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2019年5月9日 第7回科学的裏付けに基づく介護に係る検討会議事録

老健局老人保健課

○日時 令和元年5月9日(木)14:00~16:00

○場所 中央合同庁舎第5号館 厚生労働省 専用第22会議室(18階)
     (東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)

○議題 今後の課題の整理の方向性等

○議事

○石丸老人保健課課長補佐 では、定刻となりましたので、ただいまから第7回「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」を開会いたします。
皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
出欠の確認でございます。本日は、伊藤構成員、近藤構成員、武田構成員、藤井構成員、松田構成員が御欠席ということになります。
また、老健局長の大島は、国会対応のため、本日、欠席をさせていただいております。
また、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、報道関係者の皆様はよろしくお願いいたします。
続きまして、本日の議事資料を確認させていただきます。本日もペーパーレス会議ということで、お手元のタブレット端末にPDFファイルを御用意しております。操作方法は前回と同様ですけれども、スマートフォンとほぼ同じような操作方法となります。お手元に説明書を紙で御用意してございます。事務局スタッフも控えておりますので、何かございましたらお声がけをいただければと思います。
では、まず、議事次第という名前のファイルをお開きいただければと思います。お開きいただきますと、本日の議事と資料一覧が記載されてございます。ごらんいただけておりますでしょうか。
それでは、本日の資料について確認させていただきたいと思います。資料としましては、資料1、資料2、参考資料1、参考資料2を御用意させていただいております。不備等がございましたら、事務局までお申しつけください。
それぞれの審議の開始に当たってはファイル名を御案内いたしますので、開いて資料をごらんいただければと思います。何か御不明な点等ございませんでしょうか。
特になければ、鳥羽座長に進行をお渡しして議事を始めさせていただきたいと存じます。
○鳥羽座長 それでは、議事に入ります。
まず、前回の議論について、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○石丸老人保健課課長補佐 事務局でございます。
資料1、資料2がございますけれども、続けて御説明させていただきたいと思います。
まず、資料1「第6回検討会における主な議論について」というファイルをお開きいただければと思います。
前回の主な議論をまとめてございます。まとめ方としては、この後、資料2の御説明をさせていただきますけれども、資料2に沿った形で議論内容をまとめさせていただいております。
上から御説明させていただきますと、まず、収集項目の選定についてということで、収集する項目に優先順位をつけるべきではないかといった御議論がございました。細かくは、信頼性・妥当性についての御議論。それから、現場への負担についてといったところの御議論を幾つか記載させていただいています。
2ページ目、ごらんいただければと思います。続いて、収集する上での専門職の関与のあり方といった御意見を紹介させていただいております。
続いて、分析・比較可能なサービス行為等の介入の情報についてということで、前回の御議論をまとめさせていただいております。
さらに、フィードバックのあり方について、モデル事業等について、その他ということで御議論をまとめてございます。
これに沿って、資料2「今後の課題の整理の方向性について(案)」という資料を御用意しておりますので、こちらをごらんいただければと思います。
全体、5つの項目に分けまして、課題の整理の方向性をまとめさせていただいております。
まず、1ページ目の1)CHASEで収集する項目の選定に関する基本的事項についてというところをごらんいただければと思います。CHASEで収集する項目については、中間とりまとめに示された項目を基本としつつ、以下マル1からマル3の基準に従って項目に優先順位をつけていくこととしてはどうかということでございます。
まず、マル1、これも前回、御議論あったところでございますけれども、信頼性・妥当性があり科学的測定が可能なもの。その際には、信頼性、再現性や一貫性等の観点から、同一の条件で同一の結果が出るかを指す指標。それから、妥当性ということで、測定したい対象をどれだけ的確にはかれているかを指す指標といったものを整理させていただいております。
それから、マル2、データの収集に新たな負荷がかからないもの。国内で使用頻度が高く、事業所等において既に収集しているもの。例えば、既往歴については、ほとんどの介護サービスで収集されている状況があるかと思います。それから、その下でございますけれども、報酬の加算要件等になっているものということで、ADL維持等加算でBarthel Indexとか、栄養スクリーニング加算でBMIといったものを例示させていただいております。
それから、マル3、国際的に比較が可能なものということで、国際的に使用されている評価項目。ADLであればBarthel Indexとか、栄養であればBMI、認知機能であればMMSE、それから褥瘡の重症度分類といったものを例示させていただいております。
また、下に※で書かせていただいておりますけれども、特に1から3のうち、マル1、マル2の部分に関しては、収集する上での専門職の関与のあり方というところも含めて検討が必要ではないかと思っておりますので、次回、ヒアリングを実施してはどうかと考えておりますと書かせていただいておりますけれども、こちらはヒアリング対象の先生等をどのように選ぶかといったところは、また座長の鳥羽先生と御相談させていただいてはどうかと考えてございます。
次の2ページ、ごらんいただければと思います。さらなる論点として、収集する各項目について、収集の対象とする事業所等における負担等を考慮しつつということですけれども、既に事業所等にある情報等を踏まえ、項目を分類して検討してはどうかということでございます。
収集対象ということで、3つ分類しておりますけれども、1つは、基本的な項目ということで、対象とする全ての事業所等において入力を行うような項目。介護被保険者番号とか生年月日とか既往歴といったものを例示させていただいております。
2つ目ですけれども、加算を算定している事業所等で入力を行っていただく項目。この例示として、加算の様式例に含まれている項目。
3つ目、その他ということで、各事業所において任意に入力する項目ですとか、フィージビリティを検討した上で収集対象とすべき項目を例示させていただいております。
さらに、次の論点で、項目ごとの収集頻度ということでございますけれども、こちらも事業所等の負担等を考慮しつつということですけれども、現在の加算の要件とそろえる形も考えられると思います。そのほか、項目の特性等を考慮して検討することとしてはどうかということでございます。
3ページ目、ごらんいただければと思います。2)でございますけれども、収集すべき分析・比較可能なサービス行為等の介入に係る情報についてという論点でございます。
一番上の○ですけれども、収集した項目を用いて、分析・比較を実施するに当たって、介入に係るどのような情報が必要かということを提示させていただいております。
例示を幾つか載せておりますけれども、個々のサービスの介助の内容・介助の程度。離床支援ありかなしかということを1つ例示させていただいております。
それから、加算の有無とか頻度。これは、計画の見直しとか会議になりますけれども、3カ月に1回程度の会議の開催なのか、年に1回程度の開催なのかということを例示させていただいております。
それから、サービスに関連する職種ということで、経口維持に関する会議に管理栄養士が参加しているか、管理栄養士が不参加であるということを例示させていただいております。
その次の○でございますけれども、こういった収集すべき情報、介護の程度等の個々のサービスの方法ということですけれども、現時点では、こういったことが標準化されたケアコードがないので、介護関連のケアコードを開発する必要があるのではないかとさせていただいております。例えば、介入に関する国際的な分類としては、WHOでICHIというものが開発中という状況でございます。
次、4ページ、ごらんいただければと思います。3)フィードバックのあり方について。こちらも、前回、御議論があったところでございますけれども、介護利用者や提供者等がデータの分析結果の恩恵を享受できるようフィードバックできる仕組みが必要ではないかということでございます。
具体的に前回の議論でも挙がっておりましたのが、利用者、介護者、事業所といったところでございますけれども、その他として検討すべき対象はあるかということで、例として自治体(保険者)等といったものを提示させていただいております。また、対象に応じた具体的なフィードバックのあり方は、どのようなものが考えられるかということも論点になるかと思います。
次、4)モデル事業等のあり方についてということで、前回もモデル事業の関係の議論があったところですけれども、実際にCHASEでデータ収集を行っていくところで、優先順位をつけていくわけですけれども、その中で優先順位が低い項目も含めて、収集項目のフィージビリティ等について、実証的な研究等を行っていくこととしてはどうかと考えております。具体的には、調査・研究等で対応していくことを検討してはどうかということでございます。
さらに、その下でございますけれども、モデル事業等の結果を踏まえ、CHASEで収集する項目については、さらに整理していくこととしてはどうかということでございます。これは、新しい項目の追加も含めて検討することを想定してございます。
