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2017年12月21日 第4回科学的裏付けに基づく介護に係る検討会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成29年12月21日(火)
17:00~19:00


○場所

航空会館701会議室


○議題

1.中間とりまとめについて
2.今後のエビデンスの蓄積に向けて収集すべき情報について
  ・認知症について
  ・利用者の満足度について
  ・リハビリテーション以外の介入の情報について
3.その他

○議事

○井口課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第4回「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」を開会いたします。

 皆様方におかれましては、年末のお忙しい中御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、秋下構成員、真田構成員、武田構成員、松田構成員から御欠席の御連絡をいただいております。

 また、八木構成員からは1時間ほどおくれて御到着との御連絡をいただいております。

 また、折茂オブザーバーの代理として、全国老人保健施設協会管理運営委員会の委員長山野雅弘参考人に御出席をいただいております。

 それでは、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、報道関係者の皆様はよろしくお願いいたします。

 なお、検討会終了後、19時めどで、この701会議室において記者ブリーフィングを設けておりますので、御希望の方は引き続きよろしくお願いいたします。

○井口課長補佐 なお、検討会終了後、19時めどで、この701会議室において記者ブリーフィングを設けておりますので、御希望の方は引き続きよろしくお願いいたします。

 議事に入ります前に資料の確認をさせていただきます。

 お手元クリップどめをお外しいただきまして、資料は、資料1、資料2の枝番として、資料2-1~4が資料でございます。また、参考資料ですけれども、資料1の枝番として、資料1-1~1-3、そして、参考資料2がございます。

 また、山野参考人から、別途、資料の御提出をいただいております。

 お手元に不足の資料がございましたら、事務局までお申しつけください。

 それでは、議事に入らせていただきます。これから先は鳥羽座長に議事進行をお願い申し上げます。

○鳥羽座長 皆様、こんばんは。年末のお忙しいところ、また、寒いところをありがとうございます。

 早速ですけれども、資料1「中間とりまとめについて(案)」事務局から説明をお願いいたします。

○井口課長補佐 再び事務局でございます。

 右上、資料1とあります資料をごらんください。

 本検討会ですが、今回で第4回の開催を数えてございます。年度末に向けまして、中間とりまとめという形で、第2回より御議論いただいておりますデータベースの仕様の案についてまとめていく予定としてございます。

 資料1では、中間とりまとめにつきまして、どういった形で、また、どういった方針でまとめていくのかということについて御紹介をしております。

 まず、「1.中間とりまとめの方針について」でございますけれども、こちらは第3回の開催で整理をさせていただきましたように、主に「短期的な課題」である「初期仕様に盛り込むことが予定できる項目」についてまとめることにしております。「中長期的な課題」として整理しておりました「データベースに盛り込むとしても、初期仕様に間に合わせることは難しい項目」については、各構成員から御提案をいただいた内容のうち、初期仕様に盛り込むことが予定できない項目を掲載して、これらの項目の収集については今後の課題とすると整理をしてございます。

 また、2.ですけれども、「中間とりまとめのフォーマットについて」でございますけれども、こちら、次年度のデータベースの開発に直接用いるという観点から、データベースのインターフェースの仕様に近い形式でとりまとめることを考えております。

 具体的に、下、「テーブル名」ということで表がございますけれども、こちらの形でまとめていくということでございます。

 3.項目の選定基準でございますけれども、各構成員から御提案をいただいた内容について、第2回で整理をしたとおり、研究利用へのニーズの高さとデータの利用可能性について十分考慮する観点から、介護情報システムのベンダーにヒアリングを行いまして、現時点で収集可能性がある程度担保される項目を選定することにしてございます。

 おめくりいただきまして、次に、「中間とりまとめフォーマットへの落とし込みの例」というもので掲げさせていただいたものでございます。

 こちら左側は、第2回の開催のときに、利光構成員から御提出をいただきました資料の一部でございます。利光先生におまとめいただいた内容をとりまとめのフォーマットのほうに落とし込むとどういうふうになるのかといったものが右側の「とりまとめフォーマット(例:栄養に関する介入情報)」という形になっております。こちらは、項目の名称とか属性とか、必須の項目とするか、任意の項目とするか。それから、どういった単位を用いるかとか、どういった選択肢があるかということ。

 それから、右のほうに2つ列を用意しておりまして、こちらが先ほどの「研究利用の重要性」、それから、「データの利用可能性」ということでございます。ここの部分、まずはとりまとめのフォーマットに今までいただきました資料を落とし込んだ上で、研究利用の重要性とデータの利用可能性について、(案)という形で星取表をお示しいたしまして、第5回では、こういった例えばデータの利用の可能性がこのぐらいで、研究利用の重要性はこのぐらいである、この項目について、初期仕様に含める形でいかがでしょうか、または、中長期的な課題になるでしょうか、という御相談をさせていただこうと思っております。

 といったことでして、第5回の開催で、この「中間とりまとめフォーマット」をお示しする予定としてございます。

 資料1の御説明は、以上でございます。

○鳥羽座長 ありがとうございました。

 ただいま、非常に簡潔な説明でしたけれども、このとりまとめの方向性について、何か御意見、御議論はございますか。

 このエビデンス・ベースド・ケアという言い方ですね。科学的根拠に基づく介護の目的は、今までの会議で御理解いただいているように、科学的な介護に基づく質を上げることと効率をよくするという、この2点を担保して、どうやっていくかということが議論されて、登山に例えるのが適当かはわからないのですが、ベースキャンプまで何とかたどり着いて、理念というか目標を共有するということと、同時に、そこに至るまでどういう困難さがあるかということをこの会議の中で詰めてきたという状況だと思います。

 その装備について、評価というか、どんな装備を持っていけば山に至れるかというようなことを、各論として、同時に議論していただいているのですけれども、科学的介護に関するAIやコンピュータの利用といったものは、装備をいかに効率化して、より最小限の装備で山にたどり着くかというようなことを模索している段階と、このようなことが今までの会議の途中経過であろうということでございますので、もし、今の論点で、あるいはこの内容で、現時点で何か御意見がございましたら、総論的なことでいただきたいのですが、どうでしょうか。

 どうぞ。

○葛西参与 中間フォーマット、とりまとめなので、後半、多分やられることがあるとは思っているのですが、今の段階での検討が、特に、「研究の利用の重要性」と「データの利用可能性」の観点で考えると、これは私ずっとこだわっていて、還元の仕方が、例えば何らかのコンピュータ上に現場で何かダッシュボードを見て、それをケアプランに転記して使うのか。それとも、AIか何かでレポートを出して、それを現場に返すのか。どういうふうな形でこの利用者に還元するかというユースケースをちょっと想定をしていただく必要が後半多分あるかなと思っています。

 その上でないと、今は「取得可能性」なので、取得可能性としては、こういうソースから取得ができますという整理を後ろのほうにかなりしていただいているので、それはすごく有用だと思っているのですが、今度、還元可能性ですね。利活用するときに、何のアプリケーションで返せばいいのか。多分、多くはシステムではないと思うのですね。使われる現場では、多分、紙なり何なりという形で返すと思うので、その観点のユースケースを、どういう利用者が想定されて、どういう利用者の種別があって、その人たちはどういう形で返されるといいのかなということから、今度、利用可能性のところを探っていただけるとありがたいなというのが1つでございます。

○鳥羽座長 非常に重要な点で、歩きながらあるいは走りながら進んでいくに当たって、評価をして、データを取っても、それを現場にどうやって返す、すなわちケアプランにどうやって生かしていいケアをしていくかということを模索しながら登っていかなければいけないという論点だと思うのですが、その点、いかがでしょうか。

 これは、厚労省だけではなくて、関係の有識者の方や介護関係団体の方が、こういう評価をしたときに、こういうケアプランと結びついている例があることを示していただいて、それを電子化の中に落とし込む作業がいつ始めて、どういう過程で、どういう目標を持ってやるかということにつながってくると思うのですが、どうでしょうか。

 どうぞ。

○三上構成員 作業療法士協会の三上と申します。

 現場のほうでは、例えばワードとかエクセルとかいろいろな評価様式があって、なかなか管理がしづらいという問題は、どの評価様式であったりツールを使っても、現場ではやはり記入が難しいということになってくると思ってはおります。

 作業療法士の中でも、ある作業療法の手法という中で、プロセスに応じて介護の現場まで申し送りを送るという作業があるのですけれども、ワードとかエクセルを使っていると、最終的な申し送りができるのですけれども、その途中経過までどういうふうにデータをリレーションさせて、申し送りを介護の現場に届けるかというところで、いつも課題がある状態になっております。

 作業療法士協会の会員の中でも、いろいろな書式をリレーションできる電子カルテに落とせないのかという会員の声がたくさんありますので、今回、このようないろいろなエビデンスに基づいたデータを現場にどう落としていけばいいかという、どう支援する、今はiPadとかいろいろな電子機器があると思いますが、データを入力する人がデータを入力しやすいようなことも、この介護の検討会で検討されるテーマの1つかなとは思っておりました。

○鳥羽座長 ありがとうございました。

 いかがでしょうか。

 前回、この会議に先立つ有識者のミーティングの中でも、介護の負担は2種類あって、1つは介護そのものの負担と、もう一つは、介護に関する例えばケア会議あるいはそういった記述するような事務的な処理の負担と2種類あって、特に、後半の介護事務あるいはペーパーワークに関するものを大幅に軽減できるようなものとして、コンピュータやAIが記載されているということですから、そこをどうやって還元するかという議論について、ここは次年度以降のことになるのですか。どうなのでしょうか。

○井口課長補佐 事務局でございます。

 こちらは、恐らく第1回・第2回あたりで御議論いただいた部分に関係してくるかと思いますけれども、まず、年度末に向けては、データベースで何をとるのかというのをまとめていただく。その後ですけれども、当然、そのデータベースを組んで情報を集めたら、それで科学的な介護ができるわけではございませんので、集まったデータをもとにどういうふうに分析をしていくのか、それから、どういうふうに実証をしていくのか。それで、エビデンス化したものをどういうふうにまとめて現場に還元していくのかというネクスト・ステップの部分は、まさに先生方御指摘のとおり、来年度以降の御議論の材料になってくるかと思います。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 どうぞ。

