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2018年9月7日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会議事録

○日時

平成30年9月7日(金)
10:00~12:00

 

○場所

航空会館2階201会議室

○出席者

委員

大前委員(部会長)、明石委員、浅見委員、畝山委員、小川委員、阪口委員、工藤委員、堀端委員
 

事務局

吉田食品基準審査課長、黒羽室長、原補佐、新井専門官、中嶋係員

○議題

清涼飲料水の規格基準の改正について

○議事


○事務局 ただいまから、「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙のところ本部会に御出席を頂き誠にありがとうございます。審議に入る前までの間、事務局にて議事を進行させていただきます。初めに委員の出席状況についてです。本日は、阿部委員、苅田委員、下村委員、二村委員、渡辺委員から御欠席の御連絡がありましたが、部会委員13名中8名の委員に御出席いただいておりますので、当部会は成立しておりますことを御報告申し上げます。
 次に、平成30年8月に部会委員の改選があり、改選後初めての食品衛生分科会食品規格部会への出席ですので、新たに委員になられた先生を御紹介いたします。国立医薬品食品衛生研究所衛生微生物部長の工藤委員です。先生、御挨拶をお願いいたします。
○工藤委員 工藤でございます。これまでに食品を汚染する微生物、特に食中毒細菌に関連する研究に携わってまいりました。これからどうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。続いて、事務局にも異動がありましたので、御紹介いたします。食品基準審査課長の吉田です。
○吉田課長 7月31日付けで着任いたしました吉田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 最後になりますが、食品基準審査課の原と申します。よろしくお願いいたします。それでは、これから議事に入りますので、カメラ撮影はここまでとさせていただきます。以後の進行は、大前部会長にお願いしたいと思います。大前部会長、よろしくお願いします。
○大前部会長 それでは、本日の審議もよろしくお願いします。最初に、事務局から配布資料の確認をお願いします。
○事務局 お手元の資料の確認をさせていただきます。薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会議事次第をめくっていただきますと、配布資料内容の一覧があります。次に座席表、続いて食品規格部会の名簿となっております。またおめくりいただき、資料1-1清涼飲料水の規格基準の改正についてです。検討事項が大きく2つあり、1つ目がミネラルウォーター類における成分規格の設定についてです。裏面には別紙がありまして、水銀及びクロロ酢酸類の成分規格表を掲載しております。資料1-2ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行わないものの表です。資料1-3、こちらは殺菌又は除菌を行うものの表です。資料1-4ミネラルウォーター類中の水銀及びクロロ酢酸類の含有濃度実態調査です。資料1-5、こちらが検討事項の2つ目、清涼飲料水のヒ素試験法についてです。資料2は、昨年の部会審議を受けての報告事項となっております。続いて、ファイルにとじておりますのが、清涼飲料水の参考資料となっております。資料の不足等がありましたら、事務局までお知らください。
○大前部会長 よろしゅうございますか。それでは審議に入る前に、本日の部会の審議事項に関する利益相反の確認結果について、事務局から報告をお願いします。
○事務局 本日の部会において利益相反確認対象はありませんので、退室の必要な委員又は議決に参加できない委員がいないことを確認しております。
○大前部会長 ありがとうございました。今日の審議事項、清涼飲料水の規格基準の改正について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局より、清涼飲料水の規格基準の改正について説明させていただきます。お手元の資料1-1を御覧ください。初めに、ミネラルウォーター類における成分規格の設定についてです。まず経緯です。清涼飲料水は、昭和34年に「食品、添加物等の規格基準」 、以下「告示」と呼ばせていただきますが、この告示の第1食品の部D各条において規定され、必要に応じて改正が行われてきました。