最後、5)その他というところでございますけれども、これも前回の議論に沿った形です。1つ目、現場のデータ入力負担軽減のため、介護事業所で使用している既存のシステムが、CHASEに対応できるように標準仕様を策定・公開し、これに対応するようなCHASEと連携する事業所システムの整備を促進するような施策等について検討していくこととしてはどうかということでございます。例えば、介護事業所のシステムで既に収集されているデータのCSV連携を行うといったことが考えられるのではないかと思っております。
さらに、その下ですけれども、今後、柔軟に収集する項目の追加といったことが考えられると思いますので、項目の追加等が可能なシステムとして、どのようなものが考えられるか。例示ですけれども、例えばクラウドシステムを使うとか拡張が可能なデータベース形式によるものを想定しているところでございます。
済みません、資料1、2、続けてでございますけれども、事務局からの説明は以上となります。
○鳥羽座長 ありがとうございました。
前回、かなり濃い議論をいただいたところですが、それを事務局で上手に資料1として、主な議論についてまとめていただいて、繰り返しになりますけれども、まずは収集項目の優先順位をつけて収集していくべきではないかという一致した議論のもとに、項目選定については、信頼性・妥当性、現場の負担、専門職の関与、介入情報、フィードバック、モデル事業などの観点で議論したことをまとめていただきました。これについての今後の案として、資料2が前回の議論を踏まえて、やや各論に踏み込みながらまとめていただいたところです。
まず、この資料に関して、質問あるいは前回の議論などで足りない点がございましたら、どうぞ御自由に御発言いただきたいと思います。今回はたっぷりと時間がとられております。それでは、一つ一つやっていくことにしたほうがよろしいかと思いますので、まず資料2の「今後の課題の整理の方向性について」、1)CHASEで収集する項目の選定に関する基本的事項について、信頼性・妥当性、データの収集に新たな負担がかからないもの、国際的に比較が可能なものという分け方、論点で、マル1、マル2については、専門職の関与のあり方を含めてヒアリングをしてはどうかという事務局案ですけれども、1)について、いかがでしょうか。
どうぞ。
○三上構成員 日本作業療法士協会の三上です。
前回、介護現場にいる医療職である看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等がデータを収集する上で、教育的な背景、または研究・倫理に関するベースがあるのではないかという観点を少し発言させていただきました。この専門職の関与のあり方という論点が出てきているのかなと思っておりますので、現実的に、1次仕様のCHASEのデータを誰が入力して、誰がデータを提出するかというところでは、介護現場にいる、将来的にはどなたでも入力できることが望ましいかもしれませんが、まず、専門職種からのヒアリングということに関しては、賛成させていただきたいと思います。
以上です。
○鳥羽座長 そのほか、いかがでしょうか。
この議論の中で、科学的な介護の評価指標候補をある程度選んで、それをやっていただいて、科学的な検証がフィードバックされた場合に、それが利用者に反映された場合には、また将来、これがそのような介護技術などが加算要件に加わってくることも当然あるわけですので、現在の加算要件になっているものはもちろんそうですけれども、これからいろいろはかっていくものが加算要件になっていく可能性はありますし、それだけに限定しているわけではないという解釈で事務局、よろしいですか。
どうぞ。
○石丸老人保健課課長補佐 もちろん、今後どういった項目を選ぶかという議論をしてということですけれども、項目を選んで収集して、解析して、いろいろな結果が出てくるという状況になると思いますけれども、その際に、先生御指摘の点も含めて、その結果に応じて議論されていくものと思っております。
○鳥羽座長 重要な領域でも、加算が先行している領域とそうでない領域があるかもしれませんので、その辺は専門の先生方に目配りいただいて、余り重要なものが落ちていないようなものにしていただきたいと思います。
では、この1)はよろしいですか。次に進んで。どうぞ。
○江澤オブザーバー ほかのところにも横断的に重なる話かもしれないですけれども、CHASEはケアの質をはかるということなので、特に自立支援の観点からすると、もちろんリハビリテーションにしても、口腔ケアにしても、1日の中の20分であったり、30分であったり、生活の中の一部の断片的な部分を捉えているもので、決して否定しているわけではないですけれども、これはこれで収集をやっていくとして、自立支援に恐らく最も影響する、一つの大きな要素は、例えば施設内で日中をどう過ごしているか。
ベッド上で座位もとらず、極端な例で言うと、ずっと寝たきりでいるということは、完全な廃用症候群を助長するわけで、どれぐらい座位をとっているのか、あるいはどれぐらいベッド離床を行って、IADLあるいは作業療法みたいなこと、いろいろな洗い物をしたり、米とぎをしたり、認知症が重度になってもできるようなことも多々ありますので、日中をどう過ごすかということが非常に重要。
もう一点は、車椅子等による過剰介護をいかに廃止して、自立支援を阻害している要因を拾い出していくかということも重要ではないかと考えています。特に、社会参加の観点からも、そういった取組がどのようになされているのかということで、これはなかなか拾いにくい部分でございますので、提案としましては、そういった選定した施設の中で、モデル事業等で、例えば日中の座位の時間とかベッド離床とか、先ほど申し上げた過剰介護の観点をちょっと調査していただいて、ここの加算部分に加えて、こういったものをなるべくデータを付加していただきたいというのが提案というか、要望でございます。したがいまして、この加算部分に加えてやるということ。
もう一つは、加算に算定するための取組は、各施設と各スタッフにおいて、一定程度、当然異なりますので、中身も非常に重要だと思いますので、その加算について中身をどうするかということは、まだ検討課題と思っています。
3点目は、これから団塊の世代の方が施設を利用される時代になることも踏まえまして、特に集団的なケアを脱却して、お一人お一人を尊重する個別ケアへシフトしていくことが現場では求められていると思いますので、そういった中の、例えば入浴でも、個浴もあれば、機械浴もあれば、大風呂もあれば、いろいろな形態がある中で、そういったことも含めて、ちょっと視野に入れながら検討していただければありがたいと思っております。
以上でございます。
○鳥羽座長 ありがとうございました。
今のお話は、比較的、結果とかアウトカムや施設の設備のようなものははかりやすいですけれども、プロセスというか、いい介護につながるベクトルのようなものをどのような形でサービスをしているかということをモデル事業ではかった上で、いい指標があったらつくっていったらどうかという趣旨でよろしいですか。
○江澤オブザーバー 特に、日中のケアとかリハをしていない時間帯にどう過ごしているかというのが非常に大きく影響しますので、そのあたりは現場のモデル事業等でデータが収集できればありがたいと思います。
○鳥羽座長 ありがとうございました。
どうぞ、海老原構成員。
○海老原構成員 先ほどのお話とちょっとずれるのですけれども、今回、収集する項目でかなり重要だと思われるのはマル3、国際的に比較可能なものだと思います。なぜかというと、今、日本はこういった高齢化社会のフロントランナーでありますので、CHASEで培ったソフト面というか、技術がうまくいきますと、最終的にいろいろなこれから高齢化社会を迎えるような国に対して、このノウハウを長期的には輸出できるようなことも考えていったらいいのではないかと思います。
そういった面では、国際的に比較が可能なものというのは非常に重要な視点で、こういったものを担保するためには、項目のアカデミアによるチェックみたいなものが非常に重要なポイントになってくるのではないかと考えております。
○鳥羽座長 具体的にはどういう。
○海老原構成員 いろいろな学会とかで、学術的な団体によるチェックみたいなものが。
○鳥羽座長 例えば、やったものをいろいろな関係の団体に監視してもらって、この委員会以外で見落としがないかということをしてもらうというプロセスということですか。
○海老原構成員 そうです。
○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
○白石構成員 日本福祉大学の白石です。
現状でも、データというのはこのCHASEで出されているわけですので、その中で各施設でエラーが比較的多いというか、入力が困難なというか、データベースでよくあるのは、項目がすごく多くて、ある項目は入力がすごく少ないということ、現状でももしかしたら分析ができるのではないかなと思うのですけれども、そういったことも踏まえて、項目に関する選定というものを少し考えてみたらどうかなと思うのですけれどもね。今でもデータ収集、各施設が出しているという理解でよろしいですか。
○鳥羽座長 事務局、いかがでしょうか。
○石丸老人保健課課長補佐 今回のCHASEという意味では、ほかに介護分野、データベースがいろいろありますけれども、CHASEというのは新規でこれから新しくつくる部分を御議論いただきたいと思います。今の時点でCHASEという意味で収集しているものはまだないですので。
○白石構成員 リハの加算をとっているところが出しているものではないのですか。
○石丸老人保健課課長補佐 それは、恐らくVISITという、また別のデータベースということです。
○鳥羽座長 どうぞ、折茂オブザーバー。
○折茂オブザーバー 基本的に僕の理解だと、こういう状態の人に、こういう介護の介入をしたら、こうなったというところをしっかり分析して、どういう人に、どういうことをやったらよくなるのか、悪くなったのかというのを見るためのCHASEだと認識しておりますので、そうなると、今の質問もそうだと思いますけれども、ADLとかIADLとか、どんな状態なのかというものを客観的な指標をまず選定するということ。
それから、ここにケアのコード化と書いてありますけれども、どんなケアが行われたのかということをしっかりコード化するという。これは、世界的にもなかなか難しいかと思いますが、このコード化があって、その結果として、身体的にどうなったのか、心理的にどうなったのかというところを客観的に押さえるポイントをこの会で選定するという、僕は理解です。
