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2020年11月24日 第30回医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会議事録

医政局経済課

○日時

令和2年11月24日(金)17:00~18:40

 

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール15D

○議事

 

○石川流通指導官
それでは、定刻より少し早いのですけれども、皆様お集まりですので、ただいまから第30回「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」を開催させていただきます。
今回は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインを活用した開催とさせていただいております。オンラインで御参加の委員の皆様は、御発言のとき以外はマイクをミュートにしていただきますようにお願いいたします。また、御発言の際には、挙手により合図していただき、三村座長からの指名を受けて御発言いただくということでお願いいたします。
それから、今回委員の方に交代がございました。新たに委員に加わっていただきました方を御紹介させていただきます。
まず、日本ジェネリック製薬協会の伊東様。
 
○伊東委員
伊東でございます。よろしくお願いいたします。
 
○石川流通指導官
日本製薬工業協会、土屋様。
 
○土屋委員
製薬協の土屋でございます。よろしくお願いいたします。
 
○石川流通指導官
日本保険薬局協会、原様。
 
○原(靖)委員
原でございます。よろしくお願いいたします。
 
○石川流通指導官
全国自治体病院協議会、平川様。
 
○平川委員
平川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○石川流通指導官
日本医師会、宮川様。
 
○宮川委員
宮川でございます。よろしくお願いいたします。
 
○石川流通指導官
よろしくお願いいたします。
次に、本日の委員の出欠状況を御報告いたします。
日本医療法人協会の関委員が御欠席との御連絡を頂いております。
また、日本ジェネリック医薬品販社協会、三浦委員の代理としまして、本日は川口様に御出席いただいております。
 
○川口代理
川口です。よろしくお願いいたします。
 
○石川流通指導官
日本医薬品卸売業連合会、中原委員は、退任されております。
そして長瀬委員ですが、本日は所用のため途中で退席される御予定でございます。
それでは、ここで、開催に当たりまして、迫井医政局長より御挨拶申し上げます。
 
○迫井医政局長
着座にて失礼いたします。冒頭御挨拶させていただきます。
皆様におかれましては、日ごろから医療、医薬品行政の推進、医療用医薬品の流通改善に多大なる御尽力を賜りまして、改めて厚く御礼を申し上げたいと思います。
昨年6月に開催して以来になりますので、約1年5か月ぶりの医療用医薬品の流通改善に関する懇談会(流改懇)の開催でございます。この間、現場では様々なことがあったということでございます。
まず、昨年11月に公正取引委員会(公取委)が談合の疑いで一部の医薬品卸売業者に強制調査が入り、現在も捜査中でございます。犯則調査に入られたこと自体が医療用医薬品卸売業に対する社会的な信用の毀損、ひいては薬価制度の信頼性に対する国民の疑念を招きかねないということでございます。誠に遺憾と申し上げざるを得ません。
また、この談合が事実であるとすれば、これまで流通関係者が信頼関係の下で一体となって進めてきた流通改善の取組が根底から覆されかねないという強い危機感を私どもは持ってございます。
今年に入りまして、新型コロナウイルス感染症が拡大いたしております。4月には緊急事態宣言を行うなど、我が国は近年にない緊張状態に追い込まれていると認識いたしております。とりわけ医療の関係者の皆様、医薬品メーカー、卸業者の皆様には、コロナ禍という通常と異なる流通環境の中で大変な御苦労があったと認識をいたしております。その状況下で、初めてとなります中間年改定を実施するための、今年は昨年に続き薬価調査を実施いたしました。流通関係の皆様には大変な御無理を申し上げましたけれども、御協力いただきましたことにつきまして、この場を借りて改めて感謝申し上げたいと思います。
談合の疑惑が捜査中であること、コロナ禍といった状況下でございましても、これまで取り組んできました流通改善の取組が後退することがあってはなりません。これは、ちょうどこの前に国会の審議で私も参加いたしておりましたが、その旨を田村厚生労働大臣も答弁の中で申し上げております。これまでの流通改善の取組を改めて前に進めるとともに、さらなる流通改善に取り組んでいかなければならないと改めて考えているところでございます。
本日は、流通関係者である皆様から、コロナ禍の状況における流通などにつきまして情報を共有していただくとともに、今後のさらなる流通改善に向け、忌憚のない御意見をいただければと考えておりますので、ぜひとも活発な御議論をお願いしたいと思っております。
なお、改めて確認も込めまして申し上げますけれども、談合疑惑に関しましては捜査中の事案でございます。したがいまして、本日は議題として取り扱うことはございませんので、あらかじめその点については御了解いただきたいと思っております。
本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○石川流通指導官
続きまして、本日の資料につきまして説明させていただきます。
本日は、ペーパーレス会議としておりまして、会場にお配りしておりますタブレットにつきましては、現在「マイプライベートファイル」という画面が開かれていると思います。その中に入っております資料が本日の資料になりまして、座席図、議事次第、委員名簿、資料1~3まで、参考資料が1~7まで入っております。不備や御不明な点がありましたら、適宜職員にお声がけいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、これより議事に入りますので、記者の方の撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いします。
では、以降の議事進行につきましては、三村座長にお願いいたします。
 
○三村座長
それでは、本日の議事に入りたいと思います。
本日の議事ですけれども、「1.流通改善の課題と進捗状況について」「2.その他」となっております。
議題1「流通改善の課題と進捗状況について」について、事務局から資料が提示されておりますので、事務局から御報告をいただきたいと思います。
まずは、メーカーと卸売業者の取引に関する課題と進捗状況についてということで、お願いいたします。
 
○浅見首席流通指導官・流通指導室長
それでは、資料1「流通改善の課題と進捗状況等」について、御説明申し上げます。
1ページを御覧ください。平成30年に発出した流通改善ガイドラインにおいて、流通関係者の留意事項とされている諸課題から一部を抜粋したものです。
項目の1及び2が、メーカー、卸売業者間の取引に関する課題。項目3が、卸売業者と医療機関・薬局との間の課題とされているものです。
まず、項目1、一次売差マイナスの解消、適切な仕切価・割戻し等の設定に係る課題に関して御説明します。
2ページを御覧ください。一次売差マイナスの解消に向けては、ガイドライン上、適切な一次仕切価の設定、また、卸機能の適切な評価等による整理を行うこととされております。
これまでの取組の経緯を振り返りますと、まず、2018年9月に日本製薬工業協会と日本医薬品卸売業連合会のワーキングチームにおいて、今後の適切な仕切価・割戻しの設定に資するべく、「医薬品卸売業の機能と割戻しの項目・内容」を取りまとめました。
これを受けまして、その翌月、医政局経済課より川上取引の流通当事者それぞれにおいて、割戻しについて卸機能の評価に基づいたものとなっているか確認を行うこと。仕切価を修正するような割戻しの実態があれば、その仕切価への反映について検討を行うこと等の取組を要請したところでございます。
これを踏まえた2019年4月の実施状況については、前回の流改懇で御報告しましたとおり、調査対象97社のうち割戻しの運用基準を変更したのが17社、一部品目の仕切価を変更したのが7社ということでございました。今回は、その後に行われた薬価改定のタイミングである2019年10月及び2020年4月における状況について、4ページ以降で御報告したいと思います。
次に、3ページを御覧ください。各種水準の推移でございます。
2019年度におきましては、前年度との比較では納入価率が横ばいながらも、仕切価率が0.1ポイント上昇し、割戻し率が0.1ポイント下がったという結果でございました。
割戻し率は少し縮小傾向が見られるものの、仕切価率は低下するまでに至っておらず、このデータでは一次売差について減少傾向にはなく、むしろわずかながら拡大傾向にあるという結果でございました。
ちなみに、この価格水準の推移は薬価を100とした場合の水準を示したものですが、数値は卸五社において取扱い全品目の加重平均を算出いただいたものを、経済課において単純平均したものです。なお、直近となります2020年度上期の数値につきましては、現在、薬価調査の結果を集計中であり、本データと数値の算出方法が異なるとはいえ、本日お示しすることによって何らかの誤解を与えかねないという懸念などを考慮いたしまして、本日は掲載を見合わせております。どうか御理解を賜りますようお願い申し上げます。
次に、4ページを御覧ください。こちらは、先ほど触れました仕切価・割戻しの点検・見直しの対応状況について、メーカー各社に確認を行ったものです。
まず、割戻しの運用基準についてでございます。割戻しを見直した結果、変更を行ったメーカーは2019年10月時点で96社中28社、2020年4月時点で運用基準を変更したメーカーは94社中46社ございました。
「変更あり」と回答いただいたメーカーの趣旨・理由につきましては、2019年10月時点では、Aの回答である「仕切価に反映可能な割戻しを縮小し、相当分を仕切価に反映」が多く、2020年4月時点ではEの「卸の流通経費を踏まえて割戻しの算定率を調整・変更」が最多でございました。
続きまして、5ページを御覧ください。こちらは仕切価の見直し・変更状況でございます。医薬品のカテゴリーごとに仕切価の見直し状況をお聞きしてまとめたものでございます。左側に2019年10月時点、右側に2020年4月時点の見直し状況をお示ししております。
それぞれ見直した結果の割合を円グラフで示し、右側に主な理由について記載しております。
新薬創出等加算品につきましては、2019年10月時点では引き上げが2品目、引き下げが23品目でございました。2020年4月時点では仕切価を引き上げたものが12品目、引き下げたものが13品目でございました。
特許品でございますが、2019年10月時点では引き上げが17品目、引き下げが25品目。2020年4月時点では引き上げ14品目、引き下げ10品目でございます。
続いて、6ページを御覧ください。長期収載品でございますが、2019年10月時点では引き上げが87品目、引き下げが219品目で、2020年4月時点では引き上げが124品目、引き下げが151品目でございます。
後発医薬品でございます。2019年10月時点では仕切価の引き上げが3,582品目、引き下げが1,532品目。2020年4月時点では引き上げが2,685品目、引き下げが1,264品目でございました。
続いて、7ページを御覧ください。その他後発品のない先発品でございますが、2019年10月時点で引き上げが73品目、引き下げが90品目。2020年4月時点では引き上げが275品目、引き下げが78品目でございました。
全体の傾向といたしましては、後発品は2019年10月時点で引き上げの品目の割合が多かったものの、半年後の2020年4月時点ではその割合は縮小しております。
一方、後発品以外のカテゴリーでは、2019年10月時点では引き上げの割合が少なかったものの、2020年4月時点は引き上げる見直しが増え、引き下げる見直しが減っております。
なお、この調査では、仕切価水準を薬価との比較で判断しております。つまり、仕切価をそのまま据え置いたとしても新薬価が引き下げられた場合、仕切価は引き上げになるという整理にしておりますので、引き上げになっているものについては、こういった事情のものも含まれているところでございます。
この後、日本製薬工業協会からの説明もございますので、それも踏まえまして川上取引における流通関係者の対応の評価及び今後の取組に向けての課題について御議論をいただければと思います。
 