 平成14年、コーデックス委員会におけるナチュラルミネラルウォーター等の規格の設定及び日本の水道法の水質基準改正の動きを受け、当部会において清涼飲料水の規格基準の改正について審議し、平成15年の内閣府食品安全委員会の発足ともに、同委員会へ化学物質48項目について食品健康影響評価を依頼しています。
 その後、平成21年より食品健康影響評価の結果が得られた物質について当部会において審議し、平成26年12月及び平成30年7月に、それまで審議された物質について成分規格の改正を行ったところです。このとき食品健康影響評価が未答申であることから、当部会で審議しなかった物質については、食品安全委員からの答申状況を踏まえ、規格基準の改正を行うこととしています。
 今般、新たに食品安全委員会から答申がありました物質に係る清涼飲料水の規格基準の改正について、厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会長宛てに平成30年9月5日付けで諮問されております。
 2.審議事項です。食品安全委員会での評価が終了した裏面の別紙の4物質について、「ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行わないもの」及び「ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行うもの」について、平成22年12月14日開催の部会で決定しております「ミネラルウォーター類における化学物質等の成分規格の設定等について」も考慮しつつ、別紙のとおり設定するという内容です。なお、「ミネラルウォーター類における化学物質等の成分規格の設定等について」は、ファイルの参考資料1-2として配布させていただいております。
 ファイルの9ページを御覧ください。こちらが「ミネラルウォーター類における化学物質等の成分規格の設定等について」ということで、基本方針を定めたものです。Ⅱのミネラルウォーター類のうち殺菌・除菌有の成分規格の設定方針としましては、水道法やWHOの飲料水ガイドラインの基準値を原則として設定することとしていますが、(1)健康関連項目のマル1の最後の部分にありますが、健康関連項目については、水質基準とされている項目について、成分規格の項目として選定することとしています。
 10ページ、(2)性状関連項目とありますが、性状関連項目については、水質基準及び水質管理目標において、水の性状の観点からの評価値に基づき基準値等が設定されている項目とありますので、こちらについては原則として成分規格の項目として選定しないと定めています。
 11ページの真ん中のⅢです。先ほどまではミネラルウォーター類のうち「殺菌・除菌有」のものについてですが、こちらについては「殺菌・除菌無」のものの基本方針となっております。原則として、コーデックスのナチュラルミネラルウォーター規格に準拠する形で基準値設定を行うこととしています。
 先ほどの資料1-1にお戻りください。今後の対応です。これらの規格基準の改正案は食品健康影響評価を踏まえていることから、当部会で了承された規格基準については、パブリックコメント等の所要の手続終了後に告示の改正を行いたいと考えています。
 裏面の別紙を御覧ください。先ほどの基本方針を踏まえまして、本日御審議いただきたい4物質です。ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行わないものの化学物質等の成分規格としましては、現在、水銀については、現行基準値0.0005 mg/Lとしているところ、改正案として検討の結果、変更なしとしております。
 下のミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行うものの化学物質等の成分規格についてです。水銀については、殺菌又は除菌を行わないものと同じとなっています。クロロ酢酸類については、現行基準値はありませんが、改正案として、クロロ酢酸が0.02 mg/L、ジクロロ酢酸が0.03 mg/L、トリクロロ酢酸も同じく0.03 mg/Lとしています。
