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2017年8月31日 歯科医師の資質向上等に関する検討会(第6回)

医政局歯科保健課

○日時

平成29年8月31日(木)14:00~16:00


○場所

経済産業省別館3階312各省庁共用会議室
(東京都千代田区霞ヶ関1丁目3番1号)


○議題

○歯科医師の資質向上等に関する事項について

○議事

 

○堀歯科保健課係員 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「歯科医師の資質向上等に関する検討会」第6回を開催いたします。

 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 まず、構成員の出席状況でございますが、井上構成員、高梨構成員、羽鳥構成員、村岡構成員、山口構成員は所用により御欠席との御連絡を頂戴しております。

 また、今回の検討会では、オブザーバーとして文部科学省医学教育課の森課長に御出席いただいております。

 今回の検討会につきましては公開となっておりますが、カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。

 続いて、配付資料の確認をよろしくお願いいたします。お手元に議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料は1と2、参考資料は1と2をお配りしています。乱丁・落丁等ございましたら、お知らせいただければと思います。

 それでは、以降の進行につきましては、江藤座長、よろしくお願いいたします。

○江藤座長 江藤でございます。

本日の議題でございますが、歯科保健医療ビジョンとなってございます。もともとこの検討会は、需給と女性歯科医師と専門医の問題でございますけれども、この3つの課題について、まずビジョンを策定して、あるべき歯科医療を提示してから具体に需給問題に入ろうという道筋でございます。そういったわけで、まずはこのビジョンについて議論を行った上で中間まとめを出す予定になっております。ビジョンを出した上で需給という道行きでございます。

 この需給につきましては、先般も申し上げましたように、森田先生の御努力で、人口動態と疾患動態に基づく歯科保健医療の需要と供給というふうに、従来とは違った視点から検討が重ねられております。

 喫緊の課題としましては、もう既に出てきましたように、2040年までは高齢者人口がふえる。その対応をどうするか。ところが、2040年以降は減り始めるものですから、今から大学で在宅・入院・高齢患者対応のための歯科医師の養成を始めても間に合うかどうかで、そういうカリキュラムをつくりましても、すぐまた違う局面を迎えることになるといった事情がございます。

 第5回の参考資料に出てございますように、歯科のほうはこの在宅診療が20%から余り伸びていない。医科は65歳以上の受診率が非常に鋭いカーブで増加しているにもかかわらず、歯科は65歳以上の受診率がそんなに高くないのであります。これは、第2回のこの検討会で水田先生が御指摘されましたように、在宅・入院・高齢患者対応の歯科医師が足りないのではないか、健常者対応の歯科医師は過剰である、そういった面をどうするかが非常に大きな課題でございます。

 もっとありていに言えば、過剰になっている歯科医を足りないところに移しかえるというか、転換することができるのかという課題に向かうのではないかと思われますので、その辺のところを念頭に置いていただきながら御議論をしていただきたいと思っております。

 それでは、事務局から一括して資料の説明をお願いいたします。

○和田歯科保健課課長補佐 事務局でございます。

 まず、お手元の資料1「『歯科保健医療ビジョン』策定に向けた主な論点」を御用意いただきたいと思います。この資料自体は、前回の第5回目にお示ししたものと、あとは、前回の議論の中で御発言があった内容を追加したものとして配付してございます。次の資料2と重複する部分がございますので、要点だけ説明をさせていただきたいと思います。

 まず1ページ目「今後の歯科保健医療の需要」でございまして、大きく「ライフステージにおける需要」と「医療提供施設における需要」に分けてまとめてございます。「(1)ライフステージにおける需要」につきましては、人口、小児、成人、高齢者それぞれ分けて整理をしてございます。

 人口につきましては、先ほど江藤座長からもお話がございましたように、高齢者人口の動態ですとか、歯科医療の需要自体が人口動態に大きく左右されるということなどをまとめてございます。また、小児、成人、高齢者それぞれにつきましては、歯科疾患の特性の違いであるとか、歯科疾患の受療率の違いなども述べてございます。

 その下の「(2)医療提供施設における需要」につきましては、歯科診療所・病院、居宅・施設等に分けて整理をさせていただいているところでございます。

 2ページ目をごらんいただきたいと思います。2つ目の大きな項目として「あるべき歯科保健医療の提供体制」。(1)として「地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関の役割」について整理をしてございます。この項目につきましては3つに分けてございまして、一番左側が全体的な部分、真ん中が歯科診療所、一番右が病院等という形で整理してございます。

 全体的なポイントといたしましては、高齢化の進展に伴い、基礎疾患を有する者や歯科診療所に来院できない者が増加するため、在宅等において患者の全身状態に配慮しながら歯科医療を行うことが求められてきているということや、地域包括ケアシステムにおける歯科医師の役割が重要になってきていること等々まとめてございます。

 中ほどの「歯科診療所」につきましては、受診患者の状況の変化などもございますが、診療所に通院できない人がふえ、病院に入院している人を放置するわけにはいかないので動く必要がある。また、歯や口腔内の問題だけではなく、食支援のように、全体のチームの一員として参画すべきという御意見などがございました。

 一番右側の「病院等」でございます。一番上のところになりますが、診療所の後方支援としての病院歯科の役割は極めて重要であるということですとか、病院での研修とか教育の体制を整備すべきというような御意見等々がございました。

 3ページ目「(2)かかりつけ歯科医の役割・機能等」でございます。上から2つ目の2.のところでございますけれども、これは事務局の資料でも御提示させていただきましたが、かかりつけ歯科医の役割としては、歯科保健医療サービスを提供する時間帯、場所、年齢が変わっても、切れ目なく同等のサービスを提供するための機能を有すること、患者が求めるニーズにきめ細やかに対し、安心・安全な歯科保健医療サービスを提供する機能を有することが求められるということなどをまとめてございます。

 その右側の「あるべき歯科医師像」でございます。一番上にお示ししているように、現在のところ、歯科医師の多くは歯科診療所の開設者・管理者となっているが、高齢社会を迎え、今までとは違った就業形態が必要とされている、次世代を担う歯科医師が学生時代に、臨床研修後の歯科医師像について現状と異なる多様なキャリアパスを描けるような仕組みが必要であるなどをまとめてございます。

 5ページ目「具体的な医科歯科連携方策や歯科疾患予防策」でございます。「医科歯科連携方策」につきましては、ビジョン検討会でも報告があったように、周術期に口腔機能管理を行うことで入院日数が減少すること、また、口腔ケアが誤嚥性肺炎の発症予防になること、歯周病患者に糖尿病の発症リスクが高いことなど、口腔の健康が全身の健康と深い関係を有することについて広く指摘されており、医科歯科連携の重要性は増しているという御発言。また、前回の検討会に参考人としてお越しいただいた先生方の発言を中心にまとめてございます。

 右側の「歯科疾患予防策」でございますけれども、一番上にあるように、歯科疾患の予防の観点からは、小児から高齢者まで切れ目なく歯科保健対策を進めていく必要がある、う蝕・歯周病予防を進める観点から、フッ化物局所応用、歯磨き指導、口腔検査、レントゲン等の一連の歯科保健指導、メンテナンス等の予防歯科をさらに推進し、これらに必要な財源的支援に努めるべきであるなどをまとめてございます。

 以上が資料1になります。

 続いて、今、御説明させていただきました資料1に基づき、今回御審議をいただく歯科保健医療ビジョン(素案)についてまとめたものが資料2及び参考資料1となります。ワード形式で整理したものが資料2、パワーポイント形式で整理した資料が参考資料1でございます。基本的にはこのワード形式の資料2に基づいて順次御説明させていただきたいと思います。

 まず、本ビジョンの位置づけとこのビジョンで何を提言していくのかにつきましては、お手元の参考資料1で御説明したいと思います。

 先ほど江藤座長から御説明があったことと重複いたしますけれども、本検討会につきましては、御承知のように、歯科医師の需給問題、女性歯科医師の活躍、歯科医療の専門性の3点について、この全体会議あるいはワーキンググループで継続的に議論してきたところでございます。

 この検討会の議論と並行する形で、昨年秋ごろに、医師・看護師を中心に「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」が設置されまして、今年4月に報告書が出されたところでございます。この報告書、あるいは他方面での議論を受けまして、本検討会でもこれまでの議論に加えて、歯科保健医療の需要を踏まえたあるべき歯科保健医療の提供体制を中心に、ここ数回議論を重ね、今、お示しをしておる歯科保健医療ビジョンをまとめる予定としてございます。

 このビジョンにつきましては、お手元の2番目のスライドにお示ししているように、歯科医師の需給問題などこれまでの議論と一部重複してございますので、今後お示しする検討会の中間報告の一部としてこの歯科保健医療ビジョンをお示ししたいと思っております。

 同じく、参考資料を1枚おめくりいただきまして、スライド3をごらんいただきたいと思います。ここでは歯科保健医療ビジョンで具体的にどの部分について方向性を示すのか、図でまとめさせていただいたところでございます。本ビジョンにつきましては、スライド3で全体像をお示しする中で、特に真ん中から右側の下段に位置してございますが、赤の太枠で囲まれた部分について提言を行うこととしてございます。

