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2019年7月4日 第9回科学的裏付けに基づく介護に係る検討会議事録

老健局老人保健課

○日時 令和元年7月4日(木)16:00~18:00

○場所 TKP東京駅大手町カンファレンスセンター ホール22G
     (東京都千代田区大手町1-8-1 KDDI大手町カンファレンスセンター)

○議題 科学的裏付けに基づく介護に係る検討会 取りまとめ(案)について

○議事

○石丸老人保健課課長補佐 では、定刻となりましたので、ただいまから第9回「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」を開会いたします。
皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
本日の出欠状況をお伝えいたします。本日は、伊藤構成員、白石構成員、武田構成員、八木構成員が御欠席となります。
また、事務局でございますけれども、局長の大島は所用のため、途中からの参加とさせていただきたいと思います。
それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、報道関係者の皆様はよろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○石丸老人保健課課長補佐 続きまして、本日の議事資料を確認させていただきます。本日もペーパーレスの会議ということで、お手元のタブレット端末にPDFファイルを御用意しております。基本的な操作方法はお手元に説明書を紙で御用意しております。何かございましたら事務局のスタッフにお声がけをいただければと思います。
それでは、本日の資料について確認させていただきたいと思います。
まず、「議事次第」という名前のファイルをお開きください。開きますと、本日の議事と資料一覧が記載されております。
資料としまして、「資料 科学的裏付けに基づく介護に係る検討会 取りまとめ(案)」というもの、また、参考資料1として「既存の介護ソフトが対応している項目」、それから、参考資料2として「鳥羽座長提出資料」を御準備させていただいております。また、机上配付ということで、もう一つ、このiPadの中には「鳥羽座長提出資料」というPDFが入ってございます。
もし不備等ございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。
それでは、特に問題ないようでしたら、これより先は鳥羽座長に議事進行をお願いできればと思いますが、よろいでしょうか。
○鳥羽座長 皆様、こんにちは。蒸し暑い中、ありがとうございます。今まで熱心に議論いただきまして、取りまとめの段階に入ってまいりました。本日は、本検討会としての取りまとめ(案)について御議論をいただきます。
まず、事務局から取りまとめ(案)について説明をお願いいたします。
○石丸老人保健課課長補佐 事務局でございます。
それでは、この資料、「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会 取りまとめ(案)」を開いていただければと思います。
最初に「はじめに」ということで、これまでのこの検討会に至ります経緯ですとか背景、それから、この中間取りまとめの状況等をまず整理させていただいております。
まず、最初に書いてございますけれども、2025年には団塊の世代が75歳以上となってくる。75歳以上の人口、それから、総人口に占める人口比は2040年以降まで増加を続けるという背景がある。このような中で、介護サービスの需要は大きく増大することが見込まれておりまして、制度の持続可能性を確保できるように、介護職員の働き方改革ですとか、利用者に対するサービスの質の向上を両立できる、新たな「介護」のあり方について検討を求められているということでございます。
その上で、この介護保険制度ということでございますけれども、単に介護を要する高齢者の身の回りのお世話をするというだけではなくて、高齢者の尊厳を保持して、自立した日常生活を支援することを理念とした制度であるということでございますけれども、特にアウトカム等、そういった評価の部分について、科学的な検証に裏づけられた客観的な情報が十分に得られているとまでは言えない状況であるということがございます。
そういった背景を踏まえて、介護分野においても科学的手法に基づく分析を進め、エビデンスを蓄積し活用していくことが必要である。この分析の成果をフィードバックすることによって、事業者におけるサービスの質の向上も期待できるということでございます。
そういった問題意識を踏まえて、平成29年10月、この検討会を開始いただきまして、介護分野におけるエビデンスの蓄積と活用のために必要な、いわゆるCHASEでございますけれども、この2020年度の本格運用を目指しまして、このデータベースが収集の対象とすべき項目等について、平成30年の3月に中間取りまとめを行いました。本取りまとめは、さらなる議論を重ねて、CHASEの初期仕様において収集の対象とする項目、それから、将来的に対象とすべき項目に係る検討の方向性等について取りまとめを行うものであるということになろうかと思います。
大きな2のところは、科学的裏付けに基づく介護について、少し整理をさせていただいております。エビデンスに基づいた自立支援・重度化防止等を進めていくためには、エビデンスに基づいた介護の実践と、科学的に妥当性のある指標等を現場から収集、蓄積し、分析すること、それから、分析の成果を現場にフィードバックすることで、さらなる科学的介護を推進するといった、現場・アカデミア等が一体となって科学的裏付けに基づく介護、いわゆる科学的介護を推薦するための循環が創出できる仕組みを形成していく必要がある。
一方で、介護分野においては、目指す方向性ということで、医療における「治療効果」など、関係者に共通のコンセンサスが必ずしも存在するわけではなく、個々の利用者等のさまざまなニーズ、それから、価値判断が存在し得ることに留意が必要であるということでございます
また、科学的介護を実践していくためには、科学的に妥当性のある指標を用いることが、さまざまなデータの取得・解析に当たっての前提とならざるを得ないということがございますけれども、科学的に妥当性のある指標等が必ずしも確立していない場合もある。
したがって、科学的介護を推進していくに当たっては、介護保険制度が関係者の理解を前提とした共助の理念に基づく仕組みであることを踏まえつつ、さまざまな関係者の価値判断を尊重して検討を行っていくことが必要であるということでございます。
こういったことを踏まえて、大きな3番ですけれども、「CHASEの初期仕様において収集の対象とする項目について」ということでまとめております。この初期仕様において収集の対象とする項目を利用者・介護者の現場目線で、収集の対象となる項目が必要十分なものとなるように、以下の考え方に基づき、別添のとおり取りまとめることとしたと記載してございます。この別添というのが、同じ資料の中の、おめくりいただいて9ページ以降につけさせていただいてございます。
本文に沿って説明させていただきますが、まず、2ページの大きな3番の(1)ですけれども、「CHASEの初期仕様において収集の対象とする項目の考え方について」をまとめております。これは前々回等に議論をいただいた内容とかなり重複しているといいますか、その辺をメーンにまとめたものとなりますけれども、この収集する項目の選定については、中間取りまとめに示された項目を基本としつつ、以下、マル1~マル3、マル1として、信頼性・妥当性があり、科学的測定が可能なもの、マル2として、データの収集に新たな負荷がかからないもの、マル3として、国際的に比較が可能なもの、こういった基準に従って項目に優先順位をつけることとしたということでございます。
いろいろと書いてございますけれども、おめくりいただきまして3ページをごらんいただければと思います。3ページ目の上から2つ目のパラグラフを見ていただきますと、そういった考え方を踏まえて、各項目について、収集の対象とする事業所等における負担等を考慮しつつ、既に事業所等にある情報等を踏まえ、項目を分類して、収集する対象等について検討を行った。
その下ですけれども、具体的には以下のとおり整理を行ったということでございます。マル1、マル2、マル3ということで、この整理に従って先ほどの別添資料もまとめさせていただいております。
マル1「基本的な項目」として、できるだけ多くの事業所等においてCHASEに入力されるべき項目。
マル2として、「目的に応じた項目」として、報酬上の加算の対象となる事業所等においてCに入力されるべき項目。
マル3「その他の項目」として、各事業所において任意に入力できるようにするべき項目、それから、フィージビリティを検討した上で収集対象とすべき項目等といったまとめにしております。
その下でございますけれども、この収集項目等の評価・入力等に当たって、現場において一定の負荷がかかることも想定されることから、関係者に科学的介護の目指す目的が理解されることが前提となるものであることに留意が必要であるということでございます。
その下、なお、CHASE等を用いた科学的介護の対象となる領域は、介護給付のみならず、予防給付、介護予防・日常的生活支援総合事業等の介護保険制度がカバーする全領域を対象とするものであるということでございますけれども、これをどこまで評価・入力等を求めていくかということは、フィージビリティを検証しつつ、制度面を含めて検討していくこととするとしております。
また、CHASEは公的な仕組みでありますので、現場における利用、それから、情報の解析、システムの導入等において利用料等が発生したり、事実上のベンダーロックとなるような収集項目等については収集の対象としないことも整理しております。
それから、その下「(2)フィードバックのあり方について」でございますけれども、科学的介護の仕組みについて、関係者の理解を得るためには、このサービスの利用者、それから、データ入力事業所等がデータの分析結果の恩恵を享受できるようフィードバックできる仕組みが必要であるということでございます。
その対象としては、利用者、介護者、事業所、保険者が考えられ、対象に応じたフィードバックの仕組みを検討していく必要があるとしております。
特に、栄養状態の評価等、介護者による日常業務を支援できるようなフィードバックのシステムとすることによって、現場においてもそのメリットが享受できることを実感できるのではないかと考えられるということでございます。
(3)以降、もともと中間取りまとめにおける分類、それから、前回のヒアリングにおいても、この分類に沿ってヒアリングをさせていただいたことになりますけれども、その順番にまとめをしております。