 資料1-2の説明をさせていただきます。ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行わないものの成分規格の検討項目となります。水銀については、食品安全委員会の評価結果としまして、非発がん性については、ラットの6か月間の強制経口投与試験における腎重量の増加に基づき、LOAELからTDIとして0.7 μg/kg体重/日ということでして、これは不確実係数300で計算されております。発がん性については、ヒトでは十分な証拠は得られておりませんが、塩化水銀(Ⅱ)の強制経口投与によって、ラットの前胃と甲状腺に弱い発がん性を示したとする限定的な証拠があることから、発がん性の可能性も含めた評価を行っており、ラットを用いた2年間の慢性毒性発がん性試験における雄での前胃扁平上皮乳頭腫及び甲状腺癌に基づくNOAELから、TDIを1.9 μg/kg体重/日としております。不確実係数は1,000で計算しております。
 表面に戻っていただき、水道法の水質基準等の評価結果です。水道法では、平成4年に水銀の水質基準について検出されないことと設定されており、当時の検出限界値である0.0005 mg/Lが評価値とされております。平成24年に答申された食品健康影響評価を用いて再度検討を行いましたが、現行の0.0005 mg/Lとなっております。隣に移り、コーデックスのナチュラルミネラルウォーター規格です。これについては、水銀が0.001 mg/Lとされております。また、現行基準ですが、0.0005 mg/Lといたしまして、基準値案として水質基準値の100%である濃度0.0005 mg/Lの水を体重50 kgの人が1日当たり2 L摂取した場合、1日当たり体重1 kg当たりの摂取量は0.02 μg/kg体重/日となることから、0.0005 mg/Lと現行の基準値と変わりない案を提案しております。
 資料1-3に移っていただき、こちらはミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行うものの成分規格表になっております。水銀については、殺菌又は除菌を行わないものと概ね同じとなっております。違う点といたしましては、表の右から2番目のWHOの飲料水水質ガイドライン第4版ですが、こちらは無機水銀として0.006 mg/Lとしております。
 裏面にいっていただき、クロロ酢酸です。非発がん性といたしまして、ラットの104週間の飲水投与試験における体重増加率の減少、肝臓の絶対及び相対重量の減少、腎臓の絶対重量減少及び精巣の相対重量減少が見られた試験データより、NOAELからTDIを3.5 μg/kg体重/日としており、不確実係数1,000で計算しております。また、隣の水道水に関してですが、平成15年の改正時には、ラットの慢性毒性試験における絶対及び相対脾臓重量の増加から得られるTDI3.5 μg/kg体重/日より、評価値0.02 mg/Lとしておりました。その後、平成26年に答申された食品安全委員会の評価結果を受け、平成26年開催の厚生科学審議会生活環境水道部会で検討され、発がん性を示す所見は認められなかったため、非発がん毒性試験のTDIから評価値を0.02 mg/Lとしております。隣のWHO飲料水水質ガイドライン第4版ですが、モノクロロ酢酸については0.02 mg/Lとしております。また、基準値案としましては、現行基準値がないところ、0.02 mg/Lと提案させていただいております。
 次のページに移っていただき、ジクロロ酢酸です。食品安全委員会の評価結果としては、非発がん性といたしまして、イヌの90日間経口投与試験における肝臓の肝細胞空胞変性、精巣の変性等が見られた試験データに基づくLOAELから、TDI12.5 μg/kg体重/日としております。これは不確実係数1,000で計算されております。また、発がん性については、マウスの経口投与試験における肝細胞癌又は肝細胞腺腫の発生頻度に関する用量反応データに基づき、算出したベンチマークドーズの95 %信頼下限値は12.9 mg/kg体重/日となっており、不確実係数1,000からTDI12.9 μg/kg体重/日としております。
 隣に移っていただき、水道法の基準値となっています。平成15年の改正時には、マウスの慢性毒性試験における肝発がん性の用量依存性から、10-5発がんリスク相当のVSD1.43 μg/kg/日より、評価値を0.04 mg/Lとしておりました。その後、平成26年に答申された食品安全委員会の評価結果を受け、平成26年開催の厚生科学審議会生活環境水道部会において、発がん性のTDIから求められる評価値よりも、発がんリスク10-5に相当する摂取量から求められる評価値の方が小さいことから、発がんリスク10-5に相当する摂取量より、評価値を0.03 mg/Lとしております。
