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2017年12月22日 第58回医療部会

医政局総務課

○日時

平成29年12月22日(金)10:00~12:00


○場所

全国都市会館 第2会議室(3階)


○議事

○医療政策企画官 それでは、ただいまより第58回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいましてまことにありがとうございます。

 医療部会の総委員数が24名、定足数は3分の1の8名となっております。

 本日は、安部委員、阿真委員、井上委員、猪口委員、菊池委員、久喜委員、平川委員から御欠席との御連絡をいただいております。

17名の委員の皆様が御出席ということですので、定足数に達しておりますことをまず御報告申し上げます。

 また、荒井委員はおくれて御出席との御連絡をいただいております。

 次に、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 お手元に、議事次第、座席表、委員名簿のほか、資料1、2、3、参考資料1-1、1-2、1-3、2-1、2-2をお配りしております。不足がございましたらお知らせください。

 それでは、以降の進行を永井部会長にお願いしたいと思います。

 部会長、よろしくお願いいたします。

○永井部会長 それでは、最初に、欠席の安部委員の代理として森参考人、猪口委員の代理として神野参考人、菊池委員の代理として吉川参考人、平川委員の代理として伊藤参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○永井部会長 ありがとうございます。

 では、議題に移ります。

 「医師偏在対策について」。医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会の第2次中間取りまとめが行われたということでございます。これについて、最初に事務局から説明をお願いいたします。

○医師養成等企画調整室長 それでは、資料1をごらんいただけますでしょうか。医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会において第2次中間取りまとめをいただきましたので、御説明させていただきます。

 まず「はじめに」から、背景、基本的考え方、具体的な医師偏在対策、今後の課題という5部構成になっております。

 「1.はじめに」から御説明させていただきます。

 医療従事者需給に関する検討会は、昨年6月に1次の中間取りまとめを行って、本年9月以降、さまざまな御議論をいただきまして、この第2次中間取りまとめに至ったものでございます。

 「2.医師偏在対策が求められる背景」でございますけれども、大きく3点ございます。

 まず(1)といたしまして、医師偏在等の現状と是正の必要性の御説明でございます。

 2つ目の○でございます。現在、最新の平成28年の三師調査によりますと、開きが若干少なくなってきているところでございますけれども、最大の徳島県、最小の埼玉県で2倍程度の開きがございます。また、二次医療圏ごとの人口10万人対医師数という単純な指標でございますけれども、そういうもので見ても、最大と最小の医師数が2倍以上開いている現状にございます。

 3つ目の○でございます。診療科におきましても、特に長時間労働が常態化している外科や産婦人科を中心に余り増加しない一方で、大きく増加している診療科もあるというところでございまして、診療科の偏在が指摘されているところでございます。

 (2)新専門医制度が大きなものとしてございます。新専門医制度は専門医の在り方に関する検討会が平成25年に取りまとめたところでございますけれども、その後、平成29年4月の開始に向けて準備が進められておりました。ただし、地域医療の関係者や地方自治体から、新専門医制度の施行によって地域偏在がさらに助長するのではないかという懸念が示されたことを踏まえ、開始が1年延期されております。厚生労働省としても、日本専門医機構にさまざまな御要望をお伝えしているところでございます。現在、日本専門医機構において要請を踏まえた対応を行っておりますけれども、今後とも、医師のキャリアや地域医療に対する配慮が継続的になされるよう安定的な仕組みを整えておく必要があるとまとめられております。

 もう一つは、働き方改革でございます。働き方改革の大きな流れに沿いまして、本年3月、働き方改革実行計画がまとめられておりますけれども、その中で、医師に関する時間外労働の具体的なあり方を検討することとなっておりまして、平成29年3月から2年間をめどに結論を得ることとされております。

 その施行に際しまして、医療現場に混乱なく、医療ニーズがあるにもかかわらず、医師が不足している地域で必要な医師数が確保されるようにするために、実効性のある医師偏在対策が講じられることが前提となるということでございます。

 4つ目に、医師、都道府県を主体とする医療政策の実施体制の構築でございます。現在、社会保障制度改革国民会議の報告書などの方針に基づいて、地域医療構想を含む医療計画の策定、また国民健康保険の財政運営の主体の都道府県などがなされているところでございます。管内の医療政策において都道府県が中心的な役割を果たす体制が構築されるところでございます。

 次の4ページでございます。そのため、医師偏在対策を進めていくに当たっても、都道府県が主体的に医師偏在対策を講じることができるようさまざまなデータの整備などが必要だという考え方が示されております。

 「3.今回講ずべき医師偏在対策の基本的な考え方」でございます。まず、医師偏在対策に対する有効な客観的なデータの整備を挙げられております。医師偏在対策に有効な客観的なデータといたしまして、今までは非常に単純でございますけれども、先ほども御紹介いたしましたが、人口当たり医師数といったものが便宜的に使われていたわけでございますけれども、本来、医療ニーズに合致した効果的な医師偏在対策を実施することができるような客観的なデータを整備するべきだということでございます。

 2つ目に、先ほど都道府県が今後の医療体制を主体的に担っていく方向性だと申しましたけれども、それを担っていくためには、体制を構築しなければならないわけございまして、都道府県が地域の医療ニーズを踏まえて医師確保対策を主体的に実施することができるようなさまざまな仕組みを整える必要があると考えております。

 3つ目でございます。5ページでございますが、医学部、臨床研修、専門研修を通じて、医師はみずからが研さんを積んだ土地に長期間定着するというデータがさまざまなデータでございますので、そういったところでも医師偏在対策を講じる必要があるという考え方でございます。

 4つ目に、医師の少ない地域での勤務を促す環境整備の推進でございます。医師の地域偏在の解消は、医師個人の自己犠牲や努力のみによって解決されるものではなく、さまざまな関係者による実効的で持続可能な仕組みが必要不可欠であります。そのような考え方が示されております。

 そして、5ページ目以降、「4.具体的な医師偏在対策」で具体的な医師偏在対策のさまざまな対策を書かせていただいているところでございます。

 まず1つ目に、都道府県における医師確保対策の実施体制の強化といたしまして、医師確保計画を明確に策定するという方針を出しております。今、医療計画において、「医療従事者の確保に関する事項」という小さな事項の部分で医師確保に関することに触れられることになってはいるのですけれども、それを抜き出して、次のi)からiii)までに書かれているようなことを明確に記載して、法律上に位置づけるということを書かせていただいております。

 その3つの方針のまず1つ目、都道府県内における医師の確保方針でございます。医師偏在の是正のために、人口や医療ニーズの変化などの分析を踏まえて、あるべき医師確保の方針を定めること。

 2つ目といたしまして、医師偏在の度合いに応じた医師確保の目標でございます。後ほど指標の御説明をいたしますけれども、医師偏在の度合いを示す指標を踏まえて、i)で設定した医師の確保方針に基づいてどれぐらいの医師が必要なのかという目標を具体的に設定するということを書かせていただいております。

 3つ目として、ii)で設定した医師数の目標を達成するための対策ということで、医師が少ない地域に対する医師派遣のあり方や、医師養成過程を通じた医師の地域定着策等の医師確保対策を定めることとしたいと思っております。

 6ページでございますけれども、これを「医師確保対策」というふうに呼称して、3年ごとにその内容を見直すべきと考えております。

 その中で、2つ目の○でございますけれども、地域ごとの医師の多寡を全国ベースで客観的に比較・評価可能な医師偏在の度合いを示す指標を設定すべきであるということを記載しております。

 もう一つ、都道府県の役割の強化でございますけれども、地域医療対策協議会の実効性の確保でございます。この医療部会でも前回資料でお示しいたしましたけれども、今、地域医療対策協議会を都道府県ごとに開くことにはなっておりますが、都道府県ごとにかなりばらつきもございます。

 そのため、2つ目の○でございますけれども、地域医療対策協議会をきちんと明確化して、さらに、都道府県が行っているさまざまな会議、地域医療支援センター運営協議会やへき地医療機構、昨年示した専門医協議会など、そういったものをきちんと統合して、でき得る限り実効性のある議論をしていただくという地域医療対策協議会の実効性の確保を打ち出しております。

 もう一つは、効果的な医師派遣等の実施に向けた見直しでございます。都道府県の行う地域医療支援センターの事務の実効性を強化するためにさまざまな見直しを行おうと思っております。

 代表的なものといたしましては、7ページ目にある2つ目のポツでございますけれども、修学資金貸与の医師を今後大幅に増加してまいりますので、そういった方々を、大学との連携のもと、地域医療対策協議会の協議を経て、都道府県で責任を持った派遣方針を決定するということを示して、地域医療支援センターの強化を図っていきたいと考えております。

 (2)といたしまして、医師養成過程を通じた地域における医師確保でございます。

 まず1つ目は医学部でございますけれども、都道府県が管内の大学に対して入学枠の中に地元出身者の枠の設定と増員を要請することができる制度を法律上設けるべきだという意見となっております。また、その際には、地域枠でない地元出身者の医師についても、当然、地域医療支援センターが積極的にキャリア形成プログラムの策定などを行って、都道府県として大学と連携して積極的な支援を行うという方針が示されております。

 8ページ、臨床研修でございます。臨床研修におきましては、今、国で臨床研修病院の指定等を行っているわけでございます。1つ目の○でございますけれども、地域の実情を踏まえた臨床研修病院の指定や定員設定が行われるよう、国から都道府県に権限を移管して、大学病院も含めた臨床研修病院の指定や定員の設定は都道府県が主体的に行うことができるようにという方向性を示しております。かといって、自由に指定していいというわけにはなりませんので、臨床研修の質はきちんと担保しなければならないと考えておりまして、国がその指定基準については定めよと考えております。

 少し小さな論点でございますけれども、2つ目といたしまして、臨床研修医の募集定員算定方式の見直しといったことも議題として出させていただいております。

 3つ目といたしまして、専門研修でございます。去年から、新専門医制度における行政の役割といたしまして、厚生労働省から都道府県にさまざまなお願いをしているところでございます。特に9ページの2つ目のポツでございますが、研修プログラムの認定前に国や都道府県がそれぞれ審議会・地域医療対策協議会の意見を踏まえて、日本専門医機構や学会などに対して、地域医療の観点から必要な措置の実施について意見を述べることができるという、現在、厚生労働省からお願いしていることでございますけれども、それをきちんと明確化しようと考えております。

 2つ目といたしまして、医療ニーズを踏まえた診療科ごとの必要な医師数を目安として明確化しようというところを出しております。

 (3)といたしまして、地域における外来医療機能の不足・偏在等への対応という議題を出させていただいております。現在、外来におきましては、地域で中心的に外来医療を担う無床診療所の開設状況が都市部に偏っていたり、診療所における診療科の専門分化が進んでいるという現状がございます。

