援を、そして学校外に学習支援の現場をもう一つ設けるという形で、学習支援でない、学習・居場所支援の現場を設けるという形で事業を運営しているところがあるのですけれども、そちらを進める際に、効果的にお子さんたちに支援を届けるために連携を深くやりたいというところで提案をさせていただきました。その際に、やはり個人情報の壁というところが厚く存在しているので、そちらに関して、事業協定書の中で、お子さんの支援のためならばそういったところの取り交わしを可能にしましょうというところを定めております。
○浜田委員 ありがとうございました。よく分かりました。
○山縣委員長 では、続いて薬師寺委員、お願いします。
○薬師寺委員 児童相談所の所長をしております薬師寺と申します。大変貴重な御報告、ありがとうございました。
実際に今、全国でどれぐらいの地域で展開されているのかということと、細かい話ですが、この居場所、学校の現場であったり、公的な場所を借りてやっているのかとか、独自にまた借りられるのかとか、そういう運営手法についてお聞かせいただきたいということと、先ほどの個人情報の情報共有もあるのですけれども、実際に大変なたくさんの課題を抱えている御家庭を寄り添い型支援したときに、とてもNPOさんだけで問題解決できないということで先ほどの御質問もあったと思うのですけれども、その辺の要対協との連携とか、メンバーに入っていらっしゃるとか、そういった具体的な行政との連携での課題について感じてられることを教えてください。
○入澤様 ありがとうございます。まず、全国どこで展開しているのかというところですけれども、関東圏で現在展開しております。直接現場を持っているのは東京都の葛飾区、埼玉県の戸田市、そして茨城県のつくば市になります。ただし、我々のほうで団体としてノウハウ展開の事業をやっておりまして、間接的に全国の多くの団体にノウハウを展開し、間接的な支援をしているというところはございますが、基本的には関東圏で直接の支援をしております。
場所に関してですけれども、ここに関しては、現在、当団体が運営している居場所の現場に関しては全て我々で不動産屋さんと直接やり取りをさせていただいて、借り上げをしております。ただし、自治体様によっては、やるときに自治体からの契約というふうにすることもあるかなと思いますので、ここに関してはケース・バイ・ケース、状況に応じて決まるのかなとは思います。
最後3点目、要対協との連携を含めた行政との連携の実態、そして課題についてですけれども、要対協に登録されているようなお子さんが現場に実際に通ってくるということは全然あることですね。よくあるケースでございます。我々のほうではまだ自治体の中で要対協のそのメンバーになっているというわけではないのですけれども、ケースカンファなどが行われるときはもちろん出席させていただいて、当該のお子さんに関しての情報共有、提供をさせていただくということはやっております。
課題の部分ですけれども、やはり塩漬けになってしまうケースというのが多くあるかなと思っております。直接な身体的暴力のようなところですと、すぐに動いてくださるということはあるのですけれども、そうでないケースに関しては、見守りをしていきましょうというような形で、なかなか大きく前に進まないということは実際にやはり、マンパワーの問題などで起こってしまうことなのかなあと思っておりまして、そういった部分に関しては課題と認識しております。
○薬師寺委員 ありがとうございました。
○山縣委員長 続いて、奥山委員、井上委員。一旦ここで時間調整をさせてください。では、奥山委員、お願いいたします。
○奥山委員 ありがとうございます。幾つかあったのですけれども、今、薬師寺先生の御意見と同じところがあったので、1つだけ伺いたいと思います。
連携といっても、横の連携は先ほど来お話が出ていますが、18歳以降の支援との連携についてお聞きしたいと思います。18歳までとおっしゃっておられたのですけれども、結構中途半端なケースといいますか、先ほど課題でおっしゃったように、なかなか動けないようなケースって、そのまま18歳になると結構大変なケースもあるだろうと思います。その先との連携、先をどのように対応されているのか、その辺を教えていただけるとありがたいと思います。よろしくお願いします。
○入澤様 ありがとうございます。まず、居場所事業だけでなく、当団体の方針にも関わるところですけれども、我々が支援をするときに、6歳から18歳までの切れ目のない支援、そして18歳以降に関してもリファーができるようにというところを意識して、現場の展開をしております。
具体的には、1つ支援をするエリアを選んだときに、6歳から9歳までの現場だけを用意するのではなく、時間は多少かかるときもあるのですけれども、その一つのエリアの中で複数現場を設けて、お子さんの支援が途中で終わらないように配慮するということをやっております。
そういった社会資源が用意できない場合でも、必要な社会資源をリストアップしまして、挨拶回りなどさせていただいて、ケースを通じて連携していくというようなやり方でリファーしていくということをやっております。
おっしゃっていただいたとおり、本当に期間がたったときに初めて課題が発露していくといいますか、難しさが出てくるようなときもやはりありますので、そういったときに備えて、常に連携できるところを用意して進めていくというのが課題解決の方法かなと思います。
○山縣委員長 ありがとうございました。
最後になりますけれども、井上委員、今度は声が聞こえますでしょうか。
○井上委員 大丈夫ですか。
○山縣委員長 大丈夫です。声聞くことができてよかったです。
○井上委員 すみません。ありがとうございます。
今ずっとお話を聞かせていただいておったら、いろんな事業、プログラム、出てくるのですが、まず、アメリカでも同じような状態起こってきたときに、それぞれの事業がどこを対象にしているのかということをちょっと明確にしていただかないと分かりにくいと思いました。それでいろんな意見が出ているのではないかと思っています。
例えば一番として、市町村、あるいは県などの行政と関係があるのかどうか。2番目は、その中の母子保健、あるいは児童福祉、児童福祉の中でも子ども子育てなのか、虐待なのか、障害福祉なのか。そしてもう一つは学校教育。そういった細かいところのどこと一緒に連携しているのかとか、あるいはそれは全然関係ないのかとかいうことですね。それからあと、対象年齢が主としてやっているのはどこだということと、最後に、具体的な例を出してよければ、どういうところでこのようにやっていますということを言っていただくと皆さん理解が進みやすくなるのではないかなと思いましたので、すみません、一言言わせていただきました。
○山縣委員長 ありがとうございました。ただ、今からその形は難しいと思いますので、できるだけ質問という形で、共通の基本の枠組みは一応団体さんには提示してあるのですが、今のような視点、質問のところで対応させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○井上委員 分かりました。
○山縣委員長 では、予定の時間参りましたので、入澤様、ありがとうございました。時間を取っていただきまして、感謝します。
○入澤様 どうもありがとうございました。失礼いたします。
○山縣委員長 続きまして、あきやま子どもクリニック院長の秋山様、よろしくお願いいたします。
○秋山様 あきやま子どもクリニックの秋山です。よろしくお願いいたします。
私からは、3事業を紹介させていただきます。まず、小児科診療所における産後ケア事業の取組です。産後ケア事業は妊娠、出産、包括支援事業の一つで、当院では、2018年に三鷹市の委託によるデイサービス型を開設いたしました。定員2名、10時から16時まで、三鷹市民であれば利用料金は1800円です。2020年より宿泊型を開設し、10時から翌朝の9時まで、7200円で利用でき、17時から翌朝9時までの夜間のみの利用も可能です。生活保護世帯や低所得者世帯には減免措置の配慮があります。
利用方法は、三鷹市では保健師などによる妊婦全数面接を行っており、その面接の際に産後ケア事業が案内され、利用する場合には市に登録することになっています。妊婦面接の際に1万円の子ども券が配付され、産後ケアにその子ども券がよく利用されています。
登録すれば、1カ月前よりインターネットによる予約ができるようになります。妊婦面接によって市が把握したハイリスク妊婦や新生児訪問などでの情報は市から産後ケア施設に事前に連絡があり、その内容は、EPDS高値、育児疲れ、夫のメンタル問題などで優先をして対応しています。
産後ケア施設で聞き取った相談内容も市と共有しており、相談内容は、産後うつや一人での育児が不安、2人きりでつらく、育児放棄したかったなどがあり、泣きへの対応などの育児相談、夫やきょうだいなどの家族の相談もあります。産後ケア施設での内容は、小児科診療所も共有しており、スタッフへの助言、きょうだいや家族への相談は小児科で対応し、相談内容によっては要対協と連携することも念頭に置いています。
産後ケア施設は母親が心身ともに休息できる場所として、現代には必要な事業であると実感しています。課題は、ニーズが高まるにつれて、キャンセル待ちも多く発生することです。また、今後は父親へのケアも必要かもしれません。産後ケア事業は、妊婦全数面接というポピュレーションアプローチの受け皿になり、また、小児科診療所と連携することで妊娠期からの切れ目のない支援で虐待予防になると考えています。
次に、取組事例2のペアレント・トレーニングについて説明させていただきます。この事業は、当方の子育てひろばとNPO団体SomLic(ソムリック)との協働で実施をしています。ソムリックは、武蔵野市周辺の子育てひろばや児童館、保育所や母子生活支援施設など、約15年間、ペアトレを開催してきている団体です。
メンバーは、児童養護施設で働いていた児童指導員やベテラン保育士、研究者など児童福祉関係者で構成されています。費用は、参加者より、全6回とフォローアップとして3000円を徴収し、ほぼボランティアで活動しています。
ペアレント・トレーニングは、発達障害や児童虐待予防、育児不安の軽減に効果があるものです。体罰でない子育ての仕方を習得し、健全な親子関係の構築を目指します。現在日本では、ペアトレは数多くのプログラムが存在していますが、2019年度の厚労省障害福祉課の厚労科研にて、ペアトレに必要なコアエレメントが示されました。そこで昨年度より、ソムリック代表が所属している白梅学園大学子ども学研究所の研究として、市区町村や子育てひろばなどで実施しやすいペアトレが研究開発されているところです。