○三村座長
ありがとうございました。
それでは、引き続きまして、日本製薬工業協会から資料2の説明をお願いいたします。
 
○土屋委員
日本製薬工業協会、流通適正化委員会の委員長を務めております土屋でございます。本日は、このような意見を申し述べる機会をいただきましたこと、改めて御礼を申し上げます。
お手元に資料を用意しておりますので、それを御覧いただきながら、私からメーカーの取組について御紹介いたします。
まず最初に、1番の流通改善ガイドライン、割戻しの整理の取組についてでございます。
平成30年10月3日に出されました割戻しの整理を受けまして、会員会社への周知徹底を図っているところでございます。それ以降、各社この割戻しの整理や流通改善ガイドラインの内容に則り、卸機能の適切な評価を行った上で、継続的に割戻しの運用基準の見直しを行っているところでございます。
そして、割戻しのうち仕切価を修正するような割戻しについては、仕切価への反映等を行っているところです。特に、2019年4月は薬価改定がなかったにもかかわらず、割戻し運用基準の変更や仕切価の見直しを実施した会員会社もございます。また、2019年10月、2020年4月にも同様に適切な割戻し・仕切価等の設定を行うなど、流通改善に向けた取組を継続的に行っているところでございます。
次に、私どもが特に重要と考えております2番、単品単価交渉、単品単価契約の更なる促進についてでございます。
流通改善ガイドラインに記載の単品単価契約の推進については、個々の医薬品の価値に見合った価格決定に必要不可欠であると私どもは考えております。また、薬価制度の観点から見ましても、個々の医薬品の価値に基づく単品単価交渉を経た、単品単価契約により価格が決定されていることが重要であると考えているところでございます。
私どもとしましても、これらのさらなる促進に資するべく、このコロナ禍においても卸様へ仕切価・割戻し、アローアンスを早期に提示するよう会員会社へ周知、各社対応して行っているところでございます。
次に、コロナ禍においても私どもの使命でございます「3.医薬品の安定供給」について取り組んでまいりました。具体的には、製薬協として日薬連のタスクフォースに参画し、安定供給に向けた活動を行っているところでございます。
また、令和2年2月4日に経済課より発出されました「新型コロナウイルスに関連した感染症発生に伴う医薬品原料等の確保について」の推進に向け、昨年7月に作成しました「医療用医薬品の安定供給に関する自己点検」を再徹底すべく、会員会社に周知しているところでございます。今後も引き続き、原薬の調達先の検討や変更並びに在庫の積み増し等のさらなるサプライチェーンの強化、私ども医薬品の安定供給確保についても取り組んでいく所存でございます。
最後に、4番目としまして、コロナ禍における流通改善についてでございます。コロナ禍におきましては、医薬品取引における交渉開始時期の遅れや交渉期間あるいは時間の不足から単品単価交渉が十分に行えていないのではないかと懸念しているところでございます。
また、価格妥結に至るプロセスが通常とは全く異なっている中で、流通改善に大きな支障を来しているのではないかと懸念しているところでございます。
私どもも一刻も早い新型コロナウイルスの終息を切に願っておりますが、しばらくの間この状態が続くのではないかと想定しております。このコロナ禍において私どもメーカーといたしましても、今後も全ての流通当事者の皆様と共通認識を持ち、流通改善に取り組んでいきたいと考えております。
以上で、私からのメーカーの取組の紹介を終了いたします。ありがとうございました。
 
○三村座長
ありがとうございました。
事務局と日本製薬工業協会からの資料の説明がございましたが、そのことを踏まえまして、まず、ここで川上取引の課題である一次売差マイナスの解消、適切な仕切価・割戻し等の設定について、資料1の7ページに2つの論点が提示されています。川上取引における流通関係者の対応(2019年10月及び2020年4月薬価改定時における仕切価変更等)をどう評価するか。また、論点の2つ目としまして、上期の状況を踏まえて、川上取引における流通関係者の今後の取組に向けての課題は何かということでございます。このことにつきまして、皆様から御意見あるいはその他について出していただければと思います。どうぞ御自由に御発言をお願いいたします。
それでは、長瀬委員どうぞ。
 
○長瀬委員
一応、ガイドラインが出て、一次売差マイナスの解消に向けて更なる前進を図ったのですけれども、今の事務局の説明では、いささか拡大したとのことです。この辺は具体的にはどのような取組が必要かということを両方から聞きたいのですが。
 
○三村座長
これについてはどうでしょうか。
 
○長瀬委員
私は単純に課題があると聞いているだけで、複雑な背後関係まで分かりませんので、お教え願えませんか。
 
○三村座長
では、経済課から。
 
○浅見首席流通指導官・流通指導室長
御質問ありがとうございます。
まず、一次売差マイナス解消あるいは縮小に向けては、単純に言えば、仕切価率を下げて納入価率が上がるとすれば差が縮まるわけですけれども、仕切価率を下げる前提として、例えば割戻しなどが縮小して、その分が仕切価に反映されれば、そちらはおのずと下がるということになるかと思っております。
 
○長瀬委員
理念はそういうことでしょう。ただ、ガイドラインが出て具体的な変化があったか教えてください。
 
○三村座長
まず、長坂委員から御意見をどうぞ。
 
○長坂委員
製薬協の長坂でございます。私は、このガイドラインの発出の当初からずっと流通適正化委員会委員長もさせていただいたので、その経緯もよく理解しております。今の御質問にありましたように、ガイドラインが出たときには割戻しというのが、これは各社がそれぞれ考えるところでございまして、いろいろな形で割戻しをつくっているところでございました。そういう中でガイドラインでは、仕切価に反映できるようなものは対応するというのが一つ方針としてありましたので、当局とも卸連さんとも相談しながら、割戻しの整理をさせていただいています。
整理というのは、割戻しはこういう考え方があるであろうというような、これは基本的には各メーカーが決めることではあるのですけれども、1つの基準を出しております。それを基に、実際に各社の検討と対応が始まったのは去年4月、薬価改定はなかったのですけれども、その中で割戻しの整理を受けた各社が考えるようになってきた中で動きが出てきたというところでございます。既に去年の4月以降、資料的には昨年10月、今年4月とございますけれども、合わせますと製薬協の中で、あるいは製薬協でなくても今回の当局の調査の中でも、割戻しの変更はかなり行われていまして、現実には仕切価にも反映されてきております。
ただ、この数値だけ見てしまいますと見えにくいところがございますけれども、2017年のときかなり開いていたところから見ますと、確実に進んできていると我々としては思っておりますし、割戻しの整理の考え方は引き続き関係各社も検討をさらにしていくと思ってございますので、そういう意味では、我々としては確実に進んできているのかなという認識でございます。
 