○折茂オブザーバー(山野代理) 代理で大変僣越ですけれども、うち、たまたまデイケアでVISITを今年度から協力させていただいていまして。現場が淡々と入力してくれているのですけれども、2点。うちは一応電子化しているのですけれども、VISITはそれと重なる項目を再度打たなければならないという煩雑さがあります。それと、情報管理的なことで、都道府県によってはクラウド等、外部に情報を上げてはだめと言われるところもあったり、内規で情報を外部に上げないと決めている施設もあるのです。うちは県からの依頼に従ってVISITをやっています。VISITは、利用者の氏名とかは上がらずに、匿名化された情報だけが上がるというシステムになっているということなのですけれども、入力が二度手間になる煩雑さと個人情報の管理面で、全施設がやることになったときに大丈夫なのかなという懸念がありますし、入力の項目をできるだけ精査していただきたいと思います。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 個人情報の観点で、WEB登録とかはなかなか難しいというような議論もあるのですが、この中で出てきたようないいケアが登録されていて、WEBなどで見られるようになれば、課題が出たときにWEBを見て、それで、その中から適したのを選ぶというようなテキストみたいなものにもできれば、割合早期に還元は途中からされていくとは思うのですけれども、そういう還元の仕方についての議論が具体的なものがまだなかったような気がするのですが、これ、どうでしょうか、葛西参与にこの辺は。

○葛西参与 私がちょっと気にしているのは、見ていると、結局、ケアプランに落とすというのが多分一つの方向性。最近でしたら、例えば何かのAIを使ってケアプランを高度化するとか、そうでないにしても、自分のケアプランをケアマネの方が見て、何かあり方を変えてみようとか、介入の仕方を変えてみようと言って、ケアプランをきれいにしていくというか、より洗練させていくことが1つ、ケアプランをいじるというのがあると思うのですね。

 そういう現場での使い方をするとなると、例えばグループホームでの使い方、在宅医療での使い方、まさにデイケアでの使い方、サ高住での使い方は、多分全然違うでしょうと。少なくともグループホームとサ高住が違うのが明らかですからというと、そういうケアプラン一つとっても、各事業所の種別によってどんなふうに使われるのかなということと、どういう観点でコード化し、洗練しようとしているかというのは多分全然違うだろうなというのは一つ私は気にしています。

 それと、もう一個が、ちょっとIT的に言うと、AIを活用するみたいな他のシステムですね。他のサービスを活用している方にデータを提供する場合は、今言ったWEBで何かを出すとか、紙で何かを出すではなくて、他のシステムに連携しなければいけないという場合もありますねというのがもう一つです。もちろんAIを活用して、ケアプランにまた反映すると。

 あと、私がわかってないのは、ケアプラン以外の何か計画の立て方というか、ケアのあり方の研究行為は多分されているのでないかなと思うのです。それは皆様のほうが御専門で、各研究分野の方々はもちろん全然違う研究資料を更新しているのではないかなというので、システムとしては、還元の仕方が多様だろうなと思っていまして。その際に、どのユーザーがどのぐらいいて、どの方がどういうデータを欲しがるのかなというのが、最終的にはITの仕様になってくるというのが、皆様に適切にデータが行き渡るようにしなければ、多分つくっても、これは使われないだろうなというのは1つ観点だと思います。

 それと、ケアプランの高度化に関しては、洗練の仕方は、多分すごく属人的で、どうやら聞いていると、私もあの後、いろいろなところに聞いたのですけれども、トップダウンで、例えば厚生労働省か、もしくは自治体と連携していて、「自治体に言われたから入力しています」という方もいらっしゃるでしょうと。そうではなくて、自発的に私がケアプランを高度化させようというある志を持って、自分がこのデータヘルスということをよりコミットしていきたいという思いですね。そういう思いを持たれて一生懸命ケアプランを生成するのにどうあるべきかと率先される方もいらっしゃるでしょうと。言われたからやるという方と、自分で能動的にコミットしてみたいという方と、両方いるのではないかなと。

 あと、もちろん現場がちょっとお手間でそれどころではないので、入力している暇はないですという方は、これは結構な量いるであろうと。そういう方々の、それぞれの方々の我々としてはサービス提供の戦略というのを、データヘルスとしては持っていかなければ、本部としては持っていかなければいけないという観点がちょっとありますというだけでございます。

 そうすると、利用対象者が多様ですし、利用する方々は、画面を見ているか、紙を見ているか、ほかのサービスを使っているかというようなあり方があるだろうなということで、取得以外の使い方の部分でどういうふうに還元するといいかなということが、ちょっと具体的な話が気になっているというだけでございます。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 この出口戦略が確かに見えないと、これから、また、各論でいろいろなものを評価するという話が資料であるわけですが、どんどん装備だけが重くなって、各領域で詳しく評価するというのが重なっていきますと、介護の科学化に伴って、介護評価負担が余りにふくれて、最終的な方向性に至るまで、かえって難しい局面になることもかなり予想されるわけで、それは避けていきたいと思うのですけれども、その辺の中間的な還元策というものを十分考えながらやらなければいけないと思うのですが、いかがでしょうか。

 例えばWEBでできなければ、少なくとも今回の新しくこういうことを調査してもらいたいということを出したら、ごく簡単な、最低限このレベルのケアに生かしてくださいというのを厚労省のほうで、また、検討会で一つ一つ簡単なポケットブックを出していくとか、そういうことをしていかないと、なかなか順次還元できないかもしれませんし、何かいい案はございますか。

 どうぞ。

○濱谷老健局長 今回はまだまだ固まってないわけなので、提供の仕方とかいうこともこれからの議論なのですが、例えば、今のNDBとか、介護DBについては、行政の基礎資料として、行政としてよりよいケアを目指す、あるいは介護報酬などに生かすということのために使うのが基本で、それを第三者提供するというような枠組みで今回しようとしているということであります。

 今回のデータベースについては、いろいろ御議論はあるかもしれませんけれども、まずは国としてのデータ収集をするというのがベースであって、それは行政の基礎資料としてまずやるというのがまず基本にあると思います。その上で、第三者提供として、研究者とかいろいろな方々にどのような形で提供するかというのは、また、次の制度論としての議論もあるのではないかと思います。

○鳥羽座長 わかりました。今すぐやらなくて、まず、基本的に大きくデータを集めてみて、それが制度に生かされるかどうか検討した上で、その辺の枠組みや研究を並行してやっていくということで、一気に同時並行してやらなくてもよろしいという局長のお話でしたので大分楽になったのですけれども、それでよろしいですか。

○葛西参与 もちろん。私が一気にやれと言っているわけではないのは、局長は御存じです。

○鳥羽座長 ただ、そういう課題があるということを皆さんが共有していただいて、順次進んでいくと、こういうことでよろしいでしょうか。

 済みません。まとめになったかどうかわかりませんけれども、いいですか。

 では、次に進ませていただきます。失礼いたしました。

 それでは、続きまして、課題2の「認知症について」武田構成員から説明してもらいたいと思うのですが、実働部隊で、きょうはちょっと病院のほうで外来をやっておりますので、急遽私がということです。

 前回、リハビリテーション、近藤構成員から説明していただきました資料に準じたものが2-1でございます。これを見ていただきますと、病名の診断、重症度、認知機能、めくっていただきますと、手段的なADLADLBPSDですね。抑うつ、意欲、QOL、介護負担、視力、難聴、嚥下機能、歩行能力、コミュニケーション能力、交流、サービス適応、衛生状態、尿便失禁、栄養状態、転倒のリスク、表情など、また、介入に関するものも9ページからございますが、薬物療法、認知機能訓練、認知刺激、認知リハビリテーション、運動療法、音楽療法、回想法、認知行動療法、パーソンセンタードケア、バリデーション、個々の人に合わせて構築されたアクティビティ、環境調整、人数調整、刺激の調整、家庭的な親しみやすい環境、プライバシーの確保、社会生活の確保、認知障害を補う環境、日常生活を行える環境、趣味、娯楽、外出を楽しめる環境、安全・安心な環境、また、さらに、イベントに関するもの、これは14ページからですけれども、施設入所、骨折、誤嚥性肺炎、非経口栄養手段の導入、行方不明等々があります。

 まさに認知症ケアの各要素が満載されているということですけれども、これは恐らく還元のためには、このようなことが起きるたびに、ケアプランの中に落とし込んでいくというものでございます。これは全部データをとるということは、フィージビリティのことで大変課題があるということで、その次の資料2-2を見ていただきたいのですが、これが私がつくった簡略修正(案)でありまして、デイサービスレベル、介護予防レベルと、入所レベルに分けて、デイサービス、介護予防レベルでは、認知機能、長谷川式(HDSR)IADLADL、意欲、交流、サービス適応、コミュニケーション、介護負担、本人の思いといったものの項目に絞らせていただきます。

 これはどのくらい時間がかかるか、誰ができるか、資格ですね。それが困難なときの代替をやってありまして、例えば長谷川式は3語復唱と100-7、遅延再生だけに絞る。IADLは3項目、ADLは3項目、意欲は挨拶だけなど、このような形で、一応こういうものも科学的に論文が評価されているので、代替のでやったらどうかということでございます。

 入所レベルも、説明はちょっと省略いたしますけれども、同じように、20分、10分等、時間がかかるものに関して、代替検査法でできるものを出してあります。

 そうしますと、1時間以上かかると言われる評価が、10分くらいで大体できるのではないか。こういうもので評価するのであれば、現場でももしかしたら無理なくできるかもしれません。ただ、この評価することのどういう意味があるかということを十分解説しながらやらないと、それでも大変かもしれないということです。

 例えば下のほうに、難聴で聴力検査のかわりに補聴器を使っているかとか、「もしもしPhone」という耳の近くに当てて大きな声を出すやつがあるのですけれども、そういうのを使わないと聴こえないかという、簡単な判定方法もあるということであります。簡便法は簡便過ぎるというような御意見もあるかもしれませんが、現場のフィージビリティを最大限に考慮した代替方法を考えてみました。

 ということですが、これについて、ぜひ認知機能の現場からのデータ収集について、皆さんの御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

 事務局、認知症の短期集中リハビリテーションの場合には、もう少し細かい案件が必要になっていましたか。

○井口課長補佐 事務局でございます。

 認知症短期集中リハを算定する際に、どういった様式を記入していただいているかという部分かと存じますけれども、参考資料で言いますと、1-2のところに、今、介護報酬で何か加算を算定していただくときに、様式記載していただくものをまとめておりまして。その中に、特に認知症短期集中リハのものを入れてございません。ちょっと確認が必要ですけれども、短期集中リハのところで、特に記載していただいている様式はなかったかと思います。

○折茂オブザーバー(山野代理) 認知症短期集中リハビリテーションは、長谷川式ないしはMMSEで5点から25点に該当する方が対象になります。定められた研修を受講したか、精神科等が専門の医師の指示でリハビリテーションを実施して改善が見込める方、というのが算定要件です。

○鳥羽座長 ありがとうございます。

 それで、詳しくやればいいのですが、遅延再生ができないと平均点が1820点なので、それで要件を満たすというふうに、実は判定できることはわかっていますので、単語の復唱ができなければ、大体10点以下ということで、そこも入る。それから、ごく簡単なものだけでも、本当のスクリーニングはできるというのが私の考えです。現場で長谷川式をやるだけでも結構大変だという方もいらっしゃいますし、御本人が嫌がる人もいますので、そういうフィージビリティを考えると、簡単なものである程度そういう根拠に基づいたものに代替していってもいいのではないかというのがこの案です。一つ一つ全部説明する時間はないのですが、そういうことでございます。