まず、「総論」項目ですけれども、ADL等のアセスメントツールとして、現時点では幾つかアセスメント方式が利用されている。このため、これらの入力方式を任意に選択した上で入力できる仕組みとし、項目の共通化・統合・読みかえ等の取り組みを継続していくことが必要であるとしております。
一方、既存の加算等で採用されているBI、Bathel Indexについては、国際的にも確立した評価指標であり、既存の文献も数多くあることから、科学的検証には妥当な収集項目である最低限のADLアセスメントツールとして用いることを基本とすることとしております。
その下ですけれども、介護事業所からの収集項目として、主要な既往歴は基本的な項目にすべきである。さらに、薬剤情報についても極めて重要な情報であることから、将来的にNDB等と連結することが可能になった場合は、一部のデータ代替はできるようになると考えられるということですけれども、その場合であっても代替することができないような、特に介護老人保健施設等においては、CHASE等において薬剤情報を把握できるようにしていくべきであることをまとめております。
また、在宅復帰の有無ですとか、同居人の数・本人との関係性等の情報取得を行うことも前提となると記載しております。
その下、「(4)『認知症』項目の考え方について」でございます。おめくりいただいて5ページですけれども、まず、「認知症」領域、診断からケアの実施とその評価を一連の流れとして捉える必要があるということでございます。介護現場において、ケアニーズ等も含めて認知症の進行度を把握し、診断状態別に適切なケアの内容を検討して実施することが重要であり、そのためには、認知症ケアの効果、それから、身体的ケアの効果を判定する項目の収集が必要である。
具体的には、認知症のスクリーニングに必要な項目として、認知症の既往歴、それから、認知症ケアに生かす項目として、周辺症状の指標であるDBD13、それから、意欲の指標であるVitality Indexについては基本的な項目とするべきである。ただし、この2つについては並行して項目の簡素化等、介護現場からの収集のフィージビリティ等について、モデル事業等を通じた検証が必要であるとしております。
モデル事業等において、測定のフィージビリティ、それから、課題等を含めて、マル1、マル2、マル3のようなことも行っていく必要があるということでまとめております。
「(5)『口腔』項目の考え方について」でございますけれども、口腔・嚥下領域の介護を行うに当たっては、誤嚥性肺炎等についてのリスクを勘案しつつも、食事の形態を可能な限り維持していくことが一つの目標となると考えられる。そういった観点から、基本的な収集項目として、「食事の形態」、それから「誤嚥性肺炎の既往歴」を収集することとしております。
また、目的に応じた項目として、現行の介護報酬体系の中で、既存の加算において作成が求められる様式例等と同じ項目については、新たな手間をかけることなくデータの取得が可能であることから、基本的に提出を求めていく項目、それから、任意提出とする項目に分けて、CHASEにおいても収集できるようにするということでございます。
ただし、主食、副食、水分の摂取形態等の収集については、各事業所間において共通で用いることが可能な食形態分類について整理を行うことが必要であり、モデル事業等ということで検討することとしております。
おめくりいただきまして、6ページ、「(6)『栄養項目』の考え方について」ですけれども、栄養領域については、最低限の科学的介護に資する客観的データを中心として、給食システムなど事業所のシステムと連携してデータ収集することを基本としつつ、入力したデータからさまざまな評価項目を自動計算することで、多くの評価を行うことが可能である。
具体的には、基本的な項目として、身長、体重、必要エネルギー量、給食システムなどと連動ができれば、食事提供量・摂取量を主食と副食に分けて収集するとしております。ただし、実際の収集においては、既存の栄養関連の加算の様式例等の記載の状況等も見ながら、可能な部分から収集していくこととしております。
その下ですけれども、また、目的に応じた項目として、栄養に関する既存の加算等の様式例となっている項目については、加算を算定している介護事業所からは収集できるようにするということでございます。
さらに、その下、モデル事業等の対象としては、指輪っか試験、握力測定、食事相談実施の有無等が考えられるということですけれども、フィージビリティの検証等を行っていく必要があるということでございます。また、給食システムの導入状況を確認した上で、インターフェースのプロトタイピングシステムを検討することとするとさせていただいております。
ここまでが収集項目でございますけれども、大きな4として、「将来的に対象とすべき項目に係る検討の方向性等について」ということでまとめております。まず「(1)モデル事業等今後の研究等の方向性に係る考え方について」でございます。
最初に、CHASEでデータ収集を行う仕組みを継続的なものにしていくためには、優先順位が低い項目も含めて、必要に応じて、収集項目のフィージビリティ等について、専門家や現場の有識者等による検討、それから、実証的な研究等を行っていくことが重要であるとしております。
その際には、本取りまとめにおける項目について、多様なエビデンスを介護に生かし、利用者に還元することができるよう、評価項目等の測定を必要最小限度にし、介護者負担に配慮していくことが考えられる。例えば、まず、簡単な項目によるスクリーニングを行うことで、利用者に適した収集項目を絞り込む等の工夫についても検討していく必要があるということでございます。
また、今後の外国人介護労働者の増加等を考慮すると、調査の事務負担を軽減するよう、収集項目の絞り込みを検討していくとともに、用語、それから、その評価の明確な定義づけが必要であり、データ項目については国際化も視野に入れてICHI等への対応を考慮する必要があるとしております。
次の7ページですけれども、モデル事業等今後の研究において、新たに指標の科学的な妥当性が確保されるなど、収集のフィージビリティが検証された項目については、適宜、CHASEの収集項目に追加していくことが必要である。
同時に、質の高い介護の実践や、データの収集のためには、専門職の関与等も含めて、この収集する項目についての評価方法についても検討を行い、例えば、食形態を写真や絵を用いて示すなど、幅広い職種が同じ評価ができるよう、必要なガイドラインの作成や研修を実施していくことが重要であるとしております。
そして、最後、「今後の検討の進め方等について」ですけれども、このCHASEにおける収集に実効性を持たせていくためには、今後の介護保険制度改正ですとか、介護報酬改定に係る議論等において、CHASEを用いた解析結果等も生かしつつ、関係者の理解を得ながら収集のための仕組みを検討していく必要があるということになります。
その際には、加算における様式例の項目など、事業所において取得されることになることが想定され、事業所におけるシステムとの連携等によって大きな負担なく収集が可能な項目等については、モデル事業等の状況に応じて追加できる項目等とあわせて、柔軟に収集の対象とできるようなシステム構成にしておくことが必要である。
さらに、介護の場は、高齢者等の生活の場でもあることから、より生活の視点を重視し、利用者の社会参加、食事の方法、排せつの方法、日中の過ごし方等についてもCHASEに取り込んでいくことができるよう検討を進めていくこととしております。
また、収集するデータは個人レベルでの科学的介護の実現に資するものであると同時に、地域単位での評価にも使用が可能となるよう、介護予防・日常生活支援総合事業など介護予防の領域における既存の公的仕組みのデータ等の収集とあわせて調査項目の共通化等に取り組んでいくことが重要であるとしております。
また、こうした情報を市町村にフィードバックできるような仕組みとするためには、例えば、介護予防・日常生活圏域ニーズ調査の項目等が、調査票の内容が修正されることで必要な項目について解析できないことがないよう、共通の統計的手法、調査項目等による収集について国から必要な働きかけを行うとともに、市町村がデータを提出することにインセンティブが生じるようにすることが必要であるとしております。
また、要介護状態に至るまでの医療等の状況、それから、みとりの状況等も含めた解析を行っていくことが重要であることから、認定調査票や主治医意見書において、現在、介護保険総合データベースに収集されていない情報の活用についても検討を進めるとともに、医療分野の個人単位被保険者番号の活用に係る議論やNDBと介護DB、その他の公的DB・人口動態統計など公的統計との今後の連携も見据えて、厚生労働省全体で検討を進めていくことが必要であるとしております。
今後、厚生労働省がCHASEを科学的介護に生かす仕組みを着実に整備していくことで、アウトカム評価などによる質の高い介護に対するインセンティブ措置を拡充していくことで、介護のパフォーマンスを向上していくことが期待されるということでございます。
最後ですけれども、科学的介護、それから、CHASEの状況等について、まずはモデル事業等において継続的にフォローしていくこととし、2020年度内のCHASEのシステムの本格稼働に向けて、適宜必要な検討を行っていくこととするとしております。
9ページからが先ほど御説明した別添資料となりますけれども、9ページ、10ページがこの基本的な項目ということで、分類、項目の名称、備考ということで記載しております。
なお、この項目ごとのさらなる詳細な点については、介護分野における今後のエビデンスの蓄積に向けて収集すべき情報について、いわゆる中間取りまとめですけれども、こちらと基本的には項目がほぼそろっておりますので、こちらを参照していただければと思います。9ページ、10ページがこの基本的な項目ということで、11ページ以降が目的に応じた項目、14ページ以降がその他の項目ということで整理しております。
事務局から、資料の説明については以上になります。
○鳥羽座長 ありがとうございました。
ここから議論でもいいのですが、一応、私が参考資料をつくってきましたので、それについて簡単に御説明してからにしたいと思います。
まず、机上配付のを見ていただきます。机上配付とした理由は、この絵を、必ずしも版権が確保されていないものですから、机上だけにとどめていただきたいということですが、CHASEというのは、今、説明があったのをわかりやすく説明したものですけれども、できるだけ多様なエビデンスを介護に生かして利用者の利益に還元する。それらは、介護者の介護努力に応えたり、あるいは介護施設者の質の向上にも役立ち、最終的には介護費用の有効活用にもつながるということですが、その場合に、エビデンスの測定は必要最小限度にして、介護者負担、働き方改革にも合致するものでなければいけないということで、例えば、最小限度にする例として、意欲とかActivityを聞く場合に、元気な方は、それほど認知機能が低下していないのに、非常に厳しい、重症の認知症のものを聞いても余り意味がないし、また、非常に弱ってきた方に関して、Activityとか、あなたは生き生きと感じて生きていますかというような鬱のことを聞いてもナンセンスであるということを示してあります。ケア提供者にいたしましても、非常に多くのものをやると、ただでさえ介護の労働が激しいので、疲弊してしまうということで、前回、お話ししましたノアの方舟の絵を出してあげまして、たくさんの種をやっていったほうがいいのですけれども、余りやると沈没してしまうというようなことを出してあります。