 3つ目の○でございますけれども、地域ごとの疾病の構造や患者の受療行動の特性など、より詳細な付加情報等が必要だと考えておりまして、さまざまな情報について地域の医療関係者と事前に協議を行って、現在、地域ごとの外来医療機能の偏在・不足などの客観的な把握をできるようにしたいと考えております。

 なお、最後の○でございますけれども、この協議の中では、地域における救急医療体制の構築や、逆に充実が必要な外来機能や充足している外来機能に関する外来医療機能についての方針についてもあわせて協議を行って、地域ごとに方針決定をできるようにする。また、この協議については、地域医療構想調整会議を活用して議論を進めてはどうかというふうに示しております。

 次に、10ページでございます。医師の少ない地域での勤務を促す環境整備の推進でございますけれども、医師の少ない地域で勤務する医師が疲弊しない持続可能な環境の整備を打ち出しております。医師が少ない地域での勤務を行うに当たって、例えば医師の少ない地域で勤務を行う医師が、都市部に住みながら、グループ診療などを通じて疲弊せずに地域での医療に集中できる体制や、2つ目といたしまして、医師の少ない地域で専門外の症例を行うときに、地域の中核病院から後方支援をすぐに受けられるという形で、医師間の相談や診療に対する支援を行ったり、また、プライマリーケアの地域医療に関する医学教育を充実したり。また、さまざまな調査で、若手の医師はキャリアに対する心配や出産・育児のライフプランに関する心配が出ておりますので、医師の少ない地域で勤務を行った後もキャリアがきちんとつながったり、専門的な研さんが受けられる支援をする必要があるということを書かせていただいております。

 2つ目といたしましては、医師が少ない地域での勤務のインセンティブとなる認定制度の創設でございます。医師が医師の少ない地域で勤務することを後押しするために、医師少数区域等に所在する医療機関で都道府県知事が指定したものについて、一定期間以上勤務した医師を当該医師の申請に基づいて厚生労働大臣が認定する制度を創設したいと考えております。この認定制度にいたしましては、一番下の3つ目の○でございますけれども、認定を受けた医師を広告可能な事項に追加したり、11ページでございますけれども、そういった認定医師を派遣したりする医療機関に対する経済的なインセンティブや、その医師派遣に当たって、医師と医療機関の間をマッチングする仕組みといったさまざまな支援が必要だと考えております。

 その医師派遣を支える医療機関に対する経済的インセンティブが11ページの(2)でございます。医師派遣要請に応じて医師を送り出す医療機関も、医師派遣に関するさまざまな調整を行わなければなりませんので、例えば3つ目の○にありますとおり、都道府県に新たに明確に位置づけている地域医療対策協議会などと連携して、そういった医師派遣方針に基づいて地域医療支援センターで医師などを派遣することになります。そういったマッチング機能を担う医療機関でありますので、そういったことに対してさまざまな経済的なインセンティブを付与するという方向を示しております。

 そのインセンティブといたしましては、1つ目の○でございますけれども、税制や補助金、診療報酬などさまざまな評価について検討して、必要な経済的インセンティブが得られるような仕組みを構築したいと考えております。

 3つ目のインセンティブとして、認定医師に対する一定の医療機関の管理者としての評価でございます。そういった認定医師はさまざまな地域に勤務しているわけですので、それなりに地域医療の経験を持つ医師でございます。医療機関の管理者には地域への貢献も含めた幅広いマネジメント能力が求められますので、一定の医療機関の管理者に求められる基準の1つとしてはどうかと考えております。

 その対象となる医療機関でございますけれども、2つ目の○でございます。まずは、先ほど申し上げた地域の医療機関と連携しながら地域医療を支えるという制度上の目的を有する地域医療支援病院のうち、医師派遣、環境整備機能を有する病院としたいと考えおりまして、今後、具体的な医療機関のあり方について検討するというふうに考えております。

 最後に、12ページでございます。今回のさまざまな医師需給分科会での議論の中で、これは将来に向けた課題だということで両論を併記している問題が3つございます。

 まず1つは、専門研修における診療科ごとの都道府県別の定員設定でございます。新専門医制度は、今、来年度の開始を目標にしているところでございますけれども、診療科ごとに都道府県別の定員を設定し、臨床研修などと同じように、地域における診療科偏在を是正していくべきという御意見。また、定員設定などの導入はまだ時期尚早であって、今回示すもので、今回の対策の効果を見るべきだという意見などがございました。

 2つ目に、最後に説明いたしました認定医師に対する一定の医療機関の管理者としての評価でございます。管理者の基準といたしまして、その範囲について、対象医療機関は診療所も含めた全ての医療機関とするべきという御意見の方。

 また、そういった制度は、3つ目のポツでございますけれども、現状では医師みずからの意に反して医師の少ない地域で診療することを促す仕組みとなってしまうので、医師本人にとっても患者にとってもメリットとならないのではないかという意見がございました。

 また、3つ目の、無床診療所の開設に対する新たな制度上の枠組みの導入にいたしましても、そういった枠組みをするべきだという御意見がある一方で、憲法上の問題などさまざまな問題がございますので、非常に難しい、そのような枠組みの実現は法的にも困難であるという意見があったところでございます。

 いずれにせよ、先ほど4で検討させていただいているさまざまな政策について、下から3行目でございますけれども、十分な効果が生じていない場合にはさらなる医師偏在対策について早急に検討するべきだと。また、今回4でまとめた政策について速やかに検証を行うべきであるということを書かせていただいております。

 そして(2)といたしまして、今後もさまざまな都道府県の役割が重要になってまいりますので、都道府県における医療行政能力の向上のための取り組みの必要性といたしまして、厚生労働省としてもより実効的な医療政策を講じることができるように、研修の実施や人事上の配慮について適切な対応を検討するべきであるというふうにまとめさせていただいております。

 さまざまな御議論をいただいたところでございますが、以上のような取りまとめをいただいたところでございます。

 御説明は以上でございます。

○永井部会長 ありがとうございます。

 それでは、ただいまの説明に質問、御意見をいただきたいと思います。

 遠藤委員、どうぞ。

○遠藤委員 これまで、中山間地域や離島を多く抱えております町村の立場として、医師偏在対策を進めていただくようにたびたびお願いをしてまいりました。今回、一歩踏み込んだ医師偏在対策を進める方針をお示しいただいておりまして、医師不足の問題に真摯に向き合い、医師需給分科会で熱心に御議論いただいた先生方、そして厚生労働省の事務局の方々に感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

○永井部会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 楠岡委員。

○楠岡委員 今回のまとめは、基本として都道府県を単位にして行っている形で、それぞれの都道府県内にある大学を中心として、地域枠の有効活用ということになっているかと思うのですが、現状において、病院の医師の派遣元というのは必ずしも同じ県内にある大学ばかりではなく、他の都道府県に存在する大学からの派遣もあって、今、それぞれの病院はかなりいろいろな努力をしながら医師の確保に努めている状況です。今回示された形で推し進めるのはいいことですが、これを理由に、新たな医師の引き上げが起こらないように、すなわち他の都道府県に派遣している医師を自分の県に戻すということで、かつてのような引き上げということが起こらないように、現状に関しては固定しながら置きかえていくというところも十分配慮していただきたいと思っております。

○永井部会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 木戸委員。

○木戸委員 この対策を拝見すると、地域偏在に関してはいろいろ踏み込んだ対策が書かれているのですけれども、外科や産婦人科など労働条件が非常に厳しいところで医師が不足しているところがございますが、そういった診療科偏在に関してもう少し意見とか対策の提案などはあったのでしょうか。

○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。

○医師養成等企画調整室長 診療科偏在にいたしましては、9ページでございますけれども、医療ニーズを踏まえた診療科ごとに必要な医師数の明確化をするという方向で議論がございました。その議論の中で、示すだけではなくて、何か枠のようなものをつくるべきではないかという御意見も一方でございましたけれども、望まない診療科に無理やり医師をやるというのもなかなか難しい政策でございますので、まずは診療科の必要な医師数を明確化することで今後の検討課題とするべきではないかという御意見でまとまったところでございます。

○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。

 伊藤参考人、どうぞ。

○伊藤参考人 今回、都道府県に主体的に医師偏在の役割を大きく担っていただくということは新しい取り組みとして期待しているところでありますが、前にも発言させていただきましたけれども、都道府県間の格差もあることを考えますと、それが固定化されないようにしないといけないと思っています。11ページの3つ目とか4つ目のところに、都道府県を越えた医師派遣とかマッチングとかもありますし、最後の検討のところで、厚生労働省の役割として研修とか人事上の配慮とかもありますので、こういうところも認識を持ちながら、さらに都道府県間の格差是正という観点も引き続き持っていく必要があると思っています。そうしていただきたいと思います。

 あと、6ページの地域医療対策協議会の実効性の確保のところで、今回、地域医療対策協議会その他の会議体を統合していくということで、これを実効ある場にしていくという考え方が示されているところです。6ページの(2)の1つ目の○ですけれども、「構成員について見直しを行い、具体的な医師確保対策の実施を担う医療機関を中心に再構成をするよう」とあります。現状を見ますと、地域医療対策協議会や地域医療支援センター運営協議会などには、患者や被保険者といった地域の住民代表も入っておりまして、ぜひそのような観点の意見が反映できるような仕組みについて引き続き考えていただきたいと思います。

 最後ですが、無床診療所のところにつきましては、今回、問題意識としましては、都市部に偏っているということが書かれておりました。最終的には、12ページの一番下ですが、検討という扱いで、結論は両論併記という形になっております。営業の自由という指摘はありますけれども、医療保険制度における皆保険ということも考えまして、引き続きこの無床診療所の開設における制度上の枠組みは検討していっていただきたいと思います。

 以上です。

○永井部会長 邉見委員、どうぞ。

○邉見委員 私もこれにかかわっていた者として、方向というか、ベクトルの向きはいいのですけれども、ベクトルの大きさが少し小さいように思います。ですから、できるだけ早くにこの実効性があるかどうかを確かめて、二の矢、三の矢を撃っていかないと、地域が崩壊してしまってから偏在がとまったということではよくないと思っております。

 それから、先ほど木戸委員もおっしゃいましたけれども、偏在は地域偏在だけでなくて、診療科偏在も大きな問題ですし、もう一つは業態です。入院医療をやる人と、診療所の外来だけしかやらない、無床診療所がビル診療などでどんどんふえている。この医師の業態です。どういうふうな業、実際の診療業務をやっているかということ。やはり入院医療が厳しいわけでして、外来医療というのは、ビル診療とか、都市にローリスク・ハイリターンを求めてどんどん集まっている。これを是正しない限り、今度の働き方改革によって田舎で一生懸命やっている人がますます抑えられますので、田舎の医療はどんどんと衰えていくというか、厳しくなっていくような気がします。その辺のところも考えていただきたいと思います。