 WHO飲料水水質ガイドライン第4版では、ジクロロ酢酸において0.05 mg/Lとしております。
 隣に移っていただき、現行基準値はないところ、基準値案として0.03 mg/Lを提案させていただいております。
 次のページ、トリクロロ酢酸です。非発がん性といたしましては、マウスにおける104週間飲水投与試験で見られた肝変異細胞巣の発生頻度の上昇によるLOAELから、TDIを6 μg/kg体重/日としており、不確実係数を1,000で計算しております。また、発がん性といたしましては、マウスにおける104週間飲水投与試験で見られた肝臓の腫瘍発生頻度及び腫瘍発生個数の上昇に基づくNOAELから、不確実係数を1,000で計算しており、TDIを6 μg/kg体重/日としております。
 隣の項目、水道法の水質基準ですが、平成15年の改正時には、ラットの慢性毒性試験における体重の減少、絶対肝臓重量の減少、血清アラニンアミノ基転移酵素活性の増加、シアン化物非感受性パルミトイルCoA酸化酵素活性の増加、肝細胞壊死の重症化から得られるTDIから0.2 mg/Lとしました。その後、平成26年に答申された食品安全委員会の評価結果を受け、平成26年開催の厚生科学審議会生活環境水道部会にて、発がん性及び非発がん毒性のTDIから評価値を0.03 mg/Lとしております。
 隣に移っていただき、WHOの飲料水水質ガイドラインですが、トリクロロ酢酸において0.2 mg/Lとしております。これに対して基準値案として、現在は基準値がないところ、0.03 mg/Lと提案させていただいております。
 資料1-4、こちらはミネラルウォーター類中の水銀の含有濃度実態調査となっております。国内外の150銘柄を調査いたしましたところ、水銀については検出数が4となっております。現在、現行基準値が0.0005 mg/Lのところ、基準値超過が2となっております。これについては食品監視安全課に情報提供を行い、現在、調査を進めているところです。
 下の段は、クロロ酢酸類についての含有実態調査となっております。こちらについても150銘柄を調査したところ、新たな基準値案の値を超過したものはなしとなっております。事務局からの説明は以上です。
○大前部会長 ありがとうございました。事務局より資料1-1から資料1-4について、成分の規格見直しの説明を頂きました。水銀については現行基準そのまま、それからクロロ酢酸類については水道法に準じたらどうかというような提案だったと思いますが、皆様から御意見あるいは御質問がありましたらお願いいたします。
 殺菌を行わないものに対しては、原則コーデックスですけれども、コーデックスは0.001 mg/kgで、それよりも厳しい数字になっております。これは平成24年のときの制度の基準値をそのまま持ってきているのだろうと思います。もっと前の理由だと、検出限界が0.0005 mg/kgだったから0.0005 mg/kgにしたというのが一番最初の数字でして、以後検討されても、それは変わっていないのですが、まず水銀についていかがでしょうか。それから検出に関しては、基準値超過が2点、150銘柄を測定し、4検体で検出され、そのうち0.0005 mg/kgを超えているのが2検体という、そのようなお話でした。どうぞ。
○浅見委員 ありがとうございます。今回の御提案の値は、毒性評価から言いますと、若干余裕があるようなところかもしれないのですが、水銀については日本全体として厳しくやっていこうということもあります。超過の数としても、少ないものなのではないかなと思います。地質的にごくたまになのですが、出る箇所が何箇所かおありになるかもしれないのですけれども、よくモニタリングをして、制御をしていただければと思います。定量下限値からいっても、この値でしたら十分に検出できるものではないかなと思います。
○大前部会長 日本は結構水銀を含んでいる地質が多い、あるいは火山等々であるので、時々出るのだろうということですね。1つ質問なのですが、WHOのガイドラインには無機水銀と、あえて無機と書いてあるのは何か理由があるのですか。コーデックスは単に水銀と、無機も有機も合わせて水銀として測定ということだと思うのですが。後で結構です。今の質問はちょっと後にして、そのほか水銀についていかがですか。よろしゅうございますか。