また、介護の中というのは、今まで余り論理的に行われていなかったところも少なからずあるものですから、医療と違うところがあって、その中で客観的なデータをどういうふうに拾ってくるのかというところを、ぜひ具体的に議論していかないと先に進まないのではないかという気がします。
○鳥羽座長 そうしますと、アウトカムから見て必要なエッセンシャルな科学的な介護のケアコードといったものを誰が選んで、どうやって項目選定していくかということの選定のプロセスについては、折茂オブザーバー、意見はありますか。
○折茂オブザーバー 老健事業などで各団体がいろいろな研究を今、進めているところだと思います。例えば、認知症短期集中リハでどうなったのか。認知症短期集中リハといっても、どんなケア、どんなリハビリなのかというところをしっかりケアコード化していくということを各団体もやっていると思いますし、そうしたところを早目に詰めていく。ただ、CHASEは2年後には実現ということになっていますから、道のりは大変忙しいのですけれども、各団体がやっていることをピックアップしながら、各アカデミアの先生方が持っているデータとかを早急にさらけ出して、オープンにして拾ってくるということしかないのではないかという気がします。
○鳥羽座長 ありがとうございます。
各領域の専門の構成員の先生方、いかがでしょうか。どうぞ。
○鈴木構成員 名古屋大学、鈴木でございます。
前回、私、議論に参加していなかったものですから、理解不足だったら申しわけないのですが、データの収集に新たな負担がかからないということでいいますと、基本的には、データを収集するのは、例えば介護保険の訪問調査のときに収集することを前提に考えていると理解してよろしいでしょうか。
○石丸老人保健課課長補佐 今回、少なくとも初期のCHASEという形で集めるものは、実際には事業所の端末のようなものができると思いますけれども、そういうところから入力するという形で、それをどこかのサーバーに集めるといったイメージです。
○鈴木構成員 では、次回ヒアリングと書いてありますけれども、例えばデータをどう処理するかという意味において、専門職の関与とか統計というところでヒアリングをするという面も大事だと思いますが、あと、実際の現場で収集する上で、これは現実的でないとか、事業に過大な事務負担がふえるという現場からの意見を吸い上げる必要がありますので、そういうヒアリングも考えられてはどうかなと思います。
○鳥羽座長 いかがでしょうか。
どうぞ。
○三上構成員 作業療法士協会の三上です。
2)のケアコードの話が出ていたと思うのですけれども、この検討会の1年目のときから、ICFも含めて、介入コードまたは全体のひもづけといいますか、一つのフィールドであったり、テーブルであったり、リレーションをどうするかという中に、ICD-11があってICFがあって、私も勉強中ですけれども、ICHIというものがあって、コードが完成するということがあると思うのですけれども、ひもづけという形では、ICFも含めて、介入コードであったり、老健のいろいろな専門職団体が取り組まれていることももう一度洗い出して、ICFも含めてどういうふうに表現できるかということも参考にできるのではないかと思っております。
以上です。
○鳥羽座長 いかがでしょうか。
どうぞ。
○福井構成員 今、介入の視点とか項目についての御議論があったと思うのですが、CHASEの中間とりまとめで出していただいている部分は、食事とか排泄とか活動、睡眠、また認知機能といった生活の機能面に関することが主になっているのではないかと考えるのですが、そこがちゃんと維持して、きちんとした元気な生活を送っていただける状態にあるかどうかということを、日々の日常の状態をしっかり捉えるという側面と。
あとは、高齢者の方ですと、疾患とか痛みとか呼吸困難といった、悪化していく方向性の状態をお持ちでいらっしゃる方が多いと思うので、悪化をどれだけ軽減できているか。具体的には、先ほど申し上げた疾患が3次予防的に悪化することを低く抑えられているか、痛みとか呼吸困難の程度がどうかというところの視点というのも盛り込んでいけるといいのではないかということと。
あと、3つ目の側面としては、プラス面、その方の尊厳とかウエルビーイングとかQOLの向上といった、豊かに過ごされる、生きていかれるためのかかわりをできているかといったことで、ACPとか人生会議といった言葉が今、頻繁に聞かれますが、御意向をしっかり捉えた上でケアに反映しているかといったことであったり、身体拘束をしていないかということも介入の視点として盛り込んでいかれるという、3つの日常の状態の維持ということと悪化を軽減できているか。また、プラス面をきちんと向上させているかという視点で考えていくのも、1つあるのではないかと考えております。
○鳥羽座長 ありがとうございました。
今、いろいろ具体的な項目が出てきたところですが、これは重い人だけを念頭に置いているわけではないですね。そうしますと、項目選定に当たって、全ての状態像、すなわち介護予防からエンドオブライフ・ケアまで適用するような項目になると、すごく多くなりますけれども、おのおのの状態像に適した、非常に基本状況以外はオプションでやっていかれると、今、福井構成員の言われたものが必要な場所に乗っていくような気がしますので、今後のヒアリングの中で、その辺の項目選定も含めて話せるような方を選んでいくことが重要かと思っております。
いかがでしょうか。どうぞ。
○宮田教授 ありがとうございます。
まさに今、おっしゃっていただいたとおりで、紙の時代だと、それこそオプション項目を積み上げる、分厚いものになってしまうのですが、今はそれぞれの施設が持っているシステムに組み込むとか、あるいはiPadのような端末で、いわゆるサポートしながらデータを収集するという方向に移行しつつありますので、例えば老健で身体的なADL改善を目標にした人。あるいは、さっきおっしゃっていただいた認知症の短期リハもあったり、あるいは特養で看取り。
そうなってくると、その人の価値観にどう寄り添うのかという話があって、とる項目もかなり違ってくるので、このあたりの目的をフェーズごとに分けながら、いかにオプションを、その状態像だったり、フェーズごとに組んでいけるかということになるかなと。
ただ、どのフェーズであっても、前回もお話ししたように、20とか30とか、ある程度限られた項目の中に、それぞれのフェーズはおさめるのですけれども、候補となる項目は多分たくさん出てくるのかな。それが膨らまないように工夫することが必要だと思います。
○鳥羽座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
秋下構成員。
○秋下構成員 東京大学の秋下ですが、基本的にここで取得するものは、ざっくりと言えば高齢者総合機能評価、鳥羽先生が御専門とされているCGAに該当するのではないかと思います。CGAで何をやるかという話にいつでもなるのですけれども、例えば鳥羽先生のCGA7というものがあって、これが適さないものもあるかと思います。
考え方として聞いていただければと思いますけれども、スクリーニングでそれぞれの要素で1項目ずつ入っていて、基本的ADL、集団的ADL、認知機能あるいは気分、うつ関係ですね。そういったものからなっていて、どこかが引っかかれば、それについてのツールのフルセットをやるという考え方で、今、宮田先生がおっしゃったのは、まさにそういうお話ではないかなと理解しています。
そのコード化がこの領域でどこまでできるのか、それは私にも十分わからなくて、次回、専門職の関与のあり方ということでヒアリングという話ですが、コード化をしっかりするためのワーキングなり、ヒアリングなりというのは必要なのかなと。ここで、この検討会で話していても結論が出ないのではないかなという気がいたしましたので、よろしくお願いしたいと思います。
○鳥羽座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○利光構成員 愛媛大学の利光と申します。よろしくお願いします。
データに、問題があり改善対応が必要であると判断した場合のその対処法というものが、介護の現場では標準化されていないところがございます。施設内の生活の状態も個々に違うのと同じで、その評価に対しての対処法が、施設によってリハビリの内容や、栄養管理の方法や基準等が往々にして異なることはあるかと思いますけれども、その状況で評価データとして比較することになりますが、宜しいのでしょうか。
○鳥羽座長 ちょっと具体的にどういうことですか。
○利光構成員 例えば、この方は食事もとれていない。食事をとることを始めたいし、リハビリも始めたいという方がいらっしゃると思います。ただ、食事はもともとこれ以上、この人に勧めても食べないから、必要量に対し不足していても食事の提供はしない。という介護施設側の決定もあります。そうすると、必要な栄養量が入っていない人に対してリハを始めた人と、それなりに栄養摂取改善ができ、対応できた方に対してリハビリを始めた人が混在することになり、評価が変わってくると思われますが、いかがなものでしょうか。
○鳥羽座長 いかがでしょうか。
どうぞ。
○八木構成員 東洋大学の八木と申します。
私も今、利光構成員が言われたことを懸念しておりまして、CHASEの収集する項目の信頼性・妥当性があり、科学的測定が可能なものというのは、介護の現場での再現性の検証というものがまだまだ行われていないのが現実で、その中で、介護は客観性がなく複雑で、今、言われたようなさまざまなケースがあって、個別性が強いのが介護のプロセスではないかと思っております。ですから、人を見ないで数字ではかれるものだけをピックアップしていくことは如何なもので、どうアプローチしたのか、その中身がどうだったのかということで、結果が出たということを見ないと、科学的介護の介護という言葉から離れていくような気がして、私もその辺、少し懸念しています。
先ほど言われたように、客観性の指標とか、もう少し再現性の検証というものを具体的に行った上で、ピックアップするものを考えていく必要があるのではないかと考えております。
○鳥羽座長 いかがでしょうか。重要な論点かとは思うのですが。