返っていただきまして、今度は普通の提出資料のほうを御説明したいと思うのですが、機能評価の考え方ですけれども、どのような測定の物差しにも限界があることは、皆さん、よく御存じだと思うのですが、今回のBathel Indexを松田先生から御提案いただきましたけれども、介護の現場におきましては、実は、寝返りが打てるかとか、起き上がれるかというところは入っていませんので、このようなものを床効果といいます。また、Bathel Index満点の人が普通にひとり暮らしができるかとか、そういうことはないので、そちらは手段的なADLではかり、また、より広いICF STAGINGというものを使って広く見ていく必要がある。
右側の意欲の指標といったものも、非常に床効果の少ないものでございますが、天井効果10点だから、それがどうしたと。我々はみんな10点なのですが、急性疾患、そうしますと、こういう人たちこそ、日常のActivityとか、どんなことでやっているかということをはかってあげなければいけないといことになります。
したがって、その次のページですけれども、いきなり全部フルでやる場合には、もちろんデータを集めて研究したりする人には必要なのですけれども、現場にはファーストステップとして、ごく簡単な排せつと入浴といったものを調べるだけで、両者が自立の場合はBathel Index90点以上ですから、日常のIADLを調べたり、Activityをやっていったらどうか。また、両者が介助の人はBathel Index35、要介護3以上で、いわゆる施設入居者が多いわけですが、その方はICF STAGINGなどを見ていったらどうか。また、それらは、右側に示します、軽い人は賦活的なケアプランで、その下が生活援助プラン、身体介護、下のほうがEOLケアまで含めたさまざまなプランになっていくということであります。
右側は、イベントというのがCHASEの中に入っていますけれども、イベントというのはいろいろなケア上の出来事も記録していくようですが、もともとあるもの、ないものを含めて、今回は嚥下困難、床ずれ、低栄養といったものが右側の老年症候群の中で、特に要介護関連のもので80歳以上からふえるという私の疫学データを出してありますが、その下に、これを90度回転してある理由は、反転した場合の縦軸がBathel Indexで、横軸が老年症候群の数なのです。したがって、35点以下の要介護3以上では、6つくらいのプロブレムがあって、嚥下困難、床ずれ、低栄養といったものは、こういう人たちこそ、まず優先的にしっかりとチェックしていく必要がある。したがって、栄養、嚥下、床ずれといったものは必ず見ていく。ただ、Bathel Index90点以上の人にとっては、ほとんど床ずれはできないわけですから、見る必要がなく、こういう方は、嚥下はやったほうがいいと、どこまでこれをチェックしなければいけないかというのは、ぜひモデル事業や皆さんの御意見をいただきたいのですが、栄養を主体にやって、予防的にも見ていったらどうかという話であります。
その次のページは認知症ですけれども、いきなり長谷川式をやっても、私も何回も嫌がられて、患者に嫌われたことがあります。できないことを聞かれるというのは、もともと人間は嫌なのですけれども、特にお孫さんの名前が言えたり、食事の内容が言えたり、料理や買い物ができて、薬も自分で管理できる人は省略してもいいだろうと。こういう人は余り多くないのですけれども、そこが怪しい人には遅延再生をやった上で、遅延再生がオーケーならばActivityを調べ、遅延再生ができない人は物忘れ外来に来る、ちょうど平均的な方ですが、意欲の挨拶だけできるかを見た後、ICF STAGINGとケアにつなげるR4の認知症関連をやり、復唱困難な中等度以上の方に関しては、周辺症状のDBD13、Vitality Index、R4などをフルにやっていったらどうかと。今後、現場でもしCHASEを使った場合、具体的な使い方の説明書がこんなふうになるかとも思いますが、モデル事業の中で、このようなやり方の妥当性も含めて検討していただいて、2ステップがよければ、現場の介護負担は相当軽減すると思いますのでということで、参考資料で出させていただきました。
それでは、もともとの取りまとめのほうに移っていただきまして、これから議論を進めていきたいと思います。どのような観点からでも結構ですので、御自由に御発言ください。
どうぞ。
○折茂オブザーバー ありがとうございます。とてもきれいにまとめていただいて、わかりやすいと思います。1点、お薬の情報のところで、老健と書いてあるのは、老健はまるめの包括なので薬剤情報が出てこないということだと思いますが、老健だけではなくて、介護医療院も同様と思います。いわゆる介護報酬の中で薬がまるめになるところは薬の情報が隠れてしまいます。ただこの情報を入れるのも結構大変なのですね。だから、その辺の工夫もしながらやらなくてはいけないかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それから、もう一点。2~3回前のとき、私も言ったかと思うのですけれども、今回のCHASEのデータ収集は、いわゆる状態像みたいなものを把握するデータだと思うのですけれども、一方、医療のほうだったら、介入行為が出て、どんな介入をしたからよくなった、悪くなったという、前と後がわかるわけですね。介入行為についてケアのコード化というところが全く触れられていないように感じましたので、最終的にいい介護なのか、悪い介護なのか、どんな結果なのかを見るときには、ケアのコード化というところがないといけないので、ただ、このケアのコード化は大変難しいのだろうと思うのですけれども、そこのところをきちんと今後、詰めていくという文言があったほうがいいのではないかと思います。
○鳥羽座長 後半のことは根本的な課題ですが、どうでしょうか。
○石丸老人保健課課長補佐 ありがとうございます。後半の部分についてですけれども、6ページをごらんいただければと思います。「将来的に対象とすべき項目に係る検討の方向性等について」の(1)の3つ目のポツのところでございますけれども、確かに先生がおっしゃるように、もう少し明確化して書けばいいかなとは思いますが、特にデータ、介入の部分というところですけれども、「国際化も視野に入れICHI等への対応を考慮する必要がある。」とさせていただいておりますので、モデル事業等についてもしっかり取り組んでいきたいと考えております。
○鳥羽座長 各項目で、いわゆるインターベンションに反応するような項目が選ばれていないということについてはどうでしょうか。海老原先生、どうでしょう。嚥下については、この2項目は全く状態像だけ見るもので、インターベンション、何らかのケアによって変わる部分が含まれているでしょうか。
○海老原構成員 嚥下の食形態は上がり下がりするものでございますので、これはやはりインターベンションのアウトカムそのものをあらわしているものの一つで、近いかなとは考えております。それ以外の項目に関しても、多分、それぞれの先生に意見があるかと思いますが、状態の変化が介護のアウトカム、介入のアウトカムであるという考え方があるかなと。先ほど折茂先生がおっしゃられたことは、介入そのものをコード化するというお話でございますので、そこはかなり難しいけれども、確かに重要な視点で、それをコード化しない限りは、介入の科学化は、国際的な水準というか、統一感が得られないのかなとは思っております。
○鳥羽座長 床ずれは。
○真田構成員 適切に分類していただいているなと思ったのは、褥瘡評価ツールであるDESIGN-R分類を使ってくださいと書いてあり、介入によってその重症度が変わってくるので、これは介入評価に使えます。
○鳥羽座長 栄養はいかがでしょうか。
○利光構成員 栄養の場合は、結果に対して、どう介入するか、その介入が改善をもたらせられるかということになると思います。評価として例えば、体重減少率が低かったであるとか、もう一つは、高齢者の場合はGNRIという評価を用いることもできます。計算式で設定し評価するものですが、この評価はアルブミン値が入力されていれば可能です。一部分の評価にはなるかもしれませんが、アウトカム評価として使用できると思います。
○鳥羽座長 認知症は御存じのとおり、ケアによって動くものだけを選んだのがDBD13で、Vitality Indexもケアによって動くことはわかっておりますので、いわゆるセンシティブなものは入っていると。そうしますと、今、海老原先生が言ったケアのコード化といったものはまだ課題であるというところでまとめてよろしいでしょうか。そこを書き足して。
○折茂オブザーバー ぜひ、そのほうが。医療のほうは、こんな治療をやったらこうなったというのが出ているわけですから、介護もそういう形で前と後と介入とというところが、先々になると思うのですけれども、コードの統一化をしたほうがいいと思います。
○鳥羽座長 今回、全ての課題が入っていないのですね。排せつも入っていませんし、主要なところを先行したとはいえ、恐らくまだ半分くらいしか耕していないので、今回の領域だけやっていくか、おいおい全体像を見据えてバランスよくケアのコード化をしていくかについては、今後検討課題としてよろしいでしょうか。
ほかにいかがでしょうか、この議論は。どうぞ、葛西参与。
○葛西参与 データを使う上での限界という話は常にこの場でも出て、ほかの会でも必ず出てくるのですけれども、ちょっとだけ専門的に、もちろん先生方、御存じの方もたくさんいらっしゃると思うのですけれども、最終的に完全なデータはないですとよく言われながら、例えば、主観的な確率を見ているのか、いわゆる客観的な確率を見ているのかという、母数をしっかりと取りたいのか、それともベイズみたいに、ある程度推定の裕度と言われるものを許すのかによってちょっと違うと思うのですね。
もうちょっと簡単に言うと、ある地域の母数をしっかりとまとめ上げたいような形でデータを取るのか、それとも超ビッグデータにしていって、こんなにビッグデータの中でこれほどの割合があると、こういうことがあり得るのではないかという考え方に基づくのか。それは多分、最終的に論文によるでしょうし、研究者によると思うのです。私はどっちの統計がいいとか悪いとか言っているのではなくて、問題は、いろいろな項目があるのですけれども、最終的に疫学の研究をやられる方とか、研究者にとって、どういう統計手法を用いるのかをちゃんと検証する必要があると思っているわけですね。それはモデル事業以外でも必要だと思うので、これは多分、厚生労働省の中では、データレス改革推進本部ももちろんいるので、私自身もそう思うのですけれども、ほかの、例えば、医療分野の方も含めて検討が必要なのではないか。
