ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会社会的養育専門委員会)> 第28回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 議事録(2021年5月25日)
2021年5月25日 第28回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 議事録
子ども家庭局家庭福祉課
○日時
令和3年5月25日(火)10:00~13:00
○場所
オンライン
○出席者
委員
相澤委員 安部委員 五十嵐委員 井上委員
榎本委員 奥山委員 河尻委員 北川委員
熊川委員 倉石委員 桑原委員 高田委員
坪井委員 中村委員 橋本委員 畑山委員
浜田委員 林委員 平井委員 藤林委員
松本委員 宮島委員 森井委員 薬師寺委員
山縣委員長 横川委員
事務局
渡辺子ども家庭局長
岸本審議官
小澤総務課長
中野家庭福祉課長
山口虐待防止対策推進室長
野村企画官
矢田貝保育課長
鈴木子育て支援課長
小林母子保健課長
○議題
(1)子どもとその保護者、家庭をとりまく環境に関する論点について
(2)その他
○配布資料
資料1-2 子どもとその保護者、家庭をとりまく環境に関する資料
資料2 地域の子育て家庭に対する支援の事例
資料3 「児童養護施設等への入所措置や里親委託等が解除された者の実態把握に関する全国調査」結果
資料4 家庭支援の取組に関するヒアリング候補(案)
委員提出資料
参考資料1 委員等名簿
参考資料2 前回の主なご意見
○議事
委員の皆様には、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、ウェブ会議にて開催させていただきます。
本日の出欠状況でございます。小島委員、菅田委員、横田委員は御欠席と伺っております。また、五十嵐委員、薬師寺委員は、遅れての御出席と伺っております。
今回の委員会は、傍聴希望者向けにYouTubeでライブ配信をしております。なお、本委員会では、これ以降の録音・録画は禁止させていただきますので、傍聴されている方はくれぐれも御注意ください。
それでは、これより先の議事は、山縣委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山縣委員長 皆さん、おはようございます。早朝から集まっていただいて、ありがとうございます。
本日は、たくさんの案件がございますので、後で少し整理しながら進めていこうと思います。取りあえず、資料の確認をよろしくお願いします。
○野村企画官 それでは、資料の確認をさせていただきます。
配付資料は、右上に番号を付しておりますけれども、
資料1-1 論点の資料
資料1-2 それに関する資料
資料2 事例の資料
資料3 ケアリーバー調査の結果
資料4 ヒアリング候補(案)
また、相澤委員、安部委員、藤林委員、薬師寺委員、横川委員から資料を御提出いただいております。
ほか、参考資料を御配付させていただいております。
以上でございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。
それでは、議事のほうに入っていこうと思いますけれども、まず議題(1)「子どもとその保護者、家庭をとりまく環境に関する論点について」でございます。
事務局から説明いただき、その中に論点が6つございますので、論点ごとに時間を取って議論していきたいと思います。委員提出資料につきましては、個別に時間を設けませんので、関連する発言の中でそれぞれ取り上げていただけたらありがたいと思います。
先ほど言いましたように、今日は時間を3時間取っておりますけれども、非常にたくさんの中身があります。一つ一つを本来丁寧に議論すべきですけれども、今回は頭出しということで、それぞれの論点のさらに下位の中にどんな論点があるのか、その辺をいろいろ御意見いただくということで、それを取りまとめてどうこうというところまではいきません。先ほど説明にありましたけれども、ヒアリングを行います。ヒアリングの後、それぞれの論点について何回か議論するということで、深い議論はそちらのほうでさせていただくということで御了解ください。ということで、今日は6つの論点、それぞれ時間的には20分程度かと思いますけれども、一定のところで切らしていただいて、次の論点、全体像を確認するという作業を中心に行っていきたいと思います。
それでは、事務局のほうから説明をお願いしたいと思います。
○野村企画官 企画官の野村でございます。
資料1-1、資料1-2、資料2について御説明させていただければと思います。別途、資料3については、担当の課長のほうから御説明させていただきます。
それでは、資料1-1を御覧いただければと思います。資料1-2は、その資料1-1を補完するための資料でございますので、基本的には資料1-1を御説明させていただくということで考えております。
資料1-1、論点でございます。1ページから3ページ目、図を御用意しております。「1-1 子どもとその保護者、家庭への支援等の現状」ということで、前回、奥山委員のほうから、支援の必要性、それから年齢をそれぞれ縦軸・横軸に置いて、現在、児童福祉法等で整備が規定されているものについて、支援としてどのようなものがあるか、それを確認する必要があるという御示唆をいただきましたので、御準備させていただいたものがございます。支援・相談について、相談を下側で、子育て世代包括支援センターとか子ども家庭総合支援拠点とか児童家庭支援センター、それから児童相談所、それぞれがどの年齢をカバーしているかというのが棒で表されている図になっております。
また、上のほう、支援でございますが、把握のツールでございますとか、保育所、児童発達支援センター、放課後デイサービスなど、障害児の支援も含めて整理させていただくとともに、社会的養護、在宅指導とか社会的養護自立支援も含めて整理した紙になっております。
2ページ目には、支援の必要性というところで、これはあくまで御参考でございますけれども、厚生労働省のほうで、どのように、何を要素として考えているかというところでございますが、子ども虐待対応の手引き等にございます、リスク要因とされているものを参考に、支援の必要性、こういったものが高まっていけば、支援が必要になっていくだろう、あくまでグラデーションで考えていく必要があるだろうといったことで、整理させていただいたものになっております。
3ページ目、その図を基に、では、それぞれの事項について、どのような課題があるか。前回、一部課題を御紹介させていただいております。それをこの図において、少し具体的に課題として置かせていただいたものがございます。例えば、社会的養護の世界であれば、一時保護の手続や処遇が外から分かりづらいとか、意見表明の機会が確保されていない。それから、保護や措置から地域へ戻る際の支援が手薄。社会的養護経験者へのアフターケアが行き届いていないといったところが、前回も御示唆があったところ。
あと、そういう社会的養護に至る前段階の支援の部分ですが、家庭への支援メニューの種類、量が不足しているといった課題を記載させていただくとともに、児相も含めてですけれども、相談の部分、支援のマネジメントがされていないとか、所管部局が異なる場合が多いといったこと。あと、就学期以降の児童自身が相談しやすい環境ということに対しても、課題として置かせていただきました。
そうしたことを踏まえまして、4ページ以降、2、3、4、5、6という5つの論点について準備させていただきました。
4ページ目、「2 支援が必要な者の把握について」でございます。
把握についての現状でございますが、支援が必要な子どもや妊産婦を把握できる機会について、子育て世代包括支援センター、保健所・保健センターにおいて、母子手帳の交付とか新生児の訪問指導、乳児家庭全戸訪問事業などで把握を行うとともに、1歳以降、1歳6か月健診、3歳児健診、自治体による独自の健診等といった機会をとらまえて、定点的に状況を把握している。
他方で、現状の3つ目の○でございますが、児童虐待による死亡を年齢別で見ると、0歳児が最も多い。また、2歳児以下の割合は約5割(52.1%)といった状況になっている。
一方で、こういう児童福祉の関係で把握する自治体独自の取組として、明石市のおむつの配布等で、家庭訪問により世帯の状況を把握する事業なども行われている。
こういったことを踏まえまして、論点として、虐待予防の観点から、把握すべき事項としてはどういったものが考えられるか。子どもの心身の状況、保護者の心身の状況、それから、対象となる子どもと親、きょうだい、その他の家族等の状況。加えて、生活上の課題を含む家庭環境(経済環境、夫婦関係、地域・親族とのつながり)などが考えられるかと思いますが、そういったものをどのように把握していくか。
把握を十分なものとするために、どのような取組が考えられるのか。その際、未就園児・学齢期それぞれでどのように考えられるか。母子保健の切り口、児童福祉の切り口といったところでの把握機会の創出・充実といったところ。加えて、民間などの地域資源を生かした敷居の低い形での把握も必要なのではないかといったところを論点として置かせていただいております。
加えて、母子保健や児童福祉等の観点からの継続的な把握をどのように行うか。
また、把握した課題への対応について、どこがどのように対応するのかといったところを論点として置かせていただきました。
5ページ目でございますが、「相談・マネジメントについて」でございます。市区町村の相談機関としては、子育て世代包括支援センター、それから子ども家庭総合支援拠点の整備を推進しておるところでございます。それぞれの仕組みについては、少し字を小さくしておりますけれども、御紹介しております。
マネジメントについて、子育て世代包括支援センターでは、令和元年度では対応者数約305万人に対して、支援プランというものを約63万人に作成しているという状況がございます。
また、子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点、対象者に重なりがありますので、同一の機関が2つの機能を担い、一体的に実施することを運営要綱などで求めているというところがございます。なお、別の機関が担う場合には、適切な情報共有や連携が必要とされておりますけれども、では、両方を運営している自治体(23自治体)でサンプル調査を行いますと、別々の機関で別々の場所で実施しているところが14自治体(61%)という状況がございます。
そういったことを踏まえまして、6ページ目を論点として御用意しておりますが、市区町村内における相談についてと、児童相談所における相談についてで、それぞれ論点を御用意しております。
市区町村内における相談として、利用者の相談への物理的・心理的アクセスや、子ども自身の相談のしやすさ等の観点から、相談機関の在り方をどう考えるか。敷居の低い地域の場、民間での相談というのも考えられます。学校等生活場面との連動をどう考えるかといったところもございます。そういったことを踏まえまして、では、行政による相談として、どういった機能、どういった在り方があるのか。
2つ目の論点ですが、妊娠期から出産・育児期に至るまで、さらには子ども自身からの相談を考えた場合に、市区町村にある母子保健と児童福祉のそれぞれの相談機関の役割をどう考えるか。母子保健、児童福祉のそれぞれに求められる相談対応の質。母子保健と児童福祉の一体的対応を実現するための対応策(一体的対応を困難としている課題)。それから、多分野へのつなぎ。様々な困難を抱える家庭がございますので、そういった場合に包括的な対応として、どのような多分野へのつなぎというのができるだろうか。それから、要保護児童対策地域協議会(調整機関)との関係といったところを論点として御用意しております。
また、支援の提供の前提として的確なアセスメントができているか。
それに伴って、体系的な支援の提供につなぐマネジメントについて、どのように考えるか。対象層とかプランの内容をどのように考えるかといったこと。
これらを実現するための人員体制・質の確保をどのように考えるか。
(2)として、児童相談所における相談ですが、支援の提供の前提として的確なアセスメントができているか。
体系的な支援の提供(マネジメント)をどのように行うことができるか。
それから、上記の実現をするための人員体制・質の確保をどのように考えるかといったところでございます。
7ページ目でございますが、「4 家庭・養育環境をより良くする支援について」というところでございます。社会的養護に至る前に考えられる家庭への支援を、このようなネーミングで少し置かせていただいております。
現状として、現状の子育て世帯に対する支援は、子ども・子育て支援事業計画に基づいて、量・質の充実を図っているところであります。例えば、保育園・幼稚園・幼保連携型の認定こども園について、3~5歳児では95%以上が利用。また、地域子育て支援拠点は全国に約6000か所、そのうち半数では1日に10組前後が利用といった状況がございます。
他方、0~2歳児の多くが未就園児、0~5歳の未就園児1人当たりで見ると、一時預かり事業は年に3日程度、子育て短期支援事業は年に0.05日程度しか利用できない状況だと推計されるというのが今の支援の状況。
また、子育てを行う家庭への支援となりますと、養育訪問支援事業がございますけれども、訪問家庭数、約8万家庭ございますが、そのうち育児・家事援助を実施したのが1割程度、要支援・要保護児童1人当たりで見ると、年間約1件の利用といった状況になっているところがございます。
なお、一部の地域において、浜松市のはますくヘルパー利用事業など、独自の取組により、家事などの支援を行うような取組なども行っております。
こういったことを踏まえて、論点として、全体の状況ですが、最初の1~3ページを御参照いただきまして、対象(年齢とリスク)に応じた支援の状況について、どう考えるか。
(2)養育環境を支える支援として、養育環境を支える支援を充実していくことについて、どのように考えるか。種類とか質・量、費用負担、支援を拒む場合の対応など、考えるところがあるかなと思っております。
また、3つ目の論点として、子ども(特に就学期以降)の居場所など、子どもに対する支援について、どう考えたらよいか。
そして、上記を実現するための供給側の人員体制の充実について、どのように考えるかといったところを論点として置いております。
8ページ目、9ページ目が「5 社会的養護について」でございます。
現状として、上から2つ目でございますけれども、里親委託率は年々増加しておりますが、前回も御示唆がありました。その増加幅は大きくなく、令和元年末時点での委託率は約2割といった状況になっております。
一時保護された児童の約7割が家庭復帰、施設入所等の措置を解除された児童は5割以上が「家庭環境の改善」を理由としているといった状況がございますけれども、一部で、再び一時保護であるとか、そういった状況に置かれるといった研究結果もございます。それから、在宅指導に係る措置等の実施状況には、地域によってのばらつきも大きく、そういったことを踏まえると、家族再統合、家族支援、保護者支援に向けて適切な支援が行われているのかといったところは、1つ懸念が持たれるかなといったところ。
加えて、社会的養護の経験者の自立支援についてでございます。これは、社会的養護の中に入れるかという議論が少しございますけれども、措置解除者等の直近1年間の施設等との連絡頻度というのは、減少傾向が見られる。それから、支援コーディネーターを配置していない自治体が3割を超えるなど、措置解除者等が相談できる場所が余りなく、自立支援を行う体制が不十分ではないかという状況が考えられると認識しております。
そういったことを踏まえまして、論点として、(1)(2)(3)を準備しております。
(1)として、社会的養護でございますが、基本的には代替養育といったところでございます。家庭養育の推進、特に里親支援について、どのように進めるか。また、(ファミリーホームを含め)家庭養育の質の引上げについて、どのように進めるか。それから、児童養護施設、乳児院等の多機能化・高機能化について、どのように進めるか。
(2)在宅指導の部分でございます。
論点として4つございますが、1つ目、在宅指導措置について地域格差があることも含め、どのように考えるか。在宅指導措置を着実に行うことを可能とするための体制。適切に在宅指導措置が行われるための支援のマネジメント。そこに至る前のマネジメントですね。それから、指導の内容における、直接支援の提供。
また、一時保護や入所措置がされなかった家庭に対する支援について、どのように考えるか。
一時保護や入所措置がされている間の保護者や家庭に対する支援について、どのように考えるか。
それから、保護や措置が解除され、地域に戻った後に、再び一時保護が必要になることがないようにするための支援への結びつけについて、どのように考えるかということで、それぞれ時点を確認しながら論点として置かせていただいております。特に、解除の判断の際のアセスメント。解除に向けた支援のマネジメント。解除後の支援のマネジメント。解除後の在宅指導措置、市町村における家庭支援の活用。それから、児童相談所と市町村や関係機関との調整等々、論点として置かせていただいております。
(3)として、社会的養護の経験者の自立支援といったところで、1つ別の論点として置かせていただいております。社会的養護の経験者の自立支援について、どのように推進すべきか。現行制度に対する評価。自立支援のマネジメントをする主体。自立支援の対象者。児童養護施設、自立援助ホーム等による支援(進学や就業)。あと、家庭復帰した児童や社会的養護の経験者に対する支援(居場所づくりの支援)。あと、自立支援の後の他制度とのつなぎの考え方といった論点を御用意しております。
以上の2から5を踏まえまして、10ページ目、「6 支援・マネジメントの役割分担」でございます。ここは論点のみでございますが、4つございます。
支援の提供体制として、市町村と都道府県、児童相談所は、現在、母子保健・児童福祉と社会的養護という役割を個々に果たしているが、今後、どのような役割を果たし、実際にどのように機能していく必要があると考えられるか。市区町村、都道府県、児童相談所と、それぞれで議論いただきたいと考えております。
具体的に支援を提供する主体として、民間機関はどのような役割を果たし、実際にどのように機能していく必要があると考えられるかということで、以下、5つほど掲げさせていただいておりますが、1つ目の○と2つ目の○、つまり、支援・マネジメントを行う中で、どのような役割分担をし合っていくのがいいのか。行政と民間も含めての御議論をいただきたいと考えております。
また、支援を提供する主体は、社会福祉法人のほかに何が考えられるか。
そういった多様な主体による支援体制、マネジメント体制を構築する場合、情報共有について、どのように考えるかといったところで、2つ論点を御用意しております。
資料1-1は、以上でございます。
そういったことを踏まえながら、資料1-2でございますが、2ページ以降、それぞれいろいろな概要の資料などを御準備しておりますが、前回御指摘いただく中で、幾つか御回答させていただくものとして、例えば12ページ目、13ページ目、家庭問題を原因・動機とする自殺者数ということで、コロナのありました令和2年の自殺者の状況について、少し御準備したものがございます。
下の図、参考となっておりますが、令和元年と令和2年の比較でございます。自殺全体が右肩上がりといったところもございますが、特に女性の増といった部分も割合としては大変大きいといった状況がございます。年間で見ますと、令和2年の女性の増加が935といった状況がございますので、女性の自殺が非常に増えているといったところがございます。
