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2019年3月7日 第6回科学的裏付けに基づく介護に係る検討会議事録

老健局老人保健課

○日時 平成31年3月7日(木)13:00~15:00

○場所 中央合同庁舎第5号館 厚生労働省 専用第22会議室(18階)
     (東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)


○議題 今後の進め方等について


○議事

○新畑老人保健課課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第6回「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」を開会いたします。
皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
本日は鈴木構成員、武田構成員、松田構成員から御欠席の御連絡をいただいております。
事務局に異動がございましたので、重立ったものを御紹介させていただきます。
老健局長の大島一博並びに大臣官房審議官、老健担当の諏訪園健司が着任しておりますけれども、現在、所用のため不在にしております。御容赦ください。
なお、総務課長の黒田秀郎に関しましても現在、別件対応中でございまして不在にしております。
また、老人保健課長といたしまして眞鍋馨が着任しております。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長の眞鍋でございます。
きょうはよろしくお願い申し上げます。
約1年ぶりの開催となります。これまで1年間、ずっと私ども、仕様書の作成ですとか入札の手続などを進めてまいりました。そのことを御報告させていただくとともに、前回、中間取りまとめをしていただいた中で、今後、また検討すべきというように整理されているものもございますので、そういったことを中心にきょうは御議論いただければというように思っております。よろしくお願いいたします。
○新畑老人保健課課長補佐 その他の事務局につきましては、お手元の座席表を御確認いただければと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
カメラの頭撮りはこれまでとさせていただきますので、報道関係者の皆様はよろしくお願い申し上げます。
続きまして、本日の議事資料を確認させていただきます。本日はペーパーレスの会議ということで、お手元のタブレット端末にPDFファイルを資料として御用意しております。操作方法に関しましてはスマートフォンとほぼ同じになっております。基本的な操作方法に関しましては、お手元に説明書を紙で御用意しておりますが、事務局スタッフも控えておりますので、何かございましたらお声がけください。
では、マイプライベートファイルというフォルダーを開いていただきまして、本日の議事次第という名前のファイルをお開きいただければと思います。お開きいただきますと本日の議題と資料一覧が記載されておりますので、御確認をお願い申し上げます。
本日の資料でございますけれども、資料といたしまして資料1~3、参考資料といたしまして参考資料1~8まで御用意しております。不備等ございましたら、事務局までお申しつけください。よろしいでしょうか。
それぞれの審議の開始に当たりましてファイル名を御案内させていただきますので、開いて資料をごらんください。不明点等ございませんでしたら、鳥羽座長に進行をお渡しして議事を始めさせていただきたいと存じます。よろしいでしょうか。
○鳥羽座長 皆さん、こんにちは。1年ぶりということで、前回までの経緯を全部覚えておられる方は非常に数少ない、座長もあやふやなのですけれども、しっかりと思い出しながらやりたいと思います。
まず議題1、科学的介護に係る検討のこれまでの経緯について、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○新畑老人保健課課長補佐 事務局でございます。
資料1について御説明させていただきます。
資料1「科学的裏付けに基づく介護に係る検討のこれまでの経緯」のファイルをお開きください。
科学的裏付けに基づく介護に係る検討のこれまでの経緯でございますけれども、まず本検討会の開催までの経緯について1)で御説明させていただければと思います。
最初の○でございますけれども、厚生労働省におきましては、保健医療データを活用して全ての国民の「より健康的な生活」を実現するため、2017年1月より、省内にデータヘルス改革推進本部を立ち上げまして、当該本部の示した改革推進計画・工程表に沿って具体化に向けた作業を行っているところでございます。
また、未来投資戦略2017、こちらは平成29年6月9日に閣議決定されておりますけれども、こちらのほうで自立支援・重度化防止の効果が科学的に裏付けられた介護を実現するため、必要なデータを収集・分析するためのデータベースを構築する方針が示されているところでございます。
データヘルス改革推進本部におきましては、こうした方針に基づきまして、介護に関するサービス・状態等を収集するデータベース、こちらは中間取りまとめでCHASEと名づけられているデータベースでございますけれども、こちらのデータベースを2020年度の本格運用を目指すこととして、現在、工程表に沿って作業を行っていることころでございます。
また、こうした方針を受けまして、2017年10月より、科学的に自立支援等の効果が裏付けられた介護サービスの方法論を確立し、普及していくために必要な検討を行うため、本検討会でございます「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」を設置し、検討を進めることとしているところでございます。
なお、参考資料といたしましてデータヘルス改革で実現を目指すサービスと工程表の前回第5回の本部の資料のほうの科学的介護に関連する部分の抜粋を参考資料3、また、未来投資戦略の2017、また後ほど2018に関しましても御紹介させていただこうと思いますけれども、こちらの抜粋のほうを参考資料2としてお示ししておりますので、適宜御参照いただければと思います。
続きまして、資料1ですけれども、検討会の検討の経緯につきまして御説明させていただきたいと思います。こちらのほうに第1回から第5回でどのような検討を行ってきたかというところを概略としてお示ししているところでございます。
第1回におきまして検討会の基本的な問題意識及び共通理解の確認を行わせていただくとともに、既存のエビデンスの確認及び整理のほうを行わせていただいているところでございます。
第2回におきましては、既存のデータベース、介護関連におきましては介護保険総合データベース、こちらは要介護認定情報と介護レセプト等の情報を収集したデータベースでございますけれども、通称、介護DBと言われているデータベースがございます。また、リハビリテーションの通所訪問リハビリテーションの質の評価データ収集等事業、こちらは通称、VISITと呼んでおりますけれども、こちらで収集されているデータに関しましてデータベースのほうを現在厚生労働省のほうで所有しているところでございますが、こちらの既存のデータベースにつきましても整理を行っていただいたところでございます。
また、こちらの既存のデータベースのこれまでの取り組みに関しましては参考資料4のほうで「介護関連データベースに関する取組み」ということで御紹介させていただいておりますので、こちらに関しても御参照いただければと思います。
既存のデータベースの整理を行うとともに、今後のエビデンスの蓄積に向けて収集すべき情報について検討の前提となる情報、検討の方針及び枠組みについて検討していただき、また、具体的な領域におきまして第2回では栄養領域に関しまして今後のエビデンスの蓄積に向けて収集すべき情報について検討いただいたところでございます。
第3回でございますけれども、この回におきましてはリハビリテーション、また、主に介護支援専門員によるアセスメント、介護サービス計画(ケアプラン)に関しまして、今後のエビデンスの蓄積に向けて収集すべき情報について検討いただいているところでございます。
次の第4回におきましては認知症、利用者満足度、リハビリテーション以外の介入の情報につきましても情報について検討を行っているところでございます。
第5回におきましては、これまで第4回までの議論の取りまとめを行うとともに、中間取りまとめの(案)につきまして検討を行っていただいたところです。こうした検討を通しまして2018年3月30日に中間取りまとめを行っておりまして、その中で介護領域のエビデンスの構築のために新たなデータを収集するデータベースをCHASE、こちらはCare, Health Status & Eventsの略でございますけれども、そのように名づけ、CHASEの初期仕様、主にデータ収集項目の案を策定しまして、また、今後の課題として初期仕様は随時バージョンアップしていくことを課題として中間取りまとめのほうに示されているところでございます。
中間取りまとめにつきましては、参考資料5の部分で中間取りまとめの本体と別紙1、2をお示ししておりますので、この会議中にも適宜御参照いただければと思います。
次に(3)の中間取りまとめ以降の状況につきまして、2018年4月以降、中間取りまとめで示されましたCHASEの初期仕様案をもとに事務局のほうで調達仕様書の作成及び調整を行いまして、現在、調達作業を実施しているところでございます。
また、その中で2018年6月15日に閣議決定されました未来投資戦略2018につきましても科学的介護に基づくデータベースの取り組みのほうの記載がございまして、そちらのほうの方針が示されております。記載されている内容といたしましては、「自立支援等の効果が科学的に裏付けられた介護を実現するため、高齢者の状態、ケアの内容などのデータを収集・分析するデータベースの運用を平成32年度に本格的に開始する。これにより、効果が裏付けられた介護サービスについては、次期以降の介護報酬改定で評価する」ものといった記載がされております。
また、「センサー等で取得できるものも含め、更なるデータ収集/分析については、介護事業所等の負担も考慮し、技術革新等の状況を踏まえ総合的に検討する」といった点に関しても方針のほうが示されているところでございます。
なお、2ページの最後の○のところでございますけれども、先ほど御紹介させていただきました介護DB、介護保険総合データベースにつきましても関連する有識者会議のほうを立ち上げまして議論を行った後、現在も法案を提出中でございますので、その結果についても御報告させていただきたいと思います。介護DBについては、2018年5月より「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」におきまして、医療保険レセプト情報及び特定健診等のデータベース、こちらはNDBと呼んでおりますけれども、そちらのデータベースと介護DBとの連結解析等についての検討、報告が行われまして、2020年度に両DBの連結解析が行えるよう、法改正を含む必要な措置を講ずることとされているところでございます。こうした報告を受けまして、現在関連する法案のほうを本国会に提出中でございます。
参考資料6、7のところでこの検討会の報告書の概要及び現在提出している法案の概要等をお示ししておりますので、適宜御参照ください。
なお、中間取りまとめ以降に要望のほうが座長宛てに提出されておりますので、参考資料8にお示ししております。こちらも適宜御参照いただければと思います。
資料1の説明は以上になります。
○鳥羽座長 どうもありがとうございました。
昨年度、まず科学的介護というものの概念についての御議論をいただくと同時に、主要な領域である栄養、リハビリ、認知症などについて具体的にどういう項目をデータベースに入れていくかという各論をやりながら、第4回目にはデータベースの具体的な枠組みというかCHASEというようなものに項目を一時的にセットして、それで現在に至っているというものであります。