 いかがでしょうか。

 このような案が一つのものとして、もし細かい御批判があれば、ぜひ、また、事務局のほうに寄せていただきたいと思います。

 どうぞ。

○瀬戸オブザーバー 全国老施協の瀬戸と申します。

 最初、資料2-1を見たときに、え、こんなにまたと思ったのですが、2-2の簡便法は、これだと現場としてもかなりやりやすいかなと思います。

 ただ、これから項目を決めていくのでしょうけれども、同じようなデータをとる、例えば認知症で体重減少をとるけれども、当然、栄養のほうでも体重減少をとる。その辺のデータがうまく連動していくようなつくりをしていただけると、ありがたいなと思います。

○井口課長補佐 御指摘のとおりですので、「中間とりまとめ(案)」の作成のときに、例えば項目が重複するところについては、別途、ここに重複があるであるとか、もしくは、重複するものは省略するであるとか、そういったまとめ方をさせていただこうと思います。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 これでは余りに簡単過ぎるというような意見はないですか。近藤構成員。

○近藤構成員 多分、鳥羽先生がお考えになった簡便化に関しては、鳥羽先生の頭の中にいろいろな理屈が詰まっているのだろうなと想像しておりまして。それがある程度浸透してこないと、納得できない部分は多分あるのではないかなと思います。なので、ちょっと面倒くさいけれども、項目選定のためのワーキンググループみたいなのは必要になってくるだろうなとは想像しておりました。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 どうぞ。

○田宮教授 田宮です。

ZBIが入っているので、介護をする側の負担を測るという項目も入れていらっしゃるということだと思うのですけれども、在宅のほうだと、家族はおうちにいるのでいいかもしれないです。入所レベルの場合は、これはスタッフですか。それとも家族か。どんなふうにお考えですか。

○鳥羽座長 スタッフですね。これはよくないですね。だから、燃え尽きスコアとか。

○田宮教授 そっちのほうですね。

○鳥羽座長 どんどんそういうふうに出していただければと思います。

○田宮教授 では、スタッフの側のということですね。わかりました。

○鳥羽座長 これはちょっと急いでつくったミスかもしれませんね。済みません。

 ほかにどうでしょうか。

○藤井構成員 これも確認めいたものですけれども、1のほうは介入という大枠があるのですが、2のほうは介入というものがなくて、以前から、プログラム評価みたいな、フィデリティ評価みたいなことをやるのでしょうかみたいな発言をしておりましたが、この介入を見ると、薬物療法以外、加算の要件になっていれば、一定の条件がついていてというのはあるのかもしれませんが、何をもってやったとするのかというのを一緒に、もし介入の項目を入れるとすればあるのではないかなと思ったのです。先生のほうに介入の項目が入ってないのは、入れないということですか。

○鳥羽座長 いえいえ、介入の項目は、今は、認知症短期集中リハとか一定のものがあるわけですが、それは施設要件とかがありますが、認知症のケアに関しては、そういうもの以外に、一般に行われている認知症ケアはほとんど全ての医療介護施設でやられているわけですね。その場合に、こういう介入レベルをちょっと詳しく記載しなかったというだけの話です。

 ただ、このアウトカム評価と最初の評価は、全く同じ項目でやればいいということで、特別、項目をふやす必要はないということは申し添えます。

 いかがでしょうか。

 どうぞ。

○三上構成員 1点だけ。科学的かというところではあれなのですけれども、特に、認知症の人とケアとかサービス関わるときは、昔、どんな生活をしていたとか、どんな職業に就いていたとか、昔とった何とかという何か得意なところを応用的、その残存能力を見て、ケアに関わっていることが多いと思うのですよね。なので、昔どんな仕事をしていたとか、そういったところも、認知症の方をケアしている現場にとっては、とても重要な一つのスケールになるのかなとは思っておりますが、以上です。

○鳥羽座長 大変大切な視点であります。失礼いたしました。

 個人史とか、それから、その人の好み、趣味などを十分聞いた上でケアをするというのが認知症の基本なので、そこのところを落としていましたが、いかがでしょうか。つけ加えてよろしいということであれば、つけ加えさせていただきたいと思います。

 どうぞ。

○福井構成員 福井です。

 看護のほうでは、生活ケアの側面で、よく「6側面」と言われることが多いと思っているのですが、排泄、食事、清潔、移動、睡眠、あとは、鳥羽先生がお書きくださっている意欲とか思いにつながるストレスとか心理面という6側面が挙げられます。このことを念頭に置いて見てみると、食事と睡眠の部分が、先生がお出しくださった資料2-2では、具体的には入ってないのかなと思って見せていただいたのですけれども、現場ではそういう情報はかなりとられていると思うので、先ほどの御議論にもあったように、現場でとっている既存のデータと、これから新しく追加するデータは十分考慮してやっていくといいのではないかと思いました。

○鳥羽座長 これも大変うかつで、睡眠は、今、認知症の予防・治療・ケアで一番ホットな話題で、落ちていて、大変失礼いたしました。睡眠、食事も同様に大切です。どういうふうにして入れたらいいかは、福井構成員にお任せしますので、事務局のほうに寄せていただくということで、つけ加えさせていただきたいと思います。福井構成員よろしくお願いします。

 ほかにどうでしょうか。

 どうぞ。

○鈴木(裕)構成員 転倒リスクの評価が、入所のほうにはあって、デイサービス、介護予防レベルのほうにはないというのは、何らかの意図があって、あえて、こちらには入れてないということなのかということですけれども、恐らく、デイサービスとか介護予防を使われる方のほうが、ポピュレーション的には多いものですから、かなり絞ってあるということなのかなということですが、実際には、生活場面で転倒リスク的には、一定のバリアフリーの入所をしている人よりも、ふだんの生活場面で行動している方のほうが転倒リスクに関する情報は貴重ではないかなと思います。

○鳥羽座長 ありがとうございます。

 この点について、いかがでしょうか。

 いろいろな統計データがあるのですが、デイサービス、介護予防レベルでは、転倒リスクが若干ふえるものの1.5倍程度。ところが、入所者は年間1.5~2回/1人転倒しますので、非常に高頻度なものですから、その頻度によって項目をある程度絞っていかないと、転倒はほかで、むしろ、認知症ではなくて、独立した形のものでどこか測られるのでないかということもありますので、特に認知症の入所者で多いものに絞って、老年症候群の認知症における頻度調査から、入所者といわゆるコミュニティで高いものを選んだということですが、先生のおっしゃるように、入れたほうがいいことは間違いありませんが、そうすると、また、項目がどんどんふえていきます。どうでしょうか。

○鈴木(裕)構成員 了解しました。

○鳥羽座長 これも偶然選んでいるわけではないということです。

 よろしいですか。

 それでは、まだ細かいところは御議論あると思うのですが、福井構成員のように、多分、私の見落としも多いと思いますので、ぜひ、建設的な意見を事務局に出していただければと思います。

 また、多分、各専門学会に出しますと、こんな粗雑なものでというふうに、私が批判は一手に引き受けますからいいのですけれども、言われる可能性もありますので、意見交換だけはしておきたいと思います。

 それでは、次に行かせていただきます。議題2「利用者の満足度について」田宮先生から資料をいただいておりますので、よろしくお願いいたします。

○田宮教授 筑波大学の田宮です。

 「介護施設における利用者満足度」ということで課題をいただきましたので、うしろにおります研究員の金が主にテーマにしているので、一緒に作成した資料を提出させていただきました。

 まず最初に、ケアの質の評価の中で、満足度がどんなふうに位置付けられたのかということを参考までに。1枚めくっていただいて、パワーポイントの2にございます。この辺はもう御議論あったかもしれませんが、これはアメリカの流れが中心ですけれども、質の評価はアメリカが中心に進んできていると思いましてご紹介します。大きい転機が1987年のOBRA-87というところでHCFAがかなりquality indicatorを使い始めて、質の評価を始めたという流れがございます。

 そして、MDSを使った、でも、あくまでフィジカルな部分が多くて、今まさに転倒の話が出ていますが、quality indicatorで見ていくことがずっと流れきていて、Zimmermanさんが1995年にquality indicator(QI)を開発して、それから、アメリカは政府として、公開しています。、その中には、フィジカルな面ばかりで、満足度などが入っていないということの批判がだんだん出てきていて、2000年あたりからMDSのこのシステムをつくった御自身であるZimmermanさんから、消費者の視点、満足度の視点、そういうものをもっと入れなければだめだということを御自身でおっしゃり始めまして、それから、そのあたりから満足度ということも入れようということが、ノルウェーの国家のほうでも言われてきていて、必要性ということで議論が始まった感じですね。

 ただ、アメリカも全体として国としてやっているのはMDSのもので、満足度は入っていなくて、全米の取組ほどにはまだなっていない。いろいろなところがやっているのですけれども、まだシステムとしてそこまで進んでいない感じですね。

 その中で1つオハイオでやっているものが代表的に最もよいと思われるので、それを中心に今日はまとめてきました。

 その前に、3ページには、利用者満足度は何かということですとか、定義などもまとめてあります。利用者の視点ですね。コンシューマーの視点から見たサービスの質に対する評価だというところが一番大きくて、意義としては、提供側がどれだけ利用者の価値や期待に応じているかを反映するので、重要な指標である。これはどのメディアも言っていて、Donabedianさんは医療の質の評価の最初のほうの方ですけれども、それから、実際、質の改善に満足度が使われているという例も出されていたりします。

 後で詳しく説明しますけれども、特にオハイオは、全州を挙げて、この満足度に長くから取り組んでいるところで、それをもとにしたStrakerさんの論文などが出ています。

 それから、満足度というのはサービス提供の質の向上や提供者のサービスの質を説明できる有用かつ重要なツールであるということで、近年、2000年あたりから、満足度もこういう評価には入れようという流れが出てきています。

 日本でどうかといいますと、幾つかの施設や市町村で、自主的にいろいろなことが工夫されていますけれども、まだ体系化はされていないという状況のように思われます。信頼性や妥当性を検討したちゃんとした質問紙がまだ日本ではできていないので、それを私たちは試みているところです。今日御出席の老健協会さんにも御協力いただいてパイロットはやっているところであり、これも、後でお話しさせていただきます。

 日本でどんな満足度評価がされているかというのは、金研究員がインターネットでできるだけ拾ってみたのが、付録2です。で、うしろのほうにおめくりいただいて、パワーポイントの13ページです。これが、2017年4月の時点で、インターネットで拾えた、各施設が個々自分のところの施設で独自にやったものを公表しているものをまとめました。 それぞれのアンケート項目も本当にばらばらで、ドメイン数とか項目数もそこに書いたとおりですけれども、大体のこのような項目からなっているというものはあり、オハイオにも含まれている項目になっています。こんな感じでトライアルでいろいろなところがやっているというのが日本の状況ですね。

