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2017年10月13日 歯科医師の資質向上等に関する検討会(第7回)

医政局歯科保健課

○日時

平成29年10月13日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省共用第7会議室(中央合同庁舎第5号館6階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

○歯科医師の資質向上等に関する事項について

○議事

 

 ○古殿歯科衛生係長 水田先生がまだお越しになっていらっしゃらないのですが、定刻となりましたので、ただいまより歯科医師の資質向上等に関する検討会 ( 7 ) を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お足もとの悪い中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。まず構成員の出席状況ですが、羽鳥構成員は所用により御欠席との連絡を頂戴しています。また、今回の検討会では、オブザーバーとして、文部科学省医学教育課の森課長に御出席いただいております。今回の検討会につきましては公開となっておりますが、カメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。

 続いて、配布資料の確認をよろしくお願いいたします。お手元に議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料は 1 3 、また、参考資料は 1 3 までお配りしております。乱丁・落丁等ありましたら、お知らせいただければと思います。

 それでは、以降の進行につきまして、江藤座長、よろしくお願いいたします。

○江藤座長 皆様、おはようございます。この歯科保健医療ビジョンの取りまとめもいよいよ大詰めになりました。できましたら今回でもって骨子を固めていただきたいと思っております。まず最初に、前回、前々回から出ておりますけれども、本来このビジョンを作るという理由です。 2015 年から 2040 年までの歯科医療の需要と供給体制について検討する場が、この検討会です。その第 1 段階として、このビジョンを作り、第 2 段階として人的資源としての歯科医師の数について、需給問題を検討するという方向です。

 この検討会の報告書というのは、どういう位置づけになるのかという御質問が、 2 3 回出ておりました。要は、この検討会の位置付けです。まず議論をしていただいておりますビジョンの意味、このビジョンは誰に向かって発信しているのか、これは国民と医療関係者です。では、それはどう使われるのかといった御質問がありました。例えば診療報酬の議論と、どういう関係になるのかといった御質問もありました。そういったわけで、これらの点をもう一度、田口課長に確認していただきます。この検討会というのは、こういう位置付けになっているのだと。

 実は前回の会議の中で、課長はその辺のところをおっしゃっているのですが、私のほうでもう一度、その確認をしてほしいということで、欠席した方もいらっしゃいましたので、よろしくお願いいたします。

○田口歯科保健課長 今、江藤先生からお話を頂きましたが、もともとこの歯科医師の資質向上等に関する検討会は平成 27 1 月から御議論いただいております。歯科医師を取り巻く状況に着目しまして、歯科医師の需給問題を中心に、まず議論を重ねてきていただきました。他方で他職種、特に医師、それから看護師につきましては、新たな医療のあり方を踏まえた医師、それから看護師等の働き方のビジョン、あるいは薬剤師につきましては患者のための薬局ビジョン、そういった大きな今後の方向性を示すようなビジョンが示されております。

 歯科保健医療を取り巻く状況の変化、特に歯科医療の内容そのもの、需要そのものが変化してきているということ。あるいはこれまでの、う蝕や歯周病といった対策のほかに、医科歯科連携といったものが非常に重要になってきているということ。歯科の分野におきましても、改めて歯科保健医療提供体制のあるべき姿というものを、やはりきちんと国民の方々、あるいは歯科医療関係者の方々に示す必要があるのだろうということで、今、この御議論を頂いているところだろうと認識しております。

 御議論いただいております、この歯科保健医療ビジョン自体につきましては、今、お話をさせていただいたように、今後の基本的な考え方、歯科保健医療提供体制の基本的な考え方を示すものですので、この提言を踏まえまして、今後の方向性を具現化するためには、具体的な予算事業等で対応していくことになるだろうと考えております。

 さらには、このビジョンに基づきまして、適宜、診療報酬も含めまして、いろいろな部局で制度的に、このビジョンを活用していただきまして、国民の方々に、より適切で質の高い歯科保健医療を提供していただくようになればと考えております。

○江藤座長 ありがとうございました。それでは議事に移らせていただきます。今回は前回に引き続きまして、歯科保健医療ビジョンについて、御意見を頂戴したいと思います。まず、事務局のほうから資料について、説明をお願いいたします。

○和田歯科保健課課長補佐 お手元に資料 1 を御用意ください。資料 1 は、「歯科保健医療ビジョン ( 素案 ) について」です。新旧対照表の形式でまとめたものです。事前に御確認いただいた内容から御意見を頂戴し、事務局で一部修正を行っておりますので、改めて御確認していただければと思っております。表ですが、右側が前回の第 6 回目のときに提示した内容です。左側が前回の御意見、その後に頂いた御意見等をもとに事務局で修正を加えたものです。主な修正箇所につきましては、アンダーラインを付しております。細かい表現等の修正を除いて、内容が大きく変わったところを中心に説明させていただきたいと思っています。

 まず 1 ページ目、 1 番目の概要です。上から 3 つ目の○です。ビジョンは誰に発信するのかというところに関し、文章の後段になりますが、これからのあるべき歯科保健医療の提供体制等について、歯科医療関係者のみならず、国民や、医師等を含めた医療関係職種に「歯科保健医療ビジョン」 ( 以下「ビジョン」 ) を発信するという記載を追記しております。また、 1 ページ目の (2) 今後の歯科保健医療の需要の 2 つ目の○の部分です。「各ライフステージにおいて必要な歯科保健医療の例」という記載を加えております。

2 ページ目、各ライフステージにおいて必要な歯科保健医療の例の中での高齢者の部分ですが、「根面う蝕や歯周病の予防・重症化予防に加え機能回復の視点と、フレイルに対する食支援等の日常生活支援の視点」という表現に改めております。

 また、大きな 2 つ目、地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関の役割です。 (1) 全体の一番上の○ですけれども、「地域包括ケアシステムの構築を進めるに当たって、各地域において、各々の歯科医療機関の果たす役割を明示し、地域住民に対する地域保健活動や、入院患者及び居宅等で療養を行う患者に対する周術期等の口腔機能管理や在宅歯科医療を中心とした医科歯科連携を進める。その際、各地域の医科歯科連携状況を把握するための指標などや、連携を進めるための歯科診療情報などの ICT を活用する。一方で、無歯科医地区等の、歯科医療の確保が困難な地域があることから、各地域の実情に応じて検討する」という記載にしております。

 また、 2 つ目の○です。今回、新しく追記したものですが、「地域包括ケアシステムに歯科医療機関が積極的に参画し、その役割を十分に果たすことができるよう、歯科医療機関と、その他関係機関との調整を行う人材が必要である」という記載を追記しております。

3 つ目の○です。介護との関係として、前回の会議で御意見として頂戴したものですから、 3 つ目の○として、「介護保険施設入所者等の要介護高齢者に対しては、歯科医療を含む医療と介護が一体的に提供されるよう、歯科医療機関と介護保険施設等との連携を推進する。なお、介護保険施設等での歯科保健医療サービスの提供に際しては、入所者のみならず、施設職員等の歯科保健医療ニーズ適切に把握した上で実施すべきである」という記載にしております。

 次の 3 ページ目です。一番上の○ですが、後段の部分に歯科技工士の記載を追記しております。「更に歯科技工士についても、高齢者の増加に伴う歯科技工の需要の変化や、歯科技工技術の進歩等に伴い、歯科技工士を取り巻く状況に対応した業務のあり方の検討を行うことが必要である」という記載を追記しております。

(2) 歯科診療所ですが、一番上の○、途中からになりますが、「このため、機材等が限られた診療環境の下で、適切な歯科診療を行うために歯科医師のスキル向上等を行い」という文章を追記しております。 2 つ目の○ですけれども、「歯科診療を前提として、医療安全や医療倫理等の全てを担う義務があり、また、国民や患者からも様々な役割や機能が求められていることから、専門分野に応じた歯科診療所間の役割分担、複数の歯科診療所のグループ化、歯科診療所の規模の確保等により、個々の歯科医療従事者の負担を軽減しつつ、機能分化が推進され、また、多様な働き方の推進も期待される。なお、「地域医療連携推進法人制度」等の制度も参考にすべき」という記載にしております。

(3) 病院のところですが、前回はかなりシンプルにまとめたものを、細かく分けて整理したものです。 1 つ目の○ですが、「歯科保健医療サービスを提供する病院は、歯科大学附属病院、医育機関を除く歯科診療を主とする病院 ( 歯科病院 ) 及びこれらを除く病院内で歯科診療を実施する診療科 ( 病院歯科 ) に分類されるが、病院の設置状況や規模に応じて、歯科診療所で対応できない患者の対応や定期的な研修の実施など、後方支援機能を担うために体制強化に努める」としております。

 また、 2 つ目の○として、「病院における役割や業務を明確にし、歯科医療の向上に資する取組を推進する。特に病院における歯科医師の業務は、歯科疾患に対する外科手術等の歯科診療のみならず、医師等の他職種と連携を図りながら、医科疾患により入院している患者に対する口腔機能管理等を行うことが求められる」という記載にしております。

4 ページ目の 3 番、あるべき歯科医師像やかかりつけ歯科医の機能・役割です。その中の (2) かかりつけ歯科医の機能・役割の部分です。 1 つ目の○には、なぜかかりつけが必要なのかという記載を加えております。「近年、国民や患者が求める歯科保健医療ニーズは多様化し、また、歯科診療に係る様々な情報が流通するなど、国民や患者自身が歯科医療機関を選ぶ際の選択肢が広がっている。このため、国民や患者は、口腔内に問題が生じた場合に、適切に治療や相談等が受けられるよう、かかりつけの歯科医師を身近に見つけておくことが必要とされる」という文章を新たに加えております。

 また、 2 つ目の○は、かかりつけ歯科医の基本的な考え方です。「かかりつけ歯科医は、地域包括ケアシステムの一翼を担い、地域保健活動や外来受診患者の口腔疾患の重症化予防のための継続的な管理を通じて、地域住民の健康の維持・増進に寄与する。また、患者の身体状況や住まい等が変わっても、関係者と連携しつつ、切れ目なくサービスを提供するなど、ライフステージに応じ、患者の求めるニーズにきめ細やかに対応し、安全・安心な歯科保健医療サービスを提供することが求められる」としております。