今回の検討会では、もちろん各論の細かいことを全てやるということにはいきませんので、今までの1年間の議論を踏まえて課題の抽出、そして、足りなかった論点などをまず構成員の先生から御意見を伺って、今後の大きな方向性、何をするかということを決めていきたいと思いますけれども、構成員の先生方で御意見のある方、どうぞ御自由にいただけますでしょうか。
ないと次の議題に移ってしまいますが、そうはいかないと思うのですけれども、議論の中でどういうようなことがされたかと思い出していただきますと、各領域では、この領域はこれが大切だからこういうものも細かいエビデンスがあるからここを採用してくださいとかなり領域ごとにたくさんいただいてきたところですが、主要な領域だけですので、全部の領域が出そろっているわけでなく、主要な領域だけでここの資料についたものがあるということでございます。いかがでしょうか。
それでは、参考までに、私宛てにいただいた要望書というのがございますので、これを見ていただきますと、参考資料の13を見ていただきますと、ユーザー側であります。
○新畑老人保健課課長補佐 通し番号の13で、参考資料に関しましては8になります。
○鳥羽座長 参考資料8ですね。老施協、全老健、グループホーム協会から情報についての要望書としてここの(1)(2)(3)、科学的裏付けに基づき、利用者の生活機能の変化の把握が可能であること。評価者により差が出る「一部介助」などの曖昧な基準を使っていないこと。どの職種でも評価でき、将来的にICTによるデータ収集等、省力化の可能性が見込めるというようなことを要望いただいておりますが、このような要望も御参考いただきまして、今までの議論を踏まえてこれまでの審議の工程、今後のあり方で御意見ございませんでしょうか。
折茂オブザーバー、どうぞ。
○折茂オブザーバー オブザーバーですけれども、先にしゃべってしまっていいですか。
○鳥羽座長 どうぞ。
○折茂オブザーバー 全老健の折茂です。
ぜひお願いしたいのは介護の現場が提出できるデータに集中していただきたい。いろいろなデータがあればいいのはよくわかっています。ただ、介護の現場は医療機関とは違ってさまざまなサービス形態があって、事業所によって出せるデータと出せないデータがあります。必要なデータと出せるデータは別だと思います。学術的にはこれは絶対必要だと思えても、現場ではなかなか出せないものもあります。
例えば、身長とか体重とか簡単だと思われるものも、我々施設のほうでは測定できるのですけれども居宅では困難です。やらなくてはいけないものは皆さんの御指導で当然やるわけですけれども、実際の介護の現場で出せる資料ということでぜひお願いしたい。
それで我々全老健と老施協さんとグループホーム協会さんで要望書を提出させて頂きましたが、先ほどの参考資料の8を見ていただくと、ADLに加え、看取りのこととか満足度とか、これに限ってということはないのですけれども、そういうことも踏まえていただけると介護の現場としては有益であると考えますので、よろしくお願いしたいと思います。
○鳥羽座長 いかがでしょうか。
どうぞ。
○三上構成員 日本作業療法士協会の三上です。
ちょうどこの1年、厚生労働省から老人保健健康増進等事業、医療提供施設における介護領域の臨床研究に関する調査研究事業というものを日本作業療法士協会で受託をしております。まだ報告書を提出しておりませんので詳細はここでは御報告できないのですけれども、何をしたかというと、介護領域の臨床研究の基盤調査という形で各施設に倫理審査委員会があるかとか、研究をしているかとか、その中で勤めている職員さんが卒前、卒後教育の中で研究、また倫理について教育を受けてきたかというところの調査をさせていただきました。その中で研究はしているものの、やはり各施設においては倫理審査委員会があったりなかったりというばらつきがあります。
そこで勤めている職員の中では、医療職である看護師、理学療法士、作業療法士は、やはり卒前、卒後と研究に関する、また倫理に関する研究、教育を受けたり講習を受けたりという経験があるけれども、その他の介護にかかわる方がそういった研究、倫理に関する教育を受けていないということも調査では出てきております。やはりそういった研究、倫理に関する教育を受ける場が欲しいということも調査結果では出てきております。
何を言いたいかというと、今回、介護現場でデータを収集していく、エビデンスを構築していくという中で介護の現場の中でも臨床研究という基盤をつくるというところの学習する機会であったり何らかの今、データを簡単に集められればいいのかもしれませんけれども、効果的、効率的な貴重なデータを収集していく中で介護の現場がこの私たちがやっている介護ケアのデータが構築されてエビデンスになるのだという研究ベースでどうなっていくのかといった現場の研究、また、倫理に関する基盤づくりもあわせて並行して課題を検証していくのも必要ではないのかなと思って、今年度、この事業を受けておりました。
以上になります。
○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
○白石構成員 折茂先生のほうからの御意見もあったように、やはり介護現場でとれるデータというのはかなり限られたものがあるというのはすごくよくわかります。我々もコホート調査などをしていますと、私たちが教育した者がやってもかなり煩雑であったりとか、あるいは私たちがやるにしても現場の方にすごく御迷惑や御負担をおかけしたりとかということがありますので、そういった意味ではリハの現場で例えば実施計画書の中身のまま、そのままデータを提供すれば済むであったりとかというようなことでないとなかなかうまくいかないのかなというような印象を持っております。
あと、もう一点、いろいろな調査する中で重複したよく似た項目は今回の中でも取り上げられているのですけれども、これらについて我々、研究者にとってはすごく違いというのは意味があるのですが、ただ、提供する側にとっては同じことを何回も聞かれるというようなことも出てきますので、ここはどう考えるかというのは全く新しいものをつくってしまうというのも一つでしょうし、議論すべきところかなというように思っています。
以上です。
○鳥羽座長 ほかにはいかがでしょうか。
真田構成員、どうぞ。
○真田構成員 お願いします。
私、前回、会議に出られなかったのですが、最終的なCHASEのデータベースを見せていただいたときに思ったのですが、信頼性と妥当性ということに関してどのようにお考えになるかということは大事だなと思う。一定の誰が見ても同じ視点で同じ回答ができるようなクライテリアがないと難しいかなと思いました。特に私、褥瘡の仕事をしているので、例えば褥瘡がありなしと言われたとしても、どのレベルの褥瘡で、何をもってありなしとするのかということとか、信頼性ですね。誰が見ても同じ結果が出せるか。あるいはそれがある程度重症度を示していない限りは、介護の方々がこのまま治療を続けて、ケアを続けていいのかどうかという判断もわからないということを考えると、データベースを見ていると、そこの担保はもう少し必要ではないかなという気がいたしました。
以上です。
○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。
葛西参与、お願いします。
○葛西参与 1年ぶりで久しぶりでございまして、その後、実はデータヘルス改革推進本部、いろいろなシステム開発をしておりまして、全くとまっているわけではなくて科学的介護をやっと開けてよかったなと思っておるのですけれども、その中で事務局から説明がありましたとおり、ちょうど調達を始めているところでございまして、多分ここの会議での意見が初期仕様にかなり反映してくることを前提にお話をしたいのです。
一つ、私が悩んでいるのは、まずデータベースを政府調達でつくる部分と例えばもちろんなのですが、データの入力負担は非常に負荷が高いということは承知をして、前回、かなり議論をされたのを覚えておるのですが、となると、やはりほかの事業もそうなのです。医療でも同じ問題が起きてきて、現場で入力されているデータをそのまま流用したいという思いが強くあります。もう少し具体的に言うと、例えばアセスメントツールであるとか、介護ソフトであるとかを使っているところのデータをできればうまく流用したいな。ただ、なかなかシステム的にはすごく難しくて、そういったところの調査研究部分というのは今後必要なのではないかなというところ、これが議論の1つ目としてあると思います。
出口のほうなのですが、利活用面では意外と例えばこの間、別のAI関係のもので、AIというと大体どこも使えない。私も技術者としてはAI、そう簡単に現場で使えないなという思いもあるのですが、一方で、使えつつあるのではないかという未来も当然ありますので、そういった例えばAIであるとか、もう当然疫学研究であるとか、そういった利活用分野を解析基盤というのはここの局ではないのですが、局が違うのですが、厚労省の中で、余り縦割りでやってほしくないなと思うのですが、解析基盤とか疫学研究みたいな研究分野にどうやって反映していくのか。反映されたものがやっとAIとかがちゃんと完成してくると自動化した最適化されたケアプランになって現場に還元されると思うのです。そういった調査研究分野との実は足並みが余りそろっていないなというのをすごく感じております。なので、そういった今後、調査研究分野でちゃんとどういうようにこのデータを生かすのかという出口戦略も御議論いただければなと思います。
それから、開発をする側にいる身としてすごい悩むのが、きっとこういう分野で話をしているといろいろな関係者の方が聴衆にいると思いますのでストレートに言っておくと、システム改修のコストが高まるのは非常に避けたいです。可変的に改修することができるシステムアーキテクチャーであることをどうやって担保していくのかというのはちゃんと仕様化していかなければいけない。
結構膨大な量のデータを収集して、正直言うと、全て専用線を介護施設と結ぶなどというコストは絶対ないですから、いかにセキュリティーをきちんと担保するかという。これも大事なのですが、専門的に言うと、例えば不正アクセス先の情報、レピュテーション情報みたいな、そういったものはちゃんとたくさん日本に資する情報を保有して対処をするという出口対策というのですが、こういったことについて気を払ってもらいたいなという思いがございます。これは私からの発言でございまして、以上のような論点が一応あるなということを中でやってきた身としては、皆様に共有しておきたいなというだけでございます。
○鳥羽座長 出口を踏まえた今後の議論の進め方についてサジェスチョンいただきました。
そのほかいかがでしょうか。
どうぞ。
○利光構成員 栄養の面からお話をさせていただきましたが、先に結果を申し上げますと、前回にたくさん提案はさせていただきましたが、ただ、これらを前回の検討会内では精査がまだできていない状況での状態です。私自身もこの1年間、自身でデータの累積が可能か否かについて介護施設や在宅で確認を行ってまいりました。先々、検討会が進む中で最小限に留める予定です。栄養の部分は2つに分かれるのですが、実際に栄養そのものが摂取できているか否かという部分と、栄養に影響する印紙である活動や身体機能に分かれると思います。それらを区別し、最小限で調整をさせていただければと思っております。
以上です。
○鳥羽座長 各論の分野から今後の整理の仕方の方向性の御発言でした。
そのほかいかがでしょうか。
海老原構成員、どうぞ。
○海老原構成員 介護施設にはいろいろな専門職が多職種連携して働いていると思います。それぞれの例えばリハビリならリハビリで、専門職で、その専門的な用語を使っていろいろ介護をやっているわけでございますが、そういったものの用語とかそういうものが、その用語を使ったほうが同じ専門職の間では仕事の効率がよくなるという部分がありますが、ほかのこの前のうちであったのは、リハビリの言葉が看護師には全然わからないということでカルテがよくわからないというような話があったのですが、それをなるべく各専門職、もちろん国家資格を受けてトレーニングされて教育されてきた専門職の方々がそれを誇りに持ってやっていることで、その専門職の要望をきちっと尊重しながら一般性を持たせるような形のデータの取り込みシステムみたいなものがあったほうがいいかなというのが今後の課題かなと思います。