13ページ目は、自殺者の原因・動機別として家庭問題を掲げておりますが、家庭問題を原因・動機とする自殺者数の中で、家庭問題としては何があるかということで御紹介しております。
続いて、かなり飛びまして、51ページ目とか54ページ目で、一時預かり事業とか子育て短期支援事業の地域別の実績などについても御紹介しております。
加えて、養育支援訪問事業の実績ということで、72ページ目、73ページ目。
それから、74ページ目に養育支援訪問事業の制度の利用のしづらさなどについても御紹介しておりますので、御参考にしていただければと思います。
それから、78ページ目、児童養護施設等の実情というところで、ちょっと分かりにくくて申し訳ありませんが、里親委託率、3歳未満児が24.2%、3歳以上~就学前が26.2%といった数字について御紹介しております。
加えて、103ページ、104ページ、一番最後です。社会的養育推進計画策定プロセスへの当事者参画の状況、それから、児童福祉審議会を活用した権利擁護の仕組みの検討状況についても資料として御準備させていただきました。
資料がいろいろ行って申し訳ありませんが、続いて、資料2が「地域の子育て家庭に対する支援の事例」でございます。14事例、資料として御準備させていただいております。
かかりつけ機関・一体相談、要は、行政、民間資源を活用しながら、把握や相談で先駆的な取組をしている石川県のマイ保育園制度。それから、松戸市において、児童虐待対応と母子保健の分野を、1つの指揮命令系統の下で行っている一体的な取組事例。
それから、3番、4番が訪問支援でございますが、例えばアンジュママン、大分のNPO法人でございますが、地域拠点を展開していく中で、そこで課題などニーズを拾い上げて、ホームスタート事業という訪問支援事業に結びつけているといったこと。
それから、子どもの居場所支援。就学期以降の子が、家庭などの事情により、なかなか家にいることができない。それから、学習が非常に伴わないといった状況等々ある場合に、子どもの居場所として確保しているといった支援でございますが、例えばLearning for All、学校からそういった子たちの情報を得て、居場所につなぎ、展開していくような事業。
それから、保護者支援として、8番、あきやま子どもクリニックでございますが、ペアレントトレーニングの事業。様々な医療関係の支援をしていく中でのペアレントトレーニングへのつなぎ。
それから、短期預かり支援、光の園子ども家庭支援センターですが、短期支援、要は社会的養護の前段階の支援から様々な子どもとつながり、社会的養護の支援へ結びつけていくといった取組などを行っております。
そのほか、若年妊婦支援のピッコラーレ、自立支援の事業所。あと、様々な取組を一体的に取り組まれている児童家庭支援センターや社会福祉法人の事例を掲げさせていただいております。
資料1-1から資料1-2、資料2についての説明は、以上でございます。
○中野課長 家庭福祉課長でございます。
続きまして、お手元の資料3「児童養護施設等への入所措置や里親委託等が解除された者の実態把握に関する全国調査」、ケアリーバー調査につきまして御報告したいと思います。
1ページでございます。
調査目的のところに書いてございますが、委員長代理の松本先生に調査研究委員会の委員長をやっていただきまして、3か年にわたる調査ということで、調査設計、モデル的な調査に続きまして、平成2年度に本格的に、初めてのケアリーバーの全国調査ということで取りまとめられたものでございます。当事者の方も委員として参加していただいてございます。
先ほどの資料1-1の5番の社会的養護の一番最後、社会的養護の経験者の自立支援というところで論点として挙げさせていただいておりますが、こうした論点について検討するための素材ということで、今日は資料として提供させていただいております。後ほど、必要に応じて松本先生から補足いただければと思います。
なお、1ページの2番の実施内容のところを御覧いただければと思いますが、調査の方法については、ケアリーバー御本人の方の本人記入の調査、それから支援した側、施設とか里親さんに書いていただく、この2点の調査という形になっております。
続きまして、2ページ、まず、ケアリーバーの方、御本人の調査についてでございます。
一番上の回収率のところに、調査対象者は2万人と書いてございます。これは悉皆調査ということで調査対象者を抽出させていただいたのですが、平成27年(2015年)から5か年にわたる措置解除者全員が対象という形になってございます。そのうち、調査票の案内ができたのが7300人、回答件数が約3000、2980件ということでございます。悉皆調査全体に対する回答率というところでは14.4%、それから案内できた総数に対する回答率という見方をしますと40%という状況でございます。
まず、就労・進学の状況ということでございますが、退所後の進路について、就職・就労が約5割、進学・通学が36.3%という状況です。現在の状況については、「働いている」が一番多くて70%、「学校に通っている」が23%でございます。なお、通学している方のうち、学校の種類は「4年制大学」が一番多くて35.7%、次いで「専門学校」「全日制高校」が続いてございます。
続きまして、真ん中のところ、現在の生活状況、月々の収支のバランスということでございますが、収入と支出は同じぐらいという方が、3割、「収入のほうが多い」という方が26.8%、一方で赤字の方が22%という状況でございます。
健康・医療サービスの状況ですが、健康という方が一番多くて約8割でございます。通院している方が14%という状況ですが、一方で受診できなかった方もございまして、過去1年間に病院・歯科医院等を受診できなかった経験があったという方が約2割いらっしゃいました。通院できなかった理由としては、「お金がかかるから」の割合が最も高くて7割弱、66.7%。次いで「時間がないから」が44.8%、どこの病院に行っていいか分からないが17.1%という状況でございます。
続きまして、本人調査の続きでございますが、3ページにお進みいただきます。これは、先ほどの論点のところでもございましたが、生活していた施設等とのつながりということで、直近1年間、施設との連絡があったかどうか、連絡頻度を尋ねたところ「2~3か月に1回以上」が約3割、27.2%。「月に1回以上」が2割、「半年間に1回以上」が18.8%ということでございます。ただ、退所から時間がたつほど、連絡頻度は下がる傾向が見られたということでございます。
不安や心配なことということで、右の図を御覧いただければと思いますが、退所前の退所に向けての不安な状況、それから、右のほうが現在、退所後で困っている不安な状況ということで、どちらも1位は「生活費や学費のこと」でございますが、2位以降は若干変わりまして、「将来のこと」が退所前では3位、35.8%という状況ですが、現在の暮らしということでは、「将来のこと」が2位に上がってくるということでございます。
以下、御覧のとおりでございます。
最後、公的なサポートへの意見・要望については「奨学金や、生活費の貸付」「住宅確保の給付金」等々、金銭的な給付に期待することが多いということでございます。続きまして、利用してみたいサービスはない、悩みやメンタルヘルスについての相談、心身の健康。その後、16.4%が退所者同士の交流の場という形で続いております。
続きまして、4ページ、今度は施設職員・里親家庭、支援者側の調査ということでございます。こちらは、有効回答率7割弱、66.0%という状況でございます。本人記入調査について案内していただいたわけでございますが、「案内した」というのが半分強、53%。案内していない、できないという方が45.1%でございました。この案内できていない理由の約6割は住所・連絡先が分からないというもの。「その他」ということで、いろいろ具体的に書いていただいたのですが、調査対象者の方、ケアリーバーの方から回答を拒否された。それから、調査票の送付の手段がない、調査対象者の生活状況を勘案して見送ったというものがございました。
措置解除時の状況については、こちらの数字のとおりでございまして、「高校卒業」が49%、「中学校卒業」が17%ということでございます。
現在の状況については、学校の種類は「全日制高校」が51.7%と、半数を占める状況でございます。学校の卒業等の状況については、「卒業」が56.4%、一方で中退した方が17.5%ありました。なお、「在学中」が14.4%ということでございます。現状については、「働いている」が55%、「働いていない」が15.8%でございます。
先ほど申し上げましたが、施設との交流・支援状況ということで、直近1年の交流頻度ということですが、「1年に1回もない」というのが31%で最も多い。次いで、半年に1回以上、18.6%。それから、退所後、時間がたつほど低下する傾向が見られたということでございます。施設や自治体が提供するアフターケア・サービスの利用状況ですが、サービスを「受けている」方が49.2%、一方で「受けていない」が29.5%、3割弱ということでございます。
今度は、自治体の児相に対して聞いたところ、調査対象である73自治体から回答が得られました。この調査自体、ケアリーバーに対する支援ということで大きな課題になっているわけでございますが、社会的養護自立支援事業の実施状況を聞いたところ、「居住に関する支援」を実施しているが8割、「生活費の支給」が8割弱、78.1%、「生活相談の実施」が7割弱、69.9%の順でございます。一方で、自治体独自の事業をしているところが4割弱ございました。
これは論点の中にもございましたが、社会的養育推進計画の策定、自立支援の施策の検討に対して、措置解除者の参画が「ある」と答えたところが53%。当事者参画の課題については、自治体側としては「どのような措置解除者に対して依頼したらよいかわからない」が4割ということでございます。また、「措置解除者等の参画方法がわからない」が2割、「措置解除者等の参画にあたっての倫理的配慮」が気になるところが2割でございまして、この辺りを解消することが、自治体に対して、国のほうからどのような支援をしていくかの大きな課題の一つになっているところでございます。
最後、調査のポイントの4ということで、今までの実態調査を踏まえまして御提言をいただいているところでございます。支援の枠組みに組み込まれた、継続的な実態把握の必要性、意思決定プロセスに参加する「当事者参画」の推進、地域単位・地域横断での措置解除後の継続的な支援体制の充実の3点で御提言いただいております。
まず、1点目、支援の枠組みに組み込まれた、継続的な実態把握の必要性ということですが、これは調査のための調査というよりも、調査を踏まえてPDCAサイクルを回して政策に生かしていくことが重要ということで、国や自治体が5年、10年といった中長期的、定期的なスパンで、この調査を踏まえて具体的な施策に生かすべきだ。制度・政策、支援の在り方を検証し、改善するべきだという観点の提言をいただいているのが1点目でございます。
続きまして、当事者参画については、「参画」といった場合、施策・取組の検討・決定プロセスへの参加という踏み込んだ形の実施が必要だ。単にアンケート調査だけではなく、実際の政策に参画する、生かしていただくような踏み込んだ形の実施が必要だということで、当事者の意見を施策・取組に生かす制度的な枠組みについて議論していただく必要があるという御提言をいただいています。
最後、地域単位・地域横断での措置解除後の継続的な支援体制の充実ということで、一定年齢で支援を終結するのではなくて、より長期的に見守って、必要に応じて支援を行う仕組みづくり。次期制度改正も見据えた上で、体制整備、地域間格差の解消、国の制度にどのように生かしていくか。先ほど申し上げたとおり、社会的養護自立支援事業や施設等への自立支援職員の配置、これは予算事業で実施していることあって、なかなか活用されていないという課題がございます。予算事業ですので、自治体の判断によるところが大きな原因の一つという指摘がされているわけでございますが、この辺りを広げていくにはどうしたらいいのかというところが、1つ課題になっているということでございます。
最後、3つ目の○でございますが、住み慣れた地域を離れても継続した支援を受けられるよう、全国的な支援環境の整備、自治体間の連携ということで、これも1つ課題になるわけでございます。施設の近くに住んでいるわけではないので、全国的な支援体制の均てん化が1つ課題になるということでございます。
私からの説明は、以上でございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。
最後の部分、松本代理、何か補足のコメントございますでしょうか。
○松本委員長代理 いえ、後で議論のときに必要があれば補足いたします。
○山縣委員長 ありがとうございます。
今、この委員会でやるべき全体像を、時間をかけて事務局のほうから説明いただきました。関連する資料も提示いただいております。
これからの進め方ですけれども、6つの論点につきまして、一定の時間を取りながら、休憩を挟みながら1時までの間に、現段階で皆さん方がお持ちの考え方等を御披露いただいたり、あるいは資料等の確認、現状等の確認をしていこうと思います。
はい。
○奥山委員 座長、私、この構造自体に問題があると思っているので、一つ一つ分けて議論するのではなくて、まず、この考え方の論点整理がいいのかどうか。論点整理といいますか、1、2、3、4、5と分けたものがいいのかどうかの議論をしていただきたいと思います。
○山縣委員長 浜田委員。
○浜田委員 私、先回欠席しておりまして、議論についていけていなかったら申し訳ありません。今日の進め方についての委員長の御意向は分かりましたけれども、この先、日程調整を頂戴している夏までに、今日の論点出しがどのような形で、2回目、3回目の議論につながっていくのか。それとも、今日話したことは、これ以上、話す機会はないのか。この辺りの、夏または年末に向けてのスケジュールの中での今日の位置づけを確認させていただければと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
まず、2点ありました。
奥山委員からの質問につきましては、論点の1というところが全体像を議論しよう、御意見を伺おうというところでございます。そこのところで過不足、具体的には5つ、全体像が1つありますので、6つになっていますけれども、この全体像のところで、もっと必要なものがあるということであるならば、そういう御意見をいただくということを今、考えています。
それから、浜田委員のほうにつきましては、今日、全体像をある程度確認いただいたところで、それに関連するヒアリングをこの後、行い、その後に一つ一つの課題について議論する機会を複数回設けていくということで、その日程調整等につきましては、追って事務局を通じてお願いしたいと思っています。
以上です。よろしいでしょうか。
○奥山委員 つまり、1のところで、2、3、4、5という分け方はおかしいという意見も出せるということですね。
○山縣委員長 そうです。その場合、枠組みが変わった場合には、また必要な準備を事務局のほうでしていただくことになりますけれども、そこで全体の御議論をいただくと今日は考えています。よろしいでしょうか。
では、最初に、1番、全体像のところにつきまして御意見を伺おうと思います。御質問は、私の画面ではフルで全体像が見えない形になっていますので、申し訳ありませんけれども、それぞれバージョンによって、どこにあるか違うようですけれども、「手を挙げる」機能を使っていただく、あるいはチャットのほうに手を挙げていますという形でいただく、何らかの方法でメッセージをいただいたら、順番に御指名させていただこうと思います。
では、安部委員、手が挙がっております。
○安部委員 1-2について話をしていいのですか。
○山縣委員長 1-1、1-2になります。
○安部委員 ありがとうございます。
委員意見というのを資料に出させていただいたのですけれども、項目として4つぐらい必要なのかなと思いました。
下のほうの相談についてですけれども、相談を担う職員の専門性が確保されているか。そして、相談を担う機関同士の連携が担保されているかということ。それから、3つ目に支援に関してですけれども、要支援レベルから一般家庭への子育て支援策をさらに充実する必要があるのではないかということ。そして、少し書いてありましたけれども、施設入所中は、多くの市町村が要対協の支援対象から外されているということで、家庭状況の改善が進まないのではないかということも課題としてあるのではないかと思いました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
その後、奥山委員、相澤委員の順でお願いします。
○奥山委員 先ほどちょっと申し上げましたけれども、まず一番最初に、この図を年齢とリスクによってつくっていただけたのはありがたいと思うのです。ただ、その後の2、3、4、5が、それに基づいた分類になっていないというのが問題だと思います。2番で支援の必要な人を把握したら、すぐにリスク判断するわけですね。重要なのは、市町村の支援指針の中にリスク判定についてきちんと書き込んであるはずなのです。そこのところをきちんと見ていただく必要があると思います。
そして、相談マネジメントと家庭養育の環境をよくする支援というのは、一体化しなければならないものであって、ソーシャルワークとしてのマネジメントという書き方になっていますけれども、環境を整えるのもソーシャルワークですし、相談のマネジメントをするのもソーシャルワークですし、ソーシャルワークの在り方と支援メニューの在り方というふうに分けていただいたほうが分かりやすいのではないかと思います。
それから、5番の社会的養護の中に色々な課題が多数一緒に入っています。社会的養護を卒業して家庭復帰した方、あるいは自立した方が社会的養護の中に入っている。その意図がちょっとはっきりしないのですけれども、例えば1-2の90ページに指導措置のことが入れられています。確かに、ビジョンでは2号措置を取ったもの、要するに行政処分は社会的養護の一つであろうということは言っているわけなので、社会的養護の中に2号措置が入るということもあり得ない話ではないのですけれども、ステークホルダーが違いますね。とすれば、社会的養護という中に全部入れ込むべきではないと思います。
ステークホルダーとしては、一時保護から帰った子ども、あるいは一時保護しなかったけれども、とてもハイリスクだと思っている子ども、施設から帰った子どもも、ある意味のハイリスク群として、指導措置を最初のうちはかけるということですが、いずれも在宅での支援になるので、そういう場合のステークホルダーはほとんど一致しているものだと思います。それと、代替養育の部分とは分けるべきだと思います。ですから、社会的養護と言った場合に、もし行政処分という形で言っているのだとしたら、行政処分の2号措置の部分と代替養育の部分で分けるということになるのかと思います。
この分け方がきちんとしていないと、論点整理がきちんとできないのではないかと思います。その辺について、事務局のほうから御説明いただきたいと思います。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、後で事務局のほうでお話をいただこうと思います。
次、相澤委員、林委員、お願いします。相澤委員からお願いします。
○相澤委員 ありがとうございます。
私、社会的養育ビジョンなどを踏まえた支援の課題-養育のライフサイクルを見据えた支援を中心にして-ということで資料を提出させていただいております。