では、真田構成員。
○真田構成員 介護の現場も看護の現場も、症状緩和はもしかしたら看護の仕事かもしれませんが、生活の支援、主観的な幸福感という、さっき福井先生がおっしゃったフェーズがあると思います。こういうデータベースをつくっていくときに、何割これがカバーされる、一般化が可能なのかということを常に考えていかなければいけない。看護も、こうやってデータベースをつくっていかなければいけない仕事なので、思うのですけれども、100%の方がこれをカバーできることはもともとないので、どれくらいカバーできるかということは前提に考えておかなければいけない。個別性と一般化できるところは、必ずあると思います。
ですので、私たちも個別性は非常に大事にしながらも、折茂先生がおっしゃったように、ここで一番大事なことは、誰に何をしたらどうなったかというフェーズがしっかりわかるようなデータベースじゃないと、科学的なビッグデータとして今後、使えないのではないかなと思っています。個別性をどこまで重視して入れていくかは、そこは慎重に検討しなければいけないのではないかと思います。恐れるというか、少しうれう気持ちは、私もよく理解できます。
○鳥羽座長 どうぞ。
○宮田教授 ありがとうございます。
まさにおっしゃっていただいたように、この項目で現場をどう評価して実態を捉えていくか。さらに、科学的な根拠に基づいて質を改善していくか。これがすごく重要な視座ではあるのですけれども、全てを説明することというのはかなり難しい。現場から見ていると、この部分の質問に答えられないとか、ここの不確実性を説明できないというのは常にあるので、それを全部答えると、多分項目が100、200になってしまう。
今回、重要なのは、これをもって完全な評価を現場にするというわけではなくて、まず質向上において重要な部分を押さえながら使っていきましょう、この第一歩です。そうすると、例えば老健における身体的活動のADLの改善、ここでまず押さえるべきことはどこか。それぞれのフェーズごとに優先度の高いものをまずつかんで、現場が使えるようにしていくということをコアにしながら、最初の基本項目をつくっていただけるといいのかな。これを回していくと、もう少しここは解釈が揺らぐから、ここはもっと攻めたほうがいいとか、次のフェーズでこういった観点に行けると思います。
妥当性に関しては、最初にお話がありましたが、各分野、監視していただきながら、しっかり項目を見るということ。信頼性に関しては、さっきの再現性が揺らぐということはあるので、誰が入力したかということを検証できるようにしておけば、後でまた、ここの確実性はこれだけじゃ説明できないという検証ができますので、ログを残して、適宜みんなで振り返るようにしておくということが必要かと思います。
○鳥羽座長 いかがでしょうか。
木村オブザーバー。
○木村オブザーバー ありがとうございます。全国老施協の木村でございます。
今、宮田先生がおっしゃっていただいたように、現場は説明できないことが多々あります。それは、知識等々がないから上手に説明できないということも含めてですけれども、先ほど利光先生も八木先生もおっしゃったように、アプローチの仕方も、対処の仕方も、何もかもがばらつきがあり過ぎて、それは一つの施設の中でも、当然職員さんによってもばらつきがあるし、どこで、どう対処したということが標準化されていないのが現状としてあると思いますので、非常に難しいなと思います。
ただ、こういう科学的な根拠に基づくことは本当に必要で、どうデータを収集していくかということについては、現場に負担のないということは、皆様、先生方がおっしゃっていただいているので、できる限り多くのデータを収集しながら、それをどうひもづけたりしていくかということは、一方で必要だと思います。
先ほど宮田先生もおっしゃったように、3)にもありますけれども、それをどうフィーバックしていくか、誰がどう使えるようにしていくかというところが、我々現場からすれば非常に関心の高いところであって、そこにおいて、御利用者であったり、介護従事者であったり、そういったところが、このデータを収集してCHASEができたときに、それがきちんとフィードバックが享受されると非常にいいのですが。
そこがないと、先ほど先生、例えば輸出できるものになるということも、もちろん1つ、我が国の介護ということでは非常にいいかなと思いますけれども、現場は、当然ながら知識も経験も浅い方から、若い方、高齢の方、いろいろな方がいる中において、そこで普遍的に落とせるものができるといいかなと。そこが一番の現場からの希望だと思います。
○鳥羽座長 いかがでしょうか。
アプローチとして、これだけの専門家の方が集まっておられて、そこにはその領域の専門家の集団がいらっしゃるわけなので、こういう困ったときの評価をどうしたらいいかということは、複数の方式が出てくるわけですね。そういうテキスト的なものは、当然対応としてつくるとして、より個別的な反応については、認知症でちえのわnetで集めているように、こういう人にこうやったらうまくいったが65%で、だめだったが35%、状態像がわかると、こういうときには、こういうケア。
だけれども、一概にそうじゃなくて、こっちがいい場合があるということも、今後、ちえのわnetではなくて、科学的介護ケアネットみたいなものを誰かがやれば、それがビッグデータの中で自動的に出てくる可能性がありますけれども、ケア従事者として考えれば、そういう形も複雑性を克服する一つの手段になるかもしれません。
もう一つ、先ほどからの議論の中で、介護予防からエンドオブライフまで、おのおの評価の結果論が随分違ってきますので、総合機能評価が一番弱いのは、寝たきりと、もっと軽い人の健康が弱くて、中間が強いわけです。ですから、介護の中で開発が一番おくれている部分が、重症、エンドオブライフ、反応がない人をどうやっていいケアをしてよくしていくかということの開発。意欲の指標は、私がやったのは一つの手段ですが。
そのほか、笑顔とか、先ほどから出ている目力とか、さまざまな悪液質に伴う筋肉の減少とか吐き気とか痛み、不安というものがどこまで科学的に重症、寝たきり、エンドオブライフの人に備わっているかについては、委員の先生方におのおのの領域で出していただいて、しかもそれが簡略な1項目ではかれるようにできるかどうかということも踏まえて、今後、ヒアリングの中で検討して、実際の人が使えるかどうかということを現場の人にフィードバックしていく、そんなプロセスを今までの議論では考えておったのですけれども、どうでしょうか。
どうぞ。
○三上構成員 作業療法士会の三上です。
3)のフィードバックのあり方ということの議論になるかと思いますけれども、マル1、利用者、介護者、事業所、その他には自治体という言葉が例で出されています。地域ケア会議等で、こういった状態像の方がどんなサービスを使って、どう暮らしていけばいいかということを議論していくとき、このCHASEでのフィードバックがあると、もしかしたら総合事業においても保健師等が地域の高齢者からデータ収集に活用できる、地域ケア会議において、こういった状態像の方がこういうケアをされると維持向上できると思います。フィードバック対象としては、例に出されているように、自治体も含めて、もっと広くされるのがよろしいのではないかと思っております。
以上です。
○鳥羽座長 どうぞ、葛西参与。
○葛西参与 もともとデータヘルス改革推進本部でこの議論をおととし始めたときに出てきたのは、出発点はどこにあるかというと、実は介護の分野だけに特化した話とか、医療だけに特化した話とか、健康とか、特定の分野に特化したことでデータを分析することではないというのが、私のミッションでした。
その中でいくと、データを分析しようとするとややこしいのは、例えば疫学研究みたいな悉皆性をすごく求めるような、ある程度悉皆性のある統計がないと成り立たないものもあれば、逆に今回の科学的介護のように、介護の課題の中で、既に加算制度化されたものをよりよく回すもの。
それから、わからないですよ。ユマニチュードなり、卓球ケアなり、そういうことをこれから取り込むべきじゃないかみたいなことを実証するものもあるでしょう。
それから、もう一点言うと、もともとの議論では、認知症で言うと、タウ仮説は本当にどうなのか。この中に専門の方がたくさんいらっしゃるのですけれども、そういったサイエンスに係る問題も分析できるようにしましょう。
あとは、介護予防ですね。私も差しかかってきて、50、60ぐらいから、そろそろ介護に差しかかるところで、ちゃんと食生活を直しましょうみたいな。私も直さなければいけないと常に思うのですけれども、そういった介護予防でも使いましょう。結構幅広く使う予定だったのです。
そのときに、私自身はデータベースとかシステム専門家ですから、その中で言うと、それぞれの分野ごとに、これで正しいと思うのはエビデンス化でございまして、エビデンス化するのは、それぞれの分野、ばらばらに違う専門家がいらっしゃいます。例えば、ある学会である場合もあるでしょうし、ある地域で決める場合もあるでしょう。なので、それぞれの分野ごとに、例えば実際に入力して、収集して、解析して、私も解析もするのですけれども、解析して人間化すると、いろいろな行動群をエビデンス化する方にとって、一番正しい状態で連結解析する。これは、6回目で御説明したとおり、医療と介護のデータベースに連結解析しました。
その中で、一番うまく解析しやすい行動はどれだろうなと見つけていく、手探りする。なので、それぞれの部分的な課題とか社会課題とか、介護に特化した特化課題とか、それぞれごとに入力、収集、解析、活用、実証して、実際にそういうケアをやってみたり、そういうことに効果があったのかという前向き研究をやってみて、そしてエビデンス化して、初めてデータが生きてくることになるので、それぞれの分野ごとに、今みたいなデータをエビデンス化するモデルというか、サプライチェーンのモデルをちゃんとつくっていただいて、それぞれごとに適切なコード化をするということで私はいいと思っているのですね。なので、データのコードというのは1個にはならないと思っている。