児童虐待や育児不安の予防を目的としているため、ソーシャルワークを主軸に置いたプログラムとなっています。基本的に、ペアトレの参加者は公募をかけますが、それと同時に、地域の子育てひろばや保育所などから気になる方をつなげてもらうケースもあります。また、ペアトレで気になった参加者については、本人に了解をいただいた上で、小児科診療所や地域の関係機関につないでいます。
ソムリックのような民間団体の課題は、民間であることから、行政機関と連携が取りにくいこと、助成金や研究費が取れたとしても、人件費に充てることができないこと。また、本当にペアトレが必要な子育て家庭は参加費を相当安くしなければ受講されないであろうことへの対応だということです。
次に、最後の3つ目の事業です。当院では、平成25年より医療的ケア児の日中支援を行う児童発達支援事業を行っています。また、当院が呼びかけ、三鷹市、武蔵野市共同の重症心身障害児協議会が平成26年より設置され、関係機関で両市内の医療的ケア児の情報を共有しながら、地域で支援体制を整備しています。当院はコーディネーターの役割を担っています。その協議会の取組として、当院の児童発達支援事業所に通うお子さんが週に1日、地域の保育所に通う併行通園スタイルに取り組んでおり、平成27年度にはそのガイドラインも作成しました。
併行通園で、医療的ケア児に児童発達支援事業所の職員が同行し、保育所の受け入れをバックアップしています。この取組の目的は、医療的ケア児への地域の理解が深まること、ソーシャルインクルージョンの具体化として、地域の保育所や学校に医療的ケア児の通所、通学が可能になり、保護者の就労も可能にすること。地域から離れたところで受けている療育を地域へ移行することで、障害児を育てている家庭を地域で見守り、孤立予防となることです。これは障害児・者への虐待予防になるとも考えています。
この事業は、最初は厚労省のモデル事業、次に民間の助成金、そして、現在は三鷹市の委託事業で行っています。併行保育の5年間の実績は、保育所等の体制整備、医療機関との円滑な連携、そして保育士等の知識、技術の習得やその強化で、三鷹市では、令和2年度より一般保育園における医療的ケア児入所につながりました。
また、平成3年度より、医療的ケア児が地域の公立小学校入学が可能となりました。ただし、課題は山積しています。エレベータなどの環境整備、看護師などの確保、そして、最も重要なことは、地域でともに生活してこなかったため、まだまだ障害への理解が不足していることです。先日成立した医療的ケア児支援法を心から歓迎し、障害児・者を身近な地域で孤立させずに見守る体制を願っています。
以上です。ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、同じように、御質問、御意見がある方は挙手を手を挙げる機能でお願いします。画面上でもできるだけ探すようにいたします。
では、安部委員、奥山委員、お願いします。
○安部委員 すみません。安部です。
お話を聞いているととてもすばらしいと思ったのですけれども、どうしても秋山先生のところはコーディネーターの役割を持っていてつながっているのですけれども、だから、秋山先生の活動はとてもすばらしいと思ったのですけれども、全国的にというか、ほかの地域でこのようにつなげていくために何が必要なのかと。みんな秋山先生みたいに、誰も動かんなら私がやるというふうな活動が長続きするわけではないと思いますので、これを全国的に広げていくために何が必要なのかということを教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○秋山様 御質問ありがとうございます。実際に私も手探りで行ってきましたので、そしてまた、この事業が実際に活用できると今実感をしてきたところです。ですので、これを全国で広げるためにはどうしたらいいかというところまではまだ考えが及びませんで、小児科診療所というのはかなり機能的に動けるということを実感しましたので、地域の小児科の先生方と各事業が連携していただければいいのではないかと思っています。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、続いて奥山委員、井上委員、横田委員の順番でいかせていただきます。まず、奥山委員、お願いします。
○奥山委員 ありがとうございました。ちょっと似たような質問になるかと思うのですけれども、同じ小児科医として、小児科の医療でやるメリットというのを感じておられるだろうと思うのですけれども、そこの辺りを少し教えていただきたいと思います。
例えばこうのとりのゆりかごなんかも、やはり医療がやっているというのは非常に大きかったわけですけれども、こういう事業を医療が束ねているというところのメリットを教えていただきたいことと、あと、3つ事業をされていて、結構持ち出しになっていないかなという不安があって、持ち出しになってしまうとほかに広がりにくさというのが出てくるだろうなあと思うので、その辺のところを教えていただければと思いました。よろしくお願いします。
○山縣委員長 お願いします。
○秋山様 ありがとうございます。まず、小児科医がやることですけれども、今、小児科医もバイオサイコソーシャルを取り組もうとしているところですので、実際に小児保健に関わるところが多く、小児科医がこれから取り組む領域ではないかと思っています。
それから、資金に関しては、やはり家賃補助だとか、いろんな委託の中には含まれていないお金のところに関しては持ち出しになりますが、幾つか事業をすることによってそれを補填し合っているというところでやっています。ですので、単独事業でやるとしたときには厳しいものがあるかもしれません。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、続いて井上委員、その後、藤林委員も手が挙がっております。井上委員、お願いします。
○井上委員 秋山先生、本当にありがとうございます。今日お話を聞いて、改めて先生が長くやってこられた形が今ここでこういう形ではっきりなってきたなと感じました。
先ほどの安部先生の意見にも関係するのですが、先生、今までずうっとやってこられた子どもの心の診療医制度の中に、特に小さい子どもさんたちを扱っていく小児科医として考えていった場合に、この産後ケアのところは外せないぞという考え、それから、発達障害の子どもさんとか育てにくさ、これも先生がずうっとテーマとされてきました育てにくさを持つ親子ですね。そういったところの方たちに小児科医としてどのように関わっていったらいいのかというのを出していかれたときに、このソムリックのようなペアトレの形でずっとやっていく、そういった方たちと連動してするということがやはりすごく意味があると思いました。
そして最後に、これもまた驚いたのですけれども、今まさに焦点が当たっております医療的ケア児のケアのところですね。ここも我々、地域でやっている小児科医として外せないテーマですので、先生ずうっと考えられていたことをそのまま全国発信していただいて、各都道府県の中にもう既にできている小児科ネットの中でこれをつくっていくことが必要だとはっきり言っていただくのが一番いいのではないかと思いましたので、先生への応援のメッセージも含めまして、発言させていただきました。ありがとうございました。
○山縣委員長 特段質問はなかったようですけれども、発信をということでしたので、何か、秋山委員、あれば一言。
○秋山様 このような機会をいただいて、今回発信することができて感謝いたします。またほかにも発信できるように頑張ります。ありがとうございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では続いて、横田委員、藤林委員、北川委員、一旦そこで時間調整とさせてください。まず、横田委員、お願いいたします。
○横田委員 御報告どうもありがとうございました。大変勉強になりました。
御報告の最後のところの令和3年度より医療的ケア児について地域の公立小学校入学が可能となったということとの関係で、その前の御報告の内容として、保育所への併行通園の御報告があったと思いますけれども、保育所についてはどうなのかということです。障害者差別解消法の動きもありますけれども、この保育所というのは公営と私立変わらずということでしょうかという御質問です。お願いします。
○秋山様 公設民営の認可保育園です。
○横田委員 私立はまだということですか。
○秋山様 はい。民営というのは社会福祉事業団が経営している保育園です。
○横田委員 ありがとうございます。
○山縣委員長 医療的ケア児が社会福祉事業団のところの保育所には入っているということですね。ありがとうございました。
では、藤林委員、お願いいたします。
○藤林委員 私も、小児科医療機関がこういった市民サービスを提供していくということで、その利用しやすさという点で非常に大きな特徴があるかなと思って聞いておりました。私のほうから、私がいつもこだわっている課題で確認したい質問が1点あるわけですけれども、利用者の費用負担という観点で、先生のところは、産後ケア、それからペアトレ、それぞれ幾らぐらいの利用料を取っていらっしゃるのか。先ほど、ペアトレのところで何か難しいというふうな御発言をされていらっしゃったと思うのですけれども、利用料を取ることによって、結局、利用しやすさが少し損なわれたり、本来は利用したほうがいい方が利用されなかった、そういう事例があるのかどうか、その辺も含めてコメントいただければと思います。
○秋山様 産後ケアに関しては、三鷹市民であれば大体1割程度の補助、利用者が負担しています。それから、ペアレント・トレーニングに関しては、先ほど言いましたように、この団体が助成金とか研究費を取ってきても人件費には充てられないということがあるので、ほとんどボランティアに近い状況でやっています。利用者からは、1回500円、6回で3000円もらっているわけですけれども、これは資料代、それからお茶代という形でもらっています。ですので、活動自体が、人件費とか出ないので、なかなか難しいところがあるかと思います。