5 ページ目の一番上の○ですが、「必要に応じて、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師・薬局等と診療内容の情報共有を行うなど、患者が適切に医療を受けられるよう、連携を図ることが必要である。また、自院で対応できないケースについては、他の歯科医療機関と診療情報の共有など連携を図り、適切な歯科医療を提供できるように努める」としております。

4 番の具体的な医科歯科連携方策及び歯科疾患予防策につきましては、現時点で御意見を頂戴したものは一部修正が入っておりますが、前回に御意見を頂戴する時間がなかったものですから、本日の会議での御意見を踏まえて、加筆修正をしていきたいと思っております。

 御参考までに資料 2 と、参考資料 1 ですが、これは現時点で修正箇所を溶け込ませた資料になっておりますので、併せて御参照いただければと思っております。事務局からは以上です。

○江藤座長 この後、この修正案に沿って御意見を頂こうと思っておりますが、こういった構成でいいかということを含めまして、ただいまの修正案について、全体的に何か御質問がありますでしょうか。

 では、こういった構成で、このビジョンを作成していくという方向になります。まず、ただいま御説明のあったビジョンの素案ですが、 1 ページ目の修正案の 1 の概要です。その中の (1) 歯科保健医療ビジョンには、 3 つ○があります。提供体制の構築、それから他職種との連携、そういったことを含めて、何か御意見、御追加等ありますか。

 それでは、次の (2) です。今後の歯科保健医療の需要です。これはワーキンググループでもって森田先生が、需要と供給につきましては、人口動態特に人口減少の問題を大幅に需給に取り入れるという、そういったところから端を発しています。ここの歯科保健医療の需要につきまして、次のページの中段までで何か御意見ありませんか。

○三浦構成員 非常にブラッシュアップされてきて、いい形に修正がなされていると思っております。ただ、できれば付け加えていただきたいと思うところがあります。 1 ページ目の (2) 2 番目の項目に関連するところですけれども、確かに、う蝕等の歯科疾患、有病状況は改善しているところではあるのですが、その一方、歯・口腔に関する健康格差の問題もあります。ここの部分に関して、歯科医療従事者は対応していく必要性があろうかと考えますので、この歯・口腔に関する健康格差の表記を何らかの形で付け加えていただければ、よりバランスの取れたものになると思います。よろしくお願いします。

○江藤座長 事務局よろしいですか。

○和田歯科保健課課長補佐 対応いたします。

○江藤座長 ほかにいかがですか。

○山口構成員  2 ページの高齢者のところですが、全体の需給の構成について意見があるわけではないのですが、先ほど国民にも発信するというお話がありました。それを考えると、フレイルというのが、医療界では結構、今、当たり前に使われ始めているのですけれども、一般的に国民レベルではフレイルというものが、そんなに普及しているとは思えないので、フレイルについての説明書きというか、そういうものを少し入れていただいたほうがいいのではないかと思いました。

○和田歯科保健課課長補佐 分かりました。全体的に専門用語が少し入っている部分がありますので、分かりやすく、少し注釈を入れるなど対応したいと思っております。

○江藤座長 フレイルについては、前回、三浦先生が、学会では、今、おっしゃったように、当たり前の言葉になっているのですが、社会的にはまだなっていないという御指摘が確かにありました。その辺のところを分かるようにしてください。ほかにありますか。

○井上構成員 全体を通して言えることかもしれませんが、医科歯科連携という言葉、それから情報の共有という言葉が多々見られます。それを行うためには恐らく知識の共有というような文言が必要なのではないかと思っています。例えば歯科医が医科のことをどの程度、理解しているかという話と、医科が歯科のことをどれぐらい理解しているかということを踏まえますと、共通言語的なことも恐らく必要だと思います。

 それから、う蝕と歯周病が、機能回復と歯科疾患の予防という言葉に置き換わっていくのだろうと思うのです。さらに皆さんには釈迦に説法で申し訳ないのですが、歯周病や、う蝕等から、数多くのエビデンスとなる論文が出始めております。

 例えば、虫歯の大きな原因菌にミュータンスがありますが、ここ 2011 年頃から多くの論文で、脳動脈の梗塞を起こすといったような問題、それから歯周病原因菌が、例えば関節リウマチ、糖尿病、慢性腎疾患、アルツハイマー、また、歯周病菌が低体重児の胎盤から発見された NASH とか、動脈硬化の病巣に歯周病菌がいるという報告も出ています。

 また、最近のホットなところですと、腸内細菌の中に歯周病菌がいて、そこから、今、申し上げたような病気が出る、又は大腸がんが発症するといったよう無報告があります。こういったようなものがあるということになりますと、ただ単に口腔内をきれいにして誤嚥性肺炎を予防するのだということのみならず、実質的な医療連携、例えば今の例で申し上げますと、関節リウマチであれば、整形外科との具体的な医療関係が必要であるというようなことが、余りにも記載が薄いような気がいたしますので、病原性と全身疾患との関係に関して、もう少し知識の共有を図るといったような文言が、必要なのかなと思っています。以上です。

○江藤座長 ありがとうございました。ただいまの御指摘は、一応、言われているのですけれども、どういう記載にするかという問題があります。

○和田歯科保健課課長補佐 今、井上先生がおっしゃった部分につきましては、医科歯科連携のところにも、一部重複する部分が出てくるかもしれませんので、また、御指摘いただいた意見に関して、どこに記載するかというのは、議論の状況も含めて検討したいと思っています。

○井上構成員 ですから、歯科保健医療ビジョンですので、これで構わないのかもしれませんが、実質の把握としては、ほとんどの方が、今、私が述べたような具体的なところは多分、理解されていないのだろうと思います。これからそこへ向かって行かなければ、恐らくいけないのだろうというような歯科医が、そして、いわゆる介護施設であるとか、それから居宅入院、そういったところで歯科医が治療する上で、基礎疾患を持っている人を治療していくのだという前提があるので、今、ここに書かれているビジョンはすばらしいと思うのですけれども、余りにもグローバルすぎる気がするので、もう少し中項目的な感じで一段下げて書くという必要もあるのかということで、御意見を申し上げました。以上です。

○江藤座長 ありがとうございました。ほかにありますか。

○高梨構成員 今、井上先生がおっしゃられたことと関連して思っているのが、歯科と医科の役割分担というところですが、これは 5 ページのほうに係る問題になるのかもしれないのですけれども、実は歯科医院でアナフィラキシーショックが起きても、歯科医の方はおおよそ救急蘇生のトレーニングを受けていらっしゃらない方が通常なので、救命することが困難だと考えられています。

 それに関しては、どこまで歯科医がやっていいのかという明確なルール明記が今までなされていなくて、実際にも年に何件か、そういう事案があると言われております。私のところにも亡くなられてしまった患者の遺族から御相談を頂いたりしたのですけれども、現状としては制度上、歯科医院でも当然アナフィラキシーショックは起こり得るわけです。麻酔などを使うわけですから。

 アナフィラキシーは、治療に一刻を争う性質のもので、進行して患者の気道が浮腫で塞がってしまったら死んでしまうわけです。釈迦に説法で申し訳ありません。だけれども、これに対して歯科医が適切な救命のトレーニングを受けていらっしゃらないから対応できないという状況というのは、今、実はあります。

 この問題というのは、多分、医科歯科連携が進んでいくと、今、井上先生がおっしゃられたこととは、ちょっと違う意味での、医科と歯科の連携をしていく上で必要なことではないでしょうか。少なくとも二次救命処置についてまで、歯科医がトレーニングを受けることが必要なように思います。特に病院内でアナフィラキシーが起きて、その場に立ち会っていたのが歯科医であったとした場合にどうなるのかと考えると、医科と歯科とで共通で持っていたほうがいい知識、前々回に水田先生がおっしゃられたような、共通して持っていないといけない知識というものを、もう一回ブラッシュアップしていかないといけないことが出てきてしまうのではないか。それが私の立場から見て一番思っているものに、救急蘇生の問題があるということを御指摘させていただきたいと思います。

○江藤座長 ありがとうございました。非常に大事な御指摘です。これにつきましては、私は共用試験に関わっているものですから申し上げますと、共用試験というのは、臨床実習の前に、客観的な臨床能力試験というものをやるのですが、そのときに救急救命の課題も入っております。ただ、これは最近の話ですので、今、開業されている先生が、そういったトレーニングを受けているかどうかは、また別問題です。大学によっては、それでは遅すぎるから、入学した直後に、この救急救命、要するにどこの時点まで患者さんに立ち会って医師に適切に渡すというところまでのトレーニングを実施しているところがあります。これについては大学によっても差があります。

 それから、先ほど申し上げた客観的能力試験、 OSCE と言いますが、これだけでは不十分な点があります。その辺のところを、このビジョンでどのように書き込んで、適切な医科歯科連携にもっていくかといったことを、検討する必要がありますので、事務局は少し考えていただきたいと思っております。ありがとうございました。何かこの点につきまして、御追加がありましたらお願いします。

○水田構成員 私どもの大学は、医科の講義を幅広くやっています。いろいろやっていますけれども、それでも歯科医師は、患者さんには触れないという制約があるのです。まだ今も挿管してはいけないのでしょう?もう 10 年近く前ですか、北海道で救急車に歯科医師が乗って、それでいろいろと問題になりましたが、今、そして消防隊員は救命救急隊員の方は、例えば大学病院で挿管の実習を何十例かすれば、挿管してもよいことになっているのです。

 ですから、やはり歯科医師に対して、私はそういう救急処置ができるということは、もちろん教育をしなければ、トレーニングをしてもらわなければいけないけれども、その許可をすべきだと思います。そうしないとアナフィラキシーショックが起こって、歯科医師が 1 人では何にもできません。イコール医科と歯科の連携と言っても、歯科の病院に医師が必ずいるわけではありません。やはりそこは自分たちでするというように、これから変わっていくのだと思います。