あと、もう一つ、入力負担とか測定の負担とかということを先ほど折茂オブザーバーがおっしゃられたのですけれども、ただ、これは将来的なことを考えますと、技術革新によっていろいろなセンサーとかができてくる。センサーによる取り込みとか非常に簡便になって自動的に行われる。例えばリハビリの領域でありますと10メートル歩行が実は新たなセンサーを開発することによって、もっといい感じで身体活動度を評価できる。そういった今後いろいろなセンサーが開発されていろいろなデータが恐らく収集可能になるであろうという可能性を残したまま、余り狭めないほうがいいのかなというのが私の感想でございます。
○鳥羽座長 将来的な技術革新も踏まえた項目を残すというような発言です。
どうでしょうか。
宮田教授、どうぞ。
○宮田教授 データヘルスの宮田でございます。
今の御発言に関連して、あと葛西さんのお話とも少しつなげての部分なのですが、この1年、AI活用コンソーシアムということが開催されて、その中でも、今おっしゃっていただいた介護のセンサーについてもいろいろな発表がありました。技術的な部分に関しては、測定はもう実用に来ています。つまり、先ほど言った歩行に関しても例えばスマートフォンのログで通常歩行速度もとれてしまうというところが来ていたり、あるいはカメラの中で、いわゆる日常的な生活動作の中からADLを客観評価するというところの技術はあるのですけれども、ただ、これは真田先生がおっしゃっていた信頼性・妥当性評価ということも含めたところだったり、あるいはその技術をいわゆる費用対効果も含めて広く普及させる。
これももう一つ、重要な要素になってくるので、こういったところを鑑みると、もう少し時間がかかるだろうと思います。ただ、海老原先生におっしゃっていただいたように、それも含めて、これはもう間違いなく来る概念なので、これが来ることを想定しながら、では、どういった評価スキームをつくっていくのかというところのステップを設計することは、いずれにしてもすごく重要になるかなと思います。ただ、この1年でいきなりIoTというのは今の感じだとまだ難しいので、やはり段階的に構造するのがいいのかなと思います。
○鳥羽座長 評価を上げた場合に項目ごとに将来の可能性が近いものとかそういうものは区分できますか。
○宮田教授 これは例えば身体面での評価というところに関してIoTは現状でも相当有望です。認知機能が今、政府のほうでも認知症予防とかいろいろ取り組んではいるのですけれども、ここはまだ実際それでどれぐらい評価をしてアウトカムの関連づけられるのかというところに関しては、やはり結構時間がかかりそうかな。先ほどおっしゃっていただきましたが、栄養はすごく難しいです。何を食べたかみたいなところがなかなかまだ簡便にそこをやるところというのは簡単ではない部分はあって、ただ、栄養の結果としての筋力とか、そういったところはIoTで測定することはある程度できるかもしれないのですが、インプットのほうは結構難しいなというところがありますので、それぞれの技術の進捗を鑑みた上でどうブリッジするかということが必要かと思います。
○鳥羽座長 例えば身長と体重などは画像からすぐわかるようになりますか。
○宮田教授 身長はそうでしょうね。体重はどうか。
○鳥羽座長 ぐるっと回って画像を処理するとか。
○宮田教授 なるほど。
○葛西参与 体重計はBluetoothに飛ぶから。
○宮田教授 そうですね。それはお時間を下さい。多分できるような気がします。体格とかからそんなに筋比重がみたいな話にはならないと思うので、かなりの部分。
○葛西参与 整備する予算が大変かなというくらいで、物はあっても皆さんの施設に全部入れろというと、多分絶対あり得ないと思うと思うのですけれども、技術的には別に誤差がそんなにあるかというとそうではないと思います。
○鳥羽座長 ありがとうございました。雑談しまして済みません。
ほかに。
○宮田教授 済みません、少しだけ追加で、あとどういう形でこれを測定するかというところがもう一つで、いわゆる全施設義務というのか、リクワイアメントを求めるようなものであれば、先ほどおっしゃっていただいたようにもうとにかく現場の負荷にならないように日常業務の範囲の中で、フィードバックを返しながら逆に役に立つというようなところをまず目指すべきですし、手挙げ式で次の技術を積み上げるのであれば、もう少し多分攻めてもいいのかもしれないなと思います。失礼しました。
○鳥羽座長 ミニマムリクワイアメントの話が出てきました。
藤井構成員、どうぞ。
○藤井構成員 今、おっしゃっていただいたような5年先、10年先、本当に技術革新がどういうようになるかわかりませんので、ZOZOSUITが全然売れなかったのはiPhoneの画像を送っただけで体格がわかるようになっているからという話を聞きましたけれども、恐らくそこに機器を置かなくても画像さえ撮れば身長、体重が出る時代は来るのだろうと思いますが、今のAIのポイントはやはり正規化されていないデータ、ここで言っているデータベースのような形でかちっとした形で、この項目を入力してくださいというものでないデータが自動的にどんどん入ってくる。それをディープラーニングさせるというところがポイントだと思うのです。このデータベースも将来的にはそこに持っていくということは合意が得られていると思います。
ただし、今、自動的にどんどん入ってくるデータというのは介護DBの中にレセ情報と認定情報だけである。あえていうとVISITがある。それに今後、NDBがくっつく。これはどんどん自動的に更新されますよということなのだろうと思うのです。そうすると、あとは今のところ、どんどん更新されないデータがあって、先ほどおっしゃったように例えば画像とかセンサー情報というのは一部施設から提供いただいて、そういったものは人工知能を使って解析するという話は研究的にはあるかもしれませんし、このデータベースの一部の仕様を使うということは考えてもいいのだろうと思います。
ただ、全体的に言いますと、今、自動的にどんどん入ってくるものをきちんととるということに加えて、わざわざ昭和型の入力をしなければいけないということがあるわけです。この昭和型の入力は先ほど議論があるような信頼性・妥当性の問題があり、3団体がお出しになっているようなある意味、厚生省にとって厳しいことをおっしゃって、要介護認定項目にあることすら信頼性が薄いと、一部介助というのは信頼性が薄いというように書いておられますけれども、要介護認定項目に関して言うと信頼性も薄いという説もあったりするわけですが、それはさておき、ある程度、活用していこうという世界の中であえて介護の現場にさまざまな職種があって負担がかかるという中で、いろいろなものがセンサーとして入ってくるであろう時代の間の時間を稼ぐ上で、どこまで最小限に済ますかといったときに、私はVISITというもの参考になると思うのです。これは今、介護報酬で出している加算減算というものもエビデンスが明確にあるわけでもなければ、確認、加算をとったからどうだという確認も十分なされていないわけです。
ですから、そういう意味での加算減算というのは大した金額がついていないというのはそういう理由もあるのだろうと思いますけれども、きちんと何か、何でもいいですが、例えば経口維持加算というものについてきちんとこれのエビデンスを出していく、アウトカムを出していくという意味で、この項目をきちんととってもらおうという理屈が立つものについて出していただくということは現場の納得もいきますし、最小限で済ますこともできますし、それで時間稼ぎをしている間に技術革新が進むという絵は描けるのではないかと思うのですけれども、そういうものが全くないところに昭和型の入力、何を期待しなければいけないか。
例えば私が思いますのは、一応福祉学科代表としていいますと、今のデータベースは何も入っていないのです。家族同居しているかどうかが入っていないのです。これが例えば在宅復帰しているかどうか調べる上では家族同居しているかどうか、これは信頼性が問題ないと思うので、それぐらいは入れてほしいなという最小限のものはないことはないと思います。今でもすぐ入るものですね。ただ、それはとても限られているのではないかとなると、やはり一番今、加減算がついている、あるいはこれから加減算がつく、ちょうどVISITでデータベースを導入したような形で現場に自動的に入力するのに非常に説得力があるというものからつくっていくというのが考え方の順番として重要なのではないか。一方では、今後の技術革新に十分応えていくデータベースをいかにつくっておくということは重要だと思います。
以上です。
○鳥羽座長 ありがとうございます。論点を整理していただきました。
どうぞ。
○福井構成員 CHASEのほうで、中間取りまとめでお示しいただいた内容の総論的項目と各論的項目というところは認知症、口腔、栄養という3側面を御提示いただいているかと思いますが、介護というのは生活を支えるということで多面的、全人的に支えていくというような観点から考えますと、少し認知症、認知機能とか口腔、栄養に加えて、排せつとか睡眠とか、身体機能というようなところが今、御議論に上がっているかと思いますが、尊厳の部分というのも非常に大事になってくるのではないかなと考えておりまして、尊厳に関して具体的に考える項目としてはACP(Advance Care Planning)であったり、あと身体拘束をしていないかとか、そういうところも先ほど来、議論に出ているアウトカムとして評価をしていくという観点で見えていくといいのではないかなというように思いますし、あと高齢者の方は大体慢性の痛みというようなものを持たれていたり、呼吸困難などを持たれていたりというのもあるので、少し苦痛という側面も今回、項目としては具体的には出てきていないのではないかというように考えますので、その部分、苦痛の部分とか尊厳の部分、あと排せつの部分も少し排尿は出ているのですが、排便というのも生活を支えるという意味ではすごく大事だと考えますので、排便の状態というのも今回出てきていないのかなというように考えました。
○鳥羽座長 ありがとうございます。
今までの報酬などはストラクチャーやプロセスに対してお金を出すわけですけれども、今回の科学的というのは一定の定量的な評価をしてアウトカム評価をして利用者と介護者、家族に返していくというのが基本的なところなので、そのアウトカムの内容について、今、少し追加の議論をいただきました。
そのほかございますか。
江澤オブザーバー、どうぞ。
○江澤オブザーバー きょうは初めてなので的外れであれば申しわけありませんけれども、幾つか申し上げようと思います。
まず、現場のIoTを使うにしても、とりあえず人手は少なからずかかるので、そのあたりをぜひ業務の負担、特に4月1日から働き方改革が始まって、今、有休すらとれていない事業所は相当数、特に介護事業所においては多いと思っていますので、現場の負担感をいかに軽減ができるのか。
あと今のVISITの入力も非常に実は手間がかかっておりまして、リハマネIVの加算を算定して入力しますけれども、まだベンダーとかいろいろ手続がうまくいっていないということもあると思うのですが、いかに入力の簡素化をするかということ。それから、項目はかなり多岐にわたっているので、この中で有意義な項目と必ずしもそうではないものはやはりカラーリングをしていく必要があるのではないかなということを思っています。
あと、もう一つは、国民と介護事業者等にうまく理解を浸透していかないといけないかなと思っていまして、特に現場でリハマネIVの加算の算定をするときに利用者に大変説明を苦慮しているのが現実で、直接御本人にフィードバックするのではなくて、将来的に日本のリハの質が上がるとかケアの質が上がるということで現場の職員はなかなか説明に苦慮している現実もあるので、そのあたりを今後、どういうように考えるかということ。