それと、実際にペアトレを必要としている家庭に声をかけたくても、やはりお金の負担があると声をかけにくいというところがあるようです。
以上です。
○山縣委員長 最初のところで1割負担とおっしゃいましたけれども、実額で言うと大体どれぐらいの金額になるのでしょうか。
○秋山様 三鷹市民は1800円でデイケアが利用できます。宿泊すると、24時間で大体7200円で利用できます。これは恐らく民間だと夜間3万ほどかかるのではないかと思っています。
○山縣委員長 ありがとうございました。藤林委員、大丈夫ですか。
○藤林委員 24時間で7200円ということは、1週間宿泊すると、掛ける7ということですかね。
○秋山様 はい。産後ケア事業は1家庭7回までと決まっていますので、大体それで利用されています。
○藤林委員 それと、先ほどのペアトレですけれども、6回通せば3000円ということですけれども、例えば三鷹市との間で、市が持っているいろんな事業を先生のところに委託するなりで、ペアトレの中に公費というか、市の予算が入るような、そういう市との交渉とかそういうのは特にないのでしょうか。あくまで先生のところとNPOだけでやっていらっしゃるというふうな理解でよろしいでしょうか。
○秋山様 そうですね。このソムリックという団体がいろんな場所で活動していますので、その中の一つとして私のところを利用している。ソムリックさん自体が活動する場を探すのが大変で、もちろん、場所の提供をしてくれるところを探すのが大変だということがあります。
○藤林委員 分かりました。どうもありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
次、北川委員、その後、時間の関係がありますが、初めての発言ですので、菅田委員までお認めしたいと思います。そこで秋山委員に対する質問は終わらせていただきます。では、北川委員、お願いします。
○北川委員 秋山先生、どうもありがとうございます。私のところでも、医療型の児童発達支援センターと重症心身障害児の児童発達支援事業所を行っているのですけれども、昨年から医療型の児童発達支援センターを委託して、今までお母さんたちが、どちらかといえば訓練中心だったので、訓練に行けるお母さんが来ていたのですけれども、送迎をするようになったら、今までおうちにいた、どこにも行かなかった親子が来るようになって、その中に、子どもとの関わりが難しかったり、適切な関わりが、子育てがきっと大変だと思うのですけれども、できてなかったりする家庭があって、発達障害の子どもたちに比べると、この重心児や医療的ケア児の保護者のケアって余りやっていなかったなという実感があって、うちの場合は、ショートステイとかにつなげたりしながらその御家庭のケアをしていくわけですけれども、そういう大変な家庭が一定数あるということが分かったのですけれども、先生のところではそのような、何か障害のある子のお母さんのそういう困り感というのが、中心地の場合、聖域というか、なかなか難しい面もあるかと思うのですけれども、虐待予防とか含めてどのようになさっているのか教えてください。
○秋山様 私のところは、送迎は保護者、タクシーを利用して送迎をして、お母様方に連れてきていただくということをやっていますので、毎回、スタッフが保護者と話をする、場合によっては30分、1時間と話をしていかれるお母様方もいらっしゃいます。その中で心配になった御家庭に関しては、診療所のほうにもお母さん相談に来ていただいたりして、話をしています。また、これまで重心のお母さん方は訪問看護を利用し、それから社会への第一歩として、この児童発達支援事業所を使う。次の、もう一つステップアップするために私は保育所との併行通園を考えているのですけれども、子どもたちのライフサイクルの中で児童発達支援事業所がどこでどのような役割をするのかというところでの、次のつなぐ中間施設とでもいいましょうか、そういう役割をしたいと思っています。ですから、お母様方にも、ここに来て、次のステップは学校はとか、そこに向けた支援をしていきたいと思っています。
○山縣委員長 では、最後になります。菅田委員、お願いいたします。
○菅田委員 全国母子生活支援施設協議会の菅田と申します。よろしくお願いします。
秋山先生、ありがとうございました。大変勉強になりました。今の質問につながるような質問ですけれども、3事業やっていて、とりわけ産後支援事業であるとか、ペアトレの事業であるとかで、やはり気になる家庭というのは多く見受けられると思うのですが、その中で母子家庭ってどのぐらいの数というか、割合があるのかということと、あと、そういう母子家庭を発見したときにはどのような機会につないでいるのか。母子生活支援施設もペアトレ事業に入っているようですけれども、その点、よろしくお願いします。
○秋山様 まず、産後ケア施設に関しては、市から情報がありますので、その情報をもとに優先して対応しています。数的にはちょっと記憶にありませんが、ただ、今のところ、まだ2~3年目ですのでそれほど多い数ではないです。
それから、母子生活支援施設へのペアトレのことですけれども、これはソムリックの方からそこの内容を聞いておりませんので、また後日お知らせできたらと思います。すみません。
○菅田委員 ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
時間、若干オーバーしましたけれども、秋山様、本当にありがとうございました。
では、続きまして、光の園子ども家庭支援センター統括施設長、松永様、よろしくお願いします。
○松永様 皆さん、こんにちは。松永と申します。私のほうは、児童家庭支援センターでの短期預かり制度という事業についてお話を進めたいと思います。画面の共有をさせていただいてよろしいでしょうか。
○山縣委員長 はい。
松永さん、ちょっと待ってくださいね。
ごめんなさい。ちょっとこちらの画面がフリーズしているそうです。
松永さん、申し訳ないのですけれども、資料がなくても説明できるような概要とかがあれば、その分、時間は確保いたしますので、委員のほうに、必要な事項、基本的なこととかあればお話を願います。
○松永様 私たちの児童家庭支援センターでは、年間に240人ほどの子どもたちのショートステイや、それから里子のレスパイト、そして、一時保護の子どもたちのケアをしているところです。1回につき大体3泊4日が平均で、年間、3.5人ぐらいを毎日扱っているような状況ですけれども、今日は資料を使いながらちょっと皆さんにお話をしたいと思っていたのですが、私も余り慣れていないものですから、本当に申し訳ありません。画面共有はできませんかね。
○山縣委員長 こちら、まだフリーズ、ホストのパソコンがちょっと止まってしまって。
松永さんと、この後もう一方、中島様がありますけれども、ちょっと事務局のほうから連絡をいただいて、今、3時40分弱ですので、3時50分再開ということで、10分間休憩させていただきます。
(休 憩)
○山縣委員長 予定の3時50分になりましたので、再開したいと思います。
松永さん、本当に不具合で申し訳ありませんでした。時間、今からの開始ということにさせていただきたいと思いますので、委員の方々もそのことを御了解いただきたいと思います。
では、松永様、よろしくお願いいたします。
○松永様 改めまして、松永です。
光の園のほうでは、年間に昨年は240人ほどの子どもたちを預かりました。今、令和2年度の末で書いている部分になるのですけれども、1200日ぐらい宿泊をするような形で、1人当たり3泊4日ぐらいのサポートをしながら、24時間365日、夜間・休日・祭日の対応をしたところです。この短期の取組については、全体の取組と関係していますので、簡単に取組を紹介したいと思います。
私たちのところでは、児童養護施設本体施設を中心にして、本体施設では保育所、学童クラブ、美術館、児童家庭支援センター、児童館を一緒に運営をしています。北と南に300メートルほど離れたところに拠点のⅡと拠点のⅢがあります。20年ほど前に私の前の施設長が、今日の委員をなさっている山縣先生や奥山先生、そして、特に井上先生のお話を聞きながら施設の改革をしていきました。
当然、子どもたちが安心して暮らせる家をつくるということで、小規模化や地域分散を進め、同時に多機能や高機能の機能を踏まえることで、地域の子育て指導、お母さんたちのお守りになるような施設づくりをしてきたところです。とにかく地域に愛される子どもの福祉施設にしようということが私たちのコンセプトで、本体施設に移された児童家庭支援センターと、それから別府市の子ども家庭総合支援拠点の委託を受けて、これを中心に、学童クラブ140人、それから保育所が70名、毎日利用するような施設になっています。
子どもたちの暮らす家のほうは、地域に4つ分散して、今生活しているところです。今日も15組のお母さんと赤ちゃんが児童館に遊びに来て、一緒に過ごしています。
写真で見ますとこんな感じになります。地域の子どもたちが自由に利用できるような施設に今なっているところです。児童館では、ベビーマッサージを毎月1回、それから、ちちんぷいぷい「お母さんの会」や「子どもの会」、こういうものを通しながら、地域のお母さんと子どもの関係を育てる行事を組んでいます。
児童家庭支援センターでは、発達障害の子を持つ親の会や、それから、学校の先生たちが発達障害の子どもについての支援方法を学んだり、不登校児童への働きかけ等を小児精神科医と一緒にできるような「ひとりからの会」というものをやっています。それから、要対協の実務者の人たちの勉強会として、弁護士を塾長として、産婦人科のお医者さんにアドバイザーをしてもらいながら、児童家庭支援センターで毎月1回、市役所のホールを借りてみんなで勉強する「こども福祉塾」というものを開催しているところです。
それから、学童クラブを利用している140人の子どもたちのお母さんやお父さん、それから保育園の保護者に対して、児童養護施設で気がついた子育ての知恵というものを分かち合うことができるような小さな本をつくって、子どもが泣いたときの関わりや、病気したときの関わり、お風呂や、髪結い、抱っこのやり方みたいなものが伝わるようなものをつくって、一緒に勉強会をしているところです。
このショートステイですけれども、短期に預かる事業はスペシャルケアの一つだと感じています。特に里親さんをサポートする、そのことは、具体的にはレスパイトが一番お互いに共有できる養育だなあということで感じているところです。