○長瀬委員
ありがとうございました。そうすると、これからガイドラインに従った形で漸次改善していくということなのでしょうか。承知しました。楽しみにしています。
 
○三村座長
その点はお約束いただけるということで、よろしくお願いいたします。
恐らくまだ仕切価の調整について、いろいろな要素が混在しているように感じますので、その点についてはもう少し整理が必要かなという感じはしております。例えば、市場の状況とか原材料調達などいろいろな状況を考慮してという話になっていますけれども、今、長瀬委員の御質問にもありましたように、ガイドラインにおいては卸機能のある意味での適正な評価を仕切価にきちんと反映させるという趣旨ですので、その点についての改善をぜひ進めていただければと思っております。
ほかに御意見ございますか。森委員どうぞ。
 
○森委員
ありがとうございます。日本薬剤師会の森です。
今、医薬品メーカーから話がありましたように、資料の5ページから仕切価の見直し、割戻し、アローアンスの見直しに関しては、積極的に取り組んだということだと思います。
その上で、3ページを見ていただきますと、各種水準の推移で、最初に事務局からも、本来でいえば一番上の仕切価の青の部分が下がって、一番下の割戻しの部分も下がるのが理想なのだけれどもという話でしたが、1つは、これまでもそのような方向を目指していましたが、どちらかというとワニの口のように口が開きぎみになってしまって、本来で言えばツルなのでしょうか、フラミンゴなのでしょうか、そういう口の状況が理想的だと思いますが、まだ2020年の結果が出ていないのでこのことは判断できないと思いますが、ただ、プロセスとすると、今回はメーカーとして積極的に取り組んだという理解でよろしいでしょうか。
 
○三村座長
では、土屋委員どうぞ。
 
○土屋委員
今、御指摘のありましたところについては、先ほど御説明させていただきましたとおり、割戻しの整理に基づきまして割戻しを、仕切価修正的なものについては仕切価を修正するなど、積極的に見直しをしている。継続的にこれからも行っていくということであると思います。
 
○三村座長
ありがとうございます。
宮川委員どうぞ。
 
○宮川委員
日本医師会の宮川です。
今、森委員が御指摘されたところですが、実際にいつになったらそのような目標が定まるのでしょうか。方向性としても出るのでしょうか。それはずっと言っていることだろうと思うのですけれども、ずっと見直し、見直しなのですが、実際には、いつごろになったらどういう見通しが出るのかという目標は何か定まっているのでしょうか。
 
○土屋委員
なかなか難しい御質問で、その目標がいつということについては、今この場でお話しすることはなかなか難しい状況でございます。少なくとも流通当事者の皆様方と、一つ一つ流通改善ガイドラインに基づきまして解決させていただくということで進めていけたらと思っていまして、この場でいつとお答えするのはなかなか難しい状況でございます。お答えになっていないかもしれませんが、すみません。
 
○宮川委員
ありがとうございました。そういう方向性だけではなくて、具体的な数値として、ファクトとして見なければやったことにならないというのが世の中の常識だと思うので、ぜひ数値として、ファクトとして出るというところまで速度を上げて整理していただくことが重要なのだろうと。でなければ、やっている意味がないでしょうし、このグラフがそのまま続いていっては、委員会がだらしないと言われてしまっても仕方ないと思うので、ぜひそのような形になればいいなと思うわけです。
 
○土屋委員
ありがとうございます。今、先生がファクトとおっしゃられましたけれども、その中では、今日データの中でしっかり示してはいないのですけれども、先ほど申し上げしたとおり2018年10月の割戻しの整理以降、薬価改定のない2019年4月の改定ですとか、その後消費増税に伴う改定の2019年10月、2020年4月通常改定でございますけれども、そのときにおいて、割戻しの整理に基づきまして、仕切価に修正ができるものについては反映するなど、随時仕切価の修正・見直しを行っているところでございます。その点については、メーカーも少しずつではありますが取り組んでいるところでございます。しかしながら、御指摘のとおりのところはありますので、流通当事者の皆様方といろいろと協議させていただきながら進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
 
○三村座長
よろしゅうございますか。ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。よろしゅうございますか。オンラインで御参加の委員の皆さん、よろしゅうございますか。
それでは、この議事につきましては議論をここで整理しておきたいと思います。これも事務局から提示されておりましたけれども、川上の流通当事者において平成30年10月の経済課事務連絡に即した仕切価・割戻しの点検、見直しについて、前回、流改懇で報告された2019年4月の取組以降も2019年10月より2020年4月、薬価改定のタイミングで一定の取組が進められていると一応評価しておきたいと思います。ただ、先ほども御指摘がありましたように、はっきりと目に見える形で、よりそれをきちんと推進していただきたいという御意見があったことをきちんと注記しておきたいと思います。
引き続き、この取組が進められますように、また、実際として一次売差マイナス縮小につながるように見直しを進めていただければと思っております。
ただ、今回、川上取引では、コロナ禍の影響はさほど大きくなかったと伺っておりますけれども、まだまだこれから何が起こるか分からないという状況でございます。もし、コロナが長引いた場合に何か様々な影響が現れることがございましたら、この流改懇でも議論したいと考えております。
以上でよろしゅうございますか。小山委員どうぞ。
 
○小山委員
ということは、よくなったとこの会は評価するということなのですか。
 
○三村座長
努力を認めたいと、言い方として難しいですけれども、おっしゃるとおりです。ですから、徐々にという言い方で。ただ、後戻りはさせていないということ。それから、先ほどの業界の中でも、しっかりその点について合意は少しずつとっていただいているということですので、その点について一応評価したいという言い方になります。
 
○小山委員
2015年からずっと続いていて、全く横ばいですよね。さんざん議論して、この結果ですよね。ひがみを言うわけではないですけれども、川下は結構いろいろなペナルティーまでつけられていろいろやって、単品単価をどんどん増やしてということをやっているにもかかわらず、上が全然改善されていないのに、しろと言われるのは問題なので、これをよくやったと言っていいのかどうかというのは、私はとても疑問に思います。
 
○三村座長
よくやったという言葉は入れておりません。ただ、努力は続けていただきたいということ。こういう場で常に議論していただくことによって、後戻りはしていただきたくないという皆様からの決意表明であり、要請であろうと思います。
宮川委員どうぞ。
 
○宮川委員
今、小山委員のおっしゃるとおりで、横ばいとか逆にちょっと増えているような、ワニの口が開きそうな感じがあると思います。努力は分かるのですけれども、それではだめです。改善の方向性は示しているわけですから、先ほど言ったように、ファクトとして結果がなければ評価してはいけないのだと思います。「評価」という言葉はこのような状態では使うべきではないと考えます。というのは、しっかりとした文言で残されなければ、この流改懇の意味がないのではないかと思うので、評価はできないというのが本当ではなかろうかと思うのですが、よろしいでしょうか。私が代弁しているようで申し訳ないのですが。
 
○小山委員
ありがとうございます。大変すばらしい代弁であります。
 
○三村座長
お二人の委員から大変貴重な御指摘をいただきまして、「評価」という言葉は今回は外すということにさせていただきます。ただ、事実として取組は続けていただいているということについては、ここは確認したということにさせていただきます。そのような文言に今回はしておきたいと思います。よろしゅうございますか。ありがとうございました。
次に、資料1の続きで、バーコード表示の推進について見ていきたいと思います。では、事務局から御説明をお願いいたします。
 