提出資料をめくっていただいて、3ページですけれども、私、ビジョンが指摘している虐待や貧困、世代間連鎖を断ち切るような養育のライフサイクル、リプロダクションサイクルを見据えた社会的養育システムの確立が非常に重要だと思っていまして、4ページですけれども、子どもの各発達段階における要支援段階ごとの具体的な支援事業を整えて、重層的な養育支援システムを確立することが重要だということでございます。
5ページにライフサイクル支援の図を提供しておりますが、それを横軸にして、その次に6ページですけれども、支援レベルとその目安ということですが、これは社会的養育ビジョンを検討する検討会に提出した資料でございまして、井上構成員がつくってくれたものを私が修正したものを、またちょっと修正した支援レベルです。
これを縦軸にして、事業を材料にして作成したのが7ページの参考です。これは、14回の検討会提出資料でもあります。
その図を簡潔にまとめたのが8ページの領域と現状(案)です。この表を見ると分かるように、特に事業の側の施策が薄いのは、発達時期では、胎児期・妊娠期と親になる準備期であって、支援レベルですと要支援4レベルであることが分かりますね。この部分を充実・強化すべき重要課題だということで、子ども家庭局でつくってもらった資料を補完する意味で今日は提出させていただきました。
支援レベルに合わせた、全ての発達段階の子どもの支援ニーズを満たすようなメニューを構築していくべきということで、10ページでございますけれども、予防・支援レベルのポピュレーションということで、各発達段階に応じたレベルを整えていく。発達段階と支援レベルですね。
それをまとめたのが11ページの社会的養育システムの構築ということで、市区町村と都道府県の協働の下、養育のライフサイクルを見据え、どの年齢・時期においても、その子どもや家族の多様なニーズにも対応できるような緩やかなグラデーションを持った、重層的な養育支援システムの構築が重要だということで、まさにライフサイクルを見据えてほしい。それで、全ての段階、全ての要支援レベルに基づいた事業をきちんと整えていくシステムを構築するのが重要じゃないかと考えたということで、補足する資料として説明させいただきました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、林委員、お願いします。
○林委員 まず、理念的なところというか、在宅の子どもたちのパーマネンシー保障をどうしていくかという理念を据えた上で、子どもの時間感覚を考慮して、即座に対応できる生活支援システムを、コミュニティミニマムとして基礎自治体がどう標準装備していくかという必要性があるのではないか。資料1-1の3ページで、右側の吹き出しで幾つか課題が書かれているのですけれども、その上から2つ目に「親子関係への直接支援がない」という表現ですけれども、これはむしろ子どもへの直接的な生活支援が相対的に少ないということではないかと思うのですね。
恐らく、その重要な柱になるのが短期支援事業のショートであり、トワイライトだと思うのですけれども、お示しいただいたように、現状ではショートが4割台あるいはトワイライトが2割台という導入率であるというのは、後の各論的な問題ですけれども、まず子どもへの直接的なケア、子どもの永続的な地域生活を支える上で、どんな生活支援が具体的に必要なのか。特に、子どもに焦点化した直接的なケア体制に対する問題意識をもうちょっと深める必要があるということと。
それから、保護者は、相談支援になかなか結びつかないインボランタリーな方々というのは、子どものケアを通してつながれるという人たちも多いのではないか。そうした視点も必要じゃないかということです。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
林委員、在宅の子どもたちのパーマネンシーという意味は、どういう意味になりますか現家庭における安定的な生活を図るという趣旨。分かりました。ありがとうございます。
続きまして、宮島委員、井上委員、平井委員、横川委員から手が挙がっております。一旦ここで切らせていただこうと思います。それで、時間を見ながら、必要があればほかの委員からの御意見を伺います。奥山委員の質問については、その後で、現段階で事務局が回答可能なところがあればお願いしたいと思います。
では、宮島委員、お願いします。
○宮島委員 発言の機会、ありがとうございます。
1の表で感じることを主に2つ申し上げたいと思います。こういう図をつくるときは、いつも苦労して、なるべくいい図をつくりたいとどなたも思うと思うのですけれども、でき上がると、これはどうかなと思ったりするものだと思いますが、この点を考慮しながら、現状をもう一回表現していただけないかな。あるいは、受け取るときに誤解が生じないように、どこかで注釈が欲しいという点で2点申し上げたいと思います。
一番下に児童相談所があり、児童家庭支援センターがあり、子ども家庭総合支援拠点がある。おおむねどの年齢にも関わるし、また相談において中心的な役割がある。年齢は低い子で就学前の子どもですけれども、子育て世代包括支援センターがある。これは、そのとおりだと思っているのですけれども、市町村と都道府県という言葉が見えなくなってしまっているという点をちょっと心配します。
全ての都道府県は児童相談所設置義務がありますし、市も設置が増えています。また、子ども家庭総合支援拠点と子育て世代包括支援センター設置の努力義務があって、とにかく全ての市町村に設置していくということですから、イコールと見えますけれども、都道府県・市町村は直接子ども家庭福祉ではないけれども、様々な社会サービスが集積している場所である。そこに実施責任があるということを考えれば、都道府県と市町村という言葉が見えるほうがいいかなと私は思うものですから、そこについてどうでしょうかということを申し上げたいと思います。それが1点目です。
もう一点は、支援の必要性という言葉には、1つの意味ではなくて、かぶる複数の意味があるので、これも気をつけなければいけないと思っています。子どもの命が失われるので、どうしてもリスク・危険ということに目が行きますけれども、本当は支援の必要性というのは、福祉ニーズが高いということだと私は考えています。福祉という言葉の意味を広く取っているものですから、必ずしも危険ということではないけれども、生きづらさとかいろいろな不足とか基盤が失われて厳しい状態にあるとかも含む。それが見失われてしまって、結果的に追い込まれて、危険になり命を失う。
だから、危険という尺度だけではなくて、ニーズが高いか低いか、もしくは生活課題が有るか無いかでまず見ていく。まずはニーズ把握をすることが重要なのだということをかねがね思っています。それでも、まだ反発されたりすることは多いけれども、きちんとエンゲージメントしていくことが大事であると思っていますので、支援の必要性というのが、単に危険ということではないということの理解を広めていく必要があるのではないかなと思います。その点が考慮されて、さらにいい図になるといいなと願っております。
以上でございます。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、井上委員、お願いします。
○井上委員 今、皆さんの意見でも大分出ていましたが、この問題というのは、子どもと養育者が住んでいる市区町村の中からスタートして、先ほど宮島先生がちょっと言われました、困り感のある方たちへのケアをしていく中で、たまたまいろいろな要素が重なってうまくいかなくなって社会的養護の方向に入っていく。そして、社会的養護の中でいろいろ行われた結果、またその市区町村に戻ってくるわけですね。
ですから、相澤先生もずっと言われていたような、サイクルの中をきちんと面でつながっているものとして認識して、それをいかに支援につなげていくか。そして、宮島委員が言われたように、市区町村と県を区別することは必要なのですが、ケアを受けている方たち、家族は1つの家族ですという認識を絶対忘れてはいけないと思いますので、それらをしっかりこの全体のフレームワークの中で明示していただいて、先ほど奥山委員が言われていました、以前の市区町村の委員会のほうで、かなり突っ込んだ話し合いもされておりますので、その辺のところもしっかり盛り込んだ形で見ていただくことが必要じゃないかなと思いました。
安部委員が言われた中でとても大事なのは、要対協の台帳から、社会的養護で児童相談所の措置のほうに入っていきますと聞いているのですね。私たちのところは、共同台帳という形で重ね合わせていますが、その他のいろいろな自治体を見させていただきますと、要対協から消えていますので、突然、社会的養護で保護されていた方たちが、措置された方たちが解除になりましたときに戻ってきて、学校現場が大変困っておられます。いきなり子どもさんたちが戻ってこられて、それまでどうだったか、市のほうも少しは把握しているけれども、全部の流れは把握していない。学校の先生たちは子どもの生活を見なければいけないという状態で、非常に困っていますので、そういった流れをうまくつなげていただくという意識を強く出していただくのが必要だと思いましたので、意見させていただきました。
すみません、長くなりました。ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、平井委員、お願いします。
○平井委員 平井です。
全体的に、子どもと家庭支援、全て大事なものだと思っておりますが、私、自立援助ホームの立場から考えまして、18歳と19歳辺りのはざまの方々の支援が余り行き届いていない感じがいたします。私の自立援助ホームは20歳まで委託措置が可能なのですが、五、六年前までは児童養護施設等の出身者が6割強だったのですね。それも今は逆転しまして、家庭から直接児相なりを通じて入ってみえる方が6割を超えている、逆転してきているのですね。だから、家庭の中でこれまでもいろいろなことがあったと思うのですね。18までは、もちろん保護・相談を受けてもらえます。
18を超えると、児相ではなかなか難しい。だから、市区町村の窓口から。そういった方々対象の相談窓口を設置して、自立援助ホームでできないことはないですね。相談窓口、自立援助ホームで開いて、相談員を配置していただければ、それも可能だと思います。
もう一点は、社会的養護出身者も含めてですけれども、社会的養護自立支援事業が今あります。これを使える方はいいのですけれども、突然の離職やトラブルなどによって住居を失ってしまうのです。そうすると、今すぐの行き場がない。そういった18、19の方々が結構多いと思うのですね。そういう意味では、住居を一時的に提供するとかの住居支援、一時宿泊事業とか若者ショートステイといったものも、年齢的なはざまの人たちの支援というものが、私はちょっとこぼれているのではないかと思っておりますので、ぜひそういったところも考えていただければと思います。
よろしくお願いします。以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
私のパソコンだけの問題かもしれませんけれども、前半、ちょっと音声が途切れてしまったので、議事録のところで平井委員、補足しておいてください。よろしくお願いします。
では、横川委員、お願いします。
○横川委員 横川です。よろしくお願いいたします。
委員提出資料の50ページに全乳協としての意見出しをしておりますので、そこを御覧ください。特に、先ほど説明がありました資料1-1の論点3と論点6について、乳児院の支援体制の充実による「乳幼児総合支援センター」化の実現により、妊娠期から乳幼児期までの親子の支援に乳児院の専門性を活用していただきたいということで意見を出しております。この図は、乳幼児総合支援センター提言の中にも描いてある図ですので、またお読みいただけるとありがたいと思っています。
51ページに書いてありますけれども、乳幼児総合支援センター構想を踏まえた上で、(1)から(4)までのことを特に強調して話しておきたいと思います。(1)の要保護児童等予防的支援の推進というところで、○の2つ目の親子での通所や宿泊支援、母子保健の産後ケア事業や児童福祉の養育支援訪問事業といった役割を担うことを想定しています。まだこれができているわけではなく、そういったことが今、非常に重要だと感じています。こうしたことから、3つ目の○、要保護児童対策地域協議会へ積極的に参画させていただきたいと思っています。
先ほど井上委員からもお話いただきましたけれども、会議体としては、この要対協が非常に重要になってきますので、どういう形で参入して、家庭養育に向かっていくかということを真剣に捉えていかないといけません。
あと、(2)については、特に親子関係をどういうふうに構築していくかという部分を丁寧にアセスメントしていかなければいけません。○の2つ目に書いてある、親の受援力とか援助要請力といったところを引き出す上でも、親と出会って、丁寧にそこに寄り添うということをやっていきたいと思っています。
3点目のフォスタリングの拡充についても、乳児院にその機能を持たせていただきたいです。今までも特別養子縁組のケースが多かったのですけれども、実際に実親子関係と同じように里親子関係の良好な支援構築にも取り組んできましたので、そこが大事かなと思っています。
(4)の○の2つ目に関しては、令和3年度に家庭支援専門相談員とか里親支援専門相談員、心理担当職員の増員について、予算的にも厚生労働省の方々に御理解いただきましたので、こういったものを活用して私たち全乳協としても力をつけることを考えていかなければいけないと思っています。
以上です。ありがとうございました。
○山縣委員長 ありがとうございました。
論点1につきましては、後半は個別課題のところでも御意見を伺いたいような話が続いておりましたけれども、全体像については、この段階で一旦切らせていただきたいと思います。
その上で、奥山委員のほうから、この分け方自体がどうなのだということがございました。冒頭事務局から、グラデーションで捉えるしかない。グラデーションという言葉を何回か使われましたけれども、完全な明確な線引きは正直難しいところがあって、これが社会的養護で、これが社会的養護じゃないという議論よりも、どう重なっていくかということが私の進行上は重要だと思っている。だから、便宜的に分けざるを得ないという部分があるという理解なのですけれども、事務局のほう、何か特段ございますでしょうか。
○野村企画官 まず、奥山委員のほうから、ソーシャルワーク、支援メニューといったものとの関連についての御示唆をいただいておりますが、まさに御指摘のとおり、相談・マネジメントの3ポツの5ページ、6ページの部分は、ソーシャルワーク、環境を変えるといったところまで含めて、どのように考え、支援を結びつけていくのかといった能力が求められるというところ、事務局としても全くその認識でございます。ただ、そこの部分をアセスメント、マネジメントまでにとどめておりますので、すみません、そのような点、修正を今後して、ソーシャルワークというところまで含めて議論いただきたいなと考えております。
ただ、7ページ、「4 家庭・養育環境をより良くする支援」の部分についてですが、事務局としては、これは市区町村が主に担うといったイメージを持っておりますけれども、ソーシャルワークをしていく、環境を変えていくためのツールとして、どのような支援があるのがよいかといった考え方で考えたものでございますので、どちらかというと、ソーシャルワークのやり方、それこそアセスメント、マネジメント、さらにそこから、どういったツールをどのようにやっていくか、確認し、ブラッシュアップしていくのかといった部分を含めたソーシャルワークについては3番。
具体的に、それを可能にするための支援メニューとしてそろっているのか、質としてどうなのか、量としてどうなのか、そして種類として十分なのかといったところについて、4番での御議論といったところをイメージしております。
加えて、「5 社会的養護について」でございますが、事務局として、(1)(2)(3)として、社会的養護という言葉の部分において、使い方としてあれでしたけれども、5の論点の(1)社会的養護についてというところを、基本的には代替養育についてとし、それから、(2)として在宅指導としている部分は非常に分かりにくくて申し訳ありませんが、ハイリスクの状況にありながら、児相などが主体的に関与し、状況をよりよいものにしていくような支援といったイメージをしています。そして、確かに御示唆のとおり、(3)の社会的養護の経験者の自立支援は、要素としてここに入れるのかという御示唆があるとすれば、1つ別立てで考えていく必要があろうかと思います。
そういったところについては、今後、社会的養育についてで、5として代替養育、それから在宅指導の部分についての御議論をいただきながら、もう一つの論点として、社会的養護の経験者の自立支援について、論点としてしっかりと立てて、今後の御議論として進めていきたいと考えておりますが、御意見をいただければと思います。すみません。
○山縣委員長 はい。
○奥山委員 今の御説明で少しだけ分かったのですけれども、市区町村の支援指針にあるように、ニーズアセスメントとリスクアセスメントをするわけですね。それのどの部分に、さっき相澤委員が出してくださったような図であれば、リスクやニーズが高いときにはどういうメニューがあるということになるわけで、3にしても、4にしても、グラデーションがあるはずなのですね。それが論点の中に入り込んでいない。全部一体化してマネジメントがあり、メニューがあるような感じで書かれている。ポピュレーションからハイリスクまで、この中を分類しないといけないのではないかと思うのです。そこがきちんとできていないことが、論点が定まっていないことになるのではないかなと思います。
○山縣委員長 ありがとうございます。
どうぞ。
○野村企画官 まさにそこの部分、資料の6ページの体系的な支援の提供のところで、論点として少し出させて頂いておりますけれども、グラデーションとして分けていく必要がある、もしくはなしといったところについても御示唆をいただきたいというところで、論点として対象層とか、そのような書き方をさせていただいたところがございます。
○山縣委員長 井上委員、手が挙がりましたけれども、何か今のことについてコメント。
○井上委員 今、言われているところがまさに大切で、先ほど相澤委員の資料のほうで6ページになるのですけれども、支援レベルの段階を1、2、3、4、5で分けている図があります。現実、いろいろな市町村を回っていきますと、レベル支援3の段階をできる市町村と、それができない市町村。それから、児相がやるような支援4の段階を、時には市町村の中でかなりやれる自治体があるのですね。それがあるために、今、論点になっているようなグレーゾーンという言い方しかしようがないような状態が起こっていると思います。
ですから、現場の状況によって支援3までを市町村がする、そういう自治体もあってもいいし、中には4までやれるような自治体がある。そうすると、県の事業として予算がついている部分をその市町村でやっている場合は、そこの市町村に事業の予算分を渡してさせてあげるという格好にしないと、市町村が頑張れば頑張るほどアップアップしてしまうという状態があるということも、ぜひ意識しておいていただきたいなと思います。
すみません、以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
今回は、具体的には5点、全体としては6つの枠組みで検討いただいておりますが、この枠組みを、事務局も含めて、最後まで絶対変えないということではありません。議論の中で圧縮したり、あるいは分解したりしながらいくことになります。ただ、その議論の単位をつくらないといけないので、取りあえず、この形で皆さん方の御意見を伺うという形で当面は進行させてください。必要なところで組み替えさせていただきます。中間取りまとめの辺りが、そこの調整の議論になろうかと思います。