そのときに、かなり重要なことを先にお伝えすると、もちろん、今の段階で連結してサービスを提供することは法的に何も、そもそもデータが集まっていないので、どうしようもないのですけれども、最終的に連結に関しては早期に確認をしておかないと、かなり大変だろうなと。ちらっと見ると、例えば、名前は今回とらないように見えるし、実は介護総合データベースのほうは年齢もちょっとまるめてあるという意味で言うと、ちゃんとした連結がとれるのかどうかは早々に検証が必要ではないかというのが1つです。
それから、もう一個が、連結をしたときに、医療のほうのレセプトのレコードの構造は、当然なのですけれども、介護保険と制度が違うので、そうすると、例えば、病気と薬剤、連結して考えましょうといっても、そう簡単につながるわけがないというか、中間的なマスターをつくらなければつながらないですねというような、実際の疫学研究とかをやる場面において有用にシステムを設計しなければいけないのですけれども、今、現場では、システムの構築をするときに、収集さえできればいいという発想で考えがちなのですね。一旦まず集めましょうみたいな。集めたデータベースを利用できるかどうかは、システム構築には、私自身にはすごく影響があって、当然、利用しないと、集めただけではしようがないですねという社会的なお叱りを受けるのはまずいなと思っていまして、そうすると、データベースの構造とか、スキーマーというのですけれども、そういったものをちゃんととっておかなければいけないなとか、そういうことに反映するので、このあたり、モデル事業でやるのか、ほかの事業でやるのか、一度検討が必要かなというのと、多分、連結とか、レセプトとかのレコードのあり方というのは、どこかで小さく注釈を入れるか何かしておいたほうがいいのではないかと思っている次第です。
以上です。
○鳥羽座長 どうでしょうか、松田先生、その点について。
○松田構成員 CHASEのほうで被保番をとっているので、被保番があれば基本的にはつながります。私自身は、医療と介護の連結分析を400万人規模ぐらいでやっていますけれども、基本的には被保番の情報があって、あと性別、生年月日があれば何とかなります。100%それでカバーできるかというと、抜けが出てしまうのですけれども、将来的に日本で共通の社会保険番号みたいなのができれば、それでやることもできる。現時点でも、総論のところで被保番というのが入っていますので、それがあれば何とか、完全ではないですけれども、9割以上の症例でつなげることはできると思います。
○石丸老人保健課課長補佐 事務局でございます。
今の点ですけれども、この資料の8ページをごらんいただければと思います。8ページの3行目のところですけれども、医療分野の個人単位被保険者番号の活用に係る議論ということを記載させていただいております。これは前回も少し説明させていただきましたが、ことしの介護保険法等の改正の中で、NDBと介護DBの連結ということもありましたけれども、医療分野で個人単位の被保険者番号を新しくつくってということも法改正の中で一つできるようになった事項でございますので、これをこれからどのように活用していくかを検討していくというところでございます。これができれば、どう活用するかというのはあるのですけれども、医療、介護を共通のキーということでつなぎ得るとは、一つ、考えてございます。
それから、葛西参与の2点目のところですけれども、御指摘のように、今の時点で、恐らく統計的手法をどういうものを使うかというときに、多分、ベースとなってくるのが、どういうユースケースに応じてその情報を解析するかということになるかと思いますけれども、確かにそういう点は、もともと中間取りまとめの265項目を議論した際に、網羅的には必ずしも議論できていない部分はあるのではないかと思っております。別添という形で9ページ以降にまとめさせていただいておりますけれども、そういう意味では、大まかな分類として、基本的な項目と、できるだけ多くの事業者等においてCHASEに入力されるべき項目というまとめ方をしておりますけれども、まず、最小限の項目についてはこういった位置づけでCHASEの稼働を開始しつつ、実際には、その中の解析結果等も踏まえつつ、いろいろユースケースが出てくると思いますので、必ずしもモデル事業等に限らずということですけれども、実際、どういう解析をすることで、どういう解析結果を出せるか、これは厚生労働省としても、場合によってはアカデミアの皆様ですとか、現場の皆様からも御意見を伺いながら検討していきたいと考えております。
○鳥羽座長 よろしいですか、それで。どうぞ。
○松田構成員 今、葛西さんがおっしゃられたことはすごく大事で、ぱーっと見てみたときに、科学的介護なのですけれども、臨床研究とかと比較してみたときに、何を介入とするのかが、このCHASEの項目だけだとわからないですね。だから、モデル事業をやるときに、先ほどの介護行為の標準化にもかかわりますけれども、何をもってインターベンションとするのかをあらかじめ決めておかないとモデルにならないと思うのです。そこのデザインをきちんとして、あと、介入行為に関して、介護レセプトがとれるものでやっていくのか、それとも介護行為そのものをチェックシートみたいなものでとっていくのかということも、実際の研究のときにはきちんと詰めないといけないのではないかと思います。
○鳥羽座長 その辺は何か計画はございますか。
○石丸老人保健課課長補佐 今の時点でこれをというものが事務局としてあるわけではございませんけれども、御指摘のように、どういうモデル事業にするかはしっかりデザインを組んでやっていく必要があると思っておりますので、そこはしっかり対応してまいりたいと思います。
○鳥羽座長 どうぞ。
○松田構成員 恐らく、国際化とか、いろいろ考えたときに、ICHIに持っていくのだろうと思うのですけれども、ICHIを使うときに、僕らが今、困っているのが、日本語の定訳がないのですね。これは厚生労働省の仕事だと思うのですけれども、多分、統計情報部でやっていただかないといけない話だと思うので、きちんとした定訳をあわせて準備していただけるといいのではないかと思います。
○石丸老人保健課課長補佐 それは関係部局とも連携しながら、しっかり検討していきたいと思います。
○鳥羽座長 どうぞ。
○葛西参与 まさに松田先生はほかの委員会にも出ていただいているので。私もNDBのいろいろな利用ケースに基づいて、どのぐらいの割合の連結をするかによって、どの連結表を使うかとか、テーブルをどう使うか、全く個別のあり方だと思っているので、それぞれ研究者の方の御意見をたくさん聞くなあというだけなのですね。そのときに、唯一課題として、まさに介入というところは大きな問題というか、医療のほうは実は介入だらけに決まっているというか、医療のほうはそういうレセテーブルですから、全てがですね。ところが、こっちは全然そうではないので、私自身も今、例えば、連結をしますって、ある程度データレス改革推進本部で言ってはいるので、自分自身でどういう研究があり得るか、連結してみようとしても、何をどう連結するんだ、これみたいなのが実態でございまして、どこからが介入と呼ばれるものなのかすら整理されていないというところは全く松田先生と同じ話をしているのですね。
そのときに、主観的な確率と客観的確率ということを言ったのは、客観的な、頻度的な、いわゆる統計をちゃんとやるチームと、データレス改革推進本部でやっていらっしゃるのはAIみたいな、少しディープラーニングをかけてみて、人間が気づかないことを見つけようという研究者の方々もいらっしゃるので、そういう全ての領域の方々にうまく医療と介護のデータを利活用いただけるために最適なシステムデザインをしたいなという思いなだけなのですね。そこに、私が必ず気になるのは、AMEDであろうが、老健事業であろうが、どこでやろうが、研究者が、それぞれの分野に精通している方々がちゃんとそれぞれに使っていただきたいなと思っているというだけでございます。いわゆる特定の分野だけででき上がってしまって、ここでは使えるのだけれども、AIでは全然使えないなとか、そうなってしまうともったいないよなというだけなので、研究しながら成長させるものは皆様の協力をいただかないと、とてもではないけれども、こんなシステムをつくっても意味がないのは当然なのですけれども、そういった点に、老健局のほうでもそうですけれども、御配慮いただけるとありがたいなというだけでございます。
○鳥羽座長 いかがでしょうか。
データ連結は、個人ベースで見ると、介護関連のところは医療データがタイムリーに得られにくいので、データ連結して個人に還元する仕組みは早くつくってほしいし、そこはもっと強く書いてほしいと思うのですね。
もう一つ、葛西参与の発言の中で1つだけ気になるのは、医療はインターベンションだけれども、介護はないというのは大間違いで、ケアプランはおのおのの状態ごとに介入ばかりなのです。ただ、それが単一の病気と違って、上から下までいっぱい要素があるので、個別に、この人はここをチェックしてという介入であって、介入がないというのはちょっと。
○葛西参与 ごめんなさい、それは誤解です。済みません、言葉足らずで。介入がないというのではなくて、介入のコードがないというか、解析しようとすると、テーブルが、コードがないという最初の話。
○鳥羽座長 ミニマムデータセットとか、いろいろなコードはあるので、どれを使うかということで、まだ論争はありますけれども、ないということはないのですね。あるのです。あるのだけれども、今回、何を選ぶかということは、あえて最初のほうで、何を選ぶよということはやめようねということでスタートしていると、もう一回、思い出していただければと思います。
○葛西参与 もちろん承知しておりますので。
○鳥羽座長 どうでしょう。松本顧問、お願いします。
○松本顧問 私、急性期医療を四十数年やってきた医者として、鳥羽座長の参考資料2の2枚目のスライドに、私と意見が一致するものが出ていたので、それを興味深く見ました。2枚目の一番左に排せつと入浴の項目があって、一方自立、両者とも介助が必要というのは、例を挙げますと、がんの治療をして、がんの再発は5年以上ないと。でも、高血圧とか、そういうのを見ていて、おつき合い上、ずっと診てきた患者が、そろそろお亡くなりになるのではないかという指標は、私にとっては排せつなのですね。前もコメントしましたけれども、トイレに行きたいと思って、自宅で自分の家のトイレまで間に合わず失禁するというのが出てくると、当然、男性ですと、前立腺肥大の薬とか、そういうのをやるとまたよくなりますので、いいのですけれども、それでもコントロールがつかなくなると、私の経験では、大体3年以内に命にかかわる事象が起こってくると感じていますので、そういうのを見ていると、今、世の中、ちょっと話を変えますけれども、介護事業所は生活の支援しかやっていないところもありますので、立派な指標全部を網羅してもとてもできないと思いますので、モデル事業とか、そういうのをやるのは、ちょっと色分けをしながら、例えば、先生のところの長寿医療センターとか、そういうところできちっとデータを取って、それから皆様に分けたほうが効率がいいのではないかと感覚的に理解したのですが。ですから、リーダーシップをとれるような施設を選んでやってから、広く現場に回してデータを検証するほうが費用もかからなくていいのではないか。
