ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会社会的養育専門委員会)> 第25回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 議事録(2019年1月16日)
2019年1月16日 第25回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 議事録
子ども家庭局家庭福祉課
○日時
平成31年1月16日(水)14:00~16:00
○場所
労働委員会会館(中央労働委員会)7階講堂
○出席者
委員
山縣委員長 | 青木委員 | 安部委員 | 犬塚委員 |
井上委員 | 江口委員 | 奥山委員 | 北川委員 |
熊川委員 | 桑原委員 | 清水委員 | 菅田委員 |
玉岡委員 | 中村委員 | 橋本委員 | 浜田委員 |
林委員 | 平井委員 | 平田委員 | 増田委員 |
松本委員 | 宮島委員 | 森下委員 | 吉田委員 |
事務局
藤原内閣官房審議官 | 長田総務課長 | |
成松家庭福祉課長 | 宮腰虐待防止対策推進室長 |
○議題
(1)「市町村・都道府県における子ども家庭相談支援体制の強化等に向けたワーキンググループとりまとめ」について(報告)
(2)「2019(平成31)年度予算案」について(報告)
(3)「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」について(報告)
(4)その他
○配布資料
資料1-1 市町村・都道府県における子ども家庭相談支援体制の強化等に向けたワーキンググループとりまとめ(概要)
資料1-2 市町村・都道府県における子ども家庭相談支援体制の強化等に向けたワーキンググループとりまとめ
資料2 2019(平成31)年度児童虐待防止対策及び社会的養育関係予算案の概要
資料3 児童虐待防止対策体制総合強化プラン(新プラン)関係資料
資料4 委員提出資料
参考資料1 市町村・都道府県における子ども家庭相談支援体制の整備に関する取組状況について
参考資料2 「都道府県社会的養育推進計画」の策定に向けた作業スケジュール等について
参考資料3 平成31年度次世代育成支援対策施設整備交付金(乳児院及び児童養護施設分)に係る採択方針
参考資料4 平成30年の地方からの提案等に関する対応方針
資料1-2 市町村・都道府県における子ども家庭相談支援体制の強化等に向けたワーキンググループとりまとめ
資料2 2019(平成31)年度児童虐待防止対策及び社会的養育関係予算案の概要
資料3 児童虐待防止対策体制総合強化プラン(新プラン)関係資料
資料4 委員提出資料
参考資料1 市町村・都道府県における子ども家庭相談支援体制の整備に関する取組状況について
参考資料2 「都道府県社会的養育推進計画」の策定に向けた作業スケジュール等について
参考資料3 平成31年度次世代育成支援対策施設整備交付金(乳児院及び児童養護施設分)に係る採択方針
参考資料4 平成30年の地方からの提案等に関する対応方針
○議事
○成松家庭福祉課長
定刻より少し前でございますが、委員の皆さんがおそろいですので、ただいまから第25回「社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様には、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日の出欠状況でございますが、相澤委員、藤林委員、横田委員は御欠席と伺っております。
では、初めに資料の確認をさせていただきます。
配付資料は、お手元にあると思いますが、右上に番号を付しております。資料1から資料4、参考資料として1から4という形になってございます。
もし欠落等ございましたら、その都度で結構ですので、事務局までお申しつけいただければと思います。
カメラの撮影は、ここまでとさせていただきたいと思います。
○成松家庭福祉課長
それでは、これより先の議事は山縣委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山縣委員長
改めまして、明けましておめでとうございます。
昨年、この専門委員会からワーキンググループに対して付託したものについて、12月末にとりまとめが行われました。きょうは、そのことを中心に、お手元配付資料にありますように、議題、その他を含め、4件の報告事項がございます。それぞれについて御意見を伺っていこうと思います。
このワーキングのほうは、昨年9月に第1回を開きまして、合計7回、1回、大体3時間というかなり長い形で丁寧に、それぞれの委員に忌憚のないところを吐露いただきまして、場合によってはつかみ合いになるのではないかという緊張感も一部にはございましたが、それぞれ最終的には12月の段階でまとめることができたということになります。
内容につきまして事務局のほうから少し報告いただきたい、説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○宮腰虐待防止対策推進室長
事務局でございます。
そうしましたら、お手元にあります資料1-1のほうは、事務局の責任でとりまとめの概要ということでつくったものでございますが、御説明のほうは資料1-2の本文のほうでさせていただければと思います。このとりまとめにつきましては、今、山縣委員長からも御説明いただきましたが、9月にワーキングの議論を開始いたしまして、第7回目が12月26日でございまして、その後、若干の文言修正をいたしまして、12月27日にとりまとめとして公表したものでございます。
とりまとめの構成につきましては、最初に「はじめに」ということで、これまでの議論の経過について整理させていただきまして、その後「児童相談所の業務の在り方及び市町村における相談支援体制の在り方」、2といたしまして「要保護児童の通告の在り方」、3といたしまして「資質の向上」、最後に4で「子どもの意見表明に関する仕組み」ということで、全部で大きく4章立ての構成でまとめられているものでございます。それぞれの項目ごとに、現状・課題、主な議論、目指すべき方向性、対応といった形で項目立てをして整理しているものでございます。
そうしましたら、1ページ目の「はじめに」をごらんいただければと思います。これまでの経過・議論を簡単にまとめたものでございます。
まず最初に、この後「28年報告書」ということで何度か重要な部分に引かせていただいているものでございますが「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会」報告書、平成28年3月にとりまとめいただいたものでございますが、これに基づきまして、平成28年5月に児童福祉法の一部を改正する法律が成立してございます。平成28年の改正法におきましては、発生予防、発生時の迅速・的確な対応、自立支援という重要な項目について改正が行われたものでございますが、この中で、平成28年の改正法には盛り込まれていない事項につきまして、平成28年改正法附則に検討事項とされてございます。
1ページの中ほど、※で書いてございますが、「政府は、法律の施行後2年以内に、児童相談所の業務の在り方、要保護児童の通告の在り方、児童及び妊産婦の福祉に関する業務に従事する者の資質の向上を図るための方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」ということで、宿題が3点残されているということになってございます。
また、2017年8月には「新しい社会的養育ビジョン」においても、こうした検討課題について提言されてございますが、詳細な検討が加えられていないままでございました。
加えて、その後の流れでございますが、2018年7月には「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」、また同じ年の10月には「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」といった報告も出されて、国への提言がとりまとめられたところでございます。
2ページ目をごらんいただければと思います。今般、先ほど申し上げました附則に基づく検討事項を検討いただくために、ワーキングが設置されて検討いただいたところでございます。このワーキンググループにおきましては、平成28年報告書を基本とした上で、「新しい社会的養育ビジョン」「緊急総合対策」、10月の「死亡事例検証報告」の内容を十分踏まえるとともに、全ての子どもが、健やかな成長、発達、自立等を保障される権利を有するという考え方を前提として議論が行われたところでございます。こうした中で、現状の問題点を解決する方策を中心に、目指すべき方向性、今後の取り組むべき事項について整理をしてございます。
今後、目指すべき方向性に沿って、対応として記載した事項について速やかに取組を進めるとともに、制度的な対応など必要な事項については、国において、法的及び財政的な措置を含め、適切に対応されるべきである。また、今回整理した事項にとどまることなく、市町村・都道府県における子ども家庭相談支援体制の一層の充実に向け、不断の見直しを行い、必要な取組を進めるべきであるということで、今後の方向性についてもまとめていただいているところでございます。
2ページ目の「1 児童相談所の業務の在り方及び市町村における相談支援体制の在り方」をごらんいただければと思います。
現状・課題のところでございますが、児童相談所は、要保護児童や家庭に対する支援を行う中で、保護機能及び支援マネジメント機能など、多様な機能を担ってきたところでございます。
こうした中で、おめくりをいただきまして、3ページ目でございますが、28年の報告書におきまして、囲んだ部分でございますが、虐待通告数が増大している現状において、児童相談所は対応の限界にきており、児童相談所の機能強化が必要であること、こうした御指摘もいただいておりまして、おめくりいただきまして、4ページ目、新しい社会的養育ビジョンにおいても、機能分化に関する御提言、10月の死亡事例検証の「国への提言」におきましても、保護機能に関する体制強化の指摘をいただいているところでございます。
これを受けまして、4ページ目の主な議論のところでございますが、ワーキンググループにおきましては、これまでの指摘、特に、危機介入的な関わりにおいて十分対応できておらず、適切に保護機能を果たせていない児童相談所があるという指摘も踏まえ、保護者との支援関係を結ぶことや維持することができなくなることを危惧するために子どもの最善の利益を考慮した安全確認調査や保護を行うことを躊躇することをなくすためにどのような体制や対応等が必要かについて議論を行ったところでございます。
主な議論につきましては、児童相談所における機能として、保護機能と支援マネジメント機能の分化の在り方、おめくりいただきまして、5ページ目では、児童相談所の機能をスリム化するために、どのような方策が必要かということ、それから、6ページ目でございますが、弁護士の配置についての御議論、7ページ目では、医師の配置について、児童相談所の第三者評価について、また中核市・特別区における児童相談所設置などについて御議論いただいたところでございます。
8ページ目をごらんいただきまして、こうした議論を受けまして、目指すべき方向性でございます。児童相談所が初期アセスメント、見立てを適切に行い、必要に応じて躊躇することなく保護することができる体制整備が求められる。このため、国において、児童相談所が保護機能と支援マネジメント機能を適切に果たせるよう、部署分けや異なる職員が支援マネジメントを担当できる体制とするといった機能分化のほか、専門人材の確保・育成に関する方策などの体制整備を推進することについて方向性を示した上で、各都道府県等において、体制整備を進める。また、行政組織内だけではなく、第三者の視点も踏まえた見直しを進めることができる仕組みが必要である。あわせて、地域で保護から支援、措置解除後も含めた自立支援等切れ目ない支援ができる体制とするためには、児童相談所の体制整備のみならず、市町村における相談や支援できる体制を強化していく。こうした方向性について、おまとめいただいたところでございます。
9ページ目の対応をごらんいただければと思います。
まず、1つ目の項目といたしましては、都道府県等における体制整備の部分でございます。
マル1といたしまして、保護機能と支援マネジメント機能を確実に果たし、適切な対応を可能とする体制整備等に関する計画策定でございます。
児童相談所が保護機能と支援マネジメント機能を確実に果たし、適切な対応がとれるよう、保護機能と支援マネジメント機能に応じた部署分けや、保護の際に対応した職員とは異なる職員が支援マネジメントを担当できるようにするなどの機能を分けることのほか、専門人材の確保・育成に関する方策などの体制整備を推進することについて、国において方向性を示す。各都道府県等において、体制整備について検討し、計画を策定する、でございます。
マル2といたしまして、弁護士の関係でございます。
児童相談所において法的な知見を踏まえたケース対応ができるよう、児童相談所における意思決定に、日常的に弁護士が関与し、児童福祉司等と共に対応できるような体制整備を推進する。
こうした体制整備に当たっては、「常勤弁護士を必置とすべき」という意見と「常勤弁護士の必置には反対であり、日常的に弁護士と協働できる体制とする種々の配置方法が認められるべき」との意見の両論があった。しかし、常勤弁護士を含む弁護士配置を促進することが望ましいという点においては意見が一致したところであり、これらの両論を踏まえ、少なくとも日常的に弁護士と共に対応できる体制の実現に向けて法令上の措置の検討や経験豊富な外部弁護士に相談できるバックアップ体制も含む財政支援の強化など体制強化の推進方策の具体化を図る。
マル3といたしまして、医師の関係でございます。おめくりいただきまして、10ページ目です。
児童相談所において医学的な知見を踏まえたケース対応ができるよう、児童相談所における意思決定に、日常的に医師が関与し、児童福祉司等と共に対応できるような体制整備を推進する。
体制整備に当たっては、「常勤医師を必置とすべき」という意見と「常勤医師の確保は難しく、虐待対応等に関与する医師の在り方を考えることが必要」という意見の両論があった。しかし、常勤医師の配置を促進することが望ましいという点においては意見が一致したところであり、これらの両論を踏まえ、少なくとも日常的に医師と共に対応できる体制を実現するため、国による医師確保の支援策を含む体制強化の推進方策の具体化を図る。
マル4といたしまして、研修の充実、マル5といたしまして、外部委託等の推進でございます。
(2)は、市町村等の地域の相談支援体制の強化でございます。
マル1といたしまして、市町村の子ども家庭相談体制の強化、要保護児童対策地域協議会の活性化でございます。
新プランに基づき児童相談所に市町村支援を担当される児童福祉司の配置や人事交流なども活用いたしまして、児童相談所、市町村の連携体制を密に図る。
新プランに基づきまして、2022年度までに全ての市町村において要保護児童対策地域協議会の調整担当者の常勤の専門職配置を促進する。
マル2といたしまして、市区町村子ども家庭総合支援拠点の設置促進でございまして、おめくりいただきまして、11ページ、新プランに基づきまして、2022年度までに全市町村での設置を促進する。
マル3といたしまして、民間を含めた地域資源の充実です。
(3)児童相談所の業務の質の向上を図るための評価の仕組みの創設です。
児童相談所の質の確保・向上が図られるよう、自己評価及び第三者評価を行う仕組みの創設に迅速に取り組む。
具体的には、評価のバラツキが生じないよう、効果的な評価の在り方を検討した上で、ガイドラインの策定、全国展開に向けて取り組む。
(4)といたしまして、中核市・特別区における児童相談所の設置促進でございます。
中核市における設置が進んでおらず、より一層の設置促進策を講じることが必要。
児童相談所の設置促進を図るためには、「設置の義務化を法的に図るべき」という意見と「設置が進まない要因分析や国の財政支援などが先であり、設置の義務化については慎重に検討すべき」という意見の両論があった。しかし、より一層の設置促進策を講じることが必要であるという点においては意見が一致したところであり、これらの両論を踏まえ、28年改正法附則の趣旨の実現に向けて、法令上の措置の検討を含め自治体の実態把握や関係者間での協議の場の設置など国による更なる設置促進策の具体化を図るでございます。
次に、「2 要保護児童の通告の在り方」でございます。
現在、児童虐待等に関する通告については、児童相談所と市町村のいずれもが受理できる体制となってございます。
12ページをおめくりいただきまして、枠囲みのところでございますが、平成28年の報告書において、通告先が2カ所に分かれていることによって、通告先の選択を強いているのではないか。泣き声通告や面前DV通告など増大する虐待通告に対する児童相談所における安全確認・調査の業務量が膨大になっていること等から、各都道府県に1カ所、通告窓口を一元化し、緊急性の判断やその後の対応について判断し、初期対応機関を児童相談所か市町村等へ振り分ける機関の設置をすべきといった御指摘をいただいているところでございます。
主な議論のところでございますが、本ワーキンググループでは、こうした指摘も踏まえ、通告が増加する中、受理した通告に対して、確実に適切に対応するためにどのような体制や対応等が必要かについて議論を行ったところでございます。
その中では、通告を受ける体制、あるいは児童相談所への通告が増大している現状について、どのように対応すべきかといった御意見、御議論をいただいたところでございます。
おめくりいただきまして、14ページ、目指すべき方向性でございます。
まずは通告を受理した機関が受けた通告について安全確認等の対応に当たって必要な情報の聞き取り等が適切に行われ、的確に通告に対応できるような体制整備を進めることが必要である。市町村、児童相談所が通告に対する対応において、それぞれの役割が十分果たせるようにするための体制強化が必要であるとともに、ともに協働しながら対応できるようにしていくための意識作り、枠組みや体制を継続的に構築することが重要である、でございます。
対応のところでございます。(1)といたしまして、通告窓口の一元的な運用方策の提示。
希望する自治体において、通告窓口を一元的に運用できる方策について、通告受理後の安全確認の体制を含め国で整理し、具体的に提示する。
(2)といたしまして、通告後の対応に関する市町村、児童相談所の連携体制づくり。
マル1といたしまして、通告受理の際の情報の聞き取り等に関する研修の実施。
マル2といたしまして、市町村、児童相談所の協議、ガイドライン策定に向けた取組。
市町村、児童相談所が通告後の対応について共通認識を持って対応できるようにするため、都道府県においてガイドラインの策定、及びその使用に関する専門性の向上に向けた取組を推進。国においては、ガイドラインのモデル案、策定に向けた行程や活用方法等を示すといったことでございます。
マル3といたしまして、面前DV通告への市町村、児童相談所の対応等ということでございます。
おめくりいただきまして、15ページでございますが、国において、面前DV通告への対応に関する市町村、児相におけるガイドラインの策定、活用方法等を示すということでございます。
マル4といたしまして、リスクアセスメントシート及びその活用方法の見直し。
(3)は、市町村の体制強化の関係ですので、再掲でございます。
(4)といたしまして、情報共有基盤の整備に向けた検討。
(5)といたしまして、児童相談所全国共通ダイヤル「189」の見直しでございます。
15ページ、下でございますが、「3 児童及び妊産婦の福祉に関する業務に従事する者の資質の向上を図るための方策」でございます。
28年の報告書におきまして、おめくりいただきまして、16ページでございます。子ども家庭支援に当たる指導的職員の専門性を向上させるとともに、その能力を客観的に明確化する観点から、子ども家庭福祉に関する専門の相談員として新たな公的資格を創設することを検討すべきといった御指摘もいただいているところでございます。
16ページの下のあたりでございますが、こうした御指摘も踏まえ、緊急総合対策で児童福祉司等を増員していく中、児童福祉司等の児童相談所職員の資質向上を図るための方策、市町村職員の資質向上を図るための方策について議論を行ったところでございます。
おめくりいただきまして、19ページの目指すべき方向性をごらんいただければと思います。
児童相談所、市町村職員の増員といった量的整備と併せて、専門性を有した職員のキャリア形成の観点も踏まえた質の向上も進める必要がある。その際には、地域全体の対応力の向上という観点から、専門性を高める取組を推進することも必要。また、こうした資質について客観的に把握できるようにするための枠組みとして資格化等について議論を行いましたが、早急に新しい資格を創設すべきと言う意見と、資格化は反対であり、現状の国家資格のカリキュラムの充実等を図るべきという意見があり、一致できなかった。今後、資質を把握するための具体的な要件として、その手法やどのような実務経験を求めることとするか、義務研修の位置づけについてどのように考えるか等、資格化も含め引き続き検討が必要と考える。こうした引き続き検討が必要な事項について、一定の年限を区切って確実に検討を進める、ということでございます。
19ページの一番下、対応でございます。
児童相談所の専門性向上のための体制整備。
マル1といたしまして、児童福祉司等の児童相談所の職員体制等の強化。
おめくりいただきまして、20ページでございますが、マル2といたしまして、スーパーバイザー要件のさらなる厳格化の検討。スーパーバイザー研修の際のレポート提出等による修了要件を設定するとともに、研修受講を任用要件とする。マル3といたしまして、児童福祉司等の任用要件について相談援助の業務経験を有する旨の明確化。マル4といたしまして、児童心理司の配置人数に関する基準の設定。マル5、マル6は、それぞれ弁護士、医師の部分で、再掲でございます。
(2)といたしまして、児童福祉分野のソーシャルワークを担う人材の専門性向上のための国家資格化も含めた在り方検討。
2つ目のポツでございますが、「新たな国家資格を創設すべき」という意見と「社会福祉士等の既存の国家資格の活用の促進や充実を図るべき」という意見の両論があった。しかし、児童相談所のみならず、市区町村子ども家庭総合支援拠点にも専門的人材が必要なこと、フォスタリング機関、施設、児童家庭支援センター等においても、人材の資質の向上が求められていることから、これら人材の専門性を向上させる必要性及びその具体的な方策について更なる検討が必要であるという点においては意見が一致したところであり、その在り方について、専門的に検討する委員会を設け、国家資格化も含め、一定の年限を区切って引き続き、具体的な検討を進める、でございます。
