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2019年6月21日 第8回科学的裏付けに基づく介護に係る検討会議事録

老健局老人保健課

○日時 令和元年6月21日(金)16:00~18:00

○場所 TKP東京駅大手町カンファレンスセンター ホール22G
     (東京都千代田区大手町1-8-1 KDDI大手町カンファレンスセンター)

○議題 収集項目選定のためのヒアリング等

○議事

○石丸老人保健課課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第8回「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」を開会いたします。
皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
構成員の出欠についてでございます。本日は、秋下構成員、近藤構成員、武田構成員、福井構成員、八木構成員が御欠席ということになります。
また事務局でございますけれども、局長の大島は所用のため、欠席とさせていただきます。
カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、報道関係者の皆様はよろしくお願いいたします。
続きまして、本日の議事資料を確認させていただきます。本日もペーパーレス会議ということで、お手元のタブレット端末にPDFファイルを御用意しております。基本的な操作方法はお手元に説明書を紙で御用意しておりますので、何かございましたら事務局スタッフにお声がけをいただければと思います。
では、本日の資料について確認させていただきます。お手元のタブレットをごらんいただきまして、まず、議事次第という名前のファイルをお開きください。本日の議事と資料一覧が記載されております。
戻っていただきまして、資料1~4ということで、本日ヒアリングさせていただく構成員から御提出いただきました資料。
それから参考資料ということで、近藤構成員、三上構成員からの提出資料ということで御用意させていただいております。
もし、不備等がございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。
それでは、特に問題がないようでしたら、これより先は鳥羽座長に議事進行をお願いできればと思いますが、よろいでしょうか。
○鳥羽座長 皆さん、こんにちは。蒸し暑い中、ありがとうございます。
本日は、そろそろ議論を収束に向けていく大切な会議でございます。もとより、この会議の目的はエビデンスがまだ十分とは言えない介護の世界におきまして、医療・医学的な観点も踏まえ、よりエビデンスを蓄積して科学的にやることによって、利用者様の満足あるいは機能の向上に資することが第一義でございますが、同時にこれらは介護の現場の人たちの労働力など、あるいは働き方といったものも踏まえていかなくてはならないということで、本日のヒアリングにおきましても、各分野の先生方にその趣旨を十分御理解いただいた上で、プレゼンテーションしていくことになっております。
わかりやすく言えば、ノアの箱舟みたいなもので、たくさん乗せていけば豊かなものができるわけですけれども、たくさん乗り過ぎると、現状ではまだ舟が沈没してしまう可能性もあるということで、その辺のバランスをとった科学的介護のあり方についてヒアリングを開始していきたいと思います。
本日は、次第に従って総論の項目について松田構成員から、また、認知症については私から、口腔については海老原構成員から、栄養の項目については利光構成員から、約10分間のプレゼンテーションをしていただきます。また、追加資料についても後からやる。その終了後、一点一点について御質問がどうしてもあれば、なければまとめて順番に上からやっていくという議事を図らせていただきますが、よろしいでしょうか。
それでは、松田構成員が少しおくれているということで、前座といたしまして、私の資料を開いていただきたいと思います。
認知症領域における収集項目の検討でございますけれども、まず、認知症があるかないかといったことをどうやって把握するか。それは、診断別にケアの内容を検討して、進行度をどうやって把握するか。それから、認知症の進行度をケアニーズからどのよう推測するかといった観点。そして、認知症に対するケアを実施してアウトカム評価をどうするかといったことで、最終的な候補を周辺症状のDBD13と、身体的ケア効果の判定としてVitality Indexの項目を挙げてございます。
3ページを見ていただきますと、認知症領域で介護事業所から収集する項目として、大別して2つを検討。まず、どうしてもスクリーニングに必須な項目と、ケアに生かす項目でございますけれども、通常、認知症の程度のスクリーニングには、長谷川式認知症スケールか、Mini Mental State Examination(MMSE)が使われるわけでございますけれども、これらを最低限やるにはどうしたらいいかということで、復唱、桜、猫、電車といったものを言ってもらって、少しあいた後また言っていただくのを遅延再生といいますが、遅延再生ができればMCI程度、前段階です。復唱ができなければ一定以上、15点以上ということで、かなり進んだ状態というような形で、まずスクリーニングをかけたらどうかというわけです。
参考資料として、初期症状として同じ話をしたことを指摘されるのと、きのうの夕食が思い出せないが同程度ですので、このようなことを利用されるのも結構だと思います。
次に、ケアに生かすために、どのような認知症がどのような特徴があるかを少しずつ勉強していただきまして、日常の中の挨拶や場所や時間のこと、意欲、あるいは転びやすい、排尿障害などによって、どのような認知症が一番当てはまりやすいか。それによって推測した上で、ケアに生かすといったことが参考資料に書いてあります。
6ページの参考資料は、いわゆるMMSEですけれども、長谷川式と全く変わりありませんが、30点満点で24点から12点まで斜めの階段を使ってありますが、物忘れ外来に来る程度は19点くらい、老健施設では大体12~13点が平均だと思うのですけれども、次第に生活が不便になっていって、家事援助というデイケアレベルから入所レベルになってきまして、最終的に15点になりますと体が洗えなくなって食事の介助、10点になりますと尿失禁というものが平均的に出てきますので、このような形で大まかに認知機能の低下を推測して、ケアニーズに生かすのがいいのではないかと。
そして、同時にADLでも入浴と排尿の自立といったもので区分したとき、両方が依存した場合には、Barthel Indexが50点くらい、半分くらいになりますので、わかりやすいということになります。
また、障害老人の自立度、JABC rankとBarthel Indexともかなり相関がよくて、大体Barthel Index35点でいきますと、B2レベルに落ちてくるということで、要介護3くらいに該当することがわかると思います。
次に、認知症のケアに生かす項目ですけれども、認知症のDBD13といったものが実はフルバージョンでは28項目なのですが、ケアによってこれらが動く項目はこの13項目だけでありまして、8ページを見ていただきますと、認知症短期集中リハビリテーションのときにどれが動いたかということでございますけれども、軽症では右の10項目程度、中等症では6項目程度にケアの効果が判定できます。したがいまして、今後、モデル事業でやっていくときは、ため込み、常同行動、散らかしなどといったものを除いてやっても構わないのではないか、DBD11でも構わないのではないかと思います。
次に、意欲ですけれども、認知症の身体ケア効果の判定する項目は、朝起きて「おはようございます」と言うものと、食事の意欲と排泄の意欲、リハビリの意欲で、90秒くらいでいかせるものでございます。
これらは、よく見ている方では非常に簡単に判定できるものですが、10ページを見ていただきますと、もし1項目だけ選ぶのであれば、一番鋭敏な0、1、2が分かれるものは挨拶でございますので、御利用者さんのところに行って自発的な挨拶があるかどうか、あるいは問いかけによって挨拶が返ってくるかどうかということだけで判定するのも一つの案でございます。
したがいまして、非常に絞っていくことになりますと、スクリーニングに必要な項目は11ページのようなところでございます。また、ケアに生かす項目は、今言ったところでございます。
12ページの参考資料につけてありますのは、CGA7といいまして、意欲が1項目、挨拶だけ。そして、先ほどの復唱と遅延再生が入っていまして、入浴と排泄といったものでADLも推測できるものでございます。
これらを用いるかどうかについては、議論でございますけれども、私の最終的な今回の御提案では、全ての事業所でやるものは、復唱と遅延再生だけの長谷川式の一番ショートバージョンを用いまして、また、意欲については挨拶で収集していってはどうか。モデル事業で周辺症状を集めまして、どのような項目が悉皆調査で残っていくかを見ていったらどうか、という非常に簡単な項目です。
そのほか現在、老健で使われておりますR4というものが、認知症について周辺症状なども含んだ数項目でいいものがございますので、これらを試行的にやった上で遅延再生と復唱と意欲の挨拶だけを今回はやったらどうかと。全部で、認知症で6項目以内といったところが私の御提案でございます。
以上ですが、これに関して何か特に御質問や御意見はございますか。
では、後ほどまとめていただくことにして、それでは、松田構成員から総論の項目について、説明をお願いいたします。
○松田構成員 松田でございます。
私は総論というところですので、まず、2ページ目ですけれども、科学的裏づけにおける介護の考え方については、この3つが今までの委員会で言われてきたのだろうと思います。
1つ目、エビデンスに基づいた自立支援・重度化予防等を進めるためには、エビデンスに基づいた介護を実践しつつ、科学的妥当的のある情報を収集・解析する、ここがポイントだろうと思います。
ただ、介護領域では、医療における治療効果や副作用といったわかりやすいコンセンサスが必ずしも存在しないので、例えば、QOLみたいなものになってきますと、個々の利用者さんでさまざまな価値観があります。こういうものをどう考えるかということが今回のポイントだろうと思っています。
総論につきまして、項目を私なりに少し考えてみました。
まず、ADLですけれども、ADLで示されているのが居宅訪問チェックシートですが、これは各介護支援専門員が既にそれぞれ使用しているADL項目と重複する部分がかなりありますけれども、改めて収集する必要があるかどうか、ここがポイントになるかと思います。ただ、もしこれを全部とるのであれば、項目が共通であるというメリットがありますので、分析上は役に立つだろうと思います。その次は全く同じです。
今度は、ADLをとるに当たって、参考資料5のP31の内容というのは、各項目とそれぞれの調査項目で、どういうアセスメント手法で何に対応しているかが書いてあるわけですけれども、ポイントになるのは、もし、これでやるのであれば、異なったアセスメント手法間で評価の仕方が違いますので、評価の項目間の対応表を作成することが必要になるのだろうと思います。ただ、現時点でいろいろな方がいろいろなアセスメント表を使っていくことを考えると、この研究・検証等を行いつつ、現時点では各アセスメント方式について任意に選択して入力できる仕組みで当面はいいのではないかと考えました。
次が、Barthel IndexとFIMのところなのですけれども、いずれのツールも各種加算や医療保険制度で既に使用されています。例えば、Barthel IndexであればDPCのほうで集めていますし、FIMもやっているという形になります。ただ、ちょっと古いのですけれども、広く使われているという意味ではBarthel Indexを共通のADLアセスメントツールとして用いてはどうかというのが私の御提案です。
それともう一つ、Barthel Indexは古いという問題はあるのですけれども、評価に当たって既知の文献が数多くありますので、科学的検証には向いていると考えられますので、将来的には共通アセスメント項目として各種アセスメントツールに組み込むことの可能性もあるのではないかと考えています。