○山田流通指導官
バーコード表示の推進について御説明させていただきます。
まず8ページを御覧ください。平成18年から進めてきましたコード表示につきましては、平成28年の行政通知によりまして全製品の販売包装単位及び元梱包装単位でのバーコードの表示を2021年4月出荷分から必須化としております。その進捗状況につきましては、毎年9月末時点の状況を把握しまして、本懇談会でも報告させていただいております。
まず、表示の進捗について、2019年9月末時点の状況を速報値としてまとめましたので、9~11ページのとおり御報告いたします。
9ページを御覧ください。まず、調剤包装単位での表示の状況です。色がついていないところでございますけれども、表示必須としているものにつきましては、既に100%表示となっております。
10ページを御覧ください。販売包装単位、元梱包装単位での表示の状況になります。特定生物由来製品、生物由来製品につきましては、全ての項目につきまして100%表示となっておりまして、2021年4月出荷分から必須化とすることとしております、内用薬等への表示につきましては、色のついているところでございますけれども、前回調査の2018年9月末時点の数値よりも、それぞれ表示割合が増加しております。
11ページを御覧ください。各メーカーにおける表示対応の完了見込み時期につきましてまとめたものでございます。2019年9月末時点でございますが、全製品につき表示対応を完了しているメーカーが、販売包装単位で全215社中44社、元梱包装単位で全201社中91社ある中で、2020年度末までに対応完了見込みと回答のあったメーカーも相当数あったところでございます。
時期未定のメーカーが数社ありますけれども、注2を御覧いただきますとおり、他社への製造委託品につきまして、委託先と対応調整中等の理由で、現時点では完了時期を特定しかねるという回答でございました。
なお、販売包装単位、元梱包装単位で対象メーカーが計215社、201社と差がございますけれども、これは注3のとおり、元梱包装単位で出荷する製品の取扱いがないメーカーが、この差分14社あることによるものであることを補足させていただきます。
12ページを御覧ください。前回の流改懇でバーコード表示の法制化に向けて、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)の改正法案が国会に提出されたことを御報告したところでございますが、改正薬機法は昨年11月に成立いたしまして、一部は本年9月から施行されております。ただし、「改正の概要」1の(5)「適正使用の最新情報を医療現場に速やかに提供するため、添付文書の電子的な方法による提供の原則化」につきましては、令和3年8月施行、(6)「トレーサビリティー向上のため、医薬品等の包装等へのバーコード等の表示の義務付け」につきましては、令和4年12月施行となっております。
13ページ、14ページにつきましては、概要について参考にお載せしております。
事務局からの説明は以上でございます。
 
○三村座長
ありがとうございました。
それでは、ただいまバーコード表示に関して事務局から説明がございましたが、それについての御意見・御質問等がございましたら、お願いいたします。
小山委員どうぞ。
 
○小山委員
毎年お願いしているのですけれども、バーコードは当然だと思うのですけれども、そろそろいろいろな流通を考えたときに、ICタグを考えていって、3年間言い続けているのですが一言も出てきていないんですよね。そろそろICタグの導入も考えたほうがいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
 
○三村座長
経済課からありますか。
 
○林経済課長
法令上ICタグというところまでは難しいと思いますが、多分RFIDといったことも含めてだと思いますが、医療機器の分野では、医療機関に納品されたものが、全て使われずに一部使われて戻る、メーカーと流通事業者と医療機関との間で物のやりとりがかなりあるという実態があるなかで、RFIDを活用したスマート物流の実証事業が始まっているという話も先日お聞きしまして、16日に開催しました医薬品・医療機器の官民対話の場でも発表がされております。そういった取組も進んでいる分野もございますが、一方で、医療用医薬品について、これを導入した場合にどういったメリットが考えられるのかといったこと、メーカーの立場、流通の立場、医療機関等の立場それぞれあるかと思いますので、少しそれぞれの観点から見た場合の活用方法を整理させていただいて、具体的にどういったメリットが考えられるのか、医療機器のように実証して試してみるかどうかということも、我々のほうでも少し整理して検討したいと考えています。
もし、具体的にこういった活用方法があるのではないかということがあれば、今日のこの場でなくてもいいと思いますが、具体的に御意見等をいただきながら検討できれば良いのではないかと考えてございます。
 
○小山委員
ありがとうございます。医療機器は現場では使い出しているんですよね。ところが、ICタグ読み取りの方式が何種類かあって、どれにするかをある程度決めないと、会社ごとに全部違うのでは何の役にも立ちませんので、早目にこういう方向でいくぞということを示していただいたほうが、現場は混乱しなくて済むし、院内でもそれに則ったやり方をしていきたいと思いますので、ぜひ方向性を示していただければと思います。よろしくお願いします。
 
○三村座長
貴重な御意見ありがとうございました。今回は、まだバーコード表示がどの程度すすんでいるかを逐次押さえているだけなのですけれども、おっしゃるとおりシステム全体が変わっていく可能性がありますので、それを踏まえた上での検討が必要だと思います。
平川委員どうぞ。
 
○平川委員
全国自治体病院協議会の平川でございます。
今、ICタグの話がありましたけれども、病院としては数十万という高価薬が出ていまして、高価薬の場合は冷所保存になって返品が利かないということがあって、非常に在庫管理に苦慮しているということがあります。例えば、20万円以上の高価薬にはICタグをつけて、きちんと冷蔵庫の適正温度の管理までしていけば、病院と卸さんと一緒になって在庫管理ができるということで、地域で在庫管理ができるという意味で非常に有用だと思いますので、ぜひ推進していただきたいと思います。
 
○三村座長
ありがとうございました。
そのほかございますか。森委員どうぞ。
 
○森委員
ありがとうございます。そういう意味では薬局も同じで、高価な薬が随分出て非常に気も遣いますし、品質管理にも気を遣っていますが、返品ができないという問題があります。流通全体として高価な薬の扱いをどうしていくのか考えていかないと、今後も高額な薬が増えてきて、必要なものは備蓄しますが、それが無駄になるというのは最終的には医療保険財政の負担になることなので、流通全体で考えていくべきではないかと思います。
以上です。
 
○三村座長
卸さんから何か御意見ございませんか。
 
○長谷川委員
バーコードの問題は随分時間がかかってきた問題で、グローバルでどうかという議論もあったと思います。おっしゃるとおり、これから非常に取扱いが難しいコールドチェーンが必要な医薬品が増えてまいりますし、高価なものも増えてまいりますので、私どもとしては進めるべきだと考えております。このような対応を進めるに当たっては、それぞれのメーカーさんに御努力いただいて、一緒になって話をしながら進めていければと考えております。ただし、メーカーさんはコストの問題もありますので、それも配慮しながらということが必要ではないかと思っております。
 
○三村座長
製薬工業協会から意見はございますか。
 
○土屋委員
今、御要望いただいたところですけれども、今バーコードのことで、どうしても2021年3月というところで足元に集中しているところがございますが、先ほど経済課長からもお話がございましたとおり、方向性も含めて経済課と相談しながら、次のトレーサビリティーをどう考えるかというところは、新しい技術も含めまして検討させていただければと思います。しかし、今の時点では繰り返しになりますけれども、バーコードのところで2021年3月までにしっかり業界としてはやり遂げたいと思っておりますので、御理解いただければと思っております。
以上でございます。
 
○三村座長
宮川委員、どうぞ。
 
○宮川委員
すごく皆さん努力されているのは分かるので、ぜひ進めていただきたいと思います。その際に、必ず規格を全てそろえていただきたい。国としてどのような規格で、どのようにしていくのか、全てが正確にトレーサビリティーでしっかりと追える、安全性が、担保できるというところを目指さなければいけません。規格をしっかり決めていただいて、物事を進めていただければと思います。以上です。
 
○三村座長
ありがとうございます。そのほかよろしゅうございますか。
バーコードにつきまして、バーコードというか既にそろそろ次のシステムへと移行する時期にも入っていると思いますので、今のような皆様方から重要な御指摘をいただきましたので、そのことを踏まえて、ぜひ経済課にも検討をお願いしたいと思います。
それでは、次の論点に移りたいと思います。
次に、卸売業者、医療機関・薬局の取引に関する課題と進捗状況について、再度事務局から御説明をお願いいたします。
 