 該当箇所を拡大させていただいたのが、下のスライド4でございます。本ビジョンにつきましては、第4回目の全体会議で御了承が得られました、地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関の役割、あるべき歯科医師像やかかりつけ歯科医の機能・役割、具体的な医科歯科連携方策及び歯科疾患予防策の主に3点に絞って提言を行いたいと思ってございます。

 以降、資料2に基づき順次御説明をしたいと思います。

 今、私は、資料2の1ページの「1 概要」の(1)に当たる部分について詳しく御説明させていただきました。中ほどの「(2)今後の歯科保健医療の需要」から詳しく御説明したいと思います。こちらは参考資料1のスライド5と対応しております。

 (2)今後の歯科保健医療の需要

○ 歯科医療の需要は、今後の人口動態(2025年には団塊の世代が75歳を迎え、その後、高齢者人口は2040年頃をピークに減少)に大きく左右されること等を勘案し、より詳細に予測する必要がある。

○ う蝕等の歯科疾患の罹患状況の改善に伴い、今後は従来型の歯の形態回復に特化した治療の需要は減少し、機能回復や歯科疾患等の予防に対する需要が増加することが予想。このため、人口動態に加え、各ライフステージにおける歯科医療の需要や個々の患者の特性に応じた歯科医療提供体制を構築すべき。なお、構築にあたっては、フレキシブルな勤務形態が確保できるような体制づくりが必要。

として、小児、成人、高齢者それぞれに分けて整理してございます。

○ 各ライフステージの需要を踏まえ、効果的な歯科医療を提供する観点から、エビデンスのより高い治療技術を確立し、現場へ普及・定着していくことが急務。なお、歯科医療の普及・向上の観点から、単に臨床で診療に関わるだけでなく、研究分野等、様々な分野で活躍できる人材育成を行う。

○ 更に、歯科医療技術の進歩や症例の多様化等により、国民や患者からは、歯科診療所や病院の歯科医師の経験や専門的能力、医療安全対策への取り組み状況等の情報に関する需要が高いことから、客観的指標で情報提供していくことが必要。また、居宅や介護保険施設等での在宅歯科医療は、当面需要の増加が予想されるため、依然として財政措置が急務。

と整理してございます。

 続きまして、2ページ目をごらんください。こちらは参考資料1のスライド6と対応しています。

 まず、大きな2つ目として「地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関の役割」について整理させていただきました。

 (1)全体

○ 地域包括ケアシステムの構築を進める上で、入院患者や在宅等で療養を行う患者に対する、周術期等の口腔機能管理や在宅歯科医療を中心とした医科歯科連携を通じて、歯科医療の果たす役割を明示する。その際、地域を仮想病院として捉えて各々の役割について検討を行うことが必要。

○ 在宅歯科医療の提供に際しては、限られた機材の下で適切な歯科診療を行うための歯科医師のスキル向上や、在宅等における歯科医療ニーズの適切な把握を実施すべき。

○ 歯科衛生士、歯科技工士との連携も重要であり、人材確保が不可欠。なお、歯科衛生士については、歯科疾患の予防の需要増加により、歯科医師と歯科衛生士との協働した業務のあり方の検討を行うことが必要。

と整理してございます。

 (2)歯科診療所

○ 歯科診療所は、今後の患者ニーズに対応するために、外来診療に加えて、病院や在宅等における訪問診療が求められており、歯科診療所の実態に合わせて、適宜、他の歯科診療所との連携を図るなどの役割分担を図る。

○ 歯科治療の前提として医療安全や医療倫理等の全てを担う義務があるが、例えば、「地域医療連携推進法人制度」の活用等、複数の歯科診療所がグループ化することで、個々の負担を軽減しつつ一定程度の事業規模や機能分担が確保。また、多様な働き方の推進も期待。

と整理してございます。

 (3)病院

○ 歯科診療所の後方支援機能を担う病院歯科の体制強化に努めるとともに、病院における歯科医師の役割や業務を明確にし、病院における歯科医療の向上に資する取り組みを推進する。

と整理してございます。

 「3 あるべき歯科医師像やかかりつけ歯科医の機能・役割」は参考資料1のスライド7から9に対応してございます。

 (1)あるべき歯科医師像

○ 次世代を担う歯科医師が学生時代に、臨床研修後の歯科医師像について現状と異なる多様なキャリアパスを描けるような仕組みを構築する。

○ 国民に対して歯科医師の資質が確保されていることを明示するため、国家試験合格率等が著しく低く、医育機関としての機能を十分に発揮できていない一部の大学は、入学定員の削減や厳正な入学者の選抜基準に改めるべき等の対応が必要。

○ 歯科医師として求められる基本的な資質・能力として、プロフェッショナリズム、チーム医療の実践、医療の質と安全の管理等は、年齢や勤務形態に関わらず、生涯にわたり能動的に自己研鑚を積むことが必要。加えて、国民に対して安全・安心な歯科医療を提供するために、医療安全、倫理、関係法規等は、全ての歯科医師が標準的な内容として繰り返し研修を受講すべき。

と整理してございます。

 (2)かかりつけ歯科医の機能・役割

○ かかりつけ歯科医は、歯科保健医療サービスを提供する時間帯、場所、年齢が変わっても、切れ目なくサービスを提供することや、患者が求めるニーズにきめ細やかに対し、安全・安心な歯科保健医療サービスを提供することが求められる。

○ なお、かかりつけ歯科医の3つの機能として、住民・患者ニーズへのきめ細やかな対応、切れ目ない提供体制の確保、他職種との連携が求められ、各々下記の内容が考えられる。

  (1)住民・患者ニーズへのきめ細やかな対応

➣ 歯科疾患の予防・重症化予防や口腔機能に着目した歯科医療の提供

➣ 患者に対する歯科医療機関の医療安全体制等の情報提供

➣ 地域保健活動に参画し、住民に対する健康教育、歯科健診等の実施

  (2)切れ目ない提供体制の確保

➣ 病院や在宅等に訪問して歯科診療を実施(訪問歯科診療を実施していない場合は、当該診療を実施している歯科医療機関と連携体制を確保するなど、役割分担の明確化)

➣ 休日・夜間等の対応困難なケースは、対応可能な歯科医療機関を事前に紹介するなど、歯科医療機関間の連携体制の確保

  (3)他職種との連携

➣ 医師や看護師等の医療関係職種、ケアマネージャー等の介護関係職種と口腔内状況の共有等が可能な連携体制の確保

➣ 食支援等の日常生活の支援を目的とした他職種連携の場への参画

と整理をしてございます。

○ 診療内容の情報共有を行うなど、患者が適切な医療が受けられるよう役割分担が必要。また、自院で対応できないケースについては、他の歯科医療機関を紹介するような仕組みを構築する。

○ かかりつけ歯科医がどうあるべきか考える上で、卒然教育から生涯研修まで一貫した研修システムが必要であり、歯学教育や臨床研修をより充実する。

と整理してございます。

 最後「4 具体的な医科歯科連携方策及び歯科疾患予防策」でございますが、これは参考資料1のスライド10と対応してございます。

 (1)医科歯科連携方策

○ 医科歯科連携等の他職種連携を推進する上で、医科や他分野からの歯科医師や歯科医療に対するニーズの把握を行う。

○ 教育分野での連携については、

・医科大学及び歯科大学で双方に、歯学・医学に関する教育・講義を取り入れるなど、大学間の連携

・医科又は歯科の学会で協同のシンポジウム等を開催するなど、学会間の連携

 おめくりいただきまして、4ページ目でございます。

・歯科疾患と関わりの深い医科の基礎疾患について、エビデンスを集積した上で、医科の診療ガイドラインに記載するなど、治療指針の連携

診療所単位での連携については、

・医師会立の地域包括支援センター等の取組を参考に、地域歯科医師会が中心となって各分野と連携できる体制を構築

・地域医師会と地域歯科医師会とが互いの専門分野や診療内容等に関する情報を共有

病院単位での連携については、

・歯科と医科双方のアプローチが可能となる周術期口腔機能管理センター等の医科歯科連携部門の窓口を設置

・リハビリ部門等の機能回復部門に歯科を位置づけ

等によって、医科歯科連携の更なる推進が期待。

と整理をしてございます。

 (2)歯科疾患予防策

○ う蝕・歯周病予防を進める観点から、フッ化物局所応用、歯磨き指導、口腔検査、レントゲン等の一連の歯科保健指導、メンテナンス等の予防歯科を更に推進し、これらに必要な財源的支援に努める。さらに、こうした取組みを各地方自治体で積極的に進めるため、歯科医師、歯科衛生士等の歯科専門職の配置を進めることが必要。

○ 口腔の健康は全身の健康にもつながることから、生涯を通じた歯科健診の充実、入院患者や要介護者に対する口腔機能管理の推進など歯科保健医療施策の充実を図る。なお、歯科健診に関しては、節目健診の充実や人間ドックに歯科の項目を加えることなど充実を図るべき。

と整理をしてございます。

 資料2及び参考資料1につきましては以上でございますが、全体のボリューム感といたしまして、この資料2の2ページの「2 地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関の役割」の部分の記載が若干少ない部分がございますので、この点、重点的に御意見、御発言をいただければ幸いでございます。

 事務局からの説明は以上でございます。

○江藤座長 ありがとうございました。

 前回までのまとめが資料1でございまして、今回のビジョンの骨子が資料2と参考資料1でございます。シナリオとしては、資料2の「1 概要」「2 地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関の役割」「3 あるべき歯科医師像やかかりつけ歯科医の機能・役割」「4 具体的な医科歯科連携方策及び歯科疾患予防策」となってございます。

 まず、1つずつやっていく前に、ビジョンとしてこういう枠取りではいかがかということで御意見いただきたいと思います。

 どうぞ。

○水田構成員 私は、この内容はとてもいいと思うのですけれども、これは誰に向けて出すものかということをちょっと聞きたいのです。歯科医師だけの仲間でこういうのをしても。私は、むしろ医師とか一般の人に読ませたいと思うのですけれども、それは可能ですか。

○江藤座長 これは国民全体だと思います。そういう理解でいいですか。

○和田歯科保健課課長補佐 はい。

○江藤座長 医科歯科連携で、歯科医だけに発信しても、先生がおっしゃるように、何のことからわからないとなりますので。

○水田構成員 医科の人にも歯科がどんどん変わっているということを示さないと、あの人たちは昔のままです。私が言うのも変だけれども。そこのところをもう少し、歯科側からもアプローチを強めないといけないのではないかなと思います。これはぜひ、医科の人とか、また一般の人たちの目に触れるようなものをつくって渡してほしいなと思います。

 以上です。

○和田歯科保健課課長補佐 事務局でございます。

 水田先生から御発言があった内容はそのとおりだと思ってございます。私どもも、歯科の関係者のみならず、他分野の方々あるいは国民の方々に対しても、こういったビジョンをつくったことをきちんと発信していきたいと思っていますので、今後どういう形で周知をしていくか、検討会の中間報告と合わせて、関係者のみならず、幅広く周知されるように工夫していきたいと思っています。

○江藤座長 冒頭に申し上げましたように、今回の骨子は、やはり核になるものは需給であります。といいますのは、歯科医師は過剰であり、入院、在宅、高齢者対応の歯科医は足りないという現状をどうするかです。しかも、時間は2040年までと期限が切られている。そういう話が核にあるということです。

 この枠組みは議論の中でまた御意見をいただくことにして、「1 概要」の(1)はビジョン全体でございますけれども、「(2)今後の歯科保健医療の需要」の最後から2行目に「居宅や介護保険施設等での在宅歯科医療は、当面需要の増加が予想されるため、依然として財政措置が急務」であるとあります。要は財源措置をすれば、今の健常者対応の歯科医が高齢者対応の歯科医ないしは在宅対応の歯科医に移ってきてくれるのではないかというふうにも読めます。そこら辺いかがでございますか。

 森田先生、いかがですか。

○森田構成員 このビジョンは内容的には非常にすばらしいものと思うのですが、今、先生がおっしゃいましたように、多分、一般国民の方に発信するといたしますと、歯科医師以外の方が受けとめたときに思いますのは、冒頭に座長がおっしゃいましたし、ここにも書いてありますが、全体として人口が減ってくるということです。もう既に一部の県では高齢者の絶対数が減り始めているという状況の中で、それがどういう形でこのビジョンに結びついているのかという点。

 これはある程度入っているかもしれませんが、もう一つは、それが財政的に可能なのであろうか。可能でありませんと、医療ビジョンはビジョンとして立派な内容なのですけれども、地に足のついた将来像にならないのではという疑問をお持ちになる方がいらっしゃるのではないかと思います。その辺をどういうふうな形で発信していくかというところが、特に中医協などにかかわっていた人間としましては非常に関心があるところでございます。

○江藤座長 いかがでございますか。

 どうぞ。

○川添構成員 私もこの最初のビジョンのほうでは、座長もちょっとおっしゃったように、最終的には財政の問題のケアをしないと、理念として、あるいは中央から聞こえてくる情報としても、やらなければいけないということはわかっていても、歯科医師の側も高齢化しておりますので、体力的にもなかなかこれに対応できない、それだったら今までのように少ない患者さんを待合室でじっと待っているほうが楽なのだという声をよく聞きますので、この辺に一番大きな問題があるのかなということで、今の普及率を数値で一度調査してみると、案外広がりがあって、何か障害にぶつかっているような気がいたします。

 以上です。

○江藤座長 ありがとうございました。

 三浦先生、何かありますか。

○三浦構成員 今、御指摘があったところと少し離れてしまうかもしれないのですけれども、今、国ではオーラルフレイルの対応とか、そういったものも政策として入れているところであることを踏まえますと、地域包括ケアシステムとの連携をふまえますと、フレイル対策の視点も需要として浮かび上がってくるのではないでしょうか。全体の書きぶりの中で、今後の歯科医療の取り組むべき課題として、オーラルフレイルの視点を入れることによって、「食支援」との連動性もよくなるので、そういった書きぶりを加えていただくといいのではないと思います。

 事務局が用意してくださった参考資料の4ページ目を見ていただきますと、向かって左側が、いわゆる医科歯科連携でして、事例・知見について具体的な事柄が書かれているところです。向かって右側は、今後、要介護高齢者に対しての歯科治療をどのようにしていくかというところで、そこが新たなニーズとして浮かび上がってくることが想定されるのですけれども、介護との連携の視点の中で、フレイル対策、オーラルフレイルという概念をうまく使ってつなげるような形があってもいいのではないかと思います。

 そのようなところを書き込むと、次のところでも地域包括ケアシステムについて議論されると思いますけれども、つながりが大変よくなるのではないかというところでございます。

 以上です。

○江藤座長 済みません。オーラルフレイルと言うと全部わかったような感じになるのですけれども、オーラルフレイルというのは、在宅、入院、高齢者を全部ひっくるめるのですか。そのディフィニションはどうなっているのですか。

○三浦構成員 このあたりは、オーラルフレイルの対象は高齢者全体かと思いますが、特に能力が落ち始めた、口腔機能が低下し始めた高齢者に対してのアプローチが非常に有効であるというところです。一番のターゲットは、能力低下の虚弱な高齢者に対してのアプローチというところが非常に効果的であろうというところで、オーラルフレイルに対しての取り組みは関連諸学会でも非常に活発に議論されているところです。

○江藤座長 このビジョンを作成するときに、オーラルフレイルという概念は一応考えておいていただきたいと思います。

 ほかに何かございますか。伊東先生、何かございますか。

○伊東構成員 特にありません。

○江藤座長 このビジョンの素案が非常にスマートにできているものですから、きょうは1時間ぐらいで終わるのではないかと事務局は心配しておりますので、先生方の御意見をゆっくり伺いたいと思います。

 2ページ目でございますけれども、「地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関の役割」とございます。先ほど御説明いただきましたが、歯科医療等が(1)でございます。(2)が歯科診療所となっております。(3)が病院です。この病院歯科というのは、前回か前々回にかなり焦点が当てられたのでございますが、記載としては非常に短いのでございます。そこら辺、事務局、何か追加ございますか。

○和田歯科保健課課長補佐 特に補足する内容はないのですが、他方面での議論なども踏まえて現状ではこういった書きぶりになってございます。ただ、先ほど申し上げたように、全体のボリューム感として、歯科診療所、病院の役割がいささかほかの項目に比べて記載が少ないということ。あとは、病院における歯科の需要を考えたときに、もう少し具体的に記載をしてもよろしいのではないかなと思ってございますので、本日の御意見を踏まえてさらに追加していきたいとは思っています。

○江藤座長 今、申し上げましたのは、医科病院8,000のうちの20%、1,600ではなくて、多分、1,300ぐらいにしか病院歯科がありません。在宅、入院、高齢者対応の歯科を展開するときに、それでいいのかという話が出たと思うのです。その辺のところを踏まえてのことなのです。

○和田歯科保健課課長補佐 繰り返しになりますけれども、前回の第5回目の検討会での御提案であるとか、あとは、各方面での議論を踏まえて現状のような書きぶりになってございますが、さらにこの検討会でもう少し踏み込んで書くべきだということがあれば、その意見も踏まえまして再度文言などを検討したいと思っております。

○江藤座長 どうぞ。

○川添構成員 私は、このまとめといいますか、資料2を一読してみたときに、和田専門官も最初に言われたように、やはり2番が最も情報量が少ないということで、これに一番注視しているところです。特に地方の大学とか歯科の病院から見て、中央からこういった地域包括ケアシステムがどんどんこれから広がってきているぞと。そういう中で、大学レベルで最初に声がけをしようとすると、スペシャルニーズ学部とか、スペシャルニーズ診療科、口腔総合診療科とかいうのをつくって、しかしそれは、口腔リハビリテーションが一番にいったら、次は障害者があって、3番目か4番目ぐらいに地域包括ケアをそろそろ立ち上げないといけないと。余り向こうから誘ってくれないから、こちらから歯科の単科大学とか、歯科の中規模の病院からでも始めないといけないなという声をよく聞くようになっているような気がいたします。

 特に我々は、東京のほうに行って、最近こういった研修、事例研究が、大学の協会でもセミナーをやられているし、ことし松本で開かれました歯科医学教育学会でも、2日目の後半は、東京医科歯科大学を中心として、大シンポジウムでたっぷり時間をとって議論しまして、大体こういう流れが過熱してきたな、やっと巻き起こってきたなという感想を持って帰ってきたわけであります。

 そのときに、総合大学、例えば昭和大学のようないろいろな学部を全部持つところはこの地域包括ケアのような形をすぐに実行できるようになっていると思います。やはりスペシャルニーズに置いておりますけれども、1番か2番の順位でそういう組織を構築して、セミナーではモデル例として発表されているのをよく聞くわけであります。

 一方、単科大学では、歯科からでも声をかけて、まず、医師会とかメディカルドクターのほうのそういった団体とか、薬剤師会とか、そういったところへ誰かが中心となって働きかけてつくろうと考えています。

 本学の附属病院もスペシャルニーズの医学を立ち上げて、その3番目ぐらいに置いて、これからこの地域包括ケアシステムを関西地区というか大阪地区で、私立大学ですけれども実行しようと。今、そういう準備をしているところです。どこかこういった地域包括の具体的なモデルがあったら、最近は、勉強のために足を運び、全国から吸収して、それで準備態勢に入っているところでございます。

 ですから、この方向に進まなければいけないということは少子化でよくわかっておりますので、それをどのようにやれば、割合規模が小さくてもまとまった事業かつケアシステムが構築できるのかなということを模索しながら、今、準備中でございます。

 以上です。

○江藤座長 ありがとうございました。

 今、歯科医師会の御発言をいただこうと思っておりました。それで、柳川先生にお願いしたいのでございますが、この2ページ目の(1)の最初の○のところで「医科歯科連携」とございます。これはどういう取り組みを歯科医師会としてはされているのか。

 それから、次の○の「限られた機材」ということは、在宅へ行くと診療所みたいにちゃんとした機材はございませんから、そういった歯科診療、在宅診療を行うための歯科医師のスキルの向上ということを提言なり研修なりされているのか。

 まず、その2つについてお聞かせ願いたいと思うのです。

○柳川構成員 医科歯科連携の具体的な取り組みとなりますと、このページはまさに地域包括ケアですので、都道府県とか地域包括ケア単位の連携ということになろうかと思うのです。御承知のように、糖尿病と歯周病であるとか、がんの医科歯科連携であるとかは日本中で進んでいるところでありますので、そういった患者さん相互の紹介の推進ですとか、相互の病気の治療に関する普及啓発というものは連携が進んでいると思います。

 例えば、ケアサイクルという考え方があります。男性と女性と多少違うようですが、例えば病気になって急性期の病院に入院をされる、それから治療が済んで在宅に復帰される、また別の病気になったり病気が再発して入院や入所をするというサイクルを繰り返されるわけです。そんな中で問題があるのは、歯科の診療情報、患者さんの口腔内の所見だとか治療に関する情報が途絶えてしまうことが一番問題になっております。特に患者さんのそういった歯科疾患や口腔内状況にかかわる情報、継続して管理されるべき情報に関する連携ができていないということが問題になっております。

 それから、2点目の在宅診療ですが、座長がおっしゃったように、現状2割程度ですが、地域医療介護総合確保基金等で在宅機器・機材の設備整備の助成などが行われております。あと、在宅患者さんに、家族の方も含めて、歯科診療所で在宅診療を行っているところを紹介するというような推進室のようなものは全国にできておりますので、以前よりは環境的には進んでいるのかなと思います。

 加えて、2.で少し申し上げたいのは、今、おっしゃったように、在宅で診療に伺うのは、重い機械を持っていきますし、普通の診療所で行うのと同じクオリティーの治療は困難でございます。そこの書きぶりなのですけれども、確かに、スキル向上、研修は繰り返していくわけですが、同等の治療はなかなか受けづらい。したがいまして、これに加えて、一番下のところの病院歯科で後方支援をする。場合によっては、困難な方については搬送して入院による集中的な治療を行うこともあるわけで、そこの後方支援に関するところは必要だと思います。歯科診療所レベルの訪問診療を推進するとともに、それが行いやすいような環境を整備していただくことは必要ではないかなと思います。

 座長、もうちょっとよろしいですか。

○江藤座長 よろしいのですけれども、今の2点につきまして、日本歯科医師会としては、政策的に何かコーディネートされているのか、それとも郡と市の歯科医師会に任せているのか、そこら辺いかがでしょうか。

○柳川構成員 当然、政策提言もしておりますし、毎年、制度・予算要望で、今、申し上げた在宅歯科医療の推進にかかわる施設の設備整備だとかシステム整備ということは申し上げております。また、医科や他職種との連携が必要だということも申し上げて、毎年かなり重点的に行っております。

 それから、大学教育におきましても、もともと訪問診療については座学中心でありましたが、できるだけ実習を取り入れてほしいということも要望として申し上げて、さらに在宅診療している開業歯科医が、非常勤講師だとか、歯学教育に当たるということも進んでいるところでございます。

○江藤座長 先生、もう一つもどうぞ。

○柳川構成員 よろしいですか。

 これも以前申し上げた細かなことなのですが、現行の地域医療連携推進法人制度は複数の歯科診療所がグループ化するというシステムになっておりませんので、ここは、書き方とすると「『地域医療連携推進法人制度』の活用などや複数の歯科診療所がグループ化」ということではないかと思うのです。これは細かな表現のことです。

 それから、ここの部分のボリュームが少ないということですが、先ほどお話があった介護との連携とか、スペシャルニーズ、障害者や治療困難者に対する診療の体制などを書いていけば、ボリュームは大分ふえると思います。また、このビジョンの扱いが本検討会の中間報告の一部と伺っておりますので、どうしても総論的な書き方にならざるを得ないと感じております。

○江藤座長 「複数の歯科診療所がグループ化」というのはかなり大きな問題なのですけれども、事務局、そこら辺は、今、御指摘のようにこれを変えますか。それともここの方針としてこのまま残しますか。

○和田歯科保健課課長補佐 これまでの議論の中で、地域での歯科診療所がグループ化をし、役割分担をしていくとことはすごく大事だという御発言がございましたので、その点は活かしていきたいと思うのですが、今、柳川先生から御発言があったように、制度と直接結びついていかないのであれば、少し切り分けて整理していく必要があると思います。

○江藤座長 どうぞ。

○伊東構成員 最後の「病院」のところですね。そこのところでよく引用されるのが参考資料1の3ページ、4ページの表ですけれども、いろいろな需要が多様化するというか、複雑になってくるのに対して、供給するほうの体制はまだ非常に単純な形であると思います。

 私、この表を見るたびに思っていたことですが、歯科大学附属病院と書いてありますが、全国の29の歯科大学は19の都府県にあって、後の28都府県にはないわけです。そうしますと、こういった資料が各都道府県におりていったときに、我々の県には歯科大学はないなということで、頭からこのビジョンに対して乗っていけないなということになってしまう。

 現実には、歯科大学がない府県においては、病院歯科がやっているとか。私も熊本という歯科大学がないところで歯科病院をやっているわけですけれども、そういう意味でいけば、もう少しここを多様化した形に表現できないか。例えば、医科大学附属病院、あるいは「病院歯科」、あるいは、歯科に専門化した病院とか、一般病院の歯科であるとか、考えられます。保険制度上は地域歯科診療支援病院という形がありますので私たちも歯科病院だけれども、地域歯科診療支援病院という形で、地域の先生方あるいは医科の先生方にはアピールしているわけです。そういうことで医科歯科連携が進んだり、二次医療を要するようなかかりつけ医からの紹介がふえたり、あるいは専門医療をやれたり、いろいろな発展性があるわけです。これを見たら、歯科大学附属病院というと全国に半分しかないし、病院歯科と言ってもなかなかイメージが湧かない。ですから、最初に書いてあったように、これからの若い歯科医師にキャリアパスを描かせようというときに、これだけでは若い人はわからないと思うのです。ですから、「地域歯科診療支援病院」あるいは「歯科病院」とか、もう少し具体性のある表現をしていただくと、見た人にイメージが湧くだろうと思います。

 それから、歯科診療所が機能分担、役割分担するのは非常にいいことだと思いますし、専門医制度検討会でもよく話されましたが、専門医制度を国民あるいは歯科医師仲間にどう知らせるかというときに、こういう表があれば、専門医制度もよく理解できるのではないかと思います。単に歯科診療所と大学だけの機能分担ではなくて、歯科診療所と歯科診療所の間の機能分担とか役割分担というのが表示されれば、もっとわかりやすい提供体制になりはしないかと考えます。

 需要が非常に多層化しているのに対して、供給体制がちょっと単純すぎないかなと思いましたので、つけ加えさせていただきました。

 それから、ちょっと細かいことですけれども、ビジョン作成にあたって歯科衛生士・技工士の需給問題についても検討してほしいということをこの前のときに発言しました。衛生士のほうはわりかしこの場にも書いてありますけれども、歯科技工士をもう少し詳しく書いたほうがいいのではないかと思います。というのは、今の在宅訪問診療で、歯科衛生士と同様に、歯科技工士は非常に活躍する。必要なわけですね。高齢者の多くが、義歯、入れ歯のことで悩んでいるわけですから、それをやるのが歯科技工士という職種。こういう職種の需給問題は重要と考えます。

 あるいは、今、物づくりの産業が進んで、CADCAMとか、そういったもので今までと少し違った形で物づくりが行われるという時代ですので、技工士の教育等もどこかで検討していただきたいなと思う次第です。

 以上、追加しました。

○江藤座長 ありがとうございました。大変大事な御指摘でございます。

 参考資料の4ページでございます。まず「歯科大学附属病院」の下に「病院(歯科)」と括弧をしてありますが、歯科大学附属病院とは別個に、医科大学病院歯科並びに歯科病院をちゃんと認知しろということでございますね。

○伊東構成員 そうです。

○江藤座長 それから、その隣の機能分化、役割分担。先ほどの複数の歯科診療所のグループ化というのは、先行きどういう展開になるか、まだ見通しがついておりませんけれども、これなしには地域包括ケアというのは動かないだろうと思われますので、今後、これは重要な議論の対象になろうかと思っております。

 それでは、三浦先生。

○三浦構成員 「地域包括ケアシステムにおける」という枕言葉がついておりますので、もう少し地域における介護の視点があると良いと思います。事務局案ですと、どちらかというと地域医療のウエートが非常に強く打ち出されていますが、介護との連携は必須の用件かと考えます。もちろん、地域医療のファクターというのは地域包括ケアにおいても非常に重要なのですけれども、それ以外の要素として、地域包括ケアシステムの概念の中には、介護予防の推進、介護との連携というものが入っておりますので、そこの部分の書き込みをもうちょっとする必要があろうかと思います。

 そこを書き込むことによって、地域医療のさらなる推進・連携と相まって、よい形で地域包括ケアシステムにおいて歯科医療が役割を果たすことができると思います。その部分について既に実績がある領域もありますので、そういったものを引用しながら、足りないパーツを埋めていく必要があろうかと思います。ぜひ御検討していただければと思います。

○江藤座長 事務局、いいですか。

 どうぞ。

○西原構成員 先ほど歯科医師会の柳川先生から、地方の地域包括ケアにはそれぞれ各県に委ねられている部分という発言がありました。あともう一つ、伊東先生から歯科大学の云々というお話がありました。本学が公立大学ということで、地域に根差すということを掲げた大学として、今、北九州市で展開している文部科学省のCOC+ 事業であったり、福岡県の重点施策であったり、そのような資金を使いながら行っている口腔保健・健康長寿推進センターという試みが具体例としてはございます。

 そうします、4ページのビジョンは、これはこれで今の介護を入れた形で、あるいは病院(歯科を変える形で、全体像はぼんやりと見えてくるのですけれども、各論、事業例として、我が国においてどのようなことがされているのかということをこの検討会で少し議論が必要かとおもいます。前回、リハビリテーション歯科のいい例の御案内がありましたけれども、各県単位でやられていることを出すことによって、我々、ここでの議論が少し具体的に、お絵かきでなく、やれる方向性を見据えた議論ができるのではないかという思いが今までのお話を伺っていて、感じたところでございます。

 つまり、医科歯科連携にしても、やっていないのではなくて、もう既にやっている施設や大学はある。あるいは総合病院でもあるということであるのであれば、それを共有していくことが、まず、議論の出発点になるのではないかなと思っております。

 ちなみに、介護と医科歯科連携で私どもの大学のお話をしますと、介護では、福岡県の南端の人口2万5,000人の豊前市と口腔ケア・口腔保健活動について連携協定を結びまして、医科のレセプトを全部洗い出して、そこに口腔ケアを介入することでどのように変化するかということを市長みずからの音頭で我々協力してやっている活動がございます。

 さらに、私どもは北九州市に位置しております。本学の16キロ圏内で医療活動をということを意識して、八幡と小倉の歯科医師会の単位で言うと2つのエリアになるのですが、小倉では周術期のがんのケアということで、我々医師会とともに活動しておりますし、八幡東区では脳卒中の急性期・回復期、そして老健にまで至るプロセスで、社会復帰を視野に入れた医療活動を展開するにはどうしたらいいのか。すなわち、我々歯科医師が、あるいはデンタルチームがかかわれる問題は何なのかというのを研究要素あるいは教育要素としてつくり上げながら、本学の設置団体である福岡県に対して、今、報告書をまとめているところです。

 その健康長寿推進センターの報告書は、今、まとめておりますので、各省庁に配付する予定でおります。これは少なからず、私どもだけではなくて、29の歯科大学でも手掛けているということを御案内すると同時に、繰り返しになりますけれども、何かの折に案内をするような機会が設けられたらいい議論になるのではないかと思っております。

 以上です。

○江藤座長 ありがとうございました。

 もう一つ、2の歯科診療所の3つ目の○のところに、国民に対して一般的かつ標準的な歯科医療を提供できる一定水準を満たしている歯科医療機関がわかるような取り組みが必要と出てございます。これは、かかりつけ歯科医のところで議論をしていただきます。よろしゅうございますか。

 事務局、いいですか。

○和田歯科保健課課長補佐 今、先生から御発言があった内容に関しては、かかりつけ歯科医の内容とも重複しているものですから、今回、配付させていただいている資料の(2)からは一応削除してございます。なので、かかりつけ歯科医のところで御議論いただければと思います。

○江藤座長 ということでよろしいですね。

○和田歯科保健課課長補佐 はい。

○江藤座長 この「2 地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関の役割」のところで何か。

 どうぞ。

○柳川構成員 今の西原委員のお話にあったことは私も賛成で、地域包括ケアというと、どうしても地域のインフラが異なる中で諸課題がある。したがいまして、ここで書くのは、共通的な課題がこんなふうにあると。で、先進的な成功事例を示すような書き方で中間報告としてはよろしいのではないかと感じました。

○江藤座長 南先生、何かありますか。

○南構成員 きょうは山口委員はいらっしゃらないのですけれども、この「かかりつけ医に求められる生活に密着した歯科機能」のところ。かかりつけ医のほうに書かれたので、今回削除してあるということ。整理としてはそれでよろしいと思うのですけれども、それが、最初に水田先生も言われた、「このビジョンを誰に向けるのか、誰が出すのか」というところともちょっとかかわってくるのです。国民としては今、かかりつけ医のほうに整理されたところは非常に重要な点でして、診療所といいますか、歯科医療に期待されるものとしては非常に重要な点なので、それはどちらに整理されてもいいのですけれども、私としては国民に見えるようにしてもらいたい。それが国民の多くの希望だと思います。最初の、国民に向けて全部このビジョンを出すのか、国民はどういう歯科医療を望んでいるのかというものをここにまとめるのか、それによって全体像は違ってくるのです。求められているものはこうだから、こういう歯科医療が望まれますよということを書き込んで国民に読んでもらうのか、その位置づけとか立脚点、誰を対象に出すのかといったことも不可分なのですけれども、そこが私の立場ですと非常に重要な点だと思っています。

 それと、今まで出たお話について言えば、診療所というところに書かれているグループ化のこととか、医療安全、倫理の問題、こういったことも国民が歯科医療に対して非常に強く要望している点と思いますので、これを歯科診療として一丸となって、質の担保というのでしょうか、そういうところをきちんとしていただきたい。そのために、現状、小規模診療所が余りに多数存在している。地域包括ケアというのは、役所の説明では中学校区と言っていますけれども、その中学校区の中に小さい歯科診療所がたくさんひしめいているのが適正なのかどうかといった問題もあると思いますので、グループ化とか適正な規模ということは重要な点かと思います。

 あと、三浦先生の言われたオーラルフレイルということ。この「フレイル」という言葉は、日本老年医学会が非常によく検討した結果として出した言葉であり、今、新聞などでも読者にかなり定着しつつある言葉です。とはいえ、「オーラルフレイルと」という言葉がここで突然出てくるのはやはり難しくないかなという気がしております。もうちょっとかみ砕いた言葉にされたほうがいいのではないかと思います。

○江藤座長 ありがとうございました。

 厚労省としても、決して上からの目線で出しているわけではないと代弁しておきます。皆さん、御指摘のように、国民からのどういう要望、ニーズを捉えているのかという書きぶりがどこかにないと。それに対して我々はこういう施策を提案いたしますという形になろうかと思います。まとめるときには、多分、そういうふうになるだろうと思っております。そこら辺どうですか。

○和田歯科保健課課長補佐 今、南先生から御発言があった内容に関しては、1ページ目の「歯科保健医療の需要」の一番下の○のところで、国民や患者からの医療機関や歯科医師に求める需要として、医療安全等のニーズが高まってきているという内容は残してございます。おっしゃられたように、ここに対してどういうふうに提供していくのかという視点が、今、ちょっと漠然としているものですから、先生からの御発言なども踏まえまして、少し検討していきたいと思っています。

○江藤座長 具体には、医療安全、医療倫理、特に歯科の場合は各クリニックは零細企業に近い形ですから、そこら辺をどうするかということについては、歯科医療関係者と国民目線とにかなりずれがあるというのが南さんの御指摘でございます。そこら辺のところはどういう形に持っていくかということをちょっと考えたいと思っております。

 よろしゅうございますか。

 それでは、次の「あるべき歯科医師像やかかりつけ歯科医の機能・役割」でございます。特に「(2)かかりつけ歯科医の機能・役割」がございますが、これ以降を重点にして。この上のほうもかなり重要なことが書き込まれているのですけれども、この3について御意見がございましたら。

 追加説明は何かございますか。いいですか。

○和田歯科保健課課長補佐 南構成員から御発言、御質問があった内容を一部補足させていただきたいと思います。

 先ほど国民や患者から求める医療安全であるとか、そういったものの需要を御説明させていただきました。これに対応する形で、歯科医師個人に着目して、2ページ目の(1)の一番下のところに、医療安全については、能動的に研さんを行うべきとか、標準的な内容として繰り返し研修を受講すべきと記載してございます。ただ、医療機関としてその体制を整えるべきということも記載すべきなのかといったことに関しては、少し御意見も踏まえながら再度検討したいと思っています。

○江藤座長 どうぞ。

○三浦構成員 「3 あるべき歯科医師像やかかりつけ歯科医の機能・役割」のところでございます。ここの3ページのほうに移っていただきまして、「かかりつけ歯科医の機能・役割」の「(3)他職種との連携」のところでございます。ここの2番目のところに「食支援等の日常生活の支援を目的とした他職種連携の場への参画」ということで、食支援ということをここでしっかりと入れているというのは非常にすばらしい点かと思っています。

 それとあわせまして、食支援ということになりますと、連携先としては栄養士も入ってくるのではないかと思いますので、ぜひ位置づけていただければと思います。先駆的な活動をされている一部の歯科医院では、栄養士を雇用してこの食支援にもう乗り出しているというような事例もあると聞いておりますので、その点、追加等を御検討していただければ幸いです。

○江藤座長 ありがとうございます。

 川添先生。

○川添構成員 少し疑問があるのですけれども、最近、シンポジウム等で議論した中にあった「他職種」というのは、例えば「連携」という言葉は初めは「医科歯科連携」という2つから始まったのではないか。その次は「他職種連携」という言葉があって、さらには、最近では「他職種共働」ですね。この3つの言葉に。これはどちらが先か。多少ずれがあるように思うのですけれども、一番最近聞いたのでは、他職種で一番多いのは、1520近いですね。18ぐらいの職業がずらっと連携であって、これでもまだ完璧ではないのだというふうな東京大学の先生の意見でそれぞれの学者の「他職種」というディフィニションか何か知りませんけれども、それにはかなり違いがあるような気がいたしております。

 我々歯科から見た場合には、そんなに15も必要だろうかと思いますし、メディカルから発した場合の部分は最低1415必要だという結論だったのですけれども、それを目指していたらかなり時間がかかるし、どういう組織を。少しお手伝いしていただかないと地域では不可能ではないか。そこで、歯科から始める第1段階の他職種との連携は、最低、医師、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、作業療法士(OT)あるいは言語聴覚士(ST)、そのあたりはないと困りますよという声が現場から非常に上がっていますので、第1段階合格点的には5つぐらい。前回のこの会で先生から、他職種を大勢雇用したいのですけれども、経営的な問題もあるのでそんなに雇い切れないという意見、これは率直な意見であろうかと思っております。

 せめて我々は地下のほうで附属病院というところからお誘いをかける。今、計画中は4つぐらい。4つ、5つぐらいから始めれば、うちは他職種を呼びかけておりますというふうに言えるのか。そのあたりの御意見を柳川先生やほかの先生方からお聞きしたいなと思っていた次第です。

 以上です。

○柳川構成員 医療介護職種の数もずっとふえておりますし、それぞれの団体やそれぞれの職種の方と個別に連携をとるということではありません。例えば食支援であれば、ミールラウンドなどの中に、関係職種と、そこに歯科医師、歯科衛生士がどうやって入っていくかという問題ではないかと思います。

 また、介護保険ができたときに、実は歯科との接点は介護保険の認定審査会、この合議体には地域の歯科医師会で入っておりますので、全く関係がなかったわけではなくて、そういった意味で、ゼロから始まるというふうには考えていません。

 座長、続けてよろしいでしょうか。

○江藤座長 はい。

○柳川構成員 まとめ方で私が思ったことですが、先ほどの「2 地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関の役割」に「歯科診療所」がございます。それから、3で「あるべき歯科医師像」があります。そことかかりつけ歯科医機能の分け方がかなり重なるところもあろうかと思います。南委員から御指摘があった部分、我々として、マスト、当然やらなければいけない部分はしっかりと、この(1)の「あるべき歯科医師像」のところにも記載してもよろしいのではないかという気はいたします。

 それから、1点。これは私どもの事情と申しますか、診療報酬上の評価を伴うかかりつけ歯科医機能強化型とか、前回もお話が出ましたけれども、ここの議論は違うと思うのです。そもそもかかりつけ歯科医とはという議論だと思います。したがいまして、例えば診療報酬上の評価につながるような表現だとか、施設基準に係わるような部分は分けて、主にそこを議論するのは中医協ですとか社会保障審議会の医療部会、医療保険部会だと思います。ここでの議論は、あるべきかかりつけ歯科医という議論を主眼に置いたものにしたらいかがでしょうか。

 したがいまして、ここのかかりつけ歯科医の3の(1)と(2)と先ほどの2の(2)のところは幾つか重なるところがありますので、また整理が必要かと思いました。

○江藤座長 どうぞ。

○和田歯科保健課課長補佐 事務局でございます。

 私ども、このかかりつけ歯科医を議論するときに、診療報酬の施設基準等を意識して議論しているわけではございませんで、あるべき理想型としてこういう機能を持つべきではないかということをこの検討会のメッセージとして発信できたらという考えのもとで整理させていただいたものでございます。したがいまして、別途制度に乗せていこうとか、そういう考え方を現時点で持っているわけではございませんので、その点は御承知おきいただければと思っています。

○江藤座長 この検討会はかかりつけ歯科医のあるべき理想型を議論する場であることを確認させて頂きます。

 この「あるべき歯科医師像やかかりつけ歯科医の機能・役割」のところで、かかりつけ歯科医の機能・役割がございます。あるべきかかりつけ歯科医の定義として(1)(2)(3)に分類されております。かかりつけ歯科医が1人でこれを全部やるというわけではありません。

 冒頭申し上げましたように、健常者対応の歯科医が過剰であって、入院・在宅・高齢者歯科医が不足している。そうすると、(2)で定義されるかかりつけ歯科医すなわち入院患者・在宅療養者対応の歯科医を増やしていくという方向と歯科医師の需給の問題とは深く関わっていると思われます。そこら辺の御議論はいかがでございますか。

○柳川構成員 座長、よろしいですか。

○江藤座長 どうぞ。

○柳川構成員 誤解がないように申し上げたいのですけれども、私どもは、もちろん、制度上の問題でここへ立ち入らないとか、そういうことを申し上げているわけではありません。細かなところで言えば、介護職種との連携、介護分野に歯科がどう活躍できるかということについては、例えば、介護施設の施設歯科医というのはおりません。制度的にいないからです。そういった議論は当然あります。

 それから、このビジョンが、中間報告の扱いということであれば、この後に、平成30年以降に推計もあるというふうに伺っております。調査、さらに検討が進むと思うのです。そうすれば、将来の歯科医療需要について、人口動態も踏まえて、過不足のない歯科医療提供はこういったものであると、数も含めた議論になっていくのではないかと思いますので、この中間報告のビジョンとしては、書き方というのはある程度踏み込んだところまで至らない部分もあるのではないかと思います。

○水田構成員 ちょっといいですか。

○江藤座長 どうぞ。

○水田構成員 ちょっと私、わからないのですけれども、先ほど厚労省の方が言われた診療報酬は別だということは。報酬がないと誰も動かないのではないですか。やはりある程度ないと。

 それともう一つ、そういう介護施設に。うちも幾つか施設を持っているのですけれども、そこに歯科医師を送ろうとすると、今、制限があるのでしょう。むかしは、訪問は全部でできているけれども、1日に何カ所かしか行けないとか、そういうあれが出てきて大変苦労していると聞いたのです。そこのところはどうなるのですか。

○和田歯科保健課課長補佐 1点目の御質問につきましては、言葉足らずだったかもしれませんけれども、診療報酬というものを意識してかかりつけ歯科医の議論をしているわけではございませんで、あくまでもかかりつけ歯科医の役割や機能を概念として提示したいということを申し上げたところです。

 2点目に関しましては、恐らく、診療報酬のルールのことを仰っているのではないかと思いますが、当課から回答することは差し控えさせていただきたいと思います。

○江藤座長 ここで先生の御質問に答えるのに、医療法上、かかりつけ歯科医というのは何らかの定義づけがされているのか。それから、診療報酬上、かかりつけ歯科医は例えば特定の診療報酬の加算があるのか。そういった診療報酬上の定義づけ、医療法上の定義づけを確認させてください。

○和田歯科保健課課長補佐 医療法上の定義づけはございません。あと、診療報酬上の定義につきましても、これは御承知のように、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所という形で、あくまで診療所の機能として一定の要件を満たした施設を評価しているものでございますので、その基準の中でかかりつけ歯科医の要件を設けているものではございません。

○江藤座長 ということでございます。

○水田構成員 では、他職種となると、もっともっとたくさんあれが出てきますよね。それに対してもどういうふうにお考えなのですか。

 他職種でいろいろな話し合いをするときに。自分が委員になって、報酬をもらわなくてもいいという人もいるかもしれないけれども、毎日のことになると、やはり報酬がないと動けないという人が出てくると思うのです。他職種共働といっても。それはある施設に払われて、それを分配するということになるのですか。

○和田歯科保健課課長補佐 最終的に他職種連携を進めるために、予算上の措置、あるいは他の手段で誘導を図るかは、恐らく今後の議論になろうかと思いますけれども、考え方として、かかりつけ歯科医は他職種との連携が必要だということをメッセージとして発信したいと思っています。

○江藤座長 水田先生のただいまの御指摘は非常に重要な問題を含んでおりますが、この検討会はあくまであるべきかかりつけ歯科医の機能・役割を定義することにあることをご理解頂きたいと思います。

 どうぞ。

○川添委員 直接関係があるかどうか、あるいはまとまっていないのですけれども、歯科のほうのかかりつけ歯科医というか、患者さんから質問があったわけです。私はかかりつけ歯科医を持っております、定期的にせよ、アクシデント、救急の問題があったらかかりつけ歯科医へまず飛び込みますと。そうすると、そのかかりつけ歯科医が連携している内科医のところへ行きなさいと、そういうふうに指示をされたと。ところが、その患者さんは、私には別のかかりつけ内科医がおります、どちらへ行ったらいいのですかと。そのような質問を受けたことがあった。これが他職種になると、さらにそこに縛りができてしまって、ほかのほうへ行けないとか、先ほど水田先生が言われたように、報酬をどのように分配といいますかシェアするのかという問題は、いろいろなところで質問するのですけれども、明快な回答を得られないのです。この辺はどこまで議論すればよろしいのでしょうか。

○江藤座長 南先生、いかがですか。

○南構成員 今の御質問に私が答えるのですか。

○川添構成員 いいえ、どなたでも。

○江藤座長 全然関係なくても結構です。

○川添構成員 コメントがございます方は教えていただきたい。

○南構成員 歯科医療も含めて、医療が診療報酬制度で動いているということは、程度の差はあれ、大方の人は知っていることだと思うのです。ですけれども、私もここで、診療報酬のことを十分考えて、予算取りとか、そういうことを考えて発言をしていたわけでは必ずしもなく、今の歯科医療の実態を考えたときに、国民はどういうことを望んでいるか、どういうところが不満かとか率直に感じたことを述べているというのが正直なところです。歯科保健シンポジウムなどによく参加させていただいたりするので、そういうところから読み取れることとして、発言させて頂いたところです。

 また、先生が今おっしゃったようなことは、今後、歯科医療が今後どういう制度になるかはともかくとしても、患者さんが歯科医にかかったとき、身体的問題も指摘されたとします。そのとき、歯科医が自分が連携しているこういう内科の先生もいますよ、というのは親切ですが、そこに行け、という意味になると、患者は戸惑うこともあるかもしれません。内科のこういうことを専門としている先生に御相談されたらいいのではないか、みたいな一般論的な回答をしていただくほうが、恐らく、一般の患者さんは、ありがたいのではないでしょうか。かかりつけ歯科医よりは、かかりつけの医師を持っている場合が比較的多いと思うので。私が連携しているここへ行ったらどうか、とか言われてしまうと、もしかすると、いや、お医者さんならこちらにかかっているのでといったことになることは往々にしてあるのではないかという気はいたします。

 ただ、前段ちょっと申し上げたかったのは、私は必ずしも診療報酬とかということをすごく意識して発言しているわけではない、ということです。国民が望む制度が診療報酬で手当てされればもちろんいいのですが、保険医療の現状を考えますと、大多数の人に必要なミニマムは何かという議論になってくると思うのです。そして、国民はミニマムでなくもう少し高いものを要求しているのではないか、と思っているのです。

○田口歯科保健課長 よろしいでしょうか。

○江藤座長 どうぞ。

○田口歯科保健課長 最近よく、かかりつけの薬剤師とかかかりつけ薬局という言葉を耳にするかと思います。厚生労働省の他の部局でかかりつけの薬剤師・薬局のビジョンがつくられ、その持つ役割としては、今後、国が目指していく地域包括ケアシステムの一翼を担って、薬に関していつでも気軽に相談できるような薬剤師がいることが重要だということが叫ばれてきている背景があって、かかりつけ薬剤師・薬局という言葉が出てきて、それを国が一つ定義づけをしたのだろうと思っています。

 その定義づけの中に大きな柱としては、服薬情報の一元化であるとか、24時間対応とか、在宅対応とか、あるいは医療機関との連携とか、幾つかの柱があって、そういう大きな機能というものをつくっています。実は診療報酬の関係でいうと、このかかりつけ薬局のほうも診療報酬の中で評価されている部分があります。それは、このかかりつけ薬局・薬剤師全てを評価しているわけではなくて、その中の一部の機能みたいなものを診療報酬の中で評価されているのだろうと私は理解をしています。

 先ほど和田からもありましたけれども、かかりつけ歯科医のほうも、今の診療報酬上の評価というのは別にかかりつけ歯科医そのものを評価しているわけではなくて、その中の体制であるとか、機能であるとか、そういったものを診療報酬上の中で一部評価をしているという話です。

 またちょっと戻りますけれども、今回、先生方に御議論いただいているのは、まさに今まで御議論いただいた、国民の方々にどういうふうな形で歯科医療を、今後、国としてきちっと提供といいますか、示していくのかという議論の中で、地域包括ケアシステムというものが出てきて、その中でも、歯科医あるいは歯科医療機関の役割が大事になってきて、歯科医師が医療提供体制をつくっていく中で、今までの歯科医療のあり方ではなくて、新たな地域完結型の歯科医療というのが大事だと。そこの中には、地域包括ケアの考え方が出てきて、そこで活躍をする歯科医師の先生方はどういう先生かというと、恐らく、それがかかりつけ歯科医という先生方になってくるのでしょう。そのかかりつけ歯科医の先生方の定義というものは、多分、今までにないような定義が出てくるので、それを新たに今回きちっと定義しましょうということで、今、そういう話が出てきて、ここの中で議論されているのだろうと思っています。

 あるべき歯科医師の姿というのは、多分、診療所の先生だけではなくて、大学の先生であるとか、私ども行政に勤めている歯科医師であるとか、大学に通われて今後歯科医師になろうと思われる方々もいらっしゃると思いますけれども、そういう方々が本当に目指すべき歯科医師の像というのはこういうものだというのをきちっとこの中で先生方にある程度議論いただいて、少し大きな枠の中で議論していただいて、それを明文化するのだろうと思います。その中で、診療所の地域の中で御活躍いただく先生方というものが恐らくかかりつけ歯科医になるのだろうと。そういうことが、国民の方々からすると、今までとは違うということであれば、これはどういうものなのだと。それは、8ページにあるような図のイメージがあって、外来のイメージもあるし、入院されたときの、あるいは在宅でもいつでもその先生に面倒見てもらえますよみたいな、いろいろなかかわり方はあるのかもしれませんけれども、そういうイメージがある。そういうもの大きなイメージとして捉えてきちっと定義するというのが今回のこのかかりつけ歯科医のあり方というところがあって、今、南先生からもお話しいただきましたけれども、最終的に、その中には恐らく、患者さん、国民の方々が求められているようなものも当然入ってくるのだろうと思っています。

 こういう機能の中で、診療報酬の機能としてきちっと評価をするには、こういう項目が必要だよねというものを、そこは保険局のほうできちっと中医協で議論していただいて、施設基準になるのか何になるのかわかりませんけれども、そういうものをこの中からチョイスしていただければいいのかなと思っていて、そこはこの場で議論する話ではなくて、先ほど言いましたけれども、そのベースとなる本来的なかかりつけ歯科医というものをここの中では議論していただければ、すごくありがたいのかなと私自身は思っています。

○江藤座長 ありがとうございました。ただいまの田口課長のご発言でかかりつけ歯科医の地域包括ケアにおける役割ならびに中医協でこの報告をもとにかかりつけ歯科医の機能をどのように評価するのかという筋道がご理解頂けたかと思います。

○南構成員 このビジョンの中でかかりつけ歯科医の議論がいろいろ出てまいりました。改めてこれをもう一回ざっと見たときに、もしこれを国民に読んでほしいのなら、いきなり「あるべき歯科医師像やかかりつけ歯科医の機能・役割」となっているのは気にかかります。多分、一般の国民は「かかりつけ歯科医」は何なのだと思うと思うのです。そんな制度はあったっけとか、別に自分はそういうものを持っていないとか、そこは唐突感があります。医療へのかかり方は、現状で余りに、行きあたりばったり、というか近くの診療所に行き、そこで満足がいかなければよそに行く、というのがあたりまえになっているけれども、実は歯科医療もちろん一般医療も、自分のかかる医師なり歯科医なり、なるべくひとところにしておいたほうが実はいいのだ、というヘルスケアの価値観を、まず国民に理解してもらった上で、「かかりつけ」というものの意義があるのだと思うのです。

 歯科の場合は、おっしゃるように、健常者を対象にしている歯科医が過剰なのかもしれませんが、寿命が非常に長くなった日本で、健康に一生を全うするために予防的に歯科医にかかることが非常に重要であることも確かです。なおかつ、いろいろな歯科医ではなくて、かかりつけというものを持つことが重要なのだ、というのが認識されないと、いきなり「かかりつけ歯科医は」と言われても響かないのではないかという気がしました。

 長くなって済みません。

○江藤座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○伊東構成員 最初、座長から言われた、今、健常者を扱う歯科医師は余っている、しかし、在宅や訪問診療をするための歯科医師が不足していて、これに転換できるかというお話です。歯科医師としての資質の問題もあるのでしょうけれども、私はこの会議でも言ったことがあるかもしれませんが、1人院長制というのが一つのネックになっているのではないかと考えています。

 今、かかりつけ歯科医の機能ということで、切れ目のないサービスを継続的に行うと。ということは、かかりつけの先生は極端な言い方ですが、病気もできない、学会にも行けない、休養をとることもできない、ずっと見ないといけないということになります。そこで、かかりつけ歯科医を全うするのであれば、いいパートナーと一緒にするとか、そういったことが1つの突破口になるのではないかと考えています。

 医療保険のほうではそれを見越して、かかりつけ歯科医機能強化型診療所は複数のドクターがいることとか、そういう規定もあるぐらいです。かかりつけ歯科医の議論を進める上で、あるいは今の座長の最初の疑問に関しては、この1人院長制をどこかで何らかの形でいい方法を提案しないと、やはり堂々めぐりになってしまうというか、そんな気がします。

○江藤座長 今、おっしゃっていることは、グループ化して、機能分担して、それが一種の組織体になるわけです。そういった組織体にした上で、収益が上がる構造をどう構築するかであろうと思われます。おのおのの歯科医は経営者ではありませんから、誰か経営者を連れてこなければいけないかもしれません。

 今の御意見の大事な点は、グループ化して役割分担しないととても対応できません、その現状をどういうふうに克服していくかというのが次の課題ですということでございます。よろしいですね。

○川添構成員 もう一点よろしいですか。

○江藤座長 どうぞ。

川添構成員  このカラーの参考資料1の8ページのことでちょっと説明させていただきたいと思います。

 「3.在宅等の口腔機能管理」の白い枠の中に入っている「医師、看護師、介護支援専門員等と連携」と「訪問診療」、それから「居宅、介護保険施設等」。私、この介護保険施設協会というところの理事をやっているのです。最近気がついたのですが、内科医が多いのですけれども、そこのメディカルドクターと一般にその地域の医師会に入っている方のグループとは、同じ内科医であっても連携も全然違うし、連絡がほとんどとれないということがわかりました。非常に大きな団体なのですけれども、これは介護保険施設協会に入っているメディカルドクター、看護師、介護支援専門員との間は連携が非常にとりやすいのですけれども、一歩外へ出ると言ったらおかしいですが、その医師どうしとの間は国が違うほど違うということに気がつきました。今後、先ほどの診療報酬の分配とかいったことも含めて、相当大きな壁です。そういう障壁もあるということをどこかに加えたいところでございます。

 以上です。

○江藤座長 ありがとうございました。

 それでは、5ページ目の医科歯科連携でございますが、前回いろいろな御議論がございました。その中で、2つ目の○は「教育分野での連携については」ではなくて「診療所単位での連携については」と。要するに、ここをちょっと議論していただきたいのは、地域包括ケアに一番関係がございますので。あと、病院単位とか学会単位とかそういう話は場合によっては次の機会に議論いただきます。

 医科歯科連携でこれだけは言っておきたいということがございましたら。

 前回の3人の先生方のお話で輪郭がかなりつかめたのではないかと思います。あのお話をどうやって一般化するかということだろうと思っております。既に柳川先生からも御発言がございましたように、各地域でもそういった取り組みは既に始まっているということでございます。

 1つ御指摘をさせていただきたいのは、かかりつけ歯科医というのは1種の制度であろうと思われます。医科歯科連携というのは機能でございます。特に在宅・入院患者を診る場合には医科歯科連携ができなければかかりつけ歯科医になれませんという話に多分向かうのだろうと思われます。ですから、かかりつけ歯科医の制度設計と医科歯科連携という機能をどういうふうに組み合わせるかという問題だろうと思います。そこら辺、もし御意見がございましたら。

 どうぞ。

○柳川構成員 かかりつけのところでちょっとひっかかっているのかわかりませんが、私ども日本歯科医師会として、かかりつけ歯科医の機能とか、あるべき姿を9月中にまとめる予定でございますので、もうちょっとお待ちいただきたいと思います。

 それは別にして、開業している歯科医師にとっても、当然、かかりつけの患者さんがいます。歯科の患者さんもかかりつけの歯科医療機関はほとんど皆さん持っていらっしゃるのです。そういった意味のかかりつけというふうに理解しておりまして、先ほど田口課長からもお話がありましたが、制度というよりは、現状ではかかりつけ歯科医であるべき機能が幾つかあって、そのうちの幾つかを評価していく、そういうふうな流れではないのかなというふうに私は理解しております。

 かかりつけの歯科医であれば、自分のところのかかりつけの患者さんが入院した場合、あるいは施設に入った場合、在宅になった場合は、当然、そこにかかわるべきです。ただ、実際に診療行為でかかわれるか、例えばお仲間の歯科医師に頼むとかいうこともケースとしては当然あると思うのです。そこで出てくるグループ化ですが、現状の課題とすると、例えば新たに法人を設置しなければいけないかということだとか、税制上の問題であるとか、診療報酬はどこで請求するかがありまして、そういったところがクリアになれば、郡市区の歯科医師会などを主体として進む可能性はあると思います。また、福岡のように大学がかかわる場合もあるでしょうが、そういったところでなくても可能性はあると思います。

 よろしゅうございますか。

 森田先生、ございますか。

○森田構成員 このビジョンにつきましては、冒頭にもちょっと申し上げましたけれども、一般国民の方は、途中からお話が出ましたけれども、診療報酬とか、実際のニーズの人口に応じた問題であるとか、そちらのほうときちっと整合性を持っているかという点に関心を持たれると思います。そこが見えてきませんと、ビジョンとして、目指すべき理想的な方向であるとしても、これが実現するかということになると、かなりハードルがあるなという印象を持たれるかと思うのです。

 参考資料1の2ページ目にありますけれども、中間報告のときに、こういう位置づけであれば、こういう方向を目指すということで、需給問題とかほかの問題の、ある意味で1つの目指すべき方向としての整理をするための指針になるということであればいいのではないかなと私自身は思っております。これをまた、今、お話がございましたように、診療報酬上どうして実現するかという話になりますと、また戻ってしまう可能性がある。このビジョンは、中間報告といいましょうか、ここではまさにそういう位置づけで整理をすることが望ましいのではないかと思います。

 かかりつけ医のお話で出ていましたけれども、医科のほうでも出ておりました。前回の診療報酬改定でどうなったか知りませんが、前々回までかかわっていたところで言いますと、医科のほうでもずっとございます。今は総合医という形になっていますけれども、ヨーロッパで言いますGPのような制度で見ていかないと、今は高齢者の方は多診療科を受けられているということで、今のままでいきますと、内科のかかりつけ医、整形外科のかかりつけ医、眼科のかかりつけ医ということになりかねない。それではかかりつけ医の意味がないのではないか。したがって、トータルに診るというので総合医というものを考えるべきではないか。当初は、医師会を初めとして、それについて相当反対はございましたけれども、患者さんの実態を見ている限りは、それはやむを得ないのではないかということで、総合医という概念だけ出ましたけれども、中身のほうは、今、専門医制度も含めて大変混乱しているところでございます。

 さらに言いますと、それが高齢者の場合には、介護と医療の境界に線を引くことは非常に難しいということで、出てきたのが地域包括ケアという概念です。ここではそれぞれの担当の医科の各診療科の先生方、そして歯科の方も入りますし、看護師さん、訪問看護師さんも入りますし、薬剤師さんも入りますけれども、そうした方が整合性を持った形でトータルに在宅の患者さんを診ていく。入院されている場合には、病院がおのずからそういう機能を持つわけですけれども、在宅でそれをどうやって持たせるかというところから地域包括ケアという概念が出たわけです。

 その場合には、当然、いうなれば調整をするコーディネーターが必要になってくるわけです。もともと介護のほうで想定されておりましたケアマネージャーという機能はそういうことだと思うのですけれども、医療も含めて、そういう役割を誰が果たすのか、どうするのかというのは、正直申し上げて、地域包括ケアの中で必ずしも明確になってきていないと思います。したがって、今のところは連携をして水平的調整を図るという仕組みになっていると思いますけれども、その中で、薬剤師さんもかかりつけ薬局の話になってきて、かかりつけ医の方がたくさん出てくる可能性もある。そういう文脈でこのかかりつけ医という名称、言葉を発しているような気がいたします。

 実態は、診療報酬上は、先ほどお話がありましたように、例えば24時間対応するとか、薬剤師でいいますと、一定の薬について在庫をきちっと管理しておくとか、たしかそういうのがあったと思いますけれども、そういう機能的要件を持った薬局について加算をして、それをかかりつけ薬局という呼び方をしようということ。本来、かかりつけを患者さんときちっとひもづけるならば、その地域の人口に対してどれくらいとか、そういう議論にもなってくると思っております。

 先ほどの議論を聞いておりまして、昔議論したことを思い出したものですから、情報提供させていただきましたけれども、ビジョンの位置づけについては冒頭に申し上げたとおりです。

○江藤座長 ありがとうございました。

 かかりつけ歯科医については、次回、議論を続けたいと思います。

 先ほど診療報酬の話がありましたけれども、この資料2の1ページ目の下のほうに「居宅や介護保険施設等での在宅歯科医療は、当面需要の増加が予想されるため、依然として財源措置が急務」であると。ですから、診療報酬の具体の議論はここではできませんが、財源ということに関しては視野に入れているということでございますので、御理解いただきたいと思います。

 本日は時間となりましたので、これでおしまいにさせていただきます。

 長時間どうもありがとうございました。


(了)

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