続きまして、基本的な事項等ですけれども、まず、飲んでいる薬ですが、薬に関しては対象者の状態悪化リスクを把握する上で非常に重要でありまして、我々のいろいろな研究でも大事だということがわかっていますので、収集すべき項目であると考えます。特に主要な既往歴、骨折や誤嚥性肺炎等感染症、認知症、褥創、脳卒中、虚血性心疾患といろいろありますけれども、この情報の取得は必須だろうと思います。薬剤に情報につきましては、将来的にナショナルデータベースと連結すると、これはちゃんとつながることがポイントですけれども、どういう薬を飲んでいるかということがわかりますので、将来的にはそれでもいいのかもしれません。
あと、在宅復帰の有無等の情報取得に当たっては、同居人の数、本人との関係性が重要になりますので、そういう情報がとれるかどうかということも前提だろうと思います。
身体介護・生活介護のコード分類なのですけれども、これは実際に今やっているわけですが、とれるのであれば望ましいと考えています。これがあることで、例えば、ICHIとかICFとのひもづけもできますので、これがとれるのであれば、非常にいい情報だと思うのですが、細かい情報をとることが現場に過度の負担を強いることにならないかということは少し考えていただけたらと思っています。
その他の事項についても少し述べたいと思います。
まず、興味関心チェックシートの項目ですけれども、これをとるかとらないかということですが、興味関心チェックシートの項目は、把握する項目の網羅性や普遍的な分析可能性からCHASEの項目として全ての入力を要求することの適切性を再検討する必要があるのではないかと思っています。
例えば、細かいことで申しわけないですけれども、趣味のところで俳句とあるのですが、詩吟や短歌はないんですよね。本当にくだらない話なのですけれども、多分これだけで網羅できるものではないと思っています。もし仮に、自由記入を設けていると、多分自由記入欄をさらに処理するという作業が出てくるので、これはちょっと大変だろうと思っています。ただ、一方で、興味関心チェックシートをまとめて、例えば、興味のあるアクティビティがあるかないかとか、行っているアクティビティがあるかないかというものを把握する程度であれば、それで十分ではないかと思っています。
個々の項目につきましては、各アセスメントのところで個別の事業者レベルでやっていただければいいことではないかと思っています。これに関して少し研究をしたことがありますので、後で説明したいと思います。
あと、今回もCHASEでやるわけですが、ほかの仕組みとの情報の共通性も考えていただく必要があるだろうと思っています。例えば、厚労省で今、見える化システムを運用しているわけですけれども、その中で一部の自治体が日常生活圏域ニーズ調査というものを入れています。その項目は、それぞれの地区診断に非常に役に立つものだろうと思うのですが、地区診断の結果と今回CHASEで集めた結果を合わせることでいろいろな分析ができると思いますので、そういう意味で項目の共通化は意識されたほうがいいのかなと思います。
その上で、日常生活圏域ニーズ調査ですけれども、こんなことを言うと失礼ですが、最近、厚労省のハンドリングが甘くなっていて、皆さん項目を勝手に変えられているんです。実は基本チェックリストも老研式活動能力指標も、今までいろいろな研究の積み上げがあってやられているものなので、項目を勝手に変えられてしまうと点数の計算等ができなくなって、ほかの研究との比較ができなくなってしまいます。そういう意味で、そこは少し意識されたほうがいいと思います。
QUICK8は飛ばしたいと思います。
実は、こんな研究をやってみました。日常生活圏域ニーズ調査でやっているデータを使うと、IADLとか知的ADLとか社会ADLとか主観的健康観、QUICK8とか生きがいとか運動機能とかいろいろものが調べられます。これを使うと、各地区診断がこんな形でできるわけです。これは3つの日常生活圏域の結果を示していますけれども、例えば、生きがいで見てみると、A生活圏域はかなり高いのですけれども、B、Cになると低くなるという結果が出ています。
例えば、閉じこもりがあるないで見ますと、閉じこもりがあると全部悪くなってしまうんですね。
また、抑鬱傾向があると、やはり悪くなります。
次が、認知症リスクがあるかないかで見てみても、やはりある人の方がIADLから全て悪くなります。
次を見ていただきたいのですが、ちょっと逆になってしまうのですけれども、趣味がある人とない人を比較すると、このくらい明確に出てしまうんですね。日常生活圏域ニーズ調査のデータは、趣味に関して何が趣味の対象か、生きがいの対象かという項目もとっています。でも、そこでクロスし過ぎてしまうと、何をやっているか全然分析できなくなってしまうんです。グロスで趣味があるかないかと、生きがいがあるかないかだけで十分出てきますので、そういう意味で地区診断とか個別のいろいろな評価では、このくらいのレベルでいいのではないかと思っています。
あと、傷病をとることの重要性はかなりありまして、医療と介護をくっつけて要介護度別に在宅要介護高齢者がどういう傷病を持っているかをレセプトで分析してみたのですけれども、これだけいろいろな病気を持たれて在宅で過ごされています。全国老人保健施設協会(全老健)でやった調査でも明らかになっていますけれども、例えば、要介護度が悪くなって、転倒があったり、脱水があったり、肺炎を起こしたりすると物すごく悪くなります。実は誤嚥性肺炎などを起こす人は、半年前に介護保険を使っている人が7割以上です。股関節骨折を起こす人も大体半分くらいです。ということは、そういう病気のある人たちはリスクがあるわけなので、そのリスクに関する情報をきちんととっておかないと、ケアマネジメントのよしあしの評価はできないだろうと思います。
介護ケアの当初は、脳血管障害、骨折、認知症の三大疾患でやってきたわけですけれども、今、実は心不全やがんという病気で介護保険を使う人がふえてきていますので、そういう意味では傷病の情報をとったほうがよかろうと思います。
コメントはそこに書いてあるとおりですけれども、ADL、IADLにつきましては類似項目を重複して収集する内容になっています。幾つか割り切りが必要だと思うのですが、必須収集項目について調査票間での評価の対応表をつくって、アウトプットを統一するという工夫が必要なのかなと思っています。それをやりながら将来的に統一していけばいいのかなと思います。
ADLに関しましては、今、報酬等の仕組みの中で活用が進んでいるBarthel Indexを最小限の項目として、将来的にはアセスメント手法間の評点の対応表を研究して作成していくことが必要なのかなと思います。
あと、今述べたことですけれども、CHASEで集めるデータというのは、個人レベルの科学的介護の実現に資するものであると同時に、地域単位での評価にも使えるものにすべきだろうと思っています。そういう意味で、既存の公的仕組みの見える化システムで集めている認定調査票や日常生活圏域ニーズ調査の結果、基本チェックリストの項目と類似調査項目については同じフォーマットとしたほうがいいのかなと思います。
コメント(2)ですけれども、高齢化の進行に伴って多様な傷病で介護を利用する高齢者が増加しています。傷病の種類はケアマネジメントの内容に影響を及ぼしますので、傷病情報もあわせてとる仕様とすべきだろうと思います。そういう意味で、主治医意見書がおおむね大体電子化されているものをわざわざPDFで出しているという状況ですので、それを電子化して使うこともありなのかなと思います。
介護サービスの生産性向上には事務作業の省力化が不可欠です。また、将来、外国人介護労働者が増加することを踏まえると、調査の事務負担を軽減するという視点も必要ですので、項目の絞り込み、用語や評価の仕方の明確化。医学用語の場合は、割と同じ用語であれば同じような印象を持つのですけれども、介護の用語というのは認識がバラバラになってしまっているところがあるので、そこを明確にすることも必要だろうと思います。
データ項目については、国際化も視野に入れてICF及びICHIへの対応を考慮する必要があると考えています。
以上です。
○鳥羽座長 どうもありがとうございました。何かこの場で御質問はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、次に、口腔項目について海老原構成員、お願いいたします。
○海老原構成員 それでは、口腔・嚥下領域におけるCHASEにおける収集項目の検討について、発表させていただきます。東邦大学の海老原でございます。
まず、スライド2枚目ですが、事業所から収集する項目の分類としましては、以下の3種に大別して検討してはどうかということです。
マル1、できるだけ多くの事業者から収集すべき項目。マル2、加算対象など特定の事業者から確実に収集すべき項目。マル3、収集項目として必要性があるものの、まずはモデル事業などの対象とすることが必要である項目の3種類に分けて考えてみたいと思います。
まず、マル1できるだけ多くの事業者から収集すべき項目でございますが、口腔・嚥下領域、口腔機能、嚥下機能があって、その帰結として何を食べているかというのが重要なのだと思います。それが機能のアウトカムというかリザルトでありまして、したがって、嚥下機能・口腔機能の端的な指標としては、入所者が食事でどんな形態で食べているかが非常に重要かと思っています。介護サービスの観点から考えましても、入所者に対して適切な食事を提供し、それを維持し続けるということが非常に重要なことかと思います。安全に食べさせてあげるということが非常に重要なことですし、また、その食べている食事の形態そのものが、その患者さんの口腔機能・嚥下機能そのものですので、それを追うことによって、患者さんの口腔機能・嚥下機能の変化も追えるという側面がございますので、まず最初にそういうことが重要なのではないかと思います。
そして、入所者の食事というのは、入所したときに一番最初に必ず食事伝票またはDMとか腎臓病がありましたら、療養食、食事箋などで必ず記載しなければならないことで、それが記載されないと始まらないので絶対伝票は存在しているので、データそのものはあります。ただ、そういった意味では、その人がどういった食事形態、例えば常食とかおかゆ、ミキサーとか、主食だったらそのように分けられますし、副食でも普通、きざみ、ミキサーとか極きざみといったものを、どこの施設でも必ずそれを決めないと入所生活が始まりません。施設によって用語が違うかもしれないけれども必ず存在しているものではありますので、まず、それが非常に重要かなと考えております。
もう一つは、誤嚥性肺炎の既往があるかないか、口腔・嚥下機能の重要なポイントとしては、肺炎を起こさないでということがありますので、そのエンドポイントとしての誤嚥性肺炎の既往がありますと、肺炎を繰り返すおそれが非常に高まりますので、こういったことに注目することは非常に重要なことかと思います。
マル2の加算対象など、特定の事業者から確実に収集すべき項目としては、現行の介護報酬体系の中で介護事業者が加算要件として一定の様式を作成し、利用者から取得している項目が複数あります。様式例と同じ項目であれば、新たな入力の手間をかけることなくデータの取得が可能ではないかということで、基本的に提出を必要とする項目と任意提出する項目を選定するのが現実的と思います。
その具体例ですが、基本的に提出を必須とする項目では、かかりつけの歯科医の有無とか、入れ歯の有無、嚥下機能検査による評価結果があればそれを書く、多職種会議への参加者、どういった多職種会議の参加者がいるかというのがあれば、それを書くということでございます。
それらの加算の資料は、8ページ目以降に参考資料として、口腔機能向上サービスに関す申請様式として、また、経口移行・経口維持計画の申請の様式として、こういった様式に書き込んで加算を請求することになっております。
任意提出するとする項目としましては、RSSTというものがあります。30秒間に自分の唾液を何回飲み込めるかということです。オーラルディアドコキエシスとして「パ」「タ」「カ」を何回言えるかということがあります。こういったものが加算の項目に含まれますので、可能性としてあるのではないかと考えています。