 そうしましたら、クロロ酢酸類については水道法の水質基準に並べて、今回新しく基準を作るということですが、いかがでしょうか。これも原則のルールとしては、水道法に準じるということがありますので、そういう意味では原則ルールには従っていると思います。これも数字としては、ある程度マージンがちゃんとある数字だと思いますし、フルの濃度で2 L飲む人はなかなかいないと思います。これは水以外、水道水あるいはミネラルウォーター以外に、クロロ酢酸等々は摂取源はないですよね。工業的に、近くに何か工場があれば、ひょっとしたらあるかもしれませんけれども。はい、どうぞ。
○浅見委員 こちらの3項目については、消毒の副生成物ということで、塩素消毒によりできる部分がほとんどだと思われます。水道法においては、塩素消毒が義務付けられていますので、この項目の制御は結構大変なところで、水道水のアロケーションを若干多めに取って、この基準値になっているようなところです。
 しかも、この基準値も最近厳しくなったもので、温度が高いときや、ちょっと原水の具合が悪いときには、時々ぎりぎりになってしまって、活性炭を入れなければいけないとかいうことがこの夏も結構あって割と大変なのです。ミネラルウォーターにおいても、こちらのデータから見ていただけますように、たまに基準の候補の値よりはずっと低いのですけれども、検出されることもあって、測っていただくことが必要なのではないかなと思います。
 塩素消毒を行っていない所については、余り出ないかもしれないかなと思いますけれども、なかなかちょっとそのプロセスまで遡ってチェックすることも難しいですし、今までもクロロホルムですとか、塩素消毒の副生成物は同じような形で入れていただいていますので、それとの並びでもこのような形で入れていただけたほうがいいのかなと思っています。
○大前部会長 ありがとうございました。どうぞ。
○小川委員 いずれの物質も、食品安全委員会のほうで精査されていて、一部肝臓に対する発がん性とか少し気になるところがあったかもしれないのですが、機序についてもきちんと見てあって、遺伝毒性については、in vivoの遺伝毒性がないということが確認されていて、さらに十分なマージンが置かれている数字だと認識しています。
○大前部会長 ありがとうございました。不確実係数1,000を取っていますので、十分なレベルで食品安全委員会は評価しているということです。では、このクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸についての提案としてはこの提案でよろしいですか。はい、どうもありがとうございました。
○事務局 ありがとうございます。先ほど大前部会長から御質問のあったWHOの記載について確認が取れましたので、この場で御報告させていただきます。少し読み上げさせていただきます。飲料水中の水銀は、ほとんど全てHg2+の形態であると考えられる。このことから飲料水を摂取することによって、有機水銀化合物、特にアルキル水銀を摂取するという直接的なリスクが生じることはまず考えられない。このような記載があって、WHOの中では飲料水で見られる形態である無機水銀に適用するというような記載がありました。
○大前部会長 飲料水中はほとんど有機はないだろうということだそうです。実際の測定のときは、有機も無機もまとめて測ってしまうのですよね。分離して測るのはなかなか難しいと聞いていますので。ありがとうございました。それではこの件におきましての今後の予定について、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 今般の部会での審議を踏まえまして、今後審議される化学物質の審議結果を踏まえて、パブリックコメント等の規格基準改正に必要な手続に入らせていただきたいと考えています。
○大前部会長 そのような手続でこれからするということです。次の案件について、事務局から説明をよろしくお願いします。
○事務局 資料1-5、清涼飲料水のヒ素試験法について御説明いたします。まず経緯です。告示の第1食品の部D各条において規定されている清涼飲料水は、ミネラルウォーター類(「水のみを原料とする清涼飲料水」と定義)、冷凍果実飲料、原料用果汁、ミネラルウォーター類、冷凍果実飲料及び原料用果汁以外の清涼飲料水(以下「その他の清涼飲料水」という)の4つに分類されていて、それぞれ規格基準が定められています。
 このうちミネラルウォーター類以外の清涼飲料水においては、告示の第1食品の部にD各条の清涼飲料水について、ヒ素及び鉛を検出するものであってはならないとされています。ヒ素の試験法においては、ジエチルジチオカルバミン酸銀法が規定されていて、その中でヒ素標準液が使用されています。また、ジエチルジチオカルバミン酸銀法に用いる試薬・試液等については、告示の第2添加物の部C試薬・試液等の項に示すものを用いることとされています。