もう一つ、NDBとか介護DBと連結してリンクするようになると思うのですけれども、あと介護はかなり医療と違って手技とか技法とか技術にバリエーションが多いので、そして、加算には要件もあれば期間もあればいろいろなバイアスがあるので、そのあたりもまた今後いろいろ御議論していただければと思っております。
あとやはり最終的には科学的裏付けに基づく介護によってちゃんと自立支援が進むとか、利用者の尊厳が保持されるとか、御本人の満足度が高まるというところがアウトカムだと思っておりますので、例えばお風呂でも最近は機械浴もあれば個浴もあれば、どちらも介助には違いないわけですけれども、恐らく満足度は大きく違うと思いますし、そのあたりはまた今後検討していただければありがたいかなと思っています。
○鳥羽座長 ありがとうございました。
社会実装に向けての諸点を整理していただきました。
ほかにいかがでしょうか。
秋下構成員、どうぞ。
○秋下構成員 今、江澤オブザーバーからいただいた国民の理解ということと、その前に御意見があったアウトカムということに関して、介護サービスによって得られるポジティブなアウトカムというのはあると思うのですが、ネガティブな側面というのも必ずとっておかないといけないと思うのです。
転倒、骨折とか、食べさせようとして起きる誤嚥性肺炎といったような負のアウトカムですね。今、それが起きてはいけないことになっている、起きないはずのものが起きて、だから、裁判とかになっているということがあるのです。それは当然起きるべき負のアウトカムで、例えばお薬の問題、私、特に取り組んでいますけれども、最近は、薬物有害事象は普通に起きるということがやっと理解されてくるようになった。なので、ポリファーマシーに取り組みましょうという理解がされるようになったのです。そういう負のアウトカムも取り上げていくことで、それはおこるべくしてある程度起きるのだというようことが国民にも理解もされるわけで、そういったアウトカムをやはりとる必要があるかなというように思いました。
○鳥羽座長 ありがとうございます。
尊厳と身体的なアウトカムが必ずしも一致しないことに関しても十分配慮しながらデータをとっていくという貴重な御意見だと思います。
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
○秋下構成員 あと評価の仕方なのですが、今回、参考資料8で御提示いただいたICFのステージング。特にこれは老健でされているR4がイラストで示されているのがそうなのでしょうか。先ほど挙がった褥瘡一つにしても、褥瘡という言葉では結局わからないというところがあるので、やはりイラストなり写真なり、多分イラストのほうがいいのだと思いますけれども、そういうイメージをそこにつけておくというのは、先ほど言葉が通じないという話も海老原構成員からもありましたが、そういう意味では誰にでもわかるようなものとか、将来のIoTの導入なども考えると、そういうものを横につけておくというようなことをしておくことは非常に有用なのかなと思います。
言葉だけではなくて、言葉の横にこれはこんな感じのものですよというようなことをつけておくと現場の人としては理解がしやすく、要するに評価がしやすい、入力がしやすい。後でAIなどを導入したときに一致とか違いとか、そういうものがとりやすくなるのかなというように思いました。
 
○鳥羽座長 項目の選定に当たって概念の分類、見通しがないことと、わかりやすい概念の意味をつけろという御意見だと思います。ありがとうございます。
ほかにどうぞ。では、江澤オブザーバー。
○江澤オブザーバー 関連で質問です。初めてでわからないので、先ほどの誤嚥性肺炎と例えば誘因となる球麻痺、仮性球麻痺みたいなものがここでひもづくようになるのですか。その病体像は、CHASEに入っていない。これはNDBとかそちらの関係かもしれませんが、そのあたりはどうですか。例えば誤嚥性肺炎を起こす方のまず状態像というのがベースにあって、それは口腔ケアとかいろいろなものが多分絡んでくると思うのですが、そのあたり。
○鳥羽座長 わかりやすく言うと、繰り返す誤嚥性の肺炎の方が嚥下障害はあるのですけれども、それを恐れて全然経口絶食のままやれば誤嚥性肺炎は起きないわけですが、本人の尊厳やクオリティーは下がる。でも、熱心に2時間もかけて食べさせれば、それはクオリティーも上がりますし、ケアの能力は高まりますが、逆に誤嚥性肺炎を起こして訴えられて裁判になることもというような、せっかくの努力が逆に裁判になることがあるというのは最近ふえていますので、その尊厳と身体的なもの、栄養状態、発熱というものが必ずしも一致しないアウトカムであるということだったと思います。
○江澤オブザーバー わかりました。
○秋下構成員 なので、済みません、それを私はここであるべき論みたいな話をしてしまったと思いますが、現場でとりやすいのかどうかというところとか、もうとられているものなのか、そもそも例えば誤嚥性肺炎を起こしたらどこか行ってしまうので、実はそこでもう途切れている。肺炎を起こしたとか骨折を起こしたというのは、もしかしたら介護の記録にすらもう残っているのか、残っていないのか、そこら辺も私は定かではなくて、そういうことも御議論いただいて適切に取り込んでいただければなと思って発言した次第です。
○江澤オブザーバー なかなか介護現場で球麻痺とか仮性球麻痺、そういうものはハードルが高いと思うので、申し上げた次第です。ありがとうございます。
○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
○折茂オブザーバー
3点ほどなのですけれども、先ほど真田先生がおっしゃった褥瘡なのですが、今年度の老健事業で調査中ですが、褥瘡あるなしと言っても、発赤を褥瘡と言ってくるところから真皮が剥離して下まで見えているのを褥瘡と思っているところまで、基準がバラバラなのです。ですから、褥瘡ありなしだけで聞くと、なしと言っているところが実は発赤を見逃しているケースもあり得る。本当にさまざまなレベルがあるのが実態です。信頼性・妥当性のところについては、今、秋下先生がおっしゃったような例えばイラストでこれが褥瘡有りの状態だと判るように、ちゃんと基準を示していかないといいデータは出ないと思いますというのがまず1点です。
次に、我々、介護の現場もまだIT化はほとんど進んでおらず、各事業所が電子カルテ化を図りつつあるところです。医療のほうは画像のデータだったら同じフォーマットで、プラットフォームで共有出るような仕組みがあると思いますが、介護領域については、ベンダーが違うとデータの互換性が全く無いのです。よそのベンダーと統合できない。ですから、ぜひこれは、介護のデータ収集にあたっては、厚労省などが主導してプラットフォームを整備してもらわないと、使っているベンダーによりデータ仕様が違うので打ち直しをしなくてはいけないということになる。データを吐き出すためのプラットフォームをまず整備してもらわないと二度手間になってしまう、というのが2点目です。
あと、医療のDPCなどは、治療効果等についてフィードバックがあるわけです。よそとの比較ができる。ところが、介護の場合はケアのコード化ができていない。先ほどどなたかおっしゃいましたけれども、何をやったのかという介入について、コード化が果たして本当にできるか。こういう介入をしたらこのように良くなったというところがわかって、初めてケアの質が評価できるのではないでしょうか。例えば医療のほうは胃がんの手術をしたら、A病院、B病院、C病院、こんな違いましたよというデータが出て、明らかにそれで切磋琢磨が起きてくるわけですけれども、介護のほうのケアのコード化について検討されるのだろうか。
その辺もしっかり検討してもらわないと。例えばVISITも、現在フィードバックされて来るのは、おたくのデータはこうでしたというところまでで、こういう介入をしたらこうなりましたとか、よその施設ではこんな介入をやったなどというデータがまだ全くフィードバックされていない。せっかくデータ提供するのであれば、そうしたフィードバックがしっかり戻ってくるようなところを押さえていただきたい、というのが現場の意見です。
○鳥羽座長 ありがとうございました。
特にストラクチャー、プロセスの中のプロセスの質、介入の質によってアウトカムが違ってくるので、そこにきちんとしたエビデンスがあるような項目の選定が重要ではないかという御発言で、後半の項目選択のほうにも重要な視点だと思います。
ほかにいかがでしょうか。
八木構成員、どうぞ。
○八木構成員 済みません、介護のほうから提言させてもらいたいのですけれども、先ほども言われましたように、このデータは誰がとるのかということですごく差が生まれてくるのではないかなと思っております。というのは、例えば自分でトイレに行くとか1人でお風呂に入るということができる、できないというところがすごくコミュニケーションが高い介護の専門職の人たちがチェックしていくのと、新人の方たちがチェックしていくのとではまた様子が違うし、対利用者さんとの関係性ができている、できていないというところですごく介護というのは個別性が高いので、そこら辺の差というものが生まれてくる可能性が高いので、そことこの項目ということには危険、簡単にとっていくというのは難しいかなと思っていますし、ヘルパーのところの訪問介護のところがありますが、まだそこがはっきりはしておりませんが、果たしてそのヘルパーさんたちのITリテラシー率、介護職がITに対してどういう形で入力できるのか、それを求めていくのかということで少しITリテラシー率みたいなものを調査で1回とってみないと、これがうまく稼働するかどうかというのはなかなか難しいかなと思っております。
あと自立支援ということで今回ずっと話は進んでいるのですけれども、私は自立には、その意欲がないとやはり自立にはつながらないのではないかなというように思っておりますので、どういう形でこの状態から意欲を持ってもらうのかというところのケアが本当は一番この現場で求められているのではないかなというように思うので、誰でもかれでも例えば歩いているから歩きたいと思っているではなくて、そこにどういうような意欲、どういうようなことのかかわり方というものが必要なのかということを少し考えられるようなものが含まれていくことを少し希望しております。
○鳥羽座長 特に一致しない項目について、それらの項目を採用していくかどうかということも含めた重要な提言だったと思います。
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
○宮田教授 先ほど御質問があった項目に関連したところなのですが、まず一つはデータの質の部分なのですが、これは信頼性・妥当性だけでなく、もう一つ重要なのは追跡可能性の保証なのです。データがちゃんと正しいかどうかを検証できるようにして、これは間違っていたからといって罰する必要はないのですけれども、適宜チェックをする。これがないと正しいデータというのは生まれないので、ここの担保はすごく必要であろう。
もう一つは、いわゆるCHASEだったりこれからとるデータだけではなくて介護領域全部のデータのいわゆる標準化というところのお話をいただいたと思うのですが、これがこの数年、アメリカとかイギリスは国が主導してインターオペラビリティーとかクラウドベースとか、相互運用可能性とか、そういう部分を条件づけて、これにはまったソフトウエアでないと補助金は出せませんというようにするのです。一病院ごとがその交渉をするととても大変なのですけれども、もうそこに条件を国側がつけてしまうと一気にベンダーが変わるのです。そうすると、施設側にリテラシーがなくても、いわゆる価格自体をある程度抑える健全な競争というところに持っていくことができるので、このあたりはやはり、これは実は医療側においても同じ共通課題なので、ここの仕様統一というのはすごく重要になるので、いわゆるこれから載せること以外も含めて検討すべきだなと改めて思いました。