(3)市町村の専門性向上のための体制整備につきましても、再掲でございますので、省略いたします。
最後、21ページ、「4 子どもの意見表明に関する仕組み等」でございます。
現状・課題の枠囲みのところでございますが、新しい社会的養育ビジョンにおきましても、子どもの意見表明権の保障が重要だという御指摘もいただいているところでございます。
21ページの下、主な議論のところでございますが、本ワーキンググループにおきましても、子どもの声を十分に反映させるためのアドボケイト制度の創設が必要。
児相と警察との情報の共有においては、子どもの意思が無視されたり、警察の判断だけで対応がなされて当事者の福祉が損なわれたりすることがないように、子どもの権利擁護の観点から一定の歯止めや枠組みを設けること、双方向での情報のやりとりがなされることが必要といった意見で一致したところでございます。
また、おめくりいただきまして、22ページでございますが、体罰の禁止を法律に位置づけること等の取組を進める必要があるとの御意見もあったところでございます。
対応でございますが、子どもの意見表明権を保障する仕組みの構築。
マル1、児童福祉審議会等の活用といたしまして、子どもが自ら意見を表明できる機会を確保するために、児童福祉審議会の枠組みが活用できることの周知徹底。また、こうした枠組みについて、国においてガイドラインを作成し、全国展開に向けた取組を行う。
マル2といたしまして、アドボケイト制度の構築といたしまして、全ての子どもの意見表明権を保障するアドボケイト制度の構築を目指し、まずは一時保護も含む代替養育における子どもの意見表明権を保障するための検討を行う場を設け、検討を進め、その結果を踏まえたモデル実施を行った上で、全国展開に向けた取組を進める、でございます。
説明が少し長くなりましたが、以上でございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。
それでは、ただいまのワーキンググループのとりまとめについて、委員のほうから質問等ございましたら、よろしくお願いしたいと思います。
奥山委員、お願いします。
○奥山委員
今、御説明があったとりまとめの本文のほうにはきちんと書いてあったのですけれども、概要のところで、平成28年の新たな子ども家庭福祉の在り方に関する専門委員会報告書というのがまず基本にあるのだということが書かれていないように思うのです。単に附則からスタートしているので、28年の報告書があり、それに基づいて法改正がなされて附則が残ったというところを明確に、この概要についても書いていただきたいと思います。
○山縣委員長
資料1-1ですね。
ほか、ございますか。林委員。
○林委員
とりまとめ、ありがとうございました。
1点御質問させていただきます。内容的に、議論の内容と目指すべき方向性あるいは対応というところに多少のギャップを感じるわけですけれども、例えば児童相談所の体制というところで言えば、結果的に対応というところに集約されているわけですけれども、その議論の過程の中にはすごく大きな構造改革をもたらすような提言もされていて、それに関する賛否両論が併記されているわけですね。
結果的に、それをほとんど捨てるような形で対応というものが記載されているように思うのですけれども、これは段階的に、とりあえずこの対応に書かれている内容から進んでいくということなのか、議論のプロセスの中で言及された内容は全く検討されないのかということを、まず1点目、御質問させていただきます。ほかの事項に関しても同じことです。
○山縣委員長
これはどう答えたら。議論の経過を踏まえて、事務局のほうから説明してもらえますか。必要があれば、私のほうから補足します。
○宮腰虐待防止対策推進室長
恐らく、議論されている内容によってもやや異なってくる部分があるのかなと思っておりますが、例えば児相における機能分化の在り方に関して、議論の経過で申し上げますと、4ページの主な議論の一番下のあたり、保護機能と支援マネジメント機能の分化の在り方についてということで、出た意見を整理させていただいているのですが、前段のほうでは、現状の児童相談所は保護機能が中心になっており、相談機能はできるだけ市町村やその他の機関に移し、措置した子どもの支援マネジメント機能のみを児童相談所の機能として残し、機能分化、部署分化を進めるべきといった御意見もありました。
一方で、こうした機能は、連続性を持って並行して行う必要があることから、同じ機関内での意思決定という枠組みが必要だといった御意見も出ておりまして、そういった意味では、この2つの御意見については両論があって、こちらの方向性でというところで決まったということではないのかなという認識を持っております。その中で、同じ児相の中で部署分けをする、あるいは職員分けをするという形での機能分化を進めていくという形については、一致できた部分なのではないかということで、対応の部分に整理させていただいているという流れとなってございます。
もし説明が不十分であれば。
○山縣委員長
では、私のほうから補足させていただきます。
今の事務局の説明で、基本的には間違っていないのですが、議論の部分は、個々の委員のもので、とりまとめにそういう意見があったというのを残したほうがよさそうなものを抽出したということになります。それについては修正していません。各委員の声がそのまま言葉として残っているということになります。
その中で、今、事務局のほうからありましたけれども、方向性が内容的に一致できたものについて言うと、目指すべき方向とか対応策のほうに反映することができる。しかし、両者が並行線のままで議論しているほうについては、両論併記のような形で書かれ、最後の部分でちょっと誤解があるかもしれませんけれども、その中でもさらに継続的に検討すべきという文言が明確に入っているものと、それが入っていないものがあるということで林委員のほうで誤解があったかもしれませんが、議論のプロセスから言うと、書いていないことはもう必要ありませんという委員の受けとめではないと思います。
あくまで分かれた状態で今、残っていますよというところで、そこに対する明確な対応策を書くことができていませんということなので、これはまた議事録とか、ここに抽出したものを含めて、各委員のほうから、新たにそれをもとにこういう施策が必要であるのではないかとか、あるいは今後、こういう展開が必要であるのではないかという御意見をいただけたらと思います。
では、中村委員。
○中村委員
中村です。
委員提出資料をごらんいただけたらと思いますが、大きく2つ、意見として記載させていただいております。
○山縣委員長
資料4になります。
○中村委員
1つ目の意見に関しましては、先ほどの説明とは別に全体的なものになるのですけれども、計画策定時の当事者参画。前回も提案させていただいた部分ですが、この専門委員会において複数名の委員配置のお願いをしたいと思っています。というのも、私は児童養護施設経験者として参加していますが、里親家庭の経験者等、多様な経験者の声がありますし、また今後、里親家庭を推進していこうという中では、そういった経験者の声も制度に反映するべきではないかというところでは、この専門委員会において2名以上委員の配置というのを改めて御検討いただきたいと思っております。
2つ目は、今、都道府県推進計画の策定見直しというところでは、当事者の声というところで、前回も記載させていただいたのですが、当事者複数人の声を反映させていただきたいということと、また、委員会においても、社会的養護経験者2名以上の委員設置をお願いしたいというところでございます。
2点目が、先ほど説明にあった資料1-2の22ページの「子どもの意見表明権を保障する仕組みの構築」、アドボカシー制度の創設という部分の意見になります。これも、前回から引き続きの意見を記載させていただいておりますが、子どもたちと親権者・保護者・児童相談所等の意見が分かれるというところでは、きっちりと子どもの意見の反映というところで、アドボカシー制度の構築をお願いしたいと思っております。
重要なのは裏面ですが、対策として、先ほど御説明いただいた児童福祉審議会の活用という部分がありますが、平成29年度の調査研究報告書で、児童福祉審議会における課題というものが記載されております。その部分をきっちりと見ていただけたらなというところで、御意見を書かせていただいております。
利害関係のない第三者機関が対応すべきであるという部分ですが、実際に審議会の構成委員や開催頻度に関する基準というものがなく、自治体によってばらばらであるという報告書の記載がありました。自治体職員のアンケート自由記述からというところも見ていただけたらと思いますが、定期日程以外の開催が困難であったり、専門性を持った職員が常に配置されているわけではないというところでもばらつきがあったり。あと、利害関係にある委員、例えば児童養護施設関係者であったり、里親であったり、子どもと関係性のある委員が参加しているという中での第三者性の担保というところは難しいのではないかということがあります。
また、28年度調査において、実際に児童福祉審議会に子どもから相談があった件数というは、64自治体中、3自治体5件にとどまっているところです。5件の内容につきましても、生活の不満であったり、子どもがたたかれたという訴えがあったり、または家族に会いたい、入所に納得できないという意見が入っていたということが報告書にも記載されておりました。
こういった課題があるということも踏まえて、第三者性の担保、子どもの権利に関する専門的な知見を有する委員の配置であったり、子どもの意見聴取の機会を別に設けるなど、子どもの意見聴取に起点を置いた改善をぜひ検討されたいというところと、児童福祉審議会以外の外部の民間組織との連携やアドボカシーシステムの在り方ということも改めて検討していただけたらということで、意見を出させていただきました。この件に関して、次の予算書のことで御説明があると思うのですが、そこでも1点質問がありますので、またそのときにさせていただけたらと思います。
もう一つ、済みません、この意見に記載はないのですけれども、権利啓発ということがとても大切かなと思っておりまして、現在、権利ノートを配付されている自治体が多くあると思うのですが、実際にお聞きすると配付にかなりばらつきがあるということが、経験者の声から聞かれている。例えば、一時保護所に入所している子どもたちに配付している自治体もあれば、配付していない自治体もありますし、入所の段階のときに丁寧に権利ノートを説明されている児童相談所もあれば、全然説明を受けたこともないという若者たちがいるということも知っていただきたいなというところでは、権利ノート、権利啓発の部分では徹底していただきたいということもお願いしたいところです。
済みません、以上です。
○山縣委員長
ありがとうございました。
今後に向けて、そのような提案ということで受けとめさせていただきたいと思います。
ほか、北川委員。
○北川委員
児童相談所機能のスリム化の中で、5ページ目の下と10ページ目の真ん中に療育手帳のことが書かれておりました。児童発達支援を使う場合、措置から契約になりましたと、今、療育手帳をとりに行くときしか児童相談所に行くことは実際ない状態であります。地域の相談支援機能もかなり整って、障害児の相談もありますし、相談そのものは、児童相談所と地域の児童発達支援とのかかわりは、要保護家庭のみあるという状態であります。
ただ、本当に要保護家庭かどうかを見分けるのが、障害児のお母さんたちのアセスメントというのは専門性が要るということと、もう一点、地域の児童発達支援センターに行ったときに、そこで虐待とか社会的養護の観点で家族支援がきちんとできるかというと、まだまだ力が弱いので、その辺を強化していく必要があるなと思いました。
あと、療育手帳に関しては、私も子どものことで療育手帳取得に何度も児童相談所に行っているのですけれども、それほど難しいことをしているわけではなく、心理司が田中ビネーとかWISCで、あなたの子どもはBですよとかB-ですよと結果を言って、それを区役所に行って手続するということです。ただ、この療育手帳があるかないかということは、将来において全てにとてもかかわってくる公的なものなので、さて、児童相談所以外でどこができるだろうと考えたときに、公的な機関、公立の病院とかになると思いますけれども、枠を広げるとしたら、そういう形が必要なのかな、公的な機関がやっていく必要があるのかなと思いました。
児童相談所においてケースワーカーが障害児のことがわからなくなるというのは、虐待の判定においてもちょっと心配な面がありますけれども、そういう実態は既にあるなと思っておりました。
それから、アドボケイトのことです。数年前に里子で私立の寄宿舎制の学校に行きたいといった意思表明をした子がいて、一旦諦めたのですけれども、1年後にまた行きたいとなったときに、最終結論が措置をやめて行かざるを得なかったということがあって、児童相談所は措置継続を認めなかったのです。お母さんが亡くなったという、その子の社会的養護の状態は全く変わっていないにもかかわらず、措置が解除されてしまったときに、どこに相談したらいいのだろう。このアドボケイトという機能はないのだろうかと、すごく悩みましたし、結局、社会的養護の状態は変わらないのに、措置が解除され、里親さんが自費で学校に行かせたということがありました。
ということで、ぜひ子どもの意思を尊重するというところで、アドボケイト制度を充実させてほしいと思っております。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございます。
ほかはいかがでしょう。玉岡委員から林委員。
○玉岡委員
玉岡です。とりまとめありがとうございました。
東京都のほうでも児童相談所に関してはいろいろ課題があろうかと思いますが、この中で特に御要望として申し上げておきたいところは、15ページの通告の在り方の中で「189」の見直しということで書いていただいているところです。どの児童相談所でも、この「189」にさまざまな相談が寄せられていて、虐待のみならず、児童相談所で相談の対応がふえているということがあります。
一方で、児童や家庭に迅速かつ適切な支援を行うためには、サービスや資源を持つ区市町村など、適切な相談機関につなげるということも重要だと考えておりまして、「189」の仕組みとして、16年の法改正で市町村通告とされた趣旨もありますので、まず、ここに見直しと書いていただいているので、「189」の在り方については、ぜひ速やかに再検討をお願いしたいと思っております。
それから、それに関連して、通告窓口を都道府県に1カ所設置ということもこの中で書いていただいておりますけれども、東京都の児童相談所でも警察からの通告ということが半数を占めているということもありまして、中には必ずしも重篤でないケースも含まれているのが現状ということもありまして、通告先の整理ということも必要なのかなと考えております。一元化ということもあるかと思いますが、先ほど申し上げました「189」の見直し、あるいは通告先に区市町村も加えるなども含めて、再検討していただければと思います。
よろしくお願いします。以上です。
○山縣委員長
ありがとうございました。
一元化するとは書いてありません。一元化できるところについては応援するという書き方です。
林委員。
○林委員
2点ほどお願いします。
11ページのマル3、市町村体制の強化というところで、ショートステイ事業、トワイライトステイ事業云々というのがあるのですが、過去の報告書を生かすという点で言うと、ビジョンの中では、措置を含めて社会的養護として捉える。その意義というのは、従来のショートステイなりトワイライトというものの年齢制限であったり、料金であったり、あるいは日数の制限ということを含めて考えたときに、要支援児童・要保護児童を市町村の受け皿として活用できる制度ではないということを含めて、社会的養護の枠組みの中で捉えて、新たな子どもへの直接的な支援・サービスの充実ということが提言された経緯があるかと思います。
ビジョンで言うと、そうした項目が12ページあたりにありますので、そのあたりを生かして、子ども・子育て支援制度の枠組みで捉える制度、こういった事業の強化ということを書き足していただけないかということが1点目と。
もう一点は、一番最後のアドボケイトについてですけれども、ここは児童福祉法上、保護者の意向を尊重するという、介入と保護者の意向あるいはその権利をどうバランスよく担保していくかというのが大きなテーマだと思うのですけれども、ここに保護者の意向の聴取の権利保障みたいなことが立てられないのか。またちょっと違ったテーマだと思うのですけれども、というものがビジョンの中でも、たしか20ページあたりですけれども、支援計画の作成過程には、保護者や子どもといった家族が主体的に参画する在り方の提言がなされているということを踏まえて、そういう論を立てられないかという一つの御提案です。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございます。
今の部分ですけれども、きょうの位置づけは、ワーキングの報告をベースに考えていくことにしていますので、今後の運用・取り扱いの中で、今、言われた部分は、いずれも現行制度の中でだめだとは恐らく書いていないものだと思います。ショートステイにしても、社会的養護の施策でもあり、子ども・子育て支援法に基づく地域子ども・子育て支援事業でもあるということですので、その辺の理解をきっちり進めていただくというあたりで、今後、社会的養護施策としても十分機能するように、あるいは契約をする上で保護者の意向を完全に無視しては法律上できないので、そのあたりをきっちりお伝えいただくようなところをやり、かつ必要があれば制度改正もあるかもしれない。
現段階では、課題として受けとめさせていただけたらと思いますけれども、よろしいでしょうか。意見があったということは、きっちりメモしておいてください。
ほか、いかがでしょうか。犬塚委員。
○犬塚委員
犬塚です。よろしくお願いします。
この報告書では、積み残し課題を中心に議論をされたということで、特に保護機能中心の議論となったということは了解しています。しかし、子どもの権利を中心に据えるという意味では、子どもの健やかな成長、発達、自立を保障するということが支援の目標ですので、虐待的な環境の中で暮らした子どもたちの心のケアの問題が余り触れられていないのが懸念されます。
児童心理司を増員するところには少し書かれているのですが、例えば地域の拠点の整備のところにも、もちろん今後の検討だと思いますけれども、先ほど林委員が触れられたマル3にショートステイとか一時預かり事業とか保護者支援が書かれているのですが、ここに子どもの心のケアを加える必要があると思います。虐待的な環境で暮らしたことによって子どもの心身は多くの影響を受け、トラウマを中心としたさまざまな精神的な症状が引き起こされ、治療・支援をきちんとしないと一生続き、子どもの健全な発達を阻害することはよく知られています。
あるいは、児童相談所の機能についての個所で10ページの外部委託等の推進のところには、保護者支援プログラムなどは書かれているのですが、子どものケアも児童相談所だけでは十分ではない状況ですので、民間のケア機関などに経済的にきちんと保障する形での外部委託を推進することが必要であると思います。このように子どもの心のケアの支援ができるような体制を整備していくことが子どもの健全な発達には欠かせないことだろうと思います。
また、保護者支援については書かれていますが、保護者支援、子どものケアに加えて、親子関係再構築支援についても充実していくことが必要であると思います。もちろん児童相談所とか市町村子ども家庭支援拠点の中で行われることも重要だと思いますけれども、民間の地域資源の充実のところにも親子関係再構築支援の実施を含める必要があると思います。
○山縣委員長
ありがとうございます。
こちらも、冒頭説明ありましたように、このワーキングは、28年報告書と冒頭に書かれているものと、法改正との関係で積み残し課題をベースに議論をしました。加えて、その後養育ビジョンも出ておりますので、今、犬塚委員が言っていただいた子ども支援は非常に重要な御指摘なのですが、ビジョン等にもそちらが書いてありますので、ここは積み残し分を強調したために、こんな状況になっていますということで、そのことをワーキングは決して軽視しているわけではないということは御了解いただきたい。今後の施策において、それは含めて考えていただきたいと思います。
では、橋本委員。
○橋本委員
今の犬塚委員の御意見に関連してという形になるかと思うのですが、10ページの外部委託についてです。今回、相談支援業務の外部委託が提起されて、官民協働によって施策効果を高めていこうという方向性が強く打ち出されたことについては、大いに賛同しています。ただ、民間委託の際、成果主義を導入するに当たっては、成果や数値にはあらわれにくい部分や間接支援的なソーシャルワークの意義をいかに見逃さずに丁寧にフォローし、かつ評価していくかという視点が大事かなと思っています。
私たち全児家センの研修会や各種の調査研究報告などでも、このことが頻繁に指摘されています。一例を挙げれば、直接的に里親委託率の向上に資するものではないですけれども、とても大切な支援として、養子縁組先が見つかって、それまで養育してきた里子さんと別れることになったり、里親不調に陥って里子と分離されたりした里親のブリーフケア的支援、こういうものを児家センの心理司が行っている事例とか、里親登録をして、それなりのトレーニングを受けたものの、いつまでも委託を受けられず、児相等に対して不信感が芽生えてきている里親候補者に対して、児家センの相談員が寄り添い的なフォローを行っている事例などが報告されています。
繰り返しますが、これらは里親委託率という数値の向上に直接的な影響を与える支援ではないかもしれませんが、制度の枠組み全体を肯定的に維持する上でとても重要な業務だと思っています。また、親族里親や親族による養育里親をふやすべく、親族一人一人の生活状況や気持ちについて丁寧に把握していくようなソーシャルワークの重要性も指摘されています。さらには、生活困窮家庭の要支援児童の居場所づくりのために、子ども食堂や学習支援の場の運営に主体的に参画するとともに、子ども食堂や学習支援スタッフの相談に乗って、その養育の悩みに応えるような支援を行っている事例も報告されています。