 もう一度前に戻っていただいて、スライドの5ページが、文献レビューをした結果です。いろいろ出ていますけれども、主にナーシングホームとアシステッドリビングを対象につくった尺度があって、米国中心に、オーストラリアでもつくっていますけれども、構成概念・妥当性があるかないかが右にあって、それから、利用者の認知度の考慮があるかないかとか、その辺も右のほうに○×で示してあって、項目数にもそこにあるように、何種類かまとめています。主に論文としてきちんと出ているのはこのくらいのようです。

 その中で、一番最後のところにある「オハイオ利用者満足度調査」が、並べて見ていただくとおわかりと思いますが、構成概念・妥当性・信頼性もちゃんとありまして、利用者の認知度の考慮も論文にきちんとなっているというところでよいのではないかなと考えています。次のページは、オランダ。それから、オハイオはもともと米国ですけれども、カナダでも使われていて、上から2番目はそれですね。先ほどと同様に、認知度の考慮がされているということで、妥当性も信頼性もできていると。こんなふうにいろいろできていますが、妥当性・信頼性がきちんと論文になっていて、認知度のことも研究しているというもので、一番優れている。つくったアメリカだけではなくて、カナダでも使われているということの点から、我々の試みとしては、オハイオをもとに日本版をつくってみようということで、今始めています。

 オハイオが何でいいのかという理由が7ページに書いてあります。いろいろな人が一緒に開発してきた。いろいろなエキスパートを含めて。本当は日本でもここから始めたらいいと思うのですけれども、我々も次にはやりたいなとは思っているのですけれども、まずはアメリカのものを日本に当てはめてみている段階です。 ここにありますように、オハイオは、いろいろな立場の方が議論をしてつくっていって、それから、信頼性と妥当性をきちんとやっていて、いろいろなレベルのステップをちゃんと踏んでいると。それから、認知度の考慮も除外基準があると。それから、カナダの研究論文もあって、長い歴史があって、2003年から2年おきに州レベルで調査を繰り返して、もう公表をしています。また、広いタイプの施設でも使えるというところで、これがよいかなということでやっています。

 次は我々の試みとしてやっているもので、まだまだファイナルではないのですけれども、途中経過としてご報告します。質問紙は、カナダ、オハイオのものを日本語に訳しまして、老健協会さんの幾つかの施設などいろいろなつてを使って、まずはパイロットスタディをやったところです。元のスケールから、日本の老健でできそうなものなどをいろいろ老健の先生とも一緒に考えてみて、なるべく元のものを残して、プレ調査をしてみました。

 また、これは中身を検討するための調査ですので、少し厳しく、長谷川の20点以下は除外ということでやっています。それから、もとのオハイオはインタビューですけれども、ここは自記式でまずやってみました。、実際に評価に用いる時には、自記式ではなくてインタビューですとかいろいろなやり方があると思いますが、我々の試みはまずは、このようなところです。

 次がプレ調査の結果で、これは未発表ですので数字などは未確定ですので、資料としての取扱いは、注意していただきたいと思います。日本のファクターアナリシスをしたとき、アメリカのファクターにはあっても日本では出てこないものとかいろいろありましたが、ここに示した項目ですと、ファクターローディングがよく、信頼性・妥当性のあるモデルになっており、これなら日本でもよいのではないかということで、ファイナルにしてきているものです。

 今回のこの会議においては、何か端的に2つぐらいで示せるものはないかというのも重要な課題としていただいていましたので、オハイオの中でも、10ページにありますように、全体的な満足度という項目も用意されています。「施設は快適ですか」「あなたはこの施設にお金を支払う価値があると思いますか」「総合的に、この施設にいることは好きですか」「今いる施設を友達や家族に薦めたいですか」という、この4つを総合的なものとして扱っています。

 さらに、この中の2つを総合的な評価として、赤で囲んである、この施設にいることが好きかというのと、友達や家族に薦めたいかという、この2つを総合的な指標として公開しています。

 また、付録4、5が、オハイオの満足度調査がWEBでどんなふうに出ているかという例になっています。付録4は、こんなふうにいろいろな施設の名前をやると、トータルスコアが幾つというのが公表されているのですね。

 付録5になると、いろいろな施設を選んで比較をすることができるのですね。その比較のときには、全部比較していると大変ですので、オーバーオールスコアに加えてこの2つ。先ほどの総合評価:日本語で「総合的に、この施設にいることを好きですか」と「友達や家族に薦めたいか」というこの2つを代表的な結果として、公表のときも比較に使っているという経緯がございます(付録4,5は  https://www.ltc.ohio.gov/Help.aspx の画面から作成したもの)

 なので、宿題として、1つか2つで取り入れてするとしたらどれですかというお話をいただいたので、こういうスケールとして、オハイオは恐らくアメリカの中でも最も進んだスケールの歴史を持っていて、そこが総合スケールとして、この2つを用いていることから、今回、ここでやるのもこの2つがいいのではないかなと。

 もう一度10ページに戻っていただきます。この2つのスケールが、全体の相関がどのぐらいかというのが、一応データとしても出ていて、真ん中のペーパーですと、0.76とか、6つのドメインとは強い相関だったというのが出ています。

 日本では、0.59がそれぞれの相関で、6つのドメインとの相関が0.3ということで、余り高くはないですけれども、両方ともまだ途上ということで、上の2番目の論文で出ていることもあり、選ぶとしたらこれかなというところですね。

 あとは、考察のほうは、我々の予備的な研究で、アメリカの10ドメインの中の日本の7つが妥当性と信頼性があって、ここにある項目については、尺度としていいのではないかというふうに。ただ、3つのドメイン。選択(好みの衣類を着ますか)という、そういうところは、アメリカはもっときちんとドメインとして出るのですけれども、日本はいまひとつ出ないとか、あと、施設の環境の点と、入浴について、やはりアメリカのものと日本のものと違うのか、ちょっと信頼性が低いので、この3つのドメインは日本の尺度としては改良していこうと思っています。

 こんな感じで、まずアメリカのものを日本に合わせて、信頼性・妥当性を考慮しながら、スケールを開発している途上ということが1つ。それは参考までに、13ページから青のドメインが除外したほうがいいドメインで、それ以外はそのまま参考までに載せています。

14ページの最後の2つが総合評価ですね。先ほどから申し上げているこの2つということで、用意してきた資料は以上になります。

○鳥羽座長 大変簡潔にまとめていただきました。

 いかがでしょうか。

 近藤構成員。

○近藤構成員 外国からの尺度を導入する場合は、文化的な背景がかなり異なるという部分を考慮しなければいけないと思いますので、実際、最後に残った2つに関しても、結構文化的な側面の影響が出ているのではないかなという気はいたします。

 あとは、総合的な評価の部分と、それから、各ドメインの相関に関しても、要するに、日本の文化と合ってないために、アメリカの結果とはかなり矛盾した結果が出ているはずですので、これをこのまま、この開発方向でいいのかどうかというのは、私は尺度の専門家としては、非常に強い疑問を抱きます。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。厳しい意見が出ました。

 どうぞ、鈴木オブザーバー。

○鈴木(邦)オブザーバー 私も去年アメリカの施設を見に行ったのですけれども、ナーシングホームやアシステッドリビングなどがありますが、我が国と全然前提が違い、老後の蓄えを自分でするという国ですから、一定以上の蓄えができていれば、自分の望むような老後が過ごせます。その老後が準備できなかった人は、最低限のレベルで我慢してくださいという国なのですが、どのようなレベルの施設に対してこの調査を行ったのか。アメリカのような、極端に制度が違う国のものをそのまま持ってくることは、我が国において、アメリカのような高い報酬を支払っていただける訳ではないので、違和感を感じます。誤解を招くのではないですか。この施設は好きかとか、友達に薦めたいかとか、そういう聞き方をすることは、視点が違う気がするのです。アメリカならば、お金があれば自由に選べますが、日本も選べないわけではないけれども、公的保険で行っているサービスですから、少し意味が違うのではないか、という気がします。

○鳥羽座長 どうぞ。

○田宮教授 厳しいお言葉ありがとうございます。

 最初に申し上げたように、私たちは本来は日本で最初からヒアリングをして、概念構成をして、つくっていこうと思っています。それは本当に必要だと思います。ただ、参考までに、海外がどういうふうになっていて、どんな尺度があるかというのを御紹介させていただいております。これをそのまま当てはめられると私たちも思っていなくて、日本で除外された項目もあるから、これは外そうと思っているところもお示ししました。なので、ぜひ、現場の意見でご議論いただき、これを絶対入れていただかなければという気持ちで御紹介したわけではないのです。

○鈴木(邦)オブザーバー 私が、アメリカのワシントン郊外の施設で説明を聞いて一番驚いたのは、すごく立派で、公園のようなところにあるのですが、「うちの特徴は、お金が払えなくなったからといって、すぐには出ていってくださいとは言いません」というのがそこの一番の売りなのです。毎月の支払いから積立をして、万が一蓄えがなくなって出なければならないというときにも、ある程度の間そこにいられますというのが売りなのですが、そういうやり方は日本では考えられません。しかも、いよいよケアが必要になってくる重度になると、自己負担が上がっていくのです。そのような国なので、全く日本とは違うなと思いました。日本をそういう国にしたいというのでしたら、こういう聞き方もいいかもしれませんけれども、そうではないのであれば、こういう聞き方をしたら、施設としてはやりたくてもやれないという感じがします。

 医療でも同じようなことがあるのですけれども、満足度調査は非常に難しいので、一つの施設がよりよく向上していくために以前と比較していくのならいいのですけれども、全体を見て、ランキングのように、どこがよくて、どこがよくないという話にしてしまうと、公的保険サービスとしては問題があると思います。

○鳥羽座長 どうでしょうか。

 どうぞ。

○田宮教授 本当に懸念は私もとてもわかりますので、施設をランキングにして比較するのがいいと決して思っているわけではありません。ただ、こういうことがアメリカでは行われているというふうな情報提供です。

 ただ、ここを人に薦めたいか、好きかというのは、どうなのでしょうね。制度は違っていても、どこでもある程度満足度ということではいいのかなと私は思っている点はございます。

 御指摘のように、これがそのままかどうかはぜひ御議論いただいて、できれば、日本ならではのものを最初からつくるのがいいと思いますが、方法論としても学べるので御紹介しております。