○永井部会長 私から一言。

 そういう意味では、新専門医制度のあり方が非常に重要なわけです。9ページに、国が審議会の意見を踏まえ、必要な措置の実施について専門医機構に対して要請できる、専門医機構等は、正当な理由があればこれらの要請への対応が免除されるとされています。この正当な理由であるかどうかは国の審議会あるいは都道府県の協議会が判断するということでよろしいのでしょうか。

○医事課長 医事課長でございます。御質問ありがとうございました。

 専門医機構は、正当な理由があればということでございますので、客観的事実ですとか、前後関係をきちっと調べていただくということで、まず一義的には、専門医機構でそのあたりはしっかり御審議いただくことになるかと思います。ただし、国の審議会等で、全体的な動向ですとか地域偏在、地域医療に与える影響もしっかり見ていただきますので、そういった全体を見据えた上で最終的に判断していくことになろうかと思います。

○永井部会長 そうすると、昨年、専門医制度についてはプロフェッショナルオートノミーに任せるべきという大臣談話が出ているわけです。それからは後退したということなのか、それとも談話とは整合性がとれているということなのでしょうか。

○医事課長 それと整合性がとれていると考えておりまして、プロフェッショナルオートノミーの世界で、医師の養成ですとかプログラムの作成などを行っていただくわけでございます。ただし、大臣談話にございますように、そうして作成されたものが地域医療に大きな影響を与える、地域偏在ですとか医師不足を悪化させるようなときには、国としてしかるべき対応をとっていただくように専門医機構に要請することになりますので、そこは従来からとっているスタンスと整合性がとれていると考えております。

○永井部会長 基本的にはプロフェッショナルオートノミーに委ねるけれども、局面によっては国も関与するということでしょうか。

○医師課長 おっしゃるとおりでございます。

○永井部会長 そういう理解でよろしいですね。

○医事課長 はい。

○永井部会長 いかがでしょうか。

○中川委員 先ほど一歩踏み込んだ医師偏在対策というお褒めの言葉がありましたが、申しわけないですけれども、私、全然進んでいないと思います。

 この流れとして、1つは、医師を派遣する医療機関を評価しようという流れ、もう一つは、医師が自主的に医師の少ない地域で勤務することを促そうという仕組みの2つが混在していると思います。

 ただ、非常に違和感を感じるのは、医師を派遣する医療機関を評価しよう、そのことによって偏在を解消しようというのは違うと思います。あくまでも医師が自主的に偏在解消のために動くのだ、医師の少ない地域で働くのだということを促す仕組みが第一で、第二も、第三もそうだと思います。若い医師は物ではないのですから。そのことをしっかりこのまとめに。一貫した流れがないなという気がします。

 そして12ページの「5.将来に向けた課題」の(2)の3つ目のポツ「現状では医師自らの意に反して医師の少ない地域で診療することを促す仕組みとなるため」という意見があったと。「医師自らの意に反して」と。どうしてこういうふうに書きますかね。医師はみんな医師の少ない地域で診療することを嫌がっているのですか。こういうところで働く仕組みを導入する背景・理念には、例えばアカデミアに将来ずっといて、大学病院で偉くなるとか、そういう人こそ若いときに一時的にこういう地域で診療を経験するのが大事だと思います。そういうことも流れとしてはっきりしない。

11ページの「(3)認定医師に対する一定の医療機関の管理者としての評価」の2つ目の○ですが、今のところ合意できているのは、地域医療支援病院のうち、医師派遣・環境整備機能を有する病院だけなのですか。それ以外はこの分科会では対象の医療機関は想定されなかったのですか。事務局、お答えをお願いします。

○永井部会長 では、先に荒井委員、どうぞ。手短にお願いします。

○荒井委員 中川さんの意見に相当違和感があります。というのは、医師の立場をどのように考えるべきかというのが基本的にあると思うのですけれども、医師も自由業の医師と勤務医の医師とあります。勤務医は労働基準法に従わなければいけない。労働基準法に従わない勤務医というのはあり得ないというのが基本でありますが、それを医師の立場をどのようにマネジメントするのか、医師の立場を環境整備とキャリアパスをどのようにマネジメントするのか、自分の好きなように勤務医で働く医師は存在が認められないです。労働基準法の中でしか医師の立場はないのが基本だと思いますので、そのことを堅持しないと、そもそも医師は特別だ、労働基準法もすっ飛ばすのだという話だと全く話にならないと私は思います。労働基準法をどのように医師に適切に適用するのかというのが大基本だと思います。その中で、こういうやり方はどうだ、ああいうやり方はどうだというのを試行錯誤されているように思います。今、試行錯誤するしかないから基本的な考え方としておかしいというのは、私は全くおかしいと思います。

○永井部会長 中川委員、それから加納委員。

○中川委員 労働基準法を守らなくていいなどと一言も言っていないし、そもそもそんなことを考えていません。労働基準法が適用になるのは、どこで勤務するか決まった後の話です。その決まるまでの過程のことを今申し上げているのです。そんなことは全くありません。

○永井部会長 加納委員、どうぞ。

○加納委員 中川委員と同じ意見です。

 勤務する医師のあり方に関しては、今、知事がおっしゃった考え方だけでは医者は違うと思っています。そういう面では、今の御発言にちょっと違和感を感じました。

○中川委員 事務局の答えがありません。

○永井部会長 では、先に事務局。

○医師養成等企画調整室長 済みません。さまざまな議論がある中で、先ほど中川先生に指摘いただいた点です。我々も、5ページのところでそのまま御説明すればよかったのかもしれませんけれども、済みません、読み飛ばしてしまいました。「3.今回講ずべき医師偏在対策の基本的な考え方」の(4)のところで、1つ目の○の下の2行が非常に重要なポイントだと思っておりまして、「若手の医師のみが、その意思に反して、強制的に医師の少ない地域に行かされるような仕組みであってはならない」ということは我々も一丁目一番地で考えているところでございます。

 また、管理者として評価する医療機関の範囲でございますけれども、医療分科会においては、地域医療支援病院ぐらいにするべき、また、こういった地域医療支援病院の医師派遣環境整備機能を有する病院とするべき、また、診療所も含めた全ての医療機関を対象とするべきというさまざまな御意見がございました。その御意見につきましては、12ページの(1)の(2)にまとめさせていただいているところでございますけれども、今回、取りまとめについてはこういう形で取りまとまったところでございます。

○永井部会長 島崎委員、どうぞ。

○島崎委員 医師の派遣機能に関して言うと、自主的に各々の医師がそれぞれの希望に即して勤務病院を選ぶというのがベストだろうと私も思います。ただし、それぞれの医師のキャリアパスを考えながら、中核となる医療機関が僻地への一種の医師派遣機能を持つこと自体がおかしいとは思っておりません。そのことを申し述べた上で、5ページの都道府県における医師確保対策の実施体制の強化に関して、「法律上、明確に位置づける」と書いておられるので、質問および意見を申し上げたいと思います。

 まず、比較的簡単な質問からします。5ページの「医師偏在の度合いに応じた医師確保の目標」のところに「医師確保計画の期間内に都道府県内において確保すべき医師数の目標を設定する」となっています。これは、47都道府県の目標値を合計すると、全国の医師数の目標値と合致するのでしょうか。つまり、全国的な調整の仕組みのようなものがあるのか、各都道府県が積み上げたものと全国的なマクロの数字とは一致しないということになるのか、その点についてまず教えていただきたいと思います。

○医師養成等企画調整室長 もちろん、これは都道府県ごとに定めることにはしておりますけれども、都道府県が全く独自の判断で自由に決めてもいいというものではなく、国として一定の指針、地域医療構想や医療計画でもそうですけれども、そういったものを示した上で定めていただくことになると思いますので、もともときちんと調整されるような形で確保の数が決まると考えております。

○島崎委員 そうすると、まず全国値を決めたうえで都道府県ごとにばらしていく、あるいは国と都道府県の間でその調整作業を行っていく、そこまでではないということになりますか。

○医師養成等企画調整室長 御指摘の点は非常にわかりますけれども、今後、医師確保計画は、先ほど申しましたけれども、国として一定の方向性を示すということなので、その方向性の中できちんと調整できるような形で示したいと考えております。

○島崎委員 もう一つ、6ページに「「医師少数区域(仮称)」及び「医師多数区域(仮称)」」というものがありますね。これは結構重要な概念だと思いますが、この前のところで、地域ごとの医師の多寡を全国ベースで客観的に比較・評価可能な指標をまず設定する形になり「これと併せ」と書いてあるわけです。つまり、これとあわせて、都道府県知事が、医師偏在の度合い等に応じて、医師の少数区域、医師の多数区域を設定するという形になっているわけです。この医師の偏在の度合いというのは、全国的に客観的に共通のインデックス、指標だということになるように思いますが、医師の少数区域、医師の多数区域というのは都道府県内において設定されるものなので、ある県の地域と別の県の地域では、どちらが医師の数が多いのか少ないのか比較できないことになるのですか。申し上げた意味はおわかりいただけますか。

○医師養成等企画調整室長 はい。設定自体は都道府県ごとに都道府県知事がやるという形にしますけれども、その医師の多寡を全国ベースで客観的に比較可能な医師偏在の度合いを示す指標というのは、まずは全国一律の指標をつくりますので、その指標を今後議論していきますが、全く独自に都道府県知事がそういった区域を指定するような仕組みを考えているわけではありません。

○島崎委員 もっとストレートに言うと、まず、この都道府県知事が医師の少数区域とか多数区域を設定するときの基準は何かというと、「医師偏在の度合い等」となっていますね。これは、例えば、医師の偏在の数量化されたインデックス以外にも考慮すべき要素がほかにもあるということになるのですか。都道府県ごとに斟酌すべき要素があるということになるのでしょうか。

○医師養成等企画調整室長 例えば、その下の3つ目の○でございますけれども、医師偏在の度合いに応じて、医療ニーズに比して医師が多いと評価された地域であっても、例えば救急とか小児、産科医療などの観点から一定の数を確保する必要があったりするということがございます。なので、そういったことを踏まえてそういった区域を設定できるようにするつもりでございます。いずれにせよ、この指標とかそういったものを今後議論していくつもりでございますので、そういった中でそういった問題点も踏まえてきちんと検討していきたいと思います。

○島崎委員 何を言いたいかというと、一連の方策を記載することを法律上明確に位置づけるということをおっしゃったわけで、次の通常国会に法案を出すのだとすると、今の点は最も基本となるベースとなる部分でありクリティカルだと思います。さらに言うと、そのことによってどういう法律効果が及ぶのかということについても、早急にきちんと詰めていただく必要があるのではないかと思います。