 他方で、平成29年11月30日付けで、告示の第2添加物の部の全面改正が行われたことに伴い、告示の第2添加物の部C試薬・試液等の項に示すヒ素標準液の定義が変更されていまして、改正後のヒ素標準液を用いた場合、ヒ素が検出されない値、すなわち検出限界値が変更されている状態です。そのため、ジエチルジチオカルバミン酸銀法で使用するヒ素標準液について、今般定義することについて、厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会長宛てに、平成30年9月5日付けで諮問されているところです。
 2番として、ジエチルジチオカルバミン酸銀法については、告示内において、下の四角の枠で囲った部分、抜粋になりますが、以下のように定義されています。内容を要約させていただきますと、試験溶液で用いるヒ素標準液の内容が、三酸化ヒ素から無機ヒ素へ変更になったことに伴い、不検出とする濃度は三酸化ヒ素として0.2 mg/kgであったところ、無機ヒ素としては0.1 mg/kgとなっていて、つまるところ三酸化ヒ素に換算すると、0.132 mg/kgとなっており、現行よりも厳しい値となっています。
 それを踏まえまして、審議事項として、ヒ素試験法のB試薬・試液の欄に、従来から規定されているヒ素標準液及びヒ素標準原液の調整法を明示的に追加するといった内容となっています。告示への追加記載案としては、下記に示すとおり、ヒ素標準液としてヒ素標準原液10 mLを正確に量り、硫酸10 mLを加え、新たに煮沸し冷却した水を加えて、正確に1,000 mLとする。本液1 mLは三酸化ヒ素1 μgを含む。用時調整し共栓瓶に保存するとしています。
 また、ヒ素標準原液については、三酸化ヒ素を微細な粉末とし、105 ℃で4時間乾燥し、その0.10 gを正確に量り、水酸化ナトリウム溶液5 mLを加えて溶かす。この液を硫酸で中和し、更に硫酸10 mLを追加し、新たに煮沸し冷却した水を加えて正確に1,000 mLとする。本液1 mLは三酸化ヒ素0.1 mgを含むとしています。事務局からの説明は以上となります。
○大前部会長 ありがとうございました。資料1-5に基づいて、清料飲料水のヒ素の試験法を、食品添加物公定書第8版で使用していましたヒ素の標準液を定義して、これまでどおりのヒ素の検出限界値を維持できるようにしたいというようなことですが、御意見いかがでしょうか。この測定法というのは、今もやられているのですか。今は大体ICP-MSみたいなもので測っているのではないかと思うのです。相当古いような気がします。これは多分比色法ですよね。
○事務局 今御指摘いただいた試験法については、過去に浅見委員からも御指摘を受けたところで、確かに古い試験法であり、我々としては今後別の試験法に置き換える形で、皆様にご審議いただきたいと考えています。少しお時間を頂いていますけれども、今後の課題として、検討させていただきたいと思います。
○大前部会長 それまでの経過措置といいますか、マイナーチェンジといいますか、それを今回やりたいということだと思いますが、よろしいですか。
○浅見委員 今お話いただいたように、是非分析法を新しいものに、今度は食品安全評価のほうに効果が返ってくると思いますので、それを踏まえて近くなるように、定量下限の確保をできるものを是非見直していただきたいと思います。
 あと、標準原液なのですが、最近水道法の告示に関しては、市販の標準液を使って、それを希釈するほうが誤差も少なくなりますし、試薬を使う量も非常に少なくて済むということもあって、結構民間の検査機関は、はかりを使って毒物を量るというのをなるべく避けようという動きがあります。是非新しいものに見直すときは、そのような標準液の作り方とか、市販のものも使えるように見ていただけると有り難いと思います。
○大前部会長 ありがとうございました。是非その方向で、できるだけ三酸化ヒ素そのものを扱う機会を少なくしていただきたいということですので、その点でもよろしくお願いします。
 いずれにしても、この事務局の原案どおりでよろしいですか。
○浅見委員 しょうがないですね。
○大前部会長 しょうがない。本当はもっと進んだものを出して欲しいのですが、それはもう少し時間が掛かるということで、後は恐らくそれほど先ではないでしょうけれども、出てくることを期待して、取りあえず今日のこの提案に関しては、オーケーということでよろしいですね。ありがとうございます。