最後、アウトカムはまさにこれから技術が入ってきて昭和的な評価だとしても、アウトカムをちゃんと見るというのは現場にすごく重要になってくるので、ICFステージング、全老健は非常に確立されていてわかりやすいのですが、私、老施協の理事もやっているのですが、老施協側でもICFに基づいた伴走型介護で、いわゆる自立が見込めない方であったしても、どうその人の生き方を支えていくのかというような指標を今、尊厳にかかわる部分、先ほどおっしゃっていただいた、ここを提案しつつあるので、恐らく自立が可能な方、望めない、厳しい認知症の中等度以上の方、それぞれ分けながら、このアウトカムを考えていくことが必要かなと思います。ありがとうございます。
○鳥羽座長 ありがとうございます。
指標の全般的な枠組みについても御発言いただきました。
どうぞ。先に松本顧問、どうぞ。
○松本顧問 葛西参与の後に厚生労働省の顧問に就任しました松本です。
ちょうど1年ぶりにこの会議に出させていただいて、これは質問とコメントがまざったような発言になりますけれども、私、長らく急性期医療に携わってまいりました。ちょうど1年前に厚生労働省が人生の最終段階における意思決定プロセスというガイドラインを出しました。私、現場で見ていますと、医療と介護はシームレスにつながるのだというように信じておりますので、例えば急性期医療ですと電子カルテというのは、いわゆるバイタルサインと言われる体温、血圧、呼吸数、それからインテーク、要するに経口摂取です。あるいは点滴。排せつも、排尿、排便あるいはおむつとか、そういうスコアではかっていくわけですが、それぞれ例えば大腿骨頸部骨折あるいは脳出血、脳梗塞、そういう疾患別に見るべき重要なスコアというのが違うわけです。それによってどのように変動していくかということを急性期医療でスコアをつけていっている。
この人のいわゆる生命予後にどれぐらいつながるかということを判定していて、急性期病院でお預かりできなくなった段階で、申しわけありませんが、後方ベッドという我々は言い方をしますけれども、介護の施設とか、そういうところに任せますので、そこからシームレスにつながるようなものをつくろうとしているのか、全く別の指標をつくろうとしているのかということが今一つわからなかったものですから、二百何十項目、去年、たしか出ましたけれども、そのうちの何項目、せいぜい急性期医療から考えると40項目ぐらいでいいのではないかなというような思いで聞いていたのですが、あともう少しお話しさせていただきますと、急性期医療の現場にいますと、私、四十何年外科医をやっていて、特に排尿とか排せつが自力でできるかできないか、それはとても生命予後と密接に関係していると思うのです。
例えばお家でおしっこに行きたいといってトイレまで行けて無事にできればいいのです。トイレに行ったのだけれども、下着をおろすのが間に合わなかったとか、その段階がベッド上でお漏らしするまでの段階で、例えばそういう症状が始まると、私が見ていますと、何らかの薬とかそういうものを投与しないと3年ぐらいで命にかかわる状況になるというように理解しておりますので、そういう意味で急性期医療からシームレスにつながる項目という感じでの御議論ではないので、失礼ですけれども、相当違和感を覚えています。急性期医療の電子カルテのシステムのバイタルサインやパフォーマンスステイタスなどの全身状態判定等をどこかでこれをやめて介護の独立したカルテにするのかどうかという判定基準もやはりつくるべきだとしているのかが質問です。急性期の電子カルテの判定項目を連続して使わないのであれば、そのときの理由立てというのはとても大事だと思っています。
以上です。
○鳥羽座長 いかがでしょうか。
急性期医療と慢性期の介護がどういうような形で変わって、データ、重要性が変わっていくか。未解明なところが多いのですけれども、恐らく介護現場のほうから見ると急性期医療のいわゆる価値観というものがほとんど役立たないのが慢性期医療、介護のものなので、同じものでは絶対に駄目だというのが私、座長の個人的な意見です。違和感を持たれるというのは急性期のほうからの違和感で、私、慢性期のほうもやっていますと、逆に急性期のほうの常識をそのまま当てはまるというのはすごい違和感を実は持ちます。
○松本顧問 これは反論ではありません。私、今、東京医療センターの院長を辞してから藤沢のほうに建てた療養も中心とリハビリもやっているような施設の顧問をやっているので意見を言いに時々行くわけです。ですから、急性期医療とそういう介護の現場の差というのは最近よく見えているので、この1年以上。しかし、どこかでその急性期医療の項目のチェックポイントを外すなら妥当性のある判断で介護のカルテに移行するというようにしていただかないと、急性期医療からは介護を理解することができない。
しかも、我々はそのまま患者さんをみとることもありますので、まさしく人生の最終段階の意思決定プロセスということで、倫理相談チームとかそういうのもつくって多職種の医療チームでディスカッションして、この人は申しわけないけれども、介護施設に行かせるべきなのか、あるいはここの病院で最後までみとるべきかとか、それは家族の方とも相談して決めるわけですが、そういう視点をぜひ加えていただければと思っております。
○鳥羽座長 ありがとうございます。
もちろん医療と科学的な部分をどうやって介護のほうに移植して、いいもの、連続性のものをやっていくかというのは最初から議論されておりますので、そこのところが難しいという現状でどこまで整合性を持ってスムーズにやるかというのは最初からの議論、そのために有識者の方に分野別に集まっていただいているということもあります。
ほかにどうでしょうか。
海老原構成員、どうぞ。
○海老原構成員 ちょっと話が変わって、先ほどからVISITを入力するのが大変で、出てくるデータが益少なしというようなお話がありました。ただ、今はまだVISITをどのようにフィードバックするかというのは検討段階で、今、まさに新たないいものをつくろうというように考えているところでございます。やはりデータ収集において重要なことは、アウトカムをきっちりするということと、もう一つ、収集したデータをどのようにフィードバックするかという視点もデータ収集する上で、フィードバックがよければある程度入力するのもいいかなというように考えられるかなと思いますので、そういった視点も考えたほうがいいかなと思います。
フィードバックには恐らく3つのフィードバックがあると思うのです。アウトカムを研究者とか国が利用するのはまた別ですが、一つには事業所に対するフィードバックです。もう一つが介護者そのものに対するフィードバック。3つ目が、その介護される側、入所者とか施設利用者にフィードバックする。この3つのフィードバックの非常に有意義なものつくって、それをやることによってデータを活用するのを喜ばれるというような観点のものをCHASEでもつくっていただきたいと思っております。
VISITでは、実は今の段階で事業者のフィードバックのシートをつくったり、あとは介護者に対するフィードバック。やはり経時的にいろいろ変化がわかるようなレポートを出しますと非常に介護者としてはわかりやすいということと、これを利用して、VISITはリハビリでございますので、リハビリの意欲向上につながるとか、そういったものを非常に考えながらつくっているということで、やはりフィードバックされて本当に喜ぶようなものをつくるのが非常に重要なことかなと思っております。
○鳥羽座長 ありがとうございました。
葛西参与、どうぞ。
○葛西参与 一応、いろいろな分野のお話を聞いている身として言うと、一つは意外とこういうところでお話をすると必ずデータの整合性とか顧問のおっしゃるとおりで医療と介護の分野のシームレスな状態、私は実は特定の専門領域に属していないただのテクノロジストなので、それで見たときには、例えば電子カルテも意外と全て全然標準化されていない。その分野の中に行くと全く標準化されていないというのをどこの人も必ず同じ議論をするのです。大抵は項目ですら標準化されていない。例えば検査値の情報ですら実は重複してとられてしまっている例とか地域医療連携の中で実際あります。そうしたときに、まず検討しなければいけないことの一つとしては、実はケア分類みたいな項目です。ケア分類ですら、まさにおっしゃるとおりで、介護ソフトも全部違っていて、それを標準化せよと言ってもやはり誰かが指針をつくらなければいけないと思うので、そういったアウトプットはまず絶対必要だろうなと思っています。
なので、実は分類すら整理されていないのでクライテリアです。入力値のクライテリアの議論を始めてしまうと、なかなか個人的な意見で入力をしようとしているところが多々あって、そのクライテリアの議論と分類の議論というのは1回分けていただいて、分類とか着手できるところはちゃんと整理をしていく必要があるかなと思います。
それと、もう一個、現場の方々にフィードバックがなかなかうまく進まない一つの理由として私が省内にいて感じるのは、実は研究分野の方々、研究分野でデータを活用するので、研究分野の方々にデータをお渡しするや否や現場意識が一挙に薄れている例もありました。これは厚生労働省も自戒の念があって、私、実は長寿医療センターに顧問時代、行かせていただきまして、いろいろ勉強させてもらって、ところが、厚生労働省自身も長寿医療センターに行かなかったりとか、やはり研究分野に対して厚生労働省もちゃんと方針を立てなければいけないと思うのです。
一挙に老健事業になった途端にフィードバックが弱くなるのではないかという不安があります。なので、データを一生懸命集めても実は研究分野でおろそかにしている限りはいつまでたってもフィードバックが遅くなるということは提言をしておきたいなというところでございます。
○鳥羽座長 木村オブザーバー、どうぞ。
○木村オブザーバー 済みません、全国老施協のオブザーバーで参加させていただいております木村でございます。
やっと1時間以上たって、少しこの議論に頭がついてきた感じがします。今、先生がおっしゃったように、これは最終的にフィードバックを現場にするときに自分も難しい話を聞くのもするのも苦手なので、そういう意味ではかなり現場を代表しているのではないかなと思うのですけれども、本当にシンプルにというか、わかりやすくしないと、ただ、エビデンス根拠と言ってもなかなかそれが現場で行かされるかどうかというところが不安な感じはいたしました。
全国老施協も先ほどの宮田先生がおっしゃっていただいたように指標づくりを進めているところなのですが、ここ十数年来、科学的介護という名のもとに私たちも自立支援介護を進めてきました。それは我々の日ごろの実践を数値化したり、そういう形できちんと見える形でお示しをしていかないとなかなか我々の実践の評価につながらないという現状があったので、我々の強みというか武器としてそれを適正な評価につなげていただきたいという意味から見える形、可視化というものに取り組んできたのです。
やはり現場からすれば、どちらかというと直感で動いているような経験や勘、経験や知識からそのとき、その場の直感で動いているような、どうしても根拠はないけれども、そう思ったというような形で動いている現場の方が今でも多いのではないかなというようには思っています。ただ、それだけに頼り切れない。それはやはりこの介護保険をスタートして加算、加算となってきた現状においては、しっかり見える形での根拠を示していかないといけなということがあって、自分の直感だけを信じられないなというのが現場でもあって、その直感をサポートするためのやはりデータとしてのエビデンスという形になるのかなとは思っているのです。
ですから、できるだけの情報は収集したほうがいいと思うのですけれども、先ほど来、言われているように現場にはそれほど余裕がないので、その収集の仕方というものについてはこれから先生方には本当に考えていただかないとなかなか現場がただただ疲弊するだけになってしまうのではないかなというようには思いますし、先ほど申し上げたように、それをどう生かすか、現場にどうフィードバックするかというところも考えていかないと、結局はその根拠は何のためにあったのかというところに行き着いてしまうかなと思います。