○鳥羽座長 ほかに。

 どうぞ。

○葛西参与 ちょっとデータヘルス本部は置いておいて、私は深刻な認知症の母を持っておりまして、データヘルス本部の会議中も、10回も20回も電話がかかってくるぐらいな状態であります。その身として、家族としての発言は余り出てこないので、あえて、ちょっと言うと、利用者満足度としての意見は、私個人の家族、それから、周りの家族としては、非常に言いたいという方は結構多く聞かれます。

 なので、さっきの座長がお出しになった資料も、実はそうなのですけれども、ずっと悩むのですけれども、家族がデイサービスとして、IADLとかADLを情報提供するという場面は、確かに、デイサービスに行くときに、申し送りとして私も書くのですね。ですけれども、「因果」の「果」のほうですね。いわゆる周辺症状を減らしたいと当然思います。その周辺症状は、例えば徘徊の数を減らしたい、それから、母が突然暴れ出すことも減らしたいという、その減らした回数はどこにデータを提供できるのだろうかというのは深刻に思っております。

 単純に利用者満足度として、このあり方がいいかどうかは確かに皆さんの御議論の中にあるとおりで、その尺度がいいかというのは、私もこれでいいとはちょっと感じないところもあるのですけれども、利用者満足度というのは、「満足」という言葉が語弊があるのでしょうかね。利用者というのは、介護家族の面でデータを提供したい尺度と、サービスを提供する方の尺度とか項目はどうやらずれているなという感覚は個人的には持っています。

 データを提供したいのは、僕としては、母が何回ぐらい徘徊しているのを、2回でも3回でも減らしたいということをどこかに言いたいと思っても、それをとってくれるところは今どこもないです。それはどうなっているかというと、合理的にとってくれる方がないのです。いわゆるお話し合いをしてくれる方はあるのですけれども、定量的に誰かがとってくれているわけでは全然なくて、ドクターがとってくれるわけではなく、いろいろなところに話すのですけれども、「そうですか。大変ですね。3回ですか、4回ですか、5回ですか」と。「暴れるのは何回ですか」とみんなに言うのですけれども、特に何も返ってこない。それはどうやらデータとして生かされてない感覚があるのは事実です。それは一人や二人でもない、周りの家族の言い分で、それを総論で言うと、「あそこのグループホームは、うちの母がすごくいてくれるんだよね」とか言う方もいらっしゃって、そういう満足度という言い方に転換されて、周りで意見を収集して、地域で話をすると、「あそこの施設がいいっぽいよ」という話をしているのは確かですね。それは「うちが2回減ったからいいよね」とかそういうことではないです。

 なので、利用者満足というあり方を検討することは、僕は重要だとは思っています。このあり方がいいかどうかは、全く皆さんと同じ意見で、多分、先生もおっしゃられていたと思うのですけれども、このあり方がどうかというのは、まだ議論が必要だろうなとは思っているという、その「因果」の「果」のほうですね。どういう結果が家族の状況に起きているのかという情報をどうやって取得するかというのは、いま一度検討いただく必要があるかなという感覚は個人的には持っています。

○鳥羽座長 どうぞ。

○田宮教授 ありがとうございます。

 今の葛西参与さんの意見を聞いて、ちょっと思い出したのがありまして。これも老健協会さんとご一緒に、遺族の満足度を測った研究もさせていただきました。、これは看取りの後ですけれども、そのときに、「いかに話を聞いてくれたか」というのがすごく大きかったという研究がありました。なので、今のお話を伺っていて、これは家族の満足度だと思うのですけれども、思いを聞いてもらえるところは大きいというデータもあります。きょうは利用者満足度ということでまとめてきましたけれども、家族の満足度という意味では、いかに御自分の家族の思いを聞いていただけたかというのは非常に大きいな思いました。

○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。

 満足度というのも、これも実は難しい話で、結局、いいケア、介護の質を上げた場合の最終的なゴールが満足度につながるわけですが、今、議論になっているのは、主に主観的な満足度というのが田宮先生から出されたわけですが、葛西参与からは、客観的な満足度というか、いわゆる認知症の方であれば、BPSDが減るとか、意欲が向上するとか、それは私のデータの中に入っていて、あれらは、例えばある一定のケアをした前後でとれば、その方がどうなったかということをきちんと記録できて、それがよくなったということで、認知症短期集中リハビリテーションは点数がつくようになったという経緯がありますので、どこでもやっているところはないということはなくてですね。

○近藤構成員 少ないと言ったほうがいいですね。誤解があるとまずいと思います。

○鳥羽座長 そうですね。

 ですから、そういういいケアをするために、客観的な満足度の評価と主観的な満足度の評価をどういうふうに立てていくか。すなわち、MMSEや長谷川式が10点以下では主観的な満足度調査はもう通用しないといったデータもありますので、寝たきりの人もだめだと。ですから、どういう層にどういう客観的な評価はできるけれども、こういう層はできないから、別の評価をしていく。

 それは鈴木オブザーバーが言ったように、日本の固有の文化やデータ、質の均質性を十分配慮された、本邦初のものであるのが理想ですけれども、ないものについては、現在、田宮先生がやられているようなものも参考にしながら、日本のものはすぐにできないと。それが現状ですので、主観的な満足度の日本版については、もう少し研究を重ねていただいて、待つということでよろしいでしょうか。どうでしょうかね。

 どうぞ。

○鈴木(邦)オブザーバー 医療機関には日本医療機能評価機構があって、審査を受けて、一定の評価が出るという仕組みがあるのです。介護施設にはないのですが、私はあってもいいと思います。どうせやるのなら、そういう形で総合的に見て評価しないで、一部分だけ取り出してくると、職員の思いとは違ったところで評価されてしまうというようなことがあるのではないかなと思います。

○鳥羽座長 どうぞ、瀬戸オブザーバー。

○瀬戸オブザーバー 介護にはないのですが、社会福祉施設のほうでは第三者評価がありまして、厚労省の調査で評価基準の標準項目をつくっています。それを受けると、いわゆる満足度調査、家族への調査も必ず入って、それについても公表されることになっています。介護ではないですが、社会福祉施設なので、老人福祉施設としては第三者評価を受けている、そういう状況になっています。

○鳥羽座長 近藤構成員、どうぞ。

○近藤構成員 基本的に、クオリティーコントロールというのは、まず施設・設備関係から始めるべきであって、要するに、どのぐらいの人員が要るかとか、どのレベルの介護度の人を預かっているとかという、そういうほうが先になると思います。そこで初めて、そういうデータが公開されると、今度はセレクションができるので、セレクションした結果の満足度をとるのであれば理にかなっていると思うのですけれども、いきなり欧米みたいにセルフが中心の社会での満足度を日本に導入しようというのは、非常に乱暴な話だと私は思っています。

○鳥羽座長 ストラクチャー、プロセス、アウトカムを十分考えた上での満足度のスタンダードを構成していくべきだというふうに、議論はそのように集約されてきたのですけれども、どうでしょうか。

 どうぞ。

○田宮教授 アメリカのそのままがどうなのかという懸念はわかるのですけれども、見ていただくと、基本的な、例えば13ページの「職員は親切ですか」とか、コミュニケーションで、「困ったことがあったら、職員に話せますか」とか、「対応してくれますか」とか、この辺は割と万国共通のものもあると思います。アメリカだから全部だめとか、制度が違うからというのではなくて、どこが日本とも共通かと。ちょうど今もそれをやっているところなので、そういう見方もしていただければなと思います。

○鳥羽座長 近藤構成員、どうぞ。

○近藤構成員 ちょっと言い争いになってしまっている感はあるのですけれども、ここが共通だからとれるという考え方から私は間違っていると思っていて。基本的には、インタビュー方式で現場から上がってくるものをノミナルグループディスカッションとかという手法を使ってまとめていったほうが多分自然だと思います。これは似ているから使えるわねと思ってしまうと、そこから間違いが始まるので。

○田宮教授 それで、プレ調査で、日本の調査として実施したときに答えられるというように、ちゃんとコンテンツが出てきたものを今残してお示ししていて、だめだったものはブルーにしています。、一応日本の利用者に聞いた結果ではございます。

 ただ、一から日本でというのももちろんそのとおりとは思います。

○近藤構成員 ぜひ、よろしくお願いいたします。

○鳥羽座長 濱谷老健局長、どうぞ。

○濱谷老健局長 先ほど、瀬戸さんからありましたけれども、サービス全般については、ストラクチャーは基準がある。それから、プロセスについては第三者評価があって、その中で補足的に利用者の満足度などを調べてという、一応そういう枠組みもありますので、正直に申しまして、今回のこのデータの話とは少し分けて、また、別途、議論をしていただければありがたいと思います。

○鳥羽座長 よろしいでしょうか。

 ストラクチャーやプロセスのグループ分けはあるのだけれども、別々に行われているので、今回は、ケアの質、介護の質をやったときにどうなるかということをまずメインにやって、アウトカム指標がどんなことをセレクションできるかというようなところにむしろフォーカスしていただきたいと、そういうことでよろしいですか。

 いかがでしょうか。

 どうぞ。

○葛西参与 実は私もちょっと気にしているのが、第三者評価のアウトカム指標部分は個別に見ているのですね。なので、第三者評価はもともと各自治体さんも含めて全域的に確立された制度でございまして、そこで何かというと、IT面で言うと、そこのデータも結構データ化されているようです。そういった第三者評価のデータ活用という面も視野には入れてもらいたいのです。なので、この利用者満足度を全くやめてしまうということではなく、第三者評価と互換性がある項目をとってもらえるといいでしょうし、そこからデータが取得できる経路もあるのではないかなと、いきなりはできないですけれども、そういうのは視野には入るのではないかなということだけ。第三者評価は結構いいのではないかなと思っている面があると思います。

○鳥羽座長 既にやっておられる調査があるので、それらは、また、別途、機会をいただいて、詳細に参考資料として出していただき、どういう構造の中で、主観的な満足度をコンシューマーのそういう目線も日本に足りない部分なので、今後、中期的な課題として検討していくと。よろしいでしょうか。すぐに結論が出ないということなので、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○鳥羽座長 どうもありがとうございました。

 それでは、次に、「リハビリテーション以外の介入の情報について」事務局より説明をお願いします。

○村松地域情報分析支援専門官 事務局でございます。

 それでは、資料2-4「リハビリテーション以外の介入の情報について」御説明いたします。

 おめくりいただきまして、1ページ目でございます。訪問介護におきましては、訪問介護計画及び居宅ケアサービス(ケアプラン)を作成する際の参考として、訪問介護におけるサービス行為ごとの区分及び個々のサービス行為の一連の流れについて、「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」で例示を示しているところでございます。

 「身体介護」ですと、「1-0 サービス準備・記録等」、「1-1 排泄・食事介助」、「1-2 清拭・入浴、身体整容」というふうに区分が分かれているというところでございます。