マル3でございますが、モデル事業等の対象とすることが必要である項目としましては、CHASEの収集項目として必要性はあるが、実際に収集する前にモデル事業などにおいて検討が必要ということで、これは実は先ほどのマル1の必ず収集したい項目と少しかぶるのですが、主食、副食、水分をどのような形態で入所者が毎日食べているかが非常に重要です。ただ、その前提としては、各事業所間において共通で用いることが可能な形態についての分類を整理することが必要だと考えています。これはちょっと難しい面がありまして、例えば、うちの病院でソフト食と言えば、芋とかを非常に強く加熱器で煮て、舌だけでつぶせるようなものをソフト食と呼んでいるのですが、よくある介護事業者でのソフト食というのは、ミキサーにかけたおかゆを少し凝集させて、おかゆゼリーみたいなものをソフト食と呼んでいたりするんです。言葉の間にいろいろな違いがあるので、そういったものをモデル事業などでうまく統一の方向に持っていくことが非常に重要なことでございますし、食事の形態などの言葉がある程度統一されていないと、介護サービスの均てん化がなかなか行われなくなるのではないかと考えて提案させていただいている次第です。
モデル事業の進め方についてですが、以上のような情報の収集に当たっては、必要な専門職の関与や各項目を評価するに当たって適切な研修などを実施することが必要であり、信頼性・妥当性の検証とあわせて、こうした観点も含めた検討を行うことが必要ではないかということが思われるわけです。
まず、そのようなCHASEに入力する職種がどういった職種なのかが、なかなかばらつきがあるというか、介護福祉士なのか、看護師なのか、ケアマネジャーなのかということがあります。もし、ばらついたとしても客観性が保たれるような研修や、あとは考え方としましては、モデル事業としてCHASEに入力するための適切なガイドラインみたいなものをつくるということが、実は一番最初の重要な項目、一丁目一番地なのではないかと考えている次第でございます。だから、実際のデータ収集に当たっては、データ入力評価のために必要なガイドラインみたいなもの、手引き的なものがあって、それをうまく研修する。また、研修においては座学やワークショップ、さらに広めるためにはeラーニングといったものもいろいろ考えていくことが必要ではないかと考えております。
以上です。
○鳥羽座長 どうもありがとうございました。
今、確認しておきたいことはございますか。では、後ほどの議論といたしまして、それでは、栄養の項目について利光構成員から、お願いいたします。
○利光構成員 よろしくお願いします。資料は4と4-1を準備させていただいています。
まず、資料4を見ていただけますでしょうか。1枚めくっていただきますと「1.CHASE(栄養)」と書かせていただいています。信頼性、妥当性、労力、国際比較、専門的視点に基づき選定させていただいております。また、栄養の項目につきましては、健診、医療、介護全てにおいて同じものを使用することから、現時点の評価であると同時に、経過に伴う変化について見られるようにと考えております。
3ページに「2.CHASE(栄養)に関するPC入力項目」と示させていただいております。この表の説明の前に、資料4-1の表を見ていただけますでしょうか。これらは初期の段階で提案させていただいた内容をほぼ網羅いたしておりますし、中間とりまとめに提示している分類から抜粋したものになります。もちろんこれにつきましては先ほど申し上げましたように、信頼性・妥当性を中間とりまとめのときに検討させていただいた項目としてのものでございます。
項目的にたくさんあるように見えますが、左端の上に青で項目を色づけしているところのみという御提案になります。
資料4に戻っていただけますでしょうか。項目のところを申し上げますと、実際にPCで入力する項目は、身長、体重など9項目でございます。9番目の血清アルブミン値につきましては、健診データ等があれば入力いただくという方法をとりたいと思います。また、1~9の項目につきましては客観的データとして登録することになります。ですので、現時点の評価であり、経過評価として見ることができます。
右側に「1-2 低栄養リスク要因かつ食事内容の調整指標」と書かせていただいておりますが、この1~10の項目につきましては、口腔ケアや嚥下機能、または生活の中でFIM等からとる項目と、ある程度類似のものがございます。ですので、実際に栄養の観点から入力すると申し上げますよりも、生活に関係する項目については、同類の設問から情報を引くという形で情報を得たいと思います。
PC入力に関して、実際には9項目御提案申し上げたいのですけれども、実際に使用いたしますデータというのは、これらの項目よりコンピューター内で自動計算いたしまして、実際の推定摂取エネルギー量、たんぱく質量等を推測する形をとりたいと思っております。詳細につきましては、先ほどの資料4-1の青印のところを見ていただけますと、入力画面と実際のとるデータと区分をさせていただいております。
また、加算等算定事業所の入力が望ましい項目につきましては、先ほど海老原構成員からお話がございましたが、経口移行・経口維持加算の算定状況の可否については、加算算定事業所の加算データを入力することによって食事の形態調整にそのままリンクでき、科学的介護につなげられるのではないかと考えております。
3番目のモデル施設で入力が望ましい項目ですけれども、これは骨格筋量、筋肉の評価に用いるということから、1番目に指輪っか。ただし、継続的な指標として医療データと連結するという前提であれば、下腿周囲のほうが望ましいのかもしれません。そのことから( )で書かせていただいております。また、2番目に握力、3番目は説明をしながらの実施ということで、食事相談の実施の有無と示させていただいております。
これらのデータは全て健診、医療、介護のデータ連結を想定したものです。「3.栄養データの保有」と書かせていただいています。現在までシステムの連結については余りお話しさせていただいておりませんが、栄養の情報は介護システムの中と直接食事を出している給食システムの中にデータを持っております。最初は手入力でCHASEを完成することはやむを得ないかもしれませんが、最終的には、このシステムよりデータを抽出し、自動的にそのデータをもって評価ができるようにと考えております。
次に「4.体重(標準体重)当たりの摂取エネルギー、摂取たんぱく質量の評価」と示させていただいておりますが、これは参考までに今現在、多くのガイドラインは標準体重当たりでどのくらいの栄養量を摂取すべきということが示されておりますので、このガイドラインに基づき行っていきたいと思います。
「5.介護分野における栄養データ分析の課題」というものがございます。前回の検討会でもお話がございましたけれども、介護側が行っている食事調整未伝達というものがございます。出していても実際に介助側が半分にしているとか、提供後、食事形態を調整していて、実際の栄養量と提供量が異なっている場合、また、嘔吐するから食事を残させているとか、食べこぼしが余りにも多いという形になりますと、自動計算では把握しきれない部分があります。、またこれに対して、データをとる側の標準化が必要になるのではないかと思っています。
最後に「6.今後の課題(提案)」でございますが、これは少し僭越な部分ではございますが、介護員さんから確認すべき事項が非常に多く、時間を要するという訴えをかなり聞いております。また、主観的な判断の中で気働きを求められながら、つまり基準があってないような状況で責任を課せられるということも多くにに相談を受けることがございます。それに伴い、もしPC入力によってデータを入力しなければいけないのであれば、また入れられるとするならば、不足があるとアラートなりの案内が出ていただけますと、介護側のデータ収集側もやりやすいのではないかということと、ある程度計画をして実施するということでの介護保険報酬ではございますけれども、ある程度このようなことを確認してくださいという初歩的な提示があれば、より科学的介護に近づきやすい、入力になると思います。このことは、栄養以外のデータも含めまして対応しやすいのではないかと思い、御提案させていただきます。
以上でございます。
○鳥羽座長 ありがとうございました。
それでは、全体に戻っていただきまして、ここからディスカッションに移りたいのですが、近藤・三上構成員から失語の重要性について参考資料を提示していただきましたので、簡潔にこの内容の重要性について御説明いただけますでしょうか。
○三上構成員 ありがとうございます。近藤構成員と連名という形で参考資料を提出させていただいております。
去年から始まりました、これまでの中間とりまとめの前のリハビリテーションという項目の中と、中間とりまとめに出された項目についてという形で、リハビリテーション専門職団体協議会に対して近藤構成員とともにヒアリングを行い、その結果、信頼性・妥当性があり、科学的測定を可能とする観点からの任意項目という形で提案させていただいております。かなり要点を絞って書いておりますので、記載どおりという形になっております。
その中で、コミュニケーションというところで、失語症の尺度という形で御意見をいただいた内容、BDAEというものを提案させていただいております。これは一定の専門職種でなくても失語症の中の尺度という形と、ある一定の基準があるため、これを用いてモデル事業、また任意項目として提案してはどうかという形で提案させていただいております。
この会議の中で参考資料という形ですけれども、御議論いただきたいところは大きく2点ございまして、2ページ目を見ていただきたいと思います。主に「総論的項目-イベント」というところで、中間とりまとめの中で転倒という項目があるかと思います。「転倒しましたか」「いいえ」「はい」「不明」という3点になっておりますけれども、各介護事業所の中で転倒の定義がさまざまではないかというところがあると思いますので、転倒という項目をとる上で、ふらついたり、どこを転倒とするかというところは、ある程度この検討会で議論した上でデータをとる必要があるのではないかというところが1点。
2点目という形で、総論の中のイベントというところで、自立支援の障害となる7つのハザードから取得しているかと認識しておりますけれども、ICFの中でいうと制限・制約のイベントであるため、何らかの活動と参加の実行状況として、外出回数・時間、または交流・活動をイベントという形で検討してはどうかということでコメントさせていただきました。
以上でございます。
○鳥羽座長 ありがとうございました。
それでは、先ほどからのとおりですけれども、本日プレゼンテーションいただきました順番に従って、御意見を拝聴していきたいと思います。
まず、松田構成員の提出していただいた必至な既往歴、ADL、基本チェックリストなどの地域項目、QUICK8などを御紹介いただきましたけれども、これについてまず、御意見・御質問はございますか。どうぞ。
○三上構成員 興味関心チェックシートのところで、少しコメントさせていただきたいと思います。
平成27年度、興味関心チェックリストが基本チェックリストも含めてサーベイのところに入って広く活用されていると思いますし、かなり総合事業または各地域の圏域においても、高齢者の意思を確認するというところでたくさん活用されてきていると思っております。日本作業療法士協会へもたくさん興味関心チェックシートのお問い合わせがございます。その内容を大きく2つに分けますと、この活用方法をどのように考えるかというところと、興味関心チェックシートの中身について文章として追加できないか、またはその他の項目としてどのように項目をふやしていけばいいか。松田構成員がおっしゃったとおり、基本チェックシートの活用方法がどうあるべきかというところは今後も検討だと思っておりますし、CHASEの議論を踏まえて活用されている興味関心チェックシートをどのようフィードバックして、また活用する、またはどういう科学的な検証をしていけば高齢者の健康等に寄与できるかというところが議論できればいいかなと思っております。
○鳥羽座長 松田構成員、それについて何かございますか。
○松田構成員 興味関心チェックシートは、私たちも分析したことがあるのですけれども、なかなか分析は難しいです。個別で全然違うし、本人もいろいろ変わってきてしまうので、要するに、やっているうちに好きなアクティビティが変わってきてしまうので、そういうものをどう評価するかと考えたときは、ざくっと、興味のあるアクティビティがあるないかという形でやったほうがいいのかなと思っているので、個人的にはあるなしぐらいでいいのかなと思います。