以上です。
○鳥羽座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○伊藤構成員 座長の死角にいるのでなかなか発言ができなかったのです。
○鳥羽座長 済みません。
○伊藤構成員 いえ、大丈夫です。
今、木村さんのおっしゃったようにデータを入れる側のモチベーションがやはりかなり左右するのかな。入力される、収拾されるデータの質が低ければ集めても意味が遠のくだろうと思います。そういう意味では、このデータを入れる意味合いがわからないと、いかに重要な内容であっても、現場がそれをきちっとデータを収集することへの協力をしてくれないのではないかなというところがあるので、その現場から見た納得感というか、この項目を得ることがどれぐらい重要であるかというあたりが現場に伝わることが必要かなと思います。
そういう意味では、医療との関連する面で言っても、食べるとか寝るとか飲むとか出すとかといったような指標は比較的介護の現場でも重視されていますし、医療の領域においても予後予測とか生命力といった点では重要な指標だと思いますので、そういうリンクしてくるというか重なる部分は必ずあるのではないかというように考えています。
そして、その意味合いがわからないと、例えば入浴介助をしていて裸の全身を見ているのに皮膚状態を見ていないみたいことが起きてしまうので、逆に言うと、そういう意味づけがされることで、大事だから見ようという意識を持ってくれるという面もあると思います。そういう中で次は評価入力がしやすいという部分で、例えば褥瘡があるかないかではなくて、この方の皮膚の状態に一番近いのはどの写真の皮膚の状態ですかというようなものであれば、例えば機械操作が苦手なヘルパーさんであっても一番近いものをタップすればいいわけですね。そうすると、その状態はどういう褥瘡のグレードをあらわすかというようなところで、そういう情報が収集できる。そういったような評価入力がしやすいということも含めて構築していかないと、そのデータ収集が難しくなるかなと思います。
以上です。
○鳥羽座長 ありがとうございます。
まだ御意見あると思うのですが、事務局のほうで論点整理をしていただいております。この論点整理が今までの御議論のもので落ちがあるかどうか確認しながら、もう一回最終的な論点を進めたいと思いますので、事務局のほうで議題2の今後の整理の仕方について、本当に概要だけ、エッセンスだけ説明いただけますでしょうか。
○新畑老人保健課課長補佐 事務局でございます。
資料2と3を簡単に御説明させていただきたいと思います。
資料2「今後の課題の整理の仕方について(案)」というファイルをお開きください。
資料2でございますけれども、冒頭の部分で中間取りまとめに示されている今後の課題について抜粋を記載させていただいております。先ほどから御議論いただいております初期仕様のバージョンアップでございますとか、各事業所からのデータ提出に対する動機づけ、このようなことについて検討していくというところと技術革新等を踏まえて項目等も検討すべきというところで今後の課題として示されているところでございます。
事務局としましては、これらの課題を受けまして、論点のほうで項目にかかわる部分と動機づけの部分、また、データ活用の部分とその他というところで現状と論点整理のほうをさせていただいております。
1ページの下のほうにございます「1)初期仕様案のバージョンアップ及び将来的に収集が有意義と思われる項目について」というところでございますけれども、現在、CHASEのデータ提出に関しましては全ての項目ではなく任意提出としているというところの現状がございまして、先ほども御指摘いただいているとおり、初期仕様の中には基準等がはっきりしていないものがあるでございますとか、ケアの内容につきましてもなかなか現場で解釈が異なるような定量的な分類が現在項目のほうに入っていないというところ。また、類似した項目等も散見されるというところの現状がございます。
こうした論点、現状を受けまして、論点として提示させていただいているところでございますけれども、2ページの後半部分でございますが、論点としまして分析を可能とする一定以上のデータを収集していく上で、収集する項目の優先順位についてどのように考えていくか。また、入力する項目について評価基準が異なって信頼性・妥当性が担保できていない項目が現状あるのについて、この可能性と、また、そういった信頼性・妥当性の高いデータを収集していくためにデータ収集を行うサービス種別でございますとか評価を行う者に応じて項目を設定していくことについてどのように考えていくかというところを論点として挙げさせていただいております。
また、今後の分析のアウトプットの方向につきましても、現在、一定の仮説を置いた分析等、分析の想定をしながら項目のほうを選定できている。初期仕様に関しましては選定できておりませんので、こうした分析を進めることを想定して項目を選択することについてどのように考えるかというところ。
3ページの上のあくまでも分析の例として掲げさせておりますけれども、こうした分析例を想定しながら項目のほうを選択していくことについてどのように考えるかというところです。
また、事業所、3ページに移っておりますけれども、事業所の負担軽減のために自動収集できる項目を活用していくことをどのように考えていくか。また、介護のケアの内容でございますけれども、こちらに関しましても御指摘いただいているとおり、系統的な分類が今、ない状況でございますので、これらのケアのコード分類について、そのあり方についてどのように考えていくかというところと、また、類似した情報に関してどのように整理していくかというところを論点として提示させていただいているところでございます。
2)でございますけれども、こちらに関しましては動機づけといたしまして論点といたしましてフィードバック等の有意義なデータ活用というところをどのように考えていくか。また、3)のデータ活用におきましても初期仕様に基づいた分析計画、こちらが詳細に検討できていない状況でございますので、こちらも質の高いエビデンスを今後構築していくためにモデル事業等、モデル研究等の実施を通じて検討していくことについてどのように考えていくかというところを論点として書かせていただいております。
3ページの4)その他の部分でございますけれども、現在、電子的に収集できているであろう項目を原則として初期仕様案に含めておりますが、実際に電子的なデータというものを具体的にどのようにデータベースに取り込んでいくかというところの検証が十分に行われていない現状がある。そういったところで、これらに関しましてもモデル事業の実施等を通じて検討することについてどのように考えていくか。
また、最後の4ページのところでごさいますけれども、ことしは収集経路の話になりますが、介護DBのデータに関しましては介護保険法に基づいて市町村から収集されているものでございますが、現在稼働しているVISITのデータに関しましては介護事業所から厚生労働省に直接提出されているものでございます。また、CHASEのデータについても2020年度からの迅速なデータ収集の開始を目標にしております都合上、介護事業所から厚生労働省への直接提出を予定しているものでございますけれども、これらのデータ収集のあり方について、今後どのように考えていくかというところを最後の論点として提示させていただいております。
駆け足になりますけれども、資料3のほうでございますが、今後のスケジュールといたしまして、本日、3月7日に第6回有識者会議の後、4月以降、月1~2回、本日いただく御意見をもとに課題を整理させていただきまして、課題ごとに順次検討を行っていきたいと考えております。
また、これらの検討の後、夏ごろの報告書の取りまとめを予定しております。こちらは案でございますけれども、また御意見いただければと思います。
資料2と3の説明は以上になります。よろしくお願いします。
○鳥羽座長 ありがとうございます。
二重になって論点が整理されたということは新しいところでございますが、まず本日の中で一番重要な項目をどのような形で今後選択、設定していくかということにもう一回、皆さんの御意見をまとめていきたいと思うのですが、一つ出たものといたしましては、一つはその項目のクオリティーです。メタアナリシス、RCT、コントロールスタディー、前後比較、事例、有識者意見。我々のほうで有識者意見というのはグレードが一番低いので項目がふえることも多いのですが、もう一つはバリデーションがどの程度行われているか。
そして、大事なことは項目の負担も考えてトータルのボリュームというかトータルの項目数をどうするかという議論もまだ十分できていない。松本顧問のほうから40と私も全くそれだけは一致しまして、20~25というようにむしろ思っていたのですけれども、少なければ少ないほうがいい。まずスタートは少なくし、ただ、先ほどから議論からありましたように、将来の技術革新や見落としを少なくするとかさまざまなものでエッセンシャルなものが幾つで、オプショナルでまた将来のものを幾つにするかという議論もありますけれども、まず全体のボリューム感というものに関しては何か御議論ありますか。
近藤先生、どうですか。
○近藤構成員 その話を先ほどしようかなと思って、ただ、隣に真田構成員とか伊藤構成員がいらっしゃるのですごく話しづらくて、なぜかというと、基本的には褥瘡は、私はありなしでいいと思っているからです。
当然、ありなしだけではもちろん、そこの部分の真実は見えないのですけれども、例えば栄養状態とか本当に急性期からのリンクができれば、急性期に褥瘡があったのに何で介護現場になって褥瘡が消えているのだという話も当然出てくるわけですし、要するに先ほどのフィードバックの問題の中で個人データがきちっとフィードバックされれば基本的には処理していけば何でこの状態でそういった変な結果が出ているのだというのはコンピューターを使えば指摘できるはずです。だから、項目を絞るのとR4でやっているように本当に単純な選択肢だけにするというのは絶対この段階ではクレバーなやり方だと思います。かえって葛西さんがおっしゃったようにクライテリアのほうに入っていってしまうといろいろな問題が起こってくるので、やはり項目の削減とともに、それから、選択肢の単純化は絶対私は必要だと思います。
以上です。
○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。
葛西参与、どうぞ。
○葛西参与 今、まさに実は冒頭お話ししたとおり、調達中でございまして、多分、こういった議事というのは開発者の方々はどんな議論をするのかなと絶対話を聞いているので、どちらかというと開発者の方へのメッセージなのですけれども、実は見てのとおり、単純に回帰分析をするレベルのものから疫学研究みたいにシミュレーションをしていこうというものまで出口の仕方はいろいろあります。そうすると、多分テクノロジーがわからない方からするとわかりにくいかもしれないですけれども、いわゆる構造型データベースです。いわゆる列指向だったり行指向だったりというデータベースと、最近ですと余り検索をしなくて単純な検索ですぐビッグデータを扱うという方のデータベース、いろいろな種類があります。
私はほかの事業でもそうなのですけれども、多分、どのデータベースの種類も使わなければいけない状態です。BIみたいなものもやるし、単純にケアプランを検索するという、例えば保険の世界ですとKDBとかあるのですが、単純に回帰分析して自治体ごとに比較するとどこがすごくたばこを吸っている人が多いかみたいな、そういう単純な回帰もやるし、実際にAIみたいなところまで持っていこうとするとビッグデータを扱うというとレベルまであるので、以下に特定のシステム方式でないともうだめですというベンダーさんは採択してほしくないという思いがあります。