山縣先生が国連の子ども権利委員会が日本の国に対して求めていることを6つにまとめていますが、この2と3の一時的、短期的な預かりを含めたスペシャルサポートや里親のサポートが少ないなあということを感じているところです。この社会的養育に関しては、朝から夕方までの支援、プラス、夕方から翌朝までの支援、夜間・休日・祭日のサポートがとても大事で、必要に応じて子どもを預かる、そういう機能が制度的に整っていかないと子ども家庭総合支援は難しいのではないかなということを現場にいて感じている。
1年間の子どもたち預かったものをカレンダーにしているのですけれども、青が里子、赤がショートステイ、緑が一時保護です。4月がこんな状況で、昨年の5月、コロナで学校が休んでいたとき、6月になると学校の先生たちからのお話もあって、どんどん増えていきます。9月、10月、11月、12月。お正月も預かることになります。で、2月、3月、4月、5月というふうになっていて、この半年は、一日も預からなかった日はありません。ショートステイの数も毎年どんどん増えていっている状況です。それから、一時保護の数もどんどん増えていっていて、レスパイトはでこぼこがありますけれども、レスパイトしていた子どもは里親さんがギブアップして施設のほうで預かるということが起こっています。
最後になりますけれども、特別な子どものための特別な場所、お医者さんであれば、そこの病院に行けばこの病気は治せるというような尊敬と信頼を受けることができるのですけれども、子育て支援の場所というところは、看板を掲げたスペシャルケアではとても難しい。つまり、差別、あるいは区別されるようなことが起こってくる。ですから、地域にとって子どもを支える「温かい場所」であって、誰でも利用できる「安心感」とスペシャルケアはさりげなく口コミで広がっていくような流れをつくっていきたいと思っているところです。
必要に応じて子どもを預かる機能を備えたところを全国につくっていってほしいし、それから、本体施設での子どもの育ちと暮らしを守る機能を経験したスタッフたちがこのことに参画していく。つまり、夕方から朝までの支援をさりげなくできているような場所を広げていってほしいなあということを思っているところです。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。松永様、ひょっとしたら、途中でお子さんの名前がカレンダーに入っていたのではないかと。できるだけ実名等は出さないで、ほかのところでもプレゼンしていただくほうがいいのではないかと思いました。ごめんなさい。
では、委員のほうから、今までと同じように、挙手をいただいて質問いただけたらと思います。
藤林委員、お願いします。
○藤林委員 松永先生、とてもすばらしいプレゼン、ありがとうございました。さりげないスペシャルケアというその言葉が、確かにそうだなあと思って聞いておりました。その中で、ちょっとショートステイについてお伺いしたいことが1点ありましてお教えいただきたいと思うのですけれども、私も、ずっと以前、光の園さん、訪問させていただいて、別府市のほぼ真ん中にあるというイメージがあるのですけれども、児童家庭支援センターとして、多分、別府市だけがショートステイの委託をされているのか、ほかの近隣の市町からもショートステイを受けるような仕組みをしていらっしゃるのか、その点を1点確認したいということと、それから、別府市も広いと思いますし、特に近隣の市町になると結構遠かったりするので、中には光の園までショートステイのために子どもを連れていくことが困難な家庭とか、または車の免許を持たない家庭なんかあった場合に、例えば送迎ということなんかを考えていらっしゃったり実行していらっしゃったりしているのかという、その辺何かお考えがありましたらお教えいただきたいと思います。
○松永様 1点目ですけれども、別府市だけではなくて、大分市、別府市、別府市の隣の玖珠町、杵築市、こういうところからショートステイを預かっております。今年から、余りにも数が増えてきたものですから、大分市はお断りしました。
あと、送迎の件ですけれども、基本的には連れてきていただいています。そして、別府市内であれば学校に送迎するのは、お迎えしたりするのは私たちのほうでさせていただいております。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では続いて、河尻委員、横川委員、奥山委員。まず河尻委員、お願いします。
○河尻委員 松永先生、ありがとうございました。武蔵野学院の河尻と申します。よろしくお願いします。
まず1点目は、里親家庭の支援もされているのですけれども、これは光の園の児童養護施設に入所しているお子さんの家庭養護への移行、あるいは、その移行後の支援といったものも含まれているのかどうかという点についてお伺いしたいのが1つです。
もう一点は、光の園というと、僕のイメージは、長い歴史があって、地域に根差した児童養護施設というようなイメージがあるのですが、その児童養護施設に付置されている児童家庭支援センターの取組として、児童養護施設に付置されているメリットというものはどのようなところがあるのかというところについて教えていただければと思います。
○松永様 1点目は、私たちの施設から里親のところに行った子もいますし、それから、一時保護で児童相談所から、初めから、この子は里親に委託するということで、3カ月ほど一時保護をして、その間にマッチングを何回も繰り返しながら里親さんのところに行くということもあります。私たちのところから里親さんに委託されていた子どもたちは、私たちの家が、光の園が親戚のうちのような形で、時々、里親さんの用事のときにお預かりしたりして、里親さんをサポートするというようなやり方です。
それと、児童養護施設に付置された児童家庭支援センターとして、私たちの施設は、今、数は少なくなってきましたが、20人ほどの独身の職員たちは、園のそれぞれの家に住み込んでいる。そして、児童家庭支援センターの建物にもスタッフが住み込んでいて、夜の対応や、それから、何か起こったときの困ったときの対応を一緒にセンターの職員なんかとするということで、やはり子どもにとっても安心感はあるだろうと思いますし、それから、児童家庭支援センターのスタッフだけでは24時間365日のケアは無理と思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、続いて横川委員、お願いします。
○横川委員 すみません。全乳協の横川です。よろしくお願いします。
2点質問があります。1点目は、ショートステイ、レスパイト、一時保護を、非常に積極的に受けておられるという状況についてです。その中で、専用施設、専用スタッフというような形は確保できでいるのかということと、受け入れ人数の上限は設けなくてもやっていけるだけの体力があるのかということがです。
もう一点は、児童養護施設と児童家庭支援センターの統括施設長として、職員の意識の持ち方がそれぞれ若干違う部分があるのではないかと思われます。その辺りの組織内の人事異動も含めた意識レベルの共通化という部分について教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○松永様 スタッフについては、児童家庭支援センターのスタッフが3名、それから、別府市の子ども家庭総合支援拠点の委託が2名、それから、児童養護施設の里親支援専門相談員は、児家センに私のところの場合は仕事場を置いています。基本的にはこの6名が児童家庭支援センターの仕事を一緒にやっているような状況です。
ケースについては、基本的には3ケースまでというふうに上限を設けています。でも、1ケースで3人きょうだいというようなこともありますから、一番多いときには10人ほどをお預かりすることもあります。
それから、職員同士の関係ですけれども、基本的には児童養護施設で住み込んで、そして子どもたちと一緒に3年ぐらい暮らしたスタッフを地域支援型に持っていくというやり方を法人はしています。ですから、児童養護施設で人材を育て、その中で専門職の資格を持ったスタッフたちを児童家庭支援センターや子ども家庭総合支援拠点や保育所、それから学童クラブというふうに、基本的には児童養護施設から全体のスタッフを養成していくというやり方でしていますので、共通意識はとても持ちやすいのではないかなと考えております。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、奥山委員、その後、林委員でお願いします。奥山委員、お願いします。
○奥山委員 ありがとうございました。今日はショートステイのことを中心にお話をいただいたと思うのですけれども、ショートステイをやられていても、それから、ほかのところでも、ハイリスクな御家庭というのは結構あるだろうと思うのですが、そういう御家庭の、例えばアウトリーチ的な在宅の支援というのも児家センでなさっているのか、それともそれは市でやっていて、そこと連携する形になるのか、その辺のところを少しお伺いしたいと思いました。
○松永様 奥山先生、大変お世話になります。いろいろ先生にアドバイスいただいて、ありがとうございます。
私のところでは、ショートステイはやはり社会的養育のスペシャルサポートの必要なケースがすごく多いと感じています。ですから、私たちはアウトリーチも当然、その預かったケースをサポートしていく。市のほうも、逆に私たちのほうを頼っています。そして、本当に難しいケースは、児童相談所の指導委託というものを受けて、定期的に訪問できるような形をつくっているところです。
以上です。
○奥山委員 すみません。それに加えて1つだけ財政的なことをお伺いしたいと思います。そういう指導委託を受けて訪問したりするということに関しての、ある意味、今の形で足りていると思っていらっしゃるかどうか、その辺のところを教えていただきたいのです。
○松永様 非常に厳しい状況なので、やはり制度をきちんと整えていただきたいなあというのはあります。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、林委員、お願いします。