かつ、システムをつくるときに、データをストックする場合とデータのセット、別々の構造になります。なので、データをたくさんストックしておいて、コードづけして、それと連結解析するというのは、全く違うデータベースをつくることになるので、それぞれごとにシステムをつくっていく必要があるのだなと私自身はわかっていたのですが、こういう事業をやる方々のシステム開発をやる方々にも、そのあたりを理解いただければということを、総論からおさらいまで、御説明までと思いました。
○鳥羽座長 これは確認しなければいけないのですが、医療データはデータ連結をむしろ使ってストックしていくということで、今回の介護の科学化の中に、新たに血液検査とか、そういうものをたくさんふやしてということじゃないのですね。その辺はどうですか。
○石丸老人保健課課長補佐 基本的に、恐らく既存の収集プロセスの中で収集されているようなものもあるのではないかということですけれども、これは将来的な検討課題ということにもなると思いますけれども、行く行くはCHASEのデータベースをほかのデータベースと連結ですとか統合していったりといった中で、医療のことも想定して、今後これを組み立てていく必要があると思っておりますので、そのときに結局、二度手間というか、重複したものを集めるのでは無駄になってしまうので、そういうことを見据えてやっていくということではないかと思っております。
○鳥羽座長 サービス供給の母体によって、医療と介護と両方を担当しているようなところと、そうできないところとありますので、それは個別のサービス供給者によって、オプションではかれるものははかっておいたほうがいいということを項目で挙げておけばいいということですか。
○石丸老人保健課課長補佐 それは、場合によっては、対象に応じて入力しないといけないようなものと、そうでないものとあるかもしれないですね。そうしたことも含めて提供していくという。
○鳥羽座長 特に、先ほど言った疾患とか栄養という場合に、血液とか、そういうものが全くなしで済む場合と、あったほうがよりわかる場合があるかもしれませんので、その辺のことを今、議論として投げたところです。もちろん必須ということではなくて、どこまでそういう医学的なデータをこの介護データの中で、ある程度重要視したり、考えていったらいいかということについて、前回のまとめはどうでしたか。
○石丸老人保健課課長補佐 もちろん、例えば新しく採血して検査しますということをやりますというときに、当然、それは介護のそれぞれの現場によってフィージビリティというものがあると思いますので、そういったところも見ながら検討していくものと思います。
○鳥羽座長 どうぞ、折茂オブザーバー。
○折茂オブザーバー とても重要なところで、例えば介護のところだけ見ていても、医療で同じような状態像の人に、薬が15剤出ていて多剤併用の方と、きれいさっぱり、二、三種類でうまくいっている方。そうすると、多剤併用が悪いかどうかわからないですけれども、その方はこんなになってしまったという医療データとの連結というものが、将来とても重要になってきます。採血とか、そんなものだけじゃなくて、さまざまな疾患名からも予測されるところはありますし、そこのところの医療データとの連結というのは、先々、当然しっかりしながら見ていかないと、介護の面だけ見ていけば介護が分析できるかといったら、そんな簡単なことじゃないはずだと思っています。
○鳥羽座長 どうぞ、宮田教授。
○宮田教授 ありがとうございます。
まさに、今、自治体、都道府県のほうと、そこの部分の連携をしておりまして、今、国保を都道府県単位で分析できますので、そうすると、今おっしゃっていただいたようなレセプト、処方のデータ、DPCと、後期高齢者、介護保険、このあたりが60歳以降は中でつながっています。今後、CHASEがこれと連動しながら、例えば新被保番みたいな形で入れていただければ、連結して、自治体としての分析だけではなくて、これは個人情報の部分もどこかで議論すれば、介護側からそのデータをいただいて、それまでのその人の実態を把握した上で、最適の個別アプローチということも十分可能になります。
あるいは、先ほど座長、おっしゃっていただいたように、その手前の部分。通常歩行速度というのも、今、ライフログからもとれるようになってきているので、これが落ちてきた方に早目にアプローチに入るとか、あるいは老健を出られた方がその後、元気に活動できているかというところをサポートしながら、いろいろなサービスを提供していくといったことも可能になっていく。これは、もう少し先の話ですが、このCHASE自体を、こういったことを想定した上で、先ほど葛西さんもおっしゃっていただいたのですが、コードさえつくっておけば、この辺は十分担保できるかなと思います。
○鳥羽座長 介護予防のフレイルといったところの評価指標まで話が。軽いほうについて、どうですか。項目の選び方について、何か御意見ないですか。
○海老原構成員 このフィードバックにもかかわってくるのですけれども、CHASEの最大の強みは、恐らく高齢者が事業所を転々と移る場合があって、そういった事業所を転々と移った場合でも、前のデータが一瞬にして呼び出せるということだと思います。そういうことを考えますと、かなり軽症の段階、昔までさかのぼると、ほとんど何もなくて、先ほど秋下先生がCGA7のことを言いましたけれども、CGA7で遅延再生が引っかかったらMMSEをとるという形だと、例えばMMSEが正常範囲で、ちょっとずつ落ちてきたところが、このCHASEで過去まで追っていくと、その予兆みたいなものがわかるということも可能性としてはある。
なので、CHASEによるデータの統一化というのは、元までさかのぼって見ていて、そして体重が落ちていくということは、そこの事業所で過去のやつのグラフとかはなかなか見られないので、そういった面で介護者・事業所にとっても非常に利点は大きいし、研究の分野でもフレイルの段階を早く見つけるというのは、項目をきちんとしておけば、かなりいいことなのかなと思っております。
○鳥羽座長 重要な4領域については、軽い時期と、また進行期というか、段階で、おのおのの指標の重要なものを各委員の先生に見ていただくということで、とりあえずまとめておいてよろしいですか。
あと、介護の科学化というと、認知症のほうでいえば、重要な遺伝子の解析、4つぐらいで鑑別診断や重症、将来のなりやすさもわかってくる。お金は高いし、保険が通っていないので、将来性がないと言うかもしれませんけれども、バイオマーカーもまだ開発中です。フレイルや要介護のバイオマーカーも出てくるかもしれない。
現在は、高くて研究段階ですけれども、本当に科学化ということを言うのであれば、バイオマーカーとか遺伝子検査での個別化をした、それにさらにケアサービスのマッチングでどうかということも、10年先ぐらいには笑い話じゃなくなるかもしれませんので、その辺は今回は別として、そういう論点もあるということは、とりあえずこの委員会の中で個別化、プレシジョンケアというか、そういうものに関しての概念だけは、皆さんでいただいておければと思います。
どうぞ。
○葛西参与 ほかの医療のデータベースを考えるときは非常に議論されるのですが、個人の特定の問題です。今、まさにちょうど皆様に議論いただいたとおり、例えば施設を移動されたとか。私が介護予防という言葉を使ったのは、これはデータの分析が非常にややこしくて、医療の段階での保険の新被保番、公表していますが、新しい被保番ができますけれども、被保険者番号を中心として解析する。これが介護になると介護保険に移りますから、番号が変わります。どうやって個人をひもづけていくかというのは、まるで毛糸を編むようにたぐり寄せるように全部分析していくことになります。
そうしたときに、今回、重要なのが、これは個人情報にかかわる問題でもあって、医療の場合ですと、例えば病院を移った場合に、どうやってその人を特定していくのか。こういった問題まで含めて、トレース、トラッキングをすることになります。もちろん、個人名とか3情報みたいなものは匿名化・加工化して暗号化するわけですけれども、どうやって特定していくのか。施設番号を使うのか、個人番号を使うのか、このあたりは結構検証が必要だと思います。
そういった検証行為を、こちらの議論では余り出ていないところが、きょう、初めて個人を特定することに有用性があるという議論になったので、ぜひ個人を特定してデータを解析するという検証事業を、モデル事業でやるかどうかはさておき、何らかの検証行為をしないと簡単に分析できないということを申し伝えておきたいなと思います。
○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○白石構成員 先ほどから連結とか連携ということが出ているのですけれども、今回、項目を選定する上で、連結を前提にして考えていくのか、それともここである程度完結してしまうのかということによって、例えば、ここの1)で出てきているような既往歴とかBMIというのは、連携できなければ当然要らないわけですし、そのあたりも我々が項目を考える上で少し重要なことかなと思うのですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。
○鳥羽座長 まず、事務局のほうからお願いします。
○石丸老人保健課課長補佐 議論として、1つ事務局として整理しておきたいと思っております。
まず、今の段階で議論していただいておりますCHASEというものですけれども、CHASEで集めるデータベース自体は匿名での利用というものを想定しているものでございます。匿名での利用ということになったときに、当然、施設が変わりましたというときは、それをずっと追って個人単位で連結を、匿名化しつつもできるような、今で言うと、例えばNDBとか介護DBといったものがあると思いますけれども、そういったものと同じように、個人単位で追えるけれども、匿名化しているようなデータベースというものをまず想定しているところでございます。
これは、現場でそういった情報を出して、それからCHASEで収集するといったときに、CHASEで集めるためだけの情報ということでどんどん入力していってもらうというものでは、また一方でないと思っておりますので、当然、現場の介護領域とか医療領域も含めてということですけれども、こういった情報の連携ということともしっかり整合性がある程度とれたやり方でやっていく必要があるのではないか。