 もう一つは、この「客観的に比較・評価可能な、医師偏在の度合い」ということです。6ページの注の7を見ていただくと、いろいろな要素があるのですけれども、申し上げたいことは、医療の質とアクセスのよさというのは完全なトレードオフとは申し上げませんけれども、医療の質を高めるにはある程度医療機能を集積する必要があり、アクセスの良さとは相反する場合があります。例えば、分娩を例に出せば、これは結構リスクを伴うことは間違いないので、身近なところでお産をしたいという要請がある一方で、産科の医師や医療機関をある程度を集約化すべきだとの要請がありますね。この関係は結構デリケートな関係です。

 それから、これは前にも申し上げたことがあると思うのですけれども、例えば、がんのように「待てる医療」の場合には、現実問題としても相当集積が進んでいます。したがって、そういう要素も丁寧にみていかなければなりません。医師の偏在の度合いを数量化することについて反対ではありませんが、きちんとした議論に耐えられるのだろうか。特に法律効果を持たせようとする場合は、もう少し丁寧な議論が必要なのではないかと思います。以上、意見です。

○永井部会長 どうぞ。

○中川委員 12ページの「認定医師に対する一定の医療機関の管理者としての評価」のところに戻りますが、「管理者としての評価」というのは、管理者要件にするという意味ですよね。お答えを。

○医師養成等企画調整室長 11ページのところでございますけれども。

○中川委員 12ページ。まあ、11ページからずっと。

○医師養成等企画調整室長 済みません。11ページのほうに管理者としての評価の説明が書いてありますけれども、医療機関の管理者というのは、財務や労務管理といった経営能力のみならず。

○中川委員 読まなくていいです。

○医師養成等企画調整室長 済みません。

○中川委員 それで、ある医療機関の管理者になりたいから要件なのでしょう。将来、医師が。医師派遣機能を有する地域医療支援病院だけがまずは対象と。これは逆でしょう。違いますか。意味が。医師を派遣しなければならない地域医療支援病院の管理者だけしかなれないということになりますよ。これをやっても。なれないというか、その要件というふうになりますよ。言っていることはわかりますか。少なくとも、最初のポツの、診療所を含めた全ての医療機関を対象にすると、確かにこれは大混乱が起こる可能性はあります。そもそも医師の少ない地域はない県が結構ありますからね。少なくとも公的医療機関等の管理者としての評価、このぐらいまで広げないとあまり意味もないですよ。まずは地域医療支援病院から始めるというのならわかりますが。○邉見委員 よろしいですか。

○永井部会長 邉見委員。

○邉見委員 ちょっと関連で。

 実は今、中川委員がおっしゃったことは私がずっと言ってきたことです。どんどん縮小、後退していったのです。初めは、本当に管理者要件になるのは、先生は大混乱と言いましたけれども、診療所を開業したい人がするというのが一番効果があるのです。地域医療支援病院というのは全部合わせても日本の病院の0.45%しかないのです。それも、なりたいと思わなかったら意味ないわけです。そんなことは何の意味もないのです。私は、まず隗より始めよで、自治体病院の管理者、特に都道府県立中央病院、あるいは政令指定都市の市民病院はなってほしいと自分たちのところで決議しているわけです。今回のはそれよりもずっと少ないわけです。これは、自分たちで始めないと、税金をいただいているということもありますし、そういう意味で私たちは自分で隗より始めよということでやっているのですけれども、どんどん落ちていったのです。それはどこに忖度しているのか私はわかりませんけれども、どんどんと少なくなったということで、中川先生みたいに診療所を中心とした団体の方に言っていただくと非常にありがたい。

○永井部会長 山口委員。

○山口委員 先ほどから議論になっていることについては、私も構成員を務めていますので一言申し上げたいと思います。

 私も、診療所の開設要件ぐらいまで拡大しないと、認定をとっておこうかなという若い方も含めて、インセンティブが働かないのではないかと思ってきました。確かに、何年も何年もこの問題は議論されて、結局、医師偏在問題は全く解決していないということがありますので、もう少し強く押し進めるべきだという議論をしてきました。その中で、いろいろな議論が紛糾した結果、これは縮小ではなくて両論併記することによって今後拡大できるところを残しておこうということでようやくおさめたという経緯もございます。これから実際にすぐ始めないといけないことは始めて、その後、足りない部分というのは、やはりこれではだめだから追加していく必要があるのだということでどんどん進めていくと、最初はインセンティブかもしれないですけれども、例えば地域に行って医療を行ってみたら、そのよさがわかったと。そういう好事例をどんどん発表していくことによって、PDCAがうまく回るような仕組みづくりが必要ではないか。そういう議論もこの報告書の行間にあるということをちょっとお伝えしておきたいと思います。

○永井部会長 山崎委員。

○山崎委員  今、議論している話というのは、昔、初期臨床研修医制度が始まる前というのは、各大学の医局が地域医療をきちんと守ってきて、僻地とか、そういうことを含めてやっていたわけです。医局が悪いという話になってしまって、医局が悪者になったからそれを解体しようということで、一番大事な地域の医療を守ってきた医局を解体して、初期臨床研修医制度を始めたところからこんな問題が生じているわけです。したがって、医局を復活するかどうかというのはまた別問題なのですけれども、もうちょっときちんと、ある程度縛りがあるというか。昔はこの認定制度のかわりに博士号があったわけです。僻地に行って何年か苦労すれば書いてもいいよということでアメ・ムチがあったのに、アメが全然なくなってしまってムチばかりになってしまったわけです。

 問題は、教育制度の中で、地域医療とか僻地医療をきちんと学生に講義していないわけでしょう。ほとんどの大学に地域医療講座もないし、何もないところで勉強しないでそのままお医者さんになって、僻地へ行って頑張れと言われても、何をしていいのだかわからないです。こういう話を議論するときは、やはり教育制度の中に地域医療とか僻地医療をきちんとするということを書いておかないとしようがないと思う。

 あと、今の医学学生というのは、先ほど邉見先生がおっしゃったように、ローリスク・ハイリターンを求めています。したがって、高額なフリーランスのドクターがどんどんふえています。あとは、医師会に入らないのです。入らないで開業してしまう。医師会に入ると、集団接種とか、学校医とか、地域に奉仕するデューティーがくっつくわけだから、そんなもの、最初からしたくないと言って、医師会に入らないでどんどん開業してしまう診療所の先生が一方でふえているわけです。医学生の資質が既にそうなってしまっているのだということを考えて、今後の提供体制を考えていかなければしようがないのかなと思います。

 あと、認定医師に関しては、自動車免許で飛行機を操縦しろというのと同じことだと思います。地域医療支援病院を含めて、そんなに簡単に管理者が。僻地で患者さんだけを診療していたドクターが病院のマネジメントなどできるはずないです。したがって、認定医師というのは制度としてはそんなにいいものではないと思っています。

○永井部会長 相澤委員、それから荒井委員。

○相澤委員 お話を聞いていると、若い医師の考えとか思いというのがどこかに飛んでしまっていて、違うところで議論されているように思うので、ちょっとだけ現状をお話しさせていただきます。

 私の息子も某大学の医局に入っていまして、地方の病院に行きなさいと言われると、あそこは症例がないから行っても役に立たないと。正直、そういう人たちがすごく多いのだそうです。結局、誰を行かせるかというと、一番声が弱くてじーっとしている者が、おまえ行けと行かされる。本当に大変な状況になっているというのが第1点。大学ですらそんなことがあります。昔は、教授に、おまえ、あそこへ行けと言われると、はい、わかりました、行ってまいりますと言って行っていたのですが、今は若い人の感性が全然違うということをまず一つ考えていただきたい。

 もう一つは、先ほど医局制度の話がありましたけれども、医局制度が変わって、私たちの医療法人のよかったことは、研修を一生懸命やろうと思う医療法人に若い人が回ってくるようになりました。結果として、先ほどからいろいろと言われている地域医療支援病院になりまして、医師がいっぱいになってもう定員を超えてしまっているから要らないという診療科もあるようになって、そういう医師に、あそこのところが困っていると。私の同級生で物すごい田舎で開業しているのがいるのですね。あそこのところが困っているから、ちょっと助けに行ってくれと言うと、何で僕はそんなところに行かなければいけないのですかと。若い先生はそういうのが現実なのです。そこにどれだけ強制力を働かせたら日本の医療がよくなるのかを考えていかなければいけないのではないか。余り強制力を働かせると、若い人がまた全然違うところに逃げていくのではないかという心配を私はしているということだけちょっと申し上げておきたいのが第1点。

 第2点は、医療提供体制がどうなるかによって、どこへ行ったら医師として頑張れるかというのは決まってくるわけで、多分、そこの議論がないままいろいろされても困るのです。というのは、先ほど言ったように、あそこへ行っても症例はほとんどないということになると、行かないのです。では、そこの医療提供体制をどうするのか。例えば、私たちの地域は産婦人科が全然足りない地域があって、幾ら雇用しても、年間6,000万出して雇用してもすぐやめてしまうわけです。なぜなら症例がないからです。それで何を考えたかというと、システムでカバーしようということで、そこへは定期的に妊婦の健診をするお医者さんを派遣して、お産の間近になると中枢都市に来てもらって安全なお産をやってもらう。そういうネットワークをいかにつくって、医療提供体制をどうするかという基盤があって、医師をどう派遣していくかということになるのにもかかわらず、医師の派遣だけ何とかすればうまくいくというのは感覚がちょっと違うのではないかという気がします。

 もう一つ大事なのは、交通事情が物すごい勢いで変わっているということです。昔、1時間半かかっていたところが高速道路で15分、20分で来てしまうのです。そうすると、昔はそこに医療機関が必要だったのが、患者さんにとっては多少不便だけれども、高速道路に乗ってくればすぐに来てしまう。そういう事情も考えたときに、最初に議論しなければいけないのは、本当に医療提供体制をどうするのか。そして、医師の密度が低くて、カバーしなければいけない範囲が広い場合は、どうやってネットワークでカバーしていくのか。そこを考えないで医師派遣ばかり議論してもなかなか解決できないのではないか。現場をあずかっていて、若い先生といつもやりとりしていると、そんなことを感じているので、意見というよりは現場のことをちょっと知ってもらいたいなと思ってお話をさせていただきました。

○永井部会長 先に荒井委員、それから神野参考人。

 荒井委員、どうぞ。

○荒井委員  医師派遣の議論をしているわけでございますが、その中は、派遣の強制性だけではなしに、トータルで考えなければいかんというのはそのとおりだと思います。ところが、現場の今までの経緯は、お医者さんの扱い方、マネジメント、管理というのはどうすればいいのかという点で、多くの事例が腫れ物にさわるように管理者が扱っている。どうしてそういうことになったかというと、集団でやめられるケースが多くなって、医師が一挙におられなくなって困った事例がたくさんあった。それをどのように改善しようかというのが大きな課題であったと思います。