○林委員 2点あります。1つは、入所児童に対して高機能化ということを掲げられていたのですけれども、具体的にどんな支援をされているかということと、それは通常の措置児以外に、例えば里親委託とか、そうしたお子さんに対しても提供されているのか。もし提供されているとしたら、それはどういう事業枠組みの中でやっておられるのかということ、高機能化についてお聞かせ願いたいということと、2点目は、ショートについて、利用できる子どもの年齢とか、あるいは費用負担について、そういうことを中心にした、何か課題として感じられていることをお聞かせください。
以上です。
○松永様 高機能化については、そんなにたくさんのことはできませんが、里親家庭に行っている里子の手助けをしたり、そういうことを今始めているところです。それから、発達障害の子どもたち、それから保護者へのサポートも意識してやっているということぐらいだと思います。ショートステイ等の年齢については、本当に1歳ぐらいから18歳ぐらいまでの子どもたちを幅広く受けていますので、みんなで児童養護施設で経験した私たちの関わりを十分に生かしながら児童家庭支援センターで努力をしているということです。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
大体予定の時間になりましたので、松永様のヒアリングは終わらせていただきます。前半不手際があったこと、本当に申し訳ありませんでした。ありがとうございました。
では、最後になりますけれども、NPO法人ピッコラーレ代表理事の中島様、よろしくお願いいたします。
○中島様 よろしくお願いします。NPO法人ピッコラーレで代表をしております助産師の中島と申します。
今日は、豊島区で実践している若年妊婦のための居場所、ぴさらという場所の実践について皆さんに知っていただく機会をいただいて、本当にうれしく思っています。ぴさらは運営を始めてからようやく7月で1年になる、本当に始まったばかりの取組ですので、様々な御意見をいただけたらと思っています。
取組の概要ですが、私たちピッコラーレは、「にんしんSOS東京」という、妊娠にまつわる全ての困った同志に寄り添いますという葛藤相談窓口を運営しています。こちらは実施事業として運営をしていて、全国から御相談をいただいているような状況にあります。この相談の中で、電話やメールの相談だけではなく、実際にお会いしたりということが必要なケースが、ハイリスクの方、特にあるのですね。その中で、実は居所がない、ネットカフェにいるとか、SNSで知り合った男性宅にいるという妊婦さんにお会いしてきました。
ただ、そのような方にお会いしても、私たちはつなぎ先が本当にないということをこれまで6年間の中で経験してきている中で、私たち自身が、宿泊も可能な妊婦のための居場所というのを運営する必要があるのではないかということで始めたという経緯があります。居場所があれば、まず安心してゆっくりと考える時間の確保ができるのではないかということを考えておりますし、あと、この場所は妊娠の何週からでも使っていただけて、しかも、妊娠中もそうですけれども、産後も含めてお使いいただける、また、産むか産まないか決まっていなかったとしても、中絶を選択する場合でも中絶後の方であっても利用が可能というふうにしています。
それで、ちょっと大事だなあと思っているのが、妊婦であるということに対する私たち社会のまなざしが本当に不足していると思っているのです。特定妊婦と言ったときには、精神的なリスクと社会的リスクがあるということは皆さん議論されているかなあと思うのですけれども、彼女たちは、妊娠は病気ではないかもしれないのですけれども、それまでの成育の中だったり生活の中で身体的なリスクを抱えているという状況にある方が多いです。合併症を持っていたり、精神疾患を既に抱えているとか、そういった様々なリスクを持っている方に対して必要なケアというのが何なのかとか、彼女たちにとって適切な居場所が何なのかということを考えた受け皿が必要だと思っています。
特定妊婦という言葉は児童福祉法の中に書かれてはおりますけれども、彼女たちのための制度とかいうものは見当たらないのが今の現状かと思います。居場所がない妊婦と会ったときに私たちどうしているかというと、売春防止法とかDV防止法を根拠法とする制度や支援になっていて、例えば行政につないでいったとき、どのようにつなぐかというと、未受診で、もうおなかが大きいとなっても、直ちに病院というふうにならないケースもあるのです。居所がない場合ですね。そういったときは、女性相談、福祉事務所、あとは児家センですとか児相に連携をしていくということが必要になってくるのですが、それぞればらばらな場所にあって、どこからつないでいくかとか、それらの皆さんとの情報共有みたいなところでいつも苦労をしている状況でした。
厚労省の皆さんが私たちの話を聞いてくださって、若年妊婦等支援事業というのを参加はしてくださっているのですけれども、これは補助率2分の1なので、実際には動き出すまでかなり時間がかかるのかなあと思っております。うちの取組というのは、ここの部分、特定妊婦等に対する産科受診等支援とか、あとは緊急一時的な居場所の支援というところに当たるかと思います。
それで、居場所の事業、ちょっとこれはうちの場がどんな感じかというのを見ていただけたらと思いますが、豊島区の空き家利活用事業の一環で、一戸建てのおうちをお借りしています。1階に個室が2部屋あって、2階がリビングダイニングキッチンということになっています。
2階の様子はこんな感じですね。ここにいるのがスタッフです。机が3つ、ダイニングテーブルがあって、今、コロナなのでみんな分かれて座って食事をしたりしています。キッチン、すごく広くて、一緒につくったりもできますし、奥に沐浴ができるシンクが用意されていたりします。
訪れた子は、自分の部屋で休むということもあるのですけれども、2階のこういうベッドで横になって私たちのケアを受けたり、マッサージですとかお灸をしたり、助産師がたくさんいるので、そういうケアをしたりもできますし、自分でヨガしたりストレッチしたりお散歩に行ったりということもできます。あと、食事は、給食があるわけではないので、食べたいもの、食べられるものを一緒に考えて、献立を組み上げて、そして食べてもらうということをやっています。
行事なんかも一緒に祝ったりということをやっていて、実はここを利用した子が次の居場所に行った後も、100日のお祝いで利用してもらったり、赤ちゃんの様子を知らせてくれるという形で訪問したりということが起きているので、その中でいろいろな関わりを持っています。
あと、居場所ができたということで、様々な寄附物品を私たちのほうで持つことができるので、既に利用した方ですとか、過去の相談者さんに、パントリーのような機能で物を送ったりとかいうことをする拠点にもなっています。
実はステイだけではなくて、デイの利用もありまして、そのデイの利用の中では、ユースクリニックのような形で、保健室のような利用の方法があります。ここに来て、検査薬ですとか避妊具というのをお持ちになっていただいたり、使い方をちょっと学ぶみたいなこともやっています。
それで、ここは、すごく大事にしているのは、シェルターではないのですね。なので、地域に開かれた場所として運営していて、ここに来れば、ゆっくり、まずは自分の未来のことを考えたり、妊娠中健やかに過ごすとかいうことができながら、その中で様々な人とのつながりが得られるということを大事にしています。様々な地域の人とのつながりができることによって、次の場所に行った後もまた訪れてもらうことができるようになっています。
実は、屋根があって寝る場所があればいいだけではないという中で、彼女たちにとって必要なもの、ファンクションが幾つもあると思っているのですね。それを訪れた妊婦さんに合わせて、ちょっとこの場を伸び縮みさせるような形で、それぞれの機能を用意していくということをやっています。ピッコラーレだけではここができないので、地域の連携先と一緒に動かすということをやっています。
これまでの利用ですが、15名の方がステイの利用をしています。新生児が2名、あとは、上の子がいる方というのも行き場所がないのですね。なので、上の子がいる方が上の子と一緒に利用するとか、あとパートナーが泊まったりとか御友人が泊まったりということも今までにありました。妊娠の継続を希望しているけれども、居場所がなくて、妊産婦支援施設に入るまでの間の利用ですとか、あとは、DVがあって、妊娠期からの継続支援が必要な方が産後ケアのため、この方は里親に出したりということをしているのですけれども、その後のケアをするとか、あとは、上の子いる方というのが、一時保護所のほうに上の子を預けないと妊産婦支援施設に入れないというような状況もあったりする中で、それを拒否されて、そのままネットカフェにいたいというような状況があったりする方がうちを利用されたりということが起きています。
実際には、かなり私たちの窓口に入ってきた方の利用を想定していたのですけれども、公的な機関との連携の中で動いている状況があります。社会的養護の中で育った女性の妊娠をキャッチした元担当者さんからの相談でつながるケースとか、あとは行政の窓口で既にキャッチしているのだけれども、既存の支援、婦人保護施設とか民間のシェルターでは対応困難なケースについて問い合わせが来た後に利用に至ったケースもありますし、女性相談さんから一時保護委託という形で契約を交わしてという利用もありました。
なかなか私たちだけでも公的な支援なしでその方の暮らしを組み立てるということはできないので、利用者のほぼ全てのケースで行政との連携があります。ただ、一方で中絶を選択する場合は公的支援が存在しないことがあるので、かなり民間団体とか民間の様々な支援を使うということが多いかなあと思っています。
連携先との情報共有の了解が得られれば、皆さんと情報共有をして、リスクの共有というのができると思っていて、それをすることによって、実際、要対協のほうに私たちも出席しながら、私たちがどこを担うのかというのを皆さんと一緒に再定義するようなこともあって、コロナの中ではズームの会議にて遠方の方の要対協に参加するということも起きていました。
この中で皆さんに要望という形で資料のほうにおつけしたものは、今日は時間の限りがあるので全部お話しできませんけれども、私たちが出会っている方、ハイリスクの方のように思われるかもしれませんが、もっと手前で公的な支援を、もっとポピュレーションアプローチで整備することができれば、かなり早目にキャッチしたり、この場所に来るまでもない方というのも多くいらっしゃると感じております。ぜひ全ての妊婦が必要な支援が受けられるような状況を社会の中に整備していただきたいと思っております。