例えば、連結するときのキーというところで言うと、資料2の2ページで少し整理させていただいております。もちろん、これは今、既存のデータベースでも何をキーに連結していくかということを、まさに議論しているところではありますけれども、例えば介護の被保険者番号といったものを収集した上で連結するということであれば、少なくとも匿名で利用するといった意味でも、匿名化、例えばハッシュ化した上でつなげるということもできるのではないかと思っておりますので、そういった前提で御議論いただきたいと思っております。
○白石構成員 ということは、この中である程度分析できるような形でデータベースをつくっていくという理解でよろしいですか。
○鳥羽座長 将来、もう少し個人の利益に資するものであれば連結してという議論があったような記憶が。
どうぞ、保健課長。
○眞鍋老人保健課長 御議論ありがとうございます。
もう少し言葉を足させていただきますと、医療のNDBと介護のDBを連結して分析するということを可能にするための法律案を、まさにこの時間、国会で御議論していただいているところでございます。そういうことが可能になれば、将来的にNDB、介護DBを連結して分析可能となります。これは、レセプトデータでございます。これがレセプトデータで可能な環境が整うと、次に、我々介護としてはVISIT、これはリハビリのデータベース。それから、今回、御議論いただくCHASEですが、将来的にNDB、介護DBの連結にあわせてリンクしていくように考えるのが自然だと思っております。
ですので、これが2年後にすぐできるとは全く思っていませんが、将来的に医療のレセプト、介護のレセプト、そしてVISIT、CHASEというものがきっと連結していくのだろうということは私ども想定しております。ただ、ここですぐに、来年度つくるCHASEで、それが可能になるという前提ではございません。なので、そこは遠い将来、といっても、数年後、何年後かの将来と思っていただいたらと思っております。
逆に、きょう、ここで御議論いただきたいのは、このCHASEとして、中間まとめで265の項目を選んでいただきました。それを基本的には、介護情報であり、加算の情報をベースに選んでいただいております。そこから優先順位の高いもの、信頼性・妥当性のあるものを、現場の負担も配慮して、少し絞り込みをかけていきましょうという文脈でヒアリングをと思っているところでございます。
作業のステージとしてはそういう状況であるということなので、まずは来年度以降、私ども、CHASEを稼動していきたいと思いますけれども、そういう前提で、来年度動くCHASEとして何を集めるかということで御議論いただければと思っておりますが、きょうお示ししております紙の中にも、収集対象として、介護被保険者番号というものを入力してはどうかみたいなことを御提案しておりまして、これが介護DBと連携できるようになりますので、そういうところで私どもは工夫して入れているつもりでございます。
以上でございます。
○鳥羽座長 ありがとうございます。
将来は当然連結して、御本人のためになるものは全て集めるというのは当たり前ですので、ぜひ早目にやってほしいですけれども、今のところは、CHASEの中にも、ほかとダブってもしようがないけれども、必要なものはとりあえず入れておく。ここ二、三年の間ということで、よろしいですか。1年ぐらいで済めばいいですけれどもね。
でも、葛西参与、この議論は4年前から余り進んでいないような気がする。
○葛西参与 おもしろいのは、日本はずっと標準化とか。実は私が着任する前、政府の批判をしているわけじゃないですけれども、二千十何年ぐらいから、ずっとデータの分析と、政府は何回もやっていまして、そろそろけりをつけなければ、各国から大分おくれているというのが実態でございます。
もちろん、私は別に来年、すぐつくれとか、そういう乱暴な議論をしているわけじゃなくて、実証を積み重ねる必要は絶対あります。それから、法治国家ですから、法律は通さないとだめです。なので、法律は通さなければいけないですが、データベースのつくりとして、今、テクノロジーをつくる人間が全く連結できない、閉じたものをつくってしまって、また10年後ぐらいに、もしかしたら、私もこれをやっていないかもしれないころに、もう一回、違う人たちが集まって、これからは介護の介入の研究をすべきだと言い始めたら、日本はいつまで介入研究をするのでしょうか、データの分析をするのでしょうかとなってしまいますから、早目に手を打ちましょうと言っているだけでございます。
もう一点、補足的にお伝えしなければいけないのが、この分野は各国から結構着目されています。皆保険制度を持っている国はたくさんありますし、医療の情報をちゃんと保有している国はたくさんあるのですけれども、介護のデータをこういったサービスのレベルまで収集しようとしているという話をしたときに、最初に連絡があったのは、イギリス政府とか。日本は何を始めるのかと、すごく注目されているなと。
もう一点、製薬会社さんを含めて、リアルワールドデータの方々は、後期高齢者のデータを民間のデータベース会社ではなかなか保有できない。介護保険制度を日本は持っているので、そこでデータがとれるという、日本独特、本当に日本だけが特徴的に持っている介護データというのは、これは世界の中で、別にリップサービスじゃなくて、本当に唯一、なかなか先進的な取組でございます。ということを、皆様ぜひ。データ分析の話になると、結構暗くなってきて、難しそうな議論になりがちですけれども、結構夢のある話でございまして、そのあたりもお伝えしておきたいなと思います。
○鳥羽座長 どうぞ。
○八木構成員 3)のフィードバックのあり方で、先ほどいろいろなデータベースをこれから連結していくつもりであるというお話を聞かせていただいたのですけれども、私は災害の現場に介護の専門職として最近、行くようになっておりまして、避難所に入ったときに医療から看護から福祉から、さまざまな方たちが避難所にいる要介護者に対してのアセスメントが激しく行われていて、被災者のみなさんがアセスメント疲れしているというのが現実的なものとしてあります。
スクリーニングが最初、うまくいかなくて、本当は一般の避難所にいたいのだけれども、ぱっと見、要介護だということで福祉避難所に回されて、そこで二次災害じゃないですけれども、福祉避難所にいるのが嫌で、そこから脱走した人がいるなどと、話も聞いておりますので、将来的にせっかく大きなデータベースを抱える中で、災害のときでも避難所にいる要介護者のデータだけでもCHASEから引き出せるような仕組みができたら、今後、災害社会の中で必要とされるようなデータも見ていけるのではないかと、個人的に思いました。
○鳥羽座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ、松本顧問。
○松本顧問 顧問の松本です。
私は急性期医療の専門家ですから、介護になりますと急性期医療で使っているような評価指標を使わない、新たなものを使うのだというのを、座長に前回聞いたような記憶があるのですが。介護のBarthel Indexとか、そういうものを見ていても、我々、急性期医療で抗がん剤を使うときは、パフォーマンスステータスが0から4で5段階。それが項目によっては10段階だったり、5段階だったり、いろいろなものが分かれていますので、災害のときは別ですけれども、集計するときに落ち着いてパソコンに向かっているようなときは、プルダウンメニューで整理できるものと、それではできないようなミニメンタルステート、そういうものを分けて考えて整理したほうがわかりやすいのではないかと思います。
どちらが分類しやすいデータか、あるいは評価指標かというのを考えていただいて議論を進めたほうがいいのではないか。このことに関しては、急性期と介護のデータを連結できるように分離しないと、いつまでも決まらないような気がするので、あえて発言させていただきました。
○鳥羽座長 ありがとうございました。
急性期に介護の人が救急で入る場合もあるわけで、慢性期の指標が急性期のものにどうやって翻訳されるか。パフォーマンスステータスとBarthel Indexも、それがどうなるかという研究もあるかと思いますけれども、そういうことも含めて、急性と慢性というものがアキュート・オン・クロニックで救急で運び込まれる方もいますし、そこから退院される方もいますので、その連携が大事になってきますので、プルダウンだけではなくて、このくらいの方はこのくらいのパフォーマンスになるという知識もお互いに共有していくということで、松本顧問、よろしいでしょうか。どうぞ。
○松本顧問 もう一点だけ。
災害医療に関しては、DMATとかを持っている病院の責任者だった立場から言うと、災害でレスキューに当たっているときには、カルテなんか絶対書けませんので、できればヘッドマウントディスプレイで、自分の目の前にいろいろなプログラム、判別スコアが出てきて、それに口で答えているうちに、この人、ブラック、緑、黄色というぐらいにしていくような形じゃないと、とても記録はとれません。そういう意味で、災害は記録の仕方が全然違いますので、実際に電気が通電されていないという環境下で働くことを想定してつくっています。これは、救急医学界とか、そういうほうが詳しいと思いますけれども、きょうの議論には、僕個人が申し上げるのはなじまないのではないかと思います。
○鳥羽座長 ありがとうございます。
実は、介護のところでも入力がすごく大変なので、書き写してきて、また入力する。ですから、こういう小さいものを持っていって、その場で入力するような、あるいはプルダウンでやるようなものも一部では始まっていますけれども、災害のところほどは普及していませんが、将来は音声入力できるとか、そのようなことも発達して、入力が楽になるから評価も楽になるということが並行して、この介護には必須だと。それが負担軽減になると思いますけれども、その辺も皆さん、開発の方向性、産業の振興も含めたほうも、今の御意見もよろしいですか。
ほかにいかがでしょうか。はい。
○真田構成員 今後のCHASEの開発について、1つつけ加えていただけたらなと思うことがあるのですけれども、我々現場では、看護と介護が一緒に仕事をすることが多いのですけれども、そのときに共通言語がないわけです。例えば、我々看護では排尿自立と言うけれども、介護の方々はおむつ外しとおっしゃる。同じ生活支援をしている立場で考えたときに、一定の共通言語を使って、看護も介護もケアができる。それでデータベースがきちんと共有できるようにしていただきたいなと思うのですけれどもね。