 その背景には、大学の病院支配競争があったように私は思います。医局の支配を各病院に及ぼそうというので、あそこはほかの医局が支配しそうだから一挙に引けとか、つまらない、低レベルのポリティックスがあった事例もたくさんあります。それを脱却して、病院は病院のガバナンスをどうするかというのを議論しているわけです。病院自身のガバナンスがなくなると医療の安全にも響くというのはいろいろな事例で出ているわけでございますので、病院のガバナンスをどのように発揮してもらうか。それにはガバナンスの責任、管理責任がないとできない。労働基準法も、全部ではないけれども、その1つであるということを強調しています。

 そのガバナンスの発揮は、強制的な医師の配置換えとか派遣とかいうだけではないわけです。大事なのは、働き方改革、医療の質確保のための医育機関における医師教育。自治医大の医師はどうして地方に行ってくれるのだろう、ほかの医育機関を出た人はどうして地方に行かないのだろうか、そこから始まらないといけないと思います。医育機関の建学の精神が見えるところが余りありません。どのような医師を育てるのか、これは文科省の責任だとおっしゃるのですけれども、そこら辺から日本の医療の教育が貧困であったのではないかと思います。

 今、それを改善するのに、働き方改革、環境の改善、医師の派遣をシステムでやろうという動きがあります。今、総じてマネジメントの手法を開発しようというステージにある。強制性はないわけです。そういうことで周りをいろいろやって、その中で大きいのは見える化だと思います。偏在の実態を見えるように法律でやろうと。見える化を強制して派遣も強制する、などということは書かれていないように私は思います。見える化をちゃんとしようと。これは強制的にする。見るべきものを見ないという風潮は一番いけないことだと私は思います。それは法制上で確保していただきたい。安全にも影響するわけでございます。ガバナンスの欠陥は安全にも影響する。それで、今、知恵を出そうというときでございますので、あれもだめ、これもだめと言われる風潮がこの医療部会にあるのは許しがたいと感じます。当たっているかどうかわかりません。こういう課題がある、課題があるということだけれども、医政局を始めチャレンジをしていると私は思います。マネジメントの手法開発にチャレンジしているのなら「やれよ」と言ってやりたいというのが私の真意であります。

○永井部会長 どうぞ。

○神野参考人 私も山口委員と同様に分科会の構成員だったので、そのときの議論の紹介と意見を言わせていただきたいと思います。

 先ほど来議論があるように、医師の意に反せずにという話があるわけですが、分科会の中では、住民の思い、住民はどうなのだという話があったわけであります。同じ保険料を払っているにもかかわらず、住んでいるところによって提供される医療が違うことに対してどうするのだという意見があったわけであります。

 昔のことを言うと古くさいという話になりますけれども、これは分科会でも申し上げたのですが、私、20代のときに大学医局で7人の同級生がいて、県立中央病院から僻地病院までくじ引きをやらされまして、私、見事に僻地病院に当たりました。自治医大の先生すら行かないような病院であります。そこに行って何がよかったかというと、確かに医療もあるのですけれども、地域のお祭りに出たり、酔っ払ってタクシーに乗っても、行き先を言わなくても家の前に着いていたり、地域ならではのいろいろな経験をさせていただいた。私は一応外科医として赴任したのですけれども、骨折であろうが、耳が痛かろうが、目が痛かろうが、地域住民が専門ではないけれどもいいやと言ってくださったから私はそこで医療ができたし、いろいろな経験もできた。その1年間だけですけれども、私の医者人生の中でその1年間の僻地病院が一番楽しゅうございました。

 言いたいのは、先ほどの住民の権利という話と同時に、あと、住民の方々にも、何が何でも専門医でなくてはだめなのだという話ではなくて、この地域に来た医師に対して広く、もちろん、医師のほうはプライマリーケアをきちんとやる力が必要かもしれませんけれども、広く医師を受け入れる体制もまた住民のほうにお願いしなくてはいけないのかなと思います。

 そういった話もしながら、この認定医師に対する管理者要件の話が出ていたわけですけれども、山口委員がおっしゃったように、私は両論併記ということで、とにかく前に進めるということ、そして、今、荒井委員がおっしゃったように、とにかく前に進める。そして、早くPDCAを回していただきたいなと思います。

○永井部会長 ありがとうございます。

 最後に、伊藤参考人、お願いします。

○伊藤参考人 先ほどから医師の働き方のところがありましたので、発言させていただきます。

 この点について、医師の働き方改革についての検討会のほうでも、これは労働基準法の対象だということは共通認識になっていると思いますので、多分、中川委員は外れるというような意味のことをおっしゃったのではないと理解しております。医師偏在を解消するという観点では、働き方改革を伴ってないと実効性がないと思っています。

 7ページの上から4つ目のポツのところに「医師派遣の調整や、派遣医師の負担軽減のための援助(適切な休暇取得や能力開発等が可能な労働条件の確保等)を、地域医療支援事務において行う」ということで、地域医療支援センターにおいて行うということが書かれているのですけれども、国として今、大きな働き方改革を進めている中で、都道府県に丸投げという形で終わらせることのないように、ぜひここは実態としてきちんと進むように国としての援助が必要だと思います。

 先ほど島崎委員がおっしゃっていたところというのは、私が前からちょっと心配をしていたところに共通する問題です。指標の設定というのがどのようになるのかということで、それが都道府県の格差を前提とするのかとか、ほかの県に受診しに行くことが前提になるとかいうことがないように指標をつくるという話もあったのですが、そのようなものが示された上で議論をさらにできるといいと思っておりました。法律案の作成のタイミングと合うような形でもう少し具体的な検討をしていくことができればと思います。

○永井部会長 ありがとうございます。

 まだ御意見はおありかと思いますが、後ほどお寄せいただくことにしまして、事務局におかれましては、ただいまの議論を踏まえて必要な対応をお願いしたいと思います。

 また、今後この取りまとめを踏まえて法律案が出てまいりますが、その報告をよろしくお願いいたします。

 では、続いて、特定機能病院の承認要件の見直しに関して御議論いただきたいと思います。

 事務局から説明をお願いいたします。

総務課長  総務課長でございます。お手元の資料2によりまして御説明申し上げたいと思います。

 実は、前回12月6日のこの医療部会におきまして、同じように承認要件の見直しについてということで資料をお出ししまして、先生方の御意見を頂戴いたしました。その際の議論の概要につきましては4ページ、5ページのところに記載させていただいておりますが、先生方の御意見をまとめて整理いたしますと、2ページにございますように、大きく3つの御指摘があったのではないかと思っております。1つは、開設者と管理者の関係、また管理者と医学部の関係について明確化すべきではないか。もう一つは、管理者が有する人事・予算権限につきまして具体的に明示すべきではないか。3つ目として、このガバナンス改革が適切に行われますように改革の実施状況について確認が必要といった御意見に整理されるのではないかと思っております。

 こういった御意見を踏まえまして、私どもの考え方を改めて整理をさせていただいたのがその右のハコの部分でございます。

 まず1点目の開設者と管理者の関係、あるいは管理者と医学部の関係の明確化につきましては、今回の改正の中におきまして開設者と管理者の権限の明確化を図ったところでございます。そういった中で「管理者の選任方法を透明化し、開設者と管理者の関係について、整理を行った」といった整理にしております。医学部との関係につきましても、必要に応じてこういった対応の中で整理をされるのではないかと考えているところでございます。

 2点目、管理者が有する人事・予算権限についてでございます。これにつきましては、実際に一律に定めることについては、それぞれの法人の形態が異なるといったこともございまして、なかなか難しい局面がございます。ただ、この医療提供の責任者としての管理者ですので、病院の管理・運営に必要な指導力を発揮していただいて、医療安全などを確保していただくことが必要ですので、そのために必要な権限を有するべきであるといったことを今後通知で明確に明示していくことが考えられるのではないかと思っているところでございます。

 3点目でございますが、改革の実施状況について確認が必要というところでございます。この点につきましては、ガバナンス構造はそれぞれ様々な中で、また開設者によっても異なるという状況でございますので、まずは各病院の取り組み状況につきまして、毎年病院から提出いただく業務報告書、そして、年に一度以上行います立ち入り検査のときにしっかりと確認をしてまいりたいと思っております。今後、その確認状況を整理した上で、審議会の医療分科会に御報告をするといった形で整理していったらどうだろうかと考えておるところでございます。

 また、前回の御議論の中でこの特定機能病院のガバナンスの関係の全体像がどうなっているのかをきちんと整理すべきではないかという御意見を頂戴しておりましたので、3ページのところに整理したものでございます。これまでこの特定機能病院の関係におきましては、この青字の部分でございますが、昨年6月に承認要件の見直しを行っております。また、赤字の部分が今年の6月の医療法改正の中で新たに新設された仕組みでございます。

 ここにございますように、まず、昨年6月の医療法施行規則の改正の中で承認要件の見直しも行ったわけですけれども、この点についてはまず特定機能病院の中で医療安全管理責任者を配置する。そして、専従の医師・薬剤師・看護師の医療安全管理部門への配置を行っていく。そしてまた、医療安全に関する監査委員会による外部監査を行ったり、強化のための取り組みを行ったりするといったことを昨年の6月の見直しの中で行っているところでございます。

 そして、今回、医療安全管理体制の確保とガバナンス体制の強化ということで、赤字の部分になってまいりますけれども、法律上で措置をした事項がございます。1つは、開設者と管理者の関係でございますけれども、開設者のほうにおいて管理者の選任方法の透明化を図る、そして管理者権限の明確化を図ることにしております。そしてまた、業務監督や法令遵守などの体制整備を行うといったことで、その関係の整理を行ったところでございます。

 一方で、外部からそれを見ていくという観点で、1つは、都道府県知事による開設者の立ち入り検査、そしてまた、医療機関の運営が著しく不適切な場合の改善命令や業務停止命令などの定めを置いたといったところでございます。

 2段にわたっておりますけれども、こういった取り組み、見直しを行うことによって、全体としてのガバナンスが効くような形に今回制度を改めさせていただいているといったことで御理解を賜れればありがたいと思っております。また先生方の御意見を頂戴できればありがたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