ただ、もちろん、今、自然言語処理なども簡単にできるようなってきているので、それを記録していただいて、それを集めるという方向性もあるとは思います。ただ、現時点ではなかなか難しいのかなと思うので、これは個々のレベルで活用していただくことで、ざくっと、大きなあるかないかという形でデータとして集めさせていただくほうがいいのかなとは思います。
○鳥羽座長 折茂オブザーバーどうぞ。
○折茂オブザーバー ADLのところなのですけれども、確かにBarthelは医療のほうでもある程度標準化されているとは思うのですが、介護の手間を見るような側面があって、一部介助とか見守りという概念が入っていて、そういう面では科学的というところでいくと、本人の状態像を直接見るという視点よりも、介護の手間の側面も評価されているのでどうなのかなという疑問が1つあります。でも、確かに医療のほうである程度使っているので、それを介護でも評価するという視点もわかります。
そんな中で、我々全老健的には、例えばICFステージング等で今行っていることを評価するという視点があって、これだと例えば前回のときにも出た、モニターでAIが自動的に評価できるという側面もあるので、そういう面ではBarthelとICFステージング、それ以外のものでも結構なのですけれども、そうしたものの相関みたいなものを見ながら、モデル事業等でどうなのだろうかというところも検討していけたらいいのではないかと思ったりもします。
○鳥羽座長 松田構成員、どうでしょうか。
○松田構成員 恐らくプロセスをやるということになると、状態像とプロセスと両方とるべきだということは賛成です。そういったときに、恐らく身体介護・生活介護のコード分類を今とっているわけですけれども、そことの整合性をどうしていくのか。多分、Barthelでやっているのはどちらかというとアウトカムとしての、どのくらい変化したかを見るものだと思います。FIM得点がそうだと思うのですけれども、今、折茂先生が言われたのはどちらかというと、やっている行為を見ていくということですから、そうすると、身体介護・生活介護のコード分類とどう整合していくのかとか、そこは少し検討すべきことなのかなと思います。現時点で今、身体介護・生活介護のコード分類という形でとっているものと、ICFステージングとの対応表をどうつくっていくかというものは、モデル事業等でやられるといいのかなと思います。
いずれにせよ、コード化の標準化は絶対に必要な作業だと思いますので、そこをどう織り込むかだと思います。
○鳥羽座長 非常に重要な視点だと思います。この点やほかについて、さらに何か御追加の御質疑はございますか。
では、私から。地域診断も非常に重要な視点ですし、そうかといって状態像を把握してケアに結びつけるのも大切なのですが、非常に軽い方から重い方まで、1つの物差しで済むのが理想ですけれども、先生が示されたように、QUICK8、KCl、Barthel Indexの順に比較的重い方に使えるような印象もあるのですが、これをモデル事業なりCHASEに入れていく場合に、全部これをやるのか、あるいはこういう対象の人にはこういうものをやっていくかというのは、先生の腹案があればお示しいただきたいですし、あるいはモデル事業でなだらかな移行を見ていくのか、その辺の御意見はどうでしょうか。
○松田構成員 多分、場面の設定は幾つか必要になってくるのだろうと思っています。CHASE自体の目標を考えると、まず1つは、総合事業を受けているような人たちが介護を使わないようになるという本当に予防的な部分と、実際に医療と介護を分析してみると、例えば、特養とか在宅でケアを受けている人たちが誤嚥性肺炎を起こしたり、転倒したり、脱水を起こしたりして病院に運ばれて、その後要介護状態が悪くなるということが起こっていますので、もう既に要介護が重い人たちの要介護度悪化の予防ということでは、多分少し医療的な側面が、医学的なマネジメントの側面が強くなってくると思うので、それは多分総合事業を受けている人、要介護1~3ぐらいまでで在宅でいらっしゃる方、要介護3~5ぐらいのまでのところで少し重い方たちの施設に入っている方、在宅の方、多分、シチュエーションはいろいろと違うと思いますので、それぞれで予防的な介入のマネジメントのあり方もモデル的にやられるのがいいのではないかと思います。
○鳥羽座長 いかがでしょうか。よろしいですか。
では、もう一つ、いわゆる入力負担について、松田構成員の出していただいたおおよその案について、これは多過ぎて大変とか、これなら大丈夫とかその辺は何か御意見ありますか。
江澤オブザーバー、お願いします。
○江澤オブザーバー 松田構成員の提案で傷病名とか、あるいはBI(Barthel Index)とか基本的に賛成なのですけれども、あるイベントが起こる半年前とかに介護サービスを多く利用しているという先生のデータをよく読ませてもらっていますけれども、介護サービス利用者の医学的管理も大きく影響しますし、そのあたり含めて、だれが入力して、どのくらいの手間でできるのかというのは、イメージでいいですので教えていただきたいです。これは日々のことになるので、データの収集率が高まらなければいけないことを考えたときに非常に悩ましいところかと思うのですけれども、先生のアイデアをちょっとお伺いしたいと思います。
○松田構成員 できれば、今の業務の中で大部分の情報を集められるようにしたほうがいいと思います。多分、サービス事業者さんも、ケアマネジャーさんも、何らかの形でアセスメントツールは使われていると思いますので、そこからとれるものという形でやっていかないと、なかなか難しいだろうと思っています。そうすると、例えば、いわゆる使っているソフトによってADLの項目もIADLの項目も内容も違うでしょうし、評価も違うだろうと思うのですけれども、当面はそれはそれで認めた上で、何のソフトを使ってこういうチェックをしているのかという情報を集めて、研究として対応表みたいなものをつくる形でデータをとるというのが一つなのかなと。
あと、傷病に関しては、現行の仕組みの中で考えれば、主治医意見書の活用というのが一番いいのだろうと思っています。主治医意見書に関しては、主治医意見書の内容がという問題もあるのですけれども、そこはこれから厚労省に頑張っていただいて、日本医師会(日医)にも江澤先生が担当なので頑張っていただいて、正しい情報が入ってくるようにしていただく。ただ、現場の先生方や現場の介護の関係者の方たちは、どういう傷病が重要なのかというのはわかっているはずですので、そうであれば、重要な傷病に関するチェックシートみたいものをつくらせていただいて、その病気があるかないかと、それに関する服薬があるかないかだけであれば、多分ケアマネジャーさんであれば把握できると思いますので、そのような形ではないでしょうか。
やはりケアマネジャーさんにとっても、その方がどういう薬を飲まれているのかというのはケアマネジメントをやる上でとても重要な情報で、とるべき情報だと思いますので、その標準的な評価シートみたいなものをつくらせていただいて、それを出していただくという形でやるのがいいのかなと思います。
○江澤オブザーバー そのあたりの質を高めるには、できれば医師のサポートとか関与があるほうが、先生がよくおっしゃられている、見逃されていた心房細動とかいろいろな問題があるので、そこはいろいろ御検討いただければと思います。
○鳥羽座長 ありがとうございました。
いわゆる生活機能の低下に結びつく疾患と、生活機能が低下したことで起きてくる症状、床ずれなどをしっかりと日医の中でも、もう一回そういう目で傷病名の整理をしていただければ、大変ありがたいと思います。
○江澤オブザーバー わかりやすくコメディカルに、わかっているとおっしゃいますけれども、必ずしもそうではないかもしれないので、今後の課題と思っています。
○鳥羽座長 ほかに。真田構成員どうぞ。
○真田構成員 今、病気のことをおっしゃっているのだと思いますが、先生がお示しになられた基本的な事項の一番最初の表を見ていらっしゃるのだと思いますけれども、これは症状が入らないのかなと。痛みとか、かゆみとか、呼吸困難感とか、まさに今おっしゃっている介護の方々が必ず着目するような一般的な症状が必要なのではないかと思ってお聞きしたのですけれども、いかがでしょうか。
○松田構成員 ちょっとかゆみのことはわからないのですけれども、痛みに関してはとても重要だということは言われています。ただ、痛みのスケールをどうするかに関してはいろいろ方法論があって、例えば、表情で見るようなものもありますし、痛みがあるないであればいいと思うのですけれども、痛みのレベルまで調査しようとなると、痛みは絶対にやったほうがいいとは思うのですが、その情報をどうとるかというのは少し検討が必要だろうと思います。
○真田構成員 介護の立場、看護の立場から考えると、もちろん病気が影響することはわかっているのですが、症状を緩和するという立場で、症状に対するアセスメントというのは非常に重要かなと考えますが。
○松田構成員 痛みの管理ということになってくると、かなりメディカルになってきますので、かかりつけ医の役割ということもあるのかなと思うのですけれども、そういう痛みの情報がきちんとかかりつけ医に伝わる仕組みがあるかないかということが、かなり大事になってくると思います。多分、介護そのもので痛みが和らぐというのは、もちろんないとは言わないですが、かゆみに関しても難しいと思います。もちろんボディーケアとかそういうものはあると思うのですけれども、そこをどうやるかというのは江澤先生、いかがでしょうか。
○真田構成員 やはり介護する側も、看護する側も病気をよくするケアをするよりも、症状を緩和したいと思ってケアなさっていると思うんです。そのQOLというのは非常に大事だと私は思っているのですが、評価の方法があればなというのは常に思います。
○鳥羽座長 2点論点があって、プルダウンでありなしでやって、とりあえず見ていくという方法もありますが、程度まで見るとなると、例えば3段階にした場合に、ほかの痛みのスケールとかかゆみもそうですけれども、それとの整合性や科学的なエビデンスが十分あるかどうかを一つ一つの症状について検定していかなければいけないので、とりあえずありなしでプルダウンで乗せられるものについて、きっとそれだけではないと思うんですよね。なので、先生方で後で候補をもう一回出していただいて、絞っていくという方向でいかがでしょうか。よろしいですか。
○真田構成員 今、ケアの方法に直結しないとおっしゃったのですけれども、そうではないと思うんです。かゆかったら入浴の後に保湿剤を塗るとか、いろいろな努力をなさっていると私は思うので、痛かったらもちろん薬も使うけれども、ナースや介護の方はそばに行ってマッサージをしたり、私が見ている限りいろいろなケアをなさっていますので、そういう意味で、ぜひ入れていただけたらなと思います。ありなしで結構だと私も思います。
○鳥羽座長 いかがでしょうか。
ほかに聴覚障害とか視覚障害も、かなり重要な要素として最近は言われていますので、それらも含めて事務局を中心に、リストをもう一回皆様に出してお聞きするということでよろしいですか。
どうぞ。
○木村オブザーバー 真田構成員がおっしゃるように、本当にいろいろな取り組みはしていると思います。
話として趣味のところに戻ってしまいますけれども、松田構成員のお示しいただいた総合健康指標の趣味があるかないかで、これだけスコアが明確に違うということはすごく衝撃的です。我々特養等からすると、入所前の生活と入所後の生活が、できるだけ継続性を保てるようにとは心がけておりますが、どうしたって継続できない趣味はあって。例えば、登山が趣味だったとか、旅行が趣味だったという方において、なかなかそれを実現させてあげられないということは当然あります。入所後に新たな趣味・活動としていろいろなこと、絵を描いたり、できることがふえることもあるかもしれません。施設において趣味があるかないかというところで、同じようなスコアが明確に特養の入所者あたりから出るものだろうかと考えます。さっきからずっとご利用者様の顔を思い浮かべているのですが、あの方に趣味があるかないかで聞いたら、あると答えるのかなどうなのかなとか、ちょっと個別具体的に考えていくと、なかなか難しいところもあったりします。
でも、こういった趣味を持つことに関して、これだけ生活の質や何かが改善されることがはっきりとスコアで出るということは、介護施設において何かしらの趣味を持たせてあげることが、生活の質、QOLを向上させることに近づいていくのだということははっきりとわかるので、我々の施設としては、そういったことに注力していかなければいけないと改めて思いました。