○浅見首席流通指導官・流通指導室長
資料1の15ページを御覧ください。
川下取引の課題として、単品単価契約の推進については流通改善ガイドラインにおいて、少なくとも前年度より単品単価契約の割合を高めること、価格交渉の段階から個々の医薬品の価値を踏まえた交渉を進めること、年間契約等のより長期の契約を基本とすること、個々の医薬品の価値を無視した値引き交渉、流通コストを全く考慮しない値引き交渉を慎むこととしております。
妥結の状況ですが、2014年に未妥結減算制度が導入されて以降、9月時の妥結率は9割を超える水準が維持されております。
2019年度は10月に消費税増税に伴う薬価改定が控えていた関係もあり、ほぼ100%に近い99.6%となっておりますが、直近の2020年9月についても95%と2年前の91.7%を超える水準にございました。
16ページを御覧ください。平成28年4月の薬価改定、平成30年4月の薬価改定後のそれぞれ2年間の妥結率の推移でございます。
薬価改定が4月にあった半年後の9月には90%を超えており、未妥結状態が半年を超えることはほぼなくなったと考えられます。なお、この調査は四半期ごとに行っておりますが、令和2年6月についてはコロナ禍の状況を考慮し調査はいたしておりませんので、令和2年9月については点のみで示しております。御注意いただければと思います。
17ページは、それを機関ごとに分析したものでございます。こちらは先ほどの橙色の線である平成30年度薬価改定以降の2年間を、医療機関や薬局の区分別に分析したものです。
実線でお示ししている200床以上の病院及び薬局は、未妥結減算制度の対象施設ですが、これらは全て9月時点の妥結率が高いことが確認できます。
一方、点線でお示ししている未妥結減算制度の対象外である200床未満の病院・診療所については、改定後の9月時点でも6~8割辺りとなっております。
続きまして、単品単価契約の状況について御説明します。18ページを御覧ください。
単品単価取引の割合については、近年200床以上の病院が80%、20店舗以上の薬局が90%台後半で推移しており、直近の2020年度上期においては、それぞれ83.3%、95.2%でございました。
19ページを御覧ください。2015年度以降の単品単価取引の割合の推移でございます。
2018年度において、流通改善ガイドラインを適用し、また、未妥結減算制度にガイドラインの趣旨を取り入れて以降、単品単価取引の割合が大幅に上昇し、その水準で推移していることが確認できると思います。
続いて、20ページを御覧ください。こちらは頻繁な価格交渉の改善ということでございますが、16ページで御紹介した妥結率の2年間の表を2つつけて、平成28年度から令和元年度までの4年分を一覧にしたものでございます。
薬価改定の直後以外の月でも、妥結率が下がっていることが確認できるかと思います。ガイドラインでは年間契約等のより長期の契約を基本とすることが望ましいとされておりますが、ガイドラインが適用された平成30年度以降においても、かなりの割合で半年など1年に満たない期間での契約が行われていることが確認できるかと思います。
21ページを御覧ください。こちらは、昨年の流改懇以降、過大な値引き交渉に関する事務連絡を発出しておりますので、改めて御紹介をさせていただければと思います。
年度下期の交渉における過大な値引き交渉とはどのようなものが考えられるかという質問に対する例示といたしまして、目標とする年間の総値引率に達するよう、下期の値引き水準を設定して交渉を行うこと、取引品目の構成比等が上期と異なるにもかかわらず、上期の総値引率と同一の値引き水準となるよう交渉を行うことに終始し、個々の取引品目の価値や流通コストを全く考慮しないケースを挙げております。
また、上期に単品単価契約を締結した後、下期に総価契約を結ぶことについても、未妥結減算制度の趣旨に反しているとしております。
以上、川下取引における課題を中心に、状況を御説明いたしました。
この後、日本医薬品卸売業連合会からの説明もございますので、その後、川下取引における今後の取組の課題等について御議論いただければと思います。
 
○三村座長
ありがとうございました。
それでは、日本医薬品卸売業連合会から資料3の説明をお願いいたします。
 
○折本委員
日本医薬品卸売業連合会の折本でございます。
御報告の前に、先ほど医政局長より御指摘がございました、令和2年10月13日に独立行政法人地域医療機能推進機構における医薬品納入に係る入札に関しまして、独占禁止法違反の疑いがあるとして、東京地方検察庁特別捜査部及び公正取引委員会から医薬品卸が捜索を受けました。当連合会といたしまして、関係者の皆様の不信を招いたこと、また、国民の皆様に疑念を生じさせ、多大な御迷惑や御心配をおかけしておりますこと、この場を借りて誠に申し訳なく存じております。
当連合会といたしまして、会議の運営については、コンプライアンス強化するなどの取組を進めてまいりましたが、今回の事態をさらに重く受け止めまして、コンプライアンスのさらなる徹底に努めております。また、会員及び会員構成企業に対しても、コンプライアンスのさらなる徹底を求めているところでございます。どうぞよろしくお願いします。
それでは、着座にて御報告させていただきます。
まず、コロナ禍における本年度上期における価格交渉等の状況でございます。1ページをお開きください。
価格交渉の状況、まず総論・結論といたしまして、新型コロナウイルス感染症の影響により、例年とは全く異なる価格交渉等の状況となってしまった。右下にございます医療用医薬品の流通における新型コロナウイルス感染症の影響についてのアンケート調査、上期4~9月を対象といたしまして、調査時期の令和2年10月9日から14日までの提出でアンケート集計をさせていただきました。医薬品を扱う卸47社のうち回答社数43社でございました。
価格交渉の時期といたしまして、左のグラフを御覧ください。この表は、見積書提示前のすり合わせ開始時期については、遅かったか、変わらないか、早いかという意識調査でございます。基本的には通常と変わらないということを原点にしまして、今回の感染症下においてどうだったかという設問でございます。結果、病院に対しては63%とか、調剤チェーン、その他保険薬局に関しても、大変遅かったが5割を超えたという結果でございました。
同様に、見積書の提示時期、本流改懇でも見積もりの提示時期が問題になっておりましたが、今回また別の意味でコロナ禍においては、残念ながら病院、チェーン調剤、その他保険薬局においても遅かったという状態になってしまいました。
妥結時期に関しましては、病院、診療所、調剤チェーン、その他保険薬局においても、例年とは違った形になって、先ほど申し上げたとおり、この3つのことについては前年同時期と比較して、本年度上期は残念ながら遅い状況となってしまったということでした。
2ページ、価格交渉の期間や回数についてでございます。
左の円グラフを御覧ください。本年度上期の価格交渉の期間、いわゆる条件面のすり合わせ、また妥結までの間で、前年度同様の期間を確保できたどうかということについて、下の棒グラフは、3分の1から3分の2というカテゴリーにわけて設問いたしました結果、結論としては「いいえ」という形が6割だったということでございました。
また、右でございますが、本年度上期の価格交渉の回数は前年度同様の回数を確保できたかについては、58%が「いいえ」という回答でございましたことから、前年度同様の価格交渉の期間や回数を確保できていない状況と確認できました。
3ページでございますが、価格交渉における特殊事情です。
本年度上期において、価格交渉において取引先(医療機関・薬局)の新型コロナウイルス感染症の影響、経営状況などと書いてございますが、もちろん、外来、手術の抑制といった大変厳しい環境でいらっしゃる中で、また、感染対策ということで訪問規制の問題も含めて、それぞれの卸がランダムに回答したという形で、「かなり配慮した」から「ある程度配慮した」となってございます。やはり医療機関の経営状況というくくりに関しては、ちょっと抽象的な表現になったかもしれませんが、配慮したという状況にあったところでございました。
最後、4番でございますが、業務・物流体制の状況です。
我々としては生命線の仕事でございますが、左の円グラフ、新型コロナウイルス感染症の影響で、変更した業務体制を継続しているということ。下の棒グラフでございますが、取引先に対し説明をし、配送回数を減らしたが6割を超えた。また、通常営業しているMSにも配送業務を担当させたということが7割を超えたという状況でした。当然、卸も時間短縮をいたしましたので、MSの勤務日数を少なくしたという前半がございましたので、これが4割というところでございました。
また、右の円グラフ、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、物流に関して継続している業務がある。主に下の棒グラフでございますが、納品時、ゾーニング及び訪問規制という中で、お取引先の施設内駐車場などでの受け渡しですとか、一定の離れた場所での受け渡しといったところが大変大きく割合を占めました。また、納品時に使用させていただいた配送車、オリコン資材の消毒といったものも大変高率な回答であったというところから、結論的には、これらの設問は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、変更した業務・物流体制を現在でも継続しており、例年とは異なる特別な対応が必要な状況と今もなっていると。
このような状況において、コロナ発生時のコロナ商材の、適正な供給の為に苦労いたしましたが、まず第一義であるのは、医薬品の安定供給を最優先に今も取り組んでいることは御理解いただければと思います。
これら4つの設問から、先ほど申し上げた結論、例年とは違う状況に今はあるということから、価格交渉は大変厳しい状況であったと上期は言わざるを得ないというところでございました。
以上がアンケートでございます。
5ページに関しましては、御参考までというところでございますが、株式上場大手卸6社の経営状況です。
今回の薬価改定による薬価の引き下げや、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う受診抑制と手術件数の減少による医薬品の需要の落ち込みによりまして、医薬品の売上高及び営業利益が大幅に減少しました。株式上場大手卸6社の経営環境は、集計しますと大変厳しい結果となりました。データは集計しておりませんが、地方の中小の卸についても同様と存じております。
左下でございますが、大手6社の中間決算、そして医療機関様、保険薬局様に対しても大変厳しい状況であることは十分理解しております。医薬品卸の売上高に関しては、結果マイナス5.6%の前年同期であった。また、営業利益については大変厳しい結果で、合計して103億円、マイナス81.4%という形で、右の棒グラフ、過去の平成28年から令和2年までの中間期のみの決算だけをとらまえると、今回0.3%ということでございましたので、我々の考え方で1%を切るということは、投資ができない状況になるということと、過去の歴史を振り返りますと、20年と22年に似たような数字がありましたが、大変危機的な状況を経験いたしました。やはりこういう状況に陥ってしまったというのが現状であるということを御報告させていただきます。
最後、流通改善ガイドラインの遵守状況について御報告いたします。
まず、先ほどのアンケートの中で、新型コロナウイルス感染症下における流通ガイドラインの遵守状況という中で、設問は「新型コロナウイルス感染症への対応で、医薬品の配送業務を優先せざるを得ず、遵守できなかった」率が46%。「取引先から訪問自粛要請により営業活動ができず、できなかった」が57%。「未妥結減算制度により、短い期間での価格交渉を強いられ流通改善どころではなかった」率が50%でございました。
したがいまして、残念ながら、医薬品の安定供給に支障が生ずることがないよう、配送業務を優先した取組を行うなど、流通改善に積極的に取り組める状況ではなかったという結論でございます。
下は、我々の考え方を改めてということでございまして、新型コロナウイルス感染症下においても、医薬品卸は改めて単品単価契約、また期間を明示した覚書締結の促進など、早期妥結、一次売差マイナスの是正等の推進に向けた取組に努めてまいる所存でございます。
この中で、先ほどの覚書締結も今、卸連合会として独禁法の調査段階でございますので、集計することすら今はできておりません。そんな環境でございますので、ぜひ御理解いただきながら、我々も一生懸命努めさせていただきますので、流通当事者の皆様の御理解と御協力をぜひお願いしたい。ここに「遵守されるよう徹底していただきたい」という少し厳しめな表現にしておりますが、我々の自戒も含めた考え方でございますので、誤解のないようによろしくお願いいたします。
御報告は以上でございます。
 