○鳥羽座長 ほかにどうでしょうか。田宮教授。
○田宮教授 何とかまとまってきて、データ構築に向かえるようで、よかったなと思うのですけれども、ずっと議論に出ているように、これだけデータを取ってきて、それをどうやって生かすかを真剣に考えていかないと。取ったはいいけれどとなるのが一番不安です。今、大分お話が出てきましたけれども、医学の研究もエビデンスを出すってそう簡単なことではなくて、臨床疫学的にいろいろなノウハウとかもあるわけで、普遍的なエビデンスを出す方向に生かすのと、それから、現場のPDCAをするために生かすのと、多分、2通り、大きく言うと流れがあると思うのですね。それをお互いに意識しながら進めていく、そして、何か核になるようなマンパワーもすごく要ると思うのです。介護の研究は私もしていますけれども、なかなかマンパワーもいないですし、統計がわかって、医療・介護の現場がわかって、そして分析を進められる人材は、医学はもうちょっと多いですけれども、さらにすごい少ないですね。なので、そこも真剣に厚生労働省でも考えていただいて、マンパワーとアカデミアと現場をつなげる拠点のようなことですね。せっかくこれだけすばらしいデータに向かって、今、一歩、ノアの方舟が出そうになっているのでと思うのです。
具体的に考えてみると、1つは、私はナショナルセンターの方が、クロスアポイントで来て下さっているのですけれども、ナショナルセンターのほうでも、医学のNDBを使って、ナショナルセンターみんなで協力して医療のエビデンスを出していこうという動きがあると伺っています。介護DBについても少し聞いてみていただいたのですが、医療と介護は連結が非常に密接なので、介護もナショナルセンターでみんなで協力して進めるという動きはよいのではという方向だったそうです。例えばですが、長寿医療センターが音頭を取っていただいてみんなでやるとか、そんな仕組みを考えていってデータ構築と分析体制整備を同時に進めていっていただかないといけないかなと思っています。
今のは大きい話ですけれども、細かい話で言うと、PDCAでフィードバックをすることも結構大事になっていくと。今、私は実は介護DBを申請しているのですけれども、施設ごとに分析をするのは今は難しいということになっているのですね。プライバシーを守るためにここまでというラインはとても大事だと思うかたわら、医療の今の介入なども、同じ介入でも施設のポリシーによって違ったり、人員によって違ったりとかあるので、各施設現場に役立つように戻せることがとても重要です。普遍的な、医学のような因果関係を求めたものを出すというのは、介護においては非常に難しい。だから、現場に戻すことを念頭に置いた分析スキームを最初から意識したほうがいいと思います。施設ごとの分析とかも、別にこの施設と特定する必要はないので、そこにだけ全体の中の位置づけがわかるようにするとか、考えていっていただきたいなと思いました。
以上です。
○鳥羽座長 施設の研究力強化については、木村オブザーバー、何か御意見ありますか。
○木村オブザーバー きちんとお答えになるかわかりませんけれども、お話を伺って、先生もおっしゃったように、どう現場に生かすかということなのかな、それに尽きるかなと思うのですね。たくさん項目、先生方がそれぞれおっしゃっていただいたように、現場に負担なくというのは当然、皆さん、考えていただいているところなので、それはそうなるべきと思っておりますけれども、実際、どんなふうに現場にフィードバックされていくのかなと、何となく考えていたりとか、あと、Bathel Index自体がどうのということではないですけれども、例えば、45メートル歩けるか否かということが、果たして本来、ケアの質を評価していくものかどうかというところだったりとかですね。
というのは、45メートル歩けて何が実現できたかというところが大事だったり、45メートル歩けてこれができるようになった、あるいはこれがやりたくて、45メートル歩かないとできないとか言って目標に頑張ったり、例えば、階段の上り下りにしても、5段の階段の上り下りができたとか、できないとかいうことではなくて、在宅で暮らせるために、家の玄関先の石段5段を上り下りができるようにしているのだとか、できた、できないがどうという評価指標だけになると、本来の介護の質みたいなものは、なかなか評価につながっていかないのではないかと思っていて、それを現場にどうフィードバックしていくかというところまで考えると、うまく言えないのですけれども、現場の介護士は、アカデミックな方がいるわけではないし、研究者肌の方がいるわけでもないのですね。
では、いい介護現場とは何かといったときに、例えば、ここにいる先生方が現場に入ったときに、エース級の介護士になり得るかといったら、そうではないと思うのですね、私も含めて。そうすると、このCHASEを使いながら、評価指標をつくっていったときに、現場の介護士は、どんな介護士像が将来求められていくのかなといったときに、今、求められるエース級の介護士像とちょっと違ってくるような、これを継続的に進めていくと、将来にわたって求められていくものはちょっと違っていきそうな気がするなと思っていて、それはICTのこともあったり、ロボットのこともあるのですけれども、現場で求められる介護のリーダー像というのは、この間、ICT導入の現場革新会議で聞いた話でも、どんなリーダーが将来の介護のリーダーになるのかなと思ったりすると、この話もかぶってくるかなと思っていて、いずれにしても、現場に負担なくいろいろなデータが収集できる、そういったものがあれば、それにこしたことはないし、たくさんのデータを取れる限りは取って、そういったものを先生方が分析したりしながら介護の質につなげていくこと自体は本当にいいことだと思っています。何かまとまりませんですが。
○鳥羽座長 Bathel Indexの45メートルというのは誤訳なのですね。50ヤードで、50歩なのです。ですから、施設内でトイレまで往復できるか、家であれば、一番近くのコンビニか隣の家まで行けるということで、ちゃんと翻訳して伝えてあげると、45メートル歩けるというのは、トイレの往復ができるねと、そういうふうに介護士に伝えることが我々の科学的な翻訳の仕方なのですね。ですから、ちゃんと読み方まで教えないと、無意味な評価になってしまうので、もちろん長谷川もそうなのですけれども、その辺はもうちょっと努力が要るかもしれませんね。おっしゃるとおり。
ナショナルセンターでということですけれども、近藤先生、どうでしょうか。私はもう離れておりますので。
○近藤構成員 モデル事業をいただけるのであれば、それなりの準備をしなければいけないなと思って考えておりました。先生、ついこの間まではそっちに行った質問が何で私に来るのだろうなと思って、非常にビハインドな気持ちでおります。
以上です。
○鳥羽座長 どうぞ。
○海老原構成員 医療保険は私の理解では、病気の治療に対する保険であると。介護保険というのは高齢者の生活に対する保険であるということで、より包括的で、広いものであるということで、介護保険のアウトカムを見るということは、包括的に介護していって、何かインプルーブされるわけでありまして、何か一つというわけでは絶対ないのだと思うのですね。多要素が複雑に絡み合って、環境面もあるし、人的な面もあるし、そして介護がよくなっていくということで、より包括的なものであるので、今回おまとめになられたように、シンプルな、本当に重要なアウトカムを設定して、その変化を見ていって、フィードバックは、例えば、私の分野ですと、みんなの食形態がどんどん落ちていくような施設があったらば、一体全体、うちの施設ではどのようなことが起きているのかを多職種で討議しながら、一つ一つそこを見つけていくという、施設自身のフィードバック、よりよい施設にしていくためのフィードバックとしていくような材料とすることが、研究云々ではなくて、世の中の介護施設の方向性をいい方向に持っていくために非常に重要なことなのではないかと考えます。多分、介入のコード化はかなり難しくて、アウトカムがどうなっていくかということを用いて、自分たちのことを振り返るという視点が非常に重要なのではないかと考えております。
○鳥羽座長 どうぞ。
○折茂オブザーバー 本当にそのとおりだと思うのですけれども、介護の場合は満足度みたいなものが最終的にはとても評価されるべきであるし、あとは、クオリティ・オブ・ライフを人生の質という意味で訳せば、やはり人生なのですね。ですから、最終的にどんな人生だったのかという評価は難しいのですけれども、だから医療の比較とは異なり難しい側面があります。その辺もいつかは見ていければなと。例えば、病院などで見ると、専門家である松田先生の前ではちょっと言いにくいのですけれども、DPCなどのデータで見ると、自分の病院の立ち位置は本当によくわかりますし、自分の病院の診ている病気の複雑性がこんなに少なかったのかとか、こんなに期間が長かったのかがわかる。これはすばらしいことですね。満足度も含めて、最終的に、あっ、うちの施設はこうなんだ、もうちょっと頑張らなくちゃというような、ほかとの比較ができるような、最終的にはそういうフィードバックがこの介護のデータベースからも出てきていただけると、恐らく日本中の施設がもっと切磋琢磨できるようになるのではないかと思います。
それと、もう一個だけ、質問なのですけれども、これも7ページにちょっと書いてあるのかもしれないのですけれども、今、介護ソフトのベンダーは全部、各社各々の仕組みで構成されていてアウトプットの様式もバラバラですね。医療のほうはDPCもちゃんと一つの提出様式ができているわけですから、そこのところも何回か前に議論があったと思うのですけれども、しっかりとベンダーのアウトプットを統一するようなプラットフォームをつくることももうちょっと明確に書いていただいたほうがありがたいかなと思います。
○鳥羽座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ、福井構成員。