では、論点2「支援が必要な者の把握について」という形で事務局のほうで資料を取りまとめていただいております。4ページのところ、あるいはその関連資料について、まず御質問なり、御意見なりあれば、同じく20分前後、時間を取ろうかと思っております。
では、私のところで今、分かっているのが、橋本委員、奥山委員、河尻委員、畑山委員でありますので、取りあえず、この4人から御意見を伺います。
では、橋本委員、お願いします。
○橋本委員 発言の機会をありがとうございます。橋本です。
まず、いろいろな資料をまとめられて、本当に御苦労さまでした。私は、すごくよくまとまっているなと思って見させていただいています。
現状をまとめられた表を一見して、中学生以降でひきこもり状態にある子どもや日系ブラジル人など、ニューカマーと言われる外国籍の子どもたちの把握手段がすごく弱いなということを、改めて感じました。現実的にも、本人や家族にそれなりの受援力がないと放置状態になっていたり、ないしは相当悪化して、突如私たちの目の前に登場してくるというのが、私たち児家センとか児童養護施設をやっている者の実情かなと思っています。
そこで、説明にも資料にもないのですけれども、あえて支援対象児童等見守り強化事業について、若干お話しさせていただきたいと思います。この事業は、今次のコロナ禍にあって、アウトリーチの手法で受援力の弱い家庭に支援を届けようという、とてもよい事業なのですけれども、残念ながら自治体のエントリーが極めて少ないということであります。
それはなぜか。当初の段階で、子ども食堂を対象とした事業であるといった狭い解釈が広まってしまったとか、むしろ10分の10であるがゆえに、今後も継続する事業とみなされていないとか、いろいろ理由があると思うのですけれども、これを虐待の早期発見、要支援家庭の変容状況把握の重要なツールとして、いかにブラッシュアップして汎用化させていくかを検討すべきかなと思っています。
一方で、この事業の心配な点は、そもそも子ども食堂や学習支援拠点など、市民有志の主体的な活動に期待した事業であるのなら、むしろ官の補助金をダイレクトに受け取ることは、元来、自由度が高くて柔軟な、いい意味で、とても緩い子ども食堂や学習支援拠点の組織体制とか事業運営を、行政の論理で縛りかねないということです。なので、補助金の交付も、例えば自治体を通さずに民間のアソシエーションに任せてはどうかといった提案などについて、今後しっかりと検討していただければなと思うところです。
なお、私の地元、越前市では、要対協のスキームを生かして、市の行政保健師と社協、児童センターの児童厚生員、それから児家セン、一陽などの社会福祉法人や民生児童委員などが一体となって、市内全域で見守り支援を展開しており、相当の成果を上げています。
そのことを申し添えて、私の発言を終わりたいと思います。ありがとうございました○山縣委員長 ありがとうございました。外国籍は、これまで余り議論してこなかったことかと思います。
畑山委員の後に、安部委員と藤林委員の手が挙がっております。ここで一旦仕切らせてください。
では、奥山委員、お願いします。
○奥山委員 ありがとうございます。
支援を必要とする者の把握とあるのですけれども、本来、支援は、多かれ少なかれ、みんなが受けるものであって、健診も支援の一つですから、どんな支援があるかをまず提示することが必要だと思うのです。それの中で、先ほど井上先生がおっしゃっていたような、困り感がある、ニーズが高い、それからリスクが高いというところが出てくるわけで、まずは、最初、支援が必要な者を発見するみたいな考え方ではなくて、どのような支援をしていくかということを考えなければいけない。
例えば母子保健の健診のマニュアルとか、いろいろなものが出ているのですけれども、その中で保健師さんたちが、もちろん全員ではないのですが、虐待を発見しなければいけないといった監視方向の感じをもっていることもあるのです。虐待をしないための予防をしなければならないはずで、親子関係の支援をしていくのだということが重要なのに、健診の中で虐待を発見しなければいけないみたいなことが考えられていることが、問題と思っています。虐待をしない形にどう予防していくのかという、そのノウハウを母子保健の中では重層化していかなければならない。
包括支援センターができて大分変わってきているとはいえ、母子保健の中に健診で引っ掛けるというイメージがどうしてもあるので、そこが少し悪さをしているのではないかと思うので、そこをぜひ変えてほしいと思っています。
もう一つは、どんな支援があるかの提示からスタートだと言ったのは、例えば乳児期には通称「こんにちは赤ちゃん事業」があります。「こんにちは赤ちゃん事業」で、この地域にはこんな支援がありますと提示すると思いますけれども、その後で転居してきた方に関して、この地域にはこんな支援がありますということを伝えて顔合わせをするということは余りなされていないのです。
死亡事例検証の中で、結愛ちゃんの死亡事例検証だったと思うのですけれども、結愛ちゃんの死亡事例検証の中の提言として、転居したときにそういう形で、地域にはこんな福祉支援があるのだと、「こんにちは」と顔合わせという形で、18歳未満のお子さんを持っている家庭には市区町村の福祉の方が行くということが大切なのではないか。特に就学前は必ず行くぐらいの形にしたほうがいいのではないかということがあったと思います。そのような提言もなされていたと思うので、ぜひそれをこんにちは赤ちゃん事業と同じ形で制度化してほしいと思っています。
○山縣委員長 ありがとうございました。結愛ちゃんの死亡検証については、奥山委員の言われたとおり、そういうことが書かれています。転居後の問題ということで指摘してあります。
続きまして、河尻委員、お願いします。
○河尻委員 よろしくお願いします。
まず、今、事務局からいただいている4ページの2番の資料ですが、基本的には非常にリスクが高い乳幼児のお子さんをターゲットにしたような書きぶりになっていると思うのですが、先ほど平井委員からも少しお話がありましたが、子どもの中でも、思春期になってから非常に不安定な状況になって社会的養護に来る子どもというのは、増えているように感じているところがあります。
非行ケースを児童自立支援施設で見たときに、割と早い段階から子どもの行動化、例えば暴力的なものが現れていたとか、性化行動のようなものが現れていたにもかかわらず、その段階では子どもの問題として捉えられていて、その家庭の把握までなかなかいかないまま、子どもが非行ケースとして扱われて、児童自立支援施設に入所してきたときには、かなり重症化している。重症化というのは、例えば女子であれば希死念慮や自殺念慮が非常に高くなっているとか、男子であれば非常に破滅的な暴力的な行動、あるいは性化行動が性犯罪のような形になって現れていく。そういう形になって初めて保護されるようなケースが多くなっています。
この、支援が必要な者の把握というのは、先ほどから出ている、キャッチするという意味と、あるいはキャッチしていたけれども十分な把握がなされていたのだろうかという意味があると思われます。非行ケースを遡ったときには、決して十分じゃないところもあるように感じているところもあるので、ここの項目については、できるだけ年齢対象も幅広く見て、特に思春期になってから不安定になってくるお子さんというのもターゲットにしながら、ここはまとめていく必要があるのではないかと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、畑山委員、お願いします。
○畑山委員 私自身の経験も踏まえてですけれども、サポートが必要な妊婦さんの実態の把握については、母子保健の入り口というのが母子手帳の交付から始まるのかなと思うのですけれども、母子手帳発行の要件としては医師の診察が不可欠。けれども、産婦人科の初診の費用等は保険適用外というところで、相場で5000円から1万円ほど実費で支払わなければいけないということがある。
また、母子手帳を交付されるときに妊婦健康診査受診券を受け取れますけれども、健診費用が助成額を上回ったり、様々な薬が処方されるのですけれども、自己負担することが積み重なったりと、私も社会的養護経験者という背景と、20代前半で妊娠・出産を経験した立場で言うと、この金額を出産まで負担していけるのかという不安があったり、同じような仲間であったら、パートナーから病院費用を出してもらえなかったといった声もあると、若者であったり、経済的な困窮を抱えていたり、様々な課題を抱えている人は、日々の生活がギリギリな状態で、本来必要である病院の受診というところ自体が金銭的にも難しくて、病院から遠のいてしまうということが起きているかと思います。
けれども、妊娠・出産に関わる費用を必要に応じて全額補助する等であれば、病院に行くことへのハードルも下がってくるのかなと私は思います。そうすることで、リスク支援が必要な妊婦さんを病院でもキャッチできたり、そこから母子保健につながっていきやすくなっていくといった仕組みをぜひ検討していただきたいなと思います。サービスを使う人がより使いやすいように検討していただければなと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
続いて、安部委員、お願いします。
○安部委員 委員の意見書には出しているのですけれども、今の畑山さんの話にも重なるのですけれども、虐待死亡例検証を見ると、ゼロ日死亡の事例の多くは妊娠届を出していないです。現状の母子保健のいろいろな施策というのは、母子健康保健手帳の発行から始まっている。その辺から考えると、妊娠届が出てからの支援ではなくて、その前からの支援が要るのではないかと思いました。
2つ目ですけれども、同じく死亡事例の心中を考えると、検証もされていませんし、なかなか具体的な支援策が出てこないということがあって、本当に支援が必要な人の発見そのものが難しいというのが現状ではないか。論点として、これを追加する必要があるのではないかなと思いました。
以上です。
○山縣委員長 論点追加ということで、2点承りました。
では、藤林委員、お願いします。
○藤林委員 把握という観点から、私は189と警察からの通告も把握の大きな手段と考えておりますので、そこの課題について少し意見を述べたいと思います。
私の委員資料37ページを見ていただきたいと思うのですけれども、別の資料にもありますように、児童相談所での虐待相談の経路別件数の中で、近隣知人と警察が年々非常に増加しているというのは、皆さん御存じのとおりです。このことが問題であるということは、ビジョンの中にも書いておりますので、それはまた後で参考に見ていただければと思うのです。
このように児童相談所に近年、警察からの通告と近隣知人からの通告が多く、7割ぐらいは本来は市町村が中心となって在宅支援を展開すべき事例が含まれているということが、令和元年度、2年度の調査から明らかになっています。そう考えますと、ビジョンが書かれた当時よりも、ますます支援のミスマッチが拡大しているのではないか。結果的に、児童相談所の負荷の増大が続いていると思っています。
そのことがどのようにデメリットとして現れているのかというのを次に掲げていますけれども、児童相談所は、増員しても通報件数が非常に増えていますので、結果的に安全確認調査に終始しまして、虐待がない場合は、助言指導で終わってしまいますので、ニーズアセスメントまでする余裕がなかなかない。ですから、このような警察からの通告とか、189を通した通告の中には、虐待はないかもしれないけれども、しっかりとニーズを把握して、アセスメントを行って、支援を提供していくということを本来するべきですけれども、なかなかそれができていない。せっかく把握したのに、この機会を捉えることができずに支援が届いていないという現状が起こっているのではないかと思っています。
また、多くの虐待通告を受けているために、本来、児童相談所がしっかり介入すべきケースに対して、十分な調査とアセスメントができていないといった可能性もあるのではないかと、私、3月まで児童相談所長をしていて思っております。そのための解決策として、ビジョンに書いてありましたように、振り分け機能を持った、一元化された窓口の設置が必要なのですけれども、これがなかなか進んでいないというのが現状です。または、一元化までいかないまでも、児童相談所から市区町村に初期段階での送致の実態も、まだ明らかになっておらず、なかなか円滑に進んでいないという現状があると聞いています。
一元化された振り分け機能であるとか、初期段階での送致がもし可能になったとしても、このPwCさんの令和2年度報告書にありますように、振り分けられた、支援が必要なケースが市区町村に7割来たとして、市区町村は本当に適切に対応できるのかといったことが報告書の中にあります。それは、専門性の問題、または職員の人数の問題という観点から、児童相談所に振り分けられたものが市町村に来たときには受け入れられるだろうか、といった意見が寄せられているということが、この報告書の中に書いてあります。
ここまでの意見をまとめますと、その下に書いてありますように、「支援が必要な者の把握」という観点から、189または警察からの通告は、一定機能していると思われますけれども、把握はしているけれども、支援が届いていないという実態があるのではないかと思っています。そのために、振り分け機能を持った通告窓口の一元化とか円滑な送致が必要ですけれども、もっと重要なのは、市区町村がこういったケースを扱う場合に、しっかりとしたアセスメントに基づいた支援を提供できるための、市区町村のケースマネジメント機能、ソーシャルワークの一部であるわけですけれども、ここがとても重要じゃないか、
ここが足らないために、今、児相から送致されても受け入れられませんとか、振り分けられても困りますという意見が市区町村に多いのではないかと思っています。この論点については、また後で述べたいと思います。
以上です。
○山縣委員長 宮島委員と北川委員から手が挙がっているのですけれども、先ほど言いましたように、次のほうの進行に行きたいので、必要であれば短時間でお願いします。宮島委員、大丈夫ですか。
○宮島委員 次のところに絡めて発言させていただいてよろしいでしょうか。
○山縣委員長 はい。
北川委員、いかがでしょうか。
○北川委員 私も次に絡めて。
○山縣委員長 分かりました。では、最初のところで宮島委員と北川委員を指名したいと思います。よろしくお願いします。
では、3つ目、「相談・マネジメントについて」、御意見を伺いたいと思います。
では、最初に宮島委員、お願いします。
○宮島委員 ありがとうございます。次のほうがいいかな、前のほうがいいかなと、ちょっと迷っていたところもございました。
把握という言葉で、見つけ出さないといけないんだということに私たちは本当に努力してきたと思うのですけれども、改めてSOSを出していいというメッセージをもっと当事者の方々に出さなければいけない。また、出されたSOSをきちんと受け止めよう、それを逃してはいけない。この点を見えるようにしなければいけないのではないか。虐待対策が、目黒の事件、野田の事件、本当に大事な事件ですから、どうしてもこれを踏まえたものにしなければいけなかったと思いますけれども、偏りが生じています。
この1年間ぐらいを見ると、それこそ先ほどお話のあったような外国人の技能修習生の方が妊娠して、お子さんを殺害して遺棄した。立て続けに起こっていますし、児童養護施設出身者の方が1人でお子さんを育てていた、あるいは実家との関係がうまくいかなくて、1人で自宅で、赤ちゃんを産んでしまって、生きるために3か月の子どもを置いて仕事に行き留守中に子どもが亡くなったという事件などが頻発しています。把握するという言葉の影で、SOSを出しにくくしている。せっかく出されたSOSをスルーしてしまったということが頻発している。こういったことを自覚的に取り扱わなければいけないのではないか。
浮遊する女性たちが、どうやったらSOSを出せるか。ステップファミリーの子育てはとても難しいから、つまずきがあって当然だ。だから、SOSを出していいんだ。あるいは、精神保健福祉の分野の方なんかで、どうしても対人関係が難しい方のSOSをどうしたら受け止められるのか。あるいは、それこそ若年のお母さんとか孤立している人たちは、学校教育等の中でSOSを出していいんだ、子どもの命を守ることは大事なんだ、権利なんだということもベースに、まず大事なこととして伝えて行くべきではないかなと思います。スティグマのあるところではSOSは出せない。幾ら伝えても、最終的に出せない方はいっぱいいるでしょうけれども、取り組むべきことだと改めて思います。
また、身近な相談の場所でSOSをキャッチすること、これを多段階でやっていくことが大事だと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
あと、北川委員の後、奥山委員、藤林委員、安部委員、井上委員、林委員、ここで一旦切らせてください。
では、北川委員、お願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
資料を分かりやすくまとめていただいて、ありがとうございます。私のほうからは、支援というのが、今の宮島先生とか奥山先生がおっしゃったように、誰でも受けていいんだ、支援に包まれていいんだという、そこが大事だと思います。障害のところでも、1歳半健診、3歳児健診で、以前はお母さんたちが障害の早期発見ということですごく抵抗を示していましたけれども、今は支援に早く結びついて良かったという保護者も多く、児童発達とか放課後デイがすごく増えてきたという実態も関連があるのかなと思います。
私たちが児童発達支援センター、障害という括りで見るだけじゃなくて、子育ての困り感、子どもも困っていると捉えてほしいと思います。子どもへのアプローチと、それから保護者へのアプローチと親子関係のアプローチができる場で、長くそういう歴史があります。お母さんたちが児童発達支援センターに来て面接する中で、それまでどこにも言えなかったという自分のお父さんとの関係性とかを、虐待を受けていたとか、いろいろな、よくここまで頑張って生きてきたねという保護者も多くそこからアセスメントして支援をつくっていくわけですけれども、そういうところが身近にあればいいなと思っています。
それが、一番はポピュレーションアプローチの中でどうやってできるのかと考えたときに、その健診の中で保健師さんたちがどんなふうにお母さんたちの困り感を聞けるかということと。もう一つ、保育所なんかで気軽に、先ほどどなたかおっしゃっていましたけれども、子どもが行くところにお母さんもお父さんも行くわけだから、そこでお父さん、お母さんのお話を聞く体制をどうつくっていくのかというのが大事だと思います。幼児期から見ていたら、先ほど河尻先生もおっしゃったように、将来こんなふうになるのではないかという見立てにつながることもあります。
その辺は、専門性の高い心理士さんとかソーシャルワーカーさんは少し見通しが持てて、予防的なアプローチもできるかなと思いますので、専門性の高い心理士さんとかソーシャルワーカーさんが、ポピュレーションアプローチの中で、幼稚園、保育園の中で、これからどんなふうにやっていけるのかなと、それができれば本当にいいと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、奥山委員、お願いします。
○奥山委員 ありがとうございます。
先ほど藤林先生がおっしゃった通告の一元化に関しては、児相と拠点(東京では子ども家庭支援センター)が同じ自治体という事例ではありますけど、児相が一元化して通告を受けているというところに関わっています。そこの間のコミュニケーションがかなりできて、共有のガイドライン的なものができると、機能しているのです。通告の一元化というのは有効だと私自身は考えています。