 では、この件について、今後の予定についてお願いします。
○事務局 今後の対応としては、本日の御審議において了承が得られましたので、食品安全委員会の諮問等、告示改正に必要な手続を進めていきたいと考えています。
○大前部会長 そのような手順で進むということです。本日の議題は以上ですが、次の報告事項について、事務局から説明をよろしくお願いします。
○事務局 資料2の実態調査報告について御説明します。1枚目は食品中のニバレノールの含有濃度実態調査です。ニバレノール及びデオキシニバレノールは、主に麦類などの穀類を汚染するカビで、これまでの調査でもデオキシニバレノールとニバレノールは、同時に汚染されることが知られています。
 デオキシニバレノールは、現在暫定規制値の1.1 mg/kgが設定されていますが、平成29年9月開催の食品規格部会にて、デオキシニバレノールの基準値について御審議を頂き、審議の結果、デオキシニバレノールについては1.0 mg/kgの基準を置くことが了承されていました。なお、ニバレノールについては、現在規制値はありません。当部会の中でも、ニバレノールは、デオキシニバレノールに比べて汚染は少なく、またコーデックス委員会でも基準値が設定されていないことから、基準値を置かないことで了承されました。
 基準値の設定はありませんが、平成22年10月に、内閣府食品安全委員会による食品健康影響評価の結果、ニバレノールにTDI0.4 μg/kg体重/日が設定され、更に平成25年には欧州食品安全機関(EFSA)によりニバレノールのリスク評価の結果が公表され、国際的な関心が高まっている物質でもあります。
 また、カビ毒は気候の変動により濃度変化が起こりやすい物質であるため、基準値は設定しないものの、引き続き情報収集に努めることとなっていました。そのため、今般平成29年度に実施した、食品中のニバレノールについての含有実態調査の結果が取りまとまりましたので、御報告します。
 含有濃度が高い傾向にあるのは主に加工されていない麦類ですが、今般の調査の結果では、ニバレノールの含有濃度は最大でも海外産大麦の121 μg/kgであり、デオキシニバレノールの基準値と比較しても低い含有濃度であり、問題のない値であることが分かりました。
 続いて2枚目、食品中のフモニシンの含有実態調査についてです。フモニシンは主にトウモロコシ及びその加工品から検出されるカビ毒ですが、コーデックス委員会ではトウモロコシ、コーンフラワー及びコーンミールについての、フモニシンBとフモニシンBの合計値の基準が設定されています。
 これについて、食品安全委員会が自らの判断で食品健康影響評価を実施し、耐用一日摂取量2 μg/kg体重/日が設定され、リスク管理機関において、フモニシンによる汚染状況のモニタリングの必要があると結論付けられました。そのため、厚生労働省が実施したトウモロコシ及びその加工品の汚染実態調査の結果を踏まえ、平成30年2月開催の食品規格部会にて、フモニシンの基準値の設定について御審議いただきました。
 審議の結果、フモニシンについては汚染が少なく、日本人のトウモロコシの摂取量も少ないことから、基準値を設けないこととされました。しかしニバレノール同様に、カビ毒は年次変動が大きい物質のため、引き続きモニタリングを実施することとなりました。そのため平成29年度に実施した実態調査の結果を御報告します。
 調査の結果、フモニシンB、Bだけでなく、B3の合計値を見てもコーデックスの基準値よりかなり低い値であったため、問題ないものと考えられます。
 3枚目を御説明します。3枚目はミネラルウォーター類中のフッ素の含有濃度実態調査となります。フッ素については、平成29年2月開催の食品規格部会にて、ミネラルウォーター類について2 mg/Lの基準値を設定することについて御了承いただき、平成30年7月13日に新たな基準値が施行されました。
 食品衛生法では2 mg/Lの基準値を設定しましたが、水質基準では0.8 mg/Lの基準が設定されています。しかし、消費者庁による表示規制があり、表示規制の内容は製品が0.8 mg/L以上のフッ素を含む場合について、7歳未満の乳幼児はこのミネラルウォーターの飲用を控えてくださいという旨の記載と、フッ素の濃度を何mg/Lという旨の記載をする必要があるという規定があります。