全児家センとしては、今回の改革提案の実効化に貢献できるよう、里親会との連携による里親養育支援や、市町村との連携による地域在宅支援の強化を図る上で、このような支援者への支援や個別の家庭環境へのアセスメントなど、間接支援の役割も十分意識して取り組んでいきたいと思っているところです。
意見になりましたけれども、全児家センとしては以上です。
○山縣委員長
積極的な御支援ありがとうございます。
では、吉田委員。
○吉田委員
今、児家センの先生から里親のことを言っていただきましたので、11ページの民間を含めた地域資源の充実という中に、昔はたしか里親もショートステイを活用された事例がありましたけれども、今はほぼありませんので、そうしたところに里親を地域の資源として活用していただいて、そこでうまくいったり、あるいは家に帰るのはちょっと難しいというときに、里親委託へという形で地域資源としての里親を地域の中に入れていただきたい。市町村の中での里親の位置づけというのを活用していただければいいのではないかと思います。
それと、もう一つ、子どもの意見表明、アドボカシーの中で、1カ所じゃなくて、もっと細かに子どもの意見を聞き取ってくださるような子どもに対する支援と、それから意見表明の場をどうにかしてできないか。アドボケイト制度の構築というのが22ページに書いてありましたけれども、ぜひそこを考えてほしい。
それから、子どもたちへの支援が22歳までとだんだん上がってまいりましたが、18歳、高校卒業で措置が解除になって、1回家に帰った子どもの失敗例が山ほどありますので、今の状況では、社会的養育自立支援事業では、一度措置解除になって家に帰って、その後に里親家庭に帰っても、制度としては何も利用できないようになっております。そのまま引き続いて里親家庭で生活していた場合は支援の対象になっていきますけれども、そこのところも失敗例が山ほどありますので、まだ20歳未満の、児相から手を離れた子どもたちに何かないかなというところもどこかに明記してもらえたらありがたいなと思いました。
大変いい報告書をいただいたと思っております。ありがとうございました。
○山縣委員長
ありがとうございました。
今の点も、先ほどと同じように、今後の活用においてきっちり受けとめて対応するように事務局のほうにお願いしたいと思います。
もうお二方ぐらいであれば大丈夫かなと思いますけれども、よろしいでしょうか。では、手が挙がりませんでしたので、ワーキンググループからの報告でございましたけれども、本日をもちまして、この専門委員会のとりまとめであるということの位置づけを確定させていただきたいと思います。ありがとうございました。
続きまして、2番目の報告事項になります。来年度予算案についてお願いします。
○成松家庭福祉課長
家庭福祉課長でございます。
資料2に基づきまして、平成31年度、2019年度の関係予算について御説明をさせていただければと思います。
まず、資料2の1ページ目、上のほうでございますが、今年度予算の大きな編成の方針といたしまして書かせていただいてございます。平成28年改正児童福祉法の理念のもと、子どもの最善の利益の実現に向け、「新しい社会的養育ビジョン」で掲げられた取組を通じて、「家庭養育優先原則」を徹底するとともに、昨年とりまとめた緊急対策、あるいは昨年末にとりまとめさせていただいた「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」に基づきまして、児童虐待防止あるいは社会的養育を迅速かつ強力に推進するというのが大きな方針でございます。
以前の審議会でも6月の骨太の方針を御紹介させていただきましたが、その方針に沿って、あるいは新しいプランなどに沿って予算を組ませていただいたというものでございます。
全体の予算は、その下に書いてございます予算と御理解いただけたらと思います。
以下、各般に及びますので、主に変更のあったところを中心に、個別のところを簡単にではございますが、御説明させていただければと思ってございます。
その下の2ページ目、児童虐待の発生予防の部分でございますが、マル2として、産前・産後母子支援事業の充実ということで、これまでモデル事業で実施させていただいておりました産前・産後母子支援事業について、今回、モデル事業の位置づけじゃなくて、全国展開できるようにということで、位置づけ直しをさせていただいてございます。その中で、改修費・備品費等について新たに計上させていただいている状況になってございます。
済みません、飛ばしていただきまして、4ページの上のマル3、未就園児等全戸訪問事業ということで、こちらのほうは緊急対策のほうにも書かせていただいているとおり、未就園児や不就学児がいる御家庭への訪問を行うための事業費について支援させていただくということでございます。
あるいは、(3)でございますが、ショートステイ・トワイライトステイ、先ほど御指摘があったものでございますが、それについては、補助基準額の新規のところに、通学時の付き添いとか、あるいは訪問によって、お子さんを施設にお連れするのがなかなか難しい御家庭について、迎えに行くという形での補助を新たにつけさせていただいたところでございます。
5ページ、6ページは、主に児童相談所の強化等の関係でございます。
(1)は新プランの関係でございますので、後ほど御説明させていただきます。
(2)、予算のほうの児童相談所の体制強化ということでございます。下と照らし合わせて見ていただければと思いますが、6ページ、24時間・365日体制強化事業というものの加算をさせていただいてございますし、あるいは医療との連携、特に病院との間における子どもの退院に向けた調整を行うことについてのコーディネーターを配置するという事業を新規にさせていただく。SNSによる相談というものを新たに立てさせていただいてございます。
そして、マル2の児童相談所の設置促進ということでございますけれども、これも、マル2の中のマル2でございますが、児童相談所の業務を学ぶ間の代替職員の配置に要する費用について、これは中核市・特別区等に対する補助になりますけれども、それを拡充させていただいたところでございます。
続きまして、7ページ目、真ん中、「189」のお話が出ましたけれども、通話料の無料化を行わせていただく。あわせて、先ほど申し上げたような24時間対応強化のための体制を拡充するということでございます。
続いて、マル4、児童福祉司の専門職採用活動支援事業ということで、これは新プランにおきまして児童福祉司の増員を図るということでございますので、その目標達成に向けて、都道府県が行ういわゆるリクルート活動の支援をさせていただくということになってございます。
8ページ、下のページに行きますと、児童相談所・市町村に従事する者の資質の向上ということでございます。この中で※の部分でございますけれども、都道府県が行う市町村職員を対象とする研修の実施回数を増加するということ。
あるいは、下のマル6、虐待・思春期問題情報研修センター事業につきましては、西日本についても拠点を設ける方向で予算を組ませていただきます。
続きまして、10ページまで飛んでいただきまして、市町村の体制強化の中で、市町村の子ども家庭総合支援拠点の補助金です。後ほど出てきますけれども、補助金の拡充、新規で申し上げれば、この枠囲いの中の真ん中の右に書いてございます開設準備経費、夜間・土日加算、嘱託医師等配置加算というものを設けさせていただいてございます。
また、その下のマル2に移っていただきますと、先ほども少し出てまいりましたけれども、市区町村子ども家庭総合支援拠点を通じたレスパイト等の在宅における養育支援の充実を図るための事業を創設するということで、この枠囲いの中に書いてございますように、支援拠点を通じた一時預かり等の実施に要する費用を補助するというものになっております。
飛んでいただいて、12ページ、マル7でございますが、評価・検証委員会設置促進事業ということで、従来、この実施主体は都道府県、指定都市、児童相談所設置市でございましたけれども、全ての自治体に拡大させていただくというものでございます。
続いて、1枚飛んでいただいて、14ページ、一時保護児童の受入体制の充実ということで、下の「また」以下でございますけれども、医療的ケア児や障害のある子どもなど特に支援が必要な子どもを、施設が設置している一時保護専用施設において受け入れた際の加算を創設するということ。あるいは、一時保護専用施設をこれまで1カ所に限っておりましたが、複数設置できるように要件を緩和する。
あるいは、マル2でございますが、賃貸物件による一時保護専用施設を活用する場合、これを改修するための費用を支援させていただくという形になってございます。
また、マル3、一時保護所の整備の推進ということで、一時保護所について、個々の子どもに応じた処遇が可能となるような施設整備を行う場合の単価の引き上げさせていただくというものでございます。
続いて、15ページの(5)子どもの権利擁護の推進ということで、子どもの権利擁護に係るモデル事業の推進ということで、ワーキングにも出てまいりましたが、こういった実証モデル事業を来年度させていただくということを考えてございます。
続きまして、飛ばし飛ばしで恐縮でございます。17ページまで飛んでいただきまして、これはいわゆるフォスタリング、包括的里親養育支援体制の構築に向けた取組の推進ということで、従来、里親支援事業という形で組ませていただいたものを、さらに拡充させていただき、事業名も変更させていただいて大幅に充実させていただいております。
特に、ポツのあたりを見ていただければと思いますけれども、フォスタリング業務を統括する責任者、あるいは里親リクルーター、里親への研修等を担う里親トレーナーというものを新たに配置するということ。
あるいは、委託後の家庭訪問による支援を行う支援相談員を委託児童数に応じて加配するということでございます。
これを行うことによって、従来、1機関当たり3000万弱だった機関に対する支援というものを、倍以上、6500万円程度にさせていただくことによって、策定要領あるいはビジョンにも書いていただいておりました包括的な里親支援体制の構築を強力に後押しをしたいと思ってございます。
18ページ、特別養子縁組制度の推進ということでございます。これは、民間あっせん機関への補助ということで、平成30年度に補助の拡充やモデル事業をさせていただいておりました。それとあわせて、今回新たに養親希望者の手数料負担軽減事業ということで、養親希望者がお支払いになる手数料について負担を軽減するという事業でございます。
続きまして、19ページでございますが、施設・乳児院等の小規模かつ地域分散化、高機能化・多機能化・機能転換の推進というものでございます。
※の部分ですけれども、児童養護において生活単位の小規模かつ地域分散化を推進するということで、その推進のために、今、子ども対職員がおおむね6対3でございますが、それを6対4まで可能となるような措置費をつけるということ。
あるいは、これは高機能化の一環ですけれども、児童養護施設におけるケアニーズが非常に高い子どものための4人の生活単位を新設し、当該生活単位における養育体制の充実というものでございます。
それとともに、乳児院におけるケアニーズが非常に高い子どものための4人の生活単位における養育体制の充実というものを行わせていただくという形で予算を組ませていただいてございます。
下のほうに移っていただきまして、児童家庭支援センターにつきましては、運用改善とさせていただいておりまして、例えば事業費としては、件数区分に応じた事業費をお支払いする。件数が多いところは多く受けられるということ。あるいは、指導委託促進事業ということで、今までは1件当たり10万6000円でございましたが、月をまたいで長くかかるケースがありますので、一月当たりで計算させていただく。一月、1件当たり10万6000円ということで運用改善させていただくというものになってございます。
続きまして、21ページ、上のほうでございます。これは、人材確保に向けて処遇改善、平成27年、平成29年も行わせていただきましたが、来年度につきましてもさらなる処遇改善ということで、1%。あるいは、補助職員の活用を通じて業務負担を軽減していただくというものになってございます。
済みません、少し飛ばさせていただいて、次が24ページからの自立支援の充実ということでございます。これも改善事項ですけれども、今の社会的養護自立支援事業あるいは就学者自立支援事業につきまして、高校卒業後、浪人した者に対する、例えば学習塾費の支援、進学に向けた学習費の支援というものも今回組み入れさせていただいてございます。
そして、25ページの下のほうでございますが、補正予算案におきましては、平成30年度までを期限としておりました、退所者に対する自立支援資金貸付につきまして、これを延長するというのを今年度の2次補正予算案のほうで位置づけております。
26ページ、未成年後見人支援事業ということでございますが、被後見人の資産要件は1000万円でしたけれども、これを1700万円未満ということで緩和してございます。
27ページ、最後でございますが、さまざまな施設とか里親のもとにいるお子さんについて、大学進学を支援するために特別育成費、いわゆる塾代でございますけれども、これを1万5000円から2万円、高校3年生については2万5000円に増額させていただく。
あるいは、通学費というのが今まで特別育成費の中に入ってございましたけれども、通学費を別枠にして、通学費が係るお子さんがいらっしゃいますので、通学に係る実費を支弁するということを書いてございます。
マル6は、自立援助ホームにおける受託支度費の支弁ということで、御自宅とか御家庭から自立援助ホームに直接入られる方も相当いると聞いてございますが、その方が速やかに生活基盤を整えられるように、こういった支弁を新たにできるようにさせていただくということを予算として盛り込んでおります。
以下、それぞれの項目についてポンチ絵をつけさせていただいてございますが、時間の関係で、このあたりはまたごらんいただきながらと考えております。
もう一つの新プランのほうは、担当室長のほうから御説明させていただきます。
○宮腰虐待防止対策推進室長
続きまして、児童虐待防止対策体制総合強化プラン(新プラン)について御説明させていただきたいと思います。資料3をごらんいただければと思います。
こちらは、昨年12月18日に児童虐待防止対策に関する関係府省庁連絡会議において決定したものでございます。前回の児相強化プランにおきましては、児童相談所の体制強化のみを定めたものでございますが、今回は緊急総合対策に基づきまして、児童相談所の体制強化、市町村の体制強化ということで、大きく二本立てで策定させていただいております。
児童相談所の体制強化のところをごらんいただきまして、今回、2022年度までの目標ということで数値を設定してございまして、児童福祉司については、夏の時点では2000人程度と申し上げてございましたが、2020人程度増加、児童心理司につきましては、2022年度までで790人程度、保健師につきましては110人程度増加を図っていくということでございます。
児童心理司につきましては、※1で注をつけてございますが、現在、児童福祉司2人につき1人配置するということで、児童相談所運営指針のほうで基準をお示ししているのですけれども、まだ自治体によって結構ばらつきがあるという状況でございまして、最終的には2人につき1人を目指していくということでございますが、実際に2人につき1人に到達するまで、※1をごらんいただくと、2024年度までに到達するような目標設定をしておりまして、2022年度については、その途中段階の数値を設定しているということでございます。
その下の市町村の体制強化のところをごらんいただきまして、子ども家庭総合支援拠点につきましては、2022年度までに全市町村、要対協の調整機関調整担当者については、全市町村で常勤での配置を目指していくということでございます。
おめくりいただきまして、この新プランにつきましては、昨年の12月に公表した数字の中で1点誤りがございまして、今、御説明した数字は訂正したものになってございます。正誤表というものがあるかと思いますが、誤っていたところは保健師の数字でございます。保健師の配置人数が、もともと2017年度実績では140人と書かせていただいているのですが、こちらは複数人配置されている児童相談所の分も含めた配置人数となってございまして、この後の目標が全児相配置ということになってございまして、実際に配置されている児相数を加味して引き算しなければならなかったということでございます。
なので、単純に児相数が210となってございますので、間違っていたもので210引く140ということになっていたのですけれども、正しくは210引く100といたしまして、110人増員が必要ということで、表記に少し誤りがございましたので訂正してございます。実際の財政措置につきましては、各児相に配置ということで、210人という形でさせていただいておりますので、財政措置が不足しているということはないのですけれども、表記上、引き算をする元の数字が間違っていたということで、こちらは訂正させていただいた数字で資料3のほうは御説明させていただいているところでございます。
説明としては以上でございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。
2と3、あわせて報告いただきました。これについて、皆さんのほうから御意見をと思います。
中村委員、先ほど言っておられたので、そこから。
○中村委員
子どもの権利擁護に係る実証モデル事業、予算資料の47ページですが、実施主体が都道府県、指定都市、児童相談所設置市と記載があります。先ほどの説明でも、今後、中核市と特別区に児童相談所を設置していくというところで、次年度になるかもしれないですけれども、これは特別区が含まれるのかという質問です。
○山縣委員長
いかがでしょうか。
○宮腰虐待防止対策推進室長
まず、この事業は来年度の事業となってございますので、基本的には児相を設置していただいている自治体さんで実施していただくことを想定していましたが、少なくとも来年度は含まれないということでございます。
○山縣委員長
今後、設置すれば当然含まれてくるということでいいですね。
○宮腰虐待防止対策推進室長
予算の話になりますので、それ以降の話についてはあれですけれども、少なくとも来年度としてはそういう予定してはいないということです。
○山縣委員長
ほか、いかがでしょうか。
平井委員。
○平井委員
自立援助ホームの立場から、御質問というか、御意見というか、お願いしたいと思いますが、19ページで児童養護施設等を地域分散・高機能化ということで、職員配置基準も加算という形で予算がつきそうですが、自立援助ホームも地域小規模と同じような人員配置だったのです。それもこちらのほうからかなり要望していたのですが、今回につきましては、自立援助ホームの場合は、常勤2人と補助員というままで、せめて1人の加算がつかないことには、今、ほぼ住み込みはなくなっていますので、ローテーションなのです。
そのあたりを考えると、職員がかなり疲弊してしまうというか、そういうローテーションの状況だと厳しい。子どもにも質の高い援助・支援はできないという部分で、このあたりはどういう形でお考えなのかというのを御質問と。
それと、これは要保護関係全般的だと思いますけれども、前から自立支援担当職員の配置というのも言われていたのですが、自立支援の強化という部分では、今後どういうふうに考えていくのか、予算づけをされていくのかというのをお伺いしたいと思います。
以上でございます。
○山縣委員長
では、お願いします。
○成松家庭福祉課長
家庭福祉課長でございます。
おっしゃっていただいたような実態があるというのは、既に団体さんのほうからお伺いしております。今回につきましては、児童養護施設の小規模かつ地域分散化あるいは高機能化というところに予算をつけさせていただいてございますが、実情をお聞かせいただきながら改善していきたいと思っています。
自立援助ホームにつきましては、これも検討課題として既に位置づけさせていただいておりますが、これも財源の話がこれありですので、そういった両面を含みながら、我々としても努めてまいりたいと思います。
以上でございます。
○山縣委員長
では、奥山委員。
○奥山委員
今の配置基準に関連してですけれども、今、医療機関などは、労基署が入り、これまでの当直も夜勤としなければならないと言われています。今、某自治体でつくっている一時保護所で、ユニットにする予定ですが、夜勤でやると1対1以上の職員配置にしないとできません。それでも夜中にバイトを雇わなければいけないという状況です。
これは、地域分散化した小規模施設で、子ども6人のところに3人に1人プラスして、4人の職員で本当にできるのかというところを、もう少しきちんと考えてほしいと思います。労働基準法に合わせ、夜勤としてやって、これでできるとお考えなのかどうかをお聞かせいただきたいです。
○山縣委員長
はい。
○成松家庭福祉課長
夜勤の問題も含め、これから施設のほうにはそれ相応の手厚い体制、1人のお子さんに対して手厚い体制をとっていくということが大事だと思います。今回の6対3から6対4というもので、ビジョンにお書きいただいていますし、あるいは策定要領とかでも書かせていただいているとおり、6対4で完成という、これ以上は全くないというわけではなくて、今はまだそういった内容を拡充しながら、一歩ずつ充実していくという段階だと理解しています。いずれにしても、財源を確保しながら、我々としても段階的になるかもしれませんけれども、そういったことを進めていきたいと思ってございます。
○山縣委員長
ありがとうございます。ほかの部分も基本的には一緒だと思いますので、財源確保をよろしくお願いします。
では、宮島委員、お願いします。
○宮島委員
何点か質問させていただきたいと思います。
1つは、今、奥山先生と同じ、地域分散化するときに不安なくできるかという点で、職員配置のことがとても大事だと思いますので、終わったようですけれども、もうちょっとしつこくそこを質問させていただきたいというのが1つ。
あと、在宅支援をとにかく充実させなければいけないという観点で、未就園児全戸訪問というのが始まる。これについて聞きたいということです。
また、在宅の支援メニューについて充実していただかないといけないと思いますので、31年度はもうすぐ始まってしまいますが、31年度が始まれば、今度は、32年度の予算要求が始まると思いますので、そのことも含めて在宅の支援メニューのことをお聞きしたいと思います。
まず、職員配置のことです。地域小規模等の場合は、現行で子ども6人対3人を子ども6人対4人にする。確実に通ってほしいと思っておりますが、先ほどの奥山先生と全く同じで、業務が回るのかどうかというのがとても心配です。この4というのは、常勤4人なのか、3人の常勤に非常勤1人なのか、そのぐらいまで知りたい。というのは、来年度から都道府県計画をつくるということですので、業務が回せるのかというのが具体的に知っておきたいのです。