もちろん、拠点というか、子ども家庭支援センターの人数とか実力とか、いろいろなものによって微妙に差をつけてはいますけれども、その時点で、拠点が抱えているケースが多ければ、児相がカバーするということも出てくるわけで、そういうコミュニケーションがきちんと取れていれば、そして同じようなガイドラインに従ってやれば、一元化は不可能ではないと考えます。
同時に、そうやって同じようなガイドラインをつくって、同じような基盤に立って考えるというのは、基本的には子どもの権利を基盤にしてということで、そのような観点からは母子保健と子ども家庭福祉の間の共有ガイドラインというものもあっていいのではないかと思います。今、児童福祉法が子どもの権利を基盤としてということになって、権利のことをかなり考えられるようになってきました。成育基本法の中には権利という言葉が入っているのですけれども、母子保健法の中には入っていないですが、(今、気づきました)やはり子どもの権利が基盤でなければなりません。
権利を基盤にした母子保健と福祉の共有のガイドラインがあれば、先ほどの福祉的な問題から見た母子保健の変更が必要じゃないか、補助が必要じゃないかということも含めて、いろいろなことに目が届くようになってくるのではないかと思います。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、藤林委員、お願いします。
○藤林委員 先ほどの発言の続きの部分ですけれども、私の資料の38ページを中心に説明したいと思います。
できれば、市区町村が在宅支援において、どのようなソーシャルワーク、ケースマネジメントができているのかという実態を把握した上で議論したいところかなと思っています。井上委員が言われましたように、市区町村によって支援力とかソーシャルワーク力に大分格差があるというのは実感として分かるのですけれども、どれぐらいの格差があるのか、自信を持ってできているという自治体が何%ぐらいあるのか、いや、まだなかなかできていませんというところがどれぐらいあるのかというところを把握した上で、例えば見守りに終始しているような自治体もあるのか、またはニーズに合った支援が十分届いていますと自信を持って言えるのか。そのところは把握してほしいと思います。
この把握を待っていると、議論が進みませんので、実態把握については、今年度、来年度、先でもいいかと思うのですけれども、現在考える対策として何をやるのかということを中心に述べていきます。
それともう一つ、その前に、確かに一方で小規模な市町村の中には、市区町村だけでソーシャルワークとかケースマネジメントができない市町村も確かにあるかもしれない。そういった場合に、児童家庭支援センターと役割分担を行うとか、業務委託を行うとか協働するといったこともできるようになっているわけですし、ビジョンにもそう書いています。福井の橋本委員が言われたように、地元の自治体と協働しているところもあると聞いていますけれども、全国レベルでそれはどんなふうになっているのかという実態も把握してほしいなと思うところで、児童家庭支援センターは都道府県で設置していくというところがある。
今までの児童相談所と児家センとの連携というのはいろいろなところで報告があるのですけれども、市町村と児童家庭支援センターが連携しているというのは、個別の報告はあるのですけれども、全国実態が必ずしも明らかではないかなと思っています。このことも本当は十分把握した上で議論したいのですけれども、時間がないので、39ページの上のところに当面の方向性ということで書かせてもらっています。
1つは、ソーシャルワークの拠点、支援の拠点を全市区町村に設置する。これは、当然の方向性で厚労省さんも言われていますけれども、重要なのは、拠点を設置しておしまいではなくて、拠点を設置した後の質の高いソーシャルワーク業務、ケースマネジメント、アセスメントも含めたものを実現できるような人員の配置とか専門性の確保が重要であると思っています。現在の厚労省の基準で本当にできるのかというところも、今後、十分議論するべきじゃないかなと思っています。
2点目が、先ほどちょっと触れましたように、児童家庭支援センターと市区町村がどのように連携していくのかという、またはどのように設置していくのか。まだ設置していない都道府県もいっぱいあるわけなので、都道府県として計画的に設置していくような仕掛けとか仕組みが必要じゃないか。このエリアの市区町村はなかなか小規模で、十分な専門職を雇うことができないとなれば、その市区町村全体をカバーするような児童家庭支援センターを設置していくという計画を、都道府県と市区町村が一緒につくっていくことも必要なのかなと思います。
それから、北川委員の意見で思い出して、把握のところに戻りますけれども、学齢期の場合には、一応スクールソーシャルワーカーが配置されていて、そこもばらつきがあるかもしれませんけれども、小学校、中学校、高校については、何らかの潜在的なニーズを把握することができるわけですけれども、就学前の子どもさん、保育園・幼稚園で本当に十分なニーズが把握されているかというと、そこがこれもまた格差があるのではないかなと思います。保育所にソーシャルワーク機能を十分持ったような保育士が配置されていくということも、今後必要かな。要するに、保育所におけるソーシャルワーク機能ということも、今後考えていくべき重要な課題ではないかなと思っています。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、安部委員、お願いします。
○安部委員 安部です。
委員意見のところに書かせてもらったのですが、論点のところで、市町村における相談と児童相談所における相談と2つしかないのですけれども、児童相談所における相談の中で1つ気になったのは、児童福祉司指導が継続指導中に新たな虐待通告があったときに、きちんとマネジメントされていないというか、アセスメントが甘くなりがちなところがあって、児童相談所での適切なマネジメントというところの中に、こういう問題があるのではないかと思いました。
2つ目として、先ほど言いました市町村と児童相談所のと、それぞれ書いてあるのですけれども、相互の役割分担とか連携・協働のところが全体のマネジメントとしては大事じゃないかなと思って、論点としてつけ加える必要があるのではないかと思いました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
その後、何人か手が挙がっておりますので、できるだけ端的に。藤林委員、また挙げられていますけれども、申し訳ありません、時間の関係で五十嵐委員のところで終わらせてください。スタートに言いましたように、細かいところについては、今日ではなくて、今後のスケジュールの中で単独の時間を取って議論しますので、今日は基本のところだけをお願いしたいと思います。
では、井上委員、お願いします。
○井上委員 先ほどから藤林委員が言われているところですが、全体的な流れを見てみましたら、例えば大分県のように、県に2か所しか児童相談所がないような場合、泣き声通告とかDVのアセスメントでいろいろ言われても、地域の方たちの生活は児童相談所で分からないのです。ですので、そこのところをきちんとする仕事として、先ほど言われた市区町村のケースマネジメント機能というところを強化する。その人員1人を各市区町村にきっちり配置するということを逆に明確にして、その人員を1人ずつ、しっかりどうやって育てるのかというところ。
それから、時にはその地域に児相から出していただいてもいいと思うのですけれども、そういう格好でつくっていくことによって初めて、逆に市町村のほうも自分たちがしなければいけない仕事なのだということを認識して動き始めると思いますので、そこのラインを言葉としてしっかり出していただきたいなと本当に思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、相澤委員。
○相澤委員 では、簡単に。
一方で、我が事・丸ごとの地域共生社会の実現に向けて市町村は取り組んでいますので、子ども・家庭というだけではなくて、障害、高齢などを含めた包括的な相談支援体制も構築されていますので、その辺との連携、相談の在り方についても、きちんと視野に入れておくべきだと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
次、今日初めての御発言ですので、五十嵐委員だけは少し思いの丈を、数分間になるかと思いますけれども、よろしくお願いします。
○五十嵐委員 ありがとうございます。前回出席できずに失礼いたしました。今日も別の会から途中から入りまして、申し訳ありません。
2と3の両方に関係する件で、一言発言したいと思います。
まず、乳幼児健診の概要に関してです。わが国は米国と比べますと、乳幼児健診の回数が圧倒的に少ないのが実情です。例えば、米国では1歳までに7回、12か月から30か月まで5回、つまり、子どもが2歳6か月になるまで12回の健診があります。それから、3歳から21歳になるまで年1回健診があります。いずれも30分程かけての個別健診です。健診を受けないと学校や保育園に行けません。健診は親御さんにとって義務になります。
健診の内容は、わが国の健診でも行われているバイオロジカルな評価だけではなく、サイコソーシャルな問題にまで渉っています。AAP(アメリカ小児科学会)がガイドブックを作っておりまして、年齢群ごとに応じた評価項目ができています。我が国の乳幼児健診は圧倒的に回数が少なく、学校健診も含めてバイオロジカルな評価しか行っていないというのが現状です。
それから、資料の中に学校健診の記載がほとんどありません。サイコソーシャルな問題を評価するしくみとして学校健診が評価されていないために書かれていないのか、あるいは学校健診は文科省の管轄なので書かれていないのか、何か理由があるのだと思います。バイオ・サイコ・ソーシャルな姿勢で子どもたちを見る仕組みは社会的養育の必要な子どもや家族を見つける上できっかけになるものですが、そのような仕組みが日本では非常に弱いことをお伝えさせていただきたいと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、3につきましては、ここで一旦締めさせていただきます。
ここで、本来15分程度休憩を取ろうかと思ったのですが、時間が押しておりますので、トイレ休憩程度、5分程度、皆さんの集まり状況を見て、今から5分後ぐらいに再開を目指して、若干の休憩をしたいと思います。
(休 憩)
○山縣委員長 大体見える状況になりましたので、再開したいと思います。
前段と同じような形で、4、5、6につきまして、1時を目標にすると、当初予定どおり20分弱という感じになりますけれども、進めていきたいと思います。後段、時間の関係で、基本的には手を挙げていただいた順で指名しておりますけれども、時には初めての発言の方を優先させていただくことを御了解いただきたいと思います。
では、「4 家庭・養育環境をより良くする支援について」ということで、桑原委員、藤林委員、奥山委員、安部委員、薬師寺委員、橋本委員、相澤委員、これでほぼ20分になってしまうと思いますけれども、一旦そこまでは確保していきたいと思います。では、桑原委員、お願いします。
○桑原委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
4番ですが、私どもの児童養護施設は、平成7年に府県単位から市町村に子育て支援の短期事業が下りたときに、行政に働きかけたときにはニーズがないという答えだったのですね。それでも、実際には子育てのお母さんたちには非常にニーズがあって、それで24時間の子育て支援を始めたときに、職種を超えて、結果的には40人ぐらいが常時利用するような状態になったのです。そのときは利用者が多かったので、スタッフも常時確保できて、それこそ毎日泊まりがいて、いつでも対応できるという仕組みをつくったのです。
ところが、法人の移転事業ということもあって、40人の単位はそのまま、今は90名定員の認定保育園に変化してきたのですが、あの当時と今とでも、地域のニーズは全く変わっていない。むしろ、そのニーズに対応する仕組みが本当に十分というか、豊かになってきたかというと、必ずしもそうではないと思っています。
それで、この間、こういう状況であるという報告が資料で示されていますが、例えばショートステイとかトワイライト事業そのものについても、利用者がこれぐらいしかいないということがあるのだけれども、現実に事業そのものが本当に利用者にとって、いわゆる利用がスムーズにできるような仕組みになっているのか。そのままの事業がそのままあって、そのままほとんど利用されていないという事業でしかなくなってきているというところに、少し目を向ける必要があるのではないだろうか。
ニーズの把握という話がいろいろ出ていましたが、時代とともに、その辺の対応の仕組みを考えていくという柔軟性は、恐らく必要なのだろうと思います。常時スタッフを配置するとか、いろいろな体制にも問題が仮にあるとして、それがなぜ実現しないのかとか、そういうことも含めた点検の必要を私は感じています。当時の、ニーズがないという行政的な一方の声があった。今の時点では逆にニーズがある。ニーズがあるけれども、なかなかスタートできない、十分な対策を立てることができないという状況に今はあって、現にお母さん、お父さんの若い世代にとっては、むしろかなり深刻な課題になってきているような気がしています。
なので、地域によっていろいろ差はあると思うのですが、都会で盛んに行われている24時間の支援体制の仕組みは、むしろ田舎、地方でも本当に期待されている仕組みだと思うので、そういうことを思っていましたので、取りあえず一言発言させていただきました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、藤林委員、お願いします。
○藤林委員 何度も発言させていただいて、ありがとうございます。
時間が余りないので、要点、一番強調したいところだけ述べたいと思います。私の提出資料の40ページの下のほうを御覧ください。市町村によってサービスの提供に格差があるということを前段、書いていますけれども、サービスが必要と市町村が判断したとしても、それがなかなか提供できない。ないからとか、遠隔地にしかないとか、ショートステイ先まで移送する手段がないといった問題もあると思うのです。もう一つの問題として、サービスの費用負担、利用料の問題も大きいのではないかと思います。先ほどの畑山委員の発言にもありましたように、この負担感、利用料の問題というのは、この機会にしっかりと議論したいなと思います。
多くの市町村から提供するサービスは、所得に応じた費用負担が設定されていますけれども、実際、他人に預けるとか、または、他人に家の中に入ってきてもらうということに抵抗感がある方も多い。しかも、そういった抵抗感のある方に、実はお金がかかるのですとなると、もうやめておきますとなってしまうこともあったりします。または、主たる養育者が必要と思っていても、配偶者が、そんなのは要らないということによって断念する、しかもお金がかかるじゃないかということで断念するケースもあると思います。
41ページで、その結果、市町村、または児童相談所において、サービス導入が必要と納得が一旦得られても、費用負担があるというところで、もう結構ですとなるケースが少なくない。例えば、施設措置を解除した、一時保護から解除したけれども、またいっぱいいっぱいになってきた時には、ショートステイを利用してくださいといった指導をした場合に、あるいは、2号措置をつけた場合に、でも、お金がかかるので、そこで実際に利用できないということがあるのかなと思います。
42ページに、例えばショートステイ、一体幾らかかるのかというのを具体的に書いています。これは私の住んでいる久留米市ですけれども、2歳未満児で5300円です。1週間預けますと、相応の所得がありますと3万5000円かかってしまう。なかなか使いにくいです。生保世帯、非課税世帯になれば減免はありますし、今年度からその下に交付金要綱を参考に置いていますけれども、厚労省さんもさすがに考えて、無料の措置も考えていらっしゃるのかなと思うのですけれども。このように利用料のために使いにくいというサービスはほかにも幾つもあるかなと思います。
その代表が43ページにあります。これは福岡市のホームページから取ったものですけれども、産後ケア事業があります。産後ケアは、特定妊婦さん、要支援児童にとって非常に重要なサービスだと思います。特に、実家の支援が得られないケアリーバーの方にとっても非常に重要なサービスで、出産後、1週間であっても、専門家の下で見守られるというのは非常に安心につながるわけですけれども、所得がありますと1日6000円です。生活保護世帯でもたしか一日1000円ぐらいかかります。
福岡市は、今年度から生保世帯と非課税世帯については自己負担額が免除されますので、所得がなければ利用料ゼロで使えるわけですけれども、こういったように、市町村によっては頑張って利用料の減免を行っているところもありますけれども、やっていないところもある。
また、41ページに戻っていただきますと、結局、サービスの利用料が自治体によって様々になってくるということが、結果的にまた市町村のサービスの格差が生まれてしまうのではないかと思います。
同じことは、実は社会的養護、3号措置、代替養育を使う場合の負担金の問題にもありまして、負担金が発生するために児童養護施設の措置はやめますというケースが事実としてあります。その資料として、44ページに杉山春さんの文書から引用していますので、また後で読んでいただいたらいいかなと思います。
私の結論ですけれども、41ページに書いています。全国どこの市町村においてもサービスが提供できる体制をつくっていくことと、同時に、利用料の見直しが自治体の努力によって格差が生じるものでなくて、ナショナルスタンダードを確保した制度とすべきではないか。誰にでも、ポピュレーション全体に無料ということではなくて、例えば特定妊婦さんとか要保護児童・要支援児童の一部とか、要対協登録したケースの方には無料にするといった、これは当面、私の案ですけれども、このようなことを今後議論していただければいいのかなというのと、3号措置の場合の負担金についても、ぜひこの場で本来どうあるべきなのかについて検討いただきたいなと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、奥山委員、お願いします。
○奥山委員 ありがとうございます。
私は、3点ほどお話しをさせていただきたいのですけれども、1つは、産後ケア事業というのはかなり進んできたかもしれないのですけれども、ビジョンで言っているような、いわゆる産前産後母子ホームが必要です。産前からケアがなされて入所ができるところというのが、本来ハイリスク群には欠かせないと思います。産後ケアの事業は、どちらかというとポピュレーションアプローチの事業として構築されている部分が多いので、ハイリスクの対応として産前産後母子ホーム、できれば母子生活支援センターとか乳児院がこういう事業に参加してほしいということを、以前ビジョンの中では言われていたと思うのですけれども、その辺の構築できるだけ早くしていただいたほうがいいと思います。この部分は非常に手薄です。