 今は歯科医学のほうでも 何かエデュケーションのことで、いろいろな委員会を江藤先生がやられていますから、そういうことも踏み込んでするようにしてほしいと思います。

○江藤座長 交通事故で、学生で一番助けられるのは看護師で、その次に医学部の学生で、歯科の学生は助けられないという話を、昔、聞いたことがありますので、その辺のところは非常に大事な問題だと思っております。

○山口構成員 今、救急処置のことが出てきていますけれども、せっかくビジョンということでまとめるのであれば、 1 つ救急があるのかもしれませんけれども、例えばこれまで歯科医ができなかったことで、ちょっとハードルになっているような問題とか、専門的なことが分からないのですが、ここを本当は変えたいのに、なかなか変えられなかったということが、ほかに何か問題点としてあるのでしょうか。せっかくだから、そこを出して、同じように考える必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。専門家の方にお聞きしたいです。

○井上構成員 基本的には、歯科の疾患に関わっていれば何をしてもいい、例えば、歯科の疾患の治療中に呼吸困難に陥ってしまえば挿管をするのは、もちろん構わないわけですが、例えば、足を切って大量出血をしている場合の処置に関しては認められていません。

 私は病理の専門医ですが、病理に関しては口腔以外の診断はできません。ただし、口腔病理の専門医の試験では、頭の先から足の先まで全ての病変についての試験を受けます。しかし、実際は口腔内に起こった病変以外は診断できないので、境界領域というのはものすごくグレーになります。では、肝臓に転移したら診ていいかというと、これも診てはいけない。口腔原発であっても、連続性がなければいけないと言うことです。ですから、麻酔に関しても歯科に関連したものであれば、一応の許可はされているというところが大きな問題であるかもしれません。

○江藤座長 もともと高梨構成員の御発言は、歯科医院の中で、歯科治療中に起きた、例えばアナフィラキシーショックですね。そういったことに関して、歯科医がどこまでやって、それから救急救命医ないしは内科医に渡すという、その辺のことの連携をきちんと書き込んでくれという話だと思うのです。

○高梨構成員 プラスアルファーして、もし病院内で歯科医が立ち合っている状態でアナフィラキシーが起きて医師がすぐ駆けつけられない状況が仮にあったとした場合、それは歯科医師だから救命措置が、ボスミン注射して挿管してというのが、トレーニングを受けていないし知識も十分なかったから対応できませんでした。だから亡くなったのはしょうがありませんということを、国民が果たして納得するかということが出てきてしまうのではないかということを懸念しています。今後、医科歯科の連携が進んでいった中で、病院で似たような自体が起きて、かつ、そこの場で一番患者を救命できる可能性があったのは歯科医であったとした場合に、それはもっと国民からしたら理解困難な問題になってしまうのではないかと懸念して申し上げたという趣旨だと、理解していただけたら有難いです。

○江藤座長 医科病院の中で、口腔ケアの部門があって、そこでうんぬんという話になろうかと思うのですか、医科の病院の場合には、一次救命、二次救命のシフトは完全にできておりますから、今のようなケースは非常にレアだと思います。あり得るこことではありますが、むしろ、医師がいない歯科診療所で起きた問題に対して、歯科医が適切な救急救命、初動をどうするかという問題は、おっしゃるように、きちんとここで書き込んだほうがいいということです。

○南構成員 そういう救急のような緊急の場合は、もちろん命に関わりますから大事でしょうけれども、ここでも繰り返し御指摘がありましたが、例えば感染制御、安全管理といった基本的な診療の上での問題。特に感染の制御については、非常に大きな問題になりかねないので、この辺りは、やはり徹底していただくことは必要ではないかと思います。

○山口構成員 先ほどの話に戻りますけれども、先ほどのお話だと、例えは歯科診療中に、アナフィラキシーショックを起こしたら、歯科の診療中だから、対応することは可能だということですね。ただ、対応することが可能であっても、トレーニングを受けていなかったらできないという問題とは、やはり分けて考えないといけないと思います。もし、問題として、治療中に起きたアナフィラキシーショックは対応できるのであれば、そこを対応できるだけのトレーニングするにはどうするかを考えていかなければならないのではないかと思いますので、そこの所は今回のビジョンと関係するのかどうか分かりませんが、現実と合わせた教育のあり方を、是非お示しいただきたいなと思います。

○江藤座長 ありがとうございました。救急救命だけではなくて、例えば糖尿病の患者さんを治療するときに、どういう注意をすればいいのかとか、心疾患の患者さんを治療するのにはどういう注意すればいいのか。それが体系的には、まだ教育されていないという点があります。これは医科歯科連携の基本的な事項です。そこのところをどういう記載にするか考えさせていただきます。

○柳川構成員 あまりここで時間を使ってやれないのかもしれませんが、救急救命で申し上げれば、高梨委員の御指摘のとおり、専門教育を受けた歯科医師は少ないかと思います。ただ、歯科麻酔学会と歯科医師会が連携したバイタルサインセミナーは各地で開かれています。あと、座長の御指摘のとおり、学生教育でも始まってきているということですので、そういったような環境が整った上での話かと思います。現状の歯科医療の現場で、そこまでを強いる、歯科医療のあるべき水準を上げてしまうというのは、やはり慎重な議論が必要だと思いますので、きちんと準備が整った段階で、もし記載をするのだったら、慎重に記載をしていただきたいと思います。

○江藤座長 ありがとうございました。高梨委員の御指摘については、きちんと記載をするという方向で検討したいと思います。

○水田構成員 ちょっといいですか。教育について、歯学部の教育を少し変えていかなければいけないことは、皆さん納得していると思うのです。臨床的な、医学的教育も少しはやらないといけないということを。現実として、いろいろな大学でトライはしていますから、そして新しい歯学教育のあり方という面でも、いろいろな話合いはされていると思うので。今は、そういう途上にあるということを一言加えておいたら、みんなそうかと納得するのではないでしょうかね。今、柳川先生がおっしゃったように、まだ全部出来上がってはいないから、それを全部、今の時点で古い先生方にもそれを全部要求するというのは、酷だと思いますので、これからそういうように変わっていくということを、ちょっと言っておけば、みんなそうかと納得するのではないかなと思います。

○江藤座長 ありがとうございました。この議論、何回か水田先生からも御指摘をされているところなのですが、そういった教育においても今は途上であるということを記載すると同時に、医科のほうにも歯科側の理解を得るような、そういった努力が必要だろうということです。ほかにございますか。

 それでは、次の 2 ページの 2 の地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関の役割です。まず、 (1) 全体のところですが、ここの記載について何かございましたら。

○川添構成員  4 つ目の○の所に、歯科技工士のことが、歯科衛生士と並んでここに記載されているということは、非常に大きな進歩だと思うのですが、先ほどのような大きな規模はないにしても、この歯科衛生士の業務と、歯科技工士との業務との間には、まだ雲泥の差があるような気がいたします。更に、歯科技工士についても、高齢者の増加に伴う、歯科技工の進歩等に伴うということの中に、細部が含まれてくるのかも分かりませんが、例えば、今の段階で訪問や在宅に歯科技工士を連れて行っても、歯科衛生士は役立つけれど、歯科技工士は、患者さんに触れないので、ほとんど役に立たないという感じ。例えばまた、今後、歯科技工士がいくら CAD/CAM で、高度なバソコンで CAD CAM もやれるような装置を持参して行ったとしても、やはりそういった問題は付きまとうということですので、法的規制も含めて、この辺りを解決する必要があるので、この 2 つの業務のあり方の検討を分けて書いているのはそのせいかも分かりませんけれども、できるだけこの機会に、歯科技工士も、同じ医療職の一員だということのニュアンスを表わしていただきたいと思います。

○和田歯科保健課課長補佐 川添先生がおっしゃった具体的な内容については、ここに書かれているところに基本的に包含されているということだと思っています。おっしゃられたように、歯科技工士を取り巻く状況というのも、随分変わってきていることを、どう捉えていくかの議論は必要であるとの趣旨を踏まえて記載しています。個別具体的な内容に関しては、様々な御意見がありますので、一応この段階では、こういった形で記載させていただく方がよろしいかなと思っております。

○川添構成員 分かりました。

○江藤座長 法的には、歯科技工士は行ってはいけないものという、そういうことを含めての話ですね。

○川添構成員 歯科技工士というのは、統一の国家試験もできたのですけれども、巷の週刊誌とかそういったものでは、歯科技工士には、 CAD/CAM が進歩すると未来がないと。 10 年以内に消えていく職業であるというようになりますから、歯科養成学校の 10 分の 1 ぐらいしか応募がありません。例えば 30 人、 50 人の入学定員の養成所では、歯科技工士の養成が、その 10 分の 1 という、数人しかやれないという、そういう形で、今年も新聞にも載りましたけれども、 2 つか 3 つの技工士学校が廃校になっている、あるいは募集停止になっている。そうすると、いろいろなことが跳ね返ってくるので、たとえ CAD/CAM の技術のエキスパートでも、高齢患者の訪問とか、在宅で役立つ面があります。やり甲斐を感じるのは、少なくとも衛生士さんと同じ程度に患者さんの喜ぶ姿を、そこで対面治療と言わなくても対面行為ができるというところまで、何としても持っていけば、まだ技工士の職業の価値も希望が生まれてくるのではないかと思います。

○江藤座長 対面の話は、これは業務のあり方に含まれているということですね。

○和田歯科保健課課長補佐 若干、法的な解釈の部分も発生してくると思うのですが、先生御存じのように、歯科技工士自体は、診療の補助という行為が認められていませんが、診療の補助という部分と、いわゆる診療の補助ではない対面行為は、非常にすみ分けが難しい部分があります。おっしゃったように、実態として訪問診療で技工士さんが同行していることが、診療の補助の解釈に当たるのかどうかということは、具体的に議論が必要なところだと思いますので、実態として行われている部分をどのように考えていくのか。また、 CAD CAM と言われる新しい技術自体が導入されていく中にあって、どのように考えていくのかということも含めての議論は必要かと思っています。