○三村座長
ありがとうございました。
それでは、これから質疑に入りたいと思います。今までの説明を踏まえまして、川下取引に関しまして、早期妥結、単品単価契約の推進、頻繁な価格交渉の改善、過大な値引き交渉の是正ということがガイドライン上求められているわけですけれども、資料1の21ページに論点が整理されてございます。まず、川下取引における流通関係者の対応・取組をどう評価するか。上期の状況を踏まえて、川下取引における流通関係者の今後の取組の推進に向けての課題は何かということでございます。
それでは、皆様から御意見・御質問等をお願いいたします。
長坂委員どうぞ。
 
○長坂委員
製薬協の長坂でございます。
先ほど卸連の皆様から発表のありました資料につきまして、少しコメントさせていただきたいと思います。コロナ禍の状況の中で大変御苦労されながら価格交渉いただいている、これは医療関係者の皆様に対してもそうでございますけれども、非常に感謝したいと思っております。非常に頑張っていただいたと思ってございます。
ただ、アンケートの中にもございましたが、今回コロナ禍で価格提示あるいは交渉回数等もこれまでと比べるとかなり遅くなり、頻度も少なかったと御報告がありました。これまでも流改懇の中で、いわゆるガイドラインの柱でもございますが、価格交渉の段階から個々の医薬品の価値を踏まえた交渉を進めること、これは単品単価の交渉、1品ごとの交渉妥結という意味合いであろうと思ってございますが、これまでもそうですが、6か月間の中でそこに至る、全ての品目を交渉妥結するのは難しいというのは我々も認識しておりますけれども、それをなるべく多くやっていただけたらということで流改懇でもお話しさせていただいて、その点かなり進んできたのかと感じてはいます。ただ、まだ課題がありますということで、この会でまとめていただいたと思っています。
そういうことからしますと、今回はコロナ禍であり、単品単価交渉がかなり厳しい状況になってしまったのではないかというのは非常に懸念してございます。この辺はガイドラインの中では、我々としても非常に大きな柱だと思っておりますので、卸連さんからもございましたが、もう一度取組をしていただけたらと思ってございます。
以上でございます。
 
○三村座長
ありがとうございます。今のは御要望ですから、よろしいですね。
それでは、ほかに御意見いかがでしょうか。小山委員。
 
○小山委員
今お話しいただきました資料3の6ページに、流通改善ガイドラインが遵守されるよう徹底していただきたいという御要望が出ておりますけれども、流通改善ガイドラインは幾つかあるのですけれども、一番何が問題かというのは何か答えが出ていますでしょうか。
 
○三村座長
特にこれを重点化したいということですね。どうぞ。
 
○折本委員
単品単価契約ということが、まず薬価調査の透明性ということであります。本会のもともとの未妥結仮納入という状況が是正されてきたということは、ありがたいことだなと私個人的にも感じております。
その中で、早期妥結、単品単価契約は一対だと思っておりますが、先ほど御報告がありました、総価といったものもなくなっておりますけれども、先ほど事務局から御説明がありましたとおりに、期間明示、基本的には1年間の契約締結といったものが整備されて単品単価の明確な形になっていくのかなと思っております。それが優先なのかなと思っておりますが、もちろん先ほどの一次売差マイナスという問題は非常に深い問題でございますのでこの点と、先ごろ高薬価品という御意見も多数出ておりましたが、最近、新薬創出等加算でもスペシャリティーファーマですとか、大変高額なものと後発品の乖離が激しくなっているということも、我々、悩みとして思ったところでございます。こういったものでの一次売差マイナスの是正も真剣に考えていかないといけないのかなと思っております。
お答えにならないかもしれませんが。
 
○三村座長
ガイドラインの原則は基本的に守っていただきたいということと、恐らく今の折本委員の御意見からしますと、医薬品の分野あるいは特性の変化のあたりも少し踏まえながら整理していく必要があるという御意見なのではないかと思いますが、いずれにしても、基本原則だけはぜひ守っていただきたいということだろうと思います。よろしゅうございますか。
それでは、ほかの委員いかがでしょう。岩下委員どうぞ。
 
○岩下委員
製薬協の岩下でございます。
若干繰り返しになるかもしれませんが、確認させていただければと思うのですけれども、今回は長坂委員からもありましたとおり、医療機関の先生方皆さん方に対しましては、新型コロナ対応について非常に御苦労があった、今でも続いていると思っておりますし、先ほどの卸連様の話から理解しますと、その部分にかなり配慮をされたと私は理解いたしました。卸連様御自身もその対応で大変であった中、さらに御配慮されているのではないかと理解をしました。
その前に事務局から御紹介のあった数字等では、その数字の示すとおりなのだろうと思うのですが、その数字だけでは理解できないような内容が、この配慮にかなり含まれていたと理解してよろしいのかどうかを確認させていただければと思います。できれば卸連様に確認させていただきたいなと思ったのですけれども、数字が全部かみ合っているわけではないかもしれませんが。
 
○三村座長
恐らく、これだけ単品単価や先ほどの妥結率についての数字をかなりそろえられてきたということは、その背景には、取引の現場で相当な努力をされたのではないかということ、さらに先がまだ見えていない状態です。ただ、折本委員からいろいろな形で営業の大変さということは御説明いただいておりますので、そのあたりもう少し御説明があればという感じでよろしいでしょうか。
 
○折本委員
ちょっと理解不足で失礼しました。考え方としては、特に9月の未妥結減算月に、どうしてもお得意様に妥結をしていただかないと御迷惑をかけるというのが大前提でありましたということが、まず一番大きな点だと思います。
また、先ほど申し上げたような高薬価品については、交渉が伸びてしまうものもあるのが現実でございますけれども、それをそれとして、まず早期妥結と9月の妥結が一番今回の目玉だったと。コロナ禍における価格交渉、回数については、本当に厳しいものがあったということは事実でございますので、その点の御報告をしたことと、十分な単品単価になし得たのかなというのは、まだはっきりした数字としてはとらまえられていないということで感じております。よろしいでしょうか。
 
○三村座長
森委員どうぞ。
 
○森委員
卸に質問で、資料3の1ページに見積もりのすり合わせの開始時期、見積書提示時期、妥結時期というのがそれぞれ出ていますが、これを見ていて「あれ?」と思ったのですけれども、ほぼすり合わせの開始時期、見積書の提示時期も同じような結果なのですけれども、最後の妥結時期だけその他の薬局が遅くなっています。今までの感覚だと、その他の薬局の方が妥結時期が早かったと思います。前年と比べてという話があったのですが、そういうことなのか、それともさまざまな要因があって、なかなか提示もできなかった、交渉もできなかった中で遅れてしまったのか、そこを1点教えていただきたいのと、この後にコメントが1点あります。
 
○三村座長
それでは、御質問に対してお答えをお願いします。
 
○折本委員
ありがとうございます。お答えいたします。
これについては、統計的にコメントはないアンケートでございましたので、私どもと事務局の考え方といたしましては、先ほどの森委員の御指摘のとおりに、その他保険薬局様においては早い妥結だったと、通常の年度においては思っております。したがって、それがあったがために今回のコロナにおいては、どうしてもディレートしたと言わざるを得ないのかなと感じております。
調剤チェーン様については、本部一括で9月妥結月に交渉という前提は、そう大きくは変わっていなかったのかなという感覚でございますが、いずれにしろ9月までの妥結ということでは、その他保険薬局様においてもなし得たのかなというのが先ほどの妥結率で出ていたと思いますが、よろしゅうございますか。
 