私も困難な子どもたちのケアについては夜勤が必要だと思いますが、現行、ほとんどの児童養護施設は宿直になっている。宿直を4人で回すとしても、4かける7で28という計算ですから、月8回以上の宿直をしなければなりません。これは大変な状況です。今後も常勤4人ではなくて、非常勤の方が1人だというと、場合によっては月10回ぐらいの宿直を覚悟しなければなりません。これは大変な状況です。今後も常勤4人ではなくて、非常勤の方が1人だというと、場合によっては月10回ぐらいの宿直を覚悟しなければいけない。それこそ労基法上問題だということと思いますので、今後最低限、常勤4人の体制を目指さなければ厳しいと考えます。
実際に私は、都内の地域分散化された児童養護施設にお邪魔しているのですけれども、おととしぐらいまではたしか3.5人ぐらいで業務を回していたのです。でも、それでは回らなくて、都で財政措置がなされて、4人配置がいろいろな工夫の中でできるようになった。そのようにして今、職員4人で業務を回していらっしゃるのですがそれでもとてもきつくて、1人体調が悪くなったり、子どもたちに何か生じた場合には本当に疲弊してしまって、宿直が続いたり、翌日も夜8時ぐらいまで残っているといったことがあるので、これについての充実はとにかく確実に進めていただきたいと思いますし、翌年度以降、なお一層の充実をお願いしたいと思います。
その一環として、これは常勤4人なのか、そうでないのかを事実の確認としてお聞きしたいというのが1点目です。
2つ目、続けてよろしいでしょうか。
○山縣委員長
どうぞ。
○宮島委員
資料の4ページで、未就園児全戸訪問事業は大事だと思うのですが、ここでは、6000円の単価であるということですが、実際、どんな人材を想定しているのでしょうか。赤ちゃんの全戸訪問と未就園児、あるいは学齢に達しているけれども、学校に行っていない子どもの家庭を回るということでは、質的に大分違うと思いますし、相当に難しいことが予想されるものもある。外国人の方であれば難しいというわけではありませんけれども、さまざまな困難を抱えやすくて、しかも就学の義務も課されていないために、報道でも学校に行っていない子どもたちがかなりいて、自治体もかなり困難を抱えているということです。
ですので、きちんとした人材を確保するということと、方法論などもちゃんと明確にしていかないと、中身が進んでいかないと思いますので、現行でどの辺まで内容が詰まってイメージされているのかをお聞きしたいと思います。
3点目ですけれども、これは先ほど林先生が御質問されたことと一部重なると思いますけれども、ワーキングでは大勢だったわけですけれども、きょうは予算全体的なことだとすれば、在宅支援メニューを本当に手厚いものにしていかないと難しい。それで、ワーキングのほうでは、ショートステイ・トワイライトステイが中心に書かれているけれども、いろいろなものを市町村に置いていかないといけない。職員の配置基準の弾力化で、学童保育が地方の裁量でできるような形になりますけれども、それが後退になってはいけないと思いますし、学童は子どもたちが帰る生活の場所であるということで、きちんとしていかないといけない。トワイライトもショートステイも重要だと。
同時に、一部の自治体で始めている送迎つきのスーパー学童とか言われていますけれども、夕御飯を食べさせて、お風呂に入れて、送り迎えをする。そういった事業などが一部で行われている。自治体独自の取組で、単価も安くて、継続することがなかなか難しいけれども、週1回子どもが通えて、そういう手厚いケアをすれば、施設入所しなくて済むということが起こる。
養育ビジョンの一番重要なところ、あるいは児童福祉法の28年改正の重要なところは、在宅支援と代替的養育の連続性を実現していくということだと思いますので、ショートステイとかトワイライトステイにとどまらずに、今、申し上げたような、送迎つきで手厚い支援ができるような、そして親子が無理をしないで地域生活ができるような事業をぜひとも充実させていってほしい。
そういう要望も含めてですけれども、申し上げたいと思います。
○山縣委員長
以上3点。
○成松家庭福祉課長
まず、小規模・地域分散化された施設に対する人員配置でございますが、資料2の70ページをごらんいただければと思います。先ほど説明が足りなくて申しわけなかったのですけれども、分園型小規模グループケアあるいは地域小規模児童養護施設というものを左側の現状に書かせていただいてございます。見ていただいたらわかりますが、分園型小規模グループケアだと、常勤が2.5、非常勤が1。地域小規模だと、常勤が2、非常勤2ということで、これをおおむね6対3ということで表現させていただいております。
来年度の改善する予算といたしましては、これにそれぞれについて常勤を1人加配するということを考えてございます。先ほども申し上げたとおり、これで完成形というわけではないと思っておりますし、引き続き財源を確保しながら、常勤の加配がいいかもしれませんし、あるいは常勤、非常勤というものをどうしていくかというのは、来年度以降の検討課題とさせていただければと思います。
○宮腰虐待防止対策推進室長
未就園児等全戸訪問事業の関係ですけれども、今年度も安全確認のほうは各市町村にお願いしておりまして、特段、こういった人でなければならないということを現時点で国のほうで何か申し上げているわけではございません。
○山縣委員長
3点目は今のでいい。在宅支援メニューの充実。
○宮腰虐待防止対策推進室長
在宅支援メニューの充実の関係については、我々としても問題意識というか、認識を持って対応していかなければいけない話だと思っておりまして、先ほどの説明の中にもございました、10ページ目で、拠点を通じたレスパイト等の在宅における養育支援の充実を図るための事業というのは、そういった問題意識を持った中の一つではあるかと思います。さらに充実をという点については、また今後の課題としてしっかり受けとめたいと思います。
○山縣委員長
桑原委員。
○桑原委員
全養協から発言します。
小規模ケアとか地域小規模も含めて、いろいろ御配慮いただいていることはありがたいと思っています。ただ、人数の適正というところでは、課長もおっしゃっていただいたように、これが万全ではないということなので、少なくとも今ある人数の中でやれるだけやるという流れがずっと僕らの児童養護施設関係にはあるわけでして、本当に人数はどれぐらい必要なのか、業務の内容も含め、今後、御検討、協議いただきたいと思うのです。
ケアニーズが非常に高い子どもたちのところに4人の生活単位ということを提示されているのですが、これは養育ビジョンでも出てきたものですけれども、ケアニーズの見立てというか、アセスメントをどこで線引きして、その尺度は何なのか。これは中身も含めて、非常に難しい課題だろうと思います。これがどんどん進んでいくと、恐らくこれは児童相談所が中心に見立てをしていくのでしょうけれども、ケースワーカーの力量とか、そういうものが随分問題になってくるだろうということで、余り格差が生じないようにということを心配しています。
もう一つは、そういったケアニーズの高い子どもたちの4人のグループが、生活の営みとして本当に定着して前に行くのか、生活の学びということにつながっていくのかということで、非常に心配しています。ほかの種別でも、そういった課題を抱えている子どもたちの小規模グループケアはなじまないという発言も以前から出ていると思うのですが、そういったことについても協議する時間をつくっていただきたいなと思います。
いずれにしましても、児童養護施設の場合は地域分散化ということが大きなテーマで出ているわけですが、本体施設にそういう機能を抱えているということの、その質がしっかりとあればあるほど地域貢献はできると僕らは思っていますので、そういった意味でうまく連携がとれるような仕組みを、これは児童養護だけじゃないですが、他の種別も含めて、また御検討いただきたい。これは要望でございます。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございました。
ほかは。安部委員。
○安部委員
資料2の19番、児童養護施設・乳児院等の小規模かつ地域分散化・高機能化及び多機能化ということで、予算のことだけではないのですけれども、乳児院等の中に、本当は心理治療施設とか児童自立支援施設とか母子生活支援施設とか、社会的養育全体の中で市町村で在宅支援でしっかり支え、そこでも難しい子どもを専門的に養育していくという仕組みのはずで、その前提を位置づけて考えなければいけないかなと思っていますので、とりあえず児童養護施設・乳児院を高機能化・多機能化、機能転換ということでいいと思いますけれども、これから先に、繰り返しますけれども、そういうほかの心理治療施設とか児童自立支援施設、母子生活支援施設の高機能化・多機能化ということが考えられているのか、それから議論されていくのかということをちょっとお聞きしたいと思いました。
以上です。
○山縣委員長
その点、いかがでしょうか。
○成松家庭福祉課長
家庭福祉課長です。
7月6日にお示しさせていただいた都道府県推進計画の策定要領におきましても、例えば心理治療施設、児童自立支援施設の在り方とか形態については、これまでの実績等々もありますので、関係者あるいは当事者、有識者の方々とも検討していきましょうということを位置づけてございますので、そういった流れの中で、御指摘のようなことは考えていきたいと思ってございます。
○山縣委員長
奥山委員、北川委員の順番で行きます。
○平田委員
児童心理なので、先にこの関連で。
○山縣委員長
では、先に。その後、奥山委員、北川委員。
○平田委員
済みません、児童心理治療施設ですので、今の流れで一言だけ言わせていただきたいと思います。
もちろん、おっしゃるとおりですけれども、児童心理治療施設のお子さんたちは、地域に戻れないというか、地域から弾き出されているお子さんを、そのまま地域に入れるというのがなかなか難しいことがあるので、地域分散化はちょっと難しいかなと思っております。ただ、職員の数が充実してくれば、小規模とか高機能というのはどんどん取り組んでいくつもりでおります。
ついでに一言だけ。一時保護所の件ですけれども、一時保護所を児童養護施設にお願いするというところで、きめ細かいケアをやると言いながら、ほかの新しいところを改修してというお話があって、愛知県の一時保護所でお子さんが1人亡くなった事件がありまして、そのときの検証報告書が最近出ているのですけれども、これは、前、寮だったところを一時保護所に使っていた。それで、死角が非常に多かった、あるいは危険な箇所があったのだけれども、居住性に関しては問題がないということで使われていて、改修のケースはちょっと注意が必要だろうなということと。
児童相談所が遠いと、ケースワーカーさんたちがタイミングよく訪問することがなかなか難しいということがあって、もちろん養護施設のほうに一時保護をお願いするケースが今たくさんあるのは存じておりますので、ケースによっては養護施設でやれると思いますけれども、その点はちょっと配慮しながら事を進めていかなければいけないのではないかなと思っております。
以上です。
○山縣委員長
委託一時保護の在り方ということで、それも含めて検討したいと思います。
では、奥山委員。
○奥山委員
1つは、先ほど宮島先生がおっしゃったことの念押しですけれども、未就学児等全戸訪問事業が私も気になっていて、これが監視社会につながらないように、訪問は支援のために行くということを明確にしてほしいと思います。就園していないし、福祉サービスも利用していないということで、こんな福祉サービスもありますよということをお伝えするというところがメーンなのだということを、ぜひ市町村のほうにお伝えいただきたいと思います。ただ安全確認に行くとか監視に行くというのでは、これは福祉としてはいかがなものかと思いますので、そこをきちんとしてほしいということの念押しが1つ。
もう一つは、先ほどの4人のところもそうですし、施設で養育するお子さんのケアニーズが今後高くなっていくことは予想されていることですね。一方で、保育士さんが保育園にとられてしまって、都市部の保育園だとかなり賃金を高く設定して保育士を確保しようとしているわけです。そういう意味で、人数をふやすのもとても大切なのですけれども、非常に専門性の高い保育士をきちんとしたお金で雇うということも考えてほしいのです。
ただ年数いればいいのではなくて、難しい子を専門的に養育できる保育士さんを何らかの形で高く設定するとか、保育士の単価をもう少し上げるということを考えないと、人数をふやしても集まらないのではないかというのが、私もとても不安なのですけれども、現場の先生方は不安じゃないのかなというのがちょっと気になっているところです。
○山縣委員長
重要な視点、ポイントを指摘いただきました。
北川委員。
○北川委員
障害のある子の部署が違うということで、いろいろ課題が出てくると思うのですけれども、先ほどのスーパー学童は、放課後デイの問題がいろいろあるところもあります。送迎がついていたり、日中、一時で、夕食を食べて帰ったり。他部局ですけれども、地域には同じようなサービスがありますので、そことの連携をお願いしたいなというのと。
あと、児童養護施設や乳児院だけでなくて、また障害児入所ですけれども、障害児入所は、小規模とか地域分散化は現在ないのですけれども、2月6日から障害児入所の在り方検討委員会が立ち上がりますので、障害児入所のほうでも子どもの家庭養育というものを取り組んでいくということを皆さんに御承知おきいただきたいなと思って意見を言いました。
あと、質問です。24ページですが、何人かの里親さんから質問やメールが来ていまして、20歳、措置を延長が過ぎてから22歳まで、この支援事業ができたのはうれしかったのですけれども、例えば専門学校に行っている子どもとか大学に行っている子どもの生活支援費が1万1020円というのは、就学・就労していない方は5万540円で、この辺がどうなのだろうという質問が来ていたので、ここの根拠となることを教えていただきたいと思います。
○山縣委員長
最後の部分、質問ですね。5万円と1万円の差はなぜ出てくるのか。
○成松家庭福祉課長
詳細を確認させていただければと思います。場合によっては、後ほどまたお答えしたいと思います。
○山縣委員長
では、林委員。
○林委員
16ページの3の虐待を受けた子どもなどへの支援の、四角囲みの黒ポチの下から2つ目に「ファミリーグループカウンセリング事業」とあるのですが、文書によっては「ファミリーグループカンファレンス事業」と混在していて、たしか事業の正式名は「カンファレンス事業」ではなかったかと思いますけれども、御確認ください。
○山縣委員長
これも後で調べていただいて、終わるまでに可能であればお願いします。
では、青木委員。
○青木委員
全児協の青木です。よろしくお願いいたします。
先ほど安部委員からもお話がありました、児童養護施設とか乳児院だけではなく、ほかの社会的養育の関係施設との意見交換もという御意見いただきました。これについては、、成松課長のほうからもお話いただいています。私たち児童自立支援施設の関係も、その話し合いに向けて今、準備していて、しかるべき機会にお話ししたいと思っています。
また、先ほど北川委員からも話がありました、障害のある子どもたちの施設の在り方検討会が立ち上がるのでそこにも社会的養育の視点が必要だということも含まれていますので、さまざまな支援が必要な子どもたちを皆さんで考えているわけですので、それぞれの施設の特性なども考慮しながらの意見交換を深めていきたいなと思っております。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございます。
浜田委員、橋本委員、吉田委員。
○浜田委員
浜田です。私の記憶がたしかならば、前回の委員会のときにはまだオブザーバーでございまして、委員に任命いただいてから、きょうが初めてかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
大変細かい点で恐縮ですけれども、1点確認させていただきまして、その上でちょっとだけ意見を述べたいと思いますが、スライド番号10番、市町村の体制強化等のところで、真ん中の児童虐待防止対策支援事業の中を見ますと、嘱託弁護士の配置加算というのが新規で入っております。これは、今、もし事務局がすぐお答えいただけるようだったらと思うのですけれども、支援拠点という名前で弁護士を嘱託すると、この事業が使えるという理解でよろしいでしょうか。
もう先に意見も言っていいですか。
○山縣委員長
はい。
○浜田委員
踏まえて、意見ですけれども、児童相談所への弁護士配置については、ワーキングでもかなり議論させていただきました。今、10ページに書いてあるのは、今度は市町村のほうの弁護士の嘱託という話でして、これはここから先、大変重要な意味を持ってくるのだろうなと思っております。児童相談所だけ弁護士がいて、市町村にはいないというわけにもなかなかいかないと思っておりまして、福祉にかかわるさまざまな機関にあまねく、と言うとちょっと強過ぎるかもしれませんが、弁護士が関与する、また弁護士が少なくとも相談に乗れるという体制をつくっていくことというのは、今後重要になってこようかと思いますので、この事業には大変期待するところでございます。
以上でございます。
○山縣委員長
時間の関係で、吉田委員のところで切らせてください。質問については、事務局に最後に一括してお答えいただきたいと思います。
では、橋本委員。
○橋本委員
ありがとうございます。
今、奥山委員のほうから専門職人材の話が出たので、その確保の問題について、いろいろな問題点があると思いますけれども、1点だけ話をさせていただきたいと思います。どういうことかというと、社会的養護施設がファミリーソーシャルワークの地域拠点に進化していくために施設規模を縮小し地域支援を充実していこうとすると、むしろ専門職人材を失うリスクがあるということを、今日この場で指摘しておきたいと思います。
具体的に言います。例えば、児童養護施設において、入所定員40人を切ると栄養士の配置がなくなります。それから、30人を切ると家庭支援専門相談員の複数配置加算を失います。つまり、29人になると家庭支援専門相談員を1人減らしなさいということになります。対象児童数で言うと15人の壁があって、これが足りないと看護師加算はアウト。それから、10人の壁で、対象児童が10人を切ると、心理職員もアウトになります。施設の定員を小規模化し、減らしていく。そして、人材を地域支援に向けていけばいくほど、そういう専門職人材を失うという制度上の不具合について、課のほうはどう考えているのか。
希望としては、専門職配置に係る人員要件を廃止してほしいというところですけれども、この辺、お聞きしたいと思います。
以上、1点です。
○山縣委員長
中村委員。
○中村委員
これは意見ですけれども、先ほどの桑原委員の御意見をお聞きしていると、今後の小規模化・高機能の部分でしっかり議論が必要だということで、それが都道府県推進計画の見直しの部分にもなってくると思うのですが、そうなると、子どもたちや経験者の声というのも必ず聴取するということを改めて各自治体にお願いしたいところです。
以上です。
○山縣委員長
吉田委員。
○吉田委員
質問させていただきたいのですけれども、36の下の児童相談所体制整備事業の医療連携支援コーディネーター配置事業について、お尋ねしたいのですけれども、この医療連携支援コーディネーターを設置される対象となる子どもたちですけれども、うちでも精神のほうの病院に入院しているお子さんをお預かりしておりますが、そういう子どもたちに対しても、退院後コーディネートしていただいて、それから後、どんな人生を送るかということを支援していただける対象になるのかどうかを、ちょっとお聞きしたいというのと。精神科は1カ月、2カ月、3カ月という単位で入院しますので、こういうコーディネーターは必要じゃないかと思いますので、お聞きしたいと思います。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございます。
では、今までのところで一括して、順番は適当に組みかえていただいて結構です。
○成松家庭福祉課長
それでは、私のほうから橋本委員の御指摘についてでございますが、先ほどおっしゃっていただいたように、一定規模を割ると配置がふえなくなるというのは、今はそういう体系になっているというのは事実でございます。おっしゃっていただいたように、小規模化を図っていく、あるいは地域分散化を図っていって、どのように人員をカウントする、この要件をどうしていくかというのは、一つの大きな課題です。ディスインセンティブになってはいけないと思いますし、あるいは専門性が損なわれてはいけないと思いますので、どういう形がいいかというのは、引き続き検討させていただければと思ってございます。
あと、中村委員がおっしゃった、各自治体の計画策定における当事者の参加の話でございますが、今、ちょうど自治体に対してヒアリングしておりまして、自治体でも検討が進んでいるところ、あるいはこれからするところもありますので、いろいろ工夫されているところがございますけれども、優良事例とか、いい事例があれば横展開していくという形で、策定要領にも書かせていただいたような、当事者の意見をしっかり聞くことができるということを各自治体にもお願いしてまいりたいと思ってございます。
○宮腰虐待防止対策推進室長
林委員から御指摘いただいた「ファミリーグループカウンセリング」のところは、「カンファレンス」が正しい事業名となっております。誤りでございます。申しわけありません。
あと、浜田委員から御指摘いただきました、弁護士の嘱託の加算につきましては、拠点における加算ということになります。拠点でそういった支援を受ける場合の加算でございます。
以上でございます。
○山縣委員長
前段で残っていた2つについては、今の段階では難しいと。
○成松家庭福祉課長
後ほど個別にお答えできれば。
○山縣委員長
できたら全員に流してほしいですね。委員で共有したいと思います。
○松本委員長代理
済みません、後ほどというのは、この会が終わってからという意味ですか。では、全員に流していただかないとまずいですね。
○山縣委員長
ありがとうございました。
当初予定していた時間がほぼ来てしまいました。まだまだいろいろな質問があろうかと思いますけれども、最後、事務局のほう、今後のことも含めて、本日確定させていただいた報告書の今後の取り扱いと、この委員会の今後の在り方について、わかっている範囲でお話いただけたらと思います。