○川添構成員 例えば、今のままの法的な範囲でいいかも分かりませんが、それでもせめて在宅と訪問のときだけは、多少拡大解釈的なことが認められるとか、そういうことがありさえすれば、非常にやる範囲も職域の範囲も広がり、仕事量も増えると思います。

○和田歯科保健課課長補佐 その点は、具体的な議論の場が必要だと思っています。この場では結論は多分出ないと思いますので、いずれにしても、技工士さんの取り巻く状況が変わってきている中で、衛生士さんも含めてですが、議論する場は必要だろうという問題意識に立って、この記載を追加していますので、然るべき場で、きちんと議論をさせていただきたいと思います。

○山口構成員  1 つ質問ですけれども、前回欠席したので、もしかしたらそのときに話が出ていたのかもしれないのですが、 (1) の全体の 2 つ目の○の所で、地域包括ケアシステムに、歯科医療機関は積極的に参画し、その役割を十分果たすことができるよう、歯科医療機関と関係機関との調整を行う人材が必要であるとあります。調整する人材はとても必要だと思うのですが、これを書かれたときの、どういう立場の人をイメージしてこれを記載されているのかというのが、私の中でイメージが湧かなかったものですから、そこを教えていただけますか。

○和田歯科保健課課長補佐 この 2 つ目の○につきましては、検討会のときに出た御意見ではありませんで、検討会の後に先生方から頂いた意見を新たに追加したものです。実際には、恐らく歯科医師や歯科衛生士が中心になってコーディネートの役割を担っていくものだと思いますが、地域の実情によっては、必ずしも歯科医師、歯科衛生士の方でなくても、歯科医療機関と関係機関とを調整する役割を担っている方もいらっしゃると思いますので、職種を明記した方がよろしいのか、あるいはこのままでよろしいのか、御意見を頂ければと思います。○江藤座長 地域包括ケアのコーディネート、ないしは司令塔はどうなるのかという話がずっとあるわけです。ただ、それはここの議論ではありませんので。ただ、歯科に関しては、やはりここでグループ化とか、そういった話が出ておりますから、誰かコーディネーターがいないと動かないのではないかという話です。それは地域によって実情が変わるのではないかということで、こういう書きぶりになったのだということです。

○山口構成員 ということは、例えばケア会議などにも参加をして、見える関係の中で、この地域だとコーディネーターはこういう人ですねということを考えていきましょうというイメージでよろしいでしょうか。

○和田歯科保健課課長補佐 より具体的に場面を書いたほうが分かりやすさはあるのですが、様々な部分で調整をすることが求められるものですから、今の時点では、割と抽象的な書き方にはしています。

○江藤座長 ということでございます。

○森田構成員 別のことでもよろしいですか。今の山口委員が御指摘になった所の上の○の部分なのですが。趣旨は分かるのですが、 1 つは用語の問題としまして、診療情報等の ICT を活用するというのは、日本語の表現としておかしいのではないかという気がして、むしろ ICT はなくてもいいのかなという気がしますし、その下の所で、一方で、「無歯科医地区等の」とあるのですが、これも今の座長のお話でそうかなと思ったのですけれども、各地域の実情に応じて検討すると言いますが、どのように検討するのかという方向性が、もう少し示されれば、分かりやすいという気がするのですが。

○和田歯科保健課課長補佐 今、森田先生から頂いた御意見はごもっともだと思いますので、もう少し具体的にこの部分を記載したいと思います。ただ、この文章を加えさせていただいた前提として、そもそも歯科の医療自体がきちんと確保されていることを前提にして記載しましたが、地域によっては、過疎の地域であるとか、歯科医院がない地域というのがあるものですから、こういった所では、やはり体制を確保するのは難しいので、少し切り分けて、記載しているところです。先生から御指摘があったように、具体的にはまだイメージは持ち合わせていないのですが、より具体的にできるように、書き込んでいきたいと思います。

○柳川構成員 私のイメージを少し申し上げますと、今森田委員から御質問があった部分は、確か、無歯科医地域は、現状でも、最近の調査でも 800 箇所ぐらい、多分 20 万人ぐらい対象の地域があると認識しています。さらに今後は歯科医師も高齢化したり、地域で 1 人もいなくなってしまうという状況が生まれる可能性があります。そうすると、歯科医療機関の後継者がいないと、あとをやる方がいませんので、一番近い公的な病院に、もし歯科医師がいなかったら、歯科医師を配置していただいて、例えば週に 2 日ぐらいは無歯科医地区を回るとか、そういったようなことが必要になる場合があるかと思います。あるいは、それが無理であったら、その地域の歯科医師会で、何とか輪番制のシステムで巡回するというようなことも、可能性としてはあるのではないかと思います。

 それから、先ほどの山口委員の御指摘は、私はやはり地域包括ケアのゲートキーパーは、例えば内科の主治医の方がゲートキーパーであったりということもあると思うのですが、他にも、いわゆる多職種の方がいろいろな可能性があります。例えば地域包括支援センターのセンター長であったり、あるいは病院内であったら、退院してから地域に戻るときの病診連携室、ケアマネージャーの方、更には行政の介護担当の方が間に入る場合もありますので、ここにある書き方でよろしいのではないかというような感想を持ちました。以上です。

○江藤座長 御指摘のとおり、実情としては、いろんな職種の方がマネジメントないしはコーディネーターをやっているものですから、こういう書きぶりでよろしいかという御指摘です。それと同時に今出ました、地域包括ケアの支援センターのセンター長になるのかと。口腔保健センターがあるけれども、それはどういう位置付けになるのかとか、そういった整理は今後していくということです。

○西原構成員 先ほど和田課長補佐のほうから御案内がありましたが、全体の○の所で、森田構成員もおっしゃっていた表現なのですが、「その際、各地域の医科歯科連携状況を把握するための指標」、これは何を意味しているのですか。

○和田歯科保健課課長補佐 具体的に、まだイメージしているものがないのですが、 1 例として挙げられれば、診療報酬などで医科と歯科の連携などが評価されている項目が、客観的に数値として調べることも可能になっていますし、あとは、病院の中で実際に歯科がある割合とか、歯科医師がどのぐらい配置されているのかということも、指標になり得るであろうし、何か定量的に比較するようなものも、最近必要になってきているのではないかという問題意識に立っています。

○西原構成員 指標は大事なのですが、一方で地域に対して医科歯科連携をするように、あるいは周術期の口腔ケアというような形で、補助金などの公的なお金が使われ適正なデータが出され、それをもって、厚生労働省として施策に繋げていると理解しています。このような、配布金の適正評価も重要な指標となりますので、今回のような概念的な文書を作り直すときに、考えの中に入れてみていただけたらと思います。

○江藤座長 ありがとうございました。これはあくまでもビジョンですので、いろいろな具体的な策はその先にあると。今非常に重要な御指摘をいただきましたが、その辺のところを含めた書きぶりということにさせていただきます。

 それでは、 3 ページ目の歯科診療所の所について、 2 つの○がありますが、ここについて何かございますか。

○山口構成員  1 つ目の○の所ですが、在宅、訪問診療を行うということは、資材が限られているというようなことで、ここに適切な歯科診療を行うための歯科医師のスキル向上等を行いと書いてあるのですが、スキル向上というのは、例えば歯科医師会などで、新たな研修を行ってスキルを向上させていくというようなイメージなのかなというのを確認させていただきたいということと、機材自体のいろいろと変わってきていると思いますが、そういったことは、書き入れなくていいのでしょうか。単にスキル向上だけではなくて、使えるものというのも、これから変わってくる可能性があるのかなと感じましたので、そういう可能性も含めてお聞きしたいと思います。

○和田歯科保健課課長補佐 今、山口構成員のほうからあった、後段の質問に関しては、実際には機器自体も非常に進化をしていますし、持ち運びがしやすいような形態にもなっていますので、表現はまた少し工夫させていただきたいと思っております。

 前者の御質問につきましては、これも様々な内容が含まれていると認識しています。現行でも、職能団体で、研修を実施されているということもありますし、あとは、各都道府県において、地域医療介護総合確保基金を使って、人材の確保、あるいは研修ということを行っていただいているのも事実です。こういったものを具体的に続けていくのか、少し見直していくのかということの議論はあるかもしれませんが、そういったものも含めての様々なことがこの中に入っていいということで御理解いただければと思います。

○江藤座長 三浦先生の御発言の前に、山口さんの御発言がありましたので。これは、歯科医師のスキル向上と。

1 つ、私のところに、 10 年ほど訪問診療をやっている方からメールがきまして、どのような内容かというと、月一度訪問診療をすると、例えば軽度の虫歯でレジン等を詰めますが、半年後には神経を取らなければならないと。要するに感染するわけです。それで、神経を取った後、今度はクラウンを被せます。そうすると、その半年後には、他の場所に虫歯ができて、結局は歯を抜くということになります。そうすると、真面目に治療をすればするほど、普通の健常者ですと、 5 年とか 10 年とか持つのですが、半年ごとにやりかえなければならない。今はもう早いうちに抜いてしまって入れ歯を入れますと。真面目にやって、こういうふうに虫歯の治療をして、詰めて、神経の治療をして、それからまた抜くとなると、保健医療に対して非常に負担がかかるということを、このメールは指摘しているわけです。そういった事情があって、ここに書いてあるスキルの向上といった場合には、健常者とは違う診療のガイドラインが必要になってくるのではないかという指摘です。ですから、健常者でやっているような緻密な治療というのは、感染とかそういったことから見ると、とても無理だと。健常者を治療している歯科医から見ると、それは邪道じゃないかと言われても、やはり寝たきりの、そういった患者さんについては、そういった実情があるということをお伝えしておきます。