○森委員
そうすると、交渉の開始も遅れたこと等もあって遅くなってしまったという理解でよろしいですか。
 
○折本委員
はい。残念ながら少し丁寧な価格交渉はでき得なかったのかなというのは、先ほどと同意見だと思っております。
 
○森委員
ありがとうございます。
その上で川下としてのコメントですけれども、事務局の資料1の15ページに妥結率95%というのが出ています。2年前と比べると妥結率は確かに伸びてはいます。
それから、18ページで、200床以上の病院と20店舗以上の薬局に関しての単品単価取引で、200床以上の病院に関しては80%から83.3%に上がって、20店舗以上の薬局に関しては96.9%から95.2%まで少し下がっています。通常で言えば、宮川先生からお話があったように、最終的な結果でいろいろなことを判断するのだと思いますけれども、今、卸、メーカーからもありましたが、この何か月ずっと医薬品メーカー、医薬品卸、医療機関、薬局も、いわゆる川上から川下まで、いずれも新型コロナウイルス感染症に総力戦で対応してきたのではないかと思います。従来は、薬価改定後からスタートした医薬品卸との価格交渉もほとんど行えなかったですし、流通形態も平時とは大きく様相が異なっていたと思います。そのことは今日の卸の資料の中で、価格のスタート時期や見積もりの提示時期、妥結時期で、2ページにありますが、前年と比べて全く異なる価格交渉だったというのが見てとれるのではないかと思います。
薬局の現場も、先ほど医療機関が、医療機関の駐車場で医薬品の受け渡しをしていたという話がありましたけれども、通常、薬局の中で、納品される医薬品を一品一品卸と一緒に検品をするのですが、今は全部薬局で預かって、後から単独で検品しているような状況です。メーカーから、必要最低限の医療安全情報の提供は受けていましたけれども、営業活動は、とてもできるような状況ではなかったと思います。
そうした川上から川下までの流通関係者がコロナへの対応を最優先としたため、今回結果は出ましたけれども、その結果がどうであったか判断するのは難しいと思います。
以上です。
 
○三村座長
ありがとうございます。
それでは、原委員どうぞ。
 
○原(靖)委員
日本保険薬局協会の原でございます。
今、幾つか出たお話の中で、9月も第2波が来たのでなかなか忙しい状況だったと。そもそもその前に3月の状況もございまして、今回は特殊な例が幾つも重なっていると思っているのですけれども、普通ですと2年間かけていろいろなものが醸成されて、次の年の2年間につながっていくと。ところが、1年半たって10月にちょうど消費税に伴う薬価改定があったと。消費税の分だけ上がればよかったのですけれども、薬価改定の分がありましたので、もう一度一から半年間で2年分くらいの気持ちでやらなければいけないときが来ていたという中で、卸さんを責めるわけではないのですが、ちょっと卸さんでいろいろありまして、その辺で交渉が遅れた中で、いきなり年明けにコロナがやってきたと。何が起きるかというと、我々、病院さんも診療所さんもみんなそうでしょうけれども、まず患者さんの対応をする、次に従業員を守らなければいけない、家族を守らなければいけない。その中で、いろいろなものを用意しなければならない。この中で運悪く転売ヤーとか想像もしなかったことが起きて、トイレットペーパーもない、いろいろなものがないという中で、とりあえず日々を過ごす中で3月末が来てしまったと。そこの交渉が本当にきちんとできたのだろうかと。前年の交渉を見ながら価値を決めたものが次につながっていく交渉が、3月で一体どうだったのだろうかということが一つ挙げられると思います。
3月末は、4月に緊急事態宣言が出て動けなくなるという目の前のところでしたし、そこがはっきりしなかったのではないかと私は感じております。その先にまた、8月、9月で第2波が来てがちゃがちゃしたのも事実ですので、今、森委員からもあったように、妥結した数字は上がっていると。単品単価率も我々、20店舗以上のところは下がっているので申し訳ないのですけれども、少しの下がりで済んでいるのですが下がっていると。結果的に、卸さんの流通ガイドラインの遵守状況のアンケートを見ると、ちょっと遵守できていなかった部分があるという指摘があるということは、何らか最後まで詰め切れなかったものが、ここに散見されるのではないかと思っていますので、このアンケートも細かくとっていないと思いますので、川下ワーキングのときに何がいけなかったのかを卸さんと相談しながらやっていきたいと思っています。
なお、覚書の締結のところも、先ほど折本委員からお話がありましたけれども、これも特殊なところで、普通4月に1年分の契約を結ぼうと今どんどん流れが変わっている中で、10月に薬価改定があったので1年分ちょっとおかしいよねということで、半年分で組んでみたと。ところが、下期を半年分組もうと思ったら、これまたコロナの影響でとてもそれどころではないということで、もしかしたら3月末は下がっているのかもしれない。これもいつもワーキングで、卸さんと客体を決めてアンケートを取ってきたのですけれども、今回は取れていませんのでお出しできない状況ですが、そういうこともあったのではないかということは考えられると思っております。
以上でございます。
 
○三村座長
ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。リモートで御参加の委員の皆さん、よろしゅうございますか。
それでは、林経済課長。
 
○林経済課長
私から卸の資料について確認をしたいのですが、資料3の3ページの医療機関等の経営状況などの配慮の意味です。この「配慮」というのは、先ほどの御説明の中でもいろいろな言葉の内容が含まれている、アンケート上はこの言葉で聞いたということだと思いますが、今のやりとりをお聞きしていると、未妥結減算制度というのがある中で妥結をかなり優先したということ、高薬価品の交渉も含めて妥結を優先したということが主な配慮の内容だったのかなと感じ取りましたけれども、そう理解していいのか、もう少し他にもいろいろな問題があるのか、ここは私のほうでもいろいろ聞かれそうなので、コメントいただければというのが1点です。
もう一点、最後のページの流通改善に積極的に取り組めなかったということで、遵守があまりできなかったというお答えがあります。流通改善ガイドラインもここに書いてございますように、単品単価、早期妥結、一次売差マイナス、いろいろな内容がございますけれども、これは特にどの点がということなのか、特にどの点というのはこの結果ではあまり確認できていないのかを併せて教えていただければと思います。
 
○折本委員
分かる範囲でということでお許しいただくのですが、本アンケートについては、通常ですと細かなコメントを各社から頂くのですが、今回はそれを集計できない状況、ちょうど調査期間中、まさに10月9日から14日の間に調査が入ったということで、ほぼ凍結してしまったということがございました。この点、まずおわび申し上げたいということと、今の経済課長の御質問から推測するに、この段階で我々は、まず第一に、もちろん未妥結減算は通年どおり対象お得意様も御理解いただいているので、お互い交渉回数あるいは交渉内容については希薄だったかと思いますが、妥結に向かざるを得ないということはあったと思います。
ただ、我々卸業は地区地区で、お得意様の繁栄が第一義でございますので、経営状況が悪化することについては、当然我々も販売利益について大幅に悪化するということでございますので、その点の価格交渉と、ちょうど上期においては後発品の切り替えもたくさんございました。そんなことも影響して、アンケート結果の内容は不明でございますが、経営状況というと卸がピクリとするのは、お得意様の繁栄がどうだったのかとまず考えますので、そういったことではなかったかなと。深い同定はできておらないのですが、ここにある「配慮」という言葉がちょっと適正ではなかったのかなと反省いたしておりますので、この点については今後の課題とさせていただきたいと思います。
最後の御質問については同様でございますが、先ほどございました覚書締結が、ちょうど数年前に卸が独自にモデル契約書をつくりまして、先ほど御指摘のありましたNPhA(日本保険薬局協会)様と定期的に川下ワーキングで検討会をさせていただいています。これが全く現状できていないということと、このコロナ禍では契約すらも不十分だったのではないかと、集計はできておりませんが、そのように推察しております。
また、本会で問題になった返品問題。やはりコロナ禍においては、どうしてもお得意様の在庫状況が非常に不安定だと思いますし、いろいろな患者さんの問題により、返品を受け取れないルールのものも返品を受け取ってしまったことがあったのではないかとも推察いたします。
また、訪問が不十分だったことと、何よりもメーカー様のMRさんが訪問が全くできない状況の中で、プロモーション代行に関しては何とかしのいだとしか言いようがないのですけれども、そういったもろもろのものがこのガイドラインのアンケート状況に出たのかなと思っております。
この3つが一番の質問要項ですが、単純に配送時間や訪問自粛という言葉の裏返しはいろいろな問題があったと思いますけれども、結果としてそういうことではなかったかと。こういう場で思いでしか言えないことについてはおわびを申し上げたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
以上です。
 