○鳥羽座長 どうぞ。
○江澤オブザーバー 現場のケアスタッフがあの手この手でやっているのもわかりますし、私も新幹線で、ドクターコールで呼び出されたけれども何も道具がない中で、車椅子で不安なおばあちゃんをさすったりしたこともありましたので、多分現場はいろいろなことを工夫してやっているのですけれども、とりあえず一番現場の負担を減らして、いかにデータ収集率を高めるかということがあるので、前回、鳥羽座長がおっしゃったように、まず必要最低限からスタートして肉づけしていく方向でやっていただければありがたいと思っております。
○鳥羽座長 どうぞ。
○松本顧問 ちょっと質問させていただきたいのですが、私は急性期医療の消化器外科医ですので、松田構成員の発表を聞いていて少し思ったのですけれども、食事の介助は要るか要らないか、あるいは食事は自立しているか自立していないかということと、ADLが普通に自立しているというときに、私の印象では御飯を食べるときに、きちんと食卓に向かって座って、食べるときに下を向いてものを飲み込むということでないとちゃんと飲み込めない。健康な人でも上を向かせて飲み込むと結構むせたりします。日本初の、海外とは違う結果を出すのであれば、介護の中で食事の摂取の仕方で何を配慮しているかということで、自立しているけれどもベッドで寝たまま食べさせてもらいたいとか、いろいろな人もいるので、食事摂取のときの体位というのはコファクターとしてあったほうがわかりやすいのではないかという印象を受けたのですが、これはとんちんかんな質問でしょうか。
○海老原構成員 まさにポジショニングというのは食事摂取のときに非常に重要な問題ではあります。しかしながら千差万別でありまして、これを簡略に定型化・類型化するのはなかなか難しいと。例えば、右の反回神経麻痺の方は右側を向いたほうがいいとか、そういった細かいこともいっぱいありますので、ポジショニングは非常に重要なのですが、考え方としては恐らく、食べている間にその人にとって最適のポジショニングになって至適化されていっているのだろうと考えて、データを収集するのがいいのではないかと思います。
○鳥羽座長 モデル事業であれば、その辺も追加することは可能というか、項目としてはどうでしょうか。
○海老原構成員 あったほうがいいと思います。
○松本顧問 食事介助のグループは、どういう状態の体位の人に食べさせているのかをとると、多分相当有意差が出るのではないかと思います。
○鳥羽座長 ありがとうございます。今言ったように、必須の項目とモデル事業で分けて、モデル事業のほうではということで落ち着いていただければと思います。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○田宮教授 総論ということなので、大きく2つに分けて意見を言わせていただきたいと思います。
1つは、項目ということで、今、痛いと苦しいとか症状ということが真田構成員からありましたけれども、それは私もすごく重要だと思っていて、介護の方こそ日常を見ているので、こうやったら痛みがなくなるとか細かいところが割と医者よりわかっていたりするということもあります。最低限でいいのですけれども、何とか入れていただきたいなと思っています。
それから、主観的な話でさらにいきますと、自己実現というか何か目標があるか。趣味というだけではなくてもう一歩、例えば、お孫さんの結婚式に出たいとか、施設の文化祭で何かを出したいとか、そういうものが見つかっている人はすごくいろいろなことを頑張れているという印象があるんですね。なので、1個だけそういう目的があるかみたいなものがあってもいいかなと思います。
あともう一つは、松田構成員が9ページで、在宅復帰などに当たっては同居人の数、本人との関係性と書いていただいているのですけれども、最初の案ではZaritとか入っていたかと思うのですが、家族の状況に対することも少しは入れておいたほうがいいのではないかと思います。介護といっても、在宅の場合はもちろん同居家族ですけれども、そうではなくても遠くにいる家族の状況も、施設に入っていても家族の方がどうかというのは大きいことですので、その家族への項目が今回どうなっているのかなというのが項目としては疑問に思いました。
○鳥羽座長 松田構成員、いかがでしょうか。
○松田構成員 介護保険は一応、家族の状況を考えないことというのが一番最初に入ってしまったのですけれども、私は実はそれは疑問に思っていて、実際にそれは大分前ですけれども研究して出しました。論文にしたかどうかは覚えていないのですが、家庭の介護力のありなしは、その後のADLの変化に大きく影響しています。家庭の介護力があるところのほうが、本人のADLは維持されます。自分自身の今までの個人的な見解でもそうだろうと思うので、できればそれは情報としてはとったほうがいいだろうと思います。
○鳥羽座長 多くの研究で、在宅復帰に関しても御家族の状況や心構えというのが一番になっておりますので、これもモデル事業のほうでその辺を入れて、また有効性を見ていくということでよろしいですか。
もう一つは、先ほどから出ている「趣味」という言葉ですとちょっと敷居が高いので、興味のあること、あるいはその方がそれによって元気が出る項目というような形に、もう少し領域を広げておくといいのではないかと思います。「趣味」と言うと非常に高尚な感じがするので、単発的なものでもいいし、イベントでもいいしということを選べるようにしておくということでも、木村オブザーバー、よろしいですか。
○木村オブザーバー それでいいと思います。
○鳥羽座長 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○松田構成員 それで、実は「興味関心」ではなくて「アクティビティ」という言葉にさせてもらっているのですけれども、これは北九州市に西野病院という病院がありまして、そこの西野先生が非常におもしろいことをされているのですけれども、対象者の方にアクティビティをさせるときに、あわせて脳内血流をはかっているんです。認知症のある方が、御自分が全く関心のないアクティビティをやっても血流は全然変わらないんです。ところが、御自分が感心があると思われるアクティビティをやると、脳内血流が物すごく上がるんです。その人にとって関心のあるアクティビティをちゃんと提供できているかかどうかというところが一番問われていることだろうと思います。
あと、聞き方としては、生きがいみたいな聞き方になるのかなとは思います。
○鳥羽座長 ぜひ「アクティビティ」をいい日本語でつくっていただく、あるいは解説をぜひお願いしたいと思います。アクティビティというと、それ一語ではピンと来ないというか。
ほかにいかかですか。どうぞ。
○田宮教授 もう一つ、入力を省くというお話が出ていたので、総論的な話でここでお話しするのがいいのかなと思うのですけれども、松田構成員もほかの構成員の方も既存のものをうまく使うということがとても重要で、それとのすり合わせが議論に出て、とてもいいと思うんです。将来的にはNDBとの連結と書いてありますけれども、今すぐにはもちろん無理でしょうけれども、本当にそういうものも意識してつくっておくことが必要かなと思います。
1つは、医師の意見書はこれだけとっているので、デジタル化というのは全然無理な話なのですか。発想の違う話かもしれないのですけれども、あれを活用することが重要だなと思っているのが1つ。まず、それについて。デジタルでつくっている人もいらっしゃいますよね。
○石丸老人保健課課長補佐 確かに、もともといろいろなつくり方をされている先生方がいらっしゃると思いますけれども、デジタルというかパソコンで入力をして、それを印刷したものを使っている場合ももちろんあると思いますし、最初は手書きでやったもの、主治医意見書というのは認定の審査の中でも使うようなものですので、それをその後デジタル情報にするということも当然あるとは思います。ただ、全体としてそれがすぐ使える状況にあるかというと、なかなかそういう状況にもないと思いますので、その辺は今後どういう活用の仕方があるかは考えていかなければいけないかなと思っております。
○鳥羽座長 電子カルテの普及率はまだ50%くらいなので、それを全部というのは無理だと思うんですよね。ですから、その辺のところも御配慮いただきたいと思います。
○田宮教授 例えば関連して、既存の情報との応用ということですけれども、介護や医療において死亡の情報というのはとても大事だなと思っていて、在宅死が最後どうだったのかとか、病名・死因はどうだったのかということも将来的には視野に入れて、もちろん医療は疾病状況・死因はとても大事ですけれども、介護においてもエンド・オブ・ライフはどうだったのかはとても大事だと思うんです。日本はちゃんと死亡統計がありますし、死亡場所も死因もあるのですけれども、それがなかなか活用されていないので、入力の負担軽減と、データをリッチにしていくという意味で、ある統計を何とか活用できる方向は、長期ビジョンでしょうけれども、意識してCHASEも考えていただきたいなと思っています。
また、長期というよりは、今ほかのDBのことでちょっと懸念していることもついでに申し上げさせていただくと、介護DBとかNDBというのがリリースされたのはすばらしいと思っているのですけれども、逆に不便も生じてしまっています。今、我々は人口動態統計の死亡統計と、介護給付実態調査を二次利用させていただき情報プロバビリティーマッチング、つまり全国の介護レセプトと死亡状況とをくっつけまして、最期に在宅で亡くなったか、どんなサービスを使っていたかが把握できます。しかし、NDB、介護DBになった今、にそういうことができなくなってきてしまっています。そこもいろいろな制度をつくっていくときに気をつけていかないと、せっかくある情報が生かせないということにもなっているなと今懸念しています。CHASEにおいても将来的にNDBや介護DB、そして死亡状況とも一緒に見られるような制度を、今ここは総論なので申し上げたのですけれども、考えていただけたらなと思っています。
○鳥羽座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
ちょっと時間が詰んできましたので、次の認知症のところに移りたいと思いますが、何か御意見ございますか。どうぞ。
○松本顧問 私は、顧問としてマイナンバーにもかかわっておりますので、2022年までにはまだ死亡のところまで入らないかと思いますけれども、今、田宮先生がおっしゃったことは、マイナンバーを全部最初から持っていらっしゃる介護を受ける方が登録できれば、後で使えると思います。これは事務局に質問したほうがいいと思うのですが。
○石丸老人保健課課長補佐 先ほどNDBと介護DBの連結のお話もいただきましたけれども、今の仕組みの中でこれから実際にNDBと介護DB、まさにことし法改正も行われまして、連結の法整備がしっかりされたわけでございますけれども、実際これからどういったやり方で連携させていくかといったことも検討していくことになります。その中で、田宮先生がおっしゃったような、まさに死亡情報もどのように考えていくかというところであるかと思っておりますけれども、今回申し上げた介護保険法や健康保険法の改正の中で、1つキーとして登場しているもので被保険者番号というものもありますので、どういった情報を使ってそういったものを連結していくのがいいのかということは、先生がおっしゃったところも含めて検討していきたいと思っております。
○鳥羽座長 よろしいでしょうか。
それでは、認知症のところについて、何か御意見・御質問ございますか。
追加を言いますと、認知症については、本当に記憶力検査から周辺症状、さまざまな検査の評価票がいっぱいあるのですけれども、1つ注意しなければいけないのは版権という問題がありまして、それを勝手に使うことはできないので、版権を放棄した評価票。わかりやすく言うと私がつくったものがほとんどなのですけれども、そのほか介護負担は版権について確認されましたか。
○石丸老人保健課課長補佐 Zaritは、今ちょっと確認するべく。
○鳥羽座長 介護負担と看護負担は非常に大切なのですが、版権が確認されていないものですから、版権のないものはだめです。国でやる場合には版権を放棄したものしか使えませんので、例えば、MMSEをもしこれでやるとすると億単位のお金がかかることになりますから、とても無理なわけです。長谷川式は大丈夫ですので、そういうものにいくということです。