○山口構成員 今のお話だと、機材等が限られた診療環境の下でという、非常に限定されて、その下で、だからスキルが向上しないといけないように読めてしまうので、そこの前提になる文章が今のおっしゃってくることとは少し違ってくるような気がするので、もし、それであれば前提の文章をもう少し変える必要があるのではないかなと思います。

○江藤座長 おっしゃるとおりで、実情にあったスキルといいますか、診療形態ですね。かなり訪問診療は増えつつありますから、それを考えざるを得ない時期にきています。かかり付け歯科医、診療型のとか、強化型のという。だから、そこら辺は考えなければいけない。事務局、書きぶりをまた考えましょう。

○三浦構成員 私の質問というか、お願いは 2 つ目の○になります。女性歯科医師活躍 WG の議論をまとめていた立場からのお願いなのですが、文言の中に「女性歯科医師の働き方を支援する」というような文言を是非入れていただきたいと思います。ビジョンの討議の前に、分科会で非常によいディスカッションをしていただいたということもありますので、できればそういった視点をこのビジョンにも反映していただけると大変有り難いと思います。具体的に申し上げますと、下から 2 行目の「また、多様な働き方の推進」の前辺りに、書きぶりは調整していただければと思いますが、例えば「女性歯科医師の働き方・支援並びに」というような文言等を入れ込んでいただけると、大変強いメッセージを発することができるのではないかと思っています。

 併せて、こちらもお願いですが、「多様な働き方の推進も期待される」の「期待される」という用語はメッセージとしては弱いので、もう少し強い能動的な言葉に文案を調整していただければ大変有り難いと思います。

○江藤座長 三浦先生の WG で何回か議論したところですので、その辺りを入れさせていただくということかと思います。「期待される」というのは、よく使う言葉なのですが、御指摘の点は。

○三浦構成員 「期待される」というと少し弱い響きかと思います。この辺りは書きぶりなので、最終的には御調整していただければと思います。

○森田構成員 今の点ですが、これは歯科診療所だけで女性の活躍ではないのではないかと思うのです。ですから、ここだけ書いても、もっと上のほうで、全体の所で触れたほうが、よりメッセージ性が強くなると思います。

○江藤座長 大事な点です。三浦先生、いかがでしょうか。

○三浦構成員 御指摘ありがとうございます。私も同じことを考えていたところではあるのですが、入れ込み所がなかなか難しくて、判断に迷うところでした。もし可能でしたら最初の前段の部分にうまく入れ込んでいただければと思います。 1 ページの 1 「概要」の (1) 「歯科保健医師ビジョン」の 3 項目に、「各 WG の議論も踏まえつつ」という文言がありますので、この辺りをうまく活用して、全体を通す視点として女性歯科医師の活躍を支援するような体制や、多様な働き方を支援する体制といった事柄を入れていただければ、非常にいいかと思います。御検討よろしくお願いします。

○江藤座長  1 ページの 1 (1) 3 つ目の女性歯科医師の活躍ですが、これは WG のカテゴリーとして女性歯科医師の活躍ということで、これをもう少し敷衍してほしいということです。

○水田構成員 私も女性のほうの WG に入っていましたので、今更と思われるかもしれませんが、私は歯科の領域で女性医師はものすごく優遇されていると思うのです。そんなに大変ですか。医科に比べたら女性にとっての歯科医師領域はものすごく仕事がしやすいと思います。 1 つには、急患が少ない。当直がない。自分の診療所を持ったら、自分のタイムスケジュールでやっていけると思うのです。だから、結婚しても子供を産んでも、歯科医師として続けることができます。まだ、サポートが足りませんかね。正直、甘え過ぎではないかと言いたくなるのですが、医科に比べたら天国ですよ。

○江藤座長 ちなみに、 ASEAN にしてもロシアにしても、歯科の学生の 8 割は女子です。水田先生の御指摘のように、当直はないし、そういうことらしいのですが。

○三浦構成員 御意見いただきましてありがとうございます。今、江藤座長からも御指摘があったとおり、諸外国において、歯科分野は女性歯科医師が多いと言われています。その原因の 1 つは、水田構成員が御指摘になったところはあるかと思います。実際に我が国の歯学部の学部生の在籍状況を見ると女性の割合は非常に増えてきています。しかし、残念ながら各大学における講師以上の職位等の女性の占める割合等々は十分に高い状態にはなく、それぞれの医療機関においても途中でライフイベント、結婚や出産等もありますので、一度仕事を離れると、復職がうまくいっていないところが指摘されています。そういった観点を踏まえ、 WG で議論してきました。

 そのような状況であることを鑑みて、環境支援というところで、女性歯科医師が活躍しやすい環境は男性歯科医師も働きやすい環境にもなりますし、普遍的なことではないかということでコメント致しました。

○水田構成員 一言言わせてください。確かに、女性歯科医師がスタッフになりにくいとか、いろいろ言われますが、今みんな働く環境をどうかしようということばかり言っているけれど、女性歯科医師たちにも自覚しなさいと、私は言いたいのです。女性歯科医師は自分たちで、もうこの辺でいいとか思ってしまうのです。大学のスタッフになるには、やはり業績がないと駄目なのです。研究もして、診療もして、目標を決めて、自分でそれを達成していくような努力をしないと。私はどうせ女性だからというような人たちを、サポートしたくないです。これは言い出したらきりがないのですが、環境ばかりを言わないで女性医師の認識をアップさせる努力も、これからの指導者はすべきではないかと思っています。

○高梨構成員 他業種ですが、弁護士ですと独立開業ということが、要するに第三者から WG の御議論を見たときに、勤務という形態があれば女性がキャリアを伸ばすことができるのだけれども。日本の歯科医療は基本的に診療所の独立開業が中心で、実は弁護士もそうなのですが、普通は 10 年内に独立開業をしなければいけない。でも、それは家庭とか女性特有のライフイベントの関係で難しいからできないということがあって、その点については何らかの考慮が必要ということは指摘できるのではないでしょうか。弁護士の世界も同じことですが、独立開業というリスクを背負わなければ歯科医師としてのキャリアを続けにくい状況に対しては、ケアが必要ではないかという趣旨では、理解すべきことではないかと思います。

○山口構成員 聞くところによると、開業する方は問題ないけれども、例えば結婚して、どこか診療所に勤めていて、出産したと。それで一定期間を終えて帰ってこようと思ったら、その受入先がなかなか厳しいという話は、歯科の領域ではその辺りがまだ整っていないという話は聞いていますので、そういう問題なのかなと、今の話を伺っていて思いました。

○江藤座長 男性委員にはなかなか介入しにくい問題もありますが、水田先生のおっしゃった自覚の問題と、三浦先生と高梨委員のおっしゃった組織の問題ということで、地域包括ケアという今までと違う組織形態が出てくるので、その辺りは引き続き議論が必要だと思っております。よろしいでしょうか。

○南構成員 女性ということと関連して、 2 つ目の○の所に先ほど私が申し上げた感染制御や安全管理のことが、割とさらっと書かれています。このことは、実は独立開業という、単科で開業している歯科医の問題とかなり直結しているのです。単科の歯科診療所が非常に多いわけですが、そこで果たして安全管理や感染制御といった目に見えない部分が徹底できるのかどうかという歯科医療の構造的な問題があるような気がしているので、歯科診療所のグループ化など、要するにこれからの歯科医師のキャリア形成の在り方みたいなことに少し触れでは、と思います。具体的に書きぶりや書く場所がどうなればいいということはわかりませんが、少しその辺りを御留意いただければと思います。

○江藤座長 歯科の場合、御指摘のように小さな企業なのです。いわば零細企業的な形で、医科の大きな病院とは全然形が違うものですから、そこにおける女性の立ち位置も自ずと違ってくるので、その辺りは高梨構成員の御指摘のとおりだと思います。

 また、今、南構成員がおっしゃったように、小さな企業なものですから、そこで医療安全や感染制御等を含めて全部やってしまわなければいけないというのは、女性がマネジメントする場合にはなかなか難しい。女性だからということではなくて、子育てをしながらとか、そういった問題があるということです。事務局、これもまた考えましょう。

○村岡構成員 ただいまの南先生の御指摘は重く受け止めておりますが、我々日本歯科医師会としては、会員に対して、あるいは大学等でもそうだと思いますが、これは大変重要な問題ですので、常々この点については医療人としてきちんとしたモラルを持って、倫理観、また実際に滅菌ということも含めて、きちんとやるように指導をし続けております。ですから、零細だから難しい、あるいは性別によって難しいということではないように理解しておりますので、その辺りは続けているという現状もあることを御披露し、御理解いただければと思います。

○江藤座長 少し時間が押しているので、 (2) 歯科診療所はここまでにします。

○井上構成員 時間がないところ申し訳ありません。 1 つ目の○の山口構成員がおっしゃったところで、このビジョンが 3 つの委員会のまとめであるとするのであれば、専門性のところではいわゆる訪問診療等でもそこに専門医のようなものとを作ったらいいのではないかという話も出ておりますので、「スキル」という言葉がどうも残ってしまって、「歯科医のスキル、ひいては専門性の向上を」といった言葉にしていただいたほうがよろしいかと思います。

○江藤座長 ありがとうございました。それでは、病院について御意見等ありましたらお願いします。

○柳川構成員 歯科診療所の、先ほどの在宅の話にも関係があるのですが、限られた機材では限られた治療しかできないという側面が当然ありますので、リスクが高い方やリスクが高い治療については、後方支援をしていただく機能が病院歯科に必要だと思いますので、その辺りをどこかに追加していただきたいと思います。

○江藤座長 今の御指摘は、病院の 1 つ目の○の「後方支援機能を担うために体制強化に努める」という部分でしょうか。

○柳川構成員 そうです。

○江藤座長 これに何か。

○柳川構成員 その後方支援について、在宅歯科医療についても後方支援が必要だということがあり、他にも受療困難な障害児者についても手に負えない場合がありますので、その辺りの後方支援機能を少し具体的に書いたほうがよろしいのかなと。歯科診療所の在宅医療の所ともつながることなので、そのように思いました。御検討ください。