○福井構成員 今の折茂オブザーバーの御発言にもつながるのですが、オーバーオールな指標、人生満足度とか生活満足度というのが、ぜひ、この取りまとめのところに書かれていると、より課題が明確化していいなと考えておりまして、例えば、7ページの「今後の検討の進め方等について」というところの3ポツ目で、社会参加とか、食事、排せつの方法、日中の過ごし方とともに、人生の満足度とか、ウェルビーイングとか、そういうことも文言として書いておいていただけたらいいなと思っておりますのと、そういう意味で、3ページのところで御説明していただいた介護予防、全領域をカバーするものであるというところから考えますと、18ページの項目のところに日常生活圏域ニーズ調査というのを1枠設けていただいていると思うのですけれども、そこが介護予防の中で、主観的幸福感とか、主観的健康感という1項目で、ある程度、学際的にもレビューをした上で、その1項目が捉えられるということで、あと、私が今、厚労科研で進めさせていただいている医療介護連携も、老健局が全国の市町村に向けて、生活満足度をとりなさいという提示をされていると思うのですけれども、そこでも、どうシンプルで、現場に御負担がかからない形で人生満足度、生活満足度や幸福感などを捉えられるかという検討もしておりますので、全領域という介護予防から、介護が実際必要になる方の、全対象に対しての、できれば統一した、シンプルなオーバーオールの指標も念頭に置いて、そういうものも将来盛り込んでいけたらいいのではないかと考えました。
○近藤構成員 木村先生の話を聞いていて、評価尺度をつくっている人間からすると、鳥羽先生、きょうは非常にいいサマリーをしていただいて、きれいにカテゴライズしていただいたのですけれども、いろいろな変化を見ていく場合には、まず対象をカテゴライズして、それに対して、今回はケアプランを中心にした介入をしてみて、その結果を見ていく。あるいは本当に現場で介護士がいろいろやられている細かいことをやってみて結果を見ていくのですけれども、カテゴライズするような評価尺度は、ほとんどその場では使い物にならないですね。
いい例を挙げれば、Bathel Indexというのは非常に反応性が悪い評価尺度で、一般に、それで変化を見ろと言われても、我々としては大抵は使わないものなのですけれども、カテゴライズするという意味であれば、非常に有用であるのです。なので、その後に何をやるかというと、一般的には、介入した後にどのような変化が起こるかを見て、その変化に対応した、また新しい評価尺度をつくっていくということをします。
なので、今回は、がんで言ったら、TMN分類をつくった。だから、粘膜への浸潤度に対して、どういったアプローチをするとどうなるかという部分の基礎をつくったと考えられたほうがいいのではないか。ただし、細かい化学療法をやった、ラディエーションをやったことに対して、どういう反応が起こったかを見るのは、また別な評価尺度で見ることになりますので、今回は多分、そこまで期待してしまうと、ちょっと虚しくなるかと、先生が今おっしゃられたことになってしまうと思うのですが、私としては今後に期待したいと。それはやはり現場サイドから、特にエース介護士みたいな方から、ここら辺が手応えみたいなものをフィードバックしていただいて、我々は評価尺度をつくっていけばいいのではないかと考えております。
以上です。
○鳥羽座長 介護においては、FIMを全部やることもできないし、ただ、介護現場において、FIMのような鋭敏なインターベンションセンシティブなものが十分まだ評価として整っていない現状であると、こういうことでよろしいですかね。でも、そういう展望は必要だと。
真田構成員。
○真田構成員 きょう、鳥羽先生の参考資料を見せていただいて、こうなれば非常に合理的で、短時間にデータを集められるなと思いました。先ほど福井さんがおっしゃったりしていた、オーバーオールの幸福感とか、折茂先生もおっしゃっていましたけれども、そういうものはどこかで一括してはかれるように、今後の対応ができるのかというのが一つ質問と、それから、もう一点なのですけれども、評価を考える場合には、データ収集の頻度というものをどのように考えるのかということがまだ内容に含まれていないので、その頻度に関してもきちんと今後検討することが必要なのではないかと私は思いました。
それから、資料3の9ページですけれども、医療の現場にいつもいて考えていて、9ページを見ていると、既往歴はあるのですが、原病歴とか、そういう現在の病状に関することは介護の場合には全然含めないのか。既往歴は含めるけれども、原病歴が入らない理由はどこかにあるのか、それも伺ってみたいなと思ったのです。
○石丸老人保健課課長補佐 今、何点か御意見いただいたと思いますけれども、オーバーオールの幸福感というものという話、これはもしかしたら鳥羽先生からも御説明があるかもしれませんけれども、そういったところは、先ほど福井先生からの御指摘もあったように、まさに介護保険制度の理念もありますけれども、今後そういったところをどう考えていくのかということは、多分、関係者の間でもしっかり議論しながら考えていくべき事項だと思っておりますので、そういった趣旨も踏まえて、記載は考えていきたいと思います。
それから、頻度の点ということですけれども、たしかに前々回の議論のときには、恐らくユースケースと、それから、現場の手間と、そういったところも勘案しながらしっかりやっていかなければいけないということがあると思いますので、これもモデル事業等の中でしっかり検討していくということで、これもよければ記載を見直したいと思います。
原病歴は、9ページはまさに基本的な項目、既往歴というのは入れておりますが、原病歴は確かにないというのは御指摘のとおりだと思います。既往歴ということですと、この病気、この病気とか、例えば、主要な病気にチェックを入れるとか、そこはある程度標準的な形式で入れやすいというところはあると思いますが、原病歴は、265項目に入っていなかったという部分はあると思いますが、これから相当しっかり検討していかないと、うまく統一的な方法で出されるというのは大分課題があるかなと思っておりますので、そういったところもぜひ、今後の課題ということで受けとめたいと思います。
○鳥羽座長 恐らく、真田先生が言われるのは、昔の病気がある状態で影響しているものだけではなくて、お年寄りの方は、アキュート・オン・クロニックでもアキュートでもいいのですけれども、急性病院に入院して、回復期にいって介護施設に行くというルートもあるので、一番直近の病気の変化が今のケアに影響を与える主要な情報を、既往歴という名前だけだと集めにくいので、既往歴及び直近の病気の重立ったことという形で、プルダウンでもいいから、何ら選べるようにしてほしいという御意見ですね。
○真田構成員 そのとおりです。
○石丸老人保健課課長補佐 失礼いたしました。本文のほうにも既往歴のところは、基本的に新規発症も含むとさせていただいております。まさに原病歴に近いような部分についても、しっかり、入力という部分ではできるようにということで考えております。
○真田構成員 ありがとうございました。
○鳥羽座長 医者から言うと、直近の脳血管障害とか、そういうものは、慢性の認知症とか虚弱と違っていっぱい影響がありますので、その辺のデータは、これも先ほどの医療と介護のデータの連結があったほうが、改めて聞き取るというより、データ共有のほうがはるかに情報も多いしと思うのですけれども、その辺の課題としてはぜひ書いてほしいですね。よろしいですか。
どうぞ、松本先生。
○松本顧問 松本です。
ちょっと感想的な意見で、非常に曖昧なことをコメントさせていただきたいと思いますけれども、先ほどから介護の満足度というお話が少し出ていましたけれども、実際に急性期医療ですと、現状への復帰、病気になる前の状態に戻してもらいたいというのが最大の希望で、そこが満たされなければ必ず不満が残る。それと、本人の満足と家族の満足度は違う。不幸な結果で御本人が亡くなった場合は、我々は家族に対してグリーフケアを考えます。どうやって慰めて、その事態を理解してもらうか。それを失敗すると必ず訴訟ざたになるので。そういうものが介護に当てはまるかなと思って、じっと考えていたのですけれども、どうでしょうか。指標をつくるのは非常に難しいと思います。医療の場合は、大事なことは、患者御本人のほかに家族の満足度が大事なので、インフォームドコンセントとか、そういうのをしっかりやると記載されているし、我々も教わったし、教えてもきた。その辺がはっきりしないので、満足度、満足度と言われても納得がいかないなと思って聞いていました。
○折茂オブザーバー 大変難しいと思います。ただ、医療のほうは亡くなってしまったということで、満足度としては結果として低いと思うのですけれども、介護の場面では、いい亡くなり方だったということもあり、医療と介護とでは満足度そのものが全く違いますので、だから、この指標というのは本当に難しいと思います。難しいけれども、忘れてはならない指標なので、何とかいい指標をみんなで考えていければと私は思っています。
○鳥羽座長 どうぞ、江澤オブザーバー。
○江澤オブザーバー 本取りまとめについては基本的に賛成でございますし、本人の尊厳の保持、自立支援、あるいは社会参加にどんどん結びついていくことを期待しているところでございます。
その上で、科学的介護の科学は単なるサイエンスではなくて、本人の意思や意欲、あるいはデータに抽出されないケアの提供等がバイアスとして入ってきまして、大きく影響すると思っています。そこで、7ページの(2)の3ポツ目について、モデル事業で取り組む項目だと思いますけれども、要は、何がいいケアかというのはいろいろ考え方があると思いますけれども、今、現場で一つ取り組んでいる、いいと思われるケアとしては、御本人の主体性をいかに引き出すか、そして御本人の主体性、あるいは意思決定による行為をつないでいくと生活になりますので、例えば、一つの具体例で言うと、今、一斉に朝起きて、一斉に御飯食べて、一斉に入浴時間があって、一斉に排せつケアの時間が夜中に組み込まれているような、いわゆる集団ケアを脱却して、お一人お一人を尊重する個別的ケアに変わっている過渡期であり、もちろん集団ケアをされているところもあるでしょうし、かなり個別ケアに特化したケアをされているところもあると思います。
ですから、施設に入られていても、御本人の生活習慣を尊重して、朝起きる時間も決して一斉に起きないし、御飯を食べる時間も一斉に食べることもないケアが現実的にあります。私の施設も取り組んでいるのですけれども、御本人の主体性をいかに引き出すかが大事なので、3ポツ目に特に日中の過ごし方等も書いていただいて、大変共感しているところですけれども、そういった中で、簡単に言うと、集団的ケアと個別的ケアによって、御本人の意欲にかなり大きく影響しますし、先ほどから出ているコード化というのは難しいかもしれませんけれども、そういった視点も念頭に置いておく必要があります。先ほど鳥羽先生からも、いろいろなフェーズがあるので、例えば、終末期であれば、ACPというのは重要な、御本人の意思を最大限に尊重するために医療ケア・チームが合意を形成するという非常に重要なプロセスでございますし、そのあたりをうまく念頭に置いた上で、この解析も進んでいくべきだと思いますし、そのことによって、先ほどミニマムで、まずはこういったデータベースが必要だというのも当然必要ですし、その上で、それをどう生かすかは今後の議論の展開によって、我々が知恵を絞っていく必要があると思います。