非常に簡略なものだけを選んでやりましたけれども、これで不十分だと思われる方もたくさんいらっしゃると思うのですが、いかがでしょうか。
○江澤オブザーバー 質問です。今、認知症初期集中支援チームでDBDもZaritも使って、それは問題ないのですか。版権はかからないのですか。
○鳥羽座長 多分、国立長寿医療研究センターの荒井先生がやっておられるので、集中支援チームでやっている以上は大丈夫だと思うんです。
○江澤オブザーバー ほぼ全国統一でDASCとDBDとZaritの3本を使っております。
○鳥羽座長 多分、Zarit、Zarit8は、主に初期集中支援チームは鷲見先生が同じ施設で旗を振っているので、そんなことはないと思いますけれども、多分大丈夫だと思います。介護負担については確認していないので、確認した後でもう一度。
○田宮教授 私も最近確認したのですけれども、業者のほうに業務を委託されていて、お金を支払って利用するというのが前提のシステムを整えられたようです。ただ、それに例外があるかどうかはわからないですけれども、基本は私たちもお金を払って使うことにしました。そのように業者に荒井先生が委託されて。でも、最近なので、その前がどうかとか、国の場合に何か例外があるのか、そこまではわからないですが、基本はそういうことになっていました。
○鳥羽座長 以前は、MMSEもただだったんです。それがMMSE-Jというものをつくった途端に、元の版権を持っている人が心変わりして、1つ100円とかやるようになったものですから、大変なことが世界中に起きているんです。ですから、これはしっかりクリアーしていかなければいけない。ほかのものもそうなのですけれども、機能評価票については全てもう一回再点検させていただきます。
葛西参与、どうぞ。
○葛西参与 私はちょっと違う話なのですけれども、実はデータヘルス改革推進本部にいますので、医療と介護のデータの連結というのを、遠い未来ではなくて近い未来ぐらいで考えなければいけない立場でございまして、1つ悩みがあるのが、いろいろなデータベースの入力画面とか、いろいろなデータベースの質を保険医療分野、介護のデータベースを扱っている方々にたくさんお話を聞かせていただいたときに、どうやらすごく個別性があって、物すごく高い科学性を求めた国際論文を書いてみたいな場合ですと、多分こんなものではだめで、多分一番近いのはがん登録です。院内がん登録なども認定者でないとデータを入力してはいけないですし、相当シビアにとっているという物すごく高い科学性のものなのか、それとも厚生労働省で常にいろいろな問題になったり、いろいろな課題になる社会保障統計みたいなものとか、社会性とか地域性にかかわるデータの分析をするレベルの場合は、個別性の精密さというよりは、できれば悉皆性というか尤度の問題が求められると思うんです。つまり、尤度を許しているということは収集のターンアラウンドタイムは一定許しています。なので、NDBのユーザー会などに行くと強烈に意見がありまして、ターンアラウンドタイムがどこの時点のレセプトなのかとか、疑い病名段階の情報なのか、もちろんワープロ病名なのかとか、もうちょっと精密に言うと、それぞれ症状や行為のタイミングがいつなのかものによって分析者の人は相当混乱するようでございます。
ということは、1回整理しなければいけないのは、ここのCHASEに行き着くまでにどういうターンアラウンドタイムを使って収集できているのかの分析が必要だと思います。それと、何でこれを認知症のところで言ったかというと、これはかなり特定の分野ですし、これを真面目に分析するのであれば、一定の専門性が多分必要だと思います。何だかわからない人が長谷川式、私も自分でやってみたりもするのですけれども、アセスメントに一定の専門性が求められる領域に近いだろうと思います。なので、一定のアセスメントの専門性が求められる分野でやるものと、そうではなくて介護事業所で余り専門性を求めなくても自動的にアセスメントツールからとれるものというのは識別をしたほうがいいのではないか。
それから、収集ルートは実は結構タイムラグが存在しているので、これも分析しないと、どのタイミングのデータなのかというのがわからなくなるという、このあたりは私自身もそうなのですけれども、厚労省側でもそうですし、1回きちんと整理しないと議論が成り立たないのではないかということをお伝えしておきたいと思います。
あと、整合性が高いところはモデル事業に限らず、あらゆる研究分野の専門性が高い領域で使っていただくようにすればいいのではないかと思っています。
○鳥羽座長 ありがとうございます。
皆さん、私の領域に限らず、本当は非常に細かいことを全部やりたいわけですけれども、両手両足を全部削って、指1本のところまで皆さん削って出していただいているので、それはフィージビリティーというか、現場に即して専門家ではなくても入力できる、判定できる項目に絞ってやっていただいていると思います。それが本当に科学的に担保されるかどうかは、確かにモデル事業以外にもう一回、専門家の先生方に、おのおのの分野でさらに広い範囲で研究を続けていただいて担保していく領域だと思いますが、とりあえず船出しないと、研修や何かでさまざまな介護の方が勉強していく上で、だんだん科学的なものが上になってくるようになればいいと思っているのですけれども。答えになっているかどうかわかりませんが。
どうぞ。
○松田構成員 認知症の行動障害のところなのですけれども、せっかく認定調査票で19項目とっているんですよね。あれですごい量のデータが集まっているわけで、それを研究して、調査票に落とし込めるとすごくいいのかなと思っています。そうすると、認定調査票でとったデータが最初の基準になって、それからどうなっているかという形で追いかけることができるので、そういう意味で、そういう研究もぜひCHASEの枠組みの中でやっていただけるといいのではないかと思います。項目は必ずしも合っていないですけれども、類似項目が結構あるみたいなので、そういう形でたまっているデータをもとにして評価票をつくるということも大事なのかなと思います。
○鳥羽座長 ありがとうございます。厚労省の以前の3万8000の項目は既にもらったことがありまして、それでDBDの項目の頻度の高いもの、最後に物を壊すとか異食のようなものまで頻度は全部出ていますので、それに従ってどういうものがどういうときに起きるということもある程度既にわかっております。その項目が共通利用できれば、それも十分利用できると思いますけれども、項目数が非常に多いので新たに調べるのはちょっと厳しいと。ですから、それはモデル事業で利用できれば非常に結構だと思います。よろしいでしょうか。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。いろいろ議論はあると思いますが、次に嚥下について、いかがでしょうか。どうぞ。
○折茂オブザーバー 先ほども発表の中で出たのですけれども、やはり用語の統一がとても重要だと思いますので、ペースト食なのか何食なのかという、そこはモデル事業の中でやっていくということですか。
○海老原構成員 やっていただけたらありがたいなと思っております。
○折茂オブザーバー そこのところが本当にバラバラだと思いますので、ぜひ統一をよろしくお願いします。
○鳥羽座長 鈴木構成員、何か食事の簡単な分類のような研究はございますか。画像を使った、これはペースト食で、これは何とか食というか。
○鈴木構成員 私が知る限りは、そこまで視覚的に簡素化したものはないのですが、確かに先ほど来御指摘のあるとおり、介護施設や病院でも同じソフト食でもかなり形態に差があることは確かですので、私が知る限りは、文献的にそれを統一した形の報告は見当たりません。
○海老原構成員 鈴木構成員のおっしゃったとおりで、そこはなかなか難しい。日本摂食嚥下リハビリテーション学会で嚥下食ピラミッドというものを出していて結構細かいので、今回の場合には余り実用性がないのかなとも考えています。ただ、よく考えてみますと、主食が御飯は日本だけというか、東南アジアの人はあれなので全然ほかのところにそういう例はないわけですので、普通の御飯、おかゆ、ミキサーとか、それにちょっと凝集したもの、主食で4種類。副食もきざみとか極きざみとかありますが、結構それだけでも十何種類になってしまうんです。ただ、それは単なる組み合わせだけだし、絶対最初にみんな決めているはずなんですよね。そうでないと始まらないですから。そういうものをうまく統一さえすれば自動的に入力されていくもので、そこは非常に重要なのではないかと考えております。
あと、ちょっと問題があるかなと思ったのは、普通のかたいお米よりも、本当は食べられるのだけれどもおかゆのほうが好きだとかそういう方、私もこの前めったにならないのですけれども二日酔いのときは、やはりおかゆのほうがありがたかったかなと。そういうことも含めても、必ずその人にとって至適食事に収束されていくと思いますので、その変化を追うことが、まさに嚥下機能の変化を追うことそのものだと思いますので、それは非常にいいのではないかと考えております。
○利光構成員 食形態の分類は、実際に医療も介護も、先ほどおっしゃられた摂食嚥下の学会の基準に準拠するということになっています。ですが、それが末端まで行き渡っていないという現状は確かにあるかと思いますが、それを統一するようにいろいろな栄養関係の書類は整っているので、もしかしたら、この機会に整えられるかもしれないとは考えますが、いかがなものでしょうか。
○鳥羽座長 いかがでしょうか、というか、私もこの辺はよくわからないので。
どうぞ。
○折茂オブザーバー その分類は存じ上げているのですけれども、実際介護の施設といってもさまざまで、そこのおばちゃんがつくって出しているところから、本当に栄養士さんもいて、調理師さんもいて、本格的につくっているところまでさまざまなので、そういう中で確かに細かいデータを集めるのが望ましいのだと思いますが、実際にそれが末端の隅々までできるかというと、何これという話になってしまうと思うんですよね。
○利光構成員 先生のおっしゃられるように、確かに末端までというと完全に理解されていると申し上げることはできません。確かに個別対応というところで、介護施設は非常に手間暇をかけてということもございますので、少し私も検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○鳥羽座長 できるだけ食事の形態を写真や絵で判断が易しくなるように、これとこれはこの分類だみたいなものをつくっていく方向はよろしいのですか。
○利光構成員 視覚のほうが早くわかるかと思いますので、その方法も一つではないかと思います。ありがとうございます。
○鳥羽座長 どうぞ。
○伊藤構成員 食事形態に関して、たまたま地元で2件ほど裁判沙汰になりかけた案件でサポートに入ったケースで、どういう経緯で、だれが決定して、食形が変更になったのかが記録にないみたいなケースが全然別の老人で続けて生じていて、それ以外でも家族は言うとおりに食形を決定しているとか、病院退院時にこうだったからずっと数年間そのままという事態も結構見受けられます。ですので、この調査に当たって、決定のプロセスというか、ちゃんと嚥下の評価をした上でこの食形態なのかとか、変更・検討をどのようにしたかとか、そういった食事形態の決定に関して、ちょっと情報があれば正確性というか、何となく数年続いている食形態とちゃんと検討して変更した食形態だと、大分信頼性が変わってくるのかなと。そういうケースが続けてありましたので、意見として言わせていただきました。
○鳥羽座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
○松田構成員 口腔機能はすごく大事で、1つの県のデータなので何とも言えないのですけれども、あるところで口腔衛生管理加算を老健で算定されていたのが退所後どうなったかを430名の方を追いかけてみたんです。そうすると、その中から実は138名肺炎を起こしていた。起こしている人はどういう人が可能性が高いかというと、退所した後に口腔ケアを受けていない人が起こしているんです。口腔ケア管理加算というのはリスクが高いから算定されているはずなのに、退所後それが地域のケアマネジャーに伝えられていなくて、多分きちんとした管理がされていない。とすると、口腔ケアのところは口腔のリスクがきちんとアセスメントされて、それが関係者間で共有されているかどうかを見ないといけないのだろうと思います。