2つ目は、先ほど河尻委員のほうから、児童自立に来るお子さんたちの問題の話が出ていましたけれども、児童自立に行くまでもなく、一時保護所で見ていても、相当数のお子さんが医療にかかっていたり、リストカットがあったり、鬱だったり、発達障害がかなりの数いるという状態なのです。メンタルヘルスの問題、あるいは医療との連携という形も必要です。例えばショートステイなども医療機関へのショートステイとか、そういうことも考えられるべきではないかと思いますし、もっとそれが利用できるような仕組みが必要ではないかと思います。その辺のメンタルヘルスの部分をかなり厚くしておかないと、一般のショートステイでなかなか受けてくれないということもあります。そのような問題がかなりあると思っています。
3つ目は、親子、それから子どもへの直接の支援をどうするか、ケアをどうするかということです。居場所ということがここに書かれているのですけれども、居場所はとても大切だとは思います。ただ、居場所だけではなくて、アタッチメント障害から人格の問題に発展しそうになっているお子さんとか、鬱状態になっているお子さんとかいますので、メンタルヘルスのことをバックアップできるような場所での子どもの支援が必要だと思います。別に医者が中に入れと言っているのではなくて、その辺のところがバックアップできる体制を持った上で、子どもへの直接の支援というのも考えられるべきではないかと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、安部委員、お願いします。
○安部委員 ありがとうございます。
同じく委員意見のところに書いてあるのですけれども、養育環境をよくすると言ったら、まず養育支援訪問事業だと思うのですけれども、今の要綱だと全戸訪問事業で発見するとか、保健師さんの指導・相談が中心で、直接的な家事支援というのが使いにくいというか、読みにくい感じがしています。そして、実際使われていないという実情があります。だから、ネグレクト家庭への支援に、もう一つは予算だと思うのですけれども、現実的な家事支援とか親子に対する支援というところができるのは養育支援訪問事業ですので、これを充実・拡大する必要があるのではないかと思いました。
それと、今まで言われていることですけれども、予防的な支援の必要性というところで、子育て支援策だけではなくて、子どもの貧困対策、学習支援、不登校対策、若者支援、そういういろいろな施策に総合的に取り組むということと、NPO・民間リソース、他の部門、内閣府とか文科省とか、子ども食堂だったら農林水産省とか、いろいろなところのいろいろな施策ということも含めて考える必要があるのではないかと思いました。
以上です。
○山縣委員長 では、薬師寺委員、お願いします。
○薬師寺委員 すみません、会議の途中から参加させていただきました。
児童相談所の現場から見て、先ほど委員がおっしゃられたように、一人一人の子どもや保護者のニーズに応えるためには、リスクアセスメントだけではなくて、児童相談所も計画的に体制を整備しないといけないのですけれども、1人当たりの担当ケースを適正数にしながら、ニーズアセスメントをしっかりして、支援の内容を一定程度に標準化する必要があると思っております。
4番の養育環境をよくする支援ということで言いますと、地域の中で乳幼児を育てる障害のある保護者がおられます。実際には、保育所利用というのはすごく大きな子育て支援になるのですけれども、障害福祉サービスのホームヘルプサービスについては、育児負担の軽減に有効なのですが、保護者の方が障害福祉サービスの利用に抵抗があったり、手続に手間と時間がかかるということで、周りが一生懸命勧めても、なかなかつながらないということがありまして、先ほど安部委員がおっしゃったように、一般の子育て家庭を対象として家事援助とか育児援助、具体的な子育て支援の制度が創設されれば、とても有効であると思っております。
ただ、支援を必要とする家庭に見合った具体的な子育て支援というのが全く足りていない状況でありますので、そういった支援の質と量を確保するためには、先ほど予算の話もありましたが、裁量的経費ではなく義務的な経費として予算確保をしやすくする工夫などが必要であると思います。
委員資料の47ページに書かせていただきましたが、基本はソーシャルワーク支援というのと、児童相談所でも市町村でも取り組みつつありますが、子どもへのケアとか保護者へのケア、親子関係へのケア。そういった心理的な支援と、あと、先ほど申し上げました具体的な子育て支援と、3つぐらいに大別して、この支援の内容を充実させていく必要があるのかなと考えております。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、橋本委員、お願いします。
○橋本委員 ありがとうございます。
さきの藤林委員の発言を踏まえてですけれども、とりわけ人口10万人未満の小さな市町村では、ほとんど心理職はいませんし、社会福祉士を福祉専門職として募集し、雇用するなどということすらできていません。そこで、子ども家庭総合支援拠点の創設とか養育環境を整える支援の整備に当たっては、ぜひ専門職のいる児童家庭支援センターの活用を考えていただきたいと思います。国は、これを政策誘導する具体的な仕掛けをつくっていただきたいなと思うところです。
併せて、市町村の実態を見ていると、子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点との間で、役割分担とか連携での錯綜や混乱が見られます。ここも可及的速やかに、両拠点の一体化に向けて政策誘導していただきたいと思います。
また、子育て支援センターとか子ども食堂など、最近はいろいろな相談支援機関や集いの場ができていますけれども、地域においては宿泊機能とか訪問支援アウトリーチ機能を有している機関が少ないというのが実情です。しかし、実際の支援現場では、生活を丸ごと抱える宿泊機能があるのは強力な武器となっています。また、受援力の弱い方々にとっては、通所型の支援や集いの場を幾ら開設しても効果は薄く、アウトリーチで、いわば届ける支援を行うことが必須と感じています。なお、宿泊機能を担保するのはショートステイ事業だと思っています。
先ほどの桑原委員の発言も踏まえて発言させていただきたいと思うのですが、例えば私ども児童養護施設一陽では、施設内でインフルエンザや感染性の胃腸炎が流行しているということで、終息するまで受入れできないとか、小規模ケア化に伴って、男子居室は空いているけれども、女子居室は満杯なので、女子は受け入れできませんという状況がままあります。つまり、現状、ショートステイという制度はどこの自治体にもあるにはあるけれども、実際の運用上のキャパは圧倒的に不足しており、とても使いにくい制度になっているということです。
そこで、これらを例えば児家センが単独で実施していければと思うわけですが、そのためには、1人1日幾らの事業とするのではなく、一定の人員確保やスペース確保を条件として、いわゆる箱払い、定額払いとするよう改善をお願いしたいなと思います。
以上3点、要望させていただきたいと思います。
○山縣委員長 ありがとうございました。
最後、相澤委員ですけれども、そこまで先ほどスタート時点で確保すると言いましたが、その後、前段のところで、一旦制約させてもらった林委員から再度手が挙がっているので、林委員と、あと初めて手を挙げられた倉石委員がいらっしゃいますので、そこまでで、この4番目のところは終わらせていただきたいと思います。
では、相澤委員、お願いします。
○相澤委員 ありがとうございます。
私、4番目に入る前に、五十嵐委員からの発言を聞いて、私の資料の20ページですけれども、社会的養育ビジョンに、全ての妊産婦と子どもに安定した妊娠環境や成育環境を保障するためには、父親の健康も重要であり、親子を対象にした保健システム及び福祉システムの在り方について検討されるべきと書いてございます。私は前々から、母子保健ではなくて、家庭全体を対象にした家庭保健に変えていくべきと思っています。特に、例えばDVと虐待とかは非常に関連していますので、結婚期ぐらいから家庭のバイオ・サイコソーシャルの健康をきちんと考えたようなシステムを考えていくべきではないかなと考えております。
4番目に移りますけれども、22ページ、先ほど藤林委員が言っておられましたけれども、利用料、費用負担です。措置として指導で通所する場合の通所でかかる費用については、公費負担を導入すべきだとビジョンで提言していますので、そういう点もお願いできればなと思います。
それから、23ページで、子どもを毎週、数日間、代替養育で預かるといった、現在のショートステイを充実した、子育て家庭の養育補完制度のような事業も創設すべきという事業についても検討されたらどうかということと。子どもへの直接支援サービスや親子入所機能創設などのメニューも充実させて、親子を分離しないケアの充実を図るということが、都道府県の推進計画の策定要領の基本的な考え方に示されていますので、こういう点も重要かなと思います。
基本的には、私はこの26ページのスモールステップができる子ども家庭支援システムの構築ということで、連続的な支援サービスができるようなシステムを構築すべきだと。
27ページですけれども、在宅支援を淡水域、代替養育を海水域と考えると、まさに汽水域の在宅指導措置(ハイリスク)のところの事業が今はとても足りておりませんので、これをきちんと充実していくということが大切であると思っています。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、林委員、お願いします。
○林委員 ニーズがあっても、そして制度としてサービスがあっても、その利用が十分になされていない実態もあるのではないかという問題提起があったと思うのですけれども、それがその利用料とかアクセスの問題と捉えることもできます。トワイライトステイなども、送迎サービスがなければ利用できないという実態もあるかと思います。利用料に関しては先ほど言及されましたが、幾つかの先駆的な市町村の中には、要支援認定することであらゆるサービスを無料化している自治体もあるかと思います。それは、都道府県と市町村が連携しているのか、市町村だけで持ち出しにしているか。その辺の実態の見える化ということをお願いできたらということと。
最後に、市町村レベルの代替的な養育に関しては、預けるという言葉に代表されるように、できれば使わないほうがいいというニュアンスが含まれていると思います。そうした養育観をどう肯定的に子どもの立場から再定義していくかというか、子どもにとっての意義ということを同時に強調していかないと、親の都合でという捉え方で利用が進まないということもあるのではないかということです。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、最後になります。倉石委員、お願いします。
○倉石委員 発言の機会をありがとうございます。
端的には、保育のほうからお話しをさせていただこうと思うのですけれども、前回欠席していましたので、この資料を見させていただいて、どこまで内容があったのか、把握しないままお話しします。保育所のほうは、家庭支援型の社会養護とか補完的な機能を十分備えているわけですけれども、もう一つ確認させていただきたいのは、児童福祉法26条のほうで、児童相談所長から市町村に保育に関する通知機能というのがあるわけです。ここを有効に使いながら、その通知機能で受けた市町村、保育所は、その子どもに対して、医療的ケア児とか障害児保育に関しては地方交付税で、ある程度人員確保とか、そういうことで担保されるわけですので、こういう機能を使って保育機能の底上げができないかということを1つ考えています。
と言いますのは、恐らく厚生労働省の読みでは、令和6年から7年ぐらいで保育所の利用者数というのが大体頭打ちになるのではないか。一方で、待機児童のある地区もあるのですけれども、自治体によっては保育所の統廃合が進んでいくわけです。そうなりますと、せっかくある保育機能が低下していくということが、今後おそれとしてありますので、そこのところを一度くさびを打っていただくという意味で、私、今、お話しさせていただいたような、もう一度制度の見直しと確認ということをしていただけたらと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、続いて、「5 社会的養護について」、まず奥山委員、手が挙がりました。奥山委員、お願いします。
○奥山委員 私のほうからは、ここに指導措置が入っているので、ここで少し指導措置のことについて言及したいと思うことと、自立支援のところで少しお話しをしたいと思います。
指導措置に関して、前回の委員会でも形骸化しているのではないかというお話しをさせていただきました。90ページの資料で、前回もお話ししたのですけれども、全国8000件ぐらいの2号措置がある中で、4000件近くが東京都です。地域によって、この指導措置の使い方が本当にばらばらになっていると思いますし、ケアニーズのアセスメントがきちんとなされて、ケアプランがきちんと立った中での指導措置になっているのかどうかというのも、非常に疑問な点が結構あります。ですので、まず、この2号措置がきちんとできているかどうか、統一することが必要だろうと思います。
ただ、指導だけでは決してうまくいかないというのは、皆さんきっとお分かりだと思いますけれども、ここに支援が入らないとうまくいかないのです。先ほどのショートステイとか、いろいろな形の支援が入ることによって、家庭がしっかりしてくれば、ある意味代替養育の期間も短くなることにも繋がります。ビジョンの中では、一般の代替養育は1年、2年の単位で考えてほしいと言ったのですけれども、いまだに10年、15年いる子どもたちがいるわけです。
それ自体が問題なのですけれども、その問題の一つとして、帰る家庭がしっかりしているかどうかが非常に大きな問題です。家庭の機能を強化するためには、指導措置から支援措置という形に変えるべきだと思います。そして、行政処分という措置という形で支援を受けさせるのであれば、その支援の費用負担は公的になされるべきだろうと思います。さらに言えば、児童相談所だけが指導措置ができる形になっているのですけれども、実際に支援をしていくのは市町村ですから、市町村のほうからの措置ができる制度づくりも必要になってくるだろうと思います。
そういう意味で、指導措置がハイリスクへの対応で、ある意味唯一あるような制度なわけですけれども、そこをしっかりと充実させ、拡充させるということがない限り、家庭復帰ということにも制限がかかってくるということを考えるべきだと思います。
代替養育に子どもが入っている間も、市町村がきちんと家庭に支援をしなければならない。つまり、代替養育に子どもを入れたら、家庭には支援措置をして支援を受けさせていくことぐらいをやらないと、家庭復帰がなかなか難しくなってくると思います。
2つ目が自立支援なのですけれども、自立支援がここの書きぶりだと施設任せのような感じの書きぶりが見られますが、お子さんたちの中には、施設に対しての反感が結構強くて、早く出たいと思っているお子さんたちも結構多いのです。そういう中では、自治体の責任として、子どもの自立支援がしっかりとなされる必要があります。現時点で、コーディネーターを置いている都道府県が非常に少ないというのが大きな問題で、ここがしっかりとなされていかなければならないと思います。
それから、措置延長が20歳で切れてしまいます。20歳の年度末にする必要がありますし、措置そのものも18歳の年度末までにしてほしいと思います。18歳になったら、そこから高校卒業まで措置延長にせざるを得ないというのも変な話だと思います。事業のほうは22歳の年度末になっているのですけれども、措置延長、措置に関しても、ぜひ御検討いただきたいと思います。
もう一つは、措置された子どもじゃなくて、されていなかった子どもが大人になったときの問題というのも、先ほど自立援助ホームから言及がありましたけれども、そういう意味を含めて、子・若協議会とか子ども・若者施策との連携がしっかりと提示されていかなければいけないと思います。
以上です。
○山縣委員長 8割方の委員から手が挙がっておりまして、まず、時間が足りない状況になってしまいました。冒頭言いましたように、1回目の発言をしていない方を優先的に指名させてください。中村委員、髙田委員、浜田委員の3人が初めての挙手になりますので、まずお三方、中村委員のほうからお願いします。
○中村委員 ありがとうございます。中村です。
この全国調査の結果を見せていただいて、いろいろなことが今の状況として分かってきた点は、松本委員をはじめ、この全国調査に携わってくださった皆さんに本当に感謝したいと思っています。あと、経験者が調査に参加した、当事者参画がなされているということも、調査の大きな一つの重要なポイントだと思います。
私のほうで4点あります。
1つは、年齢のことに関してですが、先ほどの措置延長の奥山委員の発言もありましたし、冒頭に平井委員からもあった、18歳でとか20歳の誕生日月でという話があったと思います。別のワーキングの子どものヒアリングからも、20歳の誕生日月で措置が終わるというのは、不公平じゃないかという子どもからの声が聞かれたということから、年齢によって受けられるサービスの差をどう考えるのかというのと。
もう一つ重要なのは、高校を中退した人たちが施設や里親家庭から出されているという現状もあると思います。平成27年の局長通知では、措置を安易に切らないでという通知が出されているかと思いますが、現状でも15歳、16歳で施設や里親家庭を出ざるを得ない子どもたちがいるということをどう考えていくのかという点も、今後のポイントになるのかなと思います。
この調査でも見られましたが、都道府県のばらつきがとてもあるということです。回答してもらう施設から子どもに手渡しができたどうかとか、先ほど事務局のほうから説明があったと思いますが、都道府県の回答率にかなりばらつきがあるということと。あと、自立支援事業というものを全ての自治体で等しく受けられるかというと、そうではないというのが現状だと思います。なので、今、生まれた場所によって、受けらえるサービスが大きく違うという事です。てこういった状況を、この委員会でどう考えるのかということと。
さらに、調査の結果からも、若者たちは大学などの進学や就職で広域で居住地を移動します。移動した先ではサービスが受けられない、アフターケアが受けられないという状況が今あると思います。そこは、しっかり考えていかないといけないのではないかということが2点目。
3つ目は、多くの若者たちと連絡が取れなくなっているということが、今回の調査結果からも見えてきたかなと思います。これは皆さん、同じ意見だと思いますが、今はもうつながりがない若者たちがどうしているのか分からないが、もしかしたらそこにもサポートが必要だと思っています。本当に困っている若者たちのニーズをどう把握していくかというところを考えたときに、1つは経験者、当事者同士のつながりを生かして、アンケートが届かない経験者へ調査票を渡すことが考えられるかと思います。取りあえず調査票を渡すのではなくて、積極的なアプローチで経験者たちのニーズを把握していく方法を考えないといけないと思っていますが、それを今後の検討課題の一つにするべきじゃないかというのがと思います。
4つ目が、既存のサービスに加えて必要だと考える支援についてです。現在、自立援助ホームやシェルターというのもあると思いますが、現状として住まいも仕事も奪われる若者たちもいるという状況がありますので、自立援助ホームだけでなくて、もう少し多様な住まいとサポートがセットになったような支援というのが必要なのではないかと思います。これが最後ですけれども、確かに施設や里親家庭の御尽力だけで何とか見ていただいていたという状況があると思っています。しかし、それだと、子どもたちにとっては、ここの施設では、措置延長が認められるが、ほかの施設で育ったがゆえに施設を出される、里親家庭でも同じことが言えると思います。その点を全国的にどう見ていくか、この専門委員会でどう考えていくかということを改めて議論させていただけたらと思っています。