○成松家庭福祉課長
御審議ありがとうございました。
ワーキングの報告書につきまして、今回この委員会でも御報告させていただいたところでございますが、このワーキングの報告書につきましては、今後、法律改正が必要な事項、あるいはその他予算とか、さまざまな事項を分けさせていただきまして、次の通常国会に提出できるよう各方面と調整を進めてまいりたいと思いますし、その状況につきましては、適切なタイミングでこの専門委員会に御報告したいと思ってございます。
また、そういったことも含めて、今後のこの専門委員会につきましては、委員長、委員長代理とも相談させていただきながら、いろいろな課題がございますので、その課題について検討していただくことになろうかと思いますけれども、またその辺の段取りについては、相談させていただければと思います。
○山縣委員長
ということで、今すぐ当面の日程はありませんが、この進捗状況とか今後の世の中の動きにあわせて、少なくとも情報提供、先ほどの質問に対する積み残し分も含めて、委員のほうに適宜必要な情報を提供いただけたらと思います。
日程調整につきましては、また必要な段階が来たときに皆さん方と調整したいと思います。
どうぞ。
○奥山委員
全員に流すのもいいのですけれども、ホームページや議事録の中に後で回答した分も入れていただきたい。
○成松家庭福祉課長
皆様に見られる形で考えたいと思います。
○山縣委員長
わかりました。ありがとうございました。
では、本日の第25回の専門委員会を終了したいと思います。御協力ありがとうございました。
定刻より少し前でございますが、委員の皆さんがおそろいですので、ただいまから第25回「社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様には、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日の出欠状況でございますが、相澤委員、藤林委員、横田委員は御欠席と伺っております。
では、初めに資料の確認をさせていただきます。
配付資料は、お手元にあると思いますが、右上に番号を付しております。資料1から資料4、参考資料として1から4という形になってございます。
もし欠落等ございましたら、その都度で結構ですので、事務局までお申しつけいただければと思います。
カメラの撮影は、ここまでとさせていただきたいと思います。
○成松家庭福祉課長
それでは、これより先の議事は山縣委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山縣委員長
改めまして、明けましておめでとうございます。
昨年、この専門委員会からワーキンググループに対して付託したものについて、12月末にとりまとめが行われました。きょうは、そのことを中心に、お手元配付資料にありますように、議題、その他を含め、4件の報告事項がございます。それぞれについて御意見を伺っていこうと思います。
このワーキングのほうは、昨年9月に第1回を開きまして、合計7回、1回、大体3時間というかなり長い形で丁寧に、それぞれの委員に忌憚のないところを吐露いただきまして、場合によってはつかみ合いになるのではないかという緊張感も一部にはございましたが、それぞれ最終的には12月の段階でまとめることができたということになります。
内容につきまして事務局のほうから少し報告いただきたい、説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○宮腰虐待防止対策推進室長
事務局でございます。
そうしましたら、お手元にあります資料1-1のほうは、事務局の責任でとりまとめの概要ということでつくったものでございますが、御説明のほうは資料1-2の本文のほうでさせていただければと思います。このとりまとめにつきましては、今、山縣委員長からも御説明いただきましたが、9月にワーキングの議論を開始いたしまして、第7回目が12月26日でございまして、その後、若干の文言修正をいたしまして、12月27日にとりまとめとして公表したものでございます。
とりまとめの構成につきましては、最初に「はじめに」ということで、これまでの議論の経過について整理させていただきまして、その後「児童相談所の業務の在り方及び市町村における相談支援体制の在り方」、2といたしまして「要保護児童の通告の在り方」、3といたしまして「資質の向上」、最後に4で「子どもの意見表明に関する仕組み」ということで、全部で大きく4章立ての構成でまとめられているものでございます。それぞれの項目ごとに、現状・課題、主な議論、目指すべき方向性、対応といった形で項目立てをして整理しているものでございます。
そうしましたら、1ページ目の「はじめに」をごらんいただければと思います。これまでの経過・議論を簡単にまとめたものでございます。
まず最初に、この後「28年報告書」ということで何度か重要な部分に引かせていただいているものでございますが「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会」報告書、平成28年3月にとりまとめいただいたものでございますが、これに基づきまして、平成28年5月に児童福祉法の一部を改正する法律が成立してございます。平成28年の改正法におきましては、発生予防、発生時の迅速・的確な対応、自立支援という重要な項目について改正が行われたものでございますが、この中で、平成28年の改正法には盛り込まれていない事項につきまして、平成28年改正法附則に検討事項とされてございます。
1ページの中ほど、※で書いてございますが、「政府は、法律の施行後2年以内に、児童相談所の業務の在り方、要保護児童の通告の在り方、児童及び妊産婦の福祉に関する業務に従事する者の資質の向上を図るための方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」ということで、宿題が3点残されているということになってございます。
また、2017年8月には「新しい社会的養育ビジョン」においても、こうした検討課題について提言されてございますが、詳細な検討が加えられていないままでございました。
加えて、その後の流れでございますが、2018年7月には「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」、また同じ年の10月には「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」といった報告も出されて、国への提言がとりまとめられたところでございます。
2ページ目をごらんいただければと思います。今般、先ほど申し上げました附則に基づく検討事項を検討いただくために、ワーキングが設置されて検討いただいたところでございます。このワーキンググループにおきましては、平成28年報告書を基本とした上で、「新しい社会的養育ビジョン」「緊急総合対策」、10月の「死亡事例検証報告」の内容を十分踏まえるとともに、全ての子どもが、健やかな成長、発達、自立等を保障される権利を有するという考え方を前提として議論が行われたところでございます。こうした中で、現状の問題点を解決する方策を中心に、目指すべき方向性、今後の取り組むべき事項について整理をしてございます。
今後、目指すべき方向性に沿って、対応として記載した事項について速やかに取組を進めるとともに、制度的な対応など必要な事項については、国において、法的及び財政的な措置を含め、適切に対応されるべきである。また、今回整理した事項にとどまることなく、市町村・都道府県における子ども家庭相談支援体制の一層の充実に向け、不断の見直しを行い、必要な取組を進めるべきであるということで、今後の方向性についてもまとめていただいているところでございます。
2ページ目の「1 児童相談所の業務の在り方及び市町村における相談支援体制の在り方」をごらんいただければと思います。
現状・課題のところでございますが、児童相談所は、要保護児童や家庭に対する支援を行う中で、保護機能及び支援マネジメント機能など、多様な機能を担ってきたところでございます。
こうした中で、おめくりをいただきまして、3ページ目でございますが、28年の報告書におきまして、囲んだ部分でございますが、虐待通告数が増大している現状において、児童相談所は対応の限界にきており、児童相談所の機能強化が必要であること、こうした御指摘もいただいておりまして、おめくりいただきまして、4ページ目、新しい社会的養育ビジョンにおいても、機能分化に関する御提言、10月の死亡事例検証の「国への提言」におきましても、保護機能に関する体制強化の指摘をいただいているところでございます。
これを受けまして、4ページ目の主な議論のところでございますが、ワーキンググループにおきましては、これまでの指摘、特に、危機介入的な関わりにおいて十分対応できておらず、適切に保護機能を果たせていない児童相談所があるという指摘も踏まえ、保護者との支援関係を結ぶことや維持することができなくなることを危惧するために子どもの最善の利益を考慮した安全確認調査や保護を行うことを躊躇することをなくすためにどのような体制や対応等が必要かについて議論を行ったところでございます。
主な議論につきましては、児童相談所における機能として、保護機能と支援マネジメント機能の分化の在り方、おめくりいただきまして、5ページ目では、児童相談所の機能をスリム化するために、どのような方策が必要かということ、それから、6ページ目でございますが、弁護士の配置についての御議論、7ページ目では、医師の配置について、児童相談所の第三者評価について、また中核市・特別区における児童相談所設置などについて御議論いただいたところでございます。
8ページ目をごらんいただきまして、こうした議論を受けまして、目指すべき方向性でございます。児童相談所が初期アセスメント、見立てを適切に行い、必要に応じて躊躇することなく保護することができる体制整備が求められる。このため、国において、児童相談所が保護機能と支援マネジメント機能を適切に果たせるよう、部署分けや異なる職員が支援マネジメントを担当できる体制とするといった機能分化のほか、専門人材の確保・育成に関する方策などの体制整備を推進することについて方向性を示した上で、各都道府県等において、体制整備を進める。また、行政組織内だけではなく、第三者の視点も踏まえた見直しを進めることができる仕組みが必要である。あわせて、地域で保護から支援、措置解除後も含めた自立支援等切れ目ない支援ができる体制とするためには、児童相談所の体制整備のみならず、市町村における相談や支援できる体制を強化していく。こうした方向性について、おまとめいただいたところでございます。
9ページ目の対応をごらんいただければと思います。
まず、1つ目の項目といたしましては、都道府県等における体制整備の部分でございます。
マル1といたしまして、保護機能と支援マネジメント機能を確実に果たし、適切な対応を可能とする体制整備等に関する計画策定でございます。
児童相談所が保護機能と支援マネジメント機能を確実に果たし、適切な対応がとれるよう、保護機能と支援マネジメント機能に応じた部署分けや、保護の際に対応した職員とは異なる職員が支援マネジメントを担当できるようにするなどの機能を分けることのほか、専門人材の確保・育成に関する方策などの体制整備を推進することについて、国において方向性を示す。各都道府県等において、体制整備について検討し、計画を策定する、でございます。
マル2といたしまして、弁護士の関係でございます。
児童相談所において法的な知見を踏まえたケース対応ができるよう、児童相談所における意思決定に、日常的に弁護士が関与し、児童福祉司等と共に対応できるような体制整備を推進する。
こうした体制整備に当たっては、「常勤弁護士を必置とすべき」という意見と「常勤弁護士の必置には反対であり、日常的に弁護士と協働できる体制とする種々の配置方法が認められるべき」との意見の両論があった。しかし、常勤弁護士を含む弁護士配置を促進することが望ましいという点においては意見が一致したところであり、これらの両論を踏まえ、少なくとも日常的に弁護士と共に対応できる体制の実現に向けて法令上の措置の検討や経験豊富な外部弁護士に相談できるバックアップ体制も含む財政支援の強化など体制強化の推進方策の具体化を図る。
マル3といたしまして、医師の関係でございます。おめくりいただきまして、10ページ目です。
児童相談所において医学的な知見を踏まえたケース対応ができるよう、児童相談所における意思決定に、日常的に医師が関与し、児童福祉司等と共に対応できるような体制整備を推進する。
体制整備に当たっては、「常勤医師を必置とすべき」という意見と「常勤医師の確保は難しく、虐待対応等に関与する医師の在り方を考えることが必要」という意見の両論があった。しかし、常勤医師の配置を促進することが望ましいという点においては意見が一致したところであり、これらの両論を踏まえ、少なくとも日常的に医師と共に対応できる体制を実現するため、国による医師確保の支援策を含む体制強化の推進方策の具体化を図る。
マル4といたしまして、研修の充実、マル5といたしまして、外部委託等の推進でございます。
(2)は、市町村等の地域の相談支援体制の強化でございます。
マル1といたしまして、市町村の子ども家庭相談体制の強化、要保護児童対策地域協議会の活性化でございます。
新プランに基づき児童相談所に市町村支援を担当される児童福祉司の配置や人事交流なども活用いたしまして、児童相談所、市町村の連携体制を密に図る。
新プランに基づきまして、2022年度までに全ての市町村において要保護児童対策地域協議会の調整担当者の常勤の専門職配置を促進する。
マル2といたしまして、市区町村子ども家庭総合支援拠点の設置促進でございまして、おめくりいただきまして、11ページ、新プランに基づきまして、2022年度までに全市町村での設置を促進する。
マル3といたしまして、民間を含めた地域資源の充実です。
(3)児童相談所の業務の質の向上を図るための評価の仕組みの創設です。
児童相談所の質の確保・向上が図られるよう、自己評価及び第三者評価を行う仕組みの創設に迅速に取り組む。
具体的には、評価のバラツキが生じないよう、効果的な評価の在り方を検討した上で、ガイドラインの策定、全国展開に向けて取り組む。
(4)といたしまして、中核市・特別区における児童相談所の設置促進でございます。
中核市における設置が進んでおらず、より一層の設置促進策を講じることが必要。
児童相談所の設置促進を図るためには、「設置の義務化を法的に図るべき」という意見と「設置が進まない要因分析や国の財政支援などが先であり、設置の義務化については慎重に検討すべき」という意見の両論があった。しかし、より一層の設置促進策を講じることが必要であるという点においては意見が一致したところであり、これらの両論を踏まえ、28年改正法附則の趣旨の実現に向けて、法令上の措置の検討を含め自治体の実態把握や関係者間での協議の場の設置など国による更なる設置促進策の具体化を図るでございます。
次に、「2 要保護児童の通告の在り方」でございます。
現在、児童虐待等に関する通告については、児童相談所と市町村のいずれもが受理できる体制となってございます。
12ページをおめくりいただきまして、枠囲みのところでございますが、平成28年の報告書において、通告先が2カ所に分かれていることによって、通告先の選択を強いているのではないか。泣き声通告や面前DV通告など増大する虐待通告に対する児童相談所における安全確認・調査の業務量が膨大になっていること等から、各都道府県に1カ所、通告窓口を一元化し、緊急性の判断やその後の対応について判断し、初期対応機関を児童相談所か市町村等へ振り分ける機関の設置をすべきといった御指摘をいただいているところでございます。
主な議論のところでございますが、本ワーキンググループでは、こうした指摘も踏まえ、通告が増加する中、受理した通告に対して、確実に適切に対応するためにどのような体制や対応等が必要かについて議論を行ったところでございます。
その中では、通告を受ける体制、あるいは児童相談所への通告が増大している現状について、どのように対応すべきかといった御意見、御議論をいただいたところでございます。
おめくりいただきまして、14ページ、目指すべき方向性でございます。
まずは通告を受理した機関が受けた通告について安全確認等の対応に当たって必要な情報の聞き取り等が適切に行われ、的確に通告に対応できるような体制整備を進めることが必要である。市町村、児童相談所が通告に対する対応において、それぞれの役割が十分果たせるようにするための体制強化が必要であるとともに、ともに協働しながら対応できるようにしていくための意識作り、枠組みや体制を継続的に構築することが重要である、でございます。
対応のところでございます。(1)といたしまして、通告窓口の一元的な運用方策の提示。
希望する自治体において、通告窓口を一元的に運用できる方策について、通告受理後の安全確認の体制を含め国で整理し、具体的に提示する。
(2)といたしまして、通告後の対応に関する市町村、児童相談所の連携体制づくり。
マル1といたしまして、通告受理の際の情報の聞き取り等に関する研修の実施。
マル2といたしまして、市町村、児童相談所の協議、ガイドライン策定に向けた取組。
市町村、児童相談所が通告後の対応について共通認識を持って対応できるようにするため、都道府県においてガイドラインの策定、及びその使用に関する専門性の向上に向けた取組を推進。国においては、ガイドラインのモデル案、策定に向けた行程や活用方法等を示すといったことでございます。
マル3といたしまして、面前DV通告への市町村、児童相談所の対応等ということでございます。
おめくりいただきまして、15ページでございますが、国において、面前DV通告への対応に関する市町村、児相におけるガイドラインの策定、活用方法等を示すということでございます。
マル4といたしまして、リスクアセスメントシート及びその活用方法の見直し。
(3)は、市町村の体制強化の関係ですので、再掲でございます。
(4)といたしまして、情報共有基盤の整備に向けた検討。
(5)といたしまして、児童相談所全国共通ダイヤル「189」の見直しでございます。
15ページ、下でございますが、「3 児童及び妊産婦の福祉に関する業務に従事する者の資質の向上を図るための方策」でございます。
28年の報告書におきまして、おめくりいただきまして、16ページでございます。子ども家庭支援に当たる指導的職員の専門性を向上させるとともに、その能力を客観的に明確化する観点から、子ども家庭福祉に関する専門の相談員として新たな公的資格を創設することを検討すべきといった御指摘もいただいているところでございます。
16ページの下のあたりでございますが、こうした御指摘も踏まえ、緊急総合対策で児童福祉司等を増員していく中、児童福祉司等の児童相談所職員の資質向上を図るための方策、市町村職員の資質向上を図るための方策について議論を行ったところでございます。
おめくりいただきまして、19ページの目指すべき方向性をごらんいただければと思います。
児童相談所、市町村職員の増員といった量的整備と併せて、専門性を有した職員のキャリア形成の観点も踏まえた質の向上も進める必要がある。その際には、地域全体の対応力の向上という観点から、専門性を高める取組を推進することも必要。また、こうした資質について客観的に把握できるようにするための枠組みとして資格化等について議論を行いましたが、早急に新しい資格を創設すべきと言う意見と、資格化は反対であり、現状の国家資格のカリキュラムの充実等を図るべきという意見があり、一致できなかった。今後、資質を把握するための具体的な要件として、その手法やどのような実務経験を求めることとするか、義務研修の位置づけについてどのように考えるか等、資格化も含め引き続き検討が必要と考える。こうした引き続き検討が必要な事項について、一定の年限を区切って確実に検討を進める、ということでございます。
19ページの一番下、対応でございます。
児童相談所の専門性向上のための体制整備。
マル1といたしまして、児童福祉司等の児童相談所の職員体制等の強化。
おめくりいただきまして、20ページでございますが、マル2といたしまして、スーパーバイザー要件のさらなる厳格化の検討。スーパーバイザー研修の際のレポート提出等による修了要件を設定するとともに、研修受講を任用要件とする。マル3といたしまして、児童福祉司等の任用要件について相談援助の業務経験を有する旨の明確化。マル4といたしまして、児童心理司の配置人数に関する基準の設定。マル5、マル6は、それぞれ弁護士、医師の部分で、再掲でございます。
(2)といたしまして、児童福祉分野のソーシャルワークを担う人材の専門性向上のための国家資格化も含めた在り方検討。
2つ目のポツでございますが、「新たな国家資格を創設すべき」という意見と「社会福祉士等の既存の国家資格の活用の促進や充実を図るべき」という意見の両論があった。しかし、児童相談所のみならず、市区町村子ども家庭総合支援拠点にも専門的人材が必要なこと、フォスタリング機関、施設、児童家庭支援センター等においても、人材の資質の向上が求められていることから、これら人材の専門性を向上させる必要性及びその具体的な方策について更なる検討が必要であるという点においては意見が一致したところであり、その在り方について、専門的に検討する委員会を設け、国家資格化も含め、一定の年限を区切って引き続き、具体的な検討を進める、でございます。
(3)市町村の専門性向上のための体制整備につきましても、再掲でございますので、省略いたします。
最後、21ページ、「4 子どもの意見表明に関する仕組み等」でございます。
現状・課題の枠囲みのところでございますが、新しい社会的養育ビジョンにおきましても、子どもの意見表明権の保障が重要だという御指摘もいただいているところでございます。
21ページの下、主な議論のところでございますが、本ワーキンググループにおきましても、子どもの声を十分に反映させるためのアドボケイト制度の創設が必要。
児相と警察との情報の共有においては、子どもの意思が無視されたり、警察の判断だけで対応がなされて当事者の福祉が損なわれたりすることがないように、子どもの権利擁護の観点から一定の歯止めや枠組みを設けること、双方向での情報のやりとりがなされることが必要といった意見で一致したところでございます。
また、おめくりいただきまして、22ページでございますが、体罰の禁止を法律に位置づけること等の取組を進める必要があるとの御意見もあったところでございます。
対応でございますが、子どもの意見表明権を保障する仕組みの構築。