○江藤座長  (2) の歯科診療所の在宅の所と、これをつなげてほしいという御指摘です。

○和田歯科保健課課長補佐 今、柳川先生から御指摘いただいた部分に関しては、病院の 1 つ目の○の「歯科診療所で対応できない患者」というのが少し抽象的な表現になっているので、今おっしゃったような在宅、あるいは障害者の方を中心に行うケースとか、そういった具体例を追記して、分かりやすい形で修正したいと思います。

○柳川構成員 ありがとうございました。

○江藤座長 それでは、 4 ページの (1) あるべき歯科医師像及び (2) かかりつけ歯科医の機能・役割です。 (1) あるべき歯科医師像について何かありましたらお願いします。

○西原構成員 先ほど来、感染制御ということを南構成員から何回か指摘されていました。私も専門性の WG の議論をまとめているなかで、専門性というのはアカデミアで担保するものであると申しあげましたが、一方で、医療の質の担保と安全は歯科医療として当然であるという議論で進めてきました。そのなかで、どこにそれを入れるかという話になってきたときに、 (1) 3 つ目の○の「プロフェッショナリズム」から始まる所ですが、ここでも医療の質と安全の管理という言葉が出てくるので、現状では「感染防御」という言葉は、ここに何らかの形で表現したほうが、 WG でもかなりいろいろな分野で問題になっていることを踏まえて議論が展開されてきた経緯がありますので、良いのではないでしょうか。この辺かなと、先ほど来の話を聞いて感じていましたが、南構成員はどのようにお考えでしょうか。

○南構成員 私も全くそのとおりだと思います。基本的なことであって専門的な話では全くないと思いますので。

○江藤座長 手短かに言うと、医療安全の中に感染防御を含めないで、医療安全と感染防御を並列してほしいということですか。

○西原構成員 それが 1 つの考えかもしれません。

○南構成員 すみません、医療安全に含まれる概念とは思います。別にするかどうかに、意見があるわけではありません。

○江藤座長 ありがとうございました。ほかにありますか。

○伊東構成員  3 番目の○の「歯科医師として求められる基本的な資質・能力」の所ですが、先ほど座長のお話にもありましたように、大学によっては救命救急を臨床教育が始まる前にやる、あるいは入学直後に始めると。私もそう思います。医療職に就いた人が資質として救命救急や感染防御、医療安全、あるいは個人情報保護といった、歯科医師免許証がまだなくてもやれることで、医療者として当然持っておかなければいけない資質を、少なくとも卒業して免許が取れたからしましょうではなくて、もっと手前の教育の中でやるべきだとか、やったほうが望ましいといったことを、ここに書いていいかどうか分かりませんが、加味していただければと思います。

○江藤座長 そこら辺は、また検討させていただきます。

○伊東構成員 この場で言っていいかどうか迷いましたが。

○江藤座長 ありがとうございます。

○高梨構成員 前回お休みさせていただいているのですが、もう 1 つ患者側からお願いしたいのは、患者側のリテラシーの低さがトラブルを招いている側面があります。リテラシーを向上するのは患者側、市民側の努力だけでできるものではなく、歯科医の側からプロフェッションとしての情報発信が大事になってくるのではないかと思います。どういう書き方をしていただくかは別として、患者側のリテラシー、それがひいては歯科医療に対する国民の信頼を担保するものであるということをどこかに簡単に書いていただけると有り難いです。宣伝は幸いなことに医療法改正になって、変な宣伝に関しては法で規制が入るようになりましたが、それだけでは駄目というか、殺人罪を作ったら殺人がなくなるかというと、なくならないわけです。早い、安い、簡単にできるということを売り文句にする方がなくなるとは到底思えないので、それを打破する方法は歯科医がプロフェッションとして情報発信をして、市民側がリテラシーを上げて、こういう先生が良い歯科医なのだということを理解して、そこにアクセスするという流れを作ることが望ましいように思います。そのための歯科医の役割として、市民のリテラシー向上のための情報発信をお願いしたいのです。是非、それを何らかの形で書いていただければ有り難いと思います。

○江藤座長 患者側の山口構成員、いかがでしょうか。

○山口構成員 おっしゃるとおりだと思います。情報のリテラシーということは、今一番、患者側としては喫緊で求められている課題だと思うのですが、自分でできるかというとそうでもないので、情報の整理も含めてやっていかないといけない問題ではないかと思っております。

○江藤座長 実は医療側の情報発信については、前回の議論にありましたように、かかりつけ歯科医が、もちろん既に歯科医師会の調査でも 60 70 %ぐらいあるのですが、もう少し医療側から情報発信をしてほしいと。医科側の場合には、がん治療の成績などが全部出ているわけです。歯科側の成績はどこに出ているのかという御指摘が前回ありました。そういった情報発信をすることが、いわば患者のリテラシーを上げるということが高梨構成員からの御指摘です。その辺りは、かかりつけ歯科医の機能を含めて、 (1) (2) にわたって議論をしていただきたいと思います。

○山口構成員  (2) かかりつけ歯科医の機能・役割の 1 つ目の○ですが、「国民や患者自身が歯科医療機関を選ぶ再の選択肢が拡がっている」と書いてあるのです。確かに実際の選択肢は拡がっているのだと思いますが、実態として選ぶ情報は実際にないのが現状で、今かかりつけ歯科医が 6 割というお話がありましたが、選択肢の中から選んで、かかりつけ歯科医になっているのかというと、たまたま行っている歯科医というか、いつも行く歯科医師がかかりつけ歯科医師になっているだけなのではないでしょうか。それが実態ではないかと思っていますので、ここに明確に「選択肢が拡がっている」と書いてしまうと、私はそうではないような気がします。実際の選択肢は拡がっていても、まだ情報としては十分ではないということを書き込まないと、ここで問題解決ではないと思いますので、ここの書きぶりは見直していただきたいと思います。

○江藤座長 選択肢が拡がるように、更に情報発信を進めてもらいたいということですか。

○山口構成員 本当のかかりつけ歯科医師というのは、どういう人を言うのかという定義がしっかりと分かって、自分に対して自分が求めるかかりつけ歯科医師はどこにいるのかという選択肢が本当に見えて、能動的に患者が選ぶというのが本来のかかりつけ歯科医師ではないかと思います。しかし、そこまでの情報提供にはなっていないのではないかと思うのです。実際にどうやって歯科医師を探せばいいか分からないというのは、医科以上に難しいというのが一般的な意見です。多分、それは開業医が多いからだと思います。行ってみて、ここだったらいいなということで選んでいるのが現状ではないでしょうか。なので、選択肢が拡がっているとは言えないと思います。

○江藤座長 まず、拡がっているか拡がっていないかという書きぶりで、更に拡げるためにうんぬんという話になろうかと思いますが、もう 1 つは、かかりつけ歯科医については更に議論していただきたいと思います。

○高梨構成員 かかりつけ歯科医の機能・役割の 1 行目にあるように、歯科医療に係るいろいろな情報が流通しているのは事実ですが、それが果たして本当にエビデンスレベルのある情報なのか疑問があります。

 例えば、先ほど座長からお話があったように、がんなら国立がんセンターのページを見れば、それなりにリテラシーを上げて、エビデンスレベルの高い情報があって、市民はこういうのが標準的な治療法だということが理解できます。でも、そうではなくて、今エビデンスレベルがきちんとした情報を発信する担い手がいなくて、他方においてホームページなり、出版社が良い歯科医うんぬんという情報を出されているから、そういう状況がいろいろなトラブルを起こしていることを考えると、先ほどの話の繰り返しになりますが、プロフェッション団体である歯科医師会などのアカデミアとしての学会がエビデンスレベルのある情報や、別に特定の歯科医を押すという意味ではなくて、こういう歯科医が患者にとって望ましい歯科医なのだと、かかりつけ歯科医として信頼できる歯科医ですという情報発信をしていただくことが必要なのです。むしろ歯科医療に係るいろいろな情報が流通した結果でトラブルが起きているというのが私の認識なので、この辺りの表現の仕方、在り方をどう捉えていくかは、もう少しお考えいただけると有り難いと思います。

○江藤座長 宿題を頂いたのですが、非常に難しい宿題です。しかし、おっしゃっていることはそのとおりだと思います。この書きぶりをどうしますか。情報の質の識別や、真偽の判別など、ある点で情報が氾濫しているので、その辺りの問題も含んでいるものですから、非常に取扱いに苦慮するところです。

○高梨構成員 我々のピュアレビューで評価の高い弁護士が、出版社が掲載料を払わせて出版している弁護士を紹介している本に掲載されているかといえば、少なくとも私は見たことがありません。歯科医についても、そのような出版物で情報発信されていることが混乱を招いているということは、、逆にエビデンスレベルとか信頼性の高い情報発信が必要だということの表裏の問題として認識していただきたいと思います。

○水田構成員 受け取る側は、自分にいいことしか受け取らないから、例えばどんな病気になっても、いろいろなホームページを見て、自分に合う人、納得できることを書いている先生が良い先生ということで、とんでもない病院に行く人もたくさんいるわけです。そこをどうコントロールするかではないでしょうか。本当にオーソライズされた情報が出ない限り、どうやっても文句が出ると思いますし、理解する人は自分に都合のいいことしか考えません。○江藤座長 問題はどうオーソライズするか、誰がオーソライズするかという問題があるのですが。

○伊東構成員 少しお尋ねしたいのですが、最近、ある学会からホームページは広告とみなすということが決まったと。誇大広告や虚偽の広告は罰せられるのだと。来年度からそれが始まるということで、それに気付いた場合は報告してほしいということがあったのです。今までホームページは広告ではないということでいろいろな問題が起きていたわけですが、ホームページを広告とみなすという大きな変化があったと聞いていますが、その辺りはどのようになっているのでしょうか。

○江藤座長 これは厚労省の管轄ですか、消費者庁の管轄ですか。

○和田歯科保健科課長補佐 可能な範囲で御説明します。先般の通常国会において医療法の改正が行われ、この中でホームページに関しても、広告の一部として含めて対応していくことが決定されたところです。具体的には、現行の省令で規定する内容に関しては、別の検討会で議論しているところです。