すみません、長くなりました。以上です。
○山縣委員長 では、髙田委員、お願いします。
○髙田委員 お願いします。児童心理治療施設の髙田です。
論点の中に書かれているのですけれども、一時保護や入所措置がされて家庭復帰した後再び、保護や措置された割合が挙がっています。これはあたかも何回も一時保護されるのがいけないみたいなイメージが伝わってくると思うのですけれども、今まで多くの委員の先生方がおっしゃっていたように、母子保健ではレスパイトが必要であったり、ショートステイが必要であったりというのが当たり前になっています。先ほど林委員がおっしゃられたように、親御さんの状態だけではなく、一時期、親元から離れ、他の頼る場所に行きたいということで、一時保護所を自ら訪ねる子どももいるわけです。
都市部などでは、自分から一時保護を求める子どもも出てきているように、子ども自身も自分を支援してくれるネットワークをつくろうとしている。そこを支援していくということも、今後大きな必要なことだと思います。今まで、どうしても1つの場所で頑張って育て上げましょうみたいな大人側の思いがあったと思うのですけれども、それはもう変えていった方がいいと思います。1つは児童家庭支援センターのそういう機能をいかに充実していくか。今の仕立てでは余りにも脆弱だというのが僕の考えです。
それから、一時保護所の話が出てこなかったのですけれども、子どもにとって一時保護所はすごく大切な場所です。最初に親ではない大人に大切にされたという思いを、一時保護所で味わう子どもは結構多くて、その意味では、よりどころにしたいと思っている子どもも多いので、この辺りの一時保護所の機能ももう一回見直すというのはいかがなのかと思っています。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、浜田委員、お願いします。
○浜田委員 ありがとうございます。
自立支援に関連して2点申し上げたいと思います。
まず、1つ目は、前からいろいろなところで申し上げているのですが、弁護士が未成年後見人を務めるケースというのが年々増えてきております。もちろん親御さんがいらっしゃらないとか、行方不明というのが前提でありますので、全てのケースに適用できるものではありませんけれども、自立支援の重要な一翼を担っていると自負しておりますので、そこも1つの資源として、今後もお役に立てればと思っております。親御さんがいらっしゃらないという前提だけではなくて、逆に未成年後見人をつけたいがために、そこを視野に入れて、例えば早めに親権制限制度、親権停止とか親権喪失を活用するということも、自立支援を見据えた動きとしては必要になってくるのではないかなと思いますので、御提案申し上げたいというのが1つ目です。
2つ目ですけれども、先ほど来、出ておりますとおり、措置が18歳で終わったり、20歳までしか延びないというところとの関連なのですけれども、御承知のとおり、民法の成年年齢が来年4月1日から18歳に変わります。こうなってくると、措置延長が20歳までと言っているところの悩ましい問題が、2年遡るという側面があるわけです。
これも御指摘ありましたとおり、自立支援に関することについては、22歳の年度末までと限定的とはいえ対象が拡張されているわけですけれども、ここはそろそろ児童福祉法そのものの適用範囲とか、自立支援とか、もっと広い範囲で、具体的には18歳または20歳、22歳、何ならばそれ以上のお子さんに対して、児童福祉法の手をもっと差し伸べられるような思い切った制度の改変というのも、本来検討すべきではないかと思います。
参考になるかどうか分かりませんけれども、つい最近成立しました少年法の改正でも、成人した18歳、19歳についても特別扱いといいますか、ほかの成人とは違う扱いをするということが法律上、定められることになったわけです。そうだとするならば、成人だから措置じゃないといった発想はもちろんあるのですけれども、そこは知恵を絞って、子どもたちのサポートできる範囲をより一層広げていくという努力が必要なのではないかなと考えます。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
松本委員も初めてでした。松本委員、どうぞ。
○松本委員長代理 初めてだということに気づいていただいて、ありがとうございました。
手短に、論点というところにつけ加えるべき、あるいは御検討いただければという点であります。
1点目は、一時保護の在り方について、これは髙田委員がおっしゃいましたけれども、社会的養護の入り口で一番専門性が高くなければいけないところ、一番手厚くなければいけないところだと思います。この点は、ビジョンの辺りから、社会的養護の一環として、一番大事な入り口として位置づけようという話になっていた。それに沿っていろいろなガイドラインができたり、御検討されているところだと思いますけれども、それでも一時保護というものの位置づけと、そこをどういうふうに改善していくのかということについて、論点として位置づけておく必要があるのではないか。これが1点であります。
2点目は、社会的養護・養育全体に関わることでありますけれども、当事者からの参画と評価を制度の在り方なり改善にきちんと組み込んでいく仕組みをどうつくるかということがとても大事だと。ここにいらっしゃる方は、支援者あるいは研究者の立場から、かなりいろいろなことを御存じで、その立場から子どもの側に沿って御発言されている方ばかりだと思いますけれども、当事者の方が加わっていただくと議論に1枚厚みが出るというのも、もう経験しているところであります。社会的養育の制度は、子どもさんたち、親御さんも含めてですけれども、サービスの支援を受けられた方からの評価を制度の改善にきちんと生かしていくという回路を持たずに来たと思います。そこをどういうふうに考えるのかということです。
特に、先ほどから話題になっている調査であります。山縣さんが何か補足があればと言っていただいて、その点について幾つかあるのですけれども、これまで出なかった1点だけ言うと、あの調査は社会的養育を受けられたケアリーバーの現状を把握して、現状に対する支援を行うというだけではなくて、その人たちから、これまで受けてきたケアに対する評価をもらったという調査でもあるということです。
ですので、それをどういうふうに生かしてきているのかということがとても大事。ケアリーバーに対する支援だけじゃなくて、ケアリーバーからの評価と意見をどう生かしていくかという観点で議論しなければいけないし、そういう仕組みをビルトインしなければいけないということです。これは大きな論点だと思いますので、ぜひお願いいたします。
そのときに問題になっている参画というときに、アドボケイトの問題があります。そのアドボケイトについても、また別途議論されているところから意見表明されると思いますけれども、アドボケイトの制度をどうつくっていくのかということも大事な論点だと思います。2点目と関わって3点目になります。
あと、4点目、浜田委員がおっしゃいましたけれども、年齢のことについては、前回の児童福祉法の改正の前の専門委員会でかなり議論して、結局、そのままになったということでありますけれども、重要な論点として残っているという認識であります。
以上になります。
○山縣委員長 ありがとうございました。
まだ10人以上の方の手が挙がった状態です。本当に申し訳ないのですけれども、お一方1分程度でポイントだけをお話いただけたらと思います。挙手のあった順に指名していきます。北川委員。
○北川委員 ありがとうございます。
社会的養護のことで質のことが書かれてありましたので、ファミリーホームとしての意見を言いたいと思います。ファミリーホームは家庭養育として位置づけられていますけれども、まず、ファミリーホームの実態として、17歳の子どもが一番多いということ。15から17が26%も占めています。また、障害児も46.5%、被虐待児が53%と、全体としてケアニーズの高い子どもを養育しているファミリーホームが多いという実態です。
しかし、その中で、家庭養護であるために交替制を前提としないということもありますけれども、措置費は常勤1人、非常勤2人です。しかし、同じ子ども側からすれば6人の子どもを育てている地域小規模では、常勤3人、非常勤2人となっているということで、ファミリーホームの里父・里母の熱意によって成り立っているという実態があるということです。障害児が多いファミリーホームもありますので、赤字経営の上でやっているところもたくさんあります。
この6人の子どもの数が家庭養護としていいのかということを、私たちのアンケート調査の中でも1対1の対応を望んでいる子どもが多いということ。それから、日本財団でやってくれたヒアリングのときでも、甘えたいとき、十分に甘えられないとき我慢したという子どもの側からの意見もありますし、子どもとしっかり向き合える家庭環境になるように、今後家庭養護としてのファミリーホームの在り方、質ができるだけ高いものになるように検討する必要があると思いますので、この質について、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
次、横川委員、お願いします。
○横川委員 先ほど、最初に話し過ぎて、すみませんでした。
9ページで一番感じるのは、子どもの一生をぶつ切れにさせないために、どういう形で私たち社会的養育関係者が手を組んでいくのかというところを明確にしなければいけないと思います。そのために、市町村のショートステイも、一時保護も入所措置も里親委託もそうですけれども、支援のための援助指針のようなものをつくることを明確に打ち出していかないといけないと思います。そうすることによって、アセスメントの重要性とか今後の養護についての配慮につながると思います。私自身も、2年間ほど児童家庭支援センターで働いて、その後乳児院を20年、その前は児童養護施設を8年ほどやりましたけれども、それぞれの社会的養護の機関の強みをどういう形で連携させるかということを考えないといけないと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、桑原委員、お願いします。
○桑原委員 ありがとうございます。
先ほどから対象者支援の年齢の問題がありますが、ケース・バイ・ケースで、本当に必要なケースについては、きちんと検討というか、そういう作業に乗ってほしいなという気がします。一応18歳までですが、18で大学進学を決めて退所する、その月に、3月の終わりに18歳になる子どもが、18歳になる前に出た日に措置を切られたケースだってあるわけですね。なので、子どもたちの支援について、里親とか施設とかファミリーホームとか、それぞれの機関に任すのではなくて、行政も含めた相談機関が本当に子どもの利益を求めることでは1つにならないと、子どものことはなかなか語れないのかなと思います。
児家センの利用にしても、一旦家庭に帰って、また入ってくる家庭の中で、児家センの活用というのは大いに利用価値があると私は思っているし、それぞれの機関がどういう役割を果たしているのか、機能を持っているのか、役割を持っているのかということに対する相互の理解が必要じゃないでしょうか。施設を出て、里親宅を出て、それこそ自立支援に向かっている子どもたちについて、それぞれの養育を担ったところがずっと思い続けながら支援しているという実態に対して、もっと理解が欲しいなと思いました。
それぞれのケースは、委託者側の課題もあるし、当事者の課題もあるし、受入れ側の課題もあるし、不祥事の介入の問題もあるし、それぞれにいろいろ理由があるので、一律に評価を下すような支援についての捉え方というのはできるだけ控えながら、相互に議論を深めていきたいと思いました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、河尻委員、お願いします。
○河尻委員 なるべく簡単に申し上げます。
1点目は、里親委託の推進についてです。日本の社会的養護の中で家庭養護がその中心になっていくためには、様々な子どものニーズに応えられる里親さんの受け皿や質の向上、あるいはバックアップ体制というものが必要になります。そのためには、一定時間がかかる場合もあると思います。
個々のケースの里親委託までのケースワークあるいはソーシャルワークというのをイメージした場合に、ある意味施設に入所させる以上に丁寧なソーシャルワークが必要になると思います。子どもの心の準備も必要だと思いますし、いろいろなものについて慎重に里親委託まで進めなければいけないと思います。そういう意味で、この里親委託の推進については、とかく数字が先行しているので、だからこそ、個々のケースに関しては、時にはすごく慎重に時間をかけて丁寧に里親委託につないでいくことが必要だということをしっかり発信していく必要があると思っています。
それから、最後、もう一点ですが、社会的養護が解除された者の全国調査に関してですが、これは松本委員長代理を中心にして、これまで数年にわたって様々な議論をして検討して、一定の結果が出ました。施設や家庭養護から追いかけていくような後追い調査、あるいは後追いの把握というのは、ある程度限界があるのかなということも一定分かったような気もしますし、この調査結果の中で様々な課題を突きつけられたと思います。そういう意味で、この調査というのは非常に意味のあるものだったと思います。
それだけに、この調査結果を受けて、今後どんな新たな検討をしていくのか、どういう切り口でさらに施設退所者への実態把握や支援ニーズを捉えていくのか。20歳以上のプライバシーの問題も含めて、さらなる検討というものをこれから考えて続けていく必要があるだろうと思いました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、平井委員、お願いします。
○平井委員 ありがとうございます。
簡単に1点だけなのですが、社会的養護自立支援事業の件ですが、これも一応取組としてやられているところはやられている。でも、調査の結果から見ると、自治体によって取組の格差がかなり生じていると思います。これは補助金事業になりましたので、ぜひとも事務的経費にしていただいて、自立支援の強化につなげていただきたいなというのがあります。
最後に1点、すみません。18歳の年齢の問題でございますが、18歳からの青少年福祉法なるものも、私は将来的には必要かなと思っております。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、橋本委員。
○橋本委員 ありがとうございます。
在宅指導措置の、とりわけ訪問支援、アウトリーチ支援について、ここはとても大切と思いますので、まず一例を挙げたいと思います。現在、児童家庭支援センターはアフターケアの一環として、昨年施設を退所した子どもの自宅をほぼ毎日訪問して、宿題を見て、その日の学校の準備をして、必要なものをランドセルに積み込んでといった寄り添い型の生活支援を実践しています。ある日、学校の先生から電話があって、いつも体育のときに使う帽子を忘れるので、その都度、学校の予備の帽子を貸しているのですがとの連絡がありました。そこで、子どもと一緒に洗濯物の山の中を探してみると、何と帽子が6つも出てきて、それをランドセルに詰め込んで、先生に電話してということもありました。
いわゆる知的障害とか精神障害の手帳をお持ちじゃないけれども、発達障害的な特性が強くて、日常の暮らしに支障が生じやすいお母さんと子どもとの生活では、こういうことが日常茶飯事です。私たちによるアウトリーチ支援、施設入所時と変わらないほど丁寧な日常生活支援がなければ、早晩、地域の誰かからネグレクト家庭として通報され、再入所が検討されていたと思います。しかし、私たちが在宅家庭支援を積極的に行うことで、入所措置に至らずに済んでいるという状況です。
在宅措置指導というのは、お茶を飲んで、悩みを聞いてといった相談支援や、何とかトレーニングを受講させるというだけでは、絶対に足りません。ひときわ目立つプレーや専門能力が光るというわけでもありません。むしろ、施設での養育と同様、日常の目配りや声かけを含む養育の力が問われます。このような支援が必要な子どもとその家庭に毎朝毎晩、丁寧に届けられたら、社会的養育システムは、児童福祉法3条の2がうたう家庭養育中心へときっと変化していくと確信しています。
ほかにも学校給食費や学童保育料が払えないばかりに学校や児童館に通えず、ひきこもりったケースがありました。さきにも言いましたが、相談支援以外の支援、今回のケースで言うと、具体的には子どもの養育にかかる費用をダイレクトに補塡できるような支援もとても重要であると実感しています。これらのことを十分に勘案した包括的な在宅支援措置制度の制度設計を望みます。
以上です。ありがとうございました。
○山縣委員長 では、畑山委員、お願いします。
○畑山委員 ありがとうございます。
中村委員、平井委員から、自立支援に関して、措置延長を利用する数であったり、社会的養護自立支援事業においても活用状況はかなり低い。地域格差もありますので、サポートを本来必要としている子どもたちが平等にサービスを利用できない現状が今あるかなと思います。現在、施設・里親家庭に残るか、出るかという選択肢しかないのですけれども、例えば進学・就職に伴い、ひとり暮らしを選択したときに、社会的養護にいたとき同様の経済的なサポートが得られるように、籍は施設・里親家庭に置きながらというサポート体制をぜひつくっていただきたいなと思います。
現在、社協の貸付事業がありますけれども、借金になってしまうため使いにくいといった声も幾つか届いていたりしますので、サービスを利用することへのハードルを感じるユースも少なくありません。なので、措置延長を使われていない部分の予算分等を、子どもたちのアパート代や生活費・医療費等に充てるなど、緩やかに子どもたちが自立していける準備ができるような仕組みをぜひ検討していただきたいというのが1点。
そして、里親・施設に頼れない子どもたちが多くいるというのが、この調査でも出てきたと思うのですけれども、外部で衣食住、医療、司法、仕事等の相談ができるようなユースに特化したセンター等も必要ではないか。これは、私の個人的な意見です。
そして、2つ目が、高等教育無償化に伴って進学という選択は広がったと思うのですけれども、様々な課題を抱えている子どもたちが増えることも想像できます。現在も進学できたものの、二、三割が中退。一般進学者に比べて中退率も高くなっているという点においては、卒業するまでのサポートというのを拡充していただきたいなと思います。調査にもあったように、特に出身施設・里親家庭のある地域から遠く離れた学校に行った場合においてもサポートが得られるように、支援の体制を強化していただきたいと思います。
最後に、様々な課題を抱えているユースに対して、18歳以降をカバーする法律が現在ないというところと、社会的養護に残る裏づけがない。また、アフターケアとか自立支援に責任を持つ機関とか制度というものが現状ないので、子どもの権利としてアフターケアを受けられるように、将来的にケアリーバー法等について、ぜひ検討していただけたらうれしいなと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
もう、これで当初予定の1時にほぼなってしまいました。いろいろな午後の御都合あろうかと思うのですけれども、あと1項目と、プラス1議案がございます。最大30分、できたらそこまで延ばしたくないのですけれども、延ばすことを御了解いただけますでしょうか。
ということもありまして、すごく制約をするつもりはないのですけれども、その辺の配分への御配慮をいただけたらと思います。今、6人くらい、この項目で手が挙がっているのですが、この課題を取り上げてやるところで御意見をいただくというのも踏まえた上で、今日の段階でぜひ一言発言したいという方がございましたら、ポイントだけをお願いしたいと思います。