マル1、児童福祉審議会等の活用といたしまして、子どもが自ら意見を表明できる機会を確保するために、児童福祉審議会の枠組みが活用できることの周知徹底。また、こうした枠組みについて、国においてガイドラインを作成し、全国展開に向けた取組を行う。
マル2といたしまして、アドボケイト制度の構築といたしまして、全ての子どもの意見表明権を保障するアドボケイト制度の構築を目指し、まずは一時保護も含む代替養育における子どもの意見表明権を保障するための検討を行う場を設け、検討を進め、その結果を踏まえたモデル実施を行った上で、全国展開に向けた取組を進める、でございます。
説明が少し長くなりましたが、以上でございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。
それでは、ただいまのワーキンググループのとりまとめについて、委員のほうから質問等ございましたら、よろしくお願いしたいと思います。
奥山委員、お願いします。
○奥山委員
今、御説明があったとりまとめの本文のほうにはきちんと書いてあったのですけれども、概要のところで、平成28年の新たな子ども家庭福祉の在り方に関する専門委員会報告書というのがまず基本にあるのだということが書かれていないように思うのです。単に附則からスタートしているので、28年の報告書があり、それに基づいて法改正がなされて附則が残ったというところを明確に、この概要についても書いていただきたいと思います。
○山縣委員長
資料1-1ですね。
ほか、ございますか。林委員。
○林委員
とりまとめ、ありがとうございました。
1点御質問させていただきます。内容的に、議論の内容と目指すべき方向性あるいは対応というところに多少のギャップを感じるわけですけれども、例えば児童相談所の体制というところで言えば、結果的に対応というところに集約されているわけですけれども、その議論の過程の中にはすごく大きな構造改革をもたらすような提言もされていて、それに関する賛否両論が併記されているわけですね。
結果的に、それをほとんど捨てるような形で対応というものが記載されているように思うのですけれども、これは段階的に、とりあえずこの対応に書かれている内容から進んでいくということなのか、議論のプロセスの中で言及された内容は全く検討されないのかということを、まず1点目、御質問させていただきます。ほかの事項に関しても同じことです。
○山縣委員長
これはどう答えたら。議論の経過を踏まえて、事務局のほうから説明してもらえますか。必要があれば、私のほうから補足します。
○宮腰虐待防止対策推進室長
恐らく、議論されている内容によってもやや異なってくる部分があるのかなと思っておりますが、例えば児相における機能分化の在り方に関して、議論の経過で申し上げますと、4ページの主な議論の一番下のあたり、保護機能と支援マネジメント機能の分化の在り方についてということで、出た意見を整理させていただいているのですが、前段のほうでは、現状の児童相談所は保護機能が中心になっており、相談機能はできるだけ市町村やその他の機関に移し、措置した子どもの支援マネジメント機能のみを児童相談所の機能として残し、機能分化、部署分化を進めるべきといった御意見もありました。
一方で、こうした機能は、連続性を持って並行して行う必要があることから、同じ機関内での意思決定という枠組みが必要だといった御意見も出ておりまして、そういった意味では、この2つの御意見については両論があって、こちらの方向性でというところで決まったということではないのかなという認識を持っております。その中で、同じ児相の中で部署分けをする、あるいは職員分けをするという形での機能分化を進めていくという形については、一致できた部分なのではないかということで、対応の部分に整理させていただいているという流れとなってございます。
もし説明が不十分であれば。
○山縣委員長
では、私のほうから補足させていただきます。
今の事務局の説明で、基本的には間違っていないのですが、議論の部分は、個々の委員のもので、とりまとめにそういう意見があったというのを残したほうがよさそうなものを抽出したということになります。それについては修正していません。各委員の声がそのまま言葉として残っているということになります。
その中で、今、事務局のほうからありましたけれども、方向性が内容的に一致できたものについて言うと、目指すべき方向とか対応策のほうに反映することができる。しかし、両者が並行線のままで議論しているほうについては、両論併記のような形で書かれ、最後の部分でちょっと誤解があるかもしれませんけれども、その中でもさらに継続的に検討すべきという文言が明確に入っているものと、それが入っていないものがあるということで林委員のほうで誤解があったかもしれませんが、議論のプロセスから言うと、書いていないことはもう必要ありませんという委員の受けとめではないと思います。
あくまで分かれた状態で今、残っていますよというところで、そこに対する明確な対応策を書くことができていませんということなので、これはまた議事録とか、ここに抽出したものを含めて、各委員のほうから、新たにそれをもとにこういう施策が必要であるのではないかとか、あるいは今後、こういう展開が必要であるのではないかという御意見をいただけたらと思います。
では、中村委員。
○中村委員
中村です。
委員提出資料をごらんいただけたらと思いますが、大きく2つ、意見として記載させていただいております。
○山縣委員長
資料4になります。
○中村委員
1つ目の意見に関しましては、先ほどの説明とは別に全体的なものになるのですけれども、計画策定時の当事者参画。前回も提案させていただいた部分ですが、この専門委員会において複数名の委員配置のお願いをしたいと思っています。というのも、私は児童養護施設経験者として参加していますが、里親家庭の経験者等、多様な経験者の声がありますし、また今後、里親家庭を推進していこうという中では、そういった経験者の声も制度に反映するべきではないかというところでは、この専門委員会において2名以上委員の配置というのを改めて御検討いただきたいと思っております。
2つ目は、今、都道府県推進計画の策定見直しというところでは、当事者の声というところで、前回も記載させていただいたのですが、当事者複数人の声を反映させていただきたいということと、また、委員会においても、社会的養護経験者2名以上の委員設置をお願いしたいというところでございます。
2点目が、先ほど説明にあった資料1-2の22ページの「子どもの意見表明権を保障する仕組みの構築」、アドボカシー制度の創設という部分の意見になります。これも、前回から引き続きの意見を記載させていただいておりますが、子どもたちと親権者・保護者・児童相談所等の意見が分かれるというところでは、きっちりと子どもの意見の反映というところで、アドボカシー制度の構築をお願いしたいと思っております。
重要なのは裏面ですが、対策として、先ほど御説明いただいた児童福祉審議会の活用という部分がありますが、平成29年度の調査研究報告書で、児童福祉審議会における課題というものが記載されております。その部分をきっちりと見ていただけたらなというところで、御意見を書かせていただいております。
利害関係のない第三者機関が対応すべきであるという部分ですが、実際に審議会の構成委員や開催頻度に関する基準というものがなく、自治体によってばらばらであるという報告書の記載がありました。自治体職員のアンケート自由記述からというところも見ていただけたらと思いますが、定期日程以外の開催が困難であったり、専門性を持った職員が常に配置されているわけではないというところでもばらつきがあったり。あと、利害関係にある委員、例えば児童養護施設関係者であったり、里親であったり、子どもと関係性のある委員が参加しているという中での第三者性の担保というところは難しいのではないかということがあります。
また、28年度調査において、実際に児童福祉審議会に子どもから相談があった件数というは、64自治体中、3自治体5件にとどまっているところです。5件の内容につきましても、生活の不満であったり、子どもがたたかれたという訴えがあったり、または家族に会いたい、入所に納得できないという意見が入っていたということが報告書にも記載されておりました。
こういった課題があるということも踏まえて、第三者性の担保、子どもの権利に関する専門的な知見を有する委員の配置であったり、子どもの意見聴取の機会を別に設けるなど、子どもの意見聴取に起点を置いた改善をぜひ検討されたいというところと、児童福祉審議会以外の外部の民間組織との連携やアドボカシーシステムの在り方ということも改めて検討していただけたらということで、意見を出させていただきました。この件に関して、次の予算書のことで御説明があると思うのですが、そこでも1点質問がありますので、またそのときにさせていただけたらと思います。
もう一つ、済みません、この意見に記載はないのですけれども、権利啓発ということがとても大切かなと思っておりまして、現在、権利ノートを配付されている自治体が多くあると思うのですが、実際にお聞きすると配付にかなりばらつきがあるということが、経験者の声から聞かれている。例えば、一時保護所に入所している子どもたちに配付している自治体もあれば、配付していない自治体もありますし、入所の段階のときに丁寧に権利ノートを説明されている児童相談所もあれば、全然説明を受けたこともないという若者たちがいるということも知っていただきたいなというところでは、権利ノート、権利啓発の部分では徹底していただきたいということもお願いしたいところです。
済みません、以上です。
○山縣委員長
ありがとうございました。
今後に向けて、そのような提案ということで受けとめさせていただきたいと思います。
ほか、北川委員。
○北川委員
児童相談所機能のスリム化の中で、5ページ目の下と10ページ目の真ん中に療育手帳のことが書かれておりました。児童発達支援を使う場合、措置から契約になりましたと、今、療育手帳をとりに行くときしか児童相談所に行くことは実際ない状態であります。地域の相談支援機能もかなり整って、障害児の相談もありますし、相談そのものは、児童相談所と地域の児童発達支援とのかかわりは、要保護家庭のみあるという状態であります。
ただ、本当に要保護家庭かどうかを見分けるのが、障害児のお母さんたちのアセスメントというのは専門性が要るということと、もう一点、地域の児童発達支援センターに行ったときに、そこで虐待とか社会的養護の観点で家族支援がきちんとできるかというと、まだまだ力が弱いので、その辺を強化していく必要があるなと思いました。
あと、療育手帳に関しては、私も子どものことで療育手帳取得に何度も児童相談所に行っているのですけれども、それほど難しいことをしているわけではなく、心理司が田中ビネーとかWISCで、あなたの子どもはBですよとかB-ですよと結果を言って、それを区役所に行って手続するということです。ただ、この療育手帳があるかないかということは、将来において全てにとてもかかわってくる公的なものなので、さて、児童相談所以外でどこができるだろうと考えたときに、公的な機関、公立の病院とかになると思いますけれども、枠を広げるとしたら、そういう形が必要なのかな、公的な機関がやっていく必要があるのかなと思いました。
児童相談所においてケースワーカーが障害児のことがわからなくなるというのは、虐待の判定においてもちょっと心配な面がありますけれども、そういう実態は既にあるなと思っておりました。
それから、アドボケイトのことです。数年前に里子で私立の寄宿舎制の学校に行きたいといった意思表明をした子がいて、一旦諦めたのですけれども、1年後にまた行きたいとなったときに、最終結論が措置をやめて行かざるを得なかったということがあって、児童相談所は措置継続を認めなかったのです。お母さんが亡くなったという、その子の社会的養護の状態は全く変わっていないにもかかわらず、措置が解除されてしまったときに、どこに相談したらいいのだろう。このアドボケイトという機能はないのだろうかと、すごく悩みましたし、結局、社会的養護の状態は変わらないのに、措置が解除され、里親さんが自費で学校に行かせたということがありました。
ということで、ぜひ子どもの意思を尊重するというところで、アドボケイト制度を充実させてほしいと思っております。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございます。
ほかはいかがでしょう。玉岡委員から林委員。
○玉岡委員
玉岡です。とりまとめありがとうございました。
東京都のほうでも児童相談所に関してはいろいろ課題があろうかと思いますが、この中で特に御要望として申し上げておきたいところは、15ページの通告の在り方の中で「189」の見直しということで書いていただいているところです。どの児童相談所でも、この「189」にさまざまな相談が寄せられていて、虐待のみならず、児童相談所で相談の対応がふえているということがあります。
一方で、児童や家庭に迅速かつ適切な支援を行うためには、サービスや資源を持つ区市町村など、適切な相談機関につなげるということも重要だと考えておりまして、「189」の仕組みとして、16年の法改正で市町村通告とされた趣旨もありますので、まず、ここに見直しと書いていただいているので、「189」の在り方については、ぜひ速やかに再検討をお願いしたいと思っております。
それから、それに関連して、通告窓口を都道府県に1カ所設置ということもこの中で書いていただいておりますけれども、東京都の児童相談所でも警察からの通告ということが半数を占めているということもありまして、中には必ずしも重篤でないケースも含まれているのが現状ということもありまして、通告先の整理ということも必要なのかなと考えております。一元化ということもあるかと思いますが、先ほど申し上げました「189」の見直し、あるいは通告先に区市町村も加えるなども含めて、再検討していただければと思います。
よろしくお願いします。以上です。
○山縣委員長
ありがとうございました。
一元化するとは書いてありません。一元化できるところについては応援するという書き方です。
林委員。
○林委員
2点ほどお願いします。
11ページのマル3、市町村体制の強化というところで、ショートステイ事業、トワイライトステイ事業云々というのがあるのですが、過去の報告書を生かすという点で言うと、ビジョンの中では、措置を含めて社会的養護として捉える。その意義というのは、従来のショートステイなりトワイライトというものの年齢制限であったり、料金であったり、あるいは日数の制限ということを含めて考えたときに、要支援児童・要保護児童を市町村の受け皿として活用できる制度ではないということを含めて、社会的養護の枠組みの中で捉えて、新たな子どもへの直接的な支援・サービスの充実ということが提言された経緯があるかと思います。
ビジョンで言うと、そうした項目が12ページあたりにありますので、そのあたりを生かして、子ども・子育て支援制度の枠組みで捉える制度、こういった事業の強化ということを書き足していただけないかということが1点目と。
もう一点は、一番最後のアドボケイトについてですけれども、ここは児童福祉法上、保護者の意向を尊重するという、介入と保護者の意向あるいはその権利をどうバランスよく担保していくかというのが大きなテーマだと思うのですけれども、ここに保護者の意向の聴取の権利保障みたいなことが立てられないのか。またちょっと違ったテーマだと思うのですけれども、というものがビジョンの中でも、たしか20ページあたりですけれども、支援計画の作成過程には、保護者や子どもといった家族が主体的に参画する在り方の提言がなされているということを踏まえて、そういう論を立てられないかという一つの御提案です。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございます。
今の部分ですけれども、きょうの位置づけは、ワーキングの報告をベースに考えていくことにしていますので、今後の運用・取り扱いの中で、今、言われた部分は、いずれも現行制度の中でだめだとは恐らく書いていないものだと思います。ショートステイにしても、社会的養護の施策でもあり、子ども・子育て支援法に基づく地域子ども・子育て支援事業でもあるということですので、その辺の理解をきっちり進めていただくというあたりで、今後、社会的養護施策としても十分機能するように、あるいは契約をする上で保護者の意向を完全に無視しては法律上できないので、そのあたりをきっちりお伝えいただくようなところをやり、かつ必要があれば制度改正もあるかもしれない。
現段階では、課題として受けとめさせていただけたらと思いますけれども、よろしいでしょうか。意見があったということは、きっちりメモしておいてください。
ほか、いかがでしょうか。犬塚委員。
○犬塚委員
犬塚です。よろしくお願いします。
この報告書では、積み残し課題を中心に議論をされたということで、特に保護機能中心の議論となったということは了解しています。しかし、子どもの権利を中心に据えるという意味では、子どもの健やかな成長、発達、自立を保障するということが支援の目標ですので、虐待的な環境の中で暮らした子どもたちの心のケアの問題が余り触れられていないのが懸念されます。
児童心理司を増員するところには少し書かれているのですが、例えば地域の拠点の整備のところにも、もちろん今後の検討だと思いますけれども、先ほど林委員が触れられたマル3にショートステイとか一時預かり事業とか保護者支援が書かれているのですが、ここに子どもの心のケアを加える必要があると思います。虐待的な環境で暮らしたことによって子どもの心身は多くの影響を受け、トラウマを中心としたさまざまな精神的な症状が引き起こされ、治療・支援をきちんとしないと一生続き、子どもの健全な発達を阻害することはよく知られています。
あるいは、児童相談所の機能についての個所で10ページの外部委託等の推進のところには、保護者支援プログラムなどは書かれているのですが、子どものケアも児童相談所だけでは十分ではない状況ですので、民間のケア機関などに経済的にきちんと保障する形での外部委託を推進することが必要であると思います。このように子どもの心のケアの支援ができるような体制を整備していくことが子どもの健全な発達には欠かせないことだろうと思います。
また、保護者支援については書かれていますが、保護者支援、子どものケアに加えて、親子関係再構築支援についても充実していくことが必要であると思います。もちろん児童相談所とか市町村子ども家庭支援拠点の中で行われることも重要だと思いますけれども、民間の地域資源の充実のところにも親子関係再構築支援の実施を含める必要があると思います。
○山縣委員長
ありがとうございます。
こちらも、冒頭説明ありましたように、このワーキングは、28年報告書と冒頭に書かれているものと、法改正との関係で積み残し課題をベースに議論をしました。加えて、その後養育ビジョンも出ておりますので、今、犬塚委員が言っていただいた子ども支援は非常に重要な御指摘なのですが、ビジョン等にもそちらが書いてありますので、ここは積み残し分を強調したために、こんな状況になっていますということで、そのことをワーキングは決して軽視しているわけではないということは御了解いただきたい。今後の施策において、それは含めて考えていただきたいと思います。
では、橋本委員。
○橋本委員
今の犬塚委員の御意見に関連してという形になるかと思うのですが、10ページの外部委託についてです。今回、相談支援業務の外部委託が提起されて、官民協働によって施策効果を高めていこうという方向性が強く打ち出されたことについては、大いに賛同しています。ただ、民間委託の際、成果主義を導入するに当たっては、成果や数値にはあらわれにくい部分や間接支援的なソーシャルワークの意義をいかに見逃さずに丁寧にフォローし、かつ評価していくかという視点が大事かなと思っています。
私たち全児家センの研修会や各種の調査研究報告などでも、このことが頻繁に指摘されています。一例を挙げれば、直接的に里親委託率の向上に資するものではないですけれども、とても大切な支援として、養子縁組先が見つかって、それまで養育してきた里子さんと別れることになったり、里親不調に陥って里子と分離されたりした里親のブリーフケア的支援、こういうものを児家センの心理司が行っている事例とか、里親登録をして、それなりのトレーニングを受けたものの、いつまでも委託を受けられず、児相等に対して不信感が芽生えてきている里親候補者に対して、児家センの相談員が寄り添い的なフォローを行っている事例などが報告されています。
繰り返しますが、これらは里親委託率という数値の向上に直接的な影響を与える支援ではないかもしれませんが、制度の枠組み全体を肯定的に維持する上でとても重要な業務だと思っています。また、親族里親や親族による養育里親をふやすべく、親族一人一人の生活状況や気持ちについて丁寧に把握していくようなソーシャルワークの重要性も指摘されています。さらには、生活困窮家庭の要支援児童の居場所づくりのために、子ども食堂や学習支援の場の運営に主体的に参画するとともに、子ども食堂や学習支援スタッフの相談に乗って、その養育の悩みに応えるような支援を行っている事例も報告されています。
全児家センとしては、今回の改革提案の実効化に貢献できるよう、里親会との連携による里親養育支援や、市町村との連携による地域在宅支援の強化を図る上で、このような支援者への支援や個別の家庭環境へのアセスメントなど、間接支援の役割も十分意識して取り組んでいきたいと思っているところです。
意見になりましたけれども、全児家センとしては以上です。
○山縣委員長
積極的な御支援ありがとうございます。
では、吉田委員。
○吉田委員
今、児家センの先生から里親のことを言っていただきましたので、11ページの民間を含めた地域資源の充実という中に、昔はたしか里親もショートステイを活用された事例がありましたけれども、今はほぼありませんので、そうしたところに里親を地域の資源として活用していただいて、そこでうまくいったり、あるいは家に帰るのはちょっと難しいというときに、里親委託へという形で地域資源としての里親を地域の中に入れていただきたい。市町村の中での里親の位置づけというのを活用していただければいいのではないかと思います。
それと、もう一つ、子どもの意見表明、アドボカシーの中で、1カ所じゃなくて、もっと細かに子どもの意見を聞き取ってくださるような子どもに対する支援と、それから意見表明の場をどうにかしてできないか。アドボケイト制度の構築というのが22ページに書いてありましたけれども、ぜひそこを考えてほしい。