○鳥羽座長 両方ともわかりますけれども、それでわからないわけですね。
○真田構成員 おむつ外しと言うと、排尿自立かどうかわからないです。
○鳥羽座長 なるほど、外しただけ。
○真田構成員 でも、介護の方々のおむつ外しというのは、ある意味排尿自立に持っていくことだったりするので。それはおむつだけじゃないですよ。ほかの生活の支援に関しても、食べることに関しても、もちろん体位変換1つに関しても、違うタームを使っていると思いますが、いかがですか。
○八木構成員 私もそう思いますし、特に今回もニュースになりましたが、訪問介護のほうでもデータをとっていくと思うのですが、20代の方が本当に少なくて、中心に動いているのが50代、60代のヘルパーさんたちがいる中で、今、言ったような専門用語がわからないような状況で動いていらっしゃる方も非常に多いというのを聞いておりますので、そういう方たちからもデータをとっていくのでしたら、少しわかりやすい言葉で、また補足説明もあるような形でデータをとっていくことも必要かと思います。
○鳥羽座長 それに関して、いかがでしょうか。はい。
○秋下構成員 その辺のことに関して、前回、かなり議論されて。ただ、今回のまとめに余り具体的に書かれていないようですが、入力アシストの、例えば、この前でしたら、褥瘡の話が出ましたけれども、写真を出すとかイラストなどを出すとか、別に不要な人は要らないと思いますけれども、必要な人はそういうものが出てくる。そういう仕組みをつくっておくことで、言語の不一致を克服できる部分があるのではないかなと思います。ぜひ、その辺もよろしくお願いしたいと思います。
○鳥羽座長 アスタリスクで説明書きをつけるなりしていって、共通化を図っていく。大体同じならいいじゃないかという考えで。今、専門職の言葉が違うと言いましたけれども、本来、介護の科学化の享受者は利用者と家族ですから、そちらの人が両方同じようにわかりにくいと言われたら身もふたもないわけで、サービスを受ける人たちがそれを見てわかるような言葉と専門用語が並べて書かれているようなものにしていくべきじゃないか。
認知症の場合にはすぐそういうことが言われますけれども、恐らく、今後、要介護の人についても当事者の視点が重視されてくることを考えると、今、言った議論をもう少し進めて、国民というか、普通の人がわかりやすい言葉で、看護用語では、介護用語では、医学用語ではと3つ並べると。みっともないと思いますけれどもね。
はい。
○宮田教授 まさにおっしゃっていただいたとおり、前回も介護と急性期で概念が違うというお話があって。私も、医療介護連携をずっとディスカッションしていると同じことが起こるのですが、じゃ、どうやってすり合わせるかということの一つの解が、今、鳥羽先生がおっしゃったように、御本人・御家族にどう説明しているか。これを引き継ぐのが一番わかりやすい。つまり、データをそれぞれ違う概念で読んでいたりするので、ここをすり合わせるよりは、まずはそこを統一して連携するだけでも、相当ブリッジできるだろう。
ただ、さっきおっしゃっていただいたように、項目をきちんとコード化して、どちらの言葉でも格納できるように。これがもちろん基本なのですが、御本人・御家族目線の中でのコミュニケーションで、ここのフィードバックにあるのですが、どう説明しているかというところも引き継げるようにしておくと、そこももう一つバイパスになるのかなと思います。
○鳥羽座長 どうぞ。
○松本顧問 私、いわゆるオンライン診療とか、そういうものに携わっていて、少し学んだことがあるのですが、画像と音声を収集するような方法をぜひつくっていただきたいと思います。根拠は、精神科領域では、10分間ぐらいの検査をお話ししながらするわけです。それで、何とか2分以内にするべく、言語解析とか、そういう領域が進んでいるのです。
それから、話しぶりを聞いていると、この人は脳の虚血性障害があるというのもある程度わかるというところまで来ていますので、画像解析。犯罪者を見つけるだけじゃなくて、精神状態もかなりわかるようになってきたので、精神科とか、そういうことをやっている方に、高齢者の画像解析と音声解析、しゃべっている言葉を検討課題にぜひしていただく。すぐには中に入らないと思いますけれども、そういうふうにしていただくと、特に高齢の方に関しては、介護のほうから急性期医療にフィードバックできるのではないか。
ちょっと私見を述べました。
○鳥羽座長 表情とか口腔、皮膚を含めて、画像というのが将来撮れていけばいいですね。
○松本顧問 救急車に乗っている人たちと脳神経の専門家は、10秒画像が残っていれば、どんな梗塞かとか、これは出血だとかを判断できるという医者もいますので、その人が正しいかどうかはちょっと自信がないですが。
○秋下構成員 松本顧問がおっしゃったことは、非常に僕も重要だと思っています。鳥羽座長から血液という話も出ましたが、介護の現場で血液をとるというのは逆に難しい場合も多いと思いますが、その一方で、表情の画像とか音声というのは入手しやすいものですので、多分、次のステップだと思いますけれども、そういうものからその人の状態をある程度判定できるようになるはずです。
鳥羽先生のAMEDのオレンジの大きな研究班の中で、昨年度は認知機能と表情という宿題を少しいただきまして、まだプレリミナリーですけれども、なかなかいい結果も得られています。そういうことは、方向としてはもっと広がっていくのではないかと思っていますので、今後のCHASEのプラスアルファの部分に入ってくるべきものかなと思っています。
○鳥羽座長 見た目研究は、今、すごく科学化されてきていて、私も去年、「ナースの直感」というのを論文にしたのですけれども、直感の中に含まれる科学的な要素というものは非常に多様で、含蓄に富んだものだということだけはわかりましたので、秋下教授の見た目とか画像というのは、介護の中で画像から判定されるもの、もちろん動きも含めて、これはむしろ急性期よりも画像がとりやすい慢性期で非常に将来性のあるものなので、いいことを言っている。
どうぞ。
○三上構成員 昨年度、老健局の委託事業で介護のロボットニーズ・シーズ連携協調協議会というのをOT協会で受託しております。去年の事業ですので、成果物を厚労省に一度お返ししているのですけれども、受けた事業はニーズ・シーズ連携強調協議会の設置ということですので、今の議論としては事業のアウトカムは少し違うのですが。例えば、顔認証、音声認識も含めて、介護の現場でAIをどう使っていいか、まだわからないというところが大きな課題なのかなと思って事業に携わらせていただきました。
なので、画像・動画のデータを、いつ、どこで、誰が、何を、どこの場面を撮ればいいのかということも含めて、介護現場とすり合わせをしていかないと、せっかくある技術を、どこで、どう使っていけばいいか。音声認識も含めて、どんな言葉で、どんな言語を使って、何を音声として残していけばいいかというところも、今の介護現場の課題という形です。今後、CHASEのデータをとっていくことにもひもづく話だと思って、少し発言させていただきました。
○鳥羽座長 ありがとうございます。
足りない部分で、どういうものがロボット、AIになっていくか、非常に重要な視点で、きょう、近藤構成員がさぼって、いないのですが。
海老原構成員。
○海老原構成員 音声は非常に有用な情報を与える。私、毎日、嚥下回診とかしていますと、必ず患者さんに「ぱたかまな」と言わせて、それがちゃんと発音できるかということで、「ぱたかまな」と言っている音声の状態によって、咽頭残留があるとか嗄声があるとか呼吸が促迫しているとか、いろいろなことがわかってきますので、AIまで使わなくても、ある程度標準化したものは既にあるわけでありますので、確かに重要なことだなと思っております。
○鳥羽座長 どうぞ。
○真田構成員 私も、ぜひ将来的に画像を撮っていただきたいなと思っているのは、以前から褥瘡のディスカッションをしていたときに、褥瘡の判断が難しいというお話がよく出てきたのですけれども、今、写真を1枚撮っていただくと、その深さも画像から判定できるようなツールが出てきていますので、介護の人だから難しいということがないような時代がもう来ていると思います。いかがでしょうか。写真を1枚撮るのが大変か、それとも判定するのが大変か、わからなかったので、この話は出さなかったのですけれども、そういう判定ツールをどんどん画像を撮っていって使っていくというのも、今後の課題じゃないかなと私は思っています。
○鳥羽座長 木村オブザーバー。
○木村オブザーバー 先ほど三上さんがおっしゃったニーズ・シーズに私のほうも参画させていただいて、いろいろな議論をしてきましたけれども、AIにしても何にしてもそうですけれども、画像も動画も情報収集としては非常に有用なツールかと思います。静止画よりは動画のほうが情報量は相当多いでしょうし、そういったところから、先ほど申し上げたような説明できないような挙動とか目つきとか。先ほど鳥羽座長がおっしゃったように、介護の現場は、介護が得意な人あるいは不得意な人、そこの説明がなかなかつきづらいのです。
でも、明らかにそこには差があって、得意な人は何が違うのかといったときに、先ほどの直感とか。それは、経験といったところから身についたものかもしれませんし、もともと持っていた感性かもしれませんけれども、そういうものもできたら科学的に根拠が見つけられるといいかなというのは、現場としてはあるのですけれどもね。
こういった議論は、自分は何となく先人の知恵づくりをしているような感覚でいて、後世というか、近い将来に向けての知恵づくりかなと思っていて。昔の人だったら、知恵を1つ生み出すのに、膨大な時間と情報交換が必要だったと思いますけれども、今だったらできるのではないかというのがあります。だから、ビッグデータと言われるようなものをうまく収集して、解析して、先人の知恵として現場に落としてもらえれば、現場は根拠とか何とかに余り関係なく、こういうものだと言われたら、そういうものだなという感じで、多分上手に活用できるのではないかと思ったりします。
○鳥羽座長 では、先に宮田教授。
○宮田教授 ありがとうございます。