特に医療と異なる点で言うと、介護現場は、お一人お一人の人生歴とか、今までの御本人の意思や趣味や価値観、そういったものから、あの手この手でケアプランをつくっています。ということは、解のない方程式を、日々、応用問題を解いているという状況でございますので、その点を念頭に置いた上で、データベースをどういいケア、あるいは自立性、尊厳の保持に結びつけていくかが非常に重要な視点であり、それは今後、走りながら考えるということでよろしいのではないかと思っています。
以上でございます。
○鳥羽座長 ありがとうございました。
ほかに、どうぞ、三上構成員。
○三上構成員 ありがとうございます。私も江澤オブザーバーの7ページ目の3ポツ目、とても重要な視点だと思っております。最終取りまとめと構成員の議論を聞いていると、医療のほうが先に進んでいるというよりかは、今回のCHASEで介護の現場のほうがリードするような気持ちで見ております。病院の中でも、治療はしておりますけれども、24時間、一定期間、ケアを受けておりますし、介護で行われている、今、収集しようとしている視点を医療の中のケアにおいても十分フィードバックができることだと思って、総合的に医療の中の治療効果にも、退院後の生活にも十分影響を与えると思っておりますので、3ページ目のフィードバックするところも、医療のケアの中でも活用できるところという形で、十分周知をしていったほうがよろしいのではないかと思って聞いておりました。
以上です。
○鳥羽座長 どうぞ。
○藤井構成員 私も江澤オブザーバーがおっしゃったことに大変共感しまして、解のない方程式を介護現場でやっていると。まさにそのとおりなのですが、それが今回のCHASEに取り込めるわけではないと。将来、発展的に入れていくという考え方でいこうというのは大賛成です。大賛成なのですが、発展する方向性を考えますと、CHASEに入れるとこういう意味があるのだなという形で、どんどん入力が進んでいくという、インセンティブなり、ナッジなりがきちんときいていなければいけないのだろうと思うのです。
改定検証事業の中で、ADL維持等加算の検証をやっておりまして、私は単純に単価が安いからみんなやらないのだと思っていたのですが、非常に取り組み率が低い。通所介護という福祉系サービスにおいてですね。医療系サービスって、こんなに取り組み率が低いことはないのになという話なのですけれども、研究会で議論しておりますと、木村オブザーバーがおっしゃっていたことが非常に重要で、意味がわからないと言える。なおかつ、自治体の側も意味がわからないで、どうつけていいかわからないみたいですね。
意味は2通りありまして、ここに書いてある項目の意味がわからないという意味から、これをはかることの意味がわからないという、もうちょっとわかろうとしないのかなというふうな。そういうレベルで入力だけしてくださいと言うと、当然入力しないと思うのですね。つまり、残念ながら現場の介護というものが、医療系の職種の考えるメンタルモデルとかなり違うメンタルモデルを持ってやっているので、当然、Bathel Indexなどは入れる必要があるし、入れるべきだろうと考えるものはなかなかうまくいかないという部分をクリアしていかないと、どんどんみんなが入れていこうとならないと思います。
それを考える上では、アウトカムのフィードバックは一つのポイントだと思うのですが、これは座長がおっしゃっていたところがすごく重要なポイントだと思うのですが、入力時点のプロセスでやっていることの意義が感じられるようなナッジをどうつくっていくか、ここをやっていただかないと、ほぼ介護職が入力しているケースが多いですし、在宅ですとケアマネ、ケアマネは介護職上がりということですから、彼らが入れたいと思う、ついつい入れてしまうというものの設計はとても重要だと思いますので、そこら辺、可能であれば、文言をつけ加えていただきたいなというのがございます。
それから、もう一点、ちょっとマイナーなことなのですが、ここでも随分議論されました、誰がアセスメントして、誰が入力するかと。先ほど入力間隔の話があったと思いますけれども、それと同様に、誰が入れるか。7ページに研修をモデル的にやってはどうかということはあるのですけれども、これはモデル的にということだと思うのですけれども、どういう人がどう入力したかを何らかの形で評価していかないと、検者間信頼性とか、そういうもの以前の、とにかく体系的な専門職としての教育を受けていない方々が、言われたまま入力するというケースが非常に多いわけですから、それは果たして信頼していいのかどうなのかということがありますので、どの程度まで研修なり何なりをやっていかない限り信用できないのかというチェックをかけることをどこかで研究なり検討なりをやらないと、ひょっとしたら、意味のないデータが膨大に入っていくことになるかもしれないという点は少し危惧するところです。
以上です。
○鳥羽座長 研修は重要かもしれません。
葛西参与。
○葛西参与 関連して、7ページ目に、多分、この場では私だけがずっと鬱々と思い悩んでいる文章がありまして、(2)の上から2つ目の事業所におけるシステムとの連携等によって大きな負担なくという話と、インセンティブがある話は全く同じ意見で、そうなのですけれども、実は、システムの構造上、何で連結の話までしたかというと、もうちょっと丁寧に言うと、例えば、自治体経由でデータを収集していくかとか、被保番も、例えば、オンライン資格確認のシステムの基盤を使うかとか、システムの連結の経路が複雑に絡まっています。
その上で、エンドポイントにある、エンドポイントというのは現場ですね、介護現場にあるデータのマスターも当然アップデートしてあげないと、間違っているデータになるかもしれない。当然、チェックをするとなると、チェックのデータをエンドポイントにある端末に送らなければいけないとか、一連の非機能要件というのですけれども、性能要件ですね、ターン・アラウンド・タイムを正確にはかっていかないと、実は看護現場で入れているデータのチェックも正しく動かなくなってしまうということがあるのですね。医療のレセプトのシステムからNDBに至るまでのターンアラウンドは、膨大な量のシステム構成をもって動いている状態なのです。それよりももっと複雑、まさに医療よりもはるかに複雑な方程式をアップデートするのだというのがこの1行で書かれているのをまず御理解いただいて、そんなに簡単ではないのだよねというのと、それはどこかで真面目に実証研究しないと、私としては、例えば、入力したときに平均値よりもちょっとディテクションされていますよとか、もう少しこういうことにケアを払ったほうがいいですよというのはすぐ出るほうがいいという要望があるのは当然わかっているのですけれども、それを実現するシステムのプロトタイプを何らかの実証事業で徐々につくっていかないと、急にはでき上がらないということをお伝えしつつ、皆様の思いをすくいながら何とかつくろうと思っている次第でございます。
○鳥羽座長 それはどこの省が所轄しますか。
○葛西参与 基本的に厚生労働省なのですね。老健局だけでやるような話では全然なくて、複数の局が絡んでいます。下手すると、オンライン資格確認になってくると、他省も一部関係していたりするので、全ての部局、少なくとも厚生労働省内でちゃんと部局間の調整をした上で、どういうルートでシステムが絡まっているのかということを我々は可視化してやらなければいけない。自分で言いながら、自分に宿題を振ってきているというだけなのですけれども、そういう事情があるということを御協力いただければというだけです。
○鳥羽座長 よろしくお願いします。
秋下構成員。
○秋下構成員 別の厚生労働省の会議に出ておりまして、遅れて失礼いたしました。私は解のない老年病科という医療現場で働いておりますが、医療現場に必ずしも解があるわけではないのですね。高齢者医療の診断、治療においても、基本的にはエビデンスがない場合が多いわけですから、解がないというのが現実だと思います。私どもは特に、介護現場と医療現場を行ったり来たりする患者をふだん見ておりますので、その前の医療情報がない人が来て、どうだったのだろうということから始まって、またそういうところにお返しする。そのときにしっかりとした医療情報もつけてお返ししなければいけませんし、介護現場においてどういう生活をしていただくのかを踏まえながら医療をしているというところが特徴でございます。そういうことでこの会議に入れていただいたと思っております。
この会議が始まる前のヒアリングのときに、ポリファーマシーの問題を入れていただけないかと。つまり、薬が要介護状態をつくっている例が少なからずあって、そこを見直すことで、いかなるケアよりも、もしかしたら効果の高い結果が得られる可能性はあるということで、例えば、老健施設などでは薬の見直しが行われています。そういう意味では、今回の取りまとめの中に、薬剤情報、服薬情報を入れていただけることになったというのが、経緯はよく存じませんが、うれしく存じます。そのことを特に評価させていただきたいと思っています。
厚生労働省医薬・生活衛生局で取りまとめている高齢者の医薬品適正使用の指針というのがありまして、つい最近、「各論編(療養環境別)」というのが出ました。介護現場もさまざまあって、医師が常駐している介護施設と、常駐していない介護施設、それぞれによって、薬の見方も違うといったことを指針に取りまとめたものでございまして、老健局でもきちんと見ていただいて、そごのないような形にしていただいた。そういうものを一方でつくっているので、今回の服薬情報が入ることで、医療、介護が一体的にデータとしてもつながってくるところが見えてきたかなと思っております。
それで、以前に全老健が老人保健施設で行った調査で、薬剤情報をマニュアルで入れていただくと読み込めなくなるという問題がかなり指摘されまして、そこは今後考えなければいけないかなと。医療機関、特に薬局などでは、バーコードやQRコードで薬品情報がわかるようになっています。薬局の服薬情報や処方箋などにコードがついているケースも結構多いので、そういうものを読み取れるような仕組みをひとつ考えていただければ、介護現場の薬に詳しくない方が一生懸命薬を調べながら、あるいは間違った薬の名前を入力されるということが減るのではないかと思います。
○鳥羽座長 ありがとうございました。
どうぞ、近藤先生。
○近藤構成員 薬剤、薬物、特に錠剤などの判別は、多分、写真を撮ってAIにかけたほうが早いのではないかという気がいたします。そういうこともちょっと考えていただければありがたいなと思いました。