○永井部会長 いかがでしょうか。

 田中委員。

○田中部会長代理 今の2ページと3ページの関係をもう少し説明していただきたい。3ページは既に終わったことで、2ページはこれから議論する、そういう意味ですか。

総務課長  今、御質問の3ページは、これまでの制度改正の中で講じられたものを御説明させていただきました。そして、2ページの右の枠のところに書いておりますけれども、前回御指摘いただいたことについて私どもとしてどう考えているのか、また、通知のところの2点目にございますが、これは今後定めていくということを整理していきたいと思っているところでございます。

○田中部会長代理 その観点からすると、既に決まったほうの3ページの図柄だと、上のページで指摘されている医学部との関係はまだ載っていないわけですね。学校法人本部と管理者の話しか載っていなくて、むしろ2ページで指摘されている重要な点は、大学病院を経営するに当たって医学部との関係は、実は運営上もガバナンス上も非常に重要であるとの新たな指摘だと思います。だから、この図はその前の段階の図と理解してよろしいのですか。

総務課長  医療法の世界においては、医学部ということは確かにこの中に具体的に出てきていないので、図の上には表記されていないというのは御指摘のとおりだろうと思っております。

○田中部会長代理 本当はそれも含めてこれからこの会で考えたいとの回答ですね。

○永井部会長 私から説明いたします。開設者のもとに、大学院大学の場合は大学院があります。病院雇用の人たちもいますが、診療責任者の多くは大学院が本務で、大学院の下の医学部を兼務し、そのもとの病院を兼務するという構図です。つまり、開設者は、診療責任者の人事を動かしていますが、そのラインがこの図では見えていない。

○田中部会長代理 そうですね。そこが不足しているとの指摘でございます。部会長の指摘はこの図でいいと思うのですが、診療科長の話が出てくると、院長が中に対して持っている権限の話はこの図では説明し切れていないので、検討は必要であるとのつもりで申し上げました。

○永井部会長 

 3ページの「『医療の高度の安全の確保』を特定機能病院の承認要件に加えるとともに、管理者の義務とする」というところは、今後「開設者の義務」ではないのかというのがこの間の相澤委員の御指摘だったと思います。管理者だけでよいのかということです。

 それと、3ページの地方厚生局による立ち入り検査は病院だけで、開設者には及んでいないのですね。地方厚生局の立入りに大学関係者が同席することはない。これをよく見ると、厚生労働省は開設者に対しては業務報告書を確認するだけです。ここが随分アンバランスだと思います。都道府県知事は立ち入り検査ができるのですね。どうして地方厚生局は開設者のところへ出向かないのかということです。

 これは、大学病院のあり方の全体の問題です。管理者が動かないことがあります。あるいは動けないこともある、時には管理者が暴走するということもあるのです。それを開設者はコントロールしないといけないのに、なぜ立ち入りをしないのだということです。多分、相澤委員はそういう御意見だと思います。

○相澤委員 そうです。おっしゃるとおりです。

○永井部会長 いかがでしょうか。

 もうちょっと解説すると、開設者は文科省の権限なのです。右のほうが厚労省が関与している。ここに線を引いていないのですが、実はこの間に活断層があるのです。ただ、文科省にも大学病院指導室というのがあるのですから、そこを整理しないといけなくて、まさにこの特定機能病院のあり方というのは、文科省と厚労省、場合によってはこれは財務の問題になりますから、財務省も含めて、いずれきちっと議論しないといけないのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○保健医療技術調整官 事務局でございます。たくさん御指摘いただきましてありがとうございます。

 まず、地方厚生局の役割と都道府県の役割というものは、先ほど座長から御紹介いただいたように、地方厚生局の立ち入りは病院に対しまして、法人に対しましては県の役割となっております。今回、2ページの下に書いてある、最後のチェック体制ということにおきましては、病院の中に関することではございますが、開設者の責務となっている要件に関しましては、厚生局の立ち入りの際も特定機能病院の取り組みの中の確認をさせていただくこととしておりますので、全く見ないというわけではないです。開設者がどういうふうに病院の管理にかかわっているかというところは確認できると思っておりますが、それにつきましては、まずは、各病院がどうなっているかをチェックするところから始めたいと思っております。その中で、先ほど田中委員から御指摘いただいたような、教授会との関係がどうなっているのか、こちらに立ち入り検査をする際には、そういう問題があるということを十分心得ながらチェックするということに取り組んでいきたいと考えております。

○永井部会長 そうすると、一応、開設者にも線は及んでいるということなのでしょうか。この厚生局による立ち入り検査は開設者にも及ぶと。

○保健医療技術調整官 特定機能病院の承認要件にかかわる内容につきましては及ぶという整理になるかと思います。

○永井部会長 そうしたら、線を引いておいたほうがよいと思います。

○保健医療技術調整官 工夫させていただきます。

○永井部会長 山口委員。

○山口委員 前回の資料が手元にないので、記憶の範囲ですけれども、3ページにある図というのは、現在もう既に始まっていて、医療安全に関する監査委員会というのは、医療安全の部分を監査するということを前回確認させていただいたと思います。それと別に、特定機能病院全体の業務監督とか法令遵守についても監査するような部門を置くようなお話があったと思うのですが、それがもし入るとどこを監査することになるのでしょうか。開設者も特定機能病院も全体ということなのか。この図を見ますと、今、特定機能病院全体の監査を医療安全監査委員会がするような図になっているので、そうではなくて、特定機能病院の中の医療安全部門を監査する、ブルーの矢印が中に入るのかなと。これだと、特定機能病院全体の監査になっていますので、そのあたり、少し解説をしていただければと思います。たしか、今回、それを見る機関が新しく設置されるというお話だったので、そこはどこが守備範囲になるのかということを教えていただきたいと思います。

○保健医療技術調整官 事務局でございます。

 前回お話しした2点に関しまして、まず、平成28年6月の対応としまして、中央の一番下にあります医療安全に関する監査委員会を、まずここで創設しております。今回の見直しに関しましては、左にあります業務監督の体制のところで御説明した内容でございまして、事務局の説明が不十分だったのですが、こちらは業務の監督の話を前回御説明させていただいたところになります。この業務の監督は開設者から管理者に対して行う内容となっておりますので、今回の法改正に伴うというのは、この業務監督の部分になります。

○山口委員 ということは、業務監督、法令遵守等の体制というのは開設者が行うことですか。開設者がそういう監督をするところを設置するのか、開設者自身が行うのか。これだと開設者が行うことになると思うのです。

○永井部会長 どうぞ。

総務課長  今、法律の上で、今回の改正によって設けられた規定の中では、ちょっと読み上げさせていただきますと、当該開設者による当該特定病院の業務の監督に係る体制、ちょっと省略いたしますが、その他の業務の適正を確保するために必要なものとして省令で定める体制を整備することとなっておりまして、法律としては、開設者が必要な業務の監督の体制をしっかりと整備していくというのがまず一義的に定まっているということでございます。

 今、委員御指摘の、それに対しての監督はどうなってくるのか、開設者に対してどう関わるのかということについては、下の一番左の緑の枠にございますが、知事等による開設者の立ち入り検査など、あと、厚生労働省でも業務報告書を定期的にいただく形にしておりますので、そういった中でしっかりチェックをしていくことになってくるかと考えております。

○永井部会長 荒井委員、どうぞ。

○荒井委員  問題の核心だと思いますが、開設者と管理者の責任をどう規定するかということを確認しないと、医療の安全は確保されないと思います。それは永井先生のおっしゃるとおりです。そのときに、開設者に対する監督権限は、医育機関であれば文科省にありますが、それで厚労省に、文科省に突っかけろと言っても、今の国の権限分配では無理なことでありますが、大事だということを我々は言い続けないといけないということが1つ。

 この場に、文科省は来られているかもしれないけれども、あの固い文科省が高等教育でいろいろ変わってきているのです。いろいろなことを言いながらしていると変わってきているのです。しかも、医学教育というのは高等教育の中でも非常にマイナーな位置づけになっていて、文科省の中で全体像を余り見ておられないということがわかってきております。だから、医育機関のあり方、現場のあり方はどのようにあるべきかを厚労省が発信しろと言っても無理なところがあるので、我々は、開設者のあり方というのはもの凄く大事だということを発信しなければいけない。それは厚労省の事務方に言っても無理なことだと私は思います。開設者のあり方はどうするべきか。その権限ということもありますけれども、群馬大学病院のああいう事件もちょっと関心を持って勉強しているのですけれども、ああいう事件が起こるというのはどうしてかとびっくりするようなことがあります。

○永井部会長 文科省の立場で少し擁護しますと、大学教育のための課があるのは医学だけなのです。法学教育課とか工学教育課があるわけではないので、私は、文科省は医学教育に対してはきちっと対応をとっていると思います。医学教育課長はしばしば厚労省から出向していますので、そこの連携をしっかりとっていただくことがまず第一歩ではないかと思います。しかも、大学病院相談室が医学教育課にありますので、そちらとの連携がまず大事ではないかと思います。

○荒井委員  済みません、一言。

 例えば監査に入るというのも、権限は文科省でも、厚労省と一緒に行くということになれば、実質的に厚労省の管理者サイドからの監督者が開設者にも監査とかに入れる、情報は出てくるということを具体的には申し上げたかったのです。

○永井部会長 山崎委員。

○山崎委員  3ページの「医療安全管理体制の強化のための取組」の最初に「全死亡例報告の義務化」と書いてあるのですけれども、これは報告するだけでいいのでしょうか。死因の妥当性とか、そういうのをきちんと究明しなければいけないと思うのです。報告しただけでは何にもならない。

 今回の群馬大学の件にしても、同一医師が未熟な手技で十数人の患者さんの手術の執刀をしたという特異な例ですけれども、そういうものを主任教授も誰もチェックしなかったということが問題なので、報告だけやっていたのではしようがないと思うのです。報告して、死因の妥当性をきちんと検討したかということが必要かなと思うのです。

○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。

○保健医療技術調整官 事務局でございます。

 法律上、明確に要件化しているのは義務化だけでございます。山崎委員が御指摘のとおり、報告を受けた後の検証等を各病院でやるということは医療安全の従来の取り組みの中でも求めておりますので、何が起こっているのかということを確認して、医療機関内における医療安全体制を確保する、チェックすることは当然の流れと考えております。

○山崎委員  ただ、それを担当の医局でやったのではしようがないです。病院のしかるべき委員会を設置してしないと透明性がなくなりますから。

○永井部会長 どうぞ。

○保健医療技術調整官 事務局でございます。

 言葉がちょっと不足していました。医療安全管理部門に対する報告ですので、医局の中で解決するということではなくて、病院として取り組むという位置づけにしております。御指摘ありがとうございます。

○永井部会長 よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 それでは、事務局においては、本日の議論を踏まえて必要な対応をお願いいたします。