これは、先ほども厚労省から御説明があったと思いますけれども、現状のCHASEはDPCに非常に近い形で、匿名化してデータを集めるというスタンドアロンのシステムで収集する。フィードバックをどう返すかということはあれですが、極めてその延長で考えると、シンプルなアルゴリズムしかビルトインできないような状況であるのですが。
ただ、先ほどおっしゃっていただいたように、クラウド上で情報連携していくとか、あるいは今、真田先生におっしゃっていただいたように、褥瘡をちゃんと入れるのですけれども、写真さえ残しておけば、その場でAIで判定して、どれぐらいのグレードかみたいなフィードバックが返ってくれば、これは作業じゃなくて、むしろ有用なものになるのです。だから、この臨床に役立つという観点の中で、こういったAIを入れていく。
あるいは、前回か前々回にあったIoTを使えば、既に客観的なADL評価ができるという提案というのも、AI懇談会のほうでも幾つかのチームから出てきていますので、IoTであり、画像であり、あるいはライフログであり、これは介護においては、入力負荷の軽減も含めて、かなり期待される技術なので、このフェーズ1というところは難しいにしても、2のところで合流できるようなたてつけをつくっておくというのは、すごく重要ですね。なので、個人情報の扱い方、データの保管の仕方、この辺も含めて、大変な宿題ですけれども、これはぜひ考えるべきだなと改めて思いましたし、十分可能だと思います。
○鳥羽座長 ありがとうございます。
では、葛西参与。
○葛西参与 今の話にちょっと補足すると、人工知能開発は、かなりアノテーションというタグ、この状態は何ですとか、何をやったからこうですというアノテーション作業が、教師データをつくるという行為が必ず必要になります。
もしくは、全く教師データなくして、その状態像がどういうことかなというヒントを与える状態像がつくれるのですけれども、いずれも今回つくったデータベースは、私個人としては、画像データを集めた結果、画像データは画像だけで人間の言葉じゃないですから、これがどういう状態だったのか、どういうサービスをやった結果、自立したかという、そのアノテーションデータのマスタになるように、このコードをつくっておく必要がまずあるなと私自身、思っています。最終的にAIに転用できるようにしようというのが1つです。
もう一点、これはシステム構築上の議論ですけれども、アノテーションデータと画像データを最終的にリンクしなければいけないです。この仕組みは結構難しくて、画像データをストックするのは、思った以上に費用の問題と画像自体の撮り方の問題。余り細かいデータまで撮って大きい量だと大変なことになるのですけれども、認識できる程度の軽いJPEGの状態であれば、これは撮れると思います。
問題は、それを今回つくったCHASEのような状態像にかかわるデータを、アノテーションとしてリンクできるようにつくっておくという構造体を、当初からシステム構築時にエンジニアは考えておかないとまずいなと。ただ解析だけじゃないですよということは伝えておきたいなと思います。
○鳥羽座長 はい。
○福井構成員 先ほど課長がきょうの検討会の目的の主たる1つが、265項目の絞り込みをということをおっしゃられたのですけれども、今、中間とりまとめで提示されている265項目を見ると、総論のテーブル名のところが、例えば資料を見てメモしたのですけれども、栄養、マネジメントに関する情報とか口腔に関する情報、個別機能訓練に関する情報、アセスメント等に関する情報、認知症に関する情報といった形で、構造化というか、一番大きな名前がついているという状況かと思います。
ですので、できれば介護の現場で1人の方を多面的・総合的に見て、例えば睡眠はどうか、排泄はどうか、食事はどうか、認知機能はどうかと、その方を全人的に見るような側面の構造化、ドメインという部分を決めて、そこにひもづいてくる、例えば活動だったら転倒リスクとか、トイレに歩いて行けているか、どれぐらい活動量が維持できているかというサブドメイン的なものをつくる。
そこにリスクにつながるようなアウトカム、またプロセスをどう現場の実態から捉えていくかという構造化した枠組み、みんなが合意できる枠組みをつくった上で、この265項目がどこに位置づくのかというのをやって、重複しているから、ここは消そうということも1つやっていくと、絞り込むことを考えていく上でいいのではないかと考えました。
○鳥羽座長 重要事項の構造化をどうやって考えるかということですけれども、それは本当はきょう、そのくらいは結論を得て、モデル事業とかヒアリングに臨みたいと思っているのですけれども、具体的に現在、優先順位とされているのは、栄養、認知症、リハビリ、むしろ個別なところに行ってしまっているのですが、そうじゃなくて、もっとCHASEではかるべき全体像の哲学は、何を最重要にして、2番目に重要なものが3つぐらいあって、そういうものを早くつくれということですね。でも、具体的にコンセンサスはできますか。事務局、どうですか。
○石丸老人保健課課長補佐 いろいろな整理のやり方というものがあると思います。中間とりまとめのほうでは、こういった栄養といった括りで整理したものを載せているということだと思いますけれども、今回の議論としては、優先順位のつけ方、まさに信頼性・妥当性という議論をしていると。さらに、次回、ヒアリングということになれば、さらに専門的な観点から、それをどう分類していくかという話になると思います。
議論の進め方自体は座長と御相談しながらということになると思いますけれども、先生の御指摘いただいたような内容、特に今、座長から御指摘のありました全体の哲学というものも重要だと思いますので、最終的にとりまとめ等に向けては、そういうことも踏まえて整理していければと思っています。
○鳥羽座長 総論という中に入っていますので、その中の哲学を生かしていただいた上で、あと残りの3つは、なぜそれだけが先行しているかというと、比較的、介護の科学化に資する項目として、認知症、栄養、リハビリというものが選ばれて、それだけではないものもいっぱいあるので、今回のやつは2年後を見据えて、先行している3つの領域があるけれども、もちろんほかの領域も考えつつやっていくけれども、今回は総論の中に哲学を盛り込み、その3つの領域は先行の領域として考えていただくということでいいですか。
○石丸老人保健課課長補佐 そういうことで構わないと思います。
○鳥羽座長 よろしいですか。これをあと30分議論しても間に合いそうもないので。
モデル事業のあり方というのは、今回のものを踏まえて味つけしてやっていただくことでよろしいですか。それを事務局に。
○石丸老人保健課課長補佐 モデル事業のあり方、今回、論点として4)で御提示させていただいておりますけれども、CHASEという意味で、初期に収集する情報、それから、ある程度モデル事業等でフィージビリティ等も含めて、収集のやり方といったこともあるかもしれないですけれども、そういったものをやった上で、次のタイミングで盛り込んでいく。
○鳥羽座長 具体的にいつから。このモデル事業は、この検討会にフィードバックされるようなタイミングでやっていくのでしたか。
○石丸老人保健課課長補佐 モデル事業自体は、前回議論させていただいたスケジュール感で申し上げますと、まずはことしの夏ぐらいのタイミングで、このCHASEの初期仕様、収集項目といったものを固めるというところで、この検討会の中でとりまとめをしていっていただきたいと思っておりますので、モデル事業自体は、そのとりまとめを踏まえて実施をしていくような性格だと思っています。
○鳥羽座長 その事業の内容が構成員の先生方にフィードバックされて、議論に基づいてやって、こういうデータが得られたので、次にという形にぜひしていただければと要望しておきたいと思いますが、よろしいですか。
ほかにございますか。
それでは、ちょっと早いですが、本日いただいた意見をもとに、今後の議論の進め方は事務局と相談したいと思いますけれども、ヒアリングの対象者は、座長と事務局で構成員の先生方とコミュニケーションをとりながらということで、一任いただけますでしょうか。よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○鳥羽座長 はい。
では、今後の日程、あるいは老健課長からの御挨拶もあると思いますので、よろしくお願いします。
○眞鍋老人保健課長 座長、ありがとうございました。
前回のおさらいも含めて、それから、きょうは、将来的なICTの進展による、こういうことができるという、非常に明るいというか、夢のある話までいけたかなと思っております。そういうことを見据えて、まずは今年度いっぱいで私ども、何とかシステムをつくりたいと思っていますが、それをどうするかということで、そこを見据えたものにしていかなければいけないということを宿題としていただいた。そこは、先ほどの葛西参与のお言葉にもありましたけれども、アノテーションという部分も含めてというところにあらわれてくるのかなと思っております。それが1つ。
そして、ことしの夏ぐらいまでには、まずは初期の仕様を決めたい。その後、モデル事業も含めて微修正して、最終的には今年度中にきちんとしたシステムに、第1次のバージョンですけれども、つくり上げていきたいと思っております。総論と主要な分野という話でしたけれども、きょういただいた中で総論の哲学は幾つかアイデアをいただいておりますので、それをまとめさせていただいた上で、次回は、きょうもお示ししておりますけれども、まずはそれぞれ大事な分野で信頼性・妥当性があって、それから新たな負担がかからずに、国際的にも比較可能なものというところで、どういうものが具体的に考えられるかということを有識者の先生からプレゼンしていただきたい。
そこをもとに、結果的には265を少し絞り込むような形になると思いますけれども、具体的にこれで集めていきましょうというものの下段階のものを、次回のヒアリングでお聞きできればと思っているところでございます。
私からは以上でございます。
○石丸老人保健課課長補佐 ありがとうございます。
次回の日程につきましては、また追って御連絡をさし上げたいと思っております。
本日はどうもありがとうございました。
○鳥羽座長 どうもありがとうございました。
 

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