○秋下構成員 薬関係でもそういう話も出ていていますが、多分、技術的には十分できると思います。ただ、それは別のところでやっていただいた上で、そのシステムをこちらでCHASEが取り込むという方式に発展するべきではないかと思っています。ありがとうございます。
○鈴木構成員 いろいろ議論を聞いていて、各論的に、先ほど既往と原病歴という話がありましたけれども、例えば、認知症などの既往といっても、処方ベースなどで見ていると、現場では認知症が過小診断をされている。介護現場に来ていても、明らかに認知症の症状があるにもかかわらず、認知症という診断がついていないケースがかなりあるものですから、書面ベースで既往歴として記載がないから認知症がないということは絶対ないと思いますし、それから、この文面の中で、主治医の意見書をベースに、例えば、既往歴とか、原病歴をということですが、実際の主治医の意見書で記載できる既往とか原病歴の、物量的なスペースも限られていますし、自分自身が意見書を書いていても、介護に関連すると思われるところの疾病とか、既往歴、原病歴しか書いていないものですから、主治医意見書自体が情報としては非常に不足の多いものですので、それを頼りにデータベースをつくることは非常に危ういと思います。
あと、私の理解では、科学的な介護は、先ほど言われたエースの介護職の匠のわざを普及することも非常に大きな意味があると思いますが、最終的には、介護需要が今後ふえることはあっても減ることはないわけですので、介護の技術とか、それによるアウトカムの標準化とか均てん化のためのデータベースだと思いますので、エースの方の匠のわざをベースにした何らかの知恵を介入に生かすことも大事だと思いますが、やはり標準化というのがまずあると。実際に、きょう、収集のために抽出された項目をモデル事業としてやること自体は非常に意義があると思いますが、せっかくですので、その治験をもとに、恒常的に運用できるためにはどうしたらいいのかを考えていくべきかなと思います。
できたデータセットを収集するタイミングとして、どういうタイミングかということを考えますと、実際の介護の実務に負担を生じさせないということになると、私が考える限り、フォーマルな介護の枠組みの中に入っているのであれば、介護保険の訪問調査は確実に半年から2年置きにやるわけですので、そこでこのモデル事業などで得られた治験をどうやって効果的に織り込むのか、そこでの調査項目と、介入内容自体は本当に多様性があるけれども、基本的にはやはりケアプランだと思いますので、それを各訪問調査の時系列において、その間に提供された介入内容としてのケアプランがどうこの項目に影響を与えたのかということを検証するということ。やはり訪問調査自体は原則全数がカバーできるということで、そこに何とか反映されるのが方向性としては望ましいのではないかと思います。
以上です。
○鳥羽座長 いかがでしょうか。どうぞ、木村オブザーバー。
○木村オブザーバー 先ほど来、おっしゃっていただいたように、収集する仕組みというところで加算につながっていくのかなと思うところがありますので、実際加算をつけたところで、加算を取れるかどうか、取るだけの手間を考えてしまうと収集もうまくいかなくなってしまうのではないかと思います。いずれにしても、現場は、先ほど先生がおっしゃっていただいたように、これをどうして取るかということの意味まできちんと理解しないでつけなければならないような状況があったり、そのためには研修なども当然必要になってくると思います。
いずれにしても、我々老祉協としても、介護の質を上げるために、科学的介護ということを、エビデンスに基づいたということをずっとやってはきました。ただ、現状では、介護の専門性を高めることで、介護自体が、隣のおばちゃんでもできる仕事ではないのだということを言いたいがために質の向上をしてきたわけですけれども、現実的には隣のおばちゃんの手もかりなければならないほど、現場の人材の確保の厳しいところは当然ありますし、そういったことを考えると、収集の仕組みが単なる加算をつけてということになると、加算を取るためにこの負担をかけるのだったら、もういいかなと、最終的には収集につながっていかないような気がするので、先ほど先生がおっしゃったように、本当に簡単に収集できるような、そういった仕組みをあわせて構築しながらでないと、ちょっと難しいかなと思いました。
○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。言い足りない人はいませんか。
まだちょっと時間があるのですけれども、いろいろな御意見をいただきまして、ここによくまとめられているように、適時適切な介護をするために、科学的なエビデンスのある測定項目を入れて、利用者に返していく。ケアをする人が内容を十分理解すれば、自分がこうしてあげていることが正しいのだというか、その満足感と、そういう人を技術的に、あるいはケアの人のライフの中で評価するような仕組みとか、私は実はむしろポジティブに考えていましたけれども、いずれにしても、そういう中では、先ほどから項目自体の意味が十分わからないというのがあって、それは私もすごく反省しているのですが、例えば、ADLにしても、1項目ずつが生活の中でどういう意味があり、認知機能はどういう意味があり、意欲もどういう意味があるかということが、もっと研修なりというか、実際にケアをしている人たちの上の人が十分伝達講習できるような仕組みをつくらないと伝わっていかないと思いました。
それは、今回やる上で、CHASEの使い方、CHASEの意味といったものを、私なりにそれを意識してポンチ絵は描いたつもりなのですが、もうちょっと細かく、栄養が悪いときにこれをはかるのはどんな意味があって、実際、写真で、低栄養の人はこういう病気になったりということがわかるような、そういうものが必要かなと思いまして、それがいいのができれば、即現場で評価の意味がわかると思います。
ただ、物差しとしては、今回は非常に荒っぽいものばかり出させていただきました。長谷川式にしても、10点以下はほとんど信頼性がなくなってきますので、まずは言語コミュニケーションといった反応でのスケールを私は開発しましたが、それがさらにできない0点の人でも、スキンコンタクトという、介護の現場で、なでてあげたりすると反応する、表情が変わるということのスケールも実は私はつくっているのです。ですから、床効果、反応が言葉であらわせられないようなうれしさは、医療と全く違う、慢性期を見ていって、ケアの人や本人の反応というものを、実はいろいろ考えている人もいるのだと。そういう意味をケアの人たちも十分、介護の科学化の中で勉強の成果を共有するような仕組みもつくらなければいけないと思いました。
ほかによろしいですか。なければ、今回の皆様の意見を踏まえて、足りない部分は事務局で補ったものをということで、座長一任をしていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○鳥羽座長 それでは、少し早いですけれども、これで事務局にお返しします。どうぞ。
○石丸老人保健課課長補佐 それでは、本日は御議論いただきましてありがとうございました。
それでは、閉会に当たりまして、鈴木医務技監から一言お礼の言葉を申し上げます。
○鈴木医務技監 検討会の取りまとめに当たりまして、御礼とお願いを申し上げたいと思います。
この検討会第1回は平成29年の10月ですので、2年近くにわたり、本当に長い間、先生方に御熱心に御討議いただきまして、まことにありがとうございます。思い起こせば、介護保険自体ができたのは約20年前ですけれども、今までの高齢者がふえていくフェーズの介護保険と、これからは高齢者がふえるというより、むしろ働く人が減っていく、比率的に高齢者がふえていくという介護保険と、やはり質的にも違うと思います。そういう中で介護保険の持続性を確保するためには、生産性も向上させないといけないですし、働き手の確保という話もありましたけれども、働き方改革もしないといけないし、さらには介護の質の向上もしなければいけない。そういう意味で、非常に複雑な連立方程式ですけれども、それを解くにはやはりこの科学的介護がないとどうしてもできないと思います。
きょうの御議論をお聞きしていて、3つか4つのことが非常に大事だなと思いました。1つは、実際、入力させる方の負担、もしくは負担感を減らすということですね。実際に項目をどうするかは、鳥羽先生もおっしゃったように、どういう省略ができるかということもモデル事業の中でやるべきだと思うし、それから、入れている意味がわからないと負担感が増すということもあると思いますから、その点でも研修等も必要だと思います。
もう一つはフィードバックということですけれども、これがないと、そもそもやる気が起きないということもありますし、恐らくこれは介入のほうのデータが主かもしれませんが、実際にそれが返ってくると、自分の施設の立ち位置がわかって、例えば、これはやり過ぎていたなとか、これはちょっと足りなかったではないかというところも振り返れるということですので、非常に大きいと思います。
最後は、国際的な視点だと思うのですけれども、私、実はきのうまで中国におりまして、中国はもはや65歳以上の人口が日本の人口より多いことになっていまして、ひとりっ子政策の影響もあって、今、非常に高齢化が進んでいるのですね。今、全国で15カ所と言っていましたけれども、モデル的な介護保険を始めているのですけれども、まさにそういうところに日本の介護を理解してもらうには、データがないと難しいと思います。そういう意味では、国際的にも通用できるというのは非常に大きいことだなと思います。
一つ、松田先生初め何人かの方がおっしゃっていた介入のデータが必要ではないかと。状態像だけではなくてですね。これは私は2つあると思うのですが、ケアマネがやっておられるような、どういうサービスの組み合わせにしたかというのも一つの介入です。これは多分、介護のレセからわかると思うのですが、ただ、実際に、例えば、デイサービスだったらデイサービスの中で、どんなサービスをどのぐらいの頻度でどのぐらいの期間やったかというところをわからないと、実際の状態像との関係はわからないと思うので、ぜひそれもモデル事業の中でしっかりと見きわめたいと思います。
今後、CHASEをさらにつくっていってモデル事業をしていく中で、先生方に引き続き御指導、御支援を賜りたいと思いますので、よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
○石丸老人保健課課長補佐 それでは、ありがとうございました。それでは、閉会とさせていただきます。
○鳥羽座長 とりあえず、ありがとうございました。何とか収束に向かいましたが、今後、項目の意味の説明、それから、研修など、また先生方にお世話になると思いますので、逃げ出さないようにしていただいて、よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
 

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