 次の議題ですが、平成30年度予算案及び平成29年度補正予算案について、医政局の関連部分について説明をお願いいたします。

総務課長  総務課長でございます。資料3をごらんいただきたいと思います。

 ちょうど本日、30年度の政府予算案が10時からの閣議で閣議決定されたところでございます。本日は、そのうち医政局の関連部分を中心に御説明させていただきたいと思います。

 中身としては、30年度予算と29年度補正予算の2点がございます。

 まず、1枚目の一番上の枠の中にございますように、30年度の予算案につきましては、対前年度369.7億円増、120.9%という状況でございます。また、29年度の補正予算案につきましては27.7億円を計上しているところでございます。

 おめくりいただきまして、2枚目でございますが、まず、補正予算案につきまして簡単に御説明申し上げたいと思います。補正予算案につきましては、大きく分けまして、生産性革命の推進ということと、本年9月に発生いたしました台風18号などで被災した医療施設などの復旧に要する経費というもので計上しているところでございます。

 まず生産性革命の1点目でございますけれども、アジアヘルスケア人材育成・医療関連市場活性化促進事業がございます。アジア健康構想に基づいて、アジアの国々での医療分野の人材育成が求められているところでございます。日本がより戦略的な人材育成が行えますように、アジア地域での基軸となる方策の検討を行うために、東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)に対しまして調査・研究に係る経費を拠出するものでございます。これが19.7億円でございます。

 それから、がんゲノム情報管理センターにおけます検体保存体制の整備でございます。全ゲノム検査の実施ということで、がんゲノム情報などの集約、管理、利活用を図ることができる体制を早期に整備するために、国立がん研究センターに検体を保存する体制を備えた「がんゲノム情報管理センター」の体制整備を図るものということで4.2億円を確保しております。

 3点目、クリニカル・イノベーション・ネットワーク推進支援事業でございます。これにつきましては、医薬品などの開発コストを抑える観点から、業界やアカデミアなどから、リアルワールドデータあるいは疾患レジストリの利活用などに対する強い御要望をいただいております。このため、ベンチャーを含む企業やアカデミアがリアルワールドデータを活用した効率的な治験・臨床研究を実施できる環境をいち早く整備していきたいということで1.9億円を計上しているところでございます。

 それから、台風18号などからの復旧の関係では、本年9月、10月に発生しております台風によりまして被災した地域の医療提供体制の早期復旧が必要でございますので、浸水などの被害を受けました医療施設などの復旧に要する経費ということで2億円を計上しているところでございます。

 それでは、次の1ページから、30年度予算案につきまして御説明を申し上げたいと思います。

 まず1ページの1.の「(1)地域医療構想の達成に向けた取組の推進」でございます。こちらにつきましては、まず、地域医療介護総合確保基金ということで、公費ベースで933.6億円、国ベースでは622億円ということで計上いたしております。病床の機能分化・連携に必要な施設・設備の整備、在宅医療の推進、また医療従事者の確保に関する事業に対して必要な支援を行っていただいているところでございます。大変厳しい財政状況ではございますが、この基金の重要性に鑑みまして、公費ベースでは対前年度30億円増ということで計上していただいているところでございます。

 おめくりいただきまして、2ページでございます。「(2)働き方改革実行計画を踏まえた取組の推進」の1でございますが、医師不足地域における若手医師のキャリア形成支援ということで7.6億円ほど計上しているところでございます。平成22年度以降、医学部の臨時定員増によります地域枠での入学者の方々が2年の臨床研修を終えまして、30年度より地域医療に従事することが見込まれております。こういった若手医師の方々をはじめとして、医師不足地域に派遣されます医師などのキャリア形成や勤務負担軽減が図られますように、休日の代替医師の派遣、複数医師によるグループ診療、あるいはテレビ電話を活用した診療支援といったことをモデル的に実施するものでございます。

 次の2、医療従事者の勤務環境の改善の関係で5,800万円ほど計上いたしております。これも新規でございます。働き方改革の中で、今、医師の働き方改革の検討会を開催させていただいております。これと並行いたしまして、現在、都道府県に設置していただいている医療勤務環境改善支援センターが各地域でより効率的・効果的な支援を行えますように、実際の勤務時間、超勤時間、あるいは長時間労働に至りました要因といったことなど、労務管理上の問題を中心に実態調査を行っていくものでございます。

 3ページになります。「質が高く効率的な医療提供体制の確保」ということで、まず「救急・周産期医療などの体制整備」でございます。

 1の救急医療体制の整備では4億2,000万円ほど計上させていただいております。地域における救急医療体制の確保・充実を図るということで、24時間体制で重篤な患者さんを受け入れる救命救急センターの運営に必要な経費でありますとか、ドクターヘリの運航に必要な経費、また長時間搬送先が決まらない救急患者の方がおられますけれども、そういった方々を断らずに受け入れる医療機関での空床確保の事業といったことなどを実施するものでございます。

 それから、その下にございますドクターヘリの導入促進では66.5億円ほど確保しております。既に今年は鳥取県でドクターヘリの運航を開始することが予定されておりますけれども、30年度におきましては石川県で新たに導入が予定されておりますので、機数増などに対応するために必要な経費を計上しているところでございます。

 4ページになります。小児・周産期医療体制の充実、また、へき地保健医療対策の推進でそれぞれ所要額を確保しているところでございます。

 5ページになりますが、5の災害医療体制の充実の関係で213億円ほどを確保しているところでございます。御承知のとおり、首都直下地震あるいは南海トラフ地震といった巨大地震が想定されておりまして、そういったときには、被災地への医療支援が長期間広範囲になることが想定されております。まずはDMATの活動が想定されますけれども、DMATの活動が終了した後には、さらに避難所などにおいて医療支援を行います医療チームの養成や拡充、またDMATとの円滑な引き継ぎが重要となってまいります。このため、JMATなどに所属する医師、看護師、業務調整員などの養成に必要な経費の支援を行うなど、充実を図るということで確保させていただいております。

 また、有床診療所などのスプリンクラーなどの施設整備事業費についても、今回、必要な金額を確保させていただいているという状況でございます。

 続きまして「(2)地域医療確保対策の推進」でございます。まず、1の臨床研修費等補助金でございます。この関係で1017,800万円ほどを確保しているところでございます。30年度予算案の中におきましては、地元の医学部の卒業生を採用する割合が高い臨床研修病院に対する指導医の経費の加算額を拡充したり、産婦人科や小児科などにおきまして臨床研修医が宿日直を行う際の指導医の手当に対する支援の増額、またへき地診療所などの研修に要する経費の増額といった医師の地域偏在、診療科偏在のさらなる是正を図るために、対前年度26.1億円増として確保しているところでございます。

 続きまして、6ページをごらんいただきたいと思います。まず、2の専門医に関する新たな仕組みの構築に向けた取り組みでございます。新たな専門医の仕組みが円滑に導入されるために、現在、都道府県の協議会、あるいは日本専門医機構に対して支援を行っておりますけれども、それに加えて、新たに地域医療支援センターのキャリア支援プログラムに基づいた研修医療機関への指導医の派遣、また日本専門医機構において医師偏在対策の観点から行われます研修プログラムのチェックを実施することとしております。

 ちょっと飛ばして、4の歯科口腔保健の推進ということでも、今回、7.6億円ほど確保しているところでございます。新たに歯科健診に係る調査研修を行うモデル事業、また口腔機能管理などに関する研修事業を実施することを想定しているところでございます。

 7ページをごらんください。「(3)医療安全の推進」でございます。1にございます実践的手術手技向上研修事業の推進経費ということで約3億円を確保しているところでございます。この点につきましては、海外では手術手技の技術の向上のために御遺体を利用したサージカルトレーニングが幅広く行われているということでございます。内視鏡などによります手術に当たりまして、やはり御遺体を使ったサージカルトレーニングが有効であるということで、日本においてもこれを広く普及させるためにサージカルトレーニングを実施する機関への設備整備費として新たに2.1億円を確保しております。また、医学系の大学に委託して実施している研修事業につきましては、これまでの実施箇所数を倍増させることで必要な経費を確保したところでございます。

 8ページをごらんください。「3.医療分野の研究開発の促進及び医療関連産業の活性化」でございます。まず「(1)医療分野の研究開発の促進等」では、臨床研究法施行に伴う質の高い臨床研究の推進ということで6.1億円ほどを確保しているところでございます。臨床研究法がこの4月に公布されまして、その体制整備として、臨床研究の概要・結果などを登録・公開するための公的なデータベースの構築などを図るということでございます。

 2のクリニカル・イノベーション・ネットワークの構想の推進では29.3億円ほどを確保しております。今後、企業、アカデミア、患者団体などの開発ニーズに応じた情報整理などをこれによって実施していきたいと考えております。

 続きまして、9ページをごらんください。「(2)高い創薬力を持つ産業構造への転換」ということで、1の医療系ベンチャー育成支援事業として5.8億円ほどを確保しております。今年もこの10月にジャパン・ヘルスケア・ベンチャー・サミット2017を開催いたしたところでございますが、来年度も引き続き実施してまいりたいと考えております。また、新たに医療系ベンチャーの市場化戦略支援ということで、マーケティング調査、また知財保護支援のためのプログラム策定といったことを実施していきたいと考えているところでございます。

 飛ばさせていただきまして、10ページになります。「各種施策」がございますけれども、3に保健医療記録共有サービスの実証事業を新たに計上させていただいております。8,400万円ほどでございますけれども、現在、データヘルス改革を省を挙げて推進しているところでございます。そういった中で、患者の状況を把握して、過去の健診データや治療履歴などを踏まえた最適な診療の選択肢を提供できる保健医療記録共有サービスを構築して、2020年度からの稼働を目指して保健医療記録共有サービスの運用面・技術面の課題検討、実証を行うことを想定しているところでございます。

11ページになります。4の日本創薬力強化プランでございます。この関係で、医政局分のみでございますけれども、47.8億円を確保しているところでございます。我が国の製薬産業を、より高い創薬力を持つ産業構造に転換を図るということで、内閣官房の健康・医療戦略室、そして、経済産業省とも連携をいたしまして、創薬力の強化のための創薬環境強化、また医療分野の研究開発の推進について予算措置をしているものでございます。

 以上、大変駆け足で簡単でございますけれども、医政局の平成30年度の予算案、そしてまた平成29年度の補正予算案の概要を御紹介させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

○永井部会長 ありがとうございます。

 それでは、御質問、御意見をお願いいたします。

 相澤委員。

○相澤委員 臨床研修の費用ですが、この間、私の病院の事務の者が5年間調べると、研修医1人当たりに来る金額が毎年減っているのです。これはどういうことかと機会があったらぜひ質問するようにと。日本は研修医は余り育てなくてもいいと考えているのかどうか、先生に聞いてくれと頼まれたので、ぜひここで聞いてみたいなと思います。よろしくお願いします。