以上になります。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、委員のほうから質問を受け付けたいと思います。よろしくお願いします。
横田委員、お願いいたします。
○横田委員 御報告ありがとうございました。大変勉強になりました。
御報告の中で既に御説明いただいたかもしれないのですけれども、開かれた場所だということなので、利用者さんの数を報告いただきましたが、利用者さん同士が関わり合うということはどうなのでしょうか。対象者の方の中には中絶の方もいらっしゃるわけですよね。ほかの利用者さんと一緒にいるのはどうなのだろうと思ったりもしたのですけれども、そこら辺はいかがでしょうか、お願いします。
○中島様 ありがとうございます。問いとしてよくある問いかなと思うのですけれども、事前にこの場がどんな場所なのかというのを御説明して利用いただいているので、私たちとしては、特別に中絶後だからとか、出産後だからという形で関わらないようにとかいう配慮を特にこちらがするということはありません。ただ、本人が食事を例えば部屋で取りたいという場合は部屋で取れるように配膳するとか、そういう関わりはしています。本当に自然にこの場にいるという、大勢ではないのですね。2部屋なので、2部屋の中で緩やかにお互いちょっと様子を見ながら関わっていくということが生まれているのと、必ず1対1になることはなくて、私たちが間に入っているというような状況があるので、本当に御本人の気持ちと、あとはどうしたいかというニーズを確認しながら毎日運営しています。今日はみんなで一緒に食べたいけど、ちょっと今日は違うとか、そういったことがあったりしますので。食べたいものもちょっと違ったりするので、その辺りもかなりその方のニーズに応えるということを大事に今はしています。
○横田委員 配慮されているけれども、それが目立たない形で自然にという。そうでもなくて。
○中島様 もしかすると、嫌だなと思っている子はいるかもしれないとは思うのですけれども、それも含めて、実は、例えばカンファレンスも一緒にしたりするのですね。1週間ぐらいいてもらったら、「1週間いて、どう?」って。最初の1週間ってすごくみんな気も張っているし、とても場に適応しようとして頑張っているのですけれども、2週間ぐらいたつと疲れてきて、本当は3食食べるの辛かったのだけど、用意してくれるから食べていたとか、そういうことがいろいろ出てくるので、その辺りは一緒に1週間過ごしてどうだったかとか、何か気になることはあったかとか、もっとこうしてほしいというのがあるかとか、そういうのをコミュニケーションとりながら一緒につくっていく人として関わるようにしています。
○横田委員 ありがとうございます。
○山縣委員長 では続いて藤林委員、お願いします。
○藤林委員 本当に必要なサービス、サポートというふうに思いながら聞いておりました。でも、実際、これぐらいきめ細かなことを継続的にしていこうと思うとかなりの運営費が要るのではないかと思いまして、多分、婦人保護の委託費では全然賄え切れないのではないかと思うのですけれども、実際に運営における公費はどのように入っているのか、東京都から入っているのか、国から何かの補助金をもらっているのか、その辺を教えていただきたいというのが1点目。
もう一つ、さらっと流されたのですけれども、パートナーさんも一緒に入居していらっしゃると。こういうケース、あるんだなと私も思っているのですけれども、通常のいろんなこういう事業は、母子であったり、または婦人保護という枠組みで、なかなかパートナーさんも一緒に入所できないということが現状あるのではないかと思うのですけれども、どういうケースが、パートナーさん、一緒に入所して居場所を使っていらっしゃるのか、またはそういうケースは潜在的にそこそこにあるのではないかなと私は思っていまして、その辺の感触というか、お考えを聞かせていただければと思います。
○中島様 ありがとうございます。まず、運営の予算ですけれども、昨年度1年間回してみて、2600万円、年間費用がかかっています。民間の助成金と寄附と、あとクラウドファンディングで立ち上げ費用を用意して動かしました。公的なお金というのは、今のところ入っていない状況です。
居場所は、日勤者と夜勤者を配置していて、妊婦であるというところで、特に臨月ですとか、あとお産直後の新生児、退院したての子を預かったりということがあったり、あと、もともと劣悪な環境でずっと生活されてきたので、最初に基礎疾患ないかなとか、いろいろなリスクが考えられるので、夜勤のときにちょっと助産師を配置するとか、そういったこともしているのですね。なので、かなり人件費がメインの費用になっています。
固定費は、空き家利活用事業だったというところで、実は公的なお金全然入っていないと言ったのですけれども、豊島区さんから、最初、おうちのリフォーム代として200万円、支援をいただいてのスタートなのと、大家さんがすごくいい方で、一般的な賃料の約半額から30%ぐらいの賃料でここをお借りできているというところで何とか今は動かしていますが、このままだとサステイナブルではないので、もちろん、東京都の予算化、国が書いてくれたものをしっかり東京都に事業化してもらうという働きかけが必要だなと思っています。
あともう一つ、パートナーの利用ですけれども、このケース、誰でもというわけではなくて、パートナーとホテルに住んでいたというケースだったのですけれども、その後、出産後、1カ月健診の後にまたそこに戻るということがもう決まっていたケースで、子どもが24時間いる生活がどういう生活なのかということをパートナーの方にちょっと実感してもらう必要があるのではないかという背景ですとか、あとは、育児技術、お風呂に入れるとか、おむつかえるとか、そういったことをいきなり3人で始めるのは難しいと思って利用していただいたケースがあります。ずっとではないですけれども、数泊ですね。私たちにとってもすごくチャレンジでした。
○山縣委員長 ありがとうございました。
横川委員、北川委員、菅田委員と手が挙がっております。大体この辺で時間かなと思いますので、一旦そこで止めさせてください。では、横川委員、お願いします。
○横川委員 全乳協の横川といいます。よろしくお願いします。
お話を聞いて大変勉強になっています。その中で、全乳協としても、要保護児童の予防的支援機能に取り組むことなど、今後のあり方としての乳幼児総合支援センターをめざしている最中です。先生が取り組んでいる中で、子どもやお母さんを大事にという視点で具体的に乳児院と連携したことが実際あるかどうかということが1点です。もう一つ、全国の乳児院、145カ所あるのですけれども、もう少し乳児院としてこう動けというようなものがあれば教えていただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
○中島様 ありがとうございます。私が何か乳児院の皆さんに御意見というのは恐れ多いなと思って、今はっと考えたのですけれども、乳児院さんとの具体的なケースでの連携というのはまだないかなと思います。ただ、乳児院出身の方の利用というのはありますので、乳児院がどういうところなのかというのは、その子の言葉を通じて、ああ、そういうところなんだねという中で、またお世話になりたいと思う場所かというところがすごく大きなポイントかなと。余り覚えてないとは思うのですけれども、そこがあるなあと思うのと、あと、家族支援というか、今本当に、日本ってファミリーポリシーが見当たらないし、家族を支えるというような部分をもっと打ち出していただけると、すごくみんなも使いやすいのではないかなということは感じていて、子どもというところがすごくメインにあるのだけれども、私たちが出会っている妊婦さんというのは、妊婦さん自身も要保護児童であったり、経験を持っていたり、実際まだ未成年であるという、子どものところにいる妊婦さんたちだったりもしますので、何かそこの、家族というと日本ってどうしてもお父さんとお母さんみたいになってしまうのだけれども、国際セクシュアリティ教育ガイダンスにあるような、まずは家族にはいろいろあるという前提のもとで家族支援という視点があると私たちもお世話になりやすいなあと思います。
○横川委員 ありがとうございました。
○山縣委員長 では、北川委員、お願いします。
○北川委員 中島さん、とても参考になりました。
○中島様 こんにちは。いつもお世話になっています。ありがとうございます。
○北川委員 開かれた施設というふうになっていますけれども、例えばDVがあったり、リスクを抱えた妊婦さんに対して、それから、一時保護委託になる10代の妊婦さんもいると思うのですが、そういうサポートが必要な妊婦さんにどういう具体的なサポートをなさっているのかということを教えてください。
○中島様 ぴさらは、既存の枠組みがフィットしなかったり、既存の枠組みの中でどうしてもキャッチできない方たちが利用していらっしゃるので、DVがあって、例えばシェルターに入れるとか、婦人保護事業の中でうまくやっていけるという方はそちらに行っていらっしゃるのですね。特に身を隠さなければいけないようなケースはうちは難しいと思っているので、その辺りは、もちろん、DVが背景にあるケースが全部だめというわけではないのですけれども、逃げなきゃいけないとか、直ちに命の危険があるというケースはちょっとうちでは難しいと思っているので、ぴさらがある前から、様々な民間のシェルターも含めて私たちお世話になってきたのですけれども、そういったところの利用は引き続きしながら、もうそこに入らないケースですね。ネットカフェにまた行っちゃうとか、ビジネスホテルにいざるを得ないみたいな方がうちに来ていらっしゃるような状況です。
それで大丈夫でしたかね。もう一つ何か。
○北川委員 10代の不安定な時期の、まだ子どもの時期の方のサポートとか。
○中島様 それは本当に苦労していて、うちは15歳の子が一番小さい子かな、利用あったのですけれども、そのケースも、もう既に公的な支援とつながっている状況の中で、どこも受け皿がないという、一時保護所も難しいみたいな状況のときにうちが選択肢になるというような状況です。なので、第一選択がぴさらでなくて、様々な、既にある社会資源を検討した結果、どこも難しいとなったときに問い合わせが来て、うちを利用していただくみたいな形なのですね。なので、そういうケースは本当に連携先と私たちも情報共有しながら一緒にやっているような状況です。