 それとは別に、伊東先生がおっしゃったように、医療広告のガイドラインとホームページに関するガイドラインという 2 つのガイドラインが出ております。これに関しても、別の検討会の審議状況を踏まえて、今回見直しが行われるものと聞いております。

○江藤座長 それでは、 4 ページの (2) かかりつけ歯科医の機能・役割が、 4 5 ページにわたってあります。これについて何かありますか。お手元の参考資料にビジョンの絵があります。この絵のパワーポイントの 8 9 ページ目に、かかりつけ歯科医についてまとめております。実際には、今、資料 1 で進めていますが、資料 1 のかかりつけ歯科医のまとめはパワーポイントの 9 ページにまとめられています。

8 ページ目の絵ですが、かかりつけ歯科医のイメージとあって、左からマル 1 が「予防」、マル 2 が「入院」、マル 3 が「在宅」になってきます。前々回に伊東構成員が、一人院長の所では、この 3 役はとても無理だとおっしゃいました。それで、かかりつけ歯科医というのは、では、どうなのか、どういう立ち位置にいるのかというと、予防のところは診療所でできるのです。入院では、実際に入院先で診療するのは別の歯科医、ないしは訪問診療する人も別の歯科医と考えないと、院長が不在になると普通は診療所は無理なので、かかりつけ歯科医といった場合は、この 3 つの場所各々でお世話するのが、かかりつけ歯科医というようにも取れる図なのです。

 ただ、その場合に、この 3 つの役割をグループ化とか、それから、最初に出てきた地域包括ケアの連携といった、要するに組織としてこれを扱うかという問題は今後に残ります。そういった脈絡の中で御質問、御追加ないしは訂正等がありましたらお願いいたします。

○山口構成員 このパワーポイントの 8 ページですが、この図のイメージは大切だと思います。今、江藤座長からのお話にあった、かかりつけ歯科医というのは、歯科診療所の横の四角の図が、かかりつけ歯科医だとイメージすればよろしいのでしょうか。せっかく、かかりつけ歯科医をイメージしているのに、一番薄くて、何か亡霊のようになってしまっていて、もう少しこれをクローズアップしたような図にしないと、かかりつけ歯科医ということのイメージがおぼろげになってしまうのではないかと懸念します。時には、これが今のお話だとグループ化することもあるとか、地域で集まることもあるということなのでしょうか。今の御説明では、たった 1 人ではないということですね。

○江藤座長 まだそこら辺は、 1 つの組織形態としてできていないのです。

○山口構成員 何かそういったことを、もう少し図の中でうまく書き表さないと、この図では国民から見ると理解しにくいのではないかと思いました。

○江藤座長 和田課長補佐、どうぞ。

○和田歯科保健科課長補佐 事務局でございます。パワーポイントの資料の中にどういった図を書き込むかというのは、少し検討させていただきたいと思います。このイメージについては、先ほど来お話が出ているように、患者さん自身がその医療を受ける場所が変わっていっても、実際には本当は継続して治療を行っていくことが望ましいのですが、なかなかそれが難しいので、例えば真ん中にある入院患者、あるいは一番右側にある在宅、居宅で療養を行う患者さんに対しては、仮に訪問診療が実施できない場合であれば、訪問診療を実際に実施している医療機関と連携を図る、実際には行っていただくということも必要なのではないかというのをイメージしたものです。そのときに、実際それがグループ化した方がやりやすいのか、あるいは、場合によると歯科診療所の規模を確保したほうがやりやすいのかは、また個別に応じて判断いただければよろしいと思います。どこまで書き込むかというのは少し検討させていただきたいと思います。

○江藤座長 パワーポイントの 9 ページ目に、基本的な考え方というのが出ています。かかりつけ歯科医は、地域包括ケアシステムの一翼を担い、うんぬんとあって、これがかかりつけ歯科医の基本的な考え方なのです。片方では、これは第 4 回の資料に出ていますが、「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の評価」ということで、診療報酬では既に手当がされている部分があります。ですから、それは言わば財源を含めての問題で、かかりつけ歯科医のあるべき姿というのを 9 ページに提示しているわけです。村岡構成員、どうぞ。

○村岡構成員 後ほど機会があるかと思いますが、お手元の資料 3 に、我々日本歯科医師会としては、かかりつけ歯科医をどう考えるかということを資料として出させていただいておりますので、これについてどこかの時点で少し御説明をさせていただければと思います。

○江藤座長 それでは、今、説明していただけますか。

○村岡構成員 では、申し訳ありませんが、資料 3 をお出しいただければと思います。前段は、先ほど来、御議論がありましたけれども、国民の患者のニーズの対応化、また、選択肢という意味では議論はあろうかと思いますが、いろいろな情報が出てきているという中で、乳幼児から高齢期までの自分の口で食べ・話し・笑うことは国民の共通の目標であるという立ち位置から身近なかかりつけの歯科医がいることが健康寿命の延伸に資すると私どもは考えております。そこで、私どもは、かかりつけ歯科医の意義というものと、また、その役割を少し明確化していきたいということで、今日、資料としてお出ししたところです。●の 2 つは、ここは読ませていただきたいと思います。

 かかりつけ歯科医とは、安全・安心な歯科医療の提供のみならず医療・介護に係る幅広い知識と見識を備え、地域住民の生涯にわたる口腔機能の維持・向上を目指し、地域医療の一翼を担う者としてその責任を果たすことができる歯科医師をいうというように考えております。また、かかりつけ歯科医が担う役割ということでは、患者の乳幼児期から高齢期までのライフステージに応じた継続管理や重症化予防のための適切な歯科医療の提供及び保健指導を行い、口腔や全身の健康の維持増進に寄与すること。また、地域の中では、住民のために行政や関係する各団体とともに、歯科健診などの保健活動等を通じ、口腔保健向上の役割を担い、地域の関係機関や他職種と連携し、通院が困難な患者に様々な療養の場で切れ目のない在宅歯科医療や介護サービスを提供するとともに、地域包括ケアに参画することなどが、かかりつけの歯科医の役割であると考えております。

 また、裏側に模式図というか、地域包括ケアと歯科の役割ということで、我々がイメージするものを、そこにまとめたところです。真ん中に在宅の患者さんがいて、それぞれの関わり方はそこに記載したとおりです。簡単に申し上げると、細い赤の矢印が在宅歯科医療で、どのように我々が対応していくか、あるいは、ほかの医療機関が対応するかということがあります。グリーンは、情報共有と支援です。こういった形でそれぞれが連携していく。そして、ブルーの大きな矢印は、在宅の方が状況が変わって病院等に移動するとか、介護施設に移動することがあるといったイメージで書き込んでいます。茶色い太いものが、先ほど来、歯科医療機関というのが個人立であることが多いために、歯科医師の地域では、地域包括ケアの中で出ていくことが難しい点もあることから、こういったグループ化するという意味での連携ということを記載しております。下のほうは、その場合のそれぞれの課題を、黒い部分に課題・要請として記載しています。

 これらのことを考えながら我々、日本歯科医師会としては、こういったかかりつけ歯科医の考え方というか、役割等を考えているところです。それに向かって、先ほど来の議論が、より反映されればと思っております。以上です。

○江藤座長 ありがとうございます。かかりつけ歯科医は重要な問題であると同時に、非常に難しい問題です。前回のときに森田構成員から、医科のほうのかかりつけ医というのは、今、議論中であり、むしろ、総合専門医のほうに移行するといったお話が出ていました。かかりつけ歯科医については、そちらの動向を見ながら、引き続き御議論いただくことにしていただきます。時間が少し押しておりますので、 5 ページ目の具体的な医科歯科連携方策及び歯科疾患予防策について、御意見がありましたらお願いいたします。

6 ページ目を御覧いただきます。 6 ページの中段の所に、「病院単位での連携について」とあり、下線が引いてあります。入院患者の ADL QOL の向上に資するため、リハビリ部門等の機能回復部門に歯科を位置付けると。これは、前々回のときに、足利日赤の院長に御講演いただきました。そのときに、収益率は低いのですが、病院の付加価値は非常に上がると。そこら辺のところを是非、医科にも、歯科にも理解をしてほしいということがありましたので、こういった書き込みにさせていただいたところです。このような実績が上がれば、各医科の病院に病院歯科というものを位置付けるという方向に向かうといった書きぶりです。水田構成員、どうぞ。

○水田構成員私どもの大学病院では、病院と病院が連携して歯科が無い病院に大学のほうから定期的に行って、周術期の口腔ケアをして、そして、それがまた終わったら、かかりつけの歯科医に戻すというようなやり方のシステムを作っているのですが、一番問題なのは、診療費をどう頂くかということなのです。先方の病院のほうは、歯科は歯科で計算して取ってほしいと言われるけれども、そうすると、患者さんにとっては、何かよく分からないうちに口を開けられて歯を診られて、そして、また退院した後にまた請求書が別に来たと思われるのですね。そのようなことは頼んだ覚えはないと言われたら、歯科のほうも何回も行ってずっと診療をしているのに収益がないのもまた困ってしまうので、そこをまとめてして、病院ごとに、請求ができるというシステムはできるのですか、どうなのでしょうか。

○江藤座長  1 つは、システムの問題と、先ほど高梨構成員から御指摘いただいた、患者側のリテラシーというか、ここにあるように入院患者の ADL QOL を向上させるのだと、それは本人にとって得なのだと。そういう認識を患者さんに持ってもらわないと、請求書が来ても払わないということになりますので、システムの問題と、両方あります。

○水田構成員 なるほど。

○江藤座長 今、先生がおっしゃったシステムの問題ですが、その場合、合法的に診療費が取れるのかということですが、厚労省、これはどうですか。

○田口歯科保健課長 それは総合病院に歯科が無い場合であって、そこの入院患者に対して、例えば先生の所の大学病院のほうから訪問診療をして、口腔の管理をやるといったシステムでしょうか。