○永井部会長 いかがでしょう。

 どうぞ。

○医事課長 医事課長でございます。

 御質問ありがとうございました。我々も臨床研修の充実強化をずっと訴えてきているのですけれども、毎年予算がどんどん減らされてきておりました。ここ何年間にもわたって減らされてきておりまして、臨床研修病院の皆様には大変御迷惑をかけていたと感じております。

 ただし、今回に限っては、前年度プラス26.1億円ということで大幅な増額になっておりまして、その部分を、ここにありますように、例えば僻地医療で研修することに役立てるとか、今、数が少ないと言われている産婦人科、小児科の臨床研修に対する支援ということで、全体を底上げしていく中で臨床研修の支援を強化してまいりたいと考えております。

○相澤委員 どうもありがとうございます。うちの連中もやる気になると思います。非常にありがとうございます。

○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。

 木戸委員、それから中川委員。

○木戸委員 今の5ページの臨床研修費等補助金の件です。この産婦人科医・小児科医に対する宿日直の場合の上級医への手当支援というのは非常にありがたいことだと思うのですが、この「宿日直」という言葉がまだここに残っているのは非常に問題だと思います。小児救急とか分娩とかは基本的には宿日直には該当しませんので、時間外業務ということで認識していただければと思います。

 以上、要望です。

○永井部会長 中川委員、どうぞ。それから加納委員。

○中川委員 事あるごとに申し上げているのですが、1ページの基金のプラス30億円というのは評価したいと思いますが、3つの柱の、どうしても1の柱に重点を置くという財政当局の意向が強く打ち出されています。ぜひ柔軟に使うことができるように交渉をしていただきたい。せっかくこれだけの予算をつけても使い勝手が悪くてたまらないのです。皆さんには直接苦情が行かないと思いますが、当会では毎年この時期になると大変な対応を強いられますので、皆さんを代行しているような感じがしますが、ぜひ財政当局と十分な交渉をしていただきたいなと思います。要望です。

○永井部会長 加納委員。

○加納委員 先ほど木戸委員がおっしゃった宿日直ですが、今、働き方検討委員会で議論されているところで、もしあれが全て時間外になれば、経済的にも体制的にも大変な問題が起こります。現時点での理論であればこれで正しいのではないかなと思っております。

 それと、災害に関しまして、DMATとかJMATと明記されているのですが、病院団体もいろいろな形で災害活動をやっていますので、そこらも含めてまた考えていただければと思っております。よろしくお願いします。

○永井部会長 伊藤参考人。

○伊藤参考人 本予算のほうの2ページに「働き方改革実行計画を踏まえた取組の推進」の2に、医療従事者の勤務環境の改善ということで新規で調査をやるということが出ていまして、これは今後の検討のベースになる重要な調査だと思っています。タスクシフティングとかそういう議論もあるところですので、ぜひ多職種の調査をお願いしたいと思います。

 あと、7ページの一番下に「ウエブサイトの監視体制」ということで、今回、広告についても見直しを行うということで、省令の検討もしてきたところです。規定を幾ら変えても、実効性が伴わないと全く意味がないので、1つは、こういう事後的な対策として監視体制の強化は重要だと思っていますので、ぜひこのお金を使って監視体制をきっちりしていただきたいと思います。

○永井部会長 山崎委員。

○山崎委員  5ページの災害医療体制の充実のところですけれども、今回、地域医療計画に精神科災害拠点病院というのが書かれています。精神科災害拠点病院についての運営費とかそういうものはこの項目のどこに該当しているのでしょうか。DMATは書いてあるのですけれども、DPATのほうが全然書いてないのです。

○永井部会長 どうぞ。

総務課長  今の山崎委員の御指摘の点については障害部のほうで予算を計上していると聞いているところでございます。

○永井部会長 よろしいですか。

○山崎委員  私はそこをずっと言っているのですけれども、災害の精神はどうして障害部のほうの担当になっているかがわからないのです。精神科の災害は、当然、一般災害の中の精神科部門ということを考えれば、医政局の総務課になるべきだと思うのです。

○総務課長 済みません。先ほどの答弁ですけれども、精神の災害拠点病院の費用については、DMATのほうはこちらには計上しておらず、障害ではないかと申し上げましたけれども、拠点病院のほうについては、済みません、今、計上はないという状況だと聞いております。 申し訳 ありません。修正させていただきます。

○山崎委員  だから、4月から、都道府県で精神科災害拠点病院をつくろうということで法律が先行しているところで、予算が全然組まれていないのはどういうことなのですか。

○永井部会長 どうぞ。

○保健医療技術調整官 事務局でございます。

 御質問いただきました精神医療に関する災害拠点病院の整備に関するところにつきましては、今年度は、各県で医療計画を作成いただく段階におきまして、今回の医療計画の中の精神領域におけます取り組みをどうしていくかという御検討を踏まえまして、医療計画の中に災害時における精神医療の拠点病院を位置づけることが重要との取りまとめをいただいたことを踏まえまして、各県に整備に向けて取り組みをお願いしているところでございます。

 その中で、医政局が担当するのか、障害部で担当するのかという点について、従前御指摘をいただいているところでございます。医政局の地域医療計画課に精神医療に取り組む室もつくっておりますけれども、基本的には従来どおりの形に加えまして、医療計画の中でどうやっていくかということの連携を強化することをやっているところでございます。一義的には障害部で対応をし、それに加えて医政局でどうサポートしていけるかという役割分担でやっているところでございますので、御理解を賜れればと思っております。

○山崎委員  今回、来年度の地域医療計画に精神科の拠点病院を書くということで、12月末に都道府県に通知を発出してもらったのですけれども、その前まで、障害と医政局が両方で責任をなすり合って、1年ぐらい全然進まなかったのです。そういう現場の混乱がこういう予算にも反映していて、平成30年度に精神科災害拠点病院を整備しようとしている精神科病院というのは、補助金なしにしろということなのですか。あるいは、ここにある一般災害のところから予算を削れるのですか。

○保健医療技術調整官 事務局でございます。

 今、御指摘いただきました整備に関しまして、12月に障害部と医政局の地域医療計画課より事務連絡を発出させていただいています。今後、その内容をどう実現していくかにつきましては引き続き関係局と検討させていただければと思います。

○永井部会長 よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 それでは「その他」でございます。参考資料1について御説明をお願いします。

総務課長  総務課長でございます。

 参考資料として、今回、とりあえず現状を幾つか御報告させていただきます。

 まず、参考資料1の関連は医療広告の規制の見直しに伴うものでございます。医療広告の規制のあり方につきましては、参考資料1-1にございますように、もともと美容医療サービスに関する消費者トラブルの件数が増加していることを契機として、消費者委員会におきまして建議をいただいております。これを踏まえまして、その下の枠にございますように、現在は、医療の広告のあり方については限定的に認められた事項以外は広告禁止ということを行いつつ、一方で、医療機関のウエブサイトについては原則広告として取り扱わないという取り組みになっていたところでございます。

 これにつきまして、6月に医療法改正を行いまして、広告のあり方について、広告の対象を「広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示」に拡大をしております。これによりまして、医療機関のウエブサイトなどにつきましても、虚偽・誇大などの不適切な表示を禁止して、一定の規制がかかるような形に措置をしたということでございます。

 これを具体的にどうするかということで、2ページにございます医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会においてこれまで御議論をいただいております。その御議論の結果を踏まえまして、省令改正、そしてまたガイドラインの策定を予定しております。このため、現在、具体的な案文をパブリックコメントさせていただいておりまして、その御意見も踏まえつつ、3月に公布して6月に施行するという方向で進めていきたいと考えております。

 中身でございますが、3ページにございますけれども、今回の法改正によりまして、医療法上の広告に該当する範囲が拡大をしてきております。あわせて、患者さんによって適切な選択が必要になりますので、それを阻害することがないように法律・省令の中で一定の事項については一律に禁止がされております。その下の図で言いますと、「1 広告禁止事項」という欄がございますけれども、虚偽・誇大・比較優良・公序良俗違反というのが法律上に規定されていまして、その他省令で定める基準に適合しない広告はしてはならないと一律なっております。また、引き続き、限定列挙した広告可能な事項というものがあるわけでございますけれども、一方で、患者の皆様の適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合を省令で定めまして、そういった場合には限定がかからないことになってまいります。

 そういうことで、省令事項としては、一律禁止をするべき事項の省令(1)の部分、一方で、患者さんの適切な選択が阻害されない場合というのはどういうケースなのかということを示す省令(2)の部分、この2点を省令で定めることになってまいります。

 次に、参考資料1-2は、現在、パブリックコメントを行っております省令(案)となります。おめくりいただいて1ページをごらんいただきますと、今、省令(1)で申し上げました一律禁止される事項ということで2点ございまして、「主観又は伝聞に基づく体験談の広告」と「治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前後の写真等の広告」、いわゆるビフォーアフターと言っておりますけれども、そういったものが禁止されるということになってまいります。

 一方で、患者さんの適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合ということで、次の1条の9の2の1号から4号に掲げている事項につきまして広告可能ということにしていったらどうだろうかと。具体的には、1にございます「患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウエブサイト」といったものが主にこういったものに該当するのではないかと考えているところでございます。

 こういった形で、今回、省令(案)をまとめていただきましたので、これを今、パブリックコメントをさせていただいております。

 それから、参考資料1-3にございますが、医療広告ガイドライン(案)につきましても並行してパブリックコメントをさせていただいております。このガイドラインにつきましては、実は医療広告ガイドラインと医療機関ホームページガイドラインの2点がガイドラインとしてございます。今回の法改正を機にこれを1つに取りまとめてお示しすることで、量としては大部でございますが、基本的にはこれまで出ている2つのガイドラインをガッチャンコするといいますか、あわせてお示しすることで整理をさせていただいております。これらにつきましても、現在パブリックコメントをお願いしているところでございます。また、先生方のほかの御意見がございましたら、そういったものも踏まえながら、最終的に案文を確定させて、今後これを世の中に広く普及させていくことにしていきたいと思っているところでございます。

 以上が参考資料1の関係でございます。

 参考資料2の関係は、これまでこの部会で御議論いただきました30年度の診療報酬改定の基本方針として最終的に確定したものを参考におつけしているところでございます。本日この場では詳細を御説明申し上げませんけれども、これまたごらんいただければありがたいと思っておるところでございます。

 以上でございます。

○永井部会長 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。

 最後に、事務局から連絡事項をお願いします。

○医療政策企画官 次回の医療部会の日程につきましては、詳細が決まり次第、改めて御連絡をさせていただきます。

 以上です。

○永井部会長 それでは、これで終了いたします。お忙しいところ、ありがとうございました。


(了)

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