○北川委員 ありがとうございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。
最後になりますけれども、菅田委員、お願いいたします。
○菅田委員 全母協の菅田と申します。よろしくお願いします。
中島さんの今回の発表、すごくいい活動をされているなと思って聞かせていただきました。私は母子生活支援施設の人間なのですけれども、特に資料の23ページの要望⑤、これは全くそのとおりだなと思って要望を見せていただきましたし、また全母協としてもやはり、妊婦で出産前でも母子生活支援施設を利用できるようにという要望は出しております。こんな要望の⑤がなぜ出てきたのかということで何かきっかけの事例があるのでしょうか。
以上です。
○中島様 そうなのです。母子生活支援施設さんは私たちも物すごくお世話になっていて、しかも妊娠中からお世話になっている施設も幾つかあります。地域によってはそれが難しい地域がまだまだあって、特に例えば夜間ですね。当直の人が警備員さんしかいないようなところは、臨月は難しいですと例えば言われてしまうとか、あとは、上の子と一緒だったら、本当は母子生活支援施設なのでスムーズに入れそうなものですけれども、上の子一緒で、妊婦で入ると、お産になったときに、上の子どうするみたいな問題が出てしまうから、臨月のときどうしようというので、ぴさらを1回使うとか、いろいろそういった地域によって、格差と言っていいのかな、格差があるし、あと場所がとても不便な場所にある地域なんかだと、本人が病院まで、車も持っていなかったりするとそもそも通えないよねみたいなところで、入所がすごく抵抗感があるということもあったりしますね。最近はどうか分からないですけれども、お風呂がないところも、本当に地方だとあるのですね。そういったところはやはり、妊婦で入るの、すごく嫌だなとなったりもするので。でも、母子生活支援施設の皆さんには大変いつもお世話になっていて、うちの後に行くことが多いですね。
○菅田委員 どうぞいっぱい活用してください。
○中島様 はい。ありがとうございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。
薬師寺委員、手が挙がりましたけれども、短くお願いできますか。
○薬師寺委員 はい。今のお話で、上の子(の養育)どうする?のときに、実際に産婦人科で出産されているときは、ぴさらで上の子を保護するという認識でいいでしょうか。
○中島様 実際には、うちがやったケースは、それはやらなかったのですね。お友達のところに預かってもらうということを御本人が選択されて、出産で入院中は、お友達がその期間見てくれて、退院のタイミングで一緒に帰ってくるということをやったケースと、あとは、無理というケースは、母子生活支援施設のところでお世話になったケースと、一時保護になるケースも多分あると思うのですけれども、うちはまだ子どもだけを預かるということはやっていないです。
○薬師寺委員 相談の入り口のところで、出産時に上の子どもをどうしようとなった方が来られているということですね。
○中島様 そうですね。その辺りも、今後はどのようになっていくのかはちょっと考えたいと思っているところで、上の子だけも預かれるのかみたいな話はちょっと出てはいるのですけれども、保育士も、うち、メンバーにいるのですね。ただ、夜の預かりは、やはりいろんなリスクがあるので、保険の問題とかもちょっとあったりして、すごく難しいなと思っているところですね。
○薬師寺委員 ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
中島様、ありがとうございました。
それでは、先ほど途中で休憩を取りましたので、ここは休憩なしで、あと、残る時間が20分弱ですけれども、今日のヒアリング、6団体の御意見を聞かれた感想とか、あるいは、今後、それを踏まえて家庭支援等についてどういう方向で考えていけばいいのか、その辺を自由に意見交換していきたいと思います。よろしくお願いします。
安部委員、その後、橋本委員、お願いします。
○安部委員 皆さん、ありがとうございました。とても参考になりました。
一番思ったのは、一つ一つの事業って、大体法定事業が多かったと思うのですけれども、それを組み合わせていっている、もしくは、逆にいうと現在の課題としては、いろんな子育て支援とか支援サービスのメニューをコーディネートしたりとかまとめたりとか、そういうところがないというところが一番大きいのかなあと思いました。
それともう一つは、やはりお金の問題といいますか、個別の事業として出されているので、それを取りまとめて相談に応じてアセスメントしてというところにお金がついていないというか、それはやはり行政ではなくて、民間だからこそ柔軟にできるところがあって、柔軟に、なおかついろんなサービスの組み合わせができるような体制をどうやってつくっていくのかが課題だなあと思ったところです。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。連携とかネットワークというところだと思います。では、橋本委員、奥山委員でお願いします。
○橋本委員 ありがとうございます。ピッコラーレさん、若年妊婦支援、とても勉強になりました。
実は私、今、この委員会が始まる直前まで、社会的養護自立支援事業を実施する団体の全国組織である「えんじゅ」の定期総会に参加しました。ちょうど今日だったのです。そこでは、一時保護につながらない、措置に至らない年長児へのケア体制の不足について議論がありました。ピッコラーレさんとかぶるところだと思います。また、自分の意思で親に見切りをつけて実家を離れる、言わば自分の成長に必要なこととして家出を選択せざるを得ない思春期青年たちの支援のあり方も重要と思っています。
ところで、先週、児家センの設置運営要綱と指導委託促進事業実施要綱が改正され、18歳の誕生日を過ぎても支援を継続することが可能となりました。これは児家センという地域支援の実践現場から、18歳を過ぎても継続して支援しなければならないケースが頻発している実情を訴えた結果として、厚労家庭福祉課の皆さん頑張っていただいて改正していただいたと理解しています。
しかし、現実、このような年長児ケースに対して、社会資源としてはせいぜい民間シェルターや宿泊可能な児家セン、挑戦的なNPOなどがインフォーマルな形で宿泊場所や食事を提供したり、就労を支援したりしているというのが現状だと思うのですね。ここまでの協議では、これらのインフォーマルな、いわば自腹を切るような支援に財政支援をしっかりとつけて、ある程度こういう支援をフォーマルなものにしていくための議論が弱かったので、今後のテーマとして提起させていただきたいと思っています。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、奥山委員、お願いします。
○奥山委員 いろいろお話を伺ってきて、皆さん、特に民間の方々はすごく工夫しながらやっておられるのですが、そこで扱える方々の数というのはそんなに多くない。だから、このモデルをいろんな子どもたちに対応できるようにつなげていくように、民間の方々が参入できる、基盤が必要だと思います。市町村等にその基盤があって、もう少しその地域に合った自由な民間の動きができるような仕組みというのが1つ必要だと思ったのが今日のお話を伺っていての印象です。
つまり、こういうモデルがあったから国で鉛筆をなめていろんな制度を作って、それが同じ形で広がるようにすると非常に時間かかるし、地域の特性に合わないということがあるので、もう少し自由にできるお金の仕組みが欲しいと思いました。
それからもう一つは、ハイリスクの家庭への支援を強化していかないといけないだろうと思いました。いろんな民間の方々がいろいろやっていく中で、本当のハイリスクのところがなかなか難しいところがあるのだろうというのは非常に感じました。ハイリスク家庭へのアプローチがもう少しできる形が必要だと思っています。
例えば松永さんも保育園をやっていらっしゃいます。問題があると、児童相談所は保育園に預けることで安心するのですけれども、実際、今の保育園って、4歳児、5歳児が、子ども30人に1人の保育士の配置基準しかないのです。ほとんどの保育園がそんなのではできないのでもう少しはカバーしていると思います。ただ、一人一人に寄り添わなきゃいけないような集団行動が難しいお子さんが現在、圧倒的に増えています。そういう中で見ていると、家庭が難しいお子さんを保育園に入れて安心とはとても言えない状況が生まれていると思います。ですので、ハイリスクのお子さんたちが通えるような治療的な保育園、基準としては、少なくとも児童発達支援センターぐらいの配置基準があるような保育施設が必要ではないかなと思っています。
以上です。
○山縣委員長 最後の部分、非常に興味を持って今聞いていました。ありがとうございました。
藤林委員、お願いします。
○藤林委員 私は、サービスの公平性という観点で聞いていたのですけれども、全国どこの市町村に住んでいても、サービスに対するニーズがあれば同じようにサービスを受けられるということが多分基本的な考え方でないかと思うのですけれども、今日のそれぞれの取組というのはとても先進的ですばらしいものと思うのですけれども、たまたまそういった児童家庭支援センターがある、たまたまそういったNPOがある、そこの人々は使えるけれども、ちょっと離れると使えないというのでは、それは公平なサービスにはつながっていかないのではないかなあと思っていまして、でも、そこを超えていくような仕組みをどのように我々は考えていくのかというのが重要かなあと思っています。
その場合に、サービスを届けていくとか、先ほど松永先生のショートステイのところで質問したように、場合によれば送迎という選択肢もあるのではないかなあと思ったりします。また、NPOがペアレント・トレーニングをしたり、先ほどのピッコラーレのような居場所支援を行ったりする場合においても、公費がなかなか入りにくいという仕組みがあって、でも、これは場合によると国が、家庭福祉課以外が持っている予算をうまく使えばやれる部分もあるのではないかなという気もするのですけれども、いずれにしても、社会福祉法人だけでなくて、NPOが質の高いサービスを提供する場合に、安定した運営ができるような財政的な支援をもっと考えていく必要があるのではないかなと思っています。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