では、藤林委員。
○藤林委員 ポイントだけということです。私は、在宅指導についてポイントだけコメントしたいと思います。
私の提出資料39ページにつらつら書いておりますけれども、本来、在宅支援の中心は市区町村であって、児童相談所が行う指導措置、2号措置の役割というのは、確実に届ける、中断しないように届けていくというのが本来の役割であって、その意味では、市町村や児童家庭支援センターが、どうしても支援が中断しがちな方に児童相談所が2号措置を行って、市町村または児童家庭支援センターが委託を行っていくという枠組みと理解しているわけですけれども、今日配られた資料1-2の90ページを見ますと物すごく格差があって、児童家庭支援センター、市区町村が指導委託しているところはほとんどないというのが現状じゃないか。
これをどうしていくのか、何でそうなっているのかというところを、今後ぜひ詰めていただきたいのと。これがどうしても難しいのであれば、市区町村そのものが、自らが在宅支援のための措置制度をつくっていくということも議論すべきではないかな。また、市区町村から児童家庭支援センターが委託を受けるという方法も考えていいのではないかなと思っています。
以上です。
○山縣委員長 では、相澤委員、お願いします。
○相澤委員 では、ポイントだけです。
1つは、18歳以上の措置延長ですけれども、例えば少年法上の保護処分には少年院とありますけれども、少年院はおおむね12歳から23歳未満となっておりまして、20歳以上でも少年院にいられるような組立てになっています。第4種ですと26歳未満ですから、そういうことも踏まえて、措置延長については検討すべきではないかと思います。
もう一点は、妊娠期から出産後の母子を継続的に支援する社会的養護体制、母子一体の支援制度の創設みたいなものも考えたらと思います。
もう一つ、最後ですけれども、在宅措置、入所措置、この2つの措置をダブルで使えるような積極的な活用方法についても検討していただきたいと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。協力ありがとうございます。
林委員、お願いします。
○林委員 今のお話とダブるのですけれども、リスクをグラデーションで捉えるとするならば、サービスの提供の在り方もグラデーションのある柔軟な対応というのが当然必要になってくるわけですね。そのときに、2分立というか、3号措置か2号措置かという捉え方ではなくて、ビジョンで提言していたような2号措置と3号措置を併用するとか、3号措置の中でもベースを在宅に置くというケースもあり、そうすることで市町村と都道府県の双方の自立支援の在り方が見える化するというメリットもあるでしょうから、そういう柔軟な対応が必要ということと。
2点目は、そのこととつながるのですけれども、要するに施設だけに任せない、里親さんだけに任せないという体制を委託当初からどう確立していくかということだと思うのですね。ところが、昨年度、私が関わらせていただいた国の調査ですと、レスパイトケアの日数制限を設けている自治体が4分の1に及ぶわけですね。つまり、そこには預けるということに対する否定的な捉え方が根強くあるのではないか。委託当初から治療的なケアなども含めて、パッケージとしてどれだけ里親さんだけで抱えないシステムを提供するかということが、里親支援機関と里親養育を進める上で必要だということ。
3つ目は、フォスタリング機関についてなのですけれども、都市部を中心に私自身も考えてきた傾向があって、それ以外の地域だからこそフォスタリング機関のニーズというのはあるのではないか。つまり、東北とか中国とか九州の一部の自治体は、せいぜい二、三か所の児童相談所で、今は児童相談所がフォスタリング機関事業を受けるところが多い。そういう地方のフォスタリング機関をどう進めていくかというのを3つ目の課題として挙げさせていただきます。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
宮島委員、お願いします。
○宮島委員 2分以内。
まず、さらに見える化をさらに進める必要があるということ。ここの項目より前の項目ですけれども、市町村が実施主体のサービスを、これだけの数の市町村がやっていますよという実績の挙げ方だと実態が分からない。市町村毎に、実際に養育支援訪問事業を何件やっているのかとか、ショートステイの利用がどのくらいあるのか。それぐらいのかたちで見えるようにしないと実質的には進まない。実績がない、それを受けてニーズがそれでないという形で切っていく。マイナスの循環を生んでいる構造があると思うので、ぜひとも見える化をしてほしいと思っています。ショートステイの実績とか養育支援訪問事業の実績が分かるようにする。
その上で、そういうサービスが活発に使われるようにしていくためにはどうするかですが、私は、このタイトル、いろいろ考えた上でこうなっていると思うのですが、役割分担という言葉は、弊害になり、役割分断を生むと思います。当事者のニーズを満たすために、様々な方が参画と協働をしていく。当事者が参加し、いろいろな主体が参加していく。そして、領域を超えたサービスを提供していく。プランを描いて、それを御本人たち、当事者と契約していく。嫌々かもしれないけれども、契約していただかなければ支援は展開できない。そこを念頭に置いて議論していきたいと考えます。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、最後、「6 支援・マネジメントの役割分担」、分断という話もありましたけれども、できるだけこちらのほうもポイントを中心に御発言いただけたらと思います。では、奥山委員、浜田委員の順でお願いします。
○奥山委員 ありがとうございます。
まず、ここの論点のところに書いてあることから言えば、子ども家庭に対する支援の最終責任は絶対的に、公的なところにあると思います。公的な責任として、もう一つ考えてほしいのは、子どもが大人になって、自分の過去を知りたいと思ったときに、25歳で児童相談所の記録がなくなってしまうというのは、その人の権利として、あり得ない話だと思います。ですので、私は、もし年齢制限が必要だったら、100歳までにすればいいと思うのですけれども、子どもが大人になったときに自分の過去を知りたいときに何らか知れる体制というものを、公的な責任として持つべきだろうと考えます。今、施設は長期に保存していますけれども、児相は25歳で切れてしまう。それは、公的な責任としてもおかしな問題だと私は思っていますので、そこをぜひ変えることをお願いしたいと思います。
次に、具体的な民間機関として、先ほど来、出ているように、児家センに対する期待がかなり大きいと思います。児家センは施設が持つだけではなくて、NPO法人や医療機関でも持てることになっているわけで、児家センの開拓が必要だろうと思います。施設だけが児家センをやるのではなくて、ファミリーホームでNPOをつくって児家センをやるというのもありかもしれないですし、そういう形で児家センの持っている機能をうまく使えるように、児家センを広げていくということも大切なのではないかと思っています。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
浜田委員の前にごめんなさい、初めて手が挙がりましたので、坪井委員のほうを先に優先させてください。坪井委員、お願いします。
○坪井委員 坪井です。発言の機会をいただいて、ありがとうございます。
私が資料を拝見して、最初にこういうことをと思っていたことについては、それぞれの委員の皆さんが御指摘になりましたので、そういう意味では、私の専門性というところから話をすることは余りないのですけれども、一方で、今日は全体の枠組みの話をするのだという位置づけが最初にお話がありましたので、この6番目の「支援・マネジメントの役割分担」というところとフィットするのかどうか分からないですけれども、2つお話しをしたいと思います。
私は、この春からこの委員を拝命しまして、前回から参加させてもらっているので、ちょっとずれておりましたら御指摘いただけたらと思うのですけれども、2つのうちの1つは、不登校の話題についてです。ふだん社会的養育の中で子育てを見ていく立場にいる人間としては、別に社会的養育に限らず、不登校のテーマはとても大きいテーマだと思うのですけれども、今日の議論の中でそういう切り口が余りなかったので、そういう切り口で見るような見方というものがここにあってもいいのではないかなと感じました。
不登校の状況の中で、居場所をどうするのかとか、メンタルヘルスをどうするのかみたいなところも含めて、子ども本人だけではなくて、家庭も含めてどういうふうにサポートしていくのかという枠組みについての議論が、ここに入ってもいいのではないかなと感じた次第です。
もう一点は、これも日頃感じていることですが、児童相談所のことで、現在、先ほどからいろいろな御指摘があったように、虐待の通告が増加している中で職員の皆さんが非常に忙殺されていて、とても大変な状況にある。そういう中で、人数を増やしたり、あるいは一時保護から措置への流れと、支援の流れのところを担当する方を振り分けたり、いろいろな工夫がされていると思うのですけれども、人数を増やしたところがそういうところでどんどん使われていって、実際には支援に余裕が出てきている状況ではないと感じています。
なので、例えば児童相談所の機能として、児童相談所を構成している職員の皆さんの持っていらっしゃるものはソーシャルワークの部分だと思うので、児童相談所はソーシャルワークに徹するような形で、一時保護措置のラインと切り分けるような、そういう全体像の中でどういうふうに持っていくのかみたいなことの議論があってもいいのではないかなと感じました。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
あと、浜田委員、薬師寺委員、相澤委員、ここで御意見は終了させてください。浜田委員、順番を入れ替えて申し訳ありませんでした。
○浜田委員 いえ、ありがとうございます。
一言だけ申し上げます。論点の記載のところの1つ目の○で、市区町村・都道府県・児童相談所の役割を果たすというところの記載でちょっと気になったのは、この辺りの役割の分け方というのは、御承知のとおり、平成28年の法改正である程度明示的に決められたところです。もし、ここの論点が、28年改正法を見直すという趣旨まで含んでいるのであれば、その前提として、28年改正法の効果検証というものが当然必要になってくるだろうと思います。
そして、ここで申し上げる効果検証というのは、児童相談所全体にちょっとアンケートを取りましたとか、ちょっとだけ調査研究で1個やりましたとか、そんな単純なものではないと思います。法律を変えるというのは、そのぐらいの重みを持ってなされているものだと考えますので、議論を否定するものではありませんけれども、法律を変えることについてはそのぐらいの重みがあるものだということをここで指摘しておきたいと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございます。
次、薬師寺委員。
○薬師寺委員 支援・マネジメントの役割分担と言いましても、恐らく支援内容がまず明確になっていないとマネジメントができないのかなと思っていまして、1人の子どもとか家庭に包括的な支援を継続的に提供するためには、それぞれ市区町村と児童相談所がどんな支援が提供できるのかというのを、まず可視化していくということの議論が必要かなと思っていまして、その支援をどう支援プランに組み込めるのかという仕組みを議論できたらと思っております。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
では、最後になります。相澤委員。
○相澤委員 ありがとうございます。
児童相談は、現在、児家センとか児童発達支援センターも行っているわけですけれども、在宅措置の場合も含む、児童相談所から指導委託に基づく指導についても民間機関の事業として制度化して、義務的経費である措置費の対象とすることが、今、必要になってきているのではないかなと思います。施設等の民間機関が役割を担って、新たな事業に踏み出して、その質を向上させるインセンティブになるように、入所機能も含めて、子どものニーズに合わせた措置費の体系の見直し、民間機関のパフォーマンスを向上させる措置費の在り方についても検討したらどうかと思います。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
先ほどの浜田委員の部分は、ある程度了解しておかないと、議論を全てひっくり返すことになってしまいますので、現段階での事務局のお考え、もし可能であれば発言をお願いします。
○野村企画官 企画官の野村でございます。
28年改正の考えを覆すのかという御示唆だったかと思いますけれども、そういったことは考えておりませんで、あくまで28年改正で示された考え方を踏まえた上で、グラデーションと先ほど来、御発言いただいておりますけれども、それへの支援の相乗りであるとか併用みたいなお話もいただいておりますけれども、そういった支援の在り方のお話をいただければと考えているところでございます。
以上です。
○山縣委員長 ありがとうございました。
ということでございます。浜田委員。
○浜田委員 ありがとうございます。
私は、議論することそのものを否定するものではありませんので、物の考え方を確認するための指摘でございました。ありがとうございました。
○山縣委員長 委員の皆様、本当に申し訳ございませんでした。協力いただきまして、今、1時15分、取りあえず、この段階で15分の延長ですけれども、最後に、2つ目、次回以降のことに関しまして、資料4、1枚物がございます。テーマごとに6つの団体の名前が挙がっておりますけれども、事務局と相談させていただいて、仮にこういうところの方々にヒアリングをしたらどうかというもので、確定しているものではありません。これを見ていただいて、もっといいところがあるとか、増やすべきとか、ここは要らないとか、入れ替えるべきというのが今の段階でございましたら、まず挙手いただけたらと思います。取組の中身につきましては、資料2の中にどんなことをやっている団体だというのは紹介が入っております。
橋本委員、林委員、奥山委員。橋本委員からお願いします。
○橋本委員 追加でぜひお願いしたいなと思うのは、福岡のSOS子どもの村が、里親ショートステイを全国の調査もしながら先駆的に取り組んでいます。預かる機能を持ちながら相談支援する、あるいは里親さんのレスパイトをする。いろいろな意味で非常におもしろい取組だと思いますので、この里親ショートステイの取組についても、どこかでヒアリングしていただけたらと思います。福岡SOS子どもの村です。よろしくお願いします。
○山縣委員長 次、林委員、お願いします。
○林委員 別に特定の機関ということじゃないのですけれども、先ほど申し上げましたように、市町村によって要支援認定してサービスを無料化しているとか、あるいは包括的な生活支援を、子どもの居場所づくり事業という形で包括的に提供し、そして、ある意味マネジメントのハブとして、行政はむしろモニタリングとして作用しているような機関は幾つかあるかと思いますので、そういうところも入れていただけたらなと思いました。
○山縣委員長 ありがとうございます。
では、奥山委員、最後です。お願いします。
○奥山委員 私も特定のどこかを加えてくださいというのではなくて、これだけかなり多くのところにヒアリングをするとしたら、テーマをきちんと決めて、先ほど来、役割分担という話もあったように、公的機関との連携の状態であるとか、ソーシャルワークをどのぐらいやっているのかといった共通の課題について、お話しいただく内容等をしっかりと提示してヒアリングすべきだと思います。ですから、提示する内容をできれば事務局でつくっていただいて、委員に投げていただきたいと思います。
○山縣委員長 了解しました。非常に重要な御指摘だと思います。何もかもではなくて、その特定団体に発言していただきたいことについては、事務局と私と松本委員長代理のほうで検討していこうと思います。松本委員、よろしくお願いします。
では、本日議論すべきことは一応終わりましたので、これで終了させていただきます。
次回の日程ですけれども、6月18日の14時から17時までになります。できるだけ時間内に収めようと思いますけれども、皆さん方の非常に積極的な御発言がございますので、若干のセーブはしつつも、完全なシャットアウトはしないような方向で次回も進めていこうと思いますので、後ろのほう、少し余裕を見ておいていただけたらありがたいと思います。ありがとうございました。
○浜田委員 委員長、ごめんなさい、1つだけ。次回ですけれども、次回はヒアリング、ないしそれの質疑応答までという御趣旨でしょうか。それとも、今日のことを踏まえた委員同士の意見交換というのはないということですか。
○山縣委員長 基本的には、ヒアリングを核にしながら、質問等はさせていただくということで、たくさんの時間を取るのは正直難しいかもしれませんけれども、感想等を述べるということは可能かと思いますが、そのことは、それ以降のテーマごとのところで、ヒアリングを含めた御意見のほうに重点を置かせていただこうと思います。
事務局のほうから補足があるようです。
○野村企画官 すみません、企画官の野村でございます。
6月18日及びその次の回については、ヒアリングを予定しております。特に、次回のヒアリングですけれども、各団体から取組等々の御紹介をいただいて、各委員の先生方からの御質問のお時間。数団体のヒアリングをしていただいた上で、感想というか、皆様方のお考え、御意見いただくようなお時間を何とか取っていきたい、座長とも御相談していきたいと思っております。
そのヒアリングの後については、可能でありますれば、本日のこの議論を踏まえて、少し資料を御用意させていただいて、また中間整理に向けた御議論といったところをイメージして、その後個別論の具体化を掘り下げていくといった形をイメージしております。
以上でございます。
○奥山委員 すみません、座長は、各論点で議論する時間、日にちがあるとおっしゃっていました。一方で、中間取りまとめをすると聞いています。そこまでの間に、それぞれのテーマに関して二、三回議論する時間があると考えてよろしいでしょうか。
そして、資質向上に関しての議論もあり、それはまた別にやらなければならないと思います。例えば、地域支援の観点に関してだけで2,3回の議論の場があると考えてよろしいでしょうか。
○野村企画官 基本的には、とにかく全体の方向性といったところを確認いただきたいと思っております。中間整理に向けた資料を基に、各委員の先生方から数回御議論いただきたいと思っております。ただ、そこからさらに具体的な議論というところに移っていくフェーズになってまいりますならば、それぞれについて1回もしくは2回設けながら議論していくといった状況になるかと思っております。
○山縣委員長 ということで、かなりハードなスケジュールで、今日、終了後、日程調整いただきますけれども、場合によっては月2回程度の、こういう形の御意見をいただくということになるかもしれません。できるだけ早く日程のほうは決めていきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いします。
今日は、これで議論を終わらせていただきます。長い時間、本当にたくさんの貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。終了します。
(了)
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