 これよりもっと詳しいものにつきましては、お手元の参考資料1-1に詳細をお示ししておりまして、1枚目の裏側を見ていただきますと、「1-1 排泄・食事介助」ですと、「1-1-1 排泄介助」、「1-1-1-1 トイレ利用」と、このような分類が例示として示されているというところでございます。

 本体の資料にお戻りいただきまして、2枚目でございますが、このサービス行為ごとの区分等について、事務局で、訪問介護事業所とか介護情報システムベンダーに伺ったところ、訪問介護事業所では、実際にこの区分を用いて、やったかやらないか、行為の部分を記録して、記録を作成している事業所があるということでございます。また、介護情報システムベンダーにおいては、ヒアリングの対象となった多くのベンダーが、こうした項目で実施の有無を記録できるシステムを提供しているということでございました。

 ただ、完全にコードが同一というわけではございませんで、ヒアリングを行った全てのベンダーのシステムにおいて、各事業所でこの項目を変更できる仕様となっていることと、それぞれシステムで有しているコードについては共通ではないということでございました。

 おめくりいただきまして、3枚目「論点」でございます。身体介護や生活援助の情報の収集についてどのように考えるか。特に、訪問介護におけるサービス行為ごとの区分(参考資料1)の活用についてどのように考えるかというのが1つ。

 もう一つは、訪問介護におけるサービス行為ごとの区分で、例示をお示ししているものについて、訪問介護以外のサービスの活用についてどのように考えるかという2点御準備をしております。

 事務局からは以上でございます。

○鳥羽座長 参考資料の説明で、追加はないですか。

○村松地域情報分析支援専門官 資料2-4に関しては、参考資料1-1のみでございます。参考資料1-2や1-3は、論点1の部分で、必要があればということで御準備した資料でございます。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 このリハビリテーション以外の情報は、どの程度電子化された、あるいは、項目がどういう形に現状なっているかについて、御説明いただけますか。

○村松地域情報分析支援専門官 事務局でございます。

 介護情報システムベンダーに聞き取ったところによりますと、例えば、参考資料1-1でお示しをしている区分ごとに、例えばトイレ利用があったか、なかったかですとか、ポータブルトイレの利用があったか、なかったかというふうに、その行為の有無を記録するようなシステムがおおむね多くのベンダーで提供されているということでございます。

○鳥羽座長 プルダウンのような形ですか。

○村松地域情報分析支援専門官 そのような選択肢が示されて選ぶということでございます。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 どうぞ。

○藤井構成員 この「老計第10号」は現場でも非常に指針として用いられていることは存じ上げているのですが、実際には、必ずしもきちんとした議論の積み重ねとか、データをとった上でこれができ上がったものではないものですから、これに合わせて現場の解釈をやっているという側面がございまして。せっかくあるものですから、活用していこうというのは賛成ですけれども、ちょっと見直しが必要かなと。

生活援助のほうにも、例えば「2-0-1 健康チェック」がございます。それから、身体介護にも、「1-0-1 健康チェック」がございまして、これは、こことここで線引きはできるという解釈のしようはあるのですが、現場で聞きますと、結構ばらばらで、市町村によっても違うとか。

 それから、「1-3-3 通院・外出介助」がございます。通院の介助と外出介助は、外出介助、身体介護がつく場合はかなり限定されていますので、目的はかなり違うものが同じコードに入っているとかですね。

 これを機に一回ちょっと見直していただけるといいのではないかなと。今、これで現場は動いているものですから、せっかくデータもとれるという状況は存じ上げているので、せっかくだったら使おうというのもわかるのですが、これそのものがちょっと問題があるのではないかというのが、私たちといいますか、多くのと言ってもわかりませんけれども、疑問を呈しているところでありますので、ぜひ、ちょっと見直していただきたいなと。大幅に見直せと言っているわけではなくて、解釈とか、線引きとか、そういったところの見直しは若干必要だろうなという意味で申し上げました。

○鳥羽座長 どうぞ。

○込山振興課長 振興課長でございます。

 御指摘ありがとうございます。いろいろ御議論を頂戴しているということは重々承知しているところでございますが、その点について、どこまでの範囲でどの程度の見直しをするかというのはなかなか大きな議論でもあるので、そこは一つずつということかなと思っています。

 この間の改定の議論のときに御議論を賜ったのが、身体介護の中で1-6の例の見守り的援助のあり方ですね。そういった項目が今の例示ですと、かなり少ないというようなこともあって、そこをもうちょっと確定的な例示を広げていくべきではないかと、そういったこともありました。そういった積み重ねの中でも見ていかなければいけないかなとは思っています。

 ただ、御指摘のあったようなことを全面的にこれをどう見直すかというのは、ケア論全体で、訪問介護の中のケアをもう一回どう再構築するかみたいな議論につながるので、そこはちょっと慎重に検討をさせていただきたいと思います。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 特に訪問介護における介護の質といったものを議論していく上で、基本的な情報があるということが見えるということですね。介護の質を上げていったときに、こういう項目を調べればいい介護に結びつくような情報になっているかというのが、第2点目の議論になってくるのだと思います。

 今後、そういうようなデータをとっていく中で、こういう頻度のものが多いけれども、身体介護のところの生活支援分けられないところで、どんなようなことが必要になってくるようなことが多いかというのは、現場の方はかなり議論があるのではないかと思うのですが、それがデータをとったときに生かされてくるかというようなことになると思いますけれども、いかがでしょうか。

 よろしいですか。何かありますか。

 先ほど、打合せの中でちょっと言ったのですが、在宅のケアで、セルフケア、自分のケアではなくて、家の中が非常に不潔な場合に、疥癬とかダニの問題があるわけですけれども、それが身体介護の中でどういうふうに扱われたり、それは生活支援の中の清掃、掃除の中で、どのような形になっているかというのは、深刻な頻度の高い問題がこの中でどういうふうに生きてくるかというようなことが、より質の高いケアというものを、この中からとれたものでいけるかどうかということを検証していかなければいけない。これは単に、今、疥癬の話だけしましたけれども、そのほかにもたくさんあるのではないかと思うわけですね。

 よろしいでしょうか。

 これはこういう形で利用できるということですね。わかりました。

 先に進ませていただきます。ベンダーヒアリングのこの結果について、少し説明していただけますか。

○村松地域情報分析支援専門官 事務局でございます。

 資料1に一旦戻らせていただきまして、1ページ目の「3.項目を選定する基準について」で、データの利用可能性を十分に考慮する観点から、ベンダーにヒアリングを行うということで、事務局のほうで聞き取った内容を、参考資料として今日はお付けをしております。

 おめくりいただきまして、2ページ目をご覧いただきますと、栄養の利光先生から御提出いただきました、状態に関するものということで、まず、列のほうを見ていただきますと、記録が既に記録されているかどうか。今は記録できないが、今後、追加可能か、それとも、今後も追加は不可能かということで、「1 記録の可否」というところで、ベンダーの方々にお答えをいただいております。

 例えば、一番上の「身長」でございますと、ヒアリング対象となった全てのベンダーさんが既に記録が可能であるという御回答でありました。

 次に、「2 記録形式」を見ていただきますと、どのような状態で入っているかということで、先ほど座長がおっしゃいました、ちゃんとコードになっていて、プルダウンで選べるとか、数値を入力するのか、それともフリーテキストか、画像を取り込んでいるのかというところで、御回答をいただいておりまして、「身長」ですと、全てのベンダーさんが、身長の数値を直接入力するという形式で記録をしているということでございました。

 3のところは、実際にどれほど記録をされているかというところを伺っておりまして、「身長」ですと、半分以上のベンダーさんが、おおむね1050%ぐらいが入力をされているというところで、100%はないというような御回答であったというところでございます。

 今回は、第2回、第3回で、利光構成員、近藤構成員から御提出いただきました「栄養」と「リハビリテーション」について、施設や居宅サービスの別なく、全体として伺っているというところでございます。

 簡単ではございますが、資料の説明は以上でございます。

○鳥羽座長 ありがとうございます。

 「現在は記録は不可だが、追加可能」がほとんどですけれども、実際の記録情報については、まだ非常に低いということで、今後、どういう項目を選択してやっていくかについては、相当工夫が必要であろうということはここでわかると思いますが、この状況は一応参考にしていただいて、本日は山野参考人から参考資料をいただいておりますので、これについて簡単に御説明いただけますでしょうか。

○折茂オブザーバー(山野代理) お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 我々老健施設では、利用者さんの在宅支援・在宅復帰しやすいケアマネジメントシステムとしてR4システムというものをつくったわけです。その中で利用者さんがよくなっているか、悪くなっているか、維持なのかという、いわゆる「ものさし」ですね。それが1ページからですけれども、ものさしとして、ICFの考え方をもとにしてICFステージングというものを全老健で独自に開発させていただきました。

 全部で14項目で評価します。左から、基本動作、歩行、食事は2項目。排泄、入浴、整容が3項目。きょうしっかりお伝えしたいのが社会参加の余暇と交流の部分です。あと、認知面の3項目。これをICFコードをもとにして統計学的に、難易度順に下位から上位に並べて、各項目を5段階で評価します。

 例えば、3ページですけれども、「基本動作」のスケールでは、寝たきりで寝返りも打てない方がレベル1、寝返りは打てるという方がレベル2、端座位がとれるという方がレベル3。どういう方法で移乗したかという補足説明が必要ですけれども、移乗ができるのがレベル4で、一定時間の3分程度の立位保持が可能というのがレベル5。こういう非常に簡単な5段階評価で、主にADLと、認知面と社会参加のスケールがあります。あと、IADLも多少入っておりまして、それぞれを1~5段階評価で、満点が70点です。

 例えば、79歳で、主な病歴が脳梗塞、パーキンソンというような方が、これはレーダーチャートと称しておりますけれども、今の14項目を5段階評価でチャートに散りばめておりまして、左が最初の利用開始時にみんなで評価させていただいた状態です。特徴的なのは、電子化している場合は、14項目判定しますと、それに応じたイラストがさっと出るという、非常に見てわかりやすいものです。認知症短期集中リハや生活リハも含めて、老健施設を利用されて、3カ月後の再評価では、各項目が1段階、2段階上がったとなれば理想的だということです。

 ただ、このような変化は、要介護度で見たりすると、要介護度なんていうのはなかなか変化がありません。この方法だと変化が捉えやすいので、うまくケアサービスができますと、左から右のように、チャートの面積が広くなる。点数が上がると、機能が上がるというような評価方法でございます。

 次は66歳女性。この方も認知症、糖尿病という方ですけれども、この方は一度入所されていたときの評価が一番左にありまして、いったん在宅に帰られて、入院をきっかけにいろいろな機能が落ちた。再入所時がこの赤のレーダーチャートで、面積が一番狭い。その後、老健施設で多職種でアプローチして、まだ在宅復帰には至りませんけれども、3カ月後には緑のように機能回復が見られたというような例です。非常にわかりやすい、御家族にも御理解いただきやすい指標です。どういう障害のある方に、多職種でそれぞれの専門職がどういうふうに関わったかという、介入パッケージ的なものも目指しているところです。