それから、子どもたちへの支援が22歳までとだんだん上がってまいりましたが、18歳、高校卒業で措置が解除になって、1回家に帰った子どもの失敗例が山ほどありますので、今の状況では、社会的養育自立支援事業では、一度措置解除になって家に帰って、その後に里親家庭に帰っても、制度としては何も利用できないようになっております。そのまま引き続いて里親家庭で生活していた場合は支援の対象になっていきますけれども、そこのところも失敗例が山ほどありますので、まだ20歳未満の、児相から手を離れた子どもたちに何かないかなというところもどこかに明記してもらえたらありがたいなと思いました。
大変いい報告書をいただいたと思っております。ありがとうございました。
○山縣委員長
ありがとうございました。
今の点も、先ほどと同じように、今後の活用においてきっちり受けとめて対応するように事務局のほうにお願いしたいと思います。
もうお二方ぐらいであれば大丈夫かなと思いますけれども、よろしいでしょうか。では、手が挙がりませんでしたので、ワーキンググループからの報告でございましたけれども、本日をもちまして、この専門委員会のとりまとめであるということの位置づけを確定させていただきたいと思います。ありがとうございました。
続きまして、2番目の報告事項になります。来年度予算案についてお願いします。
○成松家庭福祉課長
家庭福祉課長でございます。
資料2に基づきまして、平成31年度、2019年度の関係予算について御説明をさせていただければと思います。
まず、資料2の1ページ目、上のほうでございますが、今年度予算の大きな編成の方針といたしまして書かせていただいてございます。平成28年改正児童福祉法の理念のもと、子どもの最善の利益の実現に向け、「新しい社会的養育ビジョン」で掲げられた取組を通じて、「家庭養育優先原則」を徹底するとともに、昨年とりまとめた緊急対策、あるいは昨年末にとりまとめさせていただいた「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」に基づきまして、児童虐待防止あるいは社会的養育を迅速かつ強力に推進するというのが大きな方針でございます。
以前の審議会でも6月の骨太の方針を御紹介させていただきましたが、その方針に沿って、あるいは新しいプランなどに沿って予算を組ませていただいたというものでございます。
全体の予算は、その下に書いてございます予算と御理解いただけたらと思います。
以下、各般に及びますので、主に変更のあったところを中心に、個別のところを簡単にではございますが、御説明させていただければと思ってございます。
その下の2ページ目、児童虐待の発生予防の部分でございますが、マル2として、産前・産後母子支援事業の充実ということで、これまでモデル事業で実施させていただいておりました産前・産後母子支援事業について、今回、モデル事業の位置づけじゃなくて、全国展開できるようにということで、位置づけ直しをさせていただいてございます。その中で、改修費・備品費等について新たに計上させていただいている状況になってございます。
済みません、飛ばしていただきまして、4ページの上のマル3、未就園児等全戸訪問事業ということで、こちらのほうは緊急対策のほうにも書かせていただいているとおり、未就園児や不就学児がいる御家庭への訪問を行うための事業費について支援させていただくということでございます。
あるいは、(3)でございますが、ショートステイ・トワイライトステイ、先ほど御指摘があったものでございますが、それについては、補助基準額の新規のところに、通学時の付き添いとか、あるいは訪問によって、お子さんを施設にお連れするのがなかなか難しい御家庭について、迎えに行くという形での補助を新たにつけさせていただいたところでございます。
5ページ、6ページは、主に児童相談所の強化等の関係でございます。
(1)は新プランの関係でございますので、後ほど御説明させていただきます。
(2)、予算のほうの児童相談所の体制強化ということでございます。下と照らし合わせて見ていただければと思いますが、6ページ、24時間・365日体制強化事業というものの加算をさせていただいてございますし、あるいは医療との連携、特に病院との間における子どもの退院に向けた調整を行うことについてのコーディネーターを配置するという事業を新規にさせていただく。SNSによる相談というものを新たに立てさせていただいてございます。
そして、マル2の児童相談所の設置促進ということでございますけれども、これも、マル2の中のマル2でございますが、児童相談所の業務を学ぶ間の代替職員の配置に要する費用について、これは中核市・特別区等に対する補助になりますけれども、それを拡充させていただいたところでございます。
続きまして、7ページ目、真ん中、「189」のお話が出ましたけれども、通話料の無料化を行わせていただく。あわせて、先ほど申し上げたような24時間対応強化のための体制を拡充するということでございます。
続いて、マル4、児童福祉司の専門職採用活動支援事業ということで、これは新プランにおきまして児童福祉司の増員を図るということでございますので、その目標達成に向けて、都道府県が行ういわゆるリクルート活動の支援をさせていただくということになってございます。
8ページ、下のページに行きますと、児童相談所・市町村に従事する者の資質の向上ということでございます。この中で※の部分でございますけれども、都道府県が行う市町村職員を対象とする研修の実施回数を増加するということ。
あるいは、下のマル6、虐待・思春期問題情報研修センター事業につきましては、西日本についても拠点を設ける方向で予算を組ませていただきます。
続きまして、10ページまで飛んでいただきまして、市町村の体制強化の中で、市町村の子ども家庭総合支援拠点の補助金です。後ほど出てきますけれども、補助金の拡充、新規で申し上げれば、この枠囲いの中の真ん中の右に書いてございます開設準備経費、夜間・土日加算、嘱託医師等配置加算というものを設けさせていただいてございます。
また、その下のマル2に移っていただきますと、先ほども少し出てまいりましたけれども、市区町村子ども家庭総合支援拠点を通じたレスパイト等の在宅における養育支援の充実を図るための事業を創設するということで、この枠囲いの中に書いてございますように、支援拠点を通じた一時預かり等の実施に要する費用を補助するというものになっております。
飛んでいただいて、12ページ、マル7でございますが、評価・検証委員会設置促進事業ということで、従来、この実施主体は都道府県、指定都市、児童相談所設置市でございましたけれども、全ての自治体に拡大させていただくというものでございます。
続いて、1枚飛んでいただいて、14ページ、一時保護児童の受入体制の充実ということで、下の「また」以下でございますけれども、医療的ケア児や障害のある子どもなど特に支援が必要な子どもを、施設が設置している一時保護専用施設において受け入れた際の加算を創設するということ。あるいは、一時保護専用施設をこれまで1カ所に限っておりましたが、複数設置できるように要件を緩和する。
あるいは、マル2でございますが、賃貸物件による一時保護専用施設を活用する場合、これを改修するための費用を支援させていただくという形になってございます。
また、マル3、一時保護所の整備の推進ということで、一時保護所について、個々の子どもに応じた処遇が可能となるような施設整備を行う場合の単価の引き上げさせていただくというものでございます。
続いて、15ページの(5)子どもの権利擁護の推進ということで、子どもの権利擁護に係るモデル事業の推進ということで、ワーキングにも出てまいりましたが、こういった実証モデル事業を来年度させていただくということを考えてございます。
続きまして、飛ばし飛ばしで恐縮でございます。17ページまで飛んでいただきまして、これはいわゆるフォスタリング、包括的里親養育支援体制の構築に向けた取組の推進ということで、従来、里親支援事業という形で組ませていただいたものを、さらに拡充させていただき、事業名も変更させていただいて大幅に充実させていただいております。
特に、ポツのあたりを見ていただければと思いますけれども、フォスタリング業務を統括する責任者、あるいは里親リクルーター、里親への研修等を担う里親トレーナーというものを新たに配置するということ。
あるいは、委託後の家庭訪問による支援を行う支援相談員を委託児童数に応じて加配するということでございます。
これを行うことによって、従来、1機関当たり3000万弱だった機関に対する支援というものを、倍以上、6500万円程度にさせていただくことによって、策定要領あるいはビジョンにも書いていただいておりました包括的な里親支援体制の構築を強力に後押しをしたいと思ってございます。
18ページ、特別養子縁組制度の推進ということでございます。これは、民間あっせん機関への補助ということで、平成30年度に補助の拡充やモデル事業をさせていただいておりました。それとあわせて、今回新たに養親希望者の手数料負担軽減事業ということで、養親希望者がお支払いになる手数料について負担を軽減するという事業でございます。
続きまして、19ページでございますが、施設・乳児院等の小規模かつ地域分散化、高機能化・多機能化・機能転換の推進というものでございます。
※の部分ですけれども、児童養護において生活単位の小規模かつ地域分散化を推進するということで、その推進のために、今、子ども対職員がおおむね6対3でございますが、それを6対4まで可能となるような措置費をつけるということ。
あるいは、これは高機能化の一環ですけれども、児童養護施設におけるケアニーズが非常に高い子どものための4人の生活単位を新設し、当該生活単位における養育体制の充実というものでございます。
それとともに、乳児院におけるケアニーズが非常に高い子どものための4人の生活単位における養育体制の充実というものを行わせていただくという形で予算を組ませていただいてございます。
下のほうに移っていただきまして、児童家庭支援センターにつきましては、運用改善とさせていただいておりまして、例えば事業費としては、件数区分に応じた事業費をお支払いする。件数が多いところは多く受けられるということ。あるいは、指導委託促進事業ということで、今までは1件当たり10万6000円でございましたが、月をまたいで長くかかるケースがありますので、一月当たりで計算させていただく。一月、1件当たり10万6000円ということで運用改善させていただくというものになってございます。
続きまして、21ページ、上のほうでございます。これは、人材確保に向けて処遇改善、平成27年、平成29年も行わせていただきましたが、来年度につきましてもさらなる処遇改善ということで、1%。あるいは、補助職員の活用を通じて業務負担を軽減していただくというものになってございます。
済みません、少し飛ばさせていただいて、次が24ページからの自立支援の充実ということでございます。これも改善事項ですけれども、今の社会的養護自立支援事業あるいは就学者自立支援事業につきまして、高校卒業後、浪人した者に対する、例えば学習塾費の支援、進学に向けた学習費の支援というものも今回組み入れさせていただいてございます。
そして、25ページの下のほうでございますが、補正予算案におきましては、平成30年度までを期限としておりました、退所者に対する自立支援資金貸付につきまして、これを延長するというのを今年度の2次補正予算案のほうで位置づけております。
26ページ、未成年後見人支援事業ということでございますが、被後見人の資産要件は1000万円でしたけれども、これを1700万円未満ということで緩和してございます。
27ページ、最後でございますが、さまざまな施設とか里親のもとにいるお子さんについて、大学進学を支援するために特別育成費、いわゆる塾代でございますけれども、これを1万5000円から2万円、高校3年生については2万5000円に増額させていただく。
あるいは、通学費というのが今まで特別育成費の中に入ってございましたけれども、通学費を別枠にして、通学費が係るお子さんがいらっしゃいますので、通学に係る実費を支弁するということを書いてございます。
マル6は、自立援助ホームにおける受託支度費の支弁ということで、御自宅とか御家庭から自立援助ホームに直接入られる方も相当いると聞いてございますが、その方が速やかに生活基盤を整えられるように、こういった支弁を新たにできるようにさせていただくということを予算として盛り込んでおります。
以下、それぞれの項目についてポンチ絵をつけさせていただいてございますが、時間の関係で、このあたりはまたごらんいただきながらと考えております。
もう一つの新プランのほうは、担当室長のほうから御説明させていただきます。
○宮腰虐待防止対策推進室長
続きまして、児童虐待防止対策体制総合強化プラン(新プラン)について御説明させていただきたいと思います。資料3をごらんいただければと思います。
こちらは、昨年12月18日に児童虐待防止対策に関する関係府省庁連絡会議において決定したものでございます。前回の児相強化プランにおきましては、児童相談所の体制強化のみを定めたものでございますが、今回は緊急総合対策に基づきまして、児童相談所の体制強化、市町村の体制強化ということで、大きく二本立てで策定させていただいております。
児童相談所の体制強化のところをごらんいただきまして、今回、2022年度までの目標ということで数値を設定してございまして、児童福祉司については、夏の時点では2000人程度と申し上げてございましたが、2020人程度増加、児童心理司につきましては、2022年度までで790人程度、保健師につきましては110人程度増加を図っていくということでございます。
児童心理司につきましては、※1で注をつけてございますが、現在、児童福祉司2人につき1人配置するということで、児童相談所運営指針のほうで基準をお示ししているのですけれども、まだ自治体によって結構ばらつきがあるという状況でございまして、最終的には2人につき1人を目指していくということでございますが、実際に2人につき1人に到達するまで、※1をごらんいただくと、2024年度までに到達するような目標設定をしておりまして、2022年度については、その途中段階の数値を設定しているということでございます。
その下の市町村の体制強化のところをごらんいただきまして、子ども家庭総合支援拠点につきましては、2022年度までに全市町村、要対協の調整機関調整担当者については、全市町村で常勤での配置を目指していくということでございます。
おめくりいただきまして、この新プランにつきましては、昨年の12月に公表した数字の中で1点誤りがございまして、今、御説明した数字は訂正したものになってございます。正誤表というものがあるかと思いますが、誤っていたところは保健師の数字でございます。保健師の配置人数が、もともと2017年度実績では140人と書かせていただいているのですが、こちらは複数人配置されている児童相談所の分も含めた配置人数となってございまして、この後の目標が全児相配置ということになってございまして、実際に配置されている児相数を加味して引き算しなければならなかったということでございます。
なので、単純に児相数が210となってございますので、間違っていたもので210引く140ということになっていたのですけれども、正しくは210引く100といたしまして、110人増員が必要ということで、表記に少し誤りがございましたので訂正してございます。実際の財政措置につきましては、各児相に配置ということで、210人という形でさせていただいておりますので、財政措置が不足しているということはないのですけれども、表記上、引き算をする元の数字が間違っていたということで、こちらは訂正させていただいた数字で資料3のほうは御説明させていただいているところでございます。
説明としては以上でございます。
○山縣委員長
ありがとうございました。
2と3、あわせて報告いただきました。これについて、皆さんのほうから御意見をと思います。
中村委員、先ほど言っておられたので、そこから。
○中村委員
子どもの権利擁護に係る実証モデル事業、予算資料の47ページですが、実施主体が都道府県、指定都市、児童相談所設置市と記載があります。先ほどの説明でも、今後、中核市と特別区に児童相談所を設置していくというところで、次年度になるかもしれないですけれども、これは特別区が含まれるのかという質問です。
○山縣委員長
いかがでしょうか。
○宮腰虐待防止対策推進室長
まず、この事業は来年度の事業となってございますので、基本的には児相を設置していただいている自治体さんで実施していただくことを想定していましたが、少なくとも来年度は含まれないということでございます。
○山縣委員長
今後、設置すれば当然含まれてくるということでいいですね。
○宮腰虐待防止対策推進室長
予算の話になりますので、それ以降の話についてはあれですけれども、少なくとも来年度としてはそういう予定してはいないということです。
○山縣委員長
ほか、いかがでしょうか。
平井委員。
○平井委員
自立援助ホームの立場から、御質問というか、御意見というか、お願いしたいと思いますが、19ページで児童養護施設等を地域分散・高機能化ということで、職員配置基準も加算という形で予算がつきそうですが、自立援助ホームも地域小規模と同じような人員配置だったのです。それもこちらのほうからかなり要望していたのですが、今回につきましては、自立援助ホームの場合は、常勤2人と補助員というままで、せめて1人の加算がつかないことには、今、ほぼ住み込みはなくなっていますので、ローテーションなのです。
そのあたりを考えると、職員がかなり疲弊してしまうというか、そういうローテーションの状況だと厳しい。子どもにも質の高い援助・支援はできないという部分で、このあたりはどういう形でお考えなのかというのを御質問と。
それと、これは要保護関係全般的だと思いますけれども、前から自立支援担当職員の配置というのも言われていたのですが、自立支援の強化という部分では、今後どういうふうに考えていくのか、予算づけをされていくのかというのをお伺いしたいと思います。
以上でございます。
○山縣委員長
では、お願いします。
○成松家庭福祉課長
家庭福祉課長でございます。
おっしゃっていただいたような実態があるというのは、既に団体さんのほうからお伺いしております。今回につきましては、児童養護施設の小規模かつ地域分散化あるいは高機能化というところに予算をつけさせていただいてございますが、実情をお聞かせいただきながら改善していきたいと思っています。
自立援助ホームにつきましては、これも検討課題として既に位置づけさせていただいておりますが、これも財源の話がこれありですので、そういった両面を含みながら、我々としても努めてまいりたいと思います。
以上でございます。
○山縣委員長
では、奥山委員。
○奥山委員
今の配置基準に関連してですけれども、今、医療機関などは、労基署が入り、これまでの当直も夜勤としなければならないと言われています。今、某自治体でつくっている一時保護所で、ユニットにする予定ですが、夜勤でやると1対1以上の職員配置にしないとできません。それでも夜中にバイトを雇わなければいけないという状況です。
これは、地域分散化した小規模施設で、子ども6人のところに3人に1人プラスして、4人の職員で本当にできるのかというところを、もう少しきちんと考えてほしいと思います。労働基準法に合わせ、夜勤としてやって、これでできるとお考えなのかどうかをお聞かせいただきたいです。
○山縣委員長
はい。
○成松家庭福祉課長
夜勤の問題も含め、これから施設のほうにはそれ相応の手厚い体制、1人のお子さんに対して手厚い体制をとっていくということが大事だと思います。今回の6対3から6対4というもので、ビジョンにお書きいただいていますし、あるいは策定要領とかでも書かせていただいているとおり、6対4で完成という、これ以上は全くないというわけではなくて、今はまだそういった内容を拡充しながら、一歩ずつ充実していくという段階だと理解しています。いずれにしても、財源を確保しながら、我々としても段階的になるかもしれませんけれども、そういったことを進めていきたいと思ってございます。
○山縣委員長
ありがとうございます。ほかの部分も基本的には一緒だと思いますので、財源確保をよろしくお願いします。
では、宮島委員、お願いします。
○宮島委員
何点か質問させていただきたいと思います。
1つは、今、奥山先生と同じ、地域分散化するときに不安なくできるかという点で、職員配置のことがとても大事だと思いますので、終わったようですけれども、もうちょっとしつこくそこを質問させていただきたいというのが1つ。
あと、在宅支援をとにかく充実させなければいけないという観点で、未就園児全戸訪問というのが始まる。これについて聞きたいということです。
また、在宅の支援メニューについて充実していただかないといけないと思いますので、31年度はもうすぐ始まってしまいますが、31年度が始まれば、今度は、32年度の予算要求が始まると思いますので、そのことも含めて在宅の支援メニューのことをお聞きしたいと思います。
まず、職員配置のことです。地域小規模等の場合は、現行で子ども6人対3人を子ども6人対4人にする。確実に通ってほしいと思っておりますが、先ほどの奥山先生と全く同じで、業務が回るのかどうかというのがとても心配です。この4というのは、常勤4人なのか、3人の常勤に非常勤1人なのか、そのぐらいまで知りたい。というのは、来年度から都道府県計画をつくるということですので、業務が回せるのかというのが具体的に知っておきたいのです。
私も困難な子どもたちのケアについては夜勤が必要だと思いますが、現行、ほとんどの児童養護施設は宿直になっている。宿直を4人で回すとしても、4かける7で28という計算ですから、月8回以上の宿直をしなければなりません。これは大変な状況です。今後も常勤4人ではなくて、非常勤の方が1人だというと、場合によっては月10回ぐらいの宿直を覚悟しなければなりません。これは大変な状況です。今後も常勤4人ではなくて、非常勤の方が1人だというと、場合によっては月10回ぐらいの宿直を覚悟しなければいけない。それこそ労基法上問題だということと思いますので、今後最低限、常勤4人の体制を目指さなければ厳しいと考えます。
実際に私は、都内の地域分散化された児童養護施設にお邪魔しているのですけれども、おととしぐらいまではたしか3.5人ぐらいで業務を回していたのです。でも、それでは回らなくて、都で財政措置がなされて、4人配置がいろいろな工夫の中でできるようになった。そのようにして今、職員4人で業務を回していらっしゃるのですがそれでもとてもきつくて、1人体調が悪くなったり、子どもたちに何か生じた場合には本当に疲弊してしまって、宿直が続いたり、翌日も夜8時ぐらいまで残っているといったことがあるので、これについての充実はとにかく確実に進めていただきたいと思いますし、翌年度以降、なお一層の充実をお願いしたいと思います。