そういう意味で、海老原構成員が出された口腔機能向上に関しては既にいろいろな評価をされているわけで、これを情報化して何かとるということは考えられたほうがいいのではないかと思います。
○海老原構成員 ありがとうございます。まさにそのとおりで、肺炎や誤嚥のリスクが一番高いのは施設が変わるときなんです。そういうときにおける申し送りをきちんとしておくことが大事で、そこにおいても共通の用語がないと申し送りが成り立たなくなるので、その辺のことも含めて検討していければいいかなと思っております。
○鳥羽座長 そのほかいかがですか。江澤オブザーバーどうぞ。
○江澤オブザーバー 医療は当然どんどんEBMを追求して、質の高い医療を求めていくことが非常に重要だと思っている上で、介護に余り学会のガイドラインやルール、医学的なプロセスを求めていくと、現状がまさにそういう状況ではないので、とりあえず現状の把握も含めて粗いデータで、このままやっていくと誤入力も相当あると思っています。その中で、まずは、おぼろげながらの全体像をつかみつつ、より精度の高いものにどう持っていくかということで、私個人的には医療の科学と介護の科学はおよそイメージが違うと思っています。ですから、そういった中で、余り厳格にいろいろなルールを縛ると立ち行かなくなるのはわかりきっているので、特にそのあたりも含めて、医療は疾患の治療成績とか当然求めていくと思いますけれども、介護の場合は対象は人であって生活であって、要は、要介護であっても障害があっても、どう社会参加していくのかということが非常に重要で、口から食べられなかったのが食べられるようになるとか、おむつがとれて排泄がトイレでできるとか、あるいは身の回りのできることが拡大するということが介護の一番の醍醐味です。要は、生活の視点に力点を置いてやっていって、後で付加できるものは付加していただけると現場感覚としてはありがたいかなと思っています。
○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○木村オブザーバー 今、江澤オブザーバーにおっしゃっていただいたようなことが本当に介護の現場では日々取り組まれておりまして、食事形態は非常に重要で、先ほど先生がおっしゃったように、変更についても食事箋が現場をぐるぐる回っているわけですよ。どのタイミングで、だれがきざみからペーストに変わったのかということが非常に重要で、先般、長野県の特養における誤嚥事故において看護職員さんに有罪判決が出たように、それによっては本当に命にかかわる重要な事件・事故につながってしまうこともあるので。
ただ、江澤オブザーバーにおっしゃっていただいたように、常食を食べたいという気持ちにこたえたいというのが現場の職員としてはあって、きざみやペーストも、もともと何の食事だったかわからないような形態をしている流動食よりは、そしゃく能力・嚥下能力を向上して常食に近い形あるものをおいしく食べられるようにというのを努力しているところで、形態を現場から情報を収集して、どこの時点でとった情報で、どうそれを評価に結びつけるとか、根拠に結びつけるかというところが結構重要かなと思っています。
○鳥羽座長 どうぞ。
○江澤オブザーバー 今の関連で。数十年前の教科書には、嚥下障害の人にはいわゆるきざみ食は禁忌と明確に昔からうたわれていますが、実態としては、嚥下障害の人にいわゆるきざみ食が出ている事例はある程度、場合によっては相当あるかもしれないので、そこはデータを収集して、それをうまくデータベースを使ってファシリテートできることが大事だと思っていますので、そのあたりも検討していただけるとありがたいと思います。
○鳥羽座長 時間もあれなので、栄養も関係がありそうなので、栄養のことについても御質疑・御質問などいただきたいのですが、いかがでしょうか。どうぞ。
○葛西参与 私は、医療分野でも介護分野でも一緒だと思うのですけれども、今の話の続きでもあるのですが、利光構成員がお出しになった資料で7ページにさらっと1行書いてあるのですけれども、「PCに入力すべきデータに不足がある場合はアラートが鳴る」というのは、意外と現場にとっては重要でございまして、医療事故的な問題、ヒヤリハット的な問題が起きたところで、実は電カルをある程度タブレット化していって、できるだけ現場でアラームが上がるようにしたというようなことを聞いたことがあるんですね。多分、介護現場はむちゃくちゃ忙しいでしょうし、私ども厚労省側が入れてくれなんて、そんな上から目線で言うような話は全然ないと思うんです。どちらかというと、現場でそのツールを使ってアラームが上がる仕組みということから連携していくということと、この手の話をするときに1個間違えてはいけないのは、もともとビッグデータの分析というのは、そこにあるデータを利活用することが前提になっています。なので、データをつくり上げることは疫学研究になってくるので、基本的には現場の負担がないようにアラームが上がる仕組みとか、これはアセスメントツールだけではなくて、申し送り等も含めて何らか有用にしなければいけないのだろうなと、そうでないと成り立たないなというのを一つ感じております。
○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。
ただ、アラームが鳴ってそれで進めないようにすると、データがあるいは判断がその場でできないものが進まないので、鳴ってもいいですけれども、テンポラリーに保存できているようにしていかないと、例えば、認知症の診断で言いますと、国立長寿医療研究センターで15人がカンファレンスをやっても75%しかそのときには決められなくて、25%は決まらないんです。半年、1年たってようやく確定診断がつくのは山ほどありますので、栄養でも判断に迷うものが全てアラームで前に進めないようにすると、介護現場も混乱するので、その辺の工夫は必要かと思います。
○利光構成員 確かにそれはありますが、システム上は「後で入力」という項目を入れる、または「データなし」という入力項目を用意し、入力しないとデータ登録が止まってしまわないように。ただし、リスク管理上はアラートなどは、上げておくほうがいいのではないかと思います。
1つ前に戻りますけれども、形態の話が出たときに、きざみ食をだれに出しているかという選定基準は、医療もないかと思います。結果的にそしゃく能力が弱いからきざみにしましょうか、水・お茶を飲んでむせているから、ちょっと嚥下機能を調べたほうがいいのではないですか、とろみにしましょうかという判断になるかと思います。現在の介護エリアの栄養マネジメント計画シートにもその項目があがっています。正直、介護も医療もこの分野は変わらない状況がございます。せっかくの機会ですので、精査ができればと拝聴いたしておりました。よろしくお願いいたします。
○鳥羽座長 折茂オブザーバーどうぞ。
○折茂オブザーバー パソコン入力項目で入れている9つの項目が出ていますけれども、これは質問なのですが、提供たんぱく質量とか、エネルギー量というのは、きのう食べた量をちゃんと入力しろということですか。
○利光構成員 提供というのは、給食ステムのほうに、個々にこの人にこれだけ出したというデータを持っています。
○折茂オブザーバー そこが、例えば、手づくりでやっているところと、老健などは当然栄養士さんがいて、ちゃんと計算できて、一応この方は1,600カロリーで提供たんぱく質が何グラムというのはわかっていますけれども、先生がいる病院などは全部わかっているのは当たり前だと思うのですが、介護の現場でそこまで全部わかっているのかというところは、先生はどのようにお考えですか。
また、身長、体重も実はすごく難しいです。身長をはかるのは簡単だと皆さん思うかもしれないけれども、歩ける方は当然簡単にとれますが、寝たきりで骨粗鬆症があって、ジャックナイフみたいに腰が曲がっている人の身長をはかる、体重をはかる、BMIをどうするというのは、実は介護の現場は難しいという場面も当然ありますので。
○利光構成員 ありがとうございます。ただ、この項目を全員に全部当てはめて回答してくださいということは、まず無理だと思います。ですから、先ほど申し上げたように、測定が不可能なものは不可能、また、身長においては私が知るところは身長計もないので、メジャーで測定するような形をとっております。可能な範疇ということで、この点は御理解をいただきたいと思います。あと、システムがないところは確かにあります。まだ手計算をしている施設もございます。そうなりますと、提供量の概算計算ができているのか、本来できていないと困るのですが、摂取割合のみだけでも判断基準として用いることとなるかと思います。ですから、全部のデータは100%集めてくださいという意味ではなく、多くの施設でとっているであろうというデータから抽出させていただいておりますので、この項目で必ず全施設が100%ということは私も想定しておりません。
多くの施設と申しましても、今、私の手元に持っています介護給付等の実態統計で見させていただくと、栄養マネジメント加算9割方、介護老人福祉施設、介護施設等において取得しているというデータが出ています。ということは、このシートの中で少なくともとるように努めているであろうというデータということになるかと思います。ただ、グループホームさんなどに行くと、栄養士がいないのに提供エネルギー量が正確にわかるわけがないというところは出てくるかと思っています。
○鳥羽座長 どうぞ。
○江澤オブザーバー 恐らく医療系の管理栄養士とかいるところは、栄養ケアマネジメントを結構やっているので、このあたりのデータはベース的にあると思う一方で、福祉系施設はほとんど厳しいかなと思うのですけれども、私が思っているのは、とりあえず未入力の欠落データはそれがデータだと思っているので、こういう施設系、事業所系はこういう入力が非常に厳しいのだというのもポジティブデータだと思っており、まず走りながら考えるということでよろしいのではないかと思います。
○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。田宮先生から。
○田宮教授 表に関してですけれども、私が読んだ文献を1つ御紹介します。オランダの施設ケアで、体重が維持できているかどうかを施設レベルで見たときに何が要因だったかというときに、毎日必ず体重をはかれるデジタル体重計を持っている施設が利用者の体重がキープできたというのと、ベッドではなくてダイニングホールで食べているかどうか、その2点を聞いていたという文献を今思い出しました。毎日の身長、体重は本当に大変ですよという話が出ましたけれども、体重を毎日はかれるような体制にあるかどうかがすごく重要なので、モデル事業で検討ということかと思いますけれども、本当に体重だけは、ちょっとした体重の変化も気をつけてマネジしているかどうかということがわかるような仕組みと、さっきポジショニングという話も出ましたけれども、ベッドではなくて、個室ではなくて、ダイニングホールで食べているかみたいなものどこかでわかるといいかなと思いました。
○鳥羽座長 車椅子体重計というのはすごく高いし、大変なんですよ。ほとんど車椅子のような人が多いところで、毎日車椅子体重計ではかるというのは、ほとんど不可能ですから。
○田宮教授 ただ、私も老健でそれをやろうとしているのですけれども、その人の車椅子を入れたら、すぐにデジタルで引くような仕組みはできないことはないですよね。高いのはわかりますが、体重はもっと何とか工夫したらいいなとはずっと思っています。
○折茂オブザーバー それはそのとおりなのですけれども、でも、やはりできることとできないことは当然あるわけでして、大体どこの老健も車椅子体重計があるところが多いと思うのですが、グループホームにあるかというと、まずないですよ。ですから、その辺は先ほど江澤先生がおっしゃったように、いろいろなデータが欲しいのはわかるのだけれども、いろいろなデータを入れて、出てこないものも確かにポジティブデータとしてとれるというのはあるのですけれども、余り項目が多くなると、例えばあるグループホームではこの辺は全然入れられないというようなものまで全部入れるのか。今回はミニマムのものでいくのだというコンセンサスが前回できたと思うのですけれども、そうなると、たんぱく質がどうのこうのというところまで要求したら、ある施設はもう全滅だということにもなりかねないので、先生が欲しいのはわかるのだけれども、欲しいものと集めるデータはどうなのだろうという整理をしたほうがいいと思います。