○水田構成員 そうです。

○田口歯科保健課長 分かりました。それであれば、入院患者に対する診療というのは、あくまでも医科に対する治療ですから、そうすると、その患者に対して歯科の治療をやった場合には、先生の所の病院から訪問診療を行い、先生のところから診療報酬を請求するということになると思います。この場合は、先生の所からの請求という形にしか、それは制度上はあり得ないということになるかと思います。

○水田構成員 できれば総合病院のほうで総合歯科として全てのものをやって、そして、その点数ごとに歯科のほうにお払いいただくと助かるのですけれども。

○田口歯科保健課長 例えば、同じ病院の中で医科の疾患で入院されている患者さんがいらして、その患者さんは入院している場合は入院費ということで診療費が請求されますが、例えば、その患者さんに同じ病院の中の歯科の医師が病棟に訪問して診療をやったという形になると、そこの病院の中での診療というのは、医科とは別に歯科のほうでの請求になります。医科の患者さんに対して、歯科のことをやったから包括して 1 つにまとめて請求するというのは、今の制度上はできないことになっています。

○水田構成員 駄目なのですか。分かりました。

○江藤座長 高梨構成員、どうぞ。

○高梨構成員 大前提として、医科歯科連携を進めていく上で国民の支持が必要だと思います。それは、医科歯科連携が有意義である。それはエビデンスレベルのデータとしてある。それはなぜ国民の支持が必要だと私は考えるのかと言えば、医療の在り方というのは別に自然科学的に決まっているものではなくて、結局、国民がどういう医療を望んでいるかということに決まってくるものだと思います。そうではないと、イギリスとアメリカで医療供給体制が何で全然違うのかという説明が付かないと思うのです。やはり医科歯科連携を進めていきたいのであれば、医科歯科連携の有意義さというものを国民に理解してもらい、当然それに対して公費負担も伴いますから理解を得るという努力が必要なのではないかと思います。その点がちょっと抜けているように思いました。

○江藤座長 国民が、というのは非常に大事な御指摘で、 5 ページ目の下のほうの 4 の所に、大学間の連携、学会間の連携といろいろ書いてありますが、国民から見ると、それはやっていて当然でしょ、といったようになる話なのです。実際には、医科歯科連携というのは、このビジョンの中で非常に重要なところなのですが、どういった切り口で実際にアクションが起こせるのかといった視点で御議論いただくといいと思います。

○高梨構成員 マクロではなくてね。

○江藤座長 はい。どうやったら、これが動くのかという。学部で医学部と歯学部は違いますし、医師会と歯科医師会も違いますし、皆組織が縦割りになっているので、医科歯科連携をどうやるのと。御指摘のように、国民目線で、縦割りでいっている場合ではないだろうといった御議論を頂きたいのです。どういった切り口であれば、みんな医科の中でも歯科の中でも一生懸命やっているのですが、それがつながらないのはなぜなのか。伊東構成員、どうぞ。

○伊東構成員 医学部の口腔外科の先生のお話を聞くと、医科の国家試験に 1 題出るか、 2 題出るかというレベルなので、医学部の学生自体も歯科、あるいは口腔外科のことに関心が薄いというお話でした。

 一方、昔は漢方もそうだったそうですが、今、漢方が医学部のモデル・コア・カリキュラムの中に入って、結構、国家試験にも出るのだということで、最近、漢方は非常にみんなも勉強するということがあるので、やはりこれは 1 つの教育の中に、モデル・コア・カリキュラムに入れるということは、どこをどう伝わっていって、歯科界の意見が伝わっていくのかがちょっと分かりませんが、そういう高い位置から考えないと、なかなか医科歯科連携も、歯科だけは連携したいと思っていても、医科のほうは、何じゃこれはというような感じで、今のところ動いているのではないかと思います。

 もう 1 つは、患者さんに対して、私もよく経験するのですが、対診を行うとき何でまたお医者さんの所に行かないといけないのかという質問がくることが多い。それはやはり安全のため、患者さん、あなたの安全のために必要なことなので今回お医者さんの意見を聞いた上で処置をしましょうというように、医療安全ということを強く出していくことではないかと思います。

○江藤座長  1 点目の教育の問題で、モデル・コア・カリキュラムに入れるとか、共用試験に入れるとか、国家試験に入れるという話は前々回の会議で高久先生から御指摘されているところで、これはかなり時間の掛かる問題です。こちらに森課長がいらっしゃいますが、そういった努力は既に始まっているわけなのです。森課長、よろしくお願いします。

○文部科学省森医学教育課長 医科歯科連携、とりわけ医学部において、歯科についてしっかりと学ぶべきだということについて、御指摘のモデル・コア・カリキュラムの中でも記述を充実する取組を進めています。今年の 3 月に、医学・歯学のモデル・コア・カリキュラムを改定しましたが、医学教育モデル・コア・カリキュラムの中でも、チーム医療の実践という観点から、その意義や連携の在り方等について学修目標として記載しておりますし、口腔系の疾患に関する学修目標として、歯科疾患と全身への影響や口腔機能管理を概説できるといった内容を明記しています。今後、モデル・コア・カリキュラムを踏まえて、各大学でカリキュラムの見直し等が進んでいくと思いますし、江藤座長が御指摘の共用試験等においても対応が進んでいくのではないかと考えております。

○江藤座長 今、おっしゃったようなことを、今の学生に教えて、その学生が卒業して一人前になるのは大体 2030 年近くになります。 2025 年から団塊の世代が後期高齢者になって、それで亡くなり始めて、 2040 年には高齢者人口が減りはじめます。もちろんやらなければいけないのですが。

 もう 1 つは、ビジョンとしては、 2025 2040 年までの間の対応策を考えなければなりません。そのための医科歯科連携を考えていただきたいと思います。医科歯科連携の議論を深掘りしていただきたいところなのです。時間が余りありませんが、何かこういったキーワードを検討してほしいとか、こういう方向はどうかといった御意見がありましたら、お願いいたします。多分、委員の先生方皆さんの御認識としては、当然だと、やるべしという、その切り口の問題は、こちらとしても考えさせていただきます。もうちょっと医科歯科連携が動くようなファクターはないのかと。

○伊東構成員 歯科医師会は、いろいろな講演会を開くときに、一昔前までは社会保険の診療報酬の講習会だと超満員になるわけですが、今のような医科歯科連携とか、あるいは全身管理とかになると、ちらほらしか参加者がいないという時代が長く続いていたのです。私は熊本県ですが、熊本県の歯科医師会では今は逆になりまして、社会保険診療報酬のときより全身管理とか医科歯科連携の話になると満員になるということがあるのです。ある県に聞くと、昔ながらの所もあるという話もありますので、日本歯科医師会が一生懸命やっておられると思いますが、各県で少し温度差があるのではないかと思います。そういう意味では、日本歯科医師会で、そういう温度差が出ないような方策を出していただいたらと思います。やりようによっては、みんなが求めているところだと思いますので、日本歯科医師会にはよろしくお願いしたいと思います。

○江藤座長 ありがとうございます。南構成員、どうぞ。

○南構成員  1 つの例としては、例えば、今、国民の死因の中でも肺炎はとても多くなっています。とくに、高齢者の死因で肺炎は非常に多く、御存じのとおり、誤嚥性肺炎が直接の原因という例が少なくありません。この問題は、国民的な課題で関心事にもなっているのです。先ほどの歯科医師会の文章にも「口で食べること」は、大きくうたわれておられます。私も随分相談を受けるのですが、この問題は診療科で言えば、リハビリ科、呼吸器内科と、かなり対応が分かれるのです。誤嚥性肺炎とか、誤嚥の問題で困っている方の、そういった見えるところで歯科医がうまく家族や医療や介護の関係者と連携をし、嚥下の訓練とか、手術の後の誤嚥を防止する訓練といったことに貢献するのは、 1 つの例としては非常に分かりよいのではないかという気がいたします。

○江藤座長 では、三浦構成員、最後にお願いいたします。

○三浦構成員 医科歯科連携のところで言おうと思っていた内容は、南委員がおっしゃられたものとほぼ同じでしたので割愛させていただいて、次の項目についての意見です。 (2) の歯科疾患予防策の最初の○の口腔検査、レントゲン等の、その後の文章が「一連の歯科保健指導」なので、何となくレントゲンというのだけが少し浮いているような形がするところです。何か理由があれば、それでいいのですが、御検討していただければと思います。口腔検査等の中に含まれるような気がしています。それが 1 点目です。

 もう 1 つは、歯科疾患予防には直接関係はないのですが、どこで発言していいか思い悩むところがあった案件があります。日本の歯科口腔保健の知見を海外に発信していくという視点もビジョンには必要かと思うので、今後、報告書案にまとめられるときに、前文か、後文のどこかに入れていただくと非常にいいのではないかと思っております。超高齢社会における歯科医療口腔保健活動の在り方というのは多分、今後、高齢化が進んでいくアジア諸国においても非常に役に立つ知見ですし、「 8020 運動」のように政策としてしっかりと成果が上がっているものもありますので、そういったものを発信していって、国際社会に寄与するというのもビジョンの中にうたってもいいかなと思います。御検討していただければ幸いです。

○江藤座長 ありがとうございます。医科歯科連携は、なかなかよい切り口はないのですが、伊東構成員がおっしゃったように、徐々に、そういう認識は、歯科医療側から出ているということ。それから、南構成員から御指摘がありましたように、誤嚥性肺炎というのは、徐々にその重要性が社会的にも認識されつつあり、誤嚥性肺炎を切り口として医科歯科連携を進めるというのは卓見であると思われます。

 それでは、最後の医科歯科連携は、やや不十分なのですが、本日、たくさんの御意見を頂きましたので、今後の進め方については、事務局と相談して取りまとめたいと思っております。

 少し時間が過ぎてしまいましたけれども、本日は、これで終了したいと思います。長時間、どうもありがとうございました。


(了)

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