その一環として、これは常勤4人なのか、そうでないのかを事実の確認としてお聞きしたいというのが1点目です。
2つ目、続けてよろしいでしょうか。
○山縣委員長
どうぞ。
○宮島委員
資料の4ページで、未就園児全戸訪問事業は大事だと思うのですが、ここでは、6000円の単価であるということですが、実際、どんな人材を想定しているのでしょうか。赤ちゃんの全戸訪問と未就園児、あるいは学齢に達しているけれども、学校に行っていない子どもの家庭を回るということでは、質的に大分違うと思いますし、相当に難しいことが予想されるものもある。外国人の方であれば難しいというわけではありませんけれども、さまざまな困難を抱えやすくて、しかも就学の義務も課されていないために、報道でも学校に行っていない子どもたちがかなりいて、自治体もかなり困難を抱えているということです。
ですので、きちんとした人材を確保するということと、方法論などもちゃんと明確にしていかないと、中身が進んでいかないと思いますので、現行でどの辺まで内容が詰まってイメージされているのかをお聞きしたいと思います。
3点目ですけれども、これは先ほど林先生が御質問されたことと一部重なると思いますけれども、ワーキングでは大勢だったわけですけれども、きょうは予算全体的なことだとすれば、在宅支援メニューを本当に手厚いものにしていかないと難しい。それで、ワーキングのほうでは、ショートステイ・トワイライトステイが中心に書かれているけれども、いろいろなものを市町村に置いていかないといけない。職員の配置基準の弾力化で、学童保育が地方の裁量でできるような形になりますけれども、それが後退になってはいけないと思いますし、学童は子どもたちが帰る生活の場所であるということで、きちんとしていかないといけない。トワイライトもショートステイも重要だと。
同時に、一部の自治体で始めている送迎つきのスーパー学童とか言われていますけれども、夕御飯を食べさせて、お風呂に入れて、送り迎えをする。そういった事業などが一部で行われている。自治体独自の取組で、単価も安くて、継続することがなかなか難しいけれども、週1回子どもが通えて、そういう手厚いケアをすれば、施設入所しなくて済むということが起こる。
養育ビジョンの一番重要なところ、あるいは児童福祉法の28年改正の重要なところは、在宅支援と代替的養育の連続性を実現していくということだと思いますので、ショートステイとかトワイライトステイにとどまらずに、今、申し上げたような、送迎つきで手厚い支援ができるような、そして親子が無理をしないで地域生活ができるような事業をぜひとも充実させていってほしい。
そういう要望も含めてですけれども、申し上げたいと思います。
○山縣委員長
以上3点。
○成松家庭福祉課長
まず、小規模・地域分散化された施設に対する人員配置でございますが、資料2の70ページをごらんいただければと思います。先ほど説明が足りなくて申しわけなかったのですけれども、分園型小規模グループケアあるいは地域小規模児童養護施設というものを左側の現状に書かせていただいてございます。見ていただいたらわかりますが、分園型小規模グループケアだと、常勤が2.5、非常勤が1。地域小規模だと、常勤が2、非常勤2ということで、これをおおむね6対3ということで表現させていただいております。
来年度の改善する予算といたしましては、これにそれぞれについて常勤を1人加配するということを考えてございます。先ほども申し上げたとおり、これで完成形というわけではないと思っておりますし、引き続き財源を確保しながら、常勤の加配がいいかもしれませんし、あるいは常勤、非常勤というものをどうしていくかというのは、来年度以降の検討課題とさせていただければと思います。
○宮腰虐待防止対策推進室長
未就園児等全戸訪問事業の関係ですけれども、今年度も安全確認のほうは各市町村にお願いしておりまして、特段、こういった人でなければならないということを現時点で国のほうで何か申し上げているわけではございません。
○山縣委員長
3点目は今のでいい。在宅支援メニューの充実。
○宮腰虐待防止対策推進室長
在宅支援メニューの充実の関係については、我々としても問題意識というか、認識を持って対応していかなければいけない話だと思っておりまして、先ほどの説明の中にもございました、10ページ目で、拠点を通じたレスパイト等の在宅における養育支援の充実を図るための事業というのは、そういった問題意識を持った中の一つではあるかと思います。さらに充実をという点については、また今後の課題としてしっかり受けとめたいと思います。
○山縣委員長
桑原委員。
○桑原委員
全養協から発言します。
小規模ケアとか地域小規模も含めて、いろいろ御配慮いただいていることはありがたいと思っています。ただ、人数の適正というところでは、課長もおっしゃっていただいたように、これが万全ではないということなので、少なくとも今ある人数の中でやれるだけやるという流れがずっと僕らの児童養護施設関係にはあるわけでして、本当に人数はどれぐらい必要なのか、業務の内容も含め、今後、御検討、協議いただきたいと思うのです。
ケアニーズが非常に高い子どもたちのところに4人の生活単位ということを提示されているのですが、これは養育ビジョンでも出てきたものですけれども、ケアニーズの見立てというか、アセスメントをどこで線引きして、その尺度は何なのか。これは中身も含めて、非常に難しい課題だろうと思います。これがどんどん進んでいくと、恐らくこれは児童相談所が中心に見立てをしていくのでしょうけれども、ケースワーカーの力量とか、そういうものが随分問題になってくるだろうということで、余り格差が生じないようにということを心配しています。
もう一つは、そういったケアニーズの高い子どもたちの4人のグループが、生活の営みとして本当に定着して前に行くのか、生活の学びということにつながっていくのかということで、非常に心配しています。ほかの種別でも、そういった課題を抱えている子どもたちの小規模グループケアはなじまないという発言も以前から出ていると思うのですが、そういったことについても協議する時間をつくっていただきたいなと思います。
いずれにしましても、児童養護施設の場合は地域分散化ということが大きなテーマで出ているわけですが、本体施設にそういう機能を抱えているということの、その質がしっかりとあればあるほど地域貢献はできると僕らは思っていますので、そういった意味でうまく連携がとれるような仕組みを、これは児童養護だけじゃないですが、他の種別も含めて、また御検討いただきたい。これは要望でございます。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございました。
ほかは。安部委員。
○安部委員
資料2の19番、児童養護施設・乳児院等の小規模かつ地域分散化・高機能化及び多機能化ということで、予算のことだけではないのですけれども、乳児院等の中に、本当は心理治療施設とか児童自立支援施設とか母子生活支援施設とか、社会的養育全体の中で市町村で在宅支援でしっかり支え、そこでも難しい子どもを専門的に養育していくという仕組みのはずで、その前提を位置づけて考えなければいけないかなと思っていますので、とりあえず児童養護施設・乳児院を高機能化・多機能化、機能転換ということでいいと思いますけれども、これから先に、繰り返しますけれども、そういうほかの心理治療施設とか児童自立支援施設、母子生活支援施設の高機能化・多機能化ということが考えられているのか、それから議論されていくのかということをちょっとお聞きしたいと思いました。
以上です。
○山縣委員長
その点、いかがでしょうか。
○成松家庭福祉課長
家庭福祉課長です。
7月6日にお示しさせていただいた都道府県推進計画の策定要領におきましても、例えば心理治療施設、児童自立支援施設の在り方とか形態については、これまでの実績等々もありますので、関係者あるいは当事者、有識者の方々とも検討していきましょうということを位置づけてございますので、そういった流れの中で、御指摘のようなことは考えていきたいと思ってございます。
○山縣委員長
奥山委員、北川委員の順番で行きます。
○平田委員
児童心理なので、先にこの関連で。
○山縣委員長
では、先に。その後、奥山委員、北川委員。
○平田委員
済みません、児童心理治療施設ですので、今の流れで一言だけ言わせていただきたいと思います。
もちろん、おっしゃるとおりですけれども、児童心理治療施設のお子さんたちは、地域に戻れないというか、地域から弾き出されているお子さんを、そのまま地域に入れるというのがなかなか難しいことがあるので、地域分散化はちょっと難しいかなと思っております。ただ、職員の数が充実してくれば、小規模とか高機能というのはどんどん取り組んでいくつもりでおります。
ついでに一言だけ。一時保護所の件ですけれども、一時保護所を児童養護施設にお願いするというところで、きめ細かいケアをやると言いながら、ほかの新しいところを改修してというお話があって、愛知県の一時保護所でお子さんが1人亡くなった事件がありまして、そのときの検証報告書が最近出ているのですけれども、これは、前、寮だったところを一時保護所に使っていた。それで、死角が非常に多かった、あるいは危険な箇所があったのだけれども、居住性に関しては問題がないということで使われていて、改修のケースはちょっと注意が必要だろうなということと。
児童相談所が遠いと、ケースワーカーさんたちがタイミングよく訪問することがなかなか難しいということがあって、もちろん養護施設のほうに一時保護をお願いするケースが今たくさんあるのは存じておりますので、ケースによっては養護施設でやれると思いますけれども、その点はちょっと配慮しながら事を進めていかなければいけないのではないかなと思っております。
以上です。
○山縣委員長
委託一時保護の在り方ということで、それも含めて検討したいと思います。
では、奥山委員。
○奥山委員
1つは、先ほど宮島先生がおっしゃったことの念押しですけれども、未就学児等全戸訪問事業が私も気になっていて、これが監視社会につながらないように、訪問は支援のために行くということを明確にしてほしいと思います。就園していないし、福祉サービスも利用していないということで、こんな福祉サービスもありますよということをお伝えするというところがメーンなのだということを、ぜひ市町村のほうにお伝えいただきたいと思います。ただ安全確認に行くとか監視に行くというのでは、これは福祉としてはいかがなものかと思いますので、そこをきちんとしてほしいということの念押しが1つ。
もう一つは、先ほどの4人のところもそうですし、施設で養育するお子さんのケアニーズが今後高くなっていくことは予想されていることですね。一方で、保育士さんが保育園にとられてしまって、都市部の保育園だとかなり賃金を高く設定して保育士を確保しようとしているわけです。そういう意味で、人数をふやすのもとても大切なのですけれども、非常に専門性の高い保育士をきちんとしたお金で雇うということも考えてほしいのです。
ただ年数いればいいのではなくて、難しい子を専門的に養育できる保育士さんを何らかの形で高く設定するとか、保育士の単価をもう少し上げるということを考えないと、人数をふやしても集まらないのではないかというのが、私もとても不安なのですけれども、現場の先生方は不安じゃないのかなというのがちょっと気になっているところです。
○山縣委員長
重要な視点、ポイントを指摘いただきました。
北川委員。
○北川委員
障害のある子の部署が違うということで、いろいろ課題が出てくると思うのですけれども、先ほどのスーパー学童は、放課後デイの問題がいろいろあるところもあります。送迎がついていたり、日中、一時で、夕食を食べて帰ったり。他部局ですけれども、地域には同じようなサービスがありますので、そことの連携をお願いしたいなというのと。
あと、児童養護施設や乳児院だけでなくて、また障害児入所ですけれども、障害児入所は、小規模とか地域分散化は現在ないのですけれども、2月6日から障害児入所の在り方検討委員会が立ち上がりますので、障害児入所のほうでも子どもの家庭養育というものを取り組んでいくということを皆さんに御承知おきいただきたいなと思って意見を言いました。
あと、質問です。24ページですが、何人かの里親さんから質問やメールが来ていまして、20歳、措置を延長が過ぎてから22歳まで、この支援事業ができたのはうれしかったのですけれども、例えば専門学校に行っている子どもとか大学に行っている子どもの生活支援費が1万1020円というのは、就学・就労していない方は5万540円で、この辺がどうなのだろうという質問が来ていたので、ここの根拠となることを教えていただきたいと思います。
○山縣委員長
最後の部分、質問ですね。5万円と1万円の差はなぜ出てくるのか。
○成松家庭福祉課長
詳細を確認させていただければと思います。場合によっては、後ほどまたお答えしたいと思います。
○山縣委員長
では、林委員。
○林委員
16ページの3の虐待を受けた子どもなどへの支援の、四角囲みの黒ポチの下から2つ目に「ファミリーグループカウンセリング事業」とあるのですが、文書によっては「ファミリーグループカンファレンス事業」と混在していて、たしか事業の正式名は「カンファレンス事業」ではなかったかと思いますけれども、御確認ください。
○山縣委員長
これも後で調べていただいて、終わるまでに可能であればお願いします。
では、青木委員。
○青木委員
全児協の青木です。よろしくお願いいたします。
先ほど安部委員からもお話がありました、児童養護施設とか乳児院だけではなく、ほかの社会的養育の関係施設との意見交換もという御意見いただきました。これについては、、成松課長のほうからもお話いただいています。私たち児童自立支援施設の関係も、その話し合いに向けて今、準備していて、しかるべき機会にお話ししたいと思っています。
また、先ほど北川委員からも話がありました、障害のある子どもたちの施設の在り方検討会が立ち上がるのでそこにも社会的養育の視点が必要だということも含まれていますので、さまざまな支援が必要な子どもたちを皆さんで考えているわけですので、それぞれの施設の特性なども考慮しながらの意見交換を深めていきたいなと思っております。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございます。
浜田委員、橋本委員、吉田委員。
○浜田委員
浜田です。私の記憶がたしかならば、前回の委員会のときにはまだオブザーバーでございまして、委員に任命いただいてから、きょうが初めてかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
大変細かい点で恐縮ですけれども、1点確認させていただきまして、その上でちょっとだけ意見を述べたいと思いますが、スライド番号10番、市町村の体制強化等のところで、真ん中の児童虐待防止対策支援事業の中を見ますと、嘱託弁護士の配置加算というのが新規で入っております。これは、今、もし事務局がすぐお答えいただけるようだったらと思うのですけれども、支援拠点という名前で弁護士を嘱託すると、この事業が使えるという理解でよろしいでしょうか。
もう先に意見も言っていいですか。
○山縣委員長
はい。
○浜田委員
踏まえて、意見ですけれども、児童相談所への弁護士配置については、ワーキングでもかなり議論させていただきました。今、10ページに書いてあるのは、今度は市町村のほうの弁護士の嘱託という話でして、これはここから先、大変重要な意味を持ってくるのだろうなと思っております。児童相談所だけ弁護士がいて、市町村にはいないというわけにもなかなかいかないと思っておりまして、福祉にかかわるさまざまな機関にあまねく、と言うとちょっと強過ぎるかもしれませんが、弁護士が関与する、また弁護士が少なくとも相談に乗れるという体制をつくっていくことというのは、今後重要になってこようかと思いますので、この事業には大変期待するところでございます。
以上でございます。
○山縣委員長
時間の関係で、吉田委員のところで切らせてください。質問については、事務局に最後に一括してお答えいただきたいと思います。
では、橋本委員。
○橋本委員
ありがとうございます。
今、奥山委員のほうから専門職人材の話が出たので、その確保の問題について、いろいろな問題点があると思いますけれども、1点だけ話をさせていただきたいと思います。どういうことかというと、社会的養護施設がファミリーソーシャルワークの地域拠点に進化していくために施設規模を縮小し地域支援を充実していこうとすると、むしろ専門職人材を失うリスクがあるということを、今日この場で指摘しておきたいと思います。
具体的に言います。例えば、児童養護施設において、入所定員40人を切ると栄養士の配置がなくなります。それから、30人を切ると家庭支援専門相談員の複数配置加算を失います。つまり、29人になると家庭支援専門相談員を1人減らしなさいということになります。対象児童数で言うと15人の壁があって、これが足りないと看護師加算はアウト。それから、10人の壁で、対象児童が10人を切ると、心理職員もアウトになります。施設の定員を小規模化し、減らしていく。そして、人材を地域支援に向けていけばいくほど、そういう専門職人材を失うという制度上の不具合について、課のほうはどう考えているのか。
希望としては、専門職配置に係る人員要件を廃止してほしいというところですけれども、この辺、お聞きしたいと思います。
以上、1点です。
○山縣委員長
中村委員。
○中村委員
これは意見ですけれども、先ほどの桑原委員の御意見をお聞きしていると、今後の小規模化・高機能の部分でしっかり議論が必要だということで、それが都道府県推進計画の見直しの部分にもなってくると思うのですが、そうなると、子どもたちや経験者の声というのも必ず聴取するということを改めて各自治体にお願いしたいところです。
以上です。
○山縣委員長
吉田委員。
○吉田委員
質問させていただきたいのですけれども、36の下の児童相談所体制整備事業の医療連携支援コーディネーター配置事業について、お尋ねしたいのですけれども、この医療連携支援コーディネーターを設置される対象となる子どもたちですけれども、うちでも精神のほうの病院に入院しているお子さんをお預かりしておりますが、そういう子どもたちに対しても、退院後コーディネートしていただいて、それから後、どんな人生を送るかということを支援していただける対象になるのかどうかを、ちょっとお聞きしたいというのと。精神科は1カ月、2カ月、3カ月という単位で入院しますので、こういうコーディネーターは必要じゃないかと思いますので、お聞きしたいと思います。
以上です。
○山縣委員長
ありがとうございます。
では、今までのところで一括して、順番は適当に組みかえていただいて結構です。
○成松家庭福祉課長
それでは、私のほうから橋本委員の御指摘についてでございますが、先ほどおっしゃっていただいたように、一定規模を割ると配置がふえなくなるというのは、今はそういう体系になっているというのは事実でございます。おっしゃっていただいたように、小規模化を図っていく、あるいは地域分散化を図っていって、どのように人員をカウントする、この要件をどうしていくかというのは、一つの大きな課題です。ディスインセンティブになってはいけないと思いますし、あるいは専門性が損なわれてはいけないと思いますので、どういう形がいいかというのは、引き続き検討させていただければと思ってございます。
あと、中村委員がおっしゃった、各自治体の計画策定における当事者の参加の話でございますが、今、ちょうど自治体に対してヒアリングしておりまして、自治体でも検討が進んでいるところ、あるいはこれからするところもありますので、いろいろ工夫されているところがございますけれども、優良事例とか、いい事例があれば横展開していくという形で、策定要領にも書かせていただいたような、当事者の意見をしっかり聞くことができるということを各自治体にもお願いしてまいりたいと思ってございます。
○宮腰虐待防止対策推進室長
林委員から御指摘いただいた「ファミリーグループカウンセリング」のところは、「カンファレンス」が正しい事業名となっております。誤りでございます。申しわけありません。
あと、浜田委員から御指摘いただきました、弁護士の嘱託の加算につきましては、拠点における加算ということになります。拠点でそういった支援を受ける場合の加算でございます。
以上でございます。
○山縣委員長
前段で残っていた2つについては、今の段階では難しいと。
○成松家庭福祉課長
後ほど個別にお答えできれば。
○山縣委員長
できたら全員に流してほしいですね。委員で共有したいと思います。
○松本委員長代理
済みません、後ほどというのは、この会が終わってからという意味ですか。では、全員に流していただかないとまずいですね。
○山縣委員長
ありがとうございました。
当初予定していた時間がほぼ来てしまいました。まだまだいろいろな質問があろうかと思いますけれども、最後、事務局のほう、今後のことも含めて、本日確定させていただいた報告書の今後の取り扱いと、この委員会の今後の在り方について、わかっている範囲でお話いただけたらと思います。
○成松家庭福祉課長
御審議ありがとうございました。
ワーキングの報告書につきまして、今回この委員会でも御報告させていただいたところでございますが、このワーキングの報告書につきましては、今後、法律改正が必要な事項、あるいはその他予算とか、さまざまな事項を分けさせていただきまして、次の通常国会に提出できるよう各方面と調整を進めてまいりたいと思いますし、その状況につきましては、適切なタイミングでこの専門委員会に御報告したいと思ってございます。
また、そういったことも含めて、今後のこの専門委員会につきましては、委員長、委員長代理とも相談させていただきながら、いろいろな課題がございますので、その課題について検討していただくことになろうかと思いますけれども、またその辺の段取りについては、相談させていただければと思います。
○山縣委員長
ということで、今すぐ当面の日程はありませんが、この進捗状況とか今後の世の中の動きにあわせて、少なくとも情報提供、先ほどの質問に対する積み残し分も含めて、委員のほうに適宜必要な情報を提供いただけたらと思います。
日程調整につきましては、また必要な段階が来たときに皆さん方と調整したいと思います。
どうぞ。
○奥山委員
全員に流すのもいいのですけれども、ホームページや議事録の中に後で回答した分も入れていただきたい。
○成松家庭福祉課長
皆様に見られる形で考えたいと思います。
○山縣委員長
わかりました。ありがとうございました。
では、本日の第25回の専門委員会を終了したいと思います。御協力ありがとうございました。
(了)
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