 本日ちょっと強調したいところが、「社会参加:余暇」と「社会参加:社会交流のスケールです。鳥羽先生が先ほど説明された、認知症の簡素化された項目案のうち、「交流・活動」の評価方法が空欄になっていましたが、ここに入れていただけたらな、と思うところです。施設であっても、在宅の方であっても使える物です。例えば、「余暇」「生活交流」のそれぞれレベル1を見ていただくと、寝たきり、悪い言い方をすれば寝かせきりというような状態にあったとします。それを、特に余暇は、スタッフの努力で上げることができる。ただ点数を上げるという意味だけでなく、よほど状態が悪い方でなければ、車椅子とかに乗っていただいて、レクリエーションやOT活動に参加していただく。眺めているだけでも良い。これを週数回行うと、寝たきり、寝かせきりだった方がレベル3に上がる。そういう活動がその方へよい刺激を与えて、在宅復帰につながるということになります。

 また、在宅でいいますと、趣味活動や自分で行きたいところに行くということになってきますと、レベルが4・5に上がってくる。社会交流もコミュニケーションが主ですけれども、スタッフの努力や、在宅でしたら御近所・地域の方の御協力で、そういうマネジメント、働きかけをして、レベルを3・4に上げていくことができる。こういう5段階評価で判定する14項目のスケールなんですけれども、本日は、特に社会参加の項目をご紹介したいと思って資料を用意しました。

 次に8ページですけれども、全老健でいろいろな利用者の経過を追わせていただいた研究事業のデータですが、ADL的なことは退所されてから1年の間にだんだん落ちていくという傾向はあるのですけれども、社会参加のこの2項目は、デイケアなども使いながらなのですけれども、在宅復帰後も保たれるという、そういうデータが出ております。こういう参加の尺度の1つがあるという点に皆さん方が関心を持っていただければ、ありがたいと思います。

 最後、まとめですが、ICFステージングの有用性は、数字を上げることだけが目的ではなくて、結果として、それがその方のQOLを上げていることになりますので、ケアの質の向上につながって、その変化を14項目、1~5という比較的簡単な判断基準で経過を追っていける。

 それと、もちろん医療ではこれだけの指標で評価するなんていうのは到底御異議のあるところだとは思いますけれども、少なくともその方のADLと若干のIADLについて、退院するときが何点ぐらいで、それが介護の現場に来られてどのぐらい維持とか改善された、また、在宅に帰られて、どのように変化したか、という比較ができるので、共通の言語になり得るのではないかなというような、我々勝手な期待を持っております。何度も言いますが、1~5という簡単な5段階評価。それぞれに応じたイラストも出てくるので、外国でも使える。在宅の御家族でも、見てわかりやすい。最後に、これは全老健の知的財産として一応裏付けの論文があって、一応エビデンスもしっかりしていると思われますので、ちょっと紹介をさせていただきました。

 どうもありがとうございました。

○鳥羽座長 ありがとうございました。

 一つの場面ですけれども、このような簡略化のベンダーの最終のモデルとして出していただきましたが、御意見を。

 どうぞ、近藤先生。

○近藤構成員 おっしゃられたのかどうか、聞いてなかったのですけれども、基本的に、このグレーディングはラッシュ分析を使ってスケーリングしたはずです。

○折茂オブザーバー(山野代理) そうです。

○近藤構成員 なので、我々から見ても、結構ナチュラルに並んでいるなという感じがするのですが、ただ、ラッシュ分析というのは、基本的には、サンプルの性質にすごく依存するので、老健の中で使ってはうまくいくかもしれないのですけれども、これを、また、別なシチュエーションで使おうとすると、もう一回データをとり直さないと並びが怪しくなってきますので、そこだけはちょっと御注意いただければありがたいなと思います。

○折茂オブザーバー(山野代理) ありがとうございます。

○鳥羽座長 介護の現場が、介護予防から非常に重いところまで幅広く議論していますので、ですから、一つのものに絞らなかった理由はそこにもあるのですが、一つのサンプルとして、こういう場面ではこういうのがうまくいった。では、全体をカバーするときに、こういう場面ごとに別々につくっていくのか、ある一定のものをつくって、切り分けて、このいいものを分けて使えるようなものができるかという議論だと思うのですが、ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○宮田教授 宮田でございます。

 私は、老施協のほうも理事をさせていただいているのですが、今、御紹介していただいた老健ではICFステージングをやっているとともに、老施協、特養はもう少し重い患者さんが対象になるので、どうしても身体的自立が難しい中で、その人それぞれの生き方にどういうふうに寄り添えるかということですね。ICFを、また、別の形で使いながらサポートを考えていこうというのを現場ベースでやっています。

 今、座長がおっしゃっていただいたように、基本的なコンセプトを共通しつつも、先ほど近藤構成員からもありましたが、場面ごとによってモデルは異なってくるので、そういった体系的なデータ収集を、コンセプトをそろえつつやりながら、現場でどう使っていくかということが考えていくことができれば、すごくいいのではないかなと。

 ただ、老健さんのつくられた、数カ月で身体的自立を軸にしながら支援していくというケースにおいては、かなりの部分フィットするというところもあるので、場面を設定すれば、私は非常に有用かなと考えております。

○鳥羽座長 ありがとうございます。

 前回までの議論で、エンド・オブ・ライフのところも見ていかなければいけないということで、むしろ、老施協のほうはその辺のところを、また、データとか、有用なICFステージングの中のエンド・オブ・ライフのところがそろそろそろっているということでしょうか。

○宮田教授 着手を同じくICFを軸にしながら、いわゆる身体的自立ではなくて、看取りも含めたエンド・オブ・ライフ。その人らしくいかにあるかというような方向です。かなり難しい。一人一人の価値観もある部分なのですが、そこをできる限り客観的な手法で、現場の目線で、きょうも現場目線というようなお話があったのですけれども、日本が大事にしてきた、そういった介護のあり方を踏まえた上で、いかに定量化できるかというところを始めております。

○鳥羽座長 ありがとうございます。

 大変場面も違うし、職種の団体の方も違う方が集まっていただいているから、こういう議論ができると思うのですけれども、今後のとりまとめには、逆に、相当なインターフェースも必要になってくる。そこでデータが集まったときに、人ではなくて、理論を入れたAIのようなものも入ってくる余地もあるような気がします。

 どうぞ。

○宮田教授 おっしゃっていただいたとおりですね。

 まさに、これまでの介護認定のあり方、あれは一つ非常に時代の意義はあったと思います。一方で、こういった形で客観的に何ができるかという評価を入れながら、先生方も提案されていたADLも含めて、アウトカムもまじえながら見ていく中で、これ以外には、IoTのセンサーで、いわゆる一人一人に対して質問をしたりとか状態をとるのは、結構コストをかけながらやることが、かなり簡略して表現できる部分が少なからず多くのベンダーと今ディスカッションをしているのですけれども、出始めているので、こういったIoTを使ったセンサーも重要な活用の期待ができる部分ではないかなと思います。

○鳥羽座長 ありがとうございます。

 総括的なディスカッションの時間が少し残されております。きょう御発言のない構成員の方も含めて、何かございませんか。

○海老原構成員 東邦大学の海老原でございます。

 きょうの議論の中で満足度ですけれども、入所者の満足度、介護される人と、あと、家族の満足度というものがあって、あと、もう一つ満足度を測らなければいけないのは、そこで働いている職員の満足度があると思うので、そういうものを測っているような指標が欧米にでもあったら、それも知りたいなと思いましたし、そういった医療スタッフというか、疲弊するところはそこですので、そういったところの満足度もやはり評価すべきことなのではないかと思います。

○宮田教授 まさにおっしゃっていただいたとおり、特に人と接触する対人サービスの分野は、働いている側の満足度と利用者の満足度はかなり相関するという結果がさまざまなサービス分野で出ています。私の連携している研究も、日本で小規模ながらデータをとって、介護でも同じ傾向が見られたということは確認できているので、そういう意味では、今回のように体系的にやるかどうかは別にしながら、現場の働いている方々が報われるような、あるいはそういったことをサポートできるような形でのデータ収集に対して、一定のコストあるいはルーチンでなくてもいいのですけれども、定期的にやっていくという視点は非常に重要な側面かなと思います。

○海老原構成員 ありがとうございます。

 あと、もう一つ大事なのは、コミュニティ全体の満足度ということもこの地域包括ケアシステムを進める上で必要なのと、あと、介護保険で行われる公的サービスなわけなので、納税者の満足度みたいなものも、介護保険料をある年になってから毎年払っている人たちの満足度にも還元されるようなものでないとよくないのかなと考えています。

○鳥羽座長 どうぞ。

○折茂オブザーバー(山野代理) 今、離職と求人難の問題で、2年ほど前に、全老健としましても、スタッフと施設に対して、介護労働とかで言うと、辞めた理由というのを聞かれるのですけれども、逆に、頑張れている理由を聞いたことがあります。トップには金銭は来ませんで、やはりやりがいとか、上司が自分のやっていることを認めてくれているとかというような項目が上位になりました。ただし、有為という、なかなかそういう分析が上手にできなかったのですけれども、とにかくお金ではないということ。それは介護労働の辞めた方の調査でも、辞めた理由は人間関係であるとかそういうところが上位に来ているのです。そういう結果が1つ。一朝一夕に職場の風土は変えられないというのがまず結論です。

 ちょっと話が逸れますが、ストレスチェックが制度化されまして、うちの社会福祉法人グループ全体のストレスと、うちの老健施設のストレスを比べたら、うちの老健施設の人たちは、法人全体の半分以下でした。そういうデータが1つあります。

 あと、地域の第2層生活支援をいただきまして、我が地区におきましては、6,000世帯に生活の困り事を調査させてもらって、この間、その結果を発表させてもらったのですけれども、回収率は10%弱でしたけれども、足、交通とか、認知症になったらとか、介護とか医療以外の買い物をどうしようかとか、そういう全てのお困り事を個別にお書きいただいてという、そういう調査もうちのほうではさせてもらっています。自分らにできることを、行政にお願いに行くとかというような取組を今始めたところであります。

○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。

 鈴木先生、どうぞ。

○鈴木(邦)オブザーバー 私は2回目ときょうと2回しか出てないのですけれども、2回目のときは、既存の取組の中でとれるデータをという話だったと思いますが、きょうの話を聞いていると、何か別途とらなければならないデータがどんどんふえているような気もします。実際にはどのようにして収集するのか、現場の職員の負担をこれ以上ふやすことはあり得ない話だと思うのですけれども、どのように考えているのですか。どんどん話だけが盛り上がっている感じがして、現場をこれ以上疲弊させるなと言いながら、もっと疲弊させるような、書類は減らすと言いながら、もっとふやすような、そういう話が進んでいる気がするのですけれども、それについてはどのようにお考えなのかお聞かせいただけますか。