 食品健康影響評価によると、フッ素は、米国での12~14歳の子供5,800人を対象とした疫学調査で、飲水中のフッ化物濃度による斑状歯、歯のエナメル質が白く濁って見える現象の出現により、TDI0.05 mg/kg体重/日が設定されています。今後フッ素の飲料水からの寄与率及びばく露実態の知見の集積が必要とされていました。そのため、今般ミネラルウォーター類中のフッ素について実態調査を行いました。
 ミネラルウォーター類を国産及び海外産合わせて150検体調査して、最大でも1.2 mg/Lの含有濃度であったため、基準値を超過するものはありませんでした。以上です。
○大前部会長 ありがとうございました。資料2に基づき、食品中の汚染物質の実態調査を説明していただきました。これまでこの食品規格部会では、基準値は設定しないとしたニバレノールとフモニシンについて、濃度は継続的に観察していくということでしたので、その観察結果を示していただきました。
 ミネラルウォーターの中のフッ素類については、基準値を超えるものはなかったという報告でした。何か先生方から御意見、御質問ありますでしょうか。ニバレノールもフモニシンも基準値は作らなかったけれども、十分低い濃度であるということです。実態調査報告ですので、審議事項ではありませんが、何かあれば。
○浅見委員 今、御紹介いただいたフッ素の件なのですけれども、米国の疫学調査のTDIをもう一度お伺いしてもよろしいですか。
○事務局 すみません、早口になってしまいました。TDIが0.05 mg/kg体重/日です。平成24年12月17日付けで頂いています。
○大前部会長 基準値が2,000 μgで、アメリカが50 μg/kg/日。4,000で50。
○浅見委員 1.2 mg/L相当で間違いないかと。ちょっとこの値よりも若干厳しい値。TDI全部を水に割り振ったとして、今の基準値よりも下の値になるということかなと思います。
○大前部会長 今のTDIは、水だけではなくてフッ素全部ですよね。主に水道水でしょうけれども。
○事務局 そのとおりです。
○浅見委員 水道法は、もうちょっと厳しい値なのですけれども、水道水は選べないということもありますので、もうちょっと厳し目の値が置いてあります。食品の表示の方で、1.2 mg/L以上のものについて表示をするのでしたか。0.8 mg/L以上でしたか。
○事務局 0.8 mg/Lです。
○浅見委員 0.8 mg/Lですよね。この1.2 mg/Lのものについては、その表示がされていたという理解でよろしいですか。
○事務局 表示については、直接の指導対象が消費者庁になってしまうこともあり、今回の結果については消費者庁に御連絡しています。
○浅見委員 していなかったということですか。
○事務局 一部不十分ではないかと思われる記載がありましたので、それも含めて御連絡しています。
○浅見委員 小さい字かもしれないですけれども、やはり一応書いていただくようにということで、連携を是非よろしくお願いします。
○事務局 ありがとうございます。
○大前部会長 そのほか何か御意見、御質問よろしいですか。特になければ、本日の議題は全て終わりました。今後の予定について、事務局から御説明をよろしくお願いします。
○事務局 今般の部会での審議結果を踏まえ、清涼飲料水のヒ素試験法については、食品安全基本法に基づく食品安全委員会への意見聴取等の規格基準改正に向けた諮問及び告示改正に向けて必要な手続を進めたいと思います。
 なお、ミネラルウォーター類中の規格基準については、平成30年7月13日に改正しており、現場の混乱を避けるため、今後の部会の審議の状況も踏まえ、ある程度まとまった段階で手続に移りたいと考えています。
○大前部会長 ありがとうございました。本日の結果を踏まえ、清涼飲料水のヒ素の試験法については告示改正をするということでした。先ほどあったように、できるだけ早く測定法の改正をしてほしい、新しい測定法に移行していただきたいということはあります。以上で、予定された議題は全て終わりました。事務局からそのほか何か連絡はありますか。
○事務局 次回の部会の開催日時等については、後日事務局より追って御連絡いたします。事務局からは以上です。
○大前部会長 ありがとうございました。ずいぶん予定より早いですが、本日の議事はこれで終了します。どうもありがとうございました。
 

 

(了)
<照会先>

医薬・生活衛生局食品基準審査課規格基準係

  (03-5253-1111 内線4280)

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