奥山委員、再度手が挙がっているという理解でよろしいでしょうか。
○奥山委員 1つ言い忘れました。ハイリスクの方々に関しても、NPOさんがいろいろ頑張っておられるけれども、結局は来てもらえるのがベースになっていると思います。ハイリスクで支援を拒否するような方々にどう支援を届けるのかというのが非常に難しいところだろと思います。指導委託という形になったときには、その指導委託の場合に、支援計画が立ったら、その支援計画に必要なもの、認められたものに関しては送迎とかそういうのも含めて公的にある程度の費用が出るような形になっていかないと、支援を拒否する家庭に届けるというのはなかなか難しいのではないかと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、相澤委員、北川委員の順でお願いします。
○相澤委員 先ほど母子生活支援施設が妊婦を預かることがなかなか要望していてもできないというような発言がありましたけれども、今の仕組みでも、対象を広げるとか、例えば障害児の仕組みなんかも児童で活用するとか、児童の仕組みを障害のほうで活用するとか、そういう規制緩和や運用をすれば十分にいろんな意味で使えるものはいっぱいあると私は思っています。そういうところでの検討をまずするということがすごく重要だろうなと思っています。
例えば里親の活用でも若年の場合は、児童ですから、妊娠して、その子が里親に委託されて、子どもを産んで、親子で里親さんが見るとか、そういう形はできるわけで、いろんな今の仕組みを上手に使いながら、運用レベルで拡充していくようなこと、あるいは規制緩和を考えてもいいのではないかなと思っています。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、北川委員、お願いします。
○北川委員 少し相澤先生の意見と同じですけれども、先ほど奥山先生が治療的な保育園とおっしゃっていましたけれども、昨日、児童発達支援センターの通所関係の研修会があったのですけれども、そこで友田先生をお呼びしてお話を聞いたら、その後のグループディスカッションでも、家庭支援も必要で子どもも愛着の問題ある子が本当に増えてきているというお話をすごくされていました。そして、先ほどもちょっとお伝えしたのですけれども、なかなか登園するのが難しい場合、送迎がすごくよくて、おうちまで迎えにいくと、結構いろんな困難を抱える家庭のお母さんと、お母さんは来なくても子どもだけ連れてきてくれたりとか、そういうことも可能だし、個別サポート加算という加算が今年からついて、そういう支援の必要な家庭には、契約制度なので同意は必要なのですがつきました。ハイリスクの家庭にも対応できるような体制と、少人数で専門職もいてということで、ぜひ今ある制度を横につなげて連携しながらやっていくということが大事だと思うのです。児童発達支援センターも、子育て支援機関の一つにぜひ皆さん考えていただけたらうれしいと思いました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
3人手が挙がりました。畑山委員、横田委員、藤林委員、ここら辺でぼちぼち時間かと思います。御意見の中身によって、もう一方、二方いけるかもしれません。畑山委員、お願いします。
○畑山委員 ありがとうございます。藤林委員の御意見に私も同じように思っています。地域によってある、ないがあるので、サービス受けられない子たち、社会的養護の子たちが今生きている地域でも必要とするサービス受けられない子たちも多くいるだろうなと思いました。今回聞かせていただいた事例においても、行政機関や学校関係、病院につながり紹介されているケースが多かったと思います。となると、社会資源につながりづらい社会的養護経験者はそういった支援機関にもつながれず、サービスがあっても利用できない方たちが多くいるかなという印象を受けました。やはり支援につながりきらない子どもたちが、どうやったらサービスつながっていくのかという議論をぜひ一緒にしていけたらうれしいなと思いました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
横田委員、お願いします。
○横田委員 先ほどから皆様からいろんな意見が出ており、多分重なるところが多いと思うのですけれども、障害児への支援という視点からもということを言われました。例えば今日、学童期の児童のという話も出ましたが、学校そのものの福祉機能とか、余り議論拡散すると問題かもしれませんけれども、学校教育そのものという視点も必要だと思いますし、また、少年非行との関係で言うと、先ほどの年長の子どもの虐待の場合に支援がない結果として少年非行等のほうにいくという話もあるので、そちらの知見との連携とかもあったほうがいいかなと思っているのです。
ちょっと拡散し過ぎかもしれませんけれども、以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、藤林委員。
○藤林委員 先ほど言い忘れた点が1点ありまして、追加のコメントをさせていただきたいのですけれども、先ほど北川委員さんの意見にもあったと思うのですけれども、現在でも使える補助事業というのは、障害児関係でも子育て支援関係でも幾つもあると思うのですけれども、そういったものをしっかり見つけ出して、必要なケースに提供していくということが必要でないかなと思うのですけれども、実はそれは各市町村の子ども家庭総合支援拠点の一つの大きな役割ではないかなと思っています。
どのように市町でサービスを組み合わせていくのか、または、もっと言えば、補助金を取っていくのかということも含めて、拠点が今後もっともっと成熟していく中で、そういった部分も役割としてあるのではないかということをつけ加えたいということと、もう一つ、サービスがなければつくっていく、または広域的に利用し合うという発想も必要なのです。そういったサービスをつくっていったり広域利用をやっていくというのも、それは市町村の拠点の役割でないかなということをここで強調したいなと思ってコメントさせていただきました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、橋本委員、お願いします。
○橋本委員 すみません。私も先ほどちょっと言い忘れたのですけれども、今日の話を聞いて、またこれまでの委員会の話を聞いていて、やはり今キーワードは地域だなというふうに感じています。一施設とか、一事業所がどうのこうのという議論を超えた議論をしないといけないのかなあと思っています。いろんな先駆事例を見ていても、どことは言いませんけれども、どこの県が、あるいはどこの区が、市がというところで、頑張っているところは全部頑張っているのですね。頑張ってないところは頑張っていない。
あえて言うと、先ほど畑山さん、支援が届かない子どもたちへという話をしましたけれども、支援を届けない市町村があるというところをやはりみんなでちょっと意識したほうがいいのかな。そういう市町村がどうやって手を挙げていくか。藤林さんのようなスーパー公務員がいるからできたとかいう話でなくて、やらない市町村がどうやったらやるようになるのかということを議論する必要もあるのかなと思います。
一例を挙げると、支援対象児童等見守り強化事業、これ、やっているところが60ぐらいしかないと聞いているのですよ。1700も自治体があって。10分の10補助ですよ。それをやらないという選択って、なぜそうしているのかというところを分析する必要もあるのかなと。非常に過激で乱暴かもしれませんけれども、問題提起させていただきます。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。10分の10でもやらないところがあるということですね。
大体予定の時間に達しましたけれども、今日は6団体、あるいはそれを踏まえて、最後の短い時間でしたけれども、御議論ありがとうございました。
藤林委員、橋本委員、あるいは奥山委員とか言われていましたように、幾つか共通部分があったと思うのですけれども、制度化されていても、市町村が予算化等をしなければ、結局実現できないというところですね。もう一つは、予算化しても、それに手を挙げる事業者がいなければ、また今度は市民には届かない。この双方の側面ですね。特に予算的なことは、厚生労働省の関係等でどんどん進めていく必要があると思うのですけれども、事業者が手を挙げない状況、あるいはその事業者そのものがない状況ですね。それをどう育てていくのか。
福祉領域では、昔から、民間と公の関係で、平行棒とか繰り出し梯子という言い方をしたことがあります。民が先鞭をつけて、それを繰り出し梯子のように伸ばしながら公が引き継いでいくとか、平行棒で両者対等な関係の中で余り口を出さないほうがいいんだという考え方もあるのですが、これも最近は協働論ということで、一緒にやっていくような形、民間のそういう方々を育成していく、あるいは民間が新しいことができやすいような予算体系、これは藤林委員が言われていたところだと思うのですが、そんなところを皆さんのお話を聞きながら感じたところです。
今回はこれで終わらせていただきますけれども、当面連続いたしますけれども、次回以降の予定等について、事務局からお願いしたいと思います。
○野村企画官 本日はありがとうございました。
次回の日程でございますが、6月29日(火曜日)10時から13時、資質向上に関するヒアリング及び議論を予定しております。
以上でございます。
○山縣委員長 それでは、本日はこれで閉会にしたいと思います。
久しぶりに、時間内、1分前ですけれども、終わることができて感謝いたします。委員の皆様、長時間にわたり御議論いただきましてありがとうございました。次回またよろしくお願いいたします。
(了)
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会社会的養育専門委員会)> 第29回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 議事録(2021年6月18日)