○鳥羽座長 どうぞ。

○井口課長補佐 事務局でございます。

 資料1で申し上げましたとおり、「中間とりまとめ」の方針としましては、主に短期的な課題である初期仕様に盛り込むことが予定できる項目についてとりまとめると。その内容についてですけれども、原則として、現在、電子化されているデータの取得可能性が十分にあるものを優先させていくということで考えてございます。

 今まで、御議論の中で、例えばどうしても研究の重要性から考えて、これは仮に現場にある程度負担が生じたとしてもとるべきであるというようなものがもしあればというお話にはなって、そこの可能性は残ってはございますけれども、基本的には、データの取得可能性が十分あるものということでとりまとめさせていただきたいと思っております。

○鳥羽座長 私の理解といたしましては、鈴木先生の言った御懸念はすごくわかるものでありますので、介護の科学化で、項目が今までよりも、現在データがとれてないのに30倍もふえて、そうしたら何のための検討会となるわけですが、現在とっているデータでも、本当にそれが必要なデータで、細か過ぎるかどうかというのは、当然、並行して今後検討されていくべきで。

 ただ、山野先生が言われたように、介護者もプロフェッショナルというか、だんだん介護の熟練を得て上質のものをというような形を今後目指していくべきだろうと思いますし、その中で、習熟度に応じてここまでとってアセスメントをして、ケアをしていくというような自己発展みたいなものも見据えた中でのこの科学的介護であるとは思っています。

 ですから、いきなり項目をふやすのは最も嫌うところでありますので、最も簡略な最小限の項目にしなければいけないことは皆さん同意をいただいております。その中で、ただ、プルダウン方式などで今までの紙ベースでこんなになっているものが統一的に同じ項目を調べなくても済んで、ただ、必要最小限の介護の質に資するものは、どういうものを入れていったらいいかということを継続的に検討して、それをすぐに制度にするというのではなくて、しばらくこれを調べて、どういうものが生きているかということを調査していく段階ですよね。今後のこれらの項目選定を、栄養と認知症、リハビリなどをやっていただきましたが、どうなのでしたか。

○井口課長補佐 今はまさに短期的な課題と、それから、中長期的な課題について、並行して御議論をいただいているものと、事務局では認識しております。

○鳥羽座長 鈴木先生、いかがでしょうか。

○鈴木(邦)オブザーバー ぜひ、現場の負担をこれ以上ふやさないで、質を高める方法を探っていただきたいと思います。もう今回の介護報酬改定の議論は終わってしまいましたので、今から加算で載せるわけにもいかないでしょうし、よろしくお願いします。

○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○三上構成員 冒頭でも、現場にどう還元するのかという話をして、きょう、私、資料でちょっと間に合わなかったのですけれども、例えば、5枚のアセスメント用紙をどう現場に使わせていいかという形で、頑張って、アプリケーションといいますか、その様式を支援するようなものをつくってみて、きょう持って来ようと思ったのですけれども、間に合わなかったので、そういったものをこの場に出して、皆さんが見て意見をもらう場なのかどうかもちょっと判断がつかなかったところもあったのですけれども、最初から議論がされていた、どう現場に還元されるべきか、どういうふうなデータを結果的にどう出力したりインプットしたときに、現場がこれだったら入力しやすいし、これが結果的に何かデータ提出に役立てばいいかなという一つのイメージ的なものという形でつくってみた、作業療法士の一つの手法を少しワードとかエクセルファイル一つに統合させてみたときに、どういったふうな現場が扱いやすいかというものをつくってはみたのですけれども、もし、同意が得られれば、この会議で現場に落としたときのイメージという形でも提案したいなと思っておりました。

○鳥羽座長 今のは、もしよろしければ、後で、また、メールで見ていただくというような形をとりたいと思います。

 どうぞ。

○宮田教授 ちょっと関連しているので。今まさにおっしゃって、現場の還元ということも前回お話しいただいたと思うのですけれども、データのためのデータ収集は現場が疲弊して、まさに鈴木オブザーバーがおっしゃるとおりなので、いかに働きがい、やりがいに還元できるようにフィードバックするかというところを想定しながらつくっていけば、現場としても、これがいわゆる日常業務をサポートする、エンパワーメントするものだという考え方に変わっていくので、ぜひ、そのあたりのフィードバックの仕方も含めて検討をいただければと。

 先ほどお話ししていただいたように、老健ではICFを使って、老施協もICFでどのように伴走していくかということも考えているので、それで、単に看取っていくのだけではなくて、自分のやったことが意義があるのだということを、現場をサポートするツールとして、うまくこのデータ収集事業が理解していただけるとすごくいいかなと思います。

○鳥羽座長 簡便な評価でも科学的に裏打ちされて、介護の現場でまだポピュラーでないものがあれば、その評価すること自体が、あ、こんなことをやればこんなことがわかって、こういうケアプランに生かせるのだということは、恐らくこの皆様の有識者の中でつくられたもののエッセンスを絞っていけば、相当今までの負担をふやさずに、こんなことが有用なのだ、アップデートなもの。そういうものをとりあえず評価でも出していけば、少しでもよくなるのではないかというのが私の最終的な今までの結論なのですけれども、ほかに。

 どうぞ。

○葛西参与 ちょっと懸念だけ1点。何となくきょうの話でまとまりつつあるなという感覚がするので、もう一度整理だけさせてもらうのですけれども、1つが老健と老施協、それですらICFの使い方は多分違うという。いわゆる利用者のセグメントというか、どういう組織において有用に使われるかという有用性は多分違いますから。それと、とれている因果関係で言うと、因果の結果のとり方も違うので、分野別にあったほうが多分いいのではないかというのが1つ私の御提案です。

 ただ、もう一点懸念だけ言うのは、今こうやって並べてみると、2-1の資料と介入の資料ですね。2-4の資料が介入関係のデータですが、今のICFのステージングは、これは因果関係の結果のほうです。結果のほうと介入が「因」であるわけですね、原因で、その介入によって、例えばICFのステージングが上がったという因果関係が、今の原因の介入のほうの情報だと、ちょっと粒度が粗くて、因果関係が成り立たないような気がしています。結果のほうは、各分野別にとり方が違うというのはそう思いますし、当然、私は冒頭からずっと一貫して、現場の負担は少なく、でき得れば入力装置すらつくりたくないと言い続けていますので、その前提で言うと、現状の状態で結果としてとれるものは、現状のものとして結果をとればいいのだと思うのですね。

 問題は、介入のほうの情報をとろうとすると、へたに標準化を、これも一貫して言っていてずれている部分もあるかもしれないですけれども、極端に標準化を進めると粒度が粗くなってしまうに決まっているのですね。粗くなったせいで因果関係が証明できないと意味がないような気がします。

 つまり、介入に関しては、別に極端に標準化を進める必要はなくて、今の状態で、今使われている言葉のまんまの介入で成功しているものがあるのだったら、それを標準に持っていくという方法がいいのではないかなと。いわゆる制度に組み込む必要はないと言いたいのですね。極端に制度に組み込むということは、もう、それは絶対とってなければいけないになってしまうので、それはやめたほうがいいのではないでしょうか。制度に組み込むせいで項目が粗くなってしまうと、僕は実が得られないような気がするということです。かといって、うまくいっている例は皆さんで共有したほうがいいですから、その項目をとるとうまくいきましたという共有の仕組みがあることは重要だと思っているのですね。

 という点でちょっと分けて、ビジネスモデル、事業モデルを考える必要があるかなという、ちょっと整理的な、私としてはそういうふうに思います。

○鳥羽座長 ありがとうございます。

 介入でも、一般的なもの以外の例えば認知症では、きょう、武田構成員が出したようないろいろな何とかケアとか家元制度がいっぱいあるのですね。各々自分のところが一番だと言っているわけですけれども、それを幾つかピックアップして選んで出すということは、国のほうではとてもできないので、こういうことがあって、こういう共通があるという紹介はできるけれども、介入をいちいちプルダウンで何とかにはできないと。全く私もそのように思います。

 ほかにどうでしょうか。

 どうぞ。

○福井構成員 オブザーバーで老健と特養の方が御出席くださっていて、老健は中間施設、特養は終の棲家ということで、宮田先生も含めて、瀬戸オブザーバーも含めて、エンド・オブ・ライフとか看取りについては、共通コンセプトの上に場面ごとにという話があったのですけれども、在宅の場合は、そこを担っている部分が主に訪問看護になると思うので、少しそこも仲間に入れていただきたいなと思いまして。

 ごめんなさい。ちょっと表現が適切でなかったかもしれませんが、施設は、系統的にしっかりされた現場のデータ収集の仕組みをつくられてきていると思っている一方で、在宅系は頑張っているとは思うのですけれども、そういう系統的な取組がなかなか進んでない部分もあるのかもしれないという中で、訪問看護も老健事業などでは少しずつ知見を積み重ねてきておりますので、看取りというところは、施設も在宅もこれからより重要になると思うので、一緒に議論させていただけるような場を継続していただきたいなと思いましたので、発言させていただきました。

○鳥羽座長 当然のことで、全然場面を限定しているわけではないので。ただ、確かに、在宅系は、これからもうちょっとエビデンスの蓄積が必要だと思いますので、頑張っていかなければいけないと思います。

 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、今後の日程確認を事務局からお願いいたします。

○井口課長補佐 次回の日程につきましては、追って、事務局より皆様に御連絡をさせていただきます。

○鳥羽座長 それでは、本年度最後の委員会ですので、老健局長よりお言葉を頂戴いたしたいと思います。

○濱谷老健局長 1012日から年内4回にわたり熱心に御議論をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうもお話を聞きながら、なかなか難しいなと思っているわけでございますけれども、少しずつデータベースの項目のイメージが固まりつつあるのではないかと思います。体系的にデータベースを介護関係でつくりますのは初めての試みでありますので、そういう意味では最初から完璧なものができるとは全く思っておりません。そういう意味ではトライ・アンド・エラーで動かしながら考えていくことが重要かと思います。

 そういう意味では、私のスケジュールといたしましては、年度内に項目を固めていただきまして、来年度からはとにかくデータ収集を始めたいと考えております。余り時間はないわけでございますけれども、年明け以降も、引き続き御議論よろしくお願いいたします。

○鳥羽座長 年明け以降は、事務局がとりまとめに当たりまして、各々の構成員の先生に個別にお聞きしたり、補強材料・資料などを、また、お願いすることもあると思いますので、よろしくお願いいたします。

○井口課長補佐 ぜひ、よろしくお願いいたします。

○鳥羽座長 それでは、ちょうど時間になりました。どうもありがとうございました。 


(了)

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