○鳥羽座長 さらに、削減要求が来ましたけれども、どうでしょうか。
○利光構成員 先生のおっしゃることもわかります。確かに、グループホーム系に行くとなかなかとれないという現実も私も見てまいりました。だからといって、とれていないところだけを基準にそろえていいかというと、そうではないと思います。もう一回精査するという回答を申し上げたいところですけれども、今回とるとしたときに、私もデータをどれだけ、どこがとっているかということを精査の上でのご提案ですこの項目であればもともと給食として提供している施設であれば絶対的にあるデータですので、それをとっていないところについてという別枠で、これだけはとってほしいというところを決めるのであれば、またそれについては検討したいと思います。
先生、大変申しわけないのですけれども、とれない、とれないと言うと何もできないと思います。取得する項目も全部なくなってしまうので、こればかりは多少なり御協力をいただけますと幸いです。
○鳥羽座長 葛西参与どうぞ。
○葛西参与 毎回、栄養の話のときだけ結構この話を繰り返しているのでおもしろいなと思っているのですけれども、もともと基本的にどのデータもある程度協力をいただいた形でしか集められない前提だと思っているので、悉皆にとるということでは多分ないと思います。それは先に言っておかないとまずいなと思います。
ただ、1点だけ、実は栄養に関しては私はどんどんとるべき派なのですけれども、ただ、実際に給食システムがすごく興味があって調べていく過程で、給食システムだけではなくて、例えばアセスメントツールであるとか、現場のタブレットで申し送りするを置くでもいいのですけれども、体重計でもいいのですけれども、実は、個人を特定するということが結構大変なんです。NDBだけですが。つまり、給食システムのデータを入れているのは、例えば診察券なのか、施設の何らかの入所者番号なのか、入居者番号なのか、何の番号で収集していくと個人を特定できるのかという課題と、データと医療界だけでよく言われるのですけれども、我々の本部としては実は健康・医療・介護なんです。なので、健康の状態も連結していきたいなと思ったときに、マイナンバーを使うとかいろいろな意見があるのですが、実際には匿名化されているので、最終的に全部ハッシュ化した番号で連結することになるんです。
今、例えば、介護総合データベースもハッシュ化された値というのがありますが、これは第三者に提供するかしないかという議論も必要になります。そうなると、給食システムや、あらゆるシステムの個人を特定するのはどうやるべきかというのが、むしろ先生方から私自身にある意味宿題になっていることだなと思っておりますので、それを解決しない限り、配ってもなかなか連結も収集もできないということが、IT的には前提としてありますということをお伝えしておきたいと思います。
○鳥羽座長 どうぞ。
○真田構成員 項目を見ていて本当に素朴な疑問なのですけれども、水分摂取量というのは必要ではないのでしょうか。
○利光構成員 私が答えてもよろしいですか。水分摂取量については実際にはいただきたいデータだったのですけれども、資料4-1にありますが、これをとるのは個々に飲んでいることがあるので普通の介護施設でも難しい。食事の提供でしているものはわかるのですけれども、飲水を病院のように500ccのペットボトルをあなたは何本飲みましたかという話をするわけではないので、そこはBとして判断いたしましたが、いい方法があれば、私としては脱水に関するところで、摂取の水分量と食事からとったことによる代謝水と、いろいろな観点から脱水は予測することができるので、本来はとりたいデータではあったのですけれども、今回はBのほうに落とさせていただいております。
○真田構成員 介護の方々がとても気にするのは、どれだけお水を飲んでいるかということを常に考えてケアしているように思うんです。だから、ここは例えば、摂取主食割合とか摂取副食割合を何割と出すならば、コップ何杯とか、多分介護の方はここはとても気をつけていらっしゃるところではないかと思うのですが、水分摂取量は必要かなと思っています。
もう一点お聞きしたいのは、3ページの1-2に書いてある低栄養リスク要因の1~9はどのように選ばれたかという根拠と、先ほどの資料4-1で信頼性・妥当性は△だというものに関して、全体にとるのかということの疑問と、1-2は、これこそが栄養を表す指標よりも、口腔嚥下機能を表す指標になっているのではないかと思っているのですが、いかがなものでしょうか。そうしたらリンクができるかなというのが私の考えです。
○利光構成員 これは、嚥下と口腔内機能の指標になっております。実際にこれが今、栄養マネジメント計画の中に入っておりまして、赤でただし書きを示させていただいておりますように、口腔内と嚥下機能の調査をすれば、わざわざ栄養としてではなくて、そちらをリンクすればいいのではないかということで書かせていただいております。先に申しわけありません。
○鳥羽座長 どうぞ。
○海老原構成員 もちろん口腔と嚥下と栄養というのは全部切っても切れない関係ですので、項目をうまく整理することが非常に重要かと思っております。
○利光構成員 低栄養リスク要因と記入させていただいたのは、個々の設問で、高いエビデンスレベルがあるとは表現できませんが、例えば、きざみ食を食べている人のほうが低栄養リスクは高いというデータももちろん出ております。それから、嚥下機能が低下した人のほうが低栄養リスクも高いというデータも出ておりまして、海老原構成員がおっしゃられるように、形態と栄養状態はリンクすることから、私どもの栄養の観点で申し上げますと、これらの項目から食形態を調整し、その人に合ったように提供して召し上がっていただくという観点から、ここに記載させていただきました。
○真田構成員 わかりました。私の素朴な疑問は、信頼性・妥当性のところが△になっていたので、それを全員にとるのかという疑問でございましたので、これはとって非常に意味があるとおっしゃるのであれば、特に問題はないと思います。ただ、水分量だけはいまだ解決していないので、オブザーバーの先生方に伺ってみたいなと思います。
○江澤オブザーバー 多分、現場では水分量は最も気を使っていて、飲まなかったらお茶ゼリーでどのくらい水分を入れようとか、そういうことをいろいろやっているので、それも必要かなと思います。
もう一つは、現場で一番怖いのは不顕性誤嚥で、いわゆるむせのない誤嚥とか、知らない間に食事介助中に誤嚥することは実際にあり得ることで、それら含めていろいろなリスクはあるのですけれども、1つだけ私も過去に臨床研究もやってきましたし、長年臨床試験にもかかわってきましてエビデンスは追求してきたほうの人間ですけれども、医療は投薬して治療効果がどうかという世界ですが、介護は人の生活をどう支えていくのかということです。1つは、例えば、医療機関は治療管理が主体になりますけれども、介護は生活施設になるので、一定程度の治療が終わった人の生活で当然リスクを抱えているし、これは皆さんと恐らく共通で、項目が多いにこしたことはないわけで、いろいろデータ分析もしたいところではあるのですけれども、現状を踏まえた上で、人の生活もあって、介護になると御本人の意思や趣味趣向やライフスタイルが加味されてきて、病院で治療する、ベッドでいろいろ管理される世界ではないので、そのあたりはモデル事業でいろいろ拾っていただきたいと思います。これは決して研究のためにやるのではなくて、日本の国民のQOLが高まる、あるいは尊厳が保持されることが最終的なアウトカムであるので、そこをどうするかという視点が重要です。
もう一つは、介護が医療のモニタリング項目と大きく違うのは、口腔ケアなり栄養マネジメントなり瞬間的なことよりも、それ以外の大半、日中をどう過ごしているのか。離床していろいろなアクティビティをしているとか、一方で離床して車椅子にぼーっと座っていて何もしていないのも決していいことではないので、恐らく介入項目はいろいろな加算であったり、口腔ケアとかだと思うのですけれども、むしろ介護の場になってくると、それ以外の要因がかなり大きく影響するだろうと私の経験でもはっきり思っていますので、モデル事業でそのあたりを御検討いただきたいと、これは要望でございます。
○鳥羽座長 ちょっと時間が来ましたので、まとめさせていただきます。
水分についてはモデル事業の中で、栄養については項目も十分議論が収束していないところですけれども、もう一つの問題点は、ほかのものは大体定常なところにとれるのに比べて、栄養は気温とか季節、水分によっても随分変わってきますので、どういうときに何日間とって平均するのかという議論が今のところないですけれども、これらをモデル事業の中で大体安定した時期にどのくらいとったらいいかということも含めて、水分も含めて検討するということで、よろしいですか。
ほかの項目についても、大体収束に向かってきましたので、次回に最終原案を必須のもの、モデル事業のものを整理して出させていただいて絞っていきたいと思います。活発な御議論をありがとうございました。今回は非常に科学的なものと、現場のもののすり合わせがかなり近づいてきた印象がございますので、あとは事務局と最終的に座長で絞らせていただいてよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○鳥羽座長 それでは、事務局お願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。きょうは、積極的な御議論をありがとうございました。
まず最初に、きょうは4名の先生方にプレゼンをいただきました。本当にありがとうございました。実はきょう、ここに来るまでに事務局とプレゼンされた先生の間で相当やりとりをさせていただきまして、事務局からも絞りに絞ってくださいとお願いして、ここまで絞っていただいたということでございます。その上で、きょうは私どもが気づかないいろいろな御指摘もいただきまして、新しい項目が幾つかございましたけれども、そこは座長から御指示がありましたように、今後また座長と私どもと相談させていただきたいと思ってございます。
また、将来に向けての示唆も幾つかいただきましたので、そこは今年度つくるCHASEというよりは、次の取り組みに向けて幾つか御示唆をいただいたと思っております。
時間も過ぎておりますので簡単にとどめますが、今、先行しているデータベースにVISITというものがございます。これも今、正確な数はパッと出てきませんけれども、システムをつくり上げたその年には、御協力いただいている事業所たしか20か30だったと思います。それが今では500以上の事業所に御協力いただけるようになってきています。最初はとっつきやすいというか、データを出していただきやすい、継続して出していただけるような環境を整えていって、出せないところがあれば、それをどう支援して出していただきやすい環境を整えるかということで、徐々に広げていくことで継続性・悉皆性を広げていくということかなと思っているところでございます。
以上で、私どもからのきょうの時点でのコメントを終わらせていただきます。
○石丸老人保健課課長補佐 次回の日程につきましては、先ほど鳥羽座長から御指示いただきましたように、鳥羽座長と相談しまして、とりまとめ案の原案を作成した上で、また先生方にも御意見をいただきながら、開催の調整等はさせていただきたいと思います。
次回の日程につきましては、追って連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○鳥羽座長 今回、欠席の委員から前回のディスカッションの中で、将来のものとしてAIや画像を使って、より簡略化できないかという議論がありました。先ほどの身長、体重や栄養なども見た目でマルニュートリション、ウェルニュートリションを画像判断したり、見た目で判断するということも将来、簡略化の中で非常に有望な領域ですので、そういう研究も秋下構成員もそういうお話をしていましたので、栄養の方は特にその辺の研究も同時に進めていただければと思います。
それでは、きょうはありがとうございました。
 

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