これは私としては非常につらくて、あともう一点、強く言っておくと、そこでシステム方式を変えるならお金を下さいというベンダーさんも嫌ですというのがあって、これは結構つらくて、我々もそうなのです。我々も皆様の議論を全く全部すくい上げてシステムを開発しようと思ってお願いすると、それはわかるのだけれども、お金を下さいと言われてしまうと全然こういった多角的に利用しようとされている皆様の意向が全く反映されないので、そういったことに気を払ったシステム設計をしていただくところを今まさに調達中ですから御提案いただきたいなと強く、オープンの場で発言したほうがいいですから発言しておきたいなと思いました。
○鳥羽座長 いかがでしょうか。
例えば40項目に絞るとしても、そうすると、各御専門の領域が一番多くても例えば栄養で5項目、認知症でも5項目以内、こういうことになってくるわけですね。有識者の方は項目をふやすのは得意ですけれども、減らすのはどのくらい得意かどうか意見を聞いておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。栄養の方とか、5項目に絞れますか。
○利光構成員 ありがとうございます。
今後、提案をさせていただこうと思っている項目は5項目ぐらいになるかとは思います。というのは、栄養に影響する因子は生活やリハビリの領域です。栄養摂取については今、実際に介護現場にあるデータをシステム間に引いていただき、自動計算という形になります。自動計算のために必要な項目として計算すると5つぐらいになるかと思います。それが在宅になると別途の方法をとらなければなりませんが、誰でもできる方法での御提案ができればと思っています。大枠ですが、今、検討をしています。
○鳥羽座長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
では、真田構成員、どうぞ。
○真田構成員 近藤先生、御意見ありがとうございました。
私も項目を減らすことに対しては大賛成ですけれども、あるとなしを間違ってはいけません。やはりあるものはあるし、ないものはない。それがクリアに判断できる基準は必ず必要だと思うことを一つつけ加えさせてください。
もう一点、私、ずっと考えていたのですけれども、自分がナースだから思うのかもしれませんが、症状のところは本当に要らないのかということなのです。今、見ていると生活場面まではきちんと把握できるのですけれども、患者さんが痛いとか苦しいとか症状自体を判断して何らかのコンタクトをちゃんとほかととれるようなチーム医療の必要性はないのか。つまり、例えば呼吸が苦しいとか痛みがあるとか、それが悪化しない、悪化するだけでもいいのですけれども、そういう症状に関するカテゴライズは必要ではないのかということを一度先生方にぜひ伺いたいなと思うのですが、いかがでしょうか。
○鳥羽座長 非常に重要な視点で、枠組みがどちらかというとADL主体のもので分けられているわけですが、我々の業界用語で言う老年症候群、それの主要なものが介護現場ではあるわけですが、それらの項目も落とさない、この中に入れていいのか、あるいは独立してあったほうがいいのかという重要な議論ですが、いかがでしょうか。
折茂オブザーバー、どうぞ。
○折茂オブザーバー
確かに痛みなどがADLに影響を及ぼすということはあるので、とても重要です。それを、座長がおっしゃったように、どのように入れるのかというところだと思うのです。我々は今、生活期の中で議論していますが、ナショナルデータベースと合体すればそうした症状などの情報とも突合できるようになるのではないでしょうか。
○鳥羽座長 海老原構成員、どうぞ。
○海老原構成員 確かに各いろいろな先ほどのお話のように痛みがいろいろな栄養とかで影響を与える。そういう意味で、分野ごとに項目を絞るということも大事かなと思うのですが、この介護というのはいろいろな分野が横断的にかかわっておりますので、分野横断的な視点で項目を考えるという目線も大事かなと思っております。
ということを踏まえまして、私たち老年医学会というのは老年ということでいろいろな専門家が集まっている学会でありまして、こういった横断的に項目を考えるようなこともサポートできるような委員会というのも一応つくって用意していますので、そういうアカデミックなものからのそういった分野横断的な項目みたいなものには少し学会としてもお手伝いできる可能性があるということであります。
○鳥羽座長 海老原先生に委員長をやっていただいて、恐らくここの議論で総論賛成でも各論反対の人が非常に9割くらいいるのがこういうものなので、実際に集まってもらって譲れるところは譲っていただいてコンセンサスを得るような、恐らく2時間ではなくて何時間もかけて1回、2回、3回とやって、バランスのとれた項目選定になるような委員会の委員長を海老原先生が常設の委員会で、老年医学会で秋下副理事長のお力でつくっていただきましたので、そういうことを今後の議論のワーキングみたいな形でやったらどうかというようなお話でした。
ほかにいかがでしょうか。 どうぞ。
○藤井構成員 今までの資料2の論点のところにのっとって申し上げますと、先ほど私が申し上げましたように、項目は本当に少なければ少ないほうがいいと思いますし、そうすると、仮説があるもの、信頼性・妥当性があるものということでここに書いてある論点は整理できると思うのですけれども、仮説を置いたといったときに私はやはり現場とすれば加算とか介護報酬に結びついているものであって、先ほど議論があるようにフィードバックがきちんとできていけるようなものに限定して各先生方にお考えいただけないかなというように思います。
信頼性・妥当性に関して言うと、これは誰の視点からということではなくて、先ほど来御議論ありますように医療の現場と違って介護の現場はさまざまな熟度の方が働いておられますので、妥当性というのはまず意味づけができていて初めて妥当性が生まれますので、きょう、入った職員も入力したりする世界ですから、意味づけゼロで入力すると妥当性はないものになりかねないですし、もちろん信頼性も難しいということになると思います。
ですから、どうしても入力してもらうものというものは誰が入力するであるかとか、あるいは項目の定義でありますとか、先ほどの褥瘡ありなしで言うのであれば、ありとは何でなしとは何かということが明確になっているとか、ある程度それは各団体、いろいろなところで教育、トレーニングもあって、そういった方であれば入力するとか、入力した方がどういうことなのかということがわかるようにしておかないと信頼性・妥当性もないと思います。
その観点から、訪問介護のコード分類なのですけれども、これは今あるものに沿って現に訪問介護事業所が書いているので、それを入れるだけなので、レセにはたしか載っていなかったと思いますので入れるだけなので大した手間がないかなと思って何も言ってこなかったのですが、現段階でこれを入れる意味がそんなにあるとは思えないのです。というのは、これはケア行動的な書き方をしていますけれども、サービス行為でありまして、いわば一つの治療のプロトコルみたいなものではなくて、一つ一つに意味づけがされたものでも何でもないので、ここに書いてある環境整備というものも何のためにやっているかということは全く意味づけがないので、これはアウトカムの研究でということはあり得ないので、そもそも入れて置いて仮説検証できるとは思えないのです。でも、何でもぶち込んでおいて、今の時代、仮説がないところで探索的にやるということもあり得るのかなと思って何も言ってこなかったのですけれども、という意味で、入れることそのものは意味がないと思います。
ただし、ここに並んでいる項目は本当に前から非常につける側が悩むような項目なので、これを機にどこかの担当部署に明確な定義をしておいていただいて、今、入れているものですから、入れているものだからそれぐらい入力していてもいいのではないかなというぐらいの意味合いはあるかなと思います。余りそういう意味ではここにエネルギーを当面かける必要はないのではないかな。
介護の世界で言うと、今あるのは視点的なものです。例えばパーソナルセンターケアであるとかそういうものとかストレングスとかそういうものしかない中ですから、介護として介入部分です。とはいえ、医療と違って、先ほど八木先生がおっしゃったような例えば動機づけの部分というのは、医療はブラックボックスとして取り扱うのが普通だと思いますけれども、そこをホワイトボックス化するのが介護のポイントだったりするので、これは介護の業界の進歩がない限り入力のしようもないので、とりあえずその進歩を待っていただくとしか言えないのだと思いますが、そこは今のところ入れる、何を入れていいのかというのは恐らく介護の先生方は話し合ってもなかなか決まらないし、では、誰がそれを入れるのかというのも入れられませんので、そこは積極的に厚労省としてもちゃんとやっていこうというようにしていただくより仕方がない項目かなとは思っています。
以上です。
○鳥羽座長 どうぞ。
○福井構成員 課題、論点としてケアのコード分類ということが提示されて、今、その御議論があったかと思うのですが、先生方の議論を聞いていて、ベースにあるのが生活面で先ほど来出ているような、食べる、出す、寝る、あとADL、認知機能という5側面ぐらいをベースにして、そこは位置づけとしてはネガティブなイベントを起こさないとかリスク回避をするというようなベーシックな部分で、プラスアルファのところが先生方の御議論にも出ているように尊厳とか意欲とか御自身の意思の部分であったり、あと症状というのも疾患によっても違ってきたりもするので、現状、ポジティブなほうに向けるというところをプラスアルファ部分というように2段階に分けてみてはいかがかなというように個人的には考えましたのと、あともう一つ、特に居宅では家族の介護負担、家族の負担というのが大変重要で、在宅療養継続ができるかという点で重要になるので、そのプラスアルファ部分に少しいる場所によっての特に居宅の場合は家族というところの視点も入れていただけないかと考えました。
○鳥羽座長 ありがとうございます。
もちろん介護施設においてもプロの介護者の介護負担、燃え尽きは非常に大切なので、両方とも家族だけではないと思います。
ほかにいかがでしょうか。
秋下構成員、どうぞ。
○秋下構成員 これは質問なのですが、葛西参与あたりの先生方にですけれども、例えばつくりますね。データは欠損があると使えないものになってしまうのかどうか。ぱらぱらと抜けていたりするものがばっと集まったときに統計の技術的には何となくある程度処理できるのかなと、私たちなどだと欠損値があるものは全部外して残っているものだけ使うとかよくやるのですが、そういうわけにもしかないと思いますし、むしろ、それを活用するほうが望ましいと思うのですが、教えていただければと思います。
○葛西参与 まず統計、私は統計システムのほうが長いのですけれども、統計システム的には例えば完全な単回帰をやろうとすると欠損されているとまずいと思うのです。その信頼性というのは維持するのですが、逆にAIのほうは別に抜けていても認知システムなのでコグニティブなアーキテクチャーなのですが、むしろ欠損していてもイテレーションという学習を何回も繰り返せば精度は上がっていけるというのがあるので、問題は統計とか数学といったときの信頼性というのを実はどの分野でも最近言われているのですが、医療の分野でも言われているのですが、まずデータの信頼性をちゃんと見きわめられる人とほかの会議ではそういう議論があってチーム医療的に医療従事者だけではなくてデータの解析がわかる人とセットで使っていかないと多分だめなのではないかということを言われていて、そういう見方は、私はうまいなと思ってしまったのです。
まさに欠損があると全く使えませんというのも言い過ぎですし、その信頼性には完璧にはならないですから、統計は統計を見ている、統計を集めた人の主観が入っているので必ずバイアスがあるわけですからというのは御存じのとおりで、その点は多分事前に整理をして議論しないといつまでたっても一番危険な、日本の方は非常に真面目というか、私は海外のプロジェクトをすると大体このデータはもうばっちりだからと言って持ってくると、ええっていうのが多くて、ところが、日本の場合、丁寧にデータを集めて集めて整理をしていくうちに、いつになったら使えるのかわからなくなるという、これは避けなければいけないと思うのです。
なので、ちゃんとデータの専門性がある人、ICTの専門性がある人、そして、現場の専門家の方々、それぞれがチームになってそのデータをどういう場面で使うのかということを垣根なく議論できるような場がないと、データの信頼性というのは逆に人間にとっては自問自答になっているかなと思います。
○秋下構成員 わかりました。そういった意味で、例えば褥瘡のありなしというのがもし判定できなかったとしたら入れないという選択があるわけですね。そういうことが起きたデータは全く使えなくなるわけではないと考えてもよろしいですか。
○宮田教授 それは私の専門の結構大事な部分なので。そういう意味では、欠損が許容できるか、許容できないか、仮説によると思うのです。先ほどおっしゃっていただいたようにフィードバックすることを想定して仮説を組んで、そこに寄せた項目を残すというのはすごくいいアイデアかな。
それ以外でもしかしたら重要なものもあるかもしれないのですが、例えばアウトカムでも系統的に欠損していれば大丈夫です。例えば全老健のようにADL改善を目的としたというところがあって、一方で、老施協側はADLの改善が望めないのであれば、それは例えば極端なことを言えばそこまで強く入力しないみたいなところであれば、もしかしたら100歩譲ってありかもしれない。なので、システム的に系統的に欠損を許容するかどうかという形であれば扱うことはできるのですが、ただ、一方で、褥瘡のありなしというものをすごく重要なアウトカムとして設定する場合に、ここに曖昧性を許容すると、いわゆる褥瘡がないのか、あるいはあったけれども、見ていないのか、見ているけれども、定義が違うのかとなった瞬間に、もうこの項目がぶれてしまって、それをフィードバックするための分析というのが途端に物すごく困難になるのです。
そのときに、ただ、近藤先生がおっしゃっていたように、そこはできる限りシンプルにするということであれば、運用で例えば定義、絵とかを置きながら、この褥瘡ありというのはこういうパターンです。こういう曖昧なものに関してはいわゆるFAQを見てください。きょう、着任した人たちが見ても判断できるようなナビゲートを入れることによって、ありなしというようにいつでもわかるようにするというような工夫も必要でしょうし、あるいはよく落ちるものなのですけれども、以下の合併症がありましたかみたいな感じでチェックボックスにすると見落とすのです。だから、褥瘡はそもそも理解していないので、褥瘡は合併症だと思っていないみたいになってしまうので、もし褥瘡をメーンにするのであれば、褥瘡ありなしという単項目で聞かなくてはいけない。褥瘡が頭にない人はその項目を落としてしまうのです。
なので、褥瘡一つにしても、それをどれぐらい重要な現場におけるフィードバックと位置づけるかによって、この欠損だったり項目の質としてどれぐらいのものを求めるのか変わってくるかなというように思います。
済みません、以上です。
○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。
先ほどから出ているように、入力の容易さという点では、きょう、幾つか提案をいただいて、どうもEラーニング型の見ながら入力できるようなシステムを開発していただければすごく入力しやすいので、なれてくればラーニングとは別に独立して入れていけばいいですけれども、初心者でも入れられるようなEラーニング型の入力システムをベンダーの方に開発していただければ、非常に一気に解決しそうな問題も出てきたというように思いますけれども、いかがでしょうか。
どうぞ。
○藤井構成員 今の御議論を聞いていて思ったのですけれども、先ほど要介護認定の話をしましたが、一部解除というのは非常に曖昧な項目であることは間違いないのですが、制度上、ロバストであるということはみんな何となく共有していて、やめようというところまでなかなかおっしゃらないわけですね。
このシステムも多少おかしいではないかというものがミクロ的にあったとしても、データにしても解析にしてもロバストであるということが保証されればいいのではないか。それはどこで保証できるのか。要介護認定というのは何となく現場でうまくいっているのではないかということで厚労省に向けて一揆が起きていないということで、一度、やめろという話はありましたけれども、何となくうまくいっているのではないかということでロバストネスを担保していますが、やはりこの仕組みというのはロバストネスの観点がないと、それぐらいの入力される方が多様だし、され方も多様ですし、医療機関におけるというものも違うと思いますので、在宅でアセスメントする、施設アセスメントするというのは全く違いますので、その発想なり、それをチェックすることをどうするかというのは開設者側といいますか、技術を担ってらっしゃる側の方に御検討いただけたらなという気がいたします。
○鳥羽座長 いかがでしょうか。
実は多職種、家族も含めた多職種の共通テキストという研究班も真田先生にも入っていただいて3年間やらせていただきまして、目標は小学生でも入力できる。易しい日本語で専門用語でなくてわかりやすい診断基準というか判定基準で入れられるようにするということは、そんなに頭が柔軟であれば特に構成員のオーソリティーの方は難しいことではなかったので、それが小学生でも入れられるのであれば入職者でも入れられる。このような形で目標をつくっていけばいいのではないか。むしろ建設的ないいものをつくっていけばいいというような議論に収束したいと思いますが、よろしいですか。
ほかにはどうでしょうか。今後の進め方はありますか。今後の項目ごとの選定などについてどういうようなスケジュール感でやっていったらいいかありますか。
○新畑老人保健課課長補佐 事務局ですけれども、資料3のほうでお示ししていますとおり、月1~2回程度で、今回の課題、今、論点整理していない課題等も御意見いただきましたので、その課題に応じて詳細に議論する会を複数回設けさせていただきまして整理させていただければなと考えております。
○鳥羽座長 ありがとうございます。
そうしますと、例えば具体的にリハビリならリハビリ分野で重要課題、きょう出た論点でエビデンスのあるもの、バリデーションが整っているもの、介護者あるいはケアラーの人の入力がきちんと易しくできるような形でできる項目を優先的に選定していただくようなことを各担当の有識者の先生に持ち寄っていただいて、分野ごとにある程度集めながら、具体的に全体像を築いていくというような作業になるということですか。進め方について。
○新畑老人保健課課長補佐 こちらに関しましては、事務局のほうで整理してまた御意見をいただければと思います。
○鳥羽座長 事務局のほうから各有識者の先生に宿題がどうも投げられるということですので、よろしくお願いしたいと思いますけれども、ほかにどうでしょうか。全体的な御議論でございますでしょうか。
どうぞ。
○江澤オブザーバー このデータを集める段階においてぜひ経営者とか管理者が結構うちはリハマネIVをやろうとか、そういうところで方針が決まったりすることがあるので、そういった施設長とか現場の管理職の方に理解を得るということと、どうしても職員によってばらつきが大きく、特に介護に取り組んだばかりだと差が大きいので、当初は入力者を限定して、私も少数項目は大賛成なので、後でふやすことはできますから、走りながら考えていただくということで、とりあえず、まずデータが集まりやすくするようにいろいろなあの手この手でお願いできればと思います。
○鳥羽座長 それに関連して、モデル事業というか、この項目をある程度絞り込んだときにどの程度実現可能性があるかとか、この項目はちょっとおかしいとか、そういうようなモデル事業は考えられておるのか。もし考えられているなら、それはいつごろ、どのようにやるかについてはどうでしょうか。
事務局。
○新畑老人保健課課長補佐 今後、事業のほうがどのように具体的にどういうようになっていくかに関しましては、今後また御相談させていただければなと思っています。
○鳥羽座長 どうぞ。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
今日、御用意させていただいた資料2の中にも先ほど鳥羽座長から御指摘いただきましたが、こういうデータの確実な、モデル事業の実施等を通じて検討することとしてはどうかというような御提案をさせていただいております。
また、研究につきましても、これは資料2の3ページの下にありますけれども、データベースの活用等に係る事項の中でデータをどのように分析するか、モデル研究の実施等もさせていただきたいと思っておりまして、こういう方針についても御了解いただければと思っております。
○鳥羽座長 いかがでしょうか。きょう出た論点をもとに、その実現フィージビリティーあるいは社会実装についての事業をやっていく。同時に、江澤オブザーバーから出た、いわゆる周知や理解を求めるものは従業員とか利用者だけではなくて施設長の人にどうやって今後早目に情報を出して理解を求めていくかに関しては、主には、これはそういう団体の方の御尽力を求めることになりますので、またお願いしたいと思いますけれども、大体よろしいですか。
では、今後の課題については本日いただいた議論をもとに事務局において、もう一回整理していただいて、各構成員に何かやっていただきたいことも含めて次回以降のスケジュール案を立てていただき、夏までに主要な論点が解決するようにしたいと思います。
次回の日程などについては事務局からお願いいたします。
○眞鍋老人保健課長 鳥羽先生、ありがとうございました。
局長の大島が到着しましたので、一言御挨拶をさせていただきます。
○大島老健課長 久しぶりに再開したこの会議、データの活用、介護の質の向上、両点から非常に期待しておりますので、ぜひ夏まで濃密な議論、おつき合いいただければと思っております。よろしくお願いいたします。
○眞鍋老人保健課長 加えまして、私からの雑感ということでございますけれども、1年ぶりの議論を再開させていただきまして、本当に1年間、何をしておったのだというようなことを時々御指摘いただいたところでございますが、私どもは今日、議論をお聞きしまして、再度、冒頭に十分に時間をとっていただきまして座長の采配に感謝を申し上げたいと思いますが、最初のブレーンストーミングのところから入ることができて、また1年というブランクがありましたが、恐らくまたこれできちんと共通認識を持ってこれからの夏までの御議論に入っていただけるかなというように思っており、本当に感謝申し上げたいと思います。
その中では、我々、こういう実務的な議論、論点は用意しましたけれども、そういう我々の用意した論点を超えまして、どちらかというと大所高所からの御指摘も多々いただいたと思っております。例えば今後予定される技術革新、AIはどこまで進むのかという話ですとか、医療と介護の連携で、これも事務局から御説明の中にありましたが、今、NDBと介護DBの連結自体は今の法律案を提出させていただいておりますけれども、そういう動きがどんどん進んでいけば、また将来的には、このCHASEも医療と連結していくということなどが想定されるわけでありますが、そういう将来的なことを見据えながら、現段階ではということで建設的な議論をいただいたというように思っております。
これは座長のまとめの繰り返しとなってしまいますけれども、いただいた課題を順次これから夏までの間に精力的に御議論いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○新畑老人保健課課長補佐 次回の日程につきましては、追って御連絡させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、本日はありがとうございました。これにて本日の検討会を閉会させていただきたいと思います。
 
 

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