○三村座長
ありがとうございました。
宮川委員どうぞ。
 
○宮川委員
今のお話の中で3つ目、価格交渉における特殊事情ですけれども「本年度上期における価格交渉において、取引先の新型コロナウイルス感染症の影響(経営状況など)」となっています。それがなぜアンダーラインで「経営状況など」だけ強調されているのかが分かりません。素直に読めば、新型コロナウイルス感染症やもろもろの影響によって価格交渉が難しかったと読み取れます。単に経営状況を慮っていただいた発言でしょうが、実際に新型コロナウイルス感染症の影響と書くことはできないのでしょうか。経営状況と書いた意味合いというのは、どのようなことだったのでしょうか。
 
○折本委員
本当に曖昧な結果で申し訳ございませんが、あくまで新型コロナウイルス感染症の影響において、医療機関様、薬局様の経営状況が悪化することについてのアンケートの趣旨が多かったと思います。したがって、経営状況を配慮して、ではどうしたのかといっても、卸にとっては抜本的な改善ができるわけでもありませんので、やはり訪問が規制されたというのが特に我々にとっては大きな問題でしたし、患者さんが減っておられることについては本当に危惧をしたという現状の中でのことだったと思うのですが、最後の結論の内容が不明確だった点はおわび申し上げるしかないと思います。
 
○宮川委員
医療機関にとっても、「そんなことやっている場合ではないではないか」という発言であったり、「あなたたちだって分かっているじゃないか」という発言が、大小関わらずどこの病院でも、診療所のどの科でも至るところで起こっていた会話だと思います。ですから経営状況というよりは、はるかに混乱の中でそんなことやっている場合ではないというような状態だったと理解します。そういう困窮した現状での設問であったらばそれでいいのですけれども、そのような表現で強調されるのか、文言を選ばれたほうが、後で難しい解釈をされるようになってはと思い意見させていただきました。
以上です。
 
○三村座長
ありがとうございました。この文言につきましては、折本委員や長谷川委員が関与されていない中で既につくられた文言であったということですが、今おっしゃいましたように、ちょっと表現が曖昧であったということで、多様な解釈をある意味で許すかもしれないところについての懸念があるという御意見だと思います。ただ、それについては何度も卸連からも、あるいは病院関係者、あるいは薬局関係の皆様からも御発言がございましたので、明らかに大変な状況の中で薬の価格交渉が行われたということではないかと思っております。そのように経済課も取扱いいただければと思います。よろしゅうございますか。ありがとうございました。
それでは、ようやくというのは難しいのですけれども、一応皆様からの御意見をこのようにまとめておきたいと思います。
先ほど御意見がありましたけれども、9月期の妥結率及び単品単価契約は、ほぼ例年並みと言っていい数値になっております。ただ、それが非常にイレギュラーな状況あるいは異常な状況の中で、ある意味では皆様の大変な御努力の中でつくられたものであるということがありますので、この数字につきましては、今後も注意して扱っていただきたいとしておきたいと思います。そういう異常事態の中でもこういう形で価格交渉していただき、締結していただいた御努力には感謝したいと思います。
ただ、卸連からいろいろな説明がありましたように、必ずしもしっかりとした価格交渉ができたわけではない、回数が少ない、あるいは見積書の提示が遅れた、あるいは交渉期間が非常に短かったとか、いろいろなイレギュラーな状況がございます。今、宮川委員からもございましたように、恐らく病院も診療所も薬局もそれどころではなかったという状況の中で行われた価格交渉でございました。ただ、こういうコロナ禍で基本的にここまで来たということであろうと思いますし、また、少なくともガイドラインを遵守するという考え方は一応守られていたと思います。ただ、それが十分であったかどうかについては、さらに今後の反省点であろうかと思います。
また、先ほど川下のワーキングで今回の現状について、覚書の締結状況を含めてもう少しきちんと精査していきたいという御提案がございましたので、それにつきましては状況が改善しましたら、ぜひ川下ワーキングでお願いしたいと思います。
また、今後、下期の交渉が開始されるということですけれども、残念ながらまだコロナの感染状況が収まっているわけではないということがありますので、まだまだ価格交渉あるいは価格締結に向けて非常に難しい状況が続くかもしれませんが、基本的なガイドラインの趣旨に逸脱しないような形で、ぜひ価格交渉と締結をお願いしたいと思っております。それにつきましては、経済課からもそういった懸念が示されておりますので、御留意いただきたいと思います。
また、何かさらにこういう問題が起こったとか、あるいは今後の取引の透明化や合理化、改善に向けて必要であるということがございましたら、ぜひ皆様からも御提示いただいて、この懇談会でも取り上げていきたいと思います。今回は、こういう異常事態の中でも、価格交渉あるいは締結という重要なことが基本的に行われていくべきであるという前提で開かれたわけですけれども、ぜひ、これからもガイドラインを守るという姿勢につきまして、皆様の御協力をお願いしたいと思っております。
大体こういう感じでよろしゅうございますか。ありがとうございました。
それでは、最後の議題「その他」についてでございますが、全体について何か御意見等ございますか。どうぞ。
 
○平川委員
先ほど安定供給のお話がありましたけれども、最近、自主回収の頻度が非常に高いという印象を受けております。昨年、全国自治体病院協議会で医薬品の欠品状況についてアンケート調査をいたしました。約半数の病院、428病院で回答いただきましたけれども、8割以上の病院で欠品が生じておりまして、一病院当たり12品目、後発品では4.9品目ということで、これは平時でありますから、今年においてはさらに大きくなっているのかもしれませんし、医療を行う現場において欠品というのは非常に大きな問題になりますので、ぜひ安定供給になるような制度設計を厚労省でも考えていただきたいというお願いを申し上げたいと思います。
以上です。
 
○三村座長
貴重な御意見ありがとうございます。実はコロナがなければ、返品や欠品問題について取り上げていこうという考え方がありましたけれども、これについては非常に重要な問題ですので、本格的に取り組んでいただきたいと思っております。経済課のほうにも、その点よろしくお願いいたします。
ほかにはよろしゅうございますか。それでは、長時間ありがとうございました。
林課長からどうぞ。
 
○林経済課長
本日は、長時間、川上・川下、バーコード関係について議論していただきました。冒頭申し上げましたように、いろいろな事件等もありまして1年半開かれてございませんでした。また、今日は、本来であればワーキングチーム等を開催した上での開催とするところでございますし、一部データも十分お出しできない中での議論となりましたが、一方で、コロナの状況の中で、流通関係者は非常に制約された環境の中でございますけれども、ガイドラインの遵守をしなければならないという思いで取り組んでいただいたことは確認できたのかとは思います。
ただ、単品単価契約率や妥結率など数字については御報告しましたが、座長からありましたように、数字自体は改善している面も見られますが、その内容について注意して見るべきであるということで、特に交渉についての期間や回数などの問題もございますので、これらについては、今後の状況などもよく見ながら、しっかり対応していく必要があると考えております。
また、最後、御提起いただきました安定供給の問題については、一方でコロナ発生以前から医療現場にも御迷惑をかけている問題もございますので、厚労省でも非常に危惧してございまして、これは別途、医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議を開催して、9月に報告書を取りまとめさせていただいております。様々な提案を頂いておりますけれども、医療機関等への情報提供等についても、できるところから対応していくということで対応を考えたいと思っておりますので、併せて流通改善の懇談会の中でも、従来から議論されている流通の立場からの問題と併せて、改善に結びつくようにしっかり取り組んでいきたいと思います。
流通改善ガイドラインの遵守ということで、まだ感染拡大が続いている状況でございます、また公取委の調査についてもまだ進んでおりますので、予断を許さない状況でございますけれども、我々としましては流通改善がコロナの状況を機に後退するのではなくて、いろいろな課題がまた出てきたということかと思いますが、引き続き前に進められるような対応をしっかりとっていきたいと考えてございます。
この場にお集まりの皆様方の御理解と御協力を頂いた上で、また、流通改善懇談会でも今後に向けた前向きな議論ができますように、我々としてもしっかり準備・対応してまいりたいと思いますので、引き続きの御協力を申し上げたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 
○三村座長
ありがとうございました。本日の議題は全て終了いたしました。
本日の議事録につきましては、事務局で作成し、委員の皆様に適宜御確認をいただくことにしております。
次回以降の開催予定については、事務局から御案内をお願いいたします。
 
○石川流通指導官
次回以降の開催につきましては、座長と調整させていただいた上で、決定させていただきたいと思います。
 
○三村座長
それでは、議事は以上でございます。
本日は、お忙しいところ、どうもありがとうございました。また、リモートでの御参加の皆さん、ありがとうございました。
(了)
 
 
<照会先>
 医政局経済課
 石川、山田:03-5253-1111(内